特許第6416650号(P6416650)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6416650
(24)【登録日】2018年10月12日
(45)【発行日】2018年10月31日
(54)【発明の名称】定電圧回路及び発振装置
(51)【国際特許分類】
   G05F 3/24 20060101AFI20181022BHJP
   H03B 5/32 20060101ALI20181022BHJP
【FI】
   G05F3/24 B
   H03B5/32 J
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-22427(P2015-22427)
(22)【出願日】2015年2月6日
(65)【公開番号】特開2016-146050(P2016-146050A)
(43)【公開日】2016年8月12日
【審査請求日】2017年12月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】715010864
【氏名又は名称】エイブリック株式会社
(72)【発明者】
【氏名】村田 正哉
(72)【発明者】
【氏名】見谷 真
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 考太郎
【審査官】 赤穂 嘉紀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−078082(JP,A)
【文献】 特開平11−194844(JP,A)
【文献】 特開2009−093483(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05F 1/12−1/44
G05F 1/45−7/00
H03B 5/30−5/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水晶発振回路を備えた発振装置を駆動するための定電圧を出力する定電圧回路であって、
前記定電圧回路は、
定電流源のミラー電流により基準電圧を出力する基準電圧回路と、
前記基準電圧と前記定電圧に基づく帰還電圧を入力する差動増幅回路と、
前記差動増幅回路の出力電圧によって前記定電圧回路の出力端子に前記定電圧を出力する出力トランジスタと、
前記基準電圧回路の出力端子と前記出力トランジスタのゲートの間に設けられ、前記基準電圧を基にトランジスタのリーク電流を検出するリーク電流検出回路と、を備え、
前記リーク電流検出回路は、前記リーク電流が所定値を超えたことを検出すると、前記出力トランジスタのゲートとソース間電圧を高くする、
ことを特徴とする定電圧回路。
【請求項2】
前記リーク電流検出回路は、
リーク電流モニター用PMOSトランジスタ、第1のPMOSトランジスタ、第1のNMOSトランジスタ、第2のPMOSトランジスタ、第2のNMOSトランジスタ、第3のPMOSトランジスタと、を有し、
前記リーク電流モニター用PMOSトランジスタは、ゲートとソースが接地され、ドレインは前記第1のPMOSトランジスタのソースに接続され、
前記第1のPMOSトランジスタは、ゲートが前記基準電圧出力に接続され、ドレインは前記第1のNMOSトランジスタのドレインに接続され、
前記第1のNMOSトランジスタは、ゲートが前記基準電圧出力に接続され、ソースは電源電圧に接続され、
前記第2のPMOSトランジスタは、ゲートが前記基準電圧出力に接続され、ソースは接地され、ドレインは前記第2のNMOSトランジスタのドレインに接続され、
前記第2のNMOSトランジスタは、ゲートが前記第1のPMOSトランジスタ及び前記第1のNMOSトランジスタのドレインに接続され、ソースは電源電圧に接続され、
前記第3のPMOSトランジスタは、ゲートが前記第2のPMOSトランジスタ及び前記第2のNMOSトランジスタのドレインに接続され、ソースは接地され、ドレインは前記出力トランジスタのゲートに接続されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の定電圧回路。
【請求項3】
水晶発振回路を備えた発振装置を駆動するための定電圧を出力する定電圧回路であって、
前記定電圧回路は、
定電流源のミラー電流により基準電圧を出力する基準電圧回路と、
前記基準電圧と前記定電圧に基づく帰還電圧を入力する差動増幅回路と、
前記差動増幅回路の出力電圧によって前記定電圧回路の出力端子に前記定電圧を出力する出力トランジスタと、
前記定電流源の出力端子と前記出力トランジスタのゲートの間に設けられ、前記定電流源の出力端子の電圧を基にトランジスタのリーク電流を検出するリーク電流検出回路を更に備え、
前記リーク電流検出回路は、前記リーク電流が所定値を超えたことを検出すると、前記出力トランジスタのゲートとソース間電圧を高くさせる、
ことを特徴とする定電圧回路。
【請求項4】
前記リーク電流検出回路は、
リーク電流モニター用NMOSトランジスタ、第3のNMOSトランジスタ、第4のPMOSトランジスタ、第4のNMOSトランジスタ、第5のPMOSトランジスタ、第5のNMOSトランジスタ、第6のPMOSトランジスタと、第7のPMOSトランジスタと、を有し、
前記リーク電流モニター用NMOSトランジスタは、ゲートとソースが電源電圧に接続され、ドレインは前記第3のNMOSトランジスタのソースに接続され、
前記第3のNMOSトランジスタは、ゲートが前記定電流源のソースに接続され、ドレインは前記第4のPMOSトランジスタのドレインに接続され、
前記第4のPMOSトランジスタは、ゲートが前記定電流源のソースに接続され、ソースは接地され、
前記第4のNMOSトランジスタは、ゲートが前記定電流源のソースに接続され、ソースは電源電圧に接続され、ドレインは前記第5のPMOSトランジスタのドレインに接続され、
前記第5のPMOSトランジスタは、ゲートが前記第3のNMOSトランジスタ及び前記第4のPMOSトランジスタのドレインに接続され、ソースは接地され、
前記第5のNMOSトランジスタは、ゲートが前記第4のNMOSトランジスタ及び前記第5のPMOSトランジスタのドレインに接続され、ソースは電源電圧に接続され、ドレインは前記第6のPMOSトランジスタのドレインに接続され、
前記第6のPMOSトランジスタは、ゲートが前記第4のNMOSトランジスタ及び前記第5のPMOSトランジスタのドレインに接続され、ソースは接地され、
前記第7のPMOSトランジスタは、ゲートが前記第5のNMOSトランジスタ及び前記第6のPMOSトランジスタのドレインに接続され、ソースは接地され、ドレインは前記出力トランジスタのゲートに接続されている、
ことを特徴とする請求項3に記載の定電圧回路。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか記載の定電圧回路と、
前記定電圧回路の電圧で駆動される発振回路と、
を備えたことを特徴とする発振装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水晶発振回路を備えた発振装置に関し、より詳しくは低電源電圧時においてリーク電流を検出して安定した電源電圧レベルの電圧出力を可能にする定電圧回路に関する。
【背景技術】
【0002】
図5は、時計や電子機器などに広く用いられる従来の発振装置100の構成図である。従来の発振装置100は、入力電圧から一定の出力電圧VREGを生成する定電圧回路10と、生成された定電圧VREGにより水晶振動子XTALを発振する水晶発振回路20と、を備えている。なお、この発振装置100は、VDDを接地電位とし、VSSを電源電圧としている。
【0003】
発振装置100は、消費電流を抑制するために、水晶発振回路20を駆動するための電圧を極力小さくすることが重要である。そのため、ある一定の電源電圧以上においても一定の定電圧VREGを出力する定電圧回路10が設けられている。一方、水晶発振回路20は、水晶振動子XTALの発振特性、発振インバータ、負荷容量などにより決まる発振停止電圧VDOSを有している。従って、定電圧回路10は、定電圧VREGの絶対値|VREG|を発振停止電圧の絶対値|VDOS|よりも高くする必要がある。
【0004】
図6は、従来の発振装置100の定電圧回路10を示す回路図である。定電圧回路10は、基準電圧回路101と、差動増幅回路102と、出力回路103と、を備える。
基準電圧回路101は、PMOSトランジスタMP1に定電流源デプレッション型NMOSトランジスタMD1から定電流IREFが流れ、基準電圧VREFを生成する。差動増幅回路102は、反転入力端子に基準電圧VREFが入力され、非反転入力端子に帰還電圧FBが入力される。差動増幅回路102は、基準電圧VREFと帰還電圧FBが等しくなるように、出力端子NO2に接続された出力トランジスタMN5のゲート電圧を制御する。従って、定電圧回路10の定電圧出力の絶対値|VREG|は、基準電圧の絶対値|VREF|とNMOSトランジスタMN6のゲートとソース間電圧Vgsを加えた電圧になる。
【0005】
従来の定電圧回路10の出力電圧VREGは、低電源電圧時において、出力トランジスタMN5のゲートに接地電位VDDレベルの電圧が伝わることで、電源電圧VSSと等しくなる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−312320号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、高温時や製造ばらつきによりMOSトランジスタの閾値電圧が所定より低い場合においては、MOSトランジスタのリーク電流が増大すると、PMOSトランジスタMP1のドレインとソース間電圧Vdsが小さくなり、PMOSトランジスタMP3のゲートとソース間電圧Vgsが確保できなくなる。そして、出力トランジスタMN5のゲートに十分に接地電位VDDを伝えることができなかった場合や、NMOSトランジスタMN3がリーク電流を流すことにより、出力トランジスタMN5のゲートに十分に接地電位VDDを伝えることができなかった場合、出力トランジスタMN5のゲートとソース間電圧Vgsが確保できなくなりOFFしてくる。従って、定電圧の絶対値|VREG|と電源電圧の絶対値|VSS|の関係は、|VREG|=|VSS|とならなくなり、|VREG|<|VSS|となってしまい、|VREG|が発振停止電圧の絶対値|VDOS|を下回ると、水晶発振回路20が動作できなくなる。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされ、リーク電流の影響を受けず、低電源電圧時において安定した電源電圧レベルの電圧出力を可能にする定電圧回路及びそれを用いた水晶発振回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記課題を解決するため、定電圧回路を以下のような構成とした。
基準電圧と帰還電圧を入力する差動増幅回路と、差動増幅回路の出力電圧によって定電圧回路の出力端子に定電圧を出力する出力トランジスタと、トランジスタのリーク電流を検出するリーク電流検出回路と、を備え、リーク電流検出回路は、リーク電流が所定値を超えたことを検出すると、出力トランジスタのゲートとソース間電圧を高くする構成とした定電圧回路。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、定電圧回路によれば、トランジスタのリーク電流が所定値を超えた場合に、リーク電流検出回路が出力トランジスタのゲートにオンするのに十分な電圧を印加することで、安定した電源電圧レベルの電圧を出力できる。特に、消費電流低減のために定電圧出力を小さくすることを目的としてMOSトランジスタの閾値電圧を低くしたプロセスや、ICのチップ面積を小さくするためにMOSトランジスタのチャネル長を短くした発振回路において効果的である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第一の実施形態の定電圧回路を示す回路図である。
図2】第一の実施形態のリーク電流検出回路を示す回路図である。
図3】第二の実施形態の定電圧回路の内部構成を示す回路図である。
図4】第二の実施形態のリーク電流検出回路を示す回路図である。
図5】本発明の定電圧回路が用いられる発振装置を示す概略図である。
図6】従来の発振装置の定電圧回路を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、第一の実施形態の定電圧回路10を示す回路図である。定電圧回路10は、基準電圧回路101と、差動増幅回路102と、出力回路103と、リーク電流検出回路30と、を備える。
【0013】
基準電圧回路101は、デプレッション型NMOSトランジスタMD1と、NMOSトランジスタMN1とMN2、PMOSトランジスタMP1で構成される。デプレッション型NMOSトランジスタMD1は、定電流源として動作する。NMOSトランジスタMN1とNMOSトランジスタMN2は、カレントミラー接続され、NMOSトランジスタMN2にも定電流IREFが流れる。PMOSトランジスタMP1は、ゲートとドレインが接続され、ソースが接地される。従って、基準電圧回路101は、PMOSトランジスタMP1に定電流源デプレッション型NMOSトランジスタMD1から定電流IREFが流れ、基準電圧VREFを生成する。
【0014】
差動増幅回路102は、PMOSトランジスタMP2と、差動対を構成するPMOSトランジスタMP3とMP4、カレントミラーを構成するNMOSトランジスタMN3とMN4から構成される。PMOSトランジスタMP1とカレントミラーを構成するPMOSトランジスタMP2には、定電流IREFが流れ動作電流となっている。
【0015】
出力回路103は、PMOSトランジスタMP5と、出力トランジスタMN5とMN6から構成される。出力トランジスタMN5は、ゲートが差動増幅回路102の出力N03であるPMOSトランジスタMP3のドレインに接続され、ソースが電源電圧VSSに接続され、ドレインが定電圧回路10の出力VREGに接続される。NMOSトランジスタMN6は、ゲートが自身のドレインに接続されて差動増幅回路102の非反転入力端子であるPMOSトランジスタMP4に入力され、ソースが定電圧回路10の出力VREGに接続される。PMOSトランジスタMP5は、ゲートがPMOSトランジスタMP1のゲート及びドレインに接続され、ソースは接地される。PMOSトランジスタMP1とカレントミラーを構成するPMOSトランジスタMP5には、定電流IREFが流れる。
【0016】
差動増幅回路102の差動対の反転入力端子であるPMOSトランジスタMP3のゲートに基準電圧VREFが入力され、非反転入力端子であるPMOSトランジスタMP4のゲートにPMOSトランジスタMP5のドレイン電圧、即ち帰還電圧FBが入力される。差動増幅回路102の出力N03が出力トランジスタMN5のゲートに入力されているので、最終的に基準電圧VREFと帰還電圧FBが等しくなるように、出力トランジスタMN5のゲート電位N03を制御する。従って、定電圧回路10の定電圧出力の絶対値|VREG|は、基準電圧の絶対値|VREF|とNMOSトランジスタMN6のゲートとソース間電圧Vgsを加えた電圧になる。つまり、|VREG|=|VREF|+Vgs=α|Vtp|+βVtnで表される。VtpはPMOSトランジスタの閾値電圧、VtnはNMOSトランジスタの閾値電圧、α、βは所定の定数を表す。一方、リーク電流が流れない通常状態での低電源電圧時において、PMOSトランジスタMP2とMP3は十分ゲートとソース間電圧Vgsを確保できてONすることにより、出力トランジスタMN5のゲート電位は接地電位VDDとなり、出力トランジスタMN5のゲートとソース間電圧Vgsを確保できてONできるため、|VREG|=|VSS|となる。
【0017】
リーク電流検出回路30は、基準電圧VREFと差動増幅回路102の出力N03の間に接続される。図2は、リーク電流検出回路30を示す回路図である。
リーク電流検出回路30は、リーク電流モニター用PMOSトランジスタMPL1、PMOSトランジスタMP6とMP7とMP8、NMOSトランジスタMN7とMN8で構成される。リーク電流モニター用PMOSトランジスタMPL1は、ゲートとソースが接地され、ドレインはPMOSトランジスタMP8のソースに接続される。PMOSトランジスタMP8は、ゲートが基準電圧VREFに接続され、ドレインはNMOSトランジスタMN8のドレインに接続される。NMOSトランジスタMN8は、ゲートが基準電圧VREFに接続され、ソースは電源電圧VSSに接続される。PMOSトランジスタMP7は、ゲートが基準電圧VREFに接続され、ソースは接地され、ドレインはNMOSトランジスタMN7のドレインに接続される。NMOSトランジスタMN7は、ゲートがPMOSトランジスタMP8及びNMOSトランジスタMN8のドレインに接続され、ソースは電源電圧VSSに接続される。PMOSトランジスタMP6は、ゲートがPMOSトランジスタMP7及びNMOSトランジスタMN7のドレインに接続され、ソースは接地され、ドレインは定電圧回路10の出力トランジスタMN5のゲートN03に接続されている。
【0018】
第一の実施形態の発振装置100の定電圧回路10の動作について説明する。
リーク電流検出回路30のリーク電流モニター用PMOSトランジスタMPL1は、ゲートとソースが接地されているので常時OFFしている。また、リーク電流モニター用PMOSトランジスタMPL1は、所定のリーク電流量に合わせて素子サイズを適切に調整する。所定のリーク電流量とは、高温での動作環境や、製造ばらつきによりMOSトランジスタの閾値電圧が所定より低い場合において、低電源電圧時に定電圧回路10のPMOSトランジスタMP1のドレインとソース間電圧Vdsが小さくなり、PMOSトランジスタMP3のゲートとソース間電圧Vgsが確保できなくなる条件を指す。
【0019】
所定のリーク電流を超えた場合、リーク電流モニター用PMOSトランジスタMPL1にはリーク電流が流れる。PMOSトランジスタMP8は、ゲート電位が基準電圧VREFなので、リーク電流モニター用PMOSトランジスタMPL1がリーク電流を流したことにより、リーク電流か定電流IREFのどちらか低い方の電流を流すことができる。
【0020】
一方、NMOSトランジスタMN8は、PMOSトランジスタMP8と同様にゲート電位が基準電圧VREFで、ソース電位が電源電圧VSSである。つまり、PMOSトランジスタMP8とNMOSトランジスタMN8は、共にONするので、電流駆動能力の高い側のトランジスタが勝り、次段のNMOSトランジスタMN7のゲートに伝える。低電源電圧時においては、NMOSトランジスタMN8のゲートとソース間電圧Vgsが十分に確保しづらくなるため、PMOSトランジスタMP8の電流駆動能力が勝ることになり、次段のNMOSトランジスタMN7のゲートには接地電位VDDを伝える。
【0021】
一方、PMOSトランジスタMP7は、ゲート電位が基準電圧VREFで、ソース電位が接地電位VDDなので、定電流IREFを流す。つまり、PMOSトランジスタMP7とNMOSトランジスタMN7は、共にONしているが、低電源電圧時においては、NMOSトランジスタMN7がPMOSトランジスタMP7より電流駆動能力が高くなるように素子サイズを調整させることで、次段のPMOSトランジスタMP6のゲート電位には電源電圧VSSを伝える。
【0022】
従って、低電源電圧時において所定のリーク電流を超えた場合、PMOSトランジスタMP6がONすることになり、出力トランジスタMN5のゲート電位N03は接地電位VDDとなり、出力トランジスタMN5のゲートとソース間電圧Vgsを確保できてONできるため、|VREG|=|VSS|となる。
【0023】
所定のリーク電流が流れない場合、リーク電流モニター用PMOSトランジスタMPL1がOFFなので、PMOSトランジスタMP8がONしていても電流を流すことができない。NMOSトランジスタMN8は、ソース電位が電源電圧VSSなので、ONすることで次段のNMOSトランジスタMN7のゲートには電源電圧VSSを伝える。次に、NMOSトランジスタMN7はゲート電位が電源電圧VSSなのでOFFする。PMOSトランジスタMP7は、ゲート電位が基準電圧VREFで、ソース電位が接地電位VDDなので、ONするので、次段のPMOSトランジスタMP6のゲート電位には接地電位VDDを伝える。
【0024】
従って、所定のリーク電流を流さない場合、PMOSトランジスタMP6がOFFすることになり、リーク電流検出回路30は非動作となり、定電圧回路10の動作に全く影響を及ぼさない。またリーク電流検出回路30は、非動作時に電流を流す経路が無くなるので、本発明における定電圧回路10の消費電流は従来の定電圧回路10と比較して全く増えずに実現している。
【0025】
次に、本発明の第二の実施形態の定電圧回路10について説明する。
図3は、第二の実施形態の定電圧回路10を示す回路図である。定電圧回路10は、基準電圧回路101と、差動増幅回路102と、出力回路103と、リーク電流検出回路40と、を備える。
【0026】
リーク電流検出回路40は、定電流源を構成するデプレッション型NMOSトランジスタMD1のソース電位である基準電圧N01と差動増幅回路102の出力N03の間に接続される。図4は、リーク電流検出回路40を示す回路図である。
【0027】
リーク電流検出回路40は、リーク電流モニター用NMOSトランジスタMNL1、PMOSトランジスタMP12とMP9とMP10とMP11、NMOSトランジスタMN9とMN10とMN11で構成される。リーク電流モニター用NMOSトランジスタMNL1は、ゲートとソースが電源電圧VSSに接続され、ドレインはNMOSトランジスタMN11のソースに接続される。NMOSトランジスタMN11は、ゲートが基準電圧N01に接続され、ドレインはPMOSトランジスタMP11のドレインに接続される。PMOSトランジスタMP11はゲートが基準電圧N01に接続され、ソースは接地される。NMOSトランジスタMN10は、ゲートが基準電圧N01に接続され、ソースは電源電圧VSSに接続され、ドレインはPMOSトランジスタMP10のドレインに接続される。PMOSトランジスタMP10は、ゲートがPMOSトランジスタMP11及びNMOSトランジスタMN11のドレインに接続され、ソースは接地される。NMOSトランジスタMN9は、ゲートがPMOSトランジスタMP10及びNMOSトランジスタMN10のドレインに接続され、ソースは電源電圧VSSに接続され、ドレインはPMOSトランジスタMP9のドレインに接続される。PMOSトランジスタMP9は、ゲートがPMOSトランジスタMP10及びNMOSトランジスタMN10のドレインに接続され、ソースは接地される。PMOSトランジスタMP12は、ゲートがPMOSトランジスタMP9及びNMOSトランジスタMN9のドレインに接続され、ソースは接地され、ドレインは定電圧回路10の出力トランジスタMN5のゲートN03に接続されている。
【0028】
第二の実施形態の発振装置100の定電圧回路10の動作について説明する。
リーク電流検出回路40のリーク電流モニター用NMOSトランジスタMNL1は、ゲートとソースが電源電圧VSSに接続されているので常時OFFしている。またリーク電流モニター用NMOSトランジスタMNL1は、所定のリーク電流量に合わせて素子サイズを適切に調整する。所定のリーク電流量とは、高温での動作環境や、製造ばらつきによりMOSトランジスタの閾値電圧が所定より低い場合において、低電源電圧時に定電圧回路10のNMOSトランジスタMN3がリーク電流を流すことにより、出力トランジスタMN5のゲート電位が電源電圧VSS側に引っ張られる条件を指す。
【0029】
所定のリーク電流を超えた場合、リーク電流モニター用NMOSトランジスタMNL1にはリーク電流が流れる。NMOSトランジスタMN11は、ゲート電位が基準電圧N01なので、リーク電流モニター用NMOSトランジスタMNL1がリーク電流を流したことにより、リーク電流か定電流IREFのどちらか低い方の電流を流すことができる。
【0030】
一方、PMOSトランジスタMP11は、NMOSトランジスタMN11と同様にゲート電位が基準電圧N01で、ソース電位が接地電位VDDである。つまり、NMOSトランジスタMN11とPMOSトランジスタMP11は、共にONするので、電流駆動能力の高い側のトランジスタが勝り、次段のPMOSトランジスタMP10のゲートに伝える。低電源電圧時においては、PMOSトランジスタMP11のゲートとソース間電圧Vgsが十分に確保しづらくなるため、NMOSトランジスタMN11の電流駆動能力が勝ることになり、次段のPMOSトランジスタMP10のゲートには電源電圧VSSを伝える。
【0031】
一方、NMOSトランジスタMN10は、ゲート電位が基準電圧N01で、ソース電位が電源電圧VSSなので、定電流IREFを流す。つまり、NMOSトランジスタMN10とPMOSトランジスタMP10は、共にONしているが、低電源電圧時においては、PMOSトランジスタMP10がNMOSトランジスタMN10より電流駆動能力が高くなるように素子サイズを調整させることで、次段のPMOSトランジスタMP9とNMOSトランジスタMN9のゲート電位には接地電位VDDを伝える。そして、NMOSトランジスタMN9がONするので、次段のPMOSトランジスタMP12のゲート電位には電源電圧VSSを伝える。
【0032】
従って、低電源電圧時において所定のリーク電流を超えた場合、PMOSトランジスタMP12がONすることになり、出力トランジスタMN5のゲート電位N03は接地電位VDDとなり、出力トランジスタMN5のゲートとソース間電圧Vgsを確保できてONできるため、|VREG|=|VSS|となる。
【0033】
所定のリーク電流を流さない場合、リーク電流モニター用NMOSトランジスタMNL1がOFFなので、NMOSトランジスタMN11がONしていても電流を流すことができない。PMOSトランジスタMP11は、ソース電位が接地電位VDDなので、ONすることで次段のPMOSトランジスタMP10のゲート電位には接地電位VDDを伝える。次に、PMOSトランジスタMP10のゲート電位は接地電位VDDなのでOFFする。NMOSトランジスタMN10は、ゲート電位が基準電圧N01で、ソース電位が電源電圧VSSなので、ONするので、次段のPMOSトランジスタMP9とNMOSトランジスタMN9のゲート電位には電源電圧VSSを伝える。そして、PMOSトランジスタMP9がONするので、次段のPMOSトランジスタMP12のゲート電位には接地電位VDDを伝える。
【0034】
従って、所定のリーク電流を流さない場合、PMOSトランジスタMP12がOFFすることになり、リーク電流検出回路40は非動作となり、定電圧回路10の動作に全く影響を及ぼさない。またリーク電流検出回路40は、非動作時に電流を流す経路が無くなるので、本発明における定電圧回路10の消費電流は従来の定電圧回路10と比較して全く増えずに実現している。
【0035】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態または発振装置に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において種々の態様での実施が可能である。
【符号の説明】
【0036】
100 発振装置
10 定電圧回路
20 水晶発振回路
30、40 リーク電流検出回路
101 基準電圧回路
102 差動増幅回路
103 出力回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6