特許第6417056号(P6417056)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 京セラ株式会社の特許一覧

特許6417056電子部品収納用パッケージ、多数個取り配線基板、電子装置および電子モジュール
<>
  • 特許6417056-電子部品収納用パッケージ、多数個取り配線基板、電子装置および電子モジュール 図000002
  • 特許6417056-電子部品収納用パッケージ、多数個取り配線基板、電子装置および電子モジュール 図000003
  • 特許6417056-電子部品収納用パッケージ、多数個取り配線基板、電子装置および電子モジュール 図000004
  • 特許6417056-電子部品収納用パッケージ、多数個取り配線基板、電子装置および電子モジュール 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6417056
(24)【登録日】2018年10月12日
(45)【発行日】2018年10月31日
(54)【発明の名称】電子部品収納用パッケージ、多数個取り配線基板、電子装置および電子モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/04 20060101AFI20181022BHJP
   H01L 23/08 20060101ALI20181022BHJP
   H01L 23/02 20060101ALI20181022BHJP
   H01L 23/12 20060101ALI20181022BHJP
【FI】
   H01L23/04 E
   H01L23/08 C
   H01L23/02 C
   H01L23/12 D
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-562878(P2017-562878)
(86)(22)【出願日】2017年1月19日
(86)【国際出願番号】JP2017001706
(87)【国際公開番号】WO2017126596
(87)【国際公開日】20170727
【審査請求日】2017年9月11日
(31)【優先権主張番号】特願2016-10760(P2016-10760)
(32)【優先日】2016年1月22日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075557
【弁理士】
【氏名又は名称】西教 圭一郎
(72)【発明者】
【氏名】木佐木 拓男
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 真樹
【審査官】 鈴木 駿平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−074118(JP,A)
【文献】 特開2013−165149(JP,A)
【文献】 特開2004−104091(JP,A)
【文献】 特開2000−216507(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/54
H01L 23/00−23/10、23/16−23/26
H01L 23/12−23/15
H05K 1/00−1/02
H05K 3/00
H05K 3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1主面および該第1主面に相対する第2主面を有しており、
該第2主面を含み、電子部品を搭載するための搭載部を有する下部絶縁層と、前記第1主面を含み、前記下部絶縁層上に前記搭載部を囲んで設けられた枠状の上部絶縁層とを有する絶縁基板と、
前記第2主面に設けられた複数の外部接続導体と、
該外部接続導体の外周端から前記絶縁基板の外周端にかけて設けられた接続導体とを含んでおり、
前記接続導体は、前記外部接続導体の外周端から前記絶縁基板の外周端にかけて、縦断面視において前記第1主面側に凸状に湾曲し、前記絶縁基板の厚み方向において前記第2主面との間隔が漸次大きくなるように設けられており、
前記接続導体を覆うように絶縁体が設けられていることを特徴とする電子部品収納用パッケージ。
【請求項2】
前記絶縁体は前記第2主面と同一面となる第3主面を有しており、
前記絶縁基板の外周側面に露出した前記接続導体は、前記絶縁体を介して前記第3主面から離れていることを特徴とする請求項1に記載の電子部品収納用パッケージ。
【請求項3】
前記絶縁体は前記第2主面と同一面となる第3主面を有しており、
前記第2主面側における前記絶縁体の外周側面に、前記第3主面から前記接続導体にかけて傾斜部が設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電子部品収納用パッケージ。
【請求項4】
前記絶縁基板の外周側面において、前記傾斜部は前記接続導体から離れていることを特徴とする請求項3に記載の電子部品収納用パッケージ。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の電子部品収納用パッケージとなる配線基板領域が母基板に複数個配列されていることを特徴とする多数個取り配線基板。
【請求項6】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の電子部品収納用パッケージと、
該電子部品収納用パッケージに搭載された電子部品とを有していることを特徴とする電子装置。
【請求項7】
請求項6に記載の電子装置と、該電子装置が接続されたモジュール用基板とを有していることを特徴とする電子モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電振動素子等の電子部品を気密に収容するための電子部品収納用パッケージ等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、圧電振動素子または半導体素子等の電子部品を搭載するための電子部品収納用パッケージとして、一般に、セラミック焼結体等からなる絶縁基板に電子部品が収容される搭載部が設けられたものが用いられている。絶縁基板の上面には、搭載部を塞ぐように蓋体が接合される。このような電子部品収納用パッケージは、上面に電子部品の搭載部を有する平板状の基部およびこの基部の上面に搭載部を取り囲んで積層された枠状の枠部を有する絶縁基板と、搭載部から基部の下面等にかけて形成された配線導体とにより構成されている。
【0003】
配線導体のうち、搭載部に設けられたものは電子部品が接続される接続パッドとして機能し、基部の下面(絶縁基板の下面)に設けられたものは、モジュール用基板へ実装される際の外部接続用の導体(外部接続導体)として機能する。そして、搭載部に電子部品が搭載され、電子部品の各電極が接続パッドに電気的に接続された後、搭載部が蓋体等で封止されて電子装置が製作される。また、枠部の上面には金属からなる蓋体を接合するために、枠状メタライズ層が形成されている。この電子部品収納用パッケージについて、蓋体が銀ろう等の封止材によって枠状メタライズ層に接合されて、電子部品が搭載部に気密封止される。
【0004】
なお、電子部品収納用パッケージの露出する接続パッド等の各配線導体には、酸化腐食を防止するとともに、電子部品との接続および半田等によるモジュール用基板との接続等を容易とするために、ニッケルめっき層と金めっき層が順次被着されている。このように、各配線基板にめっき層を被着させるためには、例えば、母基板に配列形成された電子部品収納用パッケージとなる各配線基板領域の外周に貫通孔を設けておき、この貫通孔の内側面に内面導体を設けたり、各配線基板領域の外周の近傍に貫通導体を設けておき、隣接する配線基板領域同士を跨いで各貫通導体同士を接続する接続導体を設けて、各配線基板領域が内面導体および接続導体等を介して一体的に接続される構造としておき、母基板に形成された各配線導体の全てに電気を供給することによる電気めっき法により各配線基板領域の露出した配線導体にめっき層が被着される技術が採用されている。なお、母基板の両面には各配線基板領域間に対向するように分割溝が形成されるため、分割溝の形成により切断されないように、接続導体は絶縁基板の内層に設けられている(特開2005−50935号公報参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、近年、電子部品収納用パッケージは、ますます小型化、低背化が図られてきている。これにともない、電子部品収納用パッケージとなる配線基板が配列された母基板の厚みが非常に小さいものとなることから、配線基板領域の外周に貫通孔を設けずに、接続導体が配線基板領域の片面にのみ設けられるような単純構造の電子部品収納用パッケージが製作されている。
【0006】
このように、母基板において各配線導体を一体的に接続するための接続導体が配線基板領域の片面にのみ設けられるような構造である場合、接続導体が分割溝の形成により切断されてしまうため、母基板の一方の主面に分割溝を設けた場合、他方の主面には接続導体が設けられており、分割溝を形成できないという問題があった。そして、このような片面のみに分割溝が形成された母基板を分割した場合、接続導体の端部が分割時の応力により剥がれてしまい、接続導体と配線基板との接合強度が低下したり、分割後の配線基板にバリまたは欠けが発生して電子部品収納用パッケージが所定の外形寸法とならない可能性があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の1つの態様における電子部品収納用パッケージは、第1主面および該第1主面に相対する第2主面を有しており、該第2主面を含み、電子部品を搭載するための搭載部を有する下部絶縁層と、前記第1主面を含み、前記下部絶縁層上に前記搭載部を囲んで設けられた枠状の上部絶縁層とを有する絶縁基板と、前記第2主面に設けられた複数の外部接続導体と、該外部接続導体の外周端から前記絶縁基板の外周端にかけて設けられた接続導体とを含んでおり、前記接続導体は、前記外部接続導体の外周端から前記絶縁基板の外周端にかけて、縦断面視において前記第1主面側に凸状に湾曲し、前記絶縁基板の厚み方向において前記第2主面との間隔が漸次大きくなるように設けられており、前記接続導体を覆うように絶縁体が設けられていることを特徴とする。
【0008】
本発明の1つの態様における多数個取り配線基板は、上記の電子部品収納用パッケージとなる配線基板領域が母基板に複数個配列されていることを特徴とする。
【0009】
本発明の1つの態様における電子装置は、上記の電子部品収納用パッケージと、該電子部品収納用パッケージに搭載された電子部品を有していることを特徴とする。
【0010】
本発明の1つの態様における電子モジュールは、上記の電子装置と、該電子装置が接続されたモジュール用基板とを有していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の1つの態様における電子部品収納用パッケージによれば、第1主面および第1主面に相対する第2主面を有しており、第2主面を含み、電子部品を搭載するための搭載部を有する下部絶縁層と、第1主面を含み、下部絶縁層上に搭載部を囲んで設けられた枠状の上部絶縁層とを有する絶縁基板と、第2主面に設けられた複数の外部接続導体と、外部接続導体の外周端から絶縁基板の外周端にかけて設けられた接続導体とを含んでおり、接続導体は、外部接続導体の外周端から絶縁基板の外周端にかけて、縦断面視において第1主面側に凸状に湾曲し、絶縁基板の厚み方向において第2主面との間隔が漸次大きくなるように設けられており、接続導体を覆うように絶縁体が設けられている。このような構造により、電子部品収納用パッケージが小型化しても、配線基板の外周に近いほど接続導体が厚みの大きい絶縁体で覆われた構造となり、例えば母基板の第2主面側に分割溝を設けても接続導体が分割溝により切断されにくいものとなる。また母基板を分割する場合に分割時の応力が接続導体の端部に加わったとしても、接続導体が剥離しにくいものとなり、接続導体と絶縁基板との接合強度が低下することが抑制される。よって、電子部品収納用パッケージをモジュール用基板に強固に実装することが可能となる。
【0012】
本発明の1つの態様における多数個取り配線基板によれば、上記の電子部品収納用パッケージとなる配線基板領域が母基板に複数個配列されていることから、母基板を各配線基板に個片化する際にバリまたは欠けの発生が抑制され、寸法精度に優れた電子部品収納用パッケージを効率よく製作できる。
【0013】
本発明の1つの態様における電子装置によれば、上記の電子部品収納用パッケージを用いることにより、電子部品のモジュール用基板への実装工程における接合強度の低下および実装不良が抑制された、接続信頼性の高い電子装置を実現できる。
【0014】
本発明の1つの態様における電子モジュールによれば、上記の電子装置を用いることにより、搭載部に搭載された電子部品に対する接続信頼性が高められ、動作信頼性に優れた電子モジュールを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】(a)は本発明の実施形態における電子部品収納用パッケージを示す上面透視図、(b)は(a)のX−X’線における断面図である。
図2】本発明の実施形態における電子部品収納用パッケージを示す下面透視図である。
図3】本発明の実施形態における電子部品収納用パッケージの要部を示す断面図である。
図4】(a)は本発明の実施形態における多数個取り配線基板を示す下面透視図、(b)は(a)のY−Y’線における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態における電子部品収納用パッケージ等について、添付の図面を参照しつつ説明する。図1(a)は本発明における電子部品収納用パッケージ100の実施の形態の一例を示す上面透視図であり、図1(b)は図1(a)のX−X’線における断面図である。
【0017】
図1において、電子部品収納用パッケージ100は、封止面となる第1主面102、およびモジュール用基板400への実装面となる第2主面103を有しており、絶縁基板101に搭載部105が設けられている。搭載部105には圧電振動素子等の電子部品112が搭載される。絶縁基板101は、互いに積層された上部絶縁層106および下部絶縁層107を有している。
【0018】
上部絶縁層106の第1主面102には枠状メタライズ層113が形成されており、さらに上部絶縁層106の内部には上面から下面にかけて貫通導体117が設けられている。また、下部絶縁層107における貫通導体117の直下にも貫通導体117が設けられている。ここで、上部絶縁層106の貫通導体117と下部絶縁層107の貫通導体117とは、平面視で同じ位置に形成することが望ましいが、積層ずれ等による電気的な接続性を考慮して上部絶縁層106と下部絶縁層107との間に中継導体(図示せず)を設けてもよい。そして、枠状メタライズ層113から上部絶縁層106の貫通導体117、中継導体、下部絶縁層107の貫通導体117にかけて導通しており、さらに第2主面103に形成された外部接続導体108に下部絶縁層107の貫通導体117が接続されている。そして、枠状メタライズ層113から貫通導体117、中継導体、外部接続導体108にかけて導通する構造となっている。
【0019】
図1に示すように、この配線基板の例では上部絶縁層106の第1主面102に設けられた枠状メタライズ層113、搭載部105内に位置し電子部品112が接続される一対の接続パッド114がさらに設けられている。この電子部品収納用パッケージ100について、蓋体116が銀ろう等のろう材118によって絶縁基板101の枠状メタライズ層113上に接合されて、電子部品112が気密封止される。
【0020】
なお、この実施の形態において、絶縁基板101は、厚み方向の断面視で凹形状の凹部に搭載部105を有している。この電子部品収納用パッケージ100に圧電振動素子等の電子部品112が気密封止されて電子装置300が形成される。搭載部105を封止する蓋体116は、図1においては便宜上透視している。ここで、本実施例においては、凹部に搭載部105が設けられた絶縁基板101としたが、凹部が形成されず平板状の絶縁基板(図示せず)として、上面に電子部品105が搭載される搭載部を設けておき、搭載部を覆ってキャップ型の金属蓋体(図示せず)を絶縁基板の外周に、ガラス等の接合材により接合した電子部品収納用パッケージ100であってもよい。
【0021】
絶縁基板101は、平板状の下部絶縁層107上に、上部絶縁層106が積層されて形成されている。また、平面視において、上部絶縁層106が下部絶縁層107の上面の搭載部105を取り囲んでいる。この上部絶縁層106の内側面と搭載部105の内側において露出する下部絶縁層107とによって、電子部品112を搭載するための搭載部105を含む凹部を有するものとなっている。
【0022】
上部絶縁層106および下部絶縁層107は、例えば酸化アルミニウム質焼結体,窒化アルミニウム焼結体,ムライト質焼結体またはガラス−セラミック焼結体等のセラミック材料からなる。絶縁基板101は、例えば全体の外形が平面視で一辺の長さが1.6〜10mm程度の長方形状であり、厚みが0.3〜2mm程度の板状であり、その上面に凹型の搭載部105を有している。
【0023】
絶縁基板101は、上部絶縁層106および下部絶縁層107が酸化アルミニウム質焼結体からなる場合であれば、酸化アルミニウム,酸化珪素,酸化マグネシウムおよび酸化カルシウム等の原料粉末に適当な有機バインダおよび溶剤,可塑剤等を添加混合して泥漿状にするとともに、これを例えばドクターブレード法またはロールカレンダー法等のシート成形法によりシート状となすことにより複数枚のセラミックグリーンシートを得て、次に一部のセラミックグリーンシートに適当な打ち抜き加工を施して枠状に成形するとともに、枠状に成形していない平板状のセラミックグリーンシートの上面にそれぞれ枠状のセラミックグリーンシートが位置するように上下に積層し、その積層体を高温で焼成することにより製作することができる。
【0024】
絶縁基板101は、例えば、それぞれが個片の絶縁基板101になる配線基板領域が配列された母基板200として製作された後に、個片に分割されて製作されている。母基板200は、互いに積層された、下部絶縁層107となる複数の領域を有する平板状の絶縁層(図示せず)と、それぞれ上部絶縁層106となる複数の領域を有する(複数の開口部が配列された)絶縁層(図示せず)とを有している。
【0025】
上部絶縁層106には、上面(第1主面102)に枠状メタライズ層113が設けられている。また、下部絶縁層107の搭載部105側には、搭載部105に搭載される電子部品112とモジュール用基板400の外部電気回路とを電気的に接続するための導電路として、接続パッド114、貫通導体117、中継導体、および外部接続導体108が、また、下部絶縁層107の下面(第2主面103)には、外部接続導体108が設けられている。この例では、絶縁基板101のコーナー部に貫通導体117が設けられているが、絶縁基板101の外側のその他の場所に、例えば長辺側または短辺側に設けられていてもよい。
【0026】
また、電子部品収納用パッケージ100の露出する接続パッド114等の各配線導体には、酸化腐食を防止するとともに、電子部品112との接続および半田等によるモジュール用基板400との接続等を容易とするために、ニッケルめっき層と金めっき層が順次被着されている。このように、各配線基板にめっき層を被着させるためには、例えば、母基板200に配列形成された電子部品収納用パッケージ100となる各配線基板領域の外周の近傍に貫通導体117を設けておき、隣接する配線基板領域同士を跨いで各貫通導体117同士を接続する接続導体109を設けておく。さらに、各配線基板領域がこれら接続導体109等を介して一体的に接続される構造としておき、母基板200に形成された外部接続導体108等の各配線導体の全てに電気を供給することによる電気めっき法により、各配線基板領域の露出した各配線導体にめっき層が被着される。
【0027】
ここで、電子装置がTCXO(Temperature Compensated Crystal Oscillator、温度補償水晶発振器)等の複数の電子部品(図示せず)が搭載部105に搭載される場合には、複数の電子部品が搭載される段状の内側面を設けるために、上部絶縁層106が2層以上の絶縁層で構成される場合もある。
【0028】
搭載部105は、例えば四角板状の電子部品112に合わせて平面視で四角形状である。図1の例では、その四角形状の搭載部105の互いに隣り合う2つのコーナー部に一対の接続パッド114が設けられている。この接続パッド114は、搭載部105に搭載される圧電振動素子等の電子部品112の電極(図示せず)を接続するための導体層として機能する。電子部品112が圧電振動素子であれば、通常、その外形が平面視で四角形状であり、その主面のコーナー部に接続用の一対の電極(図示せず)が設けられている。このような電極の接続を容易かつ確実に行なえるようにするため、接続パッド114は搭載部105のコーナー部に偏って設けられる。
【0029】
電子部品112の各電極と接続パッド114との接続は、導電性接着剤等の接合材115を介して行なわれる。すなわち、図1(a)に示すように電子部品112の主面のコーナー部に偏って設けられた一対の電極が、搭載部105上に設けられた一対の接続パッド114に対向するように電子部品112を搭載部105に位置決めして、あらかじめ接続パッド114に被着させておいた接合材115を加熱して硬化させることにより、電子部品112の電極と接続パッド114とが接続される。
【0030】
なお、接続パッド114は、この実施の形態の例では電子部品112として圧電振動素子を用いた例を説明しているので上記のような位置に接続パッド114が設けられているが、その他の電子部品(図示せず)を搭載する場合、またその他の電子部品を複数搭載する場合には、その電子部品の電極の配置に応じて位置または形状を変えて設けられてもよい。このようなその他の電子部品としては、例えば、セラミック圧電素子または弾性表面波素子等の圧電素子,半導体素子,容量素子および抵抗素子等を挙げることができる。
【0031】
本発明の実施形態における電子部品収納用パッケージ100は、第1主面102および第1主面102に相対する第2主面103を有しており、第2主面103を含み、電子部品112を搭載するための搭載部105を有する下部絶縁層107と、第1主面102を含み、下部絶縁層107上に搭載部105を囲んで設けられた枠状の上部絶縁層106とを有する絶縁基板101と、第2主面103に設けられた複数の外部接続導体108と、外部接続導体108の外周端から絶縁基板101の外周端にかけて設けられた接続導体109とを含んでおり、接続導体109は、外部接続導体108の外周端から絶縁基板101の外周端にかけて、縦断面視において第1主面102側に凸状に湾曲し、絶縁基板101の厚み方向において第2主面103との間隔が漸次大きくなるように設けられており、接続導体109を覆うように絶縁体110が設けられている。
【0032】
このような構造により、電子部品収納用パッケージ100が小型化しても、配線基板の外周に近いほど接続導体109が厚みの大きい絶縁体110で覆われた構造となり、例えば母基板200の第2主面103側に分割溝を設けても接続導体109が分割溝により切断されにくいものとなる。また母基板200を分割する場合に分割時の応力が接続導体109の端部に加わったとしても、接続導体109が剥離しにくいものとなり、接続導体109と絶縁基板101との接合強度が低下することが抑制される。よって、電子部品収納用パッケージ100をモジュール用基板400に強固に実装することが可能となる。
【0033】
このように、接続導体109が外部接続導体108の外周端から絶縁基板101の外周端にかけて、縦断面視において第1主面102側に凸状に湾曲し、絶縁基板101の厚み方向において第2主面103との間隔が漸次大きくなるように設けるためには、例えば、絶縁基板101となる単層のセラミックグリーンシートに、枠状メタライズ層113、接続パッド114、外部接続導体108、接続導体109等となるメタライズペーストを所定の位置に形成しておき、さらに接続導体109となるメタライズペーストの上面を覆うように、絶縁体110となるセラミックペーストを所定の位置に形成しておけばよい。ここで、セラミックペーストは実質的に絶縁基板101と同じ材料を用いることが望ましい。同じ材料とは、焼成後に絶縁基板101と同じセラミック成分が含まれるものであり、このセラミックペーストは塗布する方法(例えば、スクリーン印刷等)の仕様に合わせてセラミックに混合するバインダーおよび溶剤の添加量が調整される。そして、セラミックペーストの塗布形状は、例えば図2に示すように円の1/4とした扇形状(母基板では、円状)に形成するとともに、その厚みが絶縁基板101の外縁部で最も大きくなるように形成すればよい。これにより、後述する加圧工程において、接続導体109が外部接続導体108の外周端から絶縁基板101の外周端にかけて、縦断面視において第1主面102側に凸状に湾曲し易くなるとともに、絶縁基板101の厚み方向において第2主面103との間隔が漸次大きくなるように設けることが可能となる。つまり、絶縁体110を大きく設けた部分が、接続導体109となるメタライズペーストをより深く絶縁基板101となるセラミックグリーンシートの内部に押し入れることになる。なお、接続導体109の形成位置は、図2では外周に切欠き部が形成されていない絶縁基板101の各コーナー部に設けたが、絶縁基板101の外周端に接するその他の場所、例えば、長辺または短辺の中央側に設けてもよく、さらに外周に切欠き部が形成された絶縁基板101に、切欠き部を避けた場所に設けてもよい。
【0034】
さらに、メタライズペースト、セラミックペーストが形成された絶縁基板101となるセラミックグリーンシートの表面に、凹型の搭載部105が設けられるように、凸凹部が形成された加圧治具(図示せず)で加圧することにより形成できる。この際、搭載部105の底部となる部分を加圧するように、加圧治具の位置を決めることにより、セラミックグリーンシートが加圧治具の凸部で押された部分が搭載部105となり、治具の凹部で押された部分が搭載部105を取り囲む枠部(上部絶縁層106)が設けられる。
【0035】
そして、絶縁体110となるセラミックペーストが治具で押されて、接続導体109となるメタライズペーストが第1主面102側に凸状に湾曲した構造となる。さらに、絶縁体110となるセラミックペーストが治具で押された結果、絶縁基板101の第2主面103と同一平面となる第3主面104を形成することができる。なお、使用されるセラミックグリーンシートおよびメタライズペースト、セラミックペーストに、添加するバインダーとしてガラス転移する温度が金型で加圧されるときの温度以下のものを用いると、加圧治具でセラミックグリーンシート等を加圧した際に、枠部および第3主面104等の成型を良好に行うことができる。
【0036】
このとき、加圧治具の凹部の幅および深さは一定であり、加圧加工後の枠部の幅および高さも一定とすることができる。よって、加圧加工後の枠部の幅を一定として寸法精度を高めることができる。そして、外部接続導体108、接続導体109、接続パッド114、貫通導体117等が設けられた下部絶縁層107と、枠状メタライズ層113、貫通導体117等が設けられた上部絶縁層106とが一体化されたセラミックグリーンシート成型体により、電子部品収納用パッケージ100となる配線基板領域が複数個配列された母基板(図示せず)を製作することができる。
【0037】
接続導体109、枠状メタライズ層113、接続パッド114、および外部接続導体107等の露出面には、酸化腐食を防止するとともに、接続パッド114と電子部品112の電極との接続、または外部接続導体108とモジュール用基板400との接続等をより容易または強固なものとするために、それらの露出した表面に1〜20μm程度の厚みのニッケルめっき層と0.1〜3.0μm程度の厚みの金めっき層とが順次被着されていてもよい。
【0038】
このように各配線導体の露出面にめっき層が被着されている場合には、電子部品収納用パッケージ100の第3主面104に形成された複数の外部接続導体108と、モジュール用基板400とが、半田等の導電性接合材により接続されて、電子装置300がモジュール用基板400に電気的かつ機械的に接続される。また、図2で示すように外部接続導体108の広面積の部分から絶縁基板101の外周コーナー部にかけて接続導体109が形成されている。そして、外部接続導体108は、今後説明する母基板200に配列された複数の配線基板領域を個片に分割する際の導体層の剥離を抑制するために、絶縁基板101の外周から離れて形成されている。そして、絶縁基板101の外周にかけて接続導体109が形成されているため、この接続導体109については、母基板200に配列された複数の配線基板領域を個片に分割する際の導体層の剥離が懸念される。
【0039】
しかしながら、接続導体109を覆うように絶縁体110が設けられていることから、母基板200を分割する際の導体層の剥離を抑制する構造となる。さらに、電子部品収納用パッケージ100をモジュール用基板400に半田等で接続する際に、面積が小さい接続導体109には半田が接合されない、つまり面積が小さく幅が狭いため、金属層の接合力が不足しがちな接続導体109にはモジュール用基板400に接続する際の機械的応力が作用しない構造とすることができる。よって、電子部品収納用パッケージ100を含む電子装置300とモジュール用基板400との間に、温度環境の変化で熱膨張収縮による機械的応力が作用したとしても、広面積で設けられている外部接続導体108でその応力を受けられるとともに、接続導体109を絶縁基板101の内部に形成できることから、導体層の剥離を抑制して、実装信頼性に優れた電子部品収納用パッケージ100を実現できる。
【0040】
また、本発明の実施形態における電子部品収納用パッケージ100は、絶縁体110が第2主面103と同一面となる第3主面104を有しており、第2主面103側における絶縁体110の外周側面に、第3主面104から接続導体109にかけて傾斜部111が設けられている。このような構造としたことから、半田等の導電性接合材が絶縁基板101の外周側に拡がり難い。
【0041】
つまり、絶縁基板101の第2主面103に形成される外部接続導体108から、絶縁基板101の外周にかけて接続導体109が形成されており、接続導体109を覆うように絶縁体110が設けられていることから、電子部品収納用パッケージ100をモジュール用基板400に半田等で接続する際に、面積が小さい接続導体109には半田が接合されない。さらに、図2に示すように、第2主面103側における絶縁体110の外周側面に、第3主面104から接続導体109にかけて傾斜部111が設けられていることから、上部絶縁層106および下部絶縁層107より厚みの小さい絶縁体110に、取り扱い時等に外部からの応力が加わったとしても、絶縁体110が剥がれる方向に加わる応力は抑制されたものとなりやすく、絶縁体110が剥がれにくいものとすることができる。
【0042】
このように、第2主面103側における絶縁体110の外周側面に、第3主面104から接続導体109にかけて傾斜部111を設けるには、例えば電子部品収納用パッケージ100を製造するための母基板200に配列された配線基板領域の境界に、金型またはカッター刃等により分割溝を形成し、この溝の形成角度が傾斜部111として設けられるようにすればよい。この際に、配線基板領域の境界に設けられる接続導体109は、各配線基板領域間を電気的に接続する導電路として作用することから、この分割溝の形成工程において、接続導体109が切断されないようにする必要がある。しかし、図3に示すように、接続導体109を外部接続導体108の外周端から絶縁基板101の外周端にかけて、縦断面視において第1主面102側に凸状に湾曲し、絶縁基板101の厚み方向において第2主面103との間隔が漸次大きくなるように設けることにより、配線基板領域の境界における接続導体109と第3主面104との距離を最大とすることができ、分割溝の形成工程における接続導体109の切断を抑制できる。
【0043】
また、絶縁基板101の外周側面に露出した接続導体109は、図3に示すように縦断面視において絶縁体110を介して第3主面104から離れていることから、半田等の導電性接合材が絶縁基板101の側面を這い上がりにくくすることができ、接続導体109に達することが抑制される。なお、分割溝の形成方法としては、金型またはカッター刃等に限定されず、例えば、レーザー加工で形成してもよい。レーザー加工時の条件を最適にすれば、幅および深さの寸法精度に優れた分割溝を形成することも可能である。
【0044】
また、絶縁基板101の外周側面において、傾斜部111は接続導体109から離れていることから、半田等の導電性接合材が絶縁基板101の側面を這い上がる経路をより大きいものとすることができ、接続導体109に達することを効果的に抑制することができる。
【0045】
本発明の実施形態における多数個取り配線基板は、上記の電子部品収納用パッケージ100となる配線基板領域が母基板200に複数個配列されている。このような構造により、電子部品収納用パッケージ100が小型化して厚みが小さくなっても、母基板の外部接続導体108が形成される面側(第2主面側)に接続導体109の断線を抑制して良好に分割溝を形成することができる。そして、母基板を各配線基板(電子部品収納用パッケージ100となるもの)に個片化する際に、バリまたは欠けの発生が抑制され、寸法精度に優れた電子部品収納用パッケージ100を効率よく製作できる。
【0046】
つまり、接続導体109における外部接続導体108の外周端から絶縁基板101の外周端にかけての断面積が第1主面102側に凸状に湾曲しており、接続導体109と第3主面103との距離が漸次大きくなるように設けられていることから、母基板200を各配線基板に分割して個片化する際の導体の剥がれ、バリまたは欠けの発生を抑制できる。つまり、接続導体109の端部が分割時の応力により剥がれ難くなり、接続導体109と絶縁基板101との接合強度が低下したり、分割後の絶縁基板101にバリまたは欠けの発生が抑制されて、所定の外形寸法を得られる電子部品収納用パッケージを製作できる。
【0047】
母基板200は、例えば図4(a)、(b)で示したような構造で製作される。各配線基板の四隅に外部接続導体108が設けられており、さらに外部接続導体108の外周端から配線基板の外周端コーナー部にかけて接続導体109が設けられている。さらに、接続導体109を覆って絶縁体100が設けられており、接続導体109は縦断面視において第1主面102側に凸状に湾曲し、絶縁基板101の厚み方向において第2主面103との間隔が漸次大きくなるように設けられている。このような構造により、絶縁基板101の外周側面に露出した接続導体109が絶縁基板101の厚み方向における中央部側に形成されるため、分割後に各接続導体109間を確実に切断させることができる。つまり、母基板200を個片に分割する際に、接続導体109の破断も良好に行うことができるため、母基板200を個片化する際の導体の剥がれ、ばりまたは欠けの発生が抑制される。さらに、配線基板領域の境界における接続導体109と第2主面103(実際には第2主面103と同一平面上となる絶縁体110の第3主面104)との距離を最大とすることができ、各配線基板領域間を接続導体109を介して良好に接続できるとともに、分割溝の形成工程における接続導体109の切断を抑制できる効果がある。
【0048】
母基板200に分割溝を形成するためには、例えば金型またはカッター刃等による形成方法、またはレーザー加工による形成方法が挙げられる。レーザー加工により分割溝を形成する場合には、例えば次のようにすればよい。すなわち、電子部品収納用パッケージ100を上記のように多数個取り配線基板の形態で製作するときに、複数の配線基板領域が縦横に配列された母基板200の上面に、配線基板領域の境界に沿ってレーザーにより分割溝を形成すればよい。上方からのレーザー照射にともない、枠状メタライズ層113および絶縁基板101の上端側から下方に傾斜した内側面を有する分割溝が形成される。さらに、下方からのレーザー照射にともない、絶縁基板101の下端側(第2主面103、第3主面104)から上方に傾斜した傾斜部111となる内側面を有する分割溝が形成される。
【0049】
この場合、レーザーにより分割溝を形成する工程は、複数のセラミックシートの積層体の段階、つまり母基板200となる未焼成の積層体であることが好ましい。積層体の焼成前にレーザーで分割溝を形成することによって、加工性が良好であり、レーザー加工による溶融物の付着を抑制することができる。具体的には、レーザーの種類として、UVレーザー、グリーンレーザー、IRレーザー等を用いればよい。レーザー加工時のレーザーの単位面積(レーザーが照射される部位における被加工物の表面の単位面積)あたりの出力が比較的小さく、これに応じて溶融物の発生量が少ない。この場合、焼結後の母基板に形成される枠状メタライズ層113(焼結した金属)に比べて、焼成前のバインダー等の有機物が含まれる枠状メタライズ層113のレーザー加工による除去が容易である。そのため、上記のように比較的小さいエネルギーのレーザーでも、良好な形状の傾斜部111を形成することが可能となる。なお、分割溝は平面視で上面の分割溝と重なる位置で両面に形成してもよい。これにより、母基板の分割性がさらに向上する。
【0050】
本発明の実施形態における電子装置300は、上記に記載の電子部品収納用パッケージ100と、電子部品収納用パッケージ100に搭載された電子部品112とを有している。このような構造により、電子部品112を搭載した電子部品収納用パッケージ100のモジュール用基板400への実装工程における接合強度の低下および実装不良が抑制された、接続信頼性の高い電子装置300を実現できる。
【0051】
つまり、絶縁基板101には接続導体109を覆うように絶縁体110が設けられていることから、接続導体109の剥離を抑制する構造となる。さらに、電子部品収納用パッケージ100をモジュール用基板400に半田等で接続する際に、面積が小さい接続導体109には半田が接合されない、つまり面積が小さく幅が狭く、金属層の接合力が不足しがちな接続導体109にはモジュール用基板400に接続する際の機械的応力が作用しない構造とすることができる。よって、電子装置300とモジュール用基板400との間に、温度環境の変化で熱膨張収縮による機械的応力が作用したとしても、広面積で設けられている外部接続導体108でその応力を分散できるとともに、接続導体109を絶縁基板101の内部に形成できることから、接続導体109の剥離を抑制して、実装信頼性に優れた電子部品収納用パッケージ100を実現できる。
【0052】
また、電子装置300に含まれる絶縁基板101の第2主面103側における絶縁体110の外周側面に、第3主面104から接続導体109にかけて傾斜部111が設けられている構造であり、半田等の導電性接合材が絶縁基板101の外周側に拡がり難い。つまり、絶縁基板101の第2主面103に形成される外部接続導体108から、絶縁基板101の外周にかけて接続導体109が形成されており、接続導体109を覆うように絶縁体110が設けられていることから、電子装置300をモジュール用基板400に半田等で接続する際に、接続導体109には半田が接合されない。さらに、図2に示すように、第2主面103側における絶縁体110の外周側面に、第3主面104から接続導体109にかけて傾斜部111が設けられている。
【0053】
従来であれば、接続導体109から絶縁基板101の外側面に形成された側面導体にかけて、半田が濡れることにより半田フィレットが形成されるため、この半田フィレットにより電子装置の実装する間隔を小さくできず、実装密度を高めることができなかった。しかしながら、このような構造により、絶縁基板101の外側面に形成された側面導体等の導体層に半田フィレットが形成されないため、平面視における電子装置300のモジュール用基板400への実装密度を高めることができる。また、第2主面103および第3主面104からなる絶縁基板101の下面の総面積が、絶縁基板101の上面視した面積よりも小さくなる。つまり、絶縁基板101の下面の面積を第3主面104から接続導体109にかけて設けた傾斜部111の分だけ小さくすることができるため、平面視における電子装置300のモジュール用基板400への実装密度を高めることができる。さらに、電子装置300をモジュール用基板400に実装する際の半田パッドの位置を、平面透視で電子装置300(絶縁基板101)の外縁部よりも内側に形成することにより、さらに実装密度を高めることも可能である。
【0054】
本発明の実施形態における電子モジュール500は、上記に記載の電子装置300と、電子装置300が接続されたモジュール用基板400とを有している。上記の電子装置300を用いることにより、搭載部105に搭載された電子部品112に対する接続信頼性が高められ、動作信頼性に優れた電子モジュール500を実現できる。つまり、接続導体109が外部接続導体108の外周端から絶縁基板101の外周端にかけて、縦断面視において第1主面102側に凸状に湾曲し、絶縁基板101の厚み方向において第2主面103との間隔が漸次大きくなるように設けられた電子部品収納用パッケージ100により、接続導体109に半田が接合されないため、モジュール用基板400に接続する際の機械的応力が作用しない構造とすることができる。
【0055】
また、この電子部品収納用パッケージ100に電子部品112を搭載した電子装置300のモジュール用基板400への実装工程における接続導体109等の金属層の剥がれ、および接合強度の低下が抑制された、接続信頼性の高い電子装置300を実現できる。
【0056】
さらに、電子部品収納用パッケージ100が小型化して厚みが小さくなっても、電子部品収納用パッケージ100を製作するための母基板を各配線基板(電子部品収納用パッケージ100となるもの)に個片化する際に、バリまたは欠けの発生が抑制された電子部品収納用パッケージ100を用いて、外形寸法精度に優れた小型化した電子装置300を搭載することができる。よって、電子装置300のモジュール用基板400への実装不良が抑制された、接続信頼性の高い電子装置300を実現できる。
【0057】
なお、本開示は上述の実施の形態の一例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば種々の変更は可能である。例えば、電子部品収納用パッケージ100は、搭載部105が第1主面102側の凹形状の凹部に1つ構成されているが、複数の搭載部105で構成された構造でもよい。また、第1主面102側の凹形状の凹部に搭載部105を有しており、第2主面103側にも凹形状の凹部に搭載部(図示せず)を有する、縦断面視でいわゆるH型構造の電子部品収納用パッケージとして製作してもよい。また、接続導体109の形成位置は、本実施例では絶縁基板101の外周に切欠き部が形成されていない絶縁基板101の各コーナー部に設けたが、絶縁基板101の外周端に接するその他の場所、例えば、長辺または短辺の中央側に設けてもよく、さらに外周に切欠き部が形成された絶縁基板101に、切欠き部を避けた場所に設けられた構造としてもよい。
図1
図2
図3
図4