(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記還元剤タンクと前記排ガス処理装置とを接続する還元剤搬送管が、前記エンジンの機体横幅方向外方側箇所を通過する状態で備えられている請求項6又は7に記載のコンバイン。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記排ガス処理装置は、還元剤タンクに貯留される還元剤(尿素水)を排ガス中に供給して選択触媒還元(SCR)を用いて還元処理することで排ガス中に含まれる窒素酸化物を低減させるようにしたものである。そして、タンクに貯留される還元剤(尿素水)は、エンジンが作動するに伴って消費されるので、残量が少なくなると補充する必要がある。
【0005】
しかし、上記従来構成では、タンクがエンジンの機体後部側における機体内方側に入り込んだ箇所に設置されているので、還元剤を補充する作業が行い難いという不利な面があった。例えば、特許文献1に記載の構成では、タンクの機体外方に臨む箇所には、脱穀装置のフィードチェーンが存在しており、タンクの横側外方側を大きく開放させることができないので、還元剤の補充作業が行い難いものとなっていた。
【0006】
そこで、還元剤タンクに対する還元剤の補充作業を容易に行えるようにすることが望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るコンバインの特徴構成は、機体前部側に位置する運転部と、前記運転部の下方に位置する原動部と、前記原動部に備えられたエンジンの排ガス中に含まれる窒素酸化物を低減する排ガス処理装置と、
前記原動部に設けられ、前記排ガス処理装置に供給するための還元剤を貯留する還元剤タンクと、
前記原動部に設けられ、前記還元剤タンクに貯留される還元剤を前記排ガス処理装置に送給するポンプと、が備えられ、前記運転部は、前記原動部の上方を覆うように機体内方側に位置する通常姿勢と前記原動部の上方を開放するように機体外方側に張り出すメンテナンス姿勢とに亘って、上下向きの軸芯回りに揺動可能に機体フレームに支持され、前記機体フレームに、前記通常姿勢のときの前記運転部の床部を支持する支持フレームが立設され、前記還元剤タンクが、
前記原動部における前記エンジンよりも機体前部側に備えられ
、前記ポンプが、前記原動部において、平面視で前記エンジンと前記還元剤タンクとの間に配置された状態で、前記支持フレームに支持されている点にある。
【0008】
本発明によれば、機体前部側に位置する運転部の下方に原動部が備えられ、その原動部にエンジンが備えられる。つまり、エンジンは運転部の下方に位置することになる。そして、このエンジンよりも機体前部側に還元剤タンクが備えられる。
【0009】
運転部は、エンジンの上方に運転座席を備え、その運転座席に運転者が着座するようになっており、このような運転部の下方側は空き領域になっている。そこで、この運転部の機体前部側箇所の下方に位置する空き領域を利用して還元剤タンクを配備している。
【0010】
運転部は、機体横側箇所に、運転者が乗り込むための空間が形成されており、しかも、床部の上方側は運転者が足を置くために開放されている。つまり、還元剤タンクが収納される運転部の外方側箇所には、他の装置が備えられることがなく開放された空間となっている。そこで、還元剤タンクを運転部の下方であってエンジンの機体前部側に位置させることで、還元剤の補充作業が行い易いものになる。
【0011】
従って、本発明によれば、還元剤タンクに対する還元剤の補充作業を容易に行えるようにすることが可能となった。
また、ポンプは、エンジンと還元剤タンクとの間のスペースを有効に利用して配備され、しかも、エンジンに近い位置に備えられる排ガス処理装置に向けて還元剤を効率よく送給することができる。
【0012】
本発明においては、前記還元剤タンクが、前記運転部の床部の下方側に備えられていると好適である。
【0013】
本構成によれば、運転者が載置するために支持強度の大きい運転部の床部によって還元剤タンクの上方を保護することができる。還元剤タンクは、上方側が大きく開放されている運転部の床部の下方側に備えられるので、機体外側部から還元剤の補充作業を行う場合に、床部の上方側から作業することが可能であり、作業が行い易いものとなる。
【0014】
本発明においては、前記還元剤タンクに対する点検用開口が、前記原動部の横側部に形成されていると好適である。
【0015】
本構成によれば、運転部の機体横側箇所の外方側は、運転者が乗り込むために開放されている。そして、原動部の横側部に点検用開口が形成されているので、機体外方側から還元剤の補充作業を行う場合、作業の邪魔になるものが無い状態で容易に作業を行うことができる。
【0016】
本発明においては、前記還元剤タンクに対する点検用開口が、前記運転部の床部に形成されていると好適である。
【0017】
本構成によれば、運転部における床部の上方側は運転者が足を置くために開放されている。そして、運転部の床部に点検用開口が形成されているので、機体外方側から還元剤の補充作業を行う場合、作業の邪魔になるものが無い状態で容易に作業を行うことが可能となる。
【0018】
本発明においては、前記点検用開口を覆う作用状態と前記点検用開口を開放する開放状態とに切り換え可能な蓋体が備えられていると好適である。
【0019】
本構成によれば、還元剤を補充するときは、蓋体を開放状態に切り換えて点検用開口を開放することで、この点検用開口を通して還元剤の補充作業を行うことができる。そして、補充作業が終了したのちは、蓋体により点検用開口を覆うことで、作業に伴って発生する塵埃等が還元剤タンクに降りかかることを防止できる。
【0020】
本発明においては、前記排ガス処理装置が、前記エンジンよりも機体後方側に備えられていると好適である。
【0021】
本構成によれば、エンジンからの排ガスがエンジンよりも機体後方側に位置する排ガス処理装置に送られて、排ガス中に含まれる窒素酸化物を低減する処理が行われる。排ガ処理装置を設置するにあたり、例えば、排ガス処理装置をエンジンの機体横側に備えるものでは、エンジンの横側に位置する刈取部や穀稈搬送装置との干渉を避けるために、機体各部の装置の配置構成を変更する等の大幅な構造改良が必要であるが、エンジンよりも機体後方側に位置することで、エンジンの後方側の領域を利用して、他の装置の配置構成を変更することなく排出ガス処理装置を配備することが可能である。
【0022】
本発明においては、前記運転部の後方に位置する状態で穀粒タンクが備えられ、前記排ガス処理装置が、前記穀粒タンクの前部下方に備えられていると好適である。
【0023】
本構成によれば、排ガス処理装置が穀粒タンクの前部下方に位置するので、排ガス処理装置の上方を穀粒タンクが覆うことになる。その結果、刈取作業に伴って発生するワラ屑等の塵埃が排ガス処理装置に降りかかることを回避できる。
【0024】
排ガス処理装置は、エンジンの排ガスが内部を通流することで高温になるおそれがあるが、本構成によれば、この排ガス処理装置にワラ屑等が降りかかり堆積することのない良好な状態で収穫作業を行うことができる。
【0025】
本発明においては、前記還元剤タンクと前記排ガス処理装置とを接続する還元剤搬送管が、前記エンジンの機体横幅方向外方側箇所を通過する状態で備えられていると好適である。
【0026】
本構成によれば、エンジンの機体横幅方向外方側箇所に還元剤搬送管が備えられる。この還元剤搬送管が備えられる箇所は機体横幅方向外端部から近い位置にあるので、機体外方側から作業を行う場合に手が届き易い。従って、還元剤搬送管の点検修理等のメンテナンス作業が行い易いものとなる。
【0027】
【0028】
【0029】
本発明においては、前記ポンプが、機体フレームに支持されたブラケットに取り付けられていると好適である。
【0030】
本構成によれば、ポンプを機体フレームに対して安定的に支持することができる。
【0031】
本発明においては、エンジン冷却用のラジエータに循環供給されるエンジン冷却水が循環通流する冷却水通流路が、前記還元剤タンクの内部を通過する状態で備えられていると好適である。
【0032】
本構成によれば、冷却水通流路を通してエンジン冷却水を循環通流させると、冷却水通流路は還元剤タンクの内部を通過するので、還元剤タンクに貯留されている還元剤が加熱される。
【0033】
その結果、エンジン冷却水の熱を有効に利用することにより、例えば、電気式加熱器等の専用の加熱装置を備えて構成を複雑化させることなく、寒冷地等で使用する場合であっても還元剤の凍結を防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の実施の形態を自脱型のコンバインに適用した場合について図面に基づいて説明する。
【0036】
〔全体構成〕
図1,2,3に示すように、本発明に係るコンバインは、左右一対のクローラ走行装置1,1によって自走する走行機体の前部に植立穀稈を刈り取る刈取部2が備えられている。走行機体の前部右側にキャビン3にて周囲が覆われた運転部4が備えられ、走行機体の後部には、刈取部2にて刈り取られた穀稈を脱穀処理する脱穀装置5と、脱穀処理にて得られた穀粒を貯留する穀粒タンク6とが、横方向に並ぶ状態で備えられている。走行機体の運転部4における運転座席7の下方に位置する状態で原動部8が備えられ、穀粒タンク6に貯留された穀粒を機外に排出するアンローダ9が備えられている。尚、この実施形態では、機体の左右方向は、機体前進方向での進行方向視を基準にして右側又は左側を規定する。具体的には、
図3において、刈取部2が位置する箇所が機体前部であり、脱穀装置5が位置する側が機体左側であり、穀粒タンク6が位置する側が機体右側に対応する。
【0037】
刈取部2は、刈取対象となる植立穀稈の株元を分草案内する分草具10と、分草された植立穀稈を縦姿勢に引き起こす複数の引き起こし装置11、引き起された植立穀稈の株元を切断するバリカン型の刈取装置12、刈取穀稈を縦姿勢から徐々に横倒れ姿勢になるように姿勢変更しながら後方に搬送する縦搬送装置13等を備えている。
【0038】
刈取部2は、機体フレーム14から延出された刈取部フレーム15にて全体が支持されている。刈取部フレーム15は、機体フレーム14に横軸芯周りで揺動自在に支持され且つ機体前方向きに延設されている。この刈取部フレーム15が昇降シリンダ16によって揺動操作されることにより、分草具10が地面近くに下降した下降作業状態と、分草具10が地面から高く上昇した上昇非作業状態とに昇降操作することができる。
【0039】
刈取部2を下降作業状態にして走行機体を走行させることにより、刈取部2は、刈取対象の植立穀稈を分草具10によって後方の引き起こし装置11に導入して引き起し処理する。そして、引き起し処理される植立穀稈をバリカン形の刈取装置12によって刈取処理し、刈取穀稈を縦搬送装置13によって後方に搬送して脱穀装置5の脱穀フィードチェーン5aに供給する。
【0040】
脱穀装置5は、供給された刈取穀稈の株元側を脱穀フィードチェーン5aによって機体後方向きに挟持搬送しながら、穂先側を扱室に供給して脱穀処理する。図示はしないが、扱室にて脱穀処理された後の処理物が下方の選別部にて穀粒とワラ屑等に選別され、穀粒は、図示しない一番物搬送スクリューにより脱穀装置5の右横側外方に搬出されたのち、揚穀コンベア17により揚送されて穀粒タンク6内部に搬送される。穀粒タンク6は、脱穀装置5から送り込まれる穀粒を貯留する。その後、穀粒タンク6に貯留された穀粒は、アンローダ9により外部に搬出される。
【0041】
図3に示すように、運転部4は、キャビン3を備えるとともに、運転座席7、運転座席7の前方に位置するフロントパネル18、このフロントパネル18と運転座席7との間に位置する床部19、運転座席7の刈取部2側の横側方に位置するサイドパネル20等を備えている。運転座席7は、原動部8に備えられたディーゼル型式のエンジン21の上方を覆うエンジンボンネット22の上部に支持されている。
【0042】
図13に示すように、エンジンボンネット22は、エンジン21の機体前方側に位置する前板部22a、エンジン21の機体上方側に位置する天板部22b、天板部22bの後方に連なる状態で運転座席7の後方に形成された給気室構成部22c等を備えており、機体横方向での内向きと機体下方向きとに開口したエンジンルームを形成している。
【0043】
図3に示すように、運転部4は、エンジンボンネット22と一体的に、左後部側の上下軸芯Y1周りで揺動開閉自在に機体フレーム14に支持されている。すなわち、
図6に示すように、エンジンボンネット22、フロントパネル18、サイドパネル20、床部19、運転座席7、キャビン3等が一体的に連結されて運転部構造体23が形成されている。
【0044】
図4〜6に示すように、運転部4の左後部側箇所において、機体フレーム14から縦向き支持体としての角筒状の支柱24が立設されている。
運転部構造体23は支持部25を介して上下軸芯Y1周りで揺動自在に支柱24に支持されている。支持部25は、運転部構造体23の機体後方側の機体横幅方向内方側端部から後方に延設されるアーム部25aと、そのアーム部25aの後端部に連結された上下向きに貫通孔を有する枢支ボス部25bとを備えている。枢支ボス部25bが、支柱24の上端側に設けられた枢支軸部24a(
図11参照)に回転自在に外嵌支持されている。枢支ボス部25bの上端は、脱穀装置5の右壁に支持されたブラケット5bによって回動自在に支持されている。支柱24は、エンジンボンネット22及びキャビン3等の大型の構造物を回動自在に支持するのに必要な支持強度を有している。
【0045】
従って、運転部構造体23が上下軸芯Y1周りで回動自在に支持され、
図3の実線に示すように、運転部構造体23が、原動部8の上方を覆うように機体内方側に位置する通常姿勢と、
図3の二点鎖線で示すように、原動部8の上方を開放するように機体外方側に張り出すメンテナンス姿勢とに切り換え自在に構成されている。メンテナンス姿勢に切り換えることにより、原動部8の上方が大きく開放されるので、原動部8のメンテナンス作業が行い易いものとなる。
【0046】
図15に示すように、穀粒タンク6は、底部が正面視で略V字形の下窄まり状に形成さ、穀粒タンク6の最下端部には、タンク内に貯留している穀粒を機体後部側外方に搬送する搬送スクリュー26が備えられている。搬送スクリュー26にて機体後部側外方に搬送された穀粒は、アンローダ9によって搬送されて機体外方に排出される。
【0047】
図1に示すように、アンローダ9は、搬送スクリュー26にて搬送された穀粒を上方に向けて縦送り搬送する縦送りスクリューコンベア27と、その縦送りスクリューコンベア27の上部に接続されるとともに、穀粒を先端の排出口28まで横送り搬送する横送りスクリューコンベア29とを備えている。アンローダ9は、縦送りスクリューコンベア27の中心軸である縦軸芯Y2周りで旋回自在に設けられ、図示しない旋回モータの駆動によって横送りスクリューコンベア29が機体内方側に収納されて機体上部側に位置する収納位置と、機体横外側方に張り出す排出位置とにわたって旋回自在に設けられている。
【0048】
〔穀粒タンク〕
穀粒タンク6について説明する。
図12,13,15に示すように、穀粒タンク6は、機体正面視で下窄まり状に形成されるとともに、下窄まり状の底部傾斜面部分6aにおける機体前部側に、平面視で略矩形状で且つ機体正面視で略菱形の第1凹入部Q1が形成されている。第1凹入部Q1は、縦向き前後向き姿勢の内側縦面6b、縦向き姿勢で且つ内側縦面6bの前端から機体内側ほど機体前部側に位置する傾斜姿勢の後側縦面6c、底部傾斜面部分6aと略平行な斜め姿勢の上側面6dの各面により囲われた凹入部となっている。この第1凹入部Q1には、後述する第2排ガス処理装置47が入り込む状態で配備される。
【0049】
第1凹入部Q1の上側には、脱穀装置5の右側壁に近接する状態で位置する縦向き姿勢の前部左側面6eと、その前部左側面6eの上端部から脱穀装置5の上方に向けて斜め左方向上方に延びる上部斜面6fと、その上部斜面6fの上端部から上方に延びる縦向き姿勢の延長側縦面6gと、前面側に位置する前部面6h、及び、後部側に位置する後部面6iにより形成される膨出部6Aが形成されている。このように脱穀装置5の上方に向けて膨出する膨出部6Aを形成することで、穀粒貯留量を多くすることができるようにしている。
【0050】
第1凹入部Q1の機体後方側に連なり、機体後部側ほど上方に位置する状態で凹溝としての第2凹入部Q2が形成されている。第2凹入部Q2は、底部傾斜面部分6aの上端部から縦向きに形成された右側縦面6jからタンク内方側に入り込んだ状態で形成される内奥側縦面6k、機体後部側ほど上方に位置する斜め姿勢の底部面6l、機体後部側ほど上方に位置する斜め姿勢の上部面6mの各面により囲われた溝状に形成されている。この第2凹入部Q2には、後述する排気管92が入り込む状態で配備される。
【0051】
第2凹入部Q2の機体後方側に連なり、且つ、上下方向に沿って延びる状態で第3凹入部Q3が形成されている。第3凹入部Q3は、穀粒タンク6の右側部において、底部傾斜面部分6aからタンク上端部に亘って上下方向に長く、且つ、タンク内方側(機体右側)に凹入する状態で形成されている。第3凹入部Q3は、膨出部6Aの後部面(前部側縦面)6i、後部側に位置して機体左側ほど機体後部側に位置する傾斜姿勢の後部側縦面6n、及び、最内奥側に位置する幅狭の内奥側縦面6oにより囲われて形成されている。この第3凹入部Q3には、揚穀コンベア17が入り込む状態で配備される。
【0052】
第3凹入部Q3の機体後方側に連なり、且つ、第2凹入部Q2の後部側縦面6n、及び、後部側の左側面6pの下部側箇所を切り欠く状態で、且つ、平面視で略菱形(
図14参照)の第4凹入部Q4が形成されている。第4凹入部Q4は、縦向き前後向き姿勢の内側縦面6q、縦向き姿勢で且つ内側縦面6qの前端から機体内側ほど機体前部側に位置する傾斜姿勢の後側縦面6r、底部傾斜面部分6aと略平行な斜め姿勢の上側面6sの各面により囲われた凹入部となっている。この第4凹入部Q4には、脱穀装置5の選別部にて発生する枝付き籾等の2番物を扱室に還元する2番還元装置(図示せず)が入り込む状態で配備される。穀粒タンク6の後部左側箇所には、図示しない排ワラ搬送装置の通過を許容するための第5凹入部Q5が形成されている。
図13に示すように、後部側の左側面6pと後面側に位置する後部面6tとにわたって、機体後部側ほど機体右側に位置する傾斜姿勢の傾斜面6uを備えて、第5凹入部Q5が形成されている。
【0053】
前部左側面部6eと後部側の左側面6pとは、機体左右方向に略同じ位置に設けられ、膨出部6Aの延長側縦面6gは、前部左側面6eと後部側の左側面6pよりも機体右方向に突出する位置に設けられている。第2凹入部Q2の内奥側縦面6kと、第4凹入部Q4の内側縦面6qとは、機体左右方向に略同じ位置に設けられている。
【0054】
図3に示すように、穀粒タンク6は、縦送りスクリューコンベア27の回転軸芯である
縦軸芯Y2周りで回動自在に支持され、機体内方側に引退する通常作業位置(
図3の実線で示す状態)と、機体横側外方に張り出すメンテナンス位置(
図3の2点鎖線で示す状態)とにわたって姿勢変更自在に設けられている。運転部構造体23をメンテナンス姿勢に切り換えるときは、穀粒タンク6をメンテナンス位置に切り換えておく必要がある。
【0055】
〔原動部〕
以下、原動部8について説明する。
図5〜7に示すように、原動部8には、エンジンボンネット22に内装される状態でエンジン21が備えられ、このエンジン21は、クランク軸方向が機体横方向となる搭載姿勢で、弾性支持体としてのゴム式マウント機構30を介して機体フレーム14に搭載して支持されている。
【0056】
図7に示すように、エンジンボンネット22の機体横外側端部に吸気壁31が備えられている。エンジン21とその吸気壁31との間に、エンジン21に冷却水循環パイプ32を介して接続されたエンジン冷却用のラジエータ33が、機体フレーム14に支持される状態で備えられている。ラジエータ33とエンジン21の間に冷却ファン34が設けられ、循環する冷却水を冷却ファン34が供給する風により冷却させてエンジン21の冷却を行うように構成されている。
【0057】
吸気壁31は、エンジンボンネット22に連結された支持枠体35と、この支持枠体35に対して開閉自在に支持される防塵部36とを備える。防塵部36は、防塵部36の後端部に設けられた図示しないヒンジを介して上下軸芯周りで開閉自在に支持枠体35に支持される周枠36aと、この周枠36aに張設された除塵体に兼用の多孔状の吸気板36bとを備えている。
【0058】
図1〜4に示すように、キャビン3の天井部3aの後方近くに、天井部3aに支持される状態でプレクリーナ38が設けられ、運転座席7の後方に形成された給気室構成部22cにエアクリーナ39が設けられている。
図7に示すように、エンジンボンネット22の内部のエンジン21上部の機体前方側付近には過給機40が備えられ、エンジンボンネット22の内部の吸気壁31とラジエータ33との間にはインタークーラ41が備えられている。
【0059】
過給機40をエンジン21が排出する排ガスによって駆動し、外部の空気をプレクリーナ38及びエアクリーナ39にて除塵を行い、この除塵後の空気を過給機40に吸引させて圧縮空気を発生させ、この圧縮空気をインタークーラ41に送り込んで冷却処理を行い、冷却後の圧縮空気をエンジン21に燃焼用空気として供給する。
【0060】
図4,7,8に示すように、吸気壁31とラジエータ33との間には、油圧式無段変速装置(HST)に供給する作動油を冷却するための第1オイルクーラ42、ミッションケースに備えられた図示しない油圧クラッチ等の油圧装置に供給する作動油を冷却するための第2オイルクーラ44が備えられている。吸気壁31とラジエータ33との間には、第2オイルクーラ44の前部側に隣接する状態で、第2オイルクーラ44に対する作動油通路に介装されるオイルフィルター45が備えられている。
【0061】
原動部8には、エンジン21の排ガス中に含まれる粒子状物質を低減する第1排ガス処理装置46と、その第1排ガス処理装置46にて処理された後の排ガス中に含まれる窒素酸化物を低減する第2排ガス処理装置47とが備えられている。
【0062】
第1排ガス処理装置46は、排ガスに含まれるディーゼル微粒子を捕集する公知技術であるディーゼル微粒子捕集フィルター(DPF)(図示せず)を備え、排ガスが通過することによって微粒子を減少させるように排ガスの浄化処理を行う。
【0063】
第2排ガス処理装置47は、公知技術である選択触媒還元(SCR)を利用した処理装置であり、具体的には、還元剤の一例である尿素水を排ガス中に噴射して加水分解させてアンモニアを生成し、そのアンモニア(NH3)と排ガスに含まれる窒素酸化物(NOx)とが化学反応して、窒素(N2)と水(H2O)とに還元させることで排ガス中に含まれる窒素酸化物を低減させるように排ガスの浄化処理を行う。
【0064】
〔第1排ガス処理装置〕
第1排ガス処理装置46について説明する。
図5〜8に示すように、第1排ガス処理装置46は、エンジンボンネット22の内部に配備されており、これの全体が運転座席7に対して刈取部2側すなわち機体横幅方向内方側に偏倚しており、サイドパネル20の下方であって、且つ、エンジン21の上部における機体横幅方向内方側箇所に配備されている。
【0065】
第1排ガス処理装置46は、機体前後両側部に位置する一対の支持部48,49によって、エンジン21の上部に位置する状態で、かつ、長手方向が機体前後方向に沿う状態でエンジン21に連結支持されている。一対の支持部48,49は、エンジン21のクランク軸21aに対して機体前後両側に分散配置して備えられている。
【0066】
第1排ガス処理装置46は、機体前部側の下側箇所に排ガス導入口50が備えられ、機体後部側の右側箇所に排ガス出口部51が備えられている。排ガス導入口50が、過給機40から延出されたエンジン21側の排気管52に接続されている。
【0067】
〔第2排ガス処理装置〕
第2排ガス処理装置47について説明する。
図3〜6に示すように、第2排ガス処理装置47は、エンジンボンネット22の外側に位置するように、平面視で運転部4の機体後方側に位置する状態で備えられている。第2排ガス処理装置47は、穀粒タンク6の前部下方に位置するとともに、平面視で穀粒タンク6と重複する状態で配備されている。
【0068】
上述したように、穀粒タンク6は、正面視で下窄まり状に形成され、且つ、その下窄まり状の底部傾斜面部分6aにタンク内方に向けて凹入する第1凹入部Q1が形成されている。そして、第2排ガス処理装置47が、その第1凹入部Q1に入り込む状態で配備されている。第2排ガス処理装置47は、長手方向が上下方向に沿う状態で縦置き姿勢にて配備されている。
【0069】
図4〜8に示すように、第2排ガス処理装置47は、第1排ガス処理装置46から供給される排ガスに対して尿素水が噴射供給される円筒形状のドージング部56と、ドージング部56よりも大径の円筒形状であって且つ還元処理を行う本体処理部57とを備えている。ドージング部56と本体処理部57とは、下部において一体的に連結され、その連結箇所において、ドージング部56において尿素水が噴射供給された排ガスが本体処理部57に供給されるように両者が連通接続されている。
【0070】
本体処理部57は円筒形状の中心軸に沿う方向が機体上下方向に沿う姿勢で配備されている。円筒形状のドージング部56は、本体処理部57に対して機体右側に位置して、本体処理部57に平行に並ぶ状態で、円筒形状の中心軸に沿う方向が機体上下方向に沿う姿勢で配備されている。従って、第2排ガス処理装置47は、長手方向すなわち、円筒形状の本体処理部57及びドージング部56の円筒形状の中心軸に沿う方向が上下方向に沿う状態で縦置き姿勢にて配備されている。
【0071】
第2排ガス処理装置47は、上部側の連結支持部58及び下部側の連結支持部59にて支柱24の上部側箇所及び下部側箇所の夫々に支持されている。
【0072】
上部側の連結支持部58について説明する。
図11に示すように、上部側の連結支持部58は、支柱24に一体的に連結された上部側連結ブラケット60を備えている。上部側連結ブラケット60は、機体横方向に長い帯状の縦向き連結部60aと、機体横方向に長い帯状の横向き連結部60bとを備えて断面L字形の板体にて構成されている。上部側連結ブラケット60には、支柱24が入り込む切欠き凹部60cが形成され、この切欠き凹部60cに広い接触面積で接当する状態で支柱24が溶接にて一体的に連結されている。上部側連結ブラケット60の横向き連結部60bにおける長手方向すなわち機体横方向に離間した2箇所に連結ボルト61が溶接固定されている。連結ボルト61は、頭部が下側に位置しネジ部が上側に位置する上向き姿勢で備えられている。
【0073】
本体処理部57の上部側の外周部に径方向外方に突出する状態で一体的に板状支持部62が形成されている。この板状支持部62が、上部側連結ブラケット60の上方側に載置された状態で、上部側連結ブラケット60と板状支持部62とが一対の連結ボルト61により連結されている。板状支持部62の上下両側から挟み込む状態で上下一対の補強用板体63が備えられ、ボルト連結箇所の支持強度を高めている。
【0074】
一対の連結ボルト61のうちドージング部56に近い側の連結ボルト61は、上部側連結ブラケット60及び板状支持部62に加えて、ドージング部56を支持するための支持ブラケット64を共締めする状態で締結されている。支持ブラケット64は、後述する配管接続箇所に連結される。
【0075】
次に、下部側の連結支持部59について説明する。
図11に示すように、下部側の連結支持部59は下部側連結ブラケット66を備えている。この下部側連結ブラケット66は、機体側面視で略U字形の板体にて構成され、支柱24の右側部に溶接にて一体的に固定して右側方に向けて片持ち状に延設されている。
【0076】
本体処理部57の下部側の外周部には、上部側の板状支持部62と同様に、径方向外方に突出する状態で一体的に板状支持部67が形成されている。この板状支持部67と側面視L字形の取付用板体68とが上下方向に沿う一対の連結ボルト69にて連結されている。そして、取付用板体68が、前後方向に沿う一対の連結ボルト70にて下部側連結ブラケット66に連結されている。
【0077】
第2排ガス処理装置47を支柱24に取り付けるときは、下部側の板状支持部67と取付用板体68とを予め上下向き連結ボルト69にて連結しておく。そして、上部側の板状支持部62を、上下向きの連結ボルト61を挿通させながら上部側連結ブラケット60に載置して、連結ボルト61にナットを締め付けて連結する。下部側の取付用板体68を下部側連結ブラケット66に当て付けて、前後向きの一対の連結ボルト69にナットを締め付けて連結する。上部側の連結支持部58と同様に、板状支持部67の上下両側から挟み込む状態で上下一対の補強用板体63が備えられ、ボルト連結箇所の支持強度を高めている。
【0078】
図6に示すように、第1排ガス処理装置46には、機体後部側の機体右側(機体横幅方向外方側)に位置する状態で排ガス出口部51が形成されている。一方、第2排ガス処理装置47には、本体処理部57に対して機体右側(機体横幅方向外方側)に位置するドージング部56の上部側箇所に排ガス供給部54が形成されている。
【0079】
第1排ガス処理装置46の排ガス出口部51と、第2排ガス処理装置47の排ガス供給部54とが接続部材としての連通接続管65を介して連通接続されている。連通接続管65は、第1排ガス処理装置46の排ガス出口部51にフランジ連結されるとともに、第2排ガス処理装置47の排ガス供給部54にフランジ連結される。
【0080】
連通接続管65と第2排ガス処理装置47における排ガス供給部54とのフランジ連結箇所に支持ブラケット64が共締め連結されている。従って、この連結によってドージング部56の上部箇所が本体処理部57に支持されている。
【0081】
連通接続管65は可撓性を有する筒体にて構成されている。具体的には、途中部に蛇腹形状の筒体である蛇腹管65Aを備えており、撓み変形が可能な構成となっている。蛇腹管65Aを備えることにより、エンジン21の振動が第2排ガス処理装置47に伝わるのを防止して、第2排ガス処理装置47を安定した状態で支持するようにしている。
【0082】
つまり、エンジン21がゴム式マウント機構30を介して機体フレーム14に支持され、且つ、上述したように第1排ガス処理装置46がエンジン21に連結支持されるのに対して、第2排ガス処理装置47は支柱24を介して機体フレーム14に支持される。そこで、蛇腹管65Aにて振動を吸収することにより、エンジン21の振動に伴う第1排ガス処理装置46の振動を許容しながら、第2排ガス処理装置47を安定した状態で支持することができる。
【0083】
次に、第2排ガス処理装置47に還元剤としての尿素水を供給するための構成について説明する。
尿素水を貯留する尿素水タンク71が、エンジン21よりも機体前部側に備えられている。具体的には、
図4,8に示すように、尿素水タンク71は、運転部4の床部19の下方側に位置する状態で機体フレーム14に支持されている。尿素水タンク71よりも機体前部側にはバッテリ72が備えられている。
【0084】
運転部の下方側には、前後両側に、尿素水タンク71及びバッテリ72の上方を迂回するように機体正面視で略逆向きU字状に形成された支持フレーム73A,73Bが機体フレーム14から延設されている。これらの支持フレーム73A,73Bは、運転部構造体23が閉状態にあるときに、運転部4の床部19を受止め支持する受止め体として機能する。
【0085】
図4,6,8に示すように、尿素水タンク71と第2排ガス処理装置47とを接続する尿素水搬送管74と、尿素水タンク71に貯留される尿素水を尿素水搬送管74を通して第2排ガス処理装置47に送給するポンプ75とが備えられている。ポンプ75は、平面視においてエンジン21と尿素水タンク71との間に位置する状態で、支持フレーム73Aに連結されたブラケット76に取り付けられている。支持フレーム73Aは機体フレーム14から一体的に延設されるものであるから、ブラケット76は機体フレーム14に支持されている。
【0086】
尿素水搬送管74は、ポンプ75の吸引によって尿素水タンク71からポンプ75まで尿素水を搬送する吸引パイプ77と、ポンプ75から第2排ガス処理装置47にまで尿素水を送給する供給パイプ78と、余った尿素水を尿素水タンク71に戻す戻しパイプ79とを備える。吸引パイプ77は、尿素水タンク71とポンプ75とを接続する。供給パイプ78は、エンジン21の前部側に位置するポンプ75とエンジン21の後部側に位置する第2排ガス処理装置47とを接続する。戻しパイプ79は、エンジン21の前部側に位置する尿素水タンク71とエンジン21の後部側に位置する第2排ガス処理装置47とを接続する。
【0087】
図8に示すように、尿素水搬送管74のうちの供給パイプ78及び戻しパイプ79は、エンジン21とラジエータ33との機体横幅方向中間部、すなわち、エンジン21の機体横幅方向外方側(機体右側)箇所であって且つラジエータ33の機体横方向内方側(機体左側)における冷却ファン34の下方側箇所を通過するように配備されている。このように配備されることにより、ラジエータ冷却風の通流の邪魔になることがなく、しかも、エンジン21よりも機体横側外方側、すなわち、冷却風におけるエンジン21よりも上流側に位置することになるので、エンジン21の温度による影響も受け難い状態で配備することができる。
【0088】
ポンプ75が作動すると、尿素水タンク71の内部から吸引パイプ77を通して尿素水を吸引し、吸引した尿素水を供給パイプ78を通して第2排ガス処理装置47におけるドージング部56の噴射供給部80に送給する。そして、噴射されずに余った尿素水は戻しパイプ79を通して尿素水タンク71に戻される。
【0089】
寒冷地等で作業するときには、尿素水が凍結するおそれがあるので、ラジエータ33に循環供給されるエンジン冷却水を用いて凍結を防止することができるようにしている。すなわち、
図17に示すように、尿素水タンク71の内部にパイプ部材をコイル状に曲げ成形した加熱器81が備えられ、この加熱器81にエンジン冷却水を循環通流させて、貯留されている尿素水を加熱することで凍結を防止できるように構成されている。加熱器81によってエンジン冷却水が循環通流する冷却水通流路82が形成されている。尚、図示はしていないが、加熱器81に対してエンジン冷却水を供給する供給状態と、供給を停止する停止状態とに切り換え自在な切換装置が備えられている。
【0090】
尿素水は、エンジン21が運転されるに伴って消費されるので、尿素水タンク71に貯留される尿素水の貯留量はエンジン21の運転時間に応じて減少することになる。そこで、尿素水の貯留量が減少した場合には、尿素水タンク71に尿素水を補充する必要がある。
【0091】
キャビン3を含む大型の装置である運転部構造体23を開状態にすることなく、尿素水の補充作業を行えるように、
図12に示すように、原動部8の横側部、すなわち、運転部4の下方側の横側部に尿素水タンク71に対する点検用開口83が形成されている。
【0092】
運転部構造体23には、運転部4の床部19を構成する床フレーム体84が備えられており、その床フレーム体84の乗降部側箇所の下方側には、運転者が搭乗するための足置き台85が備えられている。足置き台85と床フレーム体84との間には、縦向き姿勢の側壁86が備えられている。その側壁86に点検用開口83が形成されており、この点検用開口83を通して尿素水タンク71に対する尿素水の補充作業を行えるように構成されている。
【0093】
補充作業が行われないときは、点検用開口83は蓋体87によって覆われている。この蓋体87は、平坦な板状体からなり、下端部の前後向き支点周りで揺動開閉自在に側壁86に支持されている。蓋体87は、閉じた状態で揺動端側が磁石による吸着作用を受けて閉状態が維持され、磁石の吸着力に抗して手動で外方に操作することで開放させることができるように構成されている。点検用開口83を覆う蓋体87としては、平坦な板状体で形成される構成に代えて、例えば、
図16に示すように、機体前後方向視で略L字形に屈曲形成した板状体にて構成されるものでもよい。
【0094】
尿素水タンク71に対する点検用の開口は側壁86だけでなく床部19にも形成されている。
図14に示すように、床フレーム体84は、その中央部に大きく開放された点検用開口88を備える形状となっている。そして、この床フレーム体84の上部には床部19全体にわたって床部形成体89が載置されて、運転者が載置可能な床部19を構成している。
【0095】
尿素水タンク71に対する尿素水の補充作業を行うときは、床部形成体89を移動させて床フレーム体84の上方を開放させることで、大きく開放された点検用開口88を通して作業を行うことができる。
【0096】
図5に示すように、第2排ガス処理装置47における本体処理部57の上部側で且つ機体後部側箇所には排ガス流出管90が備えられている。排ガス流出管90は、第2排ガス処理装置47の排ガス出口部91から機体後方側に向かって水平又はほぼ水平に延出する基端側部90aと、この基端側部90aの延出端から機体後方向き状態から機体上方後方向きに屈曲して延出する屈曲先端側部90bとを備えている。
【0097】
〔排気管〕
第1排ガス処理装置46及び第2排ガス処理装置47にて処理されて、排ガス流出管90を通して排出される排ガスを、外部に排出する排気管92が備えられている。この排気管92は、脱穀装置5と穀粒タンク6との間において、脱穀装置5の上端よりも上方に先端が位置するように後上方に向けて延設されている。排気管92の先端部に形成される排気口93は、脱穀装置5の上方に向けて排ガスを排出するように横向き開放状に形成されている。
【0098】
図5,9に示すように、排気管92は、第2排ガス処理装置47側に位置する第1排気管92Aと、排気口93側に位置する第2排気管92Bとを備えている。第1排気管92Aは、第2排ガス処理装置47の排ガス出口部91に対応する箇所から後上り傾斜姿勢で延設されている。第2排気管92Bは、第1排気管92Aの排ガス出口部91に対応する箇所から第1排気管92Aの登り勾配よりも大きい登り勾配の後上り傾斜姿勢で延設されている。従って、側面視において第1排気管92Aの傾斜角度と第2排気管92Bの傾斜角度とが異なっており、第2排気管92Bの傾斜角度は、第1排気管92Aの傾斜角度よりも大に設定されている。
【0099】
第1排気管92Aは、排ガス流出管90の出口部から脱穀装置5の上端部に相当する位置まで延びている。この第1排気管92Aは、
図10に示すように、内側に位置する円筒形状の内管94と、外側に位置する円筒形状の外管95と、外管95の外方側を覆う断面略U字形のカバー部材96とを備えている。
【0100】
内管94は、外管95に内挿された状態で外管95に固定されている。外管95の機体前部側箇所が取付ブラケット97を介して脱穀装置5の右側の側壁に支持されている。外管95の機体後部側箇所が取付ブラケット98を介して,揚穀コンベア17を脱穀装置5の右側の側壁に支持するための連結部材99に支持されている。カバー部材96は、外管95に備えられた2個の取付ブラケット100にボルト連結にて固定されている。
【0101】
内管94の排気上流側端部は、外管95の排気上流側端部から突出しており、排気上流側ほど径が大きくなる拡径部101が形成されている。拡径部101と排ガス流出管90とが、排気流動方向に沿って重複して、それらの間に径方向に隙間が形成されている。このように構成することで、第2排ガス処理装置47の排ガス流出管90から第1排気管92Aの内管94に排ガスが送り込まれるに伴い、エジェクタ作用によって、それらの隙間から外気を内部に吸引して排ガスの冷却を行なうことができる。
【0102】
内管94の排気下流側端部は、外管95の排気下流側端部から突出しており、第2排気管92Bが取り付けられる箇所は側面視において第2排気管92Bの傾斜角度と同一の角度で傾斜している。
【0103】
図10に示すように、第2排気管92Bは、左側半割部103と右側半割部104とが連結されて断面形状が六角形となるように構成されている。この第2排気管92Bは、第1排気管92Aにおける内管94の排気下流側端部に、排気流動方向の下手側に向けて延長する状態で取り付けられている。
図10(b)に示すように、内管94の排気下流側端部に周方向に等間隔をあけて3個の略L字形のステー105が溶接にて固定されている。
これらの3個のステー105に第2排気管92Bがボルト連結されている。この第2排気管92Bは、脱穀装置5の上端よりも上方に位置するように後上方に向けて延設されている。
【0104】
図10(a)に示すように、第2排気管92Bにおける左側半割部103は、右側半割部104よりも排気管長手方向(排気流動方向)に沿って短い形状となっており、左側半割部103の排気下流側端部、すなわち、排気管92の後上方側の先端部に、排気管内部を流動する排ガスの流動を阻止するように蓋体106が備えられている。その結果、左側半割部103よりも排気下流側は、開放された状態となっており、横向き開放状の排気口93を形成している。従って、脱穀装置5の上端よりも上方に排気口93が位置しており、排気口93は、脱穀装置5の上方に向けて排ガスを排出するように横向き開放状に形成されている。
【0105】
排気管92は、その先端部が穀粒タンク6の上端よりも下方に位置しており、しかも、排気管92の先端部は収納位置にあるアンローダ9の横送りスクリューコンベア29よりも下方に位置している。従って、アンローダ9(横送りスクリューコンベア29)を収納位置に収納している状態だけでなく、機体振動等により収納位置から外れることがあっても、排気管92がアンローダ9に干渉するおそれがない。
【0106】
穀粒タンク6の脱穀装置5側の側面には、第1凹入部Q1の機体後方側に連なり、機体後部側ほど上方に位置する状態で第2凹入部Q2が形成されている。この第2凹入部Q2は、第2排ガス処理装置47の排ガス出口部91に対応する箇所から後上り傾斜姿勢で延びる状態で形成されている。
【0107】
排気管92における穀粒タンク6の第2凹入部Q2に入り込む箇所には、上述したように外管95の外方側を覆う断面略U字形のカバー部材96が備えられている。カバー部材96は、外管95との間、並びに、穀粒タンク6との間において、径方向に間隔をあける状態で備えられ、空気により断熱層を形成して排ガスからの熱が穀粒タンク6に伝わり難くなるようにしている。
【0108】
図5,6に示すように、第2排ガス処理装置47と穀粒タンク6との間に、第2排ガス処理装置47の外周部を覆うカバー体108が備えられている。カバー体108は、第2排ガス処理装置47との間、並びに、穀粒タンク6との間に間隔をあける状態で備えられ、空気により断熱層を形成して第2排ガス処理装置47からの熱が穀粒タンク6に伝わり難くなるようにしている。カバー部材96とカバー体108とは排気管92の通過箇所において連通接続されている。
【0109】
上記構成では、エンジン21から排出されて過給機40を通過した排ガスを、排ガス導入口50から第1排ガス処理装置46に導入してディーゼル微粒子を減少させる浄化処理を行い、浄化処理を終えた排ガスを、連通接続管65を介して第2排ガス処理装置47に向けて供給する。
【0110】
第2排ガス処理装置47では、尿素水を排ガス中に噴射してアンモニアを生成して、排ガスに含まれる窒素酸化物とアンモニアとを化学反応させて窒素と水とに還元させることで、排ガス中に含まれる窒素酸化物を低減させる浄化処理を行い、浄化処理を終えた排ガスを排気管92を通して機体外部に排出する。
【0111】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、還元剤として尿素水を用いたが、還元剤として、無水アンモニア、アンモニア水等、他の種類の還元剤を用いてもよい。
【0112】
(2)上記実施形態では、還元剤(尿素水)タンク71に対する点検用開口83,88が、原動部8の横側部、及び、運転部4の床部19にそれぞれ形成される構成としたが、それらのうちのいずれか一方を備えるものでもよく、エンジンボンネットを開閉するものでは、このような点検口を設けない構成としてもよい。
【0113】
(3)上記実施形態では、還元剤タンク71が、運転部4の床部19の下方側に備えられる構成としたが、エンジン21よりも機体前部側であればよく、還元剤タンク71の設置箇所は床部19の下方側に限定されるものではない。
【0114】
(4)上記実施形態では、還元剤搬送管としての尿素水搬送管74がエンジン21の機体横幅方向外方側箇所を通過する状態で備えられる構成としたが、この構成に代えて、還元剤搬送管がエンジン21の機体横幅方向内方側箇所を通過するものでもよい。
【0115】
(5)上記実施形態では、還元剤を送給するポンプ75が、平面視においてエンジン21と還元剤タンク71との間に位置する状態で備える構成としたが、この構成に代えて、ポンプ75を、エンジン21の機体後方側、あるいは、還元剤タンク71の機体前方側に備えてもよい。
【0116】
(6)上記実施形態では、エンジン冷却水が循環通流する冷却水通流路82が還元剤タンク71の内部を通過する状態で備えられる構成としたが、このような冷却水通流路82を設けない構成としてもよい。
【0117】
(7)上記実施形態では、自脱型のコンバインに適用したものを示したが、本発明は、普通型コンバインにも適用できる。