(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記読取部は、前記テスト画像を前記複数のノズルのノズル配列に対応する解像度よりも低い解像度で読み取ることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録装置。
前記画像形成制御部は、前記記録媒体上における通常の画像の形成領域外に前記テスト画像を形成させることを特徴とする請求項1又は2記載のインクジェット記録装置。
前記画像形成制御部は、前記通常の画像と、当該通常の画像の形成に用いられるインクによる前記テスト画像とを前記記録媒体の同一面に出力させることを特徴とする請求項3又は4記載のインクジェット記録装置。
前記画像形成制御部は、前記解析部により前記テスト画像にインク吐出不良が有ると判別された場合に、当該インク吐出不良に係る不良ノズルを特定するための不良ノズル特定画像を出力させ、
前記解析部は、前記読取部によって読み取られた当該不良ノズル特定画像を解析して前記不良ノズルを特定する
ことを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載のインクジェット記録装置。
前記画像形成制御部は、前記特定された不良ノズルのインク吐出範囲に係る所定の近接範囲内にあるノズルによるインクの吐出量及び吐出頻度のうち少なくとも何れか一方を調整して、前記不良ノズルの影響を補間しながら前記テスト画像を出力させることを特徴とする請求項7又は8記載のインクジェット記録装置。
前記画像形成制御部は、前記解析部により前記テスト画像から新たにインクの吐出不良が検出された場合に、当該吐出不良が検出された範囲内のノズルのうち何れかが通常の画像の形成に使用されたか否かを判別し、使用されていないと判別された場合には、前記不良ノズル特定画像を形成させずに次の通常の画像の形成を行わせることを特徴とする請求項7〜9の何れか一項に記載のインクジェット記録装置。
前記画像形成制御部は、前記記録媒体上に形成される通常の画像で使用されるインクのみを用いて前記テスト画像を出力させることを特徴とする請求項1〜9の何れか一項に記載のインクジェット記録装置。
前記画像形成制御部は、前記複数のノズルのシェーディング特性が補正された前記テスト画像を出力させることを特徴とする請求項1〜12の何れか一項に記載のインクジェット記録装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、インク吐出不良の有無の検出に従来のテスト画像を形成して利用すると、記録媒体上に形成される画像のサイズが大きくなってしまい、また、計算やデータ伝送の手間が余計にかかってしまう。従って、実際にインクの吐出不良が発生する頻度を考慮すると、多くの場合には、記録媒体が無駄に消費され、また、毎回処理が煩雑になるという課題がある。また、記録媒体の通常の画像形成範囲外、即ち、余白領域にテスト画像を形成する場合には、このテスト画像を複数の記録媒体に分割して形成する必要が生じ、テストが完了するまでに時間を要するという課題がある。
【0007】
この発明の目的は、記録媒体を無駄にせず容易且つ速やかにノズルからのインク吐出不良の有無を検査することの出来るインクジェット記録装置及びインク吐出不良の検出方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、
複数のノズルから各々インクを吐出させて記録媒体上に画像を形成するインクジェット記録装置であって、
前記複数のノズルからインクを吐出させて、単一の所定濃度のハーフトーン画像をテスト画像として出力させる画像形成制御部と、
前記テスト画像を読み取る読取部と、
読み取られた前記テスト画像の濃淡に基づいてノズルからの吐出不良の有無のみを判別する解析部と
を備え、
前記テスト画像を構成するドットのドット占有率が20%以上60%以下の値であ
り、
前記解析部は、前記ハーフトーン画像から、前記読取部により判別可能な複数のノズルに対応した読取領域毎にインクの吐出不良を起こしているノズルがあるか否かを判別する
ことを特徴としている。
請求項2記載の発明は、請求項1記載のインクジェット記録装置において、前記読取部は、前記テスト画像を前記複数のノズルのノズル配列に対応する解像度よりも低い解像度で読み取ることを特徴とする。
【0009】
請求項
3記載の発明は、請求項1
又は2記載のインクジェット記録装置において、
前記画像形成制御部は、前記記録媒体上における通常の画像の形成領域外に前記テスト画像を形成させることを特徴としている。
【0010】
請求項
4記載の発明は、請求項
3記載のインクジェット記録装置において、
前記記録媒体を所定の搬送方向に搬送する搬送部を備え、
前記通常の画像は、前記テスト画像とは異なる検査用途に係る他の検査用画像であり、
当該検査用画像は、前記搬送方向と直交する方向に分割された複数のブロックごとに当該複数のブロックと同数形成され、
前記解析部は、前記テスト画像により前記ブロックごとに前記ノズルからの吐出不良の有無を判別する
ことを特徴としている。
【0011】
請求項
5記載の発明は、請求項
3又は
4記載のインクジェット記録装置において、
前記画像形成制御部は、前記通常の画像と、当該通常の画像の形成に用いられるインクによる前記テスト画像とを前記記録媒体の同一面に出力させることを特徴としている。
【0013】
請求項
6記載の発明は、請求項1〜
5の何れか一項に記載のインクジェット記録装置において、
前記記録媒体を所定の搬送方向に搬送する搬送部を備え、
前記テスト画像の前記搬送方向への長さは、前記ハーフトーン画像の単位長さの50%以上100%未満であることを特徴としている。
【0014】
請求項
7記載の発明は、請求項1〜
6の何れか一項に記載のインクジェット記録装置において、
前記画像形成制御部は、前記解析部により前記テスト画像にインク吐出不良が有ると判別された場合に、当該インク吐出不良に係る不良ノズルを特定するための不良ノズル特定画像を出力させ、
前記解析部は、前記読取部によって読み取られた当該不良ノズル特定画像を解析して前記不良ノズルを特定する
ことを特徴としている。
【0015】
請求項
8記載の発明は、請求項
7記載のインクジェット記録装置において、
前記解析部により特定された前記不良ノズルを記憶する不良ノズル記憶部を備え、
前記解析部は、前回の前記不良ノズル特定画像から検出されて記憶された前記不良ノズルと、今回検出された不良ノズルとを比較して新たな不良ノズルを同定する
ことを特徴としている。
【0016】
請求項
9記載の発明は、請求項
7又は
8記載のインクジェット記録装置において、
前記画像形成制御部は、前記特定された不良ノズルのインク吐出範囲に係る所定の近接範囲内にあるノズルによるインクの吐出量及び吐出頻度のうち少なくとも何れか一方を調整して、前記不良ノズルの影響を補間しながら前記テスト画像を出力させることを特徴としている。
【0017】
請求項
10記載の発明は、請求項
7〜
9の何れか一項に記載のインクジェット記録装置において、
前記画像形成制御部は、前記解析部により前記テスト画像から新たにインクの吐出不良が検出された場合に、当該吐出不良が検出された範囲内のノズルのうち何れかが通常の画像の形成に使用されたか否かを判別し、使用されていないと判別された場合には、前記不良ノズル特定画像を形成させずに次の通常の画像の形成を行わせることを特徴としている。
【0018】
請求項
11記載の発明は、請求項1〜
9の何れか一項に記載のインクジェット記録装置において、
前記画像形成制御部は、前記記録媒体上に形成される通常の画像で使用されるインクのみを用いて前記テスト画像を出力させることを特徴としている。
【0019】
請求項
12記載の発明は、請求項1〜
11の何れか一項に記載のインクジェット記録装置において、
前記記録媒体を所定の搬送方向に搬送する搬送部を備え、
前記複数のノズルは、前記記録媒体における前記搬送方向に直交する方向の長さに対して部分的に重複して配置されており、
前記画像形成制御部は、前記記録媒体の搬送方向に直交する方向の各位置でインクの吐出量が略均等となるように前記複数のノズルからのインク吐出量を調節して前記テスト画像を形成させる
ことを特徴としている。
【0020】
請求項
13記載の発明は、請求項1〜
12の何れか一項に記載のインクジェット記録装置において、
前記画像形成制御部は、前記複数のノズルのシェーディング特性が補正された前記テスト画像を出力させることを特徴としている。
【0021】
請求項14記載の発明は、
複数のノズルから各々インクを吐出させて記録媒体上に画像を形成するインクジェット記録装置における前記複数のノズルのインク吐出不良の検出方法であって、
前記複数のノズルからインクを吐出させて、単一の所定濃度のハーフトーン画像をテスト画像として出力させる画像形成制御ステップ、
読取部により前記テスト画像を読み取る読取ステップ、
読み取られた前記テスト画像の濃淡に基づいてノズルからの吐出不良の有無のみを判別する解析ステップ、
を含み、
前記テスト画像を構成するドットのドット占有率が20%以上60%以下の値であり、
前記解析ステップは、前記ハーフトーン画像から、前記読取部により判別可能な複数のノズルに対応した読取領域毎に吐出不良を起こしているノズルがあるか否かを判別する
ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0022】
本発明に従うと、インクジェット記録装置において、記録媒体を無駄にせず容易且つ速やかにノズルからのインク吐出不良の有無を検査することが出来るという効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態のインクジェット記録装置100の全体構成を示す図である。また、
図2は、インクジェット記録装置100の内部構成を説明するブロック図である。
【0025】
このインクジェット記録装置100は、搬送部11と、インクジェットヘッド12と、画像読取部13(読取部)と、制御部14(画像形成制御部、解析部)と、操作表示部15などを備える。
【0026】
搬送部11は、搬送ベルト112と、搬送ベルト112を周回移動させる搬送モーター111などを備える。搬送ベルト112上に配置された記録媒体Pは、搬送モーター111の回転動作により所定の搬送方向に移動する。或いは、搬送部11は、円筒状の搬送ドラムを回転させることで、当該搬送ドラムの表面に配置された記録媒体Pを回転方向に移動させる構成であっても良い。
【0027】
インクジェットヘッド12は、記録媒体Pの搬送面に対向して開口部が配列された複数のノズルと、駆動回路121と、インク吐出部122とを有する。インクジェットヘッド12では、制御部14からの制御信号に基づいて駆動回路121から出力される駆動電圧によりインク吐出部122が動作することで、複数のノズルの開口部からタイミング制御されてインクが吐出される。この吐出されたインクが搬送される記録媒体P上に着弾して画像が形成される。このインクジェットヘッド12は、特には限られないが、ここでは、ラインヘッドであり、搬送方向に垂直な幅方向に対し、記録媒体Pの画像形成可能な幅に亘ってインクを吐出可能にノズルが配列されている。また、この複数のノズルは、例えば、Y(イエロー)、M(マジェンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の4色のインクをそれぞれ独立に吐出可能に設けられている。
【0028】
図3は、インクジェットヘッド12における記録媒体Pとの対向面(底面)を示す底面図である。
このインクジェットヘッド12には、複数のヘッドモジュール120が幅方向に千鳥配置で配列されている。これらのヘッドモジュール120には、それぞれ複数のノズルが配列されており、各々幅方向端部に設けられたノズルは、他のヘッドモジュール120の幅方向端部に設けられたノズルと幅方向の位置が重複するように配置されている。このような配置により、全体として幅方向に切れ目無くインクが吐出可能となっている。各色のインクを吐出するノズルは、例えば、幅方向に1200dpi(dot per inch)でそれぞれ配列されており、即ち、隣接するノズルの幅方向の間隔(ピッチ)は、約21μmである。一つのノズルから吐出されるインクの液滴が記録媒体Pに着弾することによって形成されるドット(着弾範囲)の大きさ(直径)は、ここでは、約60μmである。即ち、隣接するノズルから吐出されるインクの記録媒体P上における着弾範囲は、互いに重複する。
【0029】
画像読取部13は、記録媒体Pの搬送面に対向し、その搬送方向についてインクジェットヘッド12の下流側に配置されたイメージセンサー131を有する。
このイメージセンサー131は、例えば、光電変換を用いた撮像素子であるCCD(Charge Coupled Device)やCMOSセンサーが記録媒体Pの幅方向に亘り複数個配列されて一次元画像が取得されるラインセンサーである。また、カラー(CMYK)出力可能なインクジェットヘッド12に対応し、形成画像を複数の波長成分ごと、例えば、R(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)の3波長でそれぞれ取得可能となっている。
このイメージセンサー131の各撮像素子による読み取り解像度(画素配列)は、例えば、幅方向に600dpiである。また、イメージセンサー131は、このインクジェット記録装置100における通常の記録媒体Pの搬送速度に対して搬送方向に300dpiでの読取データを制御部14に出力可能となっている。即ち、このイメージセンサー131は、ノズルの配列に対応する解像度で画像を取得するものではない。
【0030】
制御部14は、
図2に示すように、メモリー141、CPU(Central Processing Unit)142、ROM(Read Only Memory)143、RAM(Random Access Memory)144などを備え、これらがそれぞれバス145に接続されて、インクジェット記録装置100の各部の間でデータのやり取りが可能に構成されている。また、制御部14は、通信部16を介して外部のプリントサーバーやパーソナルコンピューター(PC)といった電子計算機や記憶デバイスと接続され、プリントジョブや印刷対象の画像データなどの送受信を行う。
【0031】
メモリー141は、外部のコンピューターや記憶デバイスから入力された印刷対象の画像データを一時的に記憶する。メモリー141には、インクジェットヘッド12の複数のノズルのうち検査により吐出不良と同定されたノズル(不良ノズル)の位置データ及びその補間設定がテーブル記憶された不良ノズル記憶部141aが含まれている。
【0032】
CPU142は、インクジェット記録装置100の全体動作を統括制御し、各種演算処理を行う。CPU142は、ROM143から読み出されたプログラムに従って搬送部11、インクジェットヘッド12及び画像読取部13に制御信号を出力し、画像形成に係る各種処理を行う。ここで、このCPU142は、1つのプロセッサーが集中制御することとしても良いし、搬送部11による記録媒体Pの搬送制御やインクジェットヘッド12の駆動制御といった各種制御処理にそれぞれ特化した個別のプロセッサーを備えるものであっても良い。
【0033】
ROM143には、画像形成に係る制御プログラムや初期設定データが格納されている。インクジェット記録装置100の動作時には、CPU142が制御プログラムを読み出してRAM144上で実行したり、初期設定データを参照したりする。この初期設定データには、ノズル検査や調整の内容に応じたテスト画像データ143aが含まれる。
【0034】
RAM144は、CPU142に作業用のメモリー空間を提供し、一時データを記憶する。また、イメージセンサー131により撮像された検査用画像のデータは、RAM144に一時記憶されて、当該撮影されたテストチャートに対応する検査、例えば、インクの吐出不良に係るノズルの検出に用いられる。
【0035】
操作表示部15は、CPU142からの制御信号に応じた表示を行わせる表示パネルと、外部からの入力操作を受け付ける操作キーとを備える。表示パネルは、特に限られないが、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)である。また、操作キーの代わりに、或いは、操作キーと共に、LCDのパネルに積層配置されたタッチセンサーを備えてタッチパネルとして用いることで、表示と操作受付とを併用する構成であっても良い。
【0036】
次に、本実施形態のインクジェット記録装置100におけるノズルのインク吐出不良検査の動作内容について説明する。
本実施形態のインク吐出不良検査では、先ず、インク吐出不良の有無を検出する吐出不良検出動作が行われ、インク吐出不良が検出された場合に必要に応じて、インク吐出不良を起こしているノズルを特定する不良ノズル特定動作が行われる。
【0037】
図4は、本実施形態の吐出不良検出動作に係るテスト画像が含まれる形成画像の例を示す図である。
【0038】
図4(a)に示すように、プリントジョブに係る画像形成対象の画像(通常の画像)を形成する範囲として設定された領域(通常の画像の形成領域)の先端及び末尾には、余白領域(通常の画像の形成領域外)が設けられる。そして、これらの余白領域のうち何れか、ここでは、先頭の余白領域にCMYK各色のインクについてそれぞれインク吐出不良の有無に係る検査を行うためのテスト画像である欠変化チャートC21〜C24が形成される。これらの欠変化チャートC21〜C24は、インクジェットヘッド12における各色のインクを吐出するノズルが配置された幅に対応して各々幅方向に帯状に形成される。
【0039】
図4(b)には、
図4(a)におけるテスト画像の一部を拡大して示す。
この欠変化チャートC21〜C24のテスト画像には、各色のインクでそれぞれ所定の濃度(階調)のハーフトーン画像が用いられる。このハーフトーンの階調は、例えば、256階調の各色を表現するための単位領域として設定される256ドット(単位長さ)×256ドットの領域におけるドット占有率として定義する。つまり、ドット占有率30%とは、256×256ドットを構成する画素(65536画素)のうち、19660画素が占有されていることを意味する。ハーフトーンの種類としては、ディザ法や誤差拡散法などの様々なハーフトーン画像を適用可能である。
ハーフトーン画像に係るインクの吐出有無は、このハーフトーン画像の搬送方向における濃度の積算値に基づいて定められる。このようにすることで、面積で階調を表現するハーフトーンパターンの情報と濃度情報とをほぼ同等の情報として捉えることが出来る。これらの欠変化チャートのデータは、ROM143のテスト画像データ143aから読み出され、各ノズルからハーフトーンパターンで指定される位置にインクが順番に吐出されてハーフトーン画像が形成される。また、このハーフトーンパターンとしては、理想的には、公知のノズル欠補正、シェーディング補正などが施されているものが好ましい。これにより、後述するイメージセンサー131は、ノズル欠損の情報や液量のばらつきの情報などを考慮せずに、吐出不良を起こしているノズルがあるか否かを判別することが出来る。
即ち、インクジェット記録装置100では、印刷する画像データの階調値が同じであっても各ノズルから吐出される液適量にばらつきが生じる。ノズルごとの吐出量のばらつきは、形成画像の濃度にばらつきを生じさせる。この濃度のばらつきをなくすために、各ノズルに対して濃度を均一化する補正であるシェーディング補正が実施される。具体的には、ノズルごとのばらつきに応じてノズルからのインク吐出量を調整する。
【0040】
インクジェット記録装置100では、このハーフトーン画像から、吐出された個々のインク液滴によるドットではなく、イメージセンサー131により判別可能な各読取領域(読取範囲)における濃度の代表的な値を求める。そして、これら読取領域間での濃淡が検出されて、各読取領域にインクの吐出不良を起こしているノズルがあるか否かを判別する。
【0041】
このとき、インク吐出不良の検出では、今回の画像における各読取領域の濃度と、前回の吐出不良検出動作に係る画像における各読取領域の濃度との差分を取ることとしても良い。この場合には、既に吐出不良が発生しているノズルに係るインク吐出の補間を行った状態の欠変化チャートC21〜C24の画像形成を行わせることが出来る。
一方、インク吐出の補間を行わないで欠変化チャートC21〜C24の画像形成を行わせることも出来る。この場合、今回の濃淡異常検出位置と前回の濃淡異常検出位置とを比較して、新たな異常発生箇所及び異常の態様が変化した箇所についてのみ不良ノズル特定動作を行っても良い。
【0042】
ハーフトーン画像の濃度及び各ハーフトーン画像の搬送方向への長さとしては、上記の検出方法に適したものが選択される。
図5は、256階調の濃度の中から選択された16階調の各濃度で形成したハーフトーン画像と、当該16階調の各濃度に対してそれぞれ1ノズル欠けを発生させたハーフトーン画像を形成した場合とのコントラスト(階調差)を示す図である。ここで、横軸は、正規化されたインクの付着量(ドット占有率)、即ち、全てのノズルのうちインクを吐出したノズルの割合を示す。本実施形態では、横軸の値「1」は、ドット占有率が100%であることを表しており、インク量8.6ml・m
−2に相当する。
【0043】
ハーフトーン画像におけるドット占有率と濃度とは、実際には、単純に比例しない。ドット占有率が低い場合(低階調)や高い場合(高階調)と比較して、ドット占有率が中間の値の場合には、ノズル欠けが生じた場合における濃度の変化が大きく現れる。ここでは、ドット占有率が20%〜60%程度の場合、より好ましくは、30%程度の場合に、ノズル欠け部分と正常部分とのコントラストが大きく生じ、本実施例で使用しているスキャナーの256階調における13〜15階調程度の差となっていることが分かる。即ち、インクの着弾していない記録媒体面が残る場合や、インクの着弾範囲の重複部分が多い場合には、コントラストの差が生じ難い。従って、ここでは、ドット占有率が30%のハーフトーン画像が用いられる。この20%〜60%程度のドット占有率では、濃度が120〜200階調の高階調側に寄ったハーフトーン画像が形成される。この対応関係は、吐出されるインクのドット径に大きく依存する。例えば、ドット径が本実施例のものより大きい場合には、高濃度の部分では、ドット同士の重なる領域が本実施例の場合と比較して多くなる。このような場合、コントラストが最も高くなるドット占有率の範囲は、
図5で示した範囲よりもドット占有率が低い側にシフトする。
【0044】
一方、画像読取部13におけるノズル欠け検出に係る処理では、各読取領域のハーフトーン画像の大きさは、記録媒体Pの搬送方向への長さに比例し、各読取領域のハーフトーン濃度の代表値のばらつきは、当該長さの増加に従って減少する。
【0045】
図6は、1ノズル欠けの検出に対する欠変化チャートの長さの影響を示す図表である。
上述のように、本実施例では、256×256ドットで構成されたディザマトリクスを使用しており、一辺あたりの長さは、約5.4mmである。この長さは、搬送方向に300dpiで画像を取得するイメージセンサー131において64画素分に相当する。
この
図6に示すように、このハーフトーン画像では、140ドット(ハーフトーンパターンの単位長さに対して140/256)、即ち、35画素以上の長さがあれば、十分なコントラストが得られる(○)。一方で、120ドット(ハーフトーンパターンの単位長さに対して120/256)、即ち、30画素の長さのハーフトーン画像では、若干コントラストが低下する(△)結果が得られている。従って、単位領域長さ(ハーフトーン画像の単位長さ)の1/2周期(約2.7mm)分程度の長さでハーフトーン画像が形成されることが望ましい。一方、ハーフトーン画像の長さを延ばしていっても、コントラストが更に大きくなる訳では無い。
但し、これは、ディザ法に限らず、誤差拡散法でも適用可能である。なぜならば、このハーフトーン周期は、結局、所定のドット占有率におけるハーフトーンパターンの空間周波数に影響を受けるからである。その場合でも同様に、搬送方向の長さとそのコントラストとの関係から最適な搬送方向の長さを算出するのが望ましい。
【0046】
ここで、ハーフトーン画像におけるドット占有率が30%とは異なる場合には、十分なコントラストを得るために必要な長さも異なるので、適切に設定される。具体的には、ドット占有率が30%よりも低い場合には、必要な長さを大きくする。但し、ドット占有率が低過ぎると、余白領域の大きさに比較して必要な長さが大きくなり過ぎるので、ドット占有率は、この点も考慮して適切な範囲内、例えば、必要な長さが単位領域長さを超えない範囲で設定される。
1ノズル欠け領域と正常なインク吐出領域との間の階調差(コントラスト)は、
図5で示したように、ドット占有率により定まる。しかしながら、形成されたハーフトーン画像のサイズ、ハーフトーンのパターン、及びハーフトーンの濃度に応じて、各ノズルからのドット占有率(吐出回数)は、多くの場合で、正確に等しい値とはならない。ハーフトーン画像の形成にディザ法や誤差拡散法が用いられた場合には、搬送方向の長さ(ハーフトーン周期)によってノズルごとにドット数の差が生じ得る。この影響は、各ノズルのインク吐出回数が多くなるのに従って、即ち、ハーフトーン画像が長くなるのに従って(反比例して)相対的に小さくなり、無視可能になる。
図5の結果では、30%のドット占有率に対して140ドット、即ち、各ノズルから47回程度のインク吐出がなされることで、インク吐出の回数が増減しても、求められるコントラストには影響が生じないことを示している。また、搬送方向への長さを更に延ばした場合、このインク吐出回数に係るコントラストの改善効果は小さくなり、一方で、画像形成領域が広くなって余計に記録媒体を消費するので、ハーフトーン画像の長さは、必要以上に長いよりも、適切な値で留める方が好ましい。
【0047】
本実施形態の欠変化チャートを用いたハーフトーン画像の解析では、イメージセンサー131で撮影されたテスト画像の各画素値が各読取領域で積分、平均化された階調値と、背景値としてメディアンフィルターを用いて当該読取領域より広い範囲で取得された値とを比較する。このメディアンフィルターでは、解析対象の読取領域を中心として幅方向に所定数の読取領域で得られた階調値のメディアン(中央値)を取得する。そして、本実施形態の解析では、各画素列の階調値が背景値よりも所定の基準値以上小さい場合に、当該画素が含まれる領域にノズル欠けが生じていると判断する。
【0048】
背景値としてメディアンを求めるための読取領域数(タップ数)は、適宜定められる。タップ数が大きくなるに従ってメディアンの精度が上がり、より確実にノズル欠けが検出可能となる一方で、計算時間が増大する。従って、タップ数は、記録媒体Pの搬送速度、読取データの転送速度やCPU142の計算速度や負荷などに応じて可能な範囲で精度が良くなるように設定される。ここでは、例えば、タップ数として20が設定される。
【0049】
なお、背景値を求めるためのノイズ除去フィルターとしては、メディアンフィルターに限られない。メディアンフィルターは、一般的に、一ノズル欠けのような局所的な大きな変化の検出が精度良く行われるが、他のフィルター、例えば、移動平均値や空間周波数フィルター(低域通過フィルターなど)を用いても検出を行うことが可能である。
【0050】
図7は、本実施形態の制御部14により実行される補正設定処理の制御手順を示すフローチャートである。
【0051】
この補正設定処理は、インク吐出不良検査及び特定された不良ノズルが吐出するはずのインク吐出量を補間するための設定を行う処理であり、所定の間隔、例えば、各記録媒体Pに画像が形成されるごとに毎回自動的に実行される。
【0052】
補正設定処理が開始されると、先ず、制御部14(CPU)は、欠変化チャートに係るハーフトーン画像の不良検出がなされていない状態であるか否かを判別する(ステップS11)。ハーフトーン画像の不良検出がなされていない状態である、即ち、前回までの補正設定処理でインク吐出不良の検出がなされていない又は検出されたインク吐出不良部分の補間設定が既に行われていると判別された場合には(ステップS11で“YES”)、制御部14は、今回取得されたハーフトーン画像を解析してインク吐出不良の検出を行う(ステップS12)。
【0053】
制御部14は、インク吐出不良が検出されたか否かを判別する(ステップS13)。吐出不良が検出されなかったと判別された場合には(ステップS13で“NO”)、制御部14による処理は、そのまま終了する。吐出不良が検出されたと判別された場合には(ステップS13で“YES”)、制御部14は、欠位置特定チャートを出力する命令を行う(ステップS14)。そして、制御部14は、補正設定処理を終了する。
【0054】
一方、ステップS11の判別処理で、ハーフトーン画像の不良検出がなされていない状態ではないと判別された場合には(ステップS11で“NO”)、制御部14は、ハーフトーン画像においてインク吐出に係る不良検出がなされているか否かを判別する(ステップS21)。ハーフトーン画像においてインク吐出に係る不良検出がなされているのではないと判別された場合には(ステップS21で“NO”)、その他の異常状態であり、制御部14の処理は、当該異常に対応する処理に移行する。
【0055】
ハーフトーン画像においてインク吐出に係る不良検出がなされている状態である、即ち、前回までの補間設定処理でインク吐出不良が検出されて未だ補間設定がなされていないと判別された場合には(ステップS21で“YES”)、制御部14は、ステップS14で出力された命令に基づいて画像形成がなされた欠位置特定チャートのイメージセンサー131による撮像データを読み込む(ステップS22)。この欠位置特定チャート(不良ノズル特定画像)は、ノズル毎に梯子状や格子状にインクを吐出させた周知のテスト画像であり、従来と同様にドット欠け位置を特定するためのものである。欠位置特定チャートは、テスト画像データ143aに含まれて予め設定記憶されている。
【0056】
制御部14は、読み込まれた欠位置特定チャートの撮像データを解析して、インク吐出不良に係るドット欠位置を特定する(ステップS23)。また、制御部14は、このドット欠け位置からインクの吐出不良を起こしている不良ノズルを同定する。制御部14は、特定されたドット欠位置におけるインク付着量を補間する設定を行う(ステップS24)。制御部14は、不良ノズルに近接するノズルのインク吐出量を変更することで、この補間を行う。或いは、インク吐出量の変更設定のみではインク付着量の異常を解消出来ない場合には、制御部14は、画像形成動作を中止させ、操作表示部15にクリーニング動作やインクジェットヘッドの交換を促す表示を行わせることも出来る。そして、制御部14は、補正設定処理を終了する。
【0057】
なお、ノズルからのインク吐出不良が検出された場合、制御部14は、ステップS13の判別処理において、当該検出がなされた記録媒体Pについてインク吐出不良が検出されたノズルが含まれる領域及びインク色で通常の画像の形成が行われているか否かを判別し、画像形成が行われていない場合には、問題無しとしてステップS14の処理に移行しないこととしても良い。
【0058】
図8は、本実施形態の吐出不良検出動作に係るテスト画像が含まれる形成画像の他の例を示す図である。
【0059】
この欠変化チャートのテスト画像は、他のテスト画像(検査用画像)、ここでは、例えば、階調補正処理に係るテストチャートと同一の記録媒体P上に形成されている。このテスト画像は、幅方向に同一のテストチャートC31〜C36が6列並列に形成されており、その上部の余白領域に幅方向に亘って欠変化チャートC21〜C24の画像形成がなされている。
【0060】
この実施形態では、欠変化チャートにおいてテストチャートC31〜C36の幅方向の範囲にそれぞれ対応する各ブロックR31〜R36の撮像データが解析されて、当該ブロックR31〜R36にそれぞれインク吐出不良を生じている不良ノズルが含まれているか否かを判別する。そして、ブロックR31〜R36のうち、4色のインクに係る欠変化チャートC21〜C24の何れにも不良ノズルが含まれずに正常な画像形成がなされたブロックの何れかに対応するテストチャートC31〜C36を選択して用いることで、階調補正処理が行われる。
【0061】
図9は、制御部14により実行される階調補正処理の制御手順を示すフローチャートである。
【0062】
この階調補正処理において、欠位置特定チャートに係るステップS14及びステップS22〜S24の処理は、補正設定処理における処理と同一であり、同一の符号を付して詳しい説明を省略する。
【0063】
階調補正処理が開始されると、先ず、制御部14は、欠変化チャートに係るハーフトーン画像で、ブロックR31〜R36のうち、画像の不良が検出されていないブロックがあるか否か、即ち、前回までの階調補正処理でブロックR31〜R36の少なくとも一つにおいて、インク吐出不良が検出されていないか又は検出されたインク吐出不良が既に補間設定されているかを判別する(ステップS31)。ブロックR31〜R36のうち画像の不良が検出されていないブロックがあると判別された場合には(ステップS31で“YES”)、制御部14は、今回取得されたハーフトーン画像にブロックR31〜R36の範囲を設定する(ステップS32)。次いで、制御部14は、設定されたこれらのブロックR31〜R36のそれぞれについて、インクの吐出不良に係る画像の不良を検出する(ステップS33)。
【0064】
制御部14は、全てのブロックR31〜R36において画像の不良が検出されたか否かを判別する(ステップS34)。全てのブロックR31〜R36において画像の不良が検出されたと判別された場合には(ステップS34で“YES”)、制御部14の処理は、ステップS14に移行する。
【0065】
全てのブロックR31〜R36において画像の不良が検出されてはいないと判別された場合には(ステップS34で“NO”)、制御部14は、画像の不良が検出されなかったブロックに対応するテストチャート、即ち、階調補正チャートのうち1つを所定の方法で選択し、当該選択されたテストチャートを用いて階調補正を行う(ステップS36)。テストチャートの選択方法は、適宜定めることが出来る。例えば、制御部14は、インク吐出に係る画像の不良が検出されなかった最も左側(ブロックR31の側)のブロックに対応するテストチャートを選択することが出来る。階調補正が終了すると、制御部14は、階調補正処理を終了する。
【0066】
ステップS31の判別処理で、ブロックR31〜R36のうち画像の不良が検出されていないブロックがないと判別された場合には(ステップS31で“NO”)、制御部14は、全てのブロックR31〜R36でインクの吐出不良が検出されている状態であるか否かを判別する(ステップS41)。
全てのブロックR31〜R36でインクの吐出不良が検出されている状態ではないと判別された場合には(ステップS41で“NO”)、その他の異常に係る状態であり、制御部14は、当該異常に対応した処理を行う。
【0067】
全てのブロックR31〜R36で吐出不良が検出されている状態であると判別された場合には(ステップS41で“YES”)、制御部14の処理は、ステップS22に移行する。この場合には、制御部14は、ステップS22〜S24の処理でノズル欠けの補間設定を行って一度階調補正処理を終了した後に、再度階調補正処理を開始するように制御することが出来る。
【0068】
以上のように、本実施形態のインクジェット記録装置100は、画像読取部13と、制御部14とを備える。制御部14は、複数のノズルからインクを吐出させて、所定濃度のハーフトーン画像を欠変化チャートとして出力させ、画像読取部13により読み取られたこの欠変化チャートの濃淡に基づいてノズルからの吐出不良の有無を判別する。従って、毎回不良ノズル特定チャートを出力しなくても容易且つ速やかにノズルからの吐出不良の有無に係る検査を行うことが出来る。これにより、検査のためのインク吐出量やテスト画像の形成に必要な記録媒体Pの面積を節約することが出来る。また、通常では、ノズルからの吐出不良の有無の検出のみを行うので、煩雑な処理を必要とせず、従って、CPU142の負荷を上げずに高速且つ簡便に判別処理を行うことが出来る。
【0069】
また、制御部14は、記録媒体P上における通常の画像の形成領域外、即ち、余白領域に欠変化チャートを形成させるので、欠変化チャートのために不要に記録媒体Pを消費する必要が無い。また、ユーザーは、全ての記録媒体Pに対応付けて容易にインク吐出不良の有無を知得することが出来る。
【0070】
また、通常の画像として、欠変化チャートとは異なる検査用途に係る他のテストチャートを搬送部11による搬送方向と直交する幅方向に分割された複数のブロックごとに複数個形成し、制御部14によりノズル吐出不良が無いと判別されたブロックのうちの何れかに形成されたテストチャートを用いて検査を行うことが出来る。従って、記録媒体Pを無駄にせずに、容易且つインク吐出不良の影響を受けない確実な検査を行うことが出来る。
【0071】
また、通常の画像と、この通常の画像の形成に用いられるインクによる欠変化チャートとを記録媒体Pの同一面に出力させるので、通常の画像には影響を与えずに、不良ノズルが生じたときに問題の生じた記録媒体Pを速やかに知得して、容易に当該記録媒体Pのみを廃棄したり、補間設定後などに再度の画像形成を行わせたりすることが出来る。
【0072】
また、ノズル欠チャートの画像形成に係るドット占有率を20%以上60%以下とすることで、ノズル欠けによるインク吐出量変化に応じてコントラスト良く濃度の変化を行わせてより精度良く検出を行うことが出来る。
【0073】
また、ノズル欠チャートに係るハーフトーン画像は、その単位長さの50%以上100%未満とすることで、コントラストを低下させない範囲で使用する紙幅を抑えて効率良く不良ノズルの有無の検出を行うことが出来る。
【0074】
また、ノズル欠チャートの解析によりインク吐出不良が有ると判別された場合に、別途欠位置特定チャートを出力させて、画像読取部13により読み取られた画像に基づいて不良ノズルを特定する。即ち、実際に欠位置特定チャートにより特定される不良ノズルがある場合にのみ欠位置特定チャートを出力させるので、無駄に記録媒体Pを消費せずに、通常では、インク吐出不良の有無だけを確認することが出来る。
【0075】
また、特定された不良ノズルを記憶する不良ノズル記憶部141aを備え、前回の不良ノズル特定画像から検出されて記憶された不良ノズルと、今回検出された不良ノズルとを比較することで、新たに生じた不良ノズルを同定する。従って、補間処理で対応可能なノズルについては、一度補間設定が行われた後には、対応する必要がないと同時に、新しく生じた不良ノズルに係る補間設定を、既に検出されている不良ノズルや補間設定の影響を考慮しながら容易に行うことが出来る。
【0076】
また、特定された不良ノズルのインク着弾範囲が重複するような所定の近接範囲内にあるノズルによるインクの吐出量及び吐出頻度のうち少なくとも何れか一方を調整して、不良ノズルの影響を補間しながら欠変化チャートを出力させるので、実際のインクの吐出制御に即して不良ノズルの影響が出ているか否かを検査することが出来る。
【0077】
また、欠変化チャートから新たにインクの吐出不良が検出された場合に、その吐出不良が検出された範囲内のノズルのうち少なくとも何れかが通常の画像の形成に使用されたか否かを判別し、使用されていないと判別された場合には、欠位置特定チャートを形成させずに次の通常の画像の形成を行わせる。従って、新たにインクの吐出不良が検出された場合であっても、当該検出がなされた画像の質に全く影響を及ぼさない範囲での吐出不良の場合には、そのまま通常の画像形成を中断せずに続行するので、ユーザーに不要な待ち時間を与えずに画像形成に係る処理を速やかに進めることが出来る。
【0078】
また、欠変化チャートは、記録媒体P上に形成される通常の画像で使用されるインクのみを用いて出力させることとするので、画像形成に用いられない検査まで毎回行うことによる無駄なインクの消費や検査時間の浪費を抑えることが出来る。
【0079】
また、複数のヘッドモジュール120の底面に各々形成されたノズル孔は、千鳥配置で隣接するヘッドモジュール120の両端のノズルが重なるように配置されており、全てのノズルから等量インクを吐出させると幅方向における当該位置のインク濃度が濃くなる構成である。従って、欠変化チャートの画像形成の場合にも、当該重なる位置のインク濃度が他の複数のノズル位置が重ならない部分のインク濃度と等しくなるように各ノズルからのインク吐出量を予め制御しておく。これにより、やはり実際の画像形成に係るインクの吐出に即しながら容易にインク吐出不良を検出することが出来、また、困難なく複数のヘッドモジュール120をインクジェットヘッド12に取り付け配置することが出来る。
【0080】
また、複数のノズルに係るシェーディング特性が補正されたテスト画像を出力させてインク吐出不良の検出を行うので、各ノズルのインク吐出量のばらつきを考慮せずに容易にノズルからのインク吐出不良の検出を行うことが出来る。
【0081】
インクジェット記録装置100における複数のノズルのインク吐出不良の検出に際し、上述のように、ハーフトーン画像を形成して、撮影されたこのハーフトーン画像の濃淡に基づいてノズルの吐出不良の有無を判断するので、精密且つスペースや手間のかかる検査用の画像である不良ノズル特定画像を用いずに、画像が形成された各記録媒体Pに対して容易にノズル吐出不良の有無を知得することが出来る。
【0082】
なお、本発明は、上記実施の形態に限られるものではなく、様々な変更が可能である。
例えば、上記実施の形態では、欠変化チャートを記録媒体Pの先頭の余白領域に形成することとしたが、これに限られず、末尾の余白領域などに形成しても良い。
また、記録媒体Pの両面に画像形成を行う場合には、まとめて一箇所、例えば、裏面の末尾に形成することで、一括して検査を行うこととしても良い。また、両面の画像形成の向きが反転する場合であって、当該両面に欠変化チャートを形成する場合には、表裏の略同一位置に欠変化チャートが形成されるように、それぞれ記録媒体の先頭の余白領域と末尾の余白領域とに欠変化チャートが出力される設定としても良い。
【0083】
また、上記実施の形態では、ラインヘッドのインクジェットヘッド12を例に挙げて説明したが、シリアルヘッドのインクジェットヘッドを有するインクジェット記録装置であっても本発明を適用することが出来る。
【0084】
また、上記実施の形態では、CMYK4色のインクを備え、これら4色のインクに対して各々欠変化チャートを形成することとしたが、これに限られない。インクの色の数は異なっても良い。また、常に4色のインクについて欠変化チャートを形成する必要は無く、例えば、当該欠変化チャートが形成される記録媒体上に形成される通常の画像で用いられる色のインクについてのみ、欠変化チャートを形成することとしても良い。
【0085】
また、CMYKのインクで形成された画像をイメージセンサー131によりRGBの波長で撮像する場合、YとCとでは、分光特性が異なるので、共通の欠変化チャートを形成してそれぞれの波長で個別に撮像を行うこととしても良い。
【0086】
また、上記実施の形態では、通常の画像を形成したり他のテストチャートを画像形成したりする記録媒体Pに欠変化チャートを形成する場合について説明したが、他の場合、例えば、専用のテスト用紙に欠変化チャートを形成する場合であっても、当該テスト用紙のサイズを変更したり形成された欠変化チャートを消去することで再利用可能なテスト用紙を用いたりする場合には、テスト用紙の必要量を軽減しながら容易且つ確実にノズルの吐出不良を検出することが出来る。
【0087】
また、上記実施の形態では、吐出不良ノズルに係る画像の不良が検出された場合や、その後更に当該画像の不良が検出された読取領域で当該インクが使用される場合に欠位置特定チャートを出力することとしたが、その他の場合、例えば、画像の不良が検出された読取領域で当該インクが使用されないままプリントジョブが途切れて待機状態に移行する前などにも欠位置特定チャートを出力させることが可能である。一方、他のテストチャートと共に出力される場合には、全ての読取領域で画像の不良が検出された場合に限らず、一部の読取領域で画像の不良が検出された場合であっても、当該テストチャートに係る補正処理が終了した後に欠位置特定チャートを出力させて、ノズル欠の補間に係る設定を行っても良い。
その他、上記実施の形態で示した構成、構造、制御手順や数値などの具体的な細部は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。