(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記巻線は、それぞれ異なる前記スロットに挿入される2つの挿入部(36)、および、前記挿入部の間を連結するターン部(38)を有する複数のセグメントコンダクタ(35)が電気的に接続されて構成されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の回転電機。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明による回転電機を図面に基づいて説明する。なお、以下、複数の実施形態において、実質的に同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態による回転電機を
図1〜
図17に示す。
図1に示すように、回転電機としてのモータジェネレータ5は、ハウジング10と、シャフト15と、ロータ16と、ステータ20と、を備える。モータジェネレータ5は、例えば電気自動車やハイブリッド車両等の電動車両に適用され、図示しない駆動輪を駆動するためのトルクを発生する。モータジェネレータ5は、駆動輪を駆動するための電動機としての機能、および、図示しないエンジンや駆動輪等から伝わる運動エネルギによって駆動されて発電する発電機としての機能を有する。本実施形態のモータジェネレータ5は、3相ブラシレスの回転電機である。
【0010】
ハウジング10は、略有底筒状に形成される一対のハウジング部材11、12が、開口部同士で接合されてなる。ハウジング部材11の底部には軸受13が設けられ、ハウジング部材12の底部には軸受14が設けられる。
シャフト15は、軸受13、14を介して、ハウジング10に回転可能に支持される。
【0011】
ロータ16は、シャフト15に固定され、シャフト15と一体となって回転する。ロータ16の外周面には、周方向において磁極が所定間隔で交互となるように、複数個の永久磁石が設けられる。永久磁石に替えて、例えば界磁巻線を巻装した巻線界磁式等としてもよい。本実施形態では、磁極数は8極(N極:4、S極:4)とする。
【0012】
図2〜
図6に示すように、ステータ20は、ステータコア21、および、巻線30を有し、ロータ16の径方向外側に設けられる。ステータコア21は、鋼板で形成される複数のコアシートが軸方向に積層されて構成され、ハウジング10に固定される。
ステータコア21には、複数のスロット22が形成される。スロット22は、等ピッチで放射状に形成され、巻線30が巻回される。本実施形態では、ロータ16の1極あたり、各相につきスロット倍数kのスロット22が形成される。例えば、スロット倍数k=2とすると、ステータコア21には、8[極]×3[相]×2=48のスロット22が形成される。
【0013】
スロット22には、ステータ20と巻線30との間を絶縁するインシュレータ24が設けられる。1つのスロット22には、径方向に6本のセグメントコンダクタ35の挿入部36を挿入可能に形成される。
巻線30は、複数のセグメントコンダクタ35が電気的に接続されて構成される。
図3および
図4に示すように、セグメントコンダクタ35は、図示しない絶縁被膜が被覆された平角導体を略U字形状に折り曲げて形成され、互いに並行な一対の挿入部36、および、挿入部36の一端を連結するターン部38からなる。
【0014】
一対の挿入部36は、ステータコア21の軸方向における一方の端部である第1端部211側から、それぞれ異なるスロット22に挿入され、ターン部38が第1端部211側に突出し、第1コイルエンド31を構成する。
挿入部36の先端側は、他のセグメントコンダクタ35の挿入部36または渡り線等と溶接等により電気的に接続され、ステータコア21の第2端部212側にて第2コイルエンド32を構成する。2つのセグメントコンダクタ35が接続される箇所を接続部39とする。なお、セグメントコンダクタ35同士、或いは、セグメントコンダクタ35と渡り線等とが電気的に接続される箇所の絶縁被膜は適宜剥離される。
図4および
図5に示すように、巻線30は、4個のセグメントコンダクタ35を接続することでステータコア21を1周する。また、
図6に示すように、後述する1つの部分巻線(例えば第1U相部分巻線41)は、12個のセグメントコンダクタ35を接続して構成される。
セグメントコンダクタ35の配置および巻回方向等の詳細については後述する。
【0015】
図7に示すように、巻線30は、U相巻線40、V相巻線50、および、W相巻線60を有する。本実施形態では、U相巻線40、V相巻線50、および、W相巻線60が「各相巻線」に対応し、以下適宜、「各相巻線40、50、60」という。
図7に示すように、U相巻線40、V相巻線50、および、W相巻線60は、n(nは2以上の整数)個の部分巻線に分割されている。本実施形態では、n=4であり、4つの部分巻線に分割されている。
【0016】
図7および
図8に示すように、U相巻線40は、波巻にて構成され、第1U相部分巻線41、第2U相部分巻線42、第3U相部分巻線43、および、第4U相部分巻線44を有し、部分巻線41〜44が直列接続される。U相巻線40の一端45は第1インバータ部70に接続され、他端46は第2インバータ部80に接続される。
【0017】
V相巻線50は、波巻にて構成され、第1V相部分巻線51、第2V相部分巻線52、第3V相部分巻線53、および、第4V相部分巻線54を有し、部分巻線51〜54が直列接続される。V相巻線50の一端55は第1インバータ部70に接続され、他端56は第2インバータ部80に接続される。
【0018】
W相巻線60は、波巻にて構成され、第1W相部分巻線61、第2W相部分巻線62、第3W相部分巻線63、および、第4W相部分巻線64を有し、部分巻線61〜64が直列接続される。W相巻線60の一端65は第1インバータ部70に接続され、他端66は第2インバータ部80に接続される。
【0019】
U相巻線40の一端45は取出線47と、他端46は取出線48と接続される(
図1参照)。V相巻線50の一端55は取出線57と、他端56は取出線58と接続される。W相巻線60の一端65は取出線67と、他端66は取出線68と接続される。
図1に示すように、取出線47、48、57、58、67、68は、ハウジング10の軸方向端部から取り出される。一端45、55、65と接続される取出線47、57、67は、スロット22の径方向
外側から取り出され、他端46、56、66と接続される取出線48、58、68は、スロット22の径方向
内側から取り出される。なお、
図1においては、煩雑になることを避けるため、径方向
外側から取り出される取出線47、57、67、および、径方向
内側から取り出される取出線48、58、68を、それぞれ1本ずつ記載した。
以下、
図8等においては、U相巻線40を1つのコイルとして図示している。V相巻線50およびW相巻線60についても同様である。
【0020】
図8に示すように、電力変換システム1は、モータジェネレータ5、第1インバータ部70、および、第2インバータ部80等を備える。
第1インバータ部70は、3相インバータであり、巻線30への通電を切り替えるべく、6つのスイッチング素子(以下、「SW素子」という。)71〜76が接続される。高電位側のSW素子71と低電位側のSW素子74との接続点77には、U相巻線40の一端45が接続される。高電位側のSW素子72とSW素子75との接続点78には、V相巻線50の一端55が接続される。高電位側のSW素子73と低電位側のSW素子7
6との接続点79には、W相巻線60の一端65が接続される。
【0021】
第2インバータ部80は、3相インバータであり、巻線30への通電を切り替えるべく、6つのSW素子81〜86が接続される。高電位側のSW素子81と低電位側のSW素子84との接続点87には、U相巻線40の他端46が接続される。高電位側のSW素子82と低電位側のSW素子85との接続点88には、V相巻線50の他端56が接続される。高電位側のSW素子83と低電位側のSW素子86との接続点89には、W相巻線60の他端66が接続される。
【0022】
このように、本実施形態では、第1インバータ部70および第2インバータ部80は、巻線30の両側に接続される。
本実施形態では、SW素子71〜76、81〜86は、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)であるが、例えばMOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタ、バイポーラトランジスタ等を用いてもよい。以下適宜、高電位側に接続されるSW素子71〜73、81〜83を「上アーム素子」、低電位側に接続されるSW素子74〜76、84〜86を「下アーム素子」という。
【0023】
第1バッテリ91は、充放電可能な直流電源であって、第1インバータ部70と接続され、第1インバータ部70を経由してモータジェネレータ5と電力を授受可能に設けられる。本実施形態では、第1バッテリ91の電圧を第1電圧V1とする。
第2バッテリ92は、充放電可能な直流電源であって、第2インバータ部80と接続され、第2インバータ部80を経由してモータジェネレータ5と電力を授受可能に設けられる。本実施形態では、第2バッテリ92の電圧を第2電圧V2とする。本実施形態では、V1=V2=300[V]とする。
【0024】
第1コンデンサ93は、第1バッテリ91と並列に接続され、第1バッテリ91から第1インバータ部70へ供給される電流、あるいは、第1インバータ部70から第1バッテリ91へ供給される電流を平滑化する平滑コンデンサである。
第2コンデンサ94は、第2バッテリ92と並列に接続され、第2バッテリ92から第2インバータ部80へ供給される電流、あるいは、第2インバータ部80から第2バッテリ92へ供給される電流を平滑化する平滑化コンデンサである。
【0025】
制御部95は、通常のコンピュータとして構成されており、内部には、CPU.ROM、RAM、I/O、および、これらを接続するバスライン等が備えられる。制御部95は、SW素子71〜76、81〜86のオンオフ作動を制御する制御信号を生成する。
ここで、モータジェネレータ5の駆動モードについて、
図9〜
図13に基づいて説明する。
図10および
図12において、制御部95の記載を省略する。以下、モータジェネレータ5が電動機として機能する場合を中心に説明する。
図9に示すように、本実施形態では、回転数およびトルクが比較的小さい駆動領域R1において「片側駆動モード」とし、回転数およびトルクが比較的大きい駆動領域R2において「両側駆動モード」とする。
【0026】
片側駆動モードでは、
図10(a)に示すように、第2インバータ部80の上アーム素子81〜83を3相同時オン、下アーム素子84〜86を3相同時オフにしている。これにより、第2インバータ部80側が中性点化される。また、上アーム素子81〜83を3相同時オフ、下アーム素子84〜86を3相同時オンとしても、同様に第2インバータ部80側が中性点化される。
【0027】
また、第1インバータ部70は、電圧指令に基づく基本波と、三角波等であるキャリア波とに基づいてPWM制御される。ここで、PWM制御には、基本波の振幅がキャリア波の振幅以下である「正弦波PWM制御」、および、基本波の振幅がキャリア波の振幅より大きい「過変調PWM制御」を含む。このとき、モータジェネレータ5に印加される電圧である駆動電圧は、パルスの高さが第1電圧V1となる(
図11(a)参照)。
【0028】
また、
図10(b)に示すように、第1インバータ部70の上アーム素子71〜73を3相同時オン、下アーム素子74〜76を3相同時オフとすることで第1インバータ部70側を中性点化し、第2インバータ部80をPWM制御してもよい。上アーム素子71〜73を3相同時オフ、下アーム素子74〜76を3相同時オンとしても、同様に第1インバータ部70側が中性点化される。このとき、モータジェネレータ5に印加される電圧である駆動電圧は、パルスの高さが第2電圧V2となる(
図11(b)参照)。
【0029】
いずれか一方のインバータ部70、80を中性点化することで、スイッチング損失を低減することができる。また、中性点化されるインバータ部70、80、および、3相同時オンされる素子を適宜切り替えることで、特定の素子のオン状態が継続することによる発熱や、素子間の熱損失の偏りを低減することができる。
【0030】
両側駆動モードでは、第1インバータ部70および第2インバータ部80は、PWM制御、または、矩形波制御される。PWM制御では、第1インバータ部70の駆動に係る基本波である第1基本波と、第2インバータ部80の駆動に係る基本波である第2基本波とは、位相が反転されている。換言すると、第1基本波と第2基本波とは、位相が略180[°]ずれている。基本波の位相を反転することで、各相にてオンされる素子は、第1インバータ部70と第2インバータ部80とで上下反対となる。これにより、第1バッテリ91と第2バッテリ92とを直列接続した状態に対応する電圧をモータジェネレータ5に印加可能である。なお、第1基本波と第2基本波との位相差は、180[°]であるが、第1バッテリ91と第2バッテリ92とを直列接続した状態に対応する電圧を印加可能な程度のずれは許容される。
【0031】
両側駆動モードでは、例えば
図12に示すように、第1インバータ部70において、U相の上アーム素子71がオン、V相およびW相の下アーム素子75、76がオンされるとき、第2インバータ部80において、U相の下アーム素子84がオン、V相およびW相の上アーム素子82、83がオンされる。このとき、矢印Yで示す経路にて電流が流れ、駆動電圧は、パルスの高さが第1電圧V1と第2電圧V2との和となる(
図13参照)。
【0032】
本実施形態の巻線30の詳細を
図14および
図15に基づいて説明する。
図14は、スロット22に挿入されるセグメントコンダクタ35の対応する部分巻線を説明するための図であって、例えばU相スロットの「1」は、第1U相部分巻線41を構成することを意味する。
図14において、紙面左右方向がステータ20の周方向であって、紙面左方向が時計回り方向、紙面右方向が反時計回り方向とする。また、紙面上下方向がステータ20の径方向に対応し、紙面上側が径方向外側、下側が径方向内側に対応する。
【0033】
ステータ20において、1つの磁極に対応する3[相]×2(スロット倍数)=6のスロット22を、「領域」とする。本実施形態では、磁極数が8であるので、領域数は8である。また、U相巻線40の最も一端45側となるセグメントコンダクタ35の挿入部36が挿入されるスロット22を含む領域を「領域A」とする。また、領域Aから反時計回りに、領域B、領域C・・・とし、領域Aから時計回りに、領域H、領域G・・・とする。
また、各領域内におけるスロット番号を時計回り方向に1〜6とし、各スロット22内における位置を表す周番号を、径方向外側から1〜6とする。図中においては、スロット番号および周番号は、丸印を付した番号で記載する。
以下、セグメントコンダクタ35の挿入部36が挿入される箇所を、領域、スロット番号、周番号の順で表すこととし、具体的には、最も一端45となるセグメントコンダクタ35の挿入部36が挿入される箇所を「A21」と表す。
【0034】
以下、U相を中心に説明し、V相およびW相に係る記載については適宜省略する。後述の実施形態についても同様とする。図中において、U相巻線40を構成するセグメントコンダクタ35が挿入されるスロット22を太線、V相巻線50およびW相巻線60を構成するセグメントコンダクタ35が挿入されるスロット22を細線で記載する。また、「第1U相部分巻線41」を、適宜「第1部分巻線41」と呼ぶ。第2U相部分巻線42、第3U相部分巻線43、および、第4U相部分巻線44についても同様とする。
【0035】
図14および
図15において、セグメントコンダクタ35を実線で示し、渡り線を破線で示す。また、丸印で記載した箇所は、U相巻線40の一端45または他端46であることを意味し、三角印で記載した箇所は、渡り線にて接続される箇所であることを意味する。さらにまた、各部分巻線41〜44の始端(すなわち一端45側の端部)をS1〜S4とし、各部分巻線41〜44の終端(すなわち他端46側の端部)をE1〜E4とする。したがって、始端S1が一端45に対応し、終端E4が他端46に対応する。
これらの点に関し、特段の言及がない限り、以下の実施形態についても同様とする。
【0036】
図15は、ステータコア21の第1端部211側から見た図であって、(a)が第1部分巻線41、(b)が第2部分巻線42、(c)が第3部分巻線43、(d)が第4部分巻線44を示す図である。
図15においては、煩雑になることを避けるため、スロット22を径方向に二分割する分割線Pの記載を省略した。第2実施形態以降に係る図面においても、分割線Pは、一部または全部の記載を適宜省略する。
【0037】
図14に示すように、本実施形態では、領域Aにおいて、A1スロットに第2部分巻線42および第4部分巻線44を構成するセグメントコンダクタ35が挿入され、A2スロットに第1部分巻線41および第3部分巻線43を構成するセグメントコンダクタ35が挿入される。他の領域においても同様である。
【0038】
最も一端45側となるセグメントコンダクタ35は、一方の挿入部36がA21に挿入され、他方の挿入部36がB22に挿入される。一端45側から2番目のセグメントコンダクタ35は、一方の挿入部36がC21に挿入され、他方の挿入部36がD22に挿入される。
【0039】
すなわち本実施形態では、セグメントコンダクタ35の一対の挿入部36は、隣接する磁極に対応する領域のスロット番号が同じであって径方向における位置が1つずれた箇所に挿入される。また、最も一端45側のセグメントコンダクタ35と2番目のセグメントコンダクタ35とは、B22に挿入された挿入部36とC21に挿入された挿入部36とを溶接等により接続することで、接続される。このように、本実施形態では、異なるセグメントコンダクタ35を電気的に接続していくことで、巻線30を構成する。以下、挿入部36が挿入されるスロット位置および巻回方向を中心に説明する。
【0040】
第1部分巻線41は、A21、B22、C21、D22、E21、F22、G21、H22、A23、B24、・・・G23、H24、A25、B26、・・・G25、H26の順に、12個のセグメントコンダクタ35が接続されることで
、時計回りに径方向外側から内側に巻回される。
【0041】
第2部分巻線42は、A16、H15、G16、F15、E16、D15、C16、B15、A14、H13、・・・C14、B13、A12、H11、・・・C12、B11の順に、12個のセグメントコンダクタ35が接続されることで、
反時計回りに径方向内側から外側に巻回される。
【0042】
第3部分巻線43は、A26、H25、G26、F25、E26、D25、C26、B25、A24、H23、・・・C24、B23、A22、H21、・・・C22、B21の順に12個のセグメントコンダクタ35が接続されることで、
反時計回りに径方向内側から外側に巻回される。
【0043】
第4部分巻線44は、A11、B12、C11、D12、E11、F12、G11、H12、A13、B14、・・・G13、H14、A15、B16、・・・G15、H16の順に、12個のセグメントコンダクタ35が接続されることで、時計回りに径方向外側から内側に巻回される。
【0044】
第1部分巻線41の終端E1と、第2部分巻線42の始端S2とは、渡り線W11により接続される。第2部分巻線42の終端E2と、第3部分巻線43の始端S3とは、渡り線W12により接続される。第3部分巻線43の終端E3と、第4部分巻線44の始端S4とは、渡り線W13により接続される。
なお、各部分巻線41〜44の巻き始め箇所および巻き終わり箇所は、周方向にずれても差し支えない。後述の実施形態においても同様である。
【0045】
本実施形態では、第1部分巻線41および第4部分巻線44は、ともに径方向外側から内側へ
、時計回りに巻回される。そのため、スロット22内を径方向に二分割する仮想線を分割線Pとすると、U相巻線40の一端45が分割線Pよりも径方向外側である外周領域に配置され、他端46が分割線Pよりも径方向内側である内周領域に配置される。特に、本実施形態では、一端45がスロット22内の最外周側に配置され、他端46がスロット22内の最内周側に配置されている。
【0046】
ここで、両側駆動モードにおいて、
図12に示すスイッチング状態のときの電圧分布を
図16に示す。
図16においては、第1インバータ部70、第2インバータ部80、コンデンサ93、94および制御部95の記載を省略し、巻線30、930の各箇所における電位、および、巻線30、930が絶縁被膜を介して接触する箇所の電位を破線で示す。
【0047】
図16(b)に参考例として示すように、電力変換システム9は、バッテリ910および巻線930を備える。巻線930では、U相巻線940、V相巻線950およびW相巻線960の一側を接続して中性点970としている。また、電力変換システム9では、バッテリ910が巻線930の一方側に設けられる。ここで、電力変換システム9において、本実施形態の第1電圧V1と第2電圧V2との和に相当する電圧である和電圧Vt(参考例では600[V])を巻線930に印加する場合、相間電圧Viが和電圧Vtとなり、電力変換システム9における最大電圧が相間電圧Vi(参考例では600[V])となる。そのため、巻線930において、第1電圧V1と第2電圧V2との和に相当する和電圧Vtに加えて、サージ電圧分を考慮した絶縁被膜を設ける必要がある。
【0048】
一方、本実施形態の電力変換システム1では、巻線30の両側にインバータ部70、80、および、バッテリ91、92を設ける「2電源2インバータ」の構成としているため、
図16(b)に示す「1電源1インバータ」の構成と比較し、巻線30の耐圧を下げることができ、絶縁被膜を薄膜化することができる。
【0049】
本実施形態の電力変換システム1において、第1バッテリ91の負極側を電位0[V]とすると、
図12に示すスイッチング状態のときのDC成分の電圧分布は、
図16(a)に示す如くとなる。すなわち、第1バッテリ91と第2バッテリ92の電圧が等しい場合、他の2相とオンされる素子の上下が異なる1相であるU相において、U相巻線40の両端電圧Vb(400[V])が、相間電圧Vi(300[V])よりも大きく、システム内における最大電圧箇所となる。また、
図17に示すように、両端電圧Vbは、相間電圧Viよりもピーク値が大きい。
【0050】
他の2相とオンされる素子の上下が異なる1相の両端電圧Vbおよび相間電圧Viは、以下の式(1)、(2)で表される。
Vb=(V1+V2)×(2/3) ・・・(1)
Vi=(V1+V2)/2 ・・・(2)
したがって、第1電圧V1が第2電圧V2以上である前提とすると、第1電圧V1が第2電圧V2の2倍未満(V1<(2×V2))のとき、両側駆動した場合のシステム内における最大電圧箇所が、U相巻線40、V相巻線50またはW相巻線60の両端電圧Vbとなる。
【0051】
また
図16に示すように、各相において接触可能性のある箇所の電圧である相内電圧Vcは、式(3)で表され、本実施形態では、300[V]である。なお、式中のnは、各相巻線40、50、60の分割数である。
Vc=Vb×(n−1)/n ・・・(3)
【0052】
本実施形態では、両側駆動モードにおける最大電圧箇所となりうるU相巻線40の一端45と他端46、V相巻線50の一端55と他端56、および、W相巻線60の一端65と他端66とは、一方(本実施形態では一端45、55、65)が外周領域に配置され、他方(本実施形態では他端46、56、66)が内周領域に配置されるので、一端45と他端46、一端55と他端56、一端65と他端66とを非接触とすることができる。
【0053】
そのため、本実施形態では、一端45、55、65と他端46、56、66とを非接触とすることで、一端45、55、65と他端46、56、66とが接触する場合と比較し、モータジェネレータ5内における接触箇所の最大電圧を25%程度低減可能である。これにより、巻線30の絶縁被膜を薄膜化することができる。また、例えば、一端45、55、65、および、他端46、56、66をハウジング10の軸方向の端部からモータジェネレータ5の外部に取り出すことで、一端45、55、65と他端46、56、66との接触を確実に回避することができる。
【0054】
以上詳述したように、本実施形態のモータジェネレータ5は、ハウジング10と、シャフト15と、ロータ16と、ステータ20と、を備える。
シャフト15は、ハウジング10に回転可能に支持される。ロータ16は、周方向に配列された複数対の磁極を有し、シャフト15と一体に回転する。ステータ20は、ステータコア21、および、巻線30を有する。ステータコア21には、周方向に配列された複数のスロット22が形成される。巻線30は、ステータコア21に巻回される。
各相に対応する巻線30である各相巻線40、50、60の一端45、55、65は、スロット22を径方向に二分割する分割線Pよりも径方向外側である外周領域に配置され、他端46、56、66は、分割線Pよりも径方向内側である内周領域に配置される。
【0055】
例えば、一端45、55、65が第1インバータ部70を経由して第1バッテリ91と接続され、他端46、56、66が第2インバータ部80を経由して第2バッテリ92と接続される「2電源2インバータ」のシステムにおいて、第1バッテリ91および第2バッテリ92の高い方の電圧が低い方の電圧の2倍以下である場合、相間電圧Viよりも、各相巻線40、50、60の両端電圧Vbの方が大きくなり、両端電圧Vbがシステム内における最大電圧となる。
【0056】
本実施形態では、一端45、55、65を外周領域、他端46、56、66を内周領域に配置し、一端45、55、65と他端46、56、66とを非接触としている。そのため、例えば2電源2インバータのように両端電圧Vbがシステム内における最大電圧となるシステムにモータジェネレータ5を適用した場合、巻線30にて接触する箇所の最大電圧が低減される。これにより、巻線30の絶縁被膜の耐圧を低減することができるので、絶縁被膜を薄くすることで、モータジェネレータ5の体格を小型化することができる。
【0057】
本実施形態では、一端45、55、65は、スロット22の最外周側に配置され、他端46、56、66は、スロットの最内周側に配置される。これにより、一端45、55、65と、他端46、56、66とをより確実に非接触とすることができる。
巻線30は、それぞれ異なるスロット22に挿入される2つの挿入部36、および、挿入部36の間を連結するターン部38を有する複数のセグメントコンダクタ35が電気的に接続されて構成される。巻線30を複数のセグメントコンダクタ35を接続して構成することにより、モータジェネレータ5の性能を高めることができる。また、モータジェネレータ5の体格を小型化することができる。
【0058】
各相巻線40、50、60は、直列接続されたn(nは2以上の整数であって、本実施形態では4)個の部分巻線41〜44、51〜54、61〜64から構成される。
最も一端45側の部分巻線を第1部分巻線41、最も他端46側の部分巻線を第n部分巻線44とすると、第1部分巻線41および第n部分巻線44は、ともに、外周側から内周側へ巻回される。これにより、一端45を外周領域、他端46を内周領域に配置することができる。
また、第1部分巻線41と第4部分巻線44とは、異なるスロット22に巻回される。これにより、巻線30をセグメントコンダクタ35により構成した場合、一端45をスロット22の最外周側、他端46をスロット22の最内周側に配置することができる。
【0059】
本実施形態では、それぞれの部分巻線41〜44において、一端45側である前半部分の巻回方向と、他端46側である巻回方向とは、同じである。それぞれの部分巻線41〜44において、同方向に巻回することで、前半部分と後半部分とで巻回方向が異なる場合と比較し、渡り線を低減することができる。
V相、W相についても同様である。
【0060】
また、本実施形態では、モータジェネレータ5は、ロータ16およびステータ20を収容するハウジング10を備える。一端45、55、65および他端46、56、66は、ハウジング10の軸方向端部から取り出される。これにより、一端45、55、65と他端46、56、66とを接触させることなく、ハウジング10の外部へ取り出すことができる。
【0061】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態を
図18および
図19に基づいて説明する。
本実施形態は、第1実施形態と巻線30の渡り線が異なっているので、この点を中心に説明する。
【0062】
第1部分巻線41は、第1実施形態と同様、A21、B22、C21、D22、E21、F22、G21、H22、A23、B24、・・・G23、H24、A25、B26、・・・G25、H26の順に、12個のセグメントコンダクタ35が接続されることで
、時計回りに径方向外側から内側に巻回される。
【0063】
第2部分巻線42は、G16、F15、E16、D15、C16、B15、A16、H15、G14、F13、・・・A14、H13、G12、F11、・・・A12、H11の順に、12個のセグメントコンダクタ35が接続されることで、
反時計回りに径方向内側から外側に巻回される。
【0064】
第3部分巻線43は、G26、F25、E26、D25、C26、B25、A26、H25、G24、F23、・・・A24、H23、G22、F21、・・・A22、H21の順に12個のセグメントコンダクタ35が接続されることで、
反時計回りに径方向内側から外側に巻回される。
【0065】
第4部分巻線44は、第1実施形態と同様、A11、B12、C11、D12、E11、F12、G21、H12、A13、B14、・・・G13、H14、A15、B16、・・・G15、H16の順に、12個のセグメントコンダクタ35が接続されることで、時計回りに径方向外側から内側に巻回される。
【0066】
第1部分巻線41の終端E1と、第2部分巻線42の始端S2とは、渡り線W21により接続される。第2部分巻線42の終端E2と、第3部分巻線43の始端S3とは、渡り線W22により接続される。第3部分巻線43の終端E3と、第4部分巻線44の始端S4とは、渡り線W23により接続される。
【0067】
このように構成しても、上記実施形態と同様、第1部分巻線41および第4部分巻線44は、ともに、外周側から内周側へ巻回される。そのため、第1部分巻線41の一端45が外周領域に配置され、他端46が内周領域に配置される。また、本実施形態では、一端45がスロット22内の最外周側に配置され、他端46がスロット22内の最内周側に配置されている。
これにより、上記実施形態と同様の効果を奏する。
【0068】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態を
図20に基づいて説明する。
本実施形態は第1実施形態の変形例であり、部分巻線41〜44の配置の内周側と外周側とが第1実施形態と逆になっている。
第1部分巻線41は、A26、B25、C26、D25、E26、F25、G26、H25、A24、B23、・・・G24、H23、A22、B21、・・・・G22、H21の順に、12個のセグメントコンダクタ35が接続されることで、反時計回りに径方向内側から外側に巻回される。
【0069】
第2部分巻線42は、A11、H12、G11、F12、E11、D12、C11、B12、A13、H14、・・・C13、B14、A15、H16、・・・C15、B16の順に12個のセグメントコンダクタ35が接続されることで、時計回りに径方向
外側から
内側に巻回される。
【0070】
第3部分巻線43は、A21、H22、G21、F22、E21、D22、C21、B22、A23、H24、・・・C23、B24、A25、H26、・・・C25、B26の順に12個のセグメントコンダクタ35が接続されることで、時計回りに径方向
外側から
内側に巻回される。
【0071】
第4部分巻線44は、A16、B15、C16、D25、E26、F25、G26、H25、A14、B13、・・・G14、H13、A12、B11、・・・G12、H11の順に12個のセグメントコンダクタ35が接続されることで、反時計回りに径方向内側から外側に巻回される。
【0072】
第1部分巻線41の終端E1と、第2部分巻線42の始端S2とは、渡り線W31により接続される。第2部分巻線42の終端E2と、第3部分巻線43の始端S3とは、渡り線W32により接続される。第3部分巻線43の終端E3と第4部分巻線44の始端S4とは、渡り線W
33により接続される。
【0073】
本実施形態では、一端45、55、65が内周領域に配置され、他端46、56、66が外周領域に配置される。また、一端45、55、65がスロット22の最内周側に配置され、他端46、56、66がスロット22の最外周側に配置される。
また、第1部分巻線41および第4部分巻線44は、ともに、内周側から外周側へ巻回される。
このように構成しても、一端45、55、65と他端46、56、66とを非接触とすることができるので、上記実施形態と同様の効果を奏する。
【0074】
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態を
図21〜
図23に示す。
第4実施形態〜第7実施形態では、1つのスロット22には、8本の挿入部36が挿入可能に形成される。また、本実施形態では、部分巻線41〜44をそれぞれ4つのブロックに分ける。第1部分巻線41では、一端45側から、第1ブロック411、第2ブロック412、第3ブロック413、第4ブロック414とする。同様に、第2部分巻線42では、一端45側から、第1ブロック421、第2ブロック422、第3ブロック423、第4ブロック424とする。第3部分巻線43および第4部分巻線44についても同様とする。本実施形態では、第1ブロック411、421、および、第2ブロック412、422が「それぞれの部分巻線において、一端側である前半部分」に対応し、第3ブロック413、423、および、第4ブロック414、424が「それぞれの部分巻線において、他端側である後半部分」に対応する。
【0075】
図21中においては、第1部分巻線41の第1ブロック411を構成するセグメントコンダクタ35が挿入される箇所を「1−1」とし、第1部分巻線41の第2ブロック412を「1−2」、第2部分巻線42の第1ブロック421を「2−1」のように記載する。
図22および
図23は、ステータ20をステータコア21の第1端部211側から見た図であって、
図22は第1部分巻線41を示し、
図23は第2部分巻線42を示す。
図22および
図23において、それぞれ(a)が第1ブロック411、421、(b)が第2ブロック412、422、(c)が第3ブロック413、423、(d)が第4ブロック414、424を示す。後述の
図26についても同様とする。なお、
図22および
図23において、始端と終端とが近接している箇所については、始端または終端を示す三角印の記載を適宜省略した。
【0076】
図21に示すように、本実施形態では、外周領域に第1部分巻線41および第2部分巻線42を巻回し、内周領域に第3部分巻線43および第4部分巻線44を巻回する。
第1部分巻線41の第1ブロック411は、A21、B22、C21、D22、E21、F22、G21、H22の順に4個のセグメントコンダクタ35が接続される。
第1部分巻線41の第2ブロック412は、A11、B12、C11、D12、E11、F12、G11、H12の順に4個のセグメントコンダクタ35が接続される。
第1部分巻線41の第3ブロック413は、A23、B24、C23、D24、E23、F24、G23、H24の順に4個のセグメントコンダクタ35が接続される。
第1部分巻線41の第4ブロック414は、A13、B14、C13、D14、E13、F14、G13、H14の順に4つのセグメントコンダクタ35が挿入される。
【0077】
第1ブロック411の終端E11と、第2ブロック412の始端S12とは、渡り線W41により接続される。第2ブロック412の終端E12と、第3ブロック413の始端S13とは、渡り線W42により接続される。第3ブロック413の終端E13と、第4ブロック414の始端S14とは、渡り線W43により接続される。これにより、第1ブロック411、第2ブロック412、第3ブロック413、および、第4ブロック414が接続されて、外周側から分割線P側に反時計回りに巻回される第1部分巻線41を構成する。
また、第1部分巻線41の第4ブロック414の終端E14は、渡り線W44により、第2部分巻線42の第1ブロック421の始端S21と接続される。
【0078】
第2部分巻線42の第1ブロック421は、A14、H13、G14、F13、E14、D13、C14、B13の順に4個のセグメントコンダクタ35が接続される。
第2部分巻線42の第2ブロック422は、A24、H23、G24、F23、E24、D23、C24、B13の順に4個のセグメントコンダクタ35が接続される。
第2部分巻線42の第3ブロック423は、A12、H11、G12、F11、E12、D11、C12、B11の順に4個のセグメントコンダクタ35が接続される。
第2部分巻線42の第4ブロック424は、A22、H21、G22、F21、E12、D21、C22、B2
1の順に4個のセグメントコンダクタ35が接続される。
【0079】
第1ブロック421の終端E21と、第2ブロック422の始端S22とは、渡り線W51により接続される。第2ブロック422の終端E22と、第3ブロック4
23の始端S23とは、渡り線W52により接続される。第3ブロック4
23の終端E23と、第4ブロック424の始端S24とは、渡り線W53により接続される。これにより、第1ブロック421、第2ブロック422、第3ブロック423、および、第4ブロック424が接続されて、分割線P側から外周側に時計回りに巻回される第2部分巻線42を構成する。
【0080】
第2部分巻線42の第4ブロック424の終端E24は、渡り線W54により、第3部分巻線43の第1ブロック431の始端S31と接続される。
第3部分巻線43は、内周側から分割線P側に、第2部分巻線42と同様、時計回りに巻回される。
第4部分巻線44は、分割線P側から内周側に、第1部分巻線41と同様、反時計回りに巻回される。
【0081】
本実施形態では、U相巻線40は、直列接続されたn(nは2以上の偶数であって、本実施形態では4)個の部分巻線41〜44から構成され、最も一端45側の部分巻線を第1部分巻線41、最も他端46側の部分巻線を第4部分巻線とし、第1部分巻線から第(1/2)n部分巻線42を前半巻線、第{(1/2)n+1}部分巻線から第n部分巻線を後半巻線とすると、前半巻線が外周領域に巻回され、後半巻線が内周領域に巻回される。これにより、U相巻線40の一端45が外周領域に配置され、他端46が内周領域に配置される。
本実施形態では、第1部分巻線41および第2部分巻線42が「前半巻線」に対応し、第3部分巻線43および第4部分巻線44が「後半巻線」に対応する。
【0082】
より詳細には、外周領域において、第1部分巻線41が外周側から分割線P側へ反時計回りに巻回され、第2部分巻線42が分割線P側から外周側へ時計回りに巻回される。また、内周領域において、第3部分巻線43が内周側から分割線P側へ時計回りに巻回され、第4部分巻線44が分割線P側から内周側へ反時計回りに巻回される。これにより、一端45をスロット22の最外周側に配置可能であり、他端46をスロット22の最内周側に配置可能である。V相およびW相についても同様である。
このように構成しても、一端45、55、65と他端46、56、66とを非接触とすることができるので、上記実施形態と同様の効果を奏する。
【0083】
(第5実施形態)
本発明の第5実施形態を
図24に基づいて説明する。
本実施形態は、第4実施形態の変形例であり、部分巻線41〜44の配置が第4実施形態と逆になっている。
図24に示すように、本実施形態では、内周領域に第1部分巻線41および第2部分巻線42を巻回し、外周領域に第3部分巻線43および第4部分巻線44を巻回する。
【0084】
第1部分巻線41の第1ブロック411は、A28、B27、C28、D27、E28、F27、G28、H27の順に4つのセグメントコンダクタ35が接続される。
第1部分巻線41の第2ブロック412は、A18、B17、C18、D17、E18、F17、G18、H17の順に4つのセグメントコンダクタ35が接続される。
第1部分巻線41の第3ブロック413は、A26、B25、C26、D25、E26、F25、G26、H25の順に4つのセグメントコンダクタ35が接続される。
第1部分巻線41の第4ブロック414は、A16、B15、C16、D15、E16、F15、G16、H15の順に4つのセグメントコンダクタ35が接続される。
【0085】
第1ブロック411の終端E11と、第2ブロック412の始端S12とは、渡り線W61により接続される。第2ブロック412の終端E12と、第3ブロック413の始端S13とは、渡り線W62により接続される。第3ブロック413の終端E13と、第4ブロック414の始端S14とは、渡り線W63により接続される。これにより、第1ブロック411、第2ブロック412、第3ブロック413、および、第4ブロック414が接続されて、内周側から分割線P側に反時計回りに巻回される第1部分巻線41を構成する。
また、第1部分巻線41の第4ブロック414の終端E14は、渡り線W64により、第2部分巻線42の第1ブロック421の始端S21と接続される。
【0086】
第2部分巻線42の第1ブロック421は、A15、H16、G15、F16、E15、D16、C15、B16の順に4つのセグメントコンダクタ35が接続される。
第2部分巻線42の第2ブロック422は、A25、H26、G25、F26、E25、D26、C25、B26の順に4つのセグメントコンダクタ35が接続される。
第2部分巻線42の第3ブロック423は、A17、H18、G17、F18、E17、D18、C17、B18の順に4つのセグメントコンダクタ35が接続される。
第2部分巻線42の第4ブロック424は、A27、H28、G27、F28、E27、D28、C27、B28の順に4つのセグメントコンダクタ35が接続される。
【0087】
第1ブロック421の終端E21と、第2ブロック422の始端S22とは、渡り線W71により接続される。第2ブロック422の終端E22と、第3ブロック423の始端S23とは、渡り線W72により接続される。第3ブロック433の終端E433と、第4ブロック424の始端S24とは、渡り線W73により接続される。これにより、第1ブロック421、第2ブロック422、第3ブロック423、および、第4ブロック424が接続されて、分割線P側から内周側に時計回りに巻回される第2部分巻線42を構成する。
【0088】
第2部分巻線42の第4ブロック424の終端E24は、渡り線W74により、第3部分巻線43の第1ブロック431の始端S31と接続される。
第3部分巻線43は、外周側から分割線P側に、第2部分巻線42と同様、時計回りに巻回される。
第4部分巻線44は、分割線P側から内周側に、第1部分巻線41と同様、反時計回りに巻回される。
【0089】
本実施形態では、前半巻線が内周領域に配置され、後半巻線が外周領域に配置される。
より詳細には、内周領域において、第1部分巻線41が内周側から分割線P側へ反時計回りに巻回され、第2部分巻線42が分割線P側から外周側へ時計回りに巻回される。また、外周領域において、第3部分巻線43が外周側から分割線P側へ時計回りに巻回され、第4部分巻線44が分割線P側から外周側へ反時計回りに巻回される。これにより、一端45をスロット22の最内周側に配置可能であり、他端46をスロット22の最外周側に配置可能である。
このように構成しても、一端45、55、65と他端46、56、66とを非接触とすることができるので、上記実施形態と同様の効果を奏する。
【0090】
(第6実施形態)
本発明の第6実施形態を
図25および
図26に示す。
図25に示すように、本実施形態では、スロット22内において、外周側からの2層に第1部分巻線41を巻回し、次の2層に第2部分巻線42を巻回し、次の2層の第3部分巻線43を巻回し、内周側からの2層に第4部分巻線44を巻回する。すなわち、本実施形態では、第1部分巻線41および第2部分巻線42が外周領域に巻回され、第3部分巻線43および第4部分巻線44が内周領域に巻回される。
【0091】
第1部分巻線41の第1ブロック411は、A21、B22、C21、D22、E21、F22、G21、H22の順に、4つのセグメントコンダクタ35が反時計回りに接続される。
第1部分巻線41の第2ブロック412は、A11、B12、C11、D12、E11、F12、G11、H12の順に、4つのセグメントコンダクタ35が反時計回りに接続される。
【0092】
第1部分巻線41の第3ブロック413は、G22、F21、E22、D21、C22、B21、A22、H21の順に、4つのセグメントコンダクタ35が時計回りに接続される。
第1部分巻線41の第4ブロック414は、G12、F11、E12、D11、C12、B11、A12、H11の順に、4つのセグメントコンダクタ35が時計回りに接続される。
すなわち、本実施形態では、第1部分巻線41内において、前半部分である第1ブロック411および第2ブロック412と、後半部分である第3ブロック413および第4ブロック414とで、巻回方向が異なっている。
【0093】
第1ブロック411の終端E11と、第2ブロック412の始端S12とは、渡り線W81により接続される。第2ブロック412の終端E12と、第3ブロック413の始端S13とは、渡り線W82により接続される。第3ブロック413の終端E13と、第4ブロック414の始端S14とは、渡り線W83により接続される。
これにより、第1ブロック411、第2ブロック412、第3ブロック413、および、第4ブロック414が接続されて、外周側からの2層に巻回される第1部分巻線41を構成する。
【0094】
また、第1部分巻線41の第4ブロック414の終端E14は、渡り線W84により、第2部分巻線42の第1ブロック421の始端S21と接続される。
第2部分巻線42、第3部分巻線43、および、第4部分巻線44は、第1部分巻線41と同様、順に内周側となるように巻回される。
【0095】
本実施形態では、U相巻線40は、同一のスロット22において、外周側から、第1部分巻線41から第4部分巻線44となるように順に巻回される。これにより、一端45を外周領域に配置し、他端46が内周領域に配置することができる。
また、それぞれの部分巻線41〜44において、一端45側である前半部分の巻回方向と、他端46側である後半部分の巻回方向とは、異なる。
V相およびW相についても同様である。
このように構成しても、一端45、55、65と他端46、56、66とを非接触とすることができるので、上記実施形態と同様の効果を奏する。
【0096】
(第7実施形態)
本発明の第7実施形態を
図27に基づいて説明する。
本実施形態は、第6実施形態の変形例であり、内周側からの2層に第1部分巻線41を巻回し、次の2層に第2部分巻線42を巻回し、次の2層の第3部分巻線43を巻回し、外周側からの2層に第4部分巻線44を巻回する。すなわち、本実施形態では、第1部分巻線41および第2部分巻線42が内周領域に巻回され、第3部分巻線43および第4部分巻線44が外周領域に巻回される。
【0097】
第1部分巻線41の第1ブロック411は、A28、B27、C28、D27、E28、F27、G28、H27の順に、4つのセグメントコンダクタ35が反時計回りに巻回される。
第1部分巻線41の第2ブロック412は、A18、B17、C18、D17、E18、F17、G18、H17の順に、4つのセグメントコンダクタ35が反時計回りに巻回される。
【0098】
第1部分巻線41の第3ブロック413は、G27、F28、E27、D28、C27、B28、A27、H28の順に、4つのセグメントコンダクタ35が時計回りに巻回される。
第1部分巻線41の第4ブロック414は、G17、F18、E17、D18、C17、B18、A17、H18の順に、4つのセグメントコンダクタ35が時計回りに巻回される。
すなわち、本実施形態では、第6実施形態と同様、第1部分巻線41内において、前半部分である第1ブロック411および第2ブロック412と、後半部分である第3ブロック413および第4ブロック414とで、巻回方向が異なっている。
【0099】
第1ブロック411の終端E11と、第2ブロック412の始端S12とは、渡り線W91により接続される。第2ブロック412の終端E12と、第3ブロック413の始端S13とは、渡り線W92により接続される。第3ブロック413の終端E13と、第4ブロック414の始端S14とは、渡り線W93により接続される。なお、本実施形態では、第1部分巻線41の第1ブロック411の始端S11が一端45に対応する。
これにより、第1ブロック411、第2ブロック412、第3ブロック413、および、第4ブロック414が接続されて、内周側からの2層に巻回される第1部分巻線41を構成する。
【0100】
また、第1部分巻線41の第4ブロック414の終端E14は、渡り線W94により、第2部分巻線42の第1ブロック421の始端S21と接続される。
第2部分巻線42、第3部分巻線43、および、第4部分巻線44は、第1部分巻線41と同様、順に外周側となるように巻回される。
【0101】
本実施形態では、U相巻線40は、同一のスロット22において、内周側から、第1部分巻線41から第4部分巻線44となるように順に巻回される。これにより、一端45を外周領域に配置し、他端46が内周領域に配置することができる。
また、それぞれの部分巻線41〜44において、一端45側である前半部分の巻回方向と、他端46側である後半部分の巻回方向とは、異なる。
このように構成しても、一端45、55、65と他端46、56、66とを非接触とすることができるので、上記実施形態と同様の効果を奏する。
【0102】
(他の実施形態)
上記実施形態では、各相巻線は、4個の部分巻線から構成される。他の実施形態では、各相巻線を1つの巻線により構成してもよいし、複数の部分巻線から構成してもよい。
上記実施形態では、磁極数が8、スロット倍数が2であって、スロット数が48である。他の実施形態では、磁極数およびスロット倍数は、これに限らずいくつとしてもよい。また、スロット数は、磁極数およびスロット倍数に応じ、適宜設定可能である。また、上記実施形態では、1つのスロットに挿入されるセグメントコンダクタ数は6または8である。他の実施形態では、1つのスロットに挿入されるセグメントコンダクタ数は、6または8に限らず、いくつとしてもよい。また他の実施形態では、セグメントコンダクタに替えて、例えば一般的な断面が円形状である導線を巻回することで巻線を構成してもよい。
【0103】
第1実施形態〜第5実施形態では、第1部分巻線および第4部分巻線が反時計回りに巻回され、第2部分巻線および第3部分巻線が時計回りに巻回される。他の実施形態では、一端または他端の一方が外周領域に配置され、他方が内周領域に配置されていれば、各部分巻線の巻回方向はどのようであってもよい。
また、上記実施形態では、一端または他端の一方がスロットの最外周側に配置され、他方がスロットの最内周側に配置される。他の実施形態では、一端または他端の一方が外周領域であれば最外周側でなくてもよいし、他方が内周側であれば最内周側でなくてもよい。
上記実施形態では、一端および他端は、ハウジングの軸方向端部から取り出される。他の実施形態では、一端および他端の少なくとも一方は、ハウジングの軸方向端部以外の箇所からハウジングの外部に取り出してもよい。
【0104】
上記実施形態では、第1電力供給源の電圧と第2電力供給源の電圧とが等しい。他の実施形態では、第1電力供給源の電圧と第2電力供給源の電圧とが異なっていてもよい。なお、2電源2インバータの電力変換システムに適用する場合、第1電力供給源および第2電力供給源において、高い方の電圧が低い方の電圧の2倍以下であることが好ましい。
【0105】
上記実施形態では、第1電力供給源および第2電力供給源を1つのバッテリとして記載したが、複数の直流電源を並列あるいは直列に接続して構成してもよいし、図示しない昇圧コンバータ等を含んで構成してもよい。
上記実施形態では、第1電力供給源および第2電力供給源は、共にバッテリである。他の実施形態では、第1電力供給源または第2電力供給源の一方を電気二重層キャパシタやリチウムイオンキャパシタ等により構成してもよい。
【0106】
上記実施形態では、第1インバータ部および第2インバータ部は、PWM制御あるいは矩形波制御により制御される。他の実施形態では、第1インバータ部および第2インバータ部の制御方法は、どのようであってもよい。
上記実施形態では、回転電機は、一端が第1インバータ部を経由して第1バッテリに接続され、他端が第2インバータ部を経由して第2バッテリに接続される「2電源2インバータ」の電力変換システムに適用される。他の実施形態では、回転電機は、例えば1電源1インバータのシステム等、どのようなシステムに適用してもよい。
上記実施形態では、電力変換システムは、電動車両に適用される。他の実施形態では、電動車両の主機以外の車両補機や他の装置に電力変換システムを適用してもよい。
以上、本発明は、上記実施形態になんら限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施可能である。