(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第3規制部材は、前記固定部及び前記移動部のどちらにも固定されない、又は、前記固定部及び前記移動部の一方にのみ固定されたことを特徴とする請求項1に記載の電磁アクチュエータ。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明に係る電磁アクチュエータの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
(第1実施形態)
まず、第1実施形態に係る電磁アクチュエータについて、
図1を参照しつつ説明する。
図1(a)は第1実施形態における第3規制部材53の構成を示す平面図である。
図1(b)は第1実施形態に係る電磁アクチュエータ10の構成を示す断面図である。
図1(a)は、レンズ30の光軸30Aからみた平面図、(b)はレンズ30の光軸30Aを含む断面図である。
【0022】
図1(b)に示すように、電磁アクチュエータ10は、固定部11と、コイル20と、磁石40及びレンズ30を備えた移動部35と、第1規制部材51と、第2規制部材52と、第3規制部材53と、を有する。
固定部11は、例えば円筒形状であって、その内周面11Sに沿うように略円筒状のコイル20が同心状に固定されている。コイル20の内側には、略円筒状の磁石40が、コイル20に対して同心状に配置されている。磁石40は、コイル20への通電に応じ、移動部35が固定部11に対して相対的に移動する力を移動部35へ付与する。磁石40の移動方向は、レンズ30の光軸30Aに沿っており、かつ、互いに反対向きの第1方向F又は第2方向Sであり、コイル20への電流の通電方向に応じて変更される。
なお、固定部11、コイル20、及び磁石40の形状は、固定部11に対して移動部35が相対的に移動可能であれば、円筒形状に限定されない。
また、
図1においては、コイル20と磁石40の隙間を明示しているが、コイル20と磁石40の間隔は、磁石40の移動を制限せず、かつ、移動部35が光軸30Aに沿って移動するように設定されている。
【0023】
磁石40の内周面には、素子としてのレンズ30が固定されており、磁石40とともに光軸30Aに沿った、第1方向F又は第2方向Sに移動する。
ここで、素子としては、
図1に示す形状以外のレンズ、撮像素子、フィルタその他の光学素子などを適用できる。
【0024】
第1規制部材51は、固定部11の内周面11Sに固定された略円板状部材であって、第1方向Fにおける磁石40の移動軌道上に配置することによって、移動部35が第1方向Fに沿って移動することを規制する。第2規制部材52は、固定部11の内周面11Sに固定された略円板状部材であって、第2方向Sに沿って移動してきた移動部35と当接することによって、移動部35が第2方向Sに沿って移動することを規制する。
【0025】
第3規制部材53は、
図1(a)に示すような、光軸30Aを中心とする渦巻状又は螺旋状のバネからなる弾性部材であり、固定部11の内周面11Sに対して、光軸30Aの方向において第1規制部材51を設けた位置と第3規制部材53を設けた位置の間の位置に外周面が固定されている。第3規制部材53は、第1方向Fに沿って移動してきた移動部35と当接することによって、移動部35が第1方向Fに沿って移動することを規制する。第3規制部材53は、移動部35から、その移動方向に沿った方向に所定以上の力を受けることにより変形し、受ける力に応じた複数の位置で、移動部35の移動を規制する。別言すると、第3規制部材53は、移動部35の運動エネルギー量により変形量が異なり、例えば、変形を保持する位置と、変形が復元された位置の2箇所以上の位置で移動部35を規制して停止させる。このように第3規制部材53を構成・配置したことにより、第3規制部材53が、固定部11と移動部35の両方に拘束されず、設計自由度を高めることができる。
【0026】
ここで、第1規制部材51、第2規制部材52、及び第3規制部材53は、磁性材又は磁石で構成すると、移動部35を規制した位置で磁石40を吸着保持することが可能となる。
また、第1規制部材51、第2規制部材52、及び第3規制部材53は、レンズ30に対する光の入射・射出を可能とするために、所定の大きさの開口51a、52a、53aをそれぞれ有している。
さらに、第3規制部材53は、第1方向Fに沿って変形し、複数の位置で移動部35の移動を規制可能であれば、バネ以外の弾性部材(例えばゴム)で構成してもよい。
【0027】
次に、電磁アクチュエータ10の動作について説明する。
<第2停止位置>
移動部35が第2方向Sに沿って移動するような向きの電流をコイル20に通電すると、移動部35は、第2規制部材52に突き当たるまで移動し、第2規制部材52によって移動を規制されて、その位置(第2停止位置)で停止する。
<第3停止位置、第1停止位置>
移動部35が第1方向Fに沿って移動するような向きの電流を、所定量・所定時間コイル20に通電すると、移動部35は第3規制部材53に突き当たるまで移動し、第3規制部材53によって移動を規制されて、その位置(第3停止位置)で停止する。
これに対して、移動部35を第3停止位置で停止させる場合に比べて、コイル20への電流の印加時間を長く、又は、印加電流量を増やすと、移動部35は第3規制部材53を変形させつつ第1方向Fに沿ってさらに移動する。このとき、移動部35は、第3規制部材53を介して第1規制部材51に突き当たるまで移動し、変形した第3規制部材53及び第1規制部材51によって移動を規制されて、その位置(第1停止位置)で停止する。
ここで、第1方向Fにおける第3規制部材53の変形量は、移動部35が第1停止位置にあるときより第3停止位置にあるときの方が小さい。
以上の構成及び動作によって、電磁アクチュエータ10は、第1停止位置、第2停止位置、及び第3停止位置の離散的な3つの位置に移動部35を精確に停止させることができる。
【0028】
(第2実施形態)
第2実施形態に係る電磁アクチュエータについて、
図2〜
図4を参照して説明する。
図2は、第2実施形態に係る電磁アクチュエータ100の構成を示す断面図であって、レンズ130の光軸130Aを含む断面図である。
図3(a)は第1規制部材151と第1保持部161の関係を示す、
図2のIIIAの方向から見た平面図、(b)は第3規制部材153と第3保持部163の関係を示す、
図2のIIIBの方向から見た平面図である。
図3に示す水平面100Hは、光軸130Aが通る面であって、
図2において紙面に垂直な面である。
【0029】
図2に示す電磁アクチュエータ100は、第1保持部161、第2保持部162、及び第3保持部163を備える点が、
図1に示す電磁アクチュエータ10と異なる。
図1に示す電磁アクチュエータ10における、固定部11と、コイル20と、レンズ30と、磁石40と、第1規制部材51と、第2規制部材52と、第3規制部材53とは、
図2に示す電磁アクチュエータ100における、固定部110と、コイル120と、レンズ130と、磁石140と、第1規制部材151と、第2規制部材152と、第3規制部材153とにそれぞれ対応するため、これらの詳細な説明は省略する。
光軸130Aを有するレンズ130と磁石140とで移動部135を構成する点も、
図1に示す電磁アクチュエータ10と同様である。また、第1実施形態における第3規制部材53と同様に、固定部110と移動部135の両方に拘束されず、設計の自由度を高めることができる。
【0030】
第1保持部161は、第1規制部材151のコイル120に近い側面に固定されている。第1保持部161は、第1規制部材151によって第1方向Fに沿った移動が規制された、移動部135及び変形した第3規制部材153を、その位置(第1停止位置I(
図4(a)))に保持する。
第2保持部162は、第2規制部材152のコイル120から遠い側面に固定されている。第2保持部162は、第2規制部材152に突き当たることによって第2方向Sに沿った移動が規制された移動部135を、その位置(第2停止位置II(
図4(b)))に保持する。
第3保持部163は、第3規制部材153の第1規制部材151に近い側面に固定されている。第3保持部163は、第3規制部材153に突き当たることによって第1方向Fに沿った移動が規制された移動部135を、その位置(第3停止位置III(
図4(c)))に保持する。この状態において、第3規制部材153は変形していない。
ここで、第1保持部161、第2保持部162、及び第3保持部163は、その少なくとも1つを、磁性材又は磁石で構成すると、磁力によって磁石140と互いに吸着しあうため移動部135を確実に保持できる。
【0031】
図3に示すように、第1保持部161と第3保持部163は、水平面100Hに関して互いに反対側に配置されている。第1保持部161と第3保持部163は、第3規制部材153が変形した状態でもこの関係を維持するように配置されている。別言すると、第1保持部161と第3保持部163は、変形した第3規制部材153と移動部135を、第1保持部161によって第1停止位置に保持したとき、移動部135の移動方向に直交する平面上で重ならないように配置されている。さらに、少なくとも第3規制部材153が変形した状態において、第1保持部161及び第3保持部163のそれぞれと移動部135との距離が同じになるように各部材を配置している。
第1保持部161及び第3保持部163をこのように配置することにより、第1保持部161と第3保持部163が移動部135を保持する力を個別に調整できる。また、第1保持部161と移動部135の間に第3保持部163が存在する構成にした場合、移動部135に対する第1保持部161の保持力が弱くなるが、上述のように移動方向に直交する平面上で重ならないように配置しているため、第1保持部161によって移動部135を保持する力を確保することができる。
【0032】
なお、第1保持部161、第2保持部162、及び第3保持部163の少なくとも1つを粘着材で構成し、その粘着力によって移動部135を脱離可能に保持する構成としてもよい。この場合、第3保持部163としての粘着材は、第3規制部材153のコイル120に近い側面に配置することが好ましい。また、第1保持部161、第2保持部162、及び第3保持部163の少なくとも1つを、機械的接触によって移動部135を保持する部材で構成してもよい。このような部材としては、例えば面ファスナを挙げることができる。
さらにまた、第1保持部161、第2保持部162、及び第3保持部163は、磁性材と、磁石と、粘着材と、機械的接触によって移動部135を保持する部材と、を組み合わせて構成してもよい。
ここで、第1規制部材151、第2規制部材152、及び第3規制部材153は、その少なくとも1つを、非磁性の部材で構成することができる。非磁性の部材で構成すると、移動部135の駆動力を得やすくなる。
【0033】
つづいて、
図4を参照して、電磁アクチュエータ100の動作について説明する。
図4は、電磁アクチュエータ100の動作を示す断面図であって、レンズ130の光軸130Aを含む断面図である。
図4(a)は、移動部135が第1停止位置Iで保持されている状態を示す図、(b)は、移動部135が第2停止位置IIで保持されている状態を示す図、(c)は、移動部135が第3停止位置IIIで保持されている状態を示す図である。
ここでは、第1保持部161、第2保持部162、及び第3保持部163が磁性材料で構成されている場合について説明する。
【0034】
<第2停止位置>
移動部135が第2方向Sに沿って移動するような向きの電流をコイル120に通電すると、移動部135は、第2規制部材152に突き当たるまで移動し、第2規制部材152によって移動を規制されて、その位置(第2停止位置II(
図4(b)))で停止する。移動部135が第2停止位置IIにあるとき、磁石140と、磁性材料からなる第2保持部162とが磁力によって互いに引きつけあうため、コイル120に電流を印加しない無通電状態で移動部135を第2停止位置IIに保持することができる。
【0035】
<第3停止位置、第1停止位置>
移動部135が第1方向Fに沿って移動するような向きの電流を、所定量・所定時間コイル120に通電すると、移動部135は第3規制部材153に突き当たるまで移動し、第3規制部材153によって移動を規制されて、その位置(第3停止位置III(
図4(c)))で停止する。移動部135が第3停止位置IIIにあるとき、磁石140と、磁性材料からなる第3保持部163とが磁力によって互いに引きつけあうため、コイル120に電流を印加しない無通電状態で移動部135を第3停止位置IIIに保持することができる。
【0036】
移動部135を第3停止位置で停止させる場合に比べて、コイル120への電流の印加時間を長く、又は、印加電流量を増やすと、移動部135は第3規制部材153を変形させつつ第1方向Fに沿ってさらに移動する。このとき移動部135は、第3規制部材153を介して第1規制部材151に突き当たるまで移動し、変形した第3規制部材153及び第1規制部材151によって移動を規制されて、その位置(第1停止位置I(
図4(a)))で停止する。移動部135が第1停止位置Iにあるとき、磁石140と、磁性材料からなる第1保持部161とが磁力によって互いに引きつけあうため、コイル120に電流を印加しない無通電状態で移動部135を第1停止位置Iに保持することができる。
ここで、第1方向Fにおける第3規制部材153の変形量は、移動部135が第1停止位置Iにあるときより第3停止位置IIIにあるときの方が小さい。
以上の構成及び動作によって、電磁アクチュエータ100は、第1停止位置I、第2停止位置II、及び第3停止位置IIIの離散的な3つの位置に移動部135を精確に停止させることができる。
【0037】
従来の一般的なVCM(ボイスコイルモータ)は、常時通電することによって位置を制御しているため、電力消費・発熱・外乱ノイズによる制御不良の点で問題がある。それに対し、第2実施形態に係る電磁アクチュエータ100では、第1保持部161、第2保持部162、及び第3保持部163を設けたことにより、無通電で移動部135の保持が可能となり、これにより、電力消費及び発熱を抑えることができ、また、常時制御が不要となることから外乱ノイズへの耐性が高まる。
【0038】
また、従来の一般的なVCMにおいて、無通電で離散的な位置に移動部135を保持しようとした場合、その保持位置は、1つの移動方向について1点に限定されており、さらに任意の点に移動部135を停止させるには、位置センサと保持機構が必要となっていた。つまり、従来の一般的なVCMの構成では、離散的なあらかじめ決められた3点以上の保持位置を、位置センサを用いず実現することは困難であった。これに対して、第2実施形態に係る電磁アクチュエータ100によれば、位置センサを用いない簡単かつ小型の構成により、無通電で離散的な3点以上の位置で移動部135を規制保持することが可能である。
【0039】
(第3実施形態)
図5を参照して、第3実施形態に係る電磁アクチュエータについて説明する。
図5は、第3実施形態に係る電磁アクチュエータ200の動作を示す断面図であり、レンズ230の光軸230Aを含む断面図である。
図5(a)は、移動部235が第1停止位置Iで保持されている状態を示す図、(b)は、移動部235が第2停止位置IIで保持されている状態を示す図、(c)は、移動部235が第3停止位置IIIで保持されている状態を示す図である。
【0040】
第3実施形態に係る電磁アクチュエータ200においては、(1)第3規制部材153に代えて第3規制部材253を用いている点、並びに、(2)第1保持部161及び第3保持部163に代えて円板状の第1保持部261を用いている点が第2実施形態に係る電磁アクチュエータ100と異なる。その他の構成は第2実施形態に係る電磁アクチュエータ100と同様であって、固定部210と、コイル220と、レンズ230と、磁石240と、第1規制部材251と、第2規制部材252と、第2保持部262とは、第2実施形態に係る電磁アクチュエータ100における、固定部110と、コイル120と、レンズ130と、磁石140と、第1規制部材151と、第2規制部材152と、第2保持部162とにそれぞれ対応するため、これらの詳細な説明は省略する。
【0041】
第3規制部材253は、光軸230Aに中心軸を一致させるように配置した円筒型のコイルばねであって、その中心軸に沿った方向の一端が移動部235の軸方向の一端面に固定され、レンズ230の光軸230Aに沿った方向に伸縮可能である。第3規制部材253は移動部235に固定されているため、移動部235とともに第1方向F又は第2方向Sに移動する。
第1保持部261は、第1規制部材251のコイル220に近い側面に固定されている。第1保持部261は、第1規制部材251によって第1方向Fに沿った移動が規制された、移動部235及び変形した第3規制部材253を、その位置(第1停止位置I(
図5))に保持する。
【0042】
図5を参照して、電磁アクチュエータ200の動作について説明する。ここでは、第1保持部261及び第2保持部262が磁性材料で構成されている場合について説明する。
<第2停止位置>
移動部235が第2方向Sに沿って移動するような向きの電流をコイル220に通電すると、移動部235は、第2規制部材252に移動部235が突き当たるまで移動し、第2規制部材252によって移動を規制されて、その位置(第2停止位置II(
図5(b)))で停止する。移動部235が第2停止位置IIにあるとき、磁石240と、磁性材料からなる第2保持部262とが磁力によって互いに引きつけあうため、コイル220に電流を印加しない無通電状態で移動部235を第2停止位置IIに保持することができる。
【0043】
<第3停止位置、第1停止位置>
移動部235が第1方向Fに沿って移動するような向きの電流を、所定量・所定時間コイル220に通電すると、移動部235は第3規制部材253とともに移動する。第3規制部材253が第1保持部261に突き当たるまで移動すると、移動部235は、第1保持部261を介して第1規制部材251によって移動を規制されて、その位置(第3停止位置III)(
図5(c))で停止する。移動部235が第3停止位置IIIにあるとき、磁石240と、磁性材料からなる第1保持部261とが磁力によって互いに引きつけあうため、コイル220に電流を印加しない無通電状態で移動部235を第3停止位置IIIに保持することができる。
【0044】
移動部235を第3停止位置IIIで停止させる場合に比べて、コイル220への電流の印加時間を長く、又は、印加電流量を増やすと、移動部235は、第1保持部261に当接した第3規制部材253を変形させつつ第1方向Fに沿ってさらに移動する。このとき移動部235は、コイル220への印加電流に応じて、第3規制部材253を収縮変形させつつ移動し、第3規制部材253の弾性力に対応した第1停止位置I(
図5(a))で移動を規制されて停止する。移動部235が第1停止位置Iにあるとき、磁石240と、磁性材料からなる第1保持部261とが磁力によって互いに引きつけあうため、コイル220に電流を印加しない無通電状態で移動部235を第1停止位置Iに保持することができる。
ここで、第1方向Fにおける第3規制部材253の変形量は、移動部235が第1停止位置Iにあるときより第3停止位置IIIにあるときの方が小さい。
以上の動作によって、電磁アクチュエータ200は、第1停止位置I、第2停止位置II、及び第3停止位置IIIの離散的な3つの位置に移動部235を精確に停止させることができる。
なお、その他の構成、作用、効果については、第2実施形態と同様である。
【0045】
(第4実施形態)
図6を参照して、第4実施形態に係る電磁アクチュエータについて説明する。
図6は、第4実施形態に係る電磁アクチュエータ300の動作を示す断面図であり、レンズ330の光軸330Aを含む断面図である。
図6(a)は、移動部335が第1停止位置Iで保持されている状態を示す図、(b)は、移動部335が第2停止位置IIで保持されている状態を示す図、(c)は、移動部335が第3停止位置IIIで保持されている状態を示す図である。
【0046】
第4実施形態に係る電磁アクチュエータ300においては、第3規制部材253に代えて第3規制部材353を用いている点が第3実施形態に係る電磁アクチュエータ200と異なる。その他の構成は第3実施形態に係る電磁アクチュエータ200と同様であって、固定部310と、コイル320と、レンズ330と、磁石340と、第1規制部材351と、第2規制部材352と、第1保持部361と、第2保持部362とは、電磁アクチュエータ200における、固定部210と、コイル220と、レンズ230と、磁石240と、第1規制部材251と、第2規制部材252と、第1保持部261と、第2保持部262とにそれぞれ対応するため、これらの詳細な説明は省略する。
【0047】
第3規制部材353は、円錐コイルばねであって、その中心軸に沿った方向の端部のうち、平均径が大きい方の端部が固定部310の内周面310Sに対して、径方向の一定の圧力で接触するように配置される。これにより、第3規制部材353は、光軸330Aに中心軸を一致させた状態で光軸330Aに沿って移動及び伸縮が可能になっている。また、第3規制部材353の中心軸に沿った方向の端部のうち、平均径が小さい方の端部は、径方向において、移動部335の端面に接触可能な位置に配置されている。したがって、第3規制部材353は、固定部310及び移動部335のいずれにも固定されていない。第3規制部材353が固定されていないため設計の自由度が高まる。
【0048】
図6を参照して、電磁アクチュエータ300の動作について説明する。ここでは、第1保持部361及び第2保持部362が磁性材料で構成されている場合について説明する。
<第2停止位置>
移動部335が第2方向Sに沿って移動するような向きの電流をコイル320に通電すると、移動部335は、第2規制部材352に突き当たるまで移動し、第2規制部材352によって移動を規制されて、その位置(第2停止位置II(
図6(b)))で停止する。移動部335が第2停止位置IIにあるとき、磁石340と、磁性材料からなる第2保持部362とが磁力によって互いに引きつけあうため、コイル320に電流を印加しない無通電状態で移動部335を第2停止位置IIに保持することができる。
【0049】
<第3停止位置、第1停止位置>
移動部335が第1方向Fに沿って移動するような向きの電流を、所定量・所定時間コイル320に通電すると、移動部335は第3規制部材353に当接した後は第3規制部材353とともに移動する。第3規制部材353が第1規制部材351に突き当たるまで移動すると、移動部335は、第1規制部材351によって移動を規制されて、その位置(第3停止位置III(
図6(c)))で停止する。この場合、第3規制部材353は、変形を起こしていない。移動部335が第3停止位置IIIにあるとき、磁石340と、磁性材料からなる第1保持部361とが磁力によって互いに引きつけあうため、コイル320に電流を印加しない無通電状態で移動部335を第3停止位置IIIに保持することができる。
【0050】
移動部335を第3停止位置IIIで停止させる場合に比べて、コイル320への電流の印加時間を長く、又は、印加電流量を増やすと、移動部335は、第1規制部材351に当接した第3規制部材353を変形させつつ第1方向Fに沿ってさらに移動する。このとき移動部335は、コイル320への印加電流に応じて第3規制部材353を収縮変形させつつ移動し、第3規制部材353の弾性力に対応した第1停止位置I(
図6(a))で移動を規制されて停止する。移動部335が第1停止位置Iにあるとき、磁石340と、磁性材料からなる第1保持部361とが磁力によって互いに引きつけあうため、コイル320に電流を印加しない無通電状態で移動部335を第1停止位置Iに保持することができる。
ここで、第1方向Fにおける第3規制部材353の変形量は、移動部335が第1停止位置Iにあるときより第3停止位置IIIにあるときの方が小さい。
以上の動作によって、電磁アクチュエータ300は、第1停止位置I、第2停止位置II、及び第3停止位置IIIの離散的な3つの位置に移動部335を精確に停止させることができる。
なお、その他の構成、作用、効果については、第3実施形態と同様である。
また、第3規制部材としては、第3実施形態の第3規制部材253及び第4実施形態の第3規制部材353以外の形状のバネ、例えば、樽型や鼓型のバネを用いることもできる。
【0051】
(第5実施形態)
図7を参照して、第5実施形態に係る電磁アクチュエータについて説明する。
図7は、第5実施形態に係る電磁アクチュエータ400の動作を示す断面図であり、レンズ430の光軸430Aを含む断面図である。
図7(a)は、移動部435が第2停止位置IIで保持されている状態を示す図、(b)は、移動部435が第4停止位置IVで保持されている状態を示す図である。
【0052】
第5実施形態に係る電磁アクチュエータ400においては、(1)第4規制部材454を設けている点、(2)第2保持部462を第2規制部材452のコイル420に近い側面に設けている点、及び、(3)第4保持部464を設けている点が第2実施形態に係る電磁アクチュエータ100と異なる。その他の構成は第2実施形態に係る電磁アクチュエータ100と同様であって、固定部410と、コイル420と、レンズ430と、磁石440と、第1規制部材451と、第2規制部材452と、第3規制部材453と、第1保持部461と、第3保持部463とは、電磁アクチュエータ100における、固定部110と、コイル120と、レンズ130と、磁石140と、第1規制部材151と、第2規制部材152と、第3規制部材153と、第1保持部161と、第3保持部163とにそれぞれ対応するため、これらの詳細な説明は省略する。
【0053】
第4規制部材454は、第3規制部材453と同様に、光軸430Aを中心とする渦巻状又は螺旋状のバネからなる弾性部材であり、固定部410の内周面410Sに対して、光軸430Aの方向において第2規制部材452を設けた位置と第3規制部材453を設けた位置の間の位置に外周面が固定されている。第4規制部材454は、第2方向Sに沿って移動してきた磁石440と当接することによって、移動部435が第2方向Sに沿って移動することを規制する。第4規制部材454は、移動部435から、その移動方向に沿った方向に所定以上の力を受けることにより変形し、受ける力に応じた複数の位置で、移動部435の移動を規制する。別言すると、第4規制部材454は、移動部435の運動エネルギー量により変形量が異なり、例えば、変形を保持する位置と、変形が復元された位置の2箇所以上の位置で移動部435を規制して停止させる。
【0054】
第2保持部462は、第2規制部材452のコイル420に近い側面に固定されている。第2保持部462は、第2規制部材452に突き当たることによって第2方向Sに沿った移動が規制された、移動部435及び変形した第4規制部材454を、その位置(第2停止位置II(
図7(a)))に保持する。
第4保持部464は、第4規制部材454の第2規制部材452に近い側面に固定されている。第4保持部464は、第4規制部材454に突き当たることによって第2方向Sに沿った移動が規制された移動部435を、その位置(第4停止位置IV(
図7(b)))に保持する。
ここで、第2保持部462及び第4保持部464は、磁性材又は磁石で構成すると、磁力によって磁石440と互いに吸着しあうため移動部435を確実に保持できる。
【0055】
また、第2保持部462と第4保持部464は、第2実施形態の第1保持部161と第3保持部163の位置関係と同様に、光軸430Aが通る水平面(
図7の紙面に垂直な面)に関して互いに反対側に配置されている。第2保持部462と第4保持部464は、第4規制部材454が変形した状態でもこの関係を維持するように配置されている。
【0056】
第1停止位置Iと第3停止位置IIIについては、図示しないが、第2実施形態(
図4(a)、(c))と同様である。より具体的には次のとおりである。
第1保持部461は、第1規制部材451によって第1方向Fに沿った移動が規制された、移動部435及び変形した第3規制部材453を、その位置(第1停止位置I(
図4(a)参照))に保持する。また、第3保持部463は、第3規制部材453に突き当たることによって第1方向Fに沿った移動が規制された移動部435を、その位置(第3停止位置III(
図4(c)参照))に保持する。
以上の構成及び動作によって、電磁アクチュエータ400は、第1停止位置I、第2停止位置II、第3停止位置III、第4停止位置IVの離散的な4つの位置に移動部435を精確に停止させることができる。
ここで、第1方向Fにおける第3規制部材453の変形量は、移動部435が第1停止位置Iにあるときより第3停止位置IIIにあるときの方が小さい。また、第2方向Sにおける第4規制部材454の変形量は、移動部435が第2停止位置IIにあるときより第4停止位置IVにあるときの方が小さい。
なお、その他の構成、作用、効果については、第2実施形態と同様である。