(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る誘導加熱調理器について、図面を用いて説明する。
なお、以下で説明する構成や制御内容等は、一例であり、本発明に係る誘導加熱調理器は、そのような構成や制御内容等に限定されない。
また、細かい構造については、適宜図示を簡略化又は省略している。
また、重複又は類似する説明については、適宜簡略化又は省略している。
【0010】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る誘導加熱調理器(以下、調理器本体100と称する)の概略構成の一例を示す概略断面図である。
図1に基づいて、調理器本体100として炊飯器を例に以下説明する。
【0011】
図1に示す調理器本体100は、筐体1と、内鍋2と、内鍋収納部3と、加熱コイル4と、インバータ回路基板5と、制御部6と、金属バリア7と、防磁手段8と、冷却ファン9と、誘導板10(誘導板10a、10b)と、電源プラグ11と、蓋体20と、を有する。
【0012】
筐体1は、有底筒形状に構成されており、この筐体1内に内鍋2が収容される。
内鍋2は、上部が開口した有底筒形状に構成されており、筐体1の内鍋収納部3に着脱自在に設けられる。また、内鍋2は、被加熱物であり、熱伝導率が高いアルミ等からなる母材で構成されている。内鍋2の外面には、強磁性材料がコーティングや接合等によって施されており、後述する加熱コイル4への高周波電流の通電によって電磁誘導加熱される。
内鍋収納部3は、筐体1の内部に形成されており、内鍋2が着脱自在に収納されるようになっている。
【0013】
加熱コイル4は、筐体1の内部に設けられ、内鍋収納部3に収納された内鍋2の底部及び外周を誘導加熱するものである。
インバータ回路基板5は、加熱コイル4に高周波電流を供給するものである。インバータ回路基板5は、電源プラグ11から供給される電力を高周波に変換して高周波電流として加熱コイル4に供給するようになっている。
【0014】
制御部6は、例えば蓋体20に設けられており、使用者からの調理指示あるいは調理内容の変更などを受け付ける表示・操作部(図示省略)を備え、指示された制御内容でインバータ回路基板5を駆動制御するものである。制御部6は、例えば、マイクロコンピュータ、読み書き可能メモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、及びタイマー(計時手段)等を備えており、入力信号と記憶されたプログラムとに従って演算を行い、インバータ回路基板5を制御して、加熱コイル4の出力を調整する。
【0015】
金属バリア7は、インバータ回路基板5の上部及び側面を覆ように設置されており、インバータ回路基板5の異常を起因とする他部材の発煙、発火の延焼を抑制するためのものである。
防磁手段8は、インバータ回路基板5の上部に位置する金属バリア7の少なくとも一部をさらに覆うように設置されており、金属バリア7の誘導加熱を抑制するためのものである。
冷却ファン9は、筐体1の内部に設けられており、加熱コイル4及びインバータ回路基板5を冷却するためのものである。
【0016】
誘導板10は、冷却ファン9から発生する冷却風を加熱コイル4及びインバータ回路基板5へ誘導するためのガイドとしての機能を有するものである。誘導板10aは、例えば冷却ファン9の下流側に設けられ、加熱コイル4及びインバータ回路基板5のいずれにも冷却風を導くようになっている。誘導板10bは、例えば筐体1の底面に設けられ、インバータ回路基板5に冷却風を導くようになっている。
電源プラグ11は、調理器本体100の外部に設けられている電源(例えば、商用電源など)に接続され、電源から供給される電力をインバータ回路基板5に供給するものである。
蓋体20は、筐体1の上部に開閉自在に取り付けられているものである。
【0017】
なお、加熱コイル4とインバータ回路基板5、及び、インバータ回路基板5と制御部6はそれぞれケーブル等で接続されているが、
図1においては図示していない。
【0018】
図2は、調理器本体100に設けられる金属バリア7及び防磁手段8の構成の一例を立体的に示す概略斜視図である。
図2に基づいて、金属バリア7及び防磁手段8について更に詳しく説明する。また、調理器本体100の筐体1の内部の冷却風の流れについても更に詳しく説明する。
【0019】
金属バリア7は、インバータ回路基板5の上部及び側面を覆うため、例えば
図2に示すような上部及び側面部を有しているが底面部が開放された箱形状に構成するとよい。
また、防磁手段8は、例えば
図2に示すように、金属バリア7の上面よりも小さく構成された板形状に構成されている。
【0020】
インバータ回路基板5は、
図1に示すように、加熱コイル4の直下に配置されている。また、インバータ回路基板5は、図示しないが、商用交流電源を直流に変換する整流ダイオード、コンデンサ及びコイルからなり、電気的ノイズを除去するフィルタ回路、スイッチング素子及び共振コンデンサ等からなり、高周波電力に変換するインバータ回路等を備えている。スイッチング素子としては、例えばIGBT等が挙げられる。さらに、整流ダイオード及びスイッチング素子には、自己発熱を放熱するためのヒートシンクが設けられている。
【0021】
金属バリア7は、インバータ回路基板5の故障により何れかの部品が高温となり、万が一発煙や発火した場合に、インバータ回路基板5以外の調理器を構成する部材に延焼することを防止するためのものである。そのため、金属バリア7は、炎による融解の可能性がない融点の高い素材として例えば鋼板で構成するとよい。上述したように、金属バリア7は、上部及び側面部のみで構成されており、インバータ回路基板5に搭載された電子部品を冷却するために、底面部は開放されている。
防磁手段8は、加熱コイル4からの漏洩磁束を遮断するためのものである。そのため、防磁手段8は、誘導加熱による損失を防ぐため、非磁性金属として例えばアルミニウムまたは銅で構成するとよい。
【0022】
冷却ファン9は、例えば軸流ファンが使用され、調理器本体100の下部に設けられる。冷却ファン9により筐体1に設けられた吸気口(図示せず)から吸い込まれた冷却風は、誘導板10aにより加熱コイル4側とインバータ回路基板5側に分配される。インバータ回路基板5側では、さらにインバータ回路基板5のヒートシンクやその他の発熱部品に冷却風が当たるように誘導板10bにより冷却風が誘導される。加熱コイル4とインバータ回路基板5の発熱を奪った冷却風は、最終的に筐体1に設けられた排気口(図示せず)から排出される構造となっている。
【0023】
本構造により、調理器本体100では、1つの冷却ファン9で加熱コイル4及びインバータ回路基板5の双方を冷却できるので、加熱コイル4及びインバータ回路基板5にそれぞれ専用の冷却ファンを用いる必要がなく、調理器本体100を小型化することができる。
【0024】
このように、調理器本体100では、金属バリア7は、インバータ回路基板5の上面及び側面に設けられ、底面部は開放状態となっている。これにより、底面部からインバータ回路基板5に冷却風を当てることができる。万が一、インバータ回路基板5の電子部品が発火した場合でも、炎は上側に向かう性質があるため、インバータ回路基板5の少なくとも上面、または上面に加えて側面に金属バリア7を設け、炎がインバータ回路基板5の上部から漏れないようにしている。一方、インバータ回路基板5の下面から炎が出る可能性は小さいため、下面部はインバータ回路基板5の冷却のため金属バリアを設けていない構造としている。
【0025】
したがって、調理器本体100では、インバータ回路基板5に冷却風を多く当てて冷却効果を高めるため、インバータ回路基板5の発熱部品搭載面を下側に向けるようにインバータ回路基板5を設置している。なお、図示しないが、インバータ回路基板5から発火した部品がインバータ回路基板5から落下しても延焼しないように、筐体1の底部に金属板を敷いてもよい。また、インバータ回路基板5の発熱が小さく、インバータ回路基板5の冷却が必要ない場合は、金属バリア7でインバータ回路基板5の下面側を覆ってもよい。
【0026】
以上、実施の形態1に係る誘導加熱調理器の構成について説明した。
次に、実施の形態1に係る誘導加熱調理器の動作について説明する。
使用者により表示・操作部を有する制御部6へ調理指示等の加熱開始の指示がなされると、制御部6はインバータ回路基板5の駆動、制御を開始する。インバータ回路基板5は、制御部6より信号を受けて動作を開始し、加熱コイル4に高周波電流を供給する。加熱コイル4に高周波電流が流れると、加熱コイル4からは交番磁界が発生し、これにより被加熱物である内鍋2に磁束が与えられる。これにより、内鍋2には渦電流が発生し、この渦電流と内鍋2の電気抵抗によりジュール熱が発生し、内鍋2は加熱される。
【0027】
このように加熱コイル4に高周波電流が供給されると、加熱コイル4から磁束が発生し、この磁束により内鍋2を加熱することになる。加熱コイル4から発生する磁束が全て内鍋2への誘導加熱に利用されるものではなく、発生した磁束の一部は内鍋2の加熱に寄与せず、いわゆる漏洩磁束となり、周囲に放射される。この漏洩磁束は、防磁手段8を通過するが、その際、防磁手段8には交番磁界により発生した磁束の変化を打ち消す方向に起電力が発生し、渦電流が流れる。この渦電流により発生する磁束が加熱コイル4から発生する漏洩磁束を打ち消すことになるため、防磁手段8の下部に設置された金属バリア7については、漏洩磁束の影響が非常に小さくなる。
【0028】
ここで、仮に金属バリア7の上面に防磁手段8が設置されない場合を考える。
この場合、漏洩磁束は、直接金属バリア7を通過することになる。上述の通り、鋼板である金属バリア7は磁性体であるため、磁束を通しやすい性質があるとともに、抵抗率が高いために、渦電流による発熱損失が大きい。これにより、加熱効率の低下を引き起こす。加熱効率とは、調理器本体100の全体で消費する電力のうち、内鍋2の加熱のみに寄与する電力の割合を指す。
【0029】
次に、仮に金属バリア7が設置されない状態で、防磁手段8のみ設置された場合、もしくは、金属バリア7として、防磁手段8と同一素材、例えばアルミニウムを用いた場合を考える。
この場合、例えば上述の通り、金属バリア7を鋼板で構成したとすると、鋼板の融点は一般的に1500℃程度といわれ、これに対してアルミニウムの融点は約660℃といわれており、鋼板と比較して半分以下となるため、電子部品の発火により融解する可能性があり、金属バリア7としての用をなさないことになりかねない。
【0030】
そこで、調理器本体100においては、このように延焼を防止する金属バリア7と、金属バリア7での電力損失を低減する防磁手段8と、の2重構造としている。つまり、調理器本体100は、防磁手段8を構成している非磁性金属よりも高い融点を有する金属部材で構成されている金属バリア7と防磁手段8との2重構造としているのである。
【0031】
こうすることにより、調理器本体100においては、従来困難であった加熱コイル4の直下へのインバータ回路基板5の設置が可能となっている。すなわち、調理器本体100においては、加熱コイル4の直下にインバータ回路基板5を設置した状態で、万が一、インバータ回路基板5の電子部品が故障等により高温となり、発煙、発火したとしても金属バリア7によって周囲への延焼を防止できるとともに、防磁手段8によって金属バリア7の誘導加熱を抑制することができ、加熱効率の低下を抑制することができる。
【0032】
したがって、調理器本体100によれば、金属バリア7及び防磁手段8を備えることによって、インバータ回路基板5を加熱コイル4の下部に設置することができるので、調理器本体100を小型化でき、机上等に設置する際の、設置面積を減少することができる。また、筐体1のデザインの自由度を高めることができる。
【0033】
図3は、調理器本体100の概略構成の別の一例を示す概略断面図である。
図4は、調理器本体100に設けられる金属バリア7及び防磁手段の構成の別の一例を立体的に示す概略斜視図である。
図3及び
図4に基づいて、防磁手段8の他の構成例について説明する。なお、
図1及び
図2で示した防磁手段8と便宜的に区別するために、
図3では防磁手段8Aとして、
図4では防磁手段8Bとして、それぞれ示している。
【0034】
図3に示す調理器本体100では、防磁手段8Aの構成が、
図1に示す調理器本体100の防磁手段8と異なっている。
図3に示すように、例えば、防磁手段8を金属バリア7自体に固定して取り付けるように構成をしてもよい。
図3においては、金属バリア7を覆うように外側に防磁手段8を取り付け、防磁手段8を直接金属バリア7に固定して取り付けている。これにより、防磁手段8を調理器本体100の筐体1の内部で取り付ける際に、防磁手段8と筐体1を固定するための固定部材が不要となり、筐体1の小型化が更に可能となる。
【0035】
なお、
図1や
図3においては、金属バリア7と防磁手段8との間に隙間が設けられている場合を例に示しているが、互いが密着するように設置してもよい。例えば、防磁手段8としてアルミテープを用い、金属バリア7の外側表面に貼り付ける構造としてもよい。これにより、筐体1の更なる小型化が可能となる。
【0036】
図4では、防磁手段8Bの構成が、
図1に示す調理器本体100の防磁手段8、
図3に示す防磁手段8Aと異なっている。
図1及び
図3では、防磁手段8及び防磁手段8Aが板状に構成されている場合を例に示したが、防磁手段の構成をこれらに限定するものではない。例えば、
図4に示すように、環状に接続された導線として、アルミ線や銅線を1巻または複数巻設けたものを加熱コイル4と金属バリア7の間に設けて防磁手段8Bとしても同様の防磁効果を得ることができる。これにより、金属バリア7の温度上昇を抑制することができる。
【0037】
実施の形態2.
図5は、本発明の実施の形態2に係る誘導加熱調理器(以下、調理器本体110と称する)の概略構成の一例を示す概略断面図である。
図5に基づいて、調理器本体110として炊飯器を例に以下説明する。なお、実施の形態2では実施の形態1との相違点を中心に説明し、実施の形態1と同一部分には、同一符号を付して説明を省略するものとする。
【0038】
実施の形態1では、インバータ回路基板5の金属バリア7の上部に防磁手段8を設置した2重構造からなる金属部材を設け、延焼防止と金属バリア7の誘導加熱を防止する形態を示した。実施の形態2では、実施の形態1の構成に加え、内鍋2の底部に当接して内鍋2の温度を検知する温度センサユニット12を設けた場合の、金属バリア7及び防磁手段8の構成例について説明する。温度センサユニット12は、本発明の「温度検知手段」を含んで構成されているものである。
【0039】
具体的には、調理器本体110は、内鍋収納部3の底面中心部に設置され、内鍋2の底部に当接して内鍋2の温度を検知する温度センサユニット12を有し、温度センサユニット12の直下と金属バリア7間に水受け部材を配置した点が実施の形態1と異なっている。温度センサユニット12は、図示しないが、例えば温度を検知するためのサーミスタ、サーミスタを収容するアルミケース、サーミスタを収容したアルミケースを内鍋に押し当てるためのバネ、サーミスタからの温度信号を制御部6に送信するケーブル等で構成される。
【0040】
温度センサユニット12は、内鍋2の温度を検出するために設けられ、検出した温度信号は、インバータ回路基板5を制御して所望の内鍋温度とするためのフィードバック制御信号として使用される。
図5においては、水受け部材として防磁手段8を用い、金属バリア7の上面面積よりも防磁手段8の外形面積を広くしている。なお、水受け部材を防磁手段8とは別部材で構成し、防磁手段8とは別に設けてもよい。
【0041】
温度センサユニット12は、内鍋収納部3の底面から加熱コイル4側にかけて貫通形成された空間に設けられる。そのため、例えば内鍋2の外面が濡れた状態で内鍋収納部3にセットする、内鍋収納部3を清掃する、あるいは内鍋2に穴あきが生じた場合などに、温度センサユニット12と内鍋収納部3の隙間から下部の加熱コイル4にかけて付着した液体(例えば水)が漏れて落下する可能性がある。このとき、下部に設置されたインバータ回路基板5に液体が掛かれば、インバータ回路基板5が最悪故障する可能性がある。
【0042】
インバータ回路基板5の金属バリア7は、図示しないが、制御部6との通信用のケーブル、又は加熱コイル4に高周波電流を供給するための接続ケーブルを通すための穴が形成されていたり、通風口が形成されていたり、板金と板金の継ぎ目などがあったりで、通常完全に密閉されるものではない。そのため、これらの微小な隙間から漏れた液体(以後、水とする)がインバータ回路基板5側に入り込む可能性がある。
【0043】
そこで、実施の形態2係る調理器本体110においては、金属バリア7の上部に設けられた防磁手段8の外形を金属バリア7の上部面積よりも大きくし、調理器本体110の上部から見て、金属バリア7を完全に覆うように構成した。
【0044】
これにより、温度センサユニット12と内鍋収納部3との隙間から水漏れが発生したとしても、まず、水受け部材として機能する防磁手段8で受け止められることになる。防磁手段8で受け止められた水は、その後、防磁手段8を伝って防磁手段8の端面から調理器本体110の筐体1の下部に落下する。この水は、筐体1の下部に設けられた排水口(図示せず)から外部に排出される。調理器本体110は、このような仕組みとなっている。
このように、調理器本体110では、実施の形態1に係る調理器本体100が奏する効果に加え、防磁手段8がインバータ回路基板5及び金属バリア7に対して傘の役目を果たすことにより、インバータ回路基板5への水かかりを防止することができる。
【0045】
実施の形態3.
図6は、本発明の実施の形態3に係る誘導加熱調理器(以下、調理器本体120と称する)の概略構成の一例を示す概略断面図である。
図7は、調理器本体120に設けられる防磁手段保持部材13及び防磁手段8の構成の一例を立体的に示す概略斜視図である。
図6及び
図7に基づいて、調理器本体120として炊飯器を例に以下説明する。なお、実施の形態3では実施の形態1、2との相違点を中心に説明し、実施の形態1、2と同一部分には、同一符号を付して説明を省略するものとする。
【0046】
実施の形態2では、温度センサユニット12の直下と金属バリア7間に水受け部材(防磁手段8)を配置した形態を示した。実施の形態3では、温度センサユニット12と内鍋収納部3との隙間から水漏れが発生した場合におけるインバータ回路基板5を保護するための別の構成例について説明する。具体的には、調理器本体120は、例えば樹脂等で形成された防磁手段保持部材13を水受け部材として用いた点が実施の形態2と異なっている。防磁手段保持部材13が、本発明の「保持部材」に相当する。
【0047】
防磁手段保持部材13は、内鍋収納部3の下面に取り付けられている2本の連結部材14Aと、連結部材14Aの下端に取り付けられ、防磁手段8が上面に取り付けられる平面部14Bと、で構成されている。防磁手段8は防磁手段保持部材13の平面部14Bの上面に取り付けられ、平面部14Bは連結部材14Aにより筐体1の内部で固定される。つまり、調理器本体120では、内鍋収納部3と防磁手段保持部材13とが、防磁手段保持部材13の連結部材14Aにより連結され、固定されている。
【0048】
加熱コイル4の直下にインバータ回路基板5を設置するため、加熱コイル4の下部の空間にインバータ回路基板5が設置できる程度の容積が必要となる。そこで、調理器本体120では、防磁手段保持部材13を設けることにより、防磁手段保持部材13と防磁手段保持部材13の上部の内鍋収納部3とを連結するようにしている。これにより、例えば筐体1の底面と防磁手段保持部材13とを連結して固定する場合と比較して、加熱コイル4の下部の空間を広く確保することが可能となる。したがって、調理器本体120によれば、筐体1の大型化を抑えて、インバータ回路基板5の設置が可能となる。
【0049】
また、防磁手段保持部材13の外形面積は、
図7に示すように、金属バリア7の上面面積よりも広くすることで、調理器本体120の上部から見て、金属バリア7を完全に覆うように構成している。これにより、防磁手段8の面積を大型化することなく、
図2と同様の効果を得ることができる。
【0050】
なお、防磁手段保持部材13の平面部14Bのみで金属バリア7のすべてを覆う必要はなく、防磁手段保持部材13の平面部14Bまたは防磁手段8の何れか一方で金属バリアを覆っていればよい。また、防磁手段8と防磁手段保持部材13の平面部14Bの両方を合わせた面で金属バリア7を全て覆っていてもよい。したがって、例えば、防磁手段8の周囲に防磁手段保持部材13を設け、中心部分は防磁手段8のみの構成としてもよい。つまり、防磁手段8も水受け部材の一部として機能するようになっている。
また、防磁手段保持部材13の下側に設置されたインバータ回路基板5及び金属バリア7についても、防磁手段保持部材13と連結させて固定してもよい。
【0051】
図8は、調理器本体120の概略構成の別の一例を示す概略断面図である。
図8に基づいて、防磁手段保持部材13の他の構成例について説明する。なお、
図6及び
図7で示した防磁手段保持部材13と便宜的に区別するために、
図8では防磁手段保持部材13Aとして示している。
【0052】
図8に示すように、防磁手段8を防磁手段保持部材13Aの平面部14Bの下面に取り付けるようにしてもよい。こうすれば、温度センサユニット12と、内鍋収納部3との隙間から水漏れが発生した場合、樹脂で形成された防磁手段保持部材13Aの平面部14Bで水を受けることとなり、金属体で構成された防磁手段8に直接水が掛からない構造となる。これにより、防磁手段8の錆や腐食を防止することができる。
【0053】
図9は、調理器本体120の概略構成の更に別の一例を示す概略断面図である。
図10は、調理器本体120に設けられる防磁手段保持部材13の構成の別の一例を立体的に示す概略斜視図である。
図9及び
図10に基づいて、防磁手段保持部材13の更に他の構成例について説明する。なお、
図6及び
図7で示した防磁手段保持部材13と便宜的に区別するために、
図9及び
図10では防磁手段保持部材13Bとして示している。
【0054】
図9に示すように、調理器本体120は、水受け部材として、例えば樹脂等で形成された防磁手段保持部材13Bを有している。防磁手段保持部材13Bは、平面部14Bを受け皿とするための壁面部13aと、排水口15と、を有している。壁面部13aは、平面部14Bの外周部を上方向に立てて壁としたものである。排水口15は、壁面部13aの内側であって、平面部14Bの一部を貫通形成したものである。そして、壁面部13aの内側に防磁手段8を敷設している。
【0055】
温度センサユニット12と内鍋収納部3との隙間から水漏れが発生した場合、水は、まず防磁手段保持部材13の平面部14Bで受け止められる。防磁手段保持部材13は壁面部13aを有するので、水は、壁面部13aで遮られ、防磁手段保持部材13から下部に流れ落ちることはない。壁面部13aで遮られた水は、壁面部13aの内側に設けられた排水口15を伝って、調理器本体120の筐体1下部に落下し、筐体1下部に設けられた排水口(図示せず)から外部に排出される仕組みとなっている。
【0056】
したがって、防磁手段保持部材13の平面部14B及び防磁手段8の外形を金属バリア7の上面よりも大きくする必要はなく、調理器本体120の上部から見て、金属バリア7を完全に覆う構成とする必要はない。これにより、防磁手段8及び防磁手段保持部材13の平面部14Bを小型化することができる。また、
図8と比較して水の流れを制御できるため、インバータ回路基板5以外の部品(例えば冷却ファン)への水かかり対策が容易となる。
【0057】
図11は、調理器本体120に設けられる防磁手段保持部材13の構成の更に別の一例を立体的に示す概略斜視図である。
図11に基づいて、防磁手段保持部材13の更に他の構成例について説明する。なお、
図9及び
図10で示した防磁手段保持部材13と便宜的に区別するために、
図11では防磁手段保持部材13Cとして示している。
【0058】
図9及び
図10では、排水口15を平面部14Bの一部に形成した場合を例に示したが、
図11では、壁面部13aの少なくとも1か所に壁面の存在しない開放部分16を設け、その開放部分16を排水口として利用するようにした場合を示している。
【0059】
温度センサユニット12と内鍋収納部3との隙間から水漏れが発生した場合、水は、まず防磁手段保持部材13Cの平面部14Bで受け止められる。防磁手段保持部材13Cは開放部分16が形成されている壁面部13aを有するので、水は、壁面部13aで遮られるとともに、開放部分16から調理器本体120の筐体1下部に落下し、筐体1下部に設けられた排水口(図示せず)から外部に排出される仕組みとなっている。
【0060】
これにより、
図9及び
図10で示した防磁手段保持部材13Bと同様の効果を得ることができる。なお、開放部分16は、壁面部13aの1か所に限定されるものではなく、複数個所に設けてもよいし、1辺の一部分だけではなく、1辺すべてを開放部分16としてもよい。また、開放部分16の形状は、
図11に示すような四角形に限定されるものではなく、例えば円形でも構わない。
【0061】
図12は、調理器本体120の概略構成の更に別の一例を示す概略断面図である。
図12に基づいて、防磁手段保持部材13の更に他の構成例について説明する。なお、
図11で示した防磁手段保持部材13Cと便宜的に区別するために、
図12では防磁手段保持部材13Dとして示している。
【0062】
図12に示すように、防磁手段保持部材13Dの平面部14Bの下面に防磁手段8を敷設してもよい。温度センサユニット12と内鍋収納部3との隙間から水漏れが発生した場合、樹脂のみで形成された防磁手段保持部材13Dの平面部14Bで水を受け止めるので、金属体で構成される防磁手段8に直接水が掛かることはない。これにより、防磁手段8の錆や腐食を防止することができる。なお、排水口15の形状については、例えば
図11に示す開放部分16のような形状でも構わない。
【0063】
以上のように、内鍋収納部3に設置され、内鍋2の底部に当接して内鍋2の温度を検知する温度センサユニット12を有した誘導加熱調理器において、温度センサユニット12の下部と金属バリア7間に水受け部材を構成するものとし、水受け部材として防磁手段8、あるいは、防磁手段保持部材13で水受け部材を構成したので、インバータ回路基板5への水かかりを防止することができる。
【0064】
以上、本発明に係る誘導加熱調理器を3つの実施の形態に分けて説明したが、これらに限定せず、本発明の範疇及び精神を逸脱することなく、さまざまに変形または変更可能である。また、各実施の形態で説明した内容を適宜組み合わせて誘導加熱調理器を構成してもよい。ここでは、炊飯器を例として説明したが、炊飯器に限定するものではなく、例えば煮込み調理器、圧力調理器等の誘導加熱調理器でもよい。
【0065】
本発明の実施の形態に係る誘導加熱調理器は、筐体1と、筐体1の内部に配置されている加熱コイル4と、加熱コイル4の下側に配置され、加熱コイル4に高周波電流を供給するインバータ回路基板5と、インバータ回路基板5の少なくとも上面に配置された金属バリア7と、金属バリア7と加熱コイル4との間に配置された非磁性金属からなる防磁手段8と、を備える。
【0066】
そのため、本発明の実施の形態に係る誘導加熱調理器によれば、インバータ回路基板5及び金属バリア7を、漏洩磁束の影響を受けやすい加熱コイル4の直下に配置しても、少なくともインバータ回路基板5の上部には、基板延焼を防止する金属バリア7と、非磁性金属の防磁手段8を備えているので、インバータ回路基板5の発火による延焼防止と、漏洩磁束での金属バリア7の誘導加熱による温度上昇を同時に抑制することができる。したがって、これまで設置困難であった加熱コイルの直下へのインバータ回路基板の配置を実現することができ、筐体1を小型化できるので、机上等に設置する際の、設置面積の減少を図ることができる。また、筐体1のデザインの自由度を高めることができる。
【0067】
本発明の実施の形態に係る誘導加熱調理器は、金属バリア7が、防磁手段8を構成する非磁性金属よりも高い融点を有する金属部材で構成されている。
そのため、本発明の実施の形態に係る誘導加熱調理器によれば、金属バリア7の炎による融解の可能性を著しく低減できる。
【0068】
本発明の実施の形態に係る誘導加熱調理器は、防磁手段8が、板状又は環状に構成されている。
そのため、本発明の実施の形態に係る誘導加熱調理器によれば、板状の防磁手段8に限定することなく、アルミ線や銅線を環状に1巻または複数巻したものであっても、同様の防磁効果を得ることができる。
【0069】
本発明の実施の形態に係る誘導加熱調理器は、筐体1の内部に形成されている内鍋収納部3と、内鍋収納部3に貫通形成された空間に設けられ、内鍋収納部3に収納された被加熱物(内鍋2)の温度を検知する温度検知手段(温度センサユニット12)と、温度検知手段の下方に配置された水受け部材と、を備え、防磁手段8は、金属バリア7の上面全てを覆う構成とされており、防磁手段8が水受け部材として機能する。
そのため、本発明の実施の形態に係る誘導加熱調理器によれば、インバータ回路基板5を加熱コイル4の下部に設置することができるともに、インバータ回路基板5への水かかりを防止することができる。
【0070】
本発明の実施の形態に係る誘導加熱調理器は、防磁手段8が、金属バリア7に固定して取り付けられる。
そのため、本発明の実施の形態に係る誘導加熱調理器によれば、防磁手段8と筐体1を固定するための固定部材が不要となり、筐体1の小型化が更に可能となる。
【0071】
本発明の実施の形態に係る誘導加熱調理器は、筐体1の内部に形成されている内鍋収納部3と、内鍋収納部3に貫通形成された空間に設けられ、内鍋収納部3に収納された被加熱物(内鍋2)の温度を検知する温度検知手段(温度センサユニット12)と、温度検知手段の下方に配置された水受け部材と、を備え、防磁手段8Bは、樹脂材料で構成されている保持部材(防磁手段保持部材13)により固定されており、保持部材が水受け部材として機能する。
そのため、本発明の実施の形態に係る誘導加熱調理器によれば、防磁手段保持部材13を設けることにより、加熱コイル4の下部の空間を広く確保することが可能となり、筐体1の大型化を抑えて、インバータ回路基板5の設置が可能となる。
【0072】
本発明の実施の形態に係る誘導加熱調理器は、保持部材が、内鍋収納部3の下面に取り付けられている連結部材14Aと、連結部材14Aの下端に取り付けられ、防磁手段8Bが上面又は下面に取り付けられる平面部14Bと、で構成されている。
そのため、本発明の実施の形態に係る誘導加熱調理器によれば、防磁手段保持部材13と防磁手段保持部材13の上部の内鍋収納部3とを連結するようにしているので、例えば筐体1の底面と防磁手段保持部材13とを連結して固定する場合と比較して、加熱コイル4の下部の空間を広く確保することが可能となる。
【0073】
本発明の実施の形態に係る誘導加熱調理器は、防磁手段8Bが平面部14Bの上面に取り付けられるものにおいて、防磁手段8Bまたは平面部14Bの少なくとも一方で金属バリア7の上面すべてを覆っている。
そのため、本発明の実施の形態に係る誘導加熱調理器によれば、インバータ回路基板5への水かかりを防止することができる。
【0074】
本発明の実施の形態に係る誘導加熱調理器は、保持部材(防磁手段保持部材13D)が、平面部14Bの外周部を上方向に立てて形成された壁面部13aを有し、平面部14Bには壁面部13aでせき止められた水を排水する排水口15が形成されている。
そのため、本発明の実施の形態に係る誘導加熱調理器によれば、平面部14B及び防磁手段8の外形を金属バリア7の上面よりも大きくする必要はなく、調理器本体120の上部から見て、金属バリア7を完全に覆う構成とする必要はない。これにより、防磁手段8及び防磁手段保持部材13の平面部14Bを小型化することができ、インバータ回路基板5以外の部品への水かかり対策が容易となる。
【0075】
本発明の実施の形態に係る誘導加熱調理器は、金属バリア7が、底面部が開放された箱形状に構成されている。
そのため、本発明の実施の形態に係る誘導加熱調理器によれば、底面部からインバータ回路基板5に冷却風を当てることができ、インバータ回路基板5の電子部品が発火した場合でも、炎がインバータ回路基板5の上部から漏れないようにでき、インバータ回路基板5の下面から冷却することができる。