(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
光学素子の主要表面上に第1溶液をコーティングする工程であって、前記第1溶液は、複数の酸化金属粒子、結合剤、及び溶媒を含み、前記結合剤は、前記溶媒中における第1濃度を有する、工程と、
前記第1溶液上に第2溶液をコーティングする工程であって、前記第2溶液は、前記溶媒中における第2濃度で前記結合剤を含み、前記第2濃度は、前記第1濃度とは異なる、工程と、
前記第1溶液及び前記第2溶液から前記溶媒を除去して、保護されたフィルムを形成する工程であって、
前記保護されたフィルムは、
光学素子の主要表面上に配置され、複数の相互に接続された空隙を有し、かつ、空隙の容積分率をf、空隙の屈折率をnv、結合剤の屈折率をnbとするとき、neff2=fnv2+(1−f)nb2で定義される有効屈折率neffが1.3以下である、低屈折率層と、
前記低屈折率層の上に配置されたポリマー保護層と、を備え、
前記結合剤の前記酸化金属粒子に対する重量比は、前記保護されたフィルムの厚さ方向に前記光学素子の主要表面から離れるに伴って増加している、工程とを含む、コーティングされた光学素子の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示は、ポリマーの低屈折率層への制御された拡散により、低屈折率ヒュームドシリカを密封及び強化する技術をもたらす。1つの特定の実施形態において、拡散を生じるために、両方の層の同時のコーティングが使用され得る。いくつかの場合において、両方の層の連続的なコーティングが使用され得るが、連続的なコーティングは好ましくは、両方のコーティング層がまだ溶解している間に、迅速に続けて行われることが好ましい。これらの技術を使用して、以前には物理的に可能であった、保護されたフィルムが調整された。
【0010】
超低屈折率及び低屈折率コーティングは、低屈折率特性をもたらす気孔を、隣接する層による悪化又は環境から保護するために、好ましくは密封される。更に、ヒュームドシリカ系の低屈折率コーティングは多くの場合、PSA(感圧接着剤)を使用して、別の表面に係合させることができる。しかしながら、低屈折率コーティングが、開放気泡多孔質ネットワークを含むため、PSAは、熱及び湿度に暴露されるときに、低屈折率フィルムの孔へと流れる場合がある。一度孔の中の空気が除去されると、コーティングの有利な屈折率特性が失われる。同様に、低屈折率コーティングが周囲環境に対して開いたままであると、水又は油が孔を満たし、やはりコーティングの低屈折特性を破壊し得る。
【0011】
これらの孔を密封する1つの技術は、低屈折孔に流れ得ないか、又は低屈折孔内へと深く流れないように大きく制限されている、材料の使用を含み得る。この技術の例は例えば、米国特許係属出願番号第61/405015号、表題「Protected Low Refractive Index Optical Element」(代理人整理番号第66418US002号)に見出すことができる。いくつかの場合において、この密封を達成するために、ラテックス、又は高分子重量ポリマーのいずれかが、使用されている。いくつかの場合において、ラテックス内のエマルション粒子が、コーティング中の低屈折率コーティングの孔の中に大きすぎて流れないように選択され得る。加えて、大きな寸法のラテックス粒子は、ラテックスのいずれかの拡散を低減する。乾燥後、ラテックスは連続的なフィルムへと合着することができ、これが急激な屈折率の変遷をもたらし、2つの層の間の材料の間に殆ど相互貫入がない。これらの技術の不利点としては、低い中間層の接着性、封止部−ヒュームドシリカ境界面における表面ヘーズ(粗さによる)が挙げられ、またフィルムの乾燥中にひび割れを生じやすい。
【0012】
一態様において、本開示は、低屈折率密封境界面における表面ヘーズを最小化し、また乾燥ストレスによるフィルムのひび割れを低減させる方法をもたらす。中間層拡散を注意深く制御し、2つの層の間に勾配を有する密封した低屈折率コーティングが、容易に達成され得る。本明細書において記載される技術は、低屈折率及び密封層の両方が好ましくは同時にコーティング及び乾燥されるため、多層コーティングプロセス(又は2つの流体コーティングの連続的コーティングプロセス)を必要とし得る。
【0013】
以下の説明文では、本明細書の一部を構成し、例として示した添付の図面を参照する。本開示の範囲及び趣旨から逸脱することなく、他の実施形態が想到され、実施されうる点は理解されるはずである。したがって、以下の詳細な説明は、限定的な意味で解釈されるべきではない。
【0014】
特に断らないかぎり、本明細書及び特許請求の範囲で使用される構造体の大きさ、量、物理的特性を表わす全ての数字は、全ての場合において「約」なる語により修飾されているものとして理解されるべきである。したがって、そうでないことが示されないかぎり、上記の明細書及び添付の特許請求の範囲に記載される数値パラメータは、当業者が本明細書に開示される教示を用いて得ようとする所望の特性に応じて異なり得る近似値である。
【0015】
本明細書及び添付の「特許請求の範囲」において使用するところの単数形「a」、「an」、及び「the」には、その内容によって明らかに示されないかぎりは複数の指示対象物を有する実施形態が含まれる。本明細書及び付属の特許請求の範囲において使用される「又は」なる語は、そうでないことが内容により明らかに示されない限りは、その「及び/又は」を含む意味で一般的に用いられる。
【0016】
これらに限定されるものではないが、「下側」、「上側」、「下」、「下方」、「上方」、及び「〜の上」などの空間的に関連した語は、本明細書において用いられる場合、ある要素の別の要素に対する空間的関係を述べるうえで説明を容易にする目的で用いられる。このような空間的に関連した語には、図に示され、本明細書に述べられる特定の向き以外に、使用又は作動中の装置の異なる向きが含まれる。例えば、図に示されるセルが反転又は裏返されるならば、その前には他の要素の下方又は下として述べられた部分は、これらの他の要素の上となるであろう。
【0017】
本明細書で使用されるとき、ある要素、部材若しくは層が、例えば別の要素、部材若しくは層と「一致する境界面」を形成する、これらの「上にある」、これらと「接続される」、「結合される」、若しくは「接触する」として述べられる場合、その要素、部材若しくは層は、例えば、特定の要素、部材若しくは層の直接上にあるか、これらと直接接続されるか、直接結合されるか、直接接触してよく、又は介在する要素、部材若しくは層が特定の要素、部材若しくは層の上にあるか、これらと接続されるか、結合されるか、若しくは接触しうる。例えば、ある要素、部材又は層が、別の要素の「直接上にある」、別の要素に「直接接続される」、「直接結合する」、又は「直接接触する」で始まる表現で表される場合、介在する要素、部材又は層は存在しない。
【0018】
本開示は、低屈折率層及びポリマー保護層を含む光学要素に関する。このポリマー保護層は、経年変化においてこの低屈折率層の物理的性質を実質的に劣化させない安定な保護層である。ポリマー保護層は、低屈折率層においても使用される結合剤を含み、結合剤は、低屈折率層からポリマー保護層の外面へと勾配を形成する。本開示は、低屈折率層を有するフィルム構成体の凝集強度を改善し得る、保護層を記述する。本開示はそのように限定されるものではないが、以下に示す例の考察を通じて本開示の様々な態様の認識が得られるであろう。
【0019】
本開示の拡散体コーティング、物品又は構成体の一部の実施形態は、結合剤中に分散された複数の空隙を含む、1つ以上の低屈折率層を含む。この空隙は、屈折率n
v及び誘電率ε
vを有する。ここで、n
v2=ε
vであり、この結合剤は屈折率n
b及び誘電率ε
bを有し、ここで、n
b2=ε
bである。一般に、低屈折率層と低屈折率層に入射する光又は低屈折率層中を伝播する光などの光との相互作用は、例えば、フィルム又は層の厚さ、結合剤の屈折率、空隙又は細孔の屈折率、細孔の形状及び寸法、細孔の空間分布、並びに光の波長など多数のフィルム又は層の特性に依存する。一部の実施形態では,低屈折率層上に入射するか低屈折率層内を伝搬する光は、有効誘電率ε
eff及び有効屈折率n
effを「目撃」又は「経験」する。式中、n
effは空隙屈折率n
v、結合剤屈折率n
b、及び空隙多孔性又は容積分率「f」の形で表現可能である。このような実施形態では、光が単一の又は孤立した空隙の形状及び特徴を分解することができない程、低屈折率層は充分に厚く、及び空隙は充分に小さい。このような実施形態では、少なくとも大多数の空隙、例えば空隙の少なくとも60%、又は70%、又は80%、又は90%の寸法は、約λ/5以下、又は約λ/6以下、又は約λ/8以下、又は約λ/10以下、又は約λ/20以下であり、ここにおいてλは光の波長である。一部の実施形態では、一部の空隙は、その主要な光学的効果が有効屈折率を低下させる程に充分に小さいことができ、一部の他の空隙は、有効屈折率を低減し、光を散乱させることができ、更に一部の他の空隙は、その主要な光学的効果が光を散乱させる程に充分に大きいことができる。
【0020】
一部の実施形態では、低屈折率層に入射する光は可視光であり、その光の波長が電磁スペクトルの可視域にあることを意味する。これらの実施形態では、可視光は、約380nm〜約750nm、又は約400nm〜約700nm、又は約420nm〜約680nmの範囲の波長を有する。これらの実施形態では、空隙の少なくとも60%、70%、80%、又は90%など、この空隙の少なくとも大多数の空隙の寸法が、約70nm以下、約60nm以下、約50nm以下、約40nm以下、約30nm以下、約20nm以下、又は約10nm以下である場合には、この低屈折率層は、有効屈折率を有し、かつ複数の空隙を含んでいる。
【0021】
一部の実施形態では、低屈折率層は、低屈折率層が、空隙及び結合剤の屈折率、並びに空隙又は孔の容積分率又は多孔率で表現され得る有効屈折率を有する程に充分に厚い。このような実施形態では、低屈折率層の厚さは、約1μm以上、又は約2μm以上、又は1〜20μmの範囲である。
【0022】
開示された低屈折率層中の空隙が充分に小さく、かつ低屈折率層が充分に厚い場合には、低屈折率層は、ε
eff=fε
v+(1−f)ε
bによって表され得る、有効透過率ε
effを有する。
【0023】
これらの実施形態において、光学フィルム又は低屈折率層の有効屈折率n
effは、n
eff2=fn
v2+(1−f)n
b2として表すことができる。
【0024】
細孔及び結合剤の屈折率の間の差が充分に小さい場合などの一部の実施形態では、低屈折率層の有効屈折率は次の式で近似され得る:n
eff=fn
v+(1−f)n
b。
【0025】
これらの実施形態では、低屈折率層の有効屈折率は、空隙及び結合剤の屈折率の容積加重平均である。外周条件下で、この空隙は空気を含有し、したがってこの空隙に対する屈折率n
vはほぼ1.00である。例えば、空隙の容積分率が約50%である低屈折率層、及び屈折率が約1.5である結合剤は、約1.25の有効屈折率を有する。
【0026】
一部の実施形態では、低屈折率層の有効屈折率は、約1.3よりも大きくなく(すなわち未満であり)、又は約1.25未満、又は約1.2未満、又は約1.15未満、又は約1.1未満である。一部の実施形態では、屈折率は約1.14〜約1.30である。一部の実施形態では、低屈折率層は、結合剤、複数の粒子、及び複数の相互に接続された空隙又は相互に接続された空隙の網目構造を含む。他の実施形態では、低屈折率層は、結合剤、複数の粒子、及び複数の相互に接続された空隙又は相互に接続された空隙の網目構造を含む。
【0027】
複数の相互に接続された空隙又は相互に接続された空隙の網目構造は、多数の方法で生じる可能性がある。1つの方法では、ヒュームドシリカ酸化物などの高構造化された高表面積のヒュームド金属酸化物の固有の多孔性を結合剤の混合物中で使用して、結合剤、粒子、空隙及び所望によって架橋剤又は他の補助材料を一体化した、複合構造物を形成する。粒子に対する所望の結合剤の比は、相互に接続された空隙化構造の形成に使用される方法の型式に依存する。
【0028】
結合剤樹脂は多孔性ヒュームドシリカ構造物の形成の必須条件ではないが、典型的には形のポリマー樹脂又は結合剤を金属酸化物網目構造に組み込んで、最終構成体の加工性、コーティング品質、接着性及び耐久性を改善することが望ましい。有用な結合剤樹脂の例は、熱硬化性、熱可塑性、及びUV硬化型ポリマーから誘導されるものである。例としては、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレンビニルアセテートコポリマー(EVA)、セルロースアセテートブチレート(CAB)、ポリウレタン(PUR)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリアクリレート、エポキシ、シリコーン、及びフルオロポリマー、又はこれらの組み合わせが挙げられる。結合剤は、水、エチルアセテート、アセトン、2−ブトン、イソプロピルアルコール、メチルエチルケトンなどの、適切な溶媒に可溶性であり得、又はこれらは分散系又はエマルションとして使用され得る。この混合物中で有用な一部の市販の結合剤の例は、Kuraray−USA、Wacker Chemical、Dyneon LLC、及びRohm and Haasから入手可能なものである。この結合剤はポリマー系であることができるが、これは、UV、又は熱硬化型又は架橋型の系などの重合性モノマー系としても添加可能である。このような系の例は、UV重合性アクリレート、メタクリレート、多官能性アクリレート、ウレタン−アクリレート、及びこれらの混合物である。一部の典型的な例は、1,6ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートである。このような系は、Neo Res(Newark,DE)、Arkema(Philadelphia,PA)、又はSartomer(Exton,PA)などの供給者から容易に入手可能である。電子線(E線)、ガンマ線及び紫外(UV)線などの化学線は、これらの系の重合を開始させるのに有用な方法であり、多数の実施形態はUV活性な系を使用する。他の有用な結合剤系は、また、カチオン重合可能であり、このような系はビニルエーテル及びエポキシドとして入手可能である。
【0029】
このポリマー結合剤は、また、ポリマー結合剤と化学的に結合して、架橋網目構造を形成することができる架橋剤と共に配合可能である。架橋の形成は多孔性構成体の形成又は低屈折率光学的性質の前提条件ではないが、それは、コーティングの凝集力、基材への接着性又は耐水性、又は耐熱性及び耐溶剤性の改善など他の機能性の理由でしばしば望ましい。架橋剤の具体的なタイプは使用される結合剤に依存する。PVAなどのポリマー結合剤に対する典型的な架橋剤は、ジイソシアネート、TYZOR−LA(商標)(DuPont(Wilmington,DE)から入手可能)などのチタネート、PolyCup 172(Hercules(Wilmington,DE)から入手可能)などのポリ(エピクロロヒドリン)アミド付加物、CX100(Neo−Res(Newark,DE)から入手可能)などの多官能性アジリジン及びホウ酸、ジエポキシド、ジ酸等である。
【0030】
このポリマー結合剤は、粒子凝集物と共に分離相を形成してもよく、又は凝集物を一緒に「結合」して、金属酸化物とのイオン結合、双極子結合、ファンデアワールス力、水素結合及び物理的からみ合いなどの直接共有結合形成又は分子的相互作用により、金属酸化物粒子と接続する構造物を形成する方法で、粒子凝集物の間に相互分散してもよい。
【0031】
代表的な粒子には、例えば、ヒュームドシリカ又はアルミナなどのヒュームド金属酸化物又は火成金属酸化物が挙げられる。一部の実施形態では、高度に分岐した又は構造化された粒子を使用してもよい。このような粒子は、結合剤マトリックス中の効率的な充填を妨げ、及び間入型空隙又は細孔を形成させる。高度に分岐した又は構造化された粒子を含む代表的な材料としては、Cabo−Sil(商標)ヒュームドシリカ又は例えば、商品名EH5、TS 520で販売されているシリカ分散液、又はCabo−Sperse(商標)PG 001、PG 002、PG 022、1020K、4012K、1015(Cabot Corporationから入手可能)として入手可能なものなどの予備分散したヒュームドシリカ粒子が挙げられる。シリカは、アルミナよりも固有の低骨格屈折率を有するので好ましいが、ヒュームドアルニウム酸化物も低屈折率系の形成に有用な構造化された粒子である。アルミナ酸化物の例は、例えば,商品名Carbo−Sperse(商標)PG003又はCabot Spec−Al(商標)で販売されているものなど商品名Cabo−Sperseで入手可能である。一部の実施形態では、これらの代表的なヒュームド金属酸化物の凝集物は、約8nm〜約20nmの範囲の複数の一次粒子を含み、及び約80nm〜300nm超の範囲の大きさの広い分布の高度に分岐した構造物を形成する。一部の実施形態では、これらの凝集物は、コーティングの単位体積中にランダムに充填して、チャンネル、トンネル、及び細孔の複雑な二連続性網目構造を有するメソ多孔性構造物を形成し、これらが網目構造中に空気を捕捉し、このようにしてコーティングの密度及び屈折率を低下させる。他の有用な多孔性材料は、クレイ、硫酸バリウム、ケイ酸アルミニウム等の天然由来の無機材料から誘導される。
【0032】
ヒュームドシリカ粒子は、また、表面処理剤により処理可能である。この金属酸化物粒子の表面処理は、例えば、このポリマー結合剤中の改善された分散、変成した表面の性質、増強された粒子・結合剤相互作用、及び/又は反応性をもたらすことができる。一部の実施形態では、この表面処理は、この粒子がこの結合剤中で良分散されるほど粒子を安定化して、実質的により均質な組成物を生じる。表面修飾無機粒子の組み込みを調整して、例えば、結合剤への粒子の共有結合を増強して、より高耐久性で、かつより均質のポリマー/粒子網目構造を得ることができる。
【0033】
好ましいタイプの処理剤は、金属酸化物表面の化学的性質によりある程度は決定される。シリカに対してはシランが好ましく、ケイ酸質充填剤に対しては他のものが好ましい。シランの場合には、結合剤の中への組み込みの前にシランと粒子ジイソシアネート表面とを反応させることが好ましいことがある。表面修飾剤の必要量は、例えば、粒径、粒子タイプ、修飾剤の分子量、及び/又は修飾剤のタイプなどのいくつかの要素に依存する。このジイソシアネートシラン修飾剤は、粒子とジイソシアネート結合剤との間に共有結合を形成する反応性基、例えば、カルボキシ、ジイソシアネートアルコール、ジイソシアネートイソシアネート、ジイソシアネートアクリロキシ、ジイソシアネートエポキシ、ジイソシアネートチオール又はジイソシアネートアミンなどを有することができる。逆に、このシラン修飾剤は、非反応性基、例えば、アルキル、アルコキシ、フェニル、フェニルオキシ、ポリエーテル、又はこれらの混合物を有することができる。例えば、耐汚れ性又は静電気の散逸性を改善するために、このような非反応性基がコーティングの表面を修飾してもよい。表面修飾シリカ粒子の市販されている例には、例えば、Cabo−Sil(商標)TS 720及びTS 530が挙げられる。官能性及び非官能性基の混合物を粒子の表面上で組み込んで、これらの所望の特徴の組み合わせを得ることがときには望ましいことがある。
【0034】
本開示の組成物での使用に好適な表面処理剤の代表的な実施形態としては、例えば、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)メトキシエトキシエトキシエチルカーバメート、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)メトキシエトキシエトキシエチルカーバメート、3−(メタクリロイルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタクリロイルオキシ)プロピルトリエトキシシラン、3−(メタクリロイルオキシ)プロピルメチルジメトキシシラン、3−(アクリロイルオキシプロピル)メチルジメトキシシラン、3−(メタクリロイルオキシ)プロピルジメチルエトキシシラン、3−(メタクリロイルオキシ)プロピルジメチルエトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ビニルメチルジアセトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリフェノキシシラン、ビニルトリ−t−ブトキシシラン、ビニルトリス−イソブトキシシラン、ビニルトリイソプロペノキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、スチリルエチルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、アクリル酸、メタクリル酸、オレイン酸、ステアリン酸、ドデカン酸、2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]酢酸(MEEAA)、β−カルボキシエチルアクリレート(BCEA)、2−(2−メトキシエトキシ)酢酸、メトキシフェニル酢酸、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0035】
粒子容積濃度(PVC)及び臨界粒子容積濃度(CPVC)を使用して、コーティングの作製で使用される粒子結合剤系の多孔性を特性化することができる。用語PVC及びCPVCは、塗料及び顔料の文献においてよく定義された用語であり、頻繁に参照される物品、及び例えば「Paint Flow and Pigment Dispersion」(Patton,T.C.,2
nd Edition,J.Wiley Intersceince,1978,Chapter 5,p.126)及び「Modeling Cluster Voids and Pigment Distribution to Predict Properties and CPVC in Coatings.Part 1:Dry Coating Analysis」並びにSudduth,R.D;「Pigment and Resin Technology,2008」(37(6).p.375)などの技術的なテキストで更に定義されている。
【0036】
粒子の容積濃度がCPVCよりも大きい場合、コーティングの粒子及び間入型領域の間の全ての間隙を充填するのに充分な結合剤が存在しないので、このコーティングは多孔性である。次いで、このコーティングは、結合剤、粒子、及び空隙の混合物となる。このことが起こる容積濃度は、粒子の大きさ及び粒子構造濡れ及び/又は形状に関連する。CPVC以上の容積濃度を有する配合物は、空気により置換される、樹脂の容積欠陥を混合物中で有する。CPVC、PVC、及び他効率の関係は、多孔率=CPVC/PVCである。
【0037】
CPVCの議論で使用されるとき、用語「顔料」は粒子に等価であり、用語「樹脂」は結合剤に等価である。特定の結合剤・粒子系において、粒子の容積濃度がCPVCとして知られている臨界値を超える場合、この混合物は多孔性となる。このように、コーティングの粒子及び間入型領域の間の全ての間隙を充填するのに充分な結合剤が存在しないので、このコーティングは、本質的に結合剤、粒子、及び空隙の混合物となる。このことが起こる場合、容積濃度は、顔料粒子大きさ分布、濡れ及び粒子構造又は形状の少なくとも1つに関連する。所望の低屈折率の性質を提供する材料は、粒子・結合剤混合物から誘導される高構造化されたサブミクロン細孔を有し、そのCPVC以上で配合される。一部の実施形態では、光学物品は、約60%よりも大きくない(又は未満である)、又は約50%未満、又は約40%未満であるCPVC値を有する。
【0038】
上述のように、高度に分岐した又は構造化された粒子は、結合剤マトリックス中の効率的な充填を妨げ、間入型空隙又は細孔を形成させる。対照的に、所望のCPVCを割る材料組み合わせは、充分に多孔性でない。BET法(本明細書に述べられる)は、200nm未満の直径、100nm未満の直径、又は更には10nm未満の直径の細孔を分析するために、CPVC、したがって低屈折率材料の多孔性の決定に役立つことがある。本明細書において使用するとき、用語「BET法」は、Braunauer,Emmett及びTeller表面積分析を参照する(S.Brunauer,P.H.Emmett and E.Teller,J.Am.Chem.Soc.,1938,60,309)。BET法は、固体物質の細孔の大きさ、表面積、及び%多孔性の定量に使用される、周知の科学的に認証された方法である。BET理論は、固体表面上での気体分子の物理的吸着に関するものであり、固体表面の表面積及び多孔性についての物理的情報を取得するための根拠としての役割をする。BETデータは、多孔性構造を形成するための最低限の要件に合致する材料の特性化を支援することができる。
【0039】
PVC/CPVCの関係により記述される粒子の容積濃度は、粒子の重量濃度にも関連する。それゆえ、CPVC以上である粒子の重量範囲を確立することが可能である。重量比又は重量%の使用は、所望のCPVC値の混合物を配合するための1つの方法である。本開示の光学的構成体用には、1:1〜1:8の結合剤:粒子の重量比が望ましい。1:1の重量比は約50粒子と等価であり、1:8は約89重量%粒子と等価である。代表的な結合剤と金属酸化物粒子の比は、1:2未満(33%未満の結合剤)、1:3未満、1:4未満、1:5未満、1:6未満、1:7未満、1:8未満、1:9未満、及び1:10未満(約8〜10%の結合剤)である。結合剤の上限は所望の屈折率により決められることもある。結合剤の下限は、所望の物理的性質、例えば、加工性又は最終的な耐久性により決められることもある。このように、結合剤:粒子比は、所望の最終使用及び所望の光学物品の性質に依存して変わる。
【0040】
一般に、低屈折率層は、用途において所望であってもよい任意の多孔性、細孔大きさ分布、又は空隙容積分率を有することができる。一部の実施形態では、低屈折率層中の複数の空隙の容積分率は、約20%以上、又は約30%以上、又は約40%以上、又は約50%以上、又は約60%以上、又は約70%以上、又は約80%以上である。
【0041】
一部の実施形態では、低屈折率層が、高い光学ヘーズ及び/又は拡散反射を有しても、低屈折率層の一部は、一部の低屈折率の性質を表すことができる。例えば、このような実施形態では、低屈折率層の一部は、結合剤の屈折率n
bよりも小さい屈折率に相当する角度での光学利得を支持することができる。
【0042】
一部の実施形態では、粒子の一部が反応性基を有し、他の粒子は反応性基を有さない。例えば、一部の実施形態では、約10%の粒子が反応性基を有し、約90%の粒子が反応性基を有さず、又は約15%の粒子が反応性基を有し、約85%の粒子が反応性基を有さず、又は約20%の粒子が反応性基を有し、約80%の粒子が反応性基を有さず、又は約25%の粒子が反応性基を有し、約75%の粒子が反応性基を有さず、又は約30%の粒子が反応性基を有し、約60%の粒子が反応性基を有さず、又は約35%の粒子が反応性基を有し、約65%の粒子が反応性基を有さず、又は約40%の粒子が反応性基を有し、約60%の粒子が反応性基を有さず、又は約45%の粒子が反応性基を有し、約55%の粒子が反応性基を有さず、又は約50%の粒子が反応性基を有し、約50%の粒子が反応性基を有さない。一部の実施形態では、一部の粒子は、同一粒子上の反応性基及び非反応性基の両方によって官能基化されてもよい。
【0043】
粒子の集合は、寸法を混ぜたもの、反応性基及び非反応性基を有する粒子、及び異なるタイプの粒子、例えば、アクリル、ポリカーボネート、ポリスチレン、シリコーン等などのポリマー粒子を含む有機粒子、又は例えば、シリカ及び酸化ジルコニウムなどのガラス若しくはセラミックスなどの無機粒子を含んでもよい。
【0044】
一部の実施形態では、低屈折率層又材料は、約30%超である(BET法により測定して約50m
2/gの表面積に対応する)BET多孔性、約50%超である(BET法により測定して約65〜70m
2/gの表面積に対応する)多孔性、約60%超である(BET法により測定して約80〜90m
2/gの表面積に対応する)多孔性、及び最も好ましくは約65%〜約80%の間の(BET法により測定して約100m
2/gの若干高い表面積に対応する)多孔性を有する。一部の実施形態では、低屈折率層中の複数の相互に接続された空隙の容積分率は、約20%以上(すなわち約20%超である)、又は約30%超、又は約40%超、又は約50%超、又は約60%超、又は約70%超、又は約90%超である。一般に、表面積が大きい程、%多孔性は大きく、したがって屈折率は低いということを示すことができるが、これらのパラメータの間の関係は複雑である。本開示で示す値は単なる手引きの目的のためであり、これらの性質の間の限定的な相関を例示するようには意図されていない。BET表面積及び%多孔性値は、低屈折率及びコーティングの凝集力などの他の臨界的な性能をバランスさせる必要性により決められる。
【0045】
本開示の光学構成体は任意の所望の光学ヘーズを有することができる。一部の実施形態では、低屈折率層は、少なくとも約20%(又は約20%超である)、又は約30%超、又は約40%超、又は約50%超、又は約60%超、又は約70%超、又は約80%超、又は約90%超、又は約95%超である光学ヘーズを有する。一部の実施形態では、低屈折率層は低光学ヘーズを有する。例えば、一部の実施形態では、低屈折率層の光学ヘーズは、約20%未満、約10%未満、約5%未満、約3%未満、約2%未満、約1.5%未満、又は約1%未満である。
【0046】
一部の実施形態では、光学構成体の各2つの隣接層の隣接する主表面の一部は、互いに物理的に接触している。例えば、光学構成体の各隣接層の隣接する主表面の一部は、互いに物理的に接触している。例えば、2つの隣り合う主表面の少なくとも30%、又は少なくとも40%、又は少なくとも50%、又は少なくとも60%、又は少なくとも70%、又は少なくとも80%、又は少なくとも90%、又は少なくとも95%は、互いに物理的に接触する。
【0047】
一部の実施形態では、光学構成体中の2つの各隣接層の隣接する主表面(互いに面するか、あるいは互いに隣接する主表面)の一部は、互いに物理的に接触する。例えば、一部の実施形態では、図中にははっきりと示していないが、低屈折率層と光学要素との間に配設された1つ以上の追加の層が存在してもよい。このような実施形態では、光学構成体中の各2つの隣接層の隣接する主表面の実質的な部分は、互いに物理的に接触する。このような実施形態では、光学構成体中の各2つの隣接層の隣接する主表面の少なくとも30%、又は少なくとも40%、又は少なくとも50%、又は少なくとも60%、又は少なくとも70%、又は少なくとも80%、又は少なくとも90%、又は少なくとも95%は、互いに物理的に接触する。
【0048】
本発明の実施形態の作製に有用な、当業界で公知の多数のコーティング技術が存在する。より一般的な技術は、ナイフ板、スロットダイ、スライド、カーテン、ロール、及びグラビアコーティング技術等の、周知のロールツーロール自動化プロセスであるが、それらに限定されない。インクジェット、スクリーン、オフセット印刷、ディップ及びスプレーコーティング技術などの非連続的な方法を用いて、これらの溶液を被覆することも可能である。低い屈折率特性を得るために、正確なコーティング技術は重要ではないが、いくつかの技術は、多数の層が、基材に同時にコーティングされることを可能にし、これは低屈折率コーティングの上に所望のコーティングを直接形成するために使用され得る、コーティングの形成を可能にし得る。代表的な同時コーティング技術としては、スライドコーティング、多層スロットコーティング、カーテンコーティングなどが挙げられる。
【0049】
図1は、本開示の一態様による、基材上の二層のスライドコーティングの概略図を示す。
図1において、第1溶液130、及び第2溶液140が、スライドコーティング第110を通じてポンプ移送されて、第1コーティング層131及び第2コーティング層141として、スライド表面115上に出る。主要表面121を有する基材120は、スライドコーティングダイ110を超えて速度125で移動しており、第1コーティング層131及び第2コーティング層141は、主要表面121に同時に堆積される。
【0050】
基材120はいずれかの有用な光学素子であり得る。多数の実施形態では、基材120は、偏光フィルム、拡散フィルム、反射型フィルム、位相差フィルム、ライトガイド若しくは液晶ディスプレイパネル、又はこれらの組み合わせである。いくつかの実施形態において、反射フィルムは、3M Company,St.Paul,MNから入手可能な強化鏡面反射(ESR)フィルムなどの、多層誘電性フィルムであり得る。いくつかの実施形態において、基材120は、当該技術分野において既知である、可視光透過基材である。一部の実施形態では基材120は吸収性偏光子又は反射性偏光子であることができる。反射型偏光板としては、例えば、ファイバー、多層、コレステリック、及びワイヤグリッド反射型偏光板が挙げられる。多層反射型偏光板には、3M Company(St.Paul,MN)から市販されている、輝度増強フィルム(BEF)及びデュアル輝度増強フィルム(DBEF)が挙げられる。一部の実施形態で基材120は、光再帰性フィルムであり、回折性及び/又は屈折性であることができる。一部の実施形態で基材120は、グラフィックフィルム、三酢酸セルロース、又は光学用接着剤であることができる。
【0051】
図2Aは、本開示の一態様による
図1の部分200の断面概略図を示す。
図2Aにおいて、第1コーティング層131は、基材120の主要表面121上に直接配置され、第2コーティング層141は、第1コーティング層131上に直接配置され、その間に中間層142がある。第1コーティング層131は、複数の酸化金属粒子138、結合剤134及び溶媒132を含み、結合剤134は、溶媒132中における第1濃度を有する。いくつかの場合において、複数の参加金属粒子138は、鎖136へと凝集してもよく、これは、結合剤134内で分散される酸化金属粒子138を含む。結合剤134と酸化金属粒子138の比率は、先に記載した範囲のいずれかであってもよいが、結合剤134と参加金属粒子138の重量比は、約1:3〜約1:7の範囲であることが好ましく、かつ約1:4〜1:6の重量比が特に好ましい場合がある。
【0052】
第2コーティング層141は、第2濃度において溶媒132内に分散した結合剤134を含み、第2濃度は、第1濃度とは異なり、中間層142にわたり、濃度の勾配「C」を生じる。いくつかの場合において、結合剤134は、第1コーティング層131及び第2コーティング層141のそれぞれと同一であり得る。第1コーティング層131と、第2コーティング層141との間で結合剤134の平均分子量に差がある場合があり、例えば、第1コーティング層131におけるよりも、第2コーティング層141においてより高い平均分子量134が使用され得る。
【0053】
結合剤134は、先に記載された結合剤のいずれかであり得るが、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアセテート、ビニルアセテート/エチレンコポリマー、酸化ポリエチレン、酸化ポリプロピレン、又はこれらの組み合わせが、好ましい結合剤であり得る。いくつかの実施形態において、結合剤134は、約40,000g/モルの平均分子量を有するポリマーから形成され得る。一部の実施形態では、結合剤134は、少なくとも100,000g/モル、又は少なくとも250,000g/モル、又は少なくとも500,000g/モルの平均分子量を有するポリマーから形成され得る。1つの特定の実施形態において、PVAが好ましい結合剤であり得、約5,000超、又は約10,000超、又は約20,000超、又は更に約30,000超の分子量を有するより高い分子量のPVAが特に好ましい場合がある。溶媒132は、先に記載された溶媒のいずれかであってもよいが、水、イソプロピルアルコール、メチルエチルケトン、又はこれらの組み合わせが好ましい場合がある。
【0054】
図2Bは、本開示の一態様による、乾燥プロセス中の、
図2Aの断面概略図を示す。
図2Bにおいて、乾燥コーティン部部分201は、溶媒132がコーティングから推進される際に、結合剤134が、第2コーティング層141から第1コーティング層131へと、方向「D」に拡散していることを示し、よってより高い濃度の結合剤134が、酸化金属粒子138を通じて散在している。
【0055】
図2Cは、本開示の一態様による保護されたフィルム202の断面概略図を示す。保護されたフィルム202は、基材120の主要表面121上に配置された第1層137を有する基材120を含み、第1層137は、結合剤134内に分散した酸化金属粒子138、及び複数の空隙135を含む。保護されたフィルム202は更に、第1層137上に配置された第2層145を含み、第2層145は、空隙135を含まずに結合剤134内に分散した酸化金属粒子138を含む。保護されたフィルムは更に、第2層145上に配置された保護されたフィルム147を含み、保護された層147は結合剤134を含み、酸化金属粒子138及び複数の空隙135は含まない。
【0056】
保護層147、第2層145、及び第1層137は、いずれかの有用な厚さを有し得る。第1層137は、他所に記載される低屈折率層であり得、約1〜約30μm、又は約1〜約20μm、又は約5〜約20μm、又は約10〜約15μm、又は約10〜約12μmの範囲の厚さを有し得る。保護層147及び第2層145は、いずれかの所望の厚さであり得るが、第2層145及び保護層147の形成の間、結合剤134が第1層137に深く浸透して、低屈折率が実質的に増加しないことを確かめるように、注意が払われるべきである。いくつかの実施形態において、結合剤134は、コーティング層131内へと200nm以上拡散して、第2溶液140の乾燥コーティング厚さは、好ましくは250nm以上であり、よって分散後、少なくとも約50nmの保護層147が、保護されたフィルム202の表面143上に留まる。いくつかの実施形態において、保護層147は、約50nmを超える範囲の厚さを有し、約50nm〜5,000nm、又は約0.2μm〜約1μmの範囲であり得る。いくつかの場合において、保護層は、更に約1〜20μmの範囲、又は1〜15μmの範囲であり得る。
【0057】
図1〜2Cはしたがって、基材120の上に第1溶液130をコーティングする工程であって、第1溶液130は複数の酸化金属粒子138、結合剤134、及び溶媒132を含み、結合剤134は溶媒132中における第1の濃度を有する、工程と、第1溶液130上に第2溶液140をコーティングする工程であって、第2溶液140は、溶媒132中に第2濃度で結合剤134を含み、第2濃度は第1濃度とは異なる、工程と、第1溶液130及び第2溶液140から溶媒132を除去して保護されたフィルム202を形成する工程であって、結合剤134の酸化金属粒子138に対する重量比は、保護されたフィルム202の厚さ方向で増加する、工程とを含む。
【0058】
図3Aは、本開示の一態様による、
図2Cの保護されたフィルムのコーティングの断面概略図を示す。
図3Aにおいて、
図2Cに記載される保護されたフィルム202の表面143に第4溶液層151がコーティングされる。第4溶液層151は、第2結合剤154及び第2溶媒152を含み、第2結合剤154は、第2溶媒152における第4濃度を有する。第5溶液層161が、第4溶液層151の上にコーティングされ、第5溶液層161は、第2溶媒値152中における第5濃度の第3結合剤154’、及び複数の分散粒子156を含む。
【0059】
第4溶液層151及び第5溶液層161は、いずれかの許容可能なコーティング技術によって保護されたフィルム202の表面143上にコーティングされ得、
図1に示されるのと同じ方法で、すなわちスライドコーターを使用してコーティングされ得る。第2結合剤154及び第3結合剤154’は同じ結合剤であってもよく、又はこれらは異なっていてもよく、かつ他所に記載される結合剤のいずれかから選択され得る。いくつかの場合において、第2結合剤154及び第3結合剤154’は同じポリマー結合剤であってもよいが、低分子量第2結合剤154、及び高分子量第3結合剤154’などの、異なる分子量を有してもよい。1つの特定の実施形態において、第2結合剤154は、約20,000g/gモル未満の分子量を有するPVBであり得、第3結合剤154’は、約20,000g/gモル超の分子量を有するPVBであり得る。第2溶媒152は、第2結合剤154及び第3結合剤154’のためのいずれかの好適な溶媒であり得、これは保護層147の結合剤134に影響せず、又はこれを溶かさない。1つの特定の実施形態において、第1結合剤154及び第2結合剤154’はPVBであり、第2溶媒はメチルエチルケトン(MEK)である。
【0060】
分散粒子156は、0.5〜10μm、又は2〜5μmなどのいずれかの有用な直径を有してもよく、又は例えば、約1μm以上の平均横直径を有してもよい。分散粒子は、ガラスなどの無機物質、又はポリスチレン(PS)、ポリメチルメタクレート(PMMA)、シリコーンなどのポリマー材料を含むビーズであってもよい。Soken KSR 3A及びSX 350Hなどの典型的な分散PS粒子は、Soken Chemical and Engineering Co.Ltd(Sayama−Shi,Saitama−Ken,Japan)から入手可能である。
【0061】
図3Bは、本開示の一態様による、
図3Aの乾燥した構成体の断面概略図を示す。第2溶媒152は、第4溶液層151及び第5溶液層161から除去されて、
図3Bに示される分散フィルム301を形成する。分散フィルム301は、任意の有用なヘーズ値を有し得る。多くの実施形態において分散フィルム301は、20%以上、50%以上、70%以上、75%以上、又は90%以上のヘーズ値を有する。いくつかの実施形態において、第2低屈折率層(図示されない)は、所望により、分散フィルム301、若しくは保護されたフィルム202に、又は第1層137と基材120との間に配置され得る。第2の低屈折率層は、1.3以下の有効屈折率を有することができ、第1層137の低屈折率層30に類似であることができる。
【0062】
典型的な1:4(ポリマー対顔料の比率)ヒュームドシリカ低屈折率コーティング(11%固体)は、2.2重量%のポリビニルアルコール(PVA)を溶液中に含み得る。接する密封層は、2.2重量%未満の濃度でPVAを含むとき、ポリビニルアルコールポリマーは、ヒュームドシリカから離れて密封層へと分散する。生じる乾燥フィルムは、密封境界面から離れたところでは1:4ポリマー対顔料の比率を有し、密封層の付近においては1:7以上のポリマー対顔料比率が予測され得る。一方で(より典型的には)2.2%超のPVA濃度を有する密封層が、密封層からヒュームドシリカへのPVAの分散を生じる。生じる乾燥フィルムは、密封表面付近において、1:3以下のポリマー対顔料比率を有する超低屈折率コーティングを含み得る。本質的には、1つの層から、隣接する層へのポリマーへのポリマーの分散は、2つの層の間の濃度勾配によって生じる。したがって、隣接する層及び低屈折率層のポリマーの濃度が、同じ又はほぼ同じであるように、系は設計され得、2つの層の間の分散は最小化され得る。
【0063】
2つの層の間のポリマー分散の速度は、濃度の差、粘度、分子量、時間、及び化学反応によって制御される。分散は、2つの層が接触してから、フィルムが乾燥又は凝固されるまで生じる。実際、分散速度は、乾燥プロセス中、において一定であることはほとんどなく、プロセスを正確にモデル化することは困難となる。
【0064】
低屈折率層内に分散する隣接する密封層(又は平滑化層)を備える低屈折率コーティングは、低屈折率コーティングを強化する利益を有し得る。1:4のポリマー対結合剤比率を必要とするコーティング(より少ないポリマーはひび割れを生じたため)は、分散ポリマー層が低屈折率コーティングと隣接していたとき、より望ましい(よりヘーズの少ない)1:6のポリマー対結合剤の比率と代えることができることを、発明者らは見出した。最終的には、ひびがなく、ヘーズが低く、より均一性の低い構成体が生じた。分散相はまた、いずれかの側にあってもよく(すなわち、コーティング基材の近く、又は遠く)、構成体に対して同じより強い効果を有する。
【0065】
1つの特定の実施形態において、ESRフィルム上の4層構成である、保護された低屈折率分散ESRフィルムが作製され得る。最初の2つの層は、多層スライドコーティング装置を使用して同時にコーティングされる。ESR上の下部、すなわち第1層は、1:2〜1:8の比率、好ましくは1:4〜1:6の比率の、ポリビニルアルコールブレンド及びヒュームドシリカである。水及びイソプロピルアルコールが、界面活性剤と共に添加されて、許容可能なコーティング状態を可能にする。第1層は、最終乾燥厚さが0.5〜15μm、好ましくは3〜6μmであるような、流量でコーティングされる。第2層は、第1層の上にコーティングされる。第2層は、水、イソプロピルアルコール、及び界面活性剤の混合物中にポリビニルアルコールを含む。第2層レオロジーは、これがスライドコーター上の第1層を自由に湿潤させるように、構成される。第2層は、最終乾燥厚さが0.1〜10μm、好ましくは0.25〜1μmであるような、流量でコーティングされるコーティングされた層はその後、炉内で、180〜200°F(82℃〜93℃)で、2〜4分にわたって乾燥された。
【0066】
最初の2つの層を有するESRはその後、2つの追加的な層でコーティングされる。上の2つの層は、多層スライドコーティング装置を使用して同時にコーティングされる。下層又は第3層は、MEKに溶解する低分子量ポリビニルブチラール樹脂である。分子量は、第2層への接着性をもたらすように選択される。40,000グラム/モル未満であることが好ましい。第3層は、最終乾燥厚さが0.1〜3μm、好ましくは0.2〜1μmであるような、流量でコーティングされる。第4層は、第3層の上にコーティングされる。第4層は、MEKに溶解したポリビニルブチラールを含有する。第4層レオロジーは、これがスライドコーター上の第1層を自由に湿潤させるように、構成される。第4層は、最終乾燥厚さが0.5〜15μm、好ましくは4〜6μmであるような、流量でコーティングされる。コーティングされた上層はその後、炉内で、160〜180°F(71℃〜82℃)で、2〜4分にわたって乾燥された。MEKは、2の2層にとって好ましい溶媒系であるが、ポリマーがこれらの中で可溶である限り、他の溶媒又は組み合わせが使用され得ることに留意すべきである。
【実施例】
【0067】
他に指定が無い限り、以下の材料が実施例において使用される。
【0068】
【表1】
【0069】
各溶液調製において、PVAが水に添加され、PVAが溶液になるまで、90℃の温度に維持しながら撹拌を行った。その後混合物が冷却され、残りの材料を添加した。最終的な混合物が、成分を均一に分散させるために、Cowlesミキサーを使用して、高せん断混合に供された。
【0070】
例えば、典型的な混合手順において、最初にPoval 235ポリビニルアルコール(PVA)(Kuraray,USAから利用可能なPoval 235樹脂)の、6.2%固体水溶液のドラム42.9kgを、79.8kg Cab−O−Sperse PG022ヒュームドシリカ分散系(Cabot Corporation,USAから入手可能)と混合することにより、低屈折率コーティング溶液が生成された。この混合物はその後、Cowlesミキサーを使用して、20〜30分間分散された。残りの手順には、低せん断混合を使用した。1.301kgの水に予め溶かした、0.145kgのクエン酸(Sigma−Aldrich,Milwaukee,WIから入手可能)が、連続的な混合で混合物に添加された。混合物は、59.8kgの脱イオン水及び30.6kgのイソプロピルアルコールのプレブレンドを添加することによって、コーティングのために更に溶解させた。1.02kgの脱イオン水中の0.113kg Tergiol Minfoam 1X (available from Dow Chemical,Midland,MI)のプレ混合物が、次に添加されて連続的に混合された。最終的に、10.592kg脱イオン水における、0.384kgのホウ酸(Sigma−Aldrich,Milwaukee,WIから入手可能)が、混合しながら、バッチにゆっくりと添加された。最終的な混合物は8.5%の固体であり、PVA:ヒュームドシリカの比率は1:6であった。
【0071】
実施例1:ESR上の保護された低屈折率分散フィルム
4層コーティングが、Vikuti(商標)ESRフィルム(3M Companyから入手可能)上に調製された。最初の2つの層は、多層スライドコーティングダイを使用して同時にコーティングされた。ESR上の下層、すなわち第1層は、1.25重量%のPoval PVA 235、37.5重量%のCab−O−Sperse(商標)PG−022、0.07重量%のクエン酸、0.18重量%のホウ酸、0.025重量%のTergitol Minfoam、16重量%のイソプロピルアルコール、及び44.975重量%の水を混合することによって、調製された、9固体重量%(2% PVA溶液)低屈折率コーティング溶液であった。第2層は、4.14重量% Poval PVA 235、0.04重量%クエン酸、0.025重量% BYK 345、25重量%のイソプロピルアルコール、及び70.795重量%の水を混合して調製された、4.2固体重量%(4.2% PVA溶液)保護層であった。第2層は、これがスライドコーター上の第1層を自由に湿潤するように調製された。
【0072】
スライドコーターは、100ft/分(30.48m/分)で移動するESRウェブから、0.008インチ(0.2mm)の間隔に位置付けられた。第1層は、400g/分で、0.008インチ(0.203mm)の第1スロット厚さ、0.010インチ(0.254mm)のステップ高さ、及び13インチ(33cm)の幅を有する、スライドコーターへとポンプ移送され、第2層は、180g/分で、0.029インチ(0.737mm)の第2スロット厚さ、0.020インチ(0.508mm)のステップ高さ、及び13インチ(33cm)の幅を有する、スライドコーターへとポンプ移送された。コーティングした層は、その後二領域炉(two zone oven)で乾燥された。第1領域は70ft(21.3m)長さであり、75℃で保持され、第2ゾーンはまた70ft(21.3m)長さであり、90℃で保持され、ESR上の保護された低屈折率フィルムが生じた。
【0073】
第2の2つの層がESR上の保護された低屈折率フィルムの上に、やはり多層スライドコーティングダイを使用して同時にコーティングされた。下層又は第3層は、6重量%のMowital B20H PVB及び94重量%のMEKを混合することによって調製された、6固体重量%のキャリアコーティング溶液であった。第4層は、12.25重量%のSolutia B76 PVB、5.25重量%のSoken PSビーズ、及び82.5重量%のMEKを混合することによって調製された、17.5固体重量%の分散相であった。第2層は、これがスライドコーター上の第1層を自由に湿潤するように調製された。
【0074】
スライドコーターは、100ft/分(30.48m/分)で移動する、ESRウェブ上の保護された低屈折率フィルムから、0.008インチ(0.203mm)の間隔で位置付けられた。第3層は、40g/分で、0.008インチ(0.203mm)の第1スロット厚さ、0.010インチ(0.254mm)のステップ高さ、及び12.5インチ(31.8cm)の幅を有する、スライドコーターへとポンプ移送され、第2層は、320g/分で、0.029インチ(0.737mm)の第2スロット厚さ、0.020インチ(0.508mm)のステップ高さ、及び12.5インチ(31.8cm)の幅を有する、スライドコーターへとポンプ移送された。コーティングした層は、その後二領域炉で乾燥された。第1領域は70ft(21.3m)長さであり、55℃で保持され、第2ゾーンはまた70ft(21.3m)長さであり、75℃で保持され、ESR上の保護された低屈折率フィルムが生じた。
【0075】
更なる一連の実施例は、実施例1の4層コーティングの最初の2層に関して先に記載された手順に従って調製された。使用される溶液は、上記のものと同様であったが、ただし、いくつかの実施例において、異なるヒュームドシリカ(Cab−O−Sperse(商標)PG−002)が、Cab−O−Sperse(商標)PG−022と代替させた。以下に示される実施例は、表1に記載されるように、いくつかの異なる比率のヒュームドシリカ対結合剤、異なるコーティング厚さ、2つの異なるヒュームドシリカ、2つの異なる基材、及び異なるコーティング条件を使用した。2つの使用された基材は、0.002インチ(0.051mm)厚さのポリエチレンテレフタレート(PET)、及びVicuiti(商標)ESRフィルム)であった。
【0076】
Metricon Corp(Pennington,NJから入手可能なMetricon 2010Mプリズムカップラーを用いるプリズム結合法の使用により構成体の屈折率(RI)値を求めた。RI(n)を633nmで求めた。より高いヘイズコーティングの屈折率の正確な決定は、コーティングされたフィルムの基材面を通してTM偏光状態で屈折率を測定することによって、最も良く決定した。この方法で、プリズム及びコーティングの基材面を結合し、RI測定をn=1.55〜1.05の間で走査した。この方法は、結果として2つの臨界角の遷移の検出を生じる;一方はn=〜1.495で基材−プリズム界面と付随するものであり、もう一方は基材−低屈折率コーティング界面と付随するものである。Metricon生データを解析して、この第2の臨界角の変曲点の上下の領域の200点の平滑化解析プログラムを使用することにより、この第2の遷移の臨界角を求めた。2つの直線領域を平滑化されたデータから求めた。これらの2つの線の交点は、曲線の変曲点、したがって低屈折率コーティングのRIに対応するものであった。
【0077】
【表2】
表1の注:全てのコーティングは、以下の条件でスライドコーターを使用して行われた:低屈折率コーティング間隔、及びステップ高さは0.010インチ(0.254mm)、PVA密封コーティング間隔及びステップ高さは0.20インチ(0.508mm)、スライドコーター間隔は0.008インチ(0.203mm)、スライドコーターと基材との間の真空は0.5水柱インチ(1.3cm)であり、基材は、60ft/分(18.3m/分)の速度でコーティングされた。コーティングした層は、その後二領域炉で乾燥された。第1領域は60ft(18.3m)長さであり、165°F(74℃)で保持され、第2ゾーンはまた80ft(24.4m)長さであり、190°F(88℃)で保持された。表に記される、上記に対する例外は、(A)真空は、1.0水柱インチ(2.5水柱cm)まで増加し、速度は、75ft/分(22.9m/分)まで増加し、(B)PVA密封コーティング間隔は、0.030インチ(0.762mm)まで増加した。
【0078】
以下に、本開示の実施形態を列記する。
【0079】
項目1は、基材の上に第1溶液をコーティングする工程であって、第1溶液は複数の酸化金属粒子、結合剤、及び溶媒を含み、結合剤は溶媒中における第1の濃度を有する、工程と、第1溶液上に第2溶液をコーティングする工程であって、第2溶液は、溶媒中に第2濃度で結合剤を含み、第2濃度は第1濃度とは異なる、工程と、第1溶液及び第2溶液から溶媒を除去して保護されたフィルムを形成する工程であって、結合剤の酸化金属粒子に対する重量比は、保護されたフィルムの厚さ方向で増加する、工程とを含む、方法。
【0080】
項目2は、第1溶液及び第2溶液のコーティングが、スライドコーター、多層スロットコーター、又はこれらの組み合わせを使用して同時に行われる、項目1に記載の方法。
【0081】
項目3は、第1溶液及び第2溶液のコーティングは、カーテンコーターを使用して連続的に行われる、項目1又は項目2に記載の方法。
【0082】
項目4は、溶媒を除去する工程は、ギャップドライヤ、衝突ドライヤ、浮揚ドライヤ、静止ドライヤ、又はこれらの組み合わせにおいて、第1及び第2溶液を乾燥させる工程を含む、項目1〜3に記載の方法。
【0083】
項目5は、溶媒を除去する工程は、第1溶液と第2溶液との間に形成された界面にわたる結合剤の分散を含む、項目1〜4に記載の方法。
【0084】
項目6は、第1濃度は、第2濃度よりも低い、項目1〜5に記載の方法。
【0085】
項目7は、結合剤と酸化金属粒子の重量比は、基材付近の1:2未満から、保護されたフィルムの外面付近の1:1超まで増加する、項目1〜6に記載の方法。
【0086】
項目8は、基材は上部にコーティングされた第3溶液を含み、第3溶液は、第2の複数の酸化金属粒子、結合剤、及び溶媒を含み、第3結合剤は、溶媒中における第3濃度を有し、第1溶液は、第3溶液上にコーティングされる、項目1〜7に記載の方法。
【0087】
項目9は、複数の酸化金属粒子及び第2の複数の酸化金属粒子が同一の粒子を含む、項目8に記載の方法。
【0088】
項目10は、前記第3濃度が、前記第1濃度よりも低い、項目8〜9に記載の方法。
【0089】
第1溶液又は第2溶液の少なくとも一方に分散する分散粒子を更に含む、項目1〜10に記載の方法。
【0090】
項目12は、第3溶液に分散した、分散粒子を更に含む、項目8〜11に記載の方法。
【0091】
項目13は、結合剤は、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアセテート、ビニルアセテート/エチレンコポリマー、酸化ポリエチレン、酸化ポリプロピレン、又はこれらの組み合わせを含む、項目1〜12に記載の方法。
【0092】
項目14は、溶媒が水、イソプロピルアルコール、メチルエチルケトン、又はこれらの組み合わせを含む、項目1〜13に記載の方法。
【0093】
項目15は、結合剤がPVAを含む、項目1〜14に記載の方法。
【0094】
項目16は、保護されたフィルム上に第4溶液をコーティングする工程であって、第4溶液は第2結合剤及び第2溶媒を含み、第2結合剤は第2溶媒中で第4濃度を有する、工程と、第4溶液上に第5溶液をコーティングする工程であって、第5溶液は第2溶媒中における第5濃度の第3結合剤、及び複数の分散粒子を含む、工程と、第4溶液及び第5溶液から溶媒を除去し、分散フィルムを形成する工程とを含む、項目1〜15に記載の方法。
【0095】
項目17は、第2結合剤及び第3結合剤はそれぞれ、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアセテート、ビニルアセテート/エチレンコポリマー、酸化ポリエチレン、酸化ポリプロピレン、又はこれらの組み合わせから個別に選択される、項目16に記載の方法。
【0096】
項目18は、溶媒が水、イソプロピルアルコール、メチルエチルケトン、又はこれらの組み合わせを含む、項目16〜17に記載の方法。
【0097】
項目19は、分散粒子が、約0.5μm〜約10μmの直径を有するビーズを含む、項目16〜18に記載の方法。
【0098】
項目20は、第2結合剤分子量が、第3結合剤分子量よりも小さい、項目16〜19に記載の方法。
【0099】
項目21は、第2結合剤及び第3結合剤がそれぞれPVBを含む、項目16〜20に記載の方法。
【0100】
項目22は、基材が光学フィルムを含む、項目1〜21に記載の方法。
【0101】
項目23は、光学フィルムがESRフィルムを含む、項目1〜22に記載の方法。
【0102】
項目24は、基材と、基材上主要表面上に配置された第1層であって、第1層は結合剤中に分散された酸化金属粒子、及び複数の空隙を含む、第1層と、第1層上に配置された第2層であって、第2層は、複数の空隙を含まずに、結合剤中に分散した金属酸化物粒子を含む、第2層と、第2層上に配置された保護層であって、保護層は酸化金属粒子及び複数の空隙を含まずに、結合剤を含む、保護層とを含む、物品。
【0103】
項目25は、第1層中における結合剤の酸化金属粒子に対する重量比が、1:2以下である、項目24に記載の物品。
【0104】
項目26は、第2層における結合剤の酸化金属粒子に対する重量比が、約1:2超である、項目24〜25に記載の物品。
【0105】
項目27は、基材と第1層との間に配置された第3層を更に含み、第3層は結合剤内に分散する第2酸化金属粒子、及び第2の複数の空隙を含む、項目24〜26に記載の物品。
【0106】
項目28は、第2酸化金属粒子、及び酸化金属粒子が、同一の粒子を含む、項目24〜27に記載の物品。
【0107】
項目29は、第1層、第2層、又は保護層の少なくとも1つに分散する分散粒子を更に含む、項目24〜28に記載の物品。
【0108】
項目30は、第3層に分散した、分散粒子を更に含む、項目24〜29に記載の物品。
【0109】
項目31は、結合剤は、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアセテート、ビニルアセテート/エチレンコポリマー、酸化ポリエチレン、酸化ポリプロピレン、又はこれらの組み合わせを含む、項目24〜30に記載の物品。
【0110】
項目32は、第1層が1.3以下の有効屈折率を有する、項目24〜31に記載の物品。
【0111】
項目33は、保護層上に配置される第3層であって、第3層は第2結合剤を含む、第3層と、第3層上に配置された第4層であって、第4層は複数の分散粒子及び第3結合剤を含む、第4層とを更に含む、項目24〜32に記載の物品。
【0112】
項目34は、第2結合剤及び第3結合剤はそれぞれ、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアセテート、ビニルアセテート/エチレンコポリマー、酸化ポリエチレン、酸化ポリプロピレン、又はこれらの組み合わせを含むポリマーから個別に選択される、項目33に記載の物品。
【0113】
項目35は、分散粒子が、約0.5μm〜約10μmの直径を有するビーズを含む、項目33〜34に記載の物品。
【0114】
項目36は、第2結合剤分子量が、第3結合剤分子量よりも小さい、項目33〜35に記載の物品。
【0115】
項目37は、第2結合剤及び第3結合剤がそれぞれPVBを含む、項目33〜36に記載の物品。
【0116】
項目38は、基材が光学フィルムを含む、項目24〜37に記載の物品。
【0117】
項目39は、光学フィルムがESRフィルムを含む、項目38に記載の物品。
【0118】
別段の指示がない限り、本明細書及び特許請求の範囲において用いる、機構の寸法、数量、及び物理特性を表す全ての数値は、「約」という語で修飾されるものとして理解されるべきである。それ故に、そうでないことが示されない限り、前述の明細書及び添付の「特許請求の範囲」で示される数値パラメータは、当業者が本明細書で開示される教示内容を用いて、目標対象とする所望の特性に応じて、変化し得る近似値である。
【0119】
本明細書に引用したすべての参照文献及び刊行物は、本開示と直接矛盾しうる場合を除いて、それらの全容を参考として本開示に明確に援用するものである。以上、本明細書において特定の実施形態について図示及び説明してきたが、当業者であれば、本開示の範囲から逸脱することなく、様々な代替的及び/又は同等の実施形態を、図示及び説明した特定の実施形態に置き換えることが可能である点は認識されるであろう。本出願は、本明細書において考察した特定の実施形態のあらゆる適合形態又は変形形態を網羅するものである。したがって、本開示は「特許請求の範囲」及びその均等物によってのみ限定されるものとする。
本発明の実施態様の一部を以下の項目1−39に列記する。
[1]
基材上に第1溶液をコーティングする工程であって、前記第1溶液は、複数の酸化金属粒子、結合剤、及び溶媒を含み、前記結合剤は、前記溶媒中における第1濃度を有する、工程と、
前記第1溶液上に第2溶液をコーティングする工程であって、前記第2溶液は、前記溶媒中における第2濃度で前記結合剤を含み、前記第2濃度は、前記第1濃度とは異なる、工程と、
前記第1溶液及び前記第2溶液から前記溶媒を除去して、保護されたフィルムを形成する工程であって、前記結合剤の前記酸化金属粒子に対する重量比は、前記保護されたフィルムの厚さ方向に増加している、工程とを含む、方法。
[2]
前記第1溶液及び前記第2溶液のコーティングは、スライドコーター、多層スロットコーター、又はこれらの組み合わせを使用して同時に行われる、項目1に記載の方法。
[3]
前記第1溶液及び前記第2溶液のコーティングは、カーテンコーターを使用して連続的に行われる、項目1に記載の方法。
[4]
前記溶媒を除去する工程は、ギャップドライヤ、衝突ドライヤ、浮揚ドライヤ、静止ドライヤ、又はこれらの組み合わせにおいて、前記第1及び前記第2溶液を乾燥させる工程を含む、項目1に記載の方法。
[5]
前記溶媒を除去する工程は、前記第1溶液と前記第2溶液との間に形成された界面にわたる前記結合剤の分散を含む、項目1に記載の方法。
[6]
前記第1濃度は、前記第2濃度よりも低い、項目1に記載の方法。
[7]
前記結合剤の前記酸化金属粒子に対する重量比は、前記基材付近の1:2未満から、前記保護されたフィルムの外面付近の1:1超まで増加する、項目1に記載の方法。
[8]
前記基材は上部にコーティングされた第3溶液を含み、前記第3溶液は、第2の複数の酸化金属粒子、前記結合剤、及び前記溶媒を含み、前記結合剤は、前記溶媒中における第3濃度を有し、前記第1溶液は、前記第3溶液上にコーティングされる、項目1に記載の方法。
[9]
前記複数の酸化金属粒子及び前記第2の複数の酸化金属粒子は、同一の粒子を含む、項目8に記載の方法。
[10]
前記第3濃度は、前記第1濃度よりも低い、項目8に記載の方法。
[11]
前記第1溶液又は前記第2溶液の少なくとも一方に分散する分散粒子を更に含む、項目1に記載の方法。
[12]
前記第3溶液中に分散した分散粒子を更に含む、項目8に記載の方法。
[13]
前記結合剤は、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアセテート、ビニルアセテート/エチレンコポリマー、酸化ポリエチレン、酸化ポリプロピレン、又はこれらの組み合わせを含む、項目1に記載の方法。
[14]
前記溶媒は、水、イソプロピルアルコール、メチルエチルケトン、又はこれらの組み合わせを含む、項目1に記載の方法。
[15]
前記結合剤は、PVAを含む、項目1に記載の方法。
[16]
前記保護フィルム上に第4溶液をコーティングする工程であって、前記第4溶液は、第2結合剤及び第2溶媒を含み、前記第2結合剤は、前記第2溶媒中における第4濃度を有する、工程と、
前記第4溶液上に第5溶液をコーティングする工程であって、前記第5溶液は、前記第2溶媒中における第5濃度の第3結合剤、及び複数の分散粒子を含む、工程と、
前記第4溶液及び前記第5溶液から前記溶媒を除去して、分散フィルムを形成する工程とを更に含む、項目1に記載の方法。
[17]
前記第2結合剤及び前記第3結合剤はそれぞれ、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアセテート、ビニルアセテート/エチレンコポリマー、酸化ポリエチレン、酸化ポリプロピレン、又はこれらの組み合わせを含むポリマーから個別に選択される、項目16に記載の方法。
[18]
前記第2溶媒は、水、イソプロピルアルコール、メチルエチルケトン、又はこれらの組み合わせを含む、項目16に記載の方法。
[19]
前記分散粒子は、約0.5μm〜約10μmの直径を有するビーズを含む、項目16に記載の方法。
[20]
前記第2結合剤分子量は、前記第3結合剤分子量よりも小さい、項目16に記載の方法。
[21]
前記第2結合剤及び前記第3結合剤はそれぞれ、PVBを含む、項目16に記載の方法。
[22]
前記基材は、光学フィルムを含む、項目1に記載の方法。
[23]
前記光学フィルムは、ESRフィルムを含む、項目22に記載の方法。
[24]
基材と、
前記基材の主要表面上に配置された第1層であって、前記第1層は結合剤内に分散した酸化金属粒子、及び複数の空隙を含む、第1層と、
前記第1層上に配置された第2層であって、前記第2層は、前記複数の空隙を有さずに、前記結合剤中に分散した酸化金属粒子を含む、第2層と、
前記第2層上に配置された保護層であって、前記保護層は、酸化金属粒子、及び前記複数の空隙を有さずに、前記結合剤を含む、保護層とを含む、物品。
[25]
前記第1層中における前記結合剤の前記酸化金属粒子に対する重量比は、1:2以下である、項目24に記載の物品。
[26]
前記第2層中における前記結合剤の前記酸化金属粒子に対する重量比は、約1:2超である、項目24に記載の物品。
[27]
前記基材と前記第1層との間に配置された第3層を更に含み、前記第3層は、前記結合剤内に分散する第2酸化金属粒子、及び第2の複数の空隙を含む、項目24に記載の物品。
[28]
前記第2酸化金属粒子、及び前記酸化金属粒子は、同一の粒子を含む、項目27に記載の物品。
[29]
前記第1層、前記第2層、又は前記保護層のうちの少なくとも1つに分散する分散粒子を更に含む、項目24に記載の物品。
[30]
前記第3層に分散した分散粒子を更に含む、項目27に記載の物品。
[31]
前記結合剤は、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアセテート、ビニルアセテート/エチレンコポリマー、酸化ポリエチレン、酸化ポリプロピレン、又はこれらの組み合わせを含む、項目24に記載の物品。
[32]
前記第1層は、1.3以下の有効屈折率を有する、項目24に記載の物品。
[33]
前記保護層上に配置された第3層であって、第2結合剤を含む、第3層と、
前記第3層上に配置された第4層であって、複数の分散粒子及び第3結合剤を含む、第4層と、を更に含む、項目24に記載の物品。
[34]
前記第2結合剤及び前記第3結合剤はそれぞれ、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアセテート、ビニルアセテート/エチレンコポリマー、酸化ポリエチレン、酸化ポリプロピレン、又はこれらの組み合わせを含むポリマーから個別に選択される、項目33に記載の物品。
[35]
前記分散粒子は、約0.5μm〜約10μmの直径を有するビーズを含む、項目33に記載の物品。
[36]
前記第2結合剤分子量は、前記第3結合剤分子量よりも小さい、項目33に記載の物品。
[37]
前記第2結合剤及び前記第3結合剤はそれぞれ、PVBを含む、項目33に記載の物品。
[38]
前記基材は、光学フィルムを含む、項目24に記載の物品。
[39]
前記光学フィルムは、ESRフィルムを含む、項目38に記載の物品。