【課題を解決するための手段】
【0004】
ツールは、底面が清掃面に面している状態において端から端までスイープするようになっている。ツールを側方にスイープさせた場合に、吸引開口部の近傍を通過する塵埃がノズルの内部に引き込まれ、ノズルの内部からダクトを介して真空掃除機に輸送される。吸引開口部の側方を通過する塵埃は、塵埃除去要素によって捕捉される。一般に、例えばツールが持ち上げられた場合に、移動方向が逆転した場合に、又は、利用者がツールを裏返して塵埃除去要素を掻き回した場合に、吸引開口部のうち一の吸引開口部に引き込まれるまで、小さい塵埃は塵埃除去要素によって保持される。一方、粗い塵埃は、塵埃除去要素がシェブロンに配置されていることに起因して、塵埃除去要素によって吸引開口部に向かって案内される。両方の向きに方向づけられている少なくとも2つのシェブロンを備えていることによって、塵埃は、ツールを両方向にスイープさせた場合に収集される。
【0005】
塵埃除去要素それぞれが、連続的な仕切りを形成している。すなわち、塵埃除去要素の中には間隙が存在しないし、塵埃除去要素を貫通している間隙も存在していない。従って、このことは、圧力が比較的低い領域をシェブロンそれぞれの内側に形成することができるという優位性を有している。これにより、比較的高速度で空気流を引き込むことができる。その結果として、塵埃は、空気流によって良好に取り込まれ、吸引開口部に輸送される。対照的に、塵埃除去要素が連続的でない場合には、シェブロンそれぞれの内側の圧力が大きくなるので、空気流の速度が低下し、これにより空気流によって取り込まれる塵埃の量が少なくなる。
【0006】
吸引開口部それぞれの大きさが大きくなるに従って、吸引開口部それぞれにおける吸引力が低下する。その結果として、ツールは、比較的重い塵埃を収集することができなくなる。さらに、吸引開口部の大きさが大きくなるに従って、ノズルの長さ全体に亘る吸引が良好にバランスされなくなる。例えばダクトがノズルの後方部分に取り付けられた場合には、吸引力は最後方の吸引開口部において最大となる。吸引開口部の大きさが大きくなるに従って、より多くの空気が最後方の吸引開口部を通じて引き込まれるので、最前方の吸引開口部における有能吸引力が小さくなる。その結果として、ツールの前方部分における塵埃収集性能が悪化する。従って、このような理由によって、吸引開口部それぞれの領域は、シェブロンそれぞれによって境界が形成されている領域の20%以下とされる。
【0007】
吸引開口部が塵埃除去要素の直近に配置されている場合には、吸引開口部で発生する吸引によって、塵埃除去要素が吸引開口部に引き込まれ、これにより吸引開口部は制限されることがある。このような事態を防止するために、又は少なくともこのような事態が生じる可能性を低減するために、吸引開口部それぞれは塵埃除去要素から離隔している。その結果として、塵埃除去要素に作用する吸引力が低減される。塵埃除去要素が剛毛を備えている場合には、吸引開口部それぞれが、少なくとも剛毛の長さに相当する距離で塵埃除去要素から離隔して配置されている。結論として、剛毛が吸引開口部に向かって引き込まれる場合であっても、剛毛は吸引開口部を制限しない。このことは、比較的軟らかい剛毛を利用することができるというさらなる優位性を有している。これにより、清掃面を傷つける可能性が低くなる。軟らかい剛毛は、一般的な利用の際にノズルと清掃面との間で押しつぶされる場合がある。しかしながら、少なくとも剛毛の長さに相当する距離で吸引開口部を剛毛から離隔させることによって、押しつぶされた剛毛が吸引開口部を制限することはない。
【0008】
吸引開口部それぞれが、三角状の形態とされる。このことは、吸引開口部を塵埃除去要素から等間隔で離隔させた状態において、吸引開口部それぞれがシェブロンそれぞれの尖端に向かって配置されているという優位性を有している。
【0009】
1つ以上のさらなる吸引開口部が、ノズルの少なくとも1つの側面に設けられている。このことには、少なくとも2つの優位性を有している。第一に、塵埃がノズルの底面に形成された吸引開口部のうち一の吸引開口部を塞いだ場合に、さらなる吸引開口部が、ノズルの内部に空気流を発生させるための開口部の閉塞を解除するので、溜まった塵埃を掻き回し除去することを補助する。第二に、ツールを90°回転させることによって、ツールは、横倒しにして利用することができる。
【0010】
1つ以上のさらなる吸引開口部が、ノズルの底面と側面との間においてノズルの縁部に形成されている場合があり、この場合には、さらなる吸引開口部それぞれが、ノズルの底面に部分的に形成されており、且つ、ノズルの側面に部分的に形成されている。前段落で説明したように、さらなる吸引開口部は、ノズルの底面に形成された吸引開口部の閉塞を解除することを補助する。さらに、さらなる吸引開口部をノズルの側面に設けることによって、ツールを90°回転させて、ツールを横倒しにした状態で利用することができる。横倒しにして利用する場合には、塵埃によって、さらなる吸引開口部の側面側に形成された部分が塞がれる場合がある。しかしながら、さらなる吸引開口部がノズルの底面と側面とに跨って形成されているので、引き続き空気流はさらなる吸引開口部の底面側に形成された部分を通じて流れる。このような空気流によって、塵埃が掻き回され、塵埃は吸引開口部の側面側に形成された部分から除去される。同様に、清掃面全体においてツールの底面をスイープした場合には、塵埃がさらなる吸引開口部の底面側に形成された部分を塞ぐならば、さらなる吸引開口部の側面側に形成された部分を通じて流れる空気流が、塵埃を掻き回し除去することを補助する。
【0011】
上記2段落で述べたように、1つ以上のさらなる吸引開口部がノズルの側面に形成されている。さらに、吸引開口部それぞれが、さらなる吸引開口部を有している場合がある。言い換えれば、ノズルの底面に形成された吸引開口部それぞれについて、ノズルの側面のみに形成された一のさらなる吸引開口部が存在する。従って、このことは、さらなる吸引開口部が、吸引開口部の吸引に悪影響を与えることなく、ノズルの底面に形成された吸引開口部の閉塞を解除することを補助するという優位性を有している。
【0012】
ノズルの前方部分は面取りされている。例えば清掃面と壁との間に形成されている縁部のような縁部に沿って清掃する場合には、ノズルの面取りされた前方部分が壁と接触する。従って、ツールは略前方に押される。ノズルの面取り部分に起因して、押す力によって、ツールが、壁との接触状態を維持しつつ、清掃面に沿って側方に滑動される。その結果として、縁部に沿った清掃が、四角状の前方部分を具備するノズルと比較して容易になる。例えば、ノズルの前面が四角状とされる場合には、利用者は、ツールを壁に対して前方に押すと同時に、ツールを側方に引っ張る必要がある。その結果として、ツールを壁に沿って移動させることが手間に感じられる。さらに、自在にツールを移動させ易くなる。
【0013】
ノズルの前方部分は、面取り部分とさらなる部分とを備えている。面取り部分は閉じられており、吸引開口部がさらなる部分に形成されている。例えば清掃面と壁との間に位置する縁部のような縁部に沿って清掃する場合には、面取り部分が壁と接触する。ツールを略前方に押すことによって、壁との接触を維持しつつ、ツールを清掃面に沿って側方に滑動させることができる。ツールが面取り部分に沿って壁と接触しているので、さらなる部分が壁から離隔されている。その結果として、ノズルの前方部分に形成された吸引開口部と壁との間に間隙が形成される。これにより、空気流が縁部に沿って吸引開口部に比較的良好に引き込まれるので、その結果として、縁部に沿った塵埃収集性能も良好となる。
【0014】
ノズルの高さ寸法は、ノズルの幅寸法及び長さ寸法の両方より小さい。その結果として、ノズルの高さは、比較的小さい間隙を有している物品の下方又は後方を清掃することができるように寸法づけられており、ノズルの幅及び長さは、清掃面全体に亘ってスイープするための比較的大きい領域を提供するように寸法づけられている。
【0015】
ダクトは、ノズルの底面に対して平行とされる軸線に沿って、ノズルから後方に延在している。付加的又は代替的には、ダクトの高さ寸法がダクトの幅寸法より小さい。例えば、ダクトの断面は矩形状又は長円状とされる。これら特徴は、ツールの高さを比較的低く維持することができるという優位性を有している。その結果として、ツールは、比較的小さい間隙を有している物品の下方又は後方を清掃するために利用可能とされる。特に、ツール全体をこのような物品の下方又は後方に押すことができる。
【0016】
本発明についての理解を容易にするために、本発明の実施例を添付図面を参照しつつ例示的に説明する。
[付記項1]
真空掃除機のためのツールであって、前記真空掃除機のワンド、ホース、又はこれらに類する物に取り付けるためのダクトと、ノズルと、1つ以上の塵埃除去要素とを備えている前記ツールにおいて、
前記塵埃除去要素が、前記ノズルの底面に固定されており、前記ノズルの側面に向かう向きの両方に方向づけられている少なくとも2つのシェブロンの内側に配置されており、
少なくとも2つの吸引開口部が、前記ノズルの前記底面に形成されており、
前記吸引開口部それぞれが、前記シェブロンの内側に配置されていることを特徴とするツール。
[付記項2]
前記塵埃除去要素それぞれが、連続的な仕切りを形成していることを特徴とする付記項1に記載のツール。
[付記項3]
前記吸引開口部それぞれの領域が、前記シェブロンそれぞれによって境界が形成されている領域の20%以下とされることを特徴とする付記項1又は2に記載のツール。
[付記項4]
前記吸引開口部それぞれが、前記塵埃除去要素から離隔していることを特徴とする付記項1〜3のいずれか一項に記載のツール。
[付記項5]
前記塵埃除去要素が、剛毛を備えており、
前記吸引開口部それぞれが、少なくとも前記剛毛の長さに相当する距離で前記塵埃除去要素から離隔していることを特徴とする付記項4に記載のツール。
[付記項6]
前記吸引開口部が、三角状の形態とされることを特徴とする付記項1〜5のいずれか一項に記載のツール。
[付記項7]
1つ以上のさらなる吸引開口部が、前記ノズルの少なくとも1つの側面に形成されていることを特徴とする付記項1〜6のいずれか一項に記載のツール。
[付記項8]
前記さらなる吸引開口部それぞれが前記ノズルの前記底面に部分的に形成されているように、且つ、前記ノズルの前記側面に部分的に形成されているように、1つ以上のさらなる吸引開口部が、前記ノズルの前記底面と前記側面との間において前記ノズルの縁部に設けられていることを特徴とする付記項1〜7のいずれか一項に記載のツール。
[付記項9]
前記吸引開口部それぞれが、前記さらなる吸引開口部を有していることを特徴とする付記項7又は8に記載のツール。
[付記項10]
前記ノズルの前方部分が、面取りされていることを特徴とする付記項1〜9のいずれか一項に記載のツール。
[付記項11]
前記ノズルの前記前面が、面取り部分とさらなる部分とを備えており、
前記面取り部分が、閉じられており、
所定の吸引開口部が、前記さらなる部分に形成されていることを特徴とする付記項10に記載のツール。
[付記項12]
前記ノズルの高さ寸法が、前記ノズルの幅寸法及び長さ寸法の両方より小さいことを特徴とする付記項1〜11のいずれか一項に記載のツール。
[付記項13]
前記ダクトが、前記ノズルの前記底面に対して平行とされる軸線に沿って、前記ノズルから後方に延在していることを特徴とする付記項1〜12のいずれか一項に記載のツール。
[付記項14]
前記ダクトの高さ寸法が、前記ダクトの幅寸法より小さいことを特徴とする付記項1〜13のいずれか一項に記載のツール。