特許第6417532号(P6417532)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6417532
(24)【登録日】2018年10月19日
(45)【発行日】2018年11月7日
(54)【発明の名称】放出制御医薬剤形
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/65 20060101AFI20181029BHJP
   A61P 17/10 20060101ALI20181029BHJP
   A61P 17/02 20060101ALI20181029BHJP
   A61K 9/24 20060101ALI20181029BHJP
【FI】
   A61K31/65
   A61P17/10
   A61P17/02
   A61K9/24
【請求項の数】14
【全頁数】52
(21)【出願番号】特願2016-500595(P2016-500595)
(86)(22)【出願日】2014年3月4日
(65)【公表番号】特表2016-516031(P2016-516031A)
(43)【公表日】2016年6月2日
(86)【国際出願番号】US2014020251
(87)【国際公開番号】WO2014149674
(87)【国際公開日】20140925
【審査請求日】2017年3月2日
(31)【優先権主張番号】13/890,173
(32)【優先日】2013年5月8日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】304/KOL/2013
(32)【優先日】2013年3月15日
(33)【優先権主張国】IN
(73)【特許権者】
【識別番号】514004909
【氏名又は名称】メディシス ファーマシューティカル コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100090468
【弁理士】
【氏名又は名称】佐久間 剛
(72)【発明者】
【氏名】チャンドラン,サジーヴ
(72)【発明者】
【氏名】クルカルニ,シリシュクマール
(72)【発明者】
【氏名】ブタダ,プラヴィン メグラジ
(72)【発明者】
【氏名】デシュムク,アシシュ アショクラオ
(72)【発明者】
【氏名】ベイカン,ダグラス
(72)【発明者】
【氏名】ウォルツマン,ミッチェル
【審査官】 澤田 浩平
(56)【参考文献】
【文献】 特表2004−525955(JP,A)
【文献】 特表2006−522162(JP,A)
【文献】 特表2006−523703(JP,A)
【文献】 特表2004−502723(JP,A)
【文献】 特開平09−095440(JP,A)
【文献】 特開平06−024959(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K9/00−9/72,
A61K31/33−31/80,
A61K47/00−47/69,
A61P1/00−43/00
CAplus (STN),
REGISTRY(STN),
MEDLINE (STN),
EMBASE (STN),
BIOSIS (STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドキシサイクリンを含む、ざ瘡、酒さまたはこれらの組合せを治療するのに使用するための放出制御医薬剤形であって、該放出制御医薬剤形は、
放出制御ドキシサイクリン層、膨潤性および/または浮遊性の層、膨張性の多孔性コーティング、必要に応じてシールコーティング、ならびに即時放出ドキシサイクリン上塗りコートを含み、前記放出制御ドキシサイクリン層は第1の量のドキシサイクリンを含み、前記即時放出ドキシサイクリン層は第2の量のドキシサイクリンを含み、前記第1の量のドキシサイクリンが、該剤形の総重量を基準として5〜15質量%のドキシサイクリンであり、および前記第2の量のドキシサイクリンが、該剤形の総重量を基準として0.5〜3.2質量%のドキシサイクリンである、または
膨潤性の放出制御ドキシサイクリン核、透過性/膨張性の多孔性コーティング、必要に応じてシールコーティング、および即時放出ドキシサイクリン上塗りコートを含み、前記膨潤性の放出制御ドキシサイクリン核が、該剤形の総重量を基準として5〜15質量%のドキシサイクリンを含み、および前記即時放出ドキシサイクリン上塗りコートが、該剤形の総重量を基準として0.5〜3.2質量%のドキシサイクリンを含む、または
放出制御ドキシサイクリン層、不活性の膨潤性/生体付着性の層、および即時放出ドキシサイクリン上塗りコートを含み、前記放出制御ドキシサイクリン層が、該剤形の総重量を基準として5〜15質量%のドキシサイクリンを含み、および前記即時放出ドキシサイクリン上塗りコートが、該剤形の総重量を基準として0.5〜3.2質量%のドキシサイクリンを含み、
力価の等しい即時放出剤形の平均Cmaxの少なくとも70%の平均Cmaxを有し、力価の等しい即時放出剤形の少なくとも85%のAUC0−48hまたはAUC0−96hの少なくとも1つを有する、放出制御医薬剤形。
【請求項2】
力価の等しい即時放出剤形の対応AUCの少なくとも90%のAUC0−48hまたはAUC0−96hの少なくとも1つを有する、請求項1記載の放出制御医薬剤形。
【請求項3】
力価の等しい即時放出剤形の平均Cmaxの少なくとも80%の平均Cmaxを有する、請求項1記載の放出制御医薬剤形。
【請求項4】
力価の等しい即時放出剤形のtmaxより少なくとも1.15倍長いtmaxを有する、請求項1記載の放出制御医薬剤形。
【請求項5】
該剤形中に存在する全ドキシサイクリンの少なくとも10%〜25%が1時間で放出され、または全ドキシサイクリンの少なくとも25%〜50%が4時間で放出され、または全ドキシサイクリンの少なくとも90%超が10時間で放出されるようなin vitro溶出プロファイルを有し、該溶出プロファイルは、USPのバスケット装置の中で0.1N HClを100rpm(1.67s−1)で使用して測定される、請求項1記載の放出制御医薬剤形。
【請求項6】
放出制御ドキシサイクリン層、膨潤性および/または浮遊性の層、膨張性の多孔性コーティング、必要に応じてシールコーティング、ならびに即時放出ドキシサイクリン上塗りコートを含み、前記放出制御ドキシサイクリン層は第1の量のドキシサイクリンを含み、前記即時放出ドキシサイクリン層は第2の量のドキシサイクリンを含み、前記第1の量のドキシサイクリンが、該剤形の総重量を基準として5〜15質量%のドキシサイクリンであり、および前記第2の量のドキシサイクリンが、該剤形の総重量を基準として0.5〜3.2質量%のドキシサイクリンである、請求項1記載の放出制御医薬剤形。
【請求項7】
膨潤性の放出制御ドキシサイクリン核、透過性/膨張性の多孔性コーティング、および即時放出ドキシサイクリン上塗りコートを含み、前記膨潤性の放出制御ドキシサイクリン核が、該剤形の総重量を基準として5〜15質量%のドキシサイクリンを含み、および前記即時放出ドキシサイクリン上塗りコートが、該剤形の総重量を基準として0.5〜3.2質量%のドキシサイクリンを含む、請求項1記載の放出制御医薬剤形。
【請求項8】
放出制御ドキシサイクリン層、不活性の膨潤性/生体付着性の層、および即時放出ドキシサイクリン上塗りコートを含み、前記放出制御ドキシサイクリン層が、該剤形の総重量を基準として5〜15質量%のドキシサイクリンを含み、および前記即時放出ドキシサイクリン上塗りコートが、該剤形の総重量を基準として0.5〜3.2質量%のドキシサイクリンを含む、請求項1記載の放出制御医薬剤形。
【請求項9】
食後の状態の患者に経口投与した後で測定した場合に400〜1400ng/mlの範囲の平均Cmaxを有する、請求項1記載の放出制御医薬剤形。
【請求項10】
食後の状態の患者に前記剤形を単回経口投与した後で測定した場合に、13,000〜21,000ng/ml/h(0〜48時間)、15,000〜19,000ng/ml/h(0〜48時間)、23,000〜37,000ng/ml/h(0〜96時間)、および26,000〜33,000ng/ml/h(0〜96時間)からなる群より選択される血漿中濃度−時間曲線下面積を有する、請求項1記載の放出制御医薬剤形。
【請求項11】
放出制御ドキシサイクリン層、膨潤性および/または浮遊性の層、膨張性の多孔性コーティング、必要に応じてシールコーティング、および即時放出ドキシサイクリン上塗りコートを含み、前記放出制御ドキシサイクリン層は第1の量のドキシサイクリンを含み、前記即時放出ドキシサイクリン層は第2の量のドキシサイクリンを含み、前記第1の量のドキシサイクリンが、該剤形の総重量を基準として5〜15質量%のドキシサイクリンであり、および前記第2の量のドキシサイクリンが、該剤形の総重量を基準として0.5〜3.2質量%のドキシサイクリンである、または
膨潤性の放出制御ドキシサイクリン核、浸透性/膨張性の多孔性コーティング、必要に応じてシールコーティング、および即時放出ドキシサイクリン上塗りコートを含み、前記膨潤性の放出制御ドキシサイクリン核が、該剤形の総重量を基準として5〜15質量%のドキシサイクリンを含み、および前記即時放出ドキシサイクリン上塗りコートが、該剤形の総重量を基準として0.5〜3.2質量%のドキシサイクリンを含む、または
放出制御ドキシサイクリン層、不活性の膨潤性/生体付着性層、および即時放出ドキシサイクリン上塗りコートを含み、前記放出制御ドキシサイクリン層が、該剤形の総重量を基準として5〜15質量%のドキシサイクリンを含み、および前記即時放出ドキシサイクリン上塗りコートが、該剤形の総重量を基準として0.5〜3.2質量%のドキシサイクリンを含む、放出制御医薬剤形。
【請求項12】
放出制御ドキシサイクリン層、膨潤性および/または浮遊性の層、膨張性の多孔性コーティング、必要に応じてシールコーティング、および即時放出ドキシサイクリン上塗りコートを含み、前記放出制御ドキシサイクリン層は第1の量のドキシサイクリンを含み、前記即時放出ドキシサイクリン層は第2の量のドキシサイクリンを含み、前記第1の量のドキシサイクリンが、該剤形の総重量を基準として5〜15質量%のドキシサイクリンであり、および前記第2の量のドキシサイクリンが、該剤形の総重量を基準として0.5〜3.2質量%のドキシサイクリンである、請求項11記載の放出制御医薬剤形。
【請求項13】
膨潤性の放出制御ドキシサイクリン核、透過性/膨張性の多孔性コーティング、必要に応じてシールコーティング、および即時放出ドキシサイクリン上塗りコートを含み、前記膨潤性の放出制御ドキシサイクリン核が、該剤形の総重量を基準として5〜15質量%のドキシサイクリンを含み、および前記即時放出ドキシサイクリン上塗りコートが、該剤形の総重量を基準として0.5〜3.2質量%のドキシサイクリンを含む、請求項11記載の放出制御医薬剤形。
【請求項14】
放出制御ドキシサイクリン層、不活性の膨潤性/生体付着性の層、および即時放出ドキシサイクリン上塗りコートを含み、前記放出制御ドキシサイクリン層が、該剤形の総重量を基準として5〜15質量%のドキシサイクリンを含み、前記即時放出ドキシサイクリン上塗りコートが、該剤形の総重量を基準として0.5〜3.2質量%のドキシサイクリンを含む、請求項11記載の放出制御医薬剤形。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は医薬剤形に関する。
【背景技術】
【0002】
テトラサイクリン化合物群は、一定の皮膚の病態の処置に有用であることが当技術分野において公知である。例えば、即時放出ドキシサイクリン一水和物剤形であるMONODOX(登録商標)は、重度のざ瘡の処置に補助治療として使用することができる。同様に、ドキシサイクリンヒクラート遅延放出錠剤であるDORYX(登録商標)も、重度のざ瘡の処置に補助治療として使用することができる。また、ORACEA(登録商標)の形態のドキシサイクリンは、その作用機序が完全に解明されてはいないが、しゅさに伴う丘疹および膿疱の処置に有効であることが示されている。
【0003】
ミノサイクリン剤形も、皮膚の病態を処置するのに好適であることが示されている。特に、放出制御ミノサイクリン剤形であるSOLODYN(登録商標)は、中等度から重度のざ瘡の処置に有効であることが示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、胃腸管の上部に制御方式で保持されて放出されるドキシサイクリン製剤を提供する。この製剤は、従来の即時放出剤形のドキシサイクリンと比較した場合に、有効性が高く、副作用および/または有害作用が低減されている。ドキシサイクリンの放出を遅延させると、ドキシサイクリンの経口生物学的利用能が低下することが以前に報告されているが、今般、驚くべきことに、放出制御方式で投与すると、即時放出製剤のドキシサイクリンと比較した場合に、相対的な経口生物学的利用能が約80%を超え、ある実施形態では、経口生物学的利用能が約90%を超えることが判明した。
【課題を解決するための手段】
【0005】
ある実施形態では、本開示は、治療有効量のドキシサイクリン、1種または複数種の生体付着剤/粘膜付着剤、1種または複数種の放出制御剤、および薬学的に許容される添加剤を含む放出制御医薬剤形を提供する。
【0006】
ある実施形態では、本開示は、胃腸管中の剤形の滞留時間が増加および/または制御されるように製剤される、治療有効量のドキシサイクリン、1種または複数種の放出制御剤および1種または複数種の薬学的に許容される添加剤を含む放出制御医薬剤形を提供する。
【0007】
ある実施形態では、本開示は、胃腸管中の剤形の滞留時間が増加および/または制御されるように製剤される、治療有効量のドキシサイクリン、1種または複数種の生体付着性ポリマーおよび1種または複数種の薬学的に許容される添加剤を含む放出制御医薬剤形を提供する。
【0008】
ある実施形態では、本開示は、a)ドキシサイクリンの即時放出および/または放出制御を実現する、治療有効量のドキシサイクリンおよび1種または複数種の薬学的に許容される添加剤を含む第1の層と、b)胃腸管の上部での剤形の滞留時間を増加させる、ドキシサイクリンおよび1種または複数種のポリマーを含む少なくとも第2の層と、任意選択でc)多層錠のコーティング層とを含む、多層錠形態の放出制御医薬剤形を提供する。
【0009】
ある実施形態では、本開示は、a)ドキシサイクリンの即時放出および/または放出制御を実現する、第1の治療有効量のドキシサイクリンおよび1種または複数種の薬学的に許容される添加剤を含む第1の層と、b)胃腸管の上部での剤形の滞留時間を増加させる、ドキシサイクリンおよび1種または複数種のポリマーを含む少なくとも第2の層と、c)多層錠を覆う第1のコーティングと、d)第2の治療有効量のドキシサイクリンを含有する、第1のコーティングを覆う第2のコーティングとを含む、多層錠形態の放出制御医薬剤形を提供する。ある実施形態では、第1のコーティングは腸溶コーティングである。ある実施形態では、第2のコーティングは第2の治療有効量のドキシサイクリンの即時放出を実現する。
【0010】
ある実施形態では、本開示は、a)第1の治療有効量のドキシサイクリンの放出制御を実現する、当該第1の治療有効量のドキシサイクリンおよび1種または複数種の薬学的に許容される添加剤を含む第1の層と、b)第2の治療有効量のドキシサイクリンの即時放出を実現する、当該第2の治療有効量のドキシサイクリンおよび1種または複数種の薬学的に許容される添加剤を含む第2の層と、c)生体付着剤の特性により、胃腸管中の剤形の滞留時間を増加させる、当該生体付着剤および任意選択で1種または複数種の薬学的に許容される添加剤を含む第3の層とを含む、多層錠形態の放出制御医薬剤形を提供する。
【0011】
ある実施形態では、本開示は、a)ドキシサイクリンの放出制御を実現する、第1の治療有効量のドキシサイクリンおよび1種または複数種の薬学的に許容される添加剤を含む第1の層と、b)胃腸管の上部での剤形の滞留時間を増加させる生体付着剤を含む第2の層とを含む多層錠形態の放出制御医薬剤形を提供する。ある実施形態では、生体付着層を含む第2の層は、任意選択で第2の量のドキシサイクリンを含有することができる。
【0012】
ある実施形態では、本開示は、ざ瘡、しゅさまたはこれらの組合せを処置する方法において、これを必要とする患者に、力価の等しい即時放出剤形の平均Cmaxの少なくとも約70%の平均Cmaxを有し、力価の等しい即時放出剤形の少なくとも約85%のAUCを有する、ドキシサイクリンを含む放出制御医薬剤形を投与するステップを含む方法を提供する。
【0013】
ある実施形態では、放出制御剤形は、力価の等しい即時放出剤形のAUCの少なくとも約90%のAUCを有する。他の実施形態では、放出制御剤形は、力価の等しい即時放出剤形のAUCの少なくとも約95%のAUCを有する。さらに他の実施形態では、放出制御剤形は、力価の等しい即時放出剤形のAUCの少なくとも約97%のAUCを有する。また別の実施形態では、放出制御剤形は、力価の等しい即時放出剤形のAUCの少なくとも約99%のAUCを有する。
【0014】
ある実施形態では、放出制御医薬剤形は、力価の等しい即時放出剤形の平均Cmaxの少なくとも約80%の平均Cmaxを有する。
【0015】
いくつかの実施形態では、放出制御医薬剤形は、力価の等しい即時放出剤形の平均Cmaxの少なくとも約90%の平均Cmaxを有する。
【0016】
他の実施形態では、放出制御医薬剤形は、力価の等しい即時放出剤形の平均Cmaxの少なくとも約95%の平均Cmaxを有する。
【0017】
さらに他の実施形態では、放出制御医薬剤形は、力価の等しい即時放出剤形の平均Cmaxの少なくとも約98%の平均Cmaxを有する。
【0018】
また別の実施形態では、放出制御医薬剤形は、力価の等しい即時放出剤形の平均Cmaxの少なくとも約100%の平均Cmaxを有する。
【0019】
さらに別の実施形態では、放出制御医薬剤形は、力価の等しい即時放出剤形の平均Cmaxの少なくとも約105%の平均Cmaxを有する。
【0020】
別の実施形態では、本開示は、ざ瘡、しゅさまたはこれらの組合せを処置する方法において、これを必要とする患者に、力価の等しい即時放出剤形のtmaxより少なくとも約1.15倍長いtmaxを有する、ドキシサイクリンを含む放出制御剤形を投与するステップを含む方法を提供する。
【0021】
別の実施形態では、剤形は、力価の等しい即時放出剤形のtmaxより少なくとも約1.2倍長いtmaxを有する。
【0022】
また別の実施形態では、剤形は、力価の等しい即時放出剤形のtmaxより少なくとも約1.5倍長いtmaxを有する。
【0023】
さらに別の実施形態では、剤形は、力価の等しい即時放出剤形のtmaxより少なくとも約1.7倍長いtmaxを有する。
【0024】
本開示は、ざ瘡、しゅさまたはこれらの組合せを処置する方法において、これを必要とする患者にドキシサイクリンを含む放出制御医薬剤形を投与するステップを含み、当該剤形は、剤形中に存在する全ドキシサイクリンの少なくとも約10%〜25%が1時間後に放出されており、または全ドキシサイクリンの少なくとも約25%〜50%が4時間後に放出されており、または全ドキシサイクリンの少なくとも約90%超が10時間後に放出されているようなin vitro溶出プロファイルを有し、その放出プロファイルは、USPのバスケット装置の中で0.1N HClを100rpm(1.67s−1)で使用して測定される、方法をさらに提供する。
【0025】
また別の実施形態では、本開示は、ざ瘡、しゅさまたはこれらの組合せを処置する方法において、これを必要とする患者に、放出制御ドキシサイクリン層、膨潤可能なおよび/または浮遊性の層、膨張可能な多孔性コーティング、任意選択でシールコーティング(seal coating)、ならびに即時放出ドキシサイクリン上塗りコートを含む放出制御医薬剤形を投与するステップを含む方法を提供する。
【0026】
ある実施形態では、放出制御ドキシサイクリン層には、第1の量のドキシサイクリンを含めることができ、即時放出ドキシサイクリン層には、第2の量のドキシサイクリンを含めることができる。
【0027】
いくつかの実施形態では、第1の量のドキシサイクリンは、剤形の総重量を基準として約5〜約15質量%のドキシサイクリンである。
【0028】
いくつかの実施形態では、第2の量のドキシサイクリンは、剤形の総重量を基準として約0.5〜約3.2質量%のドキシサイクリンである。
【0029】
本開示は、ざ瘡、しゅさまたはこれらの組合せを処置する方法において、これを必要とする患者に、膨潤可能な放出制御薬物核、透過性の/膨張可能な多孔性コーティング、および即時放出ドキシサイクリン上塗りコートを含む放出制御医薬剤形を投与するステップを含む方法をさらに提供する。
【0030】
いくつかの実施形態では、膨潤可能な放出制御薬物核は、剤形の総重量を基準として約5〜約15質量%のドキシサイクリンを含む。
【0031】
いくつかの実施形態では、即時放出ドキシサイクリン上塗りコートは、剤形の総重量を基準として約0.5〜約3.2質量%のドキシサイクリンを含む。
【0032】
本開示は、ざ瘡、しゅさまたはこれらの組合せを処置する方法において、これを必要とする患者に、放出制御層、不活性の膨潤可能/生体付着層、および即時放出ドキシサイクリン上塗りコートを含む放出制御医薬剤形を投与するステップを含む方法をさらに提供する。
【0033】
いくつかの実施形態では、放出制御層は、剤形の総重量を基準として約5〜約15質量%のドキシサイクリンを含む。
【0034】
いくつかの実施形態では、即時放出ドキシサイクリン上塗りコートは、剤形の総重量を基準として約0.5〜約3.2質量%のドキシサイクリンを含む。
【0035】
また別の実施形態では、本開示は、ざ瘡、しゅさまたはこれらの組合せを処置する方法において、これを必要とする患者に、ドキシサイクリンを含み、食後の状態の患者に経口投与した後で測定した場合に約400〜約1400ng/mlの範囲の平均Cmaxを有する放出制御医薬剤形を投与するステップを含む方法を提供する。
【0036】
さらに別の実施形態では、本開示は、ざ瘡、しゅさまたはこれらの組合せを処置する方法において、これを必要とする患者に、ドキシサイクリンを含み、食後の状態の患者に単一用量の剤形を経口投与した後でそれぞれ測定した場合に、約13,000〜約21,000ng/ml/h(0〜48時間)、約15,000〜約19,000ng/ml/h(0〜48時間)、約23,000〜約37,000ng/ml/h(0〜96時間)、および約26,000〜約33,000ng/ml/h(0〜96時間)からなる群から選択される血漿中濃度−時間曲線下面積を有する放出制御医薬剤形を投与するステップを含む方法を提供する。
【0037】
また別の実施形態では、本開示は、放出制御ドキシサイクリン層、膨潤可能なおよび/または浮遊性の層、膨張可能な多孔性コーティング、任意選択でシールコーティング、ならびに即時放出ドキシサイクリン上塗りコートを含む放出制御医薬剤形を提供する。
【0038】
いくつかの実施形態では、放出制御ドキシサイクリン層には、第1の量のドキシサイクリンを含めることができ、即時放出ドキシサイクリン層には、第2の量のドキシサイクリンを含めることができる。
【0039】
いくつかの実施形態では、第1の量のドキシサイクリンは、剤形の総重量を基準として約5〜約15質量%のドキシサイクリンである。
【0040】
いくつかの実施形態では、第2の量のドキシサイクリンは、剤形の総重量を基準として約0.5〜約3.2質量%のドキシサイクリンである。
【0041】
また別の実施形態では、本開示は、膨潤可能な放出制御薬物核、透過性の/膨張可能な多孔性コーティング、任意選択のシールコーティング、および即時放出ドキシサイクリン上塗りコートを含む放出制御医薬剤形を提供する。
【0042】
いくつかの実施形態では、膨潤可能な放出制御薬物核は、剤形の総重量を基準として約5〜約15質量%のドキシサイクリンを含む。
【0043】
いくつかの実施形態では、即時放出ドキシサイクリン上塗りコートは、剤形の総重量を基準として約0.5〜約3.2質量%のドキシサイクリンを含む。
【0044】
また別の実施形態では、本開示は、放出制御層、不活性の膨潤可能/生体付着層、および即時放出ドキシサイクリン上塗りコートを含む放出制御医薬剤形を提供する。
【0045】
いくつかの実施形態では、放出制御層は、剤形の総重量を基準として約5〜約15質量%のドキシサイクリンを含む。
【0046】
いくつかの実施形態では、即時放出ドキシサイクリン上塗りコートは、剤形の総重量を基準として約0.5〜約3.2質量%のドキシサイクリンを含む。
【0047】
いくつかの実施形態では、本開示は、食後の状態の患者に経口投与した後で測定した場合に約400〜約1400ng/mlの範囲の平均Cmaxを有するドキシサイクリンを含む、放出制御医薬剤形を提供する。
【0048】
また別の実施形態では、本開示は、食後の状態の患者に単一用量の剤形を経口投与した後でそれぞれ測定した場合に、約13,000〜約21,000ng/ml/h(0〜48時間)、約15,000〜約19,000ng/ml/h(0〜48時間)、約23,000〜約37,000ng/ml/h(0〜96時間)、および約26,000〜約33,000ng/ml/h(0〜96時間)からなる群から選択される血漿中濃度−時間曲線下面積を有するドキシサイクリンを含む、放出制御医薬剤形を提供する。
【0049】
当然のことながら、上記の概要は、本明細書に開示している様々な製剤のすべての実施形態またはすべての実施について記載することを意図するものではない。発明を実施するための形態、図面、および実施例の各項は、実例となる実施形態を、例としてさらに示すものである。本明細書に記載する様々な実施形態は、各特定の組合せが明示的に開示されているかのように、組み合わせて開示されているものとする。図面および実施例は、ただ代表であるだけであり、排他的であるまたは本明細書に開示している様々な実施形態の範囲を限定するものであると解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0050】
図1】実施例5、6および7Aに記載のドキシサイクリンの放出制御医薬剤形の、0.1N HCl、バスケット装置中100rpm(1.67s−1)での溶出プロファイルを表す。
図2】実施例7B、8、9および10に記載のドキシサイクリンの放出制御医薬剤形の、0.1N HCl、バスケット装置中100rpm(1.67s−1)での溶出プロファイルを表す。
図3】生体付着性錠剤F1、F2、F3、F4、F5およびF6について、水和時間の関数としてのピーク脱離力での生体付着測定値を表す。
図4】実施例5に記載のドキシサイクリンの放出制御医薬剤形および参照製品の、単一用量試験で測定した比較in vivo薬物動態プロファイルを表す。
図5】実施例6に記載のドキシサイクリンの放出制御医薬剤形および参照製品の、単一用量試験で測定した比較in vivo薬物動態プロファイルを表す。
図6A】実施例7Aに記載のドキシサイクリンの放出制御医薬剤形および参照製品の、単一用量試験で測定した比較in vivo薬物動態プロファイルを表す。
図6B】実施例7Bに記載のドキシサイクリンの放出制御医薬剤形および参照製品の、単一用量試験で測定した比較in vivo薬物動態プロファイルを表す。
図7】実施例8に記載のドキシサイクリンの放出制御医薬剤形および参照製品の、単一用量試験で測定した比較in vivo薬物動態プロファイルを表す。
図8】実施例9に記載のドキシサイクリンの放出制御医薬剤形および参照製品の、単一用量試験で測定した比較in vivo薬物動態プロファイルを表す。
図9】実施例10に記載のドキシサイクリンの放出制御医薬剤形および参照製品の、単一用量試験で測定した比較in vivo薬物動態プロファイルを表す。
【発明を実施するための形態】
【0051】
不定冠詞「ある(a)」および「ある(an)」ならびに定冠詞「その(the)」は、これらが使用されている文脈が明白に他の意味を示していない限り、単数および複数の両方を含むものとする。
【0052】
「治療的有効量」という用語は、処置される病態の進行を止めるもしくは減じる薬物の量、または他には、病態を完全にもしくは部分的に治癒させる、もしくは病態に対症的に作用する薬物の量を意味する。治療的有効量は、処置される対象、疾患状態の重症度および投与方法に依存して変化するであろう。
【0053】
本明細書で使用する場合、「ドキシサイクリン」という用語は、ドキシサイクリン遊離塩基、ドキシサイクリン一水和物、およびいくつかの実施形態では、ドキシサイクリンの薬学的に許容される酸付加塩(例えばドキシサイクリン塩酸塩ヘミエタノラート半水和物)、ならびに上述の各々の、すべての結晶形および非晶形を含む。
【0054】
皮膚疾患の処置に対する一定のテトラサイクリン剤形の有効性が知られているにもかかわらず、胃の内容排出および腸の蠕動運動によって、この薬物および/またはこの薬物を含む経口剤形が胃腸管の上部に留まる時間が制限される。胃腸管の上部でこのように滞留時間が制限されても、薬物の吸収部位が胃腸管の下部であり得るため、問題のない薬物もある。しかし、上部胃腸管に吸収部位がある、および/または消化管のこの部分で吸収がより良好であると考えられているドキシサイクリンのような薬物については、このような急速な移動は、所望の生物学的利用能または全身性のPKプロファイルに到達させるために、薬物の用量増加を必要とする場合が多い。
【0055】
本明細書に記載する開示の各態様は、特定の薬物を胃腸管の上部に保持することができる製剤の必要性に取り組む。
【0056】
ある実施形態では、本開示は、胃腸管の所望の部分での剤形および/またはドキシサイクリンの滞留時間を増加させるように製剤される、治療有効量のドキシサイクリンならびに1種または複数種の添加剤および/または他の配合剤を含む放出制御医薬剤形を提供する。
【0057】
ある実施形態では、医薬剤形は、剤形中に含まれている薬物の全身性の生物学的利用能を高めるために、胃および/または十二指腸などの胃腸管の上部に留まるように製剤される。特定の実施形態では、医薬剤形は、ドキシサイクリンが胃腸管の上部に維持され、それにより薬物の生物学的利用能が高まるように製剤される。胃腸管の所望の部分での医薬剤形の保持は、生体付着、浮遊、膨潤、または前述のもののいずれかの組合せなどの技術を使用して、胃腸管からの剤形の排出を遅延させることによって実現することができる。
【0058】
「生体付着」とは、材料が粘膜などの生物学的組織または構造に付着する能力と定義される。生体付着は、胃の内容排出および腸の蠕動から、ならびに線毛運動による移動から生じる滞留時間の不適切さの問題に対する1つの解決策である。ポリマーの生体付着特性は、ポリマーの性質と周囲媒質の性質の両方に影響される。本明細書で使用する場合、「生体付着剤」という用語は、生体付着に影響する化合物を指す。生体付着剤という用語は、「粘膜付着剤」という用語と互換的に使用することができる。例としての生体付着剤には、以下に限定はしないが、粘膜に付着することが可能な天然または合成の材料、例えば高分子、ポリマー、オリゴマーおよびこれらの混合物が含まれる。多くの生体付着性の分子およびポリマーが当業者に公知である。生体付着は、本明細書の別の箇所に記載の張力測定法を使用して測定することができ、特定の実施形態では、本明細書に記載の剤形のピーク脱離力は、水和時間10分以内で少なくとも約500mN、水和時間10分以内で少なくとも約750mN、水和時間10分以内で少なくとも約1000mN、または水和時間10分以内で少なくとも約1300mNであることが可能である。他の実施形態では、ピーク脱離力は、水和時間60分後に少なくとも約1000mN、水和時間60分後に少なくとも約1100mN、水和時間60分後に少なくとも約1250mN、または水和時間60分後に少なくとも約1500mNであることが可能である。
【0059】
別の実施形態では、本開示は、浮遊性薬物送達システムも提供する。浮遊性薬物送達システムは、発泡性または非発泡性の添加剤を使用して調製することができる。非発泡性添加剤は、ゲル化の際に空気を閉じ込め、剤形に浮力を与えるゲル形成剤とすることができる。発泡性添加剤は、胃液に接触するとガス化し、二酸化炭素を放出し、これをゲル状親水コロイド中に閉じ込めることができるガス放出剤、またはガスの閉じ込めに好適で、それにより浮力を生み出す他の材料である。
【0060】
膨潤可能な薬物送達システムとは、胃液に接触すると膨潤する剤形である。膨潤によって剤形が大きくなり、幽門括約筋を通過するのが遅くなり、それによってもうしばらくの間、胃の中に剤形が維持される。ある実施形態では、薬物は、剤形の侵食もしくは剤形からの薬物の拡散のいずれか一方、または侵食機構および拡散機構の組合せによって、胃の中に放出される。特定の実施形態では、本明細書の剤形は、その原体積の少なくとも約1%〜少なくとも約500%膨潤することができ、ある実施形態では、その原体積の少なくとも約1%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、少なくとも約125%、少なくとも約150%、少なくとも約175%、他の実施形態では、その原体積の少なくとも約200%または500%さえも膨潤することができる。膨潤は、本明細書の別の箇所に記載の手順を使用して測定することができる。
【0061】
別の態様において、本開示は、本明細書に記載の剤形の治療量を投与するステップを含む治療法を提供する。本明細書に開示の剤形は、任意の好適な投薬方法に従って投与することができる。一実施形態では、剤形は、1日1回または1日2回経口投与することができる。他の実施形態では、本明細書に記載の剤形は、2日に1回または3日に1回投与することができる。特定の実施形態では、本明細書に記載の剤形は、1日1回投与される。
【0062】
投与量
特定の実施形態では、本明細書に開示の剤形の目的は、ドキシサイクリンの全身的レベルが、慢性処置レジメンの間に激しい増減を一切せず、処置期間を通して所望の治療レベル以上を維持するように、ドキシサイクリンを経口で送達することである。これは、通常、剤形から薬物がバースト放出されるために投与から2〜3時間以内にドキシサイクリンのピークレベルを示す経口即時放出剤形での処置に従って得られる全身的レベルとは全く対照をなす。ある実施形態では、本明細書に記載の剤形は、ほぼ等しい用量の経口即時放出剤形に対して80%以上のレベルのドキシサイクリンの経口生物学的利用能を実現することができる。他の実施形態では、本明細書に記載の剤形は、ほぼ等しい用量の経口即時放出剤形に対して90%、95%、99%および場合により99.9%以上のレベルのドキシサイクリンの経口生物学的利用能を実現することができる。上記の実施形態の各々において、即時放出経口ドキシサイクリン製剤に見られるバースト放出をすることなく、相対的生物学的利用能が実現される。
【0063】
本明細書に記載の剤形中に含まれるドキシサイクリンの量は、約10mgから約200mgまで、その間のすべての量を含んで変化し得る。特定の実施形態では、剤形は約50〜約200mgのドキシサイクリンを含む。他の実施形態では、剤形は約60〜約180mgのドキシサイクリンを含み得る。さらに他の実施形態では、剤形は約100〜約150mgのドキシサイクリンを含み得る。特定の実施形態では、剤形は約30、約35、約40、約45、約50、約55、約60、約65、約70、約75、約80、約85、約90、約95または約100mgのドキシサイクリンを含み得る。わかりやすくするために、本出願に記載のドキシサイクリンのすべての量または重量は、当量のドキシサイクリン遊離塩基を基準として言及している。このため、約104mgのドキシサイクリン一水和物を含有する剤形は、約100mgのドキシサイクリンを含む剤形であると理解されることになる。
【0064】
生物学的利用能および溶出
ある実施形態では、本開示は、a)胃腸管の上部での剤形および/またはドキシサイクリンの滞留時間を増加させるように製剤され、b)脱離力として測定される付着強度が、本明細書の別の箇所に記載の高性能フォースゲージ機器を使用して測定した場合に、少なくとも約100mN、ある実施形態では少なくとも約400mNである放出制御医薬剤形を提供する。
【0065】
ある実施形態では、本開示は、胃腸管の上部での剤形および/またはドキシサイクリンの滞留時間を増加させるように製剤され、ならびに少なくとも約4〜約24時間にわたって、ある実施形態では、少なくとも約4時間〜約20時間、約4時間〜約16時間、約4時間〜約12時間、約4時間〜約8時間および約4時間〜約6時間にわたって、剤形からドキシサイクリンを放出するように製剤される、ドキシサイクリンの放出制御医薬剤形を提供する。
【0066】
ある実施形態では、本開示は、USPのバスケット装置を使用して900mlの0.1N HCl中100rpm(1.67s−1)で測定した場合に、約10〜20%のドキシサイクリンが約30分後に放出されており、約10〜40%のドキシサイクリンが約1時間後に放出されており、約20〜約70%のドキシサイクリンが約2時間後に放出されており、約50〜約90%のドキシサイクリンが約4時間後に放出されており、少なくとも約90%のドキシサイクリンが約6時間後に放出されている、ドキシサイクリン放出プロファイルを有する、ドキシサイクリンを含む放出制御医薬剤形を提供する。
【0067】
ある実施形態では、本開示は、USPのバスケット装置を使用して900mlの0.1N HCl中100rpm(1.67s−1)で測定した場合に、約15%のドキシサイクリンが約30分後に放出されており、約10〜約25%のドキシサイクリンが約1時間後に放出されており、約20〜約60%のドキシサイクリンが約2時間後に放出されており、約50〜約90%のドキシサイクリンが約4時間後に放出されており、約90%より多いドキシサイクリンが約6時間後に放出されているドキシサイクリン放出プロファイルを有する、ドキシサイクリンを含む放出制御医薬剤形を提供する。
【0068】
ある実施形態では、本開示は、USPのバスケット装置を使用して900mlの0.1N HCl中100rpm(1.67s−1)で測定した場合に、約5〜約20%のドキシサイクリンが約30分後に放出されており、約10〜約25%のドキシサイクリンが約1時間後に放出されており、約15〜約35%のドキシサイクリンが約2時間後に放出されており、約25〜約50%のドキシサイクリンが約4時間後に放出されており、約40〜約70%のドキシサイクリンが約6時間後に放出されており、約70〜約90%のドキシサイクリンが約8時間後に放出されており、約90%より多いドキシサイクリンが約10〜約12時間後に放出されている、ドキシサイクリン放出プロファイルを有する、ドキシサイクリンを含む放出制御医薬剤形を提供する。
【0069】
ある実施形態では、本開示は、USPのパドル装置を使用して900mlの0.1N HCl中75rpm(1.25s−1)で測定した場合に、約10〜約50%のドキシサイクリンが約1時間後に放出されており、約30〜約70%のドキシサイクリンが約2時間後に放出されており、少なくとも約60%のドキシサイクリンが約4時間後に放出されており、少なくとも約80%のドキシサイクリンが約6時間後に放出されている、ドキシサイクリン放出プロファイルを有する、ドキシサイクリンを含む放出制御医薬剤形を提供する。
【0070】
ある実施形態では、本開示は、USPのパドル装置を使用して900mlの0.1N HCl中75rpm(1.25s−1)で測定した場合に、約5〜約25%のドキシサイクリンが約1時間後に放出されており、約50〜約70%のドキシサイクリンが約4時間後に放出されており、約90〜約100%のドキシサイクリンが約8〜約12時間後に放出されている、ドキシサイクリン放出プロファイルを有する、ドキシサイクリンを含む放出制御医薬剤形を提供する。
【0071】
ある実施形態では、本開示は、USPのパドル装置を使用して900mlの0.1N HCl中75rpm(1.25s−1)で測定した場合に、約10%のドキシサイクリンが約1時間後に放出されており、約40〜約70%のドキシサイクリンが約8時間後に放出されており、約90〜約100%のドキシサイクリンが約24時間後に放出されている、ドキシサイクリン放出プロファイルを有する、ドキシサイクリンを含む放出制御医薬剤形を提供する。
【0072】
ある実施形態では、本開示は、ドキシサイクリンの摂取に伴う副作用を低減する方法において、これを必要とする患者にドキシサイクリンを含む医薬剤形を投与するステップを含み、当該剤形は、胃腸管中の剤形および/またはドキシサイクリンの滞留時間を増加させるように製剤され、これにより、i)当該剤形が、ドキシサイクリンの治療的血中濃度を少なくとも約18〜約24時間にわたって供与し、ii)当該剤形が、ドキシサイクリンのピーク血漿中濃度(Cmax)を約3〜約10時間(tmax)後に、ある実施形態では約3〜約8時間(tmax)後に、または約4〜約6時間(tmax)後に実現し、(iii)当該剤形が、即時放出ドキシサイクリン製剤と比較した場合に、約80%超、ある実施形態では、約90%超、約95%超、約99%超、または約99.9%超の相対的な経口生物学的利用能を示す、方法を提供する。
【0073】
処置方法
ドキシサイクリンは、多くの既知の細菌感染症を処置するために使用することができるが、ドキシサイクリンが、ざ瘡およびしゅさなどの皮膚の病態を処置するのに有効であることも知られている。ざ瘡の原因は完全には解明されていないが、細菌プロピオニバクテリウム・アクネス(P.acnes)が、その病態に関連するコメドおよびマイクロコメドの形成の少なくとも部分的な原因であることが広く認識されている。MONODOX(登録商標)およびDORYX(登録商標)などのドキシサイクリン剤形がざ瘡の補助治療として処方されているが、現在、ざ瘡を主要な適応症とする承認ドキシサイクリン剤形はない。同様に、ドキシサイクリン剤形ORACEA(登録商標)は、丘疹性/膿疱性しゅさの処置に有効であることが示されている。しかし、ざ瘡と同様に、しゅさの原因は十分に解明されておらず、いかなる特定の理論にも縛られることを望むわけではないが、しゅさの処置に対するドキシサイクリンの有効性は、その抗炎症特性に由来していると推測される。
【0074】
ざ瘡およびしゅさの処置用にドキシサイクリンおよび他のテトラサイクリン抗生物質が広く処方されているにもかかわらず、多くの医師および規制機関は、抗生物質耐性および/またはこれらの薬物に伴う副作用の発生率を低減するために、所定の患者に送達される抗生物質の量を低減するのを好むであろう。しかし、このような低減は有効性の低下にもつながり、根底にある疾患病態の処置に対する薬物の適性を損なうことになる。
【0075】
しかし、本明細書に記載の放出制御医薬剤形は、起こり得る薬物耐性および副作用の問題に対して新規な解決策を提供する。本明細書の別の箇所に記載のとおり、ここに記載の放出制御医薬剤形は、放出制御であり、および/または胃腸管の上部での滞留時間が増加しており、ドキシサイクリンの生物学的利用能が高く、同時に、ざ瘡またはしゅさに罹患している患者において同様の結果を実現するのに通常必要とされる即時放出ドキシサイクリンの量と比較して、投与されるドキシサイクリンの量を低減することが可能である。したがって、ある実施形態では、本明細書は、ざ瘡を処置する方法において、これを必要とする患者に、本明細書に記載の放出制御剤形のいずれかを投与するステップを含む方法を提供する。他の実施形態では、本明細書は、しゅさを処置する方法において、これを必要とする患者に、本明細書に記載の放出制御剤形のいずれかを投与するステップを含む方法を提供する。
【0076】
ある実施形態では、本開示は、ざ瘡および/またはしゅさを処置する方法において、これを必要とする患者にドキシサイクリンを含む医薬剤形を投与するステップを含み、当該剤形は、胃腸管の上部で剤形の滞留時間を増加させ、および/またはドキシサイクリンの放出制御を向上させるように製剤され、これにより、i)当該剤形が、ドキシサイクリンの治療的血中濃度を少なくとも約18〜約24時間にわたって供与し、ii)当該剤形が、ドキシサイクリンのピーク血漿中濃度(Cmax)を約3〜約10時間(tmax)後に、ある実施形態では約3〜約8時間(tmax)後に、または約4〜約6時間(tmax)後に実現し、(iii)当該剤形が、即時放出ドキシサイクリン製剤と比較した場合に、約80%超、ある実施形態では約90%超の相対的な経口生物学的利用能を示す、方法を提供する。
【0077】
添加剤および他の配合剤
本明細書の別の箇所に論じているとおり、治療有効量のドキシサイクリンを含む放出制御医薬剤形は、1種または複数種の添加剤および/または他の配合剤も含む。好適な添加剤および他の配合剤には、以下に限定はしないが、放出速度制御剤、生体付着剤および/または粘膜付着剤、膨潤剤、結合剤、希釈剤、崩壊剤、孔形成剤、滑沢剤、安定化剤、界面活性剤、可塑剤、抗粘着剤(anti−tacking agent)、流動促進剤、可溶化剤、ガス発生剤、溶媒ならびにこれらの組合せが含まれる。ある実施形態では、所定の添加剤および/または配合剤は2つ以上の機能を果たすことができる。
【0078】
本放出制御医薬剤形に使用するのに好適な放出速度制御剤には、以下に限定はしないが、親水性放出制御剤、疎水性放出制御剤およびこれらの混合物が含まれる。
【0079】
例としての親水性の放出制御剤は、これに限定はしないが、一般構造:
【0080】
【化1】
【0081】
[式中、各Rは、独立に、H、CH、CHCHOH、CHCOHおよびCHCH(OH)CHからなる群から選択されることが可能である]を有する、任意選択で置換されているセルロース由来のポリマーを含む。例としての、任意選択で置換されているセルロース由来のポリマーには、以下に限定はしないが、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCまたはヒプロメロース)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、カルボキシメチルセルロースおよびヒドロキシエチルセルロース(HEC)が含まれる。さらなる例としての放出制御剤には、以下に限定はしないが、エチレングリコールオリゴマー、例えばポリエチレンオキシドおよびポリエチレングリコール;ビニルポリマー、例えばポリビニルアルコールおよびポリビニルピロリドン(PVPまたはポビドン);ガム、例えばキサンタンガムおよびグアーガム;天然の多糖、例えばカラギーナン、アルギン酸ナトリウムならびにキトサンおよびその誘導体;ポリアクリル酸ポリマー、例えばカルボマーが含まれる。
【0082】
例としての疎水性放出制御剤には、以下に限定はしないが、ポリ酢酸ビニル、エチルセルロースおよびセルロースエステル(例えば酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース(低分子量、中分子量または高分子量)、酢酸プロピオン酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、酢酸フタル酸セルロースおよび三酢酸セルロース)が含まれる。
【0083】
他の例としての疎水性放出制御剤には、以下に限定はしないが、アクリル酸メチル(またはエチル)と、メタクリル酸メチルと、第四級アミンが存在するメタクリル酸エステルとのコポリマー(例えばEUDRAGIT(登録商標)RL100、EUDRAGIT(登録商標)RL PO(ポリ(アクリル酸エチル−co−メタクリル酸メチル−co−メタクリル酸塩化トリメチルアンモニオエチル)1:2:0.2)、EUDRAGIT(登録商標)RL30D、EUDRAGIT(登録商標)RL12.5、EUDRAGIT(登録商標)RS100、EUDRAGIT(登録商標)RS PO、EUDRAGIT(登録商標)RS30D、EUDRAGIT(登録商標)RS12.5、EUDRAGIT(登録商標)NE30D、EUDRAGIT(登録商標)NE40DおよびEUDRAGIT(登録商標)NM30D、すべてEvonik Industries,Rellinghauser Strasse 1−11,45128 Essen,ドイツ製)が含まれる。
【0084】
さらなる例としての疎水性放出制御剤には、以下に限定はしないが、ポリメタクリル酸エステル(例えば、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリ(メタクリル酸エチル)、ポリ(メタクリル酸ブチル)、ポリ(メタクリル酸イソブチル)およびポリ(メタクリル酸ヘキシル)、ポリ(メタクリル酸イソデシル)、ポリ(メタクリル酸ラウリル)、ポリ(メタクリル酸フェニル)、ポリ(アクリル酸メチル)、ポリ(アクリル酸イソプロピル)、ポリ(アクリル酸イソブチル)、ポリ(アクリル酸オクタデシル))が含まれる。
【0085】
ワックスも、疎水性放出制御剤として使用するのに好適である。例としてのワックスには、以下に限定はしないが、ミツロウ、カルナウバロウ、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックスおよびオゾケライトが含まれる。
【0086】
脂肪族アルコールも、疎水性放出制御剤として使用してもよい。例としての脂肪族アルコールには、以下に限定はしないが、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、セチルアルコールおよびミリスチルアルコールが含まれる。
【0087】
疎水性放出制御剤は、また、脂肪酸エステル、例えば、以下に限定はしないが、モノステアリン酸グリセリル、モノオレイン酸グリセロール、アセチル化モノグリセリド、トリステアリン、トリパルミチン、セチルエステルワックス、パルミトステアリン酸グリセリル、ベヘン酸グリセリル、水素添加植物油でもよい。
【0088】
所定の製剤には、1種以上の疎水性放出制御剤を含めることができ、したがって、前述の疎水性放出制御剤のいずれかの混合物を含めることができる。
【0089】
放出速度制御剤の量は、任意の好適な量とすることができ、放出制御医薬剤形の総重量を基準として、ある実施形態では約5%〜約70%w/w、ある実施形態では約5%〜約50%w/w、または約5%〜約35%w/wの範囲とすることができる。
【0090】
本発明に使用するのに好適な粘膜付着剤および/または生体付着剤には、以下に限定はしないが、天然ポリマー、例えばペクチン、ゼイン、改質ゼイン、カゼイン、ゼラチン、グルテン、血清アルブミン、コラーゲン、キトサン、オリゴ糖、および多糖、例えばセルロース、デキストラン、タマリンドシード多糖体、ジェラン、カラギーナン、キサンタンガム、アラビアガム、ヒアルロン酸、ポリヒアルロン酸、アルギン酸ならびにアルギン酸ナトリウム;合成ポリマー、例えばポリアミド、ポリカルボナート、ポリアルキレン、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレンオキシド、ポリアルキレンテレフタラート、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリビニルエステル、ポリビニルハロゲン化物、ポリビニルピロリドン、ポリグリコリド、ポリシロキサン、ポリラクチド、ポリ(酪酸)、ポリ(吉草酸)、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)、ポリ無水物、ポリオルトエステル、ポリ(フマル酸)、ポリ(マレイン酸);ならびに前述のもののいずれかのブレンドおよびコポリマーまたは混合物が含まれる。放出速度制御剤も、その放出速度制御剤の固有の特性に依存して、粘膜付着剤および/または生体付着剤として使用することができる。本明細書の別の箇所に記載のとおり、粘膜付着のレベルを測定することができ、本明細書に特定した範囲内とすることができる。
【0091】
粘膜付着剤および/または生体付着剤としても役立つことが可能な放出速度制御剤に加えて、さらなる例としての粘膜付着剤および/または生体付着剤には、疎水性骨格を有し、その骨格から少なくとも1つの疎水性基がペンダント状になっているポリマーも含めることができる。好適な疎水性基には、以下に限定はしないが、一般に非極性の基、例えばアルキル基、アルケニル基およびアルキニル基が含まれる。疎水性基は生体付着および/または粘膜付着を強化するように選択されるのが好ましい。
【0092】
生体付着剤および/または粘膜付着剤として使用するのに好適なさらなるポリマーの基には、疎水性骨格を有し、その骨格から少なくとも1つの親水性基がペンダント状になっているポリマーが含まれる。好適な親水性基には、別の官能基に水素結合または静電結合することが可能な基が含まれる。このような親水性基の例には、負荷電基、例えばカルボキシラート、スルホナートおよびホスホナート;正荷電基、例えばプロトン化アミン;ならびに中性基、極性基、例えばアミドおよびイミンが含まれる。ある実施形態では、親水性基は生体付着および/または粘膜付着を強化するように選択される。
【0093】
本剤形に使用するのに好適な膨潤剤には、以下に限定はしないが、架橋ポリ(アクリル酸)(例えば、カルボマー934、940、941および974P)、ポリ(アルキレンオキシド)(例えばポリエチレンオキシド)、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロゲル、無水マレイン酸ポリマー、セルロースポリマー、多糖、デンプン、デンプン系ポリマーおよびこれらの混合物が含まれる。膨潤剤は、それ自体が膨潤可能である、またはその代わりに、膨潤助剤となることが可能である。膨潤助剤とは、膨潤はしない(または最小限しか膨潤しない)が、膨潤において別の膨潤剤を補助する作用剤である。
【0094】
本明細書に記載の医薬剤形中の粘膜付着性および/または生体付着性ポリマーの量は、任意の許容可能な量とすることができ、放出制御医薬剤形の総重量を基準として、ある実施形態では約0.1%〜約75%w/w、約5%〜約50%w/w、さらに他の実施形態では約5%〜約35%w/wの範囲とすることができる。
【0095】
ある実施形態では、放出制御医薬剤形は、1つまたは複数のコーティングを含むこともできる。1つまたは複数のコーティングは、水性溶媒系もしくは非水性溶媒系またはこれらの組合せから調製したコーティング溶液を使用して、錠剤コーティング機で塗布することができる。放出制御医薬剤形は、圧縮コーティングおよび流動層でのコーティングによってコートすることもできる。このような方法は当業者に周知である。
【0096】
本明細書に記載の放出制御医薬剤形にコーティング材料として使用するのに好適な作用剤には、以下に限定はしないが、アルキルセルロース、例えばメチルセルロースまたはエチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、ポリビニルピロリドン、多糖、アカシア、スクロース、ゼラチン、セラック、酢酸フタル酸セルロース、脂質、アクリルポリマー、ポリビニルアルコール、ビニルピロリドンと酢酸ビニルとのコポリマーおよび前述のもののいずれかの混合物が含まれる。
【0097】
特定の実施形態では、コーティング材料は、半透性の膜またはコーティングの形成が可能な放出制御フィルムコーティング材料とすることができ、半透性の膜またはコーティングは、多孔性でも非多孔性でもよく、外部の流体に対しては透過性であり、核の内部に含有されている不溶性の薬物に対しては実質的に不透過性である。通常、外部の流体とは、使用する環境中の液体または生体液、例えば、上部胃腸管中に存在する胃液である。半透性の膜またはコーティングの形成が可能な放出制御フィルムコーティング材料として有用な材料は、外部の流体に実質的に不溶性であることが可能である。他の実施形態では、半透性の膜またはコーティングを形成するのに有用な材料は、所定の時間を経ると侵食されることが可能である。半透性の膜またはコーティングを形成するのに有用な、例としての材料には、以下に限定はしないが、アセトアルデヒドジメチルアセタート;アセトアルデヒドジメチルセルロースアセタート;カンテンアセタート;アルキレンオキシドとアルキルグリシジルエーテルとのコポリマー;アミローストリアセタート;βグルカンアセタート;βグルカントリアセタート;セルロース由来の材料、例えば、セルロースエステル、セルロースエーテル、セルロースエステル−エーテルポリマー、モノ−、ジ−およびトリセルロースアクリラート、モノ−、ジ−およびトリセルロースアルケニラート;ヒドロキシル化エチレン−ビニルアセタート;ポリマーの膜を含有する選択的に透過性の芳香族窒素化合物;ポリアミド;ポリアルキレンオキシド;ポリエーテルとポリアミドとのコポリマー;ポリグリコール酸およびポリ乳酸ならびにこれらの誘導体;ポリマーのエポキシド;ポリ(メタクリラート)コポリマー塩;架橋ポリ(スチレンスルホン酸ナトリウム);架橋ポリスチレン;ポリウレタン;ポリビニルアルコール;架橋ポリ(ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロリド);ポリ(ビニルメチルエーテル)コポリマー;ポリビニルピロリドン;プロピルカルバマート;スルホン化ポリスチレン;ローカストビーンガムのトリアセタート;ならびに前述のもののいずれかの組合せが含まれる。
【0098】
他の実施形態では、コーティング材料は、浸透力を使用して腸溶性膜を破裂させ、膜の内部の剤形を露出させる、破裂可能なコーティング系とすることができる。他の実施形態では、酢酸セルロースおよびエチルセルロースなどの不溶性ポリマーの非透過性コーティングを、コーティング中に可溶性孔形成剤を含めることによって遅延/調節放出を実現する腸溶性コーティングとして使用することができる。例としての孔形成剤には、以下に限定はしないが、塩化ナトリウム、塩化カリウム、低粘度ヒプロメロース、ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウムおよび前述のものの組合せが含まれる。
【0099】
コーティング材料は、剤形のうち任意の許容可能な量を構成することができ、特定の実施形態では、放出制御医薬剤形の総重量を基準として、約1%〜約20%w/w、約1.5%〜約15%w/w、または約2%〜約10%w/wを構成することができる。
【0100】
ある実施形態では、コーティング材料は、1種または複数種の可塑剤または熱化塑性ポリマーと混合することができる。可塑剤および熱化塑性ポリマーは、通常、ポリマーコーティングの強度を増加させ、および/または脆性を低減する。例としての可塑剤には、以下に限定はしないが、セバシン酸ジブチル、ポリエチレングリコール、クエン酸トリエチル、アジピン酸ジブチル、フマル酸ジブチル、フタル酸ジエチル、エチレンオキシド−プロピレンオキシドブロックコポリマー、フマル酸ジ(sec−ブチル)およびこれらの混合物が含まれる。可塑剤が使用される実施形態では、可塑剤の量は、任意の許容可能な量とすることができ、放出制御医薬剤形の総重量を基準として、特定の実施形態では約0.05%〜約5%w/w、約0.1%〜約2%w/w、他の実施形態では約0.2%〜約1%w/wの範囲とすることができる。
【0101】
放出制御医薬剤形中に使用するのに好適な、薬学的に許容される結合剤には、以下に限定はしないが、デンプン、ガム、ポリビニルピロリドン、シロップ、ポリエチレンオキシド、ポリアクリルアミド、ポリ−N−ビニルアミド、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ポリエチレングリコール、ゼラチン、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレングリコールおよびこれらの混合物を含めることができる。結合剤の量は、放出制御医薬剤形の重量を基準として、約0.5%〜約20%w/w、約1%〜約15%w/w、他の実施形態では約2.0%〜約10.0%w/wの範囲とすることができる。
【0102】
本明細書に記載の放出制御医薬剤形中に使用するのに好適な、薬学的に許容される希釈剤には、以下に限定はしないが、炭水化物、ポリオール、糖アルコール(例えばマンニトール)、無機金属の炭酸塩、硫酸塩またはリン酸塩、および前述のもののいずれかの混合物を含めることができる。希釈剤の量は、任意の許容可能な量とすることができ、放出制御医薬剤形の重量を基準として、ある実施形態では約5%〜約95%w/w、約10%〜約90%w/w、他の実施形態では約15%〜約75%w/wの範囲である。
【0103】
放出制御医薬剤形中に使用するのに好適な、薬学的に許容される崩壊剤には、以下に限定はしないが、デンプン(例えば、デンプングリコール酸ナトリウム、部分アルファー化デンプンなど)、粘土、セルロース、アルギン酸塩、ガム、架橋ポリマー(例えば、架橋ポリビニルピロリドンまたはクロスポビドン、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウムまたはクロスカルメロースナトリウム、架橋カルボキシメチルセルロースカルシウム、ダイズ多糖)および前述のもののいずれかの混合物を含めることができる。崩壊剤の量は、任意の許容可能な量とすることができ、放出制御医薬剤形の重量を基準として、ある実施形態では約0%〜約30%w/w、約1%〜約20%w/w、他の実施形態では約2%〜約15%w/wの範囲とすることができる。
【0104】
放出制御医薬剤形中に使用するのに好適な、薬学的に許容される滑沢剤には、以下に限定はしないが、ステアリン酸の金属塩(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛およびステアリン酸カルシウム)、ポリエチレングリコール、鉱油、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸、水素添加植物油、ベヘン酸グリセリル、パルミトステアリン酸グリセリル、ステアリン酸グリセリル、トウモロコシデンプン、タルク、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、コロイド状二酸化ケイ素、ケイ素ヒドロゲル(silicon hydrogel)およびこれらの混合物を含めることができる。滑沢剤の量は、任意の許容可能な量とすることができ、放出制御医薬剤形の重量を基準として、ある実施形態では約0.1%〜約10%w/w、約0.2%〜約7%w/w、他の実施形態では約0.5%〜約5%w/wの範囲とすることができる。
【0105】
放出制御医薬剤形中に使用するのに好適な、薬学的に許容される安定化剤には、以下に限定はしないが、酸化防止剤、吸着剤、吸収剤、緩衝剤、キレート剤、金属イオン封鎖剤およびこれらの混合物を含めることができる。安定化剤の量は、任意の許容可能な量とすることができ、放出制御医薬剤形の重量を基準として、ある実施形態では約0.1%〜約10%w/w、約0.2%〜約7%w/w、他の実施形態では約0.5%〜約5%w/wの範囲とすることができる。
【0106】
放出制御医薬剤形中に使用するのに好適な、薬学的に許容される界面活性剤には、以下に限定はしないが、ポロキサマー、ジオクチルナトリウムスルホスクシナート、トリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタンおよびポロキサルコール誘導体、第四級アンモニウム塩ならびにこれらの混合物を含めることができる。界面活性剤は、イオン性または非イオン性または両性イオン性の界面活性剤から選択することができる。界面活性剤の量は、任意の許容可能な量とすることができ、放出制御医薬剤形の重量を基準として、ある実施形態では約0.1%〜約10%w/w、約0.2%〜約7%w/w、他の実施形態では約0.5%〜約5%w/wの範囲とすることができる。
【0107】
放出制御医薬剤形中に使用するのに好適な、薬学的に許容される抗粘着剤には、以下に限定はしないが、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、コロイド状二酸化ケイ素およびこれらの混合物を含めることができる。抗粘着剤の量は、任意の許容可能な量とすることができ、放出制御医薬剤形の重量を基準として、ある実施形態では約0.1%〜約10%w/w、約0.2%〜約7%w/w、他の実施形態では約0.3%〜約5%w/wの範囲とすることができる。
【0108】
放出制御医薬剤形中に使用するのに好適な、薬学的に許容される流動促進剤には、以下に限定はしないが、二酸化ケイ素、コロイド状シリカ、粉末セルロース、タルク、第三リン酸カルシウムおよびこれらの混合物を含めることができる。流動促進剤の量は、任意の許容可能な量とすることができ、放出制御医薬剤形の重量を基準として、ある実施形態では約0.1%〜約10%w/w、約0.2%〜約7%w/w、他の実施形態では約0.5%〜約5%w/wの範囲とすることができる。
【0109】
放出制御医薬剤形中に使用するのに好適な、薬学的に許容される可溶化剤には、以下に限定はしないが、シクロデキストリン、ビタミンEおよびその誘導体、例えばビタミンE TPGS;一価アルコールエステル、例えばクエン酸トリアルキルエステル;ラクトンおよび低級アルコール脂肪酸エステル;窒素を含有する溶媒;リン脂質;酢酸グリセロール、例えばアセチン、ジアセチンおよびトリアセチン;グリセロール脂肪酸エステル、例えばモノ、ジ−およびトリグリセリドならびにアセチル化モノ−およびジグリセリド;プロピレングリコールエステル;エチレングリコールエステル;ならびに前述のもののいずれかの混合物を含めることができる。可溶化剤の量は、任意の許容可能な量とすることができ、放出制御医薬剤形の重量を基準として、ある実施形態では約0.1%〜約10%w/w、約0.2%〜約7%w/w、他の実施形態では約0.5%〜約5%w/wの範囲とすることができる。
【0110】
放出制御医薬剤形中に使用するのに好適な、薬学的に許容されるガス発生剤には、以下に限定はしないが、炭酸水素ナトリウム、クエン酸、酒石酸およびこれらの混合物を含めることができる。ガス発生剤の量は、任意の許容可能な量とすることができ、放出制御医薬剤形の重量を基準として、ある実施形態では約0.5%〜約20%w/w、約1%〜約15%w/w、ある実施形態では約1.5%〜約10%w/wの範囲とすることができる。
【0111】
放出制御医薬剤形の調製に使用するのに好適な、薬学的に許容される溶媒には、以下に限定はしないが、水性溶媒、例えば水および水性緩衝溶液、非水性溶媒、例えば、アセトニトリル、クロロホルム、シクロヘキサン、1,2−ジクロロエテン、1,2−ジメトキシエタン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、1,4−ジオキサン、2−エトキシエタノール、エチレングリコール、ホルムアミド、ヘキサン、メタノール、塩化メチレン、N−メチルピロリドン、テトラヒドロフラン、トリクロロエチレン、キシレン、アセトン、アニソール、1−ブタノール、2−ブタノール、エタノール、酢酸エチル、エチルエーテル、ヘプタン、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、1,1−ジメトキシメタン、イソプロピルエーテル、メチルテトラヒドロフランおよびこれらの混合物を含めることができる。
【0112】
放出制御医薬剤形中に使用するのに好適な、薬学的に許容される可溶化剤には、以下に限定はしないが、サリチラート、サリチル酸ナトリウム、中鎖および長鎖のグリセリド、胆汁酸塩、例えば、タウロコール酸ナトリウム、タウロデオキシコール酸ナトリウム、タウロジヒドロフシジン酸塩、界面活性剤、例えば、ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルスルホコハク酸ナトリウム、キレート剤、例えば、EDTA、EGTA、キトサン塩、N−トリメチルキトサンクロリド、ポリ(アクリル酸)誘導体、ビタミンE TPGS、ポリビニルピロリドンおよび前述のものの組合せを含めることができる。
【0113】
例としての放出制御医薬剤形
本明細書に記載の放出制御医薬剤形は、所定の時間にわたる薬物の漸次的放出および/または放出する部位の制御を実現し、それにより、放出された薬物の濃度が、同じ薬物を同じ量で含む対応する即時放出剤形より長時間にわたって、より均一な濃度で血液中に維持されるように製剤される。
【0114】
本明細書に記載の放出制御医薬剤形は、1つまたは複数の形態の放出制御システムまたは機構、例えば、マトリックス型放出制御、リザーバー型放出制御、膜拡散型放出制御、部位標的型放出、浸透圧による放出制御、pH依存型遅延放出、時限放出およびこれらの組合せを使用することができる。放出制御医薬剤形は、1種または複数種の即時放出構成要素を含むこともできる。放出制御医薬剤形の放出制御局面は、放出を延長、放出を持続、放出を遅延させるように振る舞うこと、および/またはパルス型放出をもたらすこともできる。
【0115】
いくつかの実施形態では、放出制御医薬剤形は、錠剤の形態とすることができる。錠剤には、以下に限定はしないが、単層錠、多層錠、ミニ錠剤、生体付着性錠剤、カプレット剤、マトリックス錠剤、錠剤中錠剤、カプセル中錠剤および粘膜付着性錠剤を含めることができる。一実施形態では、放出制御医薬剤形は、放出制御層および生体付着層が、胃腸管内の所望の部位での活性成分(例えばドキシサイクリン)の送達に作用するのに好適な1種または複数種の添加剤および/または他の配合剤を含む、少なくとも1つの当該放出制御層および1つの当該生体付着層を有する錠剤を含む。ある実施形態では、活性成分は、放出制御層または生体付着層のうちの少なくとも1つに存在する。特定の実施形態では、活性成分は、放出制御層に存在する。他の実施形態では、放出制御医薬剤形には、放出制御層および生体付着層に加えて、1つまたは複数の即時放出層を含めることができる。ある実施形態では、放出制御層の活性成分に対する即時放出層の活性成分の相対的比率は、約5〜約95%、約5〜約80%、約5〜約70%、約5〜約60%、約10〜約50%、ある実施形態では約10〜約30%の範囲とすることができる。
【0116】
別の実施形態では、放出制御医薬剤形は、少なくともa)第1の治療有効量のドキシサイクリンおよび1種または複数種の薬学的に許容される添加剤を含む放出制御ドキシサイクリン層と、b)第2の治療有効量のドキシサイクリンおよび1種または複数種の薬学的に許容される添加剤を含む即時放出ドキシサイクリン層と、c)少なくとも1種の生体付着剤および/または粘膜付着剤ならびに任意選択で1種または複数種の薬学的に許容される添加剤を含む、生体付着および/または粘膜付着層とを有する錠剤を含む。ある実施形態では、放出制御ドキシサイクリン層には、任意選択で、ドキシサイクリンの即時放出または放出制御の顆粒剤を含めることができる。
【0117】
別の実施形態では、放出制御医薬剤形は、a)ドキシサイクリンの放出制御を実現する、治療有効量のドキシサイクリンおよび1種または複数種の薬学的に許容される添加剤を含む放出制御層と、b)治療有効量のドキシサイクリンおよび即時放出層中のドキシサイクリンの即時放出を実現するために有効な1種または複数種の薬学的に許容される添加剤を含む、即時放出ドキシサイクリン層と、c)1種または複数種の生体付着剤および/または粘膜付着剤ならびに任意選択で1種または複数種の薬学的に許容される添加剤を含む生体付着層とを有する錠剤を含む。ある実施形態では、放出制御層中のドキシサイクリンは、腸溶性ポリマーでコーティングされた粒子の形態とすることができる。他の実施形態では、放出制御層中のドキシサイクリンは、腸溶コーティングがされている粒子とコーティングされていない粒子との混合物とすることができる。
【0118】
別の実施形態では、放出制御医薬剤形は、a)第1の治療有効量のドキシサイクリンの即時放出および放出制御を実現する、当該第1の治療有効量のドキシサイクリンおよび1種または複数種の薬学的に許容される添加剤を含む放出制御ドキシサイクリン層と、b)胃腸管の上部での放出制御医薬剤形の滞留時間を増加させる、第2の治療有効量のドキシサイクリンおよび1種または複数種のポリマーを含む第2の層と、c)任意選択で、放出制御医薬剤形のコーティング層とを有する錠剤を含む。ある実施形態では、任意選択のコーティング層は、即時放出ドキシサイクリン上塗りコートとすることができる。他の実施形態では、任意選択のコーティング層は、生体付着性および/または粘膜付着性コーティングとすることができる。
【0119】
別の実施形態では、放出制御医薬剤形は、a)第1の治療有効量のドキシサイクリンの即時放出および放出制御を実現する、当該第1の治療有効量のドキシサイクリンおよび1種または複数種の薬学的に許容される添加剤を含む第1の層と、b)胃腸管の上部での放出制御医薬剤形の滞留時間を増加させる、第2の治療有効量のドキシサイクリンおよび1種または複数種のポリマーを含む第2の層と、c)腸溶コーティングと、d)即時放出ドキシサイクリン上塗りコートとを有する錠剤を含む。
【0120】
別の実施形態では、放出制御医薬剤形は、核と、胃腸管の上部での放出制御医薬剤形の滞留時間を増加させる核コーティングとを含む。この実施形態では、核は膨潤可能なポリマーマトリックス中にドキシサイクリンを含むことが可能である。いくつかの実施形態では、核コーティングは、それ自体が即時放出ドキシサイクリン上塗りコートでコーティングされることが可能である。
【0121】
別の実施形態では、放出制御医薬剤形は、a)第1の治療有効量のドキシサイクリンおよび1種または複数種の薬学的に許容される添加剤を含む放出制御ドキシサイクリン層と、b)胃腸管の上部での放出制御医薬剤形の滞留を長くする、第2の治療的に許容される量のドキシサイクリン、1種または複数種の膨潤可能なポリマーおよび1種または複数種のガス発生剤を含む膨潤可能なガス発生層と、c)透過性のおよび/または膨張可能な多孔性コーティングと、d)即時放出ドキシサイクリン上塗りコートとを有する錠剤を含む。
【0122】
浮遊性の胃内滞留(Gastroretentive)製剤
一実施形態では、本明細書に記載の放出制御医薬剤形は、浮遊性の胃内滞留製剤とすることができ、放出制御ドキシサイクリン層、膨潤可能なおよび/または浮遊性の層、膨張可能な多孔性コーティング、任意選択のシールコーティング、および即時放出ドキシサイクリン上塗りコートを含めることができる。放出制御ドキシサイクリン層には、剤形の総重量を基準として約5〜約15質量%のドキシサイクリン、剤形の総重量を基準として約6〜約13質量%のドキシサイクリン、剤形の総重量を基準として約7〜約12%のドキシサイクリン、および剤形の総重量を基準として約8〜約10質量%のドキシサイクリンを含めることができる。特定の実施形態では、放出制御ドキシサイクリン層には、剤形の総重量を基準として約8.5〜約9.5質量%のドキシサイクリン、ある実施形態では、剤形の総重量を基準として約9〜約9.3質量%のドキシサイクリン、別のさらなる実施形態では、剤形の総重量を基準として約9.1質量%のドキシサイクリンを含めることができる。
【0123】
放出制御ドキシサイクリン層には、1種または複数種の添加剤および/または他の配合剤、例えば、1種または複数種の希釈剤、結合剤、孔形成剤、任意選択で1種または複数種の親水性放出制御剤、および1種または複数種の薬学的に許容される滑沢剤をさらに含めることができる。
【0124】
ある実施形態では、放出制御ドキシサイクリン層には、剤形の総重量を基準として約15質量%〜約25質量%の第1の希釈剤を含めることができる。ある実施形態では、放出制御ドキシサイクリン層には、剤形の総重量を基準として約17質量%〜約23質量%の希釈剤を含めることができる。ある実施形態では、放出制御ドキシサイクリン層には、剤形の総重量を基準として約17.7質量%または約22.6質量%の希釈剤を含めることができる。ある実施形態では、希釈剤はラクトース一水和物とすることができる。
【0125】
ある実施形態では、放出制御ドキシサイクリン層には、剤形の総重量を基準として約5質量%〜約25質量%の第2の希釈剤を含めることができる。ある実施形態では、放出制御ドキシサイクリン層には、剤形の総重量を基準として約7質量%〜約22質量%の第2の希釈剤を含めることができる。ある実施形態では、放出制御ドキシサイクリン層には、剤形の総重量を基準として約10質量%〜約20質量%の第2の希釈剤を含めることができる。ある実施形態では、放出制御ドキシサイクリン層には、剤形の総重量を基準として約10.7質量%または約18.8質量%の第2の希釈剤を含めることができる。ある実施形態では、第2の希釈剤はマンニトールとすることができる。
【0126】
ある実施形態では、放出制御ドキシサイクリン層には、剤形の総重量を基準として約1質量%〜約10質量%の孔形成剤を含めることができる。ある実施形態では、放出制御ドキシサイクリン層には、剤形の総重量を基準として約2質量%〜約7質量%の孔形成剤を含めることができる。ある実施形態では、放出制御ドキシサイクリン層には、剤形の総重量を基準として約3質量%〜約5質量%の孔形成剤を含めることができる。ある実施形態では、放出制御ドキシサイクリン層には、剤形の総重量を基準として約4質量%または約4.3質量%の孔形成剤を含めることができる。ある実施形態では、孔形成剤は塩化ナトリウムとすることができる。
【0127】
ある実施形態では、放出制御ドキシサイクリン層には、剤形の総重量を基準として、約5質量%〜約10質量%の親水性放出制御剤を任意選択で含めることができる。ある実施形態では、放出制御ドキシサイクリン層には、剤形の総重量を基準として、約6質量%〜約9質量%の親水性放出制御剤を任意選択で含めることができる。ある実施形態では、放出制御ドキシサイクリン層には、剤形の総重量を基準として、約7質量%〜約8質量%の親水性放出制御剤を任意選択で含めることができる。ある実施形態では、放出制御ドキシサイクリン層には、剤形の総重量を基準として、約7.5質量%の親水性放出制御剤を任意選択で含めることができる。ある実施形態では、親水性放出制御剤はヒプロメロースとすることができる。
【0128】
ある実施形態では、放出制御ドキシサイクリン層には、剤形の総重量を基準として、約1質量%〜約5質量%の結合剤を任意選択で含めることができる。ある実施形態では、放出制御ドキシサイクリン層には、剤形の総重量を基準として、約2質量%〜約4質量%の結合剤を任意選択で含めることができる。ある実施形態では、放出制御ドキシサイクリン層には、剤形の総重量を基準として、約3質量%の結合剤を任意選択で含めることができる。ある実施形態では、放出制御ドキシサイクリン層には、剤形の総重量を基準として、約3.2質量%の結合剤を任意選択で含めることができる。ある実施形態では、結合剤はポビドンK30とすることができる。
【0129】
ある実施形態では、放出制御ドキシサイクリン層には、剤形の総重量を基準として、約0.25〜約1.5質量%の1種または複数種の薬学的に許容される滑沢剤を含めることができる。ある実施形態では、放出制御ドキシサイクリン層には、剤形の総重量を基準として、約0.5〜約1質量%の1種または複数種の薬学的に許容される滑沢剤を含めることができる。ある実施形態では、1種または複数種の薬学的に許容される滑沢剤は、ステアリン酸マグネシウムおよびコロイド状二酸化ケイ素から選択することができる。ある実施形態では、放出制御ドキシサイクリン層には、剤形の総重量を基準として、約0.5質量%のコロイド状二酸化ケイ素および約0.5質量%のステアリン酸マグネシウムを含めることができる。
【0130】
膨潤可能なおよび/または浮遊性の層には、1種または複数種の親水性放出制御剤、1種または複数種の希釈剤、1種または複数種の結合剤、1種または複数種の薬学的に許容されるガス発生剤、および1種または複数種の薬学的に許容される滑沢剤を含めることができる。
【0131】
ある実施形態では、膨潤可能なおよび/または浮遊性の層には、剤形の総重量を基準として約3質量%〜約7質量%の第1の親水性放出制御剤を含めることができる。ある実施形態では、膨潤可能なおよび/または浮遊性の層には、剤形の総重量を基準として約4質量%〜約6質量%の第1の親水性放出制御剤を含めることができる。ある実施形態では、膨潤可能なおよび/または浮遊性の層には、剤形の総重量を基準として約4.5質量%〜約5.5質量%の第1の親水性放出制御剤を含めることができる。ある実施形態では、膨潤可能なおよび/または浮遊性の層には、剤形の総重量を基準として約4.6質量%または約5.4質量%の第1の親水性放出制御剤を含めることができる。ある実施形態では、第1の親水性放出制御剤はポリエチレンオキシドである。
【0132】
ある実施形態では、膨潤可能なおよび/または浮遊性の層には、剤形の総重量を基準として約7質量%〜約12質量%の第2の親水性放出制御剤を含めることができる。ある実施形態では、膨潤可能なおよび/または浮遊性の層には、剤形の総重量を基準として約8質量%〜約11質量%の第2の親水性放出制御剤を含めることができる。ある実施形態では、膨潤可能なおよび/または浮遊性の層には、剤形の総重量を基準として約9質量%〜約11質量%の第2の親水性放出制御剤を含めることができる。ある実施形態では、膨潤可能なおよび/または浮遊性の層には、剤形の総重量を基準として約9.2質量%または約10.7質量%の第2の親水性放出制御剤を含めることができる。ある実施形態では、第2の親水性放出制御剤は、ヒプロメロースとすることができる。
【0133】
ある実施形態では、膨潤可能なおよび/または浮遊性の層には、剤形の総重量を基準として約8質量%〜約15質量%の希釈剤を含めることができる。ある実施形態では、膨潤可能なおよび/または浮遊性の層には、剤形の総重量を基準として約9質量%〜約13質量%の希釈剤を含めることができる。ある実施形態では、膨潤可能なおよび/または浮遊性の層には、剤形の総重量を基準として約10質量%〜約12質量%の希釈剤を含めることができる。ある実施形態では、膨潤可能なおよび/または浮遊性の層には、剤形の総重量を基準として約10.3質量%または約12.1質量%の希釈剤を含めることができる。ある実施形態では、希釈剤はラクトース一水和物とすることができる。
【0134】
ある実施形態では、膨潤可能なおよび/または浮遊性の層には、剤形の総重量を基準として、約5質量%〜約7質量%の1種または複数種の薬学的に許容されるガス発生剤を含めることができる。いくつかの実施形態では、膨潤可能なおよび/または浮遊性の層には、剤形の総重量を基準として、約5.5質量%〜約6.5質量%の1種または複数種の薬学的に許容されるガス発生剤を含めることができる。ある実施形態では、膨潤可能なおよび/または浮遊性の層には、剤形の総重量を基準として、約5.6質量%〜約6.4質量%の1種または複数種の薬学的に許容されるガス発生剤を含めることができる。ある実施形態では、膨潤可能なおよび/または浮遊性の層には、剤形の総重量を基準として、約4質量%〜約5質量%の第1の薬学的に許容されるガス発生剤を含めることができる。ある実施形態では、膨潤可能なおよび/または浮遊性の層には、剤形の総重量を基準として、約4.2質量%〜約4.8質量%の第1の薬学的に許容されるガス発生剤を含めることができる。ある実施形態では、第1の薬学的に許容されるガス発生剤は、全剤形の約4.2質量%とすることができる。他の実施形態では、第1の薬学的に許容されるガス発生剤は、全剤形の約4.8質量%とすることができる。ある実施形態では、膨潤可能なおよび/または浮遊性の層には、剤形の総重量を基準として、約1.2質量%〜約1.8質量%の第2の薬学的に許容されるガス発生剤を含めることができる。ある実施形態では、第2の薬学的に許容されるガス発生剤は、全剤形の約1.4質量%とすることができる。他の実施形態では、第2の薬学的に許容されるガス発生剤は、全剤形の約1.6質量%とすることができる。ある実施形態では、1種または複数種の薬学的に許容されるガス発生剤は、炭酸水素ナトリウムおよびクエン酸である。いくつかの実施形態では、第1の薬学的に許容されるガス発生剤は炭酸水素ナトリウムであり、第2の薬学的に許容されるガス発生剤はクエン酸である。
【0135】
ある実施形態では、膨潤可能なおよび/または浮遊性の層には、剤形の総重量を基準として約1.6質量%〜約2.3質量%の結合剤を含めることができる。ある実施形態では、膨潤可能なおよび/または浮遊性の層には、剤形の総重量を基準として約1.8質量%〜約2.1質量%の結合剤を含めることができる。ある実施形態では、膨潤可能なおよび/または浮遊性の層には、剤形の総重量を基準として約1.8質量%の結合剤を含めることができる。ある実施形態では、膨潤可能なおよび/または浮遊性の層には、剤形の総重量を基準として約2.1質量%の結合剤を含めることができる。ある実施形態では、結合剤はポビドンK30とすることができる。
【0136】
ある実施形態では、膨潤可能なおよび/または浮遊性の層には、剤形の総重量を基準として、約0.3〜約1.3質量%の1種または複数種の薬学的に許容される滑沢剤を含めることができる。ある実施形態では、膨潤可能なおよび/または浮遊性の層には、剤形の総重量を基準として、約0.4〜約1.2質量%の1種または複数種の薬学的に許容される滑沢剤を含めることができる。ある実施形態では、膨潤可能なおよび/または浮遊性の層には、剤形の総重量を基準として、約0.7〜約0.9質量%の1種または複数種の薬学的に許容される滑沢剤を含めることができる。ある実施形態では、1種または複数種の薬学的に許容される滑沢剤は、ステアリン酸マグネシウム、コロイド状二酸化ケイ素およびこれらの組合せから選択することができる。ある実施形態では、放出制御ドキシサイクリン層には、剤形の総重量を基準として、約0.4質量%のコロイド状二酸化ケイ素および約0.4質量%のステアリン酸マグネシウムを含めることができる。
【0137】
膨張可能な多孔性コーティングには、1種または複数種の疎水性放出制御剤、任意選択で親水性放出制御剤、1種または複数種の可塑剤、および1種または複数種の薬学的に許容される滑沢剤を含めることができる。一実施形態では、疎水性放出制御剤は、剤形の総重量を基準として約1質量%〜約3質量%の量で存在することができる。別の実施形態では、疎水性放出制御剤は、剤形の総重量を基準として約1.3質量%〜約2.5質量%の量で存在することができる。別の実施形態では、疎水性放出制御剤は、剤形の総重量を基準として約1.3質量%〜約2.5質量%の量で存在することができる。別の実施形態では、疎水性放出制御剤は、剤形の総重量を基準として約1.6質量%〜約2.3質量%の量で存在することができる。別の実施形態では、疎水性放出制御剤は、剤形の総重量を基準として約1.6質量%で存在することができる。別の実施形態では、疎水性放出制御剤は、剤形の総重量を基準として約2.3質量%で存在することができる。ある実施形態では、疎水性放出制御剤は、アクリル酸メチルまたはアクリル酸エチルと、メタクリル酸メチルと、第四級アミンが存在するメタクリル酸エステルとのコポリマーとすることができる。特定の実施形態では、アクリル酸メチルまたはアクリル酸エチルと、メタクリル酸メチルと、第四級アミンが存在するメタクリル酸エステルとのコポリマーは、Evonik製EUDRAGIT(登録商標)RL POとすることができる。
【0138】
ある実施形態では、膨張可能な多孔性コーティングには、剤形の総重量を基準として、約0.3質量%〜約0.7質量%の親水性放出制御剤を任意選択で含めることができる。ある実施形態では、膨張可能な多孔性コーティングには、剤形の総重量を基準として、約0.4質量%〜約0.6質量%の親水性放出制御剤を任意選択で含めることができる。ある実施形態では、膨張可能な多孔性コーティングには、剤形の総重量を基準として、約0.5質量%の親水性放出制御剤を任意選択で含めることができる。ある実施形態では、親水性放出制御剤はヒプロメロースとすることができる。
【0139】
ある実施形態では、膨張可能な多孔性コーティングには、1種または複数種の可塑剤を、剤形の総重量を基準として約0.1質量%〜約0.7質量%の量で含めることができる。ある実施形態では、膨張可能な多孔性コーティングには、1種または複数種の可塑剤を、剤形の総重量を基準として約0.2質量%〜約0.6質量%の量で含めることができる。ある実施形態では、膨張可能な多孔性コーティングには、1種または複数種の可塑剤を、剤形の総重量を基準として約0.3質量%〜約0.5質量%の量で含めることができる。ある実施形態では、膨張可能な多孔性コーティングには、1種または複数種の可塑剤を、剤形の総重量を基準として約0.3質量%または約0.5質量%含めることができる。ある実施形態では、可塑剤は、クエン酸トリエチルでもポリエチレングリコール6000でもよい。
【0140】
ある実施形態では、膨張可能な多孔性コーティングには、薬学的に許容される滑沢剤を、剤形の総重量を基準として約0.1質量%〜約0.5質量%の量で含めることができる。ある実施形態では、膨張可能な多孔性コーティングには、薬学的に許容される滑沢剤を、剤形の総重量を基準として約0.2質量%〜約0.4質量%の量で含めることができる。ある実施形態では、膨張可能な多孔性コーティングには、薬学的に許容される滑沢剤を、剤形の総重量を基準として約0.2質量%〜約0.3質量%の量で含めることができる。ある実施形態では、膨張可能な多孔性コーティングには、薬学的に許容される滑沢剤を、剤形の総重量を基準として約0.3質量%または約0.2質量%含めることができる。ある実施形態では、滑沢剤はタルクである。
【0141】
ある実施形態では、シールコーティングには、親水性放出制御剤および可塑剤を含めることができる。ある実施形態では、シールコーティングには、剤形の総重量を基準として約1.3質量%〜約2.1質量%の親水性放出制御剤を含めることができる。ある実施形態では、シールコーティングには、剤形の総重量を基準として約1.5質量%〜約1.9質量%の親水性放出制御剤を含めることができる。ある実施形態では、シールコーティングには、剤形の総重量を基準として約1.7質量%の親水性放出制御剤を含めることができる。ある実施形態では、親水性放出制御剤はヒプロメロースE5とすることができる。ある実施形態では、シールコーティングには、可塑剤を、剤形の総重量を基準として約0.01質量%〜約0.5質量%の量で含めることができる。ある実施形態では、シールコーティングには、可塑剤を、剤形の総重量を基準として約0.05質量%〜約0.4質量%の量で含めることができる。ある実施形態では、シールコーティングには、可塑剤を、剤形の総重量を基準として約0.1質量%〜約0.3質量%の量で含めることができる。ある実施形態では、シールコーティングには、1種または複数種の可塑剤を、剤形の総重量を基準として約0.2質量%含めることができる。ある実施形態では、可塑剤は、クエン酸トリエチルでもポリエチレングリコール6000でもよい。
【0142】
ある実施形態では、即時放出ドキシサイクリン上塗りコートには、剤形の総重量を基準として約0.5〜約3.2質量%のドキシサイクリン、剤形の総重量を基準として約1〜約2.7質量%のドキシサイクリン、剤形の総重量を基準として約1.5〜約2.2%のドキシサイクリン、または剤形の総重量を基準として約1.6質量%のドキシサイクリンを含めることができる。
【0143】
ある実施形態では、即時放出ドキシサイクリン上塗りコートには、剤形の総重量を基準として約0.1質量%〜約4質量%の親水性放出制御剤、剤形の総重量を基準として約1質量%〜約3質量%の親水性放出制御剤、または剤形の総重量を基準として約2質量%の親水性放出制御剤を含めることができる。ある実施形態では、即時放出ドキシサイクリン上塗りコートには、剤形の総重量を基準として約2.1または2.2質量%の親水性放出制御剤を含めることができる。ある実施形態では、親水性放出制御剤はヒプロメロースとすることができる。
【0144】
ある実施形態では、即時放出ドキシサイクリン上塗りコートには、可塑剤を、剤形の総重量を基準として約0.01質量%〜約0.5質量%の量で含めることができる。ある実施形態では、即時放出ドキシサイクリン上塗りコートには、可塑剤を、剤形の総重量を基準として約0.05質量%〜約0.4質量%の量で含めることができる。ある実施形態では、即時放出ドキシサイクリン上塗りコートには、可塑剤を、剤形の総重量を基準として約0.1質量%〜約0.3質量%の量で含めることができる。ある実施形態では、即時放出ドキシサイクリン上塗りコートには、1種または複数種の可塑剤を、剤形の総重量を基準として約0.2質量%含めることができる。ある実施形態では、可塑剤は、クエン酸トリエチルでもポリエチレングリコール6000でもよい。
【0145】
膨潤可能な/半透過性の剤形
いくつかの実施形態では、放出制御医薬剤形は、膨潤可能な放出制御薬物核、透過性の/膨張可能な多孔性コーティング、任意選択のシールコーティング、および即時放出ドキシサイクリン上塗りコートを有する膨潤可能な/半透過性の剤形とすることができる。
【0146】
ある実施形態では、膨潤可能な放出制御薬物核には、剤形の総重量を基準として約5〜約15質量%のドキシサイクリン、剤形の総重量を基準として約6〜約13質量%のドキシサイクリン、剤形の総重量を基準として約7〜約12%のドキシサイクリン、および剤形の総重量を基準として約8〜約10質量%のドキシサイクリンを含めることができる。特定の実施形態では、膨潤可能な放出制御薬物核には、剤形の総重量を基準として約9〜約10質量%のドキシサイクリン、ある実施形態では、剤形の総重量を基準として約9〜約9.8質量%のドキシサイクリン、別のさらなる実施形態では、剤形の総重量を基準として約9.7または約9.1質量%のドキシサイクリンを含めることができる。
【0147】
いくつかの実施形態では、膨潤可能な放出制御核には、1種または複数種の添加剤および/または他の配合剤、例えば、1種または複数種の希釈剤、1種または複数種の孔形成剤、1種または複数種の親水性放出制御剤、1種または複数種の結合剤、および1種または複数種の滑沢剤をさらに含めることができる。例えば、膨潤可能な放出制御薬物核には、剤形の総重量を基準として約40〜約60質量%の第1の希釈剤、剤形の総重量を基準として約45〜約55質量%、または約47〜約51質量%の第1の希釈剤を含めることができる。ある実施形態では、第1の希釈剤は、剤形の総重量を基準として約46〜約47質量%を構成することができる。他の実施形態では、第1の希釈剤は、剤形の総重量を基準として約50.5〜約51.5質量%を構成することができる。
【0148】
いくつかの実施形態では、膨潤可能な放出制御薬物核には、剤形の総重量を基準として約10〜約20質量%の第2の希釈剤、剤形の総重量を基準として約12〜約18質量%、または約15〜約17質量%の第2の希釈剤を含めることができる。ある実施形態では、第1の希釈剤は、剤形の総重量を基準として約16質量%を構成することができる。特定の実施形態では、第1の希釈剤はラクトース一水和物である。
【0149】
ある実施形態では、膨潤可能な放出制御薬物核には、剤形の総重量を基準として約2〜約6質量%の孔形成剤を含めることができる。他の実施形態では、膨潤可能な放出制御薬物核には、剤形の総重量を基準として約3〜約5質量%の孔形成剤を含めることができる。他の実施形態では、放出制御薬物核の孔形成剤は、剤形の総重量を基準として約4質量%を構成することができる。
【0150】
ある実施形態では、膨潤可能な放出制御薬物核には、剤形の総重量を基準として約1〜約15質量%の結合剤を含めることができる。他の実施形態では、膨潤可能な放出制御薬物核には、剤形の総重量を基準として約7〜約11質量%の結合剤を含めることができる。他の実施形態では、膨潤可能な放出制御薬物核には、剤形の総重量を基準として約9〜約10質量%の結合剤を含めることができる。他の実施形態では、膨潤可能な放出制御薬物核には、剤形の総重量を基準として9.7質量%の結合剤を含めることができる。他の実施形態では、膨潤可能な放出制御薬物核には、剤形の総重量を基準として約3〜約5質量%の結合剤を含めることができる。他の実施形態では、膨潤可能な放出制御薬物核には、剤形の総重量を基準として約4質量%の結合剤を含めることができる。ある実施形態では、結合剤はポビドンK30である。
【0151】
ある実施形態では、膨潤可能な放出制御薬物核には、剤形の総重量を基準として約1〜約7質量%の親水性放出制御剤を含めることができる。他の実施形態では、膨潤可能な放出制御薬物核には、剤形の総重量を基準として約3〜約5質量%の親水性放出制御剤を含めることができる。他の実施形態では、膨潤可能な放出制御薬物核には、剤形の総重量を基準として約4質量%の親水性放出制御剤を含めることができる。ある実施形態では、親水性放出制御剤はヒプロメロースである。
【0152】
ある実施形態では、膨潤可能な放出制御薬物核には、剤形の総重量を基準として約1〜約5質量%の第1の滑沢剤および第2の滑沢剤を含めることができる。他の実施形態では、膨潤可能な放出制御薬物核には、剤形の総重量を基準として約1〜約3質量%の第1の滑沢剤および第2の滑沢剤を含めることができる。他の実施形態では、膨潤可能な放出制御薬物核には、剤形の総重量を基準として約1〜約2質量%の第1の滑沢剤および第2の滑沢剤を含めることができる。他の実施形態では、膨潤可能な放出制御薬物核には、剤形の総重量を基準として約1〜約1.5質量%の第1の滑沢剤および第2の滑沢剤を含めることができる。いくつかの実施形態では、第1の滑沢剤はコロイド状二酸化ケイ素とすることができる。いくつかの実施形態では、第2の滑沢剤はステアリン酸マグネシウムとすることができる。
【0153】
透過性の/膨張可能な多孔性コーティングには、1種または複数種の疎水性放出制御剤、少なくとも1種の可塑剤、および少なくとも1種の滑沢剤を含めることができる。ある実施形態では、透過性の/膨張可能な多孔性コーティングの1種または複数種の疎水性放出制御剤は、剤形の総重量を基準として約0.1〜約5質量%を構成することができる。他の実施形態では、透過性の/膨張可能な多孔性コーティングの1種または複数種の疎水性放出制御剤は、剤形の総重量を基準として約2〜約4質量%を構成することができる。他の実施形態では、透過性の/膨張可能な多孔性コーティングの1種または複数種の疎水性放出制御剤は、剤形の総重量を基準として約2〜約3質量%を構成することができる。他の実施形態では、透過性の/膨張可能な多孔性コーティングの1種または複数種の疎水性放出制御剤は、剤形の総重量を基準として約2.5〜約3質量%を構成することができる。いくつかの実施形態では、1種または複数種の疎水性放出制御剤には、第1の疎水性放出制御剤および第2の疎水性放出制御剤を含めることができる。いくつかの実施形態では、透過性の/膨張可能な多孔性コーティングの第1の疎水性放出制御剤は、剤形の総重量を基準として約2〜約4質量%を構成することができる。他の実施形態では、透過性の/膨張可能な多孔性コーティングの第1の疎水性放出制御剤は、剤形の総重量を基準として約2.1または約2.3質量%を構成することができる。いくつかの実施形態では、透過性の/膨張可能な多孔性コーティングの第2の疎水性放出制御剤は、剤形の総重量を基準として約0.1〜約0.8質量%を構成することができる。他の実施形態では、透過性の/膨張可能な多孔性コーティングの第2の疎水性放出制御剤は、剤形の総重量を基準として約0.5または約0.4質量%を構成することができる。いくつかの実施形態では、1種または複数種の疎水性放出制御剤は、アクリル酸メチルまたはアクリル酸エチルと、メタクリル酸メチルと、第四級アミンが存在するメタクリル酸エステルとのコポリマーとすることができる。特定の実施形態では、アクリル酸メチルまたはアクリル酸エチルと、メタクリル酸メチルと、第四級アミンが存在するメタクリル酸エステルとのコポリマーは、EUDRAGIT(登録商標)とすることができる。特定の実施形態では、EUDRAGIT(登録商標)は、EUDRAGIT(登録商標)RL PO、EUDRAGIT(登録商標)RS POまたはこれらの任意の組合せとすることができる。いくつかの実施形態では、第1の疎水性放出制御剤はEUDRAGIT(登録商標)RL POとすることができる。いくつかの実施形態では、第2の疎水性放出制御剤はEUDRAGIT(登録商標)RS POとすることができる。
【0154】
ある実施形態では、シールコーティングには、親水性放出制御剤および可塑剤を含めることができる。ある実施形態では、シールコーティングには、剤形の総重量を基準として約1.3質量%〜約2.1質量%の親水性放出制御剤を含めることができる。ある実施形態では、シールコーティングには、剤形の総重量を基準として約1.5質量%〜約1.9質量%の親水性放出制御剤を含めることができる。ある実施形態では、シールコーティングには、剤形の総重量を基準として約1.6または約1.7質量%の親水性放出制御剤を含めることができる。ある実施形態では、親水性放出制御剤はヒプロメロースとすることができる。ある実施形態では、シールコーティングには、可塑剤を、剤形の総重量を基準として約0.01質量%〜約0.5質量%の量で含めることができる。ある実施形態では、シールコーティングには、可塑剤を、剤形の総重量を基準として約0.05質量%〜約0.4質量%の量で含めることができる。ある実施形態では、シールコーティングには、可塑剤を、剤形の総重量を基準として約0.1質量%〜約0.3質量%の量で含めることができる。ある実施形態では、シールコーティングには、1種または複数種の可塑剤を、剤形の総重量を基準として約0.2質量%含めることができる。ある実施形態では、可塑剤は、クエン酸トリエチルでもポリエチレングリコール6000でもよい。
【0155】
ある実施形態では、即時放出ドキシサイクリン上塗りコートには、剤形の総重量を基準として約0.5〜約3.2質量%のドキシサイクリン、剤形の総重量を基準として約1〜約2.7質量%のドキシサイクリン、剤形の総重量を基準として約1〜約2%のドキシサイクリンを、ある実施形態では、剤形の総重量を基準として約1.1または約1.6質量%のドキシサイクリンを含めることができる。
【0156】
ある実施形態では、即時放出ドキシサイクリン上塗りコートには、剤形の総重量を基準として約0.1質量%〜約4質量%の親水性放出制御剤、剤形の総重量を基準として約1質量%〜約3質量%の親水性放出制御剤、または剤形の総重量を基準として約1.5質量%〜約2.3質量%の親水性放出制御剤を含めることができる。ある実施形態では、即時放出ドキシサイクリン上塗りコートには、剤形の総重量を基準として約1.7または2.1質量%の親水性放出制御剤を含めることができる。ある実施形態では、親水性放出制御剤はヒプロメロースとすることができる。
【0157】
ある実施形態では、即時放出ドキシサイクリン上塗りコートには、可塑剤を、剤形の総重量を基準として約0.01質量%〜約0.5質量%の量で含めることができる。ある実施形態では、即時放出ドキシサイクリン上塗りコートには、可塑剤を、剤形の総重量を基準として約0.05質量%〜約0.4質量%の量で含めることができる。ある実施形態では、即時放出ドキシサイクリン上塗りコートには、可塑剤を、剤形の総重量を基準として約0.2質量%〜約0.4質量%の量で含めることができる。ある実施形態では、即時放出ドキシサイクリン上塗りコートには、1種または複数種の可塑剤を、剤形の総重量を基準として約0.2または約0.4質量%含めることができる。ある実施形態では、可塑剤はクエン酸トリエチルまたはポリエチレングリコール6000である。
【0158】
胃内滞留/生体付着マトリックス剤形
ある実施形態では、放出制御医薬剤形には、放出制御層、不活性の膨潤可能/生体付着層、および即時放出ドキシサイクリン上塗りコートを含めることができる。
【0159】
ある実施形態では、放出制御層には、ドキシサイクリン、1種または複数種の希釈剤、1種または複数種の親水性放出制御剤、および1種または複数種の滑沢剤を含めることができる。
【0160】
ある実施形態では、放出制御層には、剤形の総重量を基準として約5〜約15質量%のドキシサイクリン、剤形の総重量を基準として約6〜約13質量%のドキシサイクリン、剤形の総重量を基準として約7〜約12%のドキシサイクリンを、ある実施形態では、剤形の総重量を基準として約8〜約10質量%のドキシサイクリンを含めることができる。特定の実施形態では、膨潤可能な放出制御薬物核には、剤形の総重量を基準として約9〜約10質量%のドキシサイクリンを、ある実施形態では、剤形の総重量を基準として約10.2質量%のドキシサイクリンを含めることができる。
【0161】
ある実施形態では、放出制御層には、第1の希釈剤および第2の希釈剤を含めることができる。ある実施形態では、放出制御層の第1の希釈剤は、剤形の総重量を基準として約10〜約20質量%を構成することができる。他の実施形態では、放出制御層の第1の希釈剤は、剤形の総重量を基準として約15〜約16質量%を構成することができる。他の実施形態では、放出制御層の第1の希釈剤は、剤形の総重量を基準として約15.5質量%を構成することができる。いくつかの実施形態では、第1の希釈剤は微結晶セルロースとすることができる。ある実施形態では、放出制御層の第2の希釈剤は、剤形の総重量を基準として約10〜約20質量%を構成することができる。他の実施形態では、放出制御層の第2の希釈剤は、剤形の総重量を基準として約14〜約15質量%を構成することができる。他の実施形態では、放出制御層の第2の希釈剤は、剤形の総重量を基準として約14.6質量%を構成することができる。いくつかの実施形態では、第2の希釈剤はマンニトールとすることができる。
【0162】
ある実施形態では、放出制御層には、剤形の総重量を基準として約1〜約15質量%の親水性放出制御剤を含めることができる。他の実施形態では、放出制御層には、剤形の総重量を基準として約5〜約10質量%の親水性放出制御剤を含めることができる。他の実施形態では、放出制御層には、剤形の総重量を基準として約7〜約8質量%の第1の親水性放出制御剤を含めることができる。他の実施形態では、放出制御層には、剤形の総重量を基準として7.3質量%の親水性放出制御剤を含めることができる。特定の実施形態では、親水性放出制御剤はヒプロメロースである。
【0163】
ある実施形態では、放出制御層には、1種または複数種の滑沢剤を含めることができる。特定の実施形態では、放出制御層には、第1の滑沢剤および第2の滑沢剤を含めることができる。いくつかの実施形態では、放出制御層の第1の滑沢剤は、剤形の総重量を基準として約0.01〜約1質量%を構成することができる。他の実施形態では、放出制御層の第1の滑沢剤は、剤形の総重量を基準として約0.1〜約1質量%を構成することができる。他の実施形態では、放出制御層の第1の滑沢剤は、剤形の総重量を基準として約0.3〜約0.7質量%を構成することができる。さらに他の実施形態では、放出制御層の第1の滑沢剤は、剤形の総重量を基準として約0.5質量%を構成することができる。特定の実施形態では、第1の滑沢剤はコロイド状二酸化ケイ素とすることができる。いくつかの実施形態では、放出制御層の第2の滑沢剤は、剤形の総重量を基準として約0.01〜約1質量%を構成することができる。他の実施形態では、放出制御層の第2の滑沢剤は、剤形の総重量を基準として約0.1〜約1質量%を構成することができる。他の実施形態では、放出制御層の第2の滑沢剤は、剤形の総重量を基準として約0.2〜約0.6質量%を構成することができる。さらに他の実施形態では、放出制御層の第2の滑沢剤は、剤形の総重量を基準として約0.4質量%を構成することができる。特定の実施形態では、第2の滑沢剤はステアリン酸マグネシウムとすることができる。
【0164】
ある実施形態では、不活性の膨潤可能/生体付着層には、1種または複数種の親水性放出制御剤、1種または複数種の膨潤剤、1種または複数種の希釈剤、および1種または複数種の滑沢剤を含めることができる。
【0165】
特定の実施形態では、不活性の膨潤可能/生体付着層には、第1の親水性放出制御剤および第2の親水性放出制御剤を含めることができる。ある実施形態では、膨潤可能/生体付着層には、剤形の総重量を基準として約5〜約25質量%の第1の親水性放出制御剤を含めることができる。他の実施形態では、膨潤可能/生体付着層には、剤形の総重量を基準として約5〜約15質量%の第1の親水性放出制御剤を含めることができる。他の実施形態では、膨潤可能/生体付着層には、剤形の総重量を基準として約9〜約13質量%の第1の親水性放出制御剤を含めることができる。他の実施形態では、膨潤可能/生体付着層には、剤形の総重量を基準として約11質量%の第1の親水性放出制御剤を含めることができる。ある実施形態では、第1の親水性放出制御剤はヒプロメロースとすることができる。
【0166】
ある実施形態では、膨潤可能/生体付着層には、剤形の総重量を基準として約5〜約25質量%の第2の親水性放出制御剤を含めることができる。他の実施形態では、膨潤可能/生体付着層には、剤形の総重量を基準として約5〜約15質量%の第2の親水性放出制御剤を含めることができる。他の実施形態では、膨潤可能/生体付着層には、剤形の総重量を基準として約9〜約13質量%の第2の親水性放出制御剤を含めることができる。他の実施形態では、膨潤可能/生体付着層には、剤形の総重量を基準として約11質量%の第2の親水性放出制御剤を含めることができる。ある実施形態では、第2の親水性放出制御剤はポリエチレンオキシドとすることができる。
【0167】
ある実施形態では、膨潤可能/生体付着層には、剤形の総重量を基準として約1〜約10質量%の第3の親水性放出制御剤を含めることができる。他の実施形態では、膨潤可能/生体付着層には、剤形の総重量を基準として約2〜約6質量%の第3の親水性放出制御剤を含めることができる。他の実施形態では、膨潤可能/生体付着層には、剤形の総重量を基準として約4〜約5質量%の第3の親水性放出制御剤を含めることができる。他の実施形態では、膨潤可能/生体付着層には、剤形の総重量を基準として約4.3質量%の第3の親水性放出制御剤を含めることができる。ある実施形態では、第3の親水性放出制御剤はカルボマーである。特定の実施形態では、カルボマーはCarbopol 974Pとすることができる。いくつかの実施形態では、第3の親水性放出制御剤は、膨潤剤としても作用することができる。
【0168】
ある実施形態では、1種または複数種の膨潤剤には、第1の膨潤剤および第2の膨潤剤を含めることができる。ある実施形態では、膨潤可能/生体付着層には、剤形の総重量を基準として約1〜約10質量%の第1の膨潤剤を含めることができる。他の実施形態では、膨潤可能/生体付着層には、剤形の総重量を基準として約4〜約6質量%の第1の膨潤剤を含めることができる。他の実施形態では、膨潤可能/生体付着層には、剤形の総重量を基準として約5〜約6質量%の膨潤剤を含めることができる。他の実施形態では、膨潤可能/生体付着層には、剤形の総重量を基準として約5.4質量%の第1の膨潤剤を含めることができる。ある実施形態では、第1の膨潤剤は部分アルファー化デンプンとすることができる。ある実施形態では、膨潤可能/生体付着層には、剤形の総重量を基準として約1〜約10質量%の第2の膨潤剤を含めることができる。他の実施形態では、膨潤可能/生体付着層には、剤形の総重量を基準として約4〜約6質量%の第2の膨潤剤を含めることができる。他の実施形態では、膨潤可能/生体付着層には、剤形の総重量を基準として約5〜約6質量%の第2の膨潤剤を含めることができる。他の実施形態では、膨潤可能/生体付着層には、剤形の総重量を基準として約5.4質量%の第2の膨潤剤を含めることができる。ある実施形態では、第2の膨潤剤はデンプングリコール酸ナトリウムとすることができる。
【0169】
ある実施形態では、1種または複数種の滑沢剤には、第1の滑沢剤および第2の滑沢剤を含めることができる。ある実施形態では、膨潤可能/生体付着層には、剤形の総重量を基準として約0.01〜約1質量%の第1の滑沢剤を含めることができる。他の実施形態では、膨潤可能/生体付着層には、剤形の総重量を基準として約0.1〜約1質量%の第1の滑沢剤を含めることができる。他の実施形態では、膨潤可能/生体付着層には、剤形の総重量を基準として約0.4〜約0.6質量%の第1の滑沢剤を含めることができる。他の実施形態では、膨潤可能/生体付着層には、剤形の総重量を基準として約0.5質量%の第1の滑沢剤を含めることができる。ある実施形態では、第1の滑沢剤は部分コロイド状二酸化ケイ素とすることができる。ある実施形態では、膨潤可能/生体付着層には、剤形の総重量を基準として約0.01〜約1質量%の第2の滑沢剤を含めることができる。他の実施形態では、膨潤可能/生体付着層には、剤形の総重量を基準として約0.1〜約1質量%の第2の滑沢剤を含めることができる。他の実施形態では、膨潤可能/生体付着層には、剤形の総重量を基準として約0.5〜約0.7質量%の第2の滑沢剤を含めることができる。他の実施形態では、膨潤可能/生体付着層には、剤形の総重量を基準として約0.6質量%の第2の滑沢剤を含めることができる。ある実施形態では、第2の滑沢剤はステアリン酸マグネシウムとすることができる。
【0170】
ある実施形態では、膨潤可能/生体付着層には、剤形の総重量を基準として約1〜約20質量%の希釈剤を含めることができる。他の実施形態では、膨潤可能/生体付着層には、剤形の総重量を基準として約5〜約15質量%の希釈剤を含めることができる。他の実施形態では、膨潤可能/生体付着層には、剤形の総重量を基準として約8〜約12質量%の希釈剤を含めることができる。他の実施形態では、膨潤可能/生体付着層には、剤形の総重量を基準として約10質量%の希釈剤を含めることができる。特定の実施形態では、希釈剤はマンニトールとすることができる。
【0171】
ある実施形態では、即時放出ドキシサイクリン上塗りコートには、ドキシサイクリン、1種または複数種の親水性放出制御剤、および1種または複数種の可塑剤を含めることができる。
【0172】
ある実施形態では、即時放出ドキシサイクリン上塗りコートには、剤形の総重量を基準として約0.5〜約3.2質量%のドキシサイクリン、剤形の総重量を基準として約1〜約2.7質量%のドキシサイクリン、剤形の総重量を基準として約1〜約2%のドキシサイクリンを、ある実施形態では剤形の総重量を基準として約1.1質量%のドキシサイクリンを含めることができる。
【0173】
ある実施形態では、即時放出ドキシサイクリン上塗りコートには、剤形の総重量を基準として約0.1質量%〜約4質量%の親水性放出制御剤、剤形の総重量を基準として約1質量%〜約3質量%の親水性放出制御剤、または剤形の総重量を基準として約1.3質量%〜約1.9質量%の親水性放出制御剤を含めることができる。ある実施形態では、即時放出ドキシサイクリン上塗りコートには、剤形の総重量を基準として約1.6質量%の親水性放出制御剤を含めることができる。ある実施形態では、親水性放出制御剤はヒプロメロースとすることができる。
【0174】
ある実施形態では、即時放出ドキシサイクリン上塗りコートには、可塑剤を、剤形の総重量を基準として約0.01質量%〜約0.5質量%の量で含めることができる。ある実施形態では、即時放出ドキシサイクリン上塗りコートには、可塑剤を、剤形の総重量を基準として約0.05質量%〜約0.4質量%の量で含めることができる。ある実施形態では、即時放出ドキシサイクリン上塗りコートには、可塑剤を、剤形の総重量を基準として約0.2質量%〜約0.4質量%の量で含めることができる。ある実施形態では、即時放出ドキシサイクリン上塗りコートには、1種または複数種の可塑剤を、剤形の総重量を基準として約0.3質量%含めることができる。ある実施形態では、可塑剤は、クエン酸トリエチルでもポリエチレングリコール6000でもよい。
【0175】
本放出制御医薬剤形は、湿式造粒および直接圧縮を含む当技術分野において公知の方法を使用して調製される錠剤に製剤することができる。
【0176】
特定の実施形態では、本明細書に記載の放出制御医薬剤形は、MONODOX(登録商標)100mgカプセルなどの従来の即時放出剤形のドキシサイクリンと比較した場合に、90%を超える相対的生物学的利用能を示す。
【0177】
本明細書に記載の放出制御医薬剤形は、食後の状態の患者に単一用量の剤形を経口投与した後で測定した平均Cmaxが、約400〜約1400ng/mlの範囲、他の実施形態では約600〜約1200ng/mlの範囲、ある実施形態では約800〜約1000ng/mlの範囲であることが可能である。放出制御医薬剤形は、食後の状態の患者に単一用量の剤形を経口投与した後で測定した場合に、血漿中濃度−時間曲線下面積(「AUC」)(0〜48h)が、約13000〜約21000ng/ml/hの範囲、他の実施形態では約15000〜約19000ng/ml/hの範囲であることが可能である。さらに他の実施形態では、放出制御医薬剤形は、食後の状態の患者に単一用量の剤形を投与した後で測定したAUC(0〜96h)が、約23000〜約37000ng/ml/hの範囲、または約26000〜約33000ng/ml/hの範囲であることが可能である。
【0178】
上述の例は、本発明の実例となる実施形態であり、単に例示的なものに過ぎない。当業者は、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、変形形態および変更形態を作り得る。このようなすべての変更形態および変形形態は、本発明の範囲内に含まれるものとする。
【実施例】
【0179】
実施例1:3層錠:
【0180】
製造手順:
即時放出層
ドキシサイクリン一水和物を、ラクトース一水和物と、微結晶セルロースと、クロスカルメロースナトリウムの全量の50%とともに、#30メッシュステンレス鋼(「SS」)ふるいで篩過した。次いで、篩過した材料を高剪断造粒機中で乾燥混合した。次いで、上記の混合物を、高剪断高速撹拌造粒機に入れて、水に溶解したポビドンで造粒した。次いで、得られた湿潤粒体を流動層乾燥機で乾燥し、#16メッシュSSふるいで篩過した。次いで、残りのクロスカルメロースナトリウムを#30メッシュSSふるいで篩過し、その前に乾燥して篩過した粒体と十分に混合した。次いで、得られた粒体をContaブレンダーに入れて、#40メッシュSSふるいで予め篩過しておいたステアリン酸マグネシウムで5分間滑沢した。
【0181】
放出制御層
ドキシサイクリン一水和物(任意選択で腸溶コーティングしている)を、ヒプロメロースと、微結晶セルロースの全量の10%とともに、#20メッシュSSふるいで篩過した。次いで、得られた混合物を、高剪断高速撹拌造粒機に入れてポビドン溶液(水−イソプロピルアルコール混合物)で造粒した。次いで、湿潤粒体を流動層乾燥機中で乾燥し、#16メッシュSSふるいで篩過した。次いで、乾燥して篩過した粒体をContaブレンダーに入れて、ポリエチレンオキシド、残量の微結晶セルロースと混合し、ステアリン酸マグネシウムで滑沢した。
【0182】
生体付着層
ポリエチレンオキシドおよびヒプロメロースを、#30メッシュSSふるいで篩過した。次いで、このブレンドをContaブレンダーに入れて、二酸化ケイ素およびステアリン酸マグネシウムで滑沢した。
【0183】
最終剤形
即時放出層と、放出制御層と、生体付着層との滑沢した各ブレンドを、多層錠圧縮機で圧縮して直径13.3mmの3層錠にした。
【0184】
実施例2:IR上塗りコートを伴う腸溶コーティングした2層システム
【0185】
製造手順:
放出制御層
ドキシサイクリン一水和物と、ヒプロメロースと、微結晶セルロースの全量の10%とを、#20メッシュSSふるいで篩過した。次いで、得られた混合物を水溶性ポビドン溶液中で造粒した。次いで、得られた湿潤粒体を、流動層乾燥機で乾燥し、#16メッシュSSふるいで篩過した。次いで、乾燥して篩過した粒体をContaブレンダーに入れて、ポリエチレンオキシド、微結晶セルロースの残部と混合し、ステアリン酸マグネシウムで5分間滑沢した。
【0186】
生体付着層
ポリエチレンオキシドとヒプロメロースとを混合し、#20メッシュSSふるいで篩過した。得られたブレンドをContaブレンダーにて、二酸化ケイ素およびステアリン酸マグネシウムで滑沢した。放出制御層および生体付着層の滑沢した各ブレンドを、二重回転式錠剤圧縮機で圧縮して直径12.5mmまたは13.3mmの2層錠にした。
【0187】
2層錠の腸溶コーティング
Eudragit L100−55を、イソプロピルアルコールとジクロロメタンとの混合物に溶解した。クエン酸トリエチルをこの溶液に添加し、得られた混合物を15分間撹拌した。次に、予め調製しておいた圧縮錠を、3〜5%の乾燥重量増が観察されるまで錠剤コーティング機にて上記の溶液でコーティングした。これにより、腸溶コーティングした2層錠が得られた。
【0188】
即時放出外殻コーティング
ポビドンとヒプロメロースとの均一な分散体を、水−イソプロピルアルコール混合物中で調製した。クエン酸トリエチルをこの分散体に添加し、撹拌して十分に混合した。次いで、ドキシサイクリンおよび二酸化チタンをこの分散体に添加し、十分に混合した。次いで、この分散体を使用して、腸溶コーティングした2層錠を、3〜7%の乾燥重量増が得られるまで錠剤コーティング機でコーティングした。
【0189】
実施例3:生体付着2層錠
【0190】
製造手順:
放出制御層:
ドキシサイクリン一水和物、ヒプロメロース、マンニトールおよび微結晶セルロースを#20メッシュSSふるいで篩過した。次に、篩過した材料を高剪断高速撹拌造粒機中で乾燥混合した。次いで、得られた混合物を、ポビドン溶液を使用してイソプロピルアルコール/水混合物中で湿式造粒した。次いで、得られた湿潤粒体を流動層乾燥機で乾燥し、#18メッシュSSふるいで篩過した。次いで、乾燥して篩過した粒体をContaブレンダーにて、コロイド状二酸化ケイ素およびステアリン酸マグネシウムで滑沢した。
【0191】
生体付着層:
微結晶セルロースおよびヒプロメロースを、#30メッシュSSふるいで篩過し、次に、高剪断高速撹拌造粒機中で乾燥混合した。次いで、得られた乾燥混合物を、ポビドン溶液(水−イソプロピルアルコール混合物)で湿式造粒した。次いで、得られた湿潤粒体を流動層乾燥機で乾燥し、#16メッシュSSふるいで篩過した。次いで、乾燥して篩過した材料を、ポリエチレンオキシド、クロスカルメロースナトリウム、FD&C Blue#1および二酸化ケイ素と混合した。混合物をContaブレンダーにて、ステアリン酸マグネシウムで滑沢した。
【0192】
最終剤形:
次いで、放出制御層および生体付着層の滑沢した各ブレンドを、二重回転式錠剤圧縮機で圧縮して直径13.3mmの2層錠にした。
【0193】
実施例4:2層錠
【0194】
製造手順:
放出制御層:
ドキシサイクリン一水和物、ヒプロメロース、ポリエチレンオキシド、マンニトールおよび微結晶セルロースを、#30メッシュSSふるいで篩過した。次いで、篩過した材料を、高剪断高速撹拌造粒機中で乾燥混合した。次いで、得られた混合物を、ポビドン溶液(水−イソプロピルアルコール混合物)で湿式造粒した。次いで、得られた湿潤粒体を、流動層乾燥機で乾燥し、#16メッシュSSふるいで篩過した。次いで、乾燥して篩過した材料を、Contaブレンダーにて、コロイド状二酸化ケイ素およびステアリン酸マグネシウムで滑沢した。
【0195】
即時放出層:
ドキシサイクリン一水和物、マンニトールおよび微結晶セルロースを、#30メッシュSSふるいで篩過した。篩過した材料を、高剪断高速撹拌造粒機中で乾燥混合し、次いで、水溶性ポビドン溶液で湿式造粒した。次いで、得られた湿潤材料を流動層乾燥機で乾燥し、#16メッシュSSふるいで篩過した。次いで、乾燥して篩過した材料を、クロスカルメロースナトリウム、サンセットイエローおよびコロイド状二酸化ケイ素と混合し、次に、Contaブレンダーにてステアリン酸マグネシウムで滑沢した。
【0196】
最終剤形:
放出制御層および即時放出層の滑沢した各ブレンドを、二重回転式錠剤圧縮機で圧縮して直径13.3mmの2層錠にした。
【0197】
実施例5:徐放性胃内滞留/生体付着マトリックス技術
【0198】
製造手順:
放出制御層:
ドキシサイクリン一水和物、微結晶セルロース、ヒプロメロースおよびマンニトールを、#40メッシュSSふるいで篩過し、高剪断造粒機中で10分間乾燥混合した。次いで、得られた混合物を、高剪断造粒機に入れて水で湿式造粒した。湿潤粒体を流動層乾燥機中で乾燥し、#18メッシュSSふるいで篩過した。次に、#40メッシュSSふるいで予め篩過しておいたコロイド状二酸化ケイ素をContaブレンダーに入れて、乾燥した粒体と10分間混合した。次いで、得られた滑沢前の混合物を、#40メッシュSSふるいで篩過しておいたステアリン酸マグネシウムで3分間滑沢して、放出制御層ブレンドを得た。
【0199】
不活性層:
ヒプロメロース、ポリエチレンオキシド、carbopol、部分アルファー化デンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、マンニトールおよびコロイド状二酸化ケイ素を計量し、#40メッシュSSふるいで篩過し、15分間混合した。次いで、得られたブレンドを、直径22mmの円形杵で圧縮してスラッグにした。次いで、スラッグを振動造粒機中で粉砕し、得られた粒体を#20SSふるいで篩過した。次いで、粉砕して篩過した粒体をContaブレンダーに入れ、#40メッシュSSふるいで予め篩過しておいたステアリン酸マグネシウムで3分間滑沢して、不活性層ブレンドを得た。
【0200】
最終剤形:
放出制御層ブレンドと不活性層ブレンドとを二重回転式錠剤圧縮機で圧縮して直径13.3mmの2層錠にした。次いで、2層錠を、錠剤コーティング機にて、Opadry分散体を使用して、2〜3%の乾燥重量増が観察されるまでフィルムコーティングした。
【0201】
実施例6:徐放性ポリマーでコーティングした浮遊性リザーバー技術
【0202】
製造手順:
膨潤可能な放出制御薬物核
ドキシサイクリン一水和物、ラクトース、マンニトール、塩化ナトリウム、ポビドンK30およびヒプロメロースを計量し、#30メッシュSSふるいで篩過し、ブレンダーに入れて10分間乾燥混合した。次いで、得られた混合物を、コロイド状二酸化ケイ素とステアリン酸マグネシウム(それぞれ#40SSふるいで予め篩過しておいた)との混合物の合計量の50%と3分間ブレンドした。次いで、得られたブレンドを、直径22mmの円形杵で圧縮してスラッグにした。次いで、スラッグを振動造粒機中で粉砕し、得られた粒体を#20ステンレス鋼ふるいで篩過した。次いで、粉砕して篩過した粒体を、#40メッシュSSふるいで予め篩過しておいた残量のコロイド状二酸化ケイ素と、Contaブレンダーにて5分間混合した。このブレンドを、#40メッシュSSふるいで予め篩過しておいた残量のステアリン酸マグネシウムで、Contaブレンダーにて3分間さらに滑沢した。次いで、滑沢したブレンドを、単一回転式錠剤圧縮機で圧縮して直径13.3mmの錠剤にした。
【0203】
半透過性の/膨張可能な多孔性コーティング
EUDRAGIT(登録商標)RL POを、イソプロピルアルコールとアセトンとの1:1混合物に溶解した。クエン酸トリエチルまたはポリエチレングリコール6000をEUDRAGIT(登録商標)溶液に添加し、得られたものを15分間撹拌して、透明な溶液を得た。次いで、予め調製しておいた錠剤を、錠剤コーティング機にて、乾燥重量ベースで3〜4%の重量増が観察されるまで、EUDRAGIT(登録商標)溶液でコーティングした。
【0204】
実施例7Aおよび7B:負荷用量での、徐放性ポリマーでコーティングした浮遊性のリザーバー技術
【0205】
製造手順:
膨潤可能な放出制御薬物核
ドキシサイクリン一水和物、ラクトース、マンニトール、塩化ナトリウム、ポビドンK30およびヒプロメロースを計量し、#40メッシュSSふるいで篩過し、ブレンダーに入れて10分間乾燥混合した。次いで、得られた混合物を、予め計量して#40メッシュSSふるいで篩過しておいたコロイド状二酸化ケイ素とステアリン酸マグネシウムとの混合物の合計量の50%で3分間滑沢した。次いで、得られたブレンドを、直径24mmの円形杵で圧縮してスラッグにした。次いで、スラッグを振動造粒機中で粉砕し、得られた粒体を#20ステンレス鋼ふるいで篩過した。次いで、粉砕して篩過した粒体を、#40メッシュSSふるいで予め篩過しておいた残量のコロイド状二酸化ケイ素と、Contaブレンダーにて5分間混合した。このブレンドを、#40メッシュSSふるいで予め篩過しておいた残量のステアリン酸マグネシウムで、Contaブレンダーにてさらに3分間、さらに滑沢した。次いで、滑沢したブレンドを、単一回転式錠剤圧縮機を使用して、圧縮して直径13.3mmの錠剤にした。
【0206】
透過性の/膨張可能な多孔性コーティング:
EUDRAGIT(登録商標)RL POおよびRS POを、イソプロピルアルコールとアセトンとの1:1混合物に添加し、透明な溶液が得られるまで撹拌した。クエン酸トリエチルまたはポリエチレングリコール6000をこの透明な溶液に添加し、得られた混合物を15分間撹拌して、透明な溶液を得た。タルクをこの溶液に添加し、十分に撹拌して混合した。次いで、予め調製しておいた錠剤を、錠剤コーティング機にて、乾燥重量ベースで3〜4%の重量増が観察されるまで上記の溶液でコーティングした。
シールコーティング:
ヒプロメロースを、ジクロロメタンとメタノールとの1:1混合物に添加し、透明な溶液が得られるまで撹拌した。クエン酸トリエチルまたはポリエチレングリコール6000を、このヒプロメロース溶液に添加し、得られた混合物を15分間撹拌してシールコート溶液を得た。次いで、EUDRAGIT(登録商標)RL POおよびRS POで予めコーティングしておいた錠剤を、錠剤コーティング機にて、乾燥重量ベースで1.5〜2%の重量増が観察されるまで、このシールコート溶液でコーティングした。このプロセスによってシールコーティングされた錠剤が得られた。
【0207】
即時放出上塗りコーティング:
ドキシサイクリン一水和物を、ジクロロメタンとメタノールとの1:1混合物に溶解し、透明な溶液が得られるまで撹拌した。次に、ヒプロメロースをこの溶液に添加し、得られた分散液を、溶液が再び透明になるまで撹拌した。最後に、クエン酸トリエチルまたはポリエチレングリコール6000をこの溶液に添加し、得られたものを30分間撹拌して、即時放出上塗りコート溶液を得た。次いで、シールコーティングされた錠剤を、錠剤コーティング機にて、乾燥重量ベースで40mg(±7.5%w/w)の重量増が観察されるまで即時放出上塗りコート溶液でコーティングした。
【0208】
実施例8:即時放出上塗りコートを伴う胃内滞留/生体付着マトリックス技術
【0209】
製造手順:
放出制御層のブレンド:
ドキシサイクリン一水和物、微結晶セルロース、ヒプロメロースおよびマンニトールを、#40メッシュSSふるいで篩過し、高剪断造粒機中で10分間乾燥混合した。次いで、得られた混合物を、高剪断造粒機にて水で湿式造粒した。この湿潤粒体を流動層乾燥機に入れて乾燥し、#18メッシュSSふるいで篩過した。次に、#40メッシュSSふるいで予め篩過しておいたコロイド状二酸化ケイ素をContaブレンダーに入れ、乾燥した粒体と10分間混合した。次いで、得られた滑沢前の混合物を、#40メッシュSSふるいで予め篩過しておいたステアリン酸マグネシウムで、Contaブレンダー中で3分間滑沢した。
【0210】
不活性層のブレンド:
ヒプロメロース、ポリエチレンオキシド、carbopol 974P、部分アルファー化デンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、マンニトールおよびコロイド状二酸化ケイ素を計量し、#40メッシュSSふるいで篩過し、次に15分間混合した。次に、得られたブレンドを直径22mmの円形杵で圧縮してスラッグにした。次いで、スラッグを振動造粒機中で粉砕し、得られた粒体を#20メッシュSSふるいで篩過した。次いで、粉砕して篩過した粒体を、#40メッシュSSふるいで予め篩過しておいたステアリン酸マグネシウムで、Contaブレンダーにて3分間滑沢した。
【0211】
2層核:
次いで、放出制御層のブレンドおよび不活性層のブレンドを、二重回転式錠剤圧縮機を使用して圧縮し、直径13.3mmの2層錠にした。
【0212】
即時放出薬物上塗りコーティング:
ヒプロメロースとクエン酸トリエチルまたはポリエチレングリコール6000とを計量し、ジクロロメタンとメタノールとの1:1混合物に溶解して、透明な溶液が得られるまで継続的に撹拌した。次に、ドキシサイクリン一水和物を計量し、ジクロロメタン/メタノール溶液に添加した。次いで、予め得ておいた2層核を、錠剤コーティング機にて、乾燥重量ベースで29mg(±7.5%w/w)の重量増が観察されるまで上記の溶液でコーティングした。
【0213】
実施例9および10:ガス発生剤を使用する、浮遊性の胃内滞留徐放性リザーバー技術
【0214】
製造手順:
放出制御ドキシサイクリン層のブレンド:
ドキシサイクリン一水和物、ラクトース一水和物、マンニトール、塩化ナトリウムおよびヒプロメロースを計量し、#20メッシュSSふるいで篩過した。次いで、篩過した材料を、高剪断造粒機中で10分間乾燥混合した。次いで、得られた混合物を、イソプロピルアルコールと水との60:40%w/w混合物で調製したポビドン溶液で湿式造粒した。得られた粒体を流動層乾燥機中で乾燥し、#20メッシュSSふるいで篩過した。次いで、得られた乾燥粒体を、#40メッシュSSふるいで予め篩過しておいたコロイド状二酸化ケイ素と、Contaブレンダーにて5分間混合した。このブレンドを、#40メッシュSSふるいで予め篩過しておいたステアリン酸マグネシウムで、Contaブレンダーにて3分間さらに滑沢した。
【0215】
浮遊性の層のブレンド:
ヒプロメロース、ラクトース一水和物、炭酸水素ナトリウム、クエン酸、ポビドン、ポリエチレンオキシドおよびコロイド状二酸化ケイ素を計量し、#30メッシュSSふるいで篩過した。すべての成分をContaブレンダーに入れて10分間乾燥混合した。次いで、得られた混合物を、#40メッシュSSふるいで予め篩過しておいたステアリン酸マグネシウムで、3分間滑沢した。
【0216】
2層錠:
次いで、放出制御ドキシサイクリン層のブレンドおよび浮遊性の層のブレンドを、二重回転式錠剤圧縮機で圧縮して直径13.3mmの2層錠にした。
【0217】
透過性の/膨張可能な多孔性コーティング:
EUDRAGIT(登録商標)RL POをイソプロピルアルコールとアセトンとの1:1混合物に添加し、透明な溶液が得られるまで撹拌した。クエン酸トリエチルまたはポリエチレングリコール6000を、この透明な溶液に添加し、得られたものを15分間撹拌して透明な溶液を得た。次に、タルクをこの溶液に添加してタルク分散液を形成させた。次いで、予め調製しておいた2層錠を、錠剤コーティング機を使用して、乾燥重量ベースで3〜4%の重量増が観察されるまでタルク分散液でコーティングした。
【0218】
シールコーティング:
ヒプロメロースをジクロロメタンとメタノールとの1:1混合物に添加し、透明な溶液が得られるまで撹拌した。クエン酸トリエチルまたはポリエチレングリコール6000をこのヒプロメロース溶液に添加し、得られたものを15分間撹拌した。次いで、EUDRAGIT(登録商標)RL POで予めコーティングしておいた錠剤を、錠剤コーティング機にて、乾燥重量ベースで1.5〜2%の重量増が観察されるまで上記の溶液でコーティングした。
【0219】
即時放出薬物上塗りコーティング:
ドキシサイクリン一水和物を、ジクロロメタンとメタノールとの1:1混合物に溶解し、透明な溶液が得られるまで撹拌した。次に、ヒプロメロースをこの溶液に添加し、得られた分散液を、溶液が再び透明になるまで撹拌した。最後に、クエン酸トリエチルまたはポリエチレングリコール6000をこの溶液に添加し、得られたものを30分間撹拌した。次いで、予め得ておいたシールコーティングされた錠剤を、錠剤コーティング機にて、乾燥重量ベースで40mg(±7.5%w/w)の重量増が観察されるまで上記の溶液でコーティングした。
【0220】
実施例11:In vivo比較薬物動態試験
無作為化、非盲検、バランス、単施設、単一用量、並行群間で、食後の状態の相対的生物学的利用能試験を、すべての組み入れ基準を満たした8名のヒト健常成人男子志願者にて、標準的な食後の条件で実施した。
【0221】
この試験は、実施例5、6および7Aに記載の放出制御医薬剤形の単一経口用量の吸収の速度および程度を、市販のMONODOX(登録商標)100mgカプセルの単一経口用量の吸収の速度および程度と比較するために行った。被験物質は両方とも、食後の条件で投与した。
【0222】
試験の結果を表1に報告しており、実施例5、6および7Aは、MONODOX(登録商標)に匹敵するCmaxを示し、実施例5および7AについてはMONODOX(登録商標)と比較して90%を超える相対的生物学的利用能を示したことがわかる。実施例6については、相対的生物学的利用能が、MONODOX(登録商標)と比較して80%をわずかに超えた。
【0223】
【表1】
【0224】
実施例12:In vivo比較薬物動態クロスオーバー試験
無作為化、非盲検、バランス、単施設、単一用量、クロスオーバーで、食後の状態の相対的生物学的利用能試験を、すべての組み入れ基準を満たした8名のヒト健常成人男子志願者にて、標準的な食後の条件で実施した。
【0225】
この試験は、実施例7B、8、9および10に記載の放出制御医薬剤形の単一経口用量の吸収の速度および程度を、経口投与した市販のMONODOX(登録商標)100mgカプセルと比較するために行った。すべての被験物質を1日1回投与し、投与は食後の条件で実施した。表2(実施例7Bおよび8)、表3(実施例9)および表4(実施例10)に示したとおり、結果は、4種すべての被験物質のCmax値はMONODOX(登録商標)より低かったが、AUC値はMONODOX(登録商標)と比較して少なくとも約93%であったことを示している。実施例8および10の場合、AUC値はそれぞれMONODOX(登録商標)のAUC値の約97%および99.9%であった。したがって、本明細書に記載の放出制御医薬剤形は、MONODOX(登録商標)より低いCmaxを維持しながら、MONODOX(登録商標)とほぼ等しいAUC値を供与することができた。
【0226】
【表2】
【0227】
【表3】
【0228】
【表4】
【0229】
実施例13:膨潤試験
膨潤試験を、USP I型(バスケット法)に入れて75RPM(1.25s−1)にて900mLの0.1N HCl中で行った。%膨潤を、円筒形の錠剤の体積を基準に、方程式:
【0230】
【数1】
【0231】
を使用して計算し、実施例5から10までの各々の初期体積を、式:
【0232】
【数2】
【0233】
[式中、「d」を錠剤の最大直径とし、「h」を錠剤の高さとした]を使用して計算した。この例に使用した計算は、標準的な両凸の錠剤は、同じ直径の円筒形とほぼ同じ体積を有すると想定することができるということを想定している。実施例5から10までの各々について、錠剤の初期直径を測定して約13.3mmとした。
【0234】
膨潤試験の結果を下記の表5に報告する。
【0235】
【表5】
【0236】
表5に示した結果により、実施例5〜10に記載の組成物はすべて、30分以内にその原体積の50%より大きく膨潤し、また各ケースにおいて、ヒト幽門括約筋の直径より大きな直径まで膨潤したことが示されている。
【0237】
実施例15:生体付着の測定:
生体付着性錠剤の6種の代表製剤を、生体付着強度の評価のために調製した。試験に使用した製剤は以下のとおりとした:
【0238】
【0239】
【0240】
【0241】
【0242】
【0243】
錠剤製造手順:
F1からF6までの錠剤の各々を、次の基本手順に従って調製した。微結晶セルロースおよびポリエチレンオキシドを#40メッシュSSふるいで篩過し、Contaブレンダーに入れてブレンドした。このブレンドを、#40メッシュSSふるいで予め篩過しておいたコロイド状二酸化ケイ素とステアリン酸マグネシウムとの混合物で滑沢した。滑沢したブレンドを、単一回転式錠剤圧縮機で圧縮して直径13.3mmの錠剤にした。
【0244】
生体付着試験:
生体付着を張力測定法によって測定した。高性能フォースゲージ機器(Mecmesin製mfg.,ウェスト・サセックス(West Sussex),イングランド)を使用した。生体から摘出したヒツジ腸組織を採取し、実験に使用するまでタイロード液中に4℃で保管した。組織を切り分け(3×4cm)、スライドガラスに載せ、糸で所定の位置に締め付けた。体積0.5mlのリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を組織に加えた。次に、F1からF6までの錠剤のうちの1つを組織に載せ、さらに0.5mlのPBSを錠剤に加えた。重量10gのスライドガラスを錠剤に載せ、10、30、60、840または960分間水和させた。特定の時間間隔で、水和した錠剤を、スライドごと生体付着装置のステージに載せた。次いで、プローブを0.2mm/秒の固定速度で降ろし、上部スライドをプローブのフックに糸を用いて取り付けた。ピーク脱離力を生体付着力と考え、生体基質から錠剤を分離させるのに必要な力として測定した。ピーク脱離力はミリニュートン(mN)で表し、添付の図3に示している。
【0245】
ピーク脱離力は、水和の初期10分以内に、製剤F1〜F5については1300mNを超え、F6については750mNを超えることが判明した。F1からF5までの各々については、ピーク脱離力は水和時間60分時点で1500mN超までさらに増加することが判明した。F6については、生体付着力は水和時間60分後に1100mN超まで増加し、水和時間960分までそのレベルを維持した。製剤F1、F2およびF5については、ピーク脱離力は960分時点で1500mN超を維持した。F3およびF4については、ピーク脱離力は水和時間60分を過ぎると減少したが、960分時点で依然として500mN超を維持していた。
【0246】
本出願を上に詳細に記載してきたが、本発明の趣旨から逸脱することなく様々な変更形態がなされ得ることを当業者は理解するであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9