(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記画像処理装置は、前記3次元カメラの出力信号から距離情報を含む距離画像を生成する距離画像生成部と、前記距離画像に基づいて複数の空間領域の状態を判定する判定部とを含む、請求項1または2に記載の監視装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1から
図14を参照して、実施の形態における監視装置について説明する。本実施の形態の監視装置は、予め定められた作業を行うロボットを備えるロボットシステムに配置されている。監視装置は、予め定められた監視領域の状態を監視する。
【0013】
図1は、本実施の形態におけるロボットシステムの概略図である。
図2に、本実施の形態のロボットシステムの部分断面図を示す。
図2は、
図1におけるA−A線に関する矢視断面図である。
図3に、本実施の形態のロボットシステムのブロック図を示す。
図1から
図3を参照して、本実施の形態のロボットシステムは、予め定められた作業を行うロボット11と、ロボット11を制御するロボット制御装置12とを備える。
【0014】
ロボット11には、エンドエフェクタとしてのハンド13が連結されている。本実施の形態のロボット11は、コンベア14にて搬送されたワーク19に対して部品の取付けを行う。コンベア14は、矢印81に示す方向にワーク19を搬送する。ロボットの作業は部品の取付けに限られず、任意の作業を行うことができる。例えば、ロボットが行う作業には、ワークの向きの変更、溶接、および塗装等が含まれる。エンドエフェクタは、ロボットが行う作業に応じた装置が選定される。
【0015】
ロボット制御装置12は、例えば、バスを介して互いに接続されたCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、およびROM(Read Only Memory)等を備える演算処理装置(デジタルコンピュータ)にて構成されている。ロボット制御装置12は、ロボット11およびハンド13に対して動作指令を送出する。
【0016】
ロボット11の周りには、ロボット11が作業する領域として作業領域67が予め設定されている。作業領域67には、作業者の接近が制限されている装置が配置される。作業領域67は、安全のために設定され、作業者の進入を制限する領域である。作業領域67は、例えば、ロボット11が作業を行う時に作業者18または搬送車等がロボット11に接触しないように設定されている。本実施の形態においては、ロボット11の周りに、作業領域67を区画する柵15が配置されている。また、柵15が配置されていない出口部16が形成されている。コンベア14は、出口部16を通るように配置されている。ワーク19は、出口部16を通って作業領域67から搬出される。
【0017】
作業者18は、出口部16から柵15にて囲まれる作業領域67に進入することができる。しかしながら、ロボット11が駆動している期間中には、作業者18は作業領域67に進入しないことが好ましい。
【0018】
本実施の形態におけるロボットシステムは、監視装置21を備える。監視装置21は、ロボット11が駆動している期間中に、作業者18が出口部16から作業領域67に進入することを検出する。また、監視装置21は、ワーク19が作業領域67から搬出されることを検出する。本実施の形態においては、ロボット11が駆動している期間中に作業者18が作業領域67に進入した場合に、ロボット制御装置12は、ロボット11およびハンド13を停止する制御を実施する。
【0019】
監視装置21は、作業者18に物体の移動を通知する通知装置としての表示灯29を備える。表示灯29は、所定の色にて発光するように形成されている。表示灯29は、支持部材30により支持されている。表示灯29は、作業者18が見ることができる位置に配置されている。本実施の形態の表示灯29は、出口部16の近傍に配置されている。
【0020】
本実施の形態における監視装置21は、予め定められた領域の画像を撮像するカメラ23を含む。カメラ23は、3次元の画像を取得する3次元カメラである。本実施の形態のカメラ23は、カメラ23のレンズ中心点24から撮像する物体までの距離の情報を含む距離画像を得ることができる。
【0021】
本実施の形態のカメラ23は、光飛行時間方式により距離画像を撮像するカメラであり、TOF(Time of Flight)カメラとも称される。カメラ23は、画素センサを含んでいる。画素センサとしては、距離画像を撮像できる任意の画素センサを採用することができる。例えば、画素センサとして、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサを用いることができる。監視装置21は、カメラ23が撮像する領域に向けて光を発する光源25を含む。光源25は、カメラ23が撮像する時に発光する。カメラ23は、光源25から光を発した後に、対象物の表面にて反射した光を画素センサにて受光する。
【0022】
カメラ23は、柵15に固定された支持部材28に支持されている。カメラ23は、出口部16を撮像できるように配置されている。本実施の形態のカメラ23は、出口部16の真上から出口部16の全体を撮像できるように配置されている。
【0023】
監視装置21は、カメラ23の出力信号の処理を行う画像処理装置22を備える。画像処理装置22は、CPU、ROM、およびRAM等を含む演算処理装置(デジタルコンピュータ)にて構成することができる。画像処理装置22は、ロボット制御装置12と互いに通信できるように形成されている。
【0024】
画像処理装置22は、カメラ23および光源25を制御する撮像制御部33を備える。撮像制御部33は、カメラ23に撮像する指令を送出する。撮像制御部33は、カメラ23にて撮像する時に複数回の光を発光するように光源25を制御する。
【0025】
画像処理装置22は、カメラ23の画像を処理するときの情報を記憶する記憶部37を含む。記憶部37は、例えば、距離画像を判定するときの距離の判定範囲および判定結果を記憶する。画像処理装置22は、カメラ23の画像に関する情報を表示する表示部38を含む。表示部38は、液晶表示パネル等により構成されている。表示部38は、撮像された距離画像を表示することができる。また、表示部38は、警告および判定範囲などを表示することができる。
【0026】
画像処理装置22は、光の飛行時間に基づいてカメラ23の出力信号から距離画像を生成する距離画像生成部31を含む。距離画像には、物体までの奥行きの情報が含まれる。例えば、距離画像には、カメラ23のレンズ中心点24から撮像した対象物までの距離の情報が含まれる。距離の情報は、例えば、画素センサの画素ごとに作成される。距離画像生成部31は、光の伝播時間を算出し、カメラ23から画像に写っている物体までの距離を算出する。距離画像生成部31は、光源25から発した光がカメラ23に戻るまでの時間を計測する。距離画像生成部31は、例えば光の位相差を検出し、光が物体の表面で反射して戻るまでの時間を算出する。距離画像生成部31は、測定した時間と光の速さとに基づいて、対象物までの距離を算出することができる。このように、距離画像生成部31は、カメラ23の画素センサにて生成された信号を受信して、距離画像を作成する。また、距離画像生成部31は、画像に含まれる物体の任意の測定点までの距離に基づいて、測定点の位置を算出しても構わない。
【0027】
画像処理装置22は、カメラ23にて撮像した距離画像の処理を行う演算処理部35を含む。演算処理部35は、距離画像生成部31にて生成された距離画像を取得する画像取得部41を含む。
【0028】
図4に、本実施の形態における監視装置にて監視を行う領域を説明する側面図を示す。
図4では、コンベア14および柵15等を除いた図が示されている。
図5に、本実施の形態における監視を行う領域を説明する斜視図を示す。
図3から
図5を参照して、本実施の形態のカメラ23は、床面51に向かう様に配置されている。カメラ23は、カメラ視線が鉛直方向の下向きになるように配置されている。
【0029】
カメラ23は、撮像領域61を撮像することができる。撮像領域61は、カメラ23のレンズ中心点24から放射状に広がるように設定される。本実施の形態の撮像領域61は、四角錐状になる。撮像領域61の形状としては、この形態に限られず、任意の形状を採用することができる。例えば、撮像領域が円錐状になるカメラを採用しても構わない。
【0030】
撮像領域61の一部には、物体の監視を行う監視領域62が設定されている。監視領域62は、立体的な形状を有する空間領域である。本実施の形態の監視領域62は、直方体状に形成されている。監視領域62の形状は、直方体に限られず、任意の形状を採用することができる。監視領域62は、作業領域67の内側と外側の境界の少なくも一部を含むように設定されている。監視領域62の内部には、監視の対象となる部分である出口部16が含まれる。監視領域62は、内部にワーク19が配置できるように広く設定される。本実施の形態の監視領域62の高さは、柵15の高さと同じである。監視領域62の大きさは、この形態に限られず、任意の大きさに設定することができる。監視領域62の範囲は作業者により予め設定されて、記憶部37に記憶されている。
【0031】
演算処理部35は、監視領域62を分割して複数の空間領域を設定する領域設定部42を含む。本実施の形態の領域設定部42は、監視領域62を3つの空間領域に分割する。領域設定部42による監視領域62の分割方法は、予め定められており、記憶部37に記憶されている。
【0032】
本実施の形態の領域設定部42は、第1の空間領域としての警戒領域63、第2の空間領域としての制限領域64、および第3の空間領域としての中間領域65を設定している。警戒領域63および制限領域64は、監視領域62の境界面を含む境界領域である。
図2を参照して、警戒領域63は、柵15の外側に配置されている。すなわち、警戒領域63は、作業領域67の外側に配置されている。
【0033】
制限領域64は、柵15に囲まれる作業領域67に配置される。制限領域64は、作業者の進入を制限する領域である。本実施の形態では、ロボット11が駆動している期間中に作業者の進入が禁止される領域である。制限領域64は、柵15の内側に配置されている。
【0034】
中間領域65は、警戒領域63と制限領域64との間の領域である。本実施の形態において、中間領域65は、コンベア14にてワーク19が搬送されてきたときに、ワーク19が内部に配置されるように大きく形成されている。中間領域65は、距離画像において中間領域65よりもワーク19が小さくなるように設定されている。
【0035】
図6に、領域設定部により分割された空間領域を説明する斜視図を示す。
図6においては、矢印82に示すように、分割された空間領域を互いに離して記載している。
図3から
図6を参照して、領域設定部42は、カメラ23を始点として放射状に延びる複数の切断面にて監視領域62を分割する。本実施の形態においては、カメラ23のレンズ中心点24を始点として放射状に延びる切断面を採用している。
【0036】
例えば、レンズ中心点24から床面51に向かって延びる平面状の切断面71が設定されている。切断面71は、レンズ中心点24と、監視領域62の底面の頂点66a,66bとを通る平面である。切断面71により、警戒領域63と中間領域65との境界面が設定されている。また、レンズ中心点24から床面51に向かって延びる平面状の切断面72が設定されている。切断面72は、レンズ中心点24と、監視領域62の底面の頂点66c,66dとを通る平面である。切断面72により、中間領域65と制限領域64との境界面が設定されている。また、レンズ中心点24から床面51に向かって延びる平面状の切断面70が設定されている。切断面70は、レンズ中心点24と、監視領域62の底面の頂点66a,66cとを通る平面である。切断面70により、中間領域65と警戒領域63との境界面および中間領域65と制限領域64との境界面が設定されている。その他の空間領域同士の間の境界面も、レンズ中心点24から放射状の延びる切断面によって設定される。なお、切断面78は、警戒領域63と制限領域64との境界面である。切断面78は、作業領域67と作業領域67の外側の領域との境界面上に設定されている。
【0037】
第1の空間領域としての警戒領域63は、矢印81の方向の一方の端部の空間領域である。第2の空間領域としての制限領域64は、矢印81の方向の他方の端部の空間領域である。第1の空間領域および第2の空間領域は、予め定められた方向の端部の空間領域である。第1の空間領域および第2の空間領域は、監視領域62の境界面を含む。このように、領域設定部42は、複数の切断面に基づいて監視領域62を切断し、複数の空間領域を設定することができる。なお、本実施の形態の切断面は平面であるが、この形態に限られず、切断面は曲面であっても構わない。
【0038】
本実施の形態の監視装置21は、それぞれの空間領域において、ワーク19または作業者18等の物体が存在しているか否かを判定する。演算処理部35は、カメラ23にて撮像した距離画像に基づいて、複数の空間領域の状態を判定する判定部43を含む。判定部43は、距離画像に基づいて、監視領域62の状態、警戒領域63の状態、制限領域64の状態、および中間領域65の状態を判定する。
【0039】
本実施の形態における判定部43は、それぞれの空間領域において、監視の対象となる物体が存在しているか否かを判定する領域判定部44を含む。
図2に示す状態では、領域判定部44は、制限領域64に物体が存在していることを判定する。
【0040】
図7に、カメラにて撮像された距離画像の例を示す。
図7では、物体の境界が線にて記載されている。カメラ23から見た画像では、一点透視により得られる画像となる。このために、柵15の頂面15aおよび側面15bが写されている。撮像領域61は距離画像の外側の輪郭69に対応する。距離画像においては、監視領域62に対応する画像領域62aが設定される。警戒領域63に対応する画像領域63aが設定される。また、制限領域64に対応する画像領域64aが設定される。さらに、中間領域65に対応する画像領域65aが設定される。監視領域62は、出口部16の大きさに対応して形成されている。
【0041】
図8に、空間領域およびワークの拡大側面図を示す。
図8に示す例では、監視領域62の内部にワーク19の一部が配置されている。ワーク19は、制限領域64と中間領域65に配置されている。
図3、
図7および
図8を参照して、領域判定部44は、それぞれの空間領域において、物体が存在しているか否かを判定する。本実施の形態においては、それぞれの空間領域に対応する画像領域62a,63a,64a,65aにおいて、複数の測定点が設定される。そして、画像領域62a,63a,64a,65aに写されている物体の測定点について、カメラ23から物体の測定点までの距離の判定範囲が予め定められている。より詳細には、それぞれの画像領域62a,63a,64a,65aに対応する画素センサの画素に対して、距離の判定範囲が予め定められている。画素に対応する空間領域および距離の判定範囲は、それぞれの画素ごとに設定されている。
【0042】
例えば、矢印83に示す方向は、1つの画素に対応する。ここで、測定点76は警戒領域63に含まれるが、測定点77は警戒領域63に含まれない。レンズ中心点24から測定点までの距離は、距離画像から得ることができる。領域判定部44は、レンズ中心点24からの距離が判定範囲DR1に含まれる場合には、測定点は警戒領域63に含まれると判定する。ここでの例では、判定範囲DR1は、距離d1以上距離d2以下の範囲である。測定点76は、判定範囲DR1に含まれるために、警戒領域63に物体が存在していると判定される。測定点77は、判定範囲DR1の外側に配置されるために、警戒領域63に物体が存在していないと判定される。
【0043】
図8に示されるワーク19の検出においては、ワーク19の表面に複数の測定点が設定される。これらの測定点のうち、例えば測定点75が判定される。測定点75に対応する画素について、制限領域64の判定範囲DR2が予め定められている。矢印84に示すレンズ中心点24から測定点75までの距離は、判定範囲DR2に含まれている。このために、領域判定部44は、制限領域64に物体が存在していると判定する。警戒領域63および中間領域65に物体が存在するか否かの判定においても同様の制御により実施することができる。また、検出される物体は、ワーク19に限られず、作業者18および搬送車等の他の物体も含まれる。
【0044】
このように、領域判定部44は、距離画像から物体の表面の測定点までの距離を取得して、測定点までの距離が予め定められた判定範囲内である場合に、画像領域に対応する空間領域の内部に物体が存在すると判定する。本実施の形態の領域判定部44は、物体の少なくとも一部が空間領域に存在するときに、その空間領域に物体が存在すると判定している。
【0045】
ところで、距離画像には、監視の対象となる物体の他にも様々な物体が含まれる。本実施の形態の監視の対象となる物体は、ワーク19および作業者18である。たとえば、
図8に示す例においては、それぞれの空間領域にコンベア14が配置されている。判定範囲を設定する場合には、監視の対象となる物体以外の物体を避けて設定することができる。例えば、
図8の判定範囲DR2に示す様に、コンベア14を避けて判定範囲を設定することができる。
【0046】
このような判定範囲の設定においては、カメラ23は、監視の対象となる物体が配置されていない状態の距離画像を予め撮像することができる。この距離画像を基準画像に設定することができる。基準画像には、柵15およびコンベア14の形状の情報に加えて、柵15までの距離、コンベア14までの距離、および床面51までの距離の情報が含まれる。作業者は、それぞれの部材までの距離と設定される空間領域の境界面とに基づいて、距離の判定範囲を設定することができる。
【0047】
または、領域判定部44は、監視の対象となる物体が距離画像に写っているか否かを判定しても構わない。記憶部37は、監視の対象となる物体を含まない距離画像を基準画像として記憶することができる。カメラ23が画像を撮像した後に、領域判定部44は、今回の距離画像と基準画像とを比較することにより、基準画像に含まれていない物体を検出することができる。この検出において、領域判定部44は、物体の輪郭または物体までの距離を用いることができる。そして、領域判定部44は、基準画像に含まれていない物体を監視の対象となる物体と判定することができる。領域判定部44は、この物体について、それぞれの空間領域に存在しているか否かの判定を行うことができる。この場合の判定範囲は、判定範囲DR1に示す様に、予め配置されているコンベア等の機器は考慮せずに、それぞれの空間領域の境界面に基づいて設定することができる。
【0048】
図9に、他の判定範囲を説明するカメラ、ワーク、およびコンベアの拡大側面図を示す。上記の実施の形態においては、監視領域62の内部の空間に配置されるように判定範囲が設定されているが、この形態に限られない。例えば、カメラ23と監視領域62との間を物体52が通過する場合がある。この場合に、通過する物体52に監視領域62が遮られて、監視領域62の内部に物体が存在するか否かを正確に判定することができない場合がある。そこで、
図9に示す例では、判定範囲の始点をレンズ中心点24に設定している。例えば、警戒領域63に関連して、レンズ中心点24から監視領域62の境界までの範囲を判定範囲DR3に設定している。また、制限領域64に関連して、レンズ中心点24からコンベア14までの範囲を判定範囲DR4に設定している。
【0049】
領域判定部44は、レンズ中心点24から測定点までの距離が判定範囲内である場合に、測定点に対応する空間領域の内部に物体が存在すると判定することができる。この制御により、カメラ23と監視領域62との間に物体が存在して所望の空間領域が死角になった場合にも、安全に評価を行うことができる。例えば、カメラ23と監視領域62との間を物体52が通過している時に、警戒領域63の一部が死角になる。しかしながら、領域判定部44は、測定点79までの距離が判定範囲DR3内であることを検出した場合に、警戒領域63に物体が存在すると判定することができる。このように、判定範囲は、カメラ23を配置する位置および監視領域の設定方法に応じて、任意に設定することができる。
【0050】
図8を参照して、本実施の形態においては、3次元カメラから物体の測定点までの距離として、レンズ中心点24から物体の測定点までの距離を採用しているが、この形態に限られない。3次元カメラから物体の測定点までの距離としては、矢印85に示す様に、レンズ中心点24を通る平面74から測定点75までの距離を採用していても構わない。この場合に、平面74は、カメラ23の視線に対して垂直な方向に延びる平面である。
【0051】
本実施の形態では、カメラ23を始点として放射状に延びる切断面にて監視領域62を分割した空間領域を設定している。このために、領域判定部44は、物体の表面までの距離を判定範囲と比べることにより、物体が空間領域に存在するか否かを判定することができる。領域判定部44は、それぞれの空間領域に物体が存在するか否かを容易に判定することができる。
【0052】
本実施の形態では、領域判定部44は、物体が存在するか否かを警戒領域63および制限領域64において判定する。さらに、領域判定部44は、監視領域62の内部に物体が存在するか否かを判定する。監視領域62の判定においては、監視領域62に関する距離の判定範囲を設けて判定を行うことができる。または、領域判定部44は、中間領域65に関する距離の判定範囲を設定し、中間領域65に物体が存在しているか否かを判定することができる。そして、警戒領域63、中間領域65、および制限領域64のいずれかの領域に物体が存在している場合に、領域判定部44は、監視領域62に物体が存在していると判定しても構わない。
【0053】
次に、判定部43は、物体が移動する方向を判定する。
図1および
図3を参照して、判定部43は、第1の空間領域における物体の存在の状態、第2の空間領域における物体の存在の状態、および第3の空間領域における物体の存在の状態に基づいて、物体の移動方向が正常か否かを判定する移動判定部45を含む。空間領域における物体の存在の状態は、空間領域に物体が存在しているか否かの判定結果に相当する。
【0054】
移動判定部45は、矢印81に示すように、物体が作業領域67の内部から外部に搬出されることを許容する。移動判定部45は、柵15の内側の領域から柵15の外側の領域に物体が移動することを許容する。すなわち、移動判定部45は、制限領域64から警戒領域63に向かう物体の移動は、正常であると判定する。例えば、ワーク19が作業領域67から搬出される場合には、移動判定部45は正常な物体の移動であると判定する。
【0055】
これに対して、移動判定部45は、柵15の外側から柵15の内側の作業領域67に物体が進入すると、異常であると判定する。移動判定部45は、警戒領域63から制限領域64に向かって物体が移動している場合に異常であると判定する。例えば、作業者18が出口部16から柵15の内側に進入した場合に、移動判定部45は異常であると判定する。
【0056】
演算処理部35は、他の装置に情報を送信する送信部48を含む。移動判定部45は、警戒領域63から制限領域64に向かう物体の移動を検出した場合に異常と判定する。次に、送信部48は、作業者の接近が制限されている装置を停止する指令を発信する。本実施の形態において、送信部48は、ロボット制御装置12に対してロボット11およびハンド13を停止する指令を送出する。ロボット制御装置12は、ロボット11およびハンド13を停止する。
【0057】
図10に、本実施の形態におけるロボットシステムの制御を説明するフローチャートを示す。
図10に示す制御は、予め定められた時間間隔ごとに繰り返して実施することができる。
図10および
図3を参照して、ステップ90において、カメラ23は、監視領域62を撮像する。ステップ91において、距離画像生成部31は、距離画像を生成する。ステップ92において、領域判定部44は、それぞれの空間領域に物体が存在するか否かを判定する。ここでは、領域判定部44は、監視領域62、警戒領域63、および制限領域64のそれぞれの空間領域に物体が存在するか否かを判定する。ステップ93において、記憶部37は、今回の距離画像を記憶する。また、記憶部37は、それぞれの空間領域において物体が存在するか否かを記憶する。
【0058】
次に、ステップ94においては、移動判定部45は、前回に撮像した距離画像および今回に撮像した距離画像において、少なくも一つの空間領域に物体が存在するか否かを判定する。すなわち、移動判定部45は、監視領域62、警戒領域63、および制限領域64の少なくとも1つの空間領域に物体が存在しているか否かを判定する。この制御が1回目の場合には、前回の距離画像として基準画像を採用することができる。移動判定部45は、基準画像では、全ての空間領域に物体が存在していないと判定する。
【0059】
ステップ94において、全ての空間領域において物体が存在しない場合には、制御は、ステップ98に移行する。この場合には、ワーク19の搬出または作業者18の進入がないと判定することができる。ステップ98においては、表示灯29を消灯する。表示灯29が既に消灯している場合には、消灯している状態を維持する。次に、この制御を終了する。ステップ94において、前回の距離画像および今回の距離画像において、少なくとも一つの空間領域に物体が存在する場合には、制御はステップ95に移行する。
【0060】
ステップ95において、移動判定部45は、それぞれの空間領域の状態の変化を検出する。移動判定部45は、今回の撮像における物体の存在の状態と、前回の撮像における物体の存在の状態とを取得する。例えば、移動判定部45は、所定の空間領域において、物体が無い状態から物体が有る状態に変化したか、物体が有る状態から物体が無い状態に変化したか、または、物体の存在の状態について変化がないか、について検出する。そして、ステップ96において、移動判定部45は、空間領域の状態の変化が許容されるか否かを判定することにより、物体の移動方向が正常か否かを判定する。
【0061】
図11に、許容される空間領域の状態の変化の説明図を示す。
図11は、ワーク19が作業領域67から搬出されるときのそれぞれの空間領域の状態の変化を示している。状態101においては、制限領域64、監視領域62、および警戒領域63において、物体が検出されない状態である。次の状態102においては、ワーク19が移動して、ワーク19の少なくとも一部が制限領域64に存在している。状態102は、例えば、
図8に示すワーク19の一部が中間領域65および制限領域64に配置されている状態である。この状態では、制限領域64と監視領域62において物体が存在していると判定される。
【0062】
更に、ワーク19が進行すると、状態103において、中間領域65の内部に物体が存在する状態になる。状態103では、制限領域64および警戒領域63には物体が存在しないと判定される。状態103は、例えば、
図7に示すように、中間領域65の内部にワーク19が配置されている状態である。
【0063】
更にワーク19が進行すると、状態104になる。状態104においては、監視領域62および警戒領域63に物体が存在し、制限領域64に物体が存在しない状態になる。更に、ワーク19が進行すると、状態105に示すように、3つの全ての空間領域において、物体は存在しない状態になる。
【0064】
前回の空間領域の状態から今回の空間領域の状態への変化が、
図11に含まれる連続する2つの状態の変化に対応したときに、移動判定部45は、物体が作業領域67から外側に向かって移動していると判定する。移動判定部45は、物体の移動方向が正常であると判定する。または、前回の空間領域の状態から今回の空間領域の状態への変化が無い場合に、移動判定部45は、物体の移動方向が正常であると判定する。例えば、前回の距離画像における状態が状態101であり、今回の距離画像における状態も状態101である場合には、移動判定部45は、物体の移動方向は正常であると判定する。
図11に示される正常な状態の変化のパターンについては、予め記憶部37に記憶されている。
【0065】
図12は、空間領域の状態の変化が異常である第1の例を示している。状態101は、3つの空間領域において物体が存在しない状態である。次の状態111は、監視領域62および警戒領域63に物体が存在し、制限領域64に物体が存在しない状態である。状態101から状態111への変化では、物体が作業領域67の外側から内側に向かって進入していると判定することができる。すなわち、
図11に示す様に、状態101の後は状態102に移行すべきであるが、状態101から状態111に移行している。このために、移動判定部45は、空間領域の状態の変化が異常であると判定する。そして、移動判定部45は、物体の移動方向が異常であると判定する。
【0066】
図13は、空間領域の状態の変化が異常である第2の例を示している。状態102では、制限領域64および監視領域62に物体が存在している。次の状態112では、3つの空間領域に物体が存在している。
図11に示す様に、状態102の後には状態103に移行すべきであるが、状態102から状態112に移行している。この状態の変化は、例えば、ワーク19を搬出しているときに、作業者18が作業領域67に進入する場合が相当する。このために、移動判定部45は、空間領域の状態の変化が異常であると判定する。そして、移動判定部45は、物体の移動方向が異常であると判定する。
【0067】
このように、移動判定部45は、空間領域の状態の変化に基づいて、物体の移動方向が正常か否かを判定することができる。本実施の形態における移動判定部45は、正常な状態の変化以外の状態の変化は、異常であると判定する。
【0068】
図10を参照して、ステップ96において、空間領域の状態の変化が正常である場合には、ステップ97に移行する。ステップ97において、演算処理部35は、表示灯を点灯する。既に、表示灯29が点灯されている場合には、点灯されている状態を維持する。このときの表示灯29の点灯は、ワーク19が作業領域67から搬出されることを通知する点灯である。作業者18は、表示灯29が点灯するのを見て、ワーク19が搬出されることを認識することができる。
【0069】
この後に、制御はステップ90に戻り、カメラ23にて距離画像を撮像する。そして、ステップ91からステップ96において、物体の移動方向が正常か否かを判定する制御を繰り返す。
【0070】
ステップ96において、空間領域の状態の変化が許容されない場合には、制御はステップ99に移行する。例えば、作業者が作業領域67に進入した場合には、制御はステップ99に移行する。本実施の形態では、
図11に示される状態の変化以外の状態の変化が生じたときに、制御はステップ99に移行する。
【0071】
ステップ99において、送信部48は、ロボット11およびハンド13を非常停止させる為の信号をロボット制御装置12に送信する。ロボット制御装置12は、ロボット11およびハンド13を停止する。このように、作業者18の安全を確保することができる。
【0072】
本実施の形態の監視装置21は、作業者18が柵15の外側の領域から出口部16を通って作業領域67に進入することを検出することができる。特に、監視装置21は、ワーク19が出口部16を通って搬出されている期間中に、作業者18が作業領域67に進入することを検出することができる。
【0073】
本実施の形態における監視装置21では、任意の位置および大きさに監視領域を設定することができる。そして、監視領域62の全体が写るようにカメラ23を配置すれば良い。このために、監視領域62の機器の配置を容易に設定することができる。また、第1の空間領域および第2空間領域は、監視領域62を分割した時の予め定められた方向の両側の境界面を含む領域が設定されるために、監視を行う領域を容易に設定することができる。更に、作業者は、監視装置21の機器の複雑な制御を行う必要がない。
【0074】
例えば、ライトカーテンを配置する場合には、ミューティング機能を有効にした時に作業者がすり抜けないように、ライトカーテンおよび光電センサを配置する位置および制御を検討する必要がある。この時に、作業者等がすり抜ける多くのパターンが存在するために、これらのパターンを考慮する必要が有る。これに対して、本実施の形態の監視装置21は、簡易な機器の配置および簡易な制御にて作業者等の物体がすり抜けないように監視することができる。
【0075】
特に、本実施の形態の監視装置21は、正常な物体の移動を検出すると共に、異常な物体の移動を検出することができる。一方の方向に搬出される物体がある場合に、他方の方向から物体が進入することを検出することができる。すなわち、正常な方向とは反対側に向かって移動する物体を検出することができる。
【0076】
また、本実施の形態の監視装置21は、1つの3次元カメラおよび画像処理装置にて構成できるために、監視装置の構成が簡易である。例えば、監視装置がライトカーテンを含む場合には、ミュート機能を実施するために、光電センサが必要になる。これに対して、本実施の形態の監視装置では、1つの3次元カメラにて物体の存在および物体の異常な移動を検出することができる。
【0077】
本実施の形態の表示灯29は、制限領域64から警戒領域63に向かう物体の移動を検出した場合に作動するように形成されている。本実施の形態では、ワーク19の搬出を作業者18に知らせるために、表示灯29が作動しているが、この形態に限られない。移動判定部45が警戒領域63から制限領域64に向かう物体の移動を検出した場合に、表示灯を作動しても構わない。すなわち、演算処理部35は、許容される方向とは反対側の方向に物体が移動した時に、表示灯を点灯する制御を実施しても構わない。この制御により、作業領域67に進入する作業者18に対して警告することができる。または、作業者18に対して、物体が作業領域67に進入することを通知することができる。
【0078】
または、制限領域64から警戒領域63に物体が向かう場合と、警戒領域63から制限領域64に物体が向かう場合との両方の場合に、表示灯29を作動しても構わない。この場合には、物体が移動する方向に応じて点灯パターンを変更することが好ましい。
【0079】
作業者に物体の移動を通知する通知装置としては、表示灯に限られず、警報音を発生するブザーでであっても構わない。監視装置がブザーを備える場合にも、物体が搬出されるときの警報音と、物体が作業領域67の内部に進入する時の警報音とを変化させることができる。または、通知装置は、表示灯およびブザーの両方を含んでいても構わない。
【0080】
本実施の形態における領域設定部42は、監視領域62を3つの空間領域に分割しているが、この形態に限られず、監視領域を2つの空間領域に分割しても構わない。
【0081】
図14に、監視領域を2つの空間領域に分割したときの側面図を示す。領域設定部42は、切断面73によって監視領域62を警戒領域63および制限領域64に分割している。この監視領域62の分割方法によっても、上記と同様の制御により、物体が移動する方向を検出することができる。そして、判定部43が警戒領域63から制限領域64への物体の移動を検出した場合には、ロボットを停止する制御を実施することができる。
【0082】
更に、領域設定部42は、監視領域62を4個以上の空間領域に分割しても構わない。例えば、
図4を参照して、警戒領域63の内側に、更に空間領域を設定しても構わない。監視領域を分割した空間領域の数を増やすことにより、物体の移動をより詳細に判定することができる。
【0083】
本実施の形態のカメラは、光の飛行時間に基づいて距離画像を撮像するが、この形態に限られない。3次元カメラは、カメラから物体までの距離が取得できる任意のカメラを採用することができる。3次元カメラとしては、たとえば、相対位置が予め定められている2台のカメラを含むステレオカメラを採用することができる。この場合に、監視領域を分割するための切断面の始点は、基準となる一方のカメラのレンズ中心点にすることができる。
【0084】
本実施の形態の監視装置は、ロボットシステムに配置されているが、この形態に限られず、任意のシステムに配置することができる。たとえば、板金プレス機を備えるシステムに本実施の形態の監視装置を適用することができる。また、所定の領域に物体が存在するか否かを判定する任意のシステム、または、所定の領域に物体が進入するか否かを判定する任意のシステムに、本実施の形態の監視装置を配置することができる。
【0085】
上述のそれぞれの制御においては、機能および作用が変更されない範囲において適宜ステップの順序を変更することができる。
【0086】
上記の実施の形態は、適宜組み合わせることができる。上述のそれぞれの図において、同一または相等する部分には同一の符号を付している。なお、上記の実施の形態は例示であり発明を限定するものではない。また、実施の形態においては、特許請求の範囲に示される実施の形態の変更が含まれている。
【解決手段】監視装置は、3次元の画像を取得するカメラ23と、カメラ23の出力信号の処理を行う画像処理装置とを備える。カメラ23の撮像領域61の一部が監視領域62に定められている。画像処理装置は、監視領域62を分割して複数の空間領域を設定する領域設定部を含む。領域設定部は、カメラ23を始点として放射状に延びる複数の切断面71,72にて監視領域62を分割する。領域設定部は、矢印81に示す方向において、一方の端部の空間領域を警戒領域63に設定し、他方の端部の空間領域を制限領域64に設定する。