(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6416100
(24)【登録日】2018年10月12日
(45)【発行日】2018年10月31日
(54)【発明の名称】温度変更装置
(51)【国際特許分類】
B65D 81/34 20060101AFI20181022BHJP
A47J 36/28 20060101ALI20181022BHJP
【FI】
B65D81/34 T
A47J36/28
【請求項の数】28
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2015-539917(P2015-539917)
(86)(22)【出願日】2013年10月29日
(65)【公表番号】特表2016-500619(P2016-500619A)
(43)【公表日】2016年1月14日
(86)【国際出願番号】US2013067299
(87)【国際公開番号】WO2014070762
(87)【国際公開日】20140508
【審査請求日】2016年10月13日
(31)【優先権主張番号】61/719,940
(32)【優先日】2012年10月29日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512020187
【氏名又は名称】フォエバー ヤング インターナショナル、 インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(72)【発明者】
【氏名】ヤング、 ダニエル エル.
【審査官】
吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】
実開平02−018339(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3006635(JP,U)
【文献】
国際公開第2011/014449(WO,A1)
【文献】
特開平02−154715(JP,A)
【文献】
特開昭54−034144(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/34
A47J 36/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
温度変更装置であって、
少なくとも1つの壁を有する内側シェルであって、加熱又は冷却される内容物を入れるように構成され、前記内側シェルの少なくとも1つの壁は熱伝導性である内側シェルと、
前記内側シェルに隣接して配置された活性剤容器であって、活性剤液を含む活性剤容器と、
前記活性剤容器と前記内側シェルとの間に反応室を形成するように前記内側シェルに対して外側に入れ子状にされた外側シェルであって、前記反応室は反応物質を含む外側シェルと、
前記活性剤容器と前記反応室との間の少なくとも1つの開口部を封止する膜と
を備え、
前記活性剤容器は、前記反応室内に前記活性剤液を放出するために開封され、
前記膜を開けることにより、ゲルを生成する温度変更反応を開始するように、前記活性剤容器が開封され、前記活性剤液が前記反応物質に接触させられ、
前記ゲルは、前記外側シェルと前記内側シェルとの間で膨張し、前記ゲルは前記内側シェルの内側に配置された内容物に伝導的に且つ対流的に熱を伝える蒸気を生成し、
前記蒸気は前記温度変更装置から漏れ出るが、前記ゲルは前記温度変更装置から漏れ出ず、
前記活性剤容器は前記内側シェルの底に形成され、
前記膜は前記活性剤容器の底壁を形成する、温度変更装置。
【請求項2】
前記内側シェルの全ての壁が熱伝導性である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記外側シェルの全ての壁が断熱性である、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
活性化タブが貫通する活性化開口部を更に備え、前記活性化タブは前記膜に機械的に接続され、前記活性化タブを引っ張ることにより、前記膜が開けられ、前記活性剤容器が開封される、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記内側シェルは、2つ以上の材料から構成される、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記内側シェルは、金属及びポリマーから構成される、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記内側シェルは、加熱又は冷却される内容物を含む内容物容器を受け入れるように構成され、前記内容物容器は、前記内側シェルの開いた上端に挿入され、前記反応室は前記内側シェル及び前記活性剤容器の真下に配置される、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記内容物容器はアルミニウム製カップである、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記活性剤液は、前記膜が開けられたときに前記反応室内の前記反応物質の上に直接置かれる、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記反応物質は、透過性の小袋に入れられた粉末であり、前記活性剤液は、前記膜が開けられたときに前記透過性の小袋内に毛細管現象によって運ばれる液体である、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記内側シェルは加熱される内容物を更に含む、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記反応物質及び前記活性剤液は発熱反応を起こし、前記発熱反応によって生成される熱が前記内側シェルの内容物に対流的に且つ伝導的に伝えられ、それによって前記内容物の温度を上昇させる、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記反応物質及び前記活性剤液が吸熱反応を起こし、前記吸熱反応によって生成される冷熱が前記内側シェルの内容物に対流的に且つ伝導的に伝えられ、それによって前記内容物の温度を低下させる、請求項11に記載の装置。
【請求項14】
前記活性化開口部は、前記温度変更反応で生成された蒸気を放出するための通気孔でもある、請求項4に記載の装置。
【請求項15】
前記通気孔は、大きさが手動で又は自動的に調節可能な直径を有する、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記通気孔は、前記通気孔にバイメタル板を動作可能に結合することによって自動的に調節可能である、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
温度変更装置であって、
少なくとも1つの壁を有する内側シェルであって、加熱又は冷却される内容物を入れるように構成され、前記内側シェルの少なくとも1つの壁は熱伝導性である内側シェルと、
前記内側シェルに隣接して配置された活性剤容器であって、活性剤液を含む活性剤容器と、
前記活性剤容器と前記内側シェルとの間に反応室を形成するように前記内側シェルに対して外側に入れ子状にされた外側シェルであって、前記反応室は反応物質を含む外側シェルと、
前記活性剤容器と前記反応室との間の少なくとも1つの開口部を封止する膜と、
前記内側シェルに配置された第1周辺フランジと、
前記外側シェルに配置された第2周辺フランジと、
前記第1周辺フランジと前記第2周辺フランジとの間に配置された圧縮性ガスケットと
を備え、
前記活性剤容器は、前記反応室内に前記活性剤液を放出するために開封され、
前記膜を開けることにより、ゲルを生成する温度変更反応を開始するように、前記活性剤容器が開封され、前記活性剤液が前記反応物質に接触させられ、
前記ゲルは、前記外側シェルと前記内側シェルとの間で膨張し、前記ゲルは前記内側シェルの内側に配置された内容物に伝導的に且つ対流的に熱を伝える蒸気を生成し、
前記蒸気は前記温度変更装置から漏れ出るが、前記ゲルは前記温度変更装置から漏れ出ず、
前記外側シェルは、前記内側シェルの真下に反応物質室を形成する内周肩部を含み、
前記膜は、前記外側シェルの内周肩部に付着して前記反応物質室を気密封止し、
前記膜は、予め弱められた破壊領域を更に含み、
前記内側シェルは、下端と、前記下端に配置されたプランジャーとを更に備え、前記内側シェルは前記外側シェルに対して鉛直にスライド可能であり、前記装置は、前記内側シェルを前記外側シェルに向かってスライドさせて、前記プランジャーに前記膜を予め弱められた前記破壊領域で破裂させることによって活性化され、
前記内側シェルを前記外側シェルに向かってスライドさせることにより、前記第1周辺フランジと前記第2周辺フランジとの間で前記圧縮性ガスケットを圧縮し、
前記圧縮性ガスケットを圧縮することにより、前記プランジャーが前記膜に向かってスライドし、予め弱められた前記破壊領域で前記膜を破裂させる、温度変更装置。
【請求項18】
前記第1周辺フランジと第2周辺フランジとの間に配置された取り外し可能なロック部材を更に備え、前記ロック部材は、前記ロック部材が所定位置にあるときに前記内側シェルが前記外側シェルに向かって鉛直にスライドするのを防ぐ、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記圧縮性ガスケットは、溝を形成する断面形状を有し、前記ロック部材は、前記圧縮性ガスケットの溝と係合可能である、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
取り外し可能な蓋を更に備え、前記内側シェルと外側シェルは各々関連する最上部分を備え、前記取り外し可能な蓋は、前記関連する最上部分の各々を密封するように構成される、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記膜は、前記膜を開けることを容易にするための放出弁を更に含む、請求項17に記載の装置。
【請求項22】
前記膜に付着した第1部分と、開口部を通って前記温度変更装置の外に延びる第2部分とを有するプルタブを更に備え、前記プルタブを引っ張ることにより、前記膜が予め弱められた前記破壊領域で壊れ、前記活性剤液の浸入を可能にするように、前記膜が開き、前記反応物質室を開封する、請求項17に記載の装置。
【請求項23】
温度変更装置であって、
少なくとも1つの壁を有する内側シェルであって、加熱又は冷却される内容物を入れるように構成され、前記内側シェルの少なくとも1つの壁は熱伝導性である内側シェルと、
前記内側シェルに隣接して配置された活性剤容器であって、活性剤液を含む活性剤容器と、
前記活性剤容器と前記内側シェルとの間に反応室を形成するように前記内側シェルに対して外側に入れ子状にされた外側シェルであって、前記反応室は反応物質を含む外側シェルと、
前記活性剤容器と前記反応室との間の少なくとも1つの開口部を封止する膜と、
前記活性剤容器に機械的に結合され且つ前記内側シェルの最上部分まで延びるように構成された細長い部材と、
前記活性剤容器の真下に配置されたピアサーと
を備え、
前記活性剤容器は、前記反応室内に前記活性剤液を放出するために開封され、
前記膜を開けることにより、ゲルを生成する温度変更反応を開始するように、前記活性剤容器が開封され、前記活性剤液が前記反応物質に接触させられ、
前記ゲルは、前記外側シェルと前記内側シェルとの間で膨張し、前記ゲルは前記内側シェルの内側に配置された内容物に伝導的に且つ対流的に熱を伝える蒸気を生成し、
前記蒸気は前記温度変更装置から漏れ出るが、前記ゲルは前記温度変更装置から漏れ出ず、
前記活性剤容器と前記反応室との間の前記少なくとも1つの開口部を封止する膜は、前記活性剤容器の下に配置され、前記ピアサーは、前記膜に穴を開けるように構成され、
前記細長い部材に下向きの圧力を加えることにより、前記ピアサーが前記膜に穴を開け、前記活性剤容器を開封する、温度変更装置。
【請求項24】
前記内側シェルの内側に配置された加熱又は冷却される内容物を含む内容物容器を更に含む、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記外側シェルの最上部分に配置された、直径を有する通気孔を更に備え、前記通気孔は前記ゲルによって生成された蒸気が漏れ出ることを可能にし、前記通気孔の直径は手動で又は自動的に調節可能である、請求項23に記載の装置。
【請求項26】
取り外し可能なベースを更に備え、前記内側シェルと前記外側シェルは各々関連するベース部分を含み、前記取り外し可能なベースは前記関連するベース部分の各々を封止するように構成される、請求項23に記載の装置。
【請求項27】
前記外側シェルと前記内側シェルに前記取り外し可能なベースを取り付けることにより、前記反応室が形成される、請求項26に記載の装置。
【請求項28】
前記外側シェルを密封するように構成された蓋を更に備え、前記蓋が取り外し可能である、請求項23に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される実施形態は、一般に温度変更容器(すなわち、即時に自己発熱及び/又は自己冷却する容器)に関するものであり、特に即時に加熱又は冷却された内容物を注出するための温度変更容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、「即時熱伝達容器」という発明の名称で2012年10月29日に出願された米国仮特許出願第61/719940号の優先権を主張する国際出願である。米国仮特許出願の内容は、参照によりその全体が文字通り記載されるように本明細書に組み込まれるものとする。
【0003】
大部分の飲料、インスタント食品、及び加熱又は冷却を必要とする他の製品に関する1つの問題は、それらが容器からそのまま飲食する状態になっていない(例えば、それらが加熱又は冷却されていない)ことである。それどころか、それらを外部手段によって加熱又は冷却しなければならない。加熱食品に関しては、容器に熱水又は沸騰水を加えることによってインスタントの紅茶又はスープを加熱することができるが、これはユーザーが熱水の供給を利用できることを前提としている。多くの場合、これは全く当てはまらない。例えば、ユーザーは屋外にいるか、或いは電子レンジ、ストーブ、電気、燃料又は他の外部電力手段を利用することができない場合がある。また、緊急時には、加熱された飲料、食品、又は他の製品を直ぐに利用できることが、例えば、特定の薬物、ワックス、化粧品、マッサージオイル、及び樹脂やエポキシのような商用接着剤の送達などが、生存に不可欠な場合がある。
【0004】
上記で概説した様々な問題を解決するために、多くの解決策が提案されてきた。例えば、外側容器が、(加熱される飲み物、スープ、又は他の内容物を入れるための)内側内容物室と、生石灰室と、水室とを含む、温度が変えられるホット飲料及びスープが提供された。ユーザーが水室を生石灰室と連通させ、水と生石灰の化合により急速な発熱反応が生じる(例えば、スカダーらの米国特許第7,117,684号参照)。これらの既知の加熱容器は、ユーザーに加熱された内容物を提供するが、いくつかの欠点がある。第一に、生石灰と水の反応は非常に速く完了するので、内容物は初めは熱いが、発熱反応が完了すると直ぐに冷たくなり、それはほんの数分である場合がある。第二に、生石灰発熱反応は非常に高温であり、危険なまでに高温の内容物を生じ得るため、非常に高い温度に耐えることができる容器を必要とする。最後に、生石灰と水の化合により高温スラリーが生じ、この高温スラリーは、ガスが漏れ出ることを可能にするがスラリーを容器の反応領域内に保持する、複雑な一方向弁を設けない限り、容易に容器から漏れ、やけどを引き起こす可能性がある。
【0005】
既知の即時自己発熱容器の他の重大な問題は、加熱されたスラリーが内容物室の底部だけに接触する傾向があるため、内容物室の底部にある内容物が、初めは、室の最上部にある内容物よりもはるかに高温なことである。内容物が外側容器の最上部から注出される場合、このことは、最初に容器から出る内容物が最も冷たく、一方、最も熱い内容物が内容物室の底部にとどまることを意味する。
【0006】
従って、加熱又は冷却した温度を必要とする飲料、食品、薬剤、又は他の製品を比較的長時間、比較的一定の上昇又は低下した温度に維持することができるように特有の長期持続性の発熱源を有する、温度が変えられる食品及び飲料容器を提供することが有利である。また、比較的安価な、使い捨て材料で作ることができる、温度変更容器を提供することが有利である。
【0007】
既知の温度変更容器の他の問題は、発熱又は吸熱反応が一度に起きることである。ユーザーが化学反応を時間と共に調節することができ、それによりユーザーが反応の持続時間及び/又は強度を制御することを可能にする、温度変更容器が必要である。
【0008】
最後に、当初は隔離された一方の反応物質を他方の反応物質と接触するように放出する容器の他の問題は、隔離された反応物質の完全な放出を確実にすることである。当初は膜で密封された室内に入っている場合、既知の容器は一般に、膜に小さな穴又は裂け目を作る。この穴又は裂け目が小さい場合、内部の反応物質が容易に開口部を塞ぎ、反応物質の迅速且つ完全な放出を妨げる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、ユーザーが所望するときに反応物質を迅速且つ完全に放出し、反応物質を隔離し、且つ伝導及び対流を用いた効率的な熱伝達をもたらす、内部に隔離された反応物質を有する温度変更容器が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以下に開示された温度変更装置及び容器は、これらのニーズを満たす。以下に、クレームされた主題のいくつかの態様の基本的な理解をもたらすために簡単な概要を示す。この概要は、広範囲に及ぶ概説ではなく、主要/重要な要素を特定することやクレームされた主題の範囲を正確に記述することを意図していない。その目的は、後で提示されるより詳細な説明の前置きとして、簡単な形でいくつかの概念を提示することである。
【0011】
一実施形態では、温度変更容器が、側壁と、熱伝導性の下壁とを備え、且つ温度変更の対象となる内容物を含む、主容器を含む。密封された活性剤容器が、主容器の下に形成され、活性剤液を含む。活性剤容器は、熱伝導性の上壁と、膜によって封止された少なくとも1つの開口部とを有する。一部の実施形態では、膜は、活性化開口部を通って容器の外に延びる活性化タブに動作可能に連結されることができる。外側シェルが、主容器に対して外側に入れ子状にされ、それによって活性剤容器の真下に活性剤容器に隣接して配置された反応室を形成する。反応物質が、活性剤容器の真下の反応室内に配置される。本実施形態では、活性化タブを引っ張ることにより、活性剤液を反応物質と反応を起こして主容器内の内容物の温度を変えるべく反応室にさらすために、膜が開けられ、活性剤容器が開封される。
【0012】
膜は、活性剤容器の下壁を形成することができる。主容器の熱伝導性の下壁は、活性剤容器の熱伝導性の上壁と同一の構造であることができる。また、主容器及び活性剤容器はいずれも、外側シェルに対して内側に入れ子状にされた内側シェルの一体的に形成された部分であることができる。主容器の熱伝導性の下壁は、金属などの熱伝導性の第1材料を含むことができる。他の実施形態では、主容器の側壁も熱伝導性であり、同一又は類似の材料で構成される。
【0013】
主容器は、外側シェル内で活性剤容器の真下に反応室を形成するために、外側シェルの開いた上端に挿入されたカップであることができる。主容器は、アルミニウムで構成されることができる。活性剤容器内の活性剤液は、活性化タブを引っ張ることによって膜が開けられると反応室内の反応物質の上に直接置かれる液体であることができる。また、活性剤容器内の活性剤は、透過性の小袋に入れられた粉末であることができ、反応物質は、活性化タブを引っ張ることによって膜が開封されると透過性の小袋内に毛細管現象によって運ばれる、反応物質室内の液体であることができる。小袋は、高吸収性及び低ガス透過性を有する第1部分と、低吸収性及び高ガス透過性を有する第2部分とを含むことができる。活性剤と反応物質は、主容器内の内容物の温度を変化させる(すなわち、加熱するか又は冷却する)発熱又は吸熱反応を起こすことができる。
【0014】
別の実施形態では、温度変更容器は、温度変更の対象となる内容物を含む主容器を備えた内側シェルを含む。外側シェルが、内側シェルに対して外側に入れ子状にされ、外側シェルの下端に反応物質室を形成する内周肩部を含む。膜が、反応物質室を気密封止するように、外側シェルの内周肩部に付着し又は内周肩部と一体的に形成される。反応物質が、反応物質室内に配置され、活性剤液が、内側シェルの外側にある外側シェルの内側で膜の上に配置される。膜を開封することにより、主容器内で熱伝達の対象となる内容物へ又は内容物から熱を伝える発熱又は吸熱化学反応を引き起こすように、活性剤液が反応物質室に流入し、反応物質と混合することが可能になる。
【0015】
膜は、膜を開け、ひいては反応物質室を開封することを容易にするために、予め弱められた破壊領域を含むことができる。一実施形態では、第1部分を有するプルタブが、膜に付着し、第2部分が開口部を通って温度変更容器の外に延びる。この実施形態では、プルタブを引っ張ることにより、膜が予め弱められた破壊領域で壊れ、それによって膜を開き、反応物質室に活性剤の侵入、ひいては温度変更の吸熱又は発熱反応を可能にさせる。
【0016】
他の実施形態では、内側シェルは、外側シェルに対して鉛直にスライド可能であり、主容器の下端にプランジャーを含むことができる。その結果、温度変更容器は、第1及び外側シェルを互いに向かってスライドし、プランジャーを膜に向かって移動させ、プランジャーに予め弱められた破壊領域で膜を破裂させることによって活性化される。内側シェルは、第1周辺フランジを含むことができ、外側シェルは、第2周辺フランジを含むことができる。圧縮性ガスケットが、第1周辺フランジと第2周辺フランジとの間に配置されることができる。第1及び外側シェルを互いに向かってスライドさせることにより、圧縮性ガスケットは第1周辺フランジと第2周辺フランジとの間で圧縮され、プランジャーが膜に向かってスライドし、且つ予め弱められた破壊領域において膜を破裂させることを可能にする。
【0017】
取り外し可能な剛性のロック部材が、ロック部材を設置したときに内側シェルが外側シェルに向かって鉛直にスライドするのを防ぐように、第1周辺フランジと第2周辺フランジとの間に配置されることができる。圧縮性ガスケットは、ロック部材が係合する溝を形成する断面形状を有することができる。
【0018】
他の実施形態では、温度変更装置が、少なくとも1つの壁を有する内側シェルを含む。内側シェルは、加熱又は冷却される内容物を入れるように構成され、内側シェルの少なくとも1つの壁は熱伝導性である。活性剤容器が内側シェルに隣接して配置され、活性剤容器は密封され、活性剤液を含むことができる。外側シェルが、活性剤容器と内側シェルとの間に反応室を形成するように内側シェルに対して外側に入れ子状にされる。反応室は、反応物質を含む。膜が、活性剤容器と反応室との間の少なくとも1つの開口部を封止し、活性剤容器は、反応物質室内に活性剤を放出するために開封される。膜を開けることにより活性剤容器が開封され、ゲルを生成する温度変更反応を開始するように、活性剤液を反応物質に接触させる。ゲルは、外側シェルと内側シェルとの間で膨張する。ゲルはまた、内側シェルの内部に配置された内容物に伝導的に且つ対流的に熱を伝えさせる蒸気を生成する。蒸気は温度変更装置から漏れ出るが、ゲルは温度変更装置から漏れ出ない。
【0019】
一部の実施形態では、膜は、活性剤容器の下壁を形成することができる。内側シェルの全ての壁は、熱伝導性であることができる。同様に、外側シェルの全ての壁は、断熱性であることができる。活性剤容器と内側シェルは、一体的に形成されることができる。本実施形態では、温度変更装置は、活性化タブが貫通する活性化開口部を含むことができる。活性化タブは、活性化タブを引っ張ることにより、膜が開けられ、活性剤容器が開封されるように、膜に機械的に結合される。内側シェルは、2つ以上の材料を含むことができ、2つ以上の材料は、金属とポリマーであることができる。
【0020】
他の実施形態では、内側シェルは、加熱又は冷却される内容物を含む内容物容器を受け入れるように構成される。内容物容器は、食品、飲料、又は薬剤などの加熱される内容物を含む。内容物容器は、内側シェルの開いた上端に挿入され、反応室は、内側シェルと活性剤容器の下に配置される。内容物容器は、アルミニウム製カップであることができる。本実施形態では、活性剤液は、膜が開けられたときに反応室内の反応物質上に直接置かれることができる。反応物質は、透過性の小袋に入れられた粉末であることができ、活性剤液は、膜を開いたときに透過性の小袋内に毛細管現象によって運ばれる液体である。小袋は、高吸収性及び低ガス透過性を有する第1部分と、低吸収性及び高ガス透過性を有する第2部分とを含むことができる。
【0021】
一部の実施形態では、装置は、発熱反応により発生した熱が内側シェルの内容物に対流的に且つ伝導的に伝えられ、それによって内容物容器内の内容物の温度を上昇させるように、反応物質及び活性剤液が発熱反応を起こすように構成される。他の実施形態では、吸熱反応により発生した熱が内側シェルの内容物に対流的に且つ伝導的に伝えられ、それによって内容物容器内の内容物の温度を低下させるように、反応物質及び活性剤液が吸熱反応を起こす。
【0022】
活性化タブを備えたこれらの実施形態では、活性化開口部は、温度変更反応で発生した蒸気を放出するための通気孔であることができる。通気孔は、大きさが手動で又は自動的に調節可能な直径を有することができる。
【0023】
一部の実施形態では、外側シェルは、内側シェルの真下に反応物質室を形成する内周肩部を含むことができる。膜は、外側シェルの内周肩部に付着して、反応物質室を気密封止させることができる。膜は、予め弱められた破壊領域を含むことができる。膜は更に、膜を容易に開けるために放出弁を含むことができる。プルタブを備えたこれらの実施形態では、プルタブは、膜に付着した第1部分と、開口部を通って温度変更装置から延びる第2部分とを有することができる。プルタブを引っ張ることにより、膜が予め弱められた破壊領域で壊れ、活性剤液の浸入を可能にするように、膜が開いて反応物質室を開封させる。
【0024】
内側シェルは、下端と、下端に配置されたプランジャーとを含むことができる。本実施形態では、外側シェルに向かって内側シェルをスライドさせ、プランジャーに予め弱められた破壊領域で膜を破裂させることにより、装置が活性化されるように、内側シェルは外側シェルに対して鉛直にスライド可能である。
【0025】
他の実施形態では、装置は、内側シェルに配置された第1周辺フランジを含むことができる。第2周辺フランジが、外側シェルに配置されることができ、圧縮性ガスケットが、第1周辺フランジと第2周辺フランジの間に配置されることができる。従って、内側シェルを外側シェルに向かってスライドさせることにより、圧縮性ガスケットは第1周辺フランジと第2周辺フランジとの間で圧縮される。また、圧縮性ガスケットを圧縮することにより、プランジャーが膜に向かってスライドし、予め弱められた破壊領域で膜を破裂させる。ロック部材が所定位置にあるときに内側シェルが外側シェルに向かって鉛直にスライドするのを防ぐように、取り外し可能なロック部材が、第1周辺フランジと第2周縁フランジとの間に配置されることができる。圧縮性ガスケットは、ロック部材が圧縮性ガスケットの溝と係合可能であるように、溝を形成する断面形状を有することができる。内側シェルと外側シェルが各々関連する最上部分を含むこれらの実施形態には、取り外し可能な蓋が存在することができる。取り外し可能な蓋は、関連する最上部分の各々を密封するように構成される。
【0026】
他の実施形態では、細長い部材が、活性剤容器に機械的に結合され、活性剤容器から内側シェルの最上部分に向かって延びることができる。細長い部材は、内側シェルの最上部分より上に、外側シェルの最上部分と同じ高さになるまで延びることができる。従って、外側シェルの最上部分は、内側シェルの最上部分より上に位置することができる。しかしながら、細長い部材は、外側シェルの最上部より上に位置する程度まで延びなくてもよい。膜が活性剤容器の下に配置されたときにピアサーが膜に穴を開けるように構成されるように、ピアサーが、活性剤容器の下に配置されることができる。従って、細長い部材の最上部に下向きの圧力を加えることにより、活性剤がピアスに向けてスライドし、ピアサーに膜を穿孔、開封、又は他の方法で開けさせ、活性剤容器を開封させる。内容物容器が内側シェル内に挿入されることができ、内容物容器は、加熱される内容物を含むことができる。
【0027】
ゲルによって生成された蒸気がギャップにより漏れ出ることが可能になるように、内側シェルの最上部分において細長い部材が貫通する孔との間にギャップが存在することができる。他の実施形態では、細長い部材から完全に独立している通気孔は、外側シェルの最上部分に配置される。通気孔は、ゲルによって生成された蒸気が漏れ出ることを可能にするように構成され、プランジャーの結果として存在し得る開口部ではない。一部の実施形態には取り外し可能なベースが含まれることができ、内側シェルと外側シェルは各々関連するベース部分を含む。従って、取り外し可能なベースは、関連するベース部分の各々を封止するように構成される。外側シェルと内側シェルに取り外し可能なベースを取り付けることにより、反応室が形成される。一部の実施形態では、取り外し可能なベースが温度変更装置に機械的に結合する前に、内容物容器が、外側シェル及び/又は内側シェルの下側を通って挿入されることもできる。他の実施形態では、蓋は、外側シェル及び/又は内側シェルを密封するように構成され、蓋は取り外し可能である。
【0028】
上記目的及び関連する目的の達成のために、いくつかの例示的な態様を、以下の記載及び添付の図面に関連して本明細書で説明する。しかしながら、これらの態様は、クレームされた主題の原理を用いることができる様々な方法のうちのほんのいくつかしか示しておらず、クレームされた主題は、全てのこのような態様及びそれらの均等物を含むことが意図されている。他の利点及び新規な特徴は、図面と併せて考慮したとき、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図3】温度変更装置の別の実施形態の斜視図である。
【
図5】温度変更装置の別の実施形態の斜視図である。
【
図6A】
図5の実施形態で使用する、放出弁を備えた膜の平面図である。
【
図7】温度変更装置の別の実施形態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下で開示される実施形態は、比較的長時間、上昇又は低下した温度に保たれる比較的安価な温度変更装置に対するニーズに対処する。一実施形態では、温度変更装置は、装置内の内容物を加熱又は冷却するために化合させると発熱又は吸熱反応を起こす活性剤液と反応物質とを含む。1つの温度変更装置は、内側シェルと、外側シェルと、開封可能な活性剤容器と、反応室とを含む。活性剤容器を開封することにより、反応物質及び活性剤液が化合し且つ発熱又は吸熱反応を起こし、内側シェル内に配置された内容物への又は内容物からの熱伝達を開始する。一部の実施形態では、温度変更装置は発熱及び吸熱反応の両方を行うように構成される。
【0031】
以下の開示を通して、様々な実施形態が、「自己発熱」又は「自己冷却」又は「温度変更」と称される。この用語は、限定することを意図するものではなく、単に例示的な熱伝達容器について言及するのに使用されることが理解されるべきである。例えば、「自己加熱」容器のために開示された同一の構造を「自己冷却容器」に用いることができる。容器が自己発熱であるか自己冷却であるかは、容器の構造にではなく、化学反応に用いられる活性剤と反応物質によって決まる。従って、自己加熱容器又は装置と称される実施形態は、単に異なる活性剤及び/又は反応物質を使用することによって、自己冷却容器又は装置としても使用することができる。
【0032】
温度変更装置の第1実施形態が
図1及び2に示される。温度変更装置100は、外側シェル104の内側に入れ子状にされた内側シェル102によって形成される。内側シェル102は、加熱又は冷却される内容物を含む主容器110と、活性剤液152を含むように適合された活性剤容器120と、通気孔106とを含む。一部の実施形態では、内容物は加熱又は冷却の前に主容器110に加えられる。本実施形態では、活性剤容器120が、内側シェル102の底に一体的に形成されるので、熱伝導性の上壁116は、主容器110の底壁でもあり、活性剤容器120の頂壁でもある。一部の実施形態では、内側シェル102の全ての壁が熱伝導性である。外側シェル104は、主容器110の底面が外側シェル104の底面の上に間隔を空けて配置された状態で、内側シェル102の外側に入れ子状にされる。ターゲット容器110の底と外側シェル104の底との間のこの空間は、反応物質150が配置される反応室130を形成する。
【0033】
活性剤容器120の底壁は、膜112によって形成される。膜112は、積層フィルム、ポリエチレン、ポリエステル、アルミニウムなどの材料、及び/又は同様のものの組み合わせから構成される。本実施形態では、膜112は、プルタブ114を引くか又は動かすことによって膜112が開放可能であるように、プルタブ114に動作可能に結合する。特にプルタブ114については、その一部分が膜112に取り付けられ、他の部分がユーザーにとってアクセスしやすい通気孔106を通って延びる。膜112は、プルタブ114を容器100の外から引くか又は動かしたときに破裂する、予めエッチングした引き裂き線を形成されることができる。同様に、プルタブ114を引っ張ることにより、活性剤容器120の底壁を部分的に又は完全に除去するように膜112を剥離開封させることができる。どのような活性化機構でも、プルタブ114を引っ張ることにより、活性剤容器120の底を開け、それによって活性剤液152を反応室130内に放出する結果となり、活性剤液152は反応室130で
反応物質150と発熱又は吸熱反応を開始する。一部の実施形態では、活性剤容器120が直接反応物質150及び反応室130の上方に配置されるので、膜112を開けるためにプルタブ114を引っ張ることによって、活性剤液152は直ちに且つ完全に反応物質150と混合し、それによって主容器110のターゲットとされる内容物、例えば、食品、飲料、薬剤、又はアロマセラピー液を加熱又は冷却する即時の且つ均一な化学反応を確実にする。
【0034】
反応物質150は、反応室130内に配置されたさらさらした粉末であることができ、活性剤液と化合させるとゲルを形成する高吸収性粉末と混合することができる。一部の実施形態では、ゲルは、反応物質と活性剤液が反応するときに膨張するように、「膨潤性」である。一部の実施形態では、反応物質150は、活性剤容器120が開封されると活性剤液152が染み込む、透過性の小袋又はティーバッグ内に配置される。
【0035】
一部の実施形態では、主容器110の上端は、膜又は蓋170によって密封される。本実施形態では、プルタブ114は、温度変更反応の活性化後に通気孔として機能する、この膜170にある開口部106を通って延びる。活性化の前、開口部106は、例えばプルタブ114の外端にある接着片によって密封される。他の実施形態では、開口部106は、熱溶接、超音波溶接、又は活性化シーラントで密封される。一部の実施形態では、開口部106は、反応で生じた蒸気が放出され又は調節されることを可能にする通気孔として機能するが、他の実施形態では、開口部106は、通気孔として機能しない。
【0036】
温度変更容器200の別の実施形態が
図3及び4に示される。温度変更容器200は、外側シェル204の内側に入れ子状にされた内側シェル202を含む。内側シェル202は、熱伝達の対象となる内容物を含む主容器210を含む。内側シェル202及び/又は外側シェル204は、主容器210内の液体内容物を飲むこと又は移し換えることを容易にするために、注ぎ口を含むことができる。外側シェル204は周辺肩部208を含み、周辺肩部208は、熱伝達容器200が丸い場合、環状の肩部である。外側シェル204の内部の底壁205と周辺肩部208との間にある部分は、反応物質250が配置される反応物質室215である。膜217は、反応物質250を反応物質室215の内部に密封するために、周辺肩部208の上面に付着する。膜217は、熱溶接、超音波溶接、高周波溶接、又は接着剤によって接着される。活性剤液252は、膜217より上にある内側シェル202と外側シェル204との間の空間に配置される。
【0037】
温度変更容器200を活性化するために、膜217を開け、活性剤液252を反応物質室215に流入させ、反応物質250と混合させるために、活性化機構が提供される。この混合は、主容器210の内容物へ又は内容物から熱を伝える、発熱又は吸熱反応を開始する。
【0038】
水が活性剤液である一部の実施形態では、冷却効果を有する硝酸アンモニウム又は塩化カリウムと水を混ぜることによって吸熱反応が得られる。従って、硝酸アンモニウム又はカリウムなどの反応物質を水と共に使用することにより、所望の冷却効果を提供する吸熱反応が引き起こされる。
【0039】
1つの考えられる活性化機構は、プルタブ214を膜217に取り付け又は膜217と一体的に形成することである。例えば、膜217は、予めエッチングされた又は予め他の方法で弱められた領域を含むことができ、この領域にプルタブ214が取り付けられる。他の実施形態では、膜217は、レーザー又は押し切り(クラッシュカット)で予め弱められる。プルタブ214は、通気孔206を通って容器200の外側へ延びる細長いストリップを含むことができる。プルタブ214は、更に、発熱又は吸熱反応の活性化前に、通気孔206を気密封止するために接着片を含むことができる。容器200を活性化するために、活性剤252が反応物質室215に流入することを可能にするべく、膜217を切るか、破るか、剥ぎ取るか、又は他の方法で開けるために、ユーザーがプルタブ214の細長いストリップを引っ張ることができる。
【0040】
温度変更容器200用の他のタイプの活性化機構が、
図5及び6の実施形態を参照して示される。この実施形態では、内側シェル202が外側シェル204に対して鉛直にスライドすることができるように、内側シェル202が外側シェル204に対してスライド可能に入れ子状にされる。膜217が放出弁219を含み、放出弁219は、環状レーザーエッチングなどの壊れやすい又は予め弱められた周辺特徴部211であることができる。主容器210の底はプランジャー213を含み、プランジャー213は、本質的に、予め弱められた周辺特徴部211よりも僅かに小さい寸法にされた、主容器210の平坦な底面である。他の実施形態では、プランジャー213は、代わりに、波形であるか又はキャステレーションを有する面である。内側シェルを押し下げる202ことにより、内側シェル202は外側シェル204に対して鉛直下方へスライドさせられ、プランジャー213は膜217の予め弱められた周辺特徴部を押圧させられる。プランジャー213が予め弱められた周辺特徴部を押圧すると、これにより膜217が破れ又は開き、活性剤液252が反応物質室215に流入して反応物質250と混合することが可能になる。他の実施形態では、膜217は、代わりに切り取られ、引き裂かれ、又は引き剥がされる。少なくとも1つの通気孔206が設けられ、反応物質250と活性剤液252の反応によって生じたいかなる加圧ガスの通気をも可能にするように構成されることができる。通気孔206は、上壁を含む外側シェル204の壁にある開口部であることができる。一部の実施形態では、通気孔206の大きさは、製造時に調節可能であるか、又は代替的に、通気孔206は、ユーザーにより調節可能である。これにより、ユーザーは、どのくらいの蒸気が容器200から漏れ出るかを調節することができ、それによって加熱又は冷却温度、内容物が加熱又は冷却されたままである持続時間、どのくらいの蒸気(治療の蒸気を含む)をユーザーのために放出するかなどの、容器内に配置された加熱された内容物の性能を制御する。
【0041】
内側シェル202の外側シェル204に対するわずかな上下のスライドを可能にするために、圧縮性ガスケット260が設けられる。内側シェル202と外側シェル204の両方が、それらの上端に周辺フランジ(それぞれ262及び264)を有する。圧縮性ガスケット260は、内側シェル202の周辺フランジ262と外側シェル204の周辺フランジ264との間に配置され、必要に応じて、内側シェル202の周辺フランジ262及び/又は外側シェル204の周辺フランジ264に接着される。圧縮性ガスケット260は、内側シェル202と外側シェル204との間に気密シールを形成する。容器200を活性化するために、内側シェル202に下向きの力が加えられ、この下向きの力が、圧縮性ガスケット260を圧縮させ、それによってプランジャー213(内側シェルの下壁)が膜217を破ることを可能にする。
【0042】
容器200が円形である場合、周辺フランジ262及び264は環状フランジであり、圧縮性ガスケット260は環状ガスケットである。本実施形態では、圧縮性ガスケット260は、中央の概ね垂直な部分と、下側及び上側の概ね水平な部分とを有する、概ねU字形又はC字形の断面形状を有することができる。内側シェル202を押し下げることにより、圧縮性ガスケット260は周辺フランジ264に押し当たり且つ/又はその垂直な部分に沿って曲がり、外側シェル204に対する内側シェル202の下方へのスライドを、少なくともそれが膜117を破るまで可能にする。
【0043】
他のタイプの圧縮性ガスケット260は、周辺の細長い接着部分と、中央の細長い非接着部分とを有するストリップである。ストリップ260は、テープ又は他の積層材から構成される。第1細長接着部分が内側シェル202に接着され、第2細長接着部分が外側シェル204に接着されるので、非接着部分は内側シェル202と外側シェル204との間の接合部を覆う。第1細長接着部分は、積層材、接着剤、樹脂、エポキシ、熱シール圧機構などから構成されるテープ又は他の粘着性のものによって接着される。内側シェル202を外側シェル204に対して垂直下方にスライドさせると、ストリップの非接着部分は、内側シェル202の下方への相対運動に合わせるように外側にたわむ。接着部分はそれぞれ、第1及び外側シェルとの気密シールを形成するので、2つのシェルの間に囲まれた活性剤は漏れ出ることができない。
【0044】
輸送中又は保管中の容器200の意図しない作動を防ぐために、第1及び第2周辺フランジ262及び264の間にロック部材270が設けられる。容器200が円形である場合には、ロック部材270は環状リング又は部分リング(すなわち、円の90%のような、円形だが完全な円ではない)であることができる。圧縮性ガスケット260がU又はC字形断面形状を有する場合、ロック部材は、圧縮性ガスケット260の断面の水平な部分と垂直な部分とによって形成された細長いくぼみ又は溝と噛み合うか又は係合する寸法にされることができる。
【0045】
ロック部材270は、第1及び第2周辺フランジ262及び264の間の圧縮力がロック部材270より支持されるように剛性であり、外側シェル204に対する内側シェルのいかなる鉛直のスライド202をも防止する。容器200がすぐに活性化できる状態にある場合、ユーザーはロック部材270を取り外し、ロック部材270は、それを解放するべくロック部材270を引いて開けることを可能にするために可撓性であってもよい(が著しく圧縮可能ではない)。ロック部材270は、従って、圧縮されたとき、それが下に配置された放出弁を貫通させる程度に圧縮可能ではない。
【0046】
他のタイプの温度変更容器700が、
図7及び8の実施形態を参照して示される。本実施形態では、ベース735の最上部に乗った外側シェル704が示される。ベース735は、周辺支持フランジを備えて構成されているが、他の実施形態では、この支持フランジは含まれない。一部の実施形態では、外側シェル704のベース735は、蓋770を配置することができる外側シェル704の最上部分よりも幅が広いが、他の実施形態では、外側シェル704の最上部分及びベース部分の幅が互いに等しい。
【0047】
内側シェル702は、外側シェル704内に入れ子状になるように構成され、内側シェル702の最上部分は、外側シェル704の頂面742よりも低いことができる。一部の実施形態では、内側シェル702は、加熱又は冷却する内容物を受け入れるように構成される。従って、内容物は、内側シェル702に直接注ぐことができ、他の実施形態では、内容物は、設計ニーズに応じて別個の内容物容器710で供給され、内容物容器710は、従来のスープの缶、ジュースの缶、又は食品、飲料、薬物などを保存するのに使用される任意の他の容器であることができる。例えば、ユーザーが、温かいジュースの缶(すなわち、内容物容器710)を取って、缶710を内側シェル702に挿入し、吸熱反応を開始することができ、その後すぐにジュースの缶は冷却され、いつでも飲める状態になる。一部の実施形態では、蓋770が設けられ、蓋770は、内容物容器710のようにその中に配置された任意の内容物を含む内側シェル702に外側シェル704を固定するように構成される。蓋770は、内側シェル702及び又は外側シェル704にスナップ式に嵌め又は外すことにより、或いは剥がすことにより取り外し可能とすることができる。
【0048】
一部の実施形態では、反応物質750は、内側シェル702の下面とベース735との間の空間で内側シェル702の下に配置されるように構成される。一部の実施形態では、内側シェル702の下面と外側シェル704のベース735との間の空間は、凹状であるか、湾曲しているか、又は実質的に平面である。活性剤容器720が、装置700の内部で内側シェル702と外側シェル704との間に配置される。活性剤液752は、活性剤容器720の内部に配置される。活性剤容器720は、プラスチック又は紙繊維で構成されることができる。蓋770は、汚染、不正変更、及び/又は偶発的な作動を防止するために、箔などの剥離層で構成されることができる。一部の実施形態では、活性剤容器720の下部712は、活性剤容器720に接合、接着、超音波溶接、又は別の方法で付着した箔製の蓋であり、ピアサー715によって容易に破れるように構成される。一部の実施形態では、蓋770の開口部には、温度変更反応で発生した蒸気が装置700から漏れ出ることができる通気孔765がある。また、プランジャー714は、内側シェル702の最上部と活性剤容器720の頂面722の間で鉛直に延びることができる。他の実施形態では、プランジャー714は、蓋770の下面から活性剤容器720の頂面722まで延びる。
【0049】
一部の実施形態では、プランジャー714は、蓋770の下面と外側シェル704の最上部分742と内側シェル702の最上部分との間に配置された垂直平面に活性剤容器720の上面722を機械的に接続するように構成された細長い部材である。一部の実施形態では、ユーザーは、プランジャー714の最上部に下向きの力を加えるために、蓋770を剥くか、取り外すか、又は他の方法で除去することにより、プランジャー714にアクセスする。プランジャー714は、固定され、装置700と一体的であるか、又は取り外し可能であることができる。一部の実施形態では、プランジャー714は、その細長い部材の、外側シェル704の頂面742及び/又は蓋770より上に配置された部分を有さないことができる。ピアサー715は、活性剤容器720の下に配置され、固定され、装置700と一体的であるか、又は取り外し可能であることができる。一部の実施形態では、ピアサー715は十字形状であるか、又は別の方法で膜であり得る活性剤容器720の下面を破く(例えば、鋭い、又は尖った)ように構成されることができる。
【0050】
活性化は、ユーザーが蓋770を取り外すか又は剥ぎ取るか又は他の方法でプランジャー714の最上部分にアクセスし、プランジャー714とベース735に対して下向きの圧力を加えたときに引き起こされる。十分な圧力が、活性剤容器720をピアス715に向かって移動させる。ピアサー715はその結果、活性剤液752が反応室730内に配置された反応物質750と流体連通させられるように、活性化剤容器720の下面712を破裂させ、破壊し、又は開封する。一部の実施形態では、反応物質750が活性剤液752と化合するときにゲルが形成される。ゲルは膨らみ、内側シェル702の外側下方部分に入り込み、内側シェル702と外側シェル704との間の側面周囲にぴったりつく。
【0051】
ゲルから蒸気が生成され、この蒸気は、内側シェル702の周りに加熱ブランケットを形成し、蓋770又は外側シェル704の頂面722に配置された通気孔765を通って装置700を出る。他の実施形態では、通気孔765は、プランジャー714と、プランジャー714が内側シェル702、蓋770、及び又は外側シェル704の頂面722に延びる領域との間の空間によって画定される。通気孔765の直径又は大きさは、蒸気の量及び/又は内側シェル702の内部の内容物の温度を制御することができるように、手動で又は自動的に調節可能であることができる。通気孔765は、通気孔765にバイメタル板を動作可能に結合することによって自動的に調節可能であることができる。本実施形態では、バイメタル板は、通気孔765の調節可能な直径とひいては装置700から漏れる蒸気の量を調節することにより、加熱又は冷却温度を調節するように構成される。
【0052】
他の実施形態では、ベース735は、ひとたび反応物質750が排出されると、それを交換することができるように、取り外し可能である。同様に、活性剤容器720は、ひとたび中身を空にすると交換可能であることができる。従って、装置700は、複数の温度変更反応に使用することができる。ベース735は、外側シェル704及び/又は内側シェル702に簡単に固定するために、スナップ式、ねじ式などにより取り外し可能である。このことは、材料及び他の資源を節約するという利点をもたらす。
【0053】
装置770が従来の食缶又は飲料缶などの内容物容器710を含み、且つ蓋770がスナップ式に外れる実施形態では、ユーザーは、蓋770を取り除き、内容物容器710内の加熱又は冷却された内容物を味わう。反応が発熱性であり、且つ内側シェル702がアルミニウムなどの金属材料から構成される実施形態では、外側シェル704の頂面742が内側シェル702及び/又は内容物容器710より上に配置されるため、且つ外側シェル704が内側シェル702及び/又は内容物容器710とは異なる材料から構成されることができるので、ユーザーの唇は外側シェル704によって内容物容器710の加熱された金属から保護され、このことはユーザーの安全性を確保するという付加的な利点をもたらす。
【0054】
開示された実施形態のいずれにおいても、反応物質室内に配置された透過性の小袋又はティーバッグ内に反応物質を配置することが有利であり得る。これらの利点は、持続時間及び動作温度範囲の点で反応物質の性能が容易に制御され、従って結果として生じるユーザーによる使用が安全で予測可能であることを含む。反応物質は発熱反応物質、吸熱反応物質、又は液体と化合させたときにゲルを形成する粉末吸収剤の任意の混合物を含むことができる。1つの好適な反応物質混合物は、ラバジェル(登録商標)(フォーエバーヤングインターナショナル社、ヘンダーソン、ネバダ州)のような発熱ゲルである。水又は電解質溶液などの液体活性剤と混合したときにゲルを形成する反応物質を提供することは、液体が小さな通気孔から漏出することができないゲル中に隔離され、その結果、ガスは漏れ出ることができるが液体は漏れ出ることができない複雑な弁機構が不要となるため、有利である。
【0055】
一部の実施形態では、反応室は、温度変更装置又は容器から取り外し可能である。従って、小袋又は他の透過性収容機構内に配置された反応物質が反応に続いて使い尽くされると、ユーザーは、取り外し可能な反応室を取り外し、使い尽くした反応物質を廃棄し、使い尽くした反応物質を未使用の反応物質と交換することができる。このことは、温度変更容器を再利用することができ、且つその結果、材料及び資源を節約する、という追加の利点をもたらす。
【0056】
開示された実施形態のいずれにおいても、幅広い材料を使用することができる。内側及び外側シェルの両方を、ポリエチレン、ポリプロピレン又は他のポリマーなどの成形プラスチックから作ることができる。この構成は、比較的シンプルで安価な製造をもたらすので、温度変更容器は、1回使い切り又は使い捨てであることができる。内側シェルは、主容器内の内容物への熱伝達を最適化するためにアルミニウムなどの高熱伝導性材料を包含することができ、又は全体に高熱伝導性材料から作ることができる。他の実施形態では、内側シェルは、樹脂中に含まれる添加剤と導通して熱を伝達するように設計されたポリマーなどの導電材料から構成される。更に、いくつかの又は全ての材料は、添加剤を有するポリマー、又は繊維、紙、及び他の金属を含む他の材料のような生分解可能であることができる。また、特に、ラバジェル(登録商標)が使用される反応物質である場合、反応する化学物質が危険なほど高温に達しないため、容器の壁を融解させ又は損傷する恐れがない。更に、発熱反応の熱は、比較的長時間、15分間から1時間以上、持続することができる。従って、従来から知られている自己温度変更装置と比べて内容物が長時間暖かい又は冷たい状態が続くだけでなく、発熱反応を使用する場合、単に容器を保持することによって容器自体をハンドウォーマーとして使用することもできる。
【0057】
開示された実施形態は、多種多様な形状又は大きさを有することができる。例えば、容器は概ね円形であってもよいが、これは必須要件ではなく、長方形又は多角形形状も考えられる。寸法は、わずか1〜2インチの長さ及び/又は高さから数フィートの長さ及び/又は高さまで大きく異なることができ、その間の任意の大きさであることができる。
【0058】
概念の本質を説明するために本明細書中に記載及び例示された細部、材料、ステップ、及び部品の配置における多くの追加の変更が、添付の特許請求の範囲に示される概念の原則及び範囲内で当業者によってなされ得ることが理解されるであろう。