特許第6415331号(P6415331)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

▶ アズビル株式会社の特許一覧
特許6415331精製水製造装置の監視システム及び精製水製造装置の監視方法
<>
  • 特許6415331-精製水製造装置の監視システム及び精製水製造装置の監視方法 図000002
  • 特許6415331-精製水製造装置の監視システム及び精製水製造装置の監視方法 図000003
  • 特許6415331-精製水製造装置の監視システム及び精製水製造装置の監視方法 図000004
  • 特許6415331-精製水製造装置の監視システム及び精製水製造装置の監視方法 図000005
  • 特許6415331-精製水製造装置の監視システム及び精製水製造装置の監視方法 図000006
  • 特許6415331-精製水製造装置の監視システム及び精製水製造装置の監視方法 図000007
  • 特許6415331-精製水製造装置の監視システム及び精製水製造装置の監視方法 図000008
  • 特許6415331-精製水製造装置の監視システム及び精製水製造装置の監視方法 図000009
  • 特許6415331-精製水製造装置の監視システム及び精製水製造装置の監視方法 図000010
  • 特許6415331-精製水製造装置の監視システム及び精製水製造装置の監視方法 図000011
  • 特許6415331-精製水製造装置の監視システム及び精製水製造装置の監視方法 図000012
  • 特許6415331-精製水製造装置の監視システム及び精製水製造装置の監視方法 図000013
  • 特許6415331-精製水製造装置の監視システム及び精製水製造装置の監視方法 図000014
  • 特許6415331-精製水製造装置の監視システム及び精製水製造装置の監視方法 図000015
  • 特許6415331-精製水製造装置の監視システム及び精製水製造装置の監視方法 図000016
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6415331
(24)【登録日】2018年10月12日
(45)【発行日】2018年10月31日
(54)【発明の名称】精製水製造装置の監視システム及び精製水製造装置の監視方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/85 20060101AFI20181022BHJP
   G01N 21/64 20060101ALI20181022BHJP
   C02F 1/44 20060101ALI20181022BHJP
   B01D 65/00 20060101ALI20181022BHJP
   G01N 21/89 20060101ALI20181022BHJP
【FI】
   G01N21/85 B
   G01N21/64 Z
   C02F1/44 H
   B01D65/00
   G01N21/89 K
【請求項の数】19
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-7107(P2015-7107)
(22)【出願日】2015年1月16日
(65)【公開番号】特開2016-133354(P2016-133354A)
(43)【公開日】2016年7月25日
【審査請求日】2017年3月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 信介
【審査官】 越柴 洋哉
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−107330(JP,A)
【文献】 特開2014−135935(JP,A)
【文献】 特開2011−255301(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/058041(WO,A1)
【文献】 特開2012−005381(JP,A)
【文献】 特開昭62−180248(JP,A)
【文献】 再公表特許第2006/132289(JP,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0018583(US,A1)
【文献】 特表2005−533638(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84−21/958
G01N 21/62−21/74
G01N 21/17−21/61
B01D 61/00−71/82
C02F 1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
精製水製造装置で製造中又は製造された水が流れる検査パイプと、
前記検査パイプ内に配置された、表面に微生物が付着しうる検査部材と、
前記検査パイプを流れた水に励起光を照射し、前記微生物における自家蛍光を検出して、前記水に含まれる微生物を検出する検出装置と、
前記微生物を検出した場合、前記精製水製造装置において微生物が発生していると判定する判定部と、
を備え、
前記検出装置が検出する前記微生物が、前記検査部材から脱離した微生物を含む、
精製水製造装置の監視システム。
【請求項2】
前記検査部材の表面において、前記微生物がバイオフィルムを形成しうる、請求項1に記載の精製水製造装置の監視システム。
【請求項3】
前記微生物を検出した場合、前記判定部が、前記精製水製造装置においてバイオフィルムが形成されていると判定する、請求項に記載の精製水製造装置の監視システム。
【請求項4】
前記検査部材が、前記精製水製造装置が備えるろ過膜と同じろ過膜である、請求項1ないしのいずれか1項に記載の精製水製造装置の監視システム。
【請求項5】
前記検査部材の材料が、前記精製水製造装置が備えるろ過膜の材料を含む、請求項1ないしのいずれか1項に記載の精製水製造装置の監視システム。
【請求項6】
前記検査部材の材料が、前記精製水製造装置が備えるパイプの材料を含む、請求項1ないしのいずれか1項に記載の精製水製造装置の監視システム。
【請求項7】
前記検査部材の材料が、前記精製水製造装置が備える部品の材料を含む、請求項1ないしのいずれか1項に記載の精製水製造装置の監視システム。
【請求項8】
前記検査部材が基板である、請求項ないしのいずれか1項に記載の精製水製造装置の監視システム。
【請求項9】
前記励起光を照射された後の水の流路に設けられた、前記微生物を捕捉する微生物フィルタを更に備える、請求項1ないしのいずれか1項に記載の精製水製造装置の監視システム。
【請求項10】
表面に微生物が付着しうる検査部材が内部に配置された検査パイプに精製水製造装置で製造中又は製造された水を流すことと、
前記検査パイプを流れた水に励起光を照射し、前記微生物における自家蛍光を検出して、前記水に含まれる微生物を検出することと、
前記微生物を検出した場合、前記精製水製造装置において微生物が発生していると判定することと、
を含
前記検出される微生物が、前記検査部材から脱離した微生物を含む、
精製水製造装置の監視方法。
【請求項11】
前記検査部材の表面において、前記微生物がバイオフィルムを形成しうる、請求項10に記載の精製水製造装置の監視方法。
【請求項12】
前記微生物を検出した場合、前記精製水製造装置においてバイオフィルムが形成されていると判定する、請求項11に記載の精製水製造装置の監視方法。
【請求項13】
前記検査部材が、前記精製水製造装置が備えるろ過膜と同じろ過膜である、請求項10ないし12のいずれか1項に記載の精製水製造装置の監視方法。
【請求項14】
前記検査部材の材料が、前記精製水製造装置が備えるろ過膜の材料を含む、請求項10ないし12のいずれか1項に記載の精製水製造装置の監視方法。
【請求項15】
前記検査部材の材料が、前記精製水製造装置が備えるパイプの材料を含む、請求項10ないし12のいずれか1項に記載の精製水製造装置の監視方法。
【請求項16】
前記検査部材の材料が、前記精製水製造装置が備える部品の材料を含む、請求項10ないし12のいずれか1項に記載の精製水製造装置の監視方法。
【請求項17】
前記検査部材が基板である、請求項14ないし16のいずれか1項に記載の精製水製造装置の監視方法。
【請求項18】
前記励起光を照射された後の水の流路に設けられた微生物フィルタで前記微生物を捕捉することを更に含む、請求項10ないし17のいずれか1項に記載の精製水製造装置の監視方法。
【請求項19】
前記微生物フィルタで捕捉された前記微生物を培養することを更に含む、請求項18に記載の精製水製造装置の監視方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は検出技術に関し、精製水製造装置の監視システム及び精製水製造装置の監視方法に関する。
【背景技術】
【0002】
製薬用水及び注射用水などの精製水は、微生物に対する処置基準値が薬局方で定められている。例えば、注射用水に対する生菌数の処置基準としては、10CFU/100mLが適正とされている。精製水は、例えば、限外ろ過法、逆浸透膜法、及び精密ろ過膜法等を用いる精製水製造装置で製造される(例えば、特許文献1参照。)。精製水製造装置においては、微生物がバイオフィルムを形成し、ろ過膜を目詰まりさせる等のバイオファウリングが発生しうる(例えば、特許文献2ないし6参照。)。これに対し、特許文献7は、バイオフィルムが形成されうる透明な基板に光を透過させ、バイオフィルムの形成に伴う光の透過率の低下を測定することにより、バイオファウリング発生リスクを評価する方法を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−260463号公報
【特許文献2】特開2007−198869号公報
【特許文献3】特開2011−255301号公報
【特許文献4】特開2014−181963号公報
【特許文献5】国際公開第2008/038575号
【特許文献6】国際公開第2014/058041号
【特許文献7】特開2008−107330号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献7で提案された方法では、厚みのあるバイオフィルムが形成されない限り、光の透過率が低下しない。そのため、特許文献7で提案された方法では、精製水製造装置内で発生した微量の微生物を検出することによってバイオフィルムの形成を予測することや、形成初期段階のバイオフィルムを検出することが困難である。また、一度形成されたバイオフィルムを除去することは困難である。
【0005】
そこで、本発明は、微生物の発生を早期に検出可能な精製水製造装置の監視システム及び精製水製造装置の監視方法を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様によれば、(a)精製水製造装置で製造中又は製造された水が流れる検査パイプと、(b)検査パイプ内に配置された、表面に微生物が付着しうる検査部材と、(c)検査パイプを流れた水に励起光を照射し、微生物における自家蛍光を検出して、水に含まれる微生物を検出する検出装置と、(d)微生物を検出した場合、精製水製造装置において微生物が発生していると判定する判定部と、を備える、精製水製造装置の監視システムが提供される。
【0007】
本発明の態様に係る精製水製造装置の監視システムにおいて、検出装置が検出する微生物が、検査部材から脱離した微生物を含んでいてもよい。検査部材の表面が、微生物がバイオフィルムを形成しうる表面であってもよい。微生物を検出した場合、判定部が、精製水製造装置においてバイオフィルムが形成されていると判定してもよい。
【0008】
本発明の態様に係る精製水製造装置の監視システムにおいて、検査部材が、精製水製造装置が備えるろ過膜と同じろ過膜であってもよい。あるいは、検査部材が基板であってもよい。また、検査部材の材料が、精製水製造装置が備えるろ過膜、パイプ、又は部品の材料を含んでいてもよい。
【0009】
本発明の態様に係る精製水製造装置の監視システムは、励起光を照射された後の水の流路に設けられた、微生物を捕捉する微生物フィルタを更に備えていてもよい。
【0010】
また、本発明の態様によれば、(a)表面に微生物が付着しうる検査部材が内部に配置された検査パイプに精製水製造装置で製造中又は製造された水を流すことと、(b)検査パイプを流れた水に励起光を照射し、微生物における自家蛍光を検出して、水に含まれる微生物を検出することと、(c)微生物を検出した場合、精製水製造装置において微生物が発生していると判定することと、を含む、精製水製造装置の監視方法が提供される。
【0011】
本発明の態様に係る精製水製造装置の監視方法において、検出される微生物が、検査部材から脱離した微生物を含んでいてもよい。検査部材の表面が、微生物がバイオフィルムを形成しうる表面であってもよい。微生物を検出した場合、精製水製造装置においてバイオフィルムが形成されていると判定してもよい。
【0012】
本発明の態様に係る精製水製造装置の監視方法において、検査部材が、精製水製造装置が備えるろ過膜と同じろ過膜であってもよい。あるいは、検査部材が基板であってもよい。また、検査部材の材料が、精製水製造装置が備えるろ過膜、パイプ、又は部品の材料を含んでいてもよい。
【0013】
本発明の態様に係る精製水製造装置の監視方法は、励起光を照射された後の水の流路に設けられた微生物フィルタで微生物を捕捉することを更に含んでいてもよい。また、本発明の態様に係る精製水製造装置の監視方法は、微生物フィルタで捕捉された微生物を培養することを更に含んでいてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、微生物の発生を早期に検出可能な精製水製造装置の監視システム及び精製水製造装置の監視方法を提供可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1の実施の形態に係る精製水製造装置の監視システムの模式図である。
図2】本発明の第1の実施の形態に係る精製水製造装置の監視システムが備える検査パイプと検査部材の模式図である。
図3】本発明の第1の実施の形態に係るバイオフィルムの明視野顕微鏡写真である。
図4】本発明の第1の実施の形態に係るDAPI染色されたバイオフィルムの顕微鏡写真である。
図5】本発明の第1の実施の形態に係る蛍光標識されたレクチンとインキュベートされたバイオフィルムの顕微鏡写真である。
図6】本発明の第1の実施の形態に係るバイオフィルムの走査型電子顕微鏡写真である。
図7】本発明の第1の実施の形態に係るバイオフィルムの走査型電子顕微鏡写真である。
図8】本発明の第1の実施の形態に係る検出装置の模式図である。
図9】本発明の第2の実施の形態に係る精製水製造装置の監視システムの模式図である。
図10】本発明の第3の実施の形態に係る精製水製造装置の監視システムの模式図である。
図11】本発明の第4の実施の形態に係る精製水製造装置の監視システムの模式図である。
図12】本発明の第5の実施の形態に係る精製水製造装置の監視システムの模式図である。
図13】本発明の第6の実施の形態に係る精製水製造装置の監視システムの模式図である。
図14】本発明の実施例に係る計測結果を示すグラフである。
図15】本発明の実施例に係る計測結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号で表している。但し、図面は模式的なものである。したがって、具体的な寸法等は以下の説明を照らし合わせて判断するべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0017】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態に係る精製水製造装置の監視システムは、図1及び図2に示すように、精製水製造装置100で製造中又は製造された水が流れる検査パイプ2と、検査パイプ2内に配置された、表面に細菌等の微生物が付着しうる検査部材5と、検査パイプ2を流れた水に励起光を照射し、微生物における自家蛍光を検出して、水に含まれる微生物を検出する検出装置200と、微生物を検出した場合、精製水製造装置100において微生物が発生していると判定する判定部301と、を備える。例えば、判定部301は、中央演算処理装置(CPU)300に含まれる。
【0018】
精製水製造装置100で製造される精製水は、例えば、純水、製薬用水、及び注射用水等であるが、これらに限定されない。精製水製造装置100は、例えば、限外ろ過膜、逆浸透膜、あるいは精密ろ過膜等のろ過膜を備える。精製水製造装置100で製造中又は製造された水は、メインパイプ1を流れる。メインパイプ1に、サンプリングポート3を介して支流となる検査パイプ2が接続されている。これにより、メインパイプ1を流れている水の一部が、支流である検査パイプ2に流れ込む。
【0019】
検査部材5は、精製水製造装置100内で発生しうる微生物と同様の微生物を検査パイプ2中でも発生させるための部材である。検査部材5は、例えば、精製水製造装置100が備えるろ過膜と同じろ過膜である。あるいは、検査部材5は、精製水製造装置100が備えるろ過膜、パイプ、及び部品等のいずれかの材料と同じ材料を含む基板である。このような材料としては、セルロース混合エステル、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリエーテルサルフォン、フッ素樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、オレフィン、ポリカーボネート、ポリウレタン、シリコン樹脂、ポリアミド、ポリフェニレンスルファイド(PPS)等の樹脂;シリコンゴム、ニトリルゴム(NBR)、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、及びフッ素ゴム等のゴム;ステンレス鋼等の金属;及びケイ酸塩ガラス等が挙げられる。また、例えば、検査部材5の表面状態は、精製水製造装置100が備えるろ過膜、パイプ、及び部品等のいずれかの表面状態と同じであってもよい。
【0020】
精製水製造装置100内でバイオフィルムが微生物によって形成されると、同様の状態のバイオフィルムが検査部材5上でも形成されうる。バイオフィルムとは、微生物により形成される構造体である。部材に微生物が付着し始めると、微生物は定着と脱離を繰り返しながら、部材上で徐々に増殖して生息数を増やす。さらに、微生物は細胞外多糖(EPS:Extracellular PolySaccharide)を分泌して部材上にコロニーを形成し、バイオフィルムを形成する。コロニーが巨大化するとバイオフィルムの厚みは増す。コロニー内部が過密になると、コロニーは崩壊し、崩壊したコロニーから微生物が放出される。
【0021】
図3は、バイオフィルムの明視野顕微鏡写真であり、図4は、DAPI(ジアミジノフェニルインドール(ジヒドロクロライド))染色されたバイオフィルムの顕微鏡写真である。図3及び図4の顕微鏡写真から、バイオフィルムにおける細菌の凝集が確認される。図5は、蛍光標識されたレクチンとインキュベートされたバイオフィルムの顕微鏡写真である。レクチンは糖鎖と結合することから、バイオフィルムにおける細胞外多糖の存在が確認される。
【0022】
図6及び図7は、バイオフィルムの走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。図6及び図7の顕微鏡写真からも、バイオフィルムにおける細菌の凝集が確認される。また、凝集の密な部分において、細菌が盛り上がっていることが確認される。
【0023】
図1に示す精製水製造装置100内でバイオフィルムが形成されると、ろ過膜の目詰まり等のバイオファウリングの原因となりうる。
【0024】
検査パイプ2の下流に設けられた検出装置200は、例えば図8に示すように、水に励起光を照射する光源10と、励起光を照射された領域で生じる微生物の自家蛍光を含む蛍光帯域の光の強度を測定する蛍光測定器102と、励起光を照射された領域で生じる散乱光を測定する散乱光測定器105と、を備える。光源10、蛍光測定器102及び散乱光測定器105は、CPU300に電気的に接続されている。
【0025】
光源10と、蛍光測定器102と、散乱光測定器105と、は、筐体30に設けられている。光源10には、光源10に電力を供給する光源駆動電源11が接続されている。光源駆動電源11には、光源10に供給される電力を制御する電源制御装置12が接続されている。図1及び図2に示した検査パイプ2から取りこんだ、精製水製造装置100で製造中の水、あるいは精製水製造装置100で製造された水は、図8に示す透明なセル40の中を流れる。セル40を流れた水は、例えば、図1に示す排水パイプ4に排出される。
【0026】
図8に示す光源10は、セル40の中の水流に向けて、例えば広帯域波長の励起光を照射する。光源10としては、例えば、発光ダイオード(LED)及びレーザが使用可能である。励起光の波長は、例えば250ないし550nmである。励起光は、可視光であっても、紫外光であってもよい。励起光が可視光である場合、励起光の波長は、例えば400ないし550nmの範囲内であり、例えば405nmである。励起光が紫外光である場合、励起光の波長は、例えば300ないし380nmの範囲内であり、例えば340nmである。ただし、励起光の波長は、これらに限定されない。
【0027】
セル40の中の水流に、検査部材5から脱離して浮遊した微生物が含まれる場合、励起光を照射された微生物に含まれるニコチンアミドアデニンジヌクレオチド及びリボフラビン等が、自家蛍光を発する。また、励起光を照射された粒子状の微生物において、散乱光が生じる。
【0028】
微生物が発する自家蛍光の波長及び強度は、微生物の種類によって異なる。また、微生物で生じる散乱光の強度は、微生物の粒径に依存する。微生物の粒径は、微生物の種類毎に異なる。そのため、検出した蛍光の波長及び強度、並びに散乱光の強度から、水に含まれていた微生物の種類を特定することが可能である。
【0029】
蛍光測定器102は、微生物が発する自家蛍光等の蛍光帯域の光を検出する。蛍光測定器102は、蛍光帯域の光を受光する蛍光受光素子20を備える。蛍光受光素子20としては、フォトダイオード及び光電管等が使用可能であり、光を受光すると、光エネルギーを電気エネルギーに変換する。蛍光帯域の光を受光する蛍光受光素子20は、単一の微生物が発する自家蛍光を検出可能である。
【0030】
蛍光受光素子20には、蛍光受光素子20で生じた電流を増幅する増幅器21が接続されている。増幅器21には、増幅器21に電力を供給する増幅器電源22が接続されている。また、増幅器21には、増幅器21で増幅された電流を受け取り、蛍光受光素子20が受光した光の強度を算出する光強度算出装置23が接続されている。光強度算出装置23には、光強度算出装置23が算出した光の強度を保存する光強度記憶装置24が接続されている。
【0031】
蛍光測定器102は、例えば、連続的に蛍光の測定を続け、検出した蛍光の強度の記録を続ける。
【0032】
散乱光測定器105は、励起光を照射された微生物で生じる散乱光を検出する。散乱光測定器105は、散乱光を受光する散乱光受光素子50を備える。散乱光受光素子50としては、フォトダイオード等が使用可能であり、光を受光すると、光エネルギーを電気エネルギーに変換する。散乱光を受光する散乱光受光素子50は、単一の微生物で発生する散乱光を検出可能である。
【0033】
散乱光受光素子50には、散乱光受光素子50で生じた電流を増幅する増幅器51が接続されている。増幅器51には、増幅器51に電力を供給する増幅器電源52が接続されている。また、増幅器51には、増幅器51で増幅された電流を受け取り、散乱光受光素子50が受光した散乱光の強度を算出する光強度算出装置53が接続されている。光強度算出装置53には、光強度算出装置53が算出した散乱光の強度を保存する光強度記憶装置54が接続されている。
【0034】
散乱光測定器105は、例えば、連続的に散乱光の測定を続け、検出した散乱光の強度の記録を続ける。
【0035】
CPU300に含まれる判定部301は、例えば、蛍光測定器102が蛍光を検出し、散乱光測定器105が散乱光を検出したときに、精製水製造装置100において微生物が発生していると判定する。例えば、精製水製造装置100の稼働後初めて、あるいは精製水製造装置100の清掃後初めて微生物を検出した場合、精製水製造装置100内においてバイオフィルムの形成がその後開始されうる、あるいは初期状態のバイオフィルムが形成されたと判定してもよい。また、判定部301は、検出された微生物が増加した場合、精製水製造装置100内において微生物が増殖し、バイオフィルムが成長していると判定してもよい。
【0036】
判定部301は、所定の期間における、又は水の所定の体積あたりの散乱光ないしは蛍光の検出回数に基づき、水に含まれる微生物の数及び濃度を計測してもよい。また、例えば、検査パイプ2を流れる所定の体積の水に含まれる微生物の数と、メインパイプ1を流れる水の流量と検査パイプ2を流れる水の流量の流量比と、から、メインパイプ1を流れる所定の体積の水に含まれる微生物の数を特定してもよい。メインパイプ1及び検査パイプ2のそれぞれを流れる水の流量は、流量計によって計測可能である。
【0037】
判定部301は、検出された微生物の一時的な数あるいは一時的な濃度が所定の基準値を超えた場合に警告を発してもよい。あるいは、判定部301は、検出された微生物の積算数あるいは積算濃度が所定の基準値を超えた場合に警告を発してもよい。基準値は、バイオフィルムの形成状態にあわせて事前に設定してもよい。
【0038】
CPU300には、判定基準記憶装置351が接続されている。判定基準記憶装置351は、例えば、微生物について、それよりも多くの数が水に含まれていると警報を発すべき所定の基準値を保存する。なお、判定基準記憶装置351は、微生物の数に関する所定の基準値を複数保存していてもよい。例えば、精製水製造装置100に殺菌剤や溶解剤を流す程度で対処できる所定の基準値と、精製水製造装置100が備えるフィルタを交換する必要がある所定の基準値と、を、判定基準記憶装置351は保存していてもよい。
【0039】
CPU300には、判定部301の判定結果を出力する出力装置401が接続されている。出力装置401としては、ディスプレイ、スピーカ、及びプリンタ等が使用可能である。
【0040】
以上説明した第1の実施の形態に係る精製水製造装置の監視システムによれば、精製水製造装置100において微生物が発生しているか否かをリアルタイムに監視することが可能となる。また、第1の実施の形態に係る精製水製造装置の監視システムは、単一の微生物を検出可能であるため、精製水製造装置100においてバイオフィルムが実際に形成される前に、バイオフィルムの形成を予測することも可能である。さらに、第1の実施の形態に係る精製水製造装置の監視システムは、単一の微生物を検出可能であるため、精製水製造装置100において初期段間のバイオフィルムが形成されていることを推測することも可能である。
【0041】
さらに、第1の実施の形態に係る精製水製造装置の監視システムは、検出した微生物の数、濃度、及びそれらの増減から、精製水製造装置100において形成されているバイオフィルムの状態を推測することも可能である。
【0042】
第1の実施の形態に係る精製水製造装置の監視システムによって、精製水製造装置100において微生物が発生していると判定された場合、例えば、殺菌剤や溶解剤を精製水製造装置100に流して微生物を除去してもよい(例えば、国際公開第2008/038575号参照。)。あるいは、精製水製造装置100が備えるろ過膜等を交換してもよい。
【0043】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態に係る精製水製造装置の監視システムにおいては、図9に示すように、励起光を照射された後の水の流路である排水パイプ4に、微生物を捕捉可能な微生物フィルタ201が設けられている。微生物フィルタ201で捕捉された微生物を培養して、目視、あるいは蛍光顕微鏡や走査型電子顕微鏡で観察することによって、精製水製造装置の監視システムが検出した微生物の種類及び数を検証することが可能である。
【0044】
細菌微生物を培養する際の培地としては、トリプトソイ寒天(TSA)培地、R2A培地、及び標準寒天培地等が使用可能である。細菌微生物は、例えば、32℃で7日間培養される。真菌微生物を培養する際の培地としては、バレイショ−ブドウ糖寒天(PDA)培地、及びサブロー寒天培地等が使用可能である。真菌微生物は、例えば、25℃で7日間培養される。微生物を培養する際には、微生物を捕捉している微生物フィルタ201を培地に接触させてもよいし、微生物フィルタ201から微生物を捕集して、捕集した微生物を培地にいれてもよい。
【0045】
(第3の実施の形態)
第3の実施の形態に係る精製水製造装置の監視システムにおいては、図10に示すように、排水パイプ4をバイパスする排水パイプ14が設けられている。排水パイプ14には、微生物を捕捉可能な微生物フィルタ201と、吸引ポンプ203と、が設けられている。例えば、吸引ポンプ203は、CPU300に電気的に接続されている。
【0046】
第3の実施の形態において、CPU300は、制御部302をさらに備える。判定部301が水に微生物が含まれていると判定すると、制御部302は、吸引ポンプ203を駆動して、励起光を照射された後の水を排水パイプ14に誘導する。これにより、水中の微生物が、排水パイプ14に設けられた微生物フィルタ201に捕捉される。捕捉された微生物を観察することにより、精製水製造装置の監視システムが検出した微生物の種類及び数を検証することが可能である。
【0047】
なお、排水パイプ4から排水パイプ14に向けて常に水圧が加わっている場合は、排水パイプ14に、吸引ポンプ203の代わりに、電磁弁等の弁を配置してもよい。この場合、判定部301が水に微生物が含まれていると判定すると、制御部302は、弁を開いて、励起光を照射された後の水を排水パイプ14に誘導する。
【0048】
(第4の実施の形態)
第4の実施の形態に係る精製水製造装置の監視システムにおいては、図11に示すように、排水パイプ14に、吸引ポンプ203と、廃液タンク213と、が設けられている。CPU300の判定部301が水に微生物が含まれていると判定すると、制御部302は、吸引ポンプ203を駆動して、励起光を照射された後の水を排水パイプ14に誘導する。これにより、微生物を含む水が、廃液タンク213に貯められる。廃液タンク213に貯められた水中の微生物を観察することにより、精製水製造装置の監視システムが検出した微生物の種類及び数を検証することが可能である。
【0049】
(第5の実施の形態)
第5の実施の形態に係る精製水製造装置の監視システムにおいては、図12に示すように、排水パイプ4と排水パイプ14とが分岐する箇所に、バルブ205が設けられている。例えば、バルブ205は、CPU300に電気的に接続されている。排水パイプ14には、微生物を捕捉可能な微生物フィルタ201が設けられている。
【0050】
CPU300の判定部301が水に微生物が含まれていると判定すると、制御部302は、バルブ205を駆動して、励起光を照射された後の水を排水パイプ14に誘導する。これにより、水中の微生物が、微生物フィルタ201に捕捉される。捕捉された微生物を観察することにより、精製水製造装置の監視システムが検出した微生物の種類及び数を検証することが可能である。
【0051】
(第6の実施の形態)
第6の実施の形態に係る精製水製造装置の監視システムにおいては、図13に示すように、排水パイプ14に廃液タンク215が設けられている。CPU300の判定部301が水に微生物が含まれていると判定すると、制御部302は、バルブ205を駆動して、励起光を照射された後の水を排水パイプ14に誘導する。これにより、微生物を含む水が、廃液タンク215に貯められる。廃液タンク215に貯められた水中の微生物を観察することにより、精製水製造装置の監視システムが検出した微生物の種類及び数を検証することが可能である。
【実施例】
【0052】
無菌水等の配管に用いられるステンレスパイプと同じ材料からなる清浄な基板を、超純水の配管内に配置し、当該配管を検査パイプとした。検査パイプの下流において流路を3方向に分け、第1の流路では、実施例として、第1の実施の形態に係る検出装置で1分毎に1mLあたりの蛍光粒子数を計測した。第2の流路では、比較例として、6分毎に超純水をサンプリングし、サンプリングした純水を培養液に滴下して培養して生菌数(CFU)を計測した。第3の流路では、比較例として、2分毎に超純水をサンプリングし、全有機炭素(TOC)を計測した。計測結果を図14に示す。
【0053】
次に、無菌水等の配管に用いられるステンレスパイプと同じ材料からなる基板上に、バイオフィルムを形成させた。その後、バイオフィルムが形成された基板を、超純水の配管内に配置し、当該配管を検査パイプとした。検査パイプの下流において流路を3方向に分け、第1の流路では、実施例として、第1の実施の形態に係る検出装置で1分毎に1mLあたりの蛍光粒子数を計測した。第2の流路では、比較例として、6分毎に超純水をサンプリングし、サンプリングした純水を培養液に滴下して培養してCFUを計測した。第3の流路では、比較例として、2分毎に超純水をサンプリングし、TOCを計測した。計測結果を図15に示す。
【0054】
図15に示すように、実施例においては、リアルタイムに自家蛍光を発する微生物が検出された。しかし、培養法においては、生菌が検出されない場合があった。また、バイオフィルムが形成された場合と、形成されていない場合との間において、TOCに差異は認められなかった。
【産業上の利用可能性】
【0055】
以下に限定されないが、本発明は、医薬用精製水、食品用精製水、飲料用精製水、及び半導体装置製造用精製水の製造現場等で利用可能である。
【符号の説明】
【0056】
1 メインパイプ
2 検査パイプ
3 サンプリングポート
4、14 排水パイプ
5 検査部材
10 光源
11 光源駆動電源
12 電源制御装置
20 蛍光受光素子
21 増幅器
22 増幅器電源
23 光強度算出装置
24 光強度記憶装置
30 筐体
40 セル
50 散乱光受光素子
51 増幅器
52 増幅器電源
53 光強度算出装置
54 光強度記憶装置
100 精製水製造装置
102 蛍光測定器
105 散乱光測定器
200 検出装置
201 微生物フィルタ
203 吸引ポンプ
205 バルブ
213、215 廃液タンク
300 中央演算処理装置
301 判定部
302 制御部
351 判定基準記憶装置
401 出力装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15