特許第6417526号(P6417526)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6417526霞石結晶相を含む光形成性ガラスセラミック
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6417526
(24)【登録日】2018年10月19日
(45)【発行日】2018年11月7日
(54)【発明の名称】霞石結晶相を含む光形成性ガラスセラミック
(51)【国際特許分類】
   C03C 4/04 20060101AFI20181029BHJP
   C03C 10/10 20060101ALI20181029BHJP
   C03C 3/062 20060101ALI20181029BHJP
   C03C 3/11 20060101ALI20181029BHJP
   C03C 3/112 20060101ALI20181029BHJP
   C03C 21/00 20060101ALI20181029BHJP
   C03B 32/02 20060101ALI20181029BHJP
【FI】
   C03C4/04
   C03C10/10
   C03C3/062
   C03C3/11
   C03C3/112
   C03C21/00 101
   C03B32/02
【請求項の数】41
【全頁数】54
(21)【出願番号】特願2017-560188(P2017-560188)
(86)(22)【出願日】2016年5月17日
(65)【公表番号】特表2018-520973(P2018-520973A)
(43)【公表日】2018年8月2日
(86)【国際出願番号】US2016032835
(87)【国際公開番号】WO2016187181
(87)【国際公開日】20161124
【審査請求日】2018年2月6日
(31)【優先権主張番号】62/163,065
(32)【優先日】2015年5月18日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】ビール,ジョージ ホールジー
(72)【発明者】
【氏名】ボレッリ,ニコラス フランシス
(72)【発明者】
【氏名】シュローダー,ジョセフ フランシス ザ サード
【審査官】 永田 史泰
(56)【参考文献】
【文献】 特開平3−174338(JP,A)
【文献】 特開平3−69528(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/153829(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03C1/00−14/00
INTERGLAD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
を含む感光性ガラス組成物。
【請求項2】
前記組成物が
を含む、請求項1記載の感光性ガラス組成物。
【請求項3】
前記組成物が
を含む、請求項2記載の感光性ガラス組成物。
【請求項4】
前記組成物がTiO2およびZrO2を実質的に含まない、請求項1記載の感光性ガラス組成物。
【請求項5】
前記組成物がリチウムを実質的に含まない、請求項1記載の感光性ガラス組成物。
【請求項6】
前記組成物が0質量%超のP25をさらに含む、請求項1記載の感光性ガラス組成物。
【請求項7】
を含むガラスセラミック組成物であって、少なくとも1つの霞石相を含むガラスセラミック組成物。
【請求項8】
前記組成物が
を含む、請求項7記載のガラスセラミック組成物。
【請求項9】
前記組成物が
を含む、請求項8記載のガラスセラミック組成物。
【請求項10】
前記組成物がTiO2およびZrO2を実質的に含まない、請求項7記載のガラスセラミック組成物。
【請求項11】
前記組成物がリチウムを実質的に含まない、請求項7記載のガラスセラミック組成物。
【請求項12】
前記組成物が少なくとも1つのリチウムアルミノケイ酸塩相またはリン酸塩相をさらに含む、請求項7記載のガラスセラミック組成物。
【請求項13】
前記組成物が0質量%超のP25をさらに含む、請求項7記載のガラスセラミック組成物。
【請求項14】
前記組成物が熱的または化学的に強化されている、請求項7記載のガラスセラミック組成物。
【請求項15】
前記組成物がイオン交換により化学強化されている、請求項14記載のガラスセラミック組成物。
【請求項16】
ガラス・ガラスセラミック・ハイブリッド組成物において、
a)ガラス相であって、
を含む組成を有するガラス相、および
b)ガラスセラミック相であって、
を含む組成を有するガラスセラミック相、
を含み、前記ガラスセラミック相が少なくとも1つの霞石相を含む、ガラス・ガラスセラミック・ハイブリッド組成物。
【請求項17】
前記ガラス相および前記ガラスセラミック相の各々が、
を含む、請求項16記載のガラス・ガラスセラミック・ハイブリッド組成物。
【請求項18】
前記ガラス相および前記ガラスセラミック相の各々が、
を含む、請求項17記載のガラス・ガラスセラミック・ハイブリッド組成物。
【請求項19】
前記ガラス相および前記ガラスセラミック相の各々がTiO2およびZrO2を実質的に含まない、請求項16記載のガラス・ガラスセラミック・ハイブリッド組成物。
【請求項20】
前記ガラス相および前記ガラスセラミック相の各々がリチウムを実質的に含まない、請求項16記載のガラス・ガラスセラミック・ハイブリッド組成物。
【請求項21】
前記ガラスセラミック相が少なくとも1つのリチウムアルミノケイ酸塩相またはリン酸塩相をさらに含む、請求項16記載のガラス・ガラスセラミック・ハイブリッド組成物。
【請求項22】
前記ガラス相および前記ガラスセラミック相の一方または両方が0質量%超のP25をさらに含む、請求項16記載のガラス・ガラスセラミック・ハイブリッド組成物。
【請求項23】
前記ガラス相および前記ガラスセラミック相の一方または両方が熱的または化学的に強化されている、請求項16記載のガラス・ガラスセラミック・ハイブリッド組成物。
【請求項24】
前記ガラス相および前記ガラスセラミック相の一方または両方がイオン交換により化学強化されている、請求項23記載のガラス・ガラスセラミック・ハイブリッド組成物。
【請求項25】
前記ガラス相および前記ガラスセラミック相が異なるレベルにイオン交換されている、請求項24記載のガラス・ガラスセラミック・ハイブリッド組成物。
【請求項26】
前記ガラスセラミック相が半透明または不透明であり、前記ガラス相が透明である、請求項16記載のガラス・ガラスセラミック・ハイブリッド組成物。
【請求項27】
前記ガラスセラミック相が不透明であり、前記ガラス相が透明である、請求項16記載のガラス・ガラスセラミック・ハイブリッド組成物。
【請求項28】
少なくとも部分的にガラスセラミックである物品を製造する方法において、
a)感光性ガラスであって、
を含む感光性ガラスの少なくとも一部を、1つ以上の露光領域を形成するのに十分な時間に亘り十分なエネルギーの電磁放射線に暴露する工程、および
b)前記感光性ガラスに、該感光性ガラスの前記露光領域をセラミック化させるのに十分であるが、該感光性ガラスの未露光領域をセラミック化させるのに不十分である温度と時間の熱処理を施す工程であって、熱処理された露光領域が少なくとも1つの霞石相を含むものである工程、
を有してなる方法。
【請求項29】
前記感光性ガラスが、
を含む、請求項28記載の方法。
【請求項30】
前記感光性ガラスが、
を含む、請求項29記載の方法。
【請求項31】
前記感光性ガラスがTiO2およびZrO2を実質的に含まない、請求項28記載の方法。
【請求項32】
前記感光性ガラスがリチウムを実質的に含まない、請求項28記載の方法。
【請求項33】
前記感光性ガラスの前記露光領域が少なくとも1つのリチウムアルミノケイ酸塩相またはリン酸塩相をさらに含む、請求項28記載の方法。
【請求項34】
前記電磁放射線の波長が400nm未満である、請求項28記載の方法。
【請求項35】
前記暴露時間が約1分から約60分である、請求項34記載の方法。
【請求項36】
前記電磁放射線の励起エネルギーが約0.1J/cm2から約500J/cm2である、請求項28記載の方法。
【請求項37】
前記電磁放射線の平均強度が約1mW/cm2から約10W/cm2である、請求項28記載の方法。
【請求項38】
前記熱処理が、前記ガラスを約650℃から約720℃の温度に加熱する工程を含む、請求項28記載の方法。
【請求項39】
前記熱処理が約1時間から約6時間の期間に亘り行われる、請求項38記載の方法。
【請求項40】
前記少なくとも部分的に露光され、熱処理された感光性ガラスを熱的または化学的に強化する工程をさらに含む、請求項28記載の方法。
【請求項41】
少なくとも部分的に露光され熱処理された感光性ガラスがイオン交換により化学強化されている、請求項40記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【優先権】
【0001】
本出願は、その内容が依拠され、ここに全て引用される、2015年5月18日に出願された米国仮特許出願第62/163065号の米国法典第35編第119条の下での優先権の恩恵を主張するものである。
【技術分野】
【0002】
本開示は、概して、露光されたときに霞石(nepheline)結晶相を形成することができるガラス、少なくとも1つの霞石結晶相を含む光形成性(photoformable)ガラスセラミック、そのようなガラスおよびガラスセラミックを含有する製品、並びにその製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
家庭用電化製品において、丈夫で、寸法が薄く、軽量の製品の需要の高まりにより、これらの基準の全てを満たすことのできる材料の発見に新たな関心が生じている。透明性も望ましい場合、ガラスが、これらの基準の多くを満たしている。不透明材料が望ましい場合、ガラスセラミックが、これらの必要な特性の少なくともいくつかを有することが分かっている。例えば、白色のベータ・スポジュメンガラスセラミックなどの不透明の白色と黒色のガラスセラミックが、スマートフォンの筐体に現在使用されている−しかしながら、多種多様な色だけでなく、その上、構造体に模様を付ける能力に対する消費者需要が成長している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、不透明ガラスセラミックの模様入り領域を提供するために選択的にセラミック化できるガラスを設計できることが都合よいであろう。その上、そのようなガラス/ガラスセラミックは、さらに、強度が重要である用途に使用できるように、イオン交換により化学的におよび/または熱的に強化できるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、様々な実施の形態において、感光性ガラス、ガラスセラミック、および光活性過程によるガラスセラミックの形成に関する。
【0006】
第1の態様は、ほぼ
【0007】
を含む感光性ガラス組成物を含む。
【0008】
いくつかの実施の形態において、前記組成物は、ほぼ
【0009】
を含む。
【0010】
いくつかの実施の形態において、前記組成物は、ほぼ
【0011】
を含む。
【0012】
いくつかの実施の形態において、前記組成物は、TiO2およびZrO2を実質的に含まない。いくつかの実施の形態において、その組成物はリチウムを実質的に含まない。いくつかの実施の形態において、その組成物は0質量%超のP25をさらに含む。
【0013】
第2の態様は、ほぼ
【0014】
を含むガラスセラミック組成物であって、そのガラスセラミック相が少なくとも1つの霞石相を含むガラスセラミック組成物を含む。
【0015】
いくつかの実施の形態において、前記ガラスセラミック組成物は、ほぼ
【0016】
を含む。
【0017】
いくつかの実施の形態において、前記ガラスセラミック組成物は、ほぼ
【0018】
を含む。
【0019】
いくつかの実施の形態において、前記ガラスセラミック組成物は、TiO2およびZrO2を実質的に含まない。いくつかの実施の形態において、その組成物はリチウムを実質的に含まない。いくつかの実施の形態において、その組成物は少なくとも1つのリチウムアルミノケイ酸塩相またはリン酸塩相をさらに含む。いくつかの実施の形態において、その組成物は0質量%超のP25をさらに含む。いくつかの実施の形態において、その組成物は、熱的または化学的に強化されている、例えば、その組成物はイオン交換により化学強化されている。
【0020】
第3の態様は、ガラス・ガラスセラミック・ハイブリッド組成物であって、
a)ほぼ
【0021】
を含むガラス組成を有するガラス相、および
b)ほぼ
【0022】
を含むガラスセラミック組成を有するガラスセラミック相、
を含み、そのガラスセラミック相が少なくとも1つの霞石相を含む、ガラス・ガラスセラミック・ハイブリッド組成物を含む。
【0023】
いくつかの実施の形態において、前記ガラス相およびガラスセラミック相の各々は、ほぼ
【0024】
を含む。
【0025】
いくつかの実施の形態において、前記ガラス相およびガラスセラミック相の各々は、ほぼ
【0026】
を含む。
【0027】
いくつかの実施の形態において、前記ガラス相およびガラスセラミック相の各々は、TiO2およびZrO2を実質的に含まない。いくつかの実施の形態において、そのガラス相およびガラスセラミック相の各々はリチウムを実質的に含まない。いくつかの実施の形態において、そのガラスセラミック相は少なくとも1つのリチウムアルミノケイ酸塩相またはリン酸塩相をさらに含む。いくつかの実施の形態において、そのガラス相およびガラスセラミック相の一方または両方は0質量%超のP25をさらに含む。いくつかの実施の形態において、そのガラス相およびガラスセラミック相の一方または両方は、熱的または化学的に強化されている。いくつかの実施の形態において、そのガラス相およびガラスセラミック相の一方または両方は、イオン交換により化学強化されている。いくつかの実施の形態において、そのガラス相およびガラスセラミック相は、異なるレベルにイオン交換されている。いくつかの実施の形態において、そのガラスセラミック相は半透明または不透明であり、そのガラス相は透明である。いくつかの実施の形態において、そのガラスセラミック相は不透明であり、そのガラス相は透明である。
【0028】
第4の態様は、少なくとも部分的にガラスセラミックである物品を製造する方法であって、
a)ほぼ
【0029】
を含む感光性ガラスの少なくとも一部を、1つ以上の露光領域を形成するのに十分な時間に亘り十分なエネルギーの電磁放射線に暴露する工程、および
b)その感光性ガラスに、その感光性ガラスの露光領域をセラミック化させるのに十分であるが、その感光性ガラスの未露光領域をセラミック化させるのに不十分である温度と時間の熱処理を施す工程であって、熱処理された露光領域が少なくとも1つの霞石相を含むものである工程、
を有してなる方法を含む。
【0030】
いくつかの実施の形態において、前記感光性ガラスは、ほぼ
【0031】
を含む。
【0032】
いくつかの実施の形態において、前記感光性ガラスは、ほぼ
【0033】
を含む。
【0034】
いくつかの実施の形態において、前記感光性ガラスは、TiO2およびZrO2を実質的に含まない。いくつかの実施の形態において、その感光性ガラスはリチウムを実質的に含まない。いくつかの実施の形態において、その感光性ガラスの露光領域は少なくとも1つのリチウムアルミノケイ酸塩相またはリン酸塩相をさらに含む。いくつかの実施の形態において、前記電磁放射線の波長は400nm未満である。いくつかの実施の形態において、前記暴露時間は約1分から約60分である。いくつかの実施の形態において、その電磁放射線の励起エネルギーは約0.1J/cm2から約500J/cm2である。いくつかの実施の形態において、その電磁放射線の平均強度は、約1mW/cm2から約10W/cm2である。いくつかの実施の形態において、前記熱処理は、前記ガラスを約650℃から約720℃の温度に加熱する工程を含む。いくつかの実施の形態において、その熱処理は、約1時間から約6時間の期間に亘り行われる。いくつかの実施の形態において、前記方法は、少なくとも部分的に露光され熱処理された感光性ガラスを熱的または化学的に強化する工程をさらに含む。いくつかの実施の形態において、少なくとも部分的に露光され熱処理された感光性ガラスは、イオン交換により化学強化されている。
【0035】
本開示の追加の特徴および利点は、以下の詳細な説明に述べられており、一部は、その説明から当業者に容易に明白となるか、または以下の詳細な説明、特許請求の範囲、並びに添付図面を含む、ここに記載されたように方法を実施することにより認識されるであろう。
【0036】
先の一般的な説明および以下の詳細な説明の両方とも、本開示の様々な実施の形態を提示し、請求項の性質および特徴を理解するための概要または骨子を提供することが意図されていることを理解すべきである。添付図面は、本開示のさらなる理解を与えるために含まれ、本明細書に包含され、その一部を構成する。図面は、本開示の様々な実施の形態を示し、説明と共に、本開示の原理および動作を説明する働きをする。
【0037】
以下の詳細な説明は、同様の構造が同様の参照番号により示されている、以下の図面と共に読んだときに最も理解できる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】セラミック化前の露光されなかった具体的ガラスセラミックのXRDパターン
図2】セラミック化前の露光された具体的ガラスセラミックのXRDパターン
図3】不透明領域が霞石ナノ相を含む、具体的な露光により模様が付けられたガラス/ガラスセラミックの写真
図4A】ある形成条件に暴露された具体的ガラス/ガラスセラミックを示す写真
図4B】別の形成条件に暴露された具体的ガラス/ガラスセラミックを示す写真
図4C】さらに別の形成条件に暴露された具体的ガラス/ガラスセラミックを示す写真
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下の詳細な説明において、ここに記載された実施の形態の完全な理解を与えるために、多数の特定の詳細が述べられることがある。しかしながら、実施の形態が、これらの特定の詳細のいくつかまたは全てがなくとも実施されることがあることが当業者に明白であろう。他の場合、本発明を不必要に分かりにくくしないように、よく知られた特徴または過程は、詳しく記載されないことがある。その上、共通のまたは同様の要素を特定するために、同様のまたは同じ参照番号が使用されるであろう。さらに、特に明記のない限り、ここに使用される全ての技術用語と科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者により一般に理解されるものと同じ意味を有する。対立する場合、ここの定義を含む本明細書が支配する。
【0040】
実施の形態の実施または試験に特定の適した方法および材料がここに記載されているが、他の方法および材料を使用できる。特に明記のない限り、ここに述べられたどの方法も、その工程が特定の順序で行われることを必要とすると解釈されることは決して意図されていない。したがって、方法の請求項が、その工程がしたがうべき順序を実際に挙げていない場合、またはその工程が特定の順序に限定されることが、特許請求の範囲または記載に他に具体的に述べられていない場合、どのような特定の順序も暗示されることは決して意図されていない。
【0041】
開示された方法および組成物に使用できる、それと共に使用できる、その調製に使用できる、またはその実施の形態である、材料、化合物、組成物、および成分が開示されている。これらと他の材料がここに開示されており、これらの材料の組合せ、部分集合、相互作用、群などが開示されている場合、これらの化合物の各様々な個々と集合的な組合せおよび置換の具体的な言及が明白に開示されていないかもしれないが、各々がここに具体的に考えられ、記載されていると理解されよう。
【0042】
このように、置換基A、B、およびCの部類、並びに置換基D、E、およびFの部類、および組合せの実施の形態の例A−Dが開示されている場合、各々が個別と集合的に考えられる。このように、この例において、組合せA−E、A−F、B−D、B−E、B−F、C−D、C−E、およびC−Fの各々が、A、B、および/またはC;D、E、および/またはF;および例示の組合せA−Dの開示から、具体的に考えられ、開示されていると考えるべきである。同様に、これらの任意の部分集合または組合せも、具体的に考えられ、開示されている。このように、例えば、A−E、B−F、およびC−Eの部分集合が、A、B、および/またはC;D、E、および/またはF;および例示の組合せA−Dの開示から、具体的に考えられ、開示されていると考えるべきである。この概念は、以下に限られないが、組成物の任意の成分、並びに開示された組成物を製造する方法および使用する方法における工程を含む、本開示の全ての態様に適用される。より詳しくは、ここに与えられた例示の組成範囲は、本明細書の一部と考えられ、さらに、本文における特定の含有と全ての点で同等な例示の数値範囲の端点を与えると考えられ、全ての組合せが具体的に考えられ、開示されている。さらに、実施できる様々な追加の工程がある場合、これらの追加の工程の各々は、開示された方法のどの特定の実施の形態または実施の形態の組合せに行うこともでき、そのような組合せの各々が、具体的に考えられ、開示されていると考えるべきであることが理解されよう。
【0043】
さらに、上限値と下限値を含む数値の範囲がここに挙げられている場合、特定の状況においてそうではないと述べられていない限り、その範囲は、その端点、およびその範囲内の全ての整数と有理数を含むことが意図されている。本発明の範囲は、範囲を定義している場合、挙げられた特定の値に制限されることは意図されていない。さらに、量、濃度、もしくは他の値またはパラメータが、範囲、1つ以上の好ましい範囲、または好ましい上限値と好ましい下限値のリストとして与えられている場合、これは、どの範囲の上限または好ましい値と、どの範囲の下限または好ましい値のいずれの対から、そのような対が別々に開示されているか否かにかかわらずに、形成された全ての範囲を具体的に開示していると理解される。最後に、値または範囲の端点を記載する際に、「約」という用語が使用されている場合、本開示は、参照されている特定の値または端点を含むと理解すべきである。
【0044】
ここに用いたように、「約」という用語は、量、サイズ、配合物、パラメータ、並びに他の数量および特徴が、正確ではなく、その必要もないが、許容誤差、変換係数、丸め、測定誤差など、および当業者に公知の他の要因を反映して、必要に応じて、近似および/またはより大きいかより小さいことがあることを意味する。一般に、量、サイズ、配合物、パラメータ、もしくは他の数量または特徴は、そうであると明白に述べられているか否かにかかわらず、「約」または「近似」である。
【0045】
ここに用いた「または」という用語は、包含的である;より詳しくは、「AまたはB」という句は、「A、B、またはAとBの両」を意味する。排他的な「または」は、ここでは、例えば、「AまたはBのいずれか」および「AまたはBの一方」により示される。
【0046】
不定冠詞は、本発明の要素および成分を記載するために用いられる。これら不定冠詞の使用は、これらの要素または成分の1つまたは少なくとも1つが存在することを意味する。これらの不定冠詞は、ここに用いたように、修飾された名詞が単数の名詞であることを示すために通常用いられるが、特定の例でそうではないと述べられていない限り、不定冠詞は複数も含む。同様に、定冠詞も、ここに用いたように、重ねて、特定の例でそうではないと述べられていない限り、修飾された名詞が単数または複数であってよいことを意味する。
【0047】
実施の形態を記載する目的のために、あるパラメータまたは別の変数の「関数」である変数に対する言及は、その変数が、列挙されたパラメータまたは変数の関数のみであることを意味することが意図されていないことに留意のこと。そうではなく、列挙されたパラメータの「関数」である変数に対する言及は、その変数が、ただ1つのパラメータまたは複数のパラメータの関数であることがあるように制約がないことが意図されている。
【0048】
「好ましくは」、「通常」、および「典型的に」などの用語は、ここに用いられる場合、請求項に記載された発明の範囲を制限するため、または特定の特徴が、請求項に記載された発明の構造または機能にとって重大、必須、またさらには重要であることを暗示するために用いられたのではないことに留意のこと。そうではなく、これらの用語は、本開示の実施の形態の特定の態様を特定すること、または本開示の特定の実施の形態に用いられても用いられなくてもよい代わりのまたは追加の特徴を強調することが単に意図されている。
【0049】
請求項の1つ以上で、移行句として「ここで」という用語を使用してもよいことに留意のこと。本発明を定義する目的のために、この用語は、前記構造の一連の特徴の記述を導入するために使用され、より一般に使用される制約のない前置きの用語「含む(comprising)」と似た様式で解釈されるべき制約のない移行句として請求項に導入されることに留意のこと。
【0050】
本発明のガラスまたはガラスセラミック組成物を製造するために使用される原材料および/または設備の結果として、意図的に加えられない特定の不純物または成分が、最終的なガラスまたはガラスセラミック組成物中に存在し得る。そのような材料は、微量でそのガラスまたはガラスセラミック組成物中に存在し、ここでは、「混入物」と称される。
【0051】
ここに用いたように、0質量%の化合物を有するガラスまたはガラスセラミック組成物は、その化合物、分子、または元素がその組成物に目的を持って添加されたものではないが、その組成物は、それでも、典型的に混入量または微量で、その化合物を含むかもしれないことを意味すると定義される。同様に、「鉄を含まない」、「ナトリウムを含まない」、「リチウムを含まない」、「ジルコニウムを含まない」、「アルカリ土類金属を含まない」、「重金属を含まない」などは、その化合物、分子、または元素がその組成物に目的を持って添加されたものではないが、その組成物は、それでも、ほぼ混入量または微量で、鉄、ナトリウム、リチウム、ジルコニウム、アルカリ土類金属、または重金属などを含むかもしれないことを意味すると定義される。
【0052】
特に明記のない限り、ここに挙げられた全ての構成要素の濃度は、質量パーセント(質量%)で表される。
【0053】
ガラスおよびガラスセラミック
先に述べたように、改善された機械的強度を示す高結晶質ナノ相ガラスセラミック物品、および特に選択的にセラミック化され得るものを得ることが極めて望ましい。さらに、そのような物品が、そのガラスセラミック物品中に存在するナトリウム陽イオンをカリウム陽イオンと交換することにより達成されるまたは生じるであろう高い表面圧縮応力を示すことによって、そのような改善された機械的強度を示すことが都合よい。そのような材料により、そうでなければ透明な無結晶ガラス上に結晶相の選択的な模様を付けることができるであろう。用途に応じて、その結晶相は、半透明から不透明であり得、いくつかの実施の形態において、着色さえされ得る。さらに、そのガラスおよびガラスセラミックは、異なる機械的性質と光学的性質を有し得る。
【0054】
以前に、Ce/Ag系感光性、フッ素含有ガラス(Corning IncorporatedのFOTA−LITE(商標)およびPOLYCHROMATIC(商標))が、そのガラスが紫外線に暴露され、その後、熱処理が行われたときに、ナノ結晶NaF相が形成するという性質を示すことが示された:
【0055】
【化1】
【0056】
このNaF相は、結果として、核形成剤の機能を果たし、霞石相の形成を引き起こし、それゆえ、感光性により生成された霞石含有ガラスを与えられることが分かった。その上、感光性過程により、金属AuまたはAgを有するナノ相が生成される場合、他の感光性ガラスが形成される。しかしながら、霞石相の形成によってさえ、これらのガラスのいずれも、一部には、その組成および結晶相の体積分率が50%未満であったという事実のために、実際のガラスセラミックを構成しなかった。本開示は、感光性により生成されたガラスセラミックの第一例を提供する。
【0057】
第1の態様は、特定の波長または波長領域の電磁放射線に暴露されたときに、1つ以上のガラスセラミック相の形成の増強をもたらす核形成中心を形成するような様式で化学的に変えられる感光性ガラスを含む。ある態様は、放射線に暴露されたガラスの領域に霞石結晶相を優先的に形成する感光性ガラスを含む。いくつかの実施の形態において、その感光性ガラス組成物は、ほぼ
【0058】
を含む。
【0059】
いくつかの実施の形態において、その感光性ガラス組成物は、ほぼ
【0060】
を含む。
【0061】
いくつかの実施の形態において、その感光性ガラス組成物は、ほぼ
【0062】
を含む。
【0063】
その感光性ガラスの組成は、ガラスおよびそれから形成されるガラスセラミックの両方の性質にとって絶対不可欠である。例えば、粘度および機械的性能がガラス組成の影響を受ける。ガラスの形成に関与する酸化物であるSiO2は、ガラスおよびガラスセラミックの網目構造を安定化させる働きをすることができる。SiO2の量は、高SiO2ガラスの溶融温度(200ポアズ温度)が望ましからず高いことがあり得るので、溶融温度を制御するために制限されることがある。いくつかの実施の形態において、そのガラスまたはガラスセラミック組成物は、約38から約52質量%のSiO2を含む。いくつかの実施の形態において、そのガラスまたはガラスセラミック組成物は、約40から約50質量%のSiO2を含む。いくつかの実施の形態において、そのガラスまたはガラスセラミック組成物は、約40から約46質量%のSiO2を含む。いくつかの実施の形態において、そのガラスまたはガラスセラミック組成物は、約40から約50質量%、約40から約48質量%、約40から約46質量%、約40から約44質量%、約42から約50質量%、約42から約48質量%、約42から約46質量%、約42から約44質量%、約44から約50質量%、約44から約48質量%、約44から約46質量%、約46から約50質量%、約46から約48質量%、または約48から約50質量%のSiO2を含み得る。いくつかの実施の形態において、そのガラスまたはガラスセラミック組成物は、約38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、または52質量%のSiO2を含む。
【0064】
Al23も、網目構造に安定化を与えることがあり、霞石結晶相の必須成分である。その上、Al23の量は、ガラスの粘度を制御するために調整されることがある。しかしながら、Al23の量が多すぎると、溶融物の粘度も一般に増加する。いくつかの実施の形態において、前記ガラスまたはガラスセラミック組成物は、約25から約35質量%のAl23を含み得る。いくつかの実施の形態において、そのガラスまたはガラスセラミック組成物は、約27から約32質量%のAl23を含み得る。いくつかの実施の形態において、そのガラスまたはガラスセラミック組成物は、約25から約35質量%、約25から約32質量%、約25から約30質量%、約27から約35質量%、約27から約32質量%、約27から約30質量%、約29から約35質量%、または約29から約32質量%のAl23を含み得る。いくつかの実施の形態において、そのガラスまたはガラスセラミック組成物は、約25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、または35質量%のAl23を含み得る。
【0065】
いくつかの実施の形態において、前記ガラスまたはガラスセラミック組成物は、約10から約25質量%のNa2Oを含み得る。いくつかの実施の形態において、そのガラスまたはガラスセラミック組成物は、約15から約20質量%のNa2Oを含み得る。いくつかの実施の形態において、そのガラスまたはガラスセラミック組成物は、約10から約25質量%、約10から約22質量%、約10から約20質量%、約12から約25質量%、約12から約22質量%、約12から約20質量%、約15から約25質量%、約15から約22質量%、または約15から約20質量%のNa2Oを含み得る。いくつかの実施の形態において、そのガラスまたはガラスセラミック組成物は、約10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、または25質量%のNa2Oを含み得る。
【0066】
いくつかの実施の形態において、前記ガラスまたはガラスセラミック組成物は、0から約15質量%のK2Oを含み得る。いくつかの実施の形態において、そのガラスまたはガラスセラミック組成物は、0超から約10質量%のK2Oを含み得る。いくつかの実施の形態において、そのガラスまたはガラスセラミック組成物は、0から約15質量%、0から約10質量%、0から約8質量%、0から約5質量%、0から約3質量%、0超から約15質量%、0超から約10質量%、0超から約8質量%、0超から約5質量%、0超から約3質量%、0超から約1質量%、約1から約15質量%、約1から約10質量%、約1から約8質量%、約1から約8質量%、約1から約5質量%、約1から約3質量%、約3から約15質量%、約3から約10質量%、約3から約8質量%、約3から約5質量%、約5から約15質量%、約5から約10質量%、約5から約8質量%、約8から約15質量%、約8から約8質量%、または約10から約15質量%のK2Oを含み得る。いくつかの実施の形態において、そのガラスまたはガラスセラミック組成物は、0、0超、1、2、3、4、4.5、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15質量%の量でK2Oを含む。
【0067】
いくつかの実施の形態において、前記ガラスまたはガラスセラミック組成物は、0超から約0.5質量%のCe2Oを含み得る。いくつかの実施の形態において、そのガラスまたはガラスセラミック組成物は、0超から約0.2質量%のCe2Oを含み得る。いくつかの実施の形態において、そのガラスまたはガラスセラミック組成物は、0超から約0.5質量%、0超から約0.4質量%、0超から約0.3質量%、0超から約0.1質量%、0超から約0.1質量%、または0超から約0.05質量%のCe2Oを含み得る。いくつかの実施の形態において、そのガラスまたはガラスセラミック組成物は、約0超、0.05、0.1、0.2、0.3、0.4、または0.5質量%のCe2Oを含み得る。
【0068】
いくつかの実施の形態において、前記ガラスまたはガラスセラミック組成物は、0超から約0.5質量%のSb23を含み得る。いくつかの実施の形態において、そのガラスまたはガラスセラミック組成物は、0超から約0.3質量%のSb23を含み得る。いくつかの実施の形態において、そのガラスまたはガラスセラミック組成物は、0超から約0.5質量%、0超から約0.4質量%、0超から約0.3質量%、0超から約0.1質量%、0超から約0.1質量%、0超から約0.05質量%、または約0.1から約0.3質量%のSb23を含み得る。いくつかの実施の形態において、そのガラスまたはガラスセラミック組成物は、約0超、0.05、0.1、0.2、0.3、0.4、または0.5質量%のSb23を含み得る。
【0069】
いくつかの実施の形態において、前記ガラスまたはガラスセラミック組成物は、0超から約0.5質量%のAgを含み得る。「Ag」と称されているが、ここに記載された質量百分率は、Ag、Ag+、Ag2+などのイオン状態にかかわらず、そのガラスまたはガラスセラミック組成物中のどのような銀も制定する。いくつかの実施の形態において、そのガラスまたはガラスセラミック組成物は、0超から約0.3質量%のAgを含み得る。いくつかの実施の形態において、そのガラスまたはガラスセラミック組成物は、0超から約0.5質量%、0超から約0.4質量%、0超から約0.3質量%、0超から約0.1質量%、0超から約0.1質量%、0超から約0.05質量%、または約0.001から約0.3質量%のAgを含み得る。いくつかの実施の形態において、そのガラスまたはガラスセラミック組成物は、約0超、0.05、0.1、0.2、0.3、0.4、または0.5質量%のAgを含み得る。
【0070】
前記ガラスまたはガラスセラミック組成物は、0超から約10質量%の全ハロゲンを含み得、ここで、ハロゲンは、Br-、F-、Cl-、およびI-、並びにそれらの組合せからなる群より選択される。ハロゲンは、NaF、NaCl、KCl、MgBr2、CaCl2などの塩としてその組成物に添加してよいが、ハロゲンの質量%は、ハロゲンのみに基づき、対イオンを含む塩に基づくものではない。いくつかの実施の形態において、そのガラスまたはガラスセラミック組成物は、0超から約10質量%、0超から約8質量%、0超から約5質量%、0超から約3質量%、0超から約1質量%、約1から約10質量%、約1から約8質量%、約1から約5質量%、約1から約3質量%、約3から約10質量%、約3から約8質量%、約3から約5質量%、約5から約10質量%、または約5から約8質量%の1種類以上のハロゲンを含み得る。いくつかの実施の形態において、そのガラスまたはガラスセラミック組成物は、0、0超、1、2、3、4、4.5、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15質量%の量で1種類以上のハロゲンを含む。
【0071】
いくつかの実施の形態において、前記ガラスまたはガラスセラミック組成物は、0超から約5質量%のフッ素を含み得る。ここに用いたように、フッ素は、どの電子配置にある、例えば、イオンまたは中性であるフッ素原子も記載する。いくつかの実施の形態において、そのガラスまたはガラスセラミック組成物は、約2から約5質量%のフッ素を含み得る。いくつかの実施の形態において、そのガラスまたはガラスセラミック組成物は、0超から約5質量%、0超から約4質量%、0超から約3質量%、約1から約5質量%、約1から約4質量%、約1から約3質量%、約2から約5質量%、約2から約4質量%、または約2から約3質量%のフッ素を含み得る。いくつかの実施の形態において、そのガラスまたはガラスセラミック組成物は、約0超、1、2、3、4、または5質量%のフッ素を含み得る。
【0072】
いくつかの実施の形態において、前記ガラスまたはガラスセラミック組成物は、0から約2質量%の臭素、塩素、またはそれらの組合せを含み得る。ここに用いたように、臭素、塩素、またはそれらの組合せは、どの電子配置にある、例えば、イオン、ラジカル、または中性である臭素原子、塩素原子、またはそれらの組合せも記載する。いくつかの実施の形態において、そのガラスまたはガラスセラミック組成物は、0から約1質量%の臭素、塩素、またはそれらの組合せを含み得る。いくつかの実施の形態において、そのガラスまたはガラスセラミック組成物は、0から約2質量%、0から約1質量%、0から約0.5質量%、0超から約2質量%、0超から約1質量%、または0超から約0.5質量%の臭素、塩素、またはそれらの組合せを含み得る。いくつかの実施の形態において、そのガラスまたはガラスセラミック組成物は、0、0超、1、2、3、4、または5質量%の臭素、塩素、またはそれらの組合せを含み得る。
【0073】
前記ガラスおよびガラスセラミック組成物は、随意的成分としてP25を含み得る。P25は、内部核生成を生じる核形成剤として働くことができる。P25の濃度が低すぎると、その前駆体ガラスは、より高い温度(より低い粘度のために)のみであるが、表面から内側に、結晶化し、脆弱な、しばしば変形した本体を生じる;しかしながら、P25の濃度が高すぎると、前駆体ガラスの形成中の冷却の際に、失透を制御するのが難しくなり得る。実施の形態は、0から約5質量%のP25を含み得る。他の実施の形態は、約0超から約4質量%のP25を含み得る。具体的組成物は、0から約5質量%、0から約4質量%、0から約3質量%、0から約2質量%、0から約1質量%、0超から約5質量%、0超から約4質量%、0超から約3質量%、0超から約2質量%、0超から約1質量%、約0.5から約5質量%、約0.5から約4質量%、約0.5から約3質量%、約0.5から約2質量%、約0.5から約1質量%、約1から約5質量%、約1から約4質量%、約1から約3質量%、約1から約2質量%、約2から約5質量%、約2から約4質量%、約2から約3質量%、約3から約5質量%、約3から約4質量%、または約4から約5質量%のP25を含み得る。いくつかの実施の形態において、前記ガラスおよびガラスセラミック組成物は、約0、0超、0.5、1、2、3、4、または5質量%のP25を含み得る。
【0074】
ガラスおよびガラスセラミックがTiO2および/またはZrO2を実質的に含まないことが都合よいであろう。霞石含有ガラスセラミックは、典型的に、TiO2核形成剤を使用することにより核形成され、一方で、ZrO2も、同様に核形成剤としてしばしば使用される。霞石含有ガラスセラミックにおいて内部核生成を生じるためには、典型的に、多量(例えば、約5〜10質量%)のTiO2核形成剤が必要とされ、これは、親ガラス(それからガラスセラミック物品が形成される)および結果として得られるガラスセラミック物品において黄色または琥珀色を生じるのに十分な量である。そのガラスセラミックを製造するためにここに用いられる組成物および/または過程のために、ここでのガラスおよびガラスセラミックは、霞石相を形成するためにTiO2を必要としない。実質的に含まないことにより、そのガラス/ガラスセラミックが、約0.1モル%未満しかTiO2および/またはZrO2を含まないことを意味する。
【0075】
前記前駆体ガラスおよび/またはガラスセラミックは、特定の実施の形態において、遷移金属酸化物および希土類酸化物から選択される少なくとも1種類の酸化物を約0.05モル%から約5モル%の量で含むことがある。例えば、その前駆体ガラスおよび/またはガラスセラミックは、約0.1モル%から約2モル%、または約0.5モル%から約1モル%などの、それらの間の全ての範囲および部分的な範囲を含む、約0.05モル%から約3モル%の少なくとも1種類の遷移金属酸化物および/または希土類酸化物を含むことがある。このように、その前駆体ガラスおよび/またはガラスセラミックは、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、バナジウム、クロム、イットリウム、ランタン、およびそれらの組合せの酸化物から選択される酸化物を少なくとも1種類含むことがある。
【0076】
SnOは、いくつかの実施の形態において、前記光化学過程を促進し、加速させる能力のために、前記組成物の重要な成分であり得る。したがって、ここに記載された組成物は、いくつかの実施の形態において、0〜2質量%のSnO、0超〜2質量%のSnO、0超〜1質量%のSnO、0超〜0.8質量%のSnO、または0超〜0.5質量%のSnOを含むことがある。
【0077】
As25、SnO2、またはSb23などの清澄剤も、様々な実施の形態による前駆体ガラスおよび/またはガラスセラミック中に存在することがある。所望であれば、そのような酸化物は、一般に、約1モル%未満、例えば、約0.5質量%未満の量で存在する。以下に限られないが、Cs2O、Rb2O、WO3、BaO、CaO、SrO、Nb25、B23、およびP25を含む他の酸化物も、約5モル%までの量でその前駆体ガラスおよび/またはガラスセラミック中に含まれることがある。他の実施の形態において、約5モル%までの、Bi23、Ta25、Ga23、およびPbOから選択される酸化物がその前駆体ガラスおよび/またはガラスセラミック中に含まれることがある。特定の実施の形態によれば、その前駆体ガラスおよび/またはガラスセラミックは、リチウムを実質的に含まない、例えば、酸化リチウム(Li2O)を実質的に含まないことがある。Li2Oはしばしば、イオン交換により化学強化できるガラスセラミック中に使用されるが、リチウムイオンは、そのイオン交換浴を汚染することがあり、特定の実施の形態において、ここに開示されたガラスセラミック中に望ましくないであろう。したがって、その前駆体ガラスおよび/またはガラスセラミックは、リチウムを含まないまたはリチウムを実質的に含まない(例えば、約0.01モル%未満)ことがある。
【0078】
いくつかの実施の形態において、ガラスおよびガラスセラミック組成物は、着色剤として追加の成分を含むことがある。いくつかの実施の形態において、そのガラスまたはガラスセラミックは、0から約4質量%、0から約3質量%、0から約2質量%、0から約1質量%、0から約0.5質量%、0超から約4質量%、0超から約3質量%、0超から約2質量%、0超から約1質量%、0超から約0.5質量%、約0.5から約4質量%、約0.5から約3質量%、約0.5から約2質量%、約0.5から約1質量%、約1から約4質量%、約1から約3質量%、約1から約2質量%、約2から約4質量%、約2から約3質量%、または約3から約4質量%の着色剤を含む。着色剤としては、以下に限られないが、FeO、Fe23、SnO、V25、Cr23、TiO2、MnO2、NiO、ZnO、CuO、NiO、Co34、およびそれらの組合せが挙げられる。
【0079】
本発明のガラスまたはガラスセラミック組成物を製造するために使用される原材料および/または設備の結果として、意図的に加えられない特定の不純物または成分が、最終的なガラスまたはガラスセラミック組成物中に存在し得る。そのような材料は、微量でそのガラスまたはガラスセラミック組成物中に存在し、ここでは、「混入物」と称される。
【0080】
ここに用いたように、0質量%の化合物を有するガラスまたはガラスセラミック組成物は、その化合物、分子、または元素がその組成物に目的を持って添加されたものではないが、その組成物は、それでも、典型的に混入量または微量で、その化合物を含むかもしれないことを意味すると定義される。同様に、「鉄を含まない」、「ナトリウムを含まない」、「リチウムを含まない」、「ジルコニウムを含まない」、「アルカリ土類金属を含まない」、「重金属を含まない」などは、その化合物、分子、または元素がその組成物に目的を持って添加されたものではないが、その組成物は、それでも、ほぼ混入量または微量で、鉄、ナトリウム、リチウム、ジルコニウム、アルカリ土類金属、または重金属などを含むかもしれないことを意味すると定義される。ここに具体化されたガラスまたはガラスセラミック中に見られるであろう混入化合物としては、以下に限られないが、Na2O、TiO2、MnO、ZnO、Nb25、MoO3、Ta25、WO3、ZrO2、Y23、La23、HfO2、CdO、SnO2、Fe23、CeO2、As23、Sb23、硫酸塩などの硫黄系化合物、ハロゲン、またはそれらの組合せが挙げられる。
【0081】
追加の成分が、追加の恩恵を提供するために前記ガラス組成物に含まれ得るか、あるいは、商業的に作られたガラス中に典型的に見られる汚染物質をさらに含み得る。例えば、追加の成分を、様々な物理的属性、溶融属性、および成形属性を調節するために加えることができる。前記ガラスは、いくつかの実施の形態によれば、バッチ材料に関連する、および/またはガラスを製造するために使用される溶融、清澄、および/または成形設備によりガラスに導入される、様々な汚染物質(例えば、ZrO2)も含み得る。いくつかの実施の形態において、そのガラスは、紫外線吸収剤として有用な化合物を1種類以上含むことがある。いくつかの実施の形態において、そのガラスは、3質量%以下のTiO2、MnO、ZnO、Nb25、MoO3、Ta25、WO3、ZrO2、Y23、La23、HfO2、CdO、Fe23、CeO2、またはそれらの組合せを含み得る。いくつかの実施の形態において、そのガラスは、汚染物質として、0から約2質量%、0から約1質量%、0から0.5質量%、0から0.1質量%、0から0.05質量%、または0から0.01質量%の、TiO2、MnO、ZnO、Nb25、MoO3、Ta25、WO3、ZrO2、Y23、La23、HfO2、CdO、Fe23、CeO2、As23、Sb23、またはそれらの組合せを含み得る。
【0082】
ガラスセラミック
ここに記載されたガラスから形成されるガラスセラミックは、霞石(Na2O・K2O・Al23・SiO2)結晶相を含む。この霞石ガラスセラミックは、半透明または不透明であることがあり、ガラスとは異なる機械的性質および光学的性質を有することがある。模様の付けられた複合体の霞石ガラスセラミック/ガラスにおいて、それらの相の一方または両方が、改善された破壊靭性を有することがある。何故ならば、結晶領域とガラス領域における異なる熱膨張のために、露光領域と未露光領域との間に制御された応力を生じさせることができるからである。いくつかの実施の形態において、そのガラス相とガラスセラミック相は、K+対Na+の異なるイオン交換速度を有し、これは、いくつかの実施の形態において、全体強度および破壊靭性を増加させ得る。
【0083】
いくつかの実施の形態において、前記ガラスセラミック物品は、副相として(霞石相と比べて)存在することがある、リン酸塩相と、副相として(霞石相と比べて)存在することがある、随意的なリチウムアルミノケイ酸塩(「LAS」)相とを含む。ある場合には、リン酸塩結晶は霞石結晶よりも低い温度で形成されることがあり、そのリン酸塩結晶は、微細規模(例えば、約数十ナノメートルの規模)で霞石の結晶化の核となることがある。
【0084】
本開示により製造されたガラスセラミックは、不透明または半透明である、すなわち、透明ではない。ここに用いたように、「不透明」という用語は、そのガラスセラミックが、約1mmの厚さを持つシートに形成されたときに、スペクトルの可視領域(約400nmから約700nmの波長範囲)において約85%未満の透過率を有することを示すことが意図されている。例えば、約75%未満、約70%未満、約65%未満、約60%未満、約55%未満、または約50%未満の透過率などの、それらの間の全ての範囲と部分的な範囲を含む、可視光範囲における約80%未満の透過率を有することがある。特定の実施の形態において、例示の不透明ガラスセラミックは、約45%未満、約40%未満、約35%未満、約30%未満、約25%未満、約20%未満、約15%未満、または約10%未満の透過率などの、それらの間の全ての範囲と部分的な範囲を含む、紫外線(UV)領域(350〜400nm)における約50%未満の透過率を有することがある。ここに用いた「半透明」とは、そのガラスセラミックが、約1mmの厚さを持つシートに形成されたときの、光をその構造に通過させるガラスセラミックの性質を有することを示すが、その光は、10%、20%、30%、または50%超の拡散透過率を有する。
【0085】
ここに開示されたように製造されたガラスセラミックは、いくつかの実施の形態において、多種多様な色を示すことがあり、芸術のグレージング(glazing)法または染色法とは対照的に、開示された方法にしたがって製造されたガラスセラミックは、本体に至る所に色を有する、例えば、着色剤が、外面だけでなく、ガラスセラミック全体に亘り分布している。
【0086】
1つ以上の実施の形態において、前記ガラスセラミックは、約2.0MPa・m1/2以上、約2.1MPa・m1/2以上、約2.2MPa・m1/2以上、約2.3MPa・m1/2以上、約2.4MPa・m1/2以上の破壊靭性を示す。いくつかの実施の形態において、その破壊靭性は、約2.2から約3.5MPa・m1/2、約2.4から約3.5MPa・m1/2、約2.4から約3.4MPa・m1/2、約2.4から約3.3MPa・m1/2、約2.4から約3.2MPa・m1/2、約2.4から約3.1MPa・m1/2、約2.4から約3.0MPa・m1/2、約2.6から約3.5MPa・m1/2、約2.8から約3.5MPa・m1/2、約3.0から約3.5MPa・m1/2、約2.4から約2.6MPa・m1/2、約2.6から約3.0MPa・m1/2、または約3.2から約3.5MPa・m1/2の範囲にある。そのガラスセラミックの破壊靭性値は、二ケイ酸リチウム結晶およびβ−スポジュメンの不規則な結晶の互いにかみ合った刃(またはロッド)の独特な微細構造の形成による。その破壊靭性は、当該技術分野で公知の方法を使用して、例えば、ここに全てが引用される、ASTM C1421−10、「Standard Test Methods for Determination of Fracture Toughness of Advanced Ceramics at Ambient Temperature」にしたがって、シェブロン切り欠き、短い棒材、ノッチ付き梁などを使用して、測定されるであろう。
【0087】
1つ以上の実施の形態において、前記ガラスセラミックは、約15kgfから約30kgf(約147Nから約294N)の範囲のビッカース押込み亀裂発生荷重を示すことによって、高い亀裂抵抗を有する。いくつかの実施の形態において、そのガラスセラミックは、約16から約30kgf(約157から約294N)、約18から約30kgf(約176から約294N)、約20から約30kgf(約196から約294N)、約22から約30kgf(約216から約294N)、約15から約28kgf(約147から約274N)、約15から約26kgf(約147から約255N)、約15から約24kgf(約147から約235N)、約15から約22kgf(約147から約216N)、約15から約20kgf(約147から約196N)、または約15から約18kgf(約1574ら約176N)の範囲のビッカース押込み亀裂発生荷重を示す。ビッカース押込み亀裂発生荷重は、ここに全てが引用される、ASTM C1326およびC1327(および全てがここに引用される、その後継版)、「Standard Test Methods for Vickers Indentation Hardness of Advanced Ceramics」(米国、ペンシルベニア州、コンショホッケン所在のASTM Internationl)を使用して測定されるであろう。いくつかの実施の形態において、そのガラスセラミックは、イオン交換により化学強化された後に、そのようなビッカース押込み亀裂発生荷重を示す。より具体的な実施の形態において、そのガラスセラミックは、NaNO3塩浴中でイオン交換した後に、約15から約20kgf(約147から約196N)の範囲のビッカース押込み亀裂発生荷重を示す。実施例に示されるように、そのガラスセラミックが示す高いビッカース押込み亀裂発生荷重値は、ビッカース圧子をガラスセラミックに印加したときの緻密化(または圧縮)機構のためであろう。
【0088】
方法
少なくとも1つの霞石結晶相を含むガラスセラミックを製造する方法が、さらにここに開示されている。その方法は、核形成中心を形成するのに十分な時間に亘り、十分なエネルギーの電磁放射線に前駆体ガラスを暴露し、次いで、その暴露された前駆体ガラスをガラスセラミックに転化させるのに十分な時間に亘り十分な温度で前駆体ガラスを加熱する各工程を有してなり、その温度は、暴露されていない前駆体ガラスをガラスセラミックに転化させるのを回避するのに十分に低く、その前駆体ガラスは、ほぼ
【0089】
を含む。
【0090】
いくつかの実施の形態において、その感光性前駆体ガラス組成物は、ほぼ
【0091】
を含む。
【0092】
いくつかの実施の形態において、その感光性前駆体ガラス組成物は、ほぼ
【0093】
を含む。
【0094】
ここに開示された方法によれば、前記前駆体ガラスを提供しても、前記前駆体ガラスを、適切なバッチ材料を溶融することによって製造してもよい。例えば、炭酸塩、硝酸塩、および/または水酸化物などの原材料を、その前駆体ガラス中に存在する酸化物の供給源として使用しても差し支えなく、またはその酸化物自体をバッチに添加しても差し支えない。適切なバッチ材料の非限定例としては、シリカ(SiO2);アルミナ、水和アルミナ、および水酸化アルミニウム(Al23);炭酸ナトリウム(Na2O);炭酸カリウム(K2O);酸化スズ(IV)(SnO2);様々な遷移金属酸化物(例えば、MnO2、Fe23、Co34、NiO、およびCuO);およびそれらの組合せが挙げられる。もちろん、他の原材料および酸化物を、必要に応じて、バッチ組成物中に含ませてもよい。
【0095】
前記原材料を一緒に混合してバッチ組成物を形成してよい。次いで、その組成物を適切な温度で溶融して、前駆体ガラスを形成する。非限定例として、そのバッチ組成物は、約1500℃から約1750℃、または約1600℃から約1650℃などの、それらの間の全ての範囲および部分的な範囲を含む、約1400℃から約1800℃に及ぶ温度で溶融してよい。そのバッチ組成物は、この温度で適切な時間、例えば、約2時間から約12時間、約4時間から約10時間、または約6時間から8時間などの、それらの間の全ての範囲および部分的な範囲を含む、約1時間から約20時間に及ぶ時間に亘り保持してよい。特定の実施の形態において、そのバッチ組成物は、電気炉などの炉内に入れられた、白金坩堝などの坩堝内で溶融してもよいが、当該技術分野で公知のどの他の適切な溶融過程を使用してもよい。
【0096】
様々な実施の形態によれば、溶融後、そのガラス溶融物を、例えば、水浴を使用して、必要に応じて粒状化(drigage)させてもよい。粒状化により溶融物が小さい破片となり、これを、必要に応じて、所望の粒径に粉砕することができる。あるいは、粒状化された粒子を再び溶融し、流し込みを行って、扁平なガラス円柱または任意の他の適切な形状を形成して差し支えない。必要に応じて、そのガラス溶融物を、例えば、約600℃から約650℃などの、それらの間の全ての範囲および部分的な範囲を含む、約500℃から約700℃に及ぶ温度で徐冷しても差し支えない。それに変えて、またはそれに加え、そのガラス溶融物を、さらに加工する前に、室温まで冷却しても差し支えない。
【0097】
前記前駆体ガラスを一旦、適切に形成または成形したら、それをガラスセラミックに選択的に転化させることができる。第1の工程は、その前駆体ガラスを、核形成中心を形成するのに十分な電磁放射線に暴露することである。暴露は、例えば、Ce+3光励起スペクトルの範囲内にある、300〜360nmの範囲のUV線を生じるHg、またはHg/Xeランプにより、もしくは同じ波長範囲内のレーザにより、行ってもよい。励起のレベルは、時間で強度増倍されたエネルギーに比例する−すなわち、より高い強度の暴露には、少ない暴露時間しか要さないであろう。光強度および期間は、当業者の範囲内である。
【0098】
前記ガラス前駆体が一旦露光されたら、そのガラスに熱処理を行うことができる。典型的な熱処理は、2〜10時間の保持時間に亘る、約600〜700℃に及ぶ。しかしながら、そのような範囲は、所望の製品を得るのに必要に応じて、変えることができる。未露光領域が霞石を熱的に生成しない一方で、露光領域でガラスセラミックを形成できるように、温度を最適化することが理想的である。特定の用途のために、必要に応じて、必要な加工パラメータ(例えば、ランプ速度、温度、時間)を制御することは、当業者の能力の範囲内である。様々な実施の形態によれば、その前駆体ガラスは、約1時間から約20時間に及ぶ時間で、約500℃から約700℃に及ぶ温度に加熱してよい。
【0099】
熱処理後、そのガラスセラミックを、当該技術分野で公知のどの従来の方法によってさらに処理してもよい、例えば、室温に冷却しても、急冷しても、研磨しても、粉砕してもよい。
【0100】
前記ガラスセラミックは、必要に応じて、グレージングまたはイオン交換により化学強化してもよい。イオン交換による強化の場合、例示のガラスセラミックは、所定の期間に亘り溶融塩浴中に浸漬されることがある。ガラスシートの表面またはその近くでガラスシート内のイオンが、その塩浴からのより大きい金属イオンと交換される。より大きいイオンをガラス中に含ませると、表面近くの領域に圧縮応力が生じることによって、そのシートを強化することができる。その圧縮応力を釣り合わせるために、対応する引張応力がそのガラスシートの中央領域に誘起され得る。例示の塩浴としては、以下に限られないが、KNO3、LiNO3、NaNO3、RbNO3、およびそれらの組合せが挙げられる。溶融塩浴の温度および処理期間は様々であり得る。所望の用途にしたがってその時間と温度を決定することは、当業者の能力の範囲内である。非限定例として、溶融塩浴の温度は約400℃から約700℃に及ぶことがあり、所定の期間は約4から約8時間に及ぶことがあるが、他の温度と時間の組合せも考えられる。非限定例として、前記ガラスセラミックは、表面圧縮応力を与えるKが豊富な層を得るために、例えば、約6時間に亘り、約450℃で、KNO3浴中に浸漬させることができる。霞石ガラスセラミックは、高い表面圧縮応力を生じるカルシライト(KAlSiO4)結晶相を表面に生じるために、より高い温度(例えば、約600〜750℃)でカリウムイオン交換もされている。あるいは、Ag+、Tl+、Cu+などの他の一価イオンを、一価イオンと交換してもよい。
【0101】
生じた圧縮応力層は、ガラスの表面で少なくとも20μmの深さ(「層の深さ」とも称する)および少なくとも約100MPa、少なくとも約200MPa、少なくとも約300MPa、または少なくとも約350MPaの最大圧縮応力を有することがある。他の例において、実施の形態は、少なくとも約20μmの層の深さを有する圧縮応力層を生じるために、8時間に亘り410℃の温度で溶融KNO3への暴露によってイオン交換されることがある。他の実施の形態において、そのガラスは、少なくとも10MPaの中央張力を達成するために、イオン交換される。いくつかの実施の形態の化学強化されたガラスセラミックは、ガラス表面に含まれたLiの、より大きいイオン半径を有するNaによる置換によって生じた表面圧縮応力層を備える。
【0102】
いくつかの実施の形態において、ここに記載されたガラスは、以下に限られないが、スロットドロー法、フロート法、圧延法、および当業者に公知の他のシート形成法を含む過程によって、シートに製造することができる。あるいは、ガラス組成物は、当該技術分野で公知のフロート法または圧延法により形成してもよい。
【0103】
ここに記載されたガラスおよびガラスセラミックから形成されたガラスは、合理的に有用ないかなる厚さを有しても差し支えない。ガラスシートおよび/またはガラスセラミックシートの実施の形態の厚さは、約0.8mmから約10mmのどれくらいであってもよい。いくつかの実施の形態の厚さは、約6mm以下、約5mm以下、約3mm以下、約1.0mm以下、約750μm以下、約500μm以下、または約250μm以下である。いくつかのガラスシートの実施の形態の厚さは、約200μmから約5mm、約500μmから約5mm、約200μmから約4mm、約200μmから約2mm、約400μmから約5mm、または約400μmから約2mmであることがある。いくつかの実施の形態において、その厚さは、約3mmから約6mm、または約0.8mmから約3mmであることがある。
【0104】
以下の実施例は、非制限的であり、説明のためだけであることが意図されており、本発明の範囲は請求項により定義される。
【実施例】
【0105】
ガラスセラミックの調製
原材料(SiO2、Al23、Ce23、Sb23、Na2Oなど)をバッチ配合し、混合することによって、ガラスセラミックを調製する。各バッチ組成物を、4〜6時間に亘り1650℃で電気炉内のPt坩堝内で溶融し、鋼板上に注ぎ出す。得られたガラスを約450〜475℃で徐冷する。得られた前駆体ガラスの組成(質量%で表す)が表Iに示されている。
【0106】
【表1】
【0107】
前駆体ガラスを2つの過程によりガラスセラミックに転化させる:1)露光を行わない、熱暴露;および2)UV光への露光、およびそれに続く熱暴露。図1は、690℃での2時間の熱処理後の、露光を行わなかったガラスセラミック組成物3の例示のX線回折(XRD)スペクトルを示す。そのスペクトルは、非常に少量の霞石が存在する、主にガラス相を示す。比較として、図2は、UV暴露およびそれに続く2時間に亘る690℃での熱処理後の、同じガラス組成物のXRDスペクトルである。UV露光は、300〜360nmの範囲のUV線を生じるHg、またはHg/Xeランプにより行った。図2(および他の実験)のUV強度は、5〜60分間に及ぶ暴露時間で、約5〜10mW/cm2であり、約3〜36J/cm2の励起範囲を生じる。
【0108】
得られたガラス・ガラスセラミックが図3に示されている。このガラス試料は、ガラスが露光されたところに対応する霞石ナノ相を含む不透明領域を有する。対照的に、遮蔽された−すなわち、UV光に暴露されていない−ガラスの場合、そのガラスは、透明であり、セラミックの形成の兆候を示していない。
【0109】
あるいは、いくつかの実施の形態において、三倍波YAGレーザ(355nm)を、2〜3Wの10Hz反復率の典型的な強度で露光に使用して、パルス当たり0.6J/cm2を生じる。暴露時間は1〜10分であった。その目的が、表面近くに霞石相を生じるだけである場合、貫通深さは非常に浅いので、248nmのエキシマレーザを使用することができる(0.1J/cm2のパルスエネルギー)。図4A〜Cは、組成物3が、355nmの光(360J/cm2)に暴露され、2時間に亘り690℃で熱処理された(「図4A」);248nmの光(60J/cm2)に暴露され、2時間に亘り675℃で熱処理された(「図4B」);および248nmの光(60J/cm2)に暴露され、2時間に亘り690℃で熱処理された(「図4C」)場合の実施例を示す。図から分かるように、355nmの光は不透明なガラスセラミックスポットを形成する(図4A)のに対し、より低い温度での248nmの光は、その透明性のほとんどを維持した着色スポットを生じた(図4B)。より高い熱処理温度では、248nmの領域は同様に不透明になった(図4C)。
【0110】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0111】
実施形態1
ほぼ
【0112】
を含む感光性ガラス組成物。
【0113】
実施形態2
前記組成物がほぼ
【0114】
を含む、実施形態1に記載の感光性ガラス組成物。
【0115】
実施形態3
前記組成物がほぼ
【0116】
を含む、実施形態2に記載の感光性ガラス組成物。
【0117】
実施形態4
前記組成物がTiO2およびZrO2を実質的に含まない、実施形態1に記載の感光性ガラス組成物。
【0118】
実施形態5
前記組成物がリチウムを実質的に含まない、実施形態1に記載の感光性ガラス組成物。
【0119】
実施形態6
前記組成物が0質量%超のP25をさらに含む、実施形態1に記載の感光性ガラス組成物。
【0120】
実施形態7
ほぼ
【0121】
を含むガラスセラミック組成物であって、少なくとも1つの霞石相を含むガラスセラミック組成物。
【0122】
実施形態8
前記組成物がほぼ
【0123】
を含む、実施形態7に記載のガラスセラミック組成物。
【0124】
実施形態9
前記組成物がほぼ
【0125】
を含む、実施形態8に記載のガラスセラミック組成物。
【0126】
実施形態10
前記組成物がTiO2およびZrO2を実質的に含まない、実施形態7に記載のガラスセラミック組成物。
【0127】
実施形態11
前記組成物がリチウムを実質的に含まない、実施形態7に記載のガラスセラミック組成物。
【0128】
実施形態12
前記組成物が少なくとも1つのリチウムアルミノケイ酸塩相またはリン酸塩相をさらに含む、実施形態7に記載のガラスセラミック組成物。
【0129】
実施形態13
前記組成物が0質量%超のP25をさらに含む、実施形態7に記載のガラスセラミック組成物。
【0130】
実施形態14
前記組成物が熱的または化学的に強化されている、実施形態7に記載のガラスセラミック組成物。
【0131】
実施形態15
前記組成物がイオン交換により化学強化されている、実施形態14に記載のガラスセラミック組成物。
【0132】
実施形態16
ガラス・ガラスセラミック・ハイブリッド組成物であって、
a)ほぼ
【0133】
を含む組成を有するガラス相、および
b)ほぼ
【0134】
を含む組成を有するガラスセラミック相、
を含み、前記ガラスセラミック相が少なくとも1つの霞石相を含む、ガラス・ガラスセラミック・ハイブリッド組成物。
【0135】
実施形態17
前記ガラス相および前記ガラスセラミック相の各々が、ほぼ
【0136】
を含む、実施形態16に記載のガラス・ガラスセラミック・ハイブリッド組成物。
【0137】
実施形態18
前記ガラス相および前記ガラスセラミック相の各々が、ほぼ
【0138】
を含む、実施形態17に記載のガラス・ガラスセラミック・ハイブリッド組成物。
【0139】
実施形態19
前記ガラス相および前記ガラスセラミック相の各々がTiO2およびZrO2を実質的に含まない、実施形態16に記載のガラス・ガラスセラミック・ハイブリッド組成物。
【0140】
実施形態20
前記ガラス相および前記ガラスセラミック相の各々がリチウムを実質的に含まない、実施形態16に記載のガラス・ガラスセラミック・ハイブリッド組成物。
【0141】
実施形態21
前記ガラスセラミック相が少なくとも1つのリチウムアルミノケイ酸塩相またはリン酸塩相をさらに含む、実施形態16に記載のガラス・ガラスセラミック・ハイブリッド組成物。
【0142】
実施形態22
前記ガラス相および前記ガラスセラミック相の一方または両方が0質量%超のP25をさらに含む、実施形態16に記載のガラス・ガラスセラミック・ハイブリッド組成物。
【0143】
実施形態23
前記ガラス相および前記ガラスセラミック相の一方または両方が熱的または化学的に強化されている、実施形態16に記載のガラス・ガラスセラミック・ハイブリッド組成物。
【0144】
実施形態24
前記ガラス相および前記ガラスセラミック相の一方または両方がイオン交換により化学強化されている、実施形態23に記載のガラス・ガラスセラミック・ハイブリッド組成物。
【0145】
実施形態25
前記ガラス相および前記ガラスセラミック相が異なるレベルにイオン交換されている、実施形態24に記載のガラス・ガラスセラミック・ハイブリッド組成物。
【0146】
実施形態26
前記ガラスセラミック相が半透明または不透明であり、前記ガラス相が透明である、実施形態16に記載のガラス・ガラスセラミック・ハイブリッド組成物。
【0147】
実施形態27
前記ガラスセラミック相が不透明であり、前記ガラス相が透明である、実施形態16に記載のガラス・ガラスセラミック・ハイブリッド組成物。
【0148】
実施形態28
少なくとも部分的にガラスセラミックである物品を製造する方法であって、
a)ほぼ
【0149】
を含む感光性ガラスの少なくとも一部を、1つ以上の露光領域を形成するのに十分な時間に亘り十分なエネルギーの電磁放射線に暴露する工程、および
b)前記感光性ガラスに、該感光性ガラスの前記露光領域をセラミック化させるのに十分であるが、該感光性ガラスの未露光領域をセラミック化させるのに不十分である温度と時間の熱処理を施す工程であって、熱処理された露光領域が少なくとも1つの霞石相を含むものである工程、
を有してなる方法。
【0150】
実施形態29
前記感光性ガラスが、ほぼ
【0151】
を含む、実施形態28に記載の方法。
【0152】
実施形態30
前記感光性ガラスが、ほぼ
【0153】
を含む、実施形態29に記載の方法。
【0154】
実施形態31
前記感光性ガラスがTiO2およびZrO2を実質的に含まない、実施形態28に記載の方法。
【0155】
実施形態32
前記感光性ガラスがリチウムを実質的に含まない、実施形態28に記載の方法。
【0156】
実施形態33
前記感光性ガラスの前記露光領域が少なくとも1つのリチウムアルミノケイ酸塩相またはリン酸塩相をさらに含む、実施形態28に記載の方法。
【0157】
実施形態34
前記電磁放射線の波長が400nm未満である、実施形態28に記載の方法。
【0158】
実施形態35
前記暴露時間が約1分から約60分である、実施形態34に記載の方法。
【0159】
実施形態36
前記電磁放射線の励起エネルギーが約0.1J/cm2から約500J/cm2である、実施形態28に記載の方法。
【0160】
実施形態37
前記電磁放射線の平均強度が約1mW/cm2から約10W/cm2である、実施形態28に記載の方法。
【0161】
実施形態38
前記熱処理が、前記ガラスを約650℃から約720℃の温度に加熱する工程を含む、実施形態28に記載の方法。
【0162】
実施形態39
前記熱処理が約1時間から約6時間の期間に亘り行われる、実施形態38に記載の方法。
【0163】
実施形態40
前記少なくとも部分的に露光され、熱処理された感光性ガラスを熱的または化学的に強化する工程をさらに含む、実施形態28に記載の方法。
【0164】
実施形態41
少なくとも部分的に露光され熱処理された感光性ガラスがイオン交換により化学強化されている、実施形態40に記載の方法。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C