【実施例】
【0061】
以下、実施例及び比較例により本発明を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。まず、以下の実施例及び比較例における、光拡散体(以下の実施例及び比較例ではLED照明用光拡散カバー)の光直進率の波長選択性の測定方法、光拡散体の全光線透過率の測定方法、透明粒子の体積平均粒子径及び粒子径の変動係数の測定方法、透明粒子の屈折率の測定方法、並びに光拡散体の分散度(D50)の測定方法を説明する。
【0062】
〔光拡散体の光直進率の波長選択性の測定方法〕
(直進光透過率の測定)
まず、光拡散体を50mm×25mmの平面サイズに切り出して、測定試料とした。次いで、測定試料を、気温20℃、相対湿度65%に設定した恒温恒湿室に1時間以上静置することによって状態調整した後、測定試料の分光光度測定を行う。
【0063】
気温20℃、相対湿度65%に設定した恒温恒湿室内で、積分球を装着していない紫外可視光分光光度計(UV−VISIBLE SPECTROPHOTOMETER)(株式会社島津製作所製、型番「UV−2450」)に前記測定試料をセットして300nm〜800nmまでの光の直進光透過率を測定する。具体的には、まず、前記紫外可視光分光光度計に対して、前記紫外可視光分光光度計に付属のフィルムホルダをセットする。次に、前記紫外可視光分光光度計により300nm〜800nmの透過率を測定し、500nmの透過光強度が100%となるように前記紫外可視光分光光度計を補正する。次に、前記フィルムホルダに前記測定試料をセットし、300nm〜800nmの透過率を測定する。
【0064】
測定条件及び紫外可視光分光光度計のパラメーター(装置パラメーター)は、以下の通りとする。
【0065】
(測定条件)
・測定波長範囲:300nm〜800nm
・スキャンスピード:中速
・サンプリングピッチ:1nm
・測定モード:シングル
(装置パラメーター)
・測光値:透過
・スリット巾:2.0mm
・光源切替波長:360nm
・S/R切替:標準
(全透過率の測定)
前記紫外可視光分光光度計に積分球を装着すること以外は直進光透過率の測定と同様にして、300nm〜800nmまでの光の全透過率(全光透過率)を測定する。
【0066】
具体的には、前記紫外可視光分光光度計(UV−VISIBLE SPECTROPHOTOMETER)(株式会社島津製作所製、型番「UV−2450」)に積分球付属装置(株式会社島津製作所製、型番「ISR−2200」)をセットし、前記積分球付属装置の標準側及び反転側に標準白板(BaSO
4)をセットする。さらに、前記積分球付属装置に対して、前記積分球付属装置に付属の透過光測定用フォルダ(204−03878−03)をセットする。前記紫外可視光分光光度計により300nm〜800nmの透過率を測定し、500nmの透過光強度が100%となるように前記紫外可視光分光光度計を補正する。次に、透過光測定用フォルダ(204−03878−03)に前記測定試料をセットし、300nm〜800nmの透過率を測定する。
【0067】
(光拡散体の光直進率の波長選択性の算出)
次式(1)〜(3)
(光直進率の波長選択性)
=(550nm光の光直進率)/(450nm光の光直進率)…(1)
(550nm光の光直進率)
=(550nm光の直進光透過率)/(550nm光の全透過率)…(2)
(450nm光の光直進率)
=(450nm光の直進光透過率)/(450nm光の全透過率)…(3)
により、光拡散体の直進光の波長選択性を算出する。
【0068】
〔光拡散体の全光線透過率の測定方法〕
光拡散体の全光線透過率を、ヘイズメーター(日本電色工業株式会社製、商品名「NDH4000」)を使用して、JIS K 7361−1に従って測定する。また、2個の測定サンプルについてそれぞれ測定を実施し、得られた2つの測定値の平均値を最終的な測定値とする。
【0069】
〔透明粒子の体積平均粒子径及び粒子径の変動係数の、レーザー回折・散乱方式による測定方法〕
以下の実施例及び比較例(比較例4を除く)における、透明粒子の体積平均粒子径及び粒子径の変動係数の測定は、以下のようにしてレーザー回折・散乱方式により行った。
【0070】
透明粒子の体積平均粒子径の測定は、レーザー回折・散乱方式粒度分布測定装置(ベックマン・コールター株式会社製「LS 13 320」)及びユニバーサルリキッドサンプルモジュールによって行う。
【0071】
測定には、透明粒子を含むスラリー0.5g又は透明粒子0.1gを0.1重量%ノニオン性界面活性剤水溶液10m1中にタッチミキサー(ヤマト科学株式会社製、「TOUCHMIXER MT−31」)及び超音波洗浄器(株式会社ヴェルヴォクリーア社製、「ULTRASONIC CLEANER VS−150」)を用いて分散させ、分散液としたものを使用する。
【0072】
また、上記のレーザー回折・散乱方式粒度分布測定装置のソフトウェアにおいて、ミー理論に基づいた評価のために必要となる以下に示す光学的なパラメータを、設定する。
【0073】
<パラメータ>
液体(ノニオン性界面活性剤水溶液)の屈折率B.I.の実部=1.333(水の屈折率)
固体(測定対象の透明粒子)の屈折率の実部=透明粒子の屈折率
固体の屈折率の虚部=0
固体の形状因子=1
また、測定条件及び測定手順は、以下の通りとする。
【0074】
<測定条件>
測定時間:60秒
測定回数:1
ポンプ速度:50〜60%
PIDS相対濃度:40〜55%程度
超音波出力:8
<測定手順>
オフセット測定、光軸調整、バックグラウンド測定を行った後、上記した分散液を、スポイトを用いて、上記のレーザー回折・散乱方式粒度分布測定装置のユニバーサルリキッドサンプルモジュール内へ注入する。上記のユニバーサルリキッドサンプルモジュール内の濃度が上記のPIDS相対濃度に達し、上記のレーザー回折・散乱方式粒度分布測定装置のソフトウェアが「OK」と表示したら、測定を開始する。なお、測定は、ユニバーサルリキッドサンプルモジュール中でポンプ循環を行うことによって上記粒子を分散させた状態、かつ、超音波ユニット(ULM ULTRASONIC MODULE)を起動させた状態で行う。
【0075】
また、測定は室温で行い、得られたデータから、上記のレーザー回折・散乱方式粒度分布測定装置のソフトウェアにより、上記の予め設定された光学的なパラメータを用いて、透明粒子の体積平均粒子径(体積基準の粒度分布における算術平均径)及び粒子径の変動係数を算出する。
【0076】
なお、透明粒子が樹脂粒子である場合には、透明粒子の屈折率として、樹脂粒子を構成する重合体の屈折率を入力し、測定を実施する。
【0077】
〔透明粒子の体積平均粒子径及び粒子径の変動係数の、コールター法による測定方法〕
後述する比較例4における、透明粒子の体積平均粒子径及び粒子径の変動係数の測定は、以下のようにしてコールター法により行った。
【0078】
透明粒子の体積平均粒子径は、コールターマルチサイザーIII(ベックマン・コールター株式会社製の測定装置)により測定する。測定は、ベックマン・コールター株式会社発行のMultisizer(商標)3ユーザーズマニュアルに従って校正されたアパチャーを用いて実施するものとする。
【0079】
なお、測定に用いるアパチャーの選択は、測定する透明粒子の想定の体積平均粒子径が1μm以上10μm以下の場合は50μmのサイズを有するアパチャーを選択し、測定する透明粒子の想定の体積平均粒子径が10μmより大きく30μm以下の場合は100μmのサイズを有するアパチャーを選択し、透明粒子の想定の体積平均粒子径が30μmより大きく90μm以下の場合は280μmのサイズを有するアパチャーを選択し、透明粒子の想定の体積平均粒子径が90μmより大きく150μm以下の場合は400μmのサイズを有するアパチャーを選択するなど、適宜行う。測定後の体積平均粒子径が想定の体積平均粒子径と異なった場合は、適正なサイズを有するアパチャーに変更して、再度測定を行う。
【0080】
また、50μmのサイズを有するアパチャーを選択した場合、Current(アパチャー電流)は−800、Gain(ゲイン)は4と設定し、100μmのサイズを有するアパチャーを選択した場合、Current(アパチャー電流)は−1600、Gain(ゲイン)は2と設定し、280μmおよび400μmのサイズを有するアパチャーを選択した場合、Current(アパチャー電流)は−3200、Gain(ゲイン)は1と設定する。
【0081】
測定用試料としては、透明粒子0.1gを0.1重量%ノニオン性界面活性剤水溶液10ml中にタッチミキサー(ヤマト科学株式会社製、「TOUCHMIXER MT−31」)及び超音波洗浄器(株式会社ヴェルヴォクリーア社製、「ULTRASONIC CLEANER VS−150」)を用いて分散させ、分散液としたものを使用する。コールターマルチサイザーIIIの測定部に、ISOTON(登録商標)II(ベックマン・コールター株式会社製:測定用電解液)を満たしたビーカーをセットし、ビーカー内を緩く攪拌しながら、前記分散液を滴下して、コールターマルチサイザーIII本体画面の濃度計の示度を5〜10%に合わせた後に、測定を開始する。測定中はビーカー内を気泡が入らない程度に緩く攪拌しておき、粒子を10万個測定した時点で測定を終了する。透明粒子の体積平均粒子径は、10万個の粒子の体積基準の粒度分布における算術平均である。
【0082】
透明粒子の粒子径の変動係数(CV値)を、以下の数式によって算出する。
透明粒子の粒子径の変動係数=(透明粒子の体積基準の粒度分布の標準偏差
÷透明粒子の体積平均粒子径)×100
【0083】
〔透明粒子の屈折率(25℃での屈折率)の測定方法〕
体積平均粒子径が1μmを超える透明粒子(後述する樹脂粒子の製造例5で製造された樹脂粒子(E))の屈折率の測定は、ベッケ法により行う。まず、スライドガラス上に透明粒子を載せ、屈折液(予想される屈折率辺りのCARGILLE社製のカーギル標準屈折液を屈折率差0.002刻みで複数準備する;例えば、屈折率(25℃での屈折率nD25)1.538〜1.562の屈折液を屈折率差0.002刻みで複数準備する)を滴下する。そして、透明粒子と屈折液とをよく混ぜた後、下方から岩崎電気株式会社製の高圧ナトリウムランプ「NX35」(中心波長589nm)の光を照射しながら、上方から光学顕微鏡により透明粒子の輪郭を観察する。なお、光学顕微鏡による観察は、透明粒子の輪郭が確認できる倍率での観察であれば特に問題ないが、粒子径5μmの粒子であれば500倍程度の観察倍率が適当である。
【0084】
上記操作により、屈折液の屈折率と透明粒子の屈折率とが近いほど透明粒子の輪郭が見えにくくなることから、屈折液中の透明粒子の輪郭が見えない、あるいは屈折液中の透明粒子の輪郭が最も判りにくい屈折液の屈折率が透明粒子の屈折率に等しいと判断する。また、屈折率差が0.002である2種類の屈折液の間で透明粒子の見え方に違いがない場合は、これら2種類の屈折液の中間の値を当該透明粒子の屈折率と判断する。例えば、屈折率1.554及び1.556の屈折液それぞれで試験をしたときに、両屈折液で透明粒子の見え方に違いがない場合は、これら屈折液の中間値1.555を透明粒子の屈折率と判断する。上記の測定は、試験室気温23℃〜27℃の環境下で実施する。なお、体積平均粒子径が1μm以下の樹脂粒子の屈折率は、樹脂粒子を構成する単量体の屈折率から計算(推定)することができる。
【0085】
〔光拡散体の分散度(D50)の測定方法〕
光拡散体表面に対してその法線方向から光を当てたときに、光透過率が直進光透過率の50%になる透過角として定義される光拡散体の分散度(D50)は、自動変角光度計(株式会社村上色彩技術研究所製「ゴニオフォトメータGP−200」)を用いて以下の手順で求める。
【0086】
自動変角光度計の光源からの直進光を、光源から75cmの距離に設置した光拡散体に対して光拡散体表面の法線方向から当てる。光拡散体を透過した光の強度を可動式受光器にて受光角度を変化させながら測定する。測定された強度を透過率に換算し、光拡散体表面の法線方向に対する受光方向の角度(透過角)に対応させて透過率をグラフにプロットする。このグラフから、光透過率が光拡散体表面の法線方向の光の透過率(直進光透過率;透過角が0度のときの光透過率)の50%になるところの角度(透過角)を求める。この角度(透過角)を分散度(D50)と称する。この分散度(D50)の単位は「°(度)」である。また、分散度(D50)は、大きいほど光拡散性に優れていることを意味する。
【0087】
図5は、光拡散板(光拡散体)の透過光強度を、自動変角光度計を用いて測定した例である。縦軸は透過光強度の相対値で、この値が50%時のグラフのプロット点から垂線を引き、横軸との交点を求める。この横軸の値は角度(°)であり、分散度(D50)と呼ぶ。この
図5に示す測定結果では、分散度(D50)は57.3°となる。なお、分散度(D50)は、横軸の原点0°の左右2つの値(透過光強度が50%のときの角度の値)の絶対値の相加平均とする。
【0088】
〔樹脂粒子の製造例1〕
攪拌機及び温度計を備えた内容量5Lのオートクレーブ内に、水性媒体である水3200重量部、重合分散剤であるヒドロキシエチルセルロース(ダイセルファインケム株式会社製、商品名「HECダイセル(登録商標)SP200」)0.8重量部、及び反応性アニオン性界面活性剤であるp−スチレンスルホン酸ナトリウム(東ソー有機化学株式会社製、商品名「スピノマー(登録商標)NaSS」)2.4重量部を供給して、攪拌及び溶解した。
【0089】
次いで、オートクレーブ内へ、予め調製しておいた単官能(メタ)アクリル系単量体としてのメタクリル酸メチル640重量部と、架橋性単量体としてのメタクリル酸アリル(三菱レイヨン株式会社製、商品名「アクリエステル(登録商標)A」)160重量部との混合液(重合性単量体混合物)を供給した。オートクレーブの内部空間の空気を窒素で置換した後、オートクレーブの内容物を200rpmの攪拌回転数で攪拌しつつ、70℃に加熱した。次に、重合開始剤である過硫酸アンモニウム(和光純薬工業株式会社製)4.0重量部をオートクレーブ内に供給した後、70℃にて2時間にわたって攪拌を続けながら乳化重合を行った。
【0090】
続いて、オートクレーブの内温を80℃に保つ処理を1時間行って樹脂粒子を含むスラリーを得た後、スラリーを室温(約25℃)まで冷却した。
【0091】
得られたスラリー(冷却後のスラリー)を用いて樹脂粒子の体積平均粒子径及び粒子径の変動係数を前述したレーザー回折・散乱方式による測定方法により測定した結果、樹脂粒子の体積平均粒子径は0.32μm、樹脂粒子の粒子径の変動係数は15.2%であった。
【0092】
得られたスラリーを、目開き400μmの篩網に通して分級することにより粗大粒子を除去した後、スプレードライヤーにて給気温度(スプレードライヤーのスラリー入口の温度)120℃、排気温度(スプレードライヤーの粉体出口の温度)60℃で噴霧乾燥させることで、透明粒子としての乾燥粉体の樹脂粒子(以下、「樹脂粒子(A)」と呼ぶ)を得た。樹脂粒子(A)の屈折率(樹脂粒子を構成する単量体の屈折率から計算した推定値)は1.49であった。
【0093】
〔樹脂粒子の製造例2〕
p−スチレンスルホン酸ナトリウムの使用量を0.16重量部に変更したこと以外は樹脂粒子の製造例1と同様にして、スラリーを得た。
【0094】
得られたスラリー(冷却後のスラリー)を用いて樹脂粒子の体積平均粒子径及び粒子径の変動係数を前述したレーザー回折・散乱方式による測定方法により測定した結果、樹脂粒子の体積平均粒子径は0.50μm、樹脂粒子の粒子径の変動係数は14.5%であった。
【0095】
得られたスラリーを樹脂粒子の製造例1と同様にして分級及び噴霧乾燥することで、透明粒子としての乾燥粉体の樹脂粒子(以下、「樹脂粒子(B)」と呼ぶ)を得た。樹脂粒子(B)の屈折率(樹脂粒子を構成する単量体の屈折率から計算した推定値)は1.49であった。
【0096】
〔樹脂粒子の製造例3〕
ヒドロキシエチルセルロースを使用せず、反応性アニオン性界面活性剤としてp−スチレンスルホン酸ナトリウム2.4重量部に代えてポリオキシエチレン1−(アリルオキシメチル)アルキルエーテル硫酸アンモニウム(第一工業製薬株式会社製、商品名「アクアロン(登録商標)KH−1025」;純分25重量%)24重量部(重合性単量体混合物100重量部に対して1重量部)を使用し、メタクリル酸メチルの使用量を480重量部に変更し、メタクリル酸アリルの使用量を120重量部に変更し、過硫酸アンモニウムの使用量を3.0重量部に変更したこと以外は、樹脂粒子の製造例1と同様にして、スラリーを得た。
【0097】
得られたスラリー(冷却後のスラリー)を用いて樹脂粒子の体積平均粒子径及び粒子径の変動係数を前述したレーザー回折・散乱方式による測定方法により測定した結果、樹脂粒子の体積平均粒子径は0.09μm、樹脂粒子の粒子径の変動係数は26.7%であった。
【0098】
得られたスラリーを樹脂粒子の製造例1と同様にして分級及び噴霧乾燥することで、透明粒子としての樹脂粒子(以下、「樹脂粒子(C)」と呼ぶ)を得た。樹脂粒子(C)の屈折率(樹脂粒子を構成する単量体の屈折率から計算した推定値)は1.49であった。
【0099】
〔樹脂粒子の製造例4〕
(種粒子の製造)
攪拌機および温度計を備えた容量5Lの反応器に、純水3440gと、単官能(メタ)アクリル系単量体としてのメタクリル酸メチル860g及びn−オクチルメルカプタン(連鎖移動剤)17gとを投入した。そして、反応器内を窒素パージし、次いで反応器内部を70℃まで昇温した。その後、過硫酸カリウム(重合開始剤)4.3gを純水70gに溶解してなる過硫酸カリウム水溶液を反応器に投入し、再び反応器内を窒素パージした。その後、メタクリル酸メチルを70℃で12時間かけて重合させ、体積平均粒子径0.27μmの種粒子をスラリーの状態で得た。
【0100】
(樹脂粒子の製造)
単官能(メタ)アクリル系単量体としてのアクリル酸ブチル700gと架橋性単量体としてのエチレングリコールジメタクリレート(ジメタクリル酸エチレングリコール)300gとからなる混合溶液に、重合開始剤として2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)5g、熱安定剤としてペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート10gを溶解して、重合性単量体成分とした。
【0101】
これとは別に、純水3000gにリン酸エステル系界面活性剤(東邦化学工業株式会社製、商品名「フォスファノールLO−529」、モノ(ポリオキシエチレンノニルフェノール)リン酸40重量%とジ(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)リン酸60重量%との混合物の水酸化ナトリウム部分中和物)20gを溶解して、界面活性剤水溶液を得た。この界面活性剤水溶液に上記重合性単量体成分を混合し、T.K.ホモミキサー(プライミクス株式会社製)を用いて攪拌速度8000rpmで10分間攪拌し、エマルションを得た。このエマルションを、攪拌機及び温度計を備えた容量5Lの反応器に投入し、前記の種粒子を含むスラリーを250g添加した。反応器の内容物を攪拌速度120rpmで4時間攪拌し、種粒子を膨潤させた。
【0102】
次いで、反応器の内容物(種粒子を含むスラリーとエマルションとを混合した物)を50℃に昇温し、この温度で3時間重合した後、80℃に昇温し、3時間加熱した後、30℃まで冷却した。得られたスラリー(冷却後の反応器の内容物)を用いて樹脂粒子の体積平均粒子径及び粒子径の変動係数を前述したレーザー回折・散乱方式による測定方法により測定した結果、樹脂粒子の体積平均粒子径は0.82μm、樹脂粒子の粒子径の変動係数は14.3%であった。
【0103】
得られたスラリーを樹脂粒子の製造例1と同様にして分級及び噴霧乾燥することで、透明粒子としての樹脂粒子(以下、「樹脂粒子(D)」と呼ぶ)を得た。樹脂粒子(D)の屈折率(樹脂粒子を構成する単量体の屈折率から計算した推定値)は1.49であった。
【0104】
〔樹脂粒子の製造例5〕
(水相の調製)
容積5Lのステンレスビーカーに、純水3000g、ラウリル硫酸ナトリウム1.2g(400ppm)、及びピロ燐酸マグネシウム90gを投入し、水相を調製した。
【0105】
(油相の調製)
水相の調製に使用したステンレスビーカーとは別のステンレスビーカーに、単量体(モノマー)としてのメタクリル酸メチル950g及びエチレングリコールジメタクリレート50gと、重合開始剤としての2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)6gとを投入し、十分に攪拌して油相を調製した。
【0106】
(重合)
調製した油相を、先に調製した水相に加え、プライミクス株式会社製のT.K.ホモミキサーを用いて攪拌速度7000rpmで15分間攪拌し、懸濁液を得た。次いで、懸濁液を、攪拌機及び温度計を備えた容量5Lの反応器に移し、50℃で5時間単量体(モノマー)を重合させてから、105℃で2時間加熱した後、30℃まで冷却し、樹脂粒子を含むスラリーを得た。
【0107】
(重合後の後処理)
次に、樹脂粒子を含むスラリーに、スラリーのpHが2以下になるまで塩酸を加えた。次に、塩酸が加えられた樹脂粒子を含むスラリーを、遠心脱水機を用いて、洗浄水のpHが6〜7になるまで洗浄し、その後、脱水した。これにより得られた脱水ケーキを、真空乾燥機を用いてジャケット温度60℃で20時間真空乾燥し、乾燥物を得た。次に、乾燥物を400メッシュの篩いに通し、樹脂粒子(以下、「樹脂粒子(E)」と呼ぶ)を得た。
【0108】
得られた樹脂粒子(E)の体積平均粒子径及び粒子径の変動係数をコールター法による測定方法により測定した結果、樹脂粒子(E)の体積平均粒子径は5.3μm、樹脂粒子(E)の粒子径の変動係数は35.3%であった。前述したベッケ法による測定方法で測定した樹脂粒子(E)の屈折率は1.492であった。
【0109】
〔樹脂粒子の製造例6〕
(種粒子の製造)
攪拌機および温度計を備えた容量5Lの反応器に、水性媒体である純水2600gと、反応性アニオン性界面活性剤であるp−スチレンスルホン酸ナトリウム12gと、単官能(メタ)アクリル系単量体としてのメタクリル酸メチル1200gと、及びn−オクチルメルカプタン(連鎖移動剤)24gとを投入した。そして、反応器内を窒素パージし、次いで反応器内部を80℃まで昇温した。その後、過硫酸カリウム(重合開始剤)6gを純水200gに溶解してなる過硫酸カリウム水溶液を反応器に投入し、再び反応器内を窒素パージした。その後、メタクリル酸メチルを80℃で12時間かけて重合させた、次に100℃に昇温し3時間保持した後、室温まで冷却することによって、体積平均粒子径0.159μmの種粒子をスラリーの状態で得た。
【0110】
(樹脂粒子の製造)
単官能単量体としてのスチレン1140gと架橋性単量体としてのエチレングリコールジメタクリレート60gとからなる混合溶液に、重合開始剤として過酸化ベンゾイル8.1gを溶解して、重合性単量体成分とした。
【0111】
これとは別に、純水2400gにリン酸エステル系界面活性剤(東邦化学工業株式会社製、商品名「フォスファノールLO−529」、モノ(ポリオキシエチレンノニルフェノール)リン酸40重量%とジ(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)リン酸60重量%との混合物の水酸化ナトリウム部分中和物)12g、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム6g、及びポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル12gを溶解して、界面活性剤水溶液を得た。この界面活性剤水溶液に上記重合性単量体成分を混合し、T.K.ホモミキサー(プライミクス株式会社製)を用いて攪拌速度8000rpmで10分間攪拌し、エマルションを得た。このエマルションを、攪拌機及び温度計を備えた容量5Lの反応器に投入し、前記の種粒子を含むスラリーを400g添加した。反応器の内容物を攪拌速度150rpmで4時間攪拌し、種粒子を膨潤させた。
【0112】
次いで、反応器の内容物(種粒子を含むスラリーとエマルションとを混合した物)を75℃に昇温し、この温度で8時間重合した後、100℃に昇温し、3時間加熱した後、30℃まで冷却した。得られたスラリー(冷却後の反応器の内容物)を用いて樹脂粒子の体積平均粒子径及び粒子径の変動係数を前述したレーザー回折・散乱方式による測定方法により測定した結果、樹脂粒子の体積平均粒子径は0.39μm、樹脂粒子の粒子径の変動係数は13.5%であった。
【0113】
得られたスラリーを樹脂粒子の製造例1と同様にして分級及び噴霧乾燥することで、透明粒子としての樹脂粒子(以下、「樹脂粒子(F)」と呼ぶ)を得た。樹脂粒子(F)の屈折率(樹脂粒子を構成する単量体の屈折率から計算した推定値)は1.58であった。
【0114】
〔実施例1〕
透明粒子としての樹脂粒子(A)(具体的には樹脂粒子(A)の集合体)、及び熱可塑性樹脂としてのポリカーボネート(帝人株式会社製、商品名「パンライト(登録商標)L−1250Z 100」、数平均分子量23800、屈折率1.585、表中では「PC」と略記する)を、樹脂粒子(A)が0.5重量部、ポリカーボネートが100重量部の割合となるようにそれぞれ計量し、ヘンシェルミキサーで15分間混合した。この混合物を単軸型押出し機(株式会社星プラスチック製、型番「R50」)を用いて温度250〜280℃、吐出量10〜25kg/hの条件で押出し、水冷後にペレタイザーでカットして、樹脂粒子(A)を含有するペレット状の光拡散性樹脂組成物を得た。
【0115】
次いで、得られたペレット状の光拡散性樹脂組成物を、射出成形機(日精樹脂工業株式会社製、型番「FNX140」)を用いて、温度300℃の条件で射出成形することにより、樹脂粒子(A)の含有量が0.5重量%で、厚み1mm、平面サイズ50mm×50mmの平板(プレート)状のLED照明用光拡散カバー(光拡散体の1種、光拡散板の1種)を製造した。
【0116】
〔実施例2〕
樹脂粒子(A)の配合量を1.0重量部に変更したこと以外は実施例1と同様にして、樹脂粒子(A)の含有量が1.0重量%の平板状のLED照明用光拡散カバーを製造した。
【0117】
〔実施例3〕
樹脂粒子(A)に代えて樹脂粒子(B)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、平板状のLED照明用光拡散カバーを製造した。
【0118】
〔実施例4〕
得られる平板状のLED照明用光拡散カバーの厚みが2mmとなるようにペレット状の光拡散性樹脂組成物の成形を行ったこと以外は実施例1と同様にして、厚み2mm、平面サイズ50mm×50mmの平板状のLED照明用光拡散カバーを製造した。
【0119】
〔実施例5〕
樹脂粒子(A)に代えて樹脂粒子(D)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、平板状のLED照明用光拡散カバーを製造した。
【0120】
〔比較例1〕
樹脂粒子(A)に代えて樹脂粒子(C)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、平板状のLED照明用光拡散カバーを製造した。
【0121】
〔比較例2〕
樹脂粒子(A)の配合量を0.1重量部に変更したこと以外は実施例1と同様にして、樹脂粒子(A)の含有量が0.1重量%の平板状のLED照明用光拡散カバーを製造した。
【0122】
〔比較例3〕
樹脂粒子(A)に代えて樹脂粒子(D)を用いたこと以外は実施例4と同様にして、平板状のLED照明用光拡散カバーを製造した。
【0123】
〔比較例4〕
樹脂粒子(A)に代えて樹脂粒子(E)を用いたこと以外は実施例2と同様にして、平板状のLED照明用光拡散カバーを製造した。
【0124】
これら実施例及び比較例で得られたLED照明用光拡散カバーの厚み、550nm光の直進光透過率、550nm光の全透過率、550nm光の光直進率、450nm光の直進光透過率、450nm光の全透過率、450nm光の光直進率、光直進率の波長選択性、及び全光線透過率を、使用した透明粒子の種類、体積平均粒子径D、粒子径の変動係数、添加量、及び屈折率、熱可塑性樹脂の種類及び屈折率、並びに透明粒子と熱可塑性樹脂との屈折率差Δn及びD×Δnと共に、表1に示す。また、実施例1で得られたLED照明用光拡散カバーの光直進率の波長選択性の測定において、積分球を装着した状態の紫外可視光分光光度計により測定された波長300nm〜800nmの分光透過率(全透過率の分光特性)を
図1に実線で示し、積分球を装着していない状態の紫外可視光分光光度計により測定された波長300nm〜800nmの分光透過率(直進光透過率の分光特性)を
図1に破線で示す。
【0125】
【表1】
以上のように、比較例1〜5のLED照明用光拡散カバーでは、光直進率の波長選択性が1.5未満であったのに対し、実施例1〜5のLED照明用光拡散カバーでは、透明粒子の体積平均粒子径、透明粒子の添加量、及びLED照明用光拡散カバーの厚みを最適化することで、光直進率の波長選択性を1.5以上にすることができた。従って、実施例1〜5のLED照明用光拡散カバーは、450nm付近の波長の光を十分に拡散させることができ、LED光源からの出射光の眩しさを緩和することができる。また、実施例1〜5のLED照明用光拡散カバーは、良好な全光線透過率を有していた。従って、実施例1〜5のLED照明用光拡散カバーは、その配設によるLED照明の出射光の明るさの低下を抑制できる。また、実施例1・2及び比較例2の比較により、透明粒子の添加量を増加させるに従って、光直進率の波長選択性が大きくなることが分かった。
【0126】
〔実施例6〕
透明粒子として樹脂粒子(A)に代えて体積平均粒子径約0.3μmのシリカ粒子(日揮触媒化成株式会社製、商品名「セラメート(登録商標)TPS−03」、屈折率1.458)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、平板状のLED照明用光拡散カバーを製造した。
【0127】
〔実施例7〕
得られる平板状のLED照明用光拡散カバーの厚みが2mmとなるようにペレット状の光拡散性樹脂組成物の成形を行ったこと以外は実施例6と同様にして、平板状のLED照明用光拡散カバーを製造した。
【0128】
〔実施例8〕
シリカ粒子の配合量を1重量部に変更した以外は実施例6と同様にして、平板状のLED照明用光拡散カバーを製造した。
【0129】
〔実施例9〕
透明粒子として樹脂粒子(A)に代えて体積平均粒子径約0.5μmのシリカ粒子(日揮触媒化成株式会社製、商品名「COSMO 55」、屈折率1.458)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、平板状のLED照明用光拡散カバーを製造した。
【0130】
〔実施例10〕
得られる平板状のLED照明用光拡散カバーの厚みが2mmとなるようにペレット状の光拡散性樹脂組成物の成形を行ったこと以外は実施例9と同様にして、平板状のLED照明用光拡散カバーを製造した。
【0131】
〔実施例11〕
得られる平板状のLED照明用光拡散カバーの厚みが3mmとなるようにペレット状の光拡散性樹脂組成物の成形を行ったこと以外は実施例9と同様にして、平板状のLED照明用光拡散カバーを製造した。
【0132】
〔実施例12〕
シリカ粒子の配合量を1.0重量部に変更した以外は実施例9と同様にして、平板状のLED照明用光拡散カバーを製造した。
【0133】
〔実施例13〕
透明粒子として樹脂粒子(A)(具体的には樹脂粒子(A)の集合体)に代えて樹脂粒子(F)(具体的には樹脂粒子(F)の集合体)を使用し、熱可塑性樹脂としてポリカーボネートに代えてアクリル樹脂(旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名「デルペット(登録商標)80HD」、屈折率1.49)を使用し、押出の温度を230〜270℃に変更し、射出成形の温度を280℃に変更した以外は実施例1と同様にして、平板状のLED照明用光拡散カバーを製造した。
【0134】
〔実施例14〕
得られる平板状のLED照明用光拡散カバーの厚みが2mmとなるようにペレット状の光拡散性樹脂組成物の成形を行ったこと以外は実施例13と同様にして、平板状のLED照明用光拡散カバーを製造した。
【0135】
〔実施例15〕
樹脂粒子(F)の配合量を1.0重量部に変更した以外は実施例13と同様にして、平板状のLED照明用光拡散カバーを製造した。
【0136】
〔実施例16〕
熱可塑性樹脂としてポリカーボネートに代えてPET樹脂(三井化学株式会社製、商品名「三井PET SA135」、屈折率1.58、表中では「C−PET」と略記する)を使用し、押出の温度を240〜280℃に変更し、射出成形の温度を280℃に変更した以外は実施例1と同様にして、平板状のLED照明用光拡散カバーを製造した。
【0137】
〔実施例17〕
樹脂粒子(A)の配合量を1.0重量部に変更した以外は実施例16と同様にして、平板状のLED照明用光拡散カバーを製造した。
【0138】
〔比較例5〕
樹脂粒子(A)の配合量を2.0重量部に変更し、熱可塑性樹脂としてポリカーボネートに代えてアクリル樹脂(旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名「デルペット(登録商標)80HD」、屈折率1.49)を使用し、押出の温度を230〜270℃に変更し、射出成形の温度を280℃に変更した以外は実施例1と同様にして、樹脂粒子(A)の含有量が2.0重量%である平板状のLED照明用光拡散カバーを製造した。
【0139】
これら実施例及び比較例で得られたLED照明用光拡散カバーの厚み、550nm光の直進光透過率、550nm光の全透過率、550nm光の光直進率、450nm光の直進光透過率、450nm光の全透過率、450nm光の光直進率、光直進率の波長選択性、及び全光線透過率を、使用した透明粒子の種類、体積平均粒子径D、粒子径の変動係数、添加量、及び屈折率、熱可塑性樹脂の種類及び屈折率、並びに透明粒子と熱可塑性樹脂との屈折率差Δn及びD×Δnと共に、表2及び表3に示す。
【0140】
【表2】
【0141】
【表3】
【0142】
以上のように、比較例1〜5のLED照明用光拡散カバーでは、光直進率の波長選択性が1.5未満であったのに対し、実施例6〜17のLED照明用光拡散カバーでは、透明粒子の体積平均粒子径、透明粒子の添加量、及びLED照明用光拡散カバーの厚みを最適化することで、光直進率の波長選択性を1.5以上にすることができた。従って、実施例6〜17のLED照明用光拡散カバーは、450nm付近の波長の光を十分に拡散させることができ、LED光源からの出射光の眩しさを緩和することができる。また、実施例6〜17のLED照明用光拡散カバーは、良好な全光線透過率を有していた。従って、実施例1〜5のLED照明用光拡散カバーは、その配設によるLED照明の出射光の明るさの低下を抑制できる。
【0143】
〔実施例18〕(積層光拡散板の製造例)
株式会社プラスチック工学研究所製の多層Tダイに2台の押出機(株式会社プラスチック工学研究所製、型番「GT−40−32」及び「GT−40−24」)をセットした。一方の押出機「GT−40−32」には、実施例2における押出に使用したのと同様の樹脂粒子(A)0.5重量部及びポリカーボネート100重量部からなる混合物を投入し、他方の押出機「GT−40−24」には、ポリカーボネートに対して樹脂粒子(E)を(ポリカーボネート及び樹脂粒子(E)の合計量に対して)4重量%となるように添加してなる混合物を投入した。そして、Tダイ温度290℃、押出機シリンダー温度260℃〜290℃に設定し、層比1/1、トータル厚み1mmとなるように前記の2台の押出機による押出を行い、2種2層の厚み1mmの押出しシート(2種の厚み0.5mmの光拡散板を積層してなる積層光拡散板)を作製した。
【0144】
なお、別途、ポリカーボネートに対して樹脂粒子(E)を(ポリカーボネート及び樹脂粒子(E)の合計量に対して)4重量%となるように添加してなる混合物を厚み0.5mmに熱プレス成形して、前記の押出しシートを構成する2層のうちで樹脂粒子(E)を含む層と同様の光拡散板を作製した。この光拡散板は、全光線透過率が81.9%、分散度(D50)が27.8°であった。
【0145】
市販の40W型直管型LED照明(株式会社OBU、型番「OLL40SD」)からカバーを取り外し、前記LED照明用光拡散カバーを前記市販のLED照明の本体におけるLEDチップ表面から17mm離れた位置に前記押出シートを取り付けて、本実施例のLED照明を作製した。このLED照明を発光させて目視確認したところ、LEDチップの粒感は目立たたず、かつ目への刺激が少なかった。
【0146】
〔実施例19〕(LED照明の製造例)
まず、市販の40W型直管型LED照明(株式会社OBU、型番「OLL40SD」)のカバーと同形状(半円筒形状)となるように押出成形を行う以外は実施例2と同様にして、本実施例に係る半円筒形状のLED照明用光拡散カバーを製造した。次いで、前記市販のLED照明からカバーを取り外し、本実施例に係るLED照明用光拡散カバーを前記市販のLED照明の本体に取り付けて、本実施例のLED照明を作製した。
【0147】
本実施例のLED照明は、目視確認の結果、LEDチップの粒感はあるものの、目への刺激は少なかった。
【0148】
また、作製した本実施例のLED照明と、前記市販の40W型直管型LED照明(株式会社OBU、型番「OLL40SD」)とについて、発光後の直下照度及び分光放射照度を測定した。
【0149】
直下照度は、本実施例のLED照明は244ルクス、前記市販のLED照明は243ルクスであり、照度差はほとんど無かった。
【0150】
本実施例のLED照明の分光放射照度を
図2に実線で示し、前記市販のLED照明の分光放射照度を
図2に点線で示す。分光放射照度は、450nm付近の放射照度は本実施例のLED照明の方が小さく、550nm付近の放射照度は同等であった。従って、本願発明のLED照明用光拡散カバーがブルーライト領域の光を良く散乱していることが確認された。
【0151】
〔実施例20〕(LED照明の製造例)
まず、市販のクリア電球タイプLED電球(パナソニック株式会社製、商品名「EVERLEDS(登録商標)LDA4L/C」)のカバーと同形状(厚み1.5mm直径50mmの洋梨形状)となるようにインジェクションブロー成形を行う以外は実施例4と同様にして、本実施例に係る洋梨形状のLED照明用光拡散カバーを製造した。次いで、前記市販のLED電球からカバーを取り外し、本実施例に係るLED照明用光拡散カバーを前記市販のLED電球の本体に取り付けて、本実施例のLED照明(LED電球)を作製した。
【0152】
そして、作製した本実施例のLED照明を発光させ、目視確認した。目視確認の結果、LEDチップの形状が、裸電球のフィラメント状に視認でき、かつ眩しさが少なく暖かみのある光を本実施例のLED照明が放つことが確認された。