【文献】
Choi et al.,Intracoronary Transluminal Attenuation Gradient in Coronary CT Angiography for Determining Coronary Artery Stenosis,JACC: CARDIOVASCULAR IMAGING,2011年11月,Vol. 4, No. 11,1149-57
【文献】
Wong et al.,Transluminal Attenuation Gradient in Coronary Computed Tomography Angiography Is a Novel Noninvasive Approach to the Identification of Functionally Significant Coronary Artery Stenosis,Journal of the American College of Cardiology,2013年 3月26日,Vol. 61, No. 12,1271-9
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記並列表示手段は、前記算出手段によって複数の前記管腔組織について複数の前記分布がそれぞれ生成され、前記三次元画像生成手段によって前記複数の管腔組織について複数のSPR画像が生成される場合、前記複数の分布のレンジを一致させて表示させる、
請求項16に記載の医用画像処理装置。
前記並列表示手段は、前記分布上の前記除外範囲のマーカの移動を受け付けると、前記移動に従って前記クロスカット画像の断面位置を移動させると共に、前記分布上の前記断面位置を示すマーカを移動させる、
請求項21に記載の医用画像処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本実施形態に係る医用画像処理装置について、添付図面を参照して説明する。
【0012】
図1は、本実施形態に係る医用画像処理装置のハードウェア構成を示す概略図である。
【0013】
図1は、本実施形態に係る医用画像処理装置10を示す。なお、医用画像処理装置10は、医用画像を生成する画像生成装置(医用画像診断装置)や、医用画像を保存・管理するサーバや、医師の読影に付すため、サーバに保存された医用画像を取り寄せて表示手段上に表示する読影端末等、各種装置がネットワークを介して接続された医用画像システムに設けられてもよい。
【0014】
また、本実施形態では医用画像処理装置10単体が本発明を実現する例を説明するが、医用画像処理装置10における機能を医用画像システムの各構成装置に分散させて医用画像システム全体が本発明を実現するようにしてもよい。
【0015】
医用画像処理装置10は、制御部11、操作部12、表示部13、通信部14、及び記憶部15を備える。
【0016】
制御部11は、CPU(central processing unit)、RAM(random access memory)等を備えて構成される。制御部11は、記憶部15に格納されている各種制御プログラムを読み出して各種演算を行なうと共に、各部12乃至15における処理動作を統括的に制御する。
【0017】
操作部12は、キーボードやマウス等を備える。操作者により操作部12が操作されると、操作部12はその操作に応じた操作信号を生成して制御部11に出力する。なお、表示部13におけるディスプレイと一体に構成したタッチパネルを備えてもよい。
【0018】
表示部13は、LCD(liquid crystal display)等の表示手段を備える。表示部13は、制御部11からの指示に応じてこの表示手段上に、各種操作画面と、ボリュームデータ(三次元データセット)に基づく三次元画像と、冠動脈内腔特徴量分布と、評価結果等の各種表示情報を表示させる。
【0019】
ここで、三次元画像は、ボリュームデータに基づく、SPR画像、CPR画像、及びクロスカット画像を表す。CPR画像とは、冠動脈の走行が2次元的に描かれた画像である。SPR画像とは、CPR画像における冠動脈芯線がまっすぐに伸ばして表現された画像である。クロスカット画像とは、血管に垂直な断面で切断した断面画像である。
【0020】
通信部14は、パラレル接続仕様やシリアル接続仕様に合わせたコネクタによって構成される。通信部14は、ネットワーク上の外部装置と情報の送受信を行なう。例えば、通信部14は、画像生成装置(図示しない)による検査(三次元撮像)で得られたボリュームデータを画像生成装置やサーバ(図示しない)等から受信したり、医用画像処理装置10における評価結果を読影端末(図示しない)に送信したりして、外部装置と通信動作を行なう。
【0021】
記憶部15は、制御部11において用いられる後述の評価プログラムの他、各プログラムの実行に必要なデータを記憶する。また、記憶部15は、通信部14を介して画像生成装置やサーバ(図示しない)等から受信されたボリュームデータと、ボリュームデータに基づく三次元画像と、冠動脈内腔特徴量分布と、評価結果等の各種データとを記憶する。
【0022】
図2は、本実施形態に係る医用画像処理装置10の機能を示すブロック図である。
【0023】
制御部11がプログラムを実行することによって、医用画像処理装置10は、操作支援手段111、取得(読み出し)手段112、抽出手段113、特徴量算出手段114、除外特徴量決定手段115、第1除外範囲決定手段116、第2除外範囲決定手段117、第3除外範囲決定手段118、対象特徴量決定手段119、結果(TAG値)算出手段120、評価手段121、及び三次元画像生成手段122として機能する。
【0024】
なお、医用画像処理装置10の手段111乃至122は、ソフトウェア的に機能する場合を例に挙げて説明するが、それら手段111乃至122の一部又は全部は、医用画像処理装置10にハードウェア的にそれぞれ設けられるものであってもよい。
【0025】
操作支援手段111は、操作者に対する情報の表示部13への表示にグラフィックを多用し、大半の基礎的な操作を操作部12によって行なうことができるユーザインターフェース(GUI:graphical user interface)である。
【0026】
取得手段112は、操作支援手段111を介して操作部12から入力された指示に基づいて、被検体の心臓に対する検査(撮像)で得られたボリュームデータを記憶部15から取得する。ここで、ボリュームデータは、X線CT装置による撮像(冠動脈CTA)や、MRI装置による撮像(冠動脈MRA)によって得られたものである。冠動脈重篤度解析では、冠動脈内腔の造影剤拡散の程度に応じて、冠動脈枝内の病変(狭窄など)の重篤度を評価するため、取得手段112は、単一時相のボリュームデータを取得する。ボリュームデータ内に時間差が存在していると、造影剤拡散の評価精度が劣化することになるからである。
【0027】
抽出手段113は、取得手段112によって取得されたボリュームデータに基づいて、管腔組織の少なくとも芯線を抽出する。例えば、取得手段112によって心臓領域を含むボリュームデータが取得される場合、抽出手段113は、心臓領域を含むボリュームデータに基づいて、少なくとも冠動脈芯線を抽出する。本実施形態では、抽出手段113が、心臓領域を含むボリュームデータに基づいて冠動脈芯線を抽出する場合について説明するが、その場合に限定されるものではない。
【0028】
なお、抽出手段113は、管腔組織の芯線及び内腔を抽出する場合に限定されるものではなく、心臓全体、大動脈、及び冠動脈起始部などを併せて抽出してもよい。
【0029】
特徴量算出手段114は、抽出手段113によって抽出された冠動脈内腔(冠動脈芯線)の複数位置について内容物(血液、リンパ液、及び造影剤など)の複数の特徴量をそれぞれ算出する。そして、特徴量算出手段114は、冠動脈内腔の各位置(冠動脈芯線の基準位置、例えば、冠動脈起始部からの距離)に対応して特徴量をプロットした冠動脈内腔特徴量分布を生成する。
【0030】
ここで、冠動脈内腔特徴量分布にプロットされる各特徴量は、
図3(A)に示すように、冠動脈内腔I内の冠動脈芯線Aに相当するボクセルVのボクセル値である。又は、冠動脈内腔特徴量分布にプロットされる各特徴量は、
図3(B)に示すように、冠動脈内腔I内の冠動脈芯線Aに相当するボクセルVを含み、法線Nに直交する断面に相当する複数ボクセルVsの複数ボクセル値の代表値(平均値や最大値など)である。これによって、特徴量算出手段114は、冠動脈の上流側から下流側に向かう冠動脈内腔の各位置の特徴量を算出できる。
図3(A),(B)は、特徴量の算出方法を説明するための図である。
【0031】
なお、特徴量算出手段114は、冠動脈の主要3枝である右冠動脈(RCA:right coronary artery)、左冠動脈前下行枝(LAD:left anterior descending coronary artery)、左冠動脈回旋枝(LCX:left circumflex coronary artery)のうち少なくとも1の冠動脈枝に係る冠動脈内腔特徴量分布を生成する。特徴量算出手段114は、冠動脈内腔特徴量分布を、操作支援手段111を介して表示部13に表示させることも可能である。
【0032】
除外特徴量決定手段115は、特徴量算出手段114によって算出された冠動脈内腔特徴量分布における複数の特徴量に基づく近似直線を仮の近似直線として算出する。そして、除外特徴量決定手段115は、冠動脈内腔特徴量分布における複数の特徴量のうち、仮の近似直線との距離が閾値以上の特徴量を、TAG値算出のための対象としない除外特徴量として決定する。除外特徴量決定手段115は、統計的な分散や仮の近似直線からの距離に対して、予め閾値を設定しておくことによって、除外特徴量を決定できる。
【0033】
第1除外範囲決定手段116は、抽出手段113によって冠動脈起始部が抽出された場合、冠動脈起始部と、冠動脈起始部から所定距離にある冠動脈遠位部との間を除く冠動脈枝の血流方向(冠動脈内腔特徴量分布の横軸)の範囲を除外範囲として決定する。又は、第1除外範囲決定手段116は、抽出手段113によって冠動脈遠位部が抽出された場合、冠動脈遠位部と、冠動脈遠位部から所定距離にある冠動脈起始部との間を除く冠動脈枝の血流方向の範囲を除外範囲として決定する。ここで、所定距離は、冠動脈遠位部から、クロスカット画像上の内腔の長軸(又は短軸)が所定の長さになるまでの距離である。
【0034】
第2除外範囲決定手段117は、抽出手段113によって抽出された冠動脈芯線の構造から、冠動脈の分岐部(冠動脈内腔特徴量の信頼性が低い領域)を検出する。そして、第2除外範囲決定手段117は、冠動脈分岐部の位置に相当する冠動脈枝の血流方向(冠動脈内腔特徴量分布の横軸)の範囲を除外範囲として決定する。
【0035】
第3除外範囲決定手段118は、抽出手段113によって抽出された冠動脈内腔内から、石灰化部位(高CT値)を検出する。そして、第3除外範囲決定手段118は、石灰化部位の位置に相当する冠動脈枝の血流方向(冠動脈内腔特徴量分布の横軸)の範囲を除外範囲として決定する。冠動脈重篤度解析は、造影剤による純粋な特徴量の上昇を解析することが目的のため、冠動脈内腔特徴量の算出に、石灰化部位が影響を与えないようにすることができる。
【0036】
対象特徴量決定手段119は、冠動脈内腔特徴量分布における複数の特徴量から、除外特徴量決定手段115によって決定された除外特徴量と、第1除外範囲決定手段116によって決定された除外範囲内の特徴量と、第2除外範囲決定手段117によって決定された除外範囲内の特徴量と、第3除外範囲決定手段118によって決定された除外範囲内の特徴量とのうち少なくとも1を除く複数の対象特徴量を決定する。複数の対象特徴量は、TAG値の算出の対象となるものである。
【0037】
結果算出手段120は、手段115〜119による結果を利用しない場合、特徴量算出手段114によって生成された冠動脈内腔特徴量分布における複数の特徴量に基づいて近似直線を算出して、近似直線の傾きであるTAG値を算出する。TAG値は、病変をもたない又は低重篤度の病変をもつ冠動脈枝では大きな値(正常)となる一方、高重篤度の病変をもつ冠動脈枝では小さい値(異常)となる。なお、TAG値の単位は、[HU/10mm]や[HU/mm]として表される。
【0038】
図4は、TAG値を含む冠動脈内腔特徴量分布の第1例を示す図である。
【0039】
図4は、RCAに係る冠動脈内腔特徴量分布を示す。冠動脈内腔特徴量分布の横軸は、冠動脈内腔の血流方向の位置を示す。一方、冠動脈内腔特徴量分布の縦軸は、特徴量をCT値[HU]として示す。なお、RCA以外の冠動脈枝であるLADやLCXに係る冠動脈内腔特徴量分布についても同様に生成される。
【0040】
図4に示すように、冠動脈内腔特徴量分布における複数の特徴量に基づいて近似直線lが算出される。そして、近似直線lの傾きがTAG値(−12.20[HU/10mm])として算出される。
【0041】
従来技術によれば、医用画像処理装置がボリュームデータに基づいてクロスカット画像を生成した後で、操作者は、クロスカット画像上に、TAG値算出の対象ピクセルを手動で指定する。そして、医用画像処理装置は、対象ピクセルのピクセル値(CT値)に基づいて、冠動脈枝に係る冠動脈内腔特徴量分布を生成してTAG値を算出する。一方で、医用画像処理装置10では、クロスカット画像を生成することなく自動的に
図4に示す冠動脈内腔特徴量分布を生成することができる。
【0042】
図2の説明に戻って、結果算出手段120は、手段115〜119による結果を利用する場合、特徴量算出手段114によって生成された冠動脈内腔特徴量分布における複数の特徴量のうち、対象特徴量決定手段119によって決定された複数の対象特徴量のみに基づいて近似直線を算出して、近似直線の傾きであるTAG値を算出する。
【0043】
図5は、TAG値を含む冠動脈内腔特徴量分布の第2例を示す図である。
【0044】
図5は、
図4と同じように、RCAに係る冠動脈内腔特徴量分布を示す。冠動脈内腔特徴量分布の横軸は、冠動脈内腔の血流方向の位置を示す。一方、冠動脈内腔特徴量分布の縦軸は、特徴量をCT値[HU]として示す。
【0045】
また、抽出手段113(
図2に図示)によって冠動脈起始部が抽出される場合、
図5に示すように、冠動脈内腔特徴量分布は、冠動脈起始部のマーカMsを含む。さらに、冠動脈内腔における冠動脈起始部からの所定距離が予め設定されると、冠動脈内腔特徴量分布は、冠動脈起始部から所定距離にある冠動脈遠位部(distal)のマーカMdを含む。
【0046】
また、
図5に示すように、冠動脈内腔特徴量分布は、除外範囲決定手段117,118(
図2に図示)によって決定された除外範囲のマーカM1,M2を含む。冠動脈内腔特徴量分布における複数の特徴量のうち、冠動脈起始部(マーカMs)から冠動脈遠位部(マーカMd)までの範囲であって、除外範囲(マーカM1,M2)以外の範囲内の複数の対象特徴量のみに基づいて近似直線Lが算出される。そして、近似直線Lの傾きがTAG値(−11.10[HU/10mm])として算出される。
【0047】
従来技術によれば、医用画像処理装置がボリュームデータに基づいてSPR画像を生成した後で、操作者は、SPR画像における冠動脈芯線の血流方向に、TAG算出の対象としない除外範囲を指定する。医用画像処理装置は、冠動脈内腔特徴量分布の横軸に除外範囲に対応する範囲を設定することで、冠動脈内腔特徴量分布に、除外範囲以外の対象範囲を決定する。一方で、医用画像処理装置10では、SPR画像を生成することなく自動的に冠動脈内腔特徴量分布を生成し、除外範囲を決定することができる。
【0048】
以下、TAG値が、
図5に示すように、複数の対象特徴量に基づく近似直線から算出されたものとして説明する。
【0049】
図2の説明に戻って、評価手段121は、冠動脈枝ごとの正常のTAG値(cutoff値)と、結果算出手段120によって算出されたTAG値とを比較することで、単一時相のボリュームデータから冠動脈枝内の病変の重篤度を評価する。評価手段121は、例えば、評価手段121は、cutoff値を−15.1[HU/10mm]と設定すると、ある被検体に係るある冠動脈枝に係るTAG値が−1.0[HU/10mm]である場合は、当該被検体の当該冠動脈枝内の病変は低重篤度(正常)であると評価され、ある被検体に係るある冠動脈枝に係るTAG値が−27.0[HU/10mm]である場合は、当該被検体の当該冠動脈枝内の病変は高重篤度(異常)であり治療すべきと評価される。
【0050】
三次元画像生成手段122は、取得手段112によって取得されたボリュームデータに基づいて、SPR画像、レンダリング画像、及びクロスカット画像のうち少なくとも1を生成する。
【0051】
図6は、評価結果の表示画面の一例を示す図である。
【0052】
図6に示す表示画面は、ある被検体のRCAに係るSPR画像及び冠動脈内腔特徴量分布を含む。冠動脈内腔特徴量分布は、除外範囲決定手段117,118(
図2に図示)によって決定された
図5に示す除外範囲のマーカM1,M2を含む。さらに、SPR画像は、冠動脈内腔特徴量分布の除外範囲のマーカM1,M2の血流方向における位置に相当するSPR画像の部分のマーカM1´,M2´を含む。
【0053】
また、
図6に示す表示画面は、TAG値(−11.10[HU/10mm])を含む。また、予めcutoff値を予め設定しておくことで、RCAに係るTAG値を表示するとともに、TAG値に基づくRCAの評価結果(正常又は異常)を強調表示することもできる。例えば、評価結果の部分に、cutoff値に対するTAG値の程度に従って割り振られた色の属性情報(色相情報、明度情報、及び彩度情報の少なくとも1の情報)が与えられる。
【0054】
なお、同一被検体における他の冠動脈枝であるLAD及びLCXの評価結果についてもRCAの評価結果と共に並列して表示されることができる。
【0055】
(第1変形例)
図2に示す対象特徴量決定手段119は、除外範囲決定手段117,118によって自動で決定された除外範囲を表示し、決定された除外範囲を操作者が手動で編集できるように構成される。
【0056】
この場合、対象特徴量決定手段119は、特徴量算出手段114によって算出された冠動脈内腔特徴量分布と、取得手段112によって取得されたボリュームデータに基づく三次元画像のうち少なくとも1を、操作支援手段111を介して表示部13に表示させる。三次元画像は、ボリュームデータに基づくSPR画像や、レンダリング画像や、クロスカット画像であり、三次元画像生成手段122によって生成されるものである。
【0057】
図7は、除外特徴量の編集画面の第1例を示す図である。
【0058】
図7の上段は、
図5と同じように、RCAに係る冠動脈内腔特徴量分布を示す。冠動脈内腔特徴量分布の横軸は、冠動脈内腔の位置を示す。一方、冠動脈内腔特徴量分布の縦軸は、特徴量をCT値[HU]として示す。
図7の下段は、冠動脈内腔の血流方向の位置が、冠動脈内腔特徴量分布の横軸に対応するSPR画像を示す。
【0059】
図7の上段に示すように、冠動脈内腔特徴量分布は、除外範囲決定手段117,118(
図2に図示)によって決定された除外範囲のマーカM1,M2を含む。さらに、SPR画像は、冠動脈内腔特徴量分布の除外範囲のマーカM1,M2の血流方向における位置に相当するSPR画像の部分のマーカM1´,M2´を含む。なお、SPR画像上のマーカM1´,M2´は、マーカM1,M2の移動中(編集中)のみ表示されるものであってよい。
【0060】
冠動脈内腔特徴量分布における複数の特徴量のうち、冠動脈起始部(マーカMs)から冠動脈遠位部(マーカMd)までの範囲であって、除外範囲(マーカM1,M2)以外の範囲内の複数の対象特徴量のみに基づく近似直線Lが示される。そして、近似直線Lの傾きであるTAG値(−11.10[HU/10mm])が示される。
【0061】
操作者が操作部12を操作して
図7の上段に示す除外範囲のマーカM1(又はM2)にマウスカーソル(ポインタ)Pを合わせてマーカM1を水平方向に手動で移動(ドラッグ&ドロップ)させると、自動で決定された除外範囲は、マーカM1を介してRCAの血流方向に移動される。また、操作者が操作部12を操作して
図7の上段に示す除外範囲のマーカM1(又はM2)にマウスカーソルPを合わせてマーカM1を水平方向に手動で拡縮(拡大及び縮小)させると、自動で決定された除外範囲は、マーカM1を介してRCAの血流方向に拡縮される。
【0062】
加えて、手動による除外範囲のマーカM1(又はM2)の移動又は拡縮が行なわれると、除外範囲のマーカM1の位置に相当するSPR画像の部分のマーカM1´(又はM2´)についても、移動又は拡縮される。
【0063】
このような操作によって除外範囲のマーカM1(又はM2)の移動又は拡縮が行なわれると、冠動脈内腔特徴量分布の再生成やTAG値の再演算が行なわれて結果が適宜表示される。
【0064】
なお、手動による除外範囲のマーカM1(又はM2)の移動中(ドラッグ中)、
図8に示すように、冠動脈内腔特徴量分布におけるマーカM1が示す範囲の特徴量や、SPR画像におけるマーカM1が示す範囲を視認可能なガイドGが示されてもよい。ガイドGは、マーカM1が示す範囲を、冠動脈内腔特徴量分布からSPR画像に亘って示すものである。このようにガイドGが表示されることで、操作者は、マーカM1に対応するSPR画像の部分を観察しながら除外範囲を移動させることができる。
図8は、除外特徴量の編集画面の第1例における操作支援を説明するための図である。
【0065】
図9は、除外特徴量の編集画面の第2例を示す図である。
【0066】
図9の上段は、
図5と同じように、RCAに係る冠動脈内腔特徴量分布を示す。冠動脈内腔特徴量分布の横軸は、冠動脈内腔の位置を示す。一方、冠動脈内腔特徴量分布の縦軸は、特徴量をCT値[HU]として示す。
図9の中段は、冠動脈内腔の血流方向の位置が、冠動脈内腔特徴量分布の横軸に対応するSPR画像を示す。
図9の下段は、レンダリング画像を示す。
【0067】
図9の上段に示すように、冠動脈内腔特徴量分布は、除外範囲決定手段117,118(
図2に図示)によって決定された除外範囲のマーカM1,M2を含む。さらに、SPR画像は、冠動脈内腔特徴量分布の除外範囲のマーカM1,M2の血流方向における位置に相当するSPR画像の部分のマーカM1´,M2´を含む。なお、SPR画像上のマーカM1´,M2´は、マーカM1,M2の移動中(編集中)のみ表示されるものであってよい。
【0068】
冠動脈内腔特徴量分布における複数の特徴量のうち、冠動脈起始部(マーカMs)から冠動脈遠位部(マーカMd)までの範囲であって、除外範囲(マーカM1,M2)以外の範囲内の複数の対象特徴量のみに基づく近似直線Lが示される。そして、近似直線Lの傾きであるTAG値(−11.10[HU/10mm])が示される。
【0069】
操作者が操作部12を操作して
図9の上段に示す除外範囲のマーカM1(又はM2)にマウスカーソルPを合わせてマーカM1を水平方向に手動で移動させると、自動で決定された除外範囲は、マーカM1を介してRCAの血流方向に移動される。また、操作者が操作部12を操作して
図9の上段に示す除外範囲のマーカM1(又はM2)にマウスカーソルPを合わせてマーカM1を水平方向に手動で拡縮させると、自動で決定された除外範囲は、マーカM1を介してRCAの血流方向に拡縮される。
【0070】
加えて、手動による除外範囲のマーカM1(又はM2)の移動又は拡縮が行なわれると、除外範囲のマーカM1の位置に相当するSPR画像の部分のマーカM1´(又はM2´)についても、移動又は拡縮される。
【0071】
このような操作によって除外範囲のマーカM1(又はM2)の移動又は拡縮が行なわれると、冠動脈内腔特徴量分布の再生成やTAG値の再演算が行なわれて結果が適宜表示される。
【0072】
図10は、除外特徴量の編集画面の第3例を示す図である。
【0073】
図10の上段は、
図5と同じように、RCAに係る冠動脈内腔特徴量分布を示す。冠動脈内腔特徴量分布の横軸は、冠動脈内腔の位置を示す。一方、冠動脈内腔特徴量分布の縦軸は、特徴量をCT値[HU]として示す。
図10の中段は、冠動脈内腔の血流方向の位置が、冠動脈内腔特徴量分布の横軸に対応するSPR画像を示す。
図10の下段左側は、レンダリング画像を示す。
図10の下段右側は、除外範囲(マーカM1,M2)内の断面位置を示すマーカMcにおけるクロスカット画像CI1と、その前後の位置のクロスカット画像CI2,CI3を示す。
【0074】
図10の上段に示すように、冠動脈内腔特徴量分布は、除外範囲決定手段117,118(
図2に図示)によって決定された除外範囲のマーカM1,M2を含む。さらに、SPR画像は、冠動脈内腔特徴量分布の除外範囲のマーカM1,M2の位置に相当するSPR画像の部分のマーカM1´,M2´を含む。なお、SPR画像上のマーカM1´,M2´は、マーカM1,M2の移動中(編集中)のみ表示されるものであってよい。
【0075】
冠動脈内腔特徴量分布における複数の特徴量のうち、冠動脈起始部(マーカMs)から冠動脈遠位部(マーカMd)までの範囲であって、除外範囲(マーカM1,M2)以外の範囲内の複数の対象特徴量のみに基づく近似直線Lが示される。そして、近似直線Lの傾きであるTAG値(−11.10[HU/10mm])が示される。
【0076】
操作者が操作部12を操作して
図10の上段に示す除外範囲のマーカM1(又はM2)にマウスカーソルPを合わせてマーカM1を水平方向に手動で移動させると、除外範囲内の断面位置を示すマーカMcは、マーカM1の移動に伴ってRCAの血流方向に移動される。また、操作者が操作部12を操作して
図10の上段に示す除外範囲のマーカM1(又はM2)にマウスポインタを合わせてマーカM1を水平方向に手動で移動させると、表示されるクロスカット画像CI1〜CI3は、マーカMcの移動に伴って変化する。
【0077】
このような操作によって除外範囲のマーカM1(又はM2)の移動又は拡縮が行なわれると、冠動脈内腔特徴量分布の再生成やTAG値の再演算が行なわれて結果が適宜表示される。
【0078】
(第2変形例)
図2に示す評価手段121は、複数の冠動脈枝(LAD、RCA、LCX)のSPR画像及び冠動脈内腔特徴量分布を相互に比較しやすくするために、複数の冠動脈枝のSPR画像や冠動脈内腔特徴量分布間で一部の表示条件を一致させる。
【0079】
図11は、評価結果の表示画面の一例を示す図である。
【0080】
図11に示す表示画面の上段は、ある被検体のLADに係るSPR画像及び冠動脈内腔特徴量分布を示す。
図11に示す表示画面の中段は、ある被検体のRCAに係るSPR画像及び冠動脈内腔特徴量分布を示す。
図11に示す表示画面の下段は、ある被検体のLCXに係るSPR画像及び冠動脈内腔特徴量分布を示す。
【0081】
各冠動脈内腔特徴量分布における複数の特徴量のうち、冠動脈起始部(マーカMs)から冠動脈遠位部までの範囲であって、除外範囲以外の範囲内の複数の対象特徴量のみに基づく近似直線が示される。そして、近似直線Lの傾きであるTAG値がそれぞれ示される。
【0082】
また、評価結果の部分に、各冠動脈枝に係るTAG値を表示するとともに、予めcutoff値を予め設定しておくことでcutoff値に対する各TAG値の程度に従って割り振られた色の属性情報(色相情報、明度情報、及び彩度情報の少なくとも1の情報)が与えられる。
図11では、LAD及びLCXに係る評価結果(異常)が強調表示されている。
【0083】
加えて、
図11に示すように、異なる複数の冠動脈枝が多段で表示される場合、SPR及び冠動脈内腔特徴量分布の冠動脈起始部(マーカMs)の位置が一致される。特に後者は、視覚的に近似直線の傾斜を容易に比較できるようにするためである。すなわち、複数のSPR画像上の除外範囲の始端又は終端(
図11ではMs)の位置が一致され、また、複数の冠動脈内腔特徴量分布のレンジ(168−588[HU])が一致される。なお、複数のSPR画像上の除外範囲の始端又は終端(
図11ではMs)の位置が一致されると、冠動脈内腔特徴量分布の始端又は終端(
図11ではMs)の位置も一致されることになる。
【0084】
図11の右側に示すように、RCAに係る除外範囲が手動調整される場合、RCAに係る冠動脈内腔特徴量分布は、除外範囲決定手段117,118(
図2に図示)によって決定された除外範囲のマーカM1,M2を含む。さらに、
図11の左側に示すように、RCAに係るSPR画像は、冠動脈内腔特徴量分布の除外範囲のマーカM1,M2の血流方向の位置に相当するSPR画像の部分のマーカM1´,M2´を含む。なお、SPR画像上のマーカM1´,M2´は、マーカM1,M2の移動中(編集中)のみ表示されるものであってよい。
【0085】
操作者が操作部12を操作して
図11の中段に示す除外範囲のマーカM1(又はM2)にマウスカーソルPを合わせてマーカM1を水平方向に手動で移動させると、自動で決定された除外範囲は、マーカM1を介してRCAの血流方向に移動される。また、操作者が操作部12を操作して
図11の中段に示す除外範囲のマーカM1(又はM2)にマウスカーソルPを合わせてマーカM1を水平方向に手動で拡縮させると、自動で決定された除外範囲は、マーカM1を介してRCAの血流方向に拡縮される。
【0086】
加えて、手動による除外範囲のマーカM1(又はM2)の移動又は拡縮が行なわれると、除外範囲のマーカM1の位置に相当するSPR画像の部分のマーカM1´(又はM2´)についても、移動又は拡縮される。
【0087】
このような操作によって除外範囲のマーカM1(又はM2)の移動又は拡縮が行なわれると、RCAに係る冠動脈内腔特徴量分布の再生成やTAG値の再演算が行なわれて結果が適宜表示される。なお、LAD及びLCXについても同様である。
【0088】
(第3変形例)
図2に示す評価手段121は、SPR画像の冠動脈内腔の部分に、冠動脈内腔のボクセル値に従って割り振られた色の属性情報(色相情報、明度情報、及び彩度情報の少なくとも1の情報)を最大値投影(MIP:maximum intensity projection)した最大値投影画像を重畳する。
【0089】
図11に示すように複数の冠動脈枝に係る複数のSPR画像が並列表示される場合、SPR画像と冠動脈内腔特徴量分布との組を複数表示する必要がある。そのため、画面スペース上、表示コンテンツが小さくなったり、他のSPR画像やクロスカット画像を表示しづらくなったりする。そこで、冠動脈内腔特徴量分布で表現している特徴量情報を、SPR画像に重畳表示することによって、表示画面の省スペース化が可能となる。
【0090】
図12は、評価結果の表示画面の一例を示す図である。
【0091】
図12に示す表示画面の上段は、ある被検体のRCAに係るSPR画像に特徴量情報が重畳された重畳画像と、ある断面位置(マーカMe)のクロスカット画像とを示す。
図11に示す表示画面の中段は、ある被検体のLADに係るSPR画像に特徴量情報が重畳された重畳画像と、ある断面位置(マーカMf)のクロスカット画像とを示す。
図11に示す表示画面の下段は、ある被検体のLCXに係るSPR画像に特徴量情報が重畳された重畳画像と、ある断面位置(マーカMg)のクロスカット画像とを示す。
【0092】
RCAに係るSPR画像(重畳画像)には、2の除外範囲(マーカM1,M2)が示される。LADに係るSPR画像(重畳画像)には、1の除外範囲(マーカM3)が示される。LCXに係るSPR画像(重畳画像)には、1の除外範囲(マーカM4)が示される。
【0093】
図12に示す表示画面は、
図11に示すSPR画像の冠動脈内腔の部分に、冠動脈内腔のボクセル値に従って割り振られた色の属性情報を最大値投影した情報を重畳した重畳画像を示す。また、
図12に示す表示画面は、複数の冠動脈枝に係るTAG値を含む。
【0094】
図12に示す表示画面の重畳画像によると、石灰化部位や分岐部の存在を強調することが可能となる。重畳画像の石灰化部位は、高いピクセル値を含むため、MIP表示することで可視化できる。分岐部は、冠動脈内腔特徴量分布が上下に不安定にぶれ、周辺とは異なる不規則な分布として表現されるため、その情報がSPR画像に重畳されることで、可視化できる。
【0095】
本実施形態に係る医用画像処理装置10によると、冠動脈枝に係るTAG値を算出する際に、操作者が対象ピクセルや除外範囲を指定する必要がないので、操作者にとっての操作負担を減少させることができ、また、TAG値の算出に要する時間を短縮させることができる。また、本実施形態に係る医用画像処理装置10によると、対象ピクセルや除外範囲が自動的に決定されるため、操作者の技量によるばらつきをなくすことができ、また、適切な定量値を算出することができる。
【0096】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行なうことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。