(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ヤゲン加工されたデモンストレーションレンズ(20)が最初に取り付けられている眼鏡フレーム(10)のレンズ縁(11)に眼鏡レンズを挿入する目的で、眼鏡レンズ(30)をヤゲン加工するための設定(CONS)を作成するための方法であって、
a)前記レンズ縁(11)と前記デモンストレーションレンズ(20)との間の遊びに関連する補正パラメータ(P1)を取得するステップ、
b)前記レンズ縁(11)から予め抜き取られた前記デモンストレーションレンズ(20)の正面画像を撮影するステップ、
c)前記正面画像において、前記デモンストレーションレンズ(20)の初期輪郭(C0)を決定するステップ、
d)前記補正パラメータ(P1)に依存して前記初期輪郭(C0)を補正することによって、補正された輪郭(C1)を計算するステップ、及び、
e)前記補正された輪郭(C1)に依存して前記ヤゲン加工設定(CONS)を推測するステップ
を含む方法。
ステップd)において、前記補正された輪郭(C1)が、前記眼鏡レンズ(30)の材質に関連する別の補正パラメータ(P2)に依存して計算される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
ステップd)において、前記補正された輪郭(C1)が、前記眼鏡フレームの材質に関連する別の補正パラメータ(P3)に依存して計算される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
ステップd)において、前記補正された輪郭(C1)が、前記眼鏡レンズ(30)を前記眼鏡フレーム(10)の前記レンズ縁(11)に挿入するために使用されると予想される熱間又は冷間挿入モードに関連する別の補正パラメータ(P4)に依存して計算される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
ステップd)において、前記補正された輪郭(C1)が、前記眼鏡レンズ(30)の光学パワーに関連する別の補正パラメータ(P5)に依存して計算される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
ステップd)において、前記補正された輪郭(C1)が、前記眼鏡レンズ(30)の厚さに関連する別の補正パラメータ(P6)に依存して計算される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
ステップd)において、前記補正された輪郭(C1)が、使用者が前記眼鏡レンズ(30)を遊びあり又はなしで前記眼鏡フレーム(10)の前記レンズ縁(11)に嵌め込みたいかどうかに関連する別の補正パラメータ(P7)に依存して計算される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
ステップb)において、前記デモンストレーションレンズ(20)の前記正面画像が、センタリング装置(100)によって取得され、前記センタリング装置(100)が、
− 前記デモンストレーションレンズ(20)用のホルダ(1)、
− 前記ホルダ(1)の一方の側に反射板、及び、
− 前記ホルダ(1)の他方の側に照明手段(121)及び撮像手段(133)、
を含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
ヤゲン加工されたデモンストレーションレンズ(20)が最初に取り付けられている眼鏡フレーム(10)のレンズ縁(11)に眼鏡レンズ(30)を挿入する目的で眼鏡レンズ(30)を調製するための方法であって、
− 請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法を使用して前記眼鏡レンズ(30)をヤゲン加工するための設定(CONS)を作成するステップであって、この際、前記補正パラメータ(P1)から推測された少なくとも1つの係数(k0)に依存して、前記補正された輪郭(C1)が計算されるステップと、
− 前記ヤゲン加工設定(CONS)に従って前記眼鏡レンズ(30)をヤゲン加工するステップとを含み、その後、前記眼鏡レンズ(30)が前記レンズ縁(11)への挿入に適していない場合、
− 前記眼鏡レンズ(30)が前記レンズ縁(11)への挿入に好適にされるような方法で前記眼鏡レンズ(30)のヤゲン加工を再加工するステップと、
− 前記再加工された眼鏡レンズ(30)の正面画像を撮像するステップと、
− 前記正面画像において、前記再加工された眼鏡レンズ(30)の再加工された輪郭(C2)を決定するステップと、
− 前記再加工された輪郭(C2)と前記補正された輪郭(C1)との間の差に依存して前記係数(k0)を補正するステップと
を含む方法。
【背景技術】
【0004】
ある顧客が眼鏡士のところで一対の屈折補正用眼鏡を取得したいとき、顧客は疑似デモンストレーションレンズが取り付けられた眼鏡フレームを選択することから始める。
【0005】
次に眼鏡士はこれらのデモンストレーションレンズを交換するために眼鏡レンズをトリミングする必要がある。
【0006】
眼鏡レンズごとに眼鏡士は4つの主要な作業を実行する。4つの主要な作業とは以下のものである:
− 選択された眼鏡フレームのレンズ縁の1つの輪郭を取得すること、
− レンズをセンタリングすること、これは、このレンズの基準の光学枠を決定し、続いてあらかじめ取得された輪郭をこの眼鏡レンズに移すことであるが、これは、いったんレンズがこの輪郭にトリミングされ、眼鏡フレームに取り付けられると、レンズが顧客の対応する目の瞳に面しながら適切にセンタリングされるようなやり方で行われる、
− 眼鏡レンズをブロッキングすること、これは、このレンズの基準の枠を誤って配置することなくレンズを取り扱うことができるように、決定された位置でレンズの前面にブロッキングアクセサリを結合することである(これはレンズを1つの機械加工ステーションから別のステーションへ送る必要があるとき不可欠である)、
− レンズを機械加工すること、これはレンズを所望の輪郭へ切削することである。
【0007】
本発明の文脈において、レンズ縁を備えた眼鏡フレーム、すなわちリム付き眼鏡フレームが特に対象である。
【0008】
機械加工作業は、レンズの初期外形が所望の輪郭により近づけられる荒削りステップと、次のヤゲン加工ステップとを含み、ヤゲン加工ステップによって取付け用リブ(一般にヤゲンとよばれる)をレンズの縁面に形成することができ、取付け用リブは、フレームの対応するレンズ縁の内面に沿って走る取付け用溝(一般にベゼルとよばれる)に嵌め込むことができる。
【0009】
取得及び機械加工作業は、レンズを労せず及び「最初のラウンド」で、すなわち追加の機械加工(再加工)なしにそのレンズ縁に完全に嵌め込むべき場合、注意して実行する必要がある。
【0010】
レンズ縁の形状を取得するために、直接レンズ縁のベゼルに沿って摺動される表面プロフィルメータを含む輪郭読出し装置が一般に使用される。
【0011】
この読出し装置により、ヤゲンの頂部がベゼルのそれと同じ形状を有するような方法でレンズを機械加工できるように、ベゼルの底の形状を記録することが可能になる。
【0012】
この解決策の主な欠点は、輪郭読出し機の使用を必要とすることであり、その購入費用及び整備費用は高い。
【0013】
それはさらに実行に時間が掛かり、また、眼鏡士によって細心の注意が払われることを要求し、これは求められている単純性の原則に反している。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
この欠点を改めるために、本発明は、より安価にレンズ縁の形状を得ることを可能にする解決策を提案する。
【0015】
詳細には、本発明によれば以下のステップを含む方法が提供される:
a)レンズ縁とデモンストレーションレンズとの間の遊びに関連する補正パラメータを取得するステップ、
b)レンズ縁から予め抜き取られたデモンストレーションレンズの正面画像を撮影するステップ、
c)前記正面画像において前記デモンストレーションレンズの初期輪郭を決定するステップ、
d)前記補正パラメータに依存して初期輪郭を補正することによって、補正された輪郭を計算するステップ、及び、
e)前記補正された輪郭に依存して前記ヤゲン加工設定を推測するステップ。
【0016】
本発明は従って、眼鏡レンズをヤゲン加工するための設定の決定の基礎を、眼鏡フレームと一緒に納品された対応するデモンストレーションレンズの形状に置き、もはやフレームの形状に置かない。
【0017】
この解決策は従って、輪郭読出し装置をなしで済ますことを可能にする。それは従って費用が掛からない。
【0018】
しかしながら、この解決策は、それにもかかわらず、補正パラメータを考慮しながら実行される場合、満足のいく結果が(あらゆる再加工を回避して)もたらされることを可能にする。
【0019】
特に本出願人は、デモンストレーションレンズが一般に雑に機械加工され、それは眼鏡フレームへの挿入によって一般にレンズとレンズ縁との間に遊びが生じる程である、ということを観察した。従ってデモンストレーションレンズの形状を単に再形成するだけでは眼鏡レンズをその眼鏡フレームのレンズ縁に上手く取り付けることができないであろうことは理解されよう。
【0020】
こうした理由から、本発明は補正パラメータを考慮することを提案する。
【0021】
このパラメータは好ましくは、使用者(一般に眼鏡士)がデモンストレーションレンズを取り外す前にデモンストレーションレンズがきつく又は遊びとともに眼鏡フレームのレンズ縁に挿入されているかどうか確認することによって得られ得る。補正パラメータは次に、眼鏡フレーム中の眼鏡レンズのより正確な嵌まりを達成するために、登録されたどのような遊びも補償されることを可能にし得る。
【0022】
好ましくは、デモンストレーションレンズの写真が、レンズをセンタリングするための装置を使用することによって取得され得、それによりこの画像取得専用の装置を頼る必要が一切回避される。
【0023】
従ってこの解決策は費用が掛からず、また、迅速且つ簡単に実行できることが分かっている。
【0024】
この解決策はセンタリング装置の技術的な改修を必要とせずソフトウェアの修正だけを必要とするので、それはさらに、既存のセンタリング装置の制御ソフトウェアパッケージにおいて実行される場合もあり得る。
【0025】
以下は本発明による方法の他の利点及び非限定的な特徴である:
− 第2のデモンストレーションレンズが最初に取り付けられる第2のレンズ縁を前記眼鏡フレームが含む場合、ステップa)において、第2のレンズ縁と第2のデモンストレーションレンズとの間の遊びに関連する第2補正パラメータが取得され、及び、ステップd)において、第2の補正された輪郭が、前記初期輪郭の対称を操作することによって、及び前記第2補正パラメータに依存して前記初期輪郭を補正することによって計算され、
− ステップa)において、補正パラメータは、3〜5個の値を含むリストから選択され、
− ステップd)において、補正された輪郭は、眼鏡レンズの材質に関連する別の補正パラメータに依存して計算され、
− ステップd)において、補正された輪郭は、眼鏡フレームの材質に関連する別の補正パラメータに依存して計算され、
− ステップd)において、補正された輪郭は、眼鏡レンズを眼鏡フレームのレンズ縁に挿入するために使用されると予想される熱間又は冷間挿入モードに関連する別の補正パラメータに依存して計算され、
− ステップd)において、補正された輪郭は、眼鏡レンズの光学パワーに関連する別の補正パラメータに依存して計算され、
− ステップd)において、補正された輪郭は、眼鏡レンズの厚さに関連する別の補正パラメータに依存して計算され、
− ステップd)において、補正された輪郭は、使用者が眼鏡レンズを遊びあり又はなしで眼鏡フレームのレンズ縁に嵌め込みたいかどうかに関連する別の補正パラメータに依存して計算され、
− ステップb)において、デモンストレーションレンズの前記正面画像は、デモンストレーションレンズ用のホルダを含むセンタリング装置によって取得され、このホルダの一方の側は反射板であり、このホルダの他方の側は照明手段及び撮像手段である。
【0026】
本発明はまた、ヤゲン加工されたデモンストレーションレンズが最初に取り付けられている眼鏡フレームのレンズ縁に眼鏡レンズを挿入する目的で、眼鏡レンズを調製するための方法に関し、この方法は、
− 上記の方法などの方法を使用して眼鏡レンズをヤゲン加工するための設定を作成するステップであって、この際、前記補正パラメータから推測された少なくとも1つの係数に依存して、補正された輪郭が計算されるステップと、
− ヤゲン加工設定に従って眼鏡レンズをヤゲン加工するステップとを含み、その後、眼鏡レンズがレンズ縁への挿入に適していない場合、
− レンズがレンズ縁への挿入に適するような方法で眼鏡レンズのヤゲン加工を再加工するステップと、
− 再加工された眼鏡レンズの正面画像を撮像するステップと、
− 前記正面画像において、前記再加工された眼鏡レンズの再加工された輪郭を決定するステップと、
− 再加工された輪郭と補正された輪郭との間の差に依存して前記係数を補正するステップと
を含む。
【0027】
非限定的な例として与えられた付随の図面を参照して以下に続く記載は、本発明の本質及び達成方法の理解を容易にする。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1Aは、リム付き眼鏡フレーム10を示す。
【0030】
この眼鏡フレーム10は、それぞれ1枚のデモンストレーションレンズ20を受け入れた2つのレンズ縁11(一般に「リム」とよばれる)を含む。
【0031】
そのようなデモンストレーションレンズ20は一般に疑似眼鏡の形態を取り、眼鏡フレーム10と一緒に眼鏡士に届けられる。このようにして2枚のデモンストレーションレンズ20を取り付けられると、眼鏡フレーム10の外観は、屈折補正用眼鏡レンズを取り付けられたときにそれが有する外観に非常に似ており、それにより顧客が眼鏡フレームを選択することがより容易になる。
【0032】
2つのリム11はブリッジ12によって互いに接続される。さらにそれらはそれぞれ、装用者の鼻に乗ることができるノーズパッド13を、及び装用者の一方の耳に乗ることができるつる14を取り付けられる。各つる14は対応するリムにヒンジ15によってヒンジ接続される。
【0033】
図1Bの断面図が示すように、眼鏡フレーム10のリム11はそれぞれ内面を有し、内面に、一般に二面状断面の取付け用の溝(一般に「ベゼル(bezel)16」とよばれる)が形成される。
【0034】
これらの2つのリム11に嵌め込むために、デモンストレーションレンズ20はそれぞれ、一般に二面状断面の取付け用リブ(一般に「ヤゲン26」とよばれる)がそれに沿って形成されたフィールドを有する。
【0035】
図2は、縁摺り加工されてない眼鏡レンズ30を示し、眼鏡レンズ30は機械加工され、その後、デモンストレーションレンズ20の1つの代わりに、眼鏡フレーム10のリム11の1つに挿入されるように意図されている。
【0036】
図3が示すように、眼鏡レンズ30は前方光学面31、後方光学面32及び縁面33を有する。
【0037】
ここで、前面光学面31は球面であり、既知の曲率半径を有する。
【0038】
レンズの縁面33は、円形の初期輪郭を有する。しかしながら眼鏡レンズ30は、眼鏡フレーム10の対応リム11に嵌め込むことができるように前記リムの形状に縁摺り加工されるように意図されている。
【0039】
眼鏡レンズ30は、より正確には、眼鏡フレーム10の対応リム11のベゼル16に嵌め込むことができる取付け用リブ(又はヤゲン)を縁面33に形成するべく縁摺り加工されるように意図されている。
【0040】
この眼鏡レンズ30は、眼鏡装用者の必要性に応じて調整された光学特性を有する。それは特に、装用者に特有のプリズム、円筒及び球面屈折特性を有する。
【0041】
この眼鏡レンズ30にはさらに、標識34、35が与えられ、それにより、装用者によって選択された眼鏡フレーム10に挿入するために眼鏡レンズ30の基準の光学枠を位置付けることが容易になる。ここではこれらの標識は一時的なインクの標識34、35から構成される。
【0042】
ここでは、説明を簡単にするために、もっぱら球面の光学パワーを有するレンズの事例が考慮される。
【0043】
これらの標識はセンタリング用十字34を含み、センタリング用十字34により、レンズの中心点の位置、すなわち入射光線及び透過光線が同じ軸を有する地点の位置を位置付けることが可能になる。さらに、それらは、このセンタリング用十字34の両側に、眼鏡レンズ30の水平を示す2本の水平線35を含む。
【0044】
眼鏡レンズ30の基準の光学枠は、前記水平線35と平行な水平軸X2、y軸Y2、及び中心点34で眼鏡レンズ30の前面に接する面に対して垂直な垂直軸Z2を含む正規直交座標系を特徴とする。
【0045】
図4はセンタリング−ブロッキング装置100を示す。
【0046】
そのような装置は一般に、眼鏡フレーム10に挿入される眼鏡レンズ30をセンタリングしブロッキングする作業を実行するために使用される。
【0047】
センタリング作業の目的は、眼鏡レンズ30の基準の枠を位置付けること、及び、レンズが、いったん輪郭に沿って縁摺り加工されその後眼鏡フレームに挿入されると、個々の対応する眼に対向して適切にセンタリングされなければならない場合、輪郭(それに対してレンズを切削しなければならない)が占めなければならない位置を決定することである。
【0048】
ブロッキング作業の目的は、ブロッキングアクセサリを眼鏡レンズ上に配置することであり、それにより、一方で、レンズをセンタリング−ブロッキング装置100から研削機に移動するためにレンズを持ち上げることがより簡単になり、他方で、移動されたあとレンズの基準の枠の位置を位置付けることを可能にする安定位置インジケータを提供する。
【0049】
このためセンタリング−ブロッキング装置100は、
− シャーシ103、
− シャーシ103に結合され、及び水平面(例えばテーブル)の上に乗る作業ステーション101、
− シャーシ103に結合され、及び作業ステーション101で作業する眼鏡士が見ることができるように向けられるタッチディスプレイスクリーン104、
− レンズをセンタリングする手段109であって、シャーシ103に結合された前記手段109、及び、
− シャーシ103に移動可能に取り付けられたブロッキング手段108、
を含む。
【0050】
作業ステーション101は、眼鏡レンズを載せるための領域102に開口する水平作業面を含む。
【0051】
この載置領域102はこの事例において、水平作業面の円形開口を満たす透明且つ平坦な支持板105と、眼鏡レンズホルダ1とを含む。このホルダ1はここでは支持板105上に置かれた三脚の形態を取る。
【0052】
ブロッキング手段108に関して、それらは操縦アーム106を含み、操縦アーム106には、あらかじめ受部110に置かれたブロッキングアクセサリを持ち上げるのに適し、かつ前記アクセサリを眼鏡レンズの前面の所定位置に置くのに適した掴み器107が取り付けられている。
【0053】
図4に示されるものなど、操縦アーム106は電動式である。それは、上げるために又は載置領域102に下げるために軸A6に沿って並行移動すること、及び載置領域102から又は載置領域102の方に移動するために軸A6に直交する軸A4の周りを回転移動することが可能である。
【0054】
眼鏡レンズをセンタリングするための手段109は、眼鏡レンズ30の前面31に描かれた又は刻まれた様々なセンタリング用標識34、35の位置及び向きを特定することによって、三脚1上に置かれた眼鏡レンズ30の基準の枠の位置を決定するように部分的に設計される。
【0055】
図5が示すように、これらのセンタリング手段109は、眼鏡レンズ30を照らすための手段120と、照明手段120によって照らされた眼鏡レンズ30の画像を取得するための手段130と、取得した画像を解析するための処理手段140とを含む。
【0056】
本発明の好ましい実施形態において、照明手段120及び取得手段130は、載置領域102の同じ側に位置付けられる。
【0057】
光を反射するために、反射装置102Bが次に載置領域102の反対側に支持板105の下に導入される。ここではこの反射装置102Bは固定された鏡によって形成される。
【0058】
照明手段120はここでは、穿孔板122を使用して点光源に転換される拡張された光源121を含み、穿孔板122は拡散光ビームを照射する。それらはまた、45°傾けられた鏡123であって、この拡散光ビームを反射し、及びアセンブリの嵩が低減されることを可能にする鏡123と、三脚1の方向に平行な光線を含む光束125を形成するのに適した収束レンズ124とを含む。
【0059】
取得手段130は、鏡123に加えて、45°傾けられた半透鏡134と、少なくとも1つの画像を取得するためのデジタルビデオカメラ133とを部分的に含む。半透鏡134は光源の前に置かれ、光の一部がレンズに向かって透過されることを可能にし、及びレンズの画像がデジタルビデオカメラ133に向かって部分的に反射されることを可能にする。従ってビデオカメラ130は、三脚1の上に置かれた眼鏡レンズ30の画像を取得するのに好適であり、その画像中、眼鏡レンズ30の輪郭及びセンタリング用標識34、35が特に現れる。
【0060】
同様にビデオカメラ130は、このために三脚1の上に置かれたデモンストレーションレンズ20の1つの画像を取得するのに完全に適しており、その画像中、このデモンストレーションレンズ20の初期輪郭C0が特に現れる。
【0061】
画像処理手段は、センタリング−ブロッキング装置100の電子制御システム140の一体部分を形成する。
【0062】
この電子制御システムは、以下で「コンピュータ140」ともよばれ、プロセッサ(CPU)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、アナログ−デジタル(A/D)コンバータ及び様々な入力及び出力インターフェースを含む。
【0063】
その入力インターフェースのおかげで、コンピュータ140は、特にビデオカメラ133からの、及びタッチディスプレイスクリーン104からの入力信号を受けるのに適している。
【0064】
そのリードオンリーメモリに記憶されたソフトウェアパッケージのおかげで、コンピュータ140は、ビデオカメラ133によって取得された画像及びディスプレイスクリーン104の情報入力を処理し、眼鏡レンズ30をヤゲン加工するための設定CONSをそれらから推測するのに適している。
【0065】
最後に、その出力インターフェースのおかげで、コンピュータ140は、このヤゲン加工設定CONSを研削機に伝達するのに適している。
【0066】
2つの眼鏡レンズ30を眼鏡フレーム10の2つのリム11に挿入するために、眼鏡士は以下の3つの主要な作業:
− 輪郭を取得し(この輪郭に対して眼鏡レンズ30を縁摺り加工する)、
− センタリング−ブロッキング装置100によってレンズをセンタリング及びブロッキングし、そして、
− レンズ100を機械加工する(研削機を使用して、所定のセンタリングパラメータを考慮しながら、所望の輪郭に対してレンズを切削する)こと、
を実行する。
【0067】
センタリング、ブロッキング及び機械加工作業は当業者に周知であり、それらはここでは記載しない。
【0068】
むしろ本発明は、眼鏡レンズ30が縁摺り加工される輪郭を取得する新しい方法に関する。
【0069】
本発明はより正確には、眼鏡フレーム10のリム11の形状に適した輪郭に対して切削機が眼鏡レンズ30を切削することを可能にするために、切削機に伝達されるべきヤゲン加工設定CONSを作成するための方法に関する。
【0070】
本発明の1つの特に有利な特徴によれば、この方法は、
− 対象のレンズ縁11とデモンストレーションレンズ20との間の遊びに関連する補正パラメータP1を取得する第1のステップと、
− あらかじめレンズ縁11から抜き取られたデモンストレーションレンズ20の正面画像を撮影する第2のステップと、
− 前記正面画像において、前記デモンストレーションレンズ20の初期輪郭C0を決定する第3のステップと、
− 少なくとも前記補正パラメータP1に依存して初期輪郭C0を補正することによって、補正された輪郭C1を計算する第4のステップと、
− 前記補正された輪郭C1に依存して前記ヤゲン加工設定CONSを推測する第5のステップと
を含む。
【0071】
本記載の残りの部分に記載されるように、第4のステップにおいて、補正された輪郭C1は任意選択的に、以下のリストから選択された他の補正パラメータに依存して計算されることもある:
− 眼鏡レンズ30の材質に関連する補正パラメータP2、
− 眼鏡フレームの材質に関連する補正パラメータP3、
− 眼鏡フレーム10のレンズ縁11に眼鏡レンズ30を挿入するために使用されると予想される熱間又は冷間挿入モードに関連する補正パラメータP4、
− 眼鏡レンズ30の光学パワーに関連する補正パラメータP5、
− 眼鏡レンズ30の厚さに関連する補正パラメータP6、
− 使用者が眼鏡レンズ30を遊びあり又はなしで眼鏡フレーム10のレンズ縁11に嵌め込みたいかどうかに関連する補正パラメータP7(特に特定の眼鏡士は嵌め込みを促すためにレンズとそのリムとの間にわずかな遊びがあることを好む)。
【0073】
第1のステップにおいて、眼鏡士は、センタリング−ブロッキング装置100を起動し、これによりコンピュータ140が始動される。
【0074】
コンピュータ140は続いて、2枚のデモンストレーションレンズ20のそれぞれの補正パラメータP1を入力するように眼鏡士に要請するメニューがディスプレイスクリーン104に表示されるように命令する。
【0075】
ここでこのメニューは、2枚すなわち左及び右それぞれのデモンストレーションレンズ20に対応する2つの部分に分割される。
【0076】
これらの部分のそれぞれは、眼鏡士に3つのボタンの内の1つを選択するように要請する。3つのボタンの上にはメッセージ「遊びなし」、「ごくわずかな遊び」、「かなりの遊び」が表示されている。
【0077】
どのボタンを選択するかを決定するために、眼鏡士は次に、リム11内のデモンストレーションレンズ20のそれぞれのアセンブリの質を確かめるように、デモンストレーションレンズ20が取り付けられた眼鏡10のペアに触れる。
【0078】
そのようにして眼鏡士は、各デモンストレーションレンズ20について、
− それがかなりの量の遊びとともにそのリム11に取り付けられているかどうか(レンズが非常に小さくトリミングされていて、実際にリム11の中で動く)、
− それが少量の遊びとともにそのリム11に取り付けられているかどうか(レンズが非常に大きくトリミングされていて、リム11から簡単に落下する)、
− それが遊びなしでそのリム11に取り付けられているかどうか(レンズはリム11に正しく保持されている)、
を簡単に観察する可能性がある。
【0079】
続いて、各デモンストレーションレンズ20について、眼鏡士は観察された遊びに対応するボタンをディスプレイスクリーン104上で選択する。
【0080】
このようにしてコンピュータ140は2枚のデモンストレーションレンズ20に割り当てられた補正パラメータP1を取得する。
【0081】
一度この第1のメニューが認証されると、コンピュータ140は次に、眼鏡レンズ30の材質に関連する補正パラメータP2を入力するように眼鏡士に要請する第2のメニューがディスプレイスクリーン104に表示されるように命令する。
【0082】
ここで再びこのメニューは、2枚すなわち左及び右それぞれの眼鏡レンズ30に対応する2つの部分に分割される。
【0083】
これらの部分のそれぞれは、眼鏡士に6つのボタンの内の1つを選択するように要請する。6つのボタンの上には以下のメッセージ、
− 「有機物」(1.5に等しい指数)、
− 「中間指数の有機物」(1.6に等しい指数)、
− 「高指数の有機物」(1.75に等しい指数)、
− 「Trivex(登録商標)」(1.53に等しい指数)、
− 「無機物」(1.5に等しい指数)、及び
− 「ポリカーボネート」(1.59に等しい指数)、
が表示されている。
【0084】
次に、眼鏡レンズ30ごとに、眼鏡士は眼鏡レンズ30の材質に一致するボタンをディスプレイスクリーン104上で選択する。
【0085】
一度この第2のメニューが認証されると、コンピュータ140は、補正パラメータP3(眼鏡フレーム10の材質に関連する)及び補正パラメータP4(リム11に眼鏡レンズ30を挿入するために使用されると予想される熱間又は冷間挿入モードに関連する)を入力するように眼鏡士に要請する第3のメニューがディスプレイスクリーン104に表示されるように命令する。
【0086】
このメニューは眼鏡士に、メッセージ「プラスチックフレーム」及び「金属フレーム」が表示された2つのボタンの内の1つを選択するように、続いてメッセージ「冷間挿入」及び「熱間挿入」が表示された2つのボタンの内の1つを選択するように要請する。
【0087】
眼鏡士は次に、顧客によって選択された眼鏡フレーム10の材質に一致するボタンを、及び自分が眼鏡レンズ30を眼鏡フレーム10に嵌め込むために使用する挿入モードに一致するボタンを選択する。
【0088】
一度この第3のメニューが認証されると、コンピュータ140は、2枚の眼鏡レンズ30の球面及び/又は円筒及び/又はプリズム屈折力に関連する補正パラメータP5を入力するように眼鏡士に要請する第4のメニューがディスプレイスクリーン104に表示されるように命令する。
【0089】
ここでこのメニューは、2枚すなわち左及び右それぞれの眼鏡レンズ30に対応する2つの部分に分割される。
【0090】
これらの部分のそれぞれは、眼鏡レンズ30の球面屈折力に対応する数値を入力するように眼鏡士に要請する。
【0091】
最後に、いったんこの第4のメニューが認証されると、コンピュータ140は、使用者が眼鏡レンズ30を遊びあり又はなしで眼鏡フレーム10に嵌め込みたいかどうかに関連する補正パラメータP7を入力するように眼鏡士に要請する第5及び最後のメニューがディスプレイスクリーン104に表示されるように命令する。
【0092】
このメニューは、メッセージ「遊びなしで嵌め込む」及び「わずかな遊びとともに嵌め込む」が表示された2つのボタンの内の1つを選択するように眼鏡士に要請する。
【0093】
眼鏡士は次に、自分の要望に一致するボタンを選択する。
【0094】
この補正パラメータP7の入力は、センタリング−ブロッキング装置100を取得した後、最初に必要である。
【0095】
眼鏡士によって選択される補正パラメータP7が常に同じであることをコンピュータ140が観察した場合、この第5のメニューをもう表示しないという対策、及びこのパラメータを変更しないように考慮するという対策が場合により取られる。
【0096】
第2のステップにおいて、眼鏡士は、初期輪郭C0の形状を取得することができるように、眼鏡フレーム10からデモンストレーションレンズ20を抜き取る。
【0097】
実際には眼鏡士は、最も少ない遊びとともにリム11に取り付けられているデモンストレーションレンズ20を選択する。特に、最良の基礎となるものはその初期輪郭C0であり、眼鏡レンズ30をそれに対して縁摺り加工する補正された輪郭C1をその初期輪郭C0から決定する。
【0098】
次に眼鏡士は、凹状背面がセンタリング−ブロッキング装置100の三脚1の上に載るようにこのデモンストレーションレンズ20をセンタリング−ブロッキング装置100に置く。
【0099】
この位置で、
図5が示すように、デモンストレーションレンズ20の中心軸A3(すなわちデモンストレーションレンズ20の前面の中心点を通過する軸であり且つこの中心点でデモンストレーションレンズ20の前面に接する面と直交する軸)は、レンズに到達する光線と実質的に平行である。
【0100】
ビデオカメラ133は従って、デモンストレーションレンズ20の正面画像、すなわち中心軸A3と直交する面の画像を取得し得る。
【0101】
第3のステップにおいて、この画像のおかげで、コンピュータ140は、このデモンストレーションレンズ20の初期輪郭C0の二次元形状を決定しメモリに記憶し得る。
【0102】
この決定ステップは、センタリング−ブロッキング装置100の制御ソフトウェアパッケージの特別な修正を必要としない。なぜならそのようなセンタリング−ブロッキング装置は、眼鏡レンズの輪郭をセンタリングされるように位置付けることができるように設計されているからである。
【0103】
この事例において、登録された初期輪郭C0は、デモンストレーションレンズ20のヤゲン26の頂部によって描かれた湾曲に一致する。
【0104】
この初期輪郭C0は、場合により数学的関数の形態のメモリに記憶される。
【0105】
ここで、初期輪郭C0の形状を特徴とするn地点の二次元座標に一致するnダブレットの組の形態でメモリに記憶されることが考慮される。
【0106】
360地点の組がここでは使用される。
【0107】
第4のステップにおいて、コンピュータ140は、眼鏡レンズ30が「最初のラウンド」でリム11に嵌め込まれるように(すなわち再加工を必要としないように)初期輪郭C0の形状を補正する。
【0108】
最初に計算される補正輪郭C1は、デモンストレーションレンズ20(画像が取得されたレンズ)が抜き取られたリム11に係合される眼鏡レンズ30のものである。
【0109】
実際には補正輪郭C1の計算は、ここでは比率kの及び中心A1の相似変形を初期輪郭C0に適用するものである。
【0110】
この相似変形の中心A1は、初期輪郭C0の内側に含まれるいずれかの地点である場合がある。
【0111】
ここでは、
図3が示すように、それは、初期輪郭C0の「箱形中心Ci」すなわち初期輪郭C0を囲み且つその辺の内の2つが水平線35と平行である矩形の中心の問題である。
【0112】
この相似変形の比率kは、補正パラメータP1、P2、P3、P4、P5及びP7に依存して部分的に決定される。
【0113】
それは従って、例えば以下のように決定される場合がある。
【0114】
考慮される第1のケースi)は、眼鏡士によって入力されたパラメータP1が第1のデモンストレーションレンズ20が遊びなしでリム11に取り付けられていたことを示すものである。
【0115】
このケースi)では、コンピュータ140は、他の補正パラメータP2、P3、P4、P5及びP7の値が何であろうと、比率kに値1を割り当てる。
【0116】
従って補正された輪郭C1は、このケースでは初期輪郭C0と同じであることが理解される。
【0117】
考慮される第2のケースii)は、眼鏡士によって入力されたパラメータP1が、第1のデモンストレーションレンズ20が遊びとともにリム11に取り付けられていたことを示すものである。
【0118】
パラメータP1が、第1のデモンストレーションレンズ20がごくわずかな遊びとともにリム11に取り付けられていたことを示す場合、コンピュータ140は、比率k
0に値1.015を割り当てる。
【0119】
そうでない場合、パラメータP1が、第1のデモンストレーションレンズ20がかなりの遊びとともにリム11に取り付けられていたことを示す場合、コンピュータ140は、比率k
0に値1.025を割り当てる。
【0120】
この第2のケースii)では、比率k
0は、他の補正パラメータP2、P3、P4、P5及びP7に依存して後で練り直される。
【0121】
従って補正パラメータP2(眼鏡レンズ30の材質に関連する)が、眼鏡レンズ30の指数が1.5と1.6の間に含まれる(これはレンズが柔軟であると考えられ得ることを意味する)ことを示す場合、比率k
0はわずかに増大され得る。特に、眼鏡レンズ30の柔軟性は、リム11への眼鏡レンズ30の嵌め込みが、わずかによりきつくなることを許容する。
【0122】
実際には新しい比率k
1が以下の式を用いて計算される場合がある:
k
1=k
0+a、aはコンピュータのリードオンリーメモリから読み出された定数であり、その値は眼鏡レンズ30の材質に依存し、及びそれは経験的に得られる。指数nが高くなるほど、この定数は低くなる。
【0123】
補正パラメータP3(眼鏡フレーム10の材質に関連する)が、(プラスチック製のため)眼鏡フレーム10が柔軟であると考えられ得ることを示す場合、比率k
1はわずかに増大され得る。特に、フレームの柔軟性は、リム11への眼鏡レンズ30の嵌め込みが、わずかによりきつくなることを許容し得る。
【0124】
実際には新しい比率k
2が以下の式を用いて計算される:
眼鏡フレーム10が金属製の場合、k
2=k
1、及び
眼鏡フレーム10がプラスチック製の場合、k
2=k
1+b、bは経験的に得られる厳密に正の定数である。
【0125】
補正パラメータP4(リム11に眼鏡レンズ30を挿入するために使用される熱間又は冷間挿入モードに関連する)が、眼鏡レンズ30がリム11に熱間で挿入されることを示す場合、比率k
2はわずかに増大され得る。特に、この挿入方法は、リム11への眼鏡レンズ30の嵌め込みが、わずかによりきつくなることを許容する。
【0126】
実際には新しい比率k
3が以下の式を用いて計算される:
選択される挿入方法が「冷間挿入」の場合、k
3=k
2、及び
選択される挿入方法が「熱間挿入」の場合、k
3=k
2+c、cは経験的に得られる厳密に正の定数である。
【0127】
補正パラメータP5(眼鏡レンズ30の屈折特性に関連する)が、眼鏡レンズ30が、いったん縁摺り加工されると、小さい厚さの縁部を有することを示す場合、比率k
3はわずかに増大され得る。特に、眼鏡レンズ30の縁部のこの小さい厚さはその柔軟性を増大し、これは、リム11への眼鏡レンズ30の嵌め込みをわずかによりきつくすることを可能にする。
【0128】
実際には新しい比率kが以下の式を用いて計算される:
レンズが正の球面力を有する場合、k=k
3、及び
レンズが負の球面力を有する場合、k=k
3+d、dは経験的に得られる厳密に正の定数である。
【0129】
2つの想定されるケースi)及びii)において、相似率kがそのようにして得られる。
【0130】
この比率kは、使用者が眼鏡レンズ30を遊びあり又はなしで眼鏡フレーム10のリム11に嵌め込みたいかどうかを考慮するために最後にもう一度だけ補正され得る。従って、補正パラメータP7が、眼鏡士がわずかな遊びとともにレンズを嵌めることを望むことを示す場合、この比率kに対して、厳密に正の定数e(経験的に得られる)が加えられる場合がある。
【0131】
いったんこの比率kが設定されると、コンピュータ140は、補正された輪郭C1の360地点の座標を計算する。
【0132】
最終ステップにおいて、コンピュータ140は、この補正された輪郭C1から、ヤゲン加工設定CONSを作成する。
【0133】
これを実行するために、コンピュータ140は、予め決定された基準表面上への補正された輪郭C1の360地点の投影から発行された360地点の空間座標を決定する。
【0134】
この予め決定された基準表面は、ここでは眼鏡レンズ30の前面の形状を代表する。それは従って球面であり、また、眼鏡士がディスプレイスクリーン104に前もって入力した曲率半径を有する。
【0135】
投影はここでは軸Z2に沿った直角投影である。
【0136】
これらの360地点は従って三次元の輪郭を決定し、それは眼鏡レンズ30の縁面に形成されるヤゲンの頂部が有さなければならない形状に一致する。
【0137】
従って、この三次元の輪郭は、第1の眼鏡レンズ30をヤゲン加工するための設定CONSである。
【0138】
次にコンピュータ140は、第2の眼鏡レンズ30のヤゲン加工設定点CONS’を計算し続ける。
【0139】
簡単且つ迅速にするため、この計算は、第2のデモンストレーションレンズ20の画像ではなく初期輪郭C0の対称に基づいて、実行される。
【0140】
続いて、初期輪郭C0のこの対称を補正するために補正パラメータが使用され、補正された輪郭C1’を得るようにする。
【0141】
一般に2枚のレンズに割り当てられる補正パラメータは異なるので、2つの補正された輪郭C1、C1’は対称でないことが指摘される。
【0142】
本発明は、記載され且つ示される実施形態に少しも限定されず、当業者は本発明の趣旨に従ってあらゆる変形を本発明に適用することができる。
【0143】
相似率kは特に他のパラメータに依存して練り直される可能性がある。
【0144】
従ってそれは、例えば初期輪郭がむしろ円形又は正方形として考慮されるかどうかに依存して補正される場合がある。特に初期輪郭がむしろ正方形の場合、眼鏡レンズのヤゲンが機械加工中削減される危険があることが知られており、これは最終的に眼鏡レンズの周囲長さを低減する。この場合、周囲長さのこの低減を予想して、経験的に得られる非ゼロの定数によって相似率kを低減する対策が場合により取られ得る。
【0145】
別の変形によれば、最終的な輪郭は、初期輪郭を非相似的に変形することによって得られる場合がある。従って最終的な輪郭は、初期輪郭を、その(Y2に沿った)高さは同じままで、その(X2に沿った)幅だけ変形することによって得られる場合がある。
【0146】
別の変形によれば、眼鏡レンズの縁部の厚さを見積もるために使用されるパラメータは、レンズの球面力でなく、眼鏡士がレンズが厚い縁面を有すると判断するかどうかに依存して眼鏡士によって入力されたデータである可能性がある。
【0147】
本発明の別の変形によれば、補正パラメータ(リムとデモンストレーションレンズとの間の遊びに関連する)を取得するために、例えば、メッセージ「きつく嵌まり過ぎ」、「遊びなし」、「わずかな遊び」、「中くらいの遊び」及び「かなりの遊び」が表示される5つのボタンを表示することによって、コンピュータが眼鏡士により多くの選択肢を提供する対策を取ることができた。ボタン「きつく嵌まり過ぎ」が選択される場合、比率k
0に値0.09を割り当てる対策が取られる可能性がある。
【0148】
本発明の別の実施形態によれば、比率k
0並びに係数a、b、c及びdに割り当てられた値をあらかじめ決定する対策が取られることがあるが、代わりにこれらの値はセンタリング−ブロッキング装置100が学習するにつれて変化することもある。
【0149】
この他の実施形態では、納入にあたり、比率k
0並びに係数a、b、c及びdに割り当てられた値を、上に記載した第1実施形態で使用された値よりもわずかに高くする対策が取られるかもしれない。
【0150】
結果として、ヤゲン加工された眼鏡レンズ30を、センタリング−ブロッキング装置100の第1の使用サイクルでそれらの眼鏡フレーム10に挿入することは一般に不可能であろう。
【0151】
眼鏡士は次に、眼鏡レンズ30を眼鏡フレーム10に挿入できるように各眼鏡レンズ30のヤゲン加工の再加工を強いられ得る。この再加工作業において、眼鏡士は特に、自分の好みに応じて眼鏡レンズ30を遊びあり又はなしでリム11に嵌め込むことができるような方法で眼鏡レンズ30を縁摺り加工するかもしれない。
【0152】
この実施形態では、センタリング−ブロッキング装置100は、再加工作業を利用して、比率k
0に並びに係数a、b、c及びdに割り当てられた値を任意選択的に調整し得る。
【0153】
再度縁摺り加工された眼鏡レンズ30を眼鏡フレーム10に挿入する前、眼鏡士は、コンピュータ140が眼鏡レンズ30の再加工された輪郭C2を取得できるように、この眼鏡レンズ30をセンタリング−ブロッキング装置100の三脚1の上に置き得る。
【0154】
次にコンピュータ140はこの再加工された輪郭C2を、補正された輪郭C1と比較するかもしれない。
【0155】
それは特に、眼鏡レンズ30が最初のラウンドで眼鏡フレーム10のリム11に挿入されることを可能にする最終的な輪郭を取得するために初期輪郭C0に割り当てられる必要があったであろう比率k
rを計算する場合がある。
【0156】
コンピュータ140は次に、サイクルごとに、最初に割り当てた比率kと比率krとの間の差Δkをメモリに記憶し得る。
【0157】
そのようにしてコンピュータ140は、最初のラウンドでフレームに挿入可能であり且つさらに遊びあり又はなしの嵌め込みについての好みの点で眼鏡士を満足させる縁摺り加工されたレンズを得ることが最終的にできるように、比率kを計算する方法を補正する可能性がある。
【0158】
より正確には、コンピュータ140は、先行サイクルでメモリに記憶された差Δkに依存して、切削機に送られる前に比率kを補正する可能性がある。
【0159】
そうでない場合、それはメモリに記憶された差Δkに依存して比率k
0に並びに係数a、b、c及びdに割り当てられた値のそれぞれを修正する可能性がある。この第2の方法はより正確であり得、また、長期的により良い結果が得られることを可能にし得る。しかしながら、それはより長い学習期間を、従って短期的により多くの再加工作業を必要とする。