特許第6415589号(P6415589)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ セント・ジュード・メディカル・インターナショナル・ホールディング・エスエーアールエルの特許一覧

特許6415589パッケージ型電子サブアセンブリを備えた医療用デバイスおよびその製造方法
<>
  • 特許6415589-パッケージ型電子サブアセンブリを備えた医療用デバイスおよびその製造方法 図000002
  • 特許6415589-パッケージ型電子サブアセンブリを備えた医療用デバイスおよびその製造方法 図000003
  • 特許6415589-パッケージ型電子サブアセンブリを備えた医療用デバイスおよびその製造方法 図000004
  • 特許6415589-パッケージ型電子サブアセンブリを備えた医療用デバイスおよびその製造方法 図000005
  • 特許6415589-パッケージ型電子サブアセンブリを備えた医療用デバイスおよびその製造方法 図000006
  • 特許6415589-パッケージ型電子サブアセンブリを備えた医療用デバイスおよびその製造方法 図000007
  • 特許6415589-パッケージ型電子サブアセンブリを備えた医療用デバイスおよびその製造方法 図000008
  • 特許6415589-パッケージ型電子サブアセンブリを備えた医療用デバイスおよびその製造方法 図000009
  • 特許6415589-パッケージ型電子サブアセンブリを備えた医療用デバイスおよびその製造方法 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6415589
(24)【登録日】2018年10月12日
(45)【発行日】2018年10月31日
(54)【発明の名称】パッケージ型電子サブアセンブリを備えた医療用デバイスおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/0402 20060101AFI20181022BHJP
   A61B 5/0408 20060101ALI20181022BHJP
   A61B 5/0492 20060101ALI20181022BHJP
   A61B 5/0478 20060101ALI20181022BHJP
   A61B 18/14 20060101ALI20181022BHJP
【FI】
   A61B5/04 310M
   A61B5/04 300J
   A61B18/14
【請求項の数】18
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2016-554366(P2016-554366)
(86)(22)【出願日】2015年1月27日
(65)【公表番号】特表2017-505206(P2017-505206A)
(43)【公表日】2017年2月16日
(86)【国際出願番号】US2015013010
(87)【国際公開番号】WO2015116562
(87)【国際公開日】20150806
【審査請求日】2016年8月25日
【審判番号】不服2017-15271(P2017-15271/J1)
【審判請求日】2017年10月13日
(31)【優先権主張番号】61/932,386
(32)【優先日】2014年1月28日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516134383
【氏名又は名称】セント・ジュード・メディカル・インターナショナル・ホールディング・エスエーアールエル
【氏名又は名称原語表記】St. Jude Medical International Holding S.a,r.l.
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】特許業務法人快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ステリット テリー エル.
(72)【発明者】
【氏名】セナリス パトリック ピー.
【合議体】
【審判長】 伊藤 昌哉
【審判官】 ▲高▼見 重雄
【審判官】 東松 修太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−200340(JP,A)
【文献】 特開2008−237732(JP,A)
【文献】 特開平8−542(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/132850(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B1/00-1/32
A61B17/00-17/94
A61B18/00-18/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
体内の組織の診断または治療のための医療用デバイスであって、
近位端および遠位端を有する細長い管状の変形可能な軸体と、
前記軸体内に配設された電子サブアセンブリと、
前記電子サブアセンブリに結合されるとともに前記電子サブアセンブリから延在する導体とを備え、
前記電子サブアセンブリは、
内側面および前記内側面とは反対側の外側面を有し、第1の導電性区域を画定する可撓性基板と、
前記可撓性基板の前記内側面に取り付けられ、前記第1の導電性区域に結合されており、前記可撓性基板内に少なくとも部分的に収容される電子デバイスとを有し、
前記電子デバイスは、螺旋状に配設された連続ワイヤ要素によって画定されるコイルを有し、
前記可撓性基板は、円筒形状であって、前記電子デバイスの前記コイルの外周を周方向から取り囲む、デバイス。
【請求項2】
前記電子デバイスは電磁場検出器である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記電磁場検出器は、前記コイルを有する、請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記電磁場検出器はコアをさらに有し、前記コイルは前記コアに巻き付けられる、請求項に記載のデバイス。
【請求項5】
前記第1の導電性区域は、前記可撓性基板の前記内側面上にあり、
前記電子サブアセンブリは、前記外側面上の第2の導電性区域と、前記第1および第2の導電性区域との間にある第1の導電性経路とをさらに有し、
前記導体は、前記第2の導電性区域に結合される、請求項1からのいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項6】
前記第1および第2の導電性区域は、前記可撓性基板の近位端に配設される、請求項に記載のデバイス。
【請求項7】
前記電子サブアセンブリは、密閉剤によって密閉される、請求項1からのいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項8】
第1の導電性区域は、前記可撓性基板の前記内側面上にあり、
前記電子サブアセンブリは、前記外側面上に第2の導電性区域をさらに有し、
前記第2の導電性区域は、前記導体に接続するために前記密閉剤を通して露出される、請求項に記載のデバイス。
【請求項9】
体内の組織の診断または治療のための医療用デバイスを製造する方法であって、
内側面および前記内側面とは反対側の外側面と、前記内側面および前記外側面の間を延在する第1および第2の縁部とを有し、第1の導電性区域を画定する可撓性基板を提供すること、
コイルを有する電子デバイスを前記可撓性基板の前記内側面に取り付け、前記電子デバイスを前記第1の導電性区域に結合すること、
前記可撓性基板を、前記電子デバイスを少なくとも部分的に収容するとともに前記コイルの外周を周方向から取り囲むように円筒形状に変形させること、
前記可撓性基板の前記第1および第2の縁部を互いに結合して、前記電子デバイスを前記可撓性基板内に少なくとも部分的に収容すること、
前記可撓性基板を、近位端および遠位端を有する細長い管状の変形可能な軸体に挿入すること、及び、
導体を前記電子デバイスに電気的に結合すること、
を備え、
前記第1および第2の縁部を結合することが、
接着剤を前記可撓性基板の前記第1の縁部に塗布すること、
前記第2の縁部の少なくとも一部分が前記接着剤に接触するように前記可撓性基板の前記第2の縁部を前記第1の縁部と重ね合わせること、及び、
前記接着剤を硬化させることを含む、方法。
【請求項10】
記取り付けることは、前記電子デバイスの前記コイルを前記第1の導電性区域に電気的に接続することを含む、請求項に記載の方法。
【請求項11】
体内の組織の診断または治療のための医療用デバイスを製造する方法であって、
内側面および前記内側面とは反対側の外側面と、前記内側面および前記外側面の間を延在する第1および第2の縁部とを有し、第1の導電性区域を画定する可撓性基板を提供すること、
電子デバイスを前記可撓性基板の前記内側面に取り付け、前記電子デバイスを前記第1の導電性区域に結合すること、
前記可撓性基板を、前記電子デバイスを少なくとも部分的に収容するように変形させること、
前記可撓性基板を、近位端および遠位端を有する細長い管状の変形可能な軸体に挿入すること、及び、
導体を前記電子デバイスに電気的に結合すること、
を備え、
前記電子デバイスはコイルを有し、
前記取り付けることは、前記電子デバイスの前記コイルを前記第1の導電性区域に電気的に接続することを含
前記変形させることは、前記可撓性基板が前記電子デバイスの前記コイルの外周を周方向から取り囲むように、円筒形状に変形することを含む、方法。
【請求項12】
前記変形させることが、前記可撓性基板の前記第1および第2の縁部を互いに近接させることを含む、請求項から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記変形させることは、前記電子デバイスの長手軸を中心にして前記可撓性基板を変形させることを含む、請求項から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記変形させることは、前記電子デバイスの前記コイルの長手軸を中心にして前記可撓性基板を変形させることを含む、請求項9から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の導電性区域は、前記可撓性基板の前記内側面上に配設される、請求項から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記可撓性基板は、前記可撓性基板の前記外側面上の第2の導電性区域と、前記第1および第2の導電性区域の間の第1の導電性経路とを含み、
前記第1の導電性区域は、前記可撓性基板の前記内側面上に配設され、
前記導体を前記電子デバイスに電気的に結合することは、前記導体を前記第2の導電性区域に電気的に結合することを含む、請求項から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記可撓性基板および前記電子デバイスを、密閉剤を用いて密閉することをさらに含む、請求項から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記密閉剤を除去して、前記導体に接続するために前記可撓性基板上で前記第2の導電性区域を露出させることをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2014年1月28日付けの米国仮出願第61/932,386号の利益を主張し、それを本明細書に完全に説明されているものとして参照により組み込む。
【0002】
本開示は、体内の組織の診断または治療のための医療用デバイス、およびその製造方法に関する。詳細には、本開示は、パッケージ型電子サブアセンブリを備えた医療用デバイス、およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
様々な医学的状態を診断し、治療するために、多種多様な医療用デバイスが体内に挿入される。例えば、カテーテルは、医薬および流体の送達、体液の除去、ならびに外科用器具および機器の輸送を含む様々なタスクを、人体内またはヒト以外の身体内で行うために使用される。心房細動の診断および治療では、例えば、カテーテルを使用し、タスクの中でもとりわけ、心臓の表面の電気生理学的マッピングのために電極を心臓に送達し、その表面にアブレーションエネルギーを送達することができる。
【0004】
電磁場に基づく位置決めシステムの使用によって、かかる医療用デバイスの位置を判断することが知られており、これは、一般的に、医療用デバイスに電磁場感知センサを装備することを必要とする。次いで、かかるセンサは、検出された信号をさらなる処理のための位置決めシステムに伝達するために、医療用デバイス内の電気ケーブルの導体に接続される。かかる電気的接続は、センサおよびケーブルのそれぞれのリード線を共にはんだ継手ではんだ付けすることによって、行うことができる。しかしながら、リード線およびセンサ自体は繊細であり、したがって、医療用デバイスの製造および組立ての間に損傷する可能性がある。さらに、リード線の直径が小さく(例えば、10μm)、また脆弱なために、医療用デバイスの試験(例えば、応力破断試験)の最中またはその後に、リード線がはんだ継手またはその付近で破断される可能性がある。センサおよびケーブルを電気的に結合する別のメカニズムは、センサおよびケーブルのそれぞれのリード線を、それらの間に配設された剛性または可撓性の基板に結合することによるものである。一般的な医療用デバイスに嵌合するために、かかるセンサが示さなければならない寸法が比較的小さいことを考慮すると、かかるセンサの製造は複雑であり、デバイス内で望ましくない量の径方向空間を占め、かつ/または所望よりも費用がかかる製造方法を必要とする可能性がある。
【0005】
上記考察は、単に本発明の分野を例示することを意図したものであり、請求項の範囲を否認するものとして解釈されるべきでない。
【発明の概要】
【0006】
とりわけ、本明細書に開示する様々な実施形態は、体内の組織の診断または治療のための医療用デバイス、およびその製造方法を対象とする。特に、本開示は、パッケージ型電子サブアセンブリを備えた医療用デバイス、およびその製造方法に関する。
【0007】
本教示の一実施形態による、体内の組織の診断または治療のための医療用デバイスは、近位端および遠位端を有する細長い管状の変形可能な軸体を有する。デバイスはまた、軸体内に配設された電子サブアセンブリと、電子サブアセンブリに結合されるとともにそこから延在する導体とを備える。電子サブアセンブリは、可撓性基板と電子デバイスとを有する。可撓性基板は、内側面と、内側面とは反対側の外側面とを有する。可撓性基板はまた、第1の導電性区域を画定する。電子デバイスは、可撓性基板の内側面に取り付けられ、第1の導電性区域に結合され、可撓性基板内に少なくとも部分的に収容される。
【0008】
本教示の別の実施形態による、体内の組織の診断または治療のための医療用デバイスを製造する方法は、可撓性基板を提供することを含む。可撓性基板は、内側面と、内側面とは反対側の外側面と、内側面および外側面の間を延在する第1および第2の縁部とを有する。可撓性基板はまた、第1の導電性区域を画定する。方法はさらに、電子デバイスを可撓性基板の内側面に取り付けることと、電子デバイスを第1の導電性区域に結合することとを含む。方法はさらに、電子デバイスを少なくとも部分的に収容するように、可撓性基板を変形させることを含む。方法はさらに、可撓性基板を、近位端および遠位端を備える細長い管状の変形可能な軸体に挿入することと、導体を電子デバイスに電気的に結合することとを含む。
【0009】
本教示の別の実施形態による、体内の組織の診断または治療のための医療用デバイスは、近位端および遠位端を備える細長い管状の変形可能な軸体を含む。医療用デバイスはさらに、軸体内に配設された電子サブアセンブリを含む。電子サブアセンブリは、第1の面および第1の面とは反対側の第2の面とを有する可撓性基板を含み、可撓性基板は第1の導電性区域を画定する。電子サブアセンブリはさらに、可撓性基板の第1の面に取り付けられ、第1の導電性区域に結合された電子デバイスを含む。医療用デバイスはさらに、電子サブアセンブリに結合された遠位端を備え、そこから近位に延在する導体を含む。第1の導電性区域の表面積は、導体の遠位端の表面積よりも大きい。
【0010】
本教示による医療用デバイスおよびその作成方法は、従来のデバイスおよび方法と比べて有利である。本教示による医療用デバイスおよびその作成方法は、より堅牢でコンパクトなセンサを提供するとともに、センサと近位に延在するケーブルとの間に信頼性の高い接続を提供し、その一方でデバイスの機能性を維持または改善する。さらに、デバイスを作成する方法は従来の方法ほど複雑でも高価でもなく、その結果、製造後試験中の故障率が低い。
【0011】
本教示の上述および他の態様、特徴、詳細、有用性、ならびに利点は、以下の説明および特許請求の範囲を読むことによって、また添付図面を検討することによって明白となるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本教示の一実施形態による、体内の組織の診断または治療のためのシステムの一実施形態を示す概略図である。
【0013】
図2】本教示の一実施形態による、組織の診断または治療のための医療用デバイスの一部分を示す断面図である。
【0014】
図3】本教示の一実施形態による、図2の医療用デバイスの部分的に形成された電子サブアセンブリを示す斜視図である。
【0015】
図4】変形された状態の図3の電子サブアセンブリを示す斜視図である。
【0016】
図5】密閉された状態の図4の電子サブアセンブリを示す斜視図である。
【0017】
図6】本教示の別の実施形態による、図2の医療用デバイスの部分的に形成された電子サブアセンブリを示す斜視図である。
【0018】
図7】変形された状態の図6の電子サブアセンブリを示す斜視図である。
【0019】
図8】密閉された状態の図7の電子サブアセンブリを示す斜視図である。
【0020】
図9】本教示による体内の組織の診断または治療のための医療用デバイスを製造する方法の様々な実施形態を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
様々な装置、システム、および/または方法の様々な実施形態について本明細書で説明する。本明細書で説明され、添付図面に例示される実施形態の全体構造、機能、製造、および使用の完全な理解を提供するために、多数の特定の詳細について記載する。しかしながら、実施形態はかかる特定の詳細を用いずに実践されてもよいことが、当業者には理解されるであろう。他の例では、本明細書で説明する実施形態が不明瞭にならないように、周知の動作、構成要素、および要素については詳細に説明されない。当業者であれば、本明細書で説明され例示される実施形態は非限定例であることを理解するであろうし、したがって、本明細書に開示される特定の構造上および機能上の詳細は代表例であってもよく、実施形態の範囲を必ずしも限定しないことを理解されたい。
【0022】
本明細書全体を通して、「様々な実施形態」、「いくつかの実施形態」、「一実施形態(one embodiment)」、または「一実施形態(an embodiment)」などの言及は、その実施形態と関連して説明される特定の特徴、構造、または特性が、少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、「様々な実施形態では」、「いくつかの実施形態では」、「一実施形態(one embodiment)では」、または「一実施形態(an embodiment)では」などの語句が本明細書全体を通して所々に出現することは、必ずしもすべてが同じ実施形態に言及するものではない。さらに、特定の特徴、構造、または特性は、1つ以上の実施形態において、任意の適切な形式で組み合わされてもよい。したがって、一実施形態と関連して例示もしくは説明される特定の特徴、構造、または特性は、組合せが非論理的または非機能的でないことを所与として、全体的にもしくは部分的に、1つ以上の他の実施形態の特徴、構造、または特性と非限定的に組み合わされてもよい。
【0023】
「近位」および「遠位」という用語は、本明細書全体を通して、患者の治療に使用される機器の一端を操作する医師を基準にして使用されてもよいことを理解されたい。「近位」という用語は、医師に最も近い機器の部分を指し、「遠位」という用語は、医師から最も遠くに位置する部分を指す。同様に、「より近位」は医師により近いことを意味し、「より遠位」は医師をさらに形成することを意味する。簡潔かつ明瞭にするために、「垂直」、「水平」、「上」、および「下」などの空間に関する用語は、本明細書では、図示される実施形態に関して使用されてもよいことをさらに理解されたい。しかしながら、外科用機器は多くの配向および位置で使用されることがあり、これらの用語は限定的かつ絶対的であることを意図しない。
【0024】
次に、様々な図面における同一の構成要素を特定するのに同様の参照番号が使用されている、図面を参照すると、図1は、身体24内の組織22の診断または治療のためのシステム20の一実施形態を例示している。図示される実施形態では、組織22は人体内の心臓組織を含む。しかしながら、本教示によるシステム20は、人体またはヒト以外の身体内の様々な組織の診断または治療に関する処置と関連する用途を見出すことができることを理解されたい。システム20は、組織22の診断または治療のための医療用デバイスを含む。一実施形態によれば、システム20は、組織22の診断または治療のためのカテーテル26を含み、さらに、アブレーション発生器28、遠隔カテーテル誘導システム(RCGS)30、ディスプレイシステム32、電子制御装置(ECU)34、および外部場発生器36を含んでもよい。
【0025】
カテーテル26は、組織22などの体内組織の検査、診断、および治療のために提供される。本教示の一実施形態によれば、カテーテル26は、アブレーションカテーテル、より詳細には灌注高周波(RF)アブレーションカテーテルを含む。しかしながら、カテーテル26は単に例示のために提供されており、システム20は、電気生理学(EP)マッピングカテーテルおよび心腔内心エコー(ICE)カテーテルを含む他のタイプのカテーテルとともに使用するように、ならびに異なるタイプのアブレーションエネルギー(例えば、凍結溶解壊死治療、超音波、レーザ、マイクロ波、電気穿孔など)を提供するものを含む、他のタイプのアブレーションカテーテルとともに使用するように適合できることを理解されたい。さらに、システム20は、例えば導入器シースを含む、組織22の診断または治療で使用される他のタイプの医療用デバイスとともに使用するように適合できることを理解されたい。図示される実施形態では、カテーテル26は、灌注のために灌注ポンプ40(例えば、図示される流体源38から重力送りで供給される固定量のローラポンプまたは可変容量のシリンジポンプを含んでもよい)に通される、生理食塩水などの生体適合性流体を有する灌注流体源38に接続されてもよい。カテーテル26はまた、アブレーションRFエネルギーを送達するアブレーション発生器28に電気的に接続されてもよい。カテーテル26は、ケーブルコネクタまたはインターフェース42と、ハンドル44と、近位端48および遠位端50を有する可撓性軸体46と、1つ以上のアブレーションおよび感知電極52とを含んでもよい。図2を参照すると、本教示の特定の態様によれば、カテーテル26はさらに、電子サブアセンブリ54と、電子サブアセンブリ54をECU34と電気的に接続する導体56、58とを含んでもよい。カテーテル26はまた、温度センサ、追加のペーシングまたはマッピング電極、およびそれらに対応する導体またはリード線など、本明細書には例示しない他の従来の構成要素を含んでもよい。
【0026】
再び図1を参照すると、コネクタ42は、アブレーション発生器28、RCGS30、およびポンプ40から延在するケーブルに対して、機械的、流動的、および電気的接続(1つ以上)を提供する。コネクタ42は、カテーテル26の近位端48に配設されてもよい。図示される実施形態ではハンドル44に直接付着されているが、コネクタ42は、例えば数フィートのケーブルを通して、間接的にハンドル44に結合されてもよい。
【0027】
ハンドル44は、医師がカテーテル26を保持する場所を提供し、さらに、身体24内で軸体46を操縦または誘導するための手段を提供してもよい。例えば、ハンドル44は、カテーテル26を通って軸体46の遠位端50まで延在する操縦ワイヤの長さを変更して、軸体46を操縦するために軸体46の遠位端50の並進および/または偏向を制御する手段を含んでもよい。ハンドル44は、医師によって手動で、または例えばRCGS30などのロボット制御によって自動的に操作されてもよい。ハンドル44の構造は多様であってもよく、システムが完全なロボット制御によって実装されている場合はなくてもよいことを理解されたい。
【0028】
軸体46は、電極52、電子サブアセンブリ54、電子サブアセンブリ54まで延在する導体56、58、ならびに電極52および電子サブアセンブリ54(また場合によっては、信号処理または調整に使用される追加の電子部品)まで延在する他の導体およびワイヤを含む、カテーテル26の他の構成要素を構造的に支持する。軸体46はまた、流体(灌注流体および体液を含む)、医薬、ならびに/あるいは外科用器具または機器の輸送、送達、および/または除去を可能にしてもよい。軸体46は、身体24内に受け入れられるように構成され、導入器を通して身体24内の血管または他の構造に導入されてもよい。軸体46は次に、St.Jude Medical,Inc.から入手可能なAgilis(商標)NxTスティーラブルイントロデューサRCGS30などの誘導導入器を用いて、かつ/またはガイドワイヤ、プルワイヤ、もしくは当該分野で知られている他の手段を用いて、身体24を通して組織22などの所望の位置へと操縦または誘導されてもよい。
【0029】
図2を参照すると、軸体46は、細長い管状の部材60と先端62とを含んでもよい。部材60は、可撓性または変形可能であり、身体24(図1)内で動くように構成される。部材60はまた、導体76、78および操縦ワイヤを収容するように、また流体を通すことができるように構成された、1つ以上の管腔を画定する。部材60は、管状のポリマー製内側ライナ64と、トルクを伝達する編組ワイヤ層66と、外側のポリマー製ジャケット68とを含んでもよい。ライナ64は、「TEFLON」の登録商標でE.I.DuPont de Nemours & Co.Corpによって販売されているPTFE、ポリエーテルブロックアミド、「PEBAX」の登録商標でArkema,Inc.から販売されているエラストマーなどのナイロンまたは熱可塑性エラストマーを含む、ポリフルオロエチレン(PTFE)などのポリマー材料から作られてもよい。編組ワイヤ層66は、適切なレベルの押込み性、トルク伝達性、可撓性、および軸体46に対する耐キンク性を提供するように構成される。層66は、ステンレス鋼ワイヤから形成されてもよく、一対一(少なくとも2つのワイヤを必要とする)または二対二(少なくとも4つのワイヤを必要とする)の交差パターンを含む、様々な編組パターンで配置された、フラットワイヤ(ワイヤの長手軸に沿って取り、2つの直交する軸に沿って測定したとき、ほぼ長方形である断面を有するワイヤ)であってもよい。ワイヤは、絶縁材料の層で被覆されてもよい。ワイヤ編組は、ライナ64の周りに直接巻かれるか、または滑らせてライナ64の上に被せられるコア上に置かれてもよい。ジャケット68は、「TEFLON」の登録商標でE.I.DuPont de Nemours & Co.Corpによって販売されているPTFE、ポリエーテルブロックアミド、「PEBAX」の登録商標でArkema,Inc.から販売されているエラストマーなどのナイロンまたは熱可塑性エラストマーを含む、ポリフルオロエチレン(PTFE)などのポリマー材料から作られ、また、層66の上に押し出されてもよい。いくつかの例示のカテーテル構造に関するさらなる詳細を、同一出願人による米国特許第7,914,515号に見出すことができ、その開示全体を参照により本明細書に組み込む。先端62は部材60の遠位端70に受け入れられてもよい。先端62は、比較的剛性の材料(1つ以上)から作られてもよく、電極52を備えてもよく、または電極52を支持するように構成されてもよい。
【0030】
再び図1を参照すると、部材60の外表面または先端62上の電極52は、例えば、電気生理学的研究、カテーテルの識別および位置決め、ペーシング、ならびに心臓マッピングおよびアブレーションを含む、様々な診断および治療目的のために提供される。図示される実施形態では、カテーテル26は、軸体46の遠位端50に、高周波アブレーション送達要素として機能するアブレーション先端電極52を含む。カテーテル26はまた、先端電極52の近位に、組織22の電気記録図を取得するために、または他の従来の目的で使用されてもよい、1つ以上のリング電極(図示なし)を含んでもよい。しかしながら、電極52の数、配向、および目的は多様であってもよいことを理解されたい。電極52は、金、プラチナ、イリジウム、パラジウム、ロジウム、ステンレス鋼、および/またはそれらの任意の組合せを含有するものを含む、様々な導電性材料から作られてもよい。
【0031】
再び図2を参照すると、所与の医療用デバイスの電子構成要素によって行われる様々な機能のいずれかを行う、電子サブアセンブリ54が提供される。本教示の一実施形態によれば、カテーテル26、特にカテーテル26の遠位端50または先端62の位置を判断するために使用されるために、電子サブアセンブリ54が提供されてもよい。あるいは、サブアセンブリ54は、例えば、先端電極に対するアブレーション電流の制御された送達、電気記録図の感知、温度感知、および信号処理または調整を含む、アブレーションカテーテル26と関連付けられる様々な機能を行うために使用されてもよい。サブアセンブリ54の機能性は医療用デバイスの性質に依存すること、またしたがって、デバイスがアブレーションカテーテルではない場合、サブアセンブリ54は異なる機能を行ってもよいことをさらに理解されたい。図示される実施形態では1つの電子サブアセンブリ54が示されているが、カテーテル26内で同じ、関連する、または異なる機能を行うのに、複数の電子サブアセンブリ54が使用されてもよいことを理解されたい。図示される実施形態では、サブアセンブリ54は、軸体46の遠位部分50に配設されているものとして例示されている。あるいは、電子サブアセンブリ54は、軸体46の任意の部分(先端62のオリフィス内、または先端62の近位で軸体46内に管腔を形成する構造上を含む)に配設することができる)。サブアセンブリ54は、可撓性基板72と、基板72上に取り付けられた1つ以上の電子デバイス74と、基板72から延在する1つ以上の導体76、78とを含んでもよい。
【0032】
可撓性基板72は、構造的支持を提供し、デバイス74および導体76、78の機械的および電気的コネクタとして役立つ。基板72は、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ならびに/あるいはTetoron(登録商標)、Teonex(登録商標)、およびMelinex(登録商標)の商標で販売され、DuPont Teijin Filmsから一般に入手可能であるポリエチレンナフタレート(PEN)など、任意の絶縁性かつ比較的可撓性の材料から作られてもよい。かかる材料、例えばPENは、悪影響を受けることなく高い処理温度に耐えることができてもよく、比較的薄くてもよく、それによって取扱い性および品質が改善されてもよい。図3を参照すると、1つの状態では、基板72はほぼ長方形の形状であってもよく、長さ80および幅82を有してもよい。基板72は対向面84、86を画定してもよく、後述する最終組立ての際、面84は内側面を含み、面86は外側面を含む。基板72はさらに、基板72の対向面に配設された縁部88、90を含む、面84、86の間を延在する縁部を画定してもよい。縁部88、90は、面84、86に垂直であってもよく、または面84、86の間を垂直以外の角度で延在する。基板72は、1つ以上の導電性区域92、94または接点パッドを内側面84上に、1つ以上の導電性区域96、98を外側面86上に画定してもよい。基板72はさらに、導電性区域92、96および94、98それぞれの間に導電性経路100、102を画定してもよい。図示される実施形態では、導電性区域92、94、96、98は基板72の近位端104に配設される。しかしながら、導電性区域92、94、96、98の1つ以上を、基板72の遠位端106に、または端部104、106間の位置に配置できることを理解されたい。さらに、導電性区域92、94、96、98は、面84、86の間を延在する任意の縁部を含む、基板72の任意の表面に配設されてもよい。また、図示される実施形態では、導電性区域92、96、および94、98は、導電性経路100、102が区域92、96と94、98とのそれぞれの間の可能な最短距離を延在するように整列される。しかしながら、区域92、94、96、98は、基板72上の様々な位置に配置することができ、経路100、102は、基板72を通る直線または回り道のルートを取って、区域92、94と96、98とをそれぞれ電気的に結合することを理解されたい。導電性区域92、94、96、98は、銅などの導電性材料から作られてもよく、無電解ニッケル/金、銀などの表面仕上げを有してもよい。
【0033】
当業者であれば、導電性経路100、102は(例えば、また非限定的に)、可撓性基板72を通る貫通ビアおよび/またはブラインドビアを構築することによって形成できることを理解するであろう。一実施形態では、導電性経路100、102は、導電性区域92、96と94、98との間に貫通ビアを作成し、貫通ビアを銅などの導電性材料で充填することによって形成される。したがって、導電性経路100、102は、可撓性基板72自体の形成/製造中(例えば、めっき中)に形成することができる。別の実施形態では、導電性経路100、102は、可撓性基板72を通して導電性区域92、94または96、98までレーザ穿孔し、その後、穿孔された穴を導電性ペーストで充填することによって形成される。デバイス74および/またはケーブル34の導体76、78からのリードワイヤは、導電性ペーストの硬化中に、導電性経路100、102および導電性区域92、94、96、98に電気的に接続されてもよい。いくつかの実施形態では、導電性区域92、94、96、98の一部またはすべてを導電性ペーストから作ることができる。
【0034】
デバイス74は、座標系内および身体24内で、カテーテル26の遠位部分の位置を判断するために使用するために提供される。しかしながら、上で論じたように、デバイス74の機能は、サブアセンブリ54が使用される医療用デバイスの性質に応じて変更されてもよい。さらに、図示される実施形態は基板72上の単一のデバイス74を示しているが、複数のデバイス74が基板72に取り付けられてもよいことを理解されたい。デバイス74は、電磁場検出器を、特に、コイル111を含むコイルアセンブリ108を備えてもよい。カテーテル26の遠位先端62が磁場内で動かされると、コイル111内で誘導された電流が変動し、コイル111がカテーテル26の先端62の位置を示す信号を発生させる。図示される実施形態では単一のコイル111が示されているが、複数のコイルが基板72上に、または異なるサブアセンブリの一部として異なる基板上に取り付けられて、三次元空間におけるカテーテル26の先端62の位置が判断されてもよい。コイル111は、基板72の長さ80もしくは幅82全体、または長さ80もしくは幅82の一部分のみに沿って延在してもよい。図示される実施形態では、コイル111は基板72の中央に配設されるが、基板72上におけるコイル111の位置は変動してもよいことを理解されたい。コイル111は、螺旋状に巻かれた連続ワイヤを含んでもよい。コイルアセンブリ108はさらに、コイル111がその周りに巻き付けられてもよい、磁気コア109を含んでもよい。コイルアセンブリ108は、コイル111のどちらかの端部または両端に、リード線110、112を含んでもよい。リード線110、112の軸方向端部は、はんだ付けによって導電性区域92、94それぞれに結合されてもよく、それぞれ表面積1131、1132を有してもよい。コイルアセンブリ108はさらに、非導電性のエポキシもしくはポリウレタンなどの接着剤を、基板72およびコイル108の一方または両方に使用し、接着剤を炉内で硬化させることによって、基板72に取り付けられてもよい。
【0035】
導体76、78は、電気信号をカテーテル26内の構成要素の間で、特に、デバイス74とECU34、または他の信号処理回路と調整回路の間で、転送するために設けられる。導体76、78は、基板72に接続され、基板72から軸体46の近位端48まで延在する、ワイヤまたはケーブルを備えてもよい。あるいは、導体76、78は、同時継続中の同一出願人による2014年1月28日付けの米国特許出願第61/932,499号(以下、499号出願)により詳細に論じられるような、軸体46を通って延在する管腔の表面に形成されたプリントトレースを備えてもよく、該出願の全体を本明細書に完全に記載されているものとして参照により組み込む。
【0036】
次に図4を参照すると、アセンブリ54が変形された状態で示される。その可撓性により、可撓性基板72は変形させることができる。一実施形態によれば、基板72は、長手軸114などの軸を中心にして変形され、デバイス74を少なくとも部分的に収容し、また図示される実施形態ではそれを周方向で取り囲む、円筒状に成形される。他の実施形態では、基板72は、軸対称ではない形で、かつ/または軸(長手方向もしくはその他)を中心にしない形で変形されてもよい。図示される実施形態では、縁部88、90は互いに合わせられ、紫外線硬化性接着剤などの接着剤で接合される。あるいは、可撓性基板72は、縁部88、90の間を延在する縁部を共に合わせることによって、基板72が軸114に垂直な軸を中心にして変形され、コイルアセンブリ108の軸方向端部を取り囲むようにすることによって、変形させるのが可能であることを理解されたい。さらに、図示される実施形態は、基板72の端面の形状が環状であるように、長さに沿って位置合わせされた縁部88、90を示しているが、縁部88、90は部分的にのみ重なり合い、それによって基板72の端面がより螺旋状の形状を取ってもよいことを理解されたい。代替実施形態では、基板72は、縁部88、90が互いを越えて延在し、面84、86の一部分が重なり合うように変形されてもよい。かかる実施形態では、接合は面84、86の間の重なり合った区域で生じ、導電性経路100、102は、重なり合った区域内へと、かつ/または重なり合った区域を通って延在してもよい。基板72はまた、円錐など、様々な形状および構成に変形させることができる。例えば、非限定的に、基板72は、基板72を(少なくとも部分的に)デバイス74の上に折り畳むことによって変形させることができる。さらに、基板72は、任意の回数の変形および/または折り畳みを行って、デバイス74を少なくとも部分的に収容することができる。基板72はデバイス74を少なくとも部分的に収容するので、基板72はデバイス74を外力から保護し、より堅牢なサブアセンブリ54を提供する。さらに、導電性区域92、94、96、98は、そこに接続するために、デバイス74および導体76、78によって簡単にアクセス可能なままである。
【0037】
図3に最も良く示されるように、導体76、78はそれぞれ(サブアセンブリ54に接続するために)遠位軸方向端部を有してもよく、各端部はそれぞれ、それ自体の表面積115、115を備える。一実施形態では、導電性区域92、94、96、98はそれぞれ、導体76、78の遠位軸方向端部の表面積115、115、ならびにコイルアセンブリ108のリード線110、112の軸方向端部の表面積113、113よりも大きい表面積(即ち、長さL1〜4および幅W1〜4の積によって画定され得る面84、86上で露出した面積)を有する(例えば、それぞれの接合を強化するため)。可撓性基板72は、電子サブアセンブリ54を少なくとも部分的に収容するように変形されるものとして例示されているが、当業者であれば、基板72は、組立ての際にサブアセンブリ54を少なくとも部分的に収容する形状を確実にするために、(例えば、押出しによって)予成形されてもよいことを理解するであろう。かかる実施形態では、基板72は、基板72の部分の間に接合がない一体構造であってもよい。さらに、当業者であれば、可撓性基板72は変形されなくてもよく、かつ/または電子サブアセンブリ54は収容されなくてもよいことを理解するであろう。例えば、非限定的に、可撓性基板72は、図3の実施形態に図示されるように変形されないままであってもよい。
【0038】
次に図5を参照すると、サブアセンブリ54が密閉された状態で示されている。当業者であれば、密閉は任意選択であり、電子サブアセンブリ54は図4に図示されるように密閉されないままであってもよいことを理解するであろう。一実施形態では、サブアセンブリ54は、電子用モールディング合成材料116で密閉されてもよい。電子用モールディング合成材料116はシリカ充填剤入り熱硬化性樹脂系なので、高い材料強度および耐久性、熱伝導率、ならびに絶縁破壊耐性を提供する。したがって、材料116は、密閉後の処理および組立てに対してさらなる保護および堅牢性を提供する。別の実施形態では、サブアセンブリ54は、当業者には「グロブトップ」として知られている方法によって密閉されてもよい。「グロブトップ」の実施形態では、導体76、78が導電性区域96、98に接続される前、または接続された後に、エポキシまたは樹脂の滴がサブアセンブリ54の上に堆積されてもよい。「グロブトップ」方法で使用される密閉剤は、(サブアセンブリ54中もしくはその周りを材料が流れるのを可能にするため)高い粘性を有してもよく、(例えば、非限定的に)Masterbond(登録商標)およびEpoTek(登録商標)の商標で販売されているもの、ならびに/あるいはHenkel AG & Co.KGaA、Master Bond Inc.、Epoxy Technology,Inc.、AI Technology,Inc.、Shin−Etsu Chemical Co.,Ltd.,NAMICS Corporation、Zymet Inc.、およびHitachi Chemical Co.,Ltd.から一般に入手可能なものなどの、「チップオンボード(COB)密閉剤」であってもよい。(例えば、非限定的に)熱可塑性樹脂(例えば、ポリカーボネート)を使用するシリコーン液体注入成形(LIM)および挿入注入成形など、他の方法および/または代替の成形材料が、サブアセンブリ54を密閉するために使用されてもよいことを理解されたい。材料116の所望の厚さはまた、カテーテルのサイズ、および電子サブアセンブリ54の所望の保護に応じて変動してもよい。さらに、密閉された電子サブアセンブリ54はほぼ円筒形状であってもよい。しかしながら、密閉された電子アセンブリ54は様々な形態で形作られてもよい。密閉に続いて、導電性区域96、98は、導体76、78をそれらに接続できるように、材料116(または、例えば「グロブトップ」の実施形態では、エポキシもしくは樹脂)を通して露出させてもよい。導体76、78は、リフローはんだペーストを使用して、導電性区域96、98にはんだ付けされてもよい。
【0039】
次に図6〜8を参照すると、変形前、変形された状態、および密閉された状態の、電子サブアセンブリ54aの代替実施形態が示されている。図3〜5の実施形態と同様に、可撓性基板72aの変形およびサブアセンブリ54aの密閉は任意選択である。サブアセンブリ54aはサブアセンブリ54に類似しているが、コイルアセンブリ108のリード線110、112は、基板72aの外側面86の導電性区域96、98に接続される。リード線110、112は可撓性基板72aの縁部の周りを延在するものとして図示されているが、あるいは、リード線110、112は基板72aを通って、基板72aのボアを介して導電性区域96、98まで直接延在できることを理解されたい。導体76、78は同じように導電性区域96、98に接続される。結果として、サブアセンブリ54aにより、サブアセンブリ54aの基板72aに見られるいくつかの導電性区域および区域間の導電性経路が排除される。
【0040】
再び図1を参照すると、アブレーション発生器28は、カテーテル26によって使用される高周波エネルギーを発生させ、送達し、また制御する。発生器28は、一対のソースコネクタ間で出力されるアブレーション信号を発生させるように構成された高周波発生器119と、カテーテル26の電極52に接続してもよい正極コネクタと、導体もしくはリードワイヤによって身体24上のパッチ電極(図示なし)に電気的に接続されてもよい負極コネクタとを含む。コネクタという用語は、本明細書で使用するとき、特定のタイプの物理的インターフェースメカニズムを示唆せず、それよりもむしろ、1つ以上の電気ノードを表すように広く考えられることを理解されたい。発生器28は、1つ以上のユーザ指定のパラメータ(例えば、パワー、時間など)に従って、また当該分野で知られている様々なフィードバック感知および制御回路構成の制御下で、所定の周波数で信号を発生させるように構成される。アブレーション発生器28はまた、インピーダンス、カテーテル26の先端62の温度、アブレーションエネルギー、およびカテーテル26の位置などを含む、アブレーション処置と関連付けられた様々なパラメータを監視し、これらのパラメータに関してフィードバックを医師に提供してもよい。
【0041】
RCGS30は、カテーテル26を操作するために提供されてもよい。特に、RCGS30により、カテーテル26およびそれを取り囲む任意のシースの並進、遠位への曲り、および仮想回転の制御が可能になる。したがって、RCGS30は、従来の手動操作式システムによって提供されるものと類似したタイプの制御をユーザに提供するが、繰返し可能で精密で動的な動きが可能になる。医師は、組織22の画像上で、(潜在的に、経路を形成する)標的位置を識別してもよい。RCGS30は、これらのデジタルで選択された点を患者の実際の/物理的な解剖学的構造内の位置に関連させ、その後、医師またはRCGS30が治療機能の所望の診断を行うことができる画定された位置まで、カテーテル26の動きをコマンド制御してもよい。RCGSの様々な要素のより完全な説明は、以下の特許出願に見出すことができ、それらそれぞれの全体を参照により本明細書に組み込む。2009年10月1日公開の国際特許出願公開WO2009/120982号、2009年10月1日公開の米国特許出願公開第2009/0247942号、2009年10月1日公開の米国特許出願公開第2009/0247944号、2009年10月1日公開の米国特許出願公開第2009/0247993号、2009年10月1日公開の米国特許出願公開第2009/0248042号、2010年10月7日公開の米国特許出願公開第2010/0256558号、および2011年1月20日公開の米国特許出願公開第2011/0015569号。RCGS30の特定の実施形態が上述の出願に記載され例示されているが、RCGS30は様々な異なる実施形態を想定してもよいことを理解されたい。例えば、RCGS30は、「Magellan」および「Sensei」の商標でHansen Medical,Inc.によって販売されているシステムのいずれかを備えてもよい。RCGS30はまた、磁場の発生に応答する磁気部材を有するアブレーションカテーテルを誘導するのに磁場が使用される、「Epoch」の商標でStereotaxis,Inc.によって販売されているシステムなど、磁気ナビゲーションシステムを備えてもよい。
【0042】
診断および治療を支援する情報を医師に伝える、ディスプレイシステム32が提供される。ディスプレイシステム32は、1つ以上の従来のコンピュータモニタまたは他のディスプレイデバイスを備えてもよい。ディスプレイシステム32は、グラフィックユーザインターフェース(GUI)を医師に提示する。GUIは、例えば、組織22の幾何学形状の画像、組織22と関連付けられた電気生理学データ、多様な電極52に関する時間に伴う電圧レベルを示すグラフ、カテーテル26および他の医療用デバイスの画像、ならびに組織22に対するカテーテル26および他のデバイスの位置を示す関連情報を含む、様々な情報を含んでもよい。
【0043】
ECU34は、アブレーションカテーテル26による組織22へのアブレーションエネルギーの送達を制御するための、またカテーテル26、アブレーション発生器28、RCGS30、およびディスプレイシステム32を含むシステム20の様々な構成要素の動作を制御するための手段を提供する。ECU34はさらに、St.Jude Medical,Inc.によってEnSite(商標)NavX(商標)の商標で販売され、その開示全体を参照により本明細書に組み込む米国特許第7,263,397号に記載されているシステム、またはSt.Jude Medical,Inc.によって販売され、例えば、その開示全体を参照により本明細書に組み込む米国特許第7,386,339号に全体的に示され記載されている、MediGuide(商標)Technologyなどのシステムなど、身体24内におけるカテーテル26および同様のデバイスの位置と配向を判断するシステムの一部を形成してもよい。ECU34は、1つ以上のプログラマブルマイクロプロセッサもしくはマイクロコントローラを備えてもよく、または1つ以上のASICを備えてもよい。ECU34は、中央処理装置(CPU)および入出力(I/O)インターフェースを含んでもよく、それを通してECU34は、カテーテル26上のアブレーション発生器28、電極52、および電子サブアセンブリ54、54a、ならびにRCGS 30によって発生した信号を含む複数の入力信号を受信し、電極52、サブアセンブリ54、54a、アブレーション発生器28、RCGS30、およびディスプレイシステム32に対するデータの制御および/または提供に使用される、複数の出力信号を発生させてもよい。
【0044】
カテーテル26の遠位端50の位置および配向を判断するために使用される磁場を発生させる、フィールド発生器36が提供される。発生器36は、固定位置に配設されてもよく、多方向座標系を確立する。発生器36によって発生するフィールドは、サブアセンブリ54または54a上のコイルアセンブリ108など、カテーテル26内の1つ以上の位置センサ内で電流を誘導する。コイルアセンブリ108内で誘導される電流は、発生器36によって発生した磁場内におけるコイル111の位置に依存し、したがって、磁場内および身体24内におけるカテーテル26の位置の指示を提供する。一実施形態では、フィールド発生器36は、身体24を含む範囲内に磁場を作り出し、場の強度、配向、および周波数を制御するように配置される、3つの直交して配置されたコイルの組を含む。フィールド発生器36は、MediGuide(商標)の商標でSt.Jude Medical,Inc.によって入手可能になっており、例えば、その開示全体を参照により本明細書に組み込む、米国特許第7,386,339号に全体的に示され記載されている、システムの一部またはすべてを備えてもよい。あるいは、発生器36は、「CARTO」の商標でBiosense Webster,Inc.によって販売されているシステムの一部またはすべてを備えてもよい。
【0045】
次に図9を参照すると、本教示による、身体24内の組織22の診断または治療のための医療用デバイス26を製造する1つ以上の方法が例示されている。方法は、可撓性基板72または72aを提供するプロセス118で始まってもよい。上に記載したように、基板72は、基板72の内側面84上の導電性区域92、94と、基板72の外側面86上の導電性区域96、98と、導電性区域92、96と94、98それぞれの間を延在する導電性経路100、102とを含んでもよい。基板72aは、基板72aの外側面86上に導電性区域96、98を含んでもよい。
【0046】
方法は、デバイス74を基板72または72aの内側面84上に取り付け、デバイス74を1つ以上の導電性区域(基板72上の導電性区域92、94、もしくは基板72a上の導電性区域96、98など)に結合するプロセス120を継続してもよい。プロセス120はいくつかのサブプロセスを含んでもよい。特定の実施形態では、接着剤が基板72、72aおよびデバイス74の一方または両方に塗布されて、接合区域を形成してもよい。接着剤は紫外線(UV)接着剤を含んでもよい。しかしながら、非導電性のエポキシもしくはポリウレタンなど、他の接着剤またはエポキシが使用されてもよいことを理解されたい。接着剤が塗布された後、可撓性基板72、72aおよびデバイス74は接合区域で接合されてもよい。その後、接着剤は硬化されてもよい。プロセス120はさらに、デバイス74を基板72の導電性区域92、94または基板72aの導電性区域96、98に電気的に接続することを含んでもよい。デバイス74は、リード線110、112を基板72上の導電性区域92、94または基板72a上の導電性区域96、98にはんだ付けすることによって、導電性区域92、94または96、98に結合されてもよい。かかる実施形態では、リフローさせたはんだペーストが導電性区域92、94または96、98に塗布されてもよい。リフローさせるはんだペーストのタイプは、Kester 520A SAC305など、タイプ3〜6の鉛フリーはんだペーストを含んでもよい。別の実施形態によれば、Ablebond 2000などの導電性エポキシ接着剤が、リード線110、112を基板72の導電性区域92、94または基板72aの導電性区域96、98に結合するために使用されてもよい。はんだペーストまたは導電性接着剤は、シリンジを使用して手動で分配されてもよく、または自動設備から分配することができる。ペーストまたは接着剤が塗布された後、デバイス74は、デバイス74がはんだペーストに接触するように位置決めされてもよい。その後、基板72、72aおよびデバイス74は次に、硬化炉またはリフロー炉に入れられて、接着剤および/またはリフローさせたはんだペーストを硬化させてもよい。
【0047】
方法は、縁部88、90などの対向縁部が動いて互いに近付くように、可撓性基板72、72aを変形させるプロセス122を継続してもよい。一実施形態によれば、プロセス122は、自動または半自動設備を使用して行われてもよい。基板72、72aは、デバイス74を少なくとも部分的に収容するように変形される。図示される実施形態では、例えば、基板72、72aは、縁部88、90を互いに近付けて基板72、72aを円筒形状に変形させ、デバイス74を周方向で取り囲むようにすることによって、軸114を中心にして変形されてもよい。他の実施形態では、基板72、72aは、軸対称ではない形で、かつ/または軸(長手方向もしくはその他)を中心にしない形で変形されてもよい。基板72、72aは、基板72、72aを(少なくとも部分的に)デバイス74の上に折り畳むことによって変形させることができる。さらに、基板72、72aは、任意の回数の変形および/または折り畳みを行って、デバイス74を少なくとも部分的に収容することができる。図示される実施形態は、デバイス74を基板72、72aに取り付けるプロセス120の後に、基板72、72aを変形させるプロセス122が行われることを示しているが、プロセス120、122は、全体的または部分的に逆の順序で行うことができる(例えば、デバイス74は、変形前に基板72、72aに取り付けられてもよいが、リード線110、112は、変形後に導電性区域92、94または96、98に結合されてもよい)ことを理解されたい。
【0048】
方法は、縁部88、90を結合して、デバイス74を可撓性基板72、72a内に少なくとも部分的に収容するプロセス124を継続してもよい。プロセス124はいくつかのサブプロセスを含んでもよい。接着剤が、縁部88、90の一方または両方に塗布されてもよい。接着剤は、最小限の時間量で十分な接着剤強度を提供するように、UV硬化性接着剤を含んでもよい。例えば、適切な接着剤は、100mW/cmのフラックスで硬化するHenkel Loctite 3913、3971、および3972である。その後、対向する縁部88、90が互いに、また接着剤と接触するように、縁部88、90は重ね合わされてもよい。最後に、接着剤が硬化されてもよい。縁部88、90は、機械的締結具など、他の接合メカニズムを使用して結合されてもよいことを理解されたい。さらに、縁部88、90は、面84、86の重なり合う部分を結合することによって、互いに直接または間接的に結合されてもよい。さらに、当業者であれば、プロセス124は任意選択であり、基板72、72aは、(直接もしくは間接的に)縁部88、90を結合せずに、デバイス74を少なくとも部分的に収容してもよいことを理解するであろう。
【0049】
特定の実施形態では、方法は、任意選択で、電子サブアセンブリ54、54aを電子用モールディング合成材料116で密閉するプロセス126を継続してもよい。プロセス126はいくつかのサブプロセスを含んでもよい。電子サブアセンブリ54、54aは金型キャビティに入れられてもよい。その後、材料116が金型キャビティ内に分配される。材料116は、Hitachi CEL 9200(または9700シリーズ)モールディング材料で作ることができる。適切なシリコーンLIM材料としては、Dow−Corning LSR & FLSRシリーズの材料が挙げられる。材料116が硬化すると、電子サブアセンブリ54、54aは金型キャビティから除去されてもよい。別の実施形態では、サブアセンブリ54、54aは「グロブトップ」方法によって密閉されてもよい。「グロブトップ」の実施形態では、導体76、78が導電性区域96、98に接続される前、または接続された後に、エポキシまたは樹脂の滴がサブアセンブリ54、54aの上に堆積されてもよい。グロブトップ方法で使用される密閉剤は、(例えば、非限定的に)Masterbond(登録商標)およびEpoTek(登録商標)の商標で販売されているもの、ならびに/あるいはHenkel AG & Co.KGaA、Master Bond Inc.、Epoxy Technology,Inc.、AI Technology,Inc.、Shin−Etsu Chemical Co.,Ltd.,NAMICS Corporation、Zymet Inc.、およびHitachi Chemical Co.,Ltd.から一般に入手可能なものなどの、「チップオンボード(COB)密閉剤」であってもよい。(例えば、非限定的に)熱可塑性樹脂(例えば、ポリカーボネート)を使用するシリコーン液体注入成形(LIM)および挿入注入成形など、他の方法および/または代替の成形材料が、サブアセンブリ54、54aを密閉するために使用されてもよいことを理解されたい。
【0050】
電子サブアセンブリ54、54が密閉される場合、方法は、材料116(または、例えば、「グロブトップ」方法によって密閉されている場合、エポキシもしくは樹脂)を除去し、導体76、78へ電気的に接続するために、導電性区域96、98を露出させるプロセス128を継続してもよい。一実施形態によれば、かかるアブレーションは、導電性区域76、78の上に配設された有機成形材料にアブレーションを施すように調整された、レーザエネルギーを用いたレーザアブレーションであってもよい。
【0051】
プロセス128(または、密閉が行われない場合はプロセス124)に続いて、方法は、電子サブアセンブリ54、54aをカテーテル26の軸体46に挿入するプロセス130を継続してもよい。一実施形態では、軸体46の先端62はオリフィスを含んでもよく、そこに電子サブアセンブリ54、54aが挿入されてもよい。挿入されると、電子サブアセンブリ54、54aを固定するために、オリフィスはポリウレタンなどのエポキシで充填されてもよい。あるいは、接着剤が使用されてもよい。別の実施形態では、軸体46は先端62の近位に管腔を含んでもよく、そこを通して導体76、78が延在し、かつ/または灌注流体が移動する。かかる実施形態では、電子サブアセンブリ54、54aは管腔を形成する構造に付着されてもよい。
【0052】
方法は、導体76、78を導電性区域96、98に電気的に結合するプロセス132を継続してもよい。一実施形態によれば、導体76、78は導電性区域96、98にはんだ付けされてもよい。かかる実施形態では、リフローさせたはんだペーストが導電性区域96、98に塗布されてもよい。リフローさせるはんだペーストのタイプは、Kester 520A SAC305など、タイプ3〜6の鉛フリーはんだペーストを含んでもよい。別の実施形態によれば、Ablebond 2000などの導電性エポキシ接着剤が、導体76、78を導電性区域96、98と結合するために使用されてもよい。はんだペーストまたは導電性接着剤は、シリンジを使用して手動で分配されてもよく、または自動設備から分配することができる。導体76、78が導電性区域96、98に結合されると、はんだペースト(または導電性接着剤)は炉内で硬化されてもよい。
【0053】
本教示による医療用デバイスおよびその作成方法は、従来のデバイスおよび方法に比べて有利である。本教示による医療用デバイスおよびその作成方法は、より堅牢でコンパクトなセンサを提供するとともに、センサと近位に延在する導体との間に信頼性の高い接続を提供し、その一方でデバイスの機能性を維持または改善する。さらに、デバイスを作成する方法は従来の方法ほど複雑でも高価でもなく、結果として、製造後試験中の故障率がより低い。
【0054】
本開示のいくつかの実施形態についてある程度詳細に上で説明してきたが、当業者であれば、本開示の範囲から逸脱することなく、開示した実施形態に対して多数の改変を行うことができる。すべての方向に関する言及(例えば、上、下、上向き、下向き、左、右、左向き、右向き、頂部、底部、上方、下方、垂直、水平、時計方向、および反時計方向)は、単に本開示を読者が理解するのを助けるために識別の目的で使用されるものであり、特に、開示した実施形態の位置、配向、または使用に関して限定をもたらすものではない。接合に関する言及(例えば、付着される、結合される、接続されるなど)は広く解釈されるべきであり、要素の接続部間の中間部材、および要素間の相対移動を含んでもよい。そのために、接合に関する言及は、2つの要素が直接接続され、互いに固定の関係にあるものと必ずしも推論するものではない。上述の説明に含まれるか、または添付図面に示されるすべての事項は、限定ではなく単なる例示として解釈されるものとする。添付の特許請求の範囲で定義される本開示から逸脱することなく、詳細または構造の変更が行われてもよい。
【0055】
参照により本明細書に組み込まれると言われている、あらゆる特許、出版物、または他の開示資料の全体もしくは部分は、組み込まれる資料が本開示で記載している既存の定義、記述、または他の開示と矛盾しない範囲でのみ本明細書に組み込まれる。そのために、必要な範囲で、本明細書に明示的に記載されている開示は、参照により本明細書に組み込まれるあらゆる矛盾する資料に取って代わる。参照により本明細書に組み込まれると言われているが、本明細書で説明している既存の定義、記述、または他の開示資料と矛盾するあらゆる資料またはその一部は、組み込まれる試料と既存の開示資料との間に矛盾が生じない範囲でのみ組み込まれる。本明細書の開示により、下記の各項目に記載されたデバイス及びその製造方法が把握される。
[項目1]
体内の組織の診断または治療のための医療用デバイスであって、
近位端および遠位端を有する細長い管状の変形可能な軸体と、
前記軸体内に配設された電子サブアセンブリと、
前記電子サブアセンブリに結合されるとともに前記電子サブアセンブリから延在する導体とを備え、
前記電子サブアセンブリは、
内側面および前記内側面とは反対側の外側面を有し、第1の導電性区域を画定する可撓性基板と、
前記可撓性基板の前記内側面に取り付けられ、前記第1の導電性区域に結合されており、前記可撓性基板内に少なくとも部分的に収容される電子デバイスとを含む、
デバイス。
[項目2]
前記可撓性基板は、前記内側面と前記外側面との間を延在し、共に結合された第1および第2の縁部をさらに有する、項目1に記載のデバイス。
[項目3]
前記第1の導電性区域が前記可撓性基板の前記内側面上にある、項目1に記載のデバイス。
[項目4]
前記可撓性基板は、円筒形状であって、前記電子デバイスを周方向で取り囲む、項目1に記載のデバイス。
[項目5]
前記電子デバイスは電磁場検出器である、項目1に記載のデバイス。
[項目6]
前記電磁場検出器は、螺旋状に配設された連続ワイヤ要素によって画定されるコイルを有する、項目5に記載のデバイス。
[項目7]
前記電磁場検出器はコアをさらに有し、前記コイルは前記コアに巻き付けられる、項目6に記載のデバイス。
[項目8]
前記第1の導電性区域は、前記可撓性基板の前記内側面上にあり、
前記電子サブアセンブリは、前記外側面上の第2の導電性区域と、前記第1および第2の導電性区域との間にある第1の導電性経路とをさらに含み、
前記導体は、前記第2の導電性区域に結合される、項目1に記載のデバイス。
[項目9]
前記第1および第2の導電性区域は、前記可撓性基板の近位端に配設される、項目8に記載のデバイス。
[項目10]
前記電子サブアセンブリは、密閉剤によって密閉される、項目1に記載のデバイス。
[項目11]
第1の導電性区域は、前記可撓性基板の前記内側面上にあり、
前記電子サブアセンブリは、前記外側面上に第2の導電性区域をさらに含み、
前記第2の導電性区域は、前記導体に接続するために前記密閉剤を通して露出される、項目10に記載のデバイス。
[項目12]
体内の組織の診断または治療のための医療用デバイスを製造する方法であって、
内側面および前記内側面とは反対側の外側面と、前記内側面および前記外側面の間を延在する第1および第2の縁部とを有し、第1の導電性区域を画定する可撓性基板を提供すること、
電子デバイスを前記可撓性基板の前記内側面に取り付け、前記電子デバイスを前記第1の導電性区域に結合すること、
前記可撓性基板を、前記電子デバイスを少なくとも部分的に収容するように変形させること、
前記可撓性基板を、近位端および遠位端を有する細長い管状の変形可能な軸体に挿入すること、及び、
導体を前記電子デバイスに電気的に結合すること、
を備える方法。
[項目13]
前記可撓性基板の前記第1および第2の縁部を互いに結合して、前記電子デバイスを前記可撓性基板内に少なくとも部分的に収容することをさらに備える、項目12に記載の方法。
[項目14]
前記第1および第2の縁部を結合することが、
接着剤を前記可撓性基板の前記第1の縁部に塗布すること、
前記第2の縁部の少なくとも一部分が前記接着剤に接触するように前記可撓性基板の前記第2の縁部を前記第1の縁部と重ね合わせること、及び、
前記接着剤を硬化させることを含む、項目13に記載の方法。
[項目15]
前記変形させることが、前記可撓性基板の前記第1および第2の縁部を互いに近接させることを含む、項目12に記載の方法。
[項目16]
前記電子デバイスはコイルを有し、
前記取り付けることは、前記電子デバイスの前記コイルを前記第1の導電性区域に電気的に接続することを含む、項目12に記載の方法。
[項目17]
前記変形させることは、前記電子デバイスの長手軸を中心にして前記可撓性基板を変形させることを含む、項目12に記載の方法。
[項目18]
前記変形させることは、前記可撓性基板を変形させて円筒形状にすることを含む、項目12に記載の方法。
[項目19]
前記第1の導電性区域は、前記可撓性基板の前記内側面上に配設される、項目12に記載の方法。
[項目20]
前記可撓性基板は、前記可撓性基板の前記外側面上の第2の導電性区域と、前記第1および第2の導電性区域の間の第1の導電性経路とを含み、
前記第1の導電性区域は、前記可撓性基板の前記内側面上に配設され、
前記導体を前記電子デバイスに電気的に結合することは、前記導体を前記第2の導電性区域に電気的に結合することを含む、項目12に記載の方法。
[項目21]
前記可撓性基板および前記電子デバイスを、密閉剤を用いて密閉することをさらに含む、項目12に記載の方法。
[項目22]
前記密閉剤を除去して、前記導体に接続するために前記可撓性基板上で前記第2の導電性区域を露出させることをさらに含む、項目21に記載の方法。
[項目23]
体内の組織の診断または治療のための医療用デバイスであって、
近位端および遠位端を有する細長い管状の変形可能な軸体と、
前記軸体内に配設された電子サブアセンブリと、
前記電子サブアセンブリに結合される遠位端を有するとともに前記電子サブアセンブリから近位側へ延在する導体とを備え、
前記電子サブアセンブリは、
第1の面および前記第1の面とは反対側の第2の面を有し、導電性区域を画定する可撓性基板と、
前記可撓性基板の前記第1の面に取り付けられ、前記導電性区域に結合される電子デバイスとを有し、
前記導体は、前記導電性区域と電気的に連通しており、前記導電性区域の表面積が前記導体の前記遠位端の表面積よりも大きい、
デバイス。
[項目24]
前記導電性区域は、前記可撓性基板の前記第1の面に配設される第1の導電性区域と、前記可撓性基板の前記第2の面に配設される第2の導電性区域とを有し、
前記第1および第2の導電性区域は、導電性経路によって電気的に連通しており、
前記電子デバイスは、前記第1の導電性区域に結合され、前記導体が前記第2の導電性区域に結合される、項目23に記載のデバイス。
[項目25]
前記導電性区域は、前記可撓性基板の前記第1および第2の面の一方のみに配設され、
前記導体は、前記導電性区域に結合される、項目23に記載のデバイス。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9