(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第一連通部は、前記灰冷却槽と前記フロートタンクを連通する管であり、前記灰冷却槽と前記フロートタンクとは、前記管のみで連通されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の灰押出装置。
前記灰冷却槽の液面と前記フロートタンクの液面とを連続させるように形成された第二連通部をさらに有することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の灰押出装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に開示されている灰押出装置では、戻り灰と呼ばれる、スクレーパの退避移動の際に、スクレーパの駆動部側に侵入した灰が、スクレーパやスクレーパを駆動する駆動部に悪影響を及ぼすという課題がある。
また、近年、ごみの分別が進んだことによる灰の細粒化により、排出口付近(灰の液切りがなされている箇所)の灰が固化し、灰の搬出能力が低下し、灰押出装置の運転継続が難しくなっているという課題がある。
特許文献2には、灰押出装置の連続運転を可能とするために、排出口付近の灰をカッターで取り除く技術が記載されている。しかしながら、特許文献2に記載の技術では、カッター等の特殊な機構を別途配置する必要があり、コスト増となる。
【0005】
この発明は、低コストで、灰押出装置の運転を継続し易くすることができる灰押出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一の態様によれば、灰押出装置は、ごみ焼却炉で焼却された灰が導入される灰導入口と、前記灰導入口の下方に接続され、下流側が上り傾斜の傾斜面を備え、且つ、前記灰導入口の下端よりも上方まで液体が満たされている灰冷却槽と、前記灰冷却槽に導入された前記灰を前記下流側へ押し出すスクレーパと、前記スクレーパを進退可能に駆動する駆動部と、前記傾斜面に接続され、前記スクレーパにより押し出された前記灰が排出される排出口と、前記スクレーパを中心に見て前記排出口と反対側で、一端が前記灰冷却槽の前記液体の液面より下方に接続され、前記灰冷却槽から下り傾斜に形成された第一連通部と、前記第一連通部の他端に接続されたフロートタンクと、前記フロートタンクの液位を計測する液位計と、前記液体を前記排出口の近傍へ供給する第一の液体供給装置と、前記灰冷却槽へ前記液体を供給する第二の液体供給装置と、前記液位計の情報及び前記駆動部のトルクに関する情報に基づいて、前記第一の液体供給装置及び前記第二の液体供給装置を制御する制御装置と、を有し、
前記第一連通部の前記他端は前記一端より低く、前記制御装置は、前記液位計の情報に基づいて、所定の液位から前記液面が低下した場合、前記第二の液体供給装置を制御して前記所定の液位まで前記液体を供給し、前記トルクに関する情報に基づいて、前記トルクが所定値以上となった場合、前記第一の液体供給装置を制御して前記液体を前記排出口の近傍へ供給することを特徴とする。
【0007】
このような構成によれば、灰冷却槽に堆積した戻り灰が、第一連通部を介してフロートタンクに排出されるため、戻り灰が駆動部に与える悪影響を低減することができる。
また、駆動部のトルクが所定値以上になる、即ち、灰が固化して灰が排出されにくい状態になった場合に、排出口の近傍の灰に液体が供給されることによって、固化した灰が軟化される。
以上の効果により、カッター等の特殊な機構を別途配置することなく、低コストで灰押出装置の運転を継続し易くすることができる。
【0008】
上記灰押出装置において、前記第一の液体供給装置は、前記排出口の上方に配置され、前記灰冷却槽の液切り領域に前記液体を散布する循環液注入ノズルと、
前記フロートタンクの前記液体を前記循環液注入ノズルに循環させる循環ポンプと、を有してよい。
【0009】
このような構成によれば、固形化した灰が堆積しやすい液切り領域に液体を散布することによって、効率的に灰を軟化することができる。
【0010】
上記灰押出装置において、前記スクレーパは、前記灰を押し出すスクレーパ本体と、前記スクレーパ本体に接続され、前記灰のうち戻り灰を前記第一連通部へ誘導する補助スクレーパと、を有してよい。
【0011】
このような構成によれば、スクレーパや駆動部へ悪影響を及ぼす戻り灰を積極的に排出することができる。
【0012】
上記灰押出装置において、前記フロートタンクの上方に設けられた開閉可能な開口蓋をさらに有し、前記開口蓋を開けることで、前記フロートタンクの内部を清掃可能としてよい。
【0013】
このような構成によれば、開口蓋を開けることにより、第一連通部やフロートタンク内部を容易に清掃可能となる。
【0014】
上記灰押出装置において、前記第一連通部は、前記灰冷却槽と前記フロートタンクを連通する管であり、前記灰冷却槽と前記フロートタンクとは、前記管のみで連通されてよい。
【0015】
このような構成によれば、灰冷却槽とフロートタンクとが第一連通部のみで連通していることによって、灰冷却槽の液面とフロートタンクの液面とは、物理的に分離される。これにより、灰冷却槽の液面付近に漂うスカム(浮遊灰)はフロートタンクへ侵入し難い。このため、液位計が汚れるなどして液位計測が阻害されるリスクが低減される。
【0016】
上記灰押出装置において、前記灰冷却槽の液面と前記フロートタンクの液面とを連続させるように形成された第二連通部をさらに有してよい。
【0017】
このような構成によれば、灰冷却槽の液面とフロートタンクの液面とが物理的に分離されていないため、灰冷却槽の液面に漂うスカムがフロートタンクに侵入するが、開口蓋を開けて、運転を継続しながら、スカムを安全かつ容易に除去することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、灰冷却槽に堆積した戻り灰が、第一連通部を介してフロートタンクに排出されるため、戻り灰が駆動部に与える悪影響を低減することができる。
また、駆動部のトルクが所定値以上になる、即ち、灰が固化して灰が排出されにくい状態になった場合に、排出口の近傍の灰に液体が供給されることによって、固化した灰が軟化される。
以上の効果により、カッター等の特殊な機構を別途配置することなく、低コストで灰押出装置の運転を継続し易くすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態の灰押出装置について図面を参照して詳細に説明する。
灰押出装置は、ごみを焼却するごみ焼却炉(例えば、ストーカ炉)に設けられるものである。具体的には、灰押出装置は、ごみ焼却炉でごみが焼却されることにより生成される灰を冷却した後、例えば、コンベアに排出する装置である。
【0021】
図1に示すように、本実施形態の灰押出装置1は、灰A1が導入される灰導入口2と、灰導入口2に接続された灰冷却槽3と、灰冷却槽3に導入された灰A2を押し出すスクレーパ4と、スクレーパ4を進退可能に駆動する駆動部5と、スクレーパ4によって押し出された灰A2が排出される排出口6と、一端7aが灰冷却槽3に接続された連通管7(第一連通部)と、連通管7の他端7bに接続されたフロートタンク8と、制御装置9と、を備えている。
【0022】
灰導入口2は、ごみ焼却炉の灰シュートと接続され、鉛直方向に沿うように延在する矩形状の管である。灰導入口2の形状はこれに限ることはない。
灰冷却槽3は、灰導入口2の下方に接続された槽であり、灰導入口2を介して導入された灰A2を冷却する槽である。
灰冷却槽3は、液体(例えば、水)で満たされている。液体の液面Wの高さは、灰冷却槽3の形状に応じて適宜設定することができる。本実施形態の液面Wの高さは、灰導入口2の下端2aよりも上方となるように設定されている。液面Wの高さは、制御装置9によって調整される。
【0023】
灰冷却槽3の底面10は、灰導入口2の直下が最も低くなるように形成されている。
灰冷却槽3の底面10は、灰導入口2の直下から水平方向の第一の方向D1に向かうにしたがって漸次高くなるように形成された第一傾斜面11を有している。ここで、第一の方向D1は、灰A2の排出方向(下流側)に向かう方向である。即ち、第一傾斜面11は、灰Aの排出方向(下流側)に向かって上り傾斜となるように形成されている。
【0024】
排出口6は、第一傾斜面11に接続され、スクレーパ4によって押し出された灰A2が排出される矩形状の開口である。排出口6は、排出口6の下端6aが液体の液面Wよりも高くなるように形成されている。排出口6の下端6aと液体との間には、液切り領域Rが設けられている。液切り領域Rは、第一傾斜面11の上部であって、液体の液面Wより高い領域である。液切り領域Rに堆積した灰A2aは、液体に浸されていない。
排出口6の下方には、コンベアCが配置されている。コンベアCは、排出口6から排出された灰A2を、後段の装置に搬出する。
【0025】
灰冷却槽3の底面10は、灰導入口2の直下から第一の方向D1の反対の第二の方向D2に向かうにしたがって漸次高くなるように形成された第二傾斜面12を有している。スクレーパ4、駆動部5などの灰A2を押し出すための機構は、第二傾斜面12の上方に配置されている。
【0026】
スクレーパ4は、灰導入口2に対して第二の方向D2側に配置され、灰冷却槽3に貯留された灰A2を押し出す装置である。スクレーパ4は、第一の方向D1に直交し、且つ、水平方向に延在する第一中心軸S1に接続されている。スクレーパ4は、第一中心軸S1を中心に回動可能な回動アーム14と、回動アーム14の第一中心軸S1とは反対側の端部に、第二中心軸S2を中心に揺動可能に接続されたスクレーパ本体15と、を有している。
【0027】
スクレーパ本体15は、先端が灰冷却槽3の底面10に幅方向WD(第一の方向D1に直交する水平方向、
図2参照)にわたって接するように配置されている。回動アーム14が第一の回転方向R1に回動することによって、スクレーパ本体15が灰A2を下流側に押し出す。回動アーム14が第一の回転方向R1と反対の第二の回転方向R2に回動することによって、スクレーパ本体15の先端が第二の方向D2に退避移動する。
スクレーパ本体15は、
図1に実線で示すように、最も後退した状態で、スクレーパ本体15の先端が灰導入口2の直下に位置する。スクレーパ本体15は、
図1に二点鎖線で示すように、最も前進した状態で、スクレーパ本体15の先端が灰導入口2の直下よりも下流側に位置する。
【0028】
スクレーパ4は、スクレーパ本体15に揺動可能に接続された補助スクレーパ16を有している。補助スクレーパ16は、スクレーパ本体15に第三中心軸S3を介して接続されている。第三中心軸S3は、スクレーパ本体15の第二中心軸S2近傍に配置されている。補助スクレーパ16の先端は、灰冷却槽3の底面10の第二傾斜面12に幅方向WDにわたって接触している。
補助スクレーパ16は、スクレーパ本体15の移動に伴って底面10上を移動する。
【0029】
駆動部5は、例えば、電動モーターである。駆動部5は、第一中心軸S1を第一の回転方向R1に回動させたり、第二の回転方向R2に回動させたりする。駆動部5と制御装置9とは電気的に接続されている。制御装置9には、駆動部5のトルクに関する情報が入力される。駆動部5のトルクは、駆動部5によって駆動されるスクレーパ4の負荷が高くなると上昇する。
【0030】
連通管7は、灰冷却槽3との接続部である一端7aが灰冷却槽3の底面10の第二傾斜面12に接続され、他端7bが一端7aよりも低くなるように形成されている管状部材である。連通管7は、スクレーパ4に対して第二の方向D2側に配置されている。即ち、連通管7は、スクレーパ4を中心に見て排出口6と反対側に配置されている。連通管7の一端7aは、液面Wよりも下方に接続されている。
【0031】
フロートタンク8は、連通管7の他端7bに接続された容器である。フロートタンク8は、フロートタンク8の内部空間に液体の液面Wが形成されるように配置されている。フロートタンク8の上壁8aは、液面Wよりも高くなるように形成されている。液体は、連通管7のみを介して灰冷却槽3とフロートタンク8との間を移動する。灰冷却槽3の液面Wの高さと、フロートタンク8の液面Wの高さとは同一となる。
【0032】
フロートタンク8の下部には、フロートタンク8内の液体を排出するためのフロートタンク排出管17が設けられている。フロートタンク排出管17には、フロートタンクバルブ18が設けられている。フロートタンクバルブ18は、フロートタンク排出管17を開閉する弁である。
フロートタンク8の上壁8aには、開閉可能な開口蓋19が設けられている。開口蓋19を開けることによって、作業者は、フロートタンク8の内部にアクセスが可能となる。
【0033】
フロートタンク8の内部には、オーバーフロー液受け21が設けられている。オーバーフロー液受け21は、設定された液面Wの高さに対応するように形成されている。すなわち、液面Wの高さが設定した高さよりも高くなった場合に、オーバーフロー液受け21に液体が流れ込み、この液体を沈殿槽23へ排出するので、液面Wの高さが設定した高さよりも高くならない。
オーバーフロー液受け21には、排液管22が接続されており、排液管22の下端には、沈殿槽23が設けられている。オーバーフロー液受け21に流れ込んだ液体は、沈殿槽23に貯留される。
【0034】
フロートタンク8には、フロートタンク8内の液面Wの高さを計測する液位計24が設けられている。液位計24は、制御装置9と電気的に接続されている。制御装置9には、液位計24によって計測された液面Wの高さが送信される。
【0035】
沈殿槽23の下部には、沈殿槽23内の沈殿物を排出するための沈殿槽排出管25が設けられている。沈殿槽排出管25には、沈殿槽バルブ26が設けられている。沈殿槽バルブ26は、沈殿槽排出管25を開閉する弁である。沈殿槽バルブ26を開くことによって、沈殿槽23内に堆積された沈殿物を排出することができる。
【0036】
灰押出装置1は、液体を排出口6の近傍へ供給する第一の液体供給装置27を有している。具体的には、第一の液体供給装置27は、灰冷却槽3の液切り領域Rに堆積している灰A2aに液体を散布する。第一の液体供給装置27は、排出口6の上方に配置された循環液注入ノズル28と、循環液注入ノズル28と沈殿槽23とを接続する循環液ライン29と、循環液ライン29に設けられて沈殿槽23の液体を循環液注入ノズル28に循環させる循環ポンプ30と、を有している。沈殿槽23に貯留される液体は、オーバーフロー液受け21に流れ込んだ液体であるので、第一の液体供給装置27は、実質的にフロートタンク8の内部の液体を循環液注入ノズル28に循環させていることになる。
【0037】
図2に示すように、循環液注入ノズル28は、幅方向に延在する本体部31と、本体部31に形成され、液体WSを散布する複数のノズル部32と、を有している。循環液注入ノズル28のノズル部32は、液切り領域Rに液体を散布するように指向されている。
循環ポンプ30は、制御装置9と電気的に接続されている。制御装置9は、循環ポンプ30を制御することができる。制御装置9によって循環ポンプ30が作動することにより、沈殿槽23内の液体が循環液注入ノズル28に供給されて、液切り領域Rに堆積した灰A2aに散布される。
【0038】
灰押出装置1は、灰冷却槽3に液体を供給する第二の液体供給装置34を有している。第二の液体供給装置34は、液体(例えば、水)が貯留された液体タンク35と、液体タンク35内の液体を灰冷却槽3に注入する注入ノズル36と、注入ノズル36に設けられている電動バルブ37と、を有している。電動バルブ37と制御装置9とは電気的に接続されている。制御装置9は、電動バルブ37を制御することができる。制御装置9によって電動バルブ37が制御されることにより、液体タンク35内の液体が注入ノズル36を介して灰冷却槽3に注入される。
【0039】
制御装置9は、液位計24によって計測される液面Wの高さに基づいて第二の液体供給装置34を制御して灰冷却槽3に液体を供給する液面制御部92と、駆動部5のトルクに基づいて第一の液体供給装置27を制御して液切り領域Rに堆積した灰A2aに液体を散布する液体散布部91と、を有している。
【0040】
液面制御部92は、液位計24によって計測された液面Wの高さが所定の液位から低下した場合に、第二の液体供給装置34の電動バルブ37を開ける制御、すなわち開弁する制御を行う。
液体散布部91は、駆動部5からトルクに関する情報を受け、駆動部5のトルクが所定値以上となった場合に、循環ポンプ30を作動させる制御を行う。
【0041】
次に、本実施形態の灰押出装置1の第二の液体供給装置34の作用について説明する。
灰導入口2を介して、灰冷却槽3に投入された灰A2は、液体によって冷却される。灰冷却槽3で冷却された灰A2は、スクレーパ4によって第一の方向D1に押し出され、コンベアCに搬送される。この際、灰A2に付随して灰冷却槽3の内部の液体も排出される。
【0042】
制御装置9の液面制御部92は、液位計24によって計測された液面Wの高さに基づいて第二の液体供給装置34を制御して液面Wの高さを制御する。具体的には、制御装置9は、排出口6またはフロートタンク排出管17から液体が排出されて液面Wの高さが所定の液位から低下した場合に、第二の液体供給装置34の電動バルブ37を制御して開弁し、注入ノズル36を介して灰冷却槽3に液体タンク35の液体を注入する。その後、液面Wの高さが所定の液位まで上昇した場合は、制御装置9は、電動バルブ37を制御して閉弁し、液体タンク35から液体の注入を停止する。
【0043】
次に、本実施形態の灰押出装置1の連通管7及び補助スクレーパ16の作用について説明する。
スクレーパ4が退避移動する際に、戻り灰A3がスクレーパ4よりも第二の方向D2側の第二傾斜面12上に侵入する。戻り灰A3とは、スクレーパ4の退避移動の際に、スクレーパ4と底面10の間の隙間などからスクレーパ4よりも第二の方向D2側に侵入する灰である。
本実施形態の灰押出装置1の灰冷却槽3には連通管7が形成されているため、戻り灰A3は連通管7を介してフロートタンク8内に導入される。フロートタンク8内に堆積した戻り灰A3は、フロートタンクバルブ18を開くことによってフロートタンク排出管17を介して適宜排出することができる。
【0044】
また、スクレーパ本体15が第一の方向R1に向かって移動することにより、補助スクレーパ16は戻り灰A3を第一の方向D1側へ押し返す。スクレーパ本体15が第二の方向R2に向かって退避移動することにより、補助スクレーパ16は戻り灰A3を連通管7に誘導する。連通管7の一端7aは他端7bよりも上方に傾いているので、連通管7に誘導された戻り灰A3はフロートタンク8へ移動する。
【0045】
次に、本実施形態の灰押出装置1の第一の液体供給装置27の作用について説明する。
制御装置9は、駆動部5のトルクが所定値より大きくなった場合に、第一の液体供給装置27の循環ポンプ30を作動させる。これにより、循環液注入ノズル28から液体WSが散布され、液切り領域Rに堆積した灰A2aが軟化される。その後、駆動部5のトルクが所定値より小さくなった場合に、制御装置9は、第一の液体供給装置27の循環ポンプ30を停止させるので、結果として循環液注入ノズル28からの液体WSの散布が停止される。
【0046】
上記実施形態によれば、第二傾斜面12上に堆積した戻り灰A3が連通管7を介してフロートタンク8へ排出されるため、戻り灰A3によるスクレーパ4や駆動部5への悪影響を抑制することができる。従って、スクレーパ4を、戻り灰A3に阻害されることなく円滑に動作させることができる。
また、循環液注入ノズル28を、固形化した灰A2aが堆積しやすい液切り領域R(排出口6の近傍)に向けて設置したことによって、固化した灰A2aが軟化され、灰の搬出能力の低下を抑制することができる。特に、灰A2aが固化しやすい液切り領域Rに液体を散布することによって、効率的に灰を搬出することができる。
以上により、灰押出装置1の運転継続の安定性を向上させることができる。
【0047】
また、フロートタンク8の上壁8aに開口蓋19を設けているため、フロートタンク8に溜まった戻り灰A3の量を確認できる。また、戻り灰A3がある程度の量となった場合には、運転を継続しながら、フロートタンクバルブ18を開けて戻り灰A3を排出することができる。
この際、液面Wが低下するが、制御装置9が第二の液体供給装置34を制御することで、液面Wの高さを所定の液位まで上昇させて保持することができる。
また、フロートタンク8の開口蓋19を開けることにより、連通管7やフロートタンク8内部を容易に清掃可能となる。
【0048】
また、灰冷却槽3とフロートタンク8とが連通管7のみで連通していることによって、灰冷却槽3の液面Wとフロートタンク8の液面Wとは、物理的に分離される。これにより、灰冷却槽3の液面W付近に漂うスカム(浮遊灰)はフロートタンク8へ侵入し難い。このため、液位計24が汚れるなどして液位計測が阻害されるリスクが低減される。
【0049】
〔変形例〕
以下、本発明の実施形態の変形例について図面を参照して詳細に説明する。なお、変形例では、上述した実施形態との相違点を中心に述べ、同様の部分についてはその説明を省略する。
図3に示すように、変形例の灰冷却槽3とフロートタンク8は、連通管7に加え、灰冷却槽3とフロートタンク8とを仕切る仕切壁39に形成された開口40(第二連通部)を介して連通している。開口40は、灰冷却槽3の液面Wとフロートタンク8の液面Wとを連続させるように形成されている。開口40は、開口40の下端40aが液面Wよりも低く、且つ、上端40bが液面Wよりも高くなるように形成されている。
変形例の灰冷却槽3とフロートタンク8とは、連通管7のみならず、液面W付近に形成された開口40によっても連通している。
【0050】
本変形例によれば、灰冷却槽3の液面Wとフロートタンク8の液面Wとが物理的に分離されていないため、灰冷却槽3の液面Wに漂うスカムがフロートタンク8に侵入するが、開口蓋19を開けて、運転を継続しながら、スカムを安全かつ容易に除去することができる。
【0051】
以上、本発明の実施形態及び変形例について図面を参照して詳述したが、具体的な構成は実施形態及び変形例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
なお、本実施形態の第一の液体供給装置27は、沈殿槽23(フロートタンク8)の液体を循環液注入ノズル28に循環させるように構成されているが、これに限ることはない。例えば、
図4に示すように、灰冷却槽3に貯留されている液体を循環液注入ノズル28に循環させる第一の液体供給装置27Bとしてもよい。この場合も、第一の液体供給装置27と同様、第一の液体供給装置27Bは、制御装置9で制御される。
【解決手段】灰導入口2と、傾斜面11を備え、液体が満たされている灰冷却槽3と、灰を押し出すスクレーパ4と、スクレーパ4を駆動する駆動部5と、灰の排出口6と、灰冷却槽3から下り傾斜に形成された第一連通部7と、第一連通部7の他端7bに接続されたフロートタンク8と、フロートタンク8の液位を計測する液位計24と、液体を排出口へ供給する第一の液体供給装置27と、灰冷却槽3へ液体を供給する第二の液体供給装置34と、液位計24の情報及び駆動部5のトルクに関する情報に基づいて、第一の液体供給装置27及び第二の液体供給装置34を制御する制御装置9と、を有し、制御装置9は、液面が低下した場合、所定の液位まで液体を供給し、トルクが所定値以上となった場合、液体を排出口6の近傍へ供給する灰押出装置1を提供する。