(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記動作判断部は、前記監視対象者の水平方向の位置が第1の領域に含まれ、かつ前記監視対象者の鉛直方向の最も高い位置が第1の所定値以下の場合に、前記監視対象者が臥位状態であると判断する、請求項1記載の監視装置。
前記動作判断部は、前記監視対象者の水平方向の位置が前記第1の領域に含まれ、かつ前記監視対象者の鉛直方向の最も高い位置が前記第1の所定値を超える場合に、前記監視対象者が座位状態であると判断する、請求項2記載の監視装置。
前記動作判断部は、前記監視対象者の水平方向の位置が前記第1の領域および前記第2の領域の両方を除く領域である第3の領域に含まれ、かつ前記監視対象者の鉛直方向の最も高い位置が第1の所定値以下の場合に、前記監視対象者が転倒状態であると判断する、請求項4記載の監視装置。
前記動作判断部は、前記監視対象者の水平方向の位置が前記第3の領域に含まれ、かつ前記監視対象者の鉛直方向の最も高い位置が前記第1の所定値を超える場合に、前記監視対象者が立位状態であると判断する、請求項7記載の監視装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の装置では、居住者がベッドに寝るような行動をした場合にも、居住者の高さ情報の時間あたりの変化に基づいて居住者が転倒したと判断してしまう。
【0005】
さらに、居住者が実際に転倒した場合だけでなく、居住者が転倒する可能性が発生した場合も検知できることが望ましい。事前に転倒可能性を知ることによって、居住者の転倒を防止できるからである。
【0006】
それゆえに、本発明の目的は、監視領域にベッドが設置されている場合でも、監視対象者の転倒に関する動作状態、すなわち転倒状態または転倒する可能性のある状態を検知することができる監視装置、監視システム、監視方法、監視プログラム、および監視プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の監視装置は、監視領域の上方に設けられた第1の画像センサで監視領域を撮像することによって得られる上方撮像データと、監視領域の側方に設けられた第2の画像センサで監視領域を撮像することによって得られる側方撮像データに基づいて、監視対象者の水平方向の位置と鉛直方向の最も高い位置を特定する位置特定部と、水平方向の位置と鉛直方向の最も高い位置に基づいて、監視対象者の転倒に関する動作状態を判断する動作判断部とを備える。
【0008】
好ましくは、動作判断部は、監視対象者の水平方向の位置が第1の領域に含まれ、かつ監視対象者の鉛直方向の最も高い位置が第1の所定値以下の場合に、監視対象者が臥位状態であると判断する。
【0009】
好ましくは、動作判断部は、監視対象者の水平方向の位置がベッドが第1の領域に含まれ、かつ監視対象者の鉛直方向の最も高い位置が第1の所定値を超える場合に、監視対象者が座位状態であると判断する。
【0010】
好ましくは、動作判断部は、監視対象者の水平方向の位置が第1の領域の周辺の領域である第2の領域に含まれ、かつ監視対象者の鉛直方向の最も高い位置が第1の所定値以上の場合に、監視対象者が端座位状態であると判断する。
【0011】
好ましくは、監視領域は、前記監視対象者が居住する空間であり、第1の領域はベッドが設置された領域である。
【0012】
好ましくは、位置特定部は、上方撮像データから、監視対象者の水平方向の長さを算出する。動作判断部は、監視対象者の水平方向の位置が第2の領域に含まれ、かつ監視対象者の鉛直方向の最も高い位置が第1の所定値以下で、かつ監視対象者の水平方向の長さが第2の所定値以上のときに、監視対象者がベッドから転落した状態であると判断する。
【0013】
好ましくは、動作判断部は、監視対象者の水平方向の位置が第1の領域および第2の領域の両方を除く領域である第3の領域に含まれ、かつ監視対象者の鉛直方向の最も高い位置が第1の所定値以下の場合に、監視対象者が転倒状態であると判断する。
【0014】
好ましくは、動作判断部は、監視対象者の水平方向の位置が第3の領域に含まれ、かつ監視対象者の鉛直方向の最も高い位置が第1の所定値を超える場合に、監視対象者が立位状態であると判断する。
【0015】
好ましくは、位置特定部は、側方撮像データに基づいて、監視対象者の鉛直方向の最も低い位置を特定する。動作判断部は、監視対象者の鉛直方向の最も低い位置が第3の所定値以上の場合に、監視対象者がベッドが設置された領域に存在すると判断する。
【0016】
好ましくは、位置特定部は、第1の画像センサで監視領域を撮像することによって得られる上方撮像データから、監視領域に存在する人の数を特定し、特定した人の数が1個の場合に限り、監視対象者の水平方向の位置と鉛直方向の最も高い位置を特定する。
【0017】
本発明の監視システムは、監視領域の上方に設けられた第1の画像センサと、監視領域の側方に設けられた第2の画像センサと、第1の画像センサで監視領域を撮像することによって得られる上方撮像データと、第2の画像センサで監視領域を撮像することによって得られる側方撮像データに基づいて、監視対象者の水平方向の位置と鉛直方向の最も高い位置を特定する位置特定部と、水平方向の位置と鉛直方向の最も高い位置に基づいて、監視対象者の転倒に関する動作状態を判断する動作判断部とを備える。
【0018】
本発明の監視方法は、監視領域の上方に設けられた第1の画像センサで監視領域を撮像することによって得られる上方撮像データと、監視領域の側方に設けられた第2の画像センサで監視領域を撮像することによって得られる側方撮像データに基づいて、監視対象者の水平方向の位置と鉛直方向の最も高い位置を特定するステップと、水平方向の位置と鉛直方向の最も高い位置に基づいて、監視対象者の転倒に関する動作状態を判断するステップとを備える。
【0019】
本発明の監視プログラムは、コンピュータを、監視領域の上方に設けられた第1の画像センサで監視領域を撮像することによって得られる上方撮像データと、監視領域の側方に設けられた第2の画像センサで監視領域を撮像することによって得られる側方撮像データに基づいて、監視対象者の水平方向の位置と鉛直方向の最も高い位置を特定する位置特定部と、水平方向の位置と鉛直方向の最も高い位置に基づいて、監視対象者の転倒に関する動作を判断する動作判断部として機能させる。
【0020】
本発明の監視プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、コンピュータを、監視領域の上方に設けられた第1の画像センサで監視領域を撮像することによって得られる上方撮像データと、監視領域の側方に設けられた第2の画像センサで監視領域を撮像することによって得られる側方撮像データに基づいて、監視対象者の水平方向の位置と鉛直方向の最も高い位置を特定する位置特定部と、水平方向の位置と鉛直方向の最も高い位置に基づいて、監視対象者の転倒に関する動作状態を判断する動作判断部として機能させる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、監視領域にベッドが設置されている場合でも、監視対象者の転倒に関する動作状態を検知することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
[第1の実施形態]
以下の説明で、監視対象者とは高齢者などの介護を必要とする居住者を意味し、監視領域とは、監視対象者が居住する空間を意味する。
【0024】
図1は、第1の実施形態の監視システム1の構成を表わす図である。
図1に示すように、この監視システム1は、上方画像センサ2と、側方画像センサ3と、監視装置20とを備える。監視装置20は、位置特定部4と、動作判断部5と、表示部21とを備える。
【0025】
位置特定部4は、動作判断部5は、図示しないコンピュータが、監視プログラムを実行することによって実現される。言い換えると、監視プログラムは、コンピュータを位置特定部4および動作判断部5として機能させる。監視プログラムは、メモリカード、CDROM、DVDなどのコンピュータ読みとり可能な記録媒体に記録されて、コンピュータにインストールされる。
【0026】
位置特定部4は、画像処理部9と、人数特定部6と、水平位置特定部7と、垂直位置特定部8と、水平長さ検出部10とを備える。
【0027】
上方画像センサ2は、監視領域を上方から撮像する。側方画像センサ3は、監視領域を側方から撮像する。本実施の形態では、上方画像センサ2および側方画像センサ3は、赤外線アレイセンサで構成されるものとして説明するが、可視カメラなどのその他のセンサで構成されるものであってもよい。
【0028】
上方画像センサ2から出力される第1の赤外線画像データは、画像処理部9に送られる。側方画像センサ3から出力される第2の赤外線画像データは、画像処理部9に送られる。
【0029】
赤外線画像データは、画素値が高いほど撮像した領域の温度が高く、画素値が低いほど、撮像した領域の温度が低いという特徴がある。人が存在する領域は、温度が高いため、人を撮像した領域の画素の値は高くなる。したがって、赤外線画像データから、画素値が高い領域を見つけることによって、人が存在する領域を特定することができる。
【0030】
図2は、監視領域を表わす立体図である。
図2に示すように、監視領域の上方に上方画像センサ2が設置され、監視領域の側方に側方画像センサ3が設置される。
【0031】
監視領域にはベッド90が設けられている。ベッド90が存在する領域を領域Aとし、ベッド90の周囲の領域を領域Bとする。たとえば、ベッド90の縁から50cmまでの領域を領域Bとする。監視領域内で、領域Aと領域Bを除く領域が領域Cである。
【0032】
主として、監視対象者が領域Cで転倒状態であるか否かを判断するために、鉛直方向の基準値BA1が設定される。監視対象者の身体の最も高い点が基準値BA1以下の場合に、監視対象者が転倒状態であると判断される。また、後述の第2の実施形態において、監視対象者がベッドが存在する領域に存在するか否かを判断するために、鉛直方向の基準値BA3が設定される。また、監視対象者が領域Bで転倒状態の一種であるベッドからの転落状態であるか否かを判断するために、水平方向の基準値BA2が設定される。監視対象者の水平方向の長さが基準値BA2以上の場合に、監視対象者が転落状態であると判断される。
【0033】
図3は、第1の赤外線画像を説明するための図である。第1の赤外線画像は、X方向に16画素、Y方向に16画素から構成される。
【0034】
領域Aを撮像した部分を第1のブロック、領域Bを撮像した部分を第2のブロック、領域Cを撮像した部分を第3のブロックとする。
【0035】
監視領域の基準値BA2は、第1の赤外線画像では画素間の所定の距離TH2で表わされる。
【0036】
図4は、第2の赤外線画像を説明するための図である。第2の赤外線画像は、X方向に16画素、Y方向に16画素から構成される。監視領域の基準値BA1は、第2の赤外線画像では、所定のY座標TH1で表わされる。監視領域の基準値BA3は、第2の赤外線画像では、所定のY座標TH3で表わされる。
【0037】
図5は、画像処理部9の処理手順を表わすフローチャートである。
ステップS201において、画像処理部9は、上方画像センサ2から出力される第1の赤外線画像データに含まれる画素値が所定値以上の画素の値を「1」とし、画素値が所定値未満の画素の値を「0」とした第1の2値化画像データを生成する。
【0038】
ステップS202において、画像処理部9は、第1の2値化赤外線画像データから、人が存在する領域の画素の値が「1」にラベリングし、人が存在しない領域の画素の値を「0」にラベリングした第1のラベリング画像データを生成する。すなわち、画像処理部9は、第1の2値化画像データの中で、値が「1」である画素が連続し、その連続する領域が一定の大きさ以上(すなわち、画素数が所定値以上)の場合に、その連続する領域の画素の値を「1」にラベリングする。また、画像処理部9は、第1の2値化赤外線画像データの中で、値が「1」である画素が連続するが、その連続する領域が一定の大きさ未満(すなわち、画素数が所定値以上)の場合に、その連続する領域の画素の値を「0」にラベリングする。また、画像処理部9は、第1の2値化画像データの中で、値が「1」である画素が、値が「1」である画素と隣接していない場合に、その値が「1」である画素の値を「0」にラベリングする。すなわち、画像処理部9は、第1の2値化画像データの中で、値が「0」である画素を「0」にラベリングする。
【0039】
ステップS203において、画像処理部9は、側方画像センサ3から出力される第2の赤外線画像データに含まれる画素値が所定値以上の画素の値を「1」とし、画素値が所定値未満の画素の値を「0」とした第2の2値化画像データを生成する。
【0040】
ステップS204において、画像処理部9は、第2の2値化赤外線画像データから、ステップS202と同様にして、人が存在する領域の画素の値が「1」にラベリングし、人が存在しない領域の画素の値を「0」にラベリングした第2のラベリング画像データを生成する。
【0041】
人数特定部6は、第1のラベリング画像データに基づいて、監視領域内に存在する人の数を特定する。
【0042】
水平位置特定部7は、第1のラベリング画像データに基づいて、監視対象者の水平方向の重心の位置を特定する。
【0043】
垂直位置特定部8は、第1のラベリング画像データと第2のラベリング画像データに基づいて、監視対象者の最も高い位置を特定する。
【0044】
水平長さ検出部10は、第1のラベリング画像データに基づいて、監視対象者の水平方向の長さを検出する。
【0045】
動作判断部5は、監視対象者の水平方向の重心の位置、監視対象者の最も高い位置、および監視対象者の水平方向の長さに基づいて、監視対象者の転倒に関する動作状態を判断する。ここで、転倒とは、歩行中躓きやよろめきによって転ぶことと、ベッドからの転落を含む。
【0046】
動作判断部5は、転倒動作以外にも、立位状態、ベッドに座っている状態(座位状態)、ベッドの端に座っている状態(端座位状態)を判断する。これは、特に、監視対象者が歩行に困難があるような場合、監視対象者が座位状態および端座位状態にあるときは、監視対象者が近い将来、起き上がって転倒する可能性があり、注意する必要があるからである。
【0047】
表示部21は、動作判断部5によって判断された結果を表示する。監視対象者の監視に携わる者は、表示部21に転倒状態が表示されたときには、たとえば監視領域に駆けつけて監視対象者の救助を行なう。また、監視対象者の監視に携わる者は、表示部21に座位状態や端座位状態が表示されたときには、たとえば、監視領域に駆けつけ監視対象者に警告を与える。
【0048】
図6は、第1の実施形態による監視対象者の動作判断手順を表わすフローチャートである。
【0049】
ステップS101において、画像処理部9は、上方画像センサ2から出力される第1の赤外線画像データおよび側方画像センサ3から出力される第2の赤外線画像データから、
図5に示す手順に従って画像処理を実行することによって、第1のラベリング画像データおよび第2のラベリング画像データを生成する。
【0050】
ステップS102において、人数特定部6は、第1のラベリング画像データの中で「1」にラベリングされている連続領域の個数に基づいて、監視領域の人数を特定する。人数特定部6は、第1のラベリング画像データの中で「1」にラベリングされている連続領域がN個である場合に、監視領域にN人が存在すると判断する。
【0051】
ステップS103において、人数特定部6は、監視領域に1人が存在する場合には、監視対象者のみが存在すると判断し、処理がステップS104に進む。人数特定部6は、監視領域に複数人が存在する場合には、監視対象者と監視対象者以外の人物(たとえば付き添い人など)が存在すると判断し、監視システム1による監視の必要性がないと判断し、処理が終了する。
【0052】
ステップS104において、水平位置特定部7は、第1のラベリング画像データに基づいて、監視対象者の身体の重心の水平位置を特定する。水平位置特定部7は、監視対象者の身体の重心が、
図2に示す領域C(ベッド領域およびベッド周辺領域の両方を除く領域)に含まれるか否かを判断する。すなわち、水平位置特定部7は、第1のラベリング画像データの中の「1」にラベリングされた領域の重心の画素が、領域Cに対応する
図3に示す第3のブロックに含まれる場合に、監視対象者の重心が領域Cに含まれると判断する。水平位置特定部7は、第1のラベリング画像データの中の監視対象者を表わす「1」にラベリングされた領域の重心の画素が、
図3に示す第3のブロックに含まれない場合に、監視対象者の重心が領域Cに含まれないと判断する。水平位置特定部7が、監視対象者が領域Cに含まれると判断した場合には、処理がステップS105に進み、監視対象者が領域Cに含まれないと判断した場合には、処理がステップS108に進む。
【0053】
ステップS105において、垂直位置特定部8は、第2のラベリング画像データに基づいて、監視対象者の身体の最も高い点が、
図2に示す基準値BA1以下か否かを判断する。すなわち、垂直位置特定部8は、第2のラベリング画像データの中の「1」にラベリングされた領域をステップS104で求めた身体の重心の画素の位置に基づいて補正する。これは、監視対象者が側方画像センサ3に近い位置に存在するほど、監視対象者が存在する領域のY座標が大きくなるため、監視対象者が水平方向のどの位置にいても、Y座標が一定となるようにするためである。垂直位置特定部8は、第2のラベリング画像データの補正された「1」にラベリングされた領域の画素のY座標のうち、最大のY座標を特定する。垂直位置特定部8が、特定した最大のY座標YMAXが、基準値BA1に対応する
図3に示す所定値TH1以下と判断した場合には、処理がステップS106に進む。垂直位置特定部8が、特定した最大のY座標YMAXが所定値TH1を超えると判断した場合には、処理がステップS107に進む。
【0054】
ステップS106において、動作判断部5は、監視対象者が転倒状態であると判断する。
【0055】
図7は、監視対象者が転倒状態の場合の監視領域の状態を表わす図である。
図8は、監視領域が
図7に示す状態のときの第2のラベリング画像データを表わす図である。第2のラベリング画像データの中の「1」にラベリングされた領域の画素のY座標の中の最大のY座標は「3」である。ここでは、所定値TH1が「7」に設定されているため、監視対象者が転倒状態であると判断される。
【0056】
ステップS107において、動作判断部5は、監視対象者が立位状態であると判断する。
【0057】
図9は、監視対象者が立位状態の場合の監視領域の状態を表わす図である。
図10は、監視領域が
図9に示す状態のときの第2のラベリング画像データを表わす図である。第2のラベリング画像データの中の「1」にラベリングされた領域の画素のY座標の中の最大のY座標は「12」である。ここでは、所定値TH1が「7」に設定されているため、監視対象者が立位状態であると判断される。
【0058】
ステップS108において、水平位置特定部7は、第1のラベリング画像データに基づいて、監視対象者の身体の重心の水平位置を特定する。水平位置特定部7は、監視対象者の身体の重心が、
図2に示す領域A(ベッド領域)に含まれるか否かを判断する。すなわち、水平位置特定部7は、第1のラベリング画像データの中の監視対象者を表わす「1」にラベリングされた領域の重心の画素が、領域Aに対応する
図3に示す第1のブロックに含まれる場合に、監視対象者の重心が領域Aに含まれると判断し、第1のラベリング画像データの中の「1」にラベリングされた領域の重心の画素が、
図3に示す第1のブロックに含まれない場合に、監視対象者の重心が領域Aに含まれないと判断する。水平位置特定部7が、監視対象者が領域Aに含まれると判断した場合には、処理がステップS109に進み、監視対象者が領域Aに含まれないと判断した場合には、処理がステップS112に進む。
【0059】
ステップS109において、垂直位置特定部8は、第2のラベリング画像データに基づいて、監視対象者の身体の最も高い点が
図2に示す基準値BA1以下か否かを判断する。すなわち、垂直位置特定部8は、第2のラベリング画像データの中の「1」にラベリングされた領域をステップS108で求めた身体の重心の画素の位置に基づいて補正する。垂直位置特定部8は、第2のラベリング画像データの補正された「1」にラベリングされた領域の画素のY座標のうち、最大のY座標を特定する。垂直位置特定部8が、特定した最大のY座標YMAXが、基準値BA1に対応する
図3に示す所定値TH1以下と判断した場合には、処理がステップS110に進む。垂直位置特定部8が、特定した最大のY座標YMAXが所定値TH1を超えると判断した場合には、処理がステップS111に進む。
【0060】
ステップS110において、動作判断部5は、監視対象者が臥位状態であると判断する。
【0061】
図11は、監視対象者が臥位状態の場合の監視領域の状態を表わす図である。
図12は、監視領域が
図11に示す状態のときの第2のラベリング画像データを表わす図である。第2のラベリング画像データの中の「1」にラベリングされた領域の画素のY座標の中の最大のY座標は「5」である。ここでは、所定値TH1が「5」に設定されているため、監視対象者が臥位状態であると判断される。
【0062】
ステップS111において、動作判断部5は、監視対象者が座位状態であると判断する。
【0063】
図13は、監視対象者が座位状態の場合の監視領域の状態を表わす図である。
図14は、監視領域が
図13に示す状態のときの第2のラベリング画像データを表わす図である。第2のラベリング画像データの中の「1」にラベリングされた領域の画素のY座標の中の最大のY座標は「9」である。ここでは、所定値TH1が「7」に設定されているため、監視対象者が座位状態であると判断される。
【0064】
ステップS112において、垂直位置特定部8は、第2のラベリング画像データに基づいて、監視対象者の身体の最も高い点が
図2に示す基準値BA1以下か否かを判断する。すなわち、垂直位置特定部8は、第2のラベリング画像データの中の「1」にラベリングされた領域をステップS108で求めた身体の重心の画素の位置に基づいて補正する。垂直位置特定部8は、第2のラベリング画像データの補正された「1」にラベリングされた領域の画素のY座標のうち、最大のY座標を特定する。垂直位置特定部8が、特定した最大のY座標YMAXが、基準値BA1に対応する
図3に示す所定値TH1以下と判断した場合には、処理がステップS114に進む。垂直位置特定部8が、特定した最大のY座標YMAXが所定値TH1を超えると判断した場合には、処理がステップS113に進む。
【0065】
ステップS113において、動作判断部5は、監視対象者が端座位状態であると判断する。
【0066】
図15は、監視対象者が端座位状態の場合の監視領域の状態を表わす図である。
図16は、監視領域が
図15に示す状態のときの第2のラベリング画像データを表わす図である。第2のラベリング画像データの中の「1」にラベリングされた領域の画素のY座標の中の最大のY座標は「9」である。ここでは、所定値TH1が「7」に設定されているため、監視対象者が端座位状態であると判断される。
【0067】
ステップS114において、水平長さ検出部10は、第1のラベリング画像データに基づいて、監視対象者の水平方向の長さが基準値BA2以上であるか否かを判断する。すなわち、水平長さ検出部10は、第1のラベリング画像データの中の「1」にラベリングされた領域の主軸の長さ(「1」にラベリングされた領域に描ける最大の長さの線の両端の画素間のユークリッド距離)Dを求める。水平長さ検出部10は、主軸の長さDが基準値BA2に対応する所定値TH2以上と判断した場合には、処理がステップS115に進み、所定値TH2未満と判断した場合には、処理が終了する。
【0068】
ステップS115において、動作判断部5は、転倒状態の一種であるベッドからの転落状態であると判断する。
【0069】
図17は、監視対象者が転落状態の場合の監視領域の状態を表わす図である。
図18は、監視領域が
図17に示す状態のときの第2のラベリング画像データを表わす図である。第2のラベリング画像データの中の「1」にラベリングされた領域の画素のY座標の中の最大のY座標は「3」であり、所定値TH1(=「7」)よりも小さい。
【0070】
図19は、監視領域が
図17に示す状態のときの第1のラベリング画像データを表わす図である。
【0071】
第1のラベリング画像データの中の「1」にラベリングされた領域の主軸の長さDは、68
1/2であり、所定値TH2(=「7」)以上ある。したがって、監視対象者が転落状態であると判断される。
【0072】
以上のように、本実施の形態によれば、監視領域にベッドが設置されている場合に、監視対象者の転倒に関する動作状態、すなわち、監視対象者の転倒状態、または転倒する可能性のあるベッドでの座位状態およびベッドの端での座位状態を検知することができる。
【0073】
[第2の実施形態]
第1の実施形態では、第1のラベリング画像を用いて、監視対象者が領域A(ベッド領域)、領域B(ベッド周辺領域)、領域C(ベッド領域およびベッド周辺領域を除く領域)のいずれに存在するかを特定した。本実施の形態では、第2のラベリング画像を用いて、監視対象者がベッド領域に存在するか、あるいはベッド領域以外の領域に存在するかを判断する。本実施の形態では、監視対象者がベッド領域に存在するときには、監視対象者がベッド領域外に存在するときよりも、監視対象者の最低点は高くなり、かつ水平方向の長さも長くなるという特徴を用いる。
【0074】
図20は、第2の実施形態による監視対象者の動作判断手順を表わすフローチャートである。
【0075】
ステップS201において、画像処理部9は、上方画像センサ2から出力される第1の赤外線画像データおよび側方画像センサ3から出力される第2の赤外線画像データから、
図5に示す手順に従って画像処理を実行することによって、第1のラベリング画像データおよび第2のラベリング画像データを生成する。
【0076】
ステップS202において、人数特定部6は、第1のラベリング画像データの中で「1」にラベリングされている連続領域の個数に基づいて、監視領域の人数を特定する。人数特定部6は、第1のラベリング画像データの中で「1」にラベリングされている連続領域がN個である場合に、監視領域にN人が存在すると判断する。
【0077】
ステップS203において、人数特定部6は、監視領域に1人が存在する場合には、監視対象者のみが存在すると判断し、処理がステップS204に進む。人数特定部6は、監視領域に複数人が存在する場合には、監視対象者と監視対象者以外の人物(たとえば付き添い人など)が存在すると判断し、処理が終了する。
【0078】
ステップS204において、水平位置特定部7は、第1のラベリング画像データに基づいて、監視対象者の身体の重心の水平位置を特定する。すなわち、水平位置特定部7は、第1のラベリング画像データの中の「1」にラベリングされた領域の重心の画素の位置を特定する。
【0079】
ステップS205において、垂直位置特定部8は、第2のラベリング画像データに基づいて、監視対象者の身体の最も低い点を特定する。すなわち、垂直位置特定部8は、第2のラベリング画像データの中の「1」にラベリングされた領域をステップS204で求めた身体の重心の画素の位置に基づいて補正する。垂直位置特定部8は、第2のラベリング画像データの補正された「1」にラベリングされた領域の画素のY座標のうち、最小のY座標を特定する。
【0080】
ステップS206において、垂直位置特定部8は、第2のラベリング画像データに基づいて、監視対象者の身体の最も低い点が、
図2に示す基準値BA3以上か否かを判断する。すなわち、垂直位置特定部8は、特定した最小のY座標が、基準値BA3に対応する
図3に示す所定値TH3以上と判断した場合には、監視対象者がベッド領域に存在する可能性があると判断して、処理がステップS207に進む。垂直位置特定部8が、補正した最小のY座標が所定値TH3未満と判断した場合には、処理がステップS212に進む。
【0081】
図21は、第2のラベリング画像データを表わす図である。第2のラベリング画像データの中の「1」にラベリングされた領域の画素のY座標の中の最小のY座標は「3」である。ここでは、所定値TH3が「2」に設定されているため、監視対象者がベッド領域に存在する可能性があると判断される。
【0082】
ステップS207において、水平長さ検出部10は、第1のラベリング画像データに基づいて、監視対象者の水平方向の長さが基準値BA2以上であるか否かを判断する。すなわち、水平長さ検出部10は、第1のラベリング画像データの中の「1」にラベリングされた領域の主軸の長さ(「1」にラベリングされた領域に描ける最大の長さの線の両端の画素間のユークリッド距離)Dを求める。水平長さ検出部10は、主軸の長さDが基準値BA2に対応する所定値TH2以上と判断した場合には、処理がステップS208に進み、所定値TH2未満と判断した場合には、処理がステップS212に進む。
【0083】
ステップS208において、監視対象者がベッド領域に存在すると判断する。
ステップS209において、垂直位置特定部8は、第2のラベリング画像データに基づいて、監視対象者の身体の最も高い点が
図2に示す基準値BA1以下か否かを判断する。すなわち、垂直位置特定部8は、第2のラベリング画像データの中のステップS205で補正された「1」にラベリングされた領域の画素のY座標のうち、最大のY座標を特定する。垂直位置特定部8が、特定した最大のY座標YMAXが、基準値BA1に対応する
図3に示す所定値TH1以下と判断した場合には、処理がステップS210に進む。垂直位置特定部8が、特定した最大のY座標YMAXが所定値TH1を超えると判断した場合には、処理がステップS211に進む。
【0084】
ステップS210において、動作判断部5は、監視対象者が臥位状態であると判断する。
【0085】
ステップS211において、動作判断部5は、監視対象者が座位状態であると判断する。
【0086】
ステップS212において、監視対象者がベッド領域外に存在すると判断する。
ステップS213において、垂直位置特定部8は、第2のラベリング画像データに基づいて、監視対象者の身体の最も高い点が
図2に示す基準値BA1以下か否かを判断する。すなわち、垂直位置特定部8は、第2のラベリング画像データの中のステップS205で補正された「1」にラベリングされた領域の画素のY座標のうち、最大のY座標を特定する。垂直位置特定部8が、特定した最大のY座標YMAXが、基準値BA1に対応する
図3に示す所定値TH1以下と判断した場合には、処理がステップS214に進む。垂直位置特定部8が、補正した最大のY座標YMAXが所定値TH1を超えると判断した場合には、処理がステップS215に進む。
【0087】
ステップS214において、動作判断部5は、監視対象者が転倒状態であると判断する。
【0088】
ステップS215において、動作判断部5は、監視対象者が立位状態であると判断する。
【0089】
以上のように、本実施の形態によれば、本実施の形態によれば、監視領域にベッドが設置されている場合に、ベッドが存在する領域が予め定められていなくても、監視対象者がベッドが存在する領域に存在するか否かを判断することができる。そして、ベッドが存在する領域での臥位状態または座位状態、ベッドが存在しない領域での転倒状態または立位状態を検知することができる。
【0090】
なお、本実施の形態では、ステップS206でYESの後、ステップS207で、第1のラベリング画像データに基づいて、監視対象者の水平方向の長さが基準値BA2以上であるか否かを判断したが、このステップS207は省略してもよい。
【0091】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。