(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
携帯電話等の通信端末と固定電話との間で音声通信が行われる場合には、通信端末及び固定電話間の距離に応じて通信料金が課金される場合がある。当該距離は、例えば所定のエリアの通信網毎に設定されたCA(Charging Area)を取得することにより特定される。すなわち、CAが取得されることにより通信端末が在圏する通信網(所定エリアの通信網)が特定され、当該所定エリアの通信網及び固定電話間の距離が導出されることにより、通信端末及び固定電話間の距離が特定される。従来、3G網及びLTE網の両方の通信網の在圏情報を有する通信端末では、3G網の交換機からCAが取得されることにより、通信端末及び固定電話間の距離が特定されている。
【0005】
しかしながら、VoLTEによる音声通信に対応した通信端末の中には、通信事業者が提供する3G網の通信方式に対応していない通信端末も存在している。このような通信端末と固定電話との間の距離を、3G網の交換機のCAから特定すると、実際の距離と大きく異なる距離が特定されるおそれがある。このことにより、通信端末及び固定電話間の距離に応じた音声通信料金の課金ができないおそれがある。
【0006】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、通信端末及び固定電話間の距離を適切に特定することにより、通信端末及び固定電話間の距離に応じた音声通信料金の課金を行うことができる通信制御装置、通信制御システム、及び通信制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る通信制御装置は、通信端末から位置登録要求を受信する受信手段と、受信手段が受信した位置登録要求に基づいて、通信端末が第1の通信網において通信を行う機能を有していない通信不可端末であるか否かを判定する判定手段と、判定手段により、通信端末が通信不可端末であると判定された場合に、当該判定の結果を示す情報が含まれた位置登録要求を送信する送信手段と、を備える。
【0008】
本発明に係る通信制御装置では、通信端末から送信された位置登録要求に基づき、当該通信端末が第1の通信網において通信を行う機能を有していない通信不可端末であるか否かが判定される。そして、通信不可端末であると判定された場合には、当該判定結果を示す情報が含まれた位置登録要求が送信される。このため、本発明に係る通信制御装置から位置登録要求を受信した上位装置においては、通信端末が通信不可端末であるか否かが特定される。これにより、例えば、第1の通信網において通信を行う機能を有していない通信不可端末の位置を示す情報が、当該第1の通信網に係る位置を示す情報から取得されることを防止することができる。このことにより、当該通信端末と固定電話との間で音声通信が行われる場合に、通信端末が在圏する通信網から固定電話までの距離を適切に特定することができ、当該距離に応じて適切な音声通信料金を課金することができる。
【0009】
本発明に係る通信制御装置は、通信端末が第1の通信網において通信を行う機能を有していない通信不可端末であるか否かを示す情報が含まれた位置登録要求を受信する端末情報受信手段と、端末情報受信手段が受信した位置登録要求に基づいて、ユーザ毎の通信端末が通信不可端末であるか否かを示す情報を記憶する記憶手段と、通信端末への着信通知を受信する着信受信手段と、着信受信手段が着信通知を受信した通信端末が、記憶手段に記憶された通信不可端末であるか否かを判定する着信判定手段と、着信判定手段により、通信端末が通信不可端末であると判定された場合に、第1の通信網とは異なる通信網である第2の通信網に係る位置を示す情報を取得する取得手段と、を備える。
【0010】
本発明に係る通信制御装置では、着信通知を受信した通信端末が、予め記憶された通信不可端末であるか否かが判定される。そして、通信不可端末であった場合には、第1の通信網とは異なる通信網である第2の通信網に係る位置が取得される。このため、通信端末が在圏し得ない第1の通信網に係る位置を示す情報を通信端末の位置を示す情報として取得することが防止される。これにより、当該通信端末と固定電話との間で音声通信が行われる場合に、通信端末が実際に在圏する通信網(第2の通信網)から固定電話までの距離を適切に特定することができ、当該距離に応じて適切な音声通信料金を課金することができる。
【0011】
本発明に係る通信制御装置は、通信端末の第1の通信網に係る在圏情報及び第2の通信網に係る在圏情報を記憶する在圏情報記憶手段と、通信端末が第1の通信網において通信を行う機能を有していない通信不可端末であるか否かを示す情報が含まれた位置登録要求を受信する端末情報受信手段と、端末情報受信手段が受信した位置登録要求に通信端末が通信不可端末であることを示す情報が含まれている場合に、在圏情報記憶手段に記憶された第1の通信網に係る在圏情報を削除する在圏情報削除手段と、を備える。
【0012】
本発明に係る通信制御装置では、位置登録要求に係る通信端末が通信不可端末であった場合に、第1の通信網に係る在圏情報が削除される。このため、通信端末が在圏し得ない第1の通信網に係る位置を示す情報を通信端末の位置を示す情報として取得することが防止される。
【0013】
本発明に係る通信制御システムは、第1の通信制御装置と、第2の通信制御装置とを備える通信制御システムであって、第1の通信制御装置は、通信端末から位置登録要求を受信する受信手段と、受信手段が受信した位置登録要求に基づいて、通信端末が第1の通信網において通信を行う機能を有していない通信不可端末であるか否かを判定する判定手段と、判定手段により、通信端末が通信不可端末であると判定された場合に、当該判定の結果を示す情報が含まれた位置登録要求を送信する送信手段と、を有し、第2の通信制御装置は、第1の通信制御装置の送信手段から送信された位置登録要求を受信する端末情報受信手段と、端末情報受信手段が受信した位置登録要求に基づいて、ユーザ毎の通信端末が通信不可端末であるか否かを示す情報を記憶する記憶手段と、通信端末への着信通知を受信する着信受信手段と、着信受信手段が着信通知を受信した通信端末が、記憶手段に記憶された通信不可端末であるか否かを判定する着信判定手段と、着信判定手段により、通信端末が通信不可端末であると判定された場合に、第1の通信網とは異なる通信網である第2の通信網に係る位置を示す情報を取得する取得手段と、を有する。
【0014】
本発明に係る通信制御方法は、通信端末から位置登録要求を受信する受信ステップと、受信ステップにおいて受信した位置登録要求に基づいて、通信端末が第1の通信網において通信を行う機能を有していない通信不可端末であるか否かを判定する判定ステップと、判定ステップにおいて、通信端末が通信不可端末であると判定された場合に、当該判定の結果を示す情報が含まれた位置登録要求を送信する送信ステップと、送信ステップにおいて送信された位置登録要求を受信する端末情報受信ステップと、端末情報受信ステップにおいて受信した位置登録要求に基づいて、ユーザ毎の通信端末が通信不可端末であるか否かを示す情報を記憶する記憶ステップと、端末への着信通知を受信する着信受信ステップと、着信受信ステップにおいて着信通知を受信した通信端末が、記憶ステップにおいて記憶した通信不可端末であるか否かを判定する着信判定ステップと、着信判定ステップにおいて、通信端末が通信不可端末であると判定された場合に、第1の通信網とは異なる通信網である第2の通信網に係る位置を示す情報を取得する取得ステップと、を含む。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、通信端末及び固定電話間の距離を適切に特定し、通信端末及び固定電話間の距離に応じた音声通信料金の課金を行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る実施形態を説明する。可能な場合には、同一の部分には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0018】
図1は、本実施形態に係る通信制御システムの構成を示す概略図である。通信制御システム1は、着信処理に係る通信端末10の位置を示す情報を取得するシステムである。例えば、携帯電話等の通信端末10と固定電話(図示せず)との間で音声通信が行われる場合には、通信端末10及び固定電話間の距離に応じて通信料金が課金される。通信制御システム1は、このような距離に応じた課金を実現すべく、通信端末10の位置を示す情報を適切に取得(特定)するために用いられる。
【0019】
図1に示されるように、通信制御システム1は、通信端末10と、eNB(evolved Node B)11と、MME(Mobility Management Entity)12と、RNC(Radio Network Controller)21と、MSC(MobileSwitching Center)22と、HSS(Home Subscriber Server)30と、ASN(Application Serving Node)40と、を備えている。eNB11及びMME12はLTE(Long Term Evolution)網(第2の通信網)の構成であり、RNC21及びMSC22は3G(3rd. Generation)網(第1の通信網)の構成である。なお、本実施形態では、3G網における通信方式として、WCDMA(Wideband Code Division Multiple Access)(登録商標)が採用されている。
【0020】
図2は、本実施形態の通信制御システムに含まれる各ノードのハードウェア構成を示す図である。すなわち、
図1に示されるeNB11、MME12、RNC21、MSC22、HSS30、及びASN40は、それぞれ物理的には、
図2に示すように、1又は複数のCPU111、主記憶装置であるRAM112及びROM113、入力デバイスであるキーボード及びマウス等の入力装置114、ディスプレイ等の出力装置115、ネットワークカード等のデータ送受信デバイスである通信モジュール116、半導体メモリ等の補助記憶装置117などを含むコンピュータシステムとして構成されている。
【0021】
各ノードの機能は、
図2に示すCPU111、RAM112等のハードウェア上に1又は複数の所定のコンピュータソフトウェアを読み込ませることにより、CPU111の制御のもとで入力装置114、出力装置115、通信モジュール116を動作させるとともに、RAM112や補助記憶装置117におけるデータの読み出し及び書き込みを行うことで実現される。
【0022】
最初に、通信制御システム1の各構成の基本的な機能について説明する。通信端末10は、移動体通信網(以下、単に通信網と記載)に在圏することにより通信が可能になる移動通信端末であり、例えば携帯電話やタブレット型PC等である。通信端末10は、eNB11との間で電波の送受信を行うことによりLTE網に在圏し、RNC21に対応して設けられた無線基地局であるBTS(Base Transceiver Station)(図示せず)との間で電波の送受信を行うことにより3G網に在圏する。通信端末10は、LTE在圏時にVoLTE(Voice over LTE)サービスの提供を受けることができるVoLTE対応端末である。
【0023】
eNB11は、無線基地局であるとともに、無線アクセス制御機能を有した通信制御装置である。eNB11は、通信端末10から発信があった際の受付制御機能や、他の通信端末から通信端末10に着信があった際に通信端末を呼び出すページング機能を基本機能として有している。また、eNB11は、LTEエリアを形成しており、通信端末10がLTEエリア内に在圏する場合に、eNB11及び通信端末10間でLTE方式に従った無線通信を行うことができる。通信端末10は、eNB11を介してeNB11の上位装置であるMME12等と通信を行う。
【0024】
MME12は、eNB11を収容し、モビリティ制御及びベアラ制御を行う交換機である。MME12は、通信端末10の位置登録機能や、他の通信端末から通信端末10に着信があった際にeNB11を呼び出すページング機能、通信端末10の認証管理機能等を基本機能として有している。位置登録及び着信時におけるMME12の機能の詳細については後述する。
【0025】
RNC21は、無線アクセス制御機能を有した通信制御装置である。RNC21は、無線基地局であるBTS(図示せず)に対応して設けられ、BTSが形成する3Gエリアに在圏している通信端末10の無線通信に関する処理を行う。具体的には、RNC21は、通信端末10の回線接続処理やハンドオーバ処理等を行う。
【0026】
MSC22は、RNC21を収容し、無線アクセス網とIMS網との接続機能、音声の転送機能等を基本機能として有した交換機である。
【0027】
HSS30は、通信端末10等の通信端末の契約情報、認証情報、及び在圏情報を管理する加入者情報管理サーバ(加入者情報管理データベース)である。HSS30は、MME12及びMSC22と接続されている。位置登録及び着信時におけるHSS30の機能の詳細については後述する。ASN40は、音声通信のサービス制御を実施する通信制御装置である。
【0028】
次に、通信端末10の位置登録及び着信に係る通信制御システム1の処理イメージについて、
図3及び
図4を参照して説明する。
図3は、本実施形態に係る通信制御システムの位置登録処理イメージを示す図である。
図4は、本実施形態に係る通信制御システムの着信処理イメージを示す図である。なお、以下で説明するWCDMA非対応端末10aとは、通信端末10であってWCDMA方式に対応していない(すなわち本実施形態の3G網において通信を行う機能を有していない)端末である。
【0029】
図3に示されるように、位置登録処理時においては、LTEエリアに位置するWCDMA非対応端末10aは、MME12に対して位置登録信号(位置登録要求)を送信する。当該位置登録信号には、WCDMA非対応端末10aが3G網において通信を行う機能を有していない端末(通信不可端末)であることを示す情報(EPS-only)が含まれている。MME12は、WCDMA非対応端末10aからの位置登録信号を受信し、当該位置登録信号に、通信不可端末であることを示す情報(EPS-only)が含まれていることを特定する。この場合、MME12はHSS30に対して、WCDMA非対応端末10aが通信不可端末であることを示す情報(EPS-only)が含まれた位置登録信号(位置登録要求)を送信する。そして、HSS30は、位置登録に係る各種処理を実行するとともに、位置登録信号から通信不可端末を特定し記憶する。
【0030】
また、
図4に示されるように、着信処理時においては、最初にASN40が、固定電話からWCDMA非対応端末10a宛ての着信信号を受信し、HSS30に対して着信通知を送信する。ここで、HSS30は、通信端末10がLTE網に在圏したことがあれば、在圏したMME12の情報(MME情報)を、通信端末10の在圏情報として保持している。同様に、HSS30は、通信端末10が3G網に在圏したことがあれば、在圏したMSC22の情報(MSC情報)を、通信端末10の在圏情報として保持している。このように、LTE網及び3G網双方の在圏情報を保持している通信端末10に着信があった場合には、通常、HSS30は3G網のCA(Charging Area)を優先的に取得する。CAとは、通信事業者間精算料金において使用されるチャージエリアの識別コードであり、音声通信の課金において通信端末10の位置を特定するコードである。
【0031】
ここで、WCDMA非対応端末10aは、WCDMA方式の3G網に在圏することができない。そのため、通常であればHSS30にWCDMA非対応端末10aのMSC情報が保持されていることはない。しかしながら、例えばWCDMA非対応端末10aが通信事業者毎のSIM(Subscriber Identity Module)カードによらずに使用できるSIMフリー端末である場合には、HSS30にWCDMA非対応端末10aのMSC情報が保持される場合がある。すなわち、3G網在圏中においてWCDMA対応の通信端末10であるWCDMA対応端末10bに差し込まれていたSIMカードが途中でWCDMA非対応端末10aに差し替えられ、その後に当該WCDMA非対応端末10aがLTE網に移動したような場合には、WCDMA非対応端末10aのMSC情報(より詳細には、WCDMA非対応端末10aに差し込まれたSIMカードのMSC情報)がHSS30に保持されている場合がある。この場合には、WCDMA非対応端末10aの着信通知を受信したHSS30は、3G網のCA(
図4中のCA1)を取得することとなる。しかしながら、当該CAは、WCDMA非対応端末10aにSIMカードが差し替えられた際の3G網のCAであり、現在のWCDMA非対応端末10aの位置に応じたCAではない。よって、この場合、WCDMA非対応端末10aと固定電話との間の距離として、実際の距離と大きく異なる距離が特定されてしまうおそれがある。
【0032】
通信制御システム1では、上述したようにHSS30が通信不可端末の情報を記憶している。そのため、HSS30は、ASN40から着信通知を受信した際に、通信不可端末の情報を参照し、着信に係る通信端末10がWCDMA非対応端末10a(通信不可端末)である場合には、在圏情報によらずにLTE網のCA(
図4中のCA2)を取得することが可能となる。これにより、WCDMA非対応端末10aが実際に在圏する通信網の位置を示す情報から、WCDMA非対応端末10aの位置が取得され、WCDMA非対応端末10aと固定電話との間の距離を適切に導出することができる。以下では、
図3及び
図4を参照して説明した通信制御システム1の位置登録処理及び着信処理に係る各機能について、詳細に説明する。
【0033】
次に、
図5を参照してMMEの機能の詳細について説明する。
図5は、本実施形態に係るMMEの機能を示すブロック図である。
図5に示されるように、MME12(第1の通信制御装置)は、通信部121(受信手段、送信手段)と、判定部122(判定手段)と、呼処理制御部123と、信号構築部124とを備えている。
【0034】
通信部121は、通信端末10及びHSS30との間で信号の送受信を行う。具体的には、通信部121は、通信端末10から位置登録信号(位置登録要求)を受信する受信手段である。当該位置登録信号には、通信端末10が3G網において通信を行う機能を有していないWCDMA非対応端末10a(通信不可端末)であるか否かを示すパラメータが含まれている。通信端末10がWCDMA非対応端末10aである場合には、当該パラメータとして「EPS-only」が設定されている。通信部121は、受信した位置登録信号を判定部122に出力する。また、通信部121は、信号構築部124により生成された位置登録信号(位置登録要求)を、HSS30に送信する送信手段である。
【0035】
また、通信部121は、着信時においてHSS30からCA取得要求を受信する。この場合、通信部121は、MME12に設定されているCAの値を含んだ着信応答をHSS30に送信する。
【0036】
判定部122は、通信部121が受信した位置登録信号に基づいて、通信端末10が3G網において通信を行う機能を有していないWCDMA非対応端末10aであるか否かを判定する判定手段である。判定部122は、通信部121が受信した位置登録信号のパラメータを解析し、当該パラメータとして「EPS-only」が設定されている場合には、通信端末10がWCDMA非対応端末10aであると判定する。この場合、判定部122は、パラメータに「EPS-only」が設定されている旨の情報(EPS-only情報)を一時的に保持する。判定部122は、判定が完了した旨の情報を呼処理制御部123に出力する。
【0037】
呼処理制御部123は各種呼処理を実施する。呼処理制御部123は、呼処理が完了した後に、呼処理が完了した旨の情報を信号構築部124に出力する。信号構築部124は、通信部121から送信される位置登録信号を生成する。信号構築部124は、「EPS-only」が設定されているか、すなわち、判定部122にEPS-only情報が保持されているか否かを判定し、EPS-only情報が保持されている場合には、当該EPS-only情報を設定した位置登録信号を生成する。呼処理制御部123は、生成した位置登録信号を通信部121に出力する。
【0038】
次に、
図6を参照してHSS30の機能の詳細について説明する。
図6は、本実施形態に係るHSSの機能を示すブロック図である。
図6に示されるように、HSS30(第2の通信制御装置)は、通信部301(端末情報受信手段、着信受信手段)と、位置登録処理部302と、着信処理部303(着信判定手段、取得手段)と、加入者DB304(記憶手段)と、を備えている。
【0039】
通信部301は、MME12及びASN40との間で信号の送受信を行う。具体的には、通信部301は、通信端末10がWCDMA非対応端末10aであるか否かを示す情報が含まれた位置登録信号を、MME12から受信する端末情報受信手段である。通信端末10がWCDMA非対応端末10aである場合には、位置登録信号にはEPS-only情報が設定されている。通信部301は、受信した位置登録信号を位置登録処理部302に出力する。また、通信部301は、位置登録処理部302から出力された位置登録応答信号をMME12に送信する。
【0040】
また、通信部301は、通信端末10への着信通知をASN40から受信する着信受信手段である。さらに、通信部301は、MME12又はMSC22にCA取得要求を送信し、これらから受信した着信応答に含まれるCAを取得する。そして、当該CAを含んだ着信応答をASN40に送信する。
【0041】
位置登録処理部302は、通信端末10の位置登録に係る処理を行う。位置登録処理部302は、信号解析部302aと、呼処理制御部302bとを有している。
【0042】
信号解析部302aは、通信部301が受信した位置登録信号に基づいて、通信端末10がWCDMA非対応端末10aであるか否かを判定する。具体的には、信号解析部302aは、位置登録信号のパラメータを解析し、位置登録信号にEPS-only情報が設定されている場合には、通信端末10がWCDMA非対応端末10aであると判定する。信号解析部302aは、当該判定結果を呼処理制御部302bに出力する。
【0043】
呼処理制御部302bは各種呼処理を実施する。呼処理制御部302bは、位置登録信号にEPS-only情報が設定されている場合には、当該EPS-only情報を位置登録信号に係る通信端末10に紐づけて加入者DB304に格納する。すなわち、加入者DB304は、ユーザ毎の通信端末10がWCDMA非対応端末10aであるか否かを示す情報であるEPS-only情報を記憶する記憶手段である。加入者DB304には、各ユーザを示す識別子(ユーザ識別子)とEPS-only情報とが紐づけて記憶されている。また、呼処理制御部302bは、MME12からの位置登録信号に応じた位置登録応答信号を通信部301に出力する。
【0044】
なお、加入者DB304には、ユーザ毎の通信端末10の在圏情報が記憶されている。すなわち、LTE網に在圏したことがあれば上述したMME情報が記憶されており、3G網に在圏したことがあれば上述したMSC情報が記憶されている。
【0045】
着信処理部303は、通信端末10の着信に係る処理を行う。着信処理部303は、信号解析部303aと、呼処理制御部303bとを有している。
【0046】
信号解析部303aは、通信部301が受信した着信通知の信号のパラメータを解析し、当該着信通知に係る通信端末のユーザ識別子を特定する。信号解析部303aは、当該ユーザ識別子を呼処理制御部303bに出力する。
【0047】
呼処理制御部303bは各種呼処理を実施する。呼処理制御部303bは、加入者DB304を参照し、加入者DB304に信号解析部303aから入力されたユーザ識別子が存在するか否かを判定する。加入者DB304にユーザ識別子が存在する通信端末10とはすなわち、WCDMA非対応端末10aである。すなわち、呼処理制御部303bは、着信通知を受信した通信端末10がWCDMA非対応端末10aであるか否かを判定する着信判定手段である。
【0048】
また、呼処理制御部303bは、上記着信判定の結果に応じて、所定の通信網に係る位置を示す情報(すなわちCA)を取得する(より詳細には、通信部301に取得させる)取得手段である。すなわち、上記着信判定において通信端末10がWCDMA非対応端末10aであると判定された場合には、呼処理制御部303bは、加入者DB304が3G網の在圏情報を有しているか否かによらず、LTE網のCAをMME12から取得する。この場合、呼処理制御部303bは、通信端末10が当該LTE網に最後にアクセスした時刻を問い合わせる、T−ADS(Terminating-Access Domain Selection)要求を、MME12に対して通信部301に送信させる。一方、上記着信判定において通信端末10がWCDMA非対応端末10aでないと判定された場合には、呼処理制御部303bは、3G網のCAをMSC22から取得する。この場合、呼処理制御部303bは、通信端末10が当該3G網に最後にアクセスした時刻を問い合わせる、T−ADS要求を、MSC22に対して通信部301に送信させる。ただし、加入者DB304が3G網の在圏情報を有していない場合には、MME12からLTE網のCAが取得される。
【0049】
次に、MME12の位置登録処理について
図7を参照して説明する。
図7は、本実施形態に係るMMEの位置登録処理を示すフローチャートである。
【0050】
図7に示されるように、通信端末10からの位置登録信号が通信部121において受信(ステップS1)されると、判定部122において当該位置登録信号のパラメータが解析される(ステップS2)。当該解析により位置登録信号のパラメータとして「EPS-only」が設定されているか否かが判定され(ステップS3)、「EPS-only」が設定されている場合には、EPS-only情報が判定部122に一時的に保持される(ステップS4)。
【0051】
つづいて、呼処理制御部123により各種呼処理が実施(ステップS5)された後に、信号構築部124によりEPS-only情報が判定部122に保持されているか否かが判定される(ステップS6)。S6において保持されていると判定された場合には、信号構築部124により、当該EPS-only情報が位置登録信号に設定され(ステップS7)、位置登録信号が生成される(ステップS8)。最後に、通信部121により、当該位置登録信号がHSS30に向けて送信される(ステップS9)。
【0052】
次に、HSS30の位置登録処理について
図8を参照して説明する。
図8は、本実施形態に係るHSSの位置登録処理を示すフローチャートである。
【0053】
図8に示されるように、MME12からの位置登録信号が通信部301において受信(ステップS11)されると、信号解析部302aにおいて当該位置登録信号のパラメータが解析される(ステップS12)。当該解析により、位置登録信号にEPS-only情報が設定されているか否かが判定され(ステップS13)、EPS-only情報が設定されている場合には、呼処理制御部302bにより、EPS-only情報と位置登録信号に係る通信端末10とが紐づけられて加入者DB304に格納される。これにより、加入者DB304において、各ユーザを示す識別子(ユーザ識別子)とEPS-only情報とが紐づけて記憶される(ステップS14)。最後に、呼処理制御部302bにより各種の呼処理が実施される(ステップS15)。
【0054】
次に、HSS30の着信処理について
図9を参照して説明する。
図9は、本実施形態に係るHSSの着信処理を示すフローチャートである。
【0055】
図9に示されるように、ASN40から送信された通信端末10への音声着信(着信通知)が通信部301において受信(ステップS21)されると、呼処理制御部303bにより、加入者DB304が参照され、通信端末10のユーザ識別子が加入者DB304に存在するか、すなわち、通信端末10のEPS-only情報が加入者DB304に記憶されているか否かが判定される(ステップS22)。
【0056】
S22において通信端末10のEPS-only情報が加入者DB304に記憶されている、すなわち通信端末10がWCDMA非対応端末10aであると判定された場合には、呼処理制御部303bは、加入者DB304が3G網の在圏情報を有しているか否かによらず、LTE網に係る位置を示す情報であるLTE網のCAをMME12から取得する(ステップS23)。この場合、呼処理制御部303bは、通信端末10が当該LTE網に最後にアクセスした時刻を問い合わせる、T−ADS要求を、MME12に対して通信部301に送信させる(ステップS23)。
【0057】
一方、S22において通信端末10のEPS-only情報が加入者DB304に記憶されていない、すなわち通信端末10がWCDMA非対応端末10aでないと判定された場合には、呼処理制御部303bは、3G網のCAをMSC22から取得する(ステップS24)。この場合、呼処理制御部303bは、通信端末10が当該3G網に最後にアクセスした時刻を問い合わせる、T−ADS要求を、MSC22に対して通信部301に送信させる。ただし、加入者DB304が3G網の在圏情報を有していない場合には、MME12からLTE網のCAが取得される(ステップS24)。最後に、呼処理制御部303bによりHSS30の各種着信処理が行われる(ステップS25)。
【0058】
次に、通信制御システム全体としての位置登録処理について
図10を参照して説明する。
図10は、本実施形態に係る通信制御システムの位置登録処理を示すシーケンス図である。
【0059】
図10に示されるように、通信端末10からeNB11に対して位置登録信号(EMM_Attach Request)が送信される(ステップS101)。当該位置登録信号には、通信端末10がWCDMA非対応端末10aであるか否かを示すパラメータ(EPS attach type)が含まれている。当該位置登録信号は、eNB11により更にMME12に送信される(ステップS102)。
【0060】
つづいて、MME12の判定部122により位置登録信号のパラメータ(EPSattach type)が判定される(ステップS103)。S103においてパラメータとして「EPS-only」が設定されている場合(EPS attach typeがEPS Attachの場合)には、MME12の通信部121によりEPS-only情報(EPS-Only-Flag)が設定された位置登録信号(Diameter_Update Location Request)がHSS30に送信される(ステップS104)。
【0061】
当該位置登録信号を受信したHSS30の加入者DB304において、通信端末10のユーザ識別子とEPS-only情報(EPS-Only-Flag)とが紐づけて記憶される(ステップS105)。そして、HSS30の通信部301により、MME12からの位置登録信号に応じた位置登録応答信号(Diameter_Update Location Answer)がMME12に送信される(ステップS106)。
【0062】
一方で、S103において、位置登録信号のパラメータとして「EPS-only」が設定されていない場合には、EPS-only情報(EPS-Only-Flag)が設定されていない位置登録信号(Diameter_Update Location Request)がMME12の通信部121からHSS30に送信される(ステップS107)。当該位置登録信号を受信したHSS30の加入者DB304において、通信端末10のユーザ識別子と紐づけて記憶されたEPS-only情報(EPS-Only-Flag)が削除される(ステップS108)。そして、HSS30の通信部301により、MME12からの位置登録信号に応じた位置登録応答信号(Diameter_Update Location Answer)がMME12に送信される(ステップS109)。S106又はS109以降は、VoLTEの通常のアタッチ処理が継続される(ステップS110)。
【0063】
次に、通信制御システム全体としての着信処理について
図11を参照して説明する。
図11は、本実施形態に係る通信制御システムの着信処理を示すシーケンス図である。
【0064】
図11に示されるように、ASN40において固定電話から通信端末10への音声着信が受信(ステップS121)されると、ASN40からHSS30に対して着信通知がなされる(ステップS122)。そして、当該着信通知を受信したHSS30の呼処理制御部303bにより、加入者DB304が参照され、通信端末10のユーザ識別子が加入者DB304に存在するか、すなわち、通信端末10のEPS-only情報が加入者DB304に記憶されているか否かが判定される(ステップS123)。
【0065】
S123においてEPS-only情報が加入者DB304に記憶されていると判定された場合には、HSS30の呼処理制御部303bからMME12に対してCA取得要求が送信される(ステップS124)。当該取得要求に対して、MME12の通信部121が、CAを含んだ着信応答をHSS30に送信する(ステップS125)。HSS30の通信部301は、受信した着信応答に含まれるCAを取得し、当該CAを含んだ着信応答をASN40に送信する(ステップS126)。当該CAの値に応じて通信端末10の位置が特定され、通信端末10及び固定電話間の距離に応じた通信料金が課金される。CAの値を取得したASN40においては、通常の着信処理が継続される(ステップS127)。
【0066】
次に、本実施形態に係る通信制御システム1の作用効果について、比較例に係る通信制御システム501(
図12)と対比しながら説明する。
図12は、比較例に係る通信制御システムの着信処理イメージを示す図である。
【0067】
図12に示す比較例に係る通信制御システム501において、3G網在圏中においてWCDMA対応の通信端末10であるWCDMA対応端末10bに差し込まれていたSIMカードが途中でWCDMA非対応端末10aに差し替えられ、その後に当該WCDMA非対応端末10aがMME512に係るLTE網に移動したような場合を考える。この場合、WCDMA非対応端末10aのMSC情報(より詳細には、WCDMA非対応端末10aに差し込まれたSIMカードのMSC情報)が在圏情報としてHSS530に記憶されている。このため、固定電話からWCDMA非対応端末10aへの着信通知を受信したHSS530は、3G網のMSC22にCAを要求し、MSC22のCA(
図12中のCA1)を取得することとなる。
【0068】
しかしながら、当該CA1は、WCDMA非対応端末10aにSIMカードが差し替えられた際の3G網の(MSC22の)CAであり、現在のWCDMA非対応端末10aの位置に応じたCAではない。よって、この場合、WCDMA非対応端末10aと固定電話との間の距離として、実際の距離と大きく異なる距離が特定されてしまうおそれがある。
【0069】
この点、本実施形態に係る通信制御システム1では、MME12における位置登録処理時において、通信端末10から送信された位置登録信号に基づき、当該通信端末10がWCDMA非対応端末10aであるか否かが判定される。具体的には、判定部122により位置登録信号のパラメータが解析され、当該パラメータとして「EPS-only」が設定されているか否かが判定される。そして、「EPS-only」が設定されており通信端末10がWCDMA非対応端末10aであると判定された場合には、当該判定結果を示す情報であるEPS-only情報が設定された位置登録信号が、通信部121によりHSS30に送信される。
【0070】
このため、MME12から位置登録信号を受信したHSS30においては、通信端末10がWCDMA非対応端末10aであるか否かが特定される。これにより、3G網において通信を行う機能を有していないWCDMA非対応端末10aの位置を示す情報が、3G網に係る位置を示す情報、すなわちMSC22のCAから取得されることを防止することができる。このことにより、当該通信端末10と固定電話との間で音声通信が行われる場合に、通信端末10が在圏する通信網から固定電話までの距離を適切に特定することができ、当該距離に応じて適切な音声通信料金を課金することができる。
【0071】
また、本実施形態に係る通信制御システム1では、HSS30において、着信通知を受信した通信端末10が予め記憶されたWCDMA非対応端末10aであるか否かが判定される。具体的には、ASN40から送信された通信端末10への音声着信(着信通知)が通信部301において受信されると、呼処理制御部303bにより、加入者DB304が参照され、通信端末10のユーザ識別子が加入者DB304に存在するか、すなわち、通信端末10のEPS-only情報が加入者DB304に記憶されているか否かが判定される。
【0072】
そして、通信端末10のEPS-only情報が加入者DB304に記憶されている、すなわち通信端末10がWCDMA非対応端末10aであると判定された場合には、呼処理制御部303bは、加入者DB304が3G網の在圏情報を有しているか否かによらず、LTE網に係る位置を示す情報であるLTE網のCAをMME12から取得する。このため、加入者DB304が3G網の在圏情報を有していたとしても、通信端末10が在圏し得ない3G網に係る位置を示す情報(MSC22のCA)を通信端末10の位置を示す情報として取得することが防止される。これにより、当該通信端末10と固定電話との間で音声通信が行われる場合に、通信端末10が実際に在圏する通信網から固定電話までの距離を適切に特定することができ、当該距離に応じて適切な音声通信料金を課金することができる。
【0073】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されない。例えば、上記実施形態では、HSS30の加入者DB304に記憶された通信端末10のEPS-only情報を参照することにより、加入者DB304が3G網の在圏情報を有していたとしても、通信端末10が在圏し得ない3G網に係る位置を示す情報(MSC22のCA)を通信端末10の位置を示す情報として取得することを防止するとして説明した。通信端末10が在圏し得ない通信網の位置を示す情報の取得を防止する方法は上記に限定されず、例えば、EPS-only情報を記憶する代わりに、位置登録時に3G網の在圏情報(MSC情報)を削除することとしてもよい。3G網の在圏情報が削除されることにより、着信時において通信端末10が在圏し得ない3G網のCAが取得される事態を防止することができる。この場合、加入者DB304は、通信端末10の3G網に係る在圏情報であるMSC情報、及び、LTE網に係る在圏情報であるMME情報を記憶する在圏情報記憶手段である。また、呼処理制御部302bは、3G網の在圏情報を削除する在圏情報削除手段である。以下、HSS30の加入者DB304のMSC情報を削除する処理について、
図13を参照して説明する。
図13は、変形例に係るHSSの位置登録処理を示すフローチャートである。
【0074】
図13に示されるように、MME12からの位置登録信号が通信部301において受信(ステップS31)されると、信号解析部302aにおいて当該位置登録信号のパラメータが解析される(ステップS32)。当該解析により、位置登録信号にEPS-only情報が設定されているか否かが判定される(ステップS33)。当該S31〜S33の処理は、
図8に示したS11〜S13の処理と同様である。
【0075】
S13においてEPS-only情報が設定されている場合には、呼処理制御部302bにより、加入者DB304に在圏情報としてMSC情報が記憶されているか否かが判定される(ステップS34)。S34においてMSC情報が記憶されている場合には、呼処理制御部302bによりMSC情報が削除され(ステップS35)、最後に、呼処理制御部302bにより各種の呼処理が実施される(ステップS36)。このようにして位置登録処理において3G網の在圏情報であるMSC情報が削除されることにより、着信処理においてMSC22のCAが取得されることが防止される。
【0076】
また、第1の通信網を3G網、第2の通信網をLTE網として説明したがこれに限定されず、第1の通信網及び第2の通信網はそれぞれ3G網及びLTE網以外の通信網であってもよい。また、第1の通信網及び第2の通信網はそれぞれ2つ以上の通信網であってもよい。