(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
(実施の第1形態)
図1から
図3は、本発明の実施の第1形態を示し、
図1において、符号1はリークテスタを示す。このリークテスタ1は、エアポンプ11と、一端がこのエアポンプ11に接続され、他端が内視鏡2の口金2aに接続自在な内視鏡接続部としてのコネクタ12と接続された配管13と、開閉自在な管路弁14と、開閉自在な排気管路弁15と、ゲージ圧センサ16と、管路温度センサ17と、外気温度センサ18と、制御部19とで主要に構成されている。
【0011】
エアポンプ11は、例えば周知のダイヤフラムポンプで構成され、内蔵された図示しない制御弁を制御することにより吸込口と吐出口とが変更自在(吸込口と吐出口とが逆転自在)に構成されている。このため、エアポンプ11は、配管13内から気体を吸引する際には、コネクタ12に接続された内視鏡2内から気体を吸引することが自在になっている。逆に、エアポンプ11は、配管13内に気体を吐出する際には、コネクタ12に接続された内視鏡2内に気体を導入し、更には、加圧することが可能に構成されている。このように、エアポンプ11は、気体吸引部、気体導入部として設けられている。
【0012】
配管13の中途部には、管路弁14が設けられており、この管路弁14を開閉制御することにより、配管13の管路弁14の上流(エアポンプ11)側と下流(コネクタ12)側との接続を連通遮断制御自在になっている。
【0013】
また、配管13の管路弁14の上流側は、分岐されて配管13の排気のための排気管路20が設けられており、この排気管路20には、排気管路弁15が介装されており、該排気管路弁15を開閉制御することにより、配管13の排気・密閉が制御自在になっている。
【0014】
ゲージ圧センサ16は、管路弁14の下流側に設けられ、後述するように、内視鏡2のリークテストを行う際に、管路弁14を閉弁してから、配管13の管路弁14下流側内の圧力を計測し、この圧力変化ΔPを内視鏡2内部の圧力変化として検知する圧力検知部として設けられている。
【0015】
管路温度センサ17は、管路弁14の下流側に設けられ、エアポンプ11で管路弁14下流側に吸引した内視鏡2からの気体の温度(管路温度)Tpを内視鏡2内部の気体の温度として測定する温度測定部として設けられている。
【0016】
また、大気温度センサ18は、外部雰囲気温度(外気温度)TAを検出する温度センサである。
【0017】
上述のような構成において、制御部19は、管路弁14を開弁し、排気管路弁15を閉弁し、内視鏡2がコネクタ12に接続されると、エアポンプ11で内視鏡2から空気を吸引し、管路温度センサ17で管路温度Tpを検出し、大気温度センサ18で外気温度TAを検出する。そして、管路温度Tpの外気温度TAに対する温度偏差ΔTを算出して、温度偏差の絶対値|ΔT|が予め設定しておいた閾値Tmax以上の場合は、内視鏡2内へエアポンプ11で空気を導入・吸引を繰り返し、閾値Tmaxよりも小さくなるまで待機する。一方、温度偏差の絶対値|ΔT|が予め設定しておいた閾値Tmaxよりも小さい場合は、温度偏差ΔTに応じてリーク判断用閾値Dpを設定し、このリーク判断用閾値Dpを用いてリークテストを実行する。このように、制御部19は、リーク判断部としての機能も有している。
【0018】
以下、制御部19により実行される、内視鏡のリークテスト全体の制御を
図2のフローチャートで説明する。
【0019】
まず、ステップ(以下、「S」と略称)101で、制御部19は、管路弁14を開弁し、排気管路弁15を閉弁する。
【0020】
次いで、S102に進み、操作者は、内視鏡2をリークテスタ1のコネクタ12に接続する。
【0021】
次に、S103に進み、制御部19は、エアポンプ11を作動して内視鏡2から内部の空気を、予め設定しておいた時間、吸引する。これにより、内視鏡2内に存在していた空気が、配管13内に充満される。
【0022】
次いで、S104に進み、制御部19は、管路温度センサ17で管路温度Tpを検出する。
【0023】
次に、S105に進み、制御部19は、大気温度センサ18で、外部雰囲気温度(外気温度)TAを検出する。
【0024】
次いで、S106に進んで、制御部19は、管路温度Tpの外気温度TAに対する温度偏差ΔTを算出する。すなわち、ΔT=Tp−TA。
【0025】
そして、S107に進み、制御部19は、温度偏差の絶対値|ΔT|と予め、実験、計算等により設定しておいた閾値Tmaxとを比較し、温度偏差の絶対値|ΔT|が、閾値Tmaxよりも小さい場合(|ΔT|<Tmaxの場合)には、S108に進み、制御部19は、温度偏差ΔTに応じてリーク判断用閾値Dpを設定する。このリーク判断用閾値Dpの設定は、例えば、閾値Tmaxよりも小さな値の範囲内で、温度偏差ΔTが大きな値になるほど、予め、実験、計算等により設定しておいたリーク判断用閾値Dpを大きな値に補正する。
【0026】
その後、S109に進み、制御部19は、後述する
図3のフローチャートで説明するリークテスト(リーク判断処理)を実行して、S110に進んで、リークテスタ1の全制御弁14,15を開弁してリークテストを終了する。
【0027】
一方、前述のS107で、制御部19が、温度偏差の絶対値|ΔT|は閾値Tmax以上(|ΔT|≧Tmax)と判定した場合には、S111に進み、制御部19は、エアポンプ11の吐出と吸込みとを交互に逆転させて行って、内視鏡2内への空気の導入、内視鏡2内からの空気の吸引を交互に設定回数繰り返す。この吸引と導入の繰り返しにより、内視鏡2内の温度は外気温度TAに近づけられる。
【0028】
このS111の後は、S104からの処理を繰り返す。
【0029】
次に、上述のS109で実行されるリーク判断処理を、
図3のフローチャートで説明する。
【0030】
まず、S201で、制御部19は、加圧・バランス行程を実行する。この加圧・バランス行程は、内視鏡2、配管13内を、予め設定しておいた圧力まで加圧して、内視鏡2の内部および配管13内の圧力分布が一様になるまでの時間を稼ぐ行程である。
【0031】
次に、S202に進み、制御部19は、加圧・バランス行程が終了したか否か判定して、終了していないのであれば、そのまま加圧・バランス行程を継続し、終了していれば、S203に進む。
【0032】
加圧・バランス行程が終了してS203に進むと、制御部19は、管路弁14を閉弁する。
【0033】
次いで、S204に進み、制御部19は、ゲージ圧センサ16からの圧力を観測して内視鏡2内部の圧力変化ΔPを検出する。
【0034】
次に、S205に進み、制御部19は、前述のS108で設定されたリーク判断用閾値Dpを読み込む。
【0035】
次いで、S206に進んで、制御部19は、圧力変化ΔPとリーク判断用閾値Dpとを比較して、例えば、圧力変化ΔPがリーク判断用閾値Dp以内の場合は、内視鏡2はリーク無し(正常)と判断する。逆に、圧力変化ΔPがリーク判断用閾値Dpを超える場合は、内視鏡2はリーク有り(異常)と判断する。
【0036】
そして、S207に進み、制御部19は、S206のリーク判断結果(リーク無し、或いは、リーク有り)を図示しない表示部に表示してリーク判断処理を終える。
【0037】
このように、本発明の実施の第1形態によれば、制御部19は、エアポンプ11で内視鏡2から空気を吸引し、管路温度センサ17で管路温度Tpを検出し、大気温度センサ18で外気温度TAを検出する。そして、管路温度Tpの外気温度TAに対する温度偏差ΔTを算出して、温度偏差の絶対値|ΔT|が予め設定しておいた閾値Tmax以上の場合は、内視鏡2内へエアポンプ11で空気を導入・吸引を繰り返し、閾値Tmaxよりも小さくなるまで待機する。一方、温度偏差の絶対値|ΔT|が予め設定しておいた閾値Tmaxよりも小さい場合は、温度偏差ΔTに応じて管路温度Tpを設定し、このリーク判断用閾値Dpを用いてリークテストを実行する。すなわち、エアポンプ11で吸引された内視鏡2内の空気の温度(管路温度Tp)により内視鏡2の温度が推定され、この温度Tpを基に、リークテスト実行と非実行の判断、或いは、リーク判断用閾値Dpを適切に設定してのリークテストの実行がなされる。このため、内視鏡2に温度センサを付加して内視鏡2の大型化や複雑化を招くことなく、現状の内視鏡2のリークテストを精度良く行うことが可能となる。
(実施の第2形態)
次に、
図4から
図6は、本発明の実施の第2形態を示す。尚、この第2形態は、前記第1形態における管路弁14を2つに分けて設け、これら管路弁の間の管路の圧力と温度を計測できるように構成した点が前記第1形態と異なり、他の構成は前記第1形態と同様であるので、同じ構成には同じ符号を記し、説明は省略する。
【0038】
図4において、符号30は第2形態によるリークテスタを示す。このリークテスタ30は、エアポンプ11と、一端がこのエアポンプ11に接続され、他端が内視鏡2の口金2aに接続自在な内視鏡接続部としてのコネクタ12と接続された配管13と、開閉自在な第1管路弁31と、開閉自在な第2管路弁32と、開閉自在な排気管路弁15と、ゲージ圧センサ16と、管路温度センサ17と、外気温度センサ18と、制御部33とで主要に構成されている。
【0039】
配管13の中途部には、エアポンプ11側には、第1管路弁31が設けられ、内視鏡2側には第2管路弁32が設けられている。そして、第1管路弁31を開閉制御することで、配管13の第1管路弁31のエアポンプ11側の管路と、第2管路弁側の管路とが連通遮断制御自在になっている。また、第2管路弁32を開閉制御することで、配管13の第2管路弁32の第1管路弁31側の管路と、内視鏡2側の管路とが連通遮断制御自在になっている。
【0040】
また、配管13の第1管路弁31の上流側は、分岐されて配管13の排気のための排気管路20が設けられており、この排気管路20には、排気管路弁15が介装されており、該排気管路弁15を開閉制御することにより、配管13の排気・密閉が制御自在になっている。
【0041】
ゲージ圧センサ16は、第1管路弁31と第2管路弁32の間に設けられ、後述するように、内視鏡2のリークテストを行う際に、第1管路弁31を閉弁状態、第2管路弁32を開弁状態としてから、第1管路弁31下流側内の圧力を計測し、この圧力変化ΔPを内視鏡2内部の圧力変化として検知する。
【0042】
管路温度センサ17は、第1管路弁31と第2管路弁32の間に設けられ、エアポンプ11で第1管路弁31と第2管路弁32の間に吸引された内視鏡2からの気体の温度(管路温度)Tpを内視鏡2内部の気体の温度として測定する。
【0043】
上述のような構成において、制御部33は、第1管路弁31と第2管路弁32を開弁し、排気管路弁15を閉弁し、内視鏡2がコネクタ12に接続されると、エアポンプ11で内視鏡2から空気を設定回数吸引・導入し、第1管路弁31と第2管路弁32を閉弁して、第1管路弁31と第2管路弁32の間の空気の温度を安定させる。その後、管路温度センサ17で管路温度Tpを検出し、大気温度センサ18で外気温度TAを検出する。そして、管路温度Tpの外気温度TAに対する温度偏差ΔTを算出して、温度偏差の絶対値|ΔT|が予め設定しておいた閾値Tmax以上の場合は、第1管路弁31と第2管路弁32を開弁し、エアポンプ11で内視鏡2から空気を設定回数吸引・導入し、これを繰り返し、閾値Tmaxよりも小さくなるまで待機する。一方、温度偏差の絶対値|ΔT|が予め設定しておいた閾値Tmaxよりも小さい場合は、温度偏差ΔTに応じてリーク判断用閾値Dpを設定し、このリーク判断用閾値Dpを用いてリークテストを実行する。
【0044】
以下、制御部33により実行される、内視鏡のリークテスト全体の制御を
図5のフローチャートで説明する。
【0045】
まず、S301で、制御部33は、第1管路弁31と第2管路弁32を開弁し、排気管路弁15を閉弁する。
【0046】
次いで、S302に進み、操作者は、内視鏡2をリークテスタ30のコネクタ12に接続する。
【0047】
次に、S303に進み、制御部33は、エアポンプ11を作動して、内視鏡2から空気を、予め設定しておいた時間吸引し、内視鏡2内部の空気を第1管路弁31と第2管路弁32の間に導く。
【0048】
次いで、S304に進んで、制御部33は、第1管路弁31と第2管路弁32を閉弁する。
【0049】
次に、S305に進み、制御部33は、管路温度センサ17で管路温度Tpを検出する。
【0050】
次に、S306に進み、制御部33は、大気温度センサ18で、外部雰囲気温度(外気温度)TAを検出する。
【0051】
次いで、S307に進んで、制御部33は、管路温度Tpの外気温度TAに対する温度偏差ΔTを算出する。すなわち、ΔT=Tp−TA。
【0052】
そして、S308に進み、制御部33は、温度偏差の絶対値|ΔT|と予め、実験、計算等により設定しておいた閾値Tmaxとを比較し、温度偏差の絶対値|ΔT|が、閾値Tmaxよりも小さい場合(|ΔT|<Tmaxの場合)には、S309に進み、制御部33は、温度偏差ΔTに応じてリーク判断用閾値Dpを設定する。このリーク判断用閾値Dpの設定は、例えば、閾値Tmaxよりも小さな値の範囲内で、温度偏差ΔTが大きな値になるほど、予め、実験、計算等により設定しておいたリーク判断用閾値Dpを大きな値に補正する。
【0053】
その後、S310に進み、制御部33は、後述する
図6のフローチャートで説明するリークテスト(リーク判断処理)を実行して、S311に進んで、リークテスタ30の全制御弁15,31,32を開弁してリークテストを終了する。
【0054】
一方、前述のS308で、制御部33が、温度偏差の絶対値|ΔT|は閾値Tmax以上(|ΔT|≧Tmax)と判定した場合には、S312に進み、制御部33は、第1管路弁31と第2管路弁32を開弁する。
【0055】
そして、S313に進み、制御部33は、エアポンプ11の吐出と吸込みとを交互に逆転させて行って、内視鏡2内への空気の導入、内視鏡2内からの空気の吸引を交互に設定回数繰り返す。この吸引と導入の繰り返しにより、内視鏡2内の温度は外気温度TAに近づけられる。
【0056】
このS313の後は、S304からの処理を繰り返す。
【0057】
次に、上述のS310で実行されるリーク判断処理を、
図6のフローチャートで説明する。
【0058】
まず、S401で、制御部33は、第1管路弁31と第2管路弁32を開弁する。
【0059】
次いで、S402に進み、制御部33は、加圧・バランス行程を実行する。この加圧・バランス行程は、内視鏡2、配管13内を、予め設定しておいた圧力まで加圧して、内視鏡2の内部および配管13内の圧力分布が一様になるまでの時間を稼ぐ行程である。
【0060】
次に、S403に進み、制御部33は、加圧・バランス行程が終了したか否か判定して、終了していないのであれば、そのまま加圧・バランス行程を継続し、終了していれば、S404に進む。
【0061】
加圧・バランス行程が終了してS404に進むと、制御部33は、第1管路弁31を閉弁する。
【0062】
次いで、S405に進み、制御部33は、ゲージ圧センサ16からの圧力を観測して内視鏡2内部の圧力変化ΔPを検出する。
【0063】
次に、S406に進み、制御部33は、前述のS309で設定されたリーク判断用閾値Dpを読み込む。
【0064】
次いで、S407に進んで、制御部33は、圧力変化ΔPとリーク判断用閾値Dpとを比較して、例えば、圧力変化ΔPがリーク判断用閾値Dp以内の場合は、内視鏡2はリーク無し(正常)と判断する。逆に、圧力変化ΔPがリーク判断用閾値Dpを超える場合は、内視鏡2はリーク有り(異常)と判断する。
【0065】
そして、S408に進み、制御部33は、S407のリーク判断結果(リーク無し、或いは、リーク有り)を図示しない表示部に表示してリーク判断処理を終える。
【0066】
このように、本発明の実施の第2形態によれば、内視鏡2からの空気を吸引・導入する管路13に2つの管路弁31,32を設けたため、内視鏡2からの空気の温度を安定させて検出することができる。このため、内視鏡2の温度が精度良く安定して推定されるので、前記第1形態で説明した効果に加え、更に、この精度良く安定して検出される温度Tpを基に、リークテスト実行と非実行の判断、或いは、リーク判断用閾値Dpを精度良く適切に設定してのリークテストの実行が可能という効果を有する。
(実施の第3形態)
次に、
図7から
図9は、本発明の実施の第3形態を示す。尚、この第3形態は、内視鏡2へと連通する配管13を2つに分岐させ、一方の管路に内視鏡2への空気の導入ポンプ及び開閉弁を設け、他方の管路に内視鏡2からの空気の吸引ポンプ及び開閉弁を設けた構成とした点が前記第1形態と異なり、他の構成は前記第1形態と同様であるので、同じ構成には同じ符号を記し、説明は省略する。
【0067】
図7において、符号40は第3形態によるリークテスタを示す。このリークテスタ40は、一端が内視鏡2の口金2aに接続自在な内視鏡接続部としてのコネクタ12と接続された配管13と、開閉自在な管路弁14と、開閉自在な排気管路弁15と、ゲージ圧センサ16と、管路温度センサ17と、外気温度センサ18と、制御部47とを有している。配管13の他端は、配管41と配管42に分岐され、配管41に導入ポンプ45と導入ポンプ45への配管の接続を連通遮断自在に開閉制御される導入ポンプ弁43が設けられている。また、配管42に吸引ポンプ46と吸引ポンプ46への配管の接続を連通遮断自在に開閉制御される吸引ポンプ弁44が設けられている。
【0068】
導入ポンプ45は、例えば周知のダイヤフラムポンプで構成され、この導入ポンプ45が作動される場合には、導入ポンプ弁43が開弁された状態となって、配管41の端部から大気を配管13内を通じて内視鏡2内へ導入するものである。そして、この導入ポンプ45が作動される場合には、吸引ポンプ弁44は閉状態とされ、吸引ポンプ46も停止状態に制御される。すなわち、導入ポンプ45は、気体導入部として設けられている。
【0069】
また、吸引ポンプ46は、例えば周知のダイヤフラムポンプで構成され、この吸引ポンプ46が作動される場合には、吸引ポンプ弁44が開弁された状態となって、内視鏡2内の空気を配管13を通じて吸引し、配管42の端部から大気へ吸引した内視鏡2内の空気を吐出可能になっている。そして、この吸引ポンプ46が作動される場合には、導入ポンプ弁43は閉状態とされ、導入ポンプ45も停止状態に制御される。すなわち、吸引ポンプ46は、気体吸引部として設けられている。
【0070】
尚、前述の開閉自在な管路弁14、開閉自在な排気管路弁15、ゲージ圧センサ16、管路温度センサ17は、前記第1形態のエアポンプ11を分岐管路41,42と読み替えて、前記第1形態で説明した部位と略同様の部位に設けられている。
【0071】
上述のような構成において、制御部47は、吸引ポンプ弁44、導入ポンプ弁43、排気管路弁15を閉弁し、管路弁14を開弁し、内視鏡2がコネクタ12に接続されると、吸引ポンプ弁44を開弁し、吸引ポンプ46を作動して内視鏡2から空気を設定時間吸引する。その後、管路温度センサ17で管路温度Tpを検出し、大気温度センサ18で外気温度TAを検出し、管路温度Tpの外気温度TAに対する温度偏差ΔTを算出して、温度偏差の絶対値|ΔT|が予め設定しておいた閾値Tmaxとを比較する。そして、温度偏差の絶対値|ΔT|が予め設定しておいた閾値Tmax以上の場合は、吸引ポンプ弁44閉弁/吸引ポンプ44停止/導入ポンプ弁43開弁/導入ポンプ45作動と、導入ポンプ弁43閉弁/導入ポンプ45停止/吸引ポンプ弁44開弁/吸引ポンプ44作動を交互に設定回数実行し、内視鏡2内へエアポンプ11で空気を導入・吸引を繰り返し、閾値Tmaxよりも小さくなるまで待機する。一方、温度偏差の絶対値|ΔT|が予め設定しておいた閾値Tmaxよりも小さい場合は、吸引ポンプ44を停止し、吸引ポンプ弁44を閉弁し、温度偏差ΔTに応じてリーク判断用閾値Dpを設定し、このリーク判断用閾値Dpを用いてリークテストを実行する。
【0072】
以下、制御部47により実行される、内視鏡のリークテスト全体の制御を
図8のフローチャートで説明する。
【0073】
まず、S501で、制御部47は、吸引ポンプ弁44、導入ポンプ弁43、排気管路弁15を閉弁し、管路弁14を開弁する。
【0074】
次いで、S502に進み、操作者は、内視鏡2をリークテスタ40のコネクタ12に接続する。
【0075】
次に、S503に進み、制御部47は、吸引ポンプ弁44を開弁する。
【0076】
次いで、S504に進み、制御部47は、吸引ポンプ46を作動して内視鏡2から空気を設定時間吸引する。
【0077】
次に、S505に進み、制御部47は、管路温度センサ17で管路温度Tpを検出する。
【0078】
次に、S506に進み、制御部47は、大気温度センサ18で、外部雰囲気温度(外気温度)TAを検出する。
【0079】
次いで、S507に進んで、制御部47は、管路温度Tpの外気温度TAに対する温度偏差ΔTを算出する。すなわち、ΔT=Tp−TA。
【0080】
そして、S508に進み、制御部47は、温度偏差の絶対値|ΔT|と予め、実験、計算等により設定しておいた閾値Tmaxとを比較し、温度偏差の絶対値|ΔT|が、閾値Tmaxよりも小さい場合(|ΔT|<Tmaxの場合)には、S509に進む。
【0081】
S509に進むと、制御部47は、吸引ポンプ46を停止し、その後、S510に進んで、吸引ポンプ弁44を閉弁する。
【0082】
次いで、S511に進み、制御部47は、温度偏差ΔTに応じてリーク判断用閾値Dpを設定する。このリーク判断用閾値Dpの設定は、例えば、閾値Tmaxよりも小さな値の範囲内で、温度偏差ΔTが大きな値になるほど、予め、実験、計算等により設定しておいたリーク判断用閾値Dpを大きな値に補正する。
【0083】
次いで、S512に進み、制御部47は、後述する
図9のフローチャートで説明するリークテスト(リーク判断処理)を実行して、S513に進んで、リークテスタ40の全制御弁14,15,43,44を開弁してリークテストを終了する。
【0084】
一方、前述のS508で、制御部47が、温度偏差の絶対値|ΔT|は閾値Tmax以上(|ΔT|≧Tmax)と判定した場合には、S514に進み、制御部47は、吸引ポンプ弁44閉弁/吸引ポンプ44停止/導入ポンプ弁43開弁/導入ポンプ45作動と、導入ポンプ弁43閉弁/導入ポンプ45停止/吸引ポンプ弁44開弁/吸引ポンプ44作動を交互に設定回数実行し、内視鏡2内へエアポンプ11で空気を導入・吸引を繰り返す。この吸引と導入の繰り返しにより、内視鏡2内の温度は外気温度TAに近づけられる。
【0085】
このS514の後は、S505からの処理を繰り返す。
【0086】
次に、上述のS512で実行されるリーク判断処理を、
図9のフローチャートで説明する。
【0087】
まず、S601で、制御部47は、導入ポンプ弁43を開弁する。
【0088】
次いで、S602に進み、制御部47は、導入ポンプ45を所定に作動させ、加圧・バランス行程を実行する。この加圧・バランス行程は、内視鏡2、配管13内を、予め設定しておいた圧力まで加圧して、内視鏡2の内部および配管13内の圧力分布が一様になるまでの時間を稼ぐ行程である。
【0089】
次に、S603に進み、制御部47は、加圧・バランス行程が終了したか否か判定して、終了していないのであれば、そのまま加圧・バランス行程を継続し、終了していれば、S604に進む。
【0090】
加圧・バランス行程が終了してS604に進むと、制御部47は、管路弁14を閉弁する。
【0091】
次いで、S605に進み、制御部47は、ゲージ圧センサ16からの圧力を観測して内視鏡2内部の圧力変化ΔPを検出する。
【0092】
次に、S606に進み、制御部47は、前述のS511で設定されたリーク判断用閾値Dpを読み込む。
【0093】
次いで、S607に進んで、制御部47は、圧力変化ΔPとリーク判断用閾値Dpとを比較して、例えば、圧力変化ΔPがリーク判断用閾値Dp以内の場合は、内視鏡2はリーク無し(正常)と判断する。逆に、圧力変化ΔPがリーク判断用閾値Dpを超える場合は、内視鏡2はリーク有り(異常)と判断する。
【0094】
そして、S608に進み、制御部47は、S607のリーク判断結果(リーク無し、或いは、リーク有り)を図示しない表示部に表示してリーク判断処理を終える。
【0095】
このように、本発明の実施の第3形態によれば、内視鏡2と接続される配管13の他端を、配管41と配管42に分岐し、配管41に内視鏡2への導入ポンプ45と導入ポンプ弁43を設ける一方、配管42に内視鏡2からの吸引ポンプ46と吸引ポンプ弁44を設けて構成した。このため、内視鏡2内への大気の吸い込み口となる配管41の端部と、内視鏡2内からの空気の吐出口となる配管42の端部とを離間して配設することができる。これにより、内視鏡2内に対する空気の導入・吸引により内視鏡2の温度を速やかに測定温度環境の温度に収束させることが可能となり、前記第1形態で説明した効果に加え、より効率良く高精度なリークテストを行うことが可能となる。
(実施の第4形態)
次に、
図10、11は、本発明の実施の第4形態を示す。尚、この第4形態は、前記第1形態のリークテスタに、接続される内視鏡の情報を読み取り自在な内視鏡情報読取部を加え、接続される内視鏡の容量、リーク判断用閾値を読み取ってリークテストを行えるようにした構成が前記第1形態と異なり、他の構成は前記第1形態と同様であるので、同じ構成には同じ符号を記し、説明は省略する。
【0096】
すなわち、
図10において、符号50は第4形態によるリークテスタを示す。このリークテスタ50は、エアポンプ11と、一端がこのエアポンプ11に接続され、他端が内視鏡2の口金2aに接続自在な内視鏡接続部としてのコネクタ12と接続された配管13と、開閉自在な管路弁14と、開閉自在な排気管路弁15と、ゲージ圧センサ16と、管路温度センサ17と、外気温度センサ18と、内視鏡2に内蔵(或いは、外付け)されたRFID(Radio Frequency IDentification)タグ2b等から内視鏡2に関する情報を読み込み自在な内視鏡情報読取部51と、制御部52とで主要に構成されている。
【0097】
内視鏡情報読取部51は、例えば、上述のRFIDタグ2bから内視鏡情報として、コネクタ12に接続される内視鏡2の機種名や製造番号、容量、リーク判断用閾値Dp等を読み取るRFIDリーダ等で構成されている。
【0098】
上述のような構成において、制御部52は、内視鏡情報読取部51で内視鏡情報(容量、リーク判断用閾値Dp)を読み取り、この読み取った内視鏡2の容量に基づいて、エアポンプ11を作動させる最適な条件(エアーの吸引時間、エアーの導入時間)を予め設定する。そして、制御部52は、管路弁14を開弁し、排気管路弁15を閉弁し、内視鏡2がコネクタ12に接続されると、エアポンプ11で内視鏡2から空気を吸引し、管路温度センサ17で管路温度Tpを検出し、大気温度センサ18で外気温度TAを検出する。そして、管路温度Tpの外気温度TAに対する温度偏差ΔTを算出して、温度偏差の絶対値|ΔT|が予め設定しておいた閾値Tmax以上の場合は、内視鏡2内へエアポンプ11で内視鏡2の容量に応じて設定された条件に基づいて空気を導入・吸引を繰り返し、閾値Tmaxよりも小さくなるまで待機する。一方、温度偏差の絶対値|ΔT|が予め設定しておいた閾値Tmaxよりも小さい場合は、RFIDタグ2bで読み取ったリーク判断用閾値Dpを温度偏差ΔTに応じて設定し、このリーク判断用閾値Dpを用いてリークテストを実行する。
【0099】
以下、制御部19により実行される、内視鏡のリークテスト全体の制御を
図2のフローチャートで説明する。
【0100】
まず、S701で、制御部52は、内視鏡情報読取部51で内視鏡情報として当該内視鏡2の容量、リーク判断用閾値Dpを読み取る。
【0101】
次いで、S702に進み、制御部52は、S701で読み取った内視鏡2の容量情報を基に、エアポンプ11を作動させる最適な条件を設定する。
【0102】
次に、S703に進み、制御部52は、管路弁14を開弁し、排気管路弁15を閉弁する。
【0103】
次いで、S704に進み、操作者は、内視鏡2をリークテスタ50のコネクタ12に接続する。
【0104】
次に、S705に進み、制御部52は、エアポンプ11を作動して内視鏡2から内部の空気を、予め設定しておいた時間、吸引する。これにより、内視鏡2内に存在していた空気が、配管13内に充満される。
【0105】
次いで、S706に進み、制御部52は、管路温度センサ17で管路温度Tpを検出する。
【0106】
次に、S707に進み、制御部52は、大気温度センサ18で、外部雰囲気温度(外気温度)TAを検出する。
【0107】
次いで、S708に進んで、制御部52は、管路温度Tpの外気温度TAに対する温度偏差ΔTを算出する。すなわち、ΔT=Tp−TA。
【0108】
そして、S709に進み、制御部52は、温度偏差の絶対値|ΔT|と予め、実験、計算等により設定しておいた閾値Tmaxとを比較し、温度偏差の絶対値|ΔT|が、閾値Tmaxよりも小さい場合(|ΔT|<Tmaxの場合)には、S710に進み、制御部52は、温度偏差ΔTに応じてリーク判断用閾値Dpを設定する。このリーク判断用閾値Dpの設定は、例えば、閾値Tmaxよりも小さな値の範囲内で、温度偏差ΔTが大きな値になるほど、S701で読み込んだ予め、実験、計算等により設定しておいたリーク判断用閾値Dpを大きな値に補正する。
【0109】
その後、S711に進み、制御部52は、前述の
図3のフローチャートで説明したリークテスト(リーク判断処理)を実行して、S712に進んで、リークテスタ50の全制御弁14,15を開弁してリークテストを終了する。
【0110】
一方、前述のS709で、制御部52が、温度偏差の絶対値|ΔT|は閾値Tmax以上(|ΔT|≧Tmax)と判定した場合には、S713に進む。そして、制御部52は、S702で設定した、エアポンプ11を作動させる最適な条件(エアーの吸引時間、エアーの導入時間)に基づいて、エアポンプ11の吐出と吸込みとを交互に逆転させて行って、内視鏡2内への空気の導入、内視鏡2内からの空気の吸引を交互に設定回数繰り返す。この吸引と導入の繰り返しにより、内視鏡2内の温度は外気温度TAに近づけられる。
【0111】
このS713の後は、S706からの処理を繰り返す。
【0112】
このように、本発明の実施の第4形態によれば、リークテストを実行するにあたり、内視鏡2の容量を読み込んで、エアポンプ11の適切な作動時間を設定し、吸引・導入を行うことができるので、効率良くエアポンプ11を作動してリークテストを実行することが可能となる。また、リークテストを行う対象となる内視鏡2のリーク判断用閾値Dpを読み込んでリークテストを行うようになっているので、新たな仕様の内視鏡に対しても適用でき、汎用性が広い。尚、本実施の第4形態では、予め内視鏡情報読取部51で内視鏡2の容量、リーク判断用閾値Dpを読み込んでリークテストを行うようになっているが、内視鏡2の機種名のみを読み込んで、この機種名に対応する容量、リーク判断用閾値Dpを予め記憶しておいたデータから選択して用いるようにしても良い。
(実施の第5形態)
次に、
図12、13は、本発明の実施の第5形態を示す。この実施の第5形態は、前述の実施の第1形態で説明したリークテスタと略同様の構成のリークテスタ部を、内視鏡リプロセス装置としての内視鏡洗浄消毒装置に設けたものである。
【0113】
図12、13において、符号100は内視鏡リプロセス装置としての内視鏡洗浄消毒装置を示し、この内視鏡洗浄消毒装置100は、装置本体101の上部にヒンジ103を介して開閉自在なカバー104が設けられて主要に構成されている。
【0114】
装置本体101の上面(以下「本体上面」と称する)101aには、その底面105aに洗浄消毒及びリークテストのために内視鏡2を載置して収容自在な槽型の洗浄消毒槽(洗浄槽とも云う)105が配設されている。この洗浄消毒槽105は、上述のカバー104を開閉することにより開閉される。
【0115】
そして、装置本体101の洗浄消毒槽105に内視鏡2を収容し、カバー104を閉じて洗浄消毒槽105を略覆った閉状態にした際に、ラッチ107がカバー104のハンドル108に係止してカバー104を閉状態とする。このラッチ107は、ロック機構106と連接されており、ラッチ107をロック機構106でロックすることにより、閉状態となっているカバー104が所定幅以上に開くことが抑制されるようになっている。
【0116】
すなわち、カバー104は、ロック機構106によりラッチ107がロックされていない場合には、操作者がカバー104のハンドル108を操作し、或いは、装置本体101の下部に設けられた操作ペダル110を踏み込み操作することで開くことが可能になっている。
【0117】
また、本体上面101aには、洗浄、消毒等の開始信号、ロック機構106によるラッチ107のロックを解除する解除信号、内視鏡洗浄消毒装置100によるリークテストの実行信号等を外部から入力すると共に、内視鏡洗浄消毒装置100の作動状態、異常が生じた場合のエラー信号、上述のリークテストの実行結果等を表示する表示機能付きのタッチパネルで構成された操作パネル109が設けられている。尚、この操作パネル109は、装置本体101の側面や、カバー104に設けられているものであっても良い
更に、本体上面101aには、内視鏡2の情報を検出することにより内視鏡2が洗浄消毒槽105に収容されたことを検知する、例えば、RFIDリーダ203が設けられており、内視鏡2のコネクタ部等に内蔵(或いは、外付け)された図示しないRFIDタグ等から内視鏡2の機種名や製造番号等の内視鏡に関する情報を読み込み自在になっている。尚、RFIDリーダ203は、本体上面101a以外の部位に設けられるものであっても良く、また、この内視鏡情報を読み取るシステムは、他の、バーコード読み取りによるシステム、或いは、操作者によって入力する方法によっても実現可能である。
【0118】
また、装置本体101の任意の側面には、後述する側面扉101bが配設されている。更に、装置本体101の下部には、洗浄消毒槽105内の洗浄液、消毒液等を排出する排水ホース114が連設されている。また、装置本体101には、洗浄消毒槽105内に給水を行う後述する給水コネクタ115が設けられている。
【0119】
洗浄消毒槽105は、本体上面101aの開口部分の縁部が略全周に亘って段状の段状部分116が形成されている。そして、カバー104の内面の、この段状部分116と対向する部分には、この段状部分116の形状に沿って、カバー104を閉じた際にカバー104と洗浄消毒槽105とを水密にシールすると共に、カバー104を閉じる際のクッション性を保つためのパッキン部材117が設けられている。尚、カバー104は、該カバー104を閉じた際に洗浄消毒槽105内が見えるように、中央の部位が透明の樹脂、ガラス材等で形成されている。
【0120】
また、本体上面101aの、カバー104のハンドル108とパッキン部材117との間の下面104aと対向する部位には、該カバー104の下面104aとの接触を検知することにより、カバー104が閉状態となったことを検知する開閉検知部204が設けられている。
【0121】
更に、本体上面101aには、後述する洗剤ノズル111、消毒液ノズル112、給水・循環ノズル113が配設されている。これら各ノズル111,112,113は、内視鏡洗浄消毒装置100における、内視鏡2のすすぎ、洗浄、消毒処理等の衛生化を実行する衛生部としての洗浄消毒部206を構成するもので、以下、洗浄消毒部206について、
図13を基に説明する。
【0122】
図13に示すように、装置本体101の内部には、洗浄水を貯留する液体洗剤を貯留する洗剤タンク121、所定濃度に希釈された消毒液を貯留する消毒液タンク122、アルコールを貯留するアルコールタンク123、水道栓から供給される水道水を濾過する水フィルタ124、及びエアフィルタ125が配設されている。消毒液タンク122は装置本体101内に固定されている。尚、符号122aは消毒液ドレーン口であり、通常は閉じられている。
【0123】
また、洗剤タンク121、アルコールタンク123、水フィルタ124、エアフィルタ125は、各々トレー121a、123a〜125aに載置されている。また、各トレー121a、123a〜125aは、装置本体101の側面扉101b(
図12参照)を開放することで、側方へ引き出し自在にされており、所定に液体を補充し、或いは、部品を交換することが自在となっている。
【0124】
本実施の形態では、消毒液タンク122に消毒液を補充するに際しては、例えば、装置本体101の側面扉101bを開放し、装置内部に固設されているボトルコネクタ126に対して、消毒液が充填されている消毒液ボトル127を接続することで行う。
【0125】
また、その際、希釈弁128を介して、水フィルタ124によって濾過された水道水が消毒液タンク122に供給される。従って、消毒液タンク122には所定濃度に希釈された消毒液が貯留される。尚、
図12には、各トレー121a、123a〜125aが引き出された状態が示されている。
【0126】
洗浄消毒槽105は、前述の如く内視鏡2を収容自在であり、底面105aに排水口130が設けられている。更に、洗浄消毒槽105の外周壁面の一側面に循環口131が設けられている。また、本体上面101aの給水コネクタ115が配設されている側の角部に洗剤ノズル111、消毒液ノズル112、給水・循環ノズル113が配設されている。
【0127】
洗剤ノズル111は、洗剤タンク121に洗剤ポンプ137を介して連通されており、消毒液ノズル112は、薬液ポンプ138を介して消毒液タンク122に連通されている。また、給水・循環ノズル113は、三方弁139を介して水フィルタ124と流液ポンプ140とに選択的に接続自在になっている。
【0128】
給水・循環ノズル113が、三方弁139を介して水フィルタ124側に接続された状態では、給水・循環ノズル113から水フィルタ124によって濾過された水道水が洗浄消毒槽105に吐出される。
【0129】
一方、給水・循環ノズル113が、三方弁139を介して流液ポンプ140に接続された状態では、循環口131から取り入れた洗浄消毒槽105に貯留されている洗浄水、或いは、消毒液が、再度、洗浄消毒槽105に吐出されて循環される。
【0130】
尚、図示しないが給水・循環ノズル113と三方弁139との間に高圧ノズルが高圧ポンプを介して接続されており、この高圧ノズルからも給水・循環ノズル113と同様の液体(水道水、洗浄水)が高圧で洗浄消毒槽105に噴出される。
【0131】
この高圧ノズル、及び、給水・循環ノズル113から吐出される液体により洗浄消毒槽105内に水流が発生し、この水流により内視鏡2の外表面が、洗浄工程においては洗浄され、すすぎ工程においては洗浄液、或いは、消毒液が洗い流される。
【0132】
洗浄消毒槽105の外周壁面の他側面に、内視鏡2に設けた図示しない口金に接続するコネクタ受け部141が設けられている。コネクタ受け部141に、1本の洗浄消毒チューブ151aが分岐接続されており、この洗浄消毒チューブ151aが四方弁から成るチャンネルブロック152の吐出口に連通されている。
【0133】
また、チャンネルブロック152の3つに分岐された各流入口には、循環口131とアルコールタンク123とコンプレッサ154とが各々連通されている。また、循環口131とチャンネルブロック152との間に、循環口131から流体(水道水、洗浄水、消毒液)を吸引するチャンネルポンプ153が介装されている。
【0134】
更に、アルコールタンク123とチャンネルブロック152との間に、流路を開閉するアルコール弁155、アルコールタンク123に貯留されているアルコールを吸引するアルコールポンプ145が介装されている。また、コンプレッサ154とチャンネルブロック152との間にエアフィルタ125が介装されている。
【0135】
チャンネルブロック152を切換え動作させて、各流入口を吐出口に対し選択的に連通させることで、内視鏡2に、洗浄消毒槽105に貯留されている液体(水道水、洗浄水、消毒液)、或いは、アルコールタンク123に貯留されているアルコール、或いは、コンプレッサ154からのエアが供給される。
【0136】
また、洗浄消毒槽105に、超音波振動子159、吸水管消毒用コネクタ160、洗浄ケース161等が所定に配設され、更に、排水口130に切換弁162が配設されている。超音波振動子159は、洗浄消毒槽105に貯留される洗浄水、あるいは水道水に振動を与えて、内視鏡2の外表面を超音波洗浄、或いは、濯ぐものである。
【0137】
吸水管消毒用コネクタ160は、これに消毒液ノズル112をホース等を介して接続し、水フィルタ124に連通する給水管に消毒液を供給し、この給水管を消毒するものである。また、洗浄ケース161は、これに内視鏡2の各スコープスイッチのボタン等、内視鏡2に併設されている取り外し可能な部品を収容して、内視鏡2と一緒に洗浄、消毒させるものである。
【0138】
更に、排水口130に配設されている切換弁162は、排水時の排水路を切換えるもので、洗浄消毒槽105に水道水あるいは洗浄水が貯留されている場合は、排水口130を排水ホース114側に連通させて、排水ポンプ144を駆動させて、強制的に排水させる。
【0139】
また、洗浄消毒槽105に消毒液が貯留されている場合は、排水口130を消毒液タンク122側に連通させて、消毒済みの消毒液を消毒液タンク122に回収する。従って、消毒液は繰り返し利用される。
【0140】
上述の各弁139、152、155、162の切換え動作及び各種ポンプ137、138、140、153等の動作は、装置本体101に内蔵されている制御部163にて制御される。
【0141】
そして、操作者が操作パネル109により、内視鏡2のすすぎ、洗浄、消毒処理等の衛生化を選択することにより、制御部163は、洗浄消毒部206の上述の各弁139、152、155、162や各種ポンプ137、138、140、153等を所定に駆動して内視鏡2の衛生化を実行する。
【0142】
一方、内視鏡洗浄消毒装置100には、前記第1形態で説明したリークテスタと略同様の構成のリークテスタ部207が設けられている。従って、このリークテスタ部207の説明においては、前記第1形態と同じ構成・機能を有するものには同じ符号を記し、説明は省略する。
【0143】
リークテスタ部207は、エアポンプ11と、一端がこのエアポンプ11に接続され、他端が内視鏡2に設けた図示しない口金に接続するコネクタ受け部141と接続された配管13と、開閉自在な管路弁14と、開閉自在な排気管路弁15と、ゲージ圧センサ16と、管路温度センサ17と、外気温度センサ18とを有し、これらエアポンプ11、管路弁14、開閉自在な排気管路弁15、ゲージ圧センサ16、管路温度センサ17、外気温度センサ18は、内視鏡洗浄消毒装置100の制御回路163に接続されて主要に構成されている。
【0144】
そして、操作者が操作パネル109により、内視鏡2のリークテストを選択すると、制御部163は、リークテスタ部207を以下のように作動させる。
【0145】
すなわち、制御部163は、管路弁14を開弁し、排気管路弁15を閉弁し、エアポンプ11で内視鏡2から空気を吸引し、管路温度センサ17で管路温度Tpを検出し、大気温度センサ18で外気温度TAを検出する。そして、管路温度Tpの外気温度TAに対する温度偏差ΔTを算出して、温度偏差の絶対値|ΔT|が予め設定しておいた閾値Tmax以上の場合は、内視鏡2内へエアポンプ11で空気を導入・吸引を繰り返し、閾値Tmaxよりも小さくなるまで待機する。一方、温度偏差の絶対値|ΔT|が予め設定しておいた閾値Tmaxよりも小さい場合は、温度偏差ΔTに応じてリーク判断用閾値Dpを設定する。こうして設定されたリーク判断用閾値Dpを用いてリークテストを実行する。
具体的には、内視鏡2、配管13内を、予め設定しておいた圧力まで加圧して、管路弁14を閉弁する。そして、制御部163は、ゲージ圧センサ16からの圧力を観測して内視鏡2内部の圧力変化ΔPを検出し、この圧力変化ΔPとリーク判断用閾値Dpとを比較して、例えば、圧力変化ΔPがリーク判断用閾値Dp以内の場合は、内視鏡2はリーク無し(正常)と判断する。逆に、圧力変化ΔPがリーク判断用閾値Dpを超える場合は、内視鏡2はリーク有り(異常)と判断する。そして、制御部163は、このリーク判断結果(リーク無し、或いは、リーク有り)を操作パネル109に表示してリーク判断処理を終える。
【0146】
このように本実施の第5形態によれば、内視鏡洗浄消毒装置100は、前述の実施の第1形態で説明したリークテスタと略同様の構成のリークテスタ部207を備えて構成されている。このため、内視鏡2のリプロセスを行うにあたり、同一の装置に内視鏡2を収容することで、この内視鏡2のリークテストも実行することができ、その後のすすぎ、洗浄、消毒等の行程にスムーズに移行することができ、内視鏡2のリプロセスも効率良く行うことが可能である。また、リークテストのための装置と、リプロセスのための装置を分けて用意する必要もなく、更に、それぞれの作業の場所の用意も不要となる。尚、本第5形態では、第1形態の構成の内視鏡用リークテスタを用いて説明したが、第2、第3、第4形態で説明した内視鏡用リークテスタを用いるようにしても良い。