特許第6415908号(P6415908)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6415908外科用器具において組織と機械的妨害とを区別する装置および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6415908
(24)【登録日】2018年10月12日
(45)【発行日】2018年10月31日
(54)【発明の名称】外科用器具において組織と機械的妨害とを区別する装置および方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/072 20060101AFI20181022BHJP
【FI】
   A61B17/072
【請求項の数】10
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2014-187528(P2014-187528)
(22)【出願日】2014年9月16日
(65)【公開番号】特開2015-58360(P2015-58360A)
(43)【公開日】2015年3月30日
【審査請求日】2017年8月15日
(31)【優先権主張番号】61/879,445
(32)【優先日】2013年9月18日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/463,134
(32)【優先日】2014年8月19日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512269650
【氏名又は名称】コヴィディエン リミテッド パートナーシップ
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】パラグ サパー
【審査官】 中村 一雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−078772(JP,A)
【文献】 特開2011−224368(JP,A)
【文献】 特開2010−253272(JP,A)
【文献】 特開平03−047249(JP,A)
【文献】 米国特許第07091683(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/072
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用器具であって、該外科用器具は、
ハンドルアセンブリと、
複数のステープルを含むステープルカートリッジと、発射の際に該複数のステープルを形成するアンビルとを備える顎アセンブリと、
該ハンドルアセンブリ内に少なくとも部分的に位置し、該顎アセンブリおよびロックアウト機構に接続されている駆動アセンブリと、
該ハンドルアセンブリ内に配置され、該駆動アセンブリに動作可能に結合されているモータと、
該モータに動作可能に結合されているコントローラであって、該コントローラは、該モータへの電流の供給を制御することと、該モータの電流引き込みを監視することとを行うように構成され、該コントローラは、該顎アセンブリ、該駆動アセンブリ、または、該モータのうちの少なくとも1つの機械的限界を示す、該電流引き込みの変化率に応答して、該モータへの該電流の供給を終了させるようにさらに構成されている、コントローラと
を備え
該コントローラは、該電流引き込みの該変化率が電流引き込み値の第1の範囲外にあるか否かを決定することによって、モータ電流が不安定であるときを決定するようにさらに構成されており、
該コントローラは、該電流引き込みの該変化率が電流引き込み値の第2の範囲内にあるか否かを決定することによって、モータ電流が安定であるか否かを決定するようにさらに構成されており、該第2の範囲は、該第1の範囲内にあり、
該コントローラは、該モータ電流が安定であり、かつ、該電流引き込みの該変化率が第3の範囲内にあるか否かを決定することによって、該モータが該機械的限界に到達したときを決定するようにさらに構成されており、
該第3の範囲は、該第1の範囲内にあり、該第2の範囲よりも高い、外科用器具。
【請求項2】
前記コントローラは、前記第2の範囲内の電流引き込みサンプルの安定性カウンタを記憶するようにさらに構成されている、請求項に記載の外科用器具。
【請求項3】
前記コントローラは、前記安定性カウンタが所定の安定性閾値よりも大きいときにモータ電流が安定であることを決定する、請求項に記載の外科用器具。
【請求項4】
前記コントローラは、前記第3の範囲内の電流引き込みサンプルの事象カウンタを記憶するようにさらに構成されている、請求項に記載の外科用器具。
【請求項5】
前記コントローラは、前記事象カウンタが所定の事象閾値よりも大きいときに前記モータが前記機械的限界に到達したか否かを決定する、請求項に記載の外科用器具。
【請求項6】
外科用器具であって、該外科用器具は、
ハンドルアセンブリと、
複数のステープルを含むステープルカートリッジと、発射の際に該複数のステープルを形成するアンビルとを備える顎アセンブリと、
該ハンドルアセンブリ内に少なくとも部分的に位置し、該顎アセンブリおよびロックアウト機構に接続されている駆動アセンブリと、
該ハンドルアセンブリ内に配置され、該駆動アセンブリに動作可能に結合されているモータと、
該モータに動作可能に結合されているコントローラであって、該コントローラは、機械的限界を示す、該モータによる電流引き込みの変化率に基づいて、該モータが該機械的限界に到達したか否かを決定するように構成されている、コントローラと
を備え
該コントローラは、該電流引き込みの該変化率が第1の範囲外にあるか否かを決定することによって、モータ電流が不安定であるか否かを決定するようにさらに構成されており、
該コントローラは、該電流引き込みの該変化率の複数のサンプルが第2の範囲内にあるか否かを決定することによって、モータ電流が安定であるか否かを決定するようにさらに構成されており、
該コントローラは、該モータ電流が安定であり、かつ、該電流引き込みの該変化率の複数のサンプルが第3の範囲内にあるか否かを決定することによって、該モータが該機械的限界に到達したか否かを決定するようにさらに構成されており、
該第2の範囲および該第3の範囲は、該第1の範囲内にあり、該第3の範囲は、該第2の範囲よりも高い、外科用器具。
【請求項7】
前記コントローラは、前記第2の範囲内の電流引き込みサンプルの安定性カウンタを記憶するようにさらに構成されている、請求項に記載の外科用器具。
【請求項8】
前記コントローラは、前記安定性カウンタが所定の安定性閾値よりも大きいときにモータ電流が安定であることを決定する、請求項に記載の外科用器具。
【請求項9】
前記コントローラは、前記第3の範囲内の電流引き込みサンプルの事象カウンタを記憶するようにさらに構成されている、請求項に記載の外科用器具。
【請求項10】
前記コントローラは、前記事象カウンタが所定の事象閾値よりも大きいときに前記モータが前記機械的限界に到達したことを決定する、請求項に記載の外科用器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本願は、米国仮特許出願第61/879,445号(2013年9月18日出願)に基づく優先権およびその利益を主張し、その全体の内容は、本明細書に参照によって援用される。
【0002】
(背景)
(1.技術分野)
本開示は、内視鏡外科手技を行うための外科用装置、デバイス、および/または、システム、ならびに、その使用方法に関連する。より具体的には、本開示は、組織をクランプ締めし、切断し、かつ/または、ステープル留めするための取り外し可能な使い捨てエンドエフェクタおよび/または単回使用エンドエフェクタとの併用のために構成された手持ち式電気機械外科用装置、デバイス、および/またはシステムに関連する。
【0003】
(2.関連技術の背景)
数多くの外科用デバイス製造業者が、電気機械外科用デバイスを動作させ、かつ/または、操作するための専有の駆動システムを有する製品ラインを開発してきた。多くの例において、電気機械外科用デバイスは、再使用可能なハンドルアセンブリと、使い捨てまたは単回使用エンドエフェクタとを含む。エンドエフェクタは、使用の前にハンドルアセンブリに選択的に接続され、それから、処分するために、または、いくつかの例において、再使用のために殺菌するために、使用後、ハンドルアセンブリから接続解除される。
【0004】
これらの電気機械外科用デバイスの多くは、種々のユーザインターフェースを利用する複雑な駆動構成要素を含み、種々のユーザインターフェースは、デバイスを制御するためのユーザ入力(例えば、制御信号)を受け入れ、かつ、ユーザへのフィードバックを提供する。機械的限界を超えた駆動機構の作動を防ぐために、種々のスイッチおよびセンサが、外科用デバイスの動作状態を検出するために使用される。デバイスおよびエンドエフェクタに複数のスイッチおよび/またはセンサを含むことは、種々の問題を引き起こす。そのうえ、コストまたは他の考慮事項が、そのようなデバイスの使用を妨げる。したがって、外科用デバイスの至るところに配置される複数の機械的限界センサおよび/またはスイッチに頼ることなく、機械的限界を検出し得る安全機構を有するシステムおよび装置に対するニーズが存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
外科用器具であって、該外科用器具は、
ハンドルアセンブリと、
複数のステープルを含むステープルカートリッジと、発射の際に該複数のステープルを形成するアンビルとを備える顎アセンブリと、
該ハンドルアセンブリ内に少なくとも部分的に位置し、該顎アセンブリおよびロックアウト機構に接続されている駆動アセンブリと、
該ハンドルアセンブリ内に配置され、該駆動アセンブリに動作可能に結合されているモータと、
該モータに動作可能に結合されているコントローラであって、該コントローラは、該モータへの電流の供給を制御することと、該モータの電流引き込みを監視することとを行うように構成され、該コントローラは、該顎アセンブリ、該駆動アセンブリ、または、該モータのうちの少なくとも1つの機械的限界を示す、該電流引き込みの変化率に応答して、該モータへの該電流の供給を終了させるようにさらに構成されている、コントローラと
を備える、外科用器具。
(項目1A)
外科用器具であって、該外科用器具は、
ハンドルアセンブリと、
複数のステープルを含むステープルカートリッジと、発射の際に該複数のステープルを形成するアンビルとを備える顎アセンブリと、
該ハンドル内に少なくとも部分的に位置し、該顎アセンブリおよびロックアウト機構に接続されている駆動アセンブリと、
該ハンドルアセンブリ内に配置され、該駆動アセンブリに動作可能に結合されているモータと、
該モータに動作可能に結合されているコントローラであって、該コントローラは、該モータへの電流の供給を制御することと、該モータの電流引き込みを監視することとを行うように構成され、該コントローラは、該顎アセンブリ、該駆動アセンブリ、または、該モータのうちの少なくとも1つの機械的限界を示す、該電流引き込みの変化率に応答して、該モータへの該電流の供給を終了させるようにさらに構成されている、コントローラと
を備える、外科用器具。
(項目2)
前記コントローラは、前記電流引き込みの前記変化率が電流引き込み値の第1の範囲外にあるか否かを決定することによって、モータ電流が不安定であるときを決定するようにさらに構成されている、上記項目に記載の外科用器具。
(項目3)
前記コントローラは、前記電流引き込みの前記変化率が電流引き込み値の第2の範囲内にあるか否かを決定することによって、モータ電流が安定であるか否かを決定するようにさらに構成され、該第2の範囲は、前記第1の範囲内にある、上記項目のいずれかに記載の外科用器具。
(項目4)
前記コントローラは、前記第2の範囲内の電流引き込みサンプルの安定性カウンタを記憶するようにさらに構成されている、上記項目のいずれかに記載の外科用器具。
(項目5)
前記コントローラは、前記安定性カウンタが所定の安定性閾値よりも大きいときにモータ電流が安定であることを決定する、上記項目のいずれかに記載の外科用器具。
(項目6)
前記コントローラは、前記モータ電流が安定であり、かつ、前記電流引き込みの前記変化率が第3の範囲内にあるか否かを決定することによって、前記モータが前記機械的限界に到達したときを決定するようにさらに構成されている、上記項目のいずれかに記載の外科用器具。
(項目7)
前記第3の範囲は、前記第1の範囲内にあり、前記第2の範囲よりも高い、上記項目のいずれかに記載の外科用器具。
(項目8)
前記コントローラは、前記第3の範囲内の電流引き込みサンプルの事象カウンタを記憶するようにさらに構成されている、上記項目のいずれかに記載の外科用器具。
(項目9)
前記コントローラは、前記事象カウンタが所定の事象閾値よりも大きいときに前記モータが前記機械的限界に到達したか否かを決定する、上記項目のいずれかに記載の外科用器具。
(項目10)
外科用器具であって、該外科用器具は、
ハンドルアセンブリと、
複数のステープルを含むステープルカートリッジと、発射の際に該複数のステープルを形成するアンビルとを備える顎アセンブリと、
該ハンドルアセンブリ内に少なくとも部分的に位置し、該顎アセンブリおよびロックアウト機構に接続されている駆動アセンブリと、
該ハンドルアセンブリ内に配置され、該駆動アセンブリに動作可能に結合されているモータと、
該モータに動作可能に結合されているコントローラであって、該コントローラは、機械的限界を示す、該モータによる電流引き込みの変化率に基づいて、該モータが該機械的限界に到達したか否かを決定するように構成されている、コントローラと
を備える、外科用器具。
(項目10A)
外科用器具であって、該外科用器具は、
ハンドルアセンブリと、
複数のステープルを含むステープルカートリッジと、発射の際に該複数のステープルを形成するアンビルとを備える顎アセンブリと、
該ハンドル内に少なくとも部分的に位置し、該顎アセンブリおよびロックアウト機構に接続されている駆動アセンブリと、
該ハンドルアセンブリ内に配置され、該駆動アセンブリに動作可能に結合されているモータと、
該モータに動作可能に結合されているコントローラであって、該コントローラは、機械的限界を示す、該モータによる電流引き込みの変化率に基づいて、該モータが該機械的限界に到達したか否かを決定するように構成されている、コントローラと
を備える、外科用器具。
(項目11)
前記コントローラは、前記電流引き込みの前記変化率が第1の範囲外にあるか否かを決定することによって、モータ電流が不安定であるか否かを決定するようにさらに構成されている、上記項目のいずれかに記載の外科用器具。
(項目12)
前記コントローラは、前記電流引き込みの前記変化率の複数のサンプルが第2の範囲内にあるか否かを決定することによって、モータ電流が安定であるか否かを決定するようにさらに構成されている、上記項目のいずれかに記載の外科用器具。
(項目13)
前記コントローラは、前記第2の範囲内の電流引き込みサンプルの安定性カウンタを記憶するようにさらに構成されている、上記項目のいずれかに記載の外科用器具。
(項目14)
前記コントローラは、前記安定性カウンタが所定の安定性閾値よりも大きいときにモータ電流が安定であることを決定する、上記項目のいずれかに記載の外科用器具。
(項目15)
前記コントローラは、前記モータ電流が安定であり、かつ、前記電流引き込みの前記変化率の複数のサンプルが第3の範囲内にあるか否かを決定することによって、前記モータが前記機械的限界に到達したか否かを決定するようにさらに構成されている、上記項目のいずれかに記載の外科用器具。
(項目16)
前記第2の範囲および前記第3の範囲は、前記第1の範囲内にあり、該第3の範囲は、該第2の範囲よりも高い、上記項目のいずれかに記載の外科用器具。
(項目17)
前記コントローラは、前記第3の範囲内の電流引き込みサンプルの事象カウンタを記憶するようにさらに構成されている、上記項目のいずれかに記載の外科用器具。
(項目18)
前記コントローラは、前記事象カウンタが所定の事象閾値よりも大きいときに前記モータが前記機械的限界に到達したことを決定する、上記項目のいずれかに記載の外科用器具。
【0006】
(摘要)
外科用器具が提供される。外科用器具は、ハンドルアセンブリと、複数のステープルを含むステープルカートリッジおよび発射の際に複数のステープルを形成するアンビルを備える顎アセンブリと、ハンドル内に少なくとも部分的に位置し、顎アセンブリおよびロックアウト機構に接続されている駆動アセンブリと、ハンドルアセンブリ内に配置され、駆動アセンブリに動作可能に結合されているモータと、モータに動作可能に結合されているコントローラであって、コントローラは、モータへの電流の供給を制御することと、モータの電流引き込みを監視することとを行うように構成され、コントローラは、顎アセンブリ、駆動アセンブリ、または、モータのうちの少なくとも1つの機械的限界を示す、電流引き込みの変化率に応答して、モータへの電流の供給を終了させるようにさらに構成されている、コントローラとを含む。
【0007】
(概要)
本開示の一実施形態に従って、外科用器具が、提供される。外科用器具は、ハンドルアセンブリと、複数のステープルを含むステープルカートリッジおよび発射の際に複数のステープルを形成するアンビルを備える顎アセンブリと、ハンドル内に少なくとも部分的に位置し、顎アセンブリおよびロックアウト機構に接続されている駆動アセンブリと、ハンドルアセンブリ内に配置され、駆動アセンブリに動作可能に結合されているモータと、モータに動作可能に結合されているコントローラであって、コントローラは、モータへの電流の供給を制御することと、モータの電流引き込みを監視することとを行うように構成され、コントローラは、顎アセンブリ、駆動アセンブリ、または、モータのうちの少なくとも1つの機械的限界を示す、電流引き込みの変化率に応答して、モータへの電流の供給を終了させるようにさらに構成されている、コントローラとを含む。
【0008】
上記の実施形態の一局面に従って、コントローラは、電流引き込みの変化率が第1の範囲外にあるか否かを決定することによって、モータ電流が不安定であるか否かを決定するようにさらに構成されている、
上記の実施形態の一局面に従って、コントローラは、電流引き込みの変化率が電流引き込み値の第2の範囲内にあるか否かを決定することによって、モータ電流が安定であるか否かを決定するようにさらに構成され、第2の範囲は、第1の範囲内にある。
【0009】
上記の実施形態の一局面に従って、コントローラは、第2の範囲内の電流引き込みサンプルの安定性カウンタを記憶するようにさらに構成されている。
【0010】
上記の実施形態の一局面に従って、コントローラは、安定性カウンタが所定の安定性閾値よりも大きい場合にモータ電流が安定であることを決定する。
【0011】
上記の実施形態の一局面に従って、コントローラは、モータ電流が安定であり、かつ、電流引き込みの変化率が第3の範囲内にあるか否かを決定することによって、モータが機械的限界に到達したか否かを決定するようにさらに構成されている。
【0012】
上記の実施形態の一局面に従って、第3の範囲は、第1の範囲内にあり、第2の範囲よりも高い。
【0013】
上記の実施形態の一局面に従って、コントローラは、第3の範囲内の電流引き込みサンプルの事象カウンタを記憶するようにさらに構成されている。
【0014】
上記の実施形態の一局面に従って、コントローラは、事象カウンタが所定の事象閾値よりも大きい場合にモータが機械的限界に到達したことを決定する。
【0015】
本開示の別の実施形態に従って、外科用器具が、提供される。外科用器具は、ハンドルアセンブリと、複数のステープルを含むステープルカートリッジおよび発射の際に複数のステープルを形成するアンビルを備える顎アセンブリと、ハンドル内に少なくとも部分的に位置し、顎アセンブリおよびロックアウト機構に接続されている駆動アセンブリと、ハンドルアセンブリ内に配置され、駆動アセンブリに動作可能に結合されているモータと、モータに動作可能に結合されているコントローラであって、コントローラは、機械的限界を示す、モータによる電流引き込みの変化率に基づいて、モータが機械的限界に到達したか否かを決定する、コントローラとを含む。
【0016】
上記の実施形態の一局面に従って、コントローラは、電流引き込みの変化率が第1の範囲外にあるか否かを決定することによって、モータ電流が不安定であるか否かを決定するようにさらに構成されている。
【0017】
上記の実施形態の一局面に従って、コントローラは、電流引き込みの変化率の複数のサンプルが第2の範囲内にあるか否かを決定することによって、モータ電流が安定であるか否かを決定するようにさらに構成されている。
【0018】
上記の実施形態の一局面に従って、コントローラは、第2の範囲内の電流引き込みサンプルの安定性カウンタを記憶するようにさらに構成されている。
【0019】
上記の実施形態の一局面に従って、コントローラは、安定性カウンタが所定の安定性閾値よりも大きい場合にモータ電流が安定であることを決定する。
【0020】
上記の実施形態の一局面に従って、コントローラは、モータ電流が安定であり、かつ、電流引き込みの変化率の複数のサンプルが第3の範囲内にあるか否かを決定することによって、モータが機械的限界に到達したか否かを決定するようにさらに構成されている。
【0021】
上記の実施形態の一局面に従って、第2の範囲および第3の範囲は、第1の範囲内にあり、第3の範囲は、第2の範囲よりも高い。
【0022】
上記の実施形態の一局面に従って、コントローラは、第3の範囲内の電流引き込みサンプルの事象カウンタを記憶するようにさらに構成されている。
【0023】
上記の実施形態の一局面に従って、コントローラは、事象カウンタが所定の事象閾値よりも大きい場合にモータが機械的限界に到達したことを決定する。
【0024】
本開示のさらなる実施形態に従って、外科用器具を制御する方法が、提供される。本方法は、顎アセンブリを作動させるために駆動アセンブリに結合されているモータの電流引き込みを監視することと、電流引き込みの変化率を計算することと、モータによる電流引き込みの変化率に基づいて、モータが機械的限界に到達したか否かを決定することとを含む。
【0025】
上記の実施形態の一局面に従って、本方法は、電流引き込みの変化率が第1の範囲外にあるか否かを決定することにより、モータ電流が安定であるか否かを決定することをさらに含む。
【0026】
上記の実施形態の一局面に従って、本方法は、電流引き込みの変化率の複数のサンプルが第2の範囲内にあるか否かを決定することにより、モータ電流が安定であるか否かを決定することをさらに含む。
【0027】
上記の実施形態の一局面に従って、本方法は、第2の範囲内の電流引き込みサンプルの安定性カウンタを記憶することと、安定性カウンタが所定の安定性閾値よりも大きい場合にモータ電流が安定であることを決定することとをさらに含む。
【0028】
上記の実施形態の一局面に従って、本方法は、モータ電流が安定であり、かつ、電流引き込みの変化率の複数のサンプルが第3の範囲内にあるか否かにより、モータが機械的限界に到達したか否かを決定することをさらに含む。
【0029】
上記の実施形態の一局面に従って、第2の範囲および第3の範囲は、第1の範囲内にあり、第3の範囲は、第2の範囲よりも高い。
【0030】
上記の実施形態の一局面に従って、本方法は、第3の範囲内の電流引き込みサンプルの事象カウンタを記憶することと、事象カウンタが所定の事象閾値よりも大きい場合にモータが機械的限界に到達したことを決定することとをさらに含む。
【0031】
本開示の実施形態は、添付の図面を参照して、本明細書において説明される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1図1は、本開示に従った、外科用器具と、アダプタと、エンドエフェクタとを含む電気機械外科用システムの斜視分解図である。
図2図2は、本開示に従った、図1の外科用器具の斜視図である。
図3図3は、本開示に従った、図1の外科用器具の斜視分解組立図である。
図4図4は、本開示に従った、図1の外科用器具のバッテリーの斜視図である。
図5図5は、本開示に従った、図1の外科用器具の上から見た部分分解図である。
図6図6は、本開示に従った、図1の外科用器具の正面側斜視図であり、アダプタが外科用器具から分離されている。
図7図7は、本開示に従った、図1の外科用器具の、図2の7−7を通過する側面断面図である。
図8図8は、本開示に従った、図1の外科用器具の、図2の8−8を通過する平面断面図である。
図9図9は、本開示に従った、図1のエンドエフェクタの斜視分解組立図である。
図10図10は、本開示に従った、図1の外科用器具の概略図である。
図11図11は、本開示に従った、図1の外科用器具のメモリに記憶されるモータ電流値の概略図である。
図12図12は、本開示に従った、図1の外科用器具を制御する方法のフローチャートである。
図13図13は、本開示の方法によって制御される外科用器具のモータ電流のプロットである。
図14図14は、本開示の方法によって制御される外科用器具のモータ電流のプロットである。
図15図15は、本開示の方法によって制御される外科用器具のモータ電流のプロットである。
図16図16は、本開示の別の実施形態に従った、図1の外科用器具を制御する方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
(詳細な説明)
本開示の実施形態に従った外科用システムは、概して、10と指定され、複数の異なるエンドエフェクタを選択的に取り付けるように構成された手持ち式動力付電気機械器具の形態をなし、複数の異なるエンドエフェクタは、各々、手持ち式動力付電気機械外科用器具による作動および操作のために構成されている。
【0034】
図1に図示されるように、外科用器具100は、アダプタ200と選択的に接続するように構成され、次に、アダプタ200は、エンドエフェクタまたは単回使用ローディングユニット300と選択的に接続するように構成される。
【0035】
図1図3に図示されるように、外科用器具100は、下部ハウジング部分104と、下部ハウジング部分104から延びかつ/または下部ハウジング部分104上に支持されている中間ハウジング部分106と、中間ハウジング部分106から延びかつ/または中間ハウジング部分106上に支持されている上部ハウジング部分108とを有するハンドルハウジング102を含む。中間ハウジング部分106および上部ハウジング部分108は、下部ハウジング部分104と一体的に形成されかつ下部ハウジング部分104から延びている遠位半区分110aと、複数のファスナによって遠位半区分110aに接続可能な近位半区分110bとに分離される。接合されると、遠位半区分110aおよび近位半区分110bは、内に空洞102aを有するハンドルハウジング102を規定し、その空洞102a内に回路基板150および駆動機構160が、位置を定められる。
【0036】
遠位半区分110aおよび近位半区分110bは、図2および図3に見られるように、上部ハウジング部分108の長手方向軸「X」を横断する平面に沿って分割される。ハンドルハウジング102は、ガスケット112を含み、ガスケット112は、遠位半区分110aおよび/または近位半区分110bの縁の全周に延び、遠位半区分110aと近位半区分110bとの間にはさまれている。ガスケット112は、遠位半区分110aおよび近位半区分110bの境界を密閉する。ガスケット112は、遠位半区分110aと近位半区分110bとの間の気密シールを確立するように機能し、それによって、回路基板150および駆動機構160は、殺菌手技および/または洗浄手技から保護される。
【0037】
このように、ハンドルハウジング102の空洞102aは、遠位半区分110aおよび近位半区分110bの境界に沿って密閉されるが、ハンドルハウジング102内の回路基板150および駆動機構160のより簡単で、より効率的な組立を可能にするように構成される。
【0038】
ハンドルハウジング102の中間ハウジング部分106は、回路基板150が位置を定められるハウジングを提供する。回路基板150は、以下のさらなる詳細で述べられるように、外科用器具100の種々の動作を制御するように構成される。
【0039】
外科用器具100の下部ハウジング部分104は、その上部表面に形成された開口部(示されず)を規定し、その開口部は、中間ハウジング部分106の下または中間ハウジング部分106内に位置する。下部ハウジング部分104の開口部は、通路を提供し、下部ハウジング部分104内に位置を定められた電気構成要素(図4に図示されるようなバッテリー156、図3に図示されるような回路基板154など)と、中間ハウジング部分106および/または上部ハウジング部分108内に位置を定められた電気構成要素(回路基板150、駆動機構160など)とを電気的に相互接続するために、ワイヤ152が、その通路を通過する。
【0040】
ハンドルハウジング102は、下部ハウジング部分104の開口部(示されず)内に配置されたガスケット103を含み、それによって、下部ハウジング部分104の開口部をふさぎ、または、密閉すると同時に、ワイヤ152がその開口部を通過することを可能にする。ガスケット103は、下部ハウジング部分104と中間ハウジング部分106との間の気密シールを確立するように機能し、それによって、回路基板150および駆動機構160は、殺菌手技および/または洗浄手技から保護される。
【0041】
示されるように、ハンドルハウジング102の下部ハウジング部分104は、充電可能なバッテリー156が取り外し可能に位置を定められるハウジングを提供する。バッテリー156は、外科用器具100の電気構成要素のうちの任意のものに電力を供給するように構成される。下部ハウジング部分104は、バッテリー156が挿入される空洞(示されず)を規定する。下部ハウジング部分104は、下部ハウジング部分104の空洞を閉鎖して空洞内にバッテリー156を保持するために、下部ハウジング部分104に旋回可能に接続されたドア105を含む。
【0042】
図3および図5を参照すると、上部ハウジング部分108の遠位半区分110aは、ノーズ部分または接続部分108aを規定する。ノーズコーン114は、上部ハウジング部分108のノーズ部分108aに支持される。ノーズコーン114は、透明な材料から作製される。照明部材116は、ノーズコーン114内に配置され、それによって、照明部材116は、ノーズコーン114を通して可視である。照明部材116は、発光ダイオードプリント回路基板(LED PCB)であり得る。照明部材116は、一意的な個別の事象に関連付けられた特定の色パターンで複数の色を照明するように構成される。
【0043】
ハンドルハウジング102の上部ハウジング部分108は、駆動機構160が位置を定められるハウジングを提供する。図5に図示されるように、駆動機構160は、外科用器具100の種々の動作を行うために、シャフトおよび/またはギア構成要素を駆動するように構成される。特に、駆動機構160は、エンドエフェクタ300のツールアセンブリ304(図1および図9を参照)をエンドエフェクタ300の近位本体部分302に対して選択的に移動させるために、エンドエフェクタ300をハンドルハウジング102に対して長手方向軸「X」(図2を参照)まわりに回転させるために、アンビルアセンブリ306をエンドエフェクタ300のカートリッジアセンブリ308に対して移動させるために、および/または、エンドエフェクタ300のカートリッジアセンブリ308内のステープル留めおよび切断カートリッジを発射するために、シャフトおよび/またはギア構成要素を駆動するように構成される。
【0044】
駆動機構160は、アダプタ200に対してすぐ近くに位置するセレクタギアボックスアセンブリ162を含む。第1のモータ164を有する機能選択モジュール163が、セレクタギアボックスアセンブリ162に近接し、第1のモータ164は、セレクタギアボックスアセンブリ162内のギア要素を選択的に移動させることにより第2のモータ166を有する入力駆動構成要素165と係合させるように機能する。
【0045】
図1図4に図示され、上記に言及されたように、上部ハウジング部分108の遠位半区分110aは、アダプタ200の対応する駆動カップリングアセンブリ210を受け入れるように構成された接続部分108aを規定する。
【0046】
図6図8に図示されるように、外科用器具100の接続部分108aは、アダプタ200が外科用器具100に嵌合する場合にアダプタ200の駆動カップリングアセンブリ210を受け取る円筒形くぼみ108bを有する。接続部分108aは、3つの回転可能駆動コネクタ118、120、122を収める。
【0047】
アダプタ200が外科用器具100に嵌合する場合、外科用器具100の回転可能駆動コネクタ118、120、122の各々は、図6に示されるようなアダプタ200の対応する回転可能なコネクタスリーブ218、220、222と結合する。この点について、対応する第1の駆動コネクタ118と第1のコネクタスリーブ218との間の接触部分、対応する第2の駆動コネクタ120と第2のコネクタスリーブ220との間の接触部分、および、対応する第3の駆動コネクタ122と第3のコネクタスリーブ222との間の接触部分は、外科用器具100の駆動コネクタ118、120、122の各々の回転がアダプタ200の対応するコネクタスリーブ218、220、222の対応する回転をもたらすように、キー固定されている。
【0048】
外科用器具100の駆動コネクタ118、120、122とアダプタ200のコネクタスリーブ218、220、222との嵌合は、回転力が3つのそれぞれのコネクタ接触部分の各々を介して独立して伝導されることを可能にする。外科用器具100の駆動コネクタ118、120、122は、駆動機構160によって独立して回転させられるように構成される。この点について、駆動機構160の機能選択モジュール163は、外科用器具100のどの駆動コネクタ(単数または複数)118、120、122が駆動機構160の入力駆動構成要素165によって駆動されるかを選択する。
【0049】
外科用器具100の駆動コネクタ118、120、122の各々が、アダプタ200の対応するコネクタスリーブ218、220、222との、キー固定されかつ/または実質的に回転不可能な接触部分を有するので、アダプタ200が外科用器具100と結合する場合、回転力は、外科用器具100の駆動機構160からアダプタ200に選択的に伝達される。
【0050】
外科用器具100の駆動コネクタ(単数または複数)118、120、および/または、122の選択的な回転は、外科用器具100がエンドエフェクタ300の異なる機能を選択的に作動させることを可能にする。下記にさらに詳細に説明されるように、外科用器具100の第1の駆動コネクタ118の選択的かつ独立した回転は、選択的かつ独立した、エンドエフェクタ300のツールアセンブリ304の開閉、および、エンドエフェクタ300のツールアセンブリ304のステープル留め/切断構成要素の駆動に対応する。さらに、外科用器具100の第2の駆動コネクタ120の選択的かつ独立した回転は、長手方向軸「X」(図2を参照)を横切る、エンドエフェクタ300のツールアセンブリ304の選択的かつ独立した関節運動に対応する。そのうえ、外科用器具100の第3の駆動コネクタ122の選択的かつ独立した回転は、外科用器具100のハンドルハウジング102に対する長手方向軸「X」(図2を参照)まわりの、エンドエフェクタ300の選択的かつ独立した回転に対応する。
【0051】
上記に言及され、図5および図8に図示されるように、駆動機構160は、セレクタギアボックスアセンブリ162と、セレクタギアボックスアセンブリ162に近接して位置する機能選択モジュール163とを含み、機能選択モジュール163は、セレクタギアボックスアセンブリ162内のギア要素を選択的に移動させることにより第2のモータ166と係合させるように機能する。したがって、駆動機構160は、所与の時間に外科用器具100の駆動コネクタ118、120、122のうちの1つを選択的に駆動する。
【0052】
図1図3に図示されるように、ハンドルハウジング102は、中間ハウジング部分106の遠位表面または側面に制御アセンブリ107を支持する。制御アセンブリ107は、器具100に結合される前に器具100の残りの部分とは別に組み立てられて試験され得る完全に機能的な機械的サブアセンブリである。
【0053】
制御アセンブリ107は、中間ハウジング部分106と協働して、ハウジング107a内に一対の指作動式制御ボタン124、126と一対のロッカーデバイス128、130とを支持する。制御ボタン124は、延在シャフト125に結合され、制御ボタン126は、延在シャフト127に結合される。特に、制御アセンブリ107は、延在シャフト125をスライド可能に受け取る上部開口124aと、延在シャフト127をスライド可能に受け取る下部開口126aを規定する。
【0054】
外科用器具100の構成および動作の詳細な議論に関して、共有に係る米国特許出願第13/331,047号への参照がなされ得、その出願の内容全体は、本明細書中に参照によって援用される。
【0055】
図9を参照すると、エンドエフェクタ300の駆動アセンブリ360は、可撓な駆動シャフト364を含み、可撓な駆動シャフト364は、動的駆動ビーム365に固定されている遠位端と、近位係合区分368とを有する。係合区分368は、ショルダ370を規定する階段状部分を含む。係合区分368の近位端は、正反対に内向きに伸びるフィンガ372を含む。フィンガ372は、くぼみを有する駆動部材374に係合することにより、駆動部材374をシャフト364の近位端にしっかりと固定する。駆動部材374は、エンドエフェクタ300がアダプタ200の遠位カップリング230に取り付けられるとき、アダプタ200の駆動チューブ246(図1)の接続部材を受け取る近位ポートホールを規定する。
【0056】
駆動アセンブリ360がツールアセンブリ304内を遠位に前進させられると、駆動ビーム365の上部ビームは、アンビルプレート312とアンビルカバー310との間に規定されたチャネル内を移動し、下部ビームは、ステープルカートリッジ305のチャネル内、および、キャリア316の外表面上を移動することにより、ツールアセンブリ304を閉じ、ツールアセンブリ304からステープルを発射する。
【0057】
エンドエフェクタ300の近位本体部分302は、上部ハウジング部分301aおよび下部ハウジング部分301bを包囲するシースまたは外側チューブ301を含む。ハウジング部分301aおよび301bは、エンドエフェクタ300の近位端から延びるフック状近位端366aを有する関節接合リンク366を包囲する。関節接合リンク366のフック状近位端366aは、エンドエフェクタ300がアダプタ200の遠位ハウジング232に固定される場合、アダプタ200のカップリングフック(示されず)に係合する。アダプタ200の駆動バー(示されず)が上記に説明されたように前進または後退させられる場合、エンドエフェクタ300の関節接合リンク366は、エンドエフェクタ300内で前進または後退させられることにより、近位本体部分302の遠位端に関してツールアセンブリ304を旋回させる。
【0058】
上述の図9に図示されるように、ツールアセンブリ304のカートリッジアセンブリ308は、キャリア316内に支持可能なステープルカートリッジ305を含む。ステープルカートリッジ305は、中央長手方向スロット305aと、長手方向スロット305aの各側に位置決めされたステープル保持スロット305bの3本の線形列とを規定する。ステープル保持スロット305bの各々は、単一のステープル307とステープルプッシャ309の一部とを受け取る。器具100の動作中、駆動アセンブリ360は、作動スレッド350に当接し、カートリッジ305を通して作動スレッド350を押す。作動スレッドがカートリッジ305を通って移動すると、作動スレッド350のカムウェッジが、ステープルプッシャ309に逐次的に係合することにより、ステープルプッシャ309をステープル保持スロット305b内で垂直に移動させ、形成のためにアンビルプレート312に向かってステープル保持スロット305bから単一のステープル307を逐次的に射出する。
【0059】
エンドエフェクタ300は、共有に係る米国特許第5,071,052号、米国特許第5,397,046号、米国特許第5413,267号、米国特許第5,415,335号、米国特許第5,715,988号、米国特許第5,718,359号、米国特許第6,109,500号に説明されるもののような1つ以上の機械的ロックアウト機構も含み得、それらの特許のすべての内容全体は、本明細書に参照によって援用される。
【0060】
器具100の別の実施形態が、図10に示される。器具100は、モータ164を含む。モータ164は、1つ以上の駆動部(例えば、図6の回転可能駆動コネクタ118、120、122)を作動させるように構成された任意の電気モータであり得る。モータ164は、バッテリー156に結合され、バッテリー156は、DCバッテリー(例えば、充電可能な鉛系バッテリー、ニッケル系バッテリー、リチウムイオン系バッテリーなど)、AC/DCトランスフォーマ、または、モータ164に電気エネルギーを提供するために好適な他の任意の電源であり得る。
【0061】
バッテリー156およびモータ164は、回路基板154上に配置されたモータドライバ回路404に結合され、回路基板154は、モータ164の動作(バッテリー156からモータ164への電気エネルギーの流れを含む)を制御する。ドライバ回路404は、モータ164およびバッテリー156の動作状態を測定するように構成された複数のセンサ408a、408b、...408nを含む。センサ408a−nは、電圧センサ、電流センサ、温度センサ、遠隔測定センサ、光センサ、および、それらの組み合わせを含み得る。センサ408a−408nは、電圧、電流、および、バッテリー156によって供給される電気エネルギーの他の電気特性を測定し得る。センサ408a−408nは、毎分回転数(RPM)としての回転速度、トルク、温度、電流引き込み、および、モータ164の他の動作特性も測定し得る。RPMは、モータ164の回転数を測定することによって決定され得る。種々の駆動シャフト(例えば、図6の回転可能な駆動コネクタ118、120、122)の位置は、シャフトに、または、シャフトに近接して配置された種々のリニアセンサを使用することによって決定され得るか、または、RPM測定値から外挿推定され得る。実施形態において、トルクは、一定のRPMにおけるモータ164の調整電流引き込みに基づいて計算され得る。さらなる実施形態において、ドライバ回路404および/またはコントローラ406は、例えば、測定された値の変化および同様のものを決定するために、時間を測定し、上記に説明された値を時間の関数として処理し得る(積分および/または微分を含む)。
【0062】
ドライバ回路404は、コントローラ406にも結合され、コントローラ406は、下記にさらに詳細に説明される命令の組に従って、計算を行い、かつ/または、動作するように適合させられた任意の好適な論理制御回路であり得る。コントローラ406は、メモリに動作可能に接続された中央処理ユニットを含み得、メモリは、一時的タイプのメモリ(例えば、RAM)および/または非一時的タイプのメモリ(例えば、フラッシュ媒体、ディスク媒体など)を含み得る。コントローラ406は、ドライバ回路404とインターフェース接続するための複数の入力部および出力部を含む。特に、コントローラ406は、モータ164およびバッテリー156の動作状態に関する測定されたセンサ信号をドライバ回路404から受け取り、次に、センサ示度および特定のアルゴリズム命令(下記にさらに詳細に論じられる)に基づいてモータ164の動作を制御するために、制御信号をドライバ回路404に出力する。コントローラ406はまた、ユーザインターフェース(例えば、コントローラ406に結合された制御アセンブリ107のスイッチ、ボタン、タッチスクリーンなど)からの複数のユーザ入力を受け入れるように構成され得る。
【0063】
本開示は、器具100または他の任意の動力付外科用器具(線形動力付ステープラ、円形または弓形動力付ステープラ、把持器、電気外科用密閉鉗子、回転式組織混合デバイスなどを含むが、これらに限定されない)を制御する装置および方法を提供する。特に、器具100の駆動シャフトのトルク、RPM、位置、および、加速度は、モータ特性(例えば、電流引き込み)と相互に関係づけられ得る。モータ164によって引き込まれる電流がモータ164の負荷および速度とともに変化するので、モータ164によって引き込まれる電流は、機械的限界を検出するために使用され得る。したがって、電流引き込みの変化量(例えば、変化率)の分析は、異なるタイプの負荷条件(例えば、機械的ストップによって及ぼされる負荷に対して、組織によって及ぼされる負荷)を区別することを可能にする。
【0064】
モータ164の通常動作中、電流引き込みは、一般的に、所定の範囲(例えば、第1の範囲)外にはならない。クランプ締めおよびステープル留め中、組織によってモータ164に及ぼされる負荷は、第1の範囲に包含される第2の範囲内で変動する。特に、モータ164が、アンビルアセンブリ306およびカートリッジアセンブリ308によってクランプ締めされている組織による負荷の増加に遭遇すると、電流引き込みは、増加し、第2の期間の間(例えば、電流引き込みの増加は、所定の期間の間生じる)、第2の範囲内にある。モータ164が機械的限界に遭遇する場合、比較的に短い時間の電流引き込みの対応する増加も存在し、それは、組織クランプ締めと関連付けられる電流引き込みよりも大きい。特に、機械的ストップによる電流引き込みは、第3の期間の間、第2の範囲よりも大きな第3の範囲内にある。比較すると、モータ164の始動は、クランプ締め/ファスナ留め、または、機械的ストップのいずれよりも多くの電流を引き込み、増加した電流引き込みの持続時間は、上記に説明された2つの電流引き込みの中で最も短い。
【0065】
実施形態において、機械的ストップに遭遇したときにモータ164によって引き込まれる電流が、通例、通常動作電流よりもはるかに大きいので、機械的ストップは、モータ電流と所定の閾値とを比較することによって検出され得る。コントローラ406は、この条件が満足されると、モータ164を停止させ得る。
【0066】
本アプローチは、モータ164が通常動作(例えば、組織をクランプ締めする)中に高い瞬間的負荷に遭遇する場合のいくつかの課題を提示する。組織クランプ締めと関連付けられる電流引き込みは、閾値に到達し得、したがって、コントローラ406が時期尚早にモータ164を停止させることをもたらし得る。実施形態において、時期尚早の停止は、モータ164の通常の電流引き込みを分析することによって防がれ得、通常のモータ負荷プロファイルを構築し得る。それから、コントローラ406は、そのプロファイルに従って停止閾値を調節するようにプログラムされ得る。本構成は、負荷プロファイルにほとんど変動がないモータ164に非常に適している。しかしながら、負荷プロファイルが、通常の使用と関連付けられる電流引き込みから逸脱する場合、大きな変動は、フォールスポジティブをもたらし得る。
【0067】
モータ164および駆動機構の効率も、モータ電流限界を計算することに影響を及ぼし得る。機械効率が器具によって異なり得るので、各器具は、組立中に個々に較正される必要がある。さらに、機械効率は、器具の損耗とともに変化し、ソフトウェアの性能にも影響し得る。
【0068】
本開示に従ったアルゴリズムは、単一の閾値、または、プロファイルに基づいたアルゴリズムを使用することの問題を解消する。本開示に従ったアルゴリズムの利点は、アルゴリズムが、モータ電流の振幅と所定の閾値とを比較することではなく、経時的な変化率/電流を利用することである。異なる負荷(例えば、通常負荷、重負荷、機械的ストップ、負荷スパイクなど)と関連付けられるモータ電流の変化率は、異なる範囲に分類され得、異なる範囲における各範囲は、特定の負荷と関連付けられる。複数の範囲への分類は、次いで、モータ164にかかる個別の負荷を識別するために使用され、モータ164の起動および停止によってもたらされるスパイクを取り除き得る。機械的負荷の識別がモータ電流の振幅ではなくモータ電流の変化率に基づいているので、負荷プロファイルからの逸脱は、負荷識別に影響しない。そのうえ、機械効率は、モータ電流の変化率に基づく負荷識別に影響しない。低効率の器具は、同一の速度に達するために、より多くの電流を引き込むが、その速度に到達するための勾配(例えば、電流引き込みの変化率)は、より効率的なシステムの勾配と同様のままである。これは、負荷プロファイリング、および、器具100の組立中の較正動作の必要性を排除する。
【0069】
本開示に従ったアルゴリズムの別の利点は、低いコンピュータオーバーヘッドである。アルゴリズムは、モータ電流の変化率を計算することに依拠し、それは、2つの値間の差をとることによって決定され得るので、8ビットマイクロコントローラにおけるアルゴリズムの実装を可能にする。
【0070】
モータ電流の変化は、周期的に電流をサンプリングすることによって測定され得る。実施形態において、サンプリングレートは、毎秒約100〜毎秒10,000であり得、実施形態において、毎秒約500〜毎秒1,000であり得る。サンプルは、次いで、モータ電流(例えば、電流引き込み)の変化を計算するためにコントローラ406によって使用され得る。コントローラ406は、次いで、器具100の動作状態を決定して適切な措置を講じるために、モータ電流の変化を使用し得る。
【0071】
本開示は、組織厚および/または機械的ストップ(例えば、アンビルプレート312およびステープルカートリッジ305によって規定されたチャネルの遠位端に到達する駆動ビーム365)により、器具100が遭遇する発射障害のような外部動作状態に基づいて、器具100を制御するフィードバックシステムおよび方法も提供する。そのうえ、本開示は、内部システムフィードバックを導出するために、外部動作状態(例えば、特定の故障)に応答した器具100の異なる使用法のモデリングを提供する。器具100の動作特性を変更し、かつ、ユーザに特定の動作状態を知らせるために、センサ408a−nからのセンサ情報が、コントローラ406によって使用される。実施形態において、コントローラ406は、モータ164によって供給される電流を制御(例えば、制限)する。
【0072】
コントローラ406は、測定された電流引き込みに基づいて器具100の機械的限界を検出するためのソフトウェア命令(例えばアルゴリズム)を記憶するために、コンピュータ読み取り可能なメモリ406aおよび/または非一時的媒体を含む。本明細書において使用される場合、用語「機械的限界」は、電気機械構成要素のうちの任意のものが進行の終端位置に到達していること(例えば、駆動ビーム365がアンビルプレート312およびステープルカートリッジ305によって画定されたチャネルの遠位端に到達していること、シャフト364の進行を妨げる機械的安全ロックアウト機構の作動、関節接合リンク366がエンドエフェクタ300の関節運動限界に到達していること、および同様のものを含むが、これらに限定されない)を表す。
【0073】
特定の負荷状態(例えば、組織クランプ締めまたは機械的限界)の開始と関連付けられるモータ電流の変化は、事前定義された範囲内にあり、特定の持続時間の間、持続する。これらの状態は、モータ164の動作特性を識別し、モータ164の動作特性に応答して適切に反応するように、アルゴリズムによって使用される。
【0074】
図11を参照すると、メモリ406aは、複数の電流引き込み値を記憶する。メモリ406aは、値「I〜V」を有するルックアップテーブル500または他の任意の好適なデータ構造を含む。第1の値「I」および第5の値「V」は、モータ164の通常(例えば、耐負荷)動作を示す安定電流引き込み信号を包含する第1の範囲を規定する。第2の値「II」および第3の値「III」は、組織クランプ締め中のモータ164の電流引き込みと関連付けられた電流引き込みに対応する第2の範囲を規定し、第4の値「IV」および第5の値「V」は、機械的ストップと関連付けられた電流引き込みに対応する第3の範囲を規定する。実施形態において、第1の値「I」は、第2の値「II」と同一であり得る。
【0075】
コントローラ406は、着目状態カウンタも含み、その着目状態カウンタは、モータ電流の勾配(例えば、変化率)が所望の範囲(例えば第1の範囲、第2の範囲、または、第3の範囲のいずれか)内にある間のサンプル数を数える。コントローラ406は、信号安定性カウンタも含み、その信号安定性カウンタは、勾配が第2の範囲内にある間にサンプル数を数える。コントローラ406は、テーブル500の値を使用して、測定された変化率の電流引き込み信号が安定であるか否かを決定する。信号は、所定の数の電流引き込みサンプルが第1の範囲外にある場合、不安定であるとみなされ、所定の数のサンプルが第2の範囲内にある場合、安定であるとみなされる。
【0076】
図12は、本開示に従った、モータ164が機械的ストップに遭遇するか否かを決定する方法を示す。本方法は、上記に説明されたように、コントローラ406に記憶されるソフトウェア命令(例えば、アルゴリズム)として実装され得る。初めに、コントローラ406は、測定されたモータ電流(例えば、電流引き込み)の移動平均を計算する。本明細書において使用される場合、用語「移動平均」は、新たなサンプルが取得されるたびに更新されるサンプルの所定の部分集合の平均を表す。移動平均は、上記に説明されたサンプリングレートに応じて、約2個の複数サンプル〜約256個の複数サンプルを含み得、実施形態において、約16個の複数サンプル〜約64個の複数サンプルを含み得る。コントローラ406は、第1の移動平均を記憶し、後のサンプル集合のために第2の移動平均を計算する。コントローラ406は、次いで、移動平均間の差を決定することにより、サンプル間の変化を計算する。
【0077】
図12図13に示されるように、サンプルの移動平均は、プロット700、800、900としてグラフで示され得、サンプル間の変化が、プロット700、800、900の勾配として表現されている。プロット700、800、900は、生成されて、ディスプレイ上に出力され、ユーザがモータ164の電流引き込みを視認することを可能にし得る。実施形態において、プロット700、800、900は、サンプル値をプロットとして再現することなく、一連の値としてメモリ406aに記憶される。
【0078】
監視されたモータ電流の変化(勾配としても規定される)は、モータ164によって遭遇される異なるタイプの負荷を区別するために使用される。コントローラ406は、初めに、計算された勾配/変化が第1の範囲外にあるか否か(例えば、勾配が、第5の値「V」よりも大きいか、または、第1の値「I」よりも小さいか)を決定することによって、信号が安定であるか否かを決定する。所定の数のサンプルの勾配が第1の範囲外にある場合、コントローラ406は、着目状態カウンタおよび信号安定性カウンタをゼロ(0)に設定することによって、着目状態カウンタおよび信号安定性カウンタを初期化またはリセットする。そのうえ、コントローラ406はまた、信号状態を「不安定」として設定する。
【0079】
図14および図15を参照すると、図15に示されるように第1の値「I」よりも小さいサンプル、および、図14に示されるように第5の値「V」よりも大きいサンプルは、電流引き込みの異常な負のスパイクおよび正のスパイクを表すので、取り除かれる。これらのスパイクは、モータ164の起動および停止によってもたらされ得、閾値に基づいた決定アルゴリズムにフォールスポジティブをもたらし得る。
【0080】
勾配が第1の範囲外にあるか否かを決定した後、コントローラ406は、勾配が第2の範囲内にある(値II≦勾配≦値III)か否かを決定する。勾配が第2の範囲内にある場合、安定性カウンタは、増やされる。コントローラ406は、信号状態が「安定」に変化する前に安定性カウンタが所定の閾値に到達したかどうかをチェックする。これは、サンプルが十分な期間の間第2の範囲内にあったことを保証する。いずれの逸脱(例えば、第1の範囲外にある勾配)も、着目状態カウンタおよび信号安定性カウンタをリセットし、上記に説明されたように信号状態を「不安定」として設定する。
【0081】
図13図15を参照すると、信号は、モータ電流サンプルの実際の振幅と無関係に、勾配が第2の範囲内にある場合に安定であるとみなされる。したがって、着目する属性がモータ電流サンプルの勾配の変化率であるので、図15の第2の範囲内のサンプルのより大きな振幅、および、図13および図14の第2の範囲内のサンプルのより小さな振幅は、本開示のアルゴリズムによって同様に取り扱われる。
【0082】
コントローラ406は、サンプルが第3の範囲内にあるか否かも決定する。第3の範囲内の各サンプルに対して、信号が安定であるとみなされている間、着目状態カウンタは、増やされる。サンプルが第2の値「II」を下回るたびに、着目状態カウンタは、減らされる。着目状態カウンタは、下記にさらに詳細に説明されるように、機械的ストップを識別するために使用される。着目状態カウンタが所定の閾値よりも大きい場合、コントローラ406は、機械的ストップに到達したことを決定する。図13を参照すると、複数のサンプルが第3の範囲内にある勾配を有し、これは、着目状態カウンタを増やし、所定のカウントに到達すると、機械的ストップに到達したことを示すことを生じさせる。コントローラ406が、機械的限界に到達したことを決定すると、モータ164の電流の供給は、器具100のさらなる動作を防ぐために終了され得、かつ/または、器具100は、アラームを発し得る。
【0083】
図16は、本開示の別の実施形態に従った、モータ164が機械的ストップに遭遇するか否かを決定する方法を示す。
【0084】
コントローラ406は、上記に説明されたように、安定性カウンタと着目状態カウンタとを含む。コントローラ406は、正のスパイクカウンタと負のスパイクカウンタとをさらに含む。それらのカウンタは、電流(例えば、勾配)が第1の範囲外に急上昇/急降下した回数を維持する。より具体的には、正のスパイクカウンタは、モータ電流が値「V」よりも大きい場合に増やされ、負のスパイクカウンタは、モータ電流が値「I」よりも小さい場合に増やされる。コントローラ406は、テーブル500の値を使用して、測定された変化率の電流引き込み信号が安定であるか否かを決定する。信号は、所定の数の電流引き込みサンプルが第1の範囲外にある(例えば、正のスパイクおよび負のスパイクの数が所定の正のスパイク閾値および負のスパイク閾値よりも大きい)場合に不安定であるとみなされ、所定の数のサンプルが第2の範囲内にある場合に安定であるとみなされる。
【0085】
図16の方法はまた、上記に説明されたように、コントローラ406に記憶されるソフトウェア命令(例えば、アルゴリズム)として実装され得る。初めに、コントローラ406は、測定されたモータ電流(例えば、電流引き込み)の移動平均を計算する。本明細書において使用される場合、用語「移動平均」は、新たなサンプルが取得されるたびに更新されるサンプルの所定の部分集合の平均を表す。移動平均は、上記に説明されたサンプリングレートに応じて、約2個のサンプル〜約256個のサンプルを含み得、実施形態において、約16個〜約64個のサンプルを含み得る。コントローラ406は、第1の移動平均を記憶し、後のサンプル集合のために第2の移動平均を計算する。コントローラ406は、次いで、移動平均間の差を決定することにより、サンプル間の変化(例えば、勾配)を計算する。
【0086】
監視されたモータ電流の変化(勾配としても規定される)は、モータ164によって遭遇される異なるタイプの負荷を区別するために使用される。コントローラ406は、最初に、勾配が第5の値「V」よりも大きい場合を決定し、それまでの移動平均をそのときに計算された移動平均に更新する。勾配が第5の値「V」よりも大きい場合、正のスパイクカウンタは、増やされる一方、負のスパイクカウンタは、減らされる。そのうえ、コントローラ406は、正のスパイクカウンタが所定の正のスパイクカウンタ閾値よりも大きいか否かを確認する。正のスパイクカウンタが所定の正のスパイクカウンタ閾値よりも大きい場合、コントローラ406は、着目状態カウンタおよび信号安定性カウンタをゼロ(0)に設定することによって、着目状態カウンタおよび信号安定性カウンタを初期化またはリセットする。そのうえ、コントローラ406はまた、信号状態を「不安定」として設定する。正のスパイクカウンタが所定の正のスパイクカウンタ閾値よりも小さい場合、安定性カウンタは、減らされる。
【0087】
勾配が第5の値「V」よりも大きいか否かを決定した後、コントローラ406は、サンプルが第2の値「II」を下回る場合を決定し、着目状態カウンタは、減らされる。
【0088】
コントローラ406はまた、勾配が第1の値「I」よりも小さい場合を決定し、それまでの移動平均をそのときに計算された移動平均に更新する。勾配が第1の値「I」よりも小さい場合、負のスパイクカウンタは、増やされる一方、正のスパイクカウンタは、減らされる。そのうえ、コントローラ406は、負のスパイクカウンタが所定の負のスパイクカウンタ閾値よりも大きいか否かを確認する。負のスパイクカウンタが所定の負のスパイクカウンタ閾値よりも大きい場合、コントローラ406は、着目状態カウンタおよび信号安定性カウンタをゼロ(0)に設定することによって、着目状態カウンタおよび信号安定性カウンタを初期化またはリセットする。そのうえ、コントローラ406はまた、信号状態を「不安定」として設定する。負のスパイクカウンタが所定の負のスパイクカウンタ閾値よりも小さい場合、安定性カウンタは、減らされる。
【0089】
図14および図15を参照すると、図15に示されるように第1の値「I」よりも小さいサンプル、および、図14に示されるように第5の値「V」よりも大きいサンプルは、電流引き込みの異常な負のスパイクおよび正のスパイクを表すので、取り除かれる。これらのスパイクは、モータ164の起動および停止によってもたらされ得、閾値に基づいた決定アルゴリズムにフォールスポジティブをもたらし得る。
【0090】
コントローラ406は、勾配が第2の範囲内にある(例えば、値「II」≦勾配≦値「III」)か否かも決定する。勾配が第2の範囲内にある場合、安定性カウンタは、増やされる。コントローラ406は、信号状態が「安定」に変化する前に安定性カウンタが所定の閾値に到達したかどうかもチェックする。これは、サンプルが十分な期間の間第2の範囲内にあったことを保証する。そのうえ、コントローラ406は、正のスパイクカウンタおよび負のスパイクカウンタをゼロ(0)に設定することによって、正のスパイクカウンタおよび負のスパイクカウンタを初期化またはリセットする。安定性カウンタが所定の閾値よりも大きいか小さいかに関わらず、それまでの移動平均は、そのときに計算された移動平均に更新される。いずれの逸脱(例えば、第1の範囲外にある勾配)も、着目状態カウンタおよび信号安定性カウンタをリセットし、上記に説明されたように信号状態を「不安定」として設定する。
【0091】
コントローラ406は、サンプルが第3の範囲内にあるか否かも決定する。第3の範囲内の各サンプルに対して、信号が安定であるとみなされている間、着目状態カウンタは、増やされる。着目状態カウンタは、下記にさらに詳細に説明されるように、機械的ストップを識別するために使用される。着目状態カウンタが所定の閾値よりも大きい場合、コントローラ406は、機械的ストップに到達したことを決定する。図13を参照すると、複数のサンプルが第3の範囲内にある勾配を有し、これは、着目状態カウンタを増やし、所定のカウントに到達すると、機械的ストップに到達したことを示すことを生じさせる。コントローラ406が、機械的限界に到達したことを決定すると、モータ164の電流の供給は、器具100のさらなる動作を防ぐために終了され得、かつ/または、器具100は、アラームを発し得る。
【0092】
デバイス性能についてのフィードバックに加えて、本開示は、動力付デバイスのための、以前には検出することが困難であった他の外的要因(例えば、より厚い組織)を検出および認識する方法も提供する。その結果、限界に関する改善されたカットオフおよび値が実装され、使用における動力付デバイスの安全性が大いに向上し得る。上記に説明されたフィードバック機構を使用することによって、ユーザは、器具100を動作させているときに、どの設定および技法が使用されるべきであるかについての情報処理に基づいた決定をなし得る。この情報処理は、線形ステープラを発射するために異なるように再装填することを選択すること、異なる関節接合角度で発射することを決定することから、全く異なる外科用技法を使用することまで及び得る。
【0093】
上述の説明が本開示の例証にすぎないことが、理解されるべきである。種々の代案および改変が本開示から逸脱することなく、当業者によって考案され得る。したがって、本開示は、すべてのそのような代案、改変、および、変更を含むように意図される。添付の図面を参照して説明された実施形態は、本開示の特定の例を明示するためのみに提示される。上記および/または添付の特許請求の範囲に説明されたものと実質的に異ならない他の要素、ステップ、方法、および、技法は、本開示の範囲内にあることが意図される。
【符号の説明】
【0094】
10 外科用システム
100 外科用器具
104 下部ハウジング部分
106 中間ハウジング部分
108 上部ハウジング部分
200 アダプタ
300 エンドエフェクタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
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図16