(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、実施の形態について図面を参照しながら説明する。ただし、実施の形態は多くの異
なる態様で実施することが可能であり、趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態
及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は
、以下の実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0035】
なお、本明細書で説明する各図において、各構成の大きさ、膜の厚さ、又は領域は、明瞭
化のために誇張されている場合がある。よって、必ずしもそのスケールに限定されない。
【0036】
なお、本明細書等において、第1、第2等として付される序数詞は、便宜上用いるもので
あり、工程順又は積層順を示すものではない。また、本明細書等において発明を特定する
ための事項として固有の名称を示すものではない。
【0037】
本明細書において、「平行」とは、二つの直線が−10°以上10°以下の角度で配置さ
れている状態をいう。従って、−5°以上5°以下の場合も含まれる。また、「垂直」と
は、二つの直線が80°以上100°以下の角度で配置されている状態をいう。従って、
85°以上95°以下の場合も含まれる。
【0038】
また、本明細書において、結晶が三方晶または菱面体晶である場合、六方晶系として表す
。
【0039】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明に係る表示装置の一形態を、
図1乃至
図3を用いて説明する。
【0040】
図1(A)は、本発明に係る表示装置の一形態を鳥瞰した斜視図である。表示装置100
は、可撓性基板101と、可撓性基板101に対向して設けられた可撓性基板102と、
可撓性基板101に電気的に接続されたFPC(フレキシブルプリント回路基板)108
を有する。可撓性基板101と可撓性基板102とはシール材(図示せず)により接着さ
れ、さらにその側面に該シール材とは異なるシール材106が設けられている。
【0041】
図1(A)に示すように、本発明に係る表示装置は、対向する一組の基板にそれぞれ可撓
性を有する基板を用いている。このため、表示装置100全体が可撓性(フレキシビリテ
ィ)を有する。従って、本発明に係る表示装置は、
図1(A)に示すように表示装置が上
に凸になるように湾曲することができ、また図示しないが、下に凸となるように、あるい
は波状となるように湾曲させることができ、さらに表示装置を捻った形状とすることもで
きる。このため、本発明に係る表示装置を、電子機器等の曲面形状を有する表示部に適用
することができる。
【0042】
図1(B)は、本発明に係る表示装置の上面図である。
図1(B)においては、表示装置
は湾曲していない状態を示している。
図1(B)に示すように、本発明に係る表示装置1
00は、可撓性基板101と、可撓性基板101上に対向して設けられた可撓性基板10
2と、可撓性基板101に電気的に接続されたFPC108とを有する。本実施の形態に
係る表示装置が有する可撓性基板101には、FPC108を接続するための領域が必要
である。このため、可撓性基板101が有する四辺のうち少なくとも1辺には、可撓性基
板102と対向しないオフセット領域を有する。すなわち、可撓性基板102は、可撓性
基板101よりも面積が小さい。
【0043】
表示装置100は、表示領域103を有する。表示領域103には表示素子が設けられ、
一続きのシール材105によって囲まれている。またシール材105は、可撓性基板10
1と、これに対向する可撓性基板102とを接着している。
【0044】
図1に示す表示装置100においては、シール材105で囲まれた領域に走査線駆動回路
104a、104bが表示領域103を挟んで設けられている。一方、信号線駆動回路は
、ICチップ107に形成され、COF(チップオンフィルム)技術を用いて可撓性基板
101のオフセット領域に設けられている。また、外部信号の入力や電力の供給を行うた
め可撓性基板101のオフセット領域における外部入力端子109に、FPC108が電
気的に接続している。しかし、本発明に係る表示装置においてはこのような構成に限られ
ず、走査線駆動回路及び信号線駆動回路の双方をそれぞれICチップに形成して可撓性基
板101に配置してもよく、あるいは走査線駆動回路及び信号線駆動回路の双方を可撓性
基板101上に一体形成してもよい。
【0045】
ここで、表示装置100の側面には、シール材105とは異なるシール材106が設けら
れている。具体的には、シール材106は、表示装置100においてFPC108が接続
する1辺(オフセット領域が設けられた辺)では可撓性基板102の側面及び可撓性基板
101の上面に設けられており、その他の3辺(オフセット領域が設けられていない辺)
では可撓性基板101の側面及び可撓性基板102の側面に、全体として閉ループを形成
するように一続きに設けられている。
【0046】
このように、表示装置100において、シール材105及びシール材106により表示領
域103を囲む二重の封止構造を形成することで、表示領域103に水や水分等の侵入を
防止又は抑制することが可能になり、可撓性を有する表示装置100の信頼性を向上させ
ることができる。
【0047】
次に、
図2及び
図3を用いて、本発明の態様の一に係る表示装置100の封止構造につい
て詳説する。
図2(A)乃至(C)及び
図3は、それぞれ異なる封止構造をとる表示装置
であり、いずれも
図1(B)の表示装置100の上面図に示すA−A’の箇所の断面を示
す。
【0048】
図2(A)は、表示装置100の封止構造の一例を示す表示装置100aの断面図である
。可撓性基板101上に、可撓性基板101に対向して可撓性基板102が設けられてい
る。可撓性基板101と可撓性基板102とはシール材105によって貼り合わされてい
る。可撓性基板101上には絶縁層110が設けられ、絶縁層110上に素子層111が
設けられている。従って、可撓性基板101は素子基板とよぶこともできる。
【0049】
絶縁層110は、素子層111の下地膜として機能するもので、素子層111を形成する
ための平坦性の確保や、素子層111と可撓性基板101との絶縁分離、可撓性基板10
1から素子層111への汚染物質の侵入防止等、種々の機能を持たせることができる。
【0050】
素子層111は、表示領域103に画像を表示するための表示素子や、表示素子を駆動す
るための素子を少なくとも含む層である。表示素子とは例えば有機ELを用いた発光素子
であり、表示素子を駆動するための素子とは例えばチャネル形成領域に半導体膜を用いた
トランジスタである。また、これらを電気的に接続する配線層や、外部からの信号を伝達
するための配線層、絶縁分離するための絶縁層、その他走査線駆動回路等を素子層111
に含んでいてもよい。
【0051】
なお、図中では素子層111は、シール材105に囲まれた領域内に設けられているが、
素子層111を構成する全ての要素がシール材105内のみに設けられている必要はなく
、例えば表示素子を駆動するための素子の形成に用いられる絶縁層がそのままシール材1
05の外部へ延在していてもよく、該素子に接続する配線層がそのままシール材105の
外部へ延在していてもよい。すなわち、シール材の素子層111が含む表示素子及び表示
素子を駆動するための素子が少なくともシール材105の内部にのみ設けられていればよ
い。
【0052】
表示素子としては、有機ELを用いた発光素子を用いることができる。
図2(A)では、
発光素子を表示素子として用いることで、発光素子からの光を上方に射出させる上方射出
型(トップエミッション型)の表示装置とすることができる。
【0053】
一方、可撓性基板101に対向して設けられた可撓性基板102上(図においては可撓性
基板102の下)には、カラーフィルタ層112が設けられている。カラーフィルタ層1
12は、例えば、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の3色それぞれのカラーフィルタ
、遮光層(ブラックマトリクス)、オーバーコート層等により構成される。ただし、これ
らの構成は表示装置100の表示方式等に応じて適宜付加、削除することができる。例え
ば、表示装置100が素子層111に発光素子を有する発光装置である場合において、R
GBそれぞれの光を発光する発光素子がそれぞれ設けられている場合には、カラーフィル
タを用いない構成としてもよい。また、可撓性基板101が透明又は半透明な部材を用い
た場合には、下方へ発光素子の光を照射する下方射出方式の発光装置とすることができ、
この場合にはカラーフィルタ層112は不要となる。
【0054】
図2(A)に示すように、可撓性基板102は可撓性基板101よりも面積が小さく、可
撓性基板101が可撓性基板102と対向せずに露出する部分を有する。これを本明細書
ではオフセット領域とよぶ。このオフセット領域に、外部信号の入力や電力の供給を行う
ためのFPC108が電気的に接続されている。図示しないが、FPC108は外部入力
端子において、異方性導電膜113を介して、シール材105内部に設けられた素子層1
11と電気的に接続する。
【0055】
異方性導電膜113は、熱硬化性、又は熱硬化性及び光硬化性の樹脂に導電性粒子を混ぜ
合わせたペースト状又はシート状の材料を硬化させたものである。光照射や熱圧着によっ
て異方性の導電性を示す材料となる。異方性導電膜113に用いられる導電性粒子として
は、例えば球状の有機樹脂をAuやNi、Co等の薄膜状の金属で被覆した粒子を用いる
ことができる。
【0056】
シール材105は、上述したような可撓性基板101と可撓性基板102とを接着する機
能を有するとともに、シール材105により囲まれた領域内部へ、表示素子や表示素子を
駆動するための素子に対して不純物となる水等の汚染物質の侵入を防止又は抑制する機能
を有する。従って、シール材105は、表示領域103を囲んで一続きに形成されている
ことが好ましい。さらに、可撓性基板101と可撓性基板102との基板間隔を保持する
機能を有していてもよく、また表示装置100aに加わる衝撃や応力を緩和する機能を有
していてもよい。
【0057】
シール材105としては、例えばエポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂などの樹脂
材料を用いることができる。これらの樹脂材料には、熱硬化型、光硬化型又はその両方の
いずれを用いてもよい。また、シール材105として、アクリル系樹脂とエポキシ系樹脂
とを混合するような、異なる種類の樹脂を混合した樹脂を用いてもよい。これらの樹脂に
、UV開始剤、熱硬化剤、カップリング剤など適宜混合して用いる。また、シール材10
5はフィラーを含んでいてもよい。フィラーには、シリカ等の無機絶縁物からなる球体又
は円柱体等を用いることができる。フィラーを混入させることで、シール材105の粘度
や強度を調整することができる。また、フィラーの大きさを適切に設計することで、可撓
性基板101及び可撓性基板102の間隔を一定に保持させる機能を具備させることがで
きる。
【0058】
また、シール材105としては、上記の樹脂の他に、低融点ガラスを含むフリットガラス
(ガラスフリットを用いたガラス材料)を用いることができる。シール材105としてフ
リットガラスを用いた場合、樹脂を用いた場合に比べて高い気密性を得ることができる。
【0059】
このように、シール材105を配置することで、表示領域103を外部から遮断して、水
分等の汚染物質の表示領域103への侵入を防止又は抑制することができる。また、これ
に加えて、可撓性基板101と可撓性基板102とを接着して、表示装置の強度を向上さ
せることができる。従って、信頼性の高い可撓性を有する表示装置を作製することができ
る。
【0060】
シール材106は、部材106aと部材106bとにより構成される。シール材106は
、シール材105を囲むようにシール材105の外側に設けられており、可撓性基板10
1と可撓性基板102とシール材105とで形成される基板間の間隙部分と、可撓性基板
101と可撓性基板102との側面に接して設けられている。ただし、表示装置100a
のオフセット領域のある辺においては、シール材106は、該間隙部分と、可撓性基板1
02の側面及び可撓性基板101の上面に接して設けられている。
【0061】
シール材106は、表示素子やトランジスタに対して不純物となる物質(水など)が、外
部から侵入することを防止又は抑制する機能を少なくとも有するものである。なお、シー
ル材106は、その他の機能を有していてもよい。例えば、構造を強化する機能、接着性
を強化する機能、耐衝撃性を強化する機能などがあげられる。
【0062】
以上に示したシール材105及びシール材106は、透湿度が低いほど好ましい。
【0063】
ここで、透湿度とは、1日当たりに単位面積(1m
2)のフィルム等の材料を透過する水
の質量(単位g/m
2・day)を表したものである。透湿度を低くすることにより、外
部からの水や水分等の不純物の侵入を防止又は抑制することができる。
【0064】
上記透湿度は、MOCON法やカップ法と呼ばれる透湿性試験により算出することができ
る。MOCON法とは、測定対象となる材料を透過する水蒸気を、赤外線センサを用いて
測定する方法である。また、カップ法は、測定対象となる材料を透過した水蒸気を、カッ
プに入っている吸湿剤に吸水させ、吸水した吸湿剤の重量変化から透湿度を測定する方法
である。
【0065】
透湿度としては、例えば発光装置用途に市販されているシール材では、100μmの膜厚
とした場合に16g/m
2・dayである。また、ガラスフリットを用いて形成されたガ
ラス層をシール材として用いる場合には、0.01g/m
2・day以下である。従って
、本願発明に係る封止構造を用いることで、表示装置の上記透湿度を上記に記載した透湿
度以下とすることができる。
【0066】
シール材106には、種々の材料及び構造を適用することができる。以下、具体的なシー
ル材106の例について、
図2(A)乃至
図2(C)、及び
図3を用いて説明する。
【0067】
図2(A)に示す表示装置100aにおいては、シール材106は、最外周に設けられた
部材106bと、該部材106bと基板との間に設けられた部材106aとにより構成さ
れる。
【0068】
部材106bは、例えば金属材料又はプラスチック材料等を適用することができ、金属材
料としては、例えばアルミニウム、ステンレス鋼(SUS)、鉛、ニッケルなどを含む材
料を適用できる。このような材料は樹脂材料に比べて透湿度が低いため、部材106bを
設けることで表示装置の信頼性を向上させることができる。
【0069】
また、部材106bとしてはんだを用いてもよい。はんだは、Sn−Pb系、Pb−Sn
−Sb系、Sn−Sb系、Sn−Pb−Bi系、Sn−Cu系、Sn−Pb−Cu系、S
n−In系、Sn−Ag系、Sn−Pb−Ag系、Pb−Ag系、Sn−Zn系等の成分
の材料を用いることができる。特にPbは人体又は環境に有害であるため、無鉛はんだを
使用することが好ましい。このとき、はんだの融点は、部材106aの融点よりも低いこ
とが好ましい。
【0070】
部材106aは、可撓性基板101の側面及び可撓性基板102の側面と、部材106b
との間に位置し、表示領域103を封止する機能を有する他、これら可撓性基板101、
102と部材106bとを接着させる機能を有していてもよい。
【0071】
部材106aとしては、例えばエポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂などの樹脂材
料を用いることができる。これらの樹脂材料には、熱硬化型、光硬化型又はその両方のい
ずれを用いてもよい。また、部材106aとして、アクリル系樹脂とエポキシ系樹脂とを
混合するような、異なる種類の樹脂を混合した樹脂を用いてもよい。これらの樹脂に、U
V開始剤、熱硬化剤、カップリング剤など適宜混合して用いる。
【0072】
また、部材106aとして、上記の樹脂の他に、上述したフリットガラスを用いることが
できる。
【0073】
なお、部材106bに適用可能な材料を用いて部材106aを構成してもよい。このとき
、必ずしも部材106bを設けなくてもよい。
【0074】
図2(A)において、部材106a及び部材106bは、可撓性基板101及び可撓性基
板102の側面の一部に設けられているが、該側面の全面に設けられていてもよく、また
可撓性基板101と可撓性基板102とが対向する面と反対の面(すなわち、素子層11
1やカラーフィルタ層112が設けられていない面)の一部にわたって設けられていても
よい。
【0075】
部材106b及び部材106aの幅は、1mm以下、好ましくは0.5mm以下であるこ
とが好ましい。
【0076】
このように、表示装置100aにおいては、素子層により形成された表示領域を、シール
材105とシール材106とで二重に囲むことにより外部からの汚染物質の侵入を防止又
は抑制することができる。このため、表示装置100aの長期にわたる十分な信頼性を確
保することが可能になる。
【0077】
図2(B)に示す表示装置100bは、上述の表示装置100aに対し、シール材106
を単一の部材106cのみで構成した点において異なる。従って、表示装置100bの他
の構成については、表示装置100aと同様である。
【0078】
部材106cには、例えばエポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂などの樹脂材料を
用いることができる。これらの樹脂材料には、熱硬化型、光硬化型又はその両方のいずれ
を用いてもよい。また、部材106cとして、アクリル系樹脂とエポキシ系樹脂とを混合
するような、異なる種類の樹脂を混合した樹脂を用いてもよい。これらの樹脂に、UV開
始剤、熱硬化剤、カップリング剤など適宜混合して用いる。
【0079】
また、部材106cとしてはんだを用いてもよい。はんだは、Sn−Pb系、Pb−Sn
−Sb系、Sn−Sb系、Sn−Pb−Bi系、Sn−Cu系、Sn−Pb−Cu系、S
n−In系、Sn−Ag系、Sn−Pb−Ag系、Pb−Ag系、Sn−Zn系等の成分
の材料を用いることができる。特にPbは人体又は環境に有害であるため、無鉛はんだを
使うことが好ましい。このとき、はんだの融点は、シール材105の融点よりも低いこと
が好ましい。
【0080】
また、部材106cとして、上記の樹脂やはんだの他に、上述したフリットガラスを用い
ることができる。
【0081】
図2(C)に示す表示装置100cは、上述の表示装置100bと同様に、シール材10
6を単一の部材106dで構成した表示装置であるが、部材106dを可撓性基板101
及び可撓性基板102の側面に加えて、可撓性基板101と可撓性基板102とが対向す
る面と反対の面(すなわち、素子層111やカラーフィルタ層112が設けられていない
面)の一部にわたって設けられている。また、オフセット領域においては、FPC108
の一部や異方性導電膜113を覆うように、部材106dが設けられている。
【0082】
このような構造とすることで、基板と部材106dとの接触面積を増加させて、封止性を
高めることができる。また、基板端部や基板の角部を部材106dで覆うことにより、物
理的な衝撃から基板を保護することができる。
【0083】
特に、可撓性基板を用いた本発明に係る表示装置においては、表示装置が極めて薄型であ
るため、基板側面の全体を被覆することが、表示領域103の封止及び表示装置100c
の保護の点で好ましい。
【0084】
図3に示す表示装置100dは、部材106f、106g及び106eにより構成される
シール材106により封止された表示装置である。部材106f及び部材106gは、そ
れぞれ底蓋と上蓋として機能し、部材106eはそれら部材106f及び部材106gと
基板との間隙を埋める接着層としての機能を有する。
【0085】
可撓性基板101と可撓性基板102とで挟持された構造体は、部材106f及び部材1
06gからなる箱に内封されるため、基板側面が十分に封止され、表示装置100dの信
頼性が向上する。
【0086】
部材106f及び部材106gには、透湿度が低く、かつ可撓性を有する材料を用いるこ
とができる。部材106f及び部材106gとしては、例えば金属材料やプラスチック材
料、弾性を有する合成ゴム等を適用することができ、金属材料としては、例えばアルミニ
ウム、ステンレス鋼(SUS)、鉛、ニッケルなどを含む材料を薄く延ばして用いること
ができる。
【0087】
本実施の形態に示す構成、方法などは、他の実施の形態に示す構成、方法などと適宜組み
合わせて用いることができる。
【0088】
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明に係る表示装置の作製方法の一例として、実施の形態1で示し
た表示装置100aの作製方法を、
図4及び
図5を用いて説明する。
【0089】
まず、
図4(A)に示すように、可撓性基板101上に、絶縁層110を介して素子層1
11を形成する。
【0090】
可撓性基板101は、例えば可撓性を有する金属基材を用いることができる。当該基材と
しては金属元素を含む材料で構成され、厚さが薄い基材(シート又はフィルムなど)を用
いることができ、具体的にはチタンなどの金属シート又は金属フィルム、若しくはステン
レス鋼などの合金シート又は合金フィルムを用いることができる。中でも、比較的安価で
入手しやすいステンレス鋼のシート又はフィルムとすることが好ましい。
【0091】
また、金属基材の他、耐熱性を有する樹脂基材を用いてもよい。樹脂基材としては、可撓
性を有する基板を用いることができ、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエ
チレンナフタレート樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリメチルメタ
クリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルスルフォン樹脂、ポリアミド樹脂
、シクロオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリ塩化ビニル樹
脂、環状非晶ポリオレフィン(COP)などを好適に用いることができる。また、可撓性
基板101は、熱膨張係数が30ppm/K以下、さらに好ましくは10ppm/K以下
がよい。また、可撓性基板101にはあらかじめ窒化シリコンや酸化窒化シリコン等の窒
素と珪素を含む膜や窒化アルミニウム等の窒素とアルミニウムを含む膜のような透水性の
低い保護膜を成膜しておいても良い。なお、可撓性基板101として繊維体に有機樹脂が
含浸された構造物(所謂、プリプレグとも言う)を用いてもよい。
【0092】
本実施の形態において、シール材にフリットガラスを用いる場合、レーザー照射を行うた
め、可撓性基板101には樹脂材料に比べて耐熱性を有する金属基材を用いることが好ま
しい。
【0093】
絶縁層110は、スパッタリング法やCVD法により成膜することができる。絶縁層11
0としては無機絶縁膜で形成されていることが好ましく、例えば、酸化絶縁膜、窒化絶縁
膜、酸化窒化絶縁膜及び窒化酸化絶縁膜から選択される絶縁膜の単層構造又は多層構造と
すればよい。なお、「窒化酸化」とは、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多い
ことをいい、「酸化窒化」とは、その組成として、窒素よりも酸素の含有量が多いことを
いう。
【0094】
絶縁層110は、素子層111の下地膜として機能するもので、素子層111を形成する
ための平坦性の確保や、素子層111と可撓性基板101との絶縁分離、可撓性基板10
1から素子層111への汚染物質の侵入防止等、種々の機能を持たせることができる。
【0095】
またシール材105にフリットガラスを用いる場合、一般に、酸化珪素を含む基材(板状
、シート状、又はフィルム状のガラス基板、若しくは酸化シリコン膜など)との密着性と
比較した場合、フリットガラスは金属元素を含む材料の基材(例えば、金属板、金属シー
ト又は金属フィルムなど)との密着性に乏しいとされるが、酸化珪素膜等の絶縁層110
を形成することで十分な密着性を確保することができる。
【0096】
素子層111は、少なくとも発光素子等の表示素子と、該表示素子を駆動するトランジス
タ等の素子とを含む層である。素子層111については後述する。
【0097】
素子層111に含まれ、走査線駆動回路104a、104b等と電気的に接続する配線は
、素子層111に含まれる表示素子を駆動する素子と電気的に接続されている。当該配線
は当該表示素子を駆動する素子を構成する導電層を用いて形成してもよく、当該表示素子
を駆動する素子とは別に設ける導電層で形成してもよい。
【0098】
次に、
図4(B)に示すように、表示領域103を囲むようにシール材105を設ける。
【0099】
シール材105に例えばエポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂などの樹脂材料を用
いる場合、例えばスクリーン印刷装置、インクジェット装置、又はディスペンス装置など
を用いて、閉ループ状に一続きのシールパターンを形成する。なお、シールパターンを、
矩形状、円形状、楕円形状、又は多角形状にしてもよい。
【0100】
シール材105にフリットガラスを用いて形成する場合、例えばディスペンス装置や印刷
装置を用いて、ガラス粉末と接着性を有する有機樹脂を混合したフリットペーストを、絶
縁層110上に、表示領域103を囲んで一続きに形成する。その後熱処理を行い、該フ
リットペースト中の有機物を除去し、該フリットペーストを硬化させることによりシール
材105を形成する。
【0101】
また、フリットガラスに用いられるガラス粉末としては、例えば酸化マグネシウム、酸化
カルシウム、酸化バリウム、酸化リチウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化ホウ素
、酸化バナジウム、酸化亜鉛、酸化テルル、酸化アルミニウム、二酸化シリコン、酸化鉛
、酸化スズ、酸化リン、酸化ルテニウム、酸化ロジウム、酸化鉄、酸化銅、酸化チタン、
酸化タングステン、酸化ビスマス、酸化アンチモン、ホウ酸鉛ガラス、リン酸スズガラス
、バナジン酸塩ガラス、及びホウケイ酸ガラスのうち、一つ又は複数を含む材料を適用で
きる。
【0102】
この後、図示しないがフリットガラスに、可撓性基板101の上面方向から第1のレーザ
ー光を照射して焼成し、フリットガラス中のガラス粉末成分を結合させる。
【0103】
第1のレーザー光は、フリットガラスを加熱することができれば特に限定はなく、様々な
レーザー光源を用いることができる。例えば、エキシマレーザーに代表される気体レーザ
ー、YAGレーザーに代表される固体レーザーを光源として用いることができる。固体レ
ーザーは、気体レーザーよりも小型であり量産性に優れているため、レーザー光の波長と
しては、赤外光域であることが好ましく、波長780nmから2000nmが適用される
。例えば、波長810nm又は波長940nmのレーザー光は有機樹脂に吸収されにくく
、加熱されにくいため、後述する部材106aの位置をフリットガラスにできる限り近づ
けて形成することができる。そして、表示領域103の端部をフリットガラスにできる限
り近づけて形成できることから、表示装置100を狭額縁化、及び高精細化することがで
きる。なお、レーザー光において、ビーム形状は特に限定はなく、矩形状、線状、又は円
状などとすることができる。
【0104】
次に、
図4(C)に示すように、可撓性基板101に対向するように可撓性基板102を
貼り合わせる。
【0105】
可撓性基板102には、例えば強度が高く、光透光性を有する可撓性の薄板ガラスを用い
ることができる。
【0106】
可撓性基板102にはあらかじめカラーフィルタ層112を設けておく。
【0107】
位置合わせして可撓性基板101上に可撓性基板102を配置した後、シール材105を
硬化させて、可撓性基板101と可撓性基板102を接着する。
【0108】
シール材105にエポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂等の樹脂材料を用いる場合
には、紫外線硬化型であれば紫外光120を照射し、熱硬化型であれば加熱して硬化させ
る。
【0109】
一方、シール材105がフリットガラスを用いる場合には、透光性を有する可撓性基板1
02を介して、第2のレーザー照射によりフリットペースト中の有機物を除去し、該フリ
ットペーストを硬化させてもよい。第2のレーザー照射は、第1のレーザー照射と同様の
レーザー光を用いることができる。
【0110】
次に、シール材105の外周にシール材106を設ける。本実施の形態においては、シー
ル材106は、部材106aと部材106bにより構成される。
【0111】
まず、
図4(D)において、シール材105を用いて可撓性基板101及び可撓性基板1
02を貼り合わせた構造体の側面を、部材106aを用いて封止する。
【0112】
部材106aは、ディスペンス装置等を用いて、可撓性基板101及び可撓性基板102
の側面、可撓性基板101及び可撓性基板102の基板間、オフセット領域においては可
撓性基板102の側面、可撓性基板101及び可撓性基板102の基板間、可撓性基板1
01の上面に形成する。
【0113】
部材106aとしては、例えばエポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂などの樹脂材
料を用いることができる。これらの樹脂材料には、熱硬化型、光硬化型又はその両方のい
ずれを用いてもよい。また、部材106aとして、アクリル系樹脂とエポキシ系樹脂とを
混合するような、異なる種類の樹脂を混合した樹脂を用いてもよい。これらの樹脂に、U
V開始剤、熱硬化剤、カップリング剤など適宜混合して用いる。また、部材106aとし
て、上述したフリットガラスを用いることができる。これらの材料を用いて可撓性基板1
01及び可撓性基板102の側面等に部材106aを配置する場合、例えばディスペンス
装置を用いることができる。可撓性基板102の外周に沿って、樹脂材料やフリットペー
ストを滴下する。
【0114】
フリットガラスを部材106aとして用いる場合には、ディスペンス装置等により滴下し
た後に、レーザー光を照射して仮焼成する。
【0115】
また部材106aは、これらの材料に限定されず、例えばガラスリボンなどを可撓性基板
の周縁に沿って貼り、その後熱処理を行い、可撓性基板101及び可撓性基板102との
間隙等を閉塞させて、部材106aを形成してもよい。
【0116】
次に、
図5(A)において、ペースト状の部材106aの外側に、部材106aと接して
部材106bを設ける。部材106bとしては、例えば金属材料又はプラスチック材料等
を適用することができ、金属材料としては、例えばアルミニウム、ステンレス鋼(SUS
)、鉛、ニッケルなどを含む材料を適用できる。
【0117】
また、部材106bとしてはんだを用いてもよい。はんだは、Sn−Pb系、Pb−Sn
−Sb系、Sn−Sb系、Sn−Pb−Bi系、Sn−Cu系、Sn−Pb−Cu系、S
n−In系、Sn−Ag系、Sn−Pb−Ag系、Pb−Ag系、Sn−Zn系等の成分
の材料を用いることができる。特にPbは人体又は環境に有害であるため、無鉛はんだを
使うことが好ましい。このとき、はんだの融点は、部材106aの融点よりも低いことが
好ましい。
【0118】
また、部材106bとしてはんだを用いる場合、例えば、加熱された工具(はんだこて)
の先端部分から超音波を発振させながら、該工具によりはんだを部材106aに付けるこ
とにより部材106bを形成してもよい。超音波により空洞現象が起こり、例えば部材1
06aに形成される被膜を除去しつつ、部材106bを形成できるため、部材106aと
部材106bとの密着性を高めることができる。
【0119】
次に、
図5(B)において、部材106aを硬化させて、シール材106による封止構造
を形成する。
【0120】
部材106aがエポキシ樹脂、アクリル樹脂などの樹脂材料を用いる場合には、紫外線硬
化型であれば紫外光を照射し、熱硬化型であれば加熱して硬化させる。
【0121】
一方、部材106aにフリットガラスを用いる場合には、
図5(B)に示すように、部材
106bを介して、第2のレーザー照射によりフリットペースト中の有機物を除去し、該
フリットペーストを硬化させる。第2のレーザー照射は、可撓性基板101及び可撓性基
板102の側面方向から照射させる。例えば、可撓性基板101及び可撓性基板102の
積層体を水平方向に回転させながら、該積層体と水平方向からレーザー光121を照射す
る。また、第2のレーザー照射は、第1のレーザー照射と同様のレーザー光を用いること
ができる。
【0122】
なお、部材106bにはんだを用いる場合には、部材106aに用いるフリットペースト
をあらかじめ第2のレーザー光を照射して硬化させておくとよい。
【0123】
次に、
図5(C)において、オフセット領域にFPC108を接続する。接続は、異方性
導電膜113を用いて可撓性基板101上に設けられた外部入力端子と電気的に接続する
。
【0124】
以上のようにして、シール材105及びシール材106を用いた表示領域103の二重の
封止構造を形成することができる。
【0125】
このような封止構造を形成することで、外部から水等の汚染物質が表示領域103に侵入
することを困難にすることができ、表示装置100aの信頼性を向上させることができる
。
【0126】
本実施の形態に示す構成、方法などは、他の実施の形態に示す構成、方法などと適宜組み
合わせて用いることができる。
【0127】
(実施の形態3)
本実施の形態では、実施の形態1で示した表示装置とは異なる本発明に係る表示装置の一
形態を、
図6乃至
図8を用いて説明する。
【0128】
図6(A)は、本発明に係る表示装置の一形態を鳥瞰した斜視図である。表示装置200
は、実施の形態1で説明した表示装置100に対して、可撓性基板201と可撓性基板2
02が概略同形であり、オフセット領域を有していない点において異なる。
【0129】
可撓性基板201と、可撓性基板201に対向して設けられた可撓性基板202と、可撓
性基板201に電気的に接続されたFPC(フレキシブルプリント回路基板)208を有
する。可撓性基板201とFPC208とは、後述するが可撓性基板202に設けられた
開口を介して電気的に接続されている。可撓性基板201と可撓性基板202とはシール
材(図示せず)により接着され、さらにその側面に該シール材とは異なるシール材206
が設けられている。
【0130】
図6(A)に示すように、本発明に係る表示装置は、対向する一組の基板にそれぞれ可撓
性を有する基板を用いている。このため、表示装置200全体が可撓性(フレキシビリテ
ィ)を有する。
図6(A)では表示装置が上に凸になるように湾曲しているが、下に凸と
なるように、あるいは波状や表示装置を捻った形状とすることもできる。このため、本発
明に係る表示装置を、電子機器等の曲面形状を有する表示部に適用することができる。
【0131】
図6(B)は、本発明の一態様に係る表示装置の上面図である。
図6(B)においては、
表示装置は湾曲していない状態を示している。
図6(B)に示すように、本発明に係る表
示装置200は、可撓性基板201と、可撓性基板201上に対向して設けられた可撓性
基板202と、可撓性基板201に電気的に接続されたFPC208とを有する。
【0132】
FPC208は可撓性基板202に設けられた開口を介して可撓性基板201と接続する
。このため、実施の形態1で示した表示装置100とは異なり、表示装置200では、可
撓性基板201と可撓性基板202のそれぞれの側面が概略同一平面上に位置する。
【0133】
本発明に係る表示装置の一態様においては、可撓性基板201上に走査線駆動回路204
a、走査線駆動回路204bが表示領域203を挟んで設けられている。一方、信号線駆
動回路は、ICチップ207に形成され、FPC208上に設けられている。FPC20
8は可撓性基板202に設けられた開口を介して可撓性基板201上に設けられた外部入
力端子209と電気的に接続する。しかし、本発明に係る表示装置においてはこのような
構成に限らず、走査線駆動回路及び信号線駆動回路の双方をそれぞれICチップに形成し
てFPC208上に設けてもよく、走査線駆動回路及び信号線駆動回路の双方を可撓性基
板201上に一体形成してもよい。
【0134】
表示装置200は上述した構造であるため、表示装置100に比べ、比較的容易に基板側
面にシール材206を設けることができる。なお、
図6(B)においては、シール材は基
板の側面のみに配置し、基板間には配置していないが、シール材206と異なるシール材
を、基板間に別途配置してもよい。
【0135】
このように、表示装置200において、シール材206により表示領域203を囲む封止
構造を基板側面に形成することで、表示領域203に水や水分等の侵入を防止又は抑制す
ることが可能になり、表示装置200の信頼性を向上させることができる。また、基板側
面にのみシール材を設けた場合には、表示領域203の周辺領域の占有面積を縮小するこ
とができるため、狭額縁である表示装置を作製することができる。
【0136】
次に、
図7及び
図8を用いて、本発明の態様の一に係る表示装置200の封止構造につい
て詳説する。
図7(A)乃至(C)及び
図8は、それぞれ異なる封止構造をとる表示装置
であり、いずれも
図6(B)の表示装置200の上面図に示すB−B’の箇所の断面を示
す。
【0137】
図7(A)は、表示装置200の封止構造の一例を示す表示装置200aの断面図である
。可撓性基板201上に、可撓性基板201に対向して可撓性基板202が設けられてい
る。
【0138】
可撓性基板201と可撓性基板202との間には、素子層216、カラーフィルタ層21
8が設けられている。これらの層を可撓性基板上に形成するために、本実施の形態に係る
表示装置200においては、ガラス基板や石英基板といった基材上に薄膜トランジスタな
どの半導体素子を作製した後、当該基材から半導体素子を分離して、他の基材(例えば可
撓性基板)へと半導体素子を転置する技術を用いる。
【0139】
後に詳説するが、上述の転置技術を用いるために、可撓性基板201上には被剥離層21
5、219及び接着層214、217、220が設けられている。
【0140】
被剥離層215、219は、表示素子や表示素子を駆動する素子等を有する素子層216
や、カラーフィルタ、遮光膜、オーバーコート膜等を有するカラーフィルタ層218を形
成する際に用いる基材から分離するために必要な層であり、該基材上の剥離層から素子層
216やカラーフィルタ層218を分離する際のバッファ層(緩衝層)として機能する層
である。被剥離層215、219は、窒素を含む絶縁膜で形成することが好ましく、例え
ば、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、及び窒化酸化シリコンなどを単層構造又は多層構
造で形成することができる。
【0141】
また、接着層214、217、220は、分離した素子層216やカラーフィルタ層21
8どうし、又はこれらと可撓性基板とを貼り合わせるための層である。接着層214、2
17、220としては、紫外線硬化型接着剤などの光硬化型の接着剤、反応硬化型接着剤
、熱硬化型接着剤、または嫌気型接着剤を用いることができる。例えば、エポキシ樹脂、
アクリル樹脂、ウレタン樹脂、イミド樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂等を用いる
ことができる。また、接着剤に光の波長以下の大きさの乾燥剤(ゼオライト等)や、屈折
率の大きいフィラー(酸化チタンや、ジルコニウム等)を混合することにより、表示素子
に発光素子を用いた場合には信頼性が向上し、又は発光素子からの光取り出し効率が向上
するため好適である。
【0142】
図7(A)に示す表示装置200aにおいては、可撓性基板201、接着層214、被剥
離層215、素子層216、接着層217、カラーフィルタ層218、被剥離層219、
接着層220、可撓性基板202の順に積層されている。
【0143】
ここで、接着層217、カラーフィルタ層218、被剥離層219からなる積層体は、可
撓性基板201、接着層214、被剥離層215、素子層216からなる積層体よりも面
積が小さい。すなわち表示部の端部において、素子層216が、接着層217、カラーフ
ィルタ層218、被剥離層219からなる積層体に対して露出する部分(オフセット領域
)を有する。このオフセット領域において、該領域上の接着層220及び可撓性基板20
2の一部を除去して開口を設け、該開口を介して素子層216とFPC208とが電気的
に接続されている。
【0144】
該開口内には異方性導電膜213が設けられている。従って、素子層216に設けられた
外部入力端子とFPC208とは、異方性導電膜213を介して電気的に接続される。
【0145】
表示装置200aにおいては、表示装置200aの側面に部材206aが設けられ、部材
206aで表示領域を囲むことにより封止構造を形成している。
【0146】
部材206aには、例えばエポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂などの樹脂材料を
用いることができる。これらの樹脂材料には、熱硬化型、光硬化型又はその両方のいずれ
を用いてもよい。また、部材206aとして、アクリル系樹脂とエポキシ系樹脂とを混合
するような、異なる種類の樹脂を混合した樹脂を用いてもよい。これらの樹脂に、UV開
始剤、熱硬化剤、カップリング剤など適宜混合して用いる。
【0147】
また、部材206aとしてはんだを用いてもよい。はんだは、Sn−Pb系、Pb−Sn
−Sb系、Sn−Sb系、Sn−Pb−Bi系、Sn−Cu系、Sn−Pb−Cu系、S
n−In系、Sn−Ag系、Sn−Pb−Ag系、Pb−Ag系、Sn−Zn系等の成分
の材料を用いることができる。特にPbは人体又は環境に有害であるため、無鉛はんだを
使うことが好ましい。このとき、はんだの融点は、可撓性基板201、202や接着層の
融点よりも低いことが好ましい。また、可撓性基板201、202や接着層に用いる材料
を、はんだの融点に対して耐熱性のある材料を用いてもよい。
【0148】
図7(B)に示す表示装置200bは、上述した表示装置200aに比べ、シール材とし
て機能する部材206bを可撓性基板の上面又は底面の一部にわたって設けた表示装置で
ある。また、FPC208と素子層216とが電気的に接続する部分にも部材206bが
設けられている。
【0149】
部材206bをこのように配置することにより、さらに封止性能を向上させ、さらに表示
装置200bの信頼性を向上させることができる。
【0150】
部材206bには、部材206aで用いた材料を用いることができる。
【0151】
図7(C)に示す表示装置200cは、
図7(A)で説明した表示装置200aの構造に
対して、さらにシール材205が可撓性基板201と可撓性基板202の間に設けられた
表示装置である。シール材205は表示領域203を囲むように一続きに形成されている
。
図7(C)においては、シール材205は被剥離層215上に設けられ、被剥離層21
5とカラーフィルタ層218と接している。しかし、積層構造はこれに限られず、シール
材205は素子層216が有する絶縁層上に設けられていてもよく、また被剥離層219
等の他の層や基板、基材と接していてもよい。
【0152】
シール材205の部材には、例えばエポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂などの樹
脂材料を用いることができる。これらの樹脂材料には、熱硬化型、光硬化型又はその両方
のいずれを用いてもよい。また、シール材205として、アクリル系樹脂とエポキシ系樹
脂とを混合するような、異なる種類の樹脂を混合した樹脂を用いてもよい。これらの樹脂
に、UV開始剤、熱硬化剤、カップリング剤など適宜混合して用いる。
【0153】
シール材205は、その外側において他のシール材である部材206aにより囲まれる。
このように表示領域203をシール材205及び部材206aを用いて二重に封止するこ
とにより、表示装置200cの信頼性を向上させることができる。
【0154】
図8に示す表示装置200dは、
図7(A)に示した表示装置200aを、部材206d
、部材206e及び部材206cにより構成されるシール材206により封止された表示
装置である。部材206d及び部材206eは、それぞれ底蓋と上蓋として機能し、部材
206cはそれら部材206d及び部材206eと基板との間隙を埋める接着層としての
機能を有する。
【0155】
可撓性基板201と可撓性基板202とで挟持された構造体は、部材206d及び部材2
06eからなる箱に内封されるため、基板側面が十分に封止され、表示装置200dの信
頼性が向上する。
【0156】
部材206d及び部材206eには、透湿度が低く、かつ可撓性を有する材料を用いるこ
とができる。部材206d及び部材206eとしては、例えば金属材料やプラスチック材
料、弾性を有する合成ゴム等を適用することができ、金属材料としては、例えばアルミニ
ウム、ステンレス鋼(SUS)、鉛、ニッケルなどを含む材料を薄く延ばして用いること
ができる。
【0157】
本実施の形態に示す構成、方法などは、他の実施の形態に示す構成、方法などと適宜組み
合わせて用いることができる。
【0158】
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明に係る表示装置の作製方法の一例として、実施の形態3で示し
た表示装置200aの作製方法の一例を、
図9乃至
図11を用いて説明する。
【0159】
まず、支持基板230に素子層216等を形成する工程(素子基板を作製する工程)を説
明する。
【0160】
まず、支持基板230上に、下地層231、剥離層232、被剥離層215を順に形成す
る(
図9(A)参照)。
【0161】
支持基板230は、本実施の形態の処理温度に耐えることができ、可撓性を有していない
基材を用いることが好ましい。例えば、ガラス基板、石英基板、サファイア基板、セラミ
ック基板、金属基板などを用いることができる。
【0162】
ガラス基板としては、後の加熱処理の温度が高い場合には、歪み点が730℃以上のもの
を用いるとよい。また、ガラス基板には、例えば、アルミノシリケートガラス、アルミノ
ホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラスなどのガラス材料が用いられている。ガラ
ス基板は、あらかじめ熱処理を行い、基板を収縮させておくとよい。例えば、該熱処理と
して、650℃の加熱を2回行うとよい。
【0163】
このように、可撓性を有していない基材である支持基板230に素子層216等を形成す
ることで、表示装置200の作製工程において形成過程における積層体のハンドリングが
容易になり、表示装置200を歩留まりよく作製することができる。
【0164】
下地層231は、支持基板230としてガラス基板等の不純物を含有する基材を用いる場
合に、ガラス基板等からの汚染を防止できるので、より好ましい。
【0165】
下地層231としては、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、窒化シリコン膜、窒化酸
化シリコン膜などの絶縁層を用いることができる。
【0166】
下地層231は、上記した絶縁膜をプラズマCVD法、熱CVD法などの化学気相成長法
、又はスパッタリング法などの物理気相成長法を用いて形成する。なお、下地層231は
、これらの方法に限らず塗布法又は印刷法などで形成してもよい。
【0167】
剥離層232は、タングステン、モリブデン、チタン、タンタル、ニオブ、ニッケル、コ
バルト、ジルコニウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、
シリコンから選択された元素、又は前記元素を含む合金材料、又は前記元素を含む化合物
材料からなり、単層構造又は多層構造の層である。シリコンを含む層の結晶構造は、非晶
質、微結晶、多結晶のいずれの場合でもよい。
【0168】
剥離層232が単層構造の場合、好ましくは、タングステン層、モリブデン層、又はタン
グステンとモリブデンの混合物を含む層を形成する。又は、タングステンの酸化物若しく
は酸化窒化物を含む層、モリブデンの酸化物若しくは酸化窒化物を含む層、又はタングス
テンとモリブデンの混合物の酸化物若しくは酸化窒化物を含む層を形成する。なお、タン
グステンとモリブデンの混合物とは、例えば、タングステンとモリブデンの合金に相当す
る。
【0169】
剥離層232は、スパッタリング法やプラズマCVD法、塗布法、印刷法等により形成す
ることができる。なお、塗布法はスピンコーティング法、液滴吐出法、ディスペンス法を
含む。
【0170】
被剥離層215は、窒素を含む絶縁膜で形成することが好ましく、例えば、窒化シリコン
、酸化窒化シリコン、及び窒化酸化シリコンなどを単層構造又は多層構造で形成すること
ができる。被剥離層215は、上記した物理気相成長法、上記した化学気相成長法、塗布
法、又は印刷法などを用いて形成することが可能であり、例えば、プラズマCVD法によ
って成膜温度を250℃以上400℃以下として形成することで、緻密で非常に透水性の
低い膜とすることができる。なお、被剥離層215の厚さは10nm以上3000nm以
下、さらには200nm以上1500nm以下が好ましい。
【0171】
次に、熱処理を行い、剥離層232の全部又は一部を改質する。すなわち、熱処理を加え
ることで、剥離層232の全部又は一部を酸化や窒化して、酸化絶縁膜、酸化窒化絶縁膜
又は窒化酸化絶縁膜を形成する。例えば、剥離層232として、タングステンを含む層を
形成し、加熱処理によって酸化物で形成される絶縁層を形成して、タングステン層と絶縁
層との界面にタングステンの酸化物を含む層を形成することができる。熱処理の温度は用
いる基板によって異なるが、例えば450℃以上700℃以下の範囲の温度で行う。また
、剥離層232として形成したタングステンを含む層の表面を、熱酸化処理、酸素プラズ
マ処理、オゾン水等の酸化力の強い溶液での処理等を行って、被剥離層215であるタン
グステンの酸化物を含む層を形成してもよい。またプラズマ処理や加熱処理は、酸素、窒
素、亜酸化窒素単独、あるいは前記ガスとその他のガスとの混合気体雰囲気下で行っても
よい。
【0172】
その後、被剥離層215上に表示素子や表示素子を駆動する素子を含む素子層216を形
成する(
図9(B)参照)。
【0173】
表示素子としては例えば有機ELを用いた発光素子が挙げられ、表示素子を駆動する素子
としては、チャネル形成領域に半導体膜を用いたトランジスタが挙げられる。該トランジ
スタは公知のトランジスタの作製方法を用いて形成することができる。なお、外部入力端
子209は、トランジスタの作製工程を利用して形成してもよいし、該トランジスタの作
製工程を利用せずに別途形成してもよい。
【0174】
表示素子の一例とした発光素子は、一対の電極間に発光性の物質を含む層を形成する。具
体的には、当該発光性の物質を含む層は、第1電極層及び第2電極層の間に形成する。発
光素子の構造及び材料等については後述する。
【0175】
また、水や酸素などの不純物を透過させない無機絶縁膜で当該発光素子を覆うことにより
、発光素子が露出しないため発光素子及び表示装置200の信頼性を向上させることがで
きる。当該無機絶縁膜としては、酸化絶縁膜、窒化絶縁膜、酸化窒化絶縁膜、窒化酸化絶
縁膜などを用いることができる。具体的には、シリコンやアルミニウムを含む絶縁膜を用
いることができる。
【0176】
次に、支持基板235にカラーフィルタ層218等を形成する工程(対向基板を作製する
工程)を説明する。
【0177】
支持基板230とは異なる支持基板235上に、下地層236、剥離層237、被剥離層
219を順に形成する。
【0178】
支持基板235は、支持基板230と同様の基材を用いることができる。また、下地層2
36、剥離層237、被剥離層219は、下地層231、剥離層232、被剥離層215
と同様にして形成することができる。
【0179】
次に、熱処理によって剥離層237の全部又は一部を改質する。この熱処理は上述した剥
離層232の熱処理と同様の処理を行えばよく、熱処理に代わって剥離層237の表面を
改質する他の処理を行ってもよい。
【0180】
その後、被剥離層219上にカラーフィルタ層218を形成する。
【0181】
カラーフィルタ層218は、例えばカラーフィルタ、遮光層(ブラックマトリクス)、オ
ーバーコート層を有する。
【0182】
遮光層は、公知の材料を用いて、印刷法、塗布法、フォトリソグラフィ技術を用いたエッ
チング方法などでそれぞれ所望の位置に形成する。
【0183】
その後、離間して設けられている遮光層の間にカラーフィルタを形成する。カラーフィル
タは、公知の材料を用いて、印刷法、塗布法、フォトリソグラフィ技術を用いたエッチン
グ方法などでそれぞれ所望の位置に形成する。
【0184】
カラーフィルタ及び遮光層を覆うオーバーコート層を設ける場合は、公知の材料を用いて
物理気相成長法、化学気相成長法、塗布法、又は印刷法などを用いて形成すればよい。オ
ーバーコート層は、カラーフィルタ層に含まれる水分や不純物成分が素子層216中の表
示素子へ拡散することを防ぐため、設けることが好ましい。オーバーコート層を設けない
場合には、オーバーコート層を形成する工程数を削減することができる。
【0185】
以上のようにしてそれぞれ形成された、素子層216を有する支持基板230と、カラー
フィルタ層218を有する支持基板235とを、間に接着層217を介して貼り合わせる
(
図9(C)参照)。接着層217には、例えばエポキシ樹脂等の上述した材料を用いれ
ばよい。
【0186】
ここで、外部入力端子を形成するオフセット領域を確保するため、カラーフィルタ層21
8を有する支持基板235よりも素子層216を有する支持基板230の方の基板面積を
大きく作製する。このため、接着層217は、基板面積の小さいカラーフィルタ層218
を有する支持基板235側にあらかじめ設けることが好ましい。
【0187】
その後、支持基板235に形成された剥離層237と被剥離層219との間で剥離(分離
)を行う(
図9(D)参照)。
【0188】
剥離方法としては、機械的な力を加えること(人間の手や治具で引き剥がす処理や、ロー
ラーを回転させながら分離する処理等)を用いて行えばよい。また、密着性の弱い部分、
又は密着性の弱い部分に形成した溝に液体を滴下し、剥離層237と被剥離層219の界
面に液体を浸透させての被剥離層219から剥離層237を剥離してもよい。このとき、
超音波などの振動を加えながら剥離することが好ましい。また、密着性の弱い部分、又は
密着性の弱い部分に形成した溝にNF
3、BrF
3、ClF
3等のフッ化ガスを導入し、
剥離層237をフッ化ガスでエッチングし除去して、被剥離層219から剥離層237を
剥離する方法を用いてもよい。
【0189】
その他の剥離方法としては、剥離層237をタングステンで形成した場合は、アンモニア
水と過酸化水素水の混合溶液により剥離層をエッチングしながら剥離を行うことができる
。
【0190】
該剥離は、被剥離層219と剥離層237との界面、又は剥離層237中において行われ
る。このため、剥離後の素子層216やカラーフィルタ層218を有する基板には、被剥
離層219又は被剥離層219と剥離層237の一部が残留する。
【0191】
次に、上記剥離により露出した面上に、接着層220を介して可撓性基板202を貼り合
わせる(
図10(A)参照)。
【0192】
可撓性基板202としては、可撓性及び可視光に対する透光性を有する基板を用いること
ができ、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポ
リアクリロニトリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリカーボ
ネート樹脂、ポリエーテルスルフォン樹脂、ポリアミド樹脂、シクロオレフィン樹脂、ポ
リスチレン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、環状非晶ポリオレフィン
(COP)などを好適に用いることができる。また、可撓性基板202は、熱膨張係数が
30ppm/K以下、さらに好ましくは10ppm/K以下がよい。また、可撓性基板2
02にはあらかじめ窒化シリコンや酸化窒化シリコン等の窒素と珪素を含む膜や窒化アル
ミニウム等の窒素とアルミニウムを含む膜のような透水性の低い保護膜を成膜しておいて
も良い。なお、可撓性基板202として繊維体に有機樹脂が含浸された構造物(所謂、プ
リプレグとも言う)を用いてもよい。
【0193】
可撓性基板202の材料中に繊維体が含まれている場合、繊維体は有機化合物または無機
化合物の高強度繊維を用いる。高強度繊維とは、具体的には引張弾性率またはヤング率の
高い繊維のことを言い、代表例としては、ポリビニルアルコール系繊維、ポリエステル系
繊維、ポリアミド系繊維、ポリエチレン系繊維、アラミド系繊維、ポリパラフェニレンベ
ンゾビスオキサゾール繊維、ガラス繊維、または炭素繊維が挙げられる。ガラス繊維とし
ては、Eガラス、Sガラス、Dガラス、Qガラス等を用いたガラス繊維が挙げられる。こ
れらは、織布または不織布の状態で用い、この繊維体に有機樹脂を含浸させ、有機樹脂を
硬化させた構造物を可撓性基板202として用いても良い。可撓性基板202として繊維
体と有機樹脂からなる構造物を用いると、曲げや局所的押圧による破損に対する信頼性が
向上するため好ましい。
【0194】
この後、可撓性基板202を含む、素子層216やカラーフィルタ層218を有する積層
体と、支持基板230とを分離する(
図10(B)参照)。剥離は、支持基板230と吸
着ステージとが接するように、吸着ステージ上に設置し、素子層216やカラーフィルタ
層218を有する積層体に引っ張り応力を印加しながら剥離を行う。これにより、被剥離
層215と剥離層232との界面、または剥離層232中において剥離が進行する。
【0195】
この際、剥離が生じる部分に水等の液体を付与すると、毛細管現象により該液体が剥離部
分に侵入して、剥離プロセスを促進させることができる。
【0196】
これにより、剥離後の素子層216やカラーフィルタ層218を有する積層体には、被剥
離層215又は被剥離層215と剥離層232の一部が残留する。
【0197】
次に、接着層214を間に挟んで、素子層216やカラーフィルタ層218を有する剥離
後の積層体と、可撓性基板201とを貼り合わせる(
図10(C)参照)。可撓性基板2
01は、上述した可撓性基板202と同様の材料を用いることができる。
【0198】
これにより、可撓性基板201及び可撓性基板202により挟持された素子層216やカ
ラーフィルタ層218を有する積層体が形成される。
【0199】
次に、積層体の側面にシール材として機能する部材206aを配置する(
図11(A)参
照)。
【0200】
部材206aには、先の実施の形態で説明した材料を用いることができる。
【0201】
例えば部材206aには、エポキシ樹脂、アクリル樹脂などの樹脂材料を用いることがで
きる。これらの樹脂材料には、熱硬化型、光硬化型又はその両方のいずれを用いてもよい
。また、部材206aとして、アクリル系樹脂とエポキシ系樹脂とを混合するような、異
なる種類の樹脂を混合した樹脂を用いてもよい。これらの樹脂に、UV開始剤、熱硬化剤
、カップリング剤など適宜混合して用いる。
【0202】
また、部材206aとしてはんだを用いてもよい。はんだは、Sn−Pb系、Pb−Sn
−Sb系、Sn−Sb系、Sn−Pb−Bi系、Sn−Cu系、Sn−Pb−Cu系、S
n−In系、Sn−Ag系、Sn−Pb−Ag系、Pb−Ag系、Sn−Zn系等の成分
の材料を用いることができる。特にPbは人体又は環境に有害であるため、無鉛はんだを
使うことが好ましい。このとき、はんだの融点は、部材106aの融点よりも低いことが
好ましい。
【0203】
これにより、表示装置200の信頼性を向上させることができる。
【0204】
次に、素子層216とFPC208とを電気的に接続するための開口240を形成する。
【0205】
まず、FPC208を電気的に接続するための素子層216における外部入力端子が形成
された領域(図示せず)を囲むように、可撓性基板202及び接着層220に切り込みを
いれる。切り込みの形成は、鋭利な刃物等の工具やレーザー光の照射によって行えばよい
。工具により切り込みを行う場合にはその加圧の程度、レーザー光を照射する場合にはそ
の強度を適宜調整して、素子層216等が損壊されないように行う。また、工具とレーザ
ー光の照射を組み合わせて、切り込みの作製を行ってもよい。
【0206】
次に、切り込みを入れた外部入力端子を囲む領域における可撓性基板202を、積層体と
概略直交する方向に引っ張ることで、当該領域における可撓性基板202及び接着層22
0を剥離することができる。接着層220と外部入力端子となる導電層との界面は密着性
が低いため、外部入力端子を容易に露出させることができる(
図11(B)参照)。以上
により、可撓性基板202及び接着層220の一部に開口240を形成することができる
。
【0207】
次に、上記の方法により形成した開口240の内部に、異方性導電膜213を設ける。異
方性導電膜213上にFPC208を設けて熱圧着することで、素子層216に電源の供
給や外部信号の入力が可能な電気的経路が確立する(
図11(C)参照)。
【0208】
以上の方法により、側面にシール構造を有することで、信頼性の高い可撓性を有する表示
装置200を作製することができる。
【0209】
本実施の形態に示す構成、方法などは、他の実施の形態に示す構成、方法などと適宜組み
合わせて用いることができる。
【0210】
(実施の形態5)
本実施の形態では、本発明の表示装置の一態様について、実施の形態1で説明した表示装
置100aの構造を用いた可撓性を有する発光装置について、
図12を用いて説明する。
【0211】
図12は、
図2(A)に示した表示装置100aの断面図を発光装置に適用した場合とし
て、より詳細に描いた断面模式図の一部である。なお、
図12は発光装置の封止領域内に
設けられている表示領域300の一部のみを示している。
【0212】
なお、図示しないが、本実施の形態に係る発光装置は、走査線駆動回路をシール材323
の内側に有していてもよい。発光装置が走査線駆動回路を有する場合、表示領域300と
同様に、素子層に走査線駆動回路を形成することができる。可撓性基板302に設けられ
た絶縁層303上に、複数のnチャネル型のトランジスタを組み合わせたNMOS回路を
形成することができる。なお、走査線駆動回路はNMOS回路に限られず、nチャネル型
のトランジスタとpチャネル型のトランジスタを組み合わせた種々のCMOS回路や、p
チャネル型のトランジスタで構成されるPMOS回路などを有する構成としてもよい。な
お、信号線駆動回路を可撓性基板302上に一体として設ける場合についても同様である
。
【0213】
図12には、表示領域300の一例として画素の一部の断面構造を示している。画素は、
スイッチング用のトランジスタや電流制御用のトランジスタを含むが、ここでは発光素子
313と電気的に接続する電流制御用のトランジスタ304、305を示す。電流制御用
のトランジスタ304、305のソース電極層又はドレイン電極層309bは、発光素子
313が有する第1電極層314と電気的に接続されている。また、第1電極層314の
端部を覆う隔壁315が設けられている。
【0214】
なお、表示領域300や、図示しない走査線駆動回路、信号線駆動回路、保護回路等その
他の回路を構成するトランジスタの構造は特に限定されない。例えばスタガ型のトランジ
スタとしてもよいし、逆スタガ型のトランジスタとしてもよい。また、トップゲート型又
はボトムゲート型のトランジスタのいずれのトランジスタ構造としてもよい。また、
図1
2ではチャネルエッチ型の構造のトランジスタを示しているが、チャネル保護膜を用いた
チャネル保護型のトランジスタとしてもよい。また、トランジスタのチャネル形成領域に
用いる半導体材料としては、例えばシリコンやゲルマニウムなどの半導体材料を用いても
よいし、インジウム、ガリウム、及び亜鉛のうち少なくともひとつを含む酸化物半導体を
用いてもよい。特に、酸化物半導体は、電界効果移動度が高く、またトランジスタのオフ
時のリークが極めて低い等の多くの利点を有する点で、その使用が好ましい。酸化物半導
体については、他の実施の形態で詳説する。また、トランジスタに用いる半導体の結晶性
についても特に限定されず、非結晶半導体、又は結晶性を有する半導体(微結晶半導体、
多結晶半導体、単結晶半導体、又は一部に結晶領域を有する半導体)のいずれを用いても
よい。
【0215】
図12に示すトランジスタは、一例としてボトムゲート型のトランジスタである。ゲート
電極層306上にゲート絶縁層307を有し、ゲート絶縁層307上にチャネル形成領域
を含む半導体層308を有する。半導体層308上には、ソース電極層又はドレイン電極
層309a、309bが設けられ、これらを覆って絶縁層311が設けられている。
【0216】
ゲート電極層306、ソース電極層又はドレイン電極層309a、309bとしては、例
えばモリブデン、チタン、クロム、タンタル、マグネシウム、銀、タングステン、アルミ
ニウム、銅、ネオジム、又はスカンジウムなどの金属材料を含む層を適用できる。また、
これらは単層であっても2層以上の積層であってもよい。
【0217】
ゲート絶縁層307や絶縁層311としては、例えば酸化シリコン、窒化シリコン、酸化
窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化窒化アル
ミニウム、窒化酸化アルミニウム、又は酸化ハフニウムなどの材料を含む層を適用できる
。例えば、ゲート絶縁層307としては、窒化シリコン層及び酸化窒化シリコン層の積層
を適用できる。このとき、上記窒化シリコン層を、組成の異なる複数の窒化シリコン層の
積層としてもよい。
【0218】
なお、半導体層308に酸化物半導体を用いる場合には、酸化物半導体を酸素が過飽和の
状態とするため、酸化物半導体層に接する絶縁層(ゲート絶縁層307や絶縁層311)
は、過剰酸素を含むことが好ましい。
【0219】
過剰酸素を含む絶縁層は、プラズマCVD法やスパッタリング法における成膜条件を適宜
設定して膜中に酸素を多く含ませた酸化シリコン膜や、酸化窒化シリコン膜を用いる。ま
た、イオン注入法やイオンドーピング法やプラズマ処理によって酸素を添加してもよい。
【0220】
さらに過剰酸素を含む絶縁層の外側に配置されるように、酸化物半導体層の酸素の放出を
抑えるブロッキング層(AlOxなど)をゲート絶縁層307や絶縁層311として設け
ると好ましい。
【0221】
過剰酸素を含む絶縁層又はブロッキング層で酸化物半導体層を包み込むことで、酸化物半
導体層において化学量論比組成とほぼ一致するような状態、または化学量論的組成より酸
素が多い過飽和の状態とすることができる。
【0222】
絶縁層311上には絶縁層312が設けられている。絶縁層312は、例えばアクリル等
の有機樹脂で形成され、トランジスタ上に発光素子313を形成するための平坦面を形成
している。また、絶縁層312を設けることで、絶縁層312より上方に設けられる導電
層と絶縁層312より下方に設けられる導電層とにより形成される寄生容量を低減するこ
とができる。
【0223】
一方、絶縁層312にアクリル等の有機樹脂を用いた場合には、絶縁層312中に水素や
水等の汚染物質が含有されるおそれがある。このため、絶縁層312を用いなくてもよく
、表示素子や表示素子を駆動する素子の直上の絶縁層312を除去するなど、必要に応じ
て適宜、絶縁層312の形成を行うとよい。
【0224】
発光素子313は、一対の電極である第1電極層314及び第2電極層317、並びに発
光性の物質を含む層であるEL層316によって構成されている。発光素子313は、画
素回路、走査線駆動回路等を構成するトランジスタ上に設けられる層間絶縁層上に設ける
ことができる(
図12参照)。なお、発光素子313の構造及び材料等については、後の
実施の形態で説明する。
【0225】
また、発光素子313と重畳してカラーフィルタ320が設けられている。そして、遮光
層321は隔壁315に重畳し、且つカラーフィルタ320に端部を覆われて設けられて
いる。さらに、遮光層321及びカラーフィルタ320を覆ってオーバーコート層319
が設けられている。
【0226】
第1電極層314及び第2電極層317に用いる導電性材料として、光射出側に設ける電
極には、EL層316からの発光に対して透光性を有する材料を用い、光射出側とは反対
側に設ける電極には、当該発光に対して反射性を有する材料を用いる。
【0227】
本構成例では、第1電極層314に反射性を有する材料を用い、第2電極層317に透光
性を有する材料を用いる。したがって、EL層316からの発光は、可撓性基板322か
ら射出される。
【0228】
なお、必要であれば、可撓性基板322に偏光板、又は円偏光板(楕円偏光板を含む)、
位相差板(λ/4板、λ/2板)などの光学フィルムを適宜設けてもよい。また、偏光板
又は円偏光板に反射防止膜を設けてもよい。例えば、表面の凹凸により反射光を拡散し、
映り込みを低減できるアンチグレア処理を施すことができる。
【0229】
光射出側の電極(第2電極層317)に用いることのできる透光性を有する材料としては
、酸化インジウム、酸化インジウム酸化スズ、酸化インジウム酸化亜鉛、酸化亜鉛、ガリ
ウムを添加した酸化亜鉛、グラフェンなどを用いることができる。また、上記導電層とし
て、金、銀、白金、マグネシウム、ニッケル、タングステン、クロム、モリブデン、鉄、
コバルト、銅、パラジウム、又はチタンなどの金属材料や、これらを含む合金を用いるこ
とができる。又は、これら金属材料の窒化物(例えば、窒化チタン)などを用いても良い
。なお、金属材料(又はその窒化物)を用いる場合には、透光性を有する程度に薄くすれ
ばよい。また、上記材料の積層膜を導電層として用いることができる。例えば、銀とマグ
ネシウムの合金と酸化インジウム酸化スズの積層膜などを用いると、導電性を高めること
ができるためこのましい。
【0230】
なお、光射出側の電極として用いる上述の導電性酸化物をスパッタリング法により形成す
ることができる。導電性酸化物膜は、アルゴン及び酸素を含む雰囲気下で成膜すると、光
透過性を向上させることができる。
【0231】
また、上面射出型の場合、EL層316上に成膜される導電性酸化物膜を、酸素濃度が低
減されたアルゴンを含む雰囲気下で成膜した第1の導電性酸化物膜と、アルゴン及び酸素
を含む雰囲気下で成膜した第2の導電性酸化物膜との積層膜とすると、EL層316への
成膜ダメージを低減させることができるため好ましい。ここで第1の導電性酸化物膜を成
膜する際のアルゴンガスの純度が高いことが好ましく、例えば露点が−70℃以下、好ま
しくは−100℃以下のアルゴンガスを用いることが好ましい。
【0232】
光射出側とは反対側の電極(第1電極層314)に用いることのできる反射性を有する材
料としては、アルミニウム、金、白金、銀、ニッケル、タングステン、クロム、モリブデ
ン、鉄、コバルト、銅、又はパラジウム等の金属、又はこれらを含む合金を用いることが
できる。またこれら金属材料を含む金属又は合金にランタンやネオジム、ゲルマニウムな
どを添加してもよい。そのほか、アルミニウムとチタンの合金、アルミニウムとニッケル
の合金、アルミニウムとネオジムの合金などのアルミニウムを含む合金(アルミニウム合
金)や、銀と銅の合金、銀とマグネシウムの合金などの銀を含む合金を用いることもでき
る。銀と銅の合金は耐熱性が高いため好ましい。さらに、アルミニウム合金膜に接する金
属膜、又は金属酸化物膜を積層することで、アルミニウム合金膜の酸化を抑制することが
できる。該金属膜、金属酸化物膜の材料としては、チタン、酸化チタンなどが挙げられる
。また、上記透光性を有する材料を含む膜と金属材料を含む膜とを積層しても良い。例え
ば、銀と酸化インジウム酸化スズの積層膜、銀とマグネシウムの合金と酸化インジウム酸
化スズの積層膜などを用いることができる。
【0233】
隔壁315は、第1電極層314の端部を覆って設けられている。そして、隔壁315の
上層に形成される第2電極層317の被覆性を良好なものとするため、隔壁315の上端
部又は下端部に曲率半径(0.2μm〜3μm)を有する曲面を持たせるのが好ましい。
隔壁315の側面は当該曲面を有した傾斜面を有することが好ましい。また、隔壁315
の材料としては、ネガ型の感光性樹脂、あるいはポジ型の感光性樹脂などの有機化合物や
、酸化シリコン、酸窒化シリコン等の無機化合物を用いることができる。
【0234】
表示領域300や走査線駆動回路等への電源の供給、又は外部信号の入力には導電層31
0からなる配線を用いて行う。導電層310は、周辺領域301を介して可撓性基板30
2の端部に延在する。可撓性基板302の端部(すなわち、外部入力端子)において、絶
縁層311に開口が設けられ、該開口部内に露出した導電層310は、異方性導電膜32
6等の導電部材を介してFPC327と電気的に接続する。
【0235】
ここで、周辺領域301は、シール材323によって囲まれている。
図12の発光装置の
例においては、シール材323は、絶縁層311及び可撓性基板322と直接接している
が、シール材323が接する層、基板、基材についてはこれに限られず、発光装置の構成
において種々の構成をとることができる。また、
図12の発光装置の例においては、表示
領域300中に設けた絶縁層312は周辺領域301においては除去されている。
【0236】
シール材323は、先の実施の形態で説明した材料を用いることができ、先の実施の形態
で説明した作製方法により作製することができる。
【0237】
また、シール材323と可撓性基板302との間には、導電層328が設けられている。
導電層328を設けることで、外部入力端子を有する辺のシール材下の構造と類似の構造
を形成することができ、これによってシール材323を形成する際の条件を揃え、基板内
での作製のバラツキを低減することが可能となる。
【0238】
なお、シール材323により囲まれた空間318内は、発光素子313やトランジスタ3
04、305の信頼性を確保するために、真空、又は窒素ガスやアルゴンガス等の不活性
ガスで充填されていることが好ましい。
【0239】
また、可撓性基板302と可撓性基板322との間隙、及び可撓性基板302と可撓性基
板322の側面には、シール材329が設けられている。ただし、FPC327を接続す
るためのオフセット領域が設けられた辺においては、可撓性基板302と可撓性基板32
2との間隙、可撓性基板322の側面、及び絶縁層311の上面にシール材329が設け
られている。
【0240】
シール材329は、内側に位置する部材324と、部材324の外側に設けられた部材3
25とにより構成される。それぞれ先の実施の形態で説明した材料及び作製方法を用いて
作製することができる。
【0241】
このように発光装置において、表示領域300をシール材323及びシール材329を用
いて二重に封止することにより、外部から発光素子313やトランジスタ304、305
の半導体層の特性を害する水分等の侵入を防止又は抑制することができる。
【0242】
以上より、薄く軽量であり可撓性及び耐衝撃性に加えて、信頼性に優れた発光装置を作製
することができる。また、薄く軽量であり可撓性及び耐衝撃性に加えて、気密性の高い発
光装置を作製することができる。
【0243】
本実施の形態に示す構成、方法などは、他の実施の形態に示す構成、方法などと適宜組み
合わせて用いることができる。
【0244】
(実施の形態6)
本実施の形態では、本発明の表示装置の一態様について、実施の形態5で説明した発光装
置とは異なる構造の発光装置について、
図13を用いて説明する。本実施の形態で説明す
る発光装置は、実施の形態3で説明した表示装置200aの構造を用いた可撓性を有する
発光装置である。
【0245】
図13は、
図7(A)に示した表示装置200aの断面図を発光装置に適用した場合とし
て、より詳細に描いた断面模式図の一部である。なお、
図13は発光装置の封止領域内に
設けられている表示領域400の一部のみを示している。
【0246】
なお、図示しないが本実施の形態に係る発光装置は、実施の形態5で説明した発光装置と
同様に走査線駆動回路や信号線駆動回路を有していてもよい。
【0247】
本実施の形態に係る発光装置は、実施の形態4で説明した作製方法を用いて作製すること
ができる。従って、該発光装置は剥離工程等を用いて形成されるため、可撓性基板402
上に、接着層403、被剥離層405、下地層406を有する。同様に、これに対向する
可撓性基板430上(図においては下)に、接着層429、被剥離層427、下地層42
6を有する。また、素子層とカラーフィルタ層とは、接着層422により貼り合わされて
いる。これらの層は、実施の形態4で示した材料、作製方法を用いて作製することができ
る。
【0248】
本実施の形態に係る発光装置においては、
図13に示すように、周辺領域401内に保護
回路が設けられている。保護回路は、表示領域400に用いるトランジスタと同様のトラ
ンジスタ409で構成することができる。
【0249】
保護回路を外部入力端子と表示領域400との間に設けることにより、外部入力端子等に
誤って印加される過大な電圧から、表示領域400中のトランジスタ407、408等を
保護することができる。
【0250】
なお、保護回路を構成するトランジスタ409上には、発光素子417の有する第1電極
層と同一工程で形成された導電層435を形成してもよい。導電層435は、トランジス
タ409が有する半導体層に重畳して設けることで、トランジスタのバックゲートとして
の機能を有する。例えば、Nチャネル型トランジスタの場合、上記バックゲートとソース
の間の電圧を負電圧にしてもよい。これにより、トランジスタの閾値電圧を正方向にシフ
トさせることができる。また、上記バックゲートを例えば0V等の定電位に固定させても
よい。
【0251】
バックゲートとしての機能を有する導電層の形成は、保護回路に限らず、走査線駆動回路
や信号線駆動回路、画素回路においても用いることができる。
【0252】
図13には、表示領域400の一例として画素の一部の断面構造を示している。画素は、
スイッチング用のトランジスタや電流制御用のトランジスタを含むが、ここでは発光素子
417と電気的に接続する電流制御用のトランジスタ407、408を示す。電流制御用
のトランジスタ407、408のソース電極層又はドレイン電極層413bは、発光素子
417が有する第1電極層418と電気的に接続されている。また、第1電極層418の
端部を覆う隔壁419が設けられている。
【0253】
なお、表示領域400や、図示しない走査線駆動回路、信号線駆動回路、その他の回路を
構成するトランジスタの構造は特に限定されない。例えばスタガ型のトランジスタとして
もよいし、逆スタガ型のトランジスタとしてもよい。また、トップゲート型又はボトムゲ
ート型のトランジスタのいずれのトランジスタ構造としてもよい。また、トランジスタの
チャネル形成領域に用いる半導体材料としては、例えばシリコンやゲルマニウムなどの半
導体材料を用いてもよいし、インジウム、ガリウム、及び亜鉛のうち少なくともひとつを
含む酸化物半導体を用いてもよい。特に、酸化物半導体は、電界効果移動度が高く、また
トランジスタのオフ時のリークが極めて低い等の多くの利点を有する点で、その使用が好
ましい。酸化物半導体については、他の実施の形態で詳説する。また、トランジスタに用
いる半導体の結晶性についても特に限定されず、非結晶半導体、又は結晶性を有する半導
体(微結晶半導体、多結晶半導体、単結晶半導体、又は一部に結晶領域を有する半導体)
のいずれを用いてもよい。
【0254】
図13に示すトランジスタは、一例としてボトムゲート型のトランジスタである。ゲート
電極層410上にゲート絶縁層411を有し、ゲート絶縁層411上にチャネル形成領域
を含む半導体層412を有する。半導体層412上には、ソース電極層又はドレイン電極
層413a、413bが設けられ、これらを覆って絶縁層415が設けられている。
【0255】
ゲート電極層410、ソース電極層又はドレイン電極層413a、413bとしては、例
えばモリブデン、チタン、クロム、タンタル、マグネシウム、銀、タングステン、アルミ
ニウム、銅、ネオジム、又はスカンジウムなどの金属材料を含む層を適用できる。また、
これらは単層であっても2層以上の積層であってもよい。
【0256】
ゲート絶縁層411や絶縁層415としては、例えば酸化シリコン、窒化シリコン、酸化
窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化窒化アル
ミニウム、窒化酸化アルミニウム、又は酸化ハフニウムなどの材料を含む層を適用できる
。例えば、ゲート絶縁層411としては、窒化シリコン層及び酸化窒化シリコン層の積層
を適用できる。このとき、上記窒化シリコン層を、組成の異なる複数の窒化シリコン層の
積層としてもよい。
【0257】
なお、半導体層412に酸化物半導体を用いる場合には、酸化物半導体を酸素が過飽和の
状態とするため、酸化物半導体層に接する絶縁層(ゲート絶縁層411や絶縁層415)
は、過剰酸素を含むことが好ましい。
【0258】
過剰酸素を含む絶縁層は、プラズマCVD法やスパッタリング法における成膜条件を適宜
設定して膜中に酸素を多く含ませた酸化シリコン膜や、酸化窒化シリコン膜を用いる。ま
た、イオン注入法やイオンドーピング法やプラズマ処理によって酸素を添加してもよい。
【0259】
さらに過剰酸素を含む絶縁層の外側に配置されるように、酸化物半導体層の酸素の放出を
抑えるブロッキング層(AlOxなど)をゲート絶縁層411や絶縁層415として設け
ると好ましい。
【0260】
過剰酸素を含む絶縁層又はブロッキング層で酸化物半導体層を包み込むことで、酸化物半
導体層において化学量論比組成とほぼ一致するような状態、または化学量論的組成より酸
素が多い過飽和の状態とすることができる。
【0261】
絶縁層415上には絶縁層416が設けられている。絶縁層416は、例えばアクリル等
の有機樹脂で形成され、トランジスタ上に発光素子417を形成するための平坦面を形成
している。また、絶縁層416を設けることで、絶縁層416より上方に設けられる導電
層と絶縁層416より下方に設けられる導電層とにより形成される寄生容量を低減するこ
とができる。
【0262】
一方、絶縁層416にアクリル等の有機樹脂を用いた場合には、絶縁層416中に水素や
水等の汚染物質が含有されるおそれがある。このため、絶縁層416を用いなくてもよく
、表示素子や表示素子を駆動する素子の直上の絶縁層416を除去するなど、必要に応じ
て適宜、絶縁層416の形成を行うとよい。
【0263】
発光素子417は、一対の電極である第1電極層418及び第2電極層421、並びに発
光性の物質を含む層であるEL層420によって構成されている。発光素子417は、画
素回路、走査線駆動回路等を構成するトランジスタ上に設けられる層間絶縁層上に設ける
ことができる(
図13参照)。なお、発光素子417の構造及び材料等については、後の
実施の形態で説明する。
【0264】
また、発光素子417と重畳してカラーフィルタ424が設けられている。そして、遮光
層425は隔壁419に重畳し、且つカラーフィルタ424に端部を覆われて設けられて
いる。さらに、遮光層425及びカラーフィルタ424は、オーバーコート層423に覆
われている。
【0265】
第1電極層418及び第2電極層421に用いる導線性材料として、光射出側に設ける電
極には、EL層420からの発光に対して透光性を有する材料を用い、光射出側とは反対
側に設ける電極には、当該発光に対して反射性を有する材料を用いる。
【0266】
本構成例では、第1電極層418に反射性を有する材料を用い、第2電極層421に透光
性を有する材料を用いる。したがって、EL層420からの発光は、可撓性基板430か
ら射出される。
【0267】
光射出側の電極(第2電極層421)に用いることのできる透光性を有する材料としては
、酸化インジウム、酸化インジウム酸化スズ、酸化インジウム酸化亜鉛、酸化亜鉛、ガリ
ウムを添加した酸化亜鉛、グラフェンなどを用いることができる。また、上記導電層とし
て、金、銀、白金、マグネシウム、ニッケル、タングステン、クロム、モリブデン、鉄、
コバルト、銅、パラジウム、又はチタンなどの金属材料や、これらを含む合金を用いるこ
とができる。又は、これら金属材料の窒化物(例えば、窒化チタン)などを用いても良い
。なお、金属材料(又はその窒化物)を用いる場合には、透光性を有する程度に薄くすれ
ばよい。また、上記材料の積層膜を導電層として用いることができる。例えば、銀とマグ
ネシウムの合金と酸化インジウム酸化スズの積層膜などを用いると、導電性を高めること
ができるため好ましい。
【0268】
なお、光射出側の電極として用いる上述の導電性酸化物をスパッタリング法により形成す
ることができる。導電性酸化物膜は、アルゴン及び酸素を含む雰囲気下で成膜すると、光
透過性を向上させることができる。
【0269】
また、上面射出型の場合、EL層420上に成膜される導電性酸化物膜を、酸素濃度が低
減されたアルゴンを含む雰囲気下で成膜した第1の導電性酸化物膜と、アルゴン及び酸素
を含む雰囲気下で成膜した第2の導電性酸化物膜との積層膜とすると、EL層420への
成膜ダメージを低減させることができるため好ましい。ここで第1の導電性酸化物膜を成
膜する際のアルゴンガスの純度が高いことが好ましく、例えば露点が−70℃以下、好ま
しくは−100℃以下のアルゴンガスを用いることが好ましい。
【0270】
光射出側とは反対側の電極(第1電極層418)に用いることのできる反射性を有する材
料としては、アルミニウム、金、白金、銀、ニッケル、タングステン、クロム、モリブデ
ン、鉄、コバルト、銅、又はパラジウム等の金属、又はこれらを含む合金を用いることが
できる。またこれら金属材料を含む金属又は合金にランタンやネオジム、ゲルマニウムな
どを添加してもよい。そのほか、アルミニウムとチタンの合金、アルミニウムとニッケル
の合金、アルミニウムとネオジムの合金などのアルミニウムを含む合金(アルミニウム合
金)や、銀と銅の合金、銀とマグネシウムの合金などの銀を含む合金を用いることもでき
る。銀と銅の合金は耐熱性が高いため好ましい。さらに、アルミニウム合金膜に接する金
属膜、又は金属酸化物膜を積層することで、アルミニウム合金膜の酸化を抑制することが
できる。該金属膜、金属酸化物膜の材料としては、チタン、酸化チタンなどが挙げられる
。また、上記透光性を有する材料を含む膜と金属材料を含む膜とを積層しても良い。例え
ば、銀と酸化インジウム酸化スズの積層膜、銀とマグネシウムの合金と酸化インジウム酸
化スズの積層膜などを用いることができる。
【0271】
隔壁419は、第1電極層418の端部を覆って設けられている。そして、隔壁419の
上層に形成される第2電極層421の被覆性を良好なものとするため、隔壁419の上端
部又は下端部に曲率半径(0.2μm〜3μm)を有する曲面を持たせるのが好ましい。
隔壁419の側面は当該曲面を有した傾斜面を有することが好ましい。また、隔壁419
の材料としては、ネガ型の感光性樹脂、あるいはポジ型の感光性樹脂などの有機化合物や
、酸化シリコン、酸窒化シリコン等の無機化合物を用いることができる。
【0272】
表示領域400や走査線駆動回路等への電源の供給、又は外部信号の入力には導電層41
4からなる配線を用いて行う。導電層414は、周辺領域401を介して可撓性基板40
2の端部に延在する(図示せず)。可撓性基板402の端部(すなわち、外部入力端子)
において、絶縁層415に開口が設けられ、該開口部内に露出した導電層414は、異方
性導電膜431等の導電部材を介してFPC433と電気的に接続する。
【0273】
ここで、可撓性基板402と可撓性基板430の側面には、シール材として機能する部材
434が設けられている。部材434は、先の実施の形態で説明した材料及び作製方法を
用いて作製することができる。
【0274】
このように発光装置において、表示領域400を、部材434を用いて封止することによ
り、外部から発光素子417やトランジスタ407、408、409の半導体層の特性を
害する水分等の侵入を防止又は抑制することができる。
【0275】
以上より、薄く軽量であり可撓性及び耐衝撃性に加えて、信頼性に優れた発光装置を作製
することができる。また、薄く軽量であり可撓性及び耐衝撃性に加えて、気密性の高い発
光装置を作製することができる。
【0276】
本実施の形態に示す構成、方法などは、他の実施の形態に示す構成、方法などと適宜組み
合わせて用いることができる。
【0277】
(実施の形態7)
本実施の形態では、表示装置の表示素子を駆動する素子にトランジスタを用いた場合にお
いて、該トランジスタのチャネル形成領域に用いることのできる酸化物半導体について詳
述する。
【0278】
トランジスタのチャネル形成領域に用いる酸化物半導体としては、少なくともインジウム
(In)または亜鉛(Zn)を含むことが好ましい。特にIn及びZnを含むことが好ま
しい。また、それらに加えて、酸素を強く結びつけるスタビライザーを有することが好ま
しい。スタビライザーとしては、ガリウム(Ga)、スズ(Sn)、ジルコニウム(Zr
)、ハフニウム(Hf)及びアルミニウム(Al)の少なくともいずれかを有すればよい
。
【0279】
また、他のスタビライザーとして、ランタノイドである、ランタン(La)、セリウム(
Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム
(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホル
ミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ル
テチウム(Lu)のいずれか一種または複数種を有してもよい。
【0280】
例えば、四元系金属の酸化物であるIn−Sn−Ga−Zn系酸化物や、三元系金属の酸
化物であるIn−Ga−Zn系酸化物、In−Sn−Zn系酸化物、In−Zr−Zn系
酸化物、In−Al−Zn系酸化物、Sn−Ga−Zn系酸化物、Al−Ga−Zn系酸
化物、Sn−Al−Zn系酸化物や、In−Hf−Zn系酸化物、In−La−Zn系酸
化物、In−Ce−Zn系酸化物、In−Pr−Zn系酸化物、In−Nd−Zn系酸化
物、In−Sm−Zn系酸化物、In−Eu−Zn系酸化物、In−Gd−Zn系酸化物
、In−Tb−Zn系酸化物、In−Dy−Zn系酸化物、In−Ho−Zn系酸化物、
In−Er−Zn系酸化物、In−Tm−Zn系酸化物、In−Yb−Zn系酸化物、I
n−Lu−Zn系酸化物や、二元系金属の酸化物であるIn−Zn系酸化物、Sn−Zn
系酸化物、Al−Zn系酸化物、Zn−Mg系酸化物、Sn−Mg系酸化物、In−Mg
系酸化物や、In−Ga系酸化物、一元系金属の酸化物であるIn系酸化物、Sn系酸化
物、Zn系酸化物などを用いることができる。
【0281】
なお、ここで、例えば、In−Ga−Zn系酸化物とは、In、Ga及びZnを主成分と
して有する酸化物という意味であり、In、Ga及びZnの比率は問わない。
【0282】
また、酸化物半導体として、InMO
3(ZnO)
m(m>0)で表記される材料を用い
てもよい。なお、Mは、Ga、Fe、Mn及びCoから選ばれた一の金属元素または複数
の金属元素を示す。また、酸化物半導体として、In
2SnO
5(ZnO)
n(n>0)
で表記される材料を用いてもよい。
【0283】
例えば、In:Ga:Zn=3:1:2、In:Ga:Zn=1:1:1またはIn:G
a:Zn=2:2:1の原子数比のIn−Ga−Zn系酸化物やその組成の近傍の酸化物
を用いることができる。または、In:Sn:Zn=1:1:1、In:Sn:Zn=2
:1:3またはIn:Sn:Zn=2:1:5の原子数比のIn−Sn−Zn系酸化物や
その組成の近傍の酸化物を用いるとよい。
【0284】
なお、例えば、In、Ga、Znの原子数比がIn:Ga:Zn=a:b:c(a+b+
c=1)である酸化物の組成が、原子数比がIn:Ga:Zn=A:B:C(A+B+C
=1)の酸化物の組成の近傍であるとは、a、b、cが、式(1)を満たすことをいう。
【0285】
(a―A)
2+(b―B)
2+(c―C)
2≦r
2 (1)
(r
2は(a―A)
2+(b―B)
2+(c―C)
2以上)
【0286】
式(1)中に記載のrとしては、例えば、0.05とすればよい。他の酸化物でも同様で
ある。
【0287】
しかし、これらに限られず、必要とする半導体特性(電界効果移動度、閾値電圧等)に応
じて適切な組成のものを用いればよい。また、必要とする半導体特性を得るために、キャ
リア濃度や不純物濃度、欠陥密度、金属元素と酸素の原子数比、原子間距離、密度等を適
切なものとすることが好ましい。
【0288】
また、酸化物半導体をチャネル形成領域に用いたトランジスタは、酸化物半導体を高純度
化することにより、オフ電流(ここでは、オフ状態のとき、例えばソース電位を基準とし
たときのゲート電位との電位差がしきい値電圧以下のときのドレイン電流とする)を十分
に低くすることができる。例えば酸化物半導体の高純度化は、加熱成膜により水素や水酸
基を酸化物半導体中に含ませないようにし、または成膜後の加熱により膜中から除去する
ことで、実現できる。高純度化されることにより、チャネル領域にIn−Ga−Zn系酸
化物を用いたトランジスタで、チャネル幅あたりのオフ電流を1×10
−24A/μm(
1yA/μm)から1×10
−22A/μm(100yA/μm)程度とすることが可能
である。
【0289】
以下では、酸化物半導体膜の構造について説明する。
【0290】
酸化物半導体膜は、単結晶酸化物半導体膜と非単結晶酸化物半導体膜とに大別される。非
単結晶酸化物半導体膜とは、非晶質酸化物半導体膜、微結晶酸化物半導体膜、多結晶酸化
物半導体膜、CAAC−OS(C Axis Aligned Crystalline
Oxide Semiconductor)膜などをいう。
【0291】
非晶質酸化物半導体膜は、膜中における原子配列が不規則であり、結晶成分を有さない酸
化物半導体膜である。微小領域においても結晶部を有さず、膜全体が完全な非晶質構造の
酸化物半導体膜が典型である。
【0292】
微結晶酸化物半導体膜は、例えば、1nm以上10nm未満の大きさの微結晶(ナノ結晶
ともいう。)を含む。従って、微結晶酸化物半導体膜は、非晶質酸化物半導体膜よりも原
子配列の規則性が高い。そのため、微結晶酸化物半導体膜は、非晶質酸化物半導体膜より
も欠陥準位密度が低いという特徴がある。
【0293】
CAAC−OS膜は、複数の結晶部を有する酸化物半導体膜の一つであり、ほとんどの結
晶部は、一辺が100nm未満の立方体内に収まる大きさである。従って、CAAC−O
S膜に含まれる結晶部は、一辺が10nm未満、5nm未満または3nm未満の立方体内
に収まる大きさの場合も含まれる。CAAC−OS膜は、微結晶酸化物半導体膜よりも欠
陥準位密度が低いという特徴がある。以下、CAAC−OS膜について詳細な説明を行う
。
【0294】
CAAC−OS膜を透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Elect
ron Microscope)によって観察すると、結晶部同士の明確な境界、即ち結
晶粒界(グレインバウンダリーともいう。)を確認することができない。そのため、CA
AC−OS膜は、結晶粒界に起因する電子移動度の低下が起こりにくいといえる。
【0295】
CAAC−OS膜を、試料面と概略平行な方向からTEMによって観察(断面TEM観察
)すると、結晶部において、金属原子が層状に配列していることを確認できる。金属原子
の各層は、CAAC−OS膜の膜を形成する面(被形成面ともいう。)または上面の凹凸
を反映した形状であり、CAAC−OS膜の被形成面または上面と平行に配列する。
【0296】
一方、CAAC−OS膜を、試料面と概略垂直な方向からTEMによって観察(平面TE
M観察)すると、結晶部において、金属原子が三角形状または六角形状に配列しているこ
とを確認できる。しかしながら、異なる結晶部間で、金属原子の配列に規則性は見られな
い。
【0297】
断面TEM観察および平面TEM観察より、CAAC−OS膜の結晶部は配向性を有して
いることがわかる。
【0298】
CAAC−OS膜に対し、X線回折(XRD:X−Ray Diffraction)装
置を用いて構造解析を行うと、例えばInGaZnO
4の結晶を有するCAAC−OS膜
のout−of−plane法による解析では、回折角(2θ)が31°近傍にピークが
現れる場合がある。このピークは、InGaZnO
4の結晶の(009)面に帰属される
ことから、CAAC−OS膜の結晶がc軸配向性を有し、c軸が被形成面または上面に概
略垂直な方向を向いていることが確認できる。
【0299】
一方、CAAC−OS膜に対し、c軸に概略垂直な方向からX線を入射させるin−pl
ane法による解析では、2θが56°近傍にピークが現れる場合がある。このピークは
、InGaZnO
4の結晶の(110)面に帰属される。InGaZnO
4の単結晶酸化
物半導体膜であれば、2θを56°近傍に固定し、試料面の法線ベクトルを軸(φ軸)と
して試料を回転させながら分析(φスキャン)を行うと、(110)面と等価な結晶面に
帰属されるピークが6本観察される。これに対し、CAAC−OS膜の場合は、2θを5
6°近傍に固定してφスキャンした場合でも、明瞭なピークが現れない。
【0300】
以上のことから、CAAC−OS膜では、異なる結晶部間ではa軸およびb軸の配向は不
規則であるが、c軸配向性を有し、かつc軸が被形成面または上面の法線ベクトルに平行
な方向を向いていることがわかる。従って、前述の断面TEM観察で確認された層状に配
列した金属原子の各層は、結晶のab面に平行な面である。
【0301】
なお、結晶部は、CAAC−OS膜を成膜した際、または加熱処理などの結晶化処理を行
った際に形成される。上述したように、結晶のc軸は、CAAC−OS膜の被形成面また
は上面の法線ベクトルに平行な方向に配向する。従って、例えば、CAAC−OS膜の形
状をエッチングなどによって変化させた場合、結晶のc軸がCAAC−OS膜の被形成面
または上面の法線ベクトルと平行にならないこともある。
【0302】
また、CAAC−OS膜中の結晶化度が均一でなくてもよい。例えば、CAAC−OS膜
の結晶部が、CAAC−OS膜の上面近傍からの結晶成長によって形成される場合、上面
近傍の領域は、被形成面近傍の領域よりも結晶化度が高くなることがある。また、CAA
C−OS膜に不純物を添加する場合、不純物が添加された領域の結晶化度が変化し、部分
的に結晶化度の異なる領域が形成されることもある。
【0303】
なお、InGaZnO
4の結晶を有するCAAC−OS膜のout−of−plane法
による解析では、2θが31°近傍のピークの他に、2θが36°近傍にもピークが現れ
る場合がある。2θが36°近傍のピークは、CAAC−OS膜中の一部に、c軸配向性
を有さない結晶が含まれることを示している。CAAC−OS膜は、2θが31°近傍に
ピークを示し、2θが36°近傍にピークを示さないことが好ましい。
【0304】
CAAC−OS膜を用いたトランジスタは、可視光や紫外光の照射による電気特性の変動
が小さい。よって、当該トランジスタは、信頼性が高い。
【0305】
なお、酸化物半導体膜は、例えば、非晶質酸化物半導体膜、微結晶酸化物半導体膜、CA
AC−OS膜のうち、二種以上を有する積層膜であってもよい。
【0306】
本実施の形態に示す構成、方法などは、他の実施の形態に示す構成、方法などと適宜組み
合わせて用いることができる。
【0307】
(実施の形態8)
本実施の形態は、先の実施の形態で説明した表示装置に含まれる発光素子313、発光素
子417に適用可能な発光素子の一例について
図14を用いて説明する。
【0308】
図14(A)に示す発光素子は、一対の電極(第1電極層8403、第2電極層8407
)間に発光領域を含むEL層8450が挟まれた構造を有する。第1電極層8403及び
第2電極層8407は先の実施の形態で説明した発光装置の第1電極層314、418及
び第2電極層317、421として適用することができる。
【0309】
また、EL層8450は、少なくとも発光層を含んで形成されていればよく、発光層以外
の機能層を含む積層構造であっても良い。発光層以外の機能層としては、正孔注入性の高
い物質、正孔輸送性の高い物質、電子輸送性の高い物質、電子注入性の高い物質、バイポ
ーラ性(電子及び正孔の輸送性の高い物質)の物質等を含む層を用いることができる。具
体的には、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層等の機能層を適宜組み合わ
せて用いることができる。
【0310】
図14(A)に示す発光素子8400は、第1電極層8403と第2電極層8407との
間に生じた電位差により電流が流れ、EL層8450において正孔と電子とが再結合し、
発光するものである。つまりEL層8450に発光領域が形成されるような構成となって
いる。
【0311】
なお、EL層8450は
図14(B)のように第1電極層8403と第2電極層8407
との間に複数積層されていても良い。n(nは2以上の自然数)層の積層構造を有する場
合には、m(mは自然数、mは1以上n−1以下)番目のEL層と、(m+1)番目のE
L層との間には、それぞれ電荷発生層8450aを設けることが好ましい。
【0312】
電荷発生層8450aは、有機化合物と金属酸化物の複合材料、金属酸化物、有機化合物
とアルカリ金属、アルカリ土類金属、又はこれらの化合物との複合材料の他、これらを適
宜組み合わせて形成することができる。有機化合物と金属酸化物の複合材料としては、例
えば、有機化合物と酸化バナジウムや酸化モリブデンや酸化タングステン等の金属酸化物
を含む。有機化合物としては、芳香族アミン化合物、カルバゾール誘導体、芳香族炭化水
素、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)など、種々の化合物を用い
ることができる。なお、有機化合物としては、正孔輸送性有機化合物として正孔移動度が
10
−6cm
2/Vs以上であるものを適用することが好ましい。ただし、電子よりも正
孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。なお、電荷発生層8
450aに用いるこれらの材料は、キャリア注入性、キャリア輸送性に優れているため、
図14に示した発光素子の低電流駆動、及び低電圧駆動を実現することができる。
【0313】
なお、電荷発生層8450aは、有機化合物と金属酸化物の複合材料と他の材料とを組み
合わせて形成してもよい。例えば、有機化合物と金属酸化物の複合材料を含む層と、電子
供与性物質の中から選ばれた一の化合物と電子輸送性の高い化合物とを含む層とを組み合
わせて形成してもよい。また、有機化合物と金属酸化物の複合材料を含む層と、透明導電
膜とを組み合わせて形成してもよい。
【0314】
このような構成を有する発光素子は、エネルギーの移動や消光などの問題が起こり難く、
材料の選択の幅が広がることで高い発光効率と長い寿命とを併せ持つ発光素子とすること
が容易である。また、一方の発光層で燐光発光、他方で蛍光発光を得ることも容易である
。
【0315】
なお、電荷発生層8450aとは、第1電極層8403と第2電極層8407に電圧を印
加したときに、電荷発生層8450aに接して形成される一方のEL層8450に対して
正孔を注入する機能を有し、他方のEL層8450に電子を注入する機能を有する。
【0316】
図14(B)に示す発光素子8400は、EL層8450に用いる発光物質の種類を変え
ることにより様々な発光色を得ることができる。また、発光物質として発光色の異なる複
数の発光物質を用いることにより、ブロードなスペクトルの発光や白色発光を得ることも
できる。
【0317】
図14(B)に示す発光素子を用いて、白色発光を得る場合、複数のEL層の組み合わせ
としては、赤、青及び緑色の光を含んで白色に発光する構成であればよく、例えば、青色
の蛍光材料を発光物質として含む第1の発光層と、緑色と赤色の燐光材料を発光物質とし
て含む第2の発光層を有する構成が挙げられる。また、赤色の発光を示す第1の発光層と
、緑色の発光を示す第2の発光層と、青色の発光を示す第3の発光層とを有する構成とす
ることもできる。又は、補色の関係にある光を発する発光層を有する構成であっても白色
発光が得られる。発光層が2層積層された積層型素子において、第1の発光層から得られ
る発光の発光色と第2の発光層から得られる発光の発光色を補色の関係にする場合、補色
の関係としては、青色と黄色、あるいは青緑色と赤色などが挙げられる。
【0318】
なお、上述した積層型素子の構成において、積層される発光層の間に電荷発生層を配置す
ることにより、電流密度を低く保ったまま、高輝度領域での長寿命素子を実現することが
できる。また、電極材料の抵抗による電圧降下を小さくできるので、大面積での均一発光
が可能となる。
【0319】
本実施の形態に示す構成、方法などは、他の実施の形態に示す構成、方法などと適宜組み
合わせて用いることができる。
【0320】
(実施の形態9)
フレキシブルな形状を備える表示装置を適用した電子機器として、例えば、テレビジョン
装置(テレビ、又はテレビジョン受信機ともいう)、コンピュータ用などのモニタ、デジ
タルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機(携帯電話、
携帯電話装置ともいう)、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、パチンコ機な
どの大型ゲーム機などが挙げられる。
【0321】
また、照明装置や表示装置を、家屋やビルの内壁または外壁や、自動車の内装または外装
の曲面に沿って組み込むことも可能である。
【0322】
本実施の形態では、本発明の一態様の表示装置が適用された電子機器や照明装置の例につ
いて、
図15及び
図16を用いて説明する。
【0323】
図15(A)は、携帯電話機の一例を示している。携帯電話機9400は、筐体9401
に組み込まれた表示部9402の他、操作ボタン9403、外部接続ポート9404、ス
ピーカ9405、マイク9406などを備えている。なお、携帯電話機9400は、本発
明の一態様に係る表示装置を表示部9402に用いることにより作製される。
【0324】
図15(A)に示す携帯電話機9400は、表示部9402を指やペンなどで触れること
で情報を入力することができるように、抵抗膜方式や静電容量方式、表面弾性波方式、赤
外線方式等のタッチスクリーンが設けられている。また、電話をかける、あるいは文字を
入力するなどのあらゆる操作は、表示部9402を指などで触れることにより行うことが
できる。
【0325】
また操作ボタン9403の操作により、電源のON、OFFや、表示部9402に表示さ
れる画像の種類を切り替えることができる。例えば、メール作成画面から、メインメニュ
ー画面に切り替えることができる。
【0326】
表示部9402には、本発明の一態様に係る表示装置が組み込まれているため、湾曲した
表示部を備え、且つ信頼性の高い携帯電話機とすることができる。
【0327】
図15(B)は、スマートフォン等の多用途に対応可能な多機能の携帯型情報端末の一例
を示している。携帯型情報端末9410は、筐体9411に組み込まれた表示部9412
の他、操作ボタン9413、スピーカ9414、マイク9415、その他図示しないステ
レオヘッドフォンジャック、メモリカード挿入口、カメラ、USBコネクタなどの外部接
続ポート等を備えている。なお、携帯型情報端末9410は、本発明の一態様に係る表示
装置を表示部9412に用いることにより作製される。
【0328】
図15(B)に示す携帯型情報端末9410は、表示部9412を指やペンなどで触れる
ことで情報を入力することができるように、抵抗膜方式や静電容量方式等のタッチスクリ
ーンが設けられている。また、電話をかける、あるいは文字を入力するなどのあらゆる操
作は、表示部9412を指などで触れることにより行うことができる。
【0329】
また操作ボタン9413の操作により、電源のON、OFFや、表示部9412に表示さ
れる画像の種類を切り替えることができる。例えば、メール作成画面から、メインメニュ
ー画面に切り替えることができる。
【0330】
表示部9412には、本発明の一態様に係る表示装置が組み込まれているため、湾曲した
表示部を備え、且つ信頼性の高い携帯型情報端末とすることができる。
【0331】
図15(C)は、リストバンド型の表示装置の一例を示している。携帯表示装置9500
は、筐体9501、表示部9502、操作ボタン9503、及び送受信装置9504を備
える。
【0332】
携帯表示装置9500は、送受信装置9504によって映像信号を受信可能で、受信した
映像を表示部9502に表示することができる。また、音声信号を他の受信機器に送信す
ることもできる。
【0333】
また、操作ボタン9503によって、電源のON、OFF動作や表示する映像の切り替え
、または音声のボリュームの調整などを行うことができる。
【0334】
ここで、表示部9502には、本発明の一態様の表示装置が組み込まれている。したがっ
て、湾曲した表示部を備え、且つ信頼性の高い携帯表示装置とすることができる。
【0335】
図16(A)〜
図16(C)は、照明装置の一例を示している。照明装置9200、照明
装置9210、照明装置9220はそれぞれ、操作スイッチ9203を備える台部920
1と、台部9201に支持される発光部を有する。
【0336】
図16(A)に示す照明装置9200は、波状の発光面を有する発光部9202を備える
。したがってデザイン性の高い照明装置となっている。
【0337】
図16(B)に示す照明装置9210の備える発光部9212は、凸状に湾曲した2つの
発光部が対称的に配置された構成となっている。したがって照明装置9210を中心に全
方位を照らすことができる。
【0338】
図16(C)に示す照明装置9220は、凹状に湾曲した発光部9222を備える。した
がって、発光部9222からの発光を、照明装置9220の前面に集光するため、特定の
範囲を明るく照らす場合に適している。
【0339】
また、照明装置9200、照明装置9210及び照明装置9220の備える各々の発光部
はフレキシブル性を有しているため、当該発光部を可塑性の部材や可動なフレームなどで
固定し、用途に合わせて発光部の発光面を自在に湾曲可能な構成としてもよい。
【0340】
ここで、発光部9202、発光部9212及び発光部9222には、表示素子として発光
素子を用いた本発明の一態様の表示装置が組み込まれている。したがって、湾曲した発光
部を備え、且つ信頼性の高い照明装置とすることができる。
【0341】
以上のように、本実施の一態様である表示装置を適用することで、薄く軽量であり、可撓
性及び耐衝撃性に加えて信頼性に優れた電子機器及び照明装置を提供することができる。
【0342】
本実施の形態に示す構成、方法などは、他の実施の形態に示す構成、方法などと適宜組み
合わせて用いることができる。