(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6415573
(24)【登録日】2018年10月12日
(45)【発行日】2018年10月31日
(54)【発明の名称】MRIシステム、画像再構築方法及びコンピュータ可読媒体
(51)【国際特許分類】
A61B 5/055 20060101AFI20181022BHJP
【FI】
A61B5/055 382
A61B5/055 351
【請求項の数】15
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-542406(P2016-542406)
(86)(22)【出願日】2014年9月2日
(65)【公表番号】特表2016-530048(P2016-530048A)
(43)【公表日】2016年9月29日
(86)【国際出願番号】IB2014064186
(87)【国際公開番号】WO2015036895
(87)【国際公開日】20150319
【審査請求日】2017年8月30日
(31)【優先権主張番号】61/878,289
(32)【優先日】2013年9月16日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(73)【特許権者】
【識別番号】510134433
【氏名又は名称】ボード オブ リージェンツ オブ ザ ユニヴァーシティ オブ テキサス システム
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】ペドロサ,イヴァン
(72)【発明者】
【氏名】マデュランタカム,アナンス
(72)【発明者】
【氏名】ディミトロワ,イワン
【審査官】
伊藤 昭治
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2012/0301000(US,A1)
【文献】
特開2008−301958(JP,A)
【文献】
特開2002−233515(JP,A)
【文献】
特開平5−76518(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/055
G01N 24/00
G01R 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのコントローラを有する磁気共鳴イメージング(MRI)システムであって、前記少なくとも1つのコントローラは:
検査対象の排除される部分から生じる折り畳みアーチファクトを減らすために、スキャニング体積の中にありかつ視野(FOV)の外にある検査対象の一部分を排除する体積の選択に関し、回転スラブ励起シーケンスを実行することであって、前記回転スラブ励起シーケンスは、検査対象の排除される部分の励起を減らすために、削減されたサイドバンド励起リップルの遷移領域を有する無線周波数(RF)パルスを利用して、矢状面において体積励起を実行し、冠状面において前記スキャニング体積をエンコードすること;
前記の体積の選択に関する前記回転スラブ励起シーケンスを実行した後に、前記スキャニング体積の中にある前記FOVの中で脂肪/水分の分離のために、修正されたDIXON(mDIXON)を含む化学シフトシーケンスを実行すること;及び
前記脂肪/水分の分離のための前記化学シフトシーケンスを実行した後に、対象の画像を再構築するための前記FOV内の対象についてのエコー情報を取得すること;
を行うように構成される、MRIシステム。
【請求項2】
前記少なくとも1つのコントローラは、前記検査対象の腕が、前記スキャニング体積の中にありかつ前記検査対象の胴体の脇にある間に、前記エコー情報を取得する、請求項1に記載のMRIシステム。
【請求項3】
前記少なくとも1つのコントローラにより可動に制御され、及び、前記スキャニング体積に対するスキャニング位置に前記検査対象を配置するように構成される支持部を更に有する請求項2に記載のMRIシステム。
【請求項4】
前記回転スラブ励起及びmDIXONシーケンス並びに前記画像の取得は、実質的に15ないし25秒の間の時間インターバルの間に実行される、請求項1に記載のMRIシステム。
【請求項5】
前記コントローラは、実質的に一様な脂肪/水分の分離のために最適なエコー時間の中で前記エコー情報を取得する、請求項1に記載のMRIシステム。
【請求項6】
MRイメージング(MRI)システムにより取得される画像を再構築する方法であって、前記MRイメージングシステムの少なくとも1つのコントローラにより実行され、当該方法は:
検査対象の排除される部分から生じる折り畳みアーチファクトを減らすために、スキャニング体積の中にありかつ視野(FOV)の外にある検査対象の一部分を排除する体積の選択に関し、回転スラブ励起シーケンスを実行することであって、前記回転スラブ励起シーケンスは、検査対象の排除される部分の励起を減らすために、削減されたサイドバンド励起リップルの遷移領域を有する無線周波数(RF)パルスを利用して、矢状面において体積励起を実行し、冠状面において前記スキャニング体積をエンコードすること;
前記の体積の選択に関する前記回転スラブ励起シーケンスを実行した後に、前記スキャニング体積の中にある前記FOVの中で脂肪/水分の分離のために、修正されたDIXON(mDIXON)を含む化学シフトシーケンスを実行すること;及び
前記脂肪/水分の分離のための前記化学シフトシーケンスを実行した後に、画像の少なくとも一部を再構築するためのエコー情報を取得すること;
を含む方法。
【請求項7】
前記エコー情報は、前記検査対象の腕が、前記スキャニング体積の中にありかつ前記検査対象の胴体の脇にある間に取得される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つのコントローラにより、前記スキャニング体積の中のスキャニング位置に前記検査対象を配置する支持部を制御することを更に含む請求項7に記載の方法。
【請求項9】
実質的に15ないし25秒の間の時間インターバルの間に前記回転スラブ励起及びmDIXONシーケンス並びに前記画像の取得を実行することを更に含む請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記コントローラは、実質的に一様な脂肪/水分の分離のために最適なエコー時間の中で前記エコー情報を取得する、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
コンピュータ命令を有する非一時的なコンピュータ読み取り可能な媒体であって、前記コンピュータ命令は、プロセッサにより実行される場合に、処理を実行することにより、磁気共鳴(MR)イメージングシステムから取得される画像を再構築するように前記プロセッサを構成し、前記処理は:
検査対象の排除される部分から生じる折り畳みアーチファクトを減らすために、スキャニング体積の中にありかつ視野(FOV)の外にある検査対象の一部分を排除する体積の選択に関し、回転スラブ励起シーケンスを実行することであって、前記回転スラブ励起シーケンスは、検査対象の排除される部分の励起を減らすために、削減されたサイドバンド励起リップルの遷移領域を有する無線周波数(RF)パルスを利用して、矢状面において体積励起を実行し、冠状面において前記スキャニング体積をエンコードすること;
前記の体積の選択に関する前記回転スラブ励起シーケンスを実行する処理の後に、前記スキャニング体積の中にあるFOVの中で脂肪/水分の分離のために、修正されたDIXON(mDIXON)を含む化学シフトシーケンスを実行すること;及び
前記脂肪/水分の分離のための前記化学シフトシーケンスを実行する処理の後に、画像の少なくとも一部を再構築するためのエコー情報を取得すること;
を有する、非一時的なコンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項12】
前記コンピュータ命令は、前記検査対象の腕が、前記スキャニング体積の中にありかつ前記検査対象の胴体の脇にある間に、前記エコー情報を取得するように前記プロセッサを更に構成する、請求項11に記載の非一時的なコンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項13】
前記コンピュータ命令は、前記スキャニング体積の中のスキャニング位置に前記検査対象を配置するために支持部を制御するように前記プロセッサを更に構成する、請求項12に記載の非一時的なコンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項14】
前記コンピュータ命令は、実質的に15ないし25秒の間の時間インターバルの間に前記回転スラブ励起シーケンス及びmDIXONシーケンス並びに前記画像の取得を実行するように前記プロセッサを更に構成する請求項11に記載の非一時的なコンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項15】
前記コンピュータ命令は、実質的に一様な脂肪/水分の分離のために最適なエコー時間の中で前記エコー情報を取得するように前記プロセッサを更に構成する請求項11に記載の非一時的なコンピュータ読み取り可能な媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本システムは、例えば呼吸を止めている間の捕捉時間に患者の腹部又は骨盤のダイナミック造影(dynamic contrast enhanced:DCE)画像を取得する磁気共鳴イメージング(MRI)システムに関連し、特に、呼吸停止スキャン時間の間において、一様な脂肪抑制(fat suppression)及び視野の外の信号抑制を達成しつつDCE画像取得を実行する磁気共鳴イメージング(MRI)システムに関連する。
【背景技術】
【0002】
患者の腹部及び/又は骨盤の画像を取得するための磁気共鳴イメージング(MRI)は、例えば、(例えば、約12-25秒のような)患者の呼吸停止の間の短い取得時間という制約と共に高い空間分解能を要する条件に起因するような多くの課題を提起する。所与の空間分解能に関し、スキャン時間は視野(field of view:FOV)のサイズに直接的に比例し、従って、小さくされたFOVは、妥当な呼吸停止スキャン時間内の空間分解能を増進することができる。
【0003】
腹部及び/又は骨盤の画像を取得するために、患者はしばしば頭上に腕を置いて磁気共鳴(MR)スキャナ内に配置され、小さくされたFOVとともに左右(RL)方向に沿うラップアラウンドアーチファクトを最小化する。MR筋運動(MR Enterography:MRE)のような所定の診断の場合には、例えば、患者が自信の頭上に腕を維持できないことや、(例えば、モニタリング装置、ライン、センサ、チューブ等のような)患者に取り付けられる医療装置を利用していること等のような様々な理由に起因して、患者が衰弱し、頭部に自身の腕を置いた患者の腹部及び/又は骨盤(すなわち、胴体)の部分を画像処理すること(イメージング)が常には可能でない。そのような場合、患者の各側に腕を下ろしたイメージングが必要とされ、ラップアラウンドアーチファクトを避けるために一般的には大きなFOVが使用され、大きなFOVを使用することは長い取得時間を招く結果となる。取得を高速化して全体的なスキャン時間を減らすために、並列的なイメージング方法を使用することが可能である。
【0004】
しかしながら、患者の(両)腕が患者の脇に位置する場合の一般的なスキャンにおいて、大きな加速因子と組み合わせた大きなFOVは、通常、望まれないアーチファクトを有する取得画像を招く結果となる。これらのアーチファクトは、FOVの外から発する信号に起因し、特に、FOVの外にある患者の腕に起因する信号に由来する。そこで、3D体積が冠状面(coronal plane)でエンコードされる一方、(例えば、矢状励起のように)体積励起が前後(anterior-posterior:AP)方向からRL方向へ切り替えられる回転スラブ励起(Rotated Slab Excitation:ROSE))アプローチが、FOVの外から生じる信号を抑制するために利用することが可能である。しかしながら、FOV範囲外の信号抑制に優れた高解像度のROSEアプローチは、遅延した無線周波数(RF)パルスに起因して、長期化した最小エコー時間(TE)をしばしば招いてしまう。不都合なことに、ROSEアプローチが、脂肪分離のための化学シフトアプローチと組み合わせられる場合、しばしば混乱した組織(confounding tissue)となり、前提となる構造についての改善された描画のために抑制される必要があり、その場合、脂肪/水分の分離プロセスが最適なエコー時間(TE)に反することに起因して失敗してしまい、その場合のエコー時間は、ROSEアプローチにより必要な最小エコー時間(TE)の増加に起因して増えてしまう。例えば、典型的なROSEアプローチは1x1mmの分解能に対して1.5msのTEを必要とし、3テスラの強度における脂肪/水分分離アルゴリズムで必要な1.2msという最適TEを超えてしまう。
【発明の概要】
【0005】
本願で説明されるシステム、デバイス、方法、ユーザーインターフェース、コンピュータプログラム、プロセス等(以下、別段の断りがない限り、これらの各々はシステムと言及されてよいものとする)は、従来のシステムにおける問題に対処する。
【0006】
本システムの実施形態によれば、磁気共鳴イメージング(MRI)システムが開示され、本システムは少なくとも1つのコントローラを含み、コントローラは:スキャニング体積の中にある視野(field-of-view:FOV)の中での実質的に一様な脂肪/水分の分離のための修正されたDIXON(mDIXON)シーケンスを含む化学シフトシーケンスを実行することであって、化学シフトシーケンスは冠状方向(coronal direction)で実行される、こと;患者の排除される部分から生じる折り畳みアーチファクトを減らす、防止する及び/又は抑制するために(以後、別意の断りがない限り、これら各々は抑制として一般的に言及されてよいものとする)、スキャニング体積の中にありかつ視野(FOV)の外にある(例えば、人間、動物、ファントム等であり、別意の断りがない限り、これら各々は簡明化のため患者又は対象として言及される)検査対象の一部分を排除する体積の選択に関し、修正された回転スラブ励起(modified rotated slab excitation:mROSE)シーケンスを実行することであって、mROSEシーケンスは、冠状面(coronal plane)においてスキャニング体積をエンコードし、矢状面(sagittal plane)において、最小位相の又は伸張された最小位相の無線周波数(RF)パルスに基づいて、体積励起を実行すること;及び/又は、画像の少なくとも一部を再構築するためのエコー情報を取得することを行う。患者の排除される部分は、患者、腕、手、指などを含み、それら各々は、簡明化のため、別意の断りがない限り、腕として一般的に言及されてよいものとする。本方法は、折り返しアーチファクト(foldover artifacts)を導入することなく、排除又は除外されるべき内部組織のうちの選択された外側部(lateral part)、皮下脂肪及び皮膚の一部をもたらす。
【0007】
本システムの更に別の形態によれば、少なくとも1つのコントローラは、患者の腕が、スキャニング体積内にありかつ患者の胴体の脇にある間に、エコー情報を取得してもよい。MRIシステムは、少なくとも1つのコントローラにより可動に制御され、及び、スキャニング体積に対するスキャニング位置に患者を配置するように構成される支持部を更に含んでもよい。更に、mROSE及びmDIXONシーケンス並びに画像の取得は、かなり高い空間解像度とともに、実質的に25秒の間に実質的に実行されてもよいことが、予想される。更に、RFパルスは、患者の排除される部分の励起を減らすように構成されてよい。更に、コントローラは、実質的に一様な脂肪/水分の分離のために最適なエコー時間(TE)の中でエコー情報を取得してよいことが、予想される。
【0008】
本システムの更に別の実施形態によれば、MRイメージング(MRI)システムにより取得される画像を再構築する方法が開示され、本方法はMRイメージングシステムの少なくとも1つのコントローラにより実行され、1つ以上の処理を含み、その処理は:スキャニング体積の中にある視野(FOV)の中での実質的に一様な脂肪/水分の分離のための修正されたDIXON(mDIXON)シーケンスを含む化学シフトシーケンスを実行すること;患者の排除される部分から生じる折り畳みアーチファクトを減らすために、FOVの外にある患者の一部分を排除する体積の選択に関し、修正された回転スラブ励起(mROSE)シーケンスを実行することであって、mROSEシーケンスは、冠状面においてスキャニング体積をエンコードし、矢状面において、最適化された対称的な、最小位相の又は伸張された最小位相の無線周波数(RF)パルスに基づいて、体積励起を実行すること;及び、画像の少なくとも一部を再構築するためのエコー情報を取得することを含む。
【0009】
エコー情報は、患者の腕がスキャニング体積内にありかつ患者の胴体の脇にある間に取得されてよいことも、予想される。更に、本方法は、少なくとも1つのコントローラにより、スキャニング体積内のスキャニング位置に対して患者を配置する支持部を制御する処理を含んでもよい。mROSE及びmDIXONシーケンス並びに前記画像の取得を実行する処理は、実質的に15ないし25秒の時間インターバルの中で実行されてもよい。しかしながら、本システムの更に別の形態では、他の時間インターバルも想定されてよい。本方法は、RFパルスを利用して、患者の排除される部分についての励起を減らす処理を更に含んでもよい。コントローラは、実質的に一様な脂肪/水分の分離のために最適なエコー時間(TE)の中でエコー情報を取得してよいことも、予想される。
【0010】
本発明の他の実施形態によれば、非一時的なコンピュータ読み取り可能な媒体に保存されるコンピュータプログラムが開示され、コンピュータプログラムは、磁気共鳴(MR)イメージングシステムから取得される画像を再構築するように構成され、コンピュータプログラムに含まれるプログラム部分は:スキャニング体積の中にある視野の中での実質的に一様な脂肪/水分の分離のための修正されたDIXON(mDIXON)シーケンスを含む化学シフトシーケンスを実行すること;患者の排除される部分から生じる折り畳みアーチファクトを減らすために、スキャニング体積の中にありかつFOVの外にある患者の一部分を排除する体積の選択に関し、修正された回転スラブ励起(mROSE)シーケンスを実行することであって、mROSEシーケンスは、冠状面においてスキャニング体積をエンコードし、矢状面において、最適化された対称的な、最小位相の又は伸張された最小位相の無線周波数(RF)パルスに基づいて、体積励起を実行すること;及び、画像の少なくとも一部を再構築するためのエコー情報を取得することを行うように構成される。
【0011】
プログラム部分は、患者の腕がスキャニング体積内にありかつ患者の胴体の脇にある間にエコー情報を取得するように更に構成されることも、予想される。プログラム部分は、スキャニング体積内のスキャニング位置に患者を配置するために支持部を制御するように更に構成されもよい。本システムの更に別の実施形態によれば、プログラム部分は、実質的に15ないし25秒の時間インターバルの中で、mROSE及びmDIXONシーケンス並びに画像の取得を実行するように更に構成されてもよい。プログラム部分は、RFパルスを利用して、患者の排除される部分についての励起を減らすように更に構成されてもよい。更に、プログラム部分は、実質的に一様な脂肪/水分の分離のために最適なエコー時間(TE)の中でエコー情報を取得するように更に構成されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本発明は添付図面に関連して詳細に及び具体例により説明される。
【
図1】本システムの実施形態によるイメージングシステムにより実行されるプロセスを示すフローチャート。
【
図2】本発明の実施形態により形成されるパルスシーケンスを示す。
【
図3A】人体模型を利用し且つ小さなFOVを適用して取得される画像を示す。
【
図3B】対称的で長いRFパルスを利用して取得される人体模型の一部分の画像を示し、体積外信号の優れた抑制効果をもたらすが、mDIXON脂肪/水分の分離度は良くない様子を示す。
【
図3C】対称的で短いパルスを利用して取得される人体模型の一部分の画像を示し、mDIXON再構築を改善するが、標準のROSE法により、視野(FOV)範囲外の貧弱な抑制効果をもたらす。
【
図3D】本システムの実施形態により取得される人体模型の一部分の画像を示す。
【
図4A】小さな冠状面FOVを利用して取得される患者の画像を示す。
【
図4B】小さなFOVを利用して取得される患者の画像を示す。
【
図4C】本システムの実施形態により取得される患者の画像を示す。
【
図5】本システムの実施形態によるシステム(例えば、ピア(peer)、サーバー(server)等)の一部を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下は、添付図面に関連して説明される場合に、上記の特徴及び利点並びに更なる例を示す実施形態についての例示的な説明である。以下の説明では、説明の便宜上、限定ではなく例示的な詳細(アーキテクチャ、インターフェース、技法、要素の属性など)が述べられる。しかしながら、これらの詳細事項とは異なる他の実施形態も添付の特許請求の範囲内に属するように理解されることは、当業者にとって明らかであろう。更に、明確化のため、周知のデバイス、回路、ツール、技術及び方法についての詳細な説明は、本システムの説明を曖昧にしてしまわないように省略される。図面は例示を目的として含められていること及び本システムの範囲全体を表現しているわけではないことが、明確に理解されるべきである。添付図面において、様々な図面における同様な参照番号は同様な要素を示す。
【0014】
本発明の実施形態によれば、MRIシステムが開示され、MRIシステムは、1.5Tにおいて第1エコーの場合には約2.2ms及び第2エコーの場合には約4.4ms;及び3Tにおいて第1エコーの場合には約1.2ms及び第2エコーの場合には約2.4msという閾値を、エコー時間(TE)が超えずに実質的に最適であるように、エコー時間(TE)を増やすことなく、FOV範囲外の抑制効果を提供する最小位相RFパルスを利用する。この最小位相RFパルスアプローチは、化学シフト技術と組み合わせられると、一様な脂肪/水分分離をもたらすように構成される最適エコー時間(TE)でのデータの取得を可能にする。本システムの実施形態によれば、最小位相RFパルスは、優れたFOV範囲外抑制効果を提供し、RL方向において非常に高い加速因子(acceleration factors)を利用してスキャン時間の短縮を可能にする。上記のすべてのアプローチの組み合わせは、一様な脂肪/水分分離及び呼吸停止捕捉時間の間に高い空間分解能のMR画像を取得するMRイメージング技術を提供する。更に、これらの画像は、患者の腕が彼らの脇(例えば、患者の胴体の両側)に位置する場合に取得されることが可能であり、患者の快適さを改善する。
【0015】
図1は本システムの実施形態によるイメージングシステムにより実行されるプロセス100を示すフローチャートである。プロセス100は、ネットワークを介して通信する1つ以上のコンピュータを利用して実行されてもよく、互いにローカルに及びリモートに存在してよい1つ以上のメモリから情報を取得してもよいし及び/又はそこへ情報を保存してもよい。プロセス100は以下の動作の内の1つ以上を含むことが可能である。更に、これらの動作のうちの1つ以上は、必要に応じて、統合されてもよいし及び/又は二次的な動作に分割されてもよい。更に、これらの内の1つ以上は、設定に依存してスキップ(又は迂回)されてもよい。画像情報は、例えば、k空間画像情報を含んでもよい。動作の際、本プロセスは動作101において始まり、動作103に進む。
【0016】
動作103において、本プロセスは、MRIシステムのボア又は孔の中に患者を配置する。従って、本プロセスは、(例えば、本実施形態では人間の対象者の胴体のような)検査対象の所望の位置がMRシステムのボアの中で整列するように対象者を配置するために、支持テーブル(例えば、患者サポートテーブル)のアクチュエータを制御する。特に、以下に説明されるように、胴体が視界(FOV)の中に存在するように、胴体がMRIのスキャニング体積の中に配置されるべきである。MRIシステムは、MRIシステムのボアに対する、支持テーブル及び/又は患者の1つ以上の位置のうちの位置を表す情報を提供するセンサを含んでもよい。本プロセスは、必要に応じて、(例えば、検査の種類に応じて(例えば、胴体、腹部、骨盤及び/又はそれらの一部分などのような検査の種類に応じて))システムのメモリから、及び/又は、ユーザから配置情報を取得してもよい。動作103が完了した後、本プロセスは動作105に続く。
【0017】
動作105の間に、本プロセスは、FOVの外に位置するがスキャニング体積の中にある「患者の部分」からの折り返しアーチファクトを抑制するために、修正された回転スラブ励起シーケンス(mROSE)(文献2参照)を実行してもよく、「患者の部分」は、例えば、患者の腕、皮膚の一部、皮下脂肪、及び、内部組織のうちの選択された外側部(lateral part)であり、これらは本実施形態では患者の胴体の脇にあるものと仮定される。mROSEシーケンスの実行の最中に、本プロセスは、mROSEシーケンスを生成し、及び/又は、mROSEシーケンスをMRIシステムの1つ以上のコイル(例えば、グラジエント、RFコイル、及び/又は、他のコイル)に送信し、対応するコイルにより出力されるようにする。mROSEシーケンスは、冠状面内で体積(例えば、3次元(3D)空間)をエンコードする一方、体積励起(volume excitation)は前後(AP)方向から左右(RL)方向へ切り替えられる。本システムの実施形態によれば、体積励起は、シーケンス全体にわたってRL方向(矢状)に設定されてもよい。言い換えれば、体積励起は矢状励起を含んでよい。これは、例えば患者の手などのような胴の脇にある望まれない患者の部分を排除する体積選択をもたらす。更に、矢状励起は、患者のうち腕(例えば、手など)のような望まれない部分の励起を抑制する(例えば、抑制、削減、或いは、最終的に防止する)RFパルスを含む。最適な最小位相RFパルスは、身体構造(腕、皮下脂肪など)のうちの何処も励起しないように、最小のサイドバンド励起リップル(minimum sideband excitation ripples)を有する急峻な遷移領域を提供する。こうして、実質的に何れの生体構造も励起されず、折り返しアーチファクトが防止される又は実質的に削減される。動作105の完了後に、本プロセスは動作107に続く。
【0018】
動作107の間に、本プロセスは、例えば呼吸を止めるような所望の時間期間の間に(例えば、15-25秒であるが、他の数値又は数値範囲も想定される)、患者のうちの所望部分からエコー情報を取得するために、広い視界(FOV)を生成する化学シフトシーケンスを実行してもよい。化学シフトシーケンスは、1回の呼吸停止(例えば、15-25秒)の間に患者の所望領域(例えば、胴体、腹部全体、骨盤など)についての最大FOVダイナミック造影(DCE)捕捉を行うために(例えば、動作109参照)、化学シフトベースのグラジエントエコー捕捉(例えば、3D高速フィールドエコー(Fast Field Echo (FFE)) mDIXON)シーケンスを含んでもよい(文献1)。脂肪/水分分解に関する「3D FFF mDIXONシーケンス」は、スキャン時間を長期化せず、B
0の不均一性による影響を実質的に受けず、これは、現在のFOVのような大きなFOVを通じて実質的に一様な脂肪の抑制をもたらす結果となる。更に、化学シフトシーケンスの実行の間に、本プロセスは、化学シフトシーケンスを生成し、及び/又は、そのシーケンスをMRIシステムの1つ以上のコイル(例えば、グラジエント及び/又はRFコイル)に送信してもよい。動作107の完了後に、本プロセスは動作109に続く。
【0019】
上記の動作105及び107に関し、本システムの実施形態により実行されるmROSE及びmDIXON法は、選択的矢状励起による胴体イメージングのためのmDIXON取得(mDIXON Acquisition for Torso Imaging with Selective Sagittal Excitation:mATISSE)のように言及されてもよく、(例えば、選択的に制御される)胴体にしっかりと合わせられたFOVとともに患者の腹部及び骨盤についての(例えば、画像を再構築するためのエコー情報についての)高分解能で一様な脂肪抑制取得をもたらし、腕に起因する折り返しアーチファクトが無くなるように、胴体の脇にある腕からの情報を抑制する。
【0020】
動作109の間に、本プロセスは、患者の1つ以上の画像を少なくとも部分的に再構築するのに相応しいエコー情報を取得してもよい。エコー情報は、少なくとも脂肪及び/又は水の画像を再構築するための画像情報を生成するために適切な任意の方法又は方法群を利用するプロセスにより処理されてもよい。エコー情報は、実質的に一様な脂肪/水分の分離のための最適エコー時間内で取得される。本システムの一実施形態では、最適エコー時間は、可能な限り短くてよい。例えば、一実施形態では、最適エコー時間は、必要に応じて、1.5Tにおいて第1エコーの場合には約2.2ms及び第2エコーの場合には4.4ms;及び、3Tにおいて第1エコーの場合には約1.2ms及び第2エコーの場合には2.4msに及ぶ程度であってもよい。しかしながら、他のエコー時間も想定されてよい。動作109の完了後に、本プロセスは動作111に続く。
【0021】
動作111の間に、本プロセスは、再構築された画像情報を取得するように、本システムの一実施形態に従って画像情報を再構築してもよい。再構築は、一般に知られるmDIXON再構築技術のような化学シフトベースの再構築法を利用して実行されてもよい。画像の再構築は、化学シフトイメージング等に基づいて、マルチピーク(multi-peak)、脂肪−水分離などのような適切な任意のアプリケーションを利用して実行されてよい。動作111の完了後に、本プロセスは動作113に続く。
【0022】
動作113の間に、本プロセスは、ユーザが再構築された画像を眺めるために、例えばシステムのディスプレイにおいて、再構築された画像情報を表現又はレンダリングしてもよい。本プロセスは、ユーザが視聴パラメータを変更したり、(例えば、メモ又はコマンド等のような)情報を入力したりするために相互作用するユーザーインターフェース(UI)を提供してもよい。本プロセスは、リアルタイムでユーザの入力を処理し、対応する結果をリアルタイムでレンダリングしてもよい。動作113の完了後に、本プロセスは動作115に続く。
【0023】
動作115の間に、本プロセスは、現在のプロセスによる、処理前の情報(例えば、エコー情報)、再構築された情報(例えば、脂肪の画像、水分の画像など)、結果などに従って、システムのメモリに保存される履歴情報を更新してもよい。例えば、本プロセスは、プロセスが使用及び/又は生成する情報(例えば、判断の結果、MR画像情報、設定、パラメータ、曜日、日付、時間など)を、後の使用、分析及び/又は他の処理のために、システムのメモリに格納してもよい。情報は、対応する患者の名前、ユーザの名前(例えば、放射線技師などのような専門家)、FOV、ROI等に関連して保存されてもよい。更に、一実施形態において、本プロセスは、様々な抽出された画像情報、変換された画像情報などのようなプロセスにより決定及び/又は算出された情報を、後の利用のために保存してもよい。従って、例えば、本プロセスは、再構築された画像情報を、後の利用のためのシステムのメモリに保存してもよい。動作115の完了後に、本プロセスは動作117に続き、終了する。
【0024】
従って、本システムの実施形態は、修正された回転スラブ励起(mROSE)法とともに、最小位相RFパルスを利用する。mROSEの更なる組み合わせは、一様な脂肪/水分の分離のために化学シフト技術とともに最小位相RFパルスを利用する。更に、左右方向における非常に大きな加速因子(又は高速化因子)を利用することが、最小位相RFパルスによるFOV範囲外の優れた抑制効果により可能になる。
【0025】
図2は本システムの一実施形態により形成されるパルスシーケンス
図200を示す。シーケンスは、矢状面(例えば、位相エンコード面と同じ面)に沿う励起202、標準又は最小位相RFパルス204、及び、mDIXON再構築に必要な最適エコー時間における2つのエコー206の取得の1つ以上を含む。
【0026】
実験結果:
図3Aないし4Cを参照しながら実験結果が説明される。実験結果は、1.5Tワイドボア(70cm)インジニア(Ingenia)スキャナ(フィリップスメディカル(登録商標))を用いて取得された。本システムの実施形態は、化学シフトベースのグラジエントエコーの取得(3D FFE mDIXON)による改善された速度及び脂肪抑制能力を提供し、大きなFOV、1回の呼吸停止の間に患者の腹部及び骨盤の全体的なDCE捕捉をもたらす。人体模型又はファントムによる結果が
図3Aないし3Dに示され、患者の画像は
図4Aないし4Cに示される。更に、
図3Aないし
図4Cの画像を取得する際に、非無線周波数(RF)のための覆いは使用されていない。
【0027】
図3Aは、人体模型を利用し且つ小さなFOVを適用して取得される画像300Aを示す。フレーム302Aは、フレーム304Aを中心とする小さな視野(FOV)を囲む。
図3Bは、対称的な画内RFパルスを用いて取得される人体模型の一部分についての画像300Bを示し、体積外での抑制に優れた結果をもたらすが、長期の対称的なRFパルスにより要求される長いエコー時間に起因して、不完全な脂肪/水分の分離を招く。フレーム306Bは、折り返しアーチファクトの抑制度合いを評価するために使用されたROIを囲む。
図3Cは、
図3Bで使用される対称的なRFパルスよりも短いRFパルスを利用して取得される人体模型の一部分についての画像300Cを示す。これは、mDIXON再構築を改善するが、ROSE法を利用する場合に、FOV範囲外の抑制効果を劣化させる。
図3Dは、本システムの実施形態により取得される人体模型の一部分についての画像300Dを示す。画像300Dは、本システムの実施形態による伸張された最小位相RFパルス(stretched minimum-phase RF pulses)を利用して取得されている。これらの伸張された最小位相RFパルスは、ROSEアーチファクトの抑制及びmDIXON脂肪抑制の双方に優れた結果をもたらす。
【0028】
図4Aは、腕401Aを除外する小さな冠状(面内での)FOVの位置における患者についての画像400Aを示す。小さな冠状FOV402Aは、FOVの外に患者の腕401Aを残すことにより、短い捕捉時間を許容する。
図4Bは、小さなFOVを利用して取得される患者の画像400Bを示す。小さなFOVとともに、左右(RL)位相エンコーディングが適用される場合、腕401Aにより、アーチファクト403A(例えば、折り返しアーチファクト)が生じてしまう。
図4Cは、本システムの実施形態により取得された患者の画像400Cを示す。画像は、伸張された最小位相RFパルス及び冠状mDIXONの読み込みに基づく組み合わせによる矢状3次元(3D)励起を利用して取得されており、小さなFOVに関し、優れた体積外信号排除及び適切な脂肪抑制をもたらす。
【0029】
従って、本システムの実施形態は、呼吸停止の捕捉時間内で大きな空間解像度をもたらしかつ一様な脂肪/水分離をもたらす画像を取得するMRイメージング方法を提供する。患者が自身の体の脇に自身の腕を置いて又は腕を下ろした位置に置いて心地良い状態で、画像が取得される。本システムの更なる利点は、スキャンセッションの中断を回避できることを含み、中断は、通常、スキャナのボアから患者を引き出して、患者の頭上に置いた手を休めるために必要とされる。本システムの別の利点は、望まれない信号を抑制するために患者の腕の近辺に無線周波数(RF)シールドが配置されることを要しないので、患者の手を下の方に置く従来方法と比較した場合に、設定時間が短いことを含む。
【0030】
図5は、本システムの一実施形態によるシステム500の一部分(例えば、ピア、サーバー等)を示す。例えば、本システムの一部分は、プロセッサ510(例えば、コントローラ)を含み、コントローラ510は、メモリ520、ディスプレイ530、センサ540、RFトランスデューサ560、磁気コイル590、及び、ユーザ入力デバイス570に動作可能に結合される。メモリ520は、アプリケーションデータだけでなく、説明される動作に関連する他のデータをも保存する任意のタイプのデバイスであってよい。アプリケーションデータ及び他のデータは、プロセッサ510により受信され、本システムに従う処理動作を実行するようにプロセッサ510を構成する(例えば、プログラミングする)。そのように構成されるプロセッサ510は、本システムの実施形態に従って動作することに特に適した特定目的の装置(又はマシン又はコンピュータ)となる。
【0031】
処理動作は、例えば、動作支援アクチュエータ、磁気コイル590及び/又はRFトランスデューサ560を制御することにより、MRIシステムを構成することを含んでもよい。支援アクチュエータは、必要に応じて、患者の物理的な位置(例えば、x,y,z軸における座標)を制御してもよい。磁気コイル590は、メイン磁気コイル及びグラジエントコイル(例えば、x-,y-,z-グラジエントコイル)を含み、所望の方向及び/又は強さでメイン磁場及び/又はグラジエント磁場(傾斜磁場)を生成する(又は放つ)ように制御される。コントローラは、所望の磁場が所望の時間に生成されるように、磁場コイル590に電力を供給するために1つ以上の電力供給部を制御してもよい。RFトランスデューサ560は、患者の場所にRFパルスを送信し及び/又はそこからエコー情報を受信するように制御される。再構築部は、エコー情報のような受信した信号を処理し、それらを(例えば、本システムの実施形態による1つ以上の再構築技術を利用して)、画像情報(例えば、静止画像又はビデオ画像(例えば、ビデオ情報))、データ及び/又はグラフを含むコンテンツに変換してもよく、グラフは例えばディスプレイ530やスピーカ等のような本システムのユーザーインターフェース(UI)においてレンダリングされることが可能である。更に、コンテンツ(又は内容)は、その後、後の利用に備えてメモリ520のようなシステムのメモリに保存されてもよい。従って、処理動作は、例えば、エコー情報から取得された再構築された画像情報のようなコンテンツの要求、提供及び/又はレンダリングを含んでもよい。プロセッサ510は、システムのディスプレイのようなシステムのUEにおいて、ビデオ情報のようなコンテンツをレンダリングしてもよい。
【0032】
ユーザ入力部570は、キーボード、マウス、トラックボール、又は、タッチセンサディスプレイのようなその他のデバイスを含んでもよく、それらはスタンドアローンであってもよいし或いはシステムの一部分であってもよく、例えば、パーソナルコンピュータ、パーソナルディジタルアシスタント(PDA)、モバイルフォン(例えば、スマートフォン)、モニタ、スマート端末、ダム端末(dumb terminal)、又は、何らかの動作可能なリンクを介してプロセッサ510と通信するその他のデバイス等のうちの一部分であってもよい。ユーザ入力部570は、上述したようなUIの中での相互作用を可能にすることを含むプロセッサ510と相互作用するように動作してもよい。明らかに、プロセッサ510、メモリ520、ディスプレイ530及び/又はユーザ入力部570は、クライアント及び/又はサーバーのようなコンピュータシステム又は他のデバイスの全部又は一部であってよい。
【0033】
本システムの方法は、コンピュータソフトウェアプログラムにより実行されることに特に適しており、そのようなプログラムは、本システムによる想定及び/又は記述される1つ以上の個々のステップ又は動作に対応するモジュールを包含する。そのようなプログラムは、集積チップのようなコンピュータ読み取り可能な媒体、メモリ520のようなペリフェラルデバイス又はメモリ、或いは、プロセッサ510に結合される他のメモリの中に組み込まれてもよい。
【0034】
メモリ520に包含されるプログラム及び/又はプログラムの一部分は、本願で説明される方法、処理動作及び機能を実現するようにプロセッサ510を構成する。メモリは、例えば、クライアント及びサーバー間に分散されてもよいし、ローカルであってもよく、プロセッサ510も、追加的なプロセッサが設けられる場合に分散されてもよいし、或いは、単独であってもよい。メモリは、電気的、磁気的、光学的なメモリ、それらの任意の組み合わせ、又は、他のタイプのストレージデバイスとして実現されてもよい。更に、「メモリ」という用語は、プロセッサ510によりアクセス可能なアドレス指定可能な空間内のアドレスから読み込む又はそこへ書き込むことが可能な任意の情報を包含する程度に十分に広く解釈されるべきである。この定義によれば、ネットワークを介してアクセス可能な情報でもメモリに有り、その理由は例えば、プロセッサ510は本システムに従って動作するためにネットワークから情報を取り出してもよいからである。
【0035】
プロセッサ510は、制御信号を提供すること、及び/又は、ユーザ入力部570からの入力信号に応答することに加えてネットワークの他のデバイスにも応答して動作を実行すること、及び、メモリ520に保存された命令を実行することを行うように動作することが可能である。プロセッサ510は、マイクロプロセッサ、特定用途向け又は汎用の修正回路、論理デバイス等のうちの1つ以上を含んでよい。更に、プロセッサ510は、本システムに従って動作する専用プロセッサであってもよく、或いは、汎用プロセッサであってもよく、その場合、多くの機能の内の唯1つが本システムに従って実行するように動作する。プロセッサ510は、プログラムの一部分、複数のプログラム部分(セグメント)を利用して動作してもよく、或いは、専用又は汎用の集積回路を利用するハードウェアデバイスであってもよい。
【0036】
本システムの実施形態は、画像を取得して再構築する高速画像処理方法を提供する。適切な応用例は、磁気共鳴イメージング(MRI)システム等のようなイメージングシステムを含み、それらは:一様な脂肪の抑制及びFOV範囲外信号の抑制をもたらす一方、短い取得時間及び高い解像度を必要とするものである。従って、本システムの実施形態は、高解像度な呼吸停止DCE取得診断MREプロトコルを提供し、そのプロトコルは、自身の脇に自身の腕を心地良く置いた患者について利用されることが可能である一方、一様な脂肪の抑制及びFOV範囲外の信号の抑制を達成することが可能である。
【0037】
本システムの更なる変形例は、当業者にとって明らかであり、それらも特許請求の範囲に包含される。
【0038】
なお、上記の説明は、本システムの単なる例示を意図しているに過ぎず、添付の特許請求の範囲を、何れかの特定の実施形態や一群の実施形態に限定するようには解釈されるべきでない。すなわち、本システムは例示的な実施形態を参照しながら説明されてきたが、添付の特許請求オン範囲に記載される本システムについての広範囲に及ぶ意図される精神及び範囲から逸脱することなく、多くの変形及び代替による形態が当業者によってなされてよいことが、認められるべきである。更に、本願の冒頭に含まれるセクションは、理解を促すように意図されているに過ぎず、本システムの範囲を限定するようには意図されていない。従って、明細書及び図面は、例示的に解釈されるべきであり、添付の特許請求の範囲を限定するように解釈されるべきではない。
【0039】
添付の特許請求の範囲において、以下の事項が理解されるべきである:
a) 「有する(comprising)」という用語は、所与の請求項に列挙されるもの以外の他の要素や動作の存在を排除していない;
b) 「ある」又は「或る」という要素に先行する用語は、そのような要素が複数個存在することを排除していない;
c) 特許請求の範囲に仮に何らかの参照番号が存在する場合、それは特許請求の範囲を限定しない;
d) 複数の「手段」は、同じアイテム又はハードウェア又はソフトウェアで実現される構造又は機能によって表現されてもよい;
e) 開示される任意の要素は、(例えば、個別的及び統合された電子回路を含む)ハードウェア部分、(例えば、コンピュータプログラミングのような)ソフトウェア部分及びそれらの任意の組み合わせで構成れてもよい;
f) ハードウェア部分は、アナログ及びディジタル部分の双方又は一方により構成されてもよい;
g) 開示されるデバイス又はその一部分のうちの何れも、特に断りのない限り、別の部分と一緒に組み合わせられてもよいし或いは別の部分に分割されてもよい;
h) 具体的に言及していない限り、動作又は処理の特定のシーケンス(順序)は必須であるようには意図されていない;及び
i) 要素についての「複数」という用語は、2つ以上の請求される要素を包含し、要素についての何らかの特定の個数の範囲を意味していない;すなわち、複数の要素は、僅か2つしかない要素であってもよいし、数え切れないほど多くの要素を含んでもよい。
【0040】
以下の文献1-2は、本願のリファレンスに組み入れられ、明細書中でそれぞれR1及びR2という参照番号を用いて参照される。例えば、R1は非特許文献1を指す。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0041】
【非特許文献1】Ma, J., MRM 52(2):415-9, 2004.
【非特許文献2】Brau, A. et al., Proc. ISMRM 16, 502, 2008.