特許第6415385号(P6415385)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6415385
(24)【登録日】2018年10月12日
(45)【発行日】2018年10月31日
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 9/48 20060101AFI20181022BHJP
   G06F 15/78 20060101ALI20181022BHJP
【FI】
   G06F9/48 110G
   G06F15/78 514
【請求項の数】7
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-107301(P2015-107301)
(22)【出願日】2015年5月27日
(65)【公開番号】特開2016-224520(P2016-224520A)
(43)【公開日】2016年12月28日
【審査請求日】2017年11月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長澤 和浩
【審査官】 小林 哲雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−318157(JP,A)
【文献】 特開2012−221373(JP,A)
【文献】 特開2008−077184(JP,A)
【文献】 特開昭63−316236(JP,A)
【文献】 特開2000−252822(JP,A)
【文献】 特開2000−003285(JP,A)
【文献】 米国特許第05061922(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 9/48
G06F 15/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
共通の割込み端子を有するマイクロコンピュータユニットと、
前記マイクロコンピュータユニットの前記割込み端子に割込み要求信号を出力可能な複数の周辺装置とを備え、
前記周辺装置は、前記周辺装置ごとに定められた固有の時間間隔をあけた2個のパルスを前記割込み要求信号として出力し、
前記マイクロコンピュータユニットは、前記割込み要求信号として受信した2個のパルスの時間間隔に基づいて割込み要求元を判定する、半導体装置。
【請求項2】
前記周辺装置は、他の前記周辺装置が出力した割込み要求信号を受信し、
前記周辺装置は、他の前記周辺装置が出力した割込み要求信号を受信した場合には、所定の出力制限時間が経過した後に、自らの割込み要求信号を出力する、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
複数の前記周辺装置は、互いに異なる周期のパルス信号を前記割込み要求信号として出力し、
前記割込み要求信号の周期は基本周期の整数倍となるように設定され、
前記割込み要求信号の周期が短いほど、前記割込み要求信号の出力期間は長くなるように設定されている、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
記周辺装置における前記割込み要求信号の出力は、オープンコレクタ出力またはオープンドレイン出力であり、
複数の前記割込み要求信号のワイヤードORによって決まる信号が前記マイクロコンピュータユニットの前記割込み端子に入力され
前記半導体装置は、前記周辺装置の出力端子に一端が接続され、前記マイクロコンピュータユニットの前記割込み端子に他端が接続され、前記周辺装置毎に互いに異なる抵抗値を持つ抵抗を有し、
複数の前記抵抗の他端同士がワイヤードORされる、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
n個の(n≧2)の周辺装置から出力された割込み要求信号をnビットのデジタル信号として受信し、前記nビットのデジタル信号に応じたアナログ電圧を出力するデジタル・アナログ変換器と、
前記デジタル・アナログ変換器から出力された前記アナログ電圧を受信する割込み端子を有するマイクロコンピュータユニットとを備え、
前記マイクロコンピュータユニットは、前記割込み端子を介して受信した前記アナログ電圧の電圧レベルに基づいて割込み要求元を判定する、半導体装置。
【請求項6】
各前記周辺装置における前記割込み要求信号の出力は、オープンコレクタ出力またはオープンドレイン出力であり、
前記デジタル・アナログ変換器は、
前記割込み端子と電源ノードとの間に接続されたプルアップ抵抗と、
前記割込み端子と前記n個の周辺装置の前記割込み要求信号の出力ノードとの間にそれぞれ接続されたn個の出力抵抗とを含み、
前記n個の出力抵抗の抵抗値は、前記周辺装置ごとに異なる値であ、請求項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記n個の出力抵抗の抵抗値は、基準となる最小抵抗値の整数倍となるように設定されている、請求項6に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体装置に関し、たとえば、マイクロコンピュータと周辺装置との間の割込み制御に好適に用いられるものである。
【背景技術】
【0002】
マイクロコンピュータを開発する際には、チップコストを低減させるために割込み端子数を制限する場合が多い。このため、複数の周辺装置で割込み端子を共有化する試みがこれまで報告されている。
【0003】
たとえば、特開平5−274160号公報(特許文献1)は、複数の割込み要求信号をエンコーダで2進符号にエンコードし、エンコードされた信号をマイクロコンピュータの割込み/汎用ポート兼用端子に出力する。
【0004】
特開2009−271569号公報(特許文献2)は、半導体集積回路における1つの入力端子を、シリアル受信および外部割込みに兼用可能にしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−274160号公報
【特許文献2】特開2009−271569号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の特許文献1の技術は、複数の割込み要求信号を2進符号にエンコードするものであるので、削減できる信号数は限られている。たとえば、3本以上の割込み要求信号を1本に信号に集約することはできない。上記の特許文献2の技術では、複数の割込み要求信号を集約することはできない。このように従来技術は、割込み端子の削減数が限られていた。
【0007】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態による半導体装置では、各周辺装置は互いに異なる波形の割込み要求信号を出力する。マイクロコンピュータユニットは、受信した割込み要求信号の波形に基づいて割込み要求元を判定する。各周辺装置から出力された割込み要求信号は他の周辺装置にも入力される。各周辺装置は、他の周辺装置から割込み要求信号を受信した場合には、所定の出力制限時間が経過した後に、割込み要求信号を出力可能になる。
【発明の効果】
【0009】
上記の実施形態によれば、複数の割込み要求信号を原理的に1個の割込み端子に入力可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1の実施形態による半導体装置の構成を示すブロック図である。
図2図1の各周辺ICから出力される外部割込み要求信号の波形例を示すタイミング図である。
図3図1の各周辺ICから出力される割込み要求信号の波形の他の例を示すタイミング図である。
図4図1の各周辺ICに設けられた割込み制御回路の具体的構成例を示すブロック図である。
図5図1のマイクロコンピュータユニットに設けられた判定回路の構成例を示すブロック図である。
図6】第2の実施形態による半導体装置において、各周辺ICから出力される外部割込み要求信号の波形例を示すタイミング図である。
図7】第3の実施形態による半導体装置の構成を示すブロック図である。
図8図7の各周辺ICから出力される割込み要求信号の波形例を示すタイミング図である。
図9】第4の実施形態による半導体装置の構成を示すブロック図である。
図10図9の各周辺ICから出力された割込み要求信号の値とマイクロコンピュータユニットの入力電圧との関係を表形式で示した図である。
図11図9のD/A変換器の簡単な構成例を示す回路図である。
図12図11の各周辺ICから出力された割込み要求信号の値とマイクロコンピュータユニットの入力電圧との関係を表形式で示した図である。
図13】第1の実施形態の第1の変形例を示すブロック図である。
図14】第1の実施形態の第2の変形例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、各実施形態について図面を参照して詳しく説明する。なお、同一または相当する部分には同一の参照符号を付して、その説明を繰返さない。
【0012】
<第1の実施形態>
[半導体装置の構成]
図1は、第1の実施形態による半導体装置の構成を示すブロック図である。図1の半導体装置は、周辺IC(Integrated Circuit)10_1,10_2,10_3,…と、OR回路30と、マイクロコンピュータユニット(MCU:Microcomputer Unit)20とを含む。以下では、周辺IC10_i(i=1,2,3,…)を総称する場合または不特定のものを示す場合、周辺IC10と記載する場合がある。
【0013】
各周辺IC10_i(i=1,2,3,…)は、内部割込み要求信号11_iに基づいて外部割込み要求信号を出力端子TAiから出力する。各周辺IC_iから出力された外部割込み要求信号は、OR回路30を介して、MCU20に設けられた共通の割込み端子TTに入力される。
【0014】
図1の場合、外部割込み要求信号は、ロー(L)アクティブの信号(Lレベルのとき“1”、ハイ(H)レベルのとき“0”)である。OR回路30は、入力信号のうち少なくとも1つがLレベル(“1”)のとき、Lレベル(“1”)の信号を出力する。OR回路30は、入力信号が全てHレベル(“0”)のとき、Hレベル(“0”)の信号を出力する。
【0015】
ここで、各周辺IC10_i(i=1,2,3,…)に備えられた割込み制御回路12_iは、内部割込み要求信号11_iに基づいて、周辺ICごとに異なる波形の外部割込み要求信号を生成する。MCU20は、入力された外部割込み要求信号の波形に基づいて、外部割込み要求信号の出力元(すなわち、割込み要求元)を判定することができる。
【0016】
各周辺IC10_i(i=1,2,3,…)の割込み制御回路12_iは、さらに、OR回路30の出力(すなわち、他の周辺ICが出力した外部割込み要求信号)を、入力端子TBiを介して受信する。各割込み制御回路12_iは、他の周辺IC10_j(j≠i)から外部割込み要求信号(Lアクティブの信号)を受信した場合には、所定の出力制限時間が経過した後に自らの外部割込み要求信号(Lアクティブの信号)を出力可能なように構成されている。これによって、原則的には、各周辺IC10_iは互いに異なるタイミングで外部割込み要求信号(Lアクティブの信号)をMCU20に出力するので、複数の外部割込み要求信号(Lアクティブの信号)が重なること(以下、「割込み競合」と称する)はない。
【0017】
ただし、全く同一のタイミングで(もしくは、割込み制御回路12_iの動作遅延時間の範囲内で)、複数の周辺ICが外部割込み要求信号(Lアクティブの信号)を出力する場合(すなわち、「割込み競合」が生じること)があり得る。外部割込み要求信号として各周辺ICに割り当てられた波形は、このような割込み競合の場合でも相互に識別できるようにする必要がある。具体的な波形の例は、図2および図3を参照して後述する。
【0018】
MCU20は、判定回路21と、割込みモジュール22と、CPU(Central Processing Unit)23と、メモリ24と、DMA(Direct Memory Access)コントローラなどの図示しない他のモジュールとを含む。
【0019】
判定回路21は、割込み端子TTを介して入力された外部割込み要求信号の波形に基づいて割込み要求信号の出力元の周辺IC10を判定する。判定回路21は、判定結果をデジタル信号として割込みモジュール22に出力する。
【0020】
割込みモジュール22は、判定回路21から受けた判定結果に基づいて、CPU23おおよび図示しないDMAコントローラなどの割込み制御を行う。
【0021】
[外部割込み要求信号の波形例]
図2は、図1の各周辺ICから出力される外部割込み要求信号の波形例を示すタイミング図である。図2の例では、各周辺IC10_1,10_2,…は、各周辺ICごとに割当てられた固有の時間間隔をあけた2個のパルスを、外部割込み要求信号として出力する。この場合、パルス信号はLアクティブの信号である。MCU20の判定回路21は、外部割込み要求信号として受けた2個のパルスの時間間隔に基づいて外部割込み要求信号の出力元を判定する。以下、図2の具体例について説明する。
【0022】
図1および図2を参照して、周辺IC1(10_1)の割込み制御回路12_1は、時刻t1に内部割込み要求信号11_1がアクティブになると、外部割込み要求信号として第1番目のパルスを出力する。さらに、割込み制御回路12_1は、時刻t1から、周辺IC1(10_1)に割当てられた固有時間TD1が経過した時刻t3に、第2番目のパルスを出力する。MCU20の判定回路21は、この第1および第2のパルスの時間差TD1に基づいて、外部割込み要求の発行元が周辺IC1(10_1)であると判定する。
【0023】
時刻t1に周辺IC1(10_1)から出力された第1パルスは、他の周辺ICにも入力される。周辺IC2(10_2)は、この周辺IC1(10_1)から受けた第1パルスに基づいて、時刻t1から所定の出力制限時間TD0の間、割込み遅延制御信号をアクティブ(Lレベル)にする。出力制限時間TD0は、各周辺ICに割当てられた固有時間(第1パルスと第2のパルスとの間の時間)の最大値よりも大きな値に設定される。
【0024】
次に、周辺IC2(10_2)の割込み制御回路12_2は、時刻t2に内部割込み要求信号11_2がアクティブになったことを検知する。割込み制御回路12_2は、割込み遅延信号がインアクティブ(Hレベル)になった時刻t4に、第1番目のパルスを出力する。さらに、割込み制御回路12_2は、時刻t4から、周辺IC2(10_2)に割当てられた固有時間TD2が経過した時刻t5に、第2番目のパルスを出力する。MCU20の判定回路21は、この第1および第2のパルスの時間差TD2に基づいて、外部割込み要求の発行元が周辺IC2(10_2)であると判定する。
【0025】
図3は、図1の各周辺ICから出力される割込み要求信号の波形の他の例を示すタイミング図である。図3の例では、周辺IC1(10_1)と周辺IC2(10_2)とが同一のタイミングで外部割込み要求信号を出力する例、すなわち、割込み競合の例が示されている。以下、図1および図3を参照して具体的に説明する。
【0026】
時刻t1に、周辺IC1(10_1)の割込み制御回路12_1は、内部割込み要求信号11_1がアクティブになったことを検知すると、外部割込み信号として第1番目のパルスを出力する。
【0027】
さらに、同じ時刻t1に、周辺IC2(10_2)の割込み制御回路12_2は、内部割込み要求信号11_2がアクティブになったことを検知する。ここで、図2で説明したように、周辺IC1(10_1)が出力する第1パルスは、周辺IC2(10_2)にも入力される。この入力された第1パルスに基づいて、周辺IC2(10_2)の割込み制御回路12_2は、割込み遅延信号を出力制限時間TD0の間、アクティブ(Lレベル)にする。ただし、割込み遅延信号が立ち下がる時刻t2は、時刻t1よりも若干遅れる。したがって、周辺IC2(10_2)の割込み制御回路12_2も、時刻t1に外部割込み信号として第1番目のパルスを出力する。
【0028】
周辺IC1(10_1)の割込み制御回路12_1は、時刻t1から、周辺IC1(10_1)に割当てられた固有時間TD1が経過した時刻t3に、第2番目のパルスを出力する。同様に、周辺IC2(10_2)の割込み制御回路12_2は、時刻t1から、周辺IC2(10_2)に割当てられた固有時間TD2が経過した時刻t4に、第2番目のパルスを出力する。
【0029】
この結果、MCU20が受信する信号波形は、周辺IC1(10_1)から出力された外部割込み要求信号の波形と周辺IC2(10_2)から出力された外部割込み要求信号の波形とが重なったものとなる。具体的には、MCU20は、時刻t1、時刻t3、および時刻t4にLアクティブとなる3個のパルスを受信する。これら3個のパルスが重ならないように、時刻t1から時刻t3までの時間TD1と時刻t1から時刻t3までの時間TD3とが設定されている。したがって、MCU20は、これの3つのパルスに基づいて時間TD1,TD2を判定することができ、この判定結果に基づいて、割込み要求元を特定することができる。
【0030】
[具体的な回路構成例]
図4は、図1の各周辺ICに設けられた割込み制御回路の具体的構成例を示すブロック図である。
【0031】
図4の例では、各周辺IC10_i(i=1,2,3,…)の出力は、オープンコレクタ出力またはオープンドレイン出力となっている。各周辺IC10_i(i=1,2,3,…)の出力端子TAiおよび入力端子TBiは1つの入出力端子Tiに共通化される。この入出力端子TiとMCU20の割込み端子TTとは共通ノード32に接続され、この共通ノード32はプルアップ抵抗31を介して電源ノードVddに接続されている。したがって、各周辺IC10_i(i=1,2,3,…)から出力された外部割込み要求信号のワイヤードORによって決まる信号が、MCU20の割込み端子TTに入力されることになる。
【0032】
割込み制御回路12_1は、レベル検出回路13と、タイマ14と、タイミング制御回路15と、タイマ16と、出力回路17とを含む。他の割込み制御回路12_2,12_3の構成も同様であるので、図4では、割込み制御回路12_1の構成を代表として説明する。
【0033】
レベル検出回路13は、入出力端子T1を介して共通ノード32の電圧レベルを検出する。他の周辺IC10が外部割込み要求信号を出力していないときには、共通ノード32の電圧は電源ノードVddの電源電圧にほぼ等しい。この場合、割込み遅延信号18はインアクティブ(Hレベル)になる。一方、他の周辺IC10が外部割込み要求信号を出力しているときには、共通ノード32の電圧は接地電圧にほぼ等しい。この場合、タイマ14に計測される出力制限時間の間、割込み遅延信号18はアクティブ(Lレベル)になる。
【0034】
タイミング制御回路15は、割込み遅延信号18がインアクティブ(Hレベル)であり、かつ、内部割込み要求信号11_1がアクティブ(Lレベル)になったとき、タイマ16をスタートさせる。タイミング制御回路15は、割込み遅延信号18がアクティブ(Lレベル)のときに、内部割込み要求信号11_1がアクティブ(Lレベル)になったことを検出した場合には、割込み遅延信号18がインアクティブ(Hレベル)になるのを待ってから、タイマ16をスタートさせる。
【0035】
出力回路17の出力は、通常時はオープン状態である。出力回路17は、タイマ16のスタート時に第1パルス(Lレベル)を出力し、タイマ16が所定値(周辺IC10ごとに割当てられた固有時間に対応する)をカウントしたとき第2パルス(Lレベル)を出力する。
【0036】
図5は、図1のマイクロコンピュータユニットに設けられた判定回路の構成例を示すブロック図である。図5を参照して、判定回路21は、先頭パルス検出回路41と、タイマ42と、パルス位置計測回路43と、割込み要求元参照値を記憶する記憶部44と、割込み要求元判定回路45と、割込み信号生成回路46とを含む。
【0037】
先頭パルス検出回路41は、割込み端子TTを介して図4の共通ノード32の電圧レベルを検出する。先頭パルス検出回路41は、共通ノード32の電圧がHレベルからLレベルに切替わったことを検出すると、タイマ42をスタートさせる。
【0038】
パルス位置計測回路43は、タイマ42のスタート後に、共通ノード32の電圧が再びHレベルからLレベルに切替わるまでのタイマのカウント値を計測し、計測結果を割込み要求元判定回路45に出力する。割込み要求元判定回路45は、パルス位置計測回路43から出力されたタイマのカウント値と割込み要求元参照値とを比較し、比較結果に基づいて割込み要求元を判定する。ここで、記憶部44は、各周辺ICごとに割当てられた固有時間(すなわち、第1パルスから第2パルスまでの時間)に対応するタイマカウント値を予め記憶している。割込み信号生成回路46は、判定した割込み要求元に対応した内部割込み信号を割込みモジュール22に出力する。
【0039】
割込み競合があった場合には、パルス位置計測回路43は、競合している割込み信号の個数のタイマカウント値を計測することになる。割込み要求元判定回路45は、これら複数のタイマカウント値に基づいて、複数の割込み要求元を特定する。割込み信号生成回路46は、特定された複数の割込み要求元に対応した内部割込み信号を割込みモジュール22に出力する。
【0040】
[効果]
上記の半導体装置によれば、マイクロコンピュータユニットの外部割込み端子の個数を原理的には1個まで削減することができる。
【0041】
<第2の実施形態>
第2の実施形態では、各周辺IC10が出力する外部割込み要求信号の波形が第1の実施形態の場合と異なる。周辺IC10_1,10_2,…およびMCU20の回路構成例は図1図4図5で説明した第1の実施形態の場合と同様であるので説明を繰り返さない。
【0042】
図6は、第2の実施形態による半導体装置において、各周辺ICから出力される外部割込み要求信号の波形例を示すタイミング図である。図6の例では、各周辺IC10_1,10_2,…は、互いに異なる周期のパルス信号を割込み要求信号として出力する。各外部割込み信号の周期は基本周期の整数倍となるように設定されている。
【0043】
具体的に、周辺IC1(10_1)は、2×C1の周期(半周期C1)の外部割込み要求信号1を出力する。周辺IC2(10_2)は、2×C2の周期(半周期C2)の外部割込み要求信号2を出力する。この場合、C2=2×C1の関係がある。すなわち、外部割込み要求信号2の周期(2×C2)は、外部割込み要求信号1の周期(2×C1)の2倍である。さらに、周辺IC3(10_3)は、2×C3の周期(半周期C3)の外部割込み要求信号3を出力する。この場合、C3=2×C2=4×C1の関係がある。すなわち、外部割込み要求信号3の周期(2×C3)は、外部割込み要求信号1の周期(2×C1)の4倍である。
【0044】
次に、割込み競合の場合について説明する。図6では、外部割込み要求信号1と外部割込み要求信号2とが競合した場合(1+2)と、外部割込み要求信号1と外部割込み要求信号3とが競合した場合(1+3)と、外部割込み要求信号2と外部割込み要求信号3とが競合した場合(2+3)とが示されている。
【0045】
図6の場合に特徴的な点は、外部割込み要求信号の周期が短い程、外部割込み要求信号の出力期間は長くなるように設定されている点である。具体的に、外部割込み要求信号1の出力期間は時刻t1から時刻t14まで(5×C3=10×C2=20×C1)である。外部割込み要求信号2の出力期間は時刻t1から時刻t12まで(3×C3=6×C2=12×C1)である。外部割込み要求信号3の出力期間は時刻t1から時刻t9まで(2×C3=4×C2=8×C1)である。
【0046】
他の特徴点として、最も周期の短い外部割込み要求信号の出力期間を割込み期間TIRとしたとき、各周辺IC10は、この割込み期間TIR内に1回のみ外部割込み要求信号を出力可能である。言い換えると、各周辺IC10は、外部割込み要求信号を出力した後は、割込み期間TIRが経過するまで、次の外部割込み要求信号を出力できない。
【0047】
上記の結果、出力競合が生じた場合には、競合している外部割込み要求信号を構成する複数のパルス信号の周期を全て検出可能になっている。具体的に、割込み競合(1+2)の場合には、C1+C2とC1とが検出可能であるので、外部割込み要求信号1,2の各周期を判定可能である。同様に、割込み競合(1+3)の場合には、C1+C3とC1とが検出可能であるので、外部割込み要求信号1,3の各周期を判定可能である。割込み競合(2+3)の場合には、C2+C3とC2とが検出可能であるので、外部割込み要求信号2,3の各周期を判定可能である。
【0048】
上記のとおり、第2の実施形態の場合においても、第1の実施形態の場合と同様に、マイクロコンピュータユニットの外部割込み端子の個数を原理的には1個まで削減することができる。
【0049】
<第3の実施形態>
第3の実施形態による半導体装置は、第1および第2の実施形態の場合と異なり、MCU20が、割込み要求信号の基準となるタイミングパルスを所定周期で各周辺IC10に出力する。各周辺IC10は、このタイミングパルスを基準にして割り当てられたタイムスロット内において割込み要求信号を出力可能である。このため、第3の実施形態の半導体装置では割込み競合は起こり得ない構成となっている。したがって、第1および第2の実施形態の場合と異なり、各周辺IC10は他の周辺IC10が出力する外部割込み要求信号を受信する必要はない。以下、図面を参照して説明する。
【0050】
図7は、第3の実施形態による半導体装置の構成を示すブロック図である。図7の半導体装置は、MCU20が上記のタイミングパルスを出力するためのタイミングパルス生成回路25をさらに含む点で図1の半導体装置と異なる。さらに、図7の半導体装置では割込み競合が起こり得ないので、OR回路30が設けられていない。周辺IC10_i(i=1,2,3,…)の出力端子TAiおよび入力端子TBiは、MCU20の割込み端子TTと直結されている。図7のその他の点は図1の場合と同様であるので、同一または相当する部分には同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0051】
図8は、図7の各周辺ICから出力される割込み要求信号の波形例を示すタイミング図である。図7および図8を参照して、MCU20は、時刻t2からt3、時刻t7からt8、および時刻t9からt10においてアクティブ(Lレベル)となるようなタイミングパルスを周期CYで出力する。したがって、時刻t3から時刻t7までと時刻t8から時刻t9までが、外部割込み要求信号を出力可能な割込み期間TIRである。
【0052】
周辺IC1(10_1)の割込み制御回路12_1は、時刻t1において内部割込み要求信号11_1がアクティブになったことを検知する。そうすると、割込み制御回路12_1は、次のタイミングパルスが出力された時刻t3を起点として待ち時間TD1が経過した時刻t4に、外部割込み要求信号として単一のパルスを出力する。さらに、割込み制御回路12_1は、時刻t6において内部割込み要求信号11_1がアクティブになったことを検知する。そうすると、割込み制御回路12_1は、次のタイミングパルスが出力された時刻t8を起点として待ち時間TD1が経過したときに、外部割込み要求信号として単一のパルスを出力する。
【0053】
同様に、周辺IC2(10_2)の割込み制御回路12_2は、時刻t5において内部割込み要求信号11_2がアクティブになったことを検知する。そうすると、割込み制御回路12_2は、次のタイミングパルスが出力された時刻t8を起点として待ち時間TD2が経過したときに、外部割込み要求信号として単一のパルスを出力する。
【0054】
ここで、上記の待ち時間TD1,TD2は、周辺ICごとに異なる値であり、外部割込み要求信号として単一のパルスが互いに重ならないように設定されている。言い換えると、待ち時間TD1,TD2は、タイミングパルスを基準として周辺ICごとに定められたタイムスロット内で各周辺ICが外部割込み要求信号を出力可能となるように設定されている。上記のように外部割込み要求信号として単一パルスを用いる場合には、MCU20が出力するタイミングパルスと区別可能なように、タイミングパルスのパルス幅は、割込み要求信号としての単一パルスのパルス幅よりも長いことが望ましい。
【0055】
上記のとおり、第3の実施形態の半導体装置においても、第1および第2の実施形態の場合と同様に、マイクロコンピュータユニットの外部割込み端子の個数を原理的には1個まで削減することができる。
【0056】
<第4の実施形態>
図9は、第4の実施形態による半導体装置の構成を示すブロック図である。図9を参照して、第4の実施形態の半導体装置は、デジタル・アナログ(D/A:Digital to Analog)変換器60と、D/A変換器60から出力されたアナログ電圧を受信するための割込み端子TTを有するMCU20とを含む。各周辺IC10_1,10_2,…が出力する割込み信号は、通常時にLレベル(ローレベル)となり、割込み要求時にHレベル(ハイレベル)となるものとする。
【0057】
D/A変換器60は、n個の(n≧2)の周辺IC10_1,10_2,…の各々の出力端子T1,T2,…から出力された割込み要求信号をnビットのデジタル信号として受信する。D/A変換器60は、このnビットのデジタル信号に応じたアナログ電圧をMCU20に出力する。たとえば、n=3とし、周辺IC10_1,10_2が割込み要求信号を出力し、周辺IC10_3が割込みを要求していない場合には、3ビットのデジタル信号“110”がD/A変換器60に入力されることになる。D/A変換器60はこの3ビットのデジタル信号“110”に対応するアナログ電圧を出力する。
【0058】
MCU20は、図1および図7の判定回路21に対応するレベル検出回路26を含む。レベル検出回路26は、割込み端子TTを介してD/A変換器60から受信したアナログ電圧に基づいて、割込み要求元を判定する。たとえば、レベル検出回路26はアナログ電圧を元のnビットのデジタル信号に変換するアナログ・デジタル(A/D:Analog to Digital)変換器として構成することができる。周辺IC10の個数nが少ない場合には、レベル検出回路26は比較器を組み合わせて構成することができる。
【0059】
図10は、図9の各周辺ICから出力された割込み要求信号の値とマイクロコンピュータユニットの入力電圧との関係を表形式で示した図である。図10では、周辺IC10の個数nが3の場合の例を示している。各周辺ICからの割込み信号は通常時に“0”となり、割込み要求時に“1”になるものとする。
【0060】
図10を参照して、D/A変換器60に入力されるnビット(n=3)のデジタル信号の最上位ビットは周辺IC10_1から出力された割込み要求信号に対応し、第2ビットは周辺IC10_2から出力された割込み要求信号に対応し、最下位ビットは周辺IC10_3から出力された割込み要求信号に対応する。図10の例では、D/A変換器60は、3ビットのデジタル値“D1 D2 D3”に対して(4×D1+2×D2+D3)×Voとなるアナログ電圧を出力する。そして、このアナログ電圧がMCU20の割込み端子TTに入力される。
【0061】
このように、MCU20に入力されたアナログ電圧は、各周辺IC10の割込み要求に応じて異なる電圧値になっている。したがって、MCU20のレベル検出回路26は、入力されたアナログ電圧に基づいて割込み要求元を容易に判定することができる。割込み競合が生じている場合にも割込み要求している複数の周辺IC10を判定することができる。
【0062】
図11は、図9のD/A変換器の簡単な構成例を示す回路図である。図11の例では、各周辺IC10_i(i=1,2,3,…)の出力は、オープンコレクタ出力またはオープンドレイン出力となっている。
【0063】
図11を参照して、D/A変換器61は、プルアップ抵抗50と、n個の周辺IC10_1,10_2,10_3にそれぞれ対応するn個の出力抵抗51,52,53,…とを含む。プルアップ抵抗50は、電源ノードVddとMCU20の割込み端子TTとの間に接続される。各出力抵抗51,52,53は、対応する周辺IC10の出力端子T1,T2,T3,…と割込み端子TTとの間に接続される。
【0064】
n個の出力抵抗51,52,53,…の抵抗値は、互いに異なる値であり、基準となる最小抵抗値の最数倍となるように設定されている。図11の例では、プルアップ抵抗50の抵抗値がR[Ω]であり、出力抵抗51,52,53の抵抗値がそれぞれR,2R,3R[Ω]となっている。
【0065】
図12は、図11の各周辺ICから出力された割込み要求信号の値とマイクロコンピュータユニットの入力電圧との関係を表形式で示した図である。図12では、周辺IC10の個数nが3の場合の例を示している。割込み要求時に周辺ICの出力は“1”になるものとする。
【0066】
図12に示すように、D/A変換器61から出力されてMCU20に入力されたアナログ電圧は、各周辺IC10の割込み要求に応じて異なる電圧値になっている。したがって、MCU20のレベル検出回路26は、入力されたアナログ電圧に基づいて割込み要求元を判定することができる。割込み競合が生じている場合にも割込み要求している複数の周辺IC10を判定することができる。
【0067】
以上のとおり、第4の実施形態の半導体装置においても、第1〜第3の実施形態の場合と同様に、マイクロコンピュータユニットの外部割込み端子の個数を原理的には1個まで削減することができる。
【0068】
<第1の実施形態の変形例>
以下、第1の実施形態の図4の構成の変形例について説明する。以下の変形例は第2〜第4の実施形態の場合にもほぼ同様に当てはまる。
【0069】
図13は、第1の実施形態の第1の変形例を示すブロック図である。図13の例では、MCU20は2個の割込み端子TT1,TT2を有する。周辺IC1〜周辺IC8(10_1〜10_8)は割込み端子TT1と接続され、周辺IC9〜周辺IC16(10_9〜10_16)は割込み端子TT2と接続される。原理的には、周辺IC1〜周辺IC16(10_1〜10_16)を1個の割込み端子に接続することも可能であるが、このように周辺IC10を複数のグループに分けてグループごとに異なる割込み端子TTに接続するようにすることもできる。
【0070】
図14は、第1の実施形態の第2の変形例を示すブロック図である。図14に示すように、MCU20は2個の割込み端子TT1,TT2を有する。図14の例の場合、周辺IC1〜周辺IC15(10_1〜10_15)は割込み端子TT1と接続され、周辺IC16(10_16)は割込み端子TT2と接続される。このように、特定の周辺IC10_16に専用の割込み端子TT2を設けることもできる。
【0071】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0072】
10 周辺IC、12 割込み制御回路、18 割込み遅延信号、20 MCU、21 判定回路、22 割込みモジュール、23 CPU、24 メモリ、25 タイミングパルス生成回路、26 レベル検出回路、30 OR回路、50 プルアップ抵抗、51,52,53 出力抵抗、60,61 D/A変換器、TT,TT1,TT2 割込み端子、Vdd 電源ノード。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14