特許第6416093号(P6416093)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6416093
(24)【登録日】2018年10月12日
(45)【発行日】2018年10月31日
(54)【発明の名称】フレキシブルプリント配線板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/24 20060101AFI20181022BHJP
   H05K 3/40 20060101ALI20181022BHJP
   H05K 3/12 20060101ALI20181022BHJP
   H05K 3/06 20060101ALI20181022BHJP
【FI】
   H05K3/24 Z
   H05K3/40 A
   H05K3/12 610P
   H05K3/06 A
【請求項の数】1
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-529727(P2015-529727)
(86)(22)【出願日】2015年2月16日
(86)【国際出願番号】JP2015054099
(87)【国際公開番号】WO2016132424
(87)【国際公開日】20160825
【審査請求日】2017年8月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000230249
【氏名又は名称】日本メクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100103263
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 康
(74)【代理人】
【識別番号】100152205
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 昌司
(72)【発明者】
【氏名】松 田 文 彦
【審査官】 齊藤 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平5−198928(JP,A)
【文献】 特表2013−526774(JP,A)
【文献】 特開2010−62478(JP,A)
【文献】 特開2008−235561(JP,A)
【文献】 特開2003−142823(JP,A)
【文献】 特開昭61−176193(JP,A)
【文献】 特開2006−140216(JP,A)
【文献】 特開2013−151638(JP,A)
【文献】 特開2005−222999(JP,A)
【文献】 特開2004−127970(JP,A)
【文献】 特開2012−27980(JP,A)
【文献】 特開2012−128926(JP,A)
【文献】 特開2008−147242(JP,A)
【文献】 米国特許第7271985(US,B1)
【文献】 特開2003−283134(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/047718(WO,A1)
【文献】 国際公開第2014/034472(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/183692(WO,A1)
【文献】 米国特許第8379349(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K1/00−3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁基板と、前記絶縁基板の少なくとも一方の主面に設けられた金属箔とを有する金属箔張積層板を用意する工程と、
前記金属箔をパターニングして、配線と、前記配線の両側にそれぞれ配置された第1の受けランドおよび第2の受けランドとを含む回路パターンを形成する工程と、
前記回路パターンを埋設するように絶縁保護層を形成する工程と、
前記絶縁保護層の上に剥離可能な印刷版層を形成する工程と、
内部に前記第1の受けランドが露出した第1の有底孔と、内部に前記第2の受けランドが露出した第2の有底孔と、底面に前記絶縁保護層が露出し且つ前記第1の有底孔と前記第2の有底孔とを接続する接続溝部とを含むジャンパー開口を形成する工程と、
前記印刷版層および前記絶縁保護層を印刷マスクとして導電性ペーストを印刷し、前記ジャンパー開口内に導電性ペーストを充填する工程と、
前記印刷版層を前記金属箔張積層板から剥離する工程と、
を備えることを特徴とするフレキシブルプリント配線板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブルプリント配線板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォンやデジタルカメラ等の携帯電子機器の小型化・高機能化に伴って、これらの電子機器に使用されるフレキシブルプリント配線板に対し、微細化・高密度化の要求が高まっている。
【0003】
フレキシブルプリント配線板の回路パターンは、通常、フォトファブリケーション手法を用いたエッチングにより、絶縁基板上の導電層をパターニングすることにより形成される。したがって、回路パターンを微細化するためには、絶縁基板上の導電層の厚みを薄くすることが有効である。そこで、従来、薄い銅箔が設けられた銅張積層板を用い、銅箔に厚付けめっきを行わずにそのまま銅箔をパターニングする方法が知られている。また、フレキシブルプリント配線板を高密度化するために、絶縁基板の両面の回路パターンを電気的に接続する層間接続路を、導電性ペーストを用いて形成する方法が知られている。これらの方法をより詳しく説明すると以下の通りである。
【0004】
まず、出発材料として、絶縁基板上に薄い銅箔が設けられた銅張積層板を用意する。次に、銅張積層板の銅箔に厚付けめっき処理を行わずそのまま銅箔をパターニングする。これにより、配線、コンフォーマルマスクおよびランド等を含む回路パターンが形成される。次に、コンフォーマルマスクを利用したレーザ加工により、絶縁基板を貫通し底面に銅箔が露出した導通用孔を形成する。次に、スクリーン版と回路パターンとの位置合わせを行い、スクリーン印刷手法により導通用孔に導電性ペーストを充填する。その後、導電性ペーストを熱硬化させて、絶縁基板の両面の回路パターンを電気的に接続する。
【0005】
なお、特許文献1には、微細な導通用孔を形成することを目的とした回路基板の製造方法が記載され、特許文献2には、導通用孔に充填された導電性ペーストにより形成された層間接続路を有する両面プリント配線板が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−229652号公報
【特許文献2】特開2014−49503号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のフレキシブルプリント配線板の製造方法では、薄い銅箔が設けられた銅張積層板を用い且つ銅箔に対して厚づけめっきを行わないため、微細な回路パターンを形成することが可能である。しかしながら、その反面、回路パターンの厚みの減少によって回路パターンの断面積が小さくなるため、所要の電流容量を確保することが困難な場合がある。これに対し、導電性ペーストを回路パターン上の必要な部分に印刷することにより、回路パターンの厚みを増やし、所要の電流容量を確保することが考えられる。
【0008】
しかしながら、回路パターンが微細化するにつれて、導電性ペーストを精度良く印刷することが困難になるという課題がある。これは、以下の理由による。
【0009】
回路パターンが微細化するにつれて、配線の幅が狭くなったり、層間接続用の導通用孔の径が小さくなる。このため、配線上に導電性ペーストを形成したり、導通用孔に導電性ペーストを充填するには、スクリーン印刷の際に、回路パターンとスクリーン版とを高精度に位置合わせする必要がある。従来、画像認識機能等を有する高性能なスクリーン印刷機が知られている。しかしながら、フレキシブルプリント配線板は、絶縁基板が可撓性を有する材料からなり、ある程度伸縮することが避けられない。また、スクリーン版も印刷時に伸びることがある。よって、高性能なスクリーン印刷機を用いても、位置合わせの高精度化には限界がある。このため、回路パターンの微細化が困難になってきている。
【0010】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、その目的は、微細な回路パターンに対して導電性ペーストを精度良く印刷することが可能であり、回路パターンの微細化を進めることができるフレキシブルプリント配線板の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るフレキシブルプリント配線板の製造方法は、
絶縁基板と、前記絶縁基板の少なくとも一方の主面に設けられた金属箔とを有する金属箔張積層板を用意する工程と、
前記金属箔をパターニングして、回路パターンを形成する工程と、
前記回路パターンを埋設するように、前記絶縁基板の上に剥離可能な印刷版層を形成する工程と、
前記印刷版層を部分的に除去して、内部に前記回路パターンが露出した有底孔を形成する工程と、
前記印刷版層を印刷マスクとして導電性ペーストを印刷して、前記有底孔内に導電性ペーストを充填する工程と、
前記印刷版層を前記金属箔張積層板から剥離する工程と、
を備えることを特徴とする。
【0012】
本発明に係るフレキシブルプリント配線板の製造方法は、
絶縁基板と、前記絶縁基板の少なくとも一方の主面に設けられた金属箔とを有する金属箔張積層板を用意する工程と、
前記金属箔をパターニングして、配線と、前記配線の両側にそれぞれ配置された第1の受けランドおよび第2の受けランドとを含む回路パターンを形成する工程と、
前記回路パターンを埋設するように絶縁保護層を形成する工程と、
前記絶縁保護層の上に剥離可能な印刷版層を形成する工程と、
内部に前記第1の受けランドが露出した第1の有底孔と、内部に前記第2の受けランドが露出した第2の有底孔と、底面に前記絶縁保護層が露出し且つ前記第1の有底孔と前記第2の有底孔とを接続する接続溝部とを含むジャンパー開口を形成する工程と、
前記印刷版層および前記絶縁保護層を印刷マスクとして導電性ペーストを印刷し、前記ジャンパー開口内に導電性ペーストを充填する工程と、
前記印刷版層を前記金属箔張積層板から剥離する工程と、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、微細な回路パターンに対して導電性ペーストを精度良く印刷することが可能であり、回路パターンの微細化を進めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1の実施形態に係るフレキシブルプリント配線板の製造方法を説明するための工程断面図である。
図2図1に続く、第1の実施形態に係るフレキシブルプリント配線板の製造方法を説明するための工程断面図である。
図3】ロールトゥロール工法による複数種類のフレキシブルプリント配線板の製造を示す斜視図である。
図4】(A)は第2の実施形態に係るフレキシブルプリント配線板の製造方法を説明するための平面図であり、(B)は(A)のA−A線に沿う断面図である。
図5図4に続く、第2の実施形態に係るフレキシブルプリント配線板の製造方法を説明するための工程断面図である。
図6】(A)は図5に続く第2の実施形態に係るフレキシブルプリント配線板の製造方法を説明するための平面図であり、(B)は(A)のA−A線に沿う断面図である。
図7】(A)は図6に続く第2の実施形態に係るフレキシブルプリント配線板の製造方法を説明するための平面図であり、(B)は(A)のA−A線に沿う断面図である。
図8】(A)は図7に続く第2の実施形態に係るフレキシブルプリント配線板の製造方法を説明するための平面図であり、(B)は(A)のA−A線に沿う断面図である。
図9】第2の実施形態の変形例に係るフレキシブルプリント配線板の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係るフレキシブルプリント配線板の製造方法について説明する。なお、各図において同等の機能を有する構成要素には同一の符号を付し、同一符号の構成要素の詳しい説明は繰り返さない。
【0016】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係るフレキシブルプリント配線板の製造方法について、図1および図2を参照して説明する。本実施形態に係る製造方法により製造されるフレキシブルプリント配線板は、導電性ペーストにより形成された層間接続路を有する。
【0017】
まず、図1(1)に示すように、金属箔張積層板1を用意する。この金属箔張積層板1は、絶縁基板2と、絶縁基板2の表面(上面)および裏面(下面)にそれぞれ設けられた金属箔3および金属箔4とを有する両面金属箔張積層板である。絶縁基板2は、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、液晶ポリマー(LCP)等からなる可撓性の絶縁フィルム(例えば25μm厚)であり、金属箔3,4は、銅箔(例えば12μm厚)である。なお、金属箔3,4は、銅以外の金属(銀、アルミニウムなど)から構成されてもよい。また、ロールトゥロール工法による製造のために、本工程において、金属箔張積層板1として、ロール状の金属箔張積層板を用意してもよい。
【0018】
次に、図1(2)に示すように、金属箔張積層板1の金属箔3をパターニングして、回路パターン5を形成する。同様に、金属箔4を所定の回路パターンに加工する。金属箔3,4のパターニングは、例えば、公知のフォトファブリケーション手法を用いたエッチングにより行う。なお、エッチングレジストの露光は、ダイレクト露光により行うことが好ましい。これにより、フォトマスクが不要となるとともに、必要数量ごとに露光パターンを切り替えることで少量・多品種のフレキシブルプリント配線板の製造に対応することができる。
【0019】
本工程で形成される回路パターン5は、レーザ加工により導通用孔を形成するためのコンフォーマルマスク5aと、所定の方向(図1の紙面に直交する方向)に延在する配線5bを含む。なお、コンフォーマルマスク5aはランドを兼ねてもよい。例えば、コンフォーマルマスク5aは、内径がφ150μm、外径(ランド径)がφ250μmのドーナツ状である。
【0020】
次に、図1(3)に示すように、回路パターン5を埋設するように、絶縁基板2の上に剥離可能な印刷版層6を形成する。より詳しくは、ラミネーター装置等を用いて、微粘着剤付きフィルムを金属箔張積層板1に貼り合わせることにより印刷版層6を形成する。この微粘着剤付きフィルムは、絶縁フィルムと、この絶縁フィルムの上に設けられた微粘着剤層とを有する。
【0021】
本工程において形成する印刷版層6は、後述の工程における加熱処理や薬品処理に対する耐性を有することが必要である。印刷版層6として、好ましくは、微粘着剤付きPETフィルム(例えば、ソマール株式会社製のソマタックCR1155)を用いる。
【0022】
なお、初期状態では粘着性を有し、UV光を照射することにより粘着性を失うUV硬化型粘着フィルムを、金属箔張積層板1に貼り合わせることにより印刷版層6を形成してもよい。また、加熱等の熱処理により粘着性を失う樹脂を絶縁基板2上にコーティングすることにより印刷版層6を形成してもよい。
【0023】
次に、図1(4)に示すように、印刷版層6を部分的に除去して、内部に回路パターン5が露出した、金属箔張積層板1を貫通しない有底孔7a,7bを形成する。より詳しくは、コンフォーマルマスク5aのほぼ中央を狙ってレーザ光を印刷版層6に照射して印刷版層6と絶縁基板2を部分的に除去することにより有底孔7aを形成する。この有底孔7aは、金属箔3が途中に露出し且つ金属箔4が底面に露出した有底ステップビアホールである。
【0024】
同様に、配線5bを狙ってレーザ光を印刷版層6に照射して印刷版層6を部分的に除去することにより有底孔7bを形成する。この有底孔7bの底面には配線5bが露出している。
【0025】
なお、有底孔7a,7b形成用のレーザとしては、例えば炭酸ガスレーザを用いるが、他のレーザを用いてもよい。
【0026】
また、コンフォーマルマスク5aにレーザ光を照射する際、レーザ光のビーム径はアパーチャー等でコンフォーマルマスク5aの内径と外径の中間値(例えばφ200μm)に調整することが好ましい。このようにアライメント領域を狭めることで、レーザ加工位置精度を向上させることができ、ランドのさらなる小径化が可能である。なお、ビーム径をφ200μmとした場合、コンフォーマルマスク5aは、有底孔7a内において、約25μm幅のドーナツ状に露出する。
【0027】
また、有底孔7a,7bの形成はレーザ加工に限らない。例えば、印刷版層6が感光性の樹脂からなる場合、ダイレクト露光等により印刷版層6をエッチングして有底孔7a,7bを形成してもよい。
【0028】
有底孔7a,7bを形成した後、デスミア処理を行う。このデスミア処理は、ドライ処理であるプラズマ処理、ウエット処理である過マンガン酸処理等を単独あるいは組合せて行う。
【0029】
次に、図2(1)に示すように、印刷版層6を印刷マスクとして導電性ペーストを印刷して、有底孔7a,7b内に導電性ペースト8a,8bを充填する。例えば、スクリーン印刷機等のスキージにより導電性ペーストを印刷する。
【0030】
このように、レーザ加工された印刷版層6を印刷マスクとすることで、スクリーン版と回路パターンの位置合わせが不要となるとともに、回路パターン5上に導電性ペーストを高精度に印刷することができる。また、高精度な位置合わせ機構を持たないスクリーン印刷機が使用可能となるため、フレキシブルプリント配線板を安価に高密度化することができる。
【0031】
次に、図2(2)に示すように、印刷版層6を金属箔張積層板1から剥離する。例えば、ロールトゥロール工程により、印刷版層6を連続的に金属箔張積層板1から剥離する。
【0032】
なお、印刷版層6がUV硬化型粘着フィルムからなる場合には、導電性ペーストの印刷後、UV硬化型粘着フィルムにUV光を照射して粘着性を失わせ、その後、UV硬化型粘着フィルムを金属箔張積層板1から剥離する。
【0033】
次に、図2(3)に示すように、導電性ペースト8a,8bを熱硬化させる。導電性ペースト8a,8bは硬化して、それぞれ硬化導電性ペースト9a,9bとなる。
【0034】
次に、図2(4)に示すように、真空プレス又は真空ラミネーター等を用いて、金属箔張積層板1の所定の部位にカバーレイ(絶縁保護層)10を形成する。このカバーレイ10は、ポリイミドフィルム等の絶縁フィルム10a上に、アクリル系またはエポキシ系の接着剤からなる接着材層10bが形成されたものである。金属箔張積層板1にカバーレイ10を貼り合わせた後、必要に応じて、回路パターン5への金めっき等の表面処理や、外形加工を行う。
【0035】
上記工程を経て、図2(4)に示すフレキシブルプリント配線板100が得られる。フレキシブルプリント配線板100では、硬化導電性ペースト9aにより絶縁基板2の両面に形成された回路パターンが電気的に接続されている。また、硬化導電性ペースト9bにより配線5bの厚みが増加している。これにより、配線幅を太くすることなく、配線の電流容量を増加させることができる。
【0036】
上記のように、第1の実施形態に係るフレキシブルプリント配線板の製造方法では、回路パターン5を埋設するように印刷版層6を形成する。そして、印刷版層6を部分的に除去して有底孔7a,7bを形成した後、印刷版層6を印刷マスクとして導電性ペーストを印刷して、有底孔7a,7b内に導電性ペースト8a,8bを充填する。このため、本実施形態では回路パターン5とスクリーン版との位置合わせを行う必要がなく、微細な回路パターンに対して導電性ペーストを精度良く印刷することが可能である。
【0037】
導電性ペーストを精度良く印刷することが可能になることにより、フレキシブルプリント配線板の回路パターンの微細化を進めることができる。例えば、径の小さな導通用孔に導電性ペーストを精度良く充填することが可能になるため、コンフォーマルマスク5a(ランド)を小径化することができる。また、配線上に導電性ペーストを精度良く印刷形成することが可能となるため、所要の電流容量を確保しつつ配線幅を細くすることができる。
【0038】
また、本実施形態に係るフレキシブルプリント配線板の製造方法では、印刷版層6により導電性ペーストの印刷を行うので、製品ごとに専用のスクリーン版を用意したり、交換したりする必要がない。よって、図3に示すように、シート毎に異なる製品(製品A,製品B,製品C)を容易に製造することができる。製品Aを5シート分、製品Bを3シート分、製品Cを10シート分等というように、製品ごとに異なるシート数(製造量)を製造することも容易である。よって、本実施形態によれば、少量多品種のフレキシブルプリント配線板を高い生産性で安定的に製造することができる。
【0039】
さらに、スクリーン版の配置や交換作業等が不要になるため、第1の実施形態によれば、金属箔張積層板1を用意する工程においてロール状の金属箔張積層板1を用意することで、回路パターン5を形成する工程から、導電性ペースト8a,8bを熱硬化させる工程までをロールトゥロール工法により行うことができる。
【0040】
各製品のシート長が同じ場合は、カバーレイ10を形成する工程までロールトゥロール化が可能である。各製品のシート長が異なる場合でも、製品ごとに専用のツール(露光マスクや印刷版等)を使用する必要がないので、カバーレイ10を形成する工程の前の工程までロールトゥロール工程で行うことができる。カバーレイに代えて感光性のカバーを用いる場合は、各製品のシート長が異なっても、当該カバーを形成する工程までロールトゥロール工法により行うことができる。
【0041】
上記のように、回路パターン5を形成する工程から、カバーレイ10を形成する工程までをロールトゥロール工法により行ってもよい。なお、回路パターン5を形成する工程から、少なくとも導電性ペーストを印刷する工程までをロールトゥロール工法により行うことが好ましい。ロールトゥロールにより連続的に工程流動させることで、フレキシブルプリント配線板の製造効率を大きく向上させることができる。
【0042】
なお、上記第1の実施形態の説明では、金属箔張積層板1として両面金属箔張積層板を用いたが、片面金属箔張積層板に対しても、本実施形態の製造方法を適用することは可能である。例えば、片面金属箔張積層板の金属箔をパターニングして形成された回路パターンの上に、印刷版層を用いた印刷により導電性ペーストを形成してもよい。
【0043】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係るフレキシブルプリント配線板の製造方法について、図4図8を参照して説明する。本実施形態に係る製造方法により製造されるフレキシブルプリント配線板は、導電性ペーストにより形成されたジャンパー接続路を有する。
【0044】
まず、出発材料として金属箔張積層板1Aを用意する。この金属箔張積層板1Aは、絶縁基板2と、絶縁基板2の表面(上面)に設けられた金属箔3とを有する片面金属箔張積層板である。なお、金属箔張積層板1Aは両面金属箔張積層板でもよい。
【0045】
次に、図4(A)および図4(B)に示すように、金属箔3をパターニングして回路パターン11を形成する。なお、金属箔3のパターニングは、例えば、公知のフォトファブリケーション手法を用いたエッチングにより行う。
【0046】
本工程で形成される回路パターン11は、所定の方向に延在する配線11aと、受けランド11bおよび受けランド11cとを含む。受けランド11bおよび受けランド11cは、配線11aを挟むように配線11aの両側にそれぞれ配置されている。より詳しくは、円形の受けランド11bおよび受けランド11cにはそれぞれ配線が接続されており、受けランド11bを端部に有するパターンと、受けランド11cを端部に有するパターンとの間に、配線11aが通るように配置されている。
【0047】
次に、図5(1)に示すように、金属箔張積層板1Aの所定の部位に、回路パターン11を埋設するようにカバーレイ(絶縁保護層)12を形成する。このカバーレイ12は、第1の実施形態で説明したカバーレイ10と同様に、絶縁フィルム12a上に接着材層12bが形成されたものである。
【0048】
次に、図5(2)に示すように、カバーレイ12の上に剥離可能な印刷版層13を形成する。この印刷版層13は、第1の実施形態で説明した印刷版層6と同様であるので詳しい説明は省略する。
【0049】
次に、図6(A)および図6(B)に示すように、内部に受けランド11bが露出した有底孔14と、内部に受けランド11cが露出した有底孔15と、底面にカバーレイ12が露出し且つ有底孔14と有底孔15とを接続する接続溝部16とを含むジャンパー開口20を形成する。より詳しくは、まず、印刷版層13およびカバーレイ12を部分的に除去して、有底孔14および有底孔15を形成する。有底孔14は底面に受けランド11bが露出しており、有底孔15は底面に受けランド11cが露出している。例えば、受けランド11b(11c)のほぼ中央を狙ってレーザ光を印刷版層13に照射して印刷版層13とカバーレイ12を部分的に除去することにより有底孔14(15)を形成する。
【0050】
有底孔14,15を形成した後、印刷版層13を部分的に除去して、接続溝部16を形成する。この接続溝部16は、底面にカバーレイ12(絶縁フィルム12a)が露出し、且つ有底孔14と有底孔15とを接続する。
【0051】
接続溝部16は、例えば、有底孔14と有底孔15との間における印刷版層13にレーザ光を照射して印刷版層13を部分的に除去することにより形成される。この際、レーザ装置(例えば炭酸ガスレーザ)の出力は印刷版層13のみを除去可能なように調整され、レーザ光は線状に走査されながら印刷版層13に照射される。なお、印刷版層13とカバーレイ12との選択加工性を向上させるために、波長の短いUV−YAGレーザやエキシマレーザ等を用いてもよい。
【0052】
上記のようにして有底孔14,15および接続溝部16を形成することにより、ジャンパー開口20が形成される。ジャンパー開口20を形成した後、デスミア処理を行う。
【0053】
なお、上記ジャンパー開口20の形成工程において、有底孔14、有底孔15および接続溝部16の形成順序は任意である。例えば、接続溝部16を形成してから有底孔14,15を形成してもよいし、あるいは、有底孔14、接続溝部16、有底孔15の順に形成してもよい。
【0054】
次に、図7(A)および図7(B)に示すように、印刷版層13とカバーレイ12を印刷マスクとして導電性ペーストを印刷し、ジャンパー開口20内に導電性ペースト17を充填する。これにより、有底孔14,15および接続溝部16内に導電性ペースト17が充填される。本工程の印刷は、例えば、スクリーン印刷機等のスキージを用いて行われる。
【0055】
このように、第2の実施形態では、レーザ加工された印刷版層13とカバーレイ12を印刷マスクとすることで、回路パターン11上に導電性ペーストを高精度に印刷できる。また、専用のスクリーン版が不要となり、スクリーン版と回路パターン11との間の位置合わせも不要となる。
【0056】
次に、印刷版層13を金属箔張積層板1A(カバーレイ12)から剥離する。例えば、ロールトゥロール工程により、印刷版層13を連続的に金属箔張積層板1Aから剥離する。
【0057】
次に、図8(A)および図8(B)に示すように、ジャンパー開口20の形状に合わせて印刷された導電性ペースト17を熱硬化させて、ジャンパー線として機能する硬化導電性ペースト18とする。
【0058】
その後、硬化導電性ペースト18の絶縁性確保や物理的保護のために、必要に応じて、各種レジスト、カバーレイまたはオーバーコート材等でジャンパー線を被覆する。
【0059】
上記工程を経て、受けランド11bと受けランド11cが硬化導電性ペースト18からなるジャンパー線により電気的に接続された構成を有するフレキシブルプリント配線板が得られる。
【0060】
なお、第2の実施形態についても第1の実施形態と同様に、上記各工程をロールトゥロール工程により行うことが可能である。
【0061】
また、上記の説明では、受けランドの数は2つであったが、これに限らない。3つ以上の受けランドを形成し、これらの受けランドを電気的に接続するジャンパー線を形成してもよい。
【0062】
また、ジャンパー線の平面形状は直線状に限らず、曲線等、任意の形状とすることが可能である。
【0063】
また、上記第2の実施形態の説明では、金属箔張積層板1Aとして片面金属箔張積層板を用いたが、以下の変形例に示すように、両面金属箔張積層板に対しても第2の実施形態の製造方法を適用することが可能である。
【0064】
<第2の実施形態の変形例>
本変形例では、図9に示すように、出発材料として、両面金属箔張積層板である金属箔張積層板1を用いる。そして、第1の実施形態と同様に、金属箔3をパターニングして、配線11a、受けランド11bおよび受けランド11cを含む回路パターンを形成する。ここで、受けランド11bは、例えばドーナツ状に形成され、コンフォーマルマスクとなる。なお、受けランド11cをコンフォーマルマスクとしてもよい。
【0065】
次に、前述の有底孔14を形成する工程において、金属箔3が途中に露出し且つ金属箔4が底面に露出した有底ステップビアホールを形成する。その後、前述の工程と同様にして、ジャンパー開口に導電性ペーストを充填し、印刷版層を剥離し、充填した導電性ペーストを硬化させて硬化導電性ペースト18とする。このようにして形成された硬化導電性ペースト18は、図9に示すように、ジャンパー線として機能するとともに、絶縁基板2の両面に形成された回路パターンを電気的に接続する層間接続路としても機能する。
【0066】
上記の記載に基づいて、当業者であれば、本発明の追加の効果や種々の変形を想到できるかもしれないが、本発明の態様は、上述した実施形態に限定されるものではない。特許請求の範囲に規定された内容及びその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更及び部分的削除が可能である。
【符号の説明】
【0067】
1,1A 金属箔張積層板
2 絶縁基板
3,4 金属箔
5 回路パターン
5a コンフォーマルマスク
5b 配線
6 印刷版層
7a 7b 有底孔
8a,8b 導電性ペースト(硬化前)
9a,9b 硬化導電性ペースト
10 カバーレイ(絶縁保護層)
10a 絶縁フィルム
10b 接着剤層
11 回路パターン
11a 配線
11b、11c 受けランド
12 カバーレイ(絶縁保護層)
12a 絶縁フィルム
12b 接着剤層
13 印刷版層
14,15 有底孔
16 接続溝部
17 導電性ペースト(硬化前)
18 硬化導電性ペースト
20 ジャンパー開口
100 フレキシブルプリント配線板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9