特許第6415881号(P6415881)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6415881マルチステージ電力コンバーターを用いて電気外科用エネルギーを発生させるシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6415881
(24)【登録日】2018年10月12日
(45)【発行日】2018年10月31日
(54)【発明の名称】マルチステージ電力コンバーターを用いて電気外科用エネルギーを発生させるシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/12 20060101AFI20181022BHJP
   H02M 3/155 20060101ALI20181022BHJP
   H02M 7/48 20070101ALI20181022BHJP
【FI】
   A61B18/12
   H02M3/155 U
   H02M3/155 H
   H02M7/48 F
   H02M7/48 P
【請求項の数】12
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2014-149573(P2014-149573)
(22)【出願日】2014年7月23日
(65)【公開番号】特開2015-24136(P2015-24136A)
(43)【公開日】2015年2月5日
【審査請求日】2017年7月18日
(31)【優先権主張番号】61/858,037
(32)【優先日】2013年7月24日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/179,724
(32)【優先日】2014年2月13日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512269650
【氏名又は名称】コヴィディエン リミテッド パートナーシップ
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】ジョシュア エイチ. ジョンソン
【審査官】 中村 一雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−135203(JP,A)
【文献】 特表平08−504646(JP,A)
【文献】 特表2012−533346(JP,A)
【文献】 特開平10−225129(JP,A)
【文献】 特開2011−045722(JP,A)
【文献】 特開2000−041993(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/12
H02M 3/155
H02M 7/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気外科用発電機であって、該電気外科用発電機は、
電気エネルギー源に連結されている電力コンバーターであって、該電力コンバーターは、電気外科用エネルギーを発生させるように構成され、該電力コンバーターは、
該電気エネルギー源からの第1の直流を第2の直流に変換するように構成されているブーストコンバーターと、
該第2の直流を交流に逆変換するように構成されている移相パルス幅変調(PS−PWM)共振インバーターと
を含む、電力コンバーターと、
発生させられた電気外科用エネルギーの電圧波形および電流波形を感知するように構成されている複数のセンサーと、
該電力コンバーターおよび該複数のセンサーに連結されているコントローラーと
を含み
該コントローラーは、
感知された電圧波形および電流波形に基づいて、組織インピーダンスを決定するように構成されている信号プロセッサーと、
出力コントローラーと
を含み
該出力コントローラーは、決定された組織インピーダンスに基づいて、複数の出力特性の中から1つを選択し、選択された出力特性に従って、該ブーストコンバーターを制御するための第1の制御信号と、該PS−PWM共振インバーターを制御するための第2の制御信号とを発生させるように構成されており、
該出力コントローラーは、該PS−PWM共振インバーターの切り替え周波数よりも速い切り替え周波数で該ブーストコンバーターを動作させる、電気外科用発電機。
【請求項2】
前記複数の出力特性は、一定電流出力特性と、一定電圧出力特性と、一定電力出力特性とを含む、請求項1に記載の電気外科用発電機。
【請求項3】
前記出力コントローラーは、前記組織インピーダンスに基づいて、前記一定電流出力特性から前記一定電力出力特性にシフトし、該一定電力出力特性から前記一定電圧出力特性にシフトする、請求項2に記載の電気外科用発電機。
【請求項4】
前記出力コントローラーは、前記組織インピーダンスが第1の所定の値未満の場合、前記一定電流出力特性を選択し、
該出力コントローラーは、該組織インピーダンスが該第1の所定の値以上、第2の所定の値未満の場合、前記一定電力出力特性を選択し、
該出力コントローラーは、該組織インピーダンスが該第2の所定の値以上、第3の所定の値未満の場合、前記一定電圧出力特性を選択し、
該第1の所定の値は、該第2の所定の値よりも小さく、該第2の所定の値は、該第3の所定の値よりも小さい、請求項2に記載の電気外科用発電機。
【請求項5】
前記出力特性が一定電圧出力特性である場合、前記出力コントローラーは、電圧制御モード下で前記第1の制御信号を発生させ、固定された位相を有する前記第2の制御信号を発生させる、請求項1に記載の電気外科用発電機。
【請求項6】
前記出力特性が一定電流出力特性である場合、前記出力コントローラーは、電圧制御モード下で前記第1の制御信号を発生させ、固定された位相を有する前記第2の制御信号を発生させる、請求項1に記載の電気外科用発電機。
【請求項7】
前記出力特性が一定電力出力特性である場合、前記出力コントローラーは、電流プログラムモード下で前記第1の制御信号を発生させ、固定された位相を有する前記第2の制御信号を発生させる、請求項1に記載の電気外科用発電機。
【請求項8】
前記出力特性が一定電圧出力特性、一定電流出力特性、および一定電力出力特性のうちのいずれの場合にも、前記出力コントローラーは、電流プログラムモード下で前記第1の制御信号を発生させ、固定された位相を有する前記第2の制御信号を発生させる、請求項1に記載の電気外科用発電機。
【請求項9】
前記ブーストコンバーターは、前記PS−PWM共振インバーターへの電圧および電流入力のリップルを低下させるために、複数のブーストコンバーターを含む、請求項1に記載の電気外科用発電機。
【請求項10】
前記電気外科用発電機は、複数のアナログ−ディジタル変換器(ADC)をさらに含み、該複数のアナログ−ディジタル変換器(ADC)は、前記感知された電圧波形および電流波形をサンプリングして、該感知された電圧波形および電流波形の各々のサンプルの所定の数を得るように構成され、
該サンプルの所定の数は、該感知された電圧波形および電流波形のRF周波数の整数倍に対応している、請求項1に記載の電気外科用発電機。
【請求項11】
前記複数のセンサーは、ロゴウスキーコイルを含む、請求項1に記載の電気外科用発電機。
【請求項12】
前記コントローラーは、フィールドプログラマブルゲートアレイ、特定用途向け集積回路、またはディジタル信号プロセッサーにおいて実装されている、請求項1に記載の電気外科用発電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景
1.技術分野
本開示は、電気外科に関する。より詳しくは、本開示は、電気外科用エネルギーを発生させるためにマルチステージ電力コンバーターを使用する電気外科用発電機および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2.関連技術の背景
電気外科は、電気外科手順中に生物学的組織を切断または改変するために、高周波電流の印加を伴う。電気外科は、電気外科用発電機、活性電極、およびリターン電極を用いて実施される。電気外科用発電機(電源または波形発生器とも称される)は、交流(AC)を発生させ、交流(AC)は、活性電極を通って患者の組織に印加され、リターン電極を通って電気外科用発電機に戻される。交流は、代表的に、筋肉および/または神経刺激を避けるために、100キロヘルツ(kHz)より上の周波数を有する。
【0003】
電気外科中、電気外科用発電機によって発生させられるACは、活性電極とリターン電極との間に配置される組織を通って伝導される。組織のインピーダンスは、ACに関連付けられる電気エネルギー(電気外科用エネルギーとも称される)を熱に変換し、熱は、組織温度を上げる。電気外科用発電機は、組織に提供される電力(すなわち、時間当たりの電気エネルギー)を制御することによって、組織の加熱を制御する。多くの他の変数が、組織の全体の加熱に影響するが、電流密度の増大は、通常、加熱の増大をもたらす。電気外科用エネルギーは、代表的に、組織を切断、切開、切除、凝固、および/または密封するために使用される。
【0004】
用いられる電気外科の2つの基礎のタイプは、単極電気外科および双極電気外科である。電気外科のこれらのタイプの両方は、活性電極およびリターン電極を使用する。双極電気外科において、外科手術器具は、活性電極およびリターン電極を同じ器具において、または互いに非常に密接に近接して含み、それは、電流が、少量の組織を通って流れることをもたらす。単極電気外科において、リターン電極は、患者の身体における任意の場所に位置し、代表的に、電気外科用器具自体の一部ではない。単極電気外科において、リターン電極は、代表的にリターンパッドと称されるデバイスの一部である。
【0005】
図4に示されるように、電気外科用(ES)発電機の理想的な出力電力特性は、出力インピーダンスの増大の関数として、一定電流410の後、一定電力420に続き、それは、次に、一定電圧430に続く。この出力電力特性を達成するために、ES発電機は、制御ループを実行し、この制御ループは、出力電圧および電流をサンプリングし、サンプリングされた出力電圧および電流に基づいて電力および/またはインピーダンスを計算し、計算された電力および/またはインピーダンスをディジタル補償器を通して送り、次に、電力ステージを制御する制御信号を調整する(例えば、制御信号のパルス幅または移相を調整する)。しかし、この制御ループは、電力ステージの切り替え周波数と比較して、比較的遅いものであり得る。従って、制御ループが電力ステージに追いつき、システムが定常状態に到達するまで、電力ステージは、所望の電力を組織に不十分に送達し得るか、または過剰に送達し得る。この理由および他の理由のために、現在のES発電機は、理想的な出力電力特性を提供し損ない得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
概要
本開示の電気外科システムおよび方法は、電力制御中のインバーターの動的応答を改善し、組織インピーダンスの変化による電力偏差を減少させ、それは、所与の電力に対して組織中の熱の広がりを減少させる。本開示の電気外科システムおよび方法は、2ステージ型電力コンバーターを用い、この2ステージ型電力コンバーターは、電気外科手順中に処置される組織のインピーダンスに基づいて所望の電力レベルを提供する。2ステージ型電力コンバーターは、ブーストコンバーターと移相パルス幅変調(PS−PWM)共振インバーターとを含む。ブーストコンバーターは、入力直流を所望の直流に変換し、PS−PWM共振インバーターは、所望の直流を所与の電気外科手順に適した所望の交流に逆変換する。
【0007】
ブーストコンバーターは、電流プログラムモード、または電圧制御モードおよび電流プログラムモードに基づいて発生させられる制御信号によって制御される。PS−PWM共振インバーターは、所望の固定された位相を有する制御信号によって制御される。ブーストコンバーターおよびPS−PWM共振インバーターを制御するために使用される制御信号は、出力特性に基づいて(例えば、出力特性が一定電流であるか、一定電力であるか、または一定電圧であるかに基づいて)決定される。
【0008】
1つの局面において、本開示は、電力コンバーターと、複数のセンサーと、コントローラーとを含む電気外科用発電機を特徴付ける。電力コンバーターは、電気エネルギー源に連結され、電気外科用エネルギーを発生させる。電力コンバーターは、電気エネルギー源からの第1の直流を第2の直流に変換するブーストコンバーターと、第2の直流を交流に逆変換する移相パルス幅変調(PS−PWM)共振インバーターとを含む。複数のセンサーは、発生させられた電気外科用エネルギーの電圧波形および電流波形を感知する。コントローラーは、電力コンバーターおよび複数のセンサーに連結され、信号プロセッサーと出力コントローラーとを含む。信号プロセッサーは、電圧波形および電流波形に基づいて、組織インピーダンスを決定する。出力コントローラーは、決定された組織インピーダンスに基づいて、複数の出力特性の中から1つを選択し、選択された出力特性に従って、ブーストコンバーターを制御するための第1の制御信号と、PS−PWM共振インバーターを制御するための第2の制御信号とを発生させる。
【0009】
複数の出力特性は、一定電流出力特性と、一定電力出力特性と、一定電圧出力特性とを含み得る。出力コントローラーは、組織インピーダンスに基づいて、一定電流出力特性から一定電力出力特性にシフトし得、一定電力出力特性から一定電圧出力特性にシフトし得る。出力コントローラーは、組織インピーダンスが第1の所定の値未満の場合、一定電流出力特性を選択し得、出力コントローラーは、組織インピーダンスが第1の所定の値以上、第2の所定の値未満の場合、一定電力出力特性を選択し得、出力コントローラーは、組織インピーダンスが第2の所定の値以上、第3の所定の値未満の場合、一定電圧出力特性を選択し得、第1の所定の値は、第2の所定の値よりも小さくあり得、第2の所定の値は、第3の所定の値よりも小さくあり得る。
【0010】
出力特性が一定電圧出力特性である場合、出力コントローラーは、電圧制御モード下で第1の制御信号を発生させ得、固定された位相を有する第2の制御信号を発生させ得る。出力特性が一定電流出力特性である場合、出力コントローラーは、電圧制御モード下で第1の制御信号を発生させ得、固定された位相を有する第2の制御信号を発生させ得る。出力特性が一定電力出力特性である場合、出力コントローラーは、電流プログラムモード下で第1の制御信号を発生させ得、固定された位相を有する第2の制御信号を発生させ得る。あるいは、出力特性が一定電圧出力特性、一定電流出力特性、および一定電力出力特性のうちの任意の1つである場合、出力コントローラーは、電流プログラムモード下で第1の制御信号を発生させ得、固定された位相を有する第2の制御信号を発生させ得る。
【0011】
出力コントローラーは、PS−PWM共振インバーターの切り替え周波数よりも速い切り替え周波数でブーストコンバーターを動作させ得る。ブーストコンバーターは、PS−PWM共振インバーターへの電圧および電流入力のリップルを低下させるために、複数のブーストコンバーターを含み得る。
【0012】
電気外科用発電機は、アナログ−ディジタル変換器(ADC)をさらに含み得、このアナログ−ディジタル変換器(ADC)は、感知された電圧波形および電流波形をサンプリングして、感知された電圧波形および電流波形のサンプルの所定の数を得る。サンプルの所定の数は、感知された電圧波形および電流波形のRF周波数の整数倍に対応し得る。信号プロセッサーは、ADCに制御パラメーターを提供する複数のADCコントローラーを含み得る。制御パラメーターは、ADCのサンプリング周波数を含み得る。
【0013】
複数のセンサーは、ロゴウスキーコイルを含み得る。電気外科用発電機のコントローラーは、フィールドプログラマブルゲートアレイ、特定用途向け集積回路、ディジタル信号プロセッサー、またはプログラム可能なディジタル信号プロセッサーによって実装され得る。
【0014】
別の局面において、本開示は、電気外科用発電機を制御する方法を特徴付ける。上記方法は、ブーストコンバーターを用いて電気エネルギー源からの第1の直流を第2の直流に変換することと、PS−PWMインバーターを用いて第2の直流を交流に変換することと、ブーストコンバーターの電流とPS−PWMインバーターの出力における電圧とを感知することと、感知された電圧波形および電流波形に基づいて、処置される組織のインピーダンスを決定することと、決定された組織インピーダンスに基づいて、出力特性を選択することと、選択された出力特性についての所定の制御モードに従って、ブーストコンバーターを制御するための第1の制御信号と、PS−PWMインバーターを制御するための第2の制御信号とを発生させることとを含む。複数の出力特性は、一定電流出力特性、一定電圧出力特性、および一定電力出力特性を含み得る。
【0015】
出力特性が一定電圧出力特性である場合、第1の制御信号は、電圧制御モード下で発生させられ得、第2の制御信号は、固定された位相を有するように発生させられ得る。出力特性が一定電流出力特性である場合、第1の制御信号は、電圧制御モード下で発生させられ得、第2の制御信号は、固定された位相を有するように発生させられ得る。出力特性が一定電力出力特性である場合、第1の制御信号は、電流プログラムモード下で発生させられ得、第2の制御信号は、固定された位相を有するように発生させられ得る。あるいは、出力特性が一定電圧出力特性、一定電流出力特性、および一定電力出力特性のうちの任意の1つである場合、第1の制御信号は、電流プログラムモード下で発生させられ得、第2の制御信号は、固定された位相を有するように発生させられ得る。
【0016】
本発明は、例えば以下の項目を提供する。
(項目1)
電気外科用発電機であって、該電気外科用発電機は、
電気エネルギー源に連結されている電力コンバーターであって、該電力コンバーターは、電気外科用エネルギーを発生させるように構成され、該電力コンバーターは、
該電気エネルギー源からの第1の直流を第2の直流に変換するように構成されているブーストコンバーターと、
該第2の直流を交流に逆変換するように構成されている移相パルス幅変調(PS−PWM)共振インバーターと
を含む、電力コンバーターと、
発生させられた電気外科用エネルギーの電圧波形および電流波形を感知するように構成されている複数のセンサーと、
該電力コンバーターおよび該複数のセンサーに連結されているコントローラーと
を含み、該コントローラーは、
感知された電圧波形および電流波形に基づいて、組織インピーダンスを決定するように構成されている信号プロセッサーと、
出力コントローラーと
を含み、該出力コントローラーは、決定された組織インピーダンスに基づいて、複数の出力特性の中から1つを選択し、選択された出力特性に従って、該ブーストコンバーターを制御するための第1の制御信号と、該PS−PWM共振インバーターを制御するための第2の制御信号とを発生させるように構成されている、電気外科用発電機。
(項目2)
上記複数の出力特性は、一定電流出力特性と、一定電圧出力特性と、一定電力出力特性とを含む、上記項目に記載の電気外科用発電機。
(項目3)
上記出力コントローラーは、上記組織インピーダンスに基づいて、上記一定電流出力特性から上記一定電力出力特性にシフトし、該一定電力出力特性から上記一定電圧出力特性にシフトする、上記項目のうちのいずれか一項に記載の電気外科用発電機。
(項目4)
上記出力コントローラーは、上記組織インピーダンスが第1の所定の値未満の場合、上記一定電流出力特性を選択し、
該出力コントローラーは、該組織インピーダンスが該第1の所定の値以上、第2の所定の値未満の場合、上記一定電力出力特性を選択し、
該出力コントローラーは、該組織インピーダンスが該第2の所定の値以上、第3の所定の値未満の場合、上記一定電圧出力特性を選択し、
該第1の所定の値は、該第2の所定の値よりも小さく、該第2の所定の値は、該第3の所定の値よりも小さい、上記項目のうちのいずれか一項に記載の電気外科用発電機。
(項目5)
上記出力特性が一定電圧出力特性である場合、上記出力コントローラーは、電圧制御モード下で上記第1の制御信号を発生させ、固定された位相を有する上記第2の制御信号を発生させる、上記項目のうちのいずれか一項に記載の電気外科用発電機。
(項目6)
上記出力特性が一定電流出力特性である場合、上記出力コントローラーは、電圧制御モード下で上記第1の制御信号を発生させ、固定された位相を有する上記第2の制御信号を発生させる、上記項目のうちのいずれか一項に記載の電気外科用発電機。
(項目7)
上記出力特性が一定電力出力特性である場合、上記出力コントローラーは、電流プログラムモード下で上記第1の制御信号を発生させ、固定された位相を有する上記第2の制御信号を発生させる、上記項目のうちのいずれか一項に記載の電気外科用発電機。
(項目8)
上記出力特性が一定電圧出力特性、一定電流出力特性、および一定電力出力特性のうちのいずれの場合にも、上記出力コントローラーは、電流プログラムモード下で上記第1の制御信号を発生させ、固定された位相を有する上記第2の制御信号を発生させる、上記項目のうちのいずれか一項に記載の電気外科用発電機。
(項目9)
上記出力コントローラーは、上記PS−PWM共振インバーターの切り替え周波数よりも速い切り替え周波数で上記ブーストコンバーターを動作させる、上記項目のうちのいずれか一項に記載の電気外科用発電機。
(項目10)
上記ブーストコンバーターは、上記PS−PWM共振インバーターへの電圧および電流入力のリップルを低下させるために、複数のブーストコンバーターを含む、上記項目のうちのいずれか一項に記載の電気外科用発電機。
(項目11)
上記電気外科用発電機は、複数のアナログ−ディジタル変換器(ADC)をさらに含み、該複数のアナログ−ディジタル変換器(ADC)は、上記感知された電圧波形および電流波形をサンプリングして、該感知された電圧波形および電流波形の各々のサンプルの所定の数を得るように構成され、
該サンプルの所定の数は、該感知された電圧波形および電流波形のRF周波数の整数倍に対応している、上記項目のうちのいずれか一項に記載の電気外科用発電機。
(項目12)
上記複数のセンサーは、ロゴウスキーコイルを含む、上記項目のうちのいずれか一項に記載の電気外科用発電機。
(項目13)
上記コントローラーは、フィールドプログラマブルゲートアレイ、特定用途向け集積回路、またはディジタル信号プロセッサーにおいて実装されている、上記項目のうちのいずれか一項に記載の電気外科用発電機。
【0017】
(摘要)
本開示に従う電気外科システムおよび方法は、電気外科用エネルギーを発生させるために、マルチステージ電力コンバーターを使用する。電気外科システムは、電力コンバーターを有する電気外科用発電機を含み、この電力コンバーターは、電気エネルギー源に連結され、電気外科用エネルギーを発生させるように構成されている。電力コンバーターは、電気エネルギー源からの第1の直流を第2の直流に変換するように構成されているブーストコンバーターと、第2の直流を交流に逆変換するように構成されている移相パルス幅変調(PS−PWM)共振インバーターとを含む。電気外科用発電機はまた、発生させられた電気外科用エネルギーの電圧および電流を感知するように構成されている複数のセンサーと、電力コンバーターおよび複数のセンサーに連結されているコントローラーとを含む。コントローラーは、感知された電圧および電流に基づいて、組織インピーダンスを決定するように構成されている信号プロセッサーと、決定された組織インピーダンスに基づいて、複数の出力特性のうちの1つを選択するように構成されている出力コントローラーとを含み、この出力コントローラーは、選択された出力特性に従って、ブーストコンバーターおよびPS−PWM共振インバーターを制御するために制御信号を発生させるように構成されている。
【0018】
本開示の様々な実施形態は、添付の図面を参照して記載される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、本開示の実施形態に従う、電気外科システムの例示である。
図2図2は、図1の電気外科用発電機の発電機回路網を例示している回路ブロック線図である。
図3図3は、図2の発電機回路網のコントローラーの回路ブロック線図である。
図4図4は、図1の電気外科用発電機の理想的な出力特性の図式線図である。
図5図5は、図1の電気外科用発電機から組織への電力伝送の図式線図である。
図6図6は、本開示の実施形態に従う、発電機回路網の回路ブロック線図である。
図7A図7Aは、本開示の別の実施形態に従う、発電機回路網の回路ブロック線図である。
図7B図7Bは、図7Aの発電機回路網の電流プログラムモード(CPM)コントローラーの回路ブロック線図である。
図7C図7Cは、図7Aの発電機回路網の電圧モードコントローラーの回路ブロック線図である。
図8図8は、本開示のさらに別の実施形態に従う、発電機回路網の回路ブロック線図である。
図9図9は、本開示の実施形態に従う、出力電力コンバーターを制御する方法を例示しているフローダイアグラムである。
図10図10は、本開示の別の実施形態に従う、出力電力コンバーターを制御する方法を例示しているフローダイアグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
詳細な説明
一定電流出力特性、一定電圧出力特性、および一定電力出力特性の中から出力特性を選択するために、代表的な方法は、出力電圧および電流の波形をサンプリングし、電力および/またはインピーダンスを計算し、これらの計算結果をディジタル補償器を通して送り、次に、出力電力コンバーターのバックコンバーターおよび共振インバーターの制御変数を調整する。これらのプロセスは、出力電力コンバーターの切り替え周波数と比較して、比較的遅いものであり、従って、出力電力コンバーターの制御プロセスが追いつき、システムが定常状態に到達するまで、所望の電力を過剰に送達するか、または不十分に送達する。従って、一定電流出力特性、一定電力出力特性、および一定電圧出力特性の間ですばやく切り替えることが望ましい。
【0021】
本開示に従うシステムおよび方法は、マルチステージ出力電力コンバーターを用い、このマルチステージ出力電力コンバーターは、各ステージの制御方法論を変更することによって、理想に近い一定電流出力特性、一定電力出力特性、および一定電圧出力特性を達成し得る。マルチステージ出力電力コンバーターは、デュアルステージ出力電力コンバーターであり得、このデュアルステージ出力電力コンバーターは、バック/ブーストコンバーターと共振インバーターとを含み、バック/ブーストコンバーターおよび共振インバーターは、選択された制御モードに従って、別個に制御される。制御モードは、所望の出力特性、すなわち、一定電流、一定電圧、または一定電力に基づいて選択される。所望の出力特性は、次に、測定された組織インピーダンスに基づいて選択される。この態様において、本開示のシステムおよび方法は、所望の量の電力を提供し、出力特性の間で、よりすばやく切り替わる。
【0022】
本開示に従う制御方法は、ハードウェアおよびファームウェアに実装され得る。本開示に従うハードウェアによって達成される制御ループ帯域幅の改善に起因して、ファームウェア制御は、簡略化され得、共振インバーター出力周波数よりも遅い速度で更新され得る。
【0023】
図1は、本開示の実施形態に従う電気外科システム100を例示している。電気外科システム100は、患者の組織を処置するために、電気外科用エネルギーを発生させる電気外科用発電機102を含む。電気外科用発電機102は、選択された動作モード(例えば、切断、凝固、切除、または密封)および/または発生させられた電気外科用エネルギーの感知された電圧波形および電流波形に基づいて、適切なレベルの電気外科用エネルギーを発生させる。電気外科システム100は、多様な電気外科用器具に対応する複数の出力コネクターも含み得る。
【0024】
電気外科システム100は、リターンパッド120とともに、患者の組織を処置するための電極(例えば、電気外科用切断プローブ、または切除電極)を有する単極電気外科用器具110をさらに含む。単極電気外科用器具110は、複数の出力コネクターのうちの1つを介して電気外科用発電機102に接続され得る。電気外科用発電機102は、無線周波数(RF)エネルギーの形態での電気外科用エネルギーを発生させ得る。電気外科用エネルギーは、単極電気外科用器具110に供給され、この単極電気外科用器具110は、電気外科用エネルギーを組織に印加する。電気外科用エネルギーは、リターンパッド120を通って電気外科用発電機102に戻される。リターンパッド120は、組織に印加される電気外科用エネルギーに起因する組織損傷のリスクを最小にするために、患者の組織との十分な接触領域を提供する。
【0025】
電気外科システム100は、双極電気外科用器具130も含む。双極電気外科用器具130は、複数の出力コネクターのうちの1つを介して、電気外科用発電機102に接続され得る。交流は、2つの鉗子のうちの1つに供給され、組織に印加され、他方の鉗子を通って電気外科用発電機102に戻される。
【0026】
電気外科用発電機102は、任意の適切なタイプの発電機であり得、様々なタイプの電気外科用器具(例えば、単極電気外科用器具110および双極電気外科用器具130)を適応させるために、複数のコネクターを含み得る。電気外科用発電機102はまた、多様なモード(例えば、切除、切断、凝固、および密封)で動作するように構成され得る。電気外科用発電機102は、様々な電気外科用器具が接続され得るコネクターの間でRFエネルギーの供給を切り替えるために、切り替え機構(例えば、継電器)を含み得る。例えば、電気外科用器具110が電気外科用発電機102に接続される場合、切り替え機構は、RFエネルギーの供給を単極プラグへ切り替える。実施形態において、電気外科用発電機102は、RFエネルギーを複数の器具に同時に提供するように構成され得る。
【0027】
電気外科用発電機102は、ユーザーインターフェイスを含み、このユーザーインターフェイスは、制御パラメーターを電気外科用発電機102に提供するための適切なユーザー制御装置(例えば、ボタン、アクチベータ、スイッチ、タッチスクリーン)を有する。これらの制御装置は、電気外科用エネルギーが特定の外科手術手順(例えば、凝固、切除、組織密封、または切断)に適するように、ユーザーが電気外科用エネルギーのパラメーター(例えば、電力レベルまたは出力波形の形状)を調整することを可能にする。電気外科用器具110および130はまた、複数のユーザー制御装置を含み得る。さらに、電気外科用発電機102は、電気外科用発電機102の動作に関連する多様な情報を表示するための1つ以上のディスプレースクリーンを含み得る(例えば、強度設定および処置完了インジケーター)。
【0028】
図2は、図1の電気外科用発電機102内の発電機回路網200の回路ブロック線図である。発電機回路網200は、低周波数(LF)整流器220と、無線周波数(RF)増幅器230と、複数のセンサー235および240と、アナログ−ディジタル変換器(ADC)250と、コントローラー260とを含み、このコントローラー260は、ハードウェア加速器270と、プロセッサーサブシステム280と、ユーザーインターフェイス(UI)290とを含む。発電機回路網200は、交流(AC)電源210(例えば、低周波数(例えば、25Hz、50Hz、または60Hz)を有するACを発生させる壁付き電力コンセントまたは他の電力コンセント)に接続するように構成されている。AC電源210は、AC電力をLF整流器220に提供し、このLF整流器220は、ACを直流(DC)に変換する。
【0029】
LF整流器220から出力される直流(DC)は、RF増幅器230に提供され、このRF増幅器230は、コンバーター232と共振インバーター234とを含む。コンバーター232と共振インバーター234との組み合わせは、より詳細に下に記載されるマルチステージ電力コンバーターを形成する。コンバーター232は、DCを所望のレベルに上げるか、または下げる。共振インバーター234は、組織を処置するために、DCをAC波形に逆変換する。AC波形は、電気外科手順に適した周波数(例えば、472kHz、29.5kHz、および19.7kHz)を有する。
【0030】
電気外科用エネルギーのための適切な周波数は、電気外科手順および電気外科のモードに基づいて異なり得る。例えば、神経刺激および筋肉刺激は、1秒当たり約100,000サイクル(100kHz)で終わり、いくつかの電気外科手順は、100kHzより上の無線周波数(RF)で安全に実施され得る。100kHzを超える周波数において、電気外科用エネルギーは、最小の神経筋刺激を伴って、標的組織まで患者を通過し得る。例えば、切除は、472kHzの周波数を使用する。他の電気外科手順は、神経および筋肉を損傷する最小のリスクを伴って、100kHzよりも低い周波数、例えば、29.5kHz、または19.7kHzで実施され得る。共振インバーター234は、電気外科手術に適した様々な周波数でAC信号を出力し得る。
【0031】
上に記載されるように、RF増幅器230は、共振インバーター234を含み、この共振インバーター234は、コンバーター232に連結されている。共振インバーター234は、RF増幅器230から処置される組織への最大または最適な電力伝送が存在するように、コンバーター232におけるインピーダンスを組織のインピーダンスに整合させる。
【0032】
RF増幅器230のコンバーター232によって提供される電気外科用エネルギーは、コントローラー260によって制御される。コンバーター232および共振インバーター234から出力される電気外科用エネルギーの電圧波形および電流波形は、複数のセンサー235、240によって感知され、コントローラー260に提供され、このコントローラー260は、コンバーター232および共振インバーター234の出力電圧および電流の波形を制御するために制御信号を発生させる。コントローラー260はまた、ユーザーインターフェイス(UI)290を介してユーザーから入力コマンドを受け取る。UI290は、ユーザーが電気外科手順のタイプ(例えば、単極または双極)およびモード(例えば、凝固、切除、密封、または切断)を選択すること、または電気外科手順もしくはモードについて所望の制御パラメーターを入力することを可能にする。UI290は、ディスプレー(例えば、LCDディスプレー)も含み、このディスプレーは、とりわけ、電気外科用エネルギーの特性(例えば、選択される電力レベル)に関連する情報を表示する。
【0033】
複数のセンサー235、240は、2つ以上の対またはセットの電圧センサーおよび電流センサーを含み得、2つ以上の対またはセットの電圧センサーおよび電流センサーは、電圧波形および電流波形の冗長測定を提供する。この冗長性は、コンバーター232および共振インバーター234の出力における電圧測定および電流測定の信頼性、精度、および安定性を確実にする。実施形態において、複数のセンサー235、240は、適用または設計の要求に依存して、より少ないセットまたはより多いセットの電圧センサーおよび電流センサーを含み得る。
【0034】
実施形態において、コンバーター232を通過する電流は、複数のセンサー235のうちの電流センサーによって感知され、共振インバーター234の電圧は、複数のセンサー240のうちの電圧センサーによって感知される。複数のセンサー235、240は、電圧および電流を測定するための任意の公知の技術を用い得、それには、例えば、ロゴウスキーコイルが挙げられる。
【0035】
感知された電圧波形および電流波形は、アナログ−ディジタル変換器(ADC)250に送られ、アナログ−ディジタル変換器(ADC)250は、感知された電圧波形および電流波形をサンプリングして、電圧波形および電流波形のディジタルサンプルを取得する。電圧波形および電流波形のディジタルサンプルは、コントローラー260によって処理され、RF増幅器230のコンバーター232および共振インバーター234を制御するために制御信号を発生させるために使用される。ADC250は、感知された電圧波形および電流波形をサンプル周期においてサンプリングするように構成され得、このサンプル周期は、電圧波形および電流波形のRF周波数の整数倍である。
【0036】
図2に示されるように、コントローラー260は、ハードウェア加速器270とプロセッサーサブシステム280とを含む。ハードウェア加速器270は、ADC250からの出力を処理し、プロセッサーサブシステム280と協働して、RF増幅器230のコンバーター232および共振インバーター234に対して制御信号を発生させる。
【0037】
ハードウェア加速器270は、用量モニタリングおよび制御(DMAC)272と、内側電力制御ループ274と、インバーターコントローラー276と、コンバーターコントローラー278とを含む。コントローラー260の全てまたは一部分は、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、ディジタル信号プロセッサー(DSP)、および/またはマイクロコントローラーによって実装され得る。
【0038】
DMAC272は、ADC250からの電圧波形および電流波形のサンプルを受け取り、組織のインピーダンスを計算する。DMAC272は、次に、組織のインピーダンスを内側電力制御ループ274に提供し、この内側電力制御ループ274は、組織のインピーダンスに基づいて、インバーターコントローラー276およびコンバーターコントローラー278に対して制御信号を発生させる。インバーターコントローラー276は、次に、共振インバーター234の出力を制御するために第1の制御信号を発生させ、コンバーターコントローラー278は、次に、コンバーター232の出力を制御するために第2の制御信号を発生させる。第1および第2の制御信号は、RF増幅器の出力電圧および電流を特定の制御モードにおいて特定される所望の電圧および電流に制限するように働く。この態様において、コントローラー260は、RF増幅器230を制御して、出力電力の近デッドビート(near deadbeat)制御を生み出す。
【0039】
プロセッサーサブシステム280は、外側電力制御ループ282と、ステートマシン284と、電力セットポイント回路286とを含む。プロセッサーサブシステム280は、DMAC272の出力、およびUI290を介してユーザーによって選択されるパラメーター(例えば、電気外科モード)に基づいて制御信号を発生させる。特に、ユーザーによって選択されるパラメーターは、発電機回路網200の状態またはモードを決定するステートマシン284に提供される。外側電力制御ループ282は、制御信号を決定するために、この状態情報およびDMAC272からの出力を使用する。制御信号は、電力セットポイント回路286に提供され、この電力セットポイント回路286は、制御信号に基づいて電力セットポイント値を発生させる。
【0040】
内側電力制御ループ274は、コンバーターコントローラー278を介してコンバーター232を制御するための適切な制御信号を発生させるために、電力セットポイント値を使用する。ユーザーが動作パラメーターをUI290を介してステートマシン284に提供しない場合、次に、ステートマシン284は、デフォルト状態を維持し得るか、またはデフォルト状態に入り得る。
【0041】
図3は、図2のハードウェア加速器270の回路ブロック線図である。ハードウェア加速器270は、特別な処理要求(例えば、高処理スピード)を有し得る発電機回路網200の機能を実装する。ハードウェア加速器270は、図2に示されるDMAC272と内側電力制御ループ274とを含む。
【0042】
DMAC272は、4つのADCコントローラー312a〜312dと、ディジタル信号プロセッサー314と、RFデータレジスター316と、DMACレジスター318とを含む。ADCコントローラー312a〜312dは、ADC250の動作を制御し、このADC250は、感知された電圧波形および電流波形をディジタルデータに変換する。ディジタルデータは、次に、ディジタル信号プロセッサー314に提供され、このディジタル信号プロセッサー314は、様々なディジタル信号処理機能を実装し、そのうちのいくつかは、より詳細に下に記載される。
【0043】
ADCコントローラー312a〜312dは、ADC250が、所定のサンプリング速度(すなわち、1秒当たりの所定の数のサンプル)において、または所定のサンプリング周期において、感知された電圧波形と電流波形とを同期的にサンプリングするように、所定のサンプリング速度を含む動作パラメーターをADC250に提供する。ADCコントローラー312a〜312dは、サンプリング周期が電圧波形および電流波形のRF周波数の整数倍に対応するように、ADC250を制御するように構成され得る。
【0044】
DMAC272は、処置される組織のインピーダンスである制御信号を信号ライン321を介して内側電力制御ループ274に提供し、信号ライン379を介してプロセッサーサブシステム280に提供する。内側電力制御ループ274は、制御信号を処理し、制御信号をインバーターコントローラー276およびコンバーターコントローラー278に出力する。内側電力制御ループ274は、内側電力コントローラー326と、補償器レジスター330と、VIリミッター334とを含む。
【0045】
ユーザー入力が存在する場合、プロセッサーサブシステム280は、ユーザー入力を受け取り、信号ライン379を介するディジタル信号プロセッサー314からの出力とともにそれを処理する。プロセッサーサブシステムは、補償器レジスター330を介して制御信号をVIリミッター334に提供し、このVIリミッター334は、図2における電力セットポイント回路286に対応する。VIリミッター334は、次に、ユーザー入力およびディジタル信号プロセッサー314の出力に基づいて、信号ライン335を介して所望の電力プロフィール(例えば、選択された電気外科モードまたは動作について、電力における最小制限および最大制限)を提供する。補償器レジスター330はまた、信号ライン333を介して他の制御パラメーターを内側電力コントローラー326に提供し、この内側電力コントローラー326は、補償器レジスター330、VIリミッター334からの制御パラメーターと、ディジタル信号プロセッサー314からのインピーダンスとを組み合わせて、制御信号を発生させ、それらを信号ライン327を介してインバーターコントローラー276に提供し、信号ライン328を介してコンバーターコントローラー278に提供する。
【0046】
インバーターコントローラー276は、制御パラメーターを受け取り、共振インバーター234を駆動する制御信号を出力する。インバーターコントローラー276は、スケールユニット342と、PWMレジスター344と、PWMモジュール346とを含む。スケールユニット342は、調整値を出力に乗算、および/または加算することによって補償器レジスター330の出力を調整する。スケールユニット342は、PWMレジスター344からの調整値を信号ライン341aおよび341bを介して受け取る。PWMレジスター344は、共振インバーター234を制御するために、いくつかの関連性のあるパラメーター(例えば、共振インバーター234によって発生させられるべきAC信号の周期、パルス幅、および位相)、および他の関連するパラメーターを記憶する。PWMモジュール346は、PWMレジスター344からの出力を受け取り、図2のRF増幅器230の共振インバーター234の4つのトランジスターを制御する4つの制御信号347a〜347dを発生させる。PWMモジュール346はまた、レジスター同期(sync)信号を介してその情報をPWMレジスター344における情報と同期させる。
【0047】
コンバーターコントローラー278は、制御信号を受け取り、コンバーター232が共振インバーター234に適した所望のレベルに直流を増幅するか、または下げるために制御されるように、別の制御信号を発生させる。コンバーターコントローラー278は、PWMレジスター352とPWMモジュール354とを含む。PWMレジスター352は、内側電力制御ループ274からの出力を受け取り、インバーターコントローラー276のPWMレジスター344中の関連性のあるパラメーターを記憶する。PWMモジュール354は、レジスター同期信号をPWMレジスター352に送信し、図2のコンバーター232を制御するために、所望のデューティサイクルを有する制御信号355を発生させる。従って、内側電力制御ループ274は、DMAC272よって提供される処理されたセンサー信号、およびプロセッサーサブシステム280を介してハードウェア加速器270に提供される他の信号に基づいて、RF増幅器230のコンバーター232および共振インバーター234を制御する。
【0048】
現在の電気外科用発電機は、固定されたPWMインバーターが後に続く高電圧DC(HVDC)電源、電流源インバーターが後に続くHVDC電源、移相PWMフルブリッジ共振インバーターが後に続くHVDC電源、変圧器を有する電流源並列共振DC/ACインバーターが後に続くHVDC電源、および高周波数誘導加熱のためのIGBTベースのLCL−共振インバーターが後に続くHVDC電源を含む多様な出力電力ステージを用いる。これらの出力電力ステージは、負荷への電力の伝送に影響する出力インピーダンスを有する。図5に示されるように、これらの出力電力ステージは、共振インバーターの出力電力特性を示し、同図において、電力は、一定電流の漸近線505に沿って最初は増大し、次に、出力インピーダンスが電気外科用発電機の源インピーダンスと整合するまで、よりゆっくりと増大する。出力インピーダンスが源インピーダンスと整合する場合、最大電力510が、処置される組織に伝送される。次に、出力インピーダンスがさらに増大する場合、電力は、電力が一定電圧の漸近線515に沿って減少するまで、ゆっくりと減少する。
【0049】
本明細書中に記載されるように、本開示に従うシステムおよび方法は、マルチステージ出力電力コンバーターの各ステージの制御方法論を別個に選択することによって、理想に近い一定電流出力特性、一定電力出力特性、および一定電圧出力特性を達成し得るマルチステージ出力電力コンバーターを用いる。図6は、図1の電気外科用発電機102において用いられ得る発電機回路網600の回路ブロック線図である。発電機回路網600は、電圧源610と、DC−DCブーストコンバーター630と、移相(PS)パルス幅変調(PWM)共振インバーター650とを含む。
【0050】
電圧源610は、直流i(t)620をDC−DCブーストコンバーター630に提供し、このDC−DCブーストコンバーター630は、直流の電圧を所望の電圧レベルv 640に下げるか、または上げる。次に、PS−PWM共振インバーター650は、DC−DCブーストコンバーター630によって提供される所望のDC電圧v 640を、組織を処置するために適した電圧および周波数を有するACに逆変換する。PS−PWM共振インバーター650からのAC電圧v出力は、次に、組織負荷Zload 680に提供される。
【0051】
図2のコントローラー260は、センサー235およびADC250を介してDC電圧v 640のサンプルを取得し得、DC電圧v 640のサンプルに基づいて、DC電圧v 640を制御するために制御信号d 635を発生させ得る。コントローラー260はまた、AC 電流i(t)670およびAC電圧v 660のサンプルを取得し得、AC電流i(t)670およびAC電圧v 660のサンプルに基づいて、PS−PWM共振インバーター650を制御するために、固定された位相を有する別の制御信号p 655を発生させ得る。
【0052】
図7Aは、発電機回路網700の回路ブロック線図であり、この発電機回路網700は、電力コンバーター701と、電力コンバーター701を制御するためのコントローラー715と含む。電力コンバーター701は、ブーストコンバーター705と、ブーストコンバーター705の出力に接続されているPS−PWM共振インバーター707とを含む。PS−PWM共振インバーター707は、直並列LCLC共振タンク回路703を含む。直並列LCLC共振タンク回路703は、電力コンバーター701の出力と直列で接続されているインダクター721およびコンデンサー723、変圧器727の一次インダクターコイル、ならびに電力コンバーター701の出力と並列で接続されているコンデンサー725を含む。
【0053】
コントローラー715は、所望のデューティサイクルを有する制御信号dでブーストコンバーター705を制御するCPMコントローラー712および電圧モードコントローラー714と、固定された位相を有するPWM制御信号pでPS−PWM共振インバーター707を制御する移相PWMコントローラー716とを含む。コントローラー715は、スイッチ711も含み、このスイッチ711は、CPMコントローラー712と電圧モードコントローラー714との間で切り替わる。
【0054】
CPMコントローラー712、電圧モードコントローラー714、および移相PWMコントローラー716は、下の表1において例示されるように、所望の出力特性に従って動作する。上に記載されるように、所望の出力特性は、出力インピーダンスに依存して、一定電流から一定電力に、そして一定電圧に変化する。
【0055】
【表1】
組織処置の開始時に一定電流出力を達成するために、コントローラー715は、スイッチ711を電圧モードコントローラー714に切り替え、この電圧モードコントローラー714は、固定されたデューティサイクルを有する制御信号dを発生させ、制御信号dをDC−DCブーストコンバーター705のスイッチ708に提供する。
【0056】
さらに、移相PWMコントローラー716は、第1の固定された位相pを有するPWM制御信号pを発生させ、それをDC−AC PS−PWM共振インバーター707のH−ブリッジ717に提供する。移相PWMコントローラー716は、PS−PWM共振インバーター707が一定電流を出力するように、PWM制御信号pのデューティサイクルを変化させる。
【0057】
電圧モード制御は、DC−DCブーストコンバーター705の出力電圧vを測定することと、測定された出力電圧vを電圧モードコントローラー714に送ることと、測定された出力電圧vが参照出力電圧と一致するように、測定された出力電圧vと参照出力電圧との間の差異に基づいて、制御信号dのデューティサイクルを調整することとを含む。参照出力電圧は、ユーザーによって設定され得るか、またはルックアップ表に記憶されている参照出力電圧値に基づき得る。電圧制御モードにおいて、タンク回路703の直列インピーダンス723は、出力電流を制限する。
【0058】
出力インピーダンスが第1の所定のインピーダンス値に到達した場合、所望の出力特性は、一定電流から一定電力に変化する。一定電力出力特性に対して、コントローラー715は、スイッチ711を電流プログラムモード(CPM)コントローラー712に変える。電流プログラムモードコントローラー712は、DC−DCブーストコンバーター705から出力される一定電力を維持するために、電流プログラムモードに従って制御信号dのデューティサイクルを変える。さらに、PS−PWMコントローラー716は、固定された位相および固定されたデューティサイクルを有する制御信号pを発生させ、それをDC−AC PS−PWM共振インバーター707のH−ブリッジ717に提供する。
【0059】
出力インピーダンスが第2の所定のインピーダンス値に到達した場合、所望の出力特性は、一定電力から一定電圧に変化する。一定電圧出力特性に対して、コントローラー715は、スイッチ711を電圧モードコントローラー714に切り替え戻し、この電圧モードコントローラー714は、電圧制御モードに従って制御信号dのデューティサイクルを変化させ、それをDC−DCブーストコンバーター705のスイッチ708に提供する。電圧制御モードにおいて、電圧モードコントローラー714は、出力インピーダンスが時間の経過によりさらに変化するか、または増大する場合、スイッチ708を動作させて、電圧を調整し、一定電圧出力を維持する。さらに、PS−PWMコントローラー716は、第2の固定された位相pおよび固定されたデューティサイクルを有する制御信号pを発生させる。電圧制御モードにおいて、タンク回路703の並列インピーダンス725が、出力電圧を自然に制限する。
【0060】
実施形態において、ブーストコンバーター705およびPS−PWM共振インバーター707を制御方法の間で切り替えるために、出力電圧および電流が測定され得、制御論理(例えば、FPGAまたはDSP)によって設定される電圧閾値と比較され得る。出力電圧および電流の測定値は、整流器によって整流され得、コンパレーターに送られ得る。DACは、電圧制限および電流制限に比例する電圧を提供するために、コンパレーターに接続され得る。コンパレーターの出力は、次に、ブーストコンバーター705およびPS−PWM共振インバーター707の制御方法を決定するために使用される。例えば、所望の出力特性が一定電流であり、コンパレーターが、測定された出力電圧が電圧制限に到達したことを決定する場合、スイッチ711は、電圧モードコントローラー714からCPMコントローラー712に切り替わる。
【0061】
ブーストコンバーター705は、電流プログラムモードにおいて動作させられる場合、一定電力源として挙動する。従って、PS−PWMコントローラー716が、ブーストコンバーター705から固定された位相pでPS−PWM共振インバーター707を制御する場合、PS−PWMコントローラー716は、近デッドビート制御での理想的な電圧制限、電流制限、および電力制限を送達し得る。
【0062】
図7Bは、図7AのコントローラーのCPMコントローラー712の回路ブロック線図である。CPMコントローラー712は、加算ブロック710と、補償器720と、逆変換出力を有するコンパレーター740と、電流感知抵抗器730と、ラッチ750と、クロック760と、ブーストコンバーター705のスイッチ708を駆動するための送達回路網765とを含む。加算ブロック710は、所望の電圧vref、および電圧センサーによって感知される、共振インバーター650からの出力電圧vを受け取り、出力電圧と所望の電圧との間の差異を決定する。出力電圧と所望の電圧との間の差異は、次に、補償器720に提供される。補償器720は、補償器電圧をコンパレーター740に出力する。補償器電圧は、積i(t)Rによって表され、i(t)は、補償器電流を表し、Rは、電流感知抵抗器730の抵抗を表す。
【0063】
コントローラー715は、電流感知抵抗器730を用いてブーストコンバーター705のスイッチ708を通過するスイッチ電流i(t)を感知する。電流感知抵抗器730は、スイッチ電圧i(t)Rをコンパレーター740に提供する。いくつかの実施形態において、CPMコントローラー712は、電流感知抵抗器730とコンパレーター740との間に接続されている加算ブロックをさらに含み得る。加算ブロックは、クロック760によって発生させられ得る人工ランプi(t)Rをスイッチ電圧i(t)Rに加え得る。コンパレーター740は、次に、補償器電圧i(t)Rをスイッチ電圧i(t)Rと比較する。スイッチ電圧i(t)Rが補償器電圧i(t)Rよりも小さい場合、コンパレーター740は、クロック760によって発生させられるクロック信号がドライバー回路網765に提供されるようにラッチ750を設定し、スイッチ708をクロック信号に従って駆動させる。スイッチ電圧i(t)Rが、補償器電圧i(t)Rに到達するか、または補償器電圧i(t)Rを超える場合、コンパレーター740は、ゼロではないディジタル値をラッチ750のリセット出力Rに出力して、ラッチ750をリセットする。ラッチ750がリセットされる場合、ラッチ750は、ゼロ値をドライバー回路網765に出力し、このドライバー回路網765は、制御信号dをゼロに設定し、それにより、スイッチ708をオフにする。この態様において、補償器電流i(t)は、スイッチ電流i(t)に対する電流制限として働く。
【0064】
図7Cは、図7Aの発電機回路網700の電圧モードコントローラー714の回路ブロック線図である。電圧モードコントローラー714は、加算ブロック745と、補償器755と、PWMコントローラー770とを含む。加算ブロック745は、フィードバック電圧vと参照電圧vrefとの間の差異を決定し、この参照電圧vrefは、例えば、一定電圧出力特性に対する所望の電圧であり得る。補償器755は、加算ブロック745からの出力に基づいて、エラー信号(error signal)を出力する。次に、PWMコントローラー770は、補償器755から出力されるエラー信号に基づいて、駆動信号dのデューティサイクルを変化させる。
【0065】
図8は、別の実施形態に従う、発電機回路網800の回路ブロック線図であり、ここで、出力電力コンバーター801は、それぞれのスイッチ708aおよび708bを有する1つ以上のブーストコンバーター705aおよび705bと、図7Aの共振インバーター707とを含む。出力電力コンバーター801は、コントローラー849によって制御され、このコントローラー849は、1つ以上のブーストコンバーター705aおよび705bをそれぞれ制御するためのCPMコントローラー712と、PS−PWM共振インバーター707を制御するためのPS−PWMコントローラー716とを含む。
【0066】
出力電力コンバーター801が1つのみのCPMコントローラー(例えば、CPMコントローラー712)を含む実施形態において、コントローラー849は、下の表2に示されるように、所望の出力特性に従って出力電力コンバーター801を動作させる。
【0067】
【表2】
表2に示されるように、CPMコントローラー712は、全ての出力特性について、CPMに従って、ブーストコンバーター705aのための制御信号dを発生させ得、PWMコントローラー716は、全ての出力特性について固定された位相を有する、PS−PWM共振インバーター707のための制御信号pを発生させる。コントローラー849はまた、所望の電力用量を送達するために、遅い制御ループを動かし得る。電圧/電流制限において、ブーストコンバーター705aは、一定電力をPS−PWM共振インバーター707に送達しようとし、PS−PWM共振インバーター707は、負荷に送達される電力とブーストコンバーター705aによって供給される電力との差異を消費する。本質的に、ブーストコンバーター705aおよびPS−PWM共振インバーター707は、理想的な出力特性を送達するために、開ループで動かされる。
【0068】
ブーストコンバーター705aは、PS−PWM共振インバーター707と比較して、より速い切り替え周波数において(例えば、N倍速い)動かされ得る。従って、一定電力出力特性の間、PS−PWM共振インバーター707の出力は、1サイクルの1/Nにわたって一定電力を送達する。
【0069】
出力電力コンバーター801は、2つ以上のブーストコンバーターを含み得、2つ以上のブーストコンバーターは、並列で一緒に連結され、2つ以上の対応する制御信号によって制御され、2つ以上の対応する制御信号は、対称的な様式において互いに対して時間においてシフトされる。2つのブーストコンバーター、例えば、ブーストコンバーター705aおよび705bの場合において、ブーストコンバーターについての制御信号、例えば、制御信号dおよびdは、180度の位相差を有し得る。3つのブーストコンバーターの場合において、3つの対応する制御信号のうちの任意の2つの間の位相の差異は、120度である。4つのブーストコンバーターの場合において、4つの対応する制御信号のうちの任意の2つの間の位相差は、90度である。ブーストコンバーターの数を増大させることによって、発電機回路網200は、理想的な電力 対 インピーダンス出力特性、より低い出力測定サンプリング率、活性電気的要素(例えば、活性スナッバー)を用いない改善された電圧および電流のクランピングを達成し得、一定電力送達を制御し得る。
【0070】
CPM下で動作する場合、各ブーストコンバーターは、それ自体のサイクルにわたって一定平均電力を維持し、全ての位相は、それらの多相周期にわたって平均の一定電力を送達する。2つ以上のブーストコンバーターを用いる出力電力コンバータートポロジーは、総平均電力が全多相周期にわたってのみ一定であるので、PS−PWM共振インバーター707のスピードのN倍で動く単一のブーストステージよりも本質的に遅い。しかし、マルチブーストコンバータートポロジーは、単一のブーストコンバータートポロジーよりも低い出力電圧および電流リップルを提供する。
【0071】
図9は、フローダイアグラムであり、処置される組織のインピーダンスに基づいて、図7Aの出力電力コンバーターを制御する方法900を例示している。この方法において、所望の出力特性は、処置される組織のインピーダンスに基づいて、一定電流から一定電力に変化させられ、そして一定電圧に変化させられる。ステップ901において開始した後、コントローラー715は、出力電力コンバーターを動作させて、一定電流出力特性を提供する。特に、コントローラー715は、ステップ902において、電圧モード制御に従って制御信号dを発生させ、それをブーストコンバーター705に提供し、ステップ904において、固定された位相pを有する制御信号pを発生させ、それを移相パルス幅変調(PS−PWM)共振インバーター707に提供する。コントローラー715は、次に、ステップ906において、処置される組織のインピーダンスを測定する。測定されたインピーダンスは、ステップ908において、第1の所定のインピーダンス値Zと比較される。測定されたインピーダンスが第1の所定のインピーダンス値Zよりも小さい場合、ステップ902および904が、一定電流出力特性を提供するために繰り返される。そうでなければ、ステップ910および912が、一定電力出力特性を提供するために実施される。
【0072】
ステップ910において、制御信号dは、電流プログラムモードに従って発生させられ、ブーストコンバーター705に提供される。ステップ912において、固定された位相を有する制御信号pが発生させられ、ブーストコンバーター705に提供される。コントローラー715は、次に、ステップ914において、処置される組織のインピーダンスを測定する。ステップ916において、測定されたインピーダンスは、第2の所定のインピーダンス値Zと比較される。測定されたインピーダンスが第2の所定のインピーダンス値Zよりも小さい場合、方法900は、ステップ908に戻り、ステップ910および912が、一定電力出力特性を提供するために繰り返される。そうでなければ、ステップ918および920が、一定電圧出力特性を提供するために実施される。
【0073】
ステップ918において、コントローラー715は、電圧モード制御に従って制御信号dを発生させ、それをブーストコンバーター705に提供し、ステップ920において、コントローラー715は、固定された位相pを有する制御信号pを発生させ、それをPS−PWM共振インバーター707に提供する。コントローラー715は、次に、ステップ922において、処置される組織のインピーダンスを測定する。ステップ924において、測定されたインピーダンスは、第3の所定のインピーダンス値Zと比較される。測定されたインピーダンスが第3の所定のインピーダンス値Zよりも小さい場合、方法900は、ステップ916に戻り、一定電圧出力特性に基づいて、ステップ918〜924を実施する。そうでなければ、電力コンバーター701を制御する方法900は、ステップ922に戻り、出力インピーダンス(例えば、組織インピーダンス)を測定し続ける。ステップ922は、制御信号を発生させないので、ブーストコンバーターおよびPS−PWM共振インバーターは、処置される組織に電圧波形および電流波形を出力しない。それにもかかわらず、電気外科手術は、ユーザーが電気外科用発電機の電力スイッチをオフにするか、または電気外科用発電機へ電力を供給することをやめるまで終わらない。
【0074】
図10は、図8の出力電力コンバーター801を制御する方法1000を例示しているフローダイアグラムである。図8に示されるように、コントローラー849は、2つのブーストコンバーター705aおよび705b、ならびにPS−PWM共振インバーター707を制御する。ステップ1001において開始した後、コントローラー849は、ステップ1002において、電流プログラムモードに従って異なる位相を有する2つの制御信号dおよびdを発生させ、ブーストコンバーター705aおよび705bをそれぞれ制御するために、それらを2つのブーストコンバーターに提供する。ステップ1004において、コントローラー849は、固定された位相を有する制御信号pを発生させ、それを共振インバーター707に提供する。
【0075】
ステップ1006において、電力用量が計算され、ステップ1008において、電力用量は、要求された電力用量と比較される。電力用量が、要求された電力用量と等しい場合、方法1000は、ステップ1002に戻る。そうではない場合、電圧および電流が、ステップ1012において、発電機回路網800の出力において測定される。ステップ1014において、測定された電圧および測定された電流は、電圧制限および電流制限とそれぞれ比較される。測定された電圧が電圧制限よりも小さい場合、かつ、測定された電流が電流制限よりも小さい場合、方法1000は、ステップ1002に戻る。
【0076】
ステップ1016において、測定された電流が電流制限よりも大きいか、または電流制限と等しい場合において、コントローラー849は、すでに発生させられた2つの制御信号と異なる位相を有する制御信号dおよびdを発生させ、電流制限よりも低い電流が発生させられるように、それらを2つのブーストコンバーターに提供する。ステップ1018において、電圧が電圧制限よりも大きいか、または電圧制限と等しい場合において、コントローラー849は、異なる固定された位相を有する制御信号pを発生させ、電圧制限よりも低い電圧が発生させられるように、それを共振インバーター707に提供する。次に、方法1000は、ステップ1006に戻る。
【0077】
本開示の例示的実施形態は、添付の図面を参照して本明細書中に記載されてきたが、本開示は、それらの正確な実施形態に限定されないこと、ならびに様々な他の変更および改変が、本開示の範囲または趣旨から外れることなく、当業者によってその中で達成され得ることが理解されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図8
図9
図10