特許第6416900号(P6416900)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6416900LEDドライバにおいて補助電力を提供するための方法および装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6416900
(24)【登録日】2018年10月12日
(45)【発行日】2018年10月31日
(54)【発明の名称】LEDドライバにおいて補助電力を提供するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20181022BHJP
   H01L 33/00 20100101ALI20181022BHJP
   H05B 37/02 20060101ALI20181022BHJP
【FI】
   H02M3/155 X
   H01L33/00 J
   H05B37/02 J
【請求項の数】20
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-528001(P2016-528001)
(86)(22)【出願日】2014年6月20日
(65)【公表番号】特表2016-532422(P2016-532422A)
(43)【公表日】2016年10月13日
(86)【国際出願番号】US2014043359
(87)【国際公開番号】WO2015009403
(87)【国際公開日】20150122
【審査請求日】2017年6月9日
(31)【優先権主張番号】13/943,235
(32)【優先日】2013年7月16日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507114761
【氏名又は名称】ジーイー・ライティング・ソルーションズ,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100137545
【弁理士】
【氏名又は名称】荒川 聡志
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(72)【発明者】
【氏名】ブルナダ,ヨシップ
【審査官】 遠藤 尊志
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−532092(JP,A)
【文献】 特開2006−340471(JP,A)
【文献】 特開2011−150936(JP,A)
【文献】 特開2006−050894(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/00−3/44
H01L 33/00
H05B 37/00−39/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
DC電流ドライバであって、
入力電力(Vin)に基づいて、DC供給電流を供給し、DCリターン電流を受け取るように構成されたDC電流駆動回路(100)と、
前記入力電力(Vin)に基づいて、制御電圧(Vcc)を生成するチャージポンプ回路(120)と、
前記制御電圧(Vcc)を受け取り、切替制御信号(218)を生成する補助電力制御回路(220)と、
前記DCリターン電流が流れる経路に直列に設けら、前記切替制御信号(218)に基づいて開閉するスイッチ(214)と、
前記スイッチ(214)と並列に結合され、補助電圧を供給するように構成された補助電源(222)と、を含み、
前記スイッチ(214)を開くことにより、前記補助電源(222)を通るように前記DCリターン電流を迂回させ、前記スイッチ(214)を閉じることにより、前記DCリターン電流が前記補助電源(222)をバイパスするようにするドライバ。
【請求項2】
前記補助電源(222)は、前記補助電圧に結合された制御回路(220)を含み、前記制御回路は、前記スイッチ(214)を開閉して、前記補助電圧を所望のレベルに維持するように構成され
前記制御回路は、前記補助電圧をほぼ一定のレベルに維持するように構成される、請求項に記載のドライバ。
【請求項3】
前記ドライバの起動後、前記チャージポンプ回路(120)が前記制御電圧(Vcc)の供給を開始するまでのこの起動段階の間に、前記入力電力(Vin)に基づいて前記制御電圧(Vcc)を供給する起動回路(122)を含む、請求項1または2に記載のドライバ。
【請求項4】
前記補助電源(222)は、前記迂回したDCリターン電流を受け取るように構成されたキャパシタンスを含み、前記キャパシタンスの電圧は、前記補助電圧に比例するように維持され
前記補助電源(222)は、前記キャパシタンスと直列に接続されたダイオードを含み、
前記ダイオードは、前記スイッチ(214)が開いている時には、前記DCリターン電流が前記キャパシタンスを充電することを可能にし、前記スイッチ(214)が閉じている時には、前記キャパシタンスが前記スイッチ(214)を通して放電することを防止するように構成される、請求項1乃至3のいずれかに記載のドライバ。
【請求項5】
前記補助電源(222)は、前記迂回したDCリターン電流を受け取るように構成されたキャパシタンスを含み、
前記キャパシタンスは、
比較的大容量の電解キャパシタ(C101)と、
前記電解キャパシタ(C101)と並列に接続された比較的低容量のフィルタキャパシタ(C103)と、
を含む、請求項1乃至4のいずれかに記載のドライバ。
【請求項6】
前記DC電流駆動回路(100)は、前記DC供給電流をほぼ一定のレベルに維持するように構成された昇圧型スイッチングレギュレータを含む、請求項1乃至5のいずれかに記載のドライバ。
【請求項7】
前記DC供給電流は、LED供給電流を含み、前記DCリターン電流は、LEDリターン電流を含む、請求項1乃至6のいずれかに記載のドライバ。
【請求項8】
前記スイッチ(214)と直列に結合され、前記DCリターン電流の量に関係する電流検出電圧を提供するように構成された電流検出回路(108)をさらに含む、請求項1乃至7のいずれかに記載のドライバ。
【請求項9】
LED照明装置であって、
1つまたは複数の発光ダイオードを含むLEDランプ(204)と、
前記LEDランプ(204)に結合され、入力電力(Vin)に基づいて、前記LEDランプ(204)にLED供給電流を提供し、前記LEDランプ(204)からLEDリターン電流を受け取るように構成された駆動回路(100)と、
前記入力電力(Vin)に基づいて、制御電圧(Vcc)を生成するチャージポンプ回路(120)と、
前記制御電圧(Vcc)を受け取り、切替制御信号(218)を生成する補助電力制御回路(220)と、
前記LEDリターン電流が流れる経路に直列に設けら、前記切替制御信号(218)に基づいて開閉するスイッチ(214)と、
前記LEDリターン電流を受け取り、補助電圧を生成するように構成された補助電源(222)と、を含み、
前記スイッチ(214)を開くことにより、前記LEDリターン電流が前記補助電源(222)を流れるようにし、前記スイッチ(214)を閉じることにより、前記LEDリターン電流が前記補助電源(222)をバイパスするようにする装置。
【請求項10】
前記LEDランプ(204)は、1つまたは複数のLED素子を含む、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記補助電源(222)に電気的に結合された冷却装置を含む、請求項9または10に記載の装置。
【請求項12】
前記冷却装置は、シンセティックジェット冷却装置である、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記補助電源(222)は、前記補助電圧に結合された制御回路(220、306)を含み、前記制御回路は、前記スイッチ(214)を開閉して、前記補助電圧を所望のレベルに維持するように構成される、請求項9乃至12のいずれかに記載の装置。
【請求項14】
前記駆動回路(100)は、昇圧型スイッチングレギュレータを含む、請求項9乃至13のいずれかに記載の装置。
【請求項15】
DC電流ドライバにおいて補助電圧を提供するための方法(500)であって、前記方法(500)は、
前記DC電流ドライバにより入力電力(Vin)に基づいて、DC供給電流を生成するステップ(502)と、
前記入力電力(Vin)に基づいて、チャージポンプ回路(120)が制御電圧(Vcc)を生成するステップと、
前記制御電圧(Vcc)を受け取り、補助電力制御回路(220)が切替制御信号(218)を生成するステップと、
前記DC電流ドライバによりDCリターン電流を受け取るステップと、
前記DCリターン電流が補助電源回路(222、304)を通って迂回するように、前記DCリターン電流が流れる経路に直列に設けらるスイッチ(214)を前記切替制御信号(218)に基づいて開くステップ(508)と、
前記DCリターン電流が前記補助電源回路(222、304)をバイパスするように、前記スイッチ(214)を前記切替制御信号(218)に基づいて閉じるステップ(510)と、
前記補助電源回路を用いて前記DCリターン電流から補助電圧を生成するステップ(512)と、を含む方法(500)。
【請求項16】
前記補助圧が前記スイッチ(214)を通って放電することを防止するためにダイオードが使用される、請求項15に記載の方法(500)。
【請求項17】
前記補助電圧をモニターし、前記補助電圧をほぼ一定のレベルに維持するように前記スイッチ(214)を開閉するステップをさらに含む、請求項15または16に記載の方法(500)。
【請求項18】
LEDランプ(204)に前記DC供給電流を提供し、前記LEDランプ(204)から前記DCリターン電流を受け取るステップを含む、請求項15乃至17のいずれかに記載の方法(500)。
【請求項19】
前記DC供給電流を生成するステップは、前記DC供給電流を生成するために昇圧型スイッチングレギュレータを用いるステップを含み、前記DCリターン電流を受け取るステップは、前記DCリターン電流を受け取るために昇圧型スイッチングレギュレータを用いるステップを含む、請求項15乃至18のいずれかに記載の方法(500)。
【請求項20】
前記DCリターン電流を受け取るステップは、電流検出回路(108)を用いて前記DCリターン電流の量をモニターし、前記DC供給電流がほぼ一定のレベルに維持されるように、前記DCリターン電流のモニターされた量に少なくとも部分的に基づいて、前記昇圧型スイッチングレギュレータを動作させるステップを含む、請求項19に記載の方法(500)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の態様は、一般的にはLED光源に関し、特にLEDランプに用いられるDC駆動回路に関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(LED)は、半導体材料、多くの場合、砒化ガリウムおよび/または窒化ガリウムから構成された電気的光源である。他のダイオードと同様に、発光ダイオードは、p−n接合を生成するために様々な不純物を半導体材料にドーピングすることによって作製される。LEDに電流を印加すると、電荷キャリアがp−n接合内に流入し、正に帯電した正孔が負に帯電した電子と結合して、電子がより低いエネルギーレベルに落ちることにより、光としてエネルギーを放出させる。すべてのダイオードのように、電流は、デバイスの正にドープされたp側から負にドープされたn側へ容易に流れるが、反対方向へは流れない。したがって、LEDは、通常、直流(DC)電源で駆動される。
【0003】
家庭用照明および街路信号などの多くの用途では、DC電力は容易に入手可能ではなく、LEDランプを駆動するために、局所的に利用可能なAC送電網電力を調整されたDC電力に変換する駆動回路が用いられる。これらの駆動回路は、エネルギー効率が良く、小型で、低コストであることが重要である。建物の照明および街路信号の用途で使用される駆動回路も、政府の規制を受け、厳格な要件を満足しなければならないが、これは、他の要因の中でも、許容されるEMI放射を制限している。
【0004】
エネルギーコストの上昇は、いたる所にあるエジソンねじ込み口金に構築されているような旧式の白熱電球と同じフォームファクタおよび電気的要件に適合するエネルギー効率の良い交換照明装置の需要を作り出している。LED交換ランプのワット数がより高くなるにつれて、駆動回路およびLEDランプと共にパッケージ内に冷却を組み込むことが必要となる。多くの場合、冷却システムまたは低レベルの電力を必要とする他の機能のための2次電力を供給するために、サブドライバまたは補助電源が駆動回路に追加される。たとえば、LED駆動電流を供給するために昇圧型スイッチングレギュレータを用いる駆動回路では、補助電源用の電力を引き出すために、追加の巻線がエネルギー蓄積インダクタに追加される。しかし、駆動回路は、通常、必要とされるLED駆動電流に最適化されており、補助電源の追加は、しばしば、規制限界を超えるEMI放射などの許容できない性能をもたらす。このように、費用効果が高く、高い電気的効率、小さなフォームファクタ、および許容可能なEMI性能を有する駆動回路を供給することは、難しいものとなっている。この問題は、冷却システムなどの2次負荷、あるいは追加の機能を提供する他の低レベル回路のための補助電源を組み込む必要性によりさらに複雑になる。
【0005】
したがって、上述の問題の少なくともいくつかを解決するLED駆動回路を提供することが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2013/150399号
【発明の概要】
【0007】
本明細書で説明するように、例示的な実施形態は、上記のまたは当技術分野で既知の他の欠点のうちの1つまたは複数を克服する。
【0008】
例示的な実施形態の一態様は、DC電流ドライバに関する。一実施形態では、DC電流ドライバは、DC供給電流を供給し、DCリターン電流を受け取るように構成されたDC電流駆動回路と、DCリターン電流と直列に結合されたスイッチと、スイッチと並列に結合され、補助電圧を供給するように構成された補助電源と、を含む。スイッチを開くことにより、DCリターン電流が補助電源を通るように迂回させ、スイッチを閉じることにより、DCリターン電流が補助電源をバイパスするようにする。
【0009】
例示的な実施形態の別の態様は、LED照明装置に関する。一実施形態では、LED照明装置は、1つまたは複数の発光ダイオードを含むLEDランプと、LEDランプに結合され、LEDランプにLED供給電流を提供し、LEDランプからLEDリターン電流を受け取るように構成された駆動回路と、LEDリターン電流と直列に結合されたスイッチと、LEDリターン電流を受け取り、補助電圧を生成するように構成された補助電源と、を含む。スイッチを開くことにより、LEDリターン電流が補助電源回路を流れるようにし、スイッチを閉じることにより、LEDリターン電流が補助電源回路をバイパスするようにする。
【0010】
例示的な実施形態の別の態様は、DC電流ドライバに補助電圧を提供するための方法に関する。一実施形態では、本方法は、DC電流ドライバによりDC供給電流を生成するステップと、DC電流ドライバによりDCリターン電流を受け取るステップと、DCリターン電流が補助電源回路を通って迂回するように、DCリターン電流と直列であるスイッチを開くステップと、DCリターン電流が補助電源回路をバイパスするように、スイッチを閉じるステップと、電源回路を用いてDCリターン電流から補助電圧を生成するステップと、を含む。
【0011】
例示的な実施形態のこれらのおよび他の態様および利点は、添付の図面に関連して考慮される以下の詳細な説明から明らかになろう。しかし、理解されるように、図面は例示する目的だけであって、本発明の限定を定義するように意図されたものではなく、本発明の限定のためには、添付の特許請求の範囲を参照すべきである。本発明のさらなる態様および利点は、以下の説明の中で述べられており、一部はその説明から明らかとなり、あるいは本発明の実施によって知ることができる。さらに、本発明の態様および利点は、添付の特許請求の範囲において特に指摘された手段および組み合わせによって実現し、得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】エネルギー蓄積インダクタの2次巻線を用いて補助電力を供給するように構成されたLED駆動回路の一実施形態の回路図である。
図2】本開示の態様を組み込むLED駆動回路の一実施形態のブロック図である。
図3】本開示の態様を組み込む補助電源の一実施形態の回路図である。
図4】本開示の態様を組み込むLED駆動回路の一実施形態のEMI性能のグラフである。
図5】本開示の態様を組み込む補助電力用のLED駆動電流を用いるための方法の一実施形態のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、一般的に符号100で示し、LED型ランプにDC電力を提供するために使用することができる、例示的なLED駆動回路の回路図である。LED駆動回路100は、入力端子J1とJ2との間にAC入力電力Vinを受け取るように構成され、入力電力Vinは任意の適切なAC電力とすることができ、たとえば、その地域で利用可能な送電網電力、すなわち北米で一般的に利用可能な120ボルト(V)60ヘルツ(Hz)の電力またはヨーロッパの多くの国で利用可能な230V、50Hzの電力、あるいは他の適切なAC電力源などであってもよい。AC入力電力Vinは、ダイオードブリッジBR1によって、
【0014】
【数1】
【0015】
【数2】
で示すDC電力に変換され、ここで、一方のブリッジ入力130は直列接続されたヒューズF1を介してAC入力端子J1に接続され、他方のブリッジ入力132は直列接続されたインダクタL1を介して他方のAC入力端子J2に接続されている。ヒューズF1は、過電流からLED駆動回路100を保護する。ブリッジ入力130と132との間に結合された金属酸化物バリスタ(MOV)RV1は、LED駆動回路100を損傷するおそれがある入力電力のサージからダイオードブリッジBR1などの回路を保護する。インダクタL1は、EMI放射を低減するために使用される。さらなるEMIの低減は、突入電流防止または制限回路104を介してDC電力
【0016】
【数3】
【0017】
【数4】
との間に接続されたフィルタキャパシタC1によって提供することができる。突入電流防止回路104は、フィルタキャパシタC1の一端を
【0018】
【数5】
に接続し、抵抗R1と直列に結合された金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)M1Bを含み、突入電流を安全な量に制限する。MOSFET M1Bのゲート電圧は、抵抗R18、バイポーラ接合トランジスタ(BJT)Q4、および抵抗R10を含む回路によって制御されており、ここで、MOSFET M1BのゲートはBJT Q4のコレクタに接続され、かつ抵抗R10を介して制御電圧Vccに接続されている。BJT Q4のベースはMOSFET M1Bのソースに接続され、かつ
【0019】
【数6】
に接続されている。
【0020】
LED駆動電流は、フリーホイールダイオードD1に直列に結合されたエネルギー蓄積インダクタT1Aと、インダクタT1Aを回路コモン134に結合する昇圧スイッチMOSFET M1Aと、から構成される昇圧型スイッチングレギュレータにより調整される。LED駆動回路100は、端子J3とJ4との間にDC電力を供給し、端子J3とJ4との間に並列に結合されたフィルタキャパシタC3によって、駆動電力が安定化される。負荷が端子J3とJ4との間に接続されると、回路が完成されて、DC電流が端子J3から負荷を介して流れ出て、端子J4に戻る。本明細書では、正の電流が電子の流れの反対方向の流れとして定義される標準的な電流極性規定を用いて、端子J3から流れ出す電流はDC供給電流ISであり、端子J4に流れ込む電流はDCリターン電流IRである。特定の実施形態では、DC電力端子J3とJ4との間に接続された負荷は、適切なLEDランプアセンブリ(図示せず)を含む。本明細書では、負荷がLEDランプを含む場合には、DC供給電流ISをLED供給電流と呼び、DCリターン電流をLEDリターン電流と呼ぶ。あるいは、調整されたDC電力を必要とする他のタイプの負荷も、端子J3とJ4との間に有利に接続することができる。端子J4に流れ込むDCリターン電流IRは、回路コモン134を流れ、ダイオードブリッジBR1に戻る前に、電流検出回路108を流れる。DCリターン電流IRは、電流検出回路108において、検出抵抗と呼ばれる、互いに並列に接続された1対の抵抗R2およびR2Aによって、比例した電圧に変換される。ダイオードVR1は、検出抵抗R2およびR2aに並列に結合され、検出抵抗R2、R2Aに対する電圧保護を提供する。より低いワット数のLEDランプアセンブリを使用することが望ましい特定の実施形態では、1つの検出抵抗R2だけを使用することができ、他の検出抵抗R2Aを取り除くことができる。
【0021】
自励発振切替制御回路106は、切替制御信号110をブーストスイッチM1Aのゲートに供給する。切替制御信号110は、1対の相補型バイポーラ接合トランジスタQ3AおよびQ3Bを含むバッファ回路により生成される。n−p−nトランジスタQ3Aは、制御電圧Vccと切替制御信号110との間に接続され、p−n−pトランジスタQ3Bは、切替制御信号110と回路コモン134との間に接続されている。制御電流は、抵抗R11を介してトランジスタQ3AおよびQ3Bの両方のベースに印加される。設定値112は、制御電圧Vccと負のDC電圧
【0022】
【数7】
との間に直列に結合された、抵抗R6およびR15ならびに相補型トランジスタQ18を含む抵抗分割器ネットワークにより生成される。相補型トランジスタQ18は、抵抗分割器R6、R15と直列に接続され、トランジスタQ1Aの両端のダイオード降下を相殺する。
【0023】
入力電圧
【0024】
【数8】
は、抵抗R16を介して設定値112に含まれ、LED駆動回路100の全高調波歪みを改善する。BJT Q1A、抵抗R13、および抵抗R7を含む加算回路は、設定値112を回路ノード118の検出抵抗電圧118と結合して、回路ノード116の切替制御信号を生成する。検出抵抗電圧118は、電流検出回路108を流れるLEDリターン電流IRによって生成される。抵抗R9およびR10を介して制御電圧Vccからコレクタ電圧をそれぞれ受け取る1対のトランジスタQ2AおよびQ2Bにより形成されたラッチ回路は、切替制御信号110をラッチするために使用される。回路ノード114のラッチされた切替信号は、次に、抵抗R11を介してバッファ用トランジスタQ3AおよびQ3Bに供給される。抵抗R17を介して設定値112を制御信号110と結合することによって、切替制御回路106の自励発振動作を維持する。過電圧保護は、抵抗R8と直列に接続された1対のツェナーダイオードZ1およびZ2を介して、切替制御信号110を端子J3のドライバ出力に結合することによって提供される。
【0025】
制御電圧Vccは、2つのポンピングキャパシタC4およびC2、一対の直列接続されたダイオードD3およびD4、ならびに抵抗R5を含むチャージポンプ回路120によって通常動作中に生成される。チャージポンプ回路120は、昇圧インダクタT1Aと磁気的に結合された2次巻線T1Bから電力を受け取る。ツェナーダイオードZ3は、制御電圧Vccを安定なレベルに維持する。LED駆動回路100が起動すると、チャージポンプ回路120が制御電圧Vccの供給を開始するまでには時間がかかる。チャージポンプ回路120が引き継ぐまでのこの起動段階の間に制御電圧Vccを供給するために、起動回路122が含まれている。MOSFET M2は、直列接続された抵抗R4およびR4Aを介してゲート電圧を受け取り、端子J3のDC駆動電力が抵抗R3を介して制御電圧Vccに流れることを可能にする。制御電圧Vccが所望のレベルに到達すると、FET M2はオフして、制御電圧Vccはチャージポンプ回路120によって提供される。
【0026】
多くのLED用途または他のDCドライバ用途では、ドライバは、LEDランプの温度を制御するために使用することができる冷却装置などの付加的な特徴のための補助電力を供給することが望ましい。図1に示す例示的なLED駆動回路100では、トランス巻線T1Aは昇圧エネルギー蓄積素子として使用され、2次巻線T1Bは切替制御回路106に電力を供給するために使用される。この構成では、トランス巻線T1Aは、この実施例では昇圧インダクタと呼ばれ、EMIフィルタとしても作用する。補助電力は、昇圧インダクタT1Aと磁気的に結合された第3の巻線T1Cを追加することにより、得られる。しかし、端子J5とJ6との間に示すように、冷却システムまたは他の負荷に電力を供給するために第3の巻線T1Cを追加することによって、昇圧インダクタT1Aの特性が変化して、EMIフィルタ帯が変化する可能性がり、それは昇圧インダクタT1AのEMIフィルタリング特性に悪影響を与えるおそれがある。
【0027】
ここで図2を参照すると、この図は、図1に示して上述した例示的なLED駆動回路100などの昇圧型レギュレータを用いるLEDドライバにおいて、補助電力を提供するための一実施形態を示す。本実施例では、LED供給電流ISは、フリーホイールダイオードD1および端子J3を通ってLEDランプアセンブリ204に流れる。LEDリターン電流IRは、LEDランプアセンブリ204から端子J4を介して電流検出回路108を通り、LED駆動回路(図示せず)に戻る。スイッチ214はLEDリターン電流IRと直列に配置され、スイッチ214が開くとLEDリターン電流IRが補助電源回路222を通って迂回し、スイッチ214が閉じるとLEDリターン電流IRが補助電源回路222をバイパスして直接LED駆動回路に戻る。図1を参照すると、LEDリターン電流IRは、電流検出回路108を通過する。
【0028】
スイッチ214は、補助電源回路222に供給される電力を調節するために必要とされる、LEDリターン電流IRを効率的に切り替えることができる半導体または機械的スイッチの任意の適切なタイプであってもよい。補助電力制御回路220は、電圧検出信号208により補助電源回路222をモニターし、スイッチ214を開閉する切替制御信号218を提供する。切替制御信号218は、補助電源電圧228がほぼ一定のレベルに維持されるように、交互に開閉される。あるいは、切替制御信号218は、補助電源電圧228を変化するレベルを含む任意の所望のレベルに維持するように適合させることができる。制御電圧Vccは、一実施形態では、低レベルの制御電圧とすることができ、補助電力制御回路220によって受け取られ、電流検出回路108に戻される。図2は、開示された補助電力生成方法および装置が、どのように昇圧型LED駆動回路に適用することができるかを示す。しかし当業者であれば、開示された方法および回路が、開示された実施形態の趣旨および範囲から逸脱することなく、LED駆動回路または他のDC駆動回路の任意のタイプにも適用できることを容易に認識するであろう。
【0029】
図3は、図1のLED駆動回路100などのLED駆動回路、または本開示の態様を組み込む他のタイプのDC電流ドライバにおいて、補助電力を供給するための、一般的に符号300で示す回路の一実施形態の回路図を示す。この実施例では、補助電力スイッチQ100は、回路ノード312で受け取られるリターン電流IRと直列に配置され、補助電力スイッチQ100がオンされると、リターン電流IRは補助電力スイッチQ100を通過して、回路ノード302に出て、図1に示す例示的なLED駆動回路100などのDC駆動回路(図示せず)に戻る。図3に示す例示的な回路では、補助電力スイッチQ100はnチャネルMOSFETとして示されているが、所望の周波数でリターン電流IRを切り替えることができる半導体または機械式スイッチの任意の適切なタイプを有利に用いることができる。補助電力制御回路306は、DCリターン電流IRを選択的に補助電源回路304に迂回させ、または補助電源回路304をバイパスさせることができるように、補助電力スイッチQ100を制御する切替信号310を提供する。補助電力スイッチQ100が開かれると、LEDリターン電流IRは、補助スイッチQ100と並列に接続された補助電源回路304に迂回し、そこでは、一対の大容量電解キャパシタC101およびC102が補助電源電圧Vsに並列に接続されており、補助電圧Vsを維持し、安定化させるように作用する。低い値のフィルタキャパシタC103も、補助電圧Vsと並列に接続されており、高周波電圧変動のフィルタリングを提供する。ダイオードD101は、アノードが補助電力スイッチQ100のドレインに接続され、カソードが補助電圧Vsの正側に接続されており、スイッチQ100が開いている時に補助電圧がスイッチQ100を通して放電することを防止する。このように、スイッチQ100を開くことによって、リターン電流が補助電源回路304をバイパスし、または補助電源電圧を放電せずに供給することができる。一実施形態では、第2のダイオードD102は、アノードが補助電圧Vsの負側に接続され、カソードが補助電圧Vsの正側に接続されており、それによって補助電源キャパシタC101、C102を負電圧から保護する。DCリターン電流IRがキャパシタC101およびC102を充電するように迂回するか、あるいは補助電源回路304をバイパスするように、補助電源スイッチQ100を選択的に開閉することによって、出力電圧Vsを調整することができる。
【0030】
補助電力制御回路306は、補助電源回路304のキャパシタC101、C102の両端に発生した補助電圧Vsをモニターし、補助電圧Vsをほぼ一定のレベルに調整するための切替制御信号310を生成する。制御電圧Vccは、任意の適切な供給源から制御回路306によって受け取られ、たとえば、制御電圧Vccは、図1に示し、上述した例示的なDC駆動回路100によって生成される。直列接続された抵抗R101およびR105は、制御電圧Vccと回路コモン316との間に接続され、中央ノード310がMOSFET Q100のゲートに接続されて、切替信号310の電流経路を提供する。シュミットトリガが演算増幅器(オペアンプ)U1Aおよび帰還抵抗R106から形成されており、オペアンプU1Aは、制御電圧Vccから動作電力を受け取る。基準電圧は、制御電圧Vccと回路コモン316との間に結合された、直列接続された抵抗R101およびキャパシタC104の中央ノード314で生成され、オペアンプU1Aの反転入力に印加される。ダイオードD103は、キャパシタC104と並列に結合される。補助電圧Vsは、フィードバック電圧が回路ノード308で生成されるように補助電圧Vsと回路コモン316との間に結合された抵抗R103およびR104を含む抵抗分割器ネットワークによって検出される。回路ノード308のフィードバック電圧をオペアンプU1Aの非反転入力に印加することにより、補助電圧Vsが基準電圧314によって決定された所望の値より低くなるか、またはそれより高くなると、切替信号310がそれぞれオンおよびオフされる。
【0031】
DCドライバの昇圧インダクタの、図1に示すような巻線T1Cなどの2次巻線は、エネルギー蓄積インダクタT1Aと磁気的に結合されており、その使用は、政府規制機関によって許容されるレベルよりEMI放射を増加させる可能性がある。図1のLED駆動回路100などのDCドライバに結合された補助電源は、図2および図3に示して上述したように、LEDリターン電流IRが補助電源回路222、304に選択的に迂回することができるように補助電力スイッチQ100をDCリターン電流IRと直列に配置することによって、規制限度を超えてEMI放射を増加させることなく、補助電力を供給することができる。
【0032】
図4は、図1のLED駆動回路100などの例示的なDCドライバに結合された場合の、図3に示す補助電源300により生成されたEMI放射のグラフを示す。グラフ400は、デシベルマイクロボルト対ヘルツ単位の周波数でEMI放射404を、パート5クラスBとして知られている1つの政府標準402に対してプロットしており、この政府標準402は米国連邦政府の独立した機関である連邦通信委員会(FCC)によって公開されたものである。グラフ400から分かるように、例示的な補助電源300によって生成されたEMI放射404は、150kHz〜30MHzの全スペクトルにわたってFCCにより設定された限界より低く保たれている。
【0033】
規制上の限界に合致することに加えて、開示された例示的な補助電源300は、所望の性能特性を有するDC LEDドライバをもたらす。表1は、図3に示すようにLEDリターン電流IRに結合された補助電源300を含む例示的な昇圧型LEDドライバについてのいくつかの動作値を示す。表1の例示的なドライバの補助電源は、LEDランプを冷却するために用いられるシンセティックジェット冷却装置を駆動するために使用される。LEDドライバは、119.98ボルト(Vin)二乗平均(rms)および0.203アンペア(Iin)rmsで、AC電力(電力入力)23.96ワットを受け取る。LEDドライバは、15.9%の低い全高調波歪み(THD)で、0.985の高い力率(PF入力)を提供する。LEDドライバは、191.04ボルト(Vdc出力)および114.52ミリアンペア(Idc出力)で、21.98ワットのDC電力(電力出力)を生成し、91.70%の効率をもたらす。LEDランプを冷却するシンセティックジェット冷却装置を使用することの利点は、表2に示されている。第1行は、ランプを始動して5分後に標準的なLEDランプについて行った測定値を示し、第2行は、ランプを始動して10分後に同じランプについて行った測定値を示す。ランプにより使用される電流が30ミリアンペアだけ増加し、23.8ワットから23.9ワットに電力使用量がわずかに増加するが、ルーメン、Xカラー、Yカラー、およびCCTの測定により示されるように、光出力は一定に保たれている。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
図5は、本開示の態様を取り込むDC電流ドライバにおいて補助電圧を生成する例示的な方法の一実施形態を示す。例示的な方法は、たとえば図1に示した例示的なLED駆動回路などの様々なDC電流ドライバ回路で使用することができる。本方法は、図1のLED駆動回路100を用いて、DC供給電流ISおよびDCリターン電流IRを生成するステップを含む(ステップ502a)。DC供給電流ISは、LEDランプアセンブリまたはほぼ一定のDC電流を必要とする他の負荷を駆動するために使用することができ、負荷からDC駆動回路に戻る電流をDCリターン電流IRと呼ぶ。図2のスイッチ214などのスイッチは、DCリターン電流IRと直列に配置され(ステップ504)、DCリターン電流IRがスイッチ214を介して流れるように、負荷とDC電流ドライバとの間に有利に配置することができる。図2の電源222などの補助電源がスイッチ214と並列に結合され(ステップ506)、スイッチ214を開くことにより、DCリターン電流IRがDC電流ドライバに戻る前に補助電源222を通って迂回するようにする(ステップ508)。スイッチ214を閉じることにより、DCリターン電流IRが補助電源222をバイパスして、DCドライバに直接戻るようにする(ステップ510)。スイッチ214を開いた時に(ステップ508)補助電源222を通って迂回するDCリターン電流IRは、他の回路またはデバイスで使用される補助電源電圧を提供するために用いることができる(ステップ512)。たとえば、例示的な方法500が図1に示すようなLED駆動回路100で使用される場合には、補助電源電圧は、LEDランプの温度を低下させるように適合されたシンセティックジェット冷却装置に電力を供給するために使用することができる。特定の実施形態では、スイッチ214が閉じている時に(ステップ510)、供給された補助電源電圧が放電することを防止するためにダイオードを使用することが望ましい。一実施形態では、これは、図2のダイオードD1などのダイオードを、いくつかの実施形態ではnチャネルMOSFETのドレインであるスイッチ214の正極側と、供給された補助電源電圧の正極側との間に配置することによって達成することができる。いくつかの用途では、LEDランプに電力を供給するために、DC供給電流ISおよびDCリターン電流IRを用いることが望ましい。これらの実施形態では、DC供給電流ISがLEDランプアセンブリに供給され、LEDランプアセンブリから戻る電流がLEDリターン電流IRである。
【0036】
したがって、本発明の例示的な実施形態に適用される本発明の基本的な新規な特徴について図示し、説明し、指摘してきたが、図示した装置および方法の形態および詳細について、ならびにその動作について、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、種々の省略、置き換え、および変更が当業者によってなされ得ることが理解されるであろう。さらに、それらの要素のすべての組み合わせは、同じ結果を達成するために、実質的に同じ方法で実質的に同じ機能を実行し、本発明の範囲内にあることが明白に意図される。さらに、本発明の任意の開示された形態または実施形態に関連して図示および/または記載した構造および/または要素は、設計選択の一般的な事項として、他の任意の開示または記載または示唆された形態または実施形態に組み込まれてもよいことを理解されたい。したがって、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されることが意図される。
【符号の説明】
【0037】
100 LED駆動回路、DC駆動回路
104 突入電流防止回路、制限回路
106 自励発振切替制御回路
108 電流検出回路
110 切替駆動信号
112 設定値
114 回路ノード
116 回路ノード、切替制御信号
118 回路ノード、検出抵抗電圧
120 チャージポンプ回路
122 起動回路
130 ブリッジ入力
132 ブリッジ入力
134 回路コモン
204 LEDランプアセンブリ
208 電圧検出信号
214 スイッチ
218 切替制御信号
220 補助電力制御回路
222 補助電源回路、電源、補助電源
228 補助電源電圧
300 補助電源
302 回路ノード
304 補助電源回路
306 補助電力制御回路
308 回路ノード
310 切替信号、切替制御信号、中央ノード
312 回路ノード
314 中央ノード、基準電圧
316 回路コモン
400 グラフ
404 EMI放射
500 方法
502 ステップ
504 ステップ
506 ステップ
508 ステップ
510 ステップ
512 ステップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6