(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
エアゾール、乳濁液、液体、ローション、溶液、ゲル、マイクロカプセル封入物、クリーム、ペースト、軟膏、粉末もしくは発泡体の形態であるか、または皮膚の表面もしくは皮膚組織下への適用のために適合されたデバイス中に組み入れられる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
【背景技術】
【0003】
ケラチノサイトおよび皮膚内皮細胞は、皮膚創傷および潰瘍の治癒を調節する可溶性因子の主要供給源である。例えば増殖因子産生、血管形成応答、マクロファージ機能、コラーゲン蓄積、表皮バリア機能、ならびにケラチノサイトおよび繊維芽細胞移動および増殖を含む活性の減少による異常は、すべて不完全な創傷治癒の一因となる。増殖因子およびサイトカインは、創傷を処置するために臨床現場で用いられてきた。例としては、限定されないが、種々の創傷および多様な病因の慢性皮膚潰瘍、例えばヒドロキシ尿素関連下肢潰瘍(Stagno et al,1999)、静脈性下肢潰瘍(Da Costa et al,1999)、異常ヘモグロビン症関連潰瘍(Voskaridou et al,1999)、および切断に起因する創傷(Gaches et al,1998)に罹患している患者における創傷治癒に及ぼす有益な作用を発揮することが示されているPDGF(血小板由来増殖因子(Rees et al,1999))およびGM−CSF(顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子)が挙げられる。さらにまた、皮膚病変を有するライ患者へのGM−CSFの皮内投与は、創傷治癒の増強ならびにケラチノサイトの数および層の増大をもたらす(Kaplan et al,1992;Braunstein et al,1994)。
【0004】
増殖因子およびサイトカインはともに、タンパク質である。表皮創傷を処置するためのタンパク質療法の使用に伴う困難は、しばしば、関与するタンパク質のサイズが大きいことに関連する。天然タンパク質の複雑な構造および製造経費は、広範な臨床的使用を妨げている。製剤中のこのような天然タンパク質の安定性および相溶性も大きな懸念である。天然タンパク質が大型であるゆえの、皮膚の標的層に到達するのに不十分な浸透は、しばしば、その効力を低減し、タンパク質療法の有益な作用が不首尾に終わる原因となっている。これらの問題を克服するために、大型タンパク質の活性を保有する短いペプチドが、より低経費で、費用効果の高い生産、ならびに簡易な取り扱いおよび操作という必要性を満たすであろう。さらに、短い生物活性ペプチドは、プロテアーゼに対する低感受性のため、創傷組織によってより良好に吸収され保持される。短い生物活性ペプチドの吸収特質の利点によりまた、それらは、急性または慢性創傷の看護を越えた使用のための、例えば老化および日光曝露に関連した皮膚の問題の処置のための実行可能な選択肢となる。
【0005】
ケモカインは、構造的に関連し、多様な生物学的活性を保有する8〜150kdのタンパク質の大型スーパーファミリーである。それらは、通常は細胞刺激時に分泌されて、ホメオスタシス中の、ならびに炎症中の白血球動態を制御し、そして先天免疫および適応免疫間の連携のために必要である。接着分子、例えばインテグリンおよびセレクチンとともに、ケモカインおよびそれらの受容体は、標的組織の微小環境中への、およびその環境からの特定細胞型の選択的移動を助長する複雑な分子ネットワークの一部として主に作用する(Key et al,2003;Ono et al,2003)。ケモカインは、好中球、マクロファージおよびリンパ球の領域特異的動員を選択的に媒介する。走化性因子であるほかに、ケモカインは、ホメオスタシスの保持、血管形成/血管新生抑制、細胞分化および活性化、創傷治癒、腫瘍増殖および転移、リンパ球ホーミングおよびリンパ系組織の発達においても重要な役割を果たし、ならびに免疫応答の全体的1型/2型平衡に影響を及ぼす(Behm et al,2012;Gillitzer et al,2001;Raman et al,2011;Romagnani et al,2004;Rossi et al,2000)。
【0006】
テトラシステインモチーフにより定義され、ケモカインはそれらのアミノ末端でのシステイン残基の立体配置により4つの異なるファミリーに細分される。2つの大きいサブファミリー、すなわちCCLサブファミリー(CCL1〜CCL28)およびCXCLサブファミリー(CXCL1〜CXCL16)、ならびに2つの小さいサブファミリー、すなわちXCLサブファミリー(XCL1〜XCL2)およびCX3CL1サブファミリー(Bacon et al,2003)が存在する。ケモカインのCXCサブファミリーは、多様なプロセス、例えば炎症、創傷治癒、増殖調節、血管形成、および腫瘍形成において重要な役割を果たす(Keeley et al,2008;2011)。多数のケモカインが、内皮細胞上および細胞外マトリクスのプロテオグリカンのグリコサミノグリカン(GAG)部分と相互作用する(Handel et al,2005)。硫酸ヘパリンのモデル化合物であるヘパリンは、身体中のほぼすべての細胞において発現される最も普遍的クラスのGAGである。すべてのケモカインはヘパリンGAGと相互作用する。
【0007】
我々の研究において、C−X−Cケモカインは二次構造が高度に保存されているがそれらの一次アミノ酸配列においていくつかの配列類似性を示す、ということに我々は注目した。9つのヒトC−X−Cケモカインの一次アミノ酸配列の試験は、「本発明の詳細な説明の第一段落」で以下で示される各ケモカインのNCBI寄託番号を用いて、GAG結合に関与するC末端部分に位置する高度保存領域を明示する。GAG結合領域からテトラペプチドを生成し、生物活性を試験した。意外にも、テトラペプチドは多様な生物活性を示し、例えばケラチノサイト移動を促し、ヒト臍帯静脈内皮細胞における血管形成を誘導し、LTA誘発性炎症誘発サイトカインを中和し、細胞増殖および増殖因子産生を調節することを示した。テトラペプチドは、種々の皮膚状態を改善するための薬品および化粧品として有用である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の詳細な説明
ケモカインは、創傷治癒、炎症/抗炎症および血管形成/血管新生抑制活性を調節する。それらは、白血球上のGタンパク質共役受容体(GPCR)クラスの受容体および標的組織における細胞表面グリコサミノグリカン(GAG)に結合することにより、それらの機能を発揮する。GAGへのケモカインの結合は、GAG上の負電荷鎖とケモカイン中の塩基性残基のクラスターとの相互作用により生成されるイオン力により媒介される(Handel et al,2005)。in vivoでは、状況はより複雑であり、ケモカインは固定化勾配または走触性勾配を生成することにより働き、これが、炎症の部位への細胞の移動を導くと考えられている(Proudfoot,2006)。GAG−ケモカイン相互作用は細胞外マトリクスに沿った勾配の確立において極めて重要な役割を果たしており、ケモカインがそれらのGタンパク質共役受容体へと結合することを助長し得る。GAGまたは硫酸ヘパリン(HS)プロテオグリカンは、シグナル伝達のための機能性ケモカイン共受容体としても振る舞い、GAG/ケモカインとケモカイン受容体との三元複合体の形成をもたらし得る(Handel et al,2005)。特定のケモカインについての研究により、ケモカインに対するGAGの結合部位がマッピングされた。GRO−アルファ前駆体(CXCL−1)、ケモカイン2前駆体(CXCL−2)、ケモカイン3前駆体(CXCL−3)、ケモカイン4前駆体(CXCL−4)、ケモカイン5前駆体(CXCL−5)、ケモカイン6前駆体(CXCL−6)、IL−8前駆体(CXCL8)、ケモカイン9前駆体(CXCL−9)、ケモカイン11前駆体(CXCL−11)を含む9つのヒトC−X−Cケモカイン前駆体タンパク質の保存GAG結合部位の一次アミノ酸配列の詳細な試験において、特に興味深い保存テトラペプチド領域を見出した。この試験において定義された保存テトラペプチド範囲は、部分的GAG結合領域内に位置する。以下は、選定したヒトC−X−Cケモカイン前駆体のC末端配列のアラインメントの模式図であり、保存された短テトラペプチドを強調している。アラインメントは、NCBIのウェブサイト(ncbi.nlm.nih.gov)上の多重タンパク質配列アラインメントのためのCOBALTプログラムを用いて生成される。アラインメント中の各ケモカインのC末端部分のみが示されており、数字は配列中の開始残基と終端残基である。A. GRO−アルファ前駆体(NCBI寄託番号P09341.1);B. ケモカイン2前駆体(NCBI寄託番号NP_002080.1);C. ケモカイン3前駆体(NCBI寄託番号NP_002081.2);D. ケモカイン4前駆体(NCBI寄託番号P80162.4);E. ケモカイン5前駆体(NCBI寄託番号NP_002985.1);F. ケモカイン6前駆体(NCBI寄託番号NP_002984.1);G. IL−8前駆体(NCBI寄託番号);H. ケモカイン9前駆体(NCBI寄託番号NP_002407.1);I. ケモカイン11前駆体(NCBI寄託番号EAX05774.1)。
【表2】
【0016】
アラインメントにおいて示されているのは、CXCケモカインの中でも高度に保存された短いテトラペプチドモチーフである。
*は、ケモカインの部分的GAG結合部位を示す。テトラペプチドは保存された主鎖のI−K−を示す。バリン(V)を有するIL−8を除いて、他はすべて、テトラペプチドモチーフの位置1にイソロイシン(I)を、位置3にリシン(K)を有する。したがって、(IまたはV)−X
1−K−X
2式は、生成され表1に示されたテトラペプチドを表すために用いられ得る。ほとんどのCXCケモカインは単量体および二量体として可逆的に存在するためケモカインのGAG結合領域は二量体形成にも関与し、したがって、動員プロフィールは単量体−二量体平衡定数によってだけでなく、単量体および二量体の好中球上の受容体との結合相互作用および細胞表面のGAGとの結合相互作用ならびに標的組織中の間質空間によっても影響を及ぼされる、ということに注目する価値がある(Gangavarapu et al,2012)。
【0017】
以下で示される得られたテトラペプチドは、式I(V)−X
1−K−X
2(ここで、X1はE、QおよびKから選択され得るし、X2はM、F、I、W、VおよびLから選択され得る)に適合する。
【表3】
C−X−Cケモカインは、多数の細胞型に対するそれらの走化性活性に関してよく知られている。新規に得られたテトラペプチドがケラチノサイト移動を刺激する活性を保有するか否かを査定するために、配列番号1、2、3、4、5、6、7および8を、活性化合物がin vitroで細胞移動および創傷閉鎖を誘導する能力を評価するために広く認められているアッセイである引掻き傷試験に付した。実験は、細胞増殖を抑止するために補足物の非存在下にて無血清ケラチノサイト増殖培地中で実施した。示した時間において創傷領域を位相差顕微鏡により調べた。表1に示されるように、テトラペプチドは引掻き傷閉鎖を有意に誘導する。20μg/mlでは、配列番号1、2、3、4、5、6および7により誘導される創傷閉鎖のパーセンテージは、PBS処置を100%として比較すると、165%〜240%の範囲である(表1)。無作為に生成されたペプチド配列番号8は、細胞移動および引掻き傷閉鎖を誘導しない。ペプチドが引掻き傷閉鎖に関して試験された濃度でケラチノサイトに対して毒性でないことを確認するために、すべてのペプチドをMTT細胞傷害性試験に付した。いずれのペプチドもin vitroで500ug/mlまでの濃度において24時間インキュベーション後に正常皮膚ケラチノサイトに対し細胞傷害性ではなかった。結論として、テトラペプチド配列番号1〜7による処置は、PBS処置対照細胞の場合と比較した7時間処置後の創傷領域の閉鎖のパーセンテージにより示されるように、引掻き領域への正常ヒト表皮ケラチノサイト細胞の移動を有意に誘導した。
【0018】
既存の血管網からの新規の毛細管の形成である血管形成は、創傷修復の必須ステップである。本発明で生成されるペプチドである配列番号1〜7は、毛細管形成も刺激する。in vitro血管形成アッセイは、ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)を用いて、新規毛細管の形成をもたらす一連の事象を測定する。誘導時に、HUVECは移動を経て整列され、次いで、個々の細胞から出芽する。出芽事象は新規の毛細管の形成をもたらし、これはさらに発達して閉鎖多角形を形成する。最後に複雑な網目様構造が創り出される。ヒトカテリシジンペプチドLL−37は、血管形成を促進する十分に研究された一例である。それは評価において陽性対照として用いられる。新規毛細管の出芽は、LL−37での処置のちょうど3時間後に可視的になる(表2)。LL−37で5時間処置後、閉鎖多角形が形成される。LL−37と比較して、配列番号1、2、3、4、5、6および7は、HUVECにおける類似の変化を誘導して、3および5時間処置で新規毛細管形成および複雑な多角形構造を生じた(表2)。これに対比して、無作為に生成したペプチド配列番号8(KMG)およびPBSは、血管形成活性がLL−37および本発明のペプチドに関して観察された時点でこのような変化を誘導しない(表2)。
【0019】
グラム陽性細胞壁構成成分であるペプチドグリカン(PGN)は、炎症誘発性サイトカイン発現を刺激することがよく知られている。リポタイコ酸(LTA)はPGNにおける重要な分子であり、一酸化窒素合成酵素(iNOS)、シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)、IL−1ベータ、TNF−アルファおよびIL−6上方調節を含む炎症誘発性シグナルの濃度依存的および時間依存的増大を引き起こす(Lin et al,2010)。したがって、本発明のペプチドでLTAを前処置し、次いで、ヒト皮膚ケラチノサイトとの接触時のIL−6刺激活性を評価する。表3に示されるように、配列番号1、2、3、4、5、6および7によるLTAの前処置は、ヒトケラチノサイト培養におけるLTA刺激性IL−6発現のレベルを有意に低減し、これらのペプチドが遊離LTAの毒性作用を中和し得ることを示唆している。テトラペプチドの正電荷残基が負電荷LTAに結合し、したがってLTAとその受容体との相互作用を遮断する、ということは大いにあると思われる。これは、細菌細胞壁構成成分が炎症性皮膚症状、例えばざ瘡、酒さ、アトピー性皮膚炎等に関与しているので、重要である。
【0020】
細胞増殖の調節は、創傷修復における別の重要なステップである。ヒト皮膚ケラチノサイトにおける増殖活性に関して、本発明のペプチドを試験した。引掻き試験で測定される走化性活性、血管形成およびLTA誘導性IL−6発現の遮断と比較して、本発明のペプチドは、ケラチノサイト増殖の調節において多様であるがわずかな活性を示した。配列番号1(HB2233)はケラチノサイト増殖における抑制活性を示したが、このような抑制活性は配列番号3(HB2270)に関しても観察された。配列番号6はケラチノサイト増殖を刺激するようであるが、このような活性はほんのわずかに過ぎない。ケラチノサイト増殖における抑制活性を見出したことにより、TGF−β1発現を試験することにする。なぜならこの増殖因子は細胞増殖を抑制することが周知であるからである。表4に示されるように、配列番号1および3はともに、培養ケラチノサイトにおける中等度レベルのTGF−β1発現を誘導した。
【0021】
MatTek Corporation(Ashland MA)により開発されたSOR−300−FTは、正常ヒト由来ケラチノサイトおよび乾癬性繊維芽細胞からなる高度に分化したin vitro乾癬組織である。形態学的には、この組織は均一厚を有し、増大したレベルの過増殖化細胞ならびに炎症誘発性マーカー、例えばソリアジン、エラフィン、ヒトベータ−デフェンシン−2、およびLL−37等を発現する(Ayehunie et al,2012)。この組織の炎症誘発性症状により、本発明のペプチドを試験してそれらが炎症性応答を調節するか否かを見ることにする。組織モデルの高経費のため、代表的なペプチド配列番号1、HB2233を、SOR−300−FT組織モデルを用いた概念研究の実証として選択した。SOR−300−FT組織を、200μg/mlにて二重反復実験においてHB2233で処置した。感染症状に関連する全体で12の遺伝子マーカーを試験する。並行してカルシポトリオールでの試験を実行した。qPCR分析により、72時間処置後に配列番号1(HB2233)が炎症化乾癬皮膚で過剰発現されるLL−37の発現レベル(3.7倍)を有意に下方調節する、ということが明らかになった(表5)。乾癬薬カルシポトリオールは、HBD−2(9.0倍)およびソリアジン(2.3倍)を有意に下方調節する。HB2233およびカルシポトリオールはともに、乾癬皮膚におけるケラチノサイトの過増殖および早期成熟の原因であるKi67発現を下方調節する。さらに、配列番号1(HB2233)は、健常皮膚と比較して乾癬皮膚においてともに有意に上方調節されるCXCL1(GROアルファ)およびCXCL5(ENA−78)発現も下方調節する(Ayehunie S.,2012)が、カルシポトリオールは両遺伝子のレベルに影響を及ぼすようには見えない。これは、HB2233が、乾癬のような炎症性皮膚症状の処置のための一般的薬剤カルシポトリオールとは異なる機序により機能する、新規の治療薬であり得ることを明らかに示唆している。
【0022】
同一ペプチドが健常皮膚組織に如何に影響を及ぼすかをよりよく理解するために、MatTek Corporation(Ashland MA)から購入したEPIDERM(商標)正常ヒト皮膚代替物を用いて、Sunny Biodiscovery(Santa Paula,CA)により実施された遺伝子プロファイリング試験に配列番号、HB2233を用いた。24時間の二重反復実験におけるペプチドまたは水対照での処置の前に、皮膚代替物を一晩平衡化させた。処置終了時にRNAを抽出してPCRアレイ分析に付した。表6に示されるように、配列番号1、HB2233は、ECM合成に関与する遺伝子(コラーゲンおよびインテグリン)を刺激する。予測通り、それはケモカイン(CXCL11およびMAPK3等)および増殖因子(TGF−β1およびVEGF等)を調節する。遺伝子プロファイリング試験は、本発明のペプチドが細胞増殖、血管形成および創傷治癒活性を調節するというin vitroで観察された活性を支持する。
【0023】
本発明に含まれるペプチドはすべて、標準Fmoc(9−フルオレニルメトキシカルボニル)固相化学を用いて合成した。ペプチドは、標準アミノ酸を用いて、アミド化または遊離酸配列として調製され得る。カルボキシ末端のアミド化は、遊離酸形態に比して、本発明のペプチドをプロテアーゼ分解に対して低感受性にさせて、かつそれらの可溶性を増大し、したがって強化された治療効力を提供し得る。ペプチドはL−またはD−アミノ酸エナンチオマーを含んでよく、1つのエナンチオマー型または両型の組合せの残基を含有し得る。ペプチドは、N末端およびC末端の両方で修飾され得る。例えば、N末端の脂質付加またはアセチル化は、ペプチドの生物活性機能を変更することなく皮膚を横断するペプチド浸透を改善し得る、ということが考察されている(Samah,2011)。したがって、ペプチドはまた脂質付加され、これが皮膚浸透の増強を提供し得る。本発明の化合物のC12〜18脂質構成成分を提供するために用いられ得る飽和または不飽和脂肪酸の例としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ミリストオレイン酸、パルミトオレイン酸、オレイン酸およびリノール酸が挙げられる。ペプチドのカルボキシ末端は、酸性(−COOH)またはアミド化(例えば、−CONH2、−CONHRまたは−CONR2)で修飾され得る。カルボキシ末端のアミド化は、遊離酸形態に比して、本発明のペプチドをプロテアーゼ分解に対して低感受性にさせて、かつそれらの極性を増大し、したがって強化された治療効力を提供し得る。また、典型的に修飾され得るペプチド官能基としては、ヒドロキシル、アミノ、グアニジニウム、カルボキシル、アミド、フェノール、イミダゾール環またはスルフヒドリルが挙げられる。
【0024】
ペプチドはまた、可溶性または不溶性担体分子と共役されて、必要に応じてそれらの可溶性特性を修飾し、標的組織中のペプチドの局所濃度を増大し得る。可溶性担体分子の例としては、限定されないが、ポリエチレングリコール(PEG)およびポリビニルピロリドンのポリマーが挙げられ;不溶性ポリマーの例としては、限定されないが、シリケート、ポリスチレン、およびセルロースが挙げられる。ペプチドは、それらの安定性を増強するために、そして制御化放出のために、リポソーム技法を用いて、またはナノ技法を介して、マイクロカプセル封入され得る。上記のプロトコールに全般的に、ペプチドは、当業者に既知の任意の方法、例えば、Merrifield(J Am Chem Soc.85:2149,1963);Carpino et al.(J Org Chem.51:3732,1986);Merrifield et al.(Anal Chem.38:1905,1966);またはKent et al.[High Yield Chemical Synthesis Of Biologically Active Peptides On An Automated Peptide Synthesizer Of Novel Design,In:PEPTIDES 1984(Ragnarsson,ed.)Almqvist and Wiksell Int.,Stockholm(Sweden),pp.185−188](これらすべての記載内容は、参照により本明細書中で援用される)に開示された方法を用いて生成され得る。
【0025】
本発明は、例えば製剤における、または治療薬としての、上記のペプチドの使用方法に関する。これらの方法は、単一ペプチドの、または組み合わせた多数のペプチドの使用を包含し得る。ある場合には、本発明の組成物は、皮膚の上、中または下に置かれるデバイス内に配置され得る。このようなデバイスとしては、受動的または能動的放出機序により皮膚または毛包と接触するようなやり方で物質を放出する経皮パッチ、インプラント、および注入物が挙げられる。本明細書中に記載される方法においてペプチドを送達するために用いられる組成物は、エアゾール、乳濁液、液体、ローション、溶液、ゲル、マイクロカプセル封入物、クリーム、ペースト、軟膏、粉末、発泡体、またはその他の製薬上許容可能な製剤の形態であり得る。さらに、ペプチドは、より複雑でない製剤、例えば脱イオン水/蒸留水、PBSまたは標準医療用生理食塩溶液を用いて送達され得る。
【0026】
製剤は、任意に美容的アピールを有し得るし、および/または他の作用物質、例えばレチノイド、ビタミンCまたは本発明のペプチドの治療作用に関してアジュバントとして作用し得るその他のペプチドを含有し得る。感染を防ぎ、それにより最大治癒過程を生じさせるために、抗生物質も製剤に添加され得る。
【0027】
製剤はプロテアーゼ阻害剤を含有し得る。プロテアーゼ阻害剤は、選択した生物活性ペプチドを分解すると予測されるプロテアーゼを特に標的とするために選択され得る。このような選択は、生物活性ペプチドの長さおよび/または配列に基づいて決定される。しかしながら、プロテアーゼ阻害剤は、必ずしもある特定の方法で選択される必要はない。例えば、2つ以上の阻害剤を含有するプロテアーゼ阻害剤カクテルが、本発明において用いられ得る。以下の型のプロテアーゼ阻害剤が本発明に組み入れられ得る:セリンプロテアーゼ阻害剤、システインプロテアーゼ阻害剤、アスパルテートプロテアーゼ阻害剤、メタロプロテイナーゼ阻害剤、チオールプロテアーゼ阻害剤およびトレオニンプロテアーゼ阻害剤。本発明に用いられるプロテアーゼ阻害剤は、ペプチドまたはタンパク質または化学薬品であり得る。このような阻害剤の非限定例は、セルピン、例えばアルファ−1−アンチトリプシン、補体1−阻害剤、アンチトロンビン、アルファ−1−アンチキモトリプシン、プラスミノーゲン活性剤阻害剤1、およびニューロセルピンであり、あるいは化学薬品、例えば、限定されないが、本発明のペプチドの治療作用のためのアジュバントとして作用し得るウルソール酸およびトラネキサム酸が挙げられる。
【0028】
一般的に、製薬上許容可能な製剤は、ヒト皮膚に用いるのに適した任意の担体を含む。このような薬学的および美容的に許容可能な担体としては、エタノール、ジメチルスルホキシド、グリセロール、シリカ、アルミナ、デンプン、ならびに等価の担体および希釈剤が挙げられる。製剤は、任意に美容的アピールを有してよく、および/または他の作用物質、例えばレチノイドまたは本発明のペプチドの治療作用に関してアジュバントとして作用し得るその他のペプチドを含有し得る。感染を防ぎ、それにより最大治癒過程を生じさせるために、抗生物質も製剤に添加され得る。組成物中のペプチドの濃度は、約0.1μg/mL〜約500μg/mLまたは約0.1μg/mL〜約10%であり得る。しかしながら、用いられる最終濃度は、創傷/組織症状の性質、本発明のペプチドの生物活性、ならびに増強された組成物吸収を得るための任意のアジュバントまたは技法の使用によって、これらの範囲外で変わり得る。CTFA Cosmetic Ingredient Handbook,Second Edition(1992)は、スキンケア産業で一般に用いられる広範な種々の非限定的な美容的成分および薬学的成分を記載するが、これらは本発明の組成物中で用いるのに適している。これらの成分クラスの例としては、以下のものが挙げられる:研磨剤、吸収剤、審美的構成成分、例えば芳香剤、顔料、彩色剤/着色剤、精油、皮膚知覚剤、収斂剤等(例えば、クローブ油、メントール、カンファー、ユーカリ油、オイゲノール、乳酸メンチル、ハマメリス水)、抗ざ瘡剤、固化防止剤、消泡剤、抗菌剤(例えば、ヨードプロピルブチルカルバメート)、酸化防止剤、結合剤、生物学的添加物、緩衝剤、嵩高剤、キレート剤、化学的添加物、化粧品用殺生物剤、変性剤、薬物収斂剤、外用鎮痛剤、皮膜形成剤または材料、不透明剤、pH調節剤、噴射剤、還元剤、金属イオン封鎖剤、皮膚漂白剤および美白剤(例えば、ヒドロキノン、コウジ酸、アスコルビン酸、リン酸アスコルビルマグネシウム、アスコルビルグルコサミン)、皮膚状態調節剤(例えば、保湿剤)、皮膚平滑および/または治癒剤(例えば、パンテノールおよびその誘導体、アロエベラ、パントテン酸およびその誘導体、アラントイン、ビサボロール、およびグリシルリチン酸二カリウム)、皮膚処置剤、増粘剤、ならびにビタミンおよびその誘導体。
【0029】
本発明のペプチドおよび関連組成物の投与は、ヒトおよび動物、例えばすべての哺乳動物に対してなされ得る。適用はまた、典型的および/または実験的材料、例えば組織移植片、皮膚代替物、組織培養生成物および創傷被覆材と組み合わせてなされ得る。例としては、限定されないが、ガーゼ(織物および不織物、含浸、非接着性、詰め物、創傷清拭材);圧迫包帯およびシステム;創傷充填剤および洗浄剤;接触層;コラーゲン;羊膜;無細胞ヒト真皮;無細胞マトリクスおよび組合せ生成物;ならびに種々の一般的に用いられる包帯が挙げられる。
【0030】
一般的に用いられる包帯の一覧表
【表4】
【0031】
概して、組成物は、局所的に、経口的に、経皮的に、全身的に、または標的組織に本発明のペプチドを送達するために有用であることが当業者に既知の任意のその他の方法により、投与され得る。組成物はまた、in vitroで、またはex vivoで、例えば培養中で増殖する細胞または患者移植片に適用され得る。
【0032】
本発明の組成物は、スキンケア活性を発揮する1つ以上の付加的作用物質を含有し得る。生物活性ペプチド構成成分のほかに、本発明は、その他の活性作用物質、例えばヒアルロン酸、ナイアシンアミド、フィタントリオール、ファルネソール、ビサボロール、サリチル酸、レチノール、レチノイン酸、アルファヒドロキシ酸、アスコルビン酸およびアルグロニック酸を含有し得る。ある付加的活性作用物質は生物活性ペプチド構成成分と相乗的に作用し、あるいは製剤の保存寿命を増強すると予測される。
【0033】
さらに、アミノ酸に関する略語は、慣用的用法に従う:
【表5】
【0034】
医薬品の処方および投与のための技法に関する詳細は、Remington’s Pharmaceutical Sciences(Mack Publishing Co,Easton Pa.)の最新版に見出され得る。局部局所送達が望ましいが、その他の送達手段、例えば経口、非経口、エアゾール、筋肉内、皮下、経皮、髄内、くも膜下腔内、脳室内、静脈内、腹腔内、または鼻孔内投与が存在する。本発明は、多数の担体ビヒクル中で、例えばスプレー;エアゾール、水および油型エマルジョン;油および水型エマルジョン;顔用クリームまたは身体用クリーム;日焼け用ローションまたは日焼け後ローション;あるいはその他の局所投与ビヒクル中で処方され得る。さらに、本発明のペプチド、およびそれらを含有する組成物は、全身スキンケアおよび美容用製剤、例えば種々の皮膚用化粧品、皮膚用クリーム、ローション、日焼け止め剤、ならびに治療用ローションまたはクリーム、例えば抗ざ瘡製剤中に含入するための有用な特徴を提供し得る。
【0035】
適用領域
本発明のペプチドは、皮膚の創傷を治癒するために用いられ得る。皮膚および粘膜組織傷害は、表皮層が、例えば裂傷、熱傷または水疱により破損されると生じる。損傷は、押し潰しまたは打撲も伴い得るが、これらは表皮の併発性亀裂を伴わない組織傷害を包含する。皮膚感染ならびにある種の慢性疾病、例えば癌および自己免疫疾患も、表皮表面の犠牲を強要し得る。潰瘍、例えば糖尿病に影響を及ぼす潰瘍または褥瘡に関連する潰瘍は、別の型の皮膚傷害である。これらの創傷は、しばしば、全く難治性で、炎症化しており、感染傾向があり、かつ長い治癒過程を要する。潰瘍またはその他の型の慢性創傷の持続性は、血管形成に関する能力減損による治癒および新規血管生成に関与する細胞性過程の不全のためである。血管形成は、低酸素またはその他の刺激に応答した新規毛管網(微小血管)の形成の過程である(Folkman et al,1992)。この過程は、内皮増殖および新血管の出芽を誘導する低酸素内皮および支持周皮細胞の両方からの血管新生因子の局所分泌を伴う。不十分な血管形成は、創傷治癒減損および皮膚潰瘍の一因である(Galiano et al.,2004)。創傷治癒の不全は、一部には、創傷縁でのケラチノサイトが傷を閉鎖するかまたは被覆するために移動しないという事実のために、病変を上皮化することができない結果でもあり得る(Enoch and Price,2004)。皮膚および粘膜創傷の治癒は、一部は、基底ケラチノサイトの活性化により調整される。活性化時に、創傷周囲に配置されたケラチノサイトは移動して、上皮形成と呼ばれる過程において創傷の上に単一層を形成する。慢性創傷の非治癒縁でのケラチノサイトは過増殖性であるが非移動性であり、移動の欠如が上皮形成をできなくして慢性潰瘍の病因における重要な役割を果たしていることが示されている(Harsha et al,2008)。本発明は、皮膚および粘膜組織におけるケラチノサイトに関連した傷害を処置するためにも用いられ得る。「関連粘膜組織」という用語は、皮膚と同様に編成される任意の組織に関し、上皮細胞/ケラチノサイト、例えば、限定されないが、口、鼻、喉、耳、肛門、生殖器および眼の眼瞼結膜に関連した内張り表面を含有する。これらの組織に影響を及ぼし得る、そして本発明のペプチドでの処置を受けることができる創傷または病変/損傷の例は、擦過傷、水疱、熱傷、裂傷、穿刺、潰瘍、打撲傷、発疹および瘢痕である。術後傷も本ペプチドで処置され得る。
【0036】
別の型の表皮傷害は潜在性で、長期間に亘って生じ、最終的には皮膚機能を低下させる、いわゆる老化皮膚である。皮膚老化を誘導する2つの主な過程が存在する。すなわち、太陽から保護された皮膚における内在的過程(経時的老化)と、太陽にさらされた領域における外在的過程(光老化)である。内在的老化は、遺伝的背景を反映し、時間に依存する。それとは関係なく、老化皮膚は以下のうちの1つ以上を共有する:皺、微細線、色素沈着過剰、紅斑、光輝、平滑性、堅固性、皮膚の色調明瞭性および平坦性の損失、ならびに孔外観の変更。これらの可視的徴候の根底にあるのは、遺伝的素因のほかに、紫外線(UV)および汚染などの環境的刺激の短期的または長期的曝露により誘導される種々の組織学的および細胞学的変化である。美容的問題、例えば皺、乾燥、痩せ、たるみおよびアザになり易さは、老化のほかに、紫外線および汚染のような傷害作因への長期曝露のために早期にも起こり得る表皮傷害の通常の外的徴候である。したがって、開示ペプチドは、内在的および外在的刺激の両方により引き起こされる皮膚老化に関連した問題に対して用いられて、傷害を防止および修復し、したがって健常皮膚組織を再生して老化の作用を逆転し得る。同様にして、ペプチドは、日光などの種々の外的作因への曝露により傷害された組織に適用され得るであろう。本発明は、より若い外観および肌理を供給するためにこれらの点で化粧品としても用いられ得る。短いペプチドは変更なくそれ自体で、または化学的修飾および/または特異的送達により、表皮を通して透過されて、皮膚を痩せさせ、皺を作り、脆くしかつ粗くするか/硬くする過程とは逆の過程に影響を及ぼし得る。ケラチノサイトは表皮表面の主要構成成分であり、老化および傷害された皮膚において減少するので、ペプチド刺激によるその補充は、上記の問題を逆方向に変えると予測される。
【0037】
皮膚は相対的に弾性であるが、伸張するその能力には限界がある。伸展裂創または線条は、オフカラー色調を有する皮膚上の瘢痕の一形態である。それらは真皮の断裂により引き起こされ、これは経時的に縮小し得るが、完全に消失するわけではない。それらは先ず赤みを帯びたまたは紫色の線として現れるが、次第により薄い程度に弱まる傾向がある。伸展裂創は、しばしば、急速な成長または急速な体重減少に関連した皮膚の急速な伸張の結果である。伸展裂創は、顕著なまたは過剰な伸張または膨張を全く受けていない身体部位のどこにでも出現し得る。最も一般的な場所は、腹部、胸部、上腕、前腕、背部、大腿部、腰部、および臀部である。伸展裂創は、しばしば、生涯のいくつかの重要段階、例えば思春期および妊娠期間のホルモン変化により引き起こされるが、しかしコルチコステロイド処置、肥満、美容整形手術および集中的なボディビルが伸展裂創をもたらすことがある。コルチコステロイドの作用下では、ケラチノサイトおよび繊維芽細胞の両方の増殖は著しく損なわれ、その結果、コラーゲンIおよびIIIの合成ならびにフィブロネクチン合成も、正常皮膚と比較して90%を上回る程度にまで著しく低減される(Rogalski et al.,2002)。高用量コルチコステロイドおよび抗血管内皮増殖因子(抗血管形成)療法の組合せは線条状態を悪化し得るし、回避されるべきであることが示されている(Wheeler et al.,2012)。真皮/表皮区域におけるケラチノサイトの機能の修復および回復は、伸展裂創補正の鍵であり得るであろう。したがって、引掻き傷閉鎖を促して創傷治癒に不可欠な血管形成を刺激する本発明のペプチドは、伸展裂創の処置のために理想的である。
【0038】
ケラチノサイトは抗菌性ペプチド(AMP)を産生し分泌するが、これらは内因性抗生物質として、ならびに皮膚自然免疫系内のシグナル伝達分子として機能する。AMPは宿主自然免疫防御系の重要構成成分であり、病原性微生物の防御および死滅の第一選択を提供する。さらに、それらは種々の機序により宿主炎症応答を調節および改変もする。しかしながら、これらのペプチドの異常発現は炎症性皮膚疾患の病因に関連付けられている。近年の研究はLL−37が乾癬および酒さの病因において重要な役割を果たし得ることを示唆している。
【0039】
乾癬は、一般集団の約2%に影響を及ぼす慢性炎症性皮膚疾患である(Lowes et al,2007)。乾癬は、Th1型T細胞および好中球の蓄積、ケラチノサイトの過増殖および分化、ならびにAMPの表皮産生増強により特性化される。乾癬病変では、多数のAMP、例えばカテリシジン(LL−37)、β−デフェンシン、S100タンパク質、ケモカイン、RNアーゼ7、リゾチーム、エラフィン、好中球ゼラチナーゼ関連リポカリン等が高度発現される。特に、カテリシジンLL−37は乾癬における炎症化皮膚で過剰発現され、死にかけている細胞から放出される細胞外自己DNAに結合して、自己DNAを形質細胞様樹状細胞の強力な刺激に転化させる(Dombrowski et al.,2012)。乾癬におけるLL−37の役割についての議論ではあるが、このペプチドが培養ケラチノサイトにおけるケラチノサイト増殖および炎症誘発性サイトカインの産生を誘導することは明白である。乾癬のほかに、LL−37は、近年、全身性紅斑性狼瘡および関節リウマチ(RA)の発症と関連づけられている。LL−37は、全身性紅斑性狼瘡患者の皮膚において高度発現される(Sun et al.,2011)。RAでは、好中性顆粒球が、細胞傷害性作因、AMP、プロテアーゼおよびその他の炎症メディエーターを放出することにより、関節における炎症を促進して組織を傷害する。動物モデルでLL−37が健常関節と比較した場合、関節炎を有するラットからのRA滑膜ならびに関節において強力に上方調節されることが示された(Hoffmann et al.,2012)。HB2233がLL−37ならびに炎症に密接に関連するいくつかの他の因子の発現を有意に下方調節するという観察は、本発明のペプチドが、炎症性症状、例えば、限定されないが、乾癬、全身性紅斑性狼瘡および関節リウマチに関する潜在的治療薬であり得るということを示唆する。
【0040】
酒さは、成人の最も一般的な皮膚疾患の1つである。既知の臨床的トリガー因子、例えばUV照射、熱、寒冷、ストレス、辛い食べ物、および微生物は、Toll様受容体シグナル伝達を調節し、活性酸素種を誘導し、ならびにAMPおよび神経ペプチド産生を増強する、ということを最新概念は示唆している(Kenshi et al.,2009;Yamasaki et al.,2009)。LL−37形態の過剰なカテリシジンが酒さにおいて報告されたが、これは、TLRによる自然免疫パターン認識の異常機能、およびhCAP18を切断するプロテアーゼに起因すると思われる(Yamasaki et al.,2007;2011)。乾癬および全身性紅斑性狼瘡と同様に、酒さにおけるLL−37の過剰存在は、形質細胞様樹状細胞およびケラチノサイトの両方による自己核酸の認識を可能にし、これが炎症を悪化させ、したがって自己炎症性シグナル伝達を許すことにより疾患に寄与していると推測されている(Gilliet et al.,2008;Ganguly et al.,2009)。本発明のペプチドによるSOR−300−FT皮膚組織におけるLL−37の下方調節は、酒さにおけるLL−37関連炎症性症状を改善するための見込みのある且つ潜在的に有用な処置を支持する。
【0041】
炎症性皮膚症状のほかに、高レベルのLL−37は、いくつかの侵攻性の固形腫瘍型にも関連する。LL−37は、グリソン・スコアが増大するにつれてヒト前立腺腫瘍において、および骨転移において、漸進的に過剰発現されることが示された(Jonathan et al.,2011)。同様の臨床的観察は、卵巣癌(Coffelt et al.,2008)、乳癌(Heilborn et al.,2005)および肺癌(von Haussen et al.,2008)の癌腫でなされた。LL−37は、普通は好中球プロテアーゼ3によりその前駆体であるヒトカテリシジン抗菌タンパク質−18(hCAP−18)から切断されて活性化されるようになるが、証拠は、癌細胞も酵素を産生して好中球とは関係なくそれらの分泌hCAP−18をタンパク質分解的に切断する、ということを示唆している(Sφrensen et al.,2001)。これは、癌におけるLL−37のレベル増大を説明し得る。癌におけるLL−37の関与は依然として明らかにされていないが、増殖、血管形成、アポトーシスからの保護、および上皮−間葉転換を増大するLL−37の特性は、すべて、癌のホールマークとなり得るし、形質転換細胞/悪性細胞により利用されて腫瘍増殖および転移を助長し得る。本発明のペプチド、例えばHB2233によるLL−37の下方調節は、LL−37のレベルを低減するための有効な方法を提供し、したがって癌細胞伝播を防止し得る。癌薬剤と組み合わせると、潜在的利益はさらに増強され得る。
【0042】
細菌による感染は敗血症を引き起こし、難治性低血圧症ならびに最終的には多臓器不全および死により特性化される敗血症性ショックをもたらし得る(Ulevitvh et al.,1995)。グラム陽性敗血症は、重要な臨床症状として認識されている(Ulevitvh et al.,1995)。その作因は、グラム陽性細菌の細胞壁構成成分、例えばペプチドグリカン(PGN)およびリポタイコ酸(LTA)である。敗血症性ショックのほかに、LTAは他の炎症性症状の作因でもある。アトピー性皮膚炎(AD)は、一般的慢性炎症性皮膚疾患である。ADの病因は完全に理解されているわけではなく、カテリシジン(LL−37)発現のレベルならびに湿疹の疾患重症度とのその関連は論争の的であった。AD患者はスタフィロコッカス皮膚感染に特に感受性であり、これは、彼らの皮膚症状の悪化に関連する。スタフィロコッカス細菌がADを悪化させる機序は未だ明らかでないが、直接感染あるいはケラチノサイトまたは免疫細胞による細菌構成成分または破砕屑との相互作用に続くサイトカイン産生が、重要な役割を果たしていると思われる(Bieber et al.,2008)。黄色ブドウ球菌感染は皮膚炎症に関する既知のトリガーであり、細菌による直接侵襲かまたは細菌生成物によって免疫応答を調節し得る。研究は、AD皮膚病変上の高レベルの黄色ブドウ球菌LTAを示している(Travers et al.,2010)。AD病変由来の洗浄液は、ネズミ骨髄由来DCによるIL−1β、IL−6、IL−10、および腫瘍壊死因子−α産生を誘導することが見出されている(Travers JB et al.,2010)。本発明のペプチドはin vitroでスタフィロコッカスLTAへの高レベルの結合を示し、このような活性は、感染中に放出されるグラム陰性細菌からのLTAまたはLPSの毒性作用を中和するための見込みのある処置、あるいは敗血症性ショックおよびAD皮膚と関連する症状を改善するための抗生物質処置を提供し得る。
【0043】
ケラチノサイトにおけるTGF−β(形質転換増殖因子ベータ)発現を調節する本発明のペプチドの可能性は、特に興味深い。TGF−βは、細胞の増殖、分化、アポトーシス、マトリクスリモデリング、接着、侵襲および移動を調節する多面的サイトカイン/増殖因子である。一般的に、TGF−β1は多数の異なる細胞型により産生され得る。TGF−βアイソフォームはすべて、繊維芽細胞による細胞外マトリクスタンパク質の合成および代謝回転を刺激することが判明している。
【0044】
毛包は皮膚の不可欠な構成成分であり、各毛は毛包の角質化産物である。各々およびすべての毛包は活動周期を経る:毛は最大長に成長し、次いで成長は止まり、毛は抜け落ちて置換される。毛成長周期の時期は、発育期(長期の成長);退行期(成長から休止までの2〜4週間継続する移行期間);休止期(2〜4週間継続する不活発期間)として記載されている。ヒトにおける直接的証拠は欠けているが、マウスでの試験は、ケラチノサイト増殖の抑制およびTGF−β1産生の誘導は退行期回帰と直接結びつけられることを示唆する(Foitzik et al.,2000)。単離し、臓器培養したラットおよびヒトの退行期毛包がTGF−β1により成長抑制される、というin vitro観察は、いくつかの局面において退行期様転換の早期段階と類似する。ケラチノサイト増殖およびTGF−β1発現の調節を抑制する配列番号1 HB2233の活性は、本発明のペプチドが望ましくない毛の脱毛のための有用な治療薬としての可能性を有することを示唆し得る。さらに、TGF−βの上方調節は、MITFならびに白髪を生じるメラニン形成遺伝子の下方調節によるメラノサイト未熟とも関連付けられている(Nishimura et al.,2010)。したがって、本発明のペプチドは、シミの色素脱失または美白のような用途のための大きな可能性も有する。
【0045】
懸垂繊維腫(ST)、軟性繊維腫、繊維上皮性ポリープ、またはアクロコルドンはすべて、周囲皮膚から突出する皮膚の小部分からなる一般的良性皮膚症状を記載するための代替的用語である。組織学的には、STは、上に重なる軽度肥厚皮膚、軽度の慢性炎症を示す疎性浮腫性繊維血管性コアおよび神経のない真皮を有するポリープ状病変である。懸垂繊維腫は、皮膚の最も一般的な繊維性病変とみなされる。正確な病因は十分に理解されていないが、肥満症、真性糖尿病、摩擦、先端巨大症、臓器移植、ヒト乳頭腫ウィルスおよびその他の症状との関連が報告されている(Zaher et al.,2007)。増殖因子およびホルモンならびにそれらの受容体は、懸垂繊維腫形成において重要な役割を果たすことが示唆されている(Safoury et al.,2010ab)。懸垂繊維腫が表皮ケラチノサイトおよび真皮繊維芽細胞増殖を刺激する因子により引き起こされるという事実は、細胞増殖を抑止する本発明のペプチドのような化合物が、懸垂繊維腫の進行を遅らせ形成を防止するために潜在的に有用であり得る。
【0046】
本発明のある好ましい実施形態を示すために、以下の実施例が包含される。
実施例
【0047】
実施例1:細胞移動および引掻き傷閉鎖を刺激するペプチドの同定
5ng/mlのヒト組換え上皮増殖因子(EGF)(Life Technologies,Grand Island,N.Y.)を補足した無血清ケラチノサイト増殖培地中で、ヒト皮膚ケラチノサイト(ATCC CRL−2404)を増殖させた。細胞を12−ウェルプレート上に植え付けて、100%集密に到達させた。細胞単一層を24時間飢餓状態にし、次いで、P200(200μl)ピペット先端を用いて引掻き傷を作った。引掻き傷を洗浄し、0時間目に写真撮影した。20μg/mlの最終濃度で、ペプチドを添加した。画像を室温で短時間撮影する際以外は、細胞を37℃、5%CO
2で湿度>90%にてインキュベーター中に保持する。引掻き傷閉鎖は7〜8時間処置後に観察し、結果を表1に示す。
【表6】
【0048】
実施例2:正常ヒト皮膚ケラチノサイトにおける細胞傷害性
ペプチドが細胞に対して細胞傷害性でないことを確かめるために、正常ヒト表皮ケラチノサイトを96−ウェルプレートに植え付けた。プレートを5%CO
2の存在下で、37℃でインキュベートして、細胞を>95%集密に増殖させた。ペプチドを、50、100、200および500μg/mlの濃度でストック溶液中に希釈する。細胞培地を、種々の濃度でペプチドを含有する新鮮な培地と取り替えて、次に、37℃、5%CO
2で24時間インキュベートする。処理終了時に、ATCC(Manassas VA)から購入したMTTアッセイキットを用いて、細胞生存度を測定した。結果を表1に示す。50〜500μg/mlの濃度では、MTTアッセイを用いて測定した場合、ペプチドは細胞生存度を変えない。
【0049】
実施例3:血管形成を刺激するペプチドの同定
Milliporeから購入したin vitro血管形成アッセイキット(In Vitra Angiogenesis Assay Kit)を用いて、血管形成アッセイを実施した。要するに、メーカーの使用説明書に従って、ECMATRIX(商標)溶液を用いてマトリクス層を調製した。ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)(ATCC,Manassas,VA)を、0.1mg/mlのヘパリン(Sigma−Aldrich)、30ug/mlのECGS(Sigma−Aldrich)および10%ウシ胎仔血清(ATCC,Manassas,VA)を補足した完全F12K培地(ATCC,Manassas,VA)中で培養した。細胞を収集し、完全培地中に再懸濁した。ペプチドを、96−ウェルプレート中で約5×10
3〜1×10
4細胞/ウェルで細胞と混合した後、重合ECMATRIX(商標)溶液の表面に細胞を植え付けた。プレートを30℃、5%CO2で9〜12時間までの間インキュベートした。倒立光学顕微鏡下で管形成を定期的に検査し、3および5時間間隔で写真撮影して、以下に示すように各パターンに数値を割り当てた。
【表7】
【0050】
表2に示されるように、配列番号1〜7は、ヒト臍帯静脈内皮細胞における毛細管形成を有意に刺激する。予測通り、LL−37は陽性対照として用いられ、血管形成も刺激する。PBSは陰性対照として用いられ、細胞は移動し始めて、集合して整列するが、5時間では出芽または形成された閉多角形は認められない。
【表8】
【0051】
実施例4:LTA誘導性IL−6発現を遮断するためのペプチドの同定
ヒト表皮ケラチノサイトにおける黄色ブドウ球菌LTA誘導性IL−6刺激。ヒトケラチノサイトを、無血清ケラチノサイト培地中で>80%集密に増殖させた。黄色ブドウ球菌LTA 10ug/mlを、室温で30分、各ペプチド(50μg/ml)とともに予備インキュベートし、次いで混合物をケラチノサイト培養に移した。処理は24時間行った。上清を取り出した。考え得る細胞破砕屑を除去するために短時間スピン後、メーカーの使用説明書に従って、CellSciences(Canton,MA)から購入したELISAキットを用いて、上清をIL−6試験に付した。表3に示されるように、配列番号1〜7はLTAの作用を明らかに中和し、または拮抗してヒト皮膚ケラチノサイトにおけるIL−6発現を刺激する。
【表9】
【0052】
実施例5:ヒト皮膚ケラチノサイトにおける細胞増殖およびTGF−β発現を調節するためのペプチドの同定
5ng/mlのヒト組換え上皮増殖因子(EGF)(Life Technologies,Grand Island,N.Y.)を補足した無血清ケラチノサイト増殖培地中で、正常ヒト皮膚ケラチノサイト(ATCC CRL−2404)を増殖させた。細胞を顕微鏡で毎日観察する。培養が50〜75%集密になったら、プレート中の培地を吸引し、0.25%トリプシン/EDTAを添加する。細胞が丸くなり剥がれるようになったら、新しい培地を添加することによりトリプシンを中和する。次いで、細胞を遠心分離し、ペレットを新しい培地中に再懸濁する。血球計算器を用いて細胞懸濁液を計数し、各ウェルに100μlの細胞懸濁液を添加することにより、細胞の総数を約500〜1000細胞/ウェルに調整する。典型的には、中央の60ウェルを用い、外側のウェルには新しい培地を充填して蒸発を最小限にする。6〜8時間のインキュベーション後に各ウェル中に細胞が付着したら、PBSまたは2×所望濃度のペプチドを含有する新しい培地100μlを、三重反復で添加する。次に、マイクロプレートを、37℃、5%CO
2で48〜72時間インキュベートする。
【0053】
インキュベーション終了時にメーカーの使用説明書に従って細胞をCYTOSCAN(商標)SRB細胞傷害性アッセイ(GBiosciences,St.Louis,MO)に付す。要するに、細胞を固定した後スルホローダミンB(SRB)染色を施す。広範な洗浄の後、可溶化緩衝液を用いて染料を可溶化する。マイクロプレート読取器で565nmでの吸光度を測定した。表5に示した結果は、三重反復処理の平均値であり、対照の±10%を超える値は有意とみなした。
【0054】
TGF−β刺激はSunny Biodiscovery Lab(Santa Paula,CA)により実施された。要するに、正常新生児ヒト皮膚ケラチノサイトをcellnTecケラチノサイト増殖培地(Switzerland)中で増殖させた。培地は、培地供給元に従ってTGF−βを含有しなかった。実験の当日に、増殖培地を再び新しくして、細胞を三重反復で72時間、50μg/mlのペプチドで処理した。処理終了時に上清を取り出し、活性化し、LEGEND MAXTM総TGF−β1ELISAキット(Biolegend,Sam Diego,CA)を用いて定量した。
【表10】
【0055】
実施例6:SOR−300−FTヒト乾癬組織構築物に及ぼす代表的ペプチドの作用
SOR−300−FT(商標)組織を、0.9mlのあらかじめ温めたアッセイ培地を含有する6−ウェルプレートに移し、標準培養条件(37℃、5%CO
2)に1時間平衡化した。1時間平衡後、以下のように組織に新しい培地を再添加した:1)24時間の時点に関しては、組織に0.9mlの培地を添加し、2)>24時間の時点に関しては、細胞培養挿入物を洗浄装置(パート#EPI−WSHR、MatTek Corporation)の上部に載せることにより、5mlの培地を組織に添加した。次に、50μlの試験品目を乾癬組織(n=3)に局所適用して、スポンサーにより選択された3つの濃度で、試験品目を培地に添加した。24および48時間時点で、a)組織を300〜400μLのPBSで3回、局所的にすすぎ、b)組織を含有する挿入物を滅菌鉗子でしっかり保持し、PBS中に挿入物を浸漬することにより試験品目を穏やかにすすぎ、挿入物から培地をデカントして、c)すすぎおよびデカント直後に新しい試験品目を組織に再適用した(局所的に50μl)。t=72時間の時点で分析を実施した(3×反復適用)。Qiagen RT2 第一標準キット(カタログ番号330401)を用いて、cDNAを生成した。Qiagen RT2 SYBR Green qPCR Mastermix(カタログ番号330502)およびQiagen RT2プライマーを用いて、相対的な遺伝子発現を測定した。Bio−Rad CFXソフトウェアを用いて、解析を実行した。
【表11】
【0056】
実施例7:正常ヒト皮膚代替物に関する遺伝子プロファイリング解析
細胞外マトリクスおよび接着分子をコードする84の遺伝子を、Sunny Biodiscovery,Inc(Santa Paula,CA)により実行されたPCRアレイを用いて解析した。要するに、EPIDERM(商標)皮膚代替物(カタログ番号#EPI−212)をMatTek(Ashland,MA)から入手し、メーカーの使用説明書に従って取り扱った。一晩の平衡化後、培地を交換して、HB2233(330ug/ml)または水対照を二重反復で皮膚組織の上部に適用し、24時間処理させた。処理終了時に組織を収集してRNAlater溶液(Ambion,Austin,TX)中に保存した。RNAをIllustraミニRNAspinキット(カタログ番号#95017−489、GE Healthcare,Piscataway,NJ)で抽出して精製した。Agilent HP−8452Aダイオードアレイ分光光度計で、260nmおよび280nmにて精製総RNAを評価した。試料を通してRNAの濃度を一律にして、PCRアレイPAHS−121Aを1
st標準合成キット、SYBR GreenマスターミックスおよびPCR実行条件(Qiagenから)とともに用いて、BioRad iCycler iQ Detection Systemでリアルタイム定量PCRにより遺伝子の発現を測定した。効率比較Ct(ΔΔCt)法を結果の定量のために用い、5つのハウスキーピング遺伝子に対する遺伝子発現の正規化後、RT2プロファイラーPCRアレイデータ解析バージョン3.5ソフトウェアを用いて実行した。発現のレベルが合理的に高く(30サイクル未満で検出)、かつ高低が各二重反復シリーズで1.5以上であった場合、遺伝子は示差的に発現したとみなされた。
【表12】
【0057】
本明細書中に開示され、特許請求された組成物または方法はすべて、本発明の開示に鑑みて、過度の実験なしに製造され、遂行され得る。本発明の組成物および方法を好ましい実施形態に関して記載してきたが、本発明の概念、精神および範囲を逸脱しない限り、本明細書中に記載される組成物および/または方法に、ならびに方法のステップまたはステップの順序において変更が適用され得ることは、当業者には明らかである。さらに具体的には、同一または類似の結果が達成される限り、化学的および生理学的の両方で関連するある作用物質が本明細書中に記載される作用物質と置き換えられ得ることは明らかである。当業者に明らかなこのような類似の代替物および修正は、本発明の範囲内であるとみなされる。
【0058】
本出願において同定される特許および出版物はすべて、それらの記載内容が参照により本明細書中で援用される。