(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6415980
(24)【登録日】2018年10月12日
(45)【発行日】2018年10月31日
(54)【発明の名称】食料品を加工する装置及び方法
(51)【国際特許分類】
A47J 43/046 20060101AFI20181022BHJP
【FI】
A47J43/046
【請求項の数】12
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-527772(P2014-527772)
(86)(22)【出願日】2012年8月23日
(65)【公表番号】特表2014-525307(P2014-525307A)
(43)【公表日】2014年9月29日
(86)【国際出願番号】IB2012054265
(87)【国際公開番号】WO2013030728
(87)【国際公開日】20130307
【審査請求日】2015年8月20日
【審判番号】不服2017-4744(P2017-4744/J1)
【審判請求日】2017年4月5日
(31)【優先権主張番号】61/530,122
(32)【優先日】2011年9月1日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】11179685.0
(32)【優先日】2011年9月1日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】特許業務法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】アンテレガー ヨハン
(72)【発明者】
【氏名】ローゼンワース クリスティアン
【合議体】
【審判長】
山崎 勝司
【審判官】
窪田 治彦
【審判官】
佐々木 正章
(56)【参考文献】
【文献】
実公昭40−25251(JP,Y1)
【文献】
特開平1−97598(JP,A)
【文献】
特開2001−30195(JP,A)
【文献】
国際公開第2010/012727(WO,A1)
【文献】
西独国実用新案第7934681(DE,U1)
【文献】
特開昭55−83598(JP,A)
【文献】
実開平5−74442(JP,U)
【文献】
実開昭57−147634(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J43/046
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
食料品を加工する装置であって、
ハウジングと、
回転軸を画定する中心取付け要素を介して前記ハウジング内に回転可能に取付けられるカットツールであって、前記カットツールは、回転する際に前方エッジを形成するカットエッジと、後方エッジとを備える単一の細長いカット要素を有し、前記カットツールはさらに、前記中心取付け要素から遠位の前記単一の細長いカット要素の端に配置された支持要素を有し、前記支持要素は細長いアーチ状の部材を有する、前記カットツールと、
を含み、
前記カットツールは、1回転につき1回、食料品が収容可能である前記ハウジング内の加工領域を通過し、また、前記カットツールが前記加工領域内の前記食料品に接触することなく自由に回転する回復領域を通過し、
前記カットツールが前記加工領域を通り回転するときに、前記カットツールが食料品に作用し、また、前記カットツールが前記回復領域を通り回転するときに、前記加工領域内の食料品への作用によって損失した回転速度を回復するように、前記回復領域は、前記カットツールが回転するときに前記加工領域から出る前記後方エッジと前記加工領域に入る前記カットエッジとの間で前記ハウジング内に画定される、装置。
【請求項2】
前記回復領域は、前記カットツールの前記カットエッジが、前記カットツールの各回転につき同じ速度で前記加工領域に入るのに十分である角度で、前記カットツールの回転軸の周りに延在する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記回復領域は、少なくとも120度の角度で、前記カットツールの前記回転軸の周りに延在する、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記ハウジングによって形成され、円周方向に延在するスロットを更に含み、前記支持要素は、前記カットツールが前記ハウジング内で回転されるときに、前記スロットに沿って摺動する、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記ハウジングは、第1及び第2の対向面を有し、前記第1及び第2の対向面の間に、前記カットツールの回転経路が画定される、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記第1の対向面に開口部が画定され、食料品が、前記開口部を通して、前記加工領域内に供給可能である、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記加工領域は、前記第2の対向面と、前記第1の対向面における前記開口部との間に画定される、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
カットダイスが、前記第2の対向面内に収容される、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記カットダイスの面積は、軸方向において、前記加工領域を包含する、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
請求項1乃至9の何れか一項に記載の食料品を加工する装置を含むフードプロセッサ。
【請求項11】
駆動ユニットを更に含み、前記駆動ユニットは、手持ち式ブレンダである、請求項10に記載のフードプロセッサ。
【請求項12】
ハウジングと、回転軸を画定する中心取付け要素を介して前記ハウジング内に回転可能に取付けられるカットツールであって、前記カットツールは、回転する際に前方エッジを形成するカットエッジと、後方エッジとを備える単一の細長いカット要素を有し、前記カットツールはさらに、前記中心取付け要素から遠位の前記単一の細長いカット要素の端に配置された支持要素を有し、前記支持要素は細長いアーチ状の部材を有する、前記カットツールとを含む、食料品を加工する装置内で食料品を加工する方法であって、
前記カットツールは、1回転につき1回、食料品が収容可能である前記ハウジング内の加工領域を通過し、また、前記カットツールが前記加工領域内の前記食料品に接触することなく自由に回転できる回復領域を通過し、
前記カットツールが前記加工領域を通り回転するときに、前記カットツールが食料品に作用し、また、前記カットツールが前記回復領域を通り回転するときに、前記加工領域内の食料品への作用によって損失した回転速度を回復するように、前記回復領域は、前記カットツールが回転するときに前記加工領域から出る前記後方エッジと前記加工領域に入る前記カットエッジとの間で前記ハウジング内に画定される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食料品を加工する装置に関する。本発明は更に、食料品を加工する装置を含むフードプロセッサ及び食料品を加工する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
食料品を機械的に加工する装置は知られている。食料品の機械加工は、薄切りにする動作、みじん切りにする動作、切る動作、さいの目に切る動作、ミンチにする動作、細かく刻む動作、押しつぶす動作、又は、磨りつぶす動作を含む。このような装置は、通常、家庭用電化製品として使用されるフードプロセッサの一部を形成し、当該装置が取り付けられ、加工済み食料品を受ける容器と、容器と当該装置とがその上に取り外し可能に配置される基部ユニットと、を含む。基部ユニット内に、装置を駆動する駆動ユニットが配置される。
【0003】
1つのそのような食料品を加工する装置は、食料品を立方体に切るダイシング(さいの目に切る)ユニットである。このような装置は、通常、ハウジングに固定して取り付けられるグリッド状に配置されたナイフを有する固定カットダイスを有するハウジングと、ハウジング内に回転可能に取付けられ、駆動ユニットによって駆動される固体ディスクに取付けられたカットブレードを含むカットツールとを含む。固定カットダイスは、各カットブレードと固定ダイスとの間に配置された食料品を薄切りするようにカットツールが回転される際に、各カットブレードが固定カットダイス上を、ダイスに平行であるがダイスから離間されて移動するように、カットツールの回転軸に垂直に配置される。カットブレードによってカットされた食料品を固定カットダイスに対しかつ固定カットダイスを通るように付勢するウェッジ要素がカットブレードに沿って取り付けられ、これにより、食料品がさいの目に切られる。
【0004】
しかし、上記配置の1つの問題は、カットツールは、回転しているときに、ハウジングに入れられる食料品と常に接触している点である。したがって、使用時に装置が停止しないように、食料品を切るためのカットツールの適切な回転速度を維持するために、大きいトルクが必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明は、上述した問題を大幅に軽減又は解決する、食料品を加工する装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、食料品を加工する装置が提供され、当該装置は、ハウジングと、カットエッジ及び後方エッジを有し、ハウジング内に回転可能に取付けられるカットツールとを含み、カットツールは、1回転につき1回、食料品が収容可能であるハウジング内の加工領域を通過し、また、カットツールが加工領域内の食料品に接触することなく自由に回転する回復領域を通過し、回復領域は、カットツールが加工領域を通り回転するときに、カットツールが食料品に作用し、また、カットツールが回復領域を通り回転するときに、加工領域内の食料品への作用によって損失した回転速度を回復するように、カットツールが回転するときに加工領域から出る後方エッジと加工領域に入るカットエッジとの間でハウジング内に画定される。
【0007】
上記配置の利点は、食料品をカットするための適切な回転速度を維持するために必要なトルクが最小限にされる点である。したがって、手持ち式ブレンダといった低出力駆動ユニットを使用することができる。
【0008】
回復領域は、カットツールのカットエッジが、カットツールの各回転につき同じ速度で加工領域に入るのに十分である角度で、カットツールの回転軸の周りに延在することが好都合である。
【0009】
カットツールは、カットツールの回転軸の周りを回転する、半径方向に延在するカット要素を含むことが有利である。
【0010】
この配置では、カットツールは、加工領域を通過することなく大きい回転角度の周りを回転することができる。
【0011】
カットツールは更に、カット要素の一端に取付け要素を含んでもよく、カットツールは、取付け要素の周りを回転する。
【0012】
カットツールは更に、支持要素を含んでもよく、カット要素は、取付け要素から支持要素まで延在する。
【0013】
当該装置は更に、ハウジングによって形成され、円周方向に延在するスロットを更に含むことが好都合であり、支持要素は、カットツールがハウジング内で回転されるときに、スロットに沿って摺動する。
【0014】
したがって、カットツールは、安定に支持される。
【0015】
ハウジングは、第1及び第2の対向面を有してよく、第1及び第2の対向面の間に、カットツールの回転経路が画定される。
【0016】
第1の対向面に開口部が画定されることが好都合であり、食料品が、開口部を通して、加工領域内に供給可能である。
【0017】
この配置では、加工領域に食料品を供給する手段が容易に形成される。
【0018】
一実施形態では、加工領域は、第1の対向面における開口部と、第2の対向面との間に画定される。
【0019】
カットダイスが、第2の対向面内に収容されることが有利である。
【0020】
カットダイスの面積は、軸方向において、加工領域を包含してよい。
【0021】
したがって、加工領域内に入れられた食料品は、回復領域内へと付勢されることなく、カットダイスを通るように付勢される。
【0022】
本発明の別の態様によれば、食料品を加工する装置を含むフードプロセッサが提供される。
【0023】
当該フードプロセッサは更に、駆動ユニットを含んでよく、駆動ユニットは、手持ち式ブレンダである。
【0024】
したがって、食料品を加工する装置を駆動するために、専用の駆動ユニットを提供する必要がない。
【0025】
本発明のこれらの及び他の態様は、以下に説明される実施形態を参照して明らかとなろう。
【0026】
本発明の別の態様によれば、ハウジングと、カットエッジ及び後方エッジを有し、ハウジング内に回転可能に取付けられるカットツールとを含む、食料品を加工する装置内で食料品を加工する方法が提供される。当該方法では、カットツールは、1回転につき1回、食料品が収容可能であるハウジング内の加工領域を通過し、また、カットツールが加工領域内の食料品に接触することなく自由に回転できる回復領域を通過し、回復領域は、カットツールが加工領域を通り回転するときに、カットツールが食料品に作用し、また、カットツールが回復領域を通り回転するときに、加工領域内の食料品への作用によって損失した回転速度を回復するように、カットツールが回転するときに加工領域から出る後方エッジと加工領域に入るカットエッジとの間でハウジング内に画定される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
本発明の実施形態がほんの一例として添付図面を参照して以下に説明される。
【0028】
【
図1】
図1は、食料品を加工する装置の分解斜視図を示す。
【
図2】
図2は、
図1に示される食料品を加工する装置のハウジング下部とカットツールとの部分断面図を示す。
【
図3】
図3は、カットツールのカットエッジが加工領域内に入る状態の
図1に示される食料品を加工する装置のハウジング下部とカットツールとの平面図を示す。
【
図4】
図4は、カットツールの後方エッジが加工領域から出た状態の
図1に示される食料品を加工する装置のハウジング下部とカットツールとの平面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1を参照するに、食料品を加工する装置1が示される。本実施形態は、食料品をさいの目に切るように構成されているが、当然ながら、当該装置は、食料品に、例えば薄切りにする、みじん切りにする、切る、さいの目に切る、ミンチにする、細かく刻む、押しつぶす、又は、磨りつぶすといった別の加工を適用してもよい。装置は、上部3と下部4とを有するハウジング2と、上部3と下部4との間でハウジング2内に回転可能に取付けられるカットツール5とを含む。
【0030】
装置1は、食料品を加工する装置によって機械的に加工された食料品を保存する容器(図示せず)と、カットツール5を回転可能に駆動する駆動ユニット(図示せず)とを含む家庭用電化製品として使用されるフードプロセッサの一部を形成する。食料品を加工する装置1は、加工済みの食料品が容器内に落ちるように容器の上端に着脱可能に取付けられ、駆動ユニットは、カットツールをハウジング内で回転させるようにカットツールに機械的に係合するように食料品を加工する装置に着脱可能に係合される。本実施形態では、以下において明らかとなるように、駆動ユニットは、カットツール5を駆動するように着脱可能に取付けられた手持ち式ブレンダである。
【0031】
ハウジング2は、略円筒形で、上部3と下部4とは、ロック機構によって、互いに着脱可能に取付けられる。下部4は、円形基部7によって形成される上面8を有する。円周方向に延在する下部壁9は、基部7の外縁周りに延在し、基部7の上方及び下方に延在する上部9a及び下部9bを有する。壁9の上部の内面12からタブ10が突出し、これらのタブは、内面12に沿って離間されている。タブ10は、ハウジングロック機構の一部を形成し、以下において明らかとなるように、下部4を上部3に取付ける取付け部材として機能する。
【0032】
管状セクションが、下部4の下面から下方向に延在し、上面8の中心に開口部を有する下部ボア13を形成する。
【0033】
ダイス収容アパーチャ14が、下部4の基部7内に形成される。アパーチャ14は、その外縁に沿って延在し、上面8から離間されて、アパーチャ14内に取り外し可能に収容されるカットダイスユニット16を支持する、内側に面したダイス支持フランジ(
図2を参照)を有する。
【0034】
カットダイスユニット16は、フレーム8によって支持される直立カットブレードのグリッド17を含み、第1のカットブレードアレイ17aは、90度の角度で、第2のカットブレードアレイ17bと交差するように配置される。第1及び第2のカットブレードアレイ17a、17bは、互いに垂直に配置されるが、当然ながら、これらのアレイは、互いに対し別の角度で配置されてもよい。カットダイスユニット16は、ダイス収容アパーチャ14内に収容され、ダイス支持フランジ15によって支持される。カットダイスユニット16は、以下において明らかとなるように、固定カットユニットを形成する。代替の配置では、カットダイスユニット16は、下部4の基部7と一体に形成される。
【0035】
ハウジング2の上部3は、円形パネル20によって形成される上面及び下面を有する。円周方向に延在する上部壁21が、パネル20の外縁周りに延在し、円形パネル20の上方及び下方に延在する上部21a及び下部20bを有する。
【0036】
上部壁21の外面22の直径は、下部壁9の内面12の直径に一致し、したがって、上部3は、下部4内に摺動可能に収容可能である。上部壁21の外面22に凹部23が形成される。各凹部23は、ハウジングロック機構の一部を形成し、取付け要素として機能し、上部壁21の下端において開いたはめ込みセクション24と、上部壁21の外面22に沿ってアーチ状に延在する取付けセクション25とを含む。各凹部23の位置は、下部4の各タブ10の位置に対応し、したがって、容器4と蓋3とが互いに引合されると、凹部とタブとは互いに整列し、タブは、上部3と下部4とを一緒に取付けるように凹部内に係合する。
【0037】
上部3の下面に開口部を有する上部ボア26が上部3に形成される。上部ボア26の長手軸は、上部3の中心を通り延在し、したがって、ハウジング2の上部3と下部4とが互いに取付けられると、上部ボア26の長手軸は、下部4の下部ボア13の長手軸と同軸上に延在する。
【0038】
支持リブ27が、上部3の上面に沿って延在して、上部3に構造上の支持を与える。開口部28が上部3内に形成される。開口部28は、ハウジング2が組み立てられると、上部3と下部4との間に画定されるカットツール収容空間29へと、食料品をハウジング2内に入れるための差込口を画定する。ハウジング2が組み立てられると、開口部28は、カットダイスユニット16と整列され且つ当該ユニットの上方に配置され、これにより、差込口を通してハウジング2内に入れられた食料品は、カットダイスユニット16へと入れられる(
図3を参照)。
【0039】
カットツール5は、取付け要素30として機能し、カットツール5の回転軸を画定する中心シャフトと、中心取付け要素30から半径方向に延在する単一の細長いカット要素32とを有する。支持要素33が、取付け要素30から遠位のカット要素32の端に配置される。取付け要素30は、その長手軸の周りに円周方向に延在する支持環34を有する。
【0040】
カット要素32は、カットツール5のカットエッジ35を形成する前方エッジを有する細長いブレードである。ウェッジ要素36が、カット要素32から、カットエッジ35から離れるように延在し、カットツール5がその回転軸の周りを回転させられるときに、カット要素32によってカットされる食料品に対し、軸方向に力の成分を与えるため、カットエッジ35から離れるように下方向に曲がった付勢面を有する。カットエッジ35は、カットツール5が回転されるときに、前方エッジを形成し、カットエッジ35とは反対のカットツール5のエッジは、後方エッジ31を形成する。
【0041】
本実施形態では、ウェッジ要素36は、カット要素32と一体に形成されるが、当然ながら、カットツール5の構造は、これに限定されず、ウェッジ要素36は、別個の構成要素であってもよい。
【0042】
支持要素33は、上部支持面37と下部支持面38とを有する細長いアーチ状の部材である。支持環34は、取付け要素30の中間に形成され、取付け要素は、カットツール5を回転させる駆動ユニット(図示せず)と直接的又は間接的に係合する駆動ユニット係合手段39を有する。支持環34は、上部支持面40と下部支持面41とを有する。
【0043】
ハウジング2が組み立てられると、ハウジングの上部3と下部4とは、引き合わせられ、タブ10を凹部23内に係合させ、タブが凹部23の取付けセクション25内となるように、上部3と下部4とを互いに対しそれらの中心軸の周りに回転させることによって、互いに取付けられる。
【0044】
円周方向に延在するスロット(図示せず)が、下部4の上面8と上部3の下面との対向する外側セクションの間のカットツール収容空間29の外縁に沿って延在する。このスロットは、カットツール5の支持要素33を摺動可能に収容され、軸受平面を形成するように構成される。この軸受平面に沿って、カットツール5の支持要素33は摺動可能であるが、支持要素が軸方向に移動しないようにする。同様に、軸受平面を形成する対向する環案内面が、上部ボア13と下部ボア26の開口部の周りに画定される。この軸受平面に沿って、カットツール5の支持環34は摺動可能であるが、支持環が軸方向に移動しないようにする。
【0045】
図3及び
図4を参照するに、加工領域43が、カットツール収容空間29内に画定される。加工領域43は、ハウジング2内に入れられた未加工食料品が受け取られるカットツール収容空間29内の空間として画定される。本実施形態では、加工領域43は、上部3の開口部28より下方に軸方向に突出し、カットダイスユニット16まで延在するボリュームによって画定される。加工領域43の範囲は、開口部28の外縁によって実質的に決定されるが、当然ながら、食料品は、開口部28の外縁から少し外側にも散在する。
【0046】
当然ながら、加工領域43の軸方向に突出したボリュームの面積は、カットダイスユニット16の面積によって包含されるので、加工領域内の食料品は、回転するカットツール5によってカットダイスユニット16に対してかつ当該ユニットを通過するように付勢される。更に、当然ながら、軸方向における加工領域の面積は、カットダイスユニット16の面積よりも小さい。
【0047】
カットツール収容空間29内に、回復領域45が更に画定される。回復領域45は、カットツール5がカットツール収容空間29の周りを、(
図4に示されるように)カットツール5の後方エッジ31が加工領域43から出る状態と(
図3に示されるように)カットツールのカットエッジ35が加工領域43へと入る状態の間で、回転させられるときのカットツール5の経路の一部分として画定される。カットツール5の後方エッジ31は、加工領域43から出ると、加工領域43に入れられた未加工食料品にはもはや接触しておらず、したがって、カットツール5は、未加工食料品の動きによる移動の制限がなくなり、カットツール収容空間29内を自由に回転することができる。カットツール5のカットエッジ35は、加工領域43に入ると、加工領域内に入れられた未加工食料品に接触する。未加工食料品は、カットツール5の回転に抵抗する。
【0048】
当然ながら、回復領域のサイズは、加工領域のサイズによって決定される。本実施形態では、回復領域45は、カットツール5が回転するときに加工領域43から出る後方エッジ31と加工領域43に入るカットエッジ35との間に約270度の角度を有する。
【0049】
以下において、図面を参照して装置の動作が説明される。カットツール5が、カットツール収容空間29内に挿入され、取付け要素30として機能するシャフトが、下部4の下部ボア13内に収容される。シャフトは、下部ボア13内で自由に回転することができるので、カットツール5も、ハウジング2の下部4周りを自由に回転することができる。次に、ハウジング2の上部3が、下部4に近付けられ、上部3の一部が下部4に重なり、回転軸の周りを下部4に対して回転されると、タブ10が凹部23に係合することによって、下部4に取付けられる。
【0050】
上部3が下部4に引き合わせられると、取付け要素30として機能するシャフトが、上部ボア26内に収容され、支持要素33が上部3と下部4との間に画定された円周方向に延在するスロット内に収容される。
【0051】
ハウジング2が組み立てられると、カットツール5は、カットツール収容空間29内でその回転軸の周りを自由に回転することができる。カット要素32が、カットツール5の回転軸から半径方向外側に延在する。更に、ハウジング内に食料品を入れる差込口を画定する開口部28が、カットダイスユニット16の上方に配置され、カットツール収容空間29の加工領域43が、開口部28とカットダイスユニット16との間に画定される。
【0052】
次に、駆動ユニット(図示せず)が、駆動ユニット係合手段39に係合され、カットツール5を、ハウジング2のカットツール収容空間29内で回転させるように動作される。カットツール5は、カットツール収容空間29内で回転し、1回転につき1回、加工領域43を通過する。カットツール5は、下部4の上面8と上部3の下面との間で摺動する支持環34と、円周方向に延在するスロット内を摺動する支持要素33とによってハウジング2内で案内されかつ支持される。
【0053】
次に、未加工食料品が、開口部28を通りハウジング2内に入れられ、加工領域43内に収容される。カットツール5が、カットツール収容空間29内で回転し、回転軸周りの経路をたどる。カットツール5のカットエッジ35が加工領域43に入ると、カットツール5は、加工領域43内に収容されている未加工食料品に接触する。加工領域43を通り回転するときのカット要素32の食料品をカットする動作によって、抵抗力がカットツール5に作用し、また、ウェッジ要素36が、カットダイスユニット16に対してかつ当該ユニットを通るようにカットされた食料品を付勢するように当該カットされた食料品に作用し、装置のさいの目に切る動作が完了する。したがって、カットツール5の経路は、カットツール5が加工領域43を通過するときに、食料品によって制限され、また、駆動ユニットとして機能する手持ち式ブレンダは限られたトルクを有するため、カットツール5の回転速度は、カットツールにかかる負荷によって減少される。
【0054】
カットツール5のカットエッジ35は、カットツール5の幅によって、取付け要素30から延在するカットツール5の半径方向の線からずれている。したがって、カットツール5は、カットツール5が回転するときに、カットツール5の経路の横断方向に食料品を薄切りにする動作も提供する。
【0055】
カットツール5の後方エッジ31が、カットツール5が回転するときに、加工領域43から出ると、カットツールは、
図4に示されるように、回復領域45に入る。したがって、カットツール5に作用する、加工領域43内に収容されている未加工食料品の抵抗力が取り除かれる。この結果、カットツール5は、カットエッジ35が加工領域43内に戻るまで、カットツール収容空間29内の回復領域45内で自由に回転する。当然ながら、カットツール5、したがって、駆動ユニットへの負荷は、未加工食料品の抵抗力と、カットツール5が加工領域43内で回転するときの加工領域43の放射角(radial angle)とによって決定される。
【0056】
駆動ユニットの負荷が、加工領域43内のカットツール5に作用する食料品の抵抗力によって増加すると、カットツール5及び駆動ユニットの回転速度は、カットツール5の推進力が減少するため、減少する。カットツール5の後方エッジ31が、加工領域43から出ると、加工領域43内の未加工食料品の抵抗力は取り除かれるので、カットツール5及び駆動ユニットに作用する負荷も減少する。したがって、カットツール5の回転速度は、加工領域43以外のカットツール5の経路によって画定される回復領域45において回復する。当然ながら、カットツール5が回復領域45を通過する回転角度は、カットツール5がその回転速度を回復するのに十分であるため、カットツール5のカットエッジ35は、カットツール5の各回転につき、加工領域43に入るときに同じ回転速度を有する。
【0057】
上記を考慮すると、さいの目に切るマシンといった食料品を加工する装置を動作させるために低いトルクを生成する電動モータを有する手持ち式ブレンダを使用することが可能となる。
【0058】
当然ながら、カットツール5は、その回転速度を回復し、フル推進力を得るためには、回復領域45内で相当な回転角度を通過しなければならない。カットツール5が、加工領域43を離れるときから加工領域43内に再び入る前までに小さい回転角度しか通過できないのであれば、カットツール5及び駆動ユニットは、更に速度を失い、カットツール5に作用する負荷によってすぐにカットツール5の回転が阻止されてしまう。例えば、当然ながら、直径方向に延在するカット要素を有するカットツールは、加工領域43から出て、非常に小さい回転角度を通過した後に加工領域43に再び入ることになるため、そのフル推進力を取り戻すことができない。
【0059】
上述した例示的な実施形態では、食料品をカットする装置は、食料品をさいの目に切るように構成されているが、当然ながら、本発明は、これに限定されず、当該装置は、例えば薄切りにする動作、みじん切りにする動作、切る動作、さいの目に切る動作、押しつぶす動作、又は、磨りつぶす動作によって別の方法で食料品を加工するように構成されてもよい。
【0060】
上述した例示的な実施形態では、取付け要素30は、上部3の上部ボア26及び下部4の下部ボア13内に収容されるシャフトであるが、代替実施形態では、シャフトが、ハウジング2の下部4に回転可能に取付けられ、カットツールの取付け要素が、シャフト上を摺動しシャフトに係合するボアを有する。したがって、そのシャフトが回転されると、カットツールは、取付け要素から伝わるトルクを介してシャフトと共に回転される。
【0061】
当然ながら、「含む」との用語は、他の要素又はステップを排除するものではなく、不定冠詞「a」又は「an」は複数形を排除するものではない。単一のプロセッサ又は他のユニットが、特許請求の範囲に記載される幾つかのアイテムの機能を発揮する。特定の手段が相互に異なる従属項に記載されるからと言って、それらの手段の組み合わせを有利に使用することができないことを示すものではない。請求項における任意の参照符号は、請求項の範囲を限定するものと解釈すべきではない。
【0062】
本願では、請求項は、特定の特徴の組み合わせに対し作成されているが、本発明の開示の範囲は、本明細書に明示的に若しくは黙示的に開示されている任意の新規の特徴若しくは任意の新規の特徴の組み合わせ、又は、任意の請求項において現在クレームされているものと同じ発明に関連するか否かに関わらず若しくは本発明が軽減する技術的課題と同じ技術的課題の何れか若しくはすべてを軽減するか否かに関わらず、当該特徴の一般化も含む。出願人は、本願の又は本願から導出される任意の更なる出願の審査手続きの間に当該特徴及び/又は特徴の組み合わせに対し新しい請求項が作成されてもよいことを、ここに、告示する。