特許第6416973号(P6416973)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6416973-注射器 図000002
  • 特許6416973-注射器 図000003
  • 特許6416973-注射器 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6416973
(24)【登録日】2018年10月12日
(45)【発行日】2018年10月31日
(54)【発明の名称】注射器
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/315 20060101AFI20181022BHJP
【FI】
   A61M5/315 502
【請求項の数】1
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2017-83720(P2017-83720)
(22)【出願日】2017年4月20日
【審査請求日】2017年7月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】517141476
【氏名又は名称】本橋 宜和
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】本橋 宜和
【審査官】 杉▲崎▼ 覚
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−051548(JP,A)
【文献】 特表2016−508786(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/315
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前端部に注射針取付部7を備えた注射器本体2、前記注射器本体2内を前後に摺動可能なガスケット3、前記ガスケット3に接続されたプランジャ4を備えた注射器1であって、前記注射針取付部7に注射針6を取り付けて前記プランジャ4を引いて薬液10を前記注射器内に取り込んだときに、前記薬液10を含む空間の陰圧による前記ガスケット3の前記注射針6側への戻りを防止することができる戻り防止機構5を備え、
前記戻り防止機構5は、前記プランジャ4の少なくとも1つの係合部4aと、前記係合部4aに係合する前記注射器本体2の少なくとも1つの柔軟な突部2aから構成され、前記戻り防止機構5は前記プランジャ4を静止した状態では前記プランジャ4の移動を防止することができるが、強く押す又は強く引いたときに前記プランジャ4の移動を妨げないものであり、
前記突部2aは、前記注射器本体2の目盛り2bに対応する位置であって、前記注射器本体2の内側に設けられる、注射器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、注射器に関する。
【背景技術】
【0002】
医療現場で使用されている注射器は、目的に合った薬液の密封容器から薬液を吸引して使用する。バイアルなどの密封容器から薬液を注射器内に吸引すると、注射器内が陰圧になるためプランジャが前方(注射針の方向)に動こうとする。プランジャが前方に動くと注射針から薬液が漏れるので、医師、看護師等はプランジャが動かないようにプランジャを保持する必要があり、負担となっていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、所定量の薬液を吸引した注射器のプランジャ/ガスケットの戻りを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、以下の注射器を提供するものである。
項1. 前端部に注射針取付部7を備えた注射器本体2、注射器本体2内を前後に摺動可能なガスケット3、前記ガスケット3に接続されたプランジャ4を備えた注射器1であって、前記取付部7に注射針6を取り付けて前記プランジャ4を引いて薬液10を注射器内に取り込んだときに、薬液10を含む空間の陰圧による前記ガスケット3の注射針6側への戻りを防止することができる戻り防止機構5を備えた、注射器。
項2. 前記戻り防止機構5は、プランジャ4の少なくとも1つの係合部4aと、前記係合部4aに係合する注射器本体2の少なくとも1つの柔軟な突部2aから構成され、前記戻り防止機構5はプランジャ4を静止した状態ではプランジャ4の移動を防止することができるが、強く押す又は強く引いたときにプランジャ4の移動を妨げないものである、項1に記載の注射器。
項3. 前記突部2aは、注射器本体の目盛り2bに対応する位置に設けられる、項2に記載の注射器。
項4. 前記戻り防止機構5は、注射器本体2の外部に存在するプランジャ4の係合部4aと注射器本体2の外側の突部2aから構成される、項1に記載の注射器。
項5. プランジャ4を回転することで、プランジャ4と注射器本体2の係合部4a、2aが係合位置又は非係合位置をとることができる、項1に記載の注射器。
【発明の効果】
【0005】
本発明の注射器は、薬液を吸引した後にプランジャ/ガスケットの戻りを止めることができるので、医師、看護師等の負担が軽減される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本発明の注射器を示す断面図である。
図2】本発明の注射器を示す断面図である。
図3】本発明の注射器を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1に示すように、本発明の注射器1は、円筒状の注射器本体2、注射器本体2内を前後に摺動可能なガスケット3、ガスケット3に接続されたプランジャ4、戻り防止機構5を備えている。注射器本体2の前端側には注射針6を取り付けるための注射針取付部7が設けられ、注射器本体2の後端側にはフランジ8が設けられている。注射針6は基部9を注射器取付部7に嵌合することで取り付けられる。
【0008】
図1において、戻り防止機構5はプランジャ4の係合部4aと、前記係合部4aに係合する注射器本体2の複数の柔軟な突部2aから構成され、前記突部2aは目盛り2bに合わせて一定の間隔で設けられている。注射針6を取り付けてプランジャ4を引くことによりバイアル11から薬液10を注射器本体2とガスケット3で囲まれる空間内に吸引することができる。このとき、薬液を含む空間は陰圧になるのでプランジャ及びガスケットは前端側に引っ張られる。しかしながら、プランジャ4の係合部4aと注射器本体2の突部2aを係合させることにより、ガスケット3とプランジャ4は前端側への移動を抑制される。従来は、薬液の吸引後、医療従事者がプランジャ4を手で押さえ、プランジャ4の移動による薬液の漏れを防止していたが、本発明では戻り防止機構によりガスケット3及びプランジャ4の移動が抑制されるので、医療従事者の負担を軽減することができる。
【0009】
図2は、注射器本体2の外表面に突部2aを設け、プランジャ4の係合部4aをプランジャの後端からプランジャ4と平行に、かつ、注射器本体2の外表面の突部2aと係合できるように形成している。プランジャ4は係合部4aが突部2aと係合する位置で止まる。突部2aを目盛りに合わせて形成することで、薬液を一定量注射器本体内に吸引することができる。プランジャの係合部4aは薬液を吸引又は放出する場合には、フランジ8と係合しない位置で動かすことができ、プランジャの位置を止める場合にはフランジ8と係合するようにプランジャを回転することができる。
【符号の説明】
【0010】
1 注射器 2 注射器本体 2a 突部 2b 目盛り
3 ガスケット 4 プランジャ 4a 係合部 5 戻り防止機構
6 注射針 7 注射針取付部 8 フランジ 9 基部 10薬液
11 バイアル
【要約】
【課題】所定量の薬液を吸引した注射器のプランジャ/ガスケットの戻りを抑制する。
【解決手段】前端部に注射針取付部7を備えた注射器本体2、注射器本体2内を前後に摺動可能なガスケット3、前記ガスケット3に接続されたプランジャ4を備えた注射器1であって、前記取付部7に注射針6を取り付けて前記プランジャ4を引いて薬液10を注射器内に取り込んだときに、薬液10を含む空間の陰圧による前記ガスケット3の注射針6側への戻りを防止することができる戻り防止機構5を備えた、注射器。
【選択図】図1
図1
図2
図3