(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1または2記載の編集装置と、前記制御部により重ね合わせされた前記第3のオブジェクトと前記第1のオブジェクトとを画像展開して印刷媒体に印刷する印刷処理を実行する印刷部と、を備えたことを特徴とする印刷装置。
第1のオブジェクトと第2のオブジェクトとが重ね合わせされている状態において、前記第2のオブジェクトを第3のオブジェクトに変更する操作がなされたことを検出する機能と、
前記第1のオブジェクトと前記第3のオブジェクトとの重なり領域の形状及び位置が、前記第1のオブジェクトと前記第2のオブジェクトと重なり領域である前記第1の矩形領域と同じ形状及び位置になるように前記第3のオブジェクトを前記第1のオブジェクトに重ね合わせる制御を行い、前記第3のオブジェクトを前記第1のオブジェクトに重ね合わせた場合に前記第3のオブジェクトが印刷範囲からはみ出る場合は、前記第1のオブジェクト及び前記第3のオブジェクトを相対位置を保持したまま前記印刷範囲からはみ出ない位置に移動させ、前記印刷範囲からはみ出ない位置が存在しない場合は、前記重ね合わせを解消して前記第1のオブジェクト及び前記第3のオブジェクトを前記印刷範囲内の所定の位置に配置する機能と、
を実行する編集装置のプログラム。
第1のオブジェクトと第2のオブジェクトとが重ね合わせされている状態において、前記第2のオブジェクトを第3のオブジェクトに変更する操作がなされたことを検出する機能と、
前記第1のオブジェクトと前記第3のオブジェクトとの重なり領域の形状及び位置が、前記第1のオブジェクトと前記第2のオブジェクトと重なり領域である前記第1の矩形領域と同じ形状及び位置になるように前記第3のオブジェクトを前記第1のオブジェクトに重ね合わせる制御を行い、前記第3のオブジェクトを前記第1のオブジェクトに重ね合わせた場合に前記第3のオブジェクトが印刷範囲からはみ出る場合は、前記第1のオブジェクト及び前記第3のオブジェクトを相対位置を保持したまま前記印刷範囲からはみ出ない位置に移動させ、前記印刷範囲からはみ出ない位置が存在しない場合は、前記重ね合わせを解消して前記第1のオブジェクト及び前記第3のオブジェクトを前記印刷範囲内の所定の位置に配置する機能と、
前記重ね合わせされたオブジェクトを画像展開して印刷媒体に印刷する印刷処理を実行する機能と、
を実行する印刷装置のプログラム。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態(以下、単に本実施形態という)に係る編集装置、および印刷装置について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
(実施形態の構成)
本実施形態に係る編集装置1は、例えば、手軽に葉書や写真作りを行うことができる電子文具を想定しており、制御部11と、記憶部12と、操作部13と、表示部14と、カードリーダ部15と、を含み構成される。また、この編集装置1に印刷部16を付加することにより、本実施形態に係る印刷装置10を構成することもできる。
【0013】
制御部11は、記憶部12内にロードされている各種プログラムにしたがって編集装置1または印刷装置10の全体動作を制御する、例えば、マイクロプロセッサである。具体的に、制御部11は、第1のオブジェクトと第2のオブジェクトとが重ね合わせされている状態において、操作部13により、第2のオブジェクトを第3のオブジェクトに変更する操作がなされると、制御部11は、第1のオブジェクトと第3のオブジェクトとの重なり領域が、第1のオブジェクトと第2のオブジェクトと重なり領域である第1の矩形領域と同じ形状になるように、第3のオブジェクトを第1のオブジェクトに重ね合わせる制御を行う。この場合、第2のオブジェクト及び第3のオブジェクトは2つのオブジェクトに共通の第2の矩形領域内に当該第2の矩形領域に対して相対的に配置され、制御部11は、第2の矩形領域の位置を変更しないように、第2のオブジェクトを第3のオブジェクトに変更する制御を行う。なお、ここで、オブジェクトとは重なりを含む編集の対象となる文字や絵柄の情報とする。
【0014】
このため、制御部11は、後述する、新規パーツ追加及び変更処理(
図3)、印刷パーツの凸形解析処理(
図4)、印刷パーツの凸形解析処理(
図5)、パーツの重なりとリンク処理(
図6)、パーツの重なり一体化処理(
図7)の、それぞれの処理を実行する。
【0015】
記憶部12は、オペレーティングシステムや各種アプリケーションプログラム、データファイル、ビットマップフォントやアウトラインフォントを構成するパーツが予め格納されている記憶媒体やその駆動系を有している。記憶媒体は固定的に設けたもの、もしくは着脱自在に装着可能なものであり、半導体メモリ、あるいはフロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、RAMカード等の磁気的・光学的記憶媒体によって構成されている。また、記憶部12内のプログラムやデータは、必要に応じて制御部11の制御によりロードされる。更に、制御部11は、図示省略した通信回線等を介して他の機器から送信されて来たプログラム、データを受信して格納し、あるいは他の機器に設けられている記憶媒体に格納されているプログラム、データを、通信回線等を介して使用することもできる。そして、制御部11にはその入出力周辺デバイスである操作部13、表示部14、印刷部16が図示省略したバスラインを介して接続されており、制御部11は、入出力プログラムにしたがってそれらの動作を制御する。
【0016】
制御部11によるプログラムの実行過程で生成され、記憶部12の作業領域に割り当てられ記憶されるデータの一例が
図2に示されている。
図2に示すように、記憶部12には、印刷パーツデータ格納バッファ12aと、画像格納バッファ12bと、画像展開バッファ12cと、印刷バッファ12dと、テキストRGB展開バッファ12eと、印刷パーツ管理情報12fと、パーツ凸形印刷エリア範囲情報12gと、パーツ凸形印刷座標情報12hと、パーツ重なり印刷エリア情報12iと、印刷パーツ個数12jと、横方向印字可能ドット数12kと、縦方向印字可能ドット数12lと、入力バッファメモリ12mと、表示バッファメモリ12nと、印刷枚数12oと、印刷品位12pと、印刷用紙タイプ12qの各情報がそれぞれ割り当てられ記憶される。
【0017】
印刷パーツデータ格納バッファ12aは、イラスト印刷データが格納される領域であり、画像格納バッファ12bは、外部から読み込まれる画像データが格納される領域である。また、画像展開バッファ12cは、印刷形式の展開バッファを保存する領域であり、印刷バッファ12dは、制御部11が印刷データを印刷部16へ転送することにより印刷媒体に印刷を実行するために割り当てられた領域である。テキストRGB展開バッファ12eは、テキスト文字をRGBデータにビット変換して保存する領域である。
【0018】
印刷パーツ管理情報12fは、印刷位置情報、印刷サイズ、印刷矩形、重なりパーツ情報を含み、制御部11が、印刷時にこの領域に格納された情報に基づきRGBデータを作成する際の元データになる。パーツ凸形印刷エリア範囲情報12gは、各印刷パーツデータから実印刷矩形の印刷範囲情報を解析した結果が保存される領域である。パーツ凸形印刷座標情報12hは、各印刷パーツデータから実印刷矩形の印刷位置情報を解析した結果が保存される領域である。
【0019】
パーツ重なり印刷エリア情報12iは、印刷パーツ管理情報12fにおける印刷位置、重なりパーツ情報、重なりパーツ個数、およびパーツ情報管理メモリのポインターを関連づけるリンクを保存する領域である。印刷パーツ個数12jは、印刷設定されているパーツの個数を保持する領域である。横方向印字可能ドット数12kは、印刷用紙サイズと展開方向の組み合わせにより印刷されるドット数値を保持し、縦方向印字可能ドット数12lは、印刷用紙サイズと展開方向の組み合わせにより印刷されるドット数値を保持する領域である。
【0020】
入力バッファメモリ12mは、操作部13により入力される入力データに対応したコードを保持する領域であり、表示バッファメモリ12nは、制御部11により表示形式に変換されたRGBカラーデータを保持する領域である。印刷枚数12oは、操作部13により設定される印刷を行う枚数が、印刷品位12pは、印刷時の印刷品位に関する情報が、印刷用紙タイプ12qは、印刷に使用する印刷用紙の情報が、それぞれ保持される領域である。
【0021】
説明を
図1に戻す。操作部13は文字列データ、各種コマンド、あるいは座標位置情報を入力する、キーボード、マウス、ペン等のポインティングデバイスである。ここで、印刷文書作成時に操作部13から文書データが入力されると、表示部14のテキスト画面に表示出力されると共に、漢字変換によって確定された確定文字列は、記憶部12内に格納される。表示部14は、多色表示を行う液晶表示装置、有機EL表示装置等である。なお、上記した操作部13と表示部14は、操作部13と表示部14とが一体形成されたタッチパネルで代替してもよい。
【0022】
カードリーダ部15は、装着されたカード内部に記憶された画像情報を検索してその情報を制御部11に転送する。印刷部16は、フルカラープリンタで、熱転写やインクジェットなどのノンインパクトプリンタあるいはインパクトプリンタであり、印刷文書データをカラー出力する。具体的に、印刷部16は、制御部11により重ね合わせされたオブジェクトを画像展開して印刷媒体に印刷する印刷処理を実行する。
【0023】
(実施形態の動作)
最初に、上記した構成を有する本実施形態の編集装置1、印刷装置10における画像の重ね合わせ制御について概略説明を行う。
【0024】
例えば、
図10に葉書の裏面の編集画面を示すように、エリアcで示すイラスト凸形Aの「龍」の絵柄(第1のオブジェクト)と、エリアdで示すイラスト凸形Bの「謹賀新年」の文字(第2のオブジェクト)とが、重なり範囲eで示すエリア(第1の矩形領域)で重なって配置されている状態から、
図12に示すように、第2のオブジェクト「謹賀新年」の文字を、「恭賀新年」の文字(第3のオブジェクト)に差し替えることを想定する。この場合、「龍」「恭賀新年」のオブジェクトのいずれもが編集画面、すなわち、印刷媒体の印刷領域からはみ出ることが無く、かつ、両オブジェクトの重なりの形状を維持しようとすれば、第1のオブジェクトである「龍」は左方向にシフトし、かつ、第3のオブジェクトである「恭賀新年」のイラスト凸形B(エリアd)の右辺も右方向にシフトする。
【0025】
上記のように、両オブジェクトの重なりの形状を維持することで、画像の差し替え後に、第1のオブジェクト「龍」の絵柄と、第3のオブジェクト「恭賀新年」の文字が大きく重なり、それらの絵柄および文字が見づらくなってしまうことを回避できる。すなわち、重なり範囲eの大きさを維持する制御を行わずに、例えば、第1のオブジェクトの位置を左方向にシフトしなかった場合は、第1のオブジェクト「龍」の絵柄と第3のオブジェクト「恭賀新年」の文字が大きく重なってしまうことになるが、そのような重なり状態にならないように重なりを制御するのが本発明の主旨である。
【0026】
図10、
図12を用いて説明した例では、第1のオブジェクト「龍」の絵柄と、第2のオブジェクト「恭賀新年」の文字の重なり範囲のエリアの大きさを維持しても、その範囲の縦幅および横幅が画面全体に収まるため、問題は無いが、これら画像を差し替えた場合に、横幅または縦幅が編集画面全体に収まらない場合も生じる。例えば、
図11、
図13に示す画像の差し替えがこれに相当する。すなわち、
図11に示す例によれば、エリアcで示すイラスト凸形Aの第1のオブジェクト「龍」の絵柄と、エリアdで示すイラスト凸形Bの第2のオブジェクト「謹賀新年」の文字とは重なり範囲eで示すエリア(第1の矩形領域)で重なっている。この状態において、例えば、
図13(a)に示すように、重なり範囲eの大きさを維持しながら、第2のオブジェクト「謹賀新年」の文字を第3のオブジェクト「初春」の文字に差し替えれば、
図13(b)に示すように、横幅の広い第3のオブジェクト「初春」の右辺は編集画面からはみ出る。この場合、第1のオブジェクト「龍」の絵柄と第3のオブジェクト「初春」の文字の相対位置が変わらないように、編集画面にオブジェクト全体が収まるか否かを判定する。横幅が広いために相対位置を維持したままではみ出してしまう場合には、相対位置を維持することなく、それぞれのオブジェクトを初期設定位置に配置させることで
図13(c)に示す画像を生成することが可能になる。
【0027】
以下、
図3以降のフローチャートを参照しながら、
図1,
図2に示す本実施形態に係る編集装置1、および印刷装置10の動作について詳細に説明する。ここでは、制御部11による、新規パーツの追加、並びに変更処理動作(
図3)、印刷パーツ内部凸形解析処理(
図4)、凸形矩形解析制御処理(
図5)、パーツ移動後のパーツ重なり検査とリンク処理動作(
図6)、パーツの重なり一体化グループ処理(
図7)について、順次説明する。
【0028】
まず、
図3のフローチャートを参照しながらオブジェクトを構成する「新規パーツの追加、並びに変更処理」の動作から説明する。
図3において、制御部11は、まず、記憶部12の印刷パーツデータ格納バッファ12aに格納されているイラスト印刷データ、および画像格納バッファ12bに格納されている画像データの中から編集対象とする対象パーツデータを読み出す(ステップS101)。
【0029】
続いて、制御部11は、アプリケーションで指定される印刷座標にしたがい、その対象パーツデータを画像展開バッファ12cにRGB展開してそのアドレス等を含むパーツデータを決定して印刷パーツ管理情報12fに設定する(ステップS102)。なお、ステップS102の詳細は、
図4、
図5を参照して後述する。なお、ステップS101とS102の処理は、編集の対象とする全てのパーツのチェックを終了するまで(ステップS103“YES”)、制御部11により繰り返し実行される。
【0030】
全てのパーツのチェックが終了すると、制御部11は、該対象パーツの印刷座標と印刷サイズ情報に基づき対象パーツの印刷矩形エリアを決定し、現在設定されているすでに配置済みのパーツの印刷矩形エリアが対象パーツの印刷矩形エリアに重なるか否かを判定する(ステップS104)。そして、重なりがあると判定された場合(ステップS105“YES”)、制御部11は、パーツが重なるエリア範囲と、その座標位置と、重なりパーツ情報とを、記憶部12のパーツ重なり印刷エリア情報12iに保存する。そして、印刷最終位置(用紙サイズ幅、高さのドット数)が用紙からはみ出している場合には、互いに重なるパーツ同士の相対位置を維持したまま、印刷重なりパーツの印刷座標をはみ出している方向にしたがい、縦又は横方向に印字位置の端補正を行い、その補正によっても用紙からはみ出る場合は、重なり不可であると判定して重なりを解消し、互いに重なるパーツ同士の相対位置を維持せずに解消し、独立したパーツに変更する(ステップS106)。ステップS106の詳細は、
図7を参照して後述する。
【0031】
なお、重なりが無いと判定された場合は(ステップS105“NO”)、ステップS104の処理に戻り、また、重なりはあるが、印刷最終位置が用紙からはみ出ていない場合は何もしない。
【0032】
次に、上記したステップS102で実行される「印刷パーツ内部凸形解析処理」動作について、
図4のフローチャートを参照しながら説明する。
図4において、制御部11は、印刷パーツフラグにしたがい印刷展開データを記憶部12の印刷パーツデータ格納バッファ12aに代入保存する(ステップS201)。なお、印刷パーツフラグは、制御部11にのより記憶部12の所定の領域に設定される、画像やテキストを判別するためのフラグであり、制御部11は、このフラグを参照することにより、パーツがいずれのオブジェクトであるかを判別することができる。
【0033】
パーツがテキストの場合(ステップS202“YES”)、制御部11は、その文字数、行数、およびその文字サイズから、印刷凸形矩形を計算により求める。ここでは印刷展開と印字矩形とを同じエリアとするため、上下左右の余白は0ドットとする(ステップS203)。一方、パーツが画像等テキスト以外のオブジェクトであれば(ステップS202“NO”)、制御部11は、そのデータをRGB展開し、実データの凸形矩形と、実データの印刷上下左右余白ドット数とを求める(ステップS204)。上記したステップS203,S204の処理後、制御部11は、記憶部12のパーツ凸形印刷エリア範囲情報12g,パーツ凸形印刷座標情報12hに、計算で求めたデータを保存する(ステップS205)。
【0034】
次に、
図3のステップS102で実行される「凸形矩形解析制御処理」動作について
図5を参照しながら説明する。
図5において、制御部11は、画素数の縦横サイズマトリクス分のイラスト画素データが連続するか否かを判定するために記憶部12の所定の領域に割り当てられる解析RAMを初期化する(ステップS301)。そして、イラスト画素データのRGB展開を行う(ステップS302)。続いて、RGB展開されたイラスト画素データのいずれかにドットがあればデータ解析RAMにデータ有りフラグをON設定する(ステップS303)。
【0035】
続いて、制御部11は、データ有りフラグを参照し、ON設定されていると、更に、縦横サイズマトリクス分のドット数が規定数連続しているか否かを判定し、連続でない場合はデータと見なされないため、解析RAMをデータなしモードに設定する(ステップS304)。そして、データ解析RAMに設定されている横ドット数と縦ドット数とによる先頭と最終位置を矩形であると認識して、そのデータを、記憶部12のパーツ凸形印刷エリア範囲情報12g,パーツ凸形印刷座標情報12hに保存する(ステップS305)。
【0036】
図8に、凸形矩形解析制御処理が模式化され示されている。
図8(a)(b)は、ともに、縦最大画素数と横最大画素数で示される領域にRGB展開される印刷イラストデータを示す。
図8(a)によれば、符号(1)は、印刷イラストデータの縦開始位置、符号(2)は、印刷イラストデータの縦終了位置、符号(3)は、印刷イラストデータの横開始位置、符号(4)は、印刷イラストデータの横終了位置を、それぞれ示す。この符号(1)〜(4)で示す位置データが凸形矩形エリアとして記憶部12のパーツ凸形印刷エリア範囲情報12gに保存される。なお、
図8(b)に、イラスト連続データとして認識されるRGB展開されたイラスト画素データXと、連続データとして認識されないRGBと展開されたイラスト画素データYを示すように、縦横に規定数のドットが連続しない場合は印刷矩形とはみなされない。すなわち、RGBデータであり、実際に印刷は実行されるが、矩形イラストデータと見なすには小さすぎるため、矩形とは見なされない。
【0037】
次に、
図6を参照して、「パーツ移動後のパーツ重なり検査とリンク処理」動作について説明する。
図6によれば、制御部11は、操作部13により、例えば、ペン入力された印刷位置を座標変換することによってその位置情報を算出する(ステップS401)。制御部11は、この操作をうけてパーツ追加処理を実行し、記憶部12の印刷パーツ管理情報12fに現パーツ情報の追加更新を行う(ステップS402)。続いて、制御部11は、印刷パーツ管理情報12fに基づき現在印刷設定されているパーツ個数を取得し、記憶部12の印刷パーツ個数12jに設定する(ステップS403)。
【0038】
続いて、制御部11は、追加パーツの重なりを全パーツ分チェックするまで処理を続行し、全てのパーツの重なりをチェックした後(ステップS404“YES”)、パーツの印刷座標と印刷サイズの情報を元に印刷矩形エリアを決定し、現在設定されているパーツの印刷座標とエリアサイズがその印刷矩形エリア内に重なるパーツの有無を検索する(ステップS405)。
【0039】
ここで、重なりがあると判定された場合(ステップS406“YES”)、制御部11は、パーツが重なるエリア範囲と、座標と、その重なりパーツ情報とを、記憶部12のパーツ重なり印刷エリア情報12iに保存する。その場合、印刷最終位置が用紙からはみ出している場合には、印刷重なりパーツの印刷座標をはみ出している方向に従い、横や縦方向に印字位置を端に合わせる補正を行う処理を実行し、その補正でもはみ出す場合は、重ね合わせ不可と判定して重なり情報を解消し、独立したパーツに設定する処理を実行する(ステップS407)。ステップS407の詳細は、
図7を参照して後述する。なお、重なりがないと判定された場合は(ステップS406“NO”)、ステップS404の全パーツチェック判定処理に戻る。
【0040】
次に、
図7を参照して、「パーツの重なり一体化グループ処理」動作について説明する。
図7において、制御部11は、まず、編集パーツの横方向の印刷サイズをパーツ重なり印刷情報から取得する(ステップS501)。このパーツ重なり印刷情報の横方向の印刷サイズは、例えば、
図9に示すように、パーツ周縁部の透過部分を含む印刷横サイズ矩形最大ドット(e)を求めることである。次に、制御部11は、印字開始位置と印刷横方向可能サイズとの大小比較を行う(ステップS502)。具体的に、
図9にパーツの重なり一体化グループ処理を模式化して示したように、印刷横サイズ矩形最大ドット(e)に印刷開始位置を加えた値を実印刷開始位置として求め、この印刷開始位置と、記憶部12の横方向印字可能ドット数12kに記憶された値とを比較する。そして、印刷開始位置の方が大きい場合には印字オーバーであると判定する。
【0041】
なお、
図9は、重なりパーツ制御の模式図であり、縦最大画素数と横最大画素数で囲まれたエリアに配置された印刷イラストデータ(第1のオブジェクト)と、縦最大画素数と横最大画素数で囲まれたエリアに配置された文字(第2のオブジェクト)とを重ね合わせた状態を示す。
図9において、(a)は、横矩形最大、(b)は縦矩形最大、(c)は重なり横最大、(e)は印刷横サイズ矩形最大ドット、(f)は印刷縦サイズ矩形最大ドットのそれぞれを示す。
【0042】
説明を
図7のフローチャートに戻すと、印字オーバーと判定された場合(ステップS503“YES”)、制御部11は、印刷データの四隅を評価対象として用紙範囲内か否かの判定を行う。すなわち、印刷矩形が用紙範囲内にあるか否かを、最左端、最右端、最上端、最下端の順序でそれぞれ評価する(ステップS504,S506,S508,S510)。なお、評価の順序は任意であり、順次実行される。
【0043】
ステップS504の最左端価判定結果、最左端評価済みで無い場合(ステップS504“NO”)、制御部11は、重なりを保持してパーツ最左端データ位置を用紙の左端に合わせる処理を実行し(ステップS505)、ステップS503の印字オーバー判定処理に戻る。具体的に、制御部11は、重なりを保持しているパーツ情報を、記憶部12(パーツ重なり印刷エリア情報12i)の重なり情報にある重なりパーツの個数を得る。そして、パーツ印刷情報内部の印刷開始位置の最左端データ位置を用紙方向の最左端で印刷最大ドット数(透過部分を除くパーツの縦横最大画素数)を加算することで実印刷矩形として求め、その実印刷矩形が用紙範囲内であるかの比較を行なう。ここで、用紙に収まる場合には最左端データの印字開示位置を用紙左端に設定して保存する(ステップS505)。
【0044】
また、ステップS506の最右端評価判定結果、最右端評価済みでない場合(ステップS506“NO”)、制御部11は、重なりを保持してパーツ最右端データ位置を用紙右端に合わせる処理を実行して(ステップS507)、ステップS503の印字オーバー判定処理に戻る。具体的に、制御部11は、重なりを保持しているパーツ情報を記憶部12のパーツ重なり印刷エリア情報12iの重なり情報にある重なりパーツの個数を得る。そして、パーツ印刷情報内部の印刷開始位置の最右端データ位置を用紙方向の最左端で印刷最大ドット数を加算することで実印刷矩形として求め、その実印刷矩形が用紙範囲内であるか否かの比較を行なう。ここで、用紙に収まる場合には最右端データの印字開始位置を用紙右端に設定して保存する(ステップS507)。
【0045】
また、ステップS508の最上端評価判定結果、最上端評価済みでない場合(ステップS508“NO”)、制御部11は、重なりを保持してパーツ最上端データ位置を用紙上端に合わせる処理を実行し(ステップS509)、ステップS503の印字オーバー判定処理に戻る。具体的に、制御部11は、重なりを保持しているパーツ情報を、記憶部12のパーツ重なり印刷エリア情報12iの重なり情報にある重なりパーツの個数から得る。そして、パーツ印刷情報内部の印刷開開始位置の最上端データを用紙方向の最下端で印刷最大ドット数を加算することで実印刷矩形として求め、その実印刷矩形が用紙範囲内であるか否かの比較を行なう。ここで、用紙に収まる場合には、最上端データの印字開始位置を用紙上端に設定して保存する(ステップS509)。
【0046】
また、ステップS510の最下端評価判定結果、最下端評価済みで無い場合(ステップS510“NO”)、制御部11は、重なりを保持してパーツ最下端データ位置を用紙下端に合わせる処理を実行して(ステップS511)、ステップS503の印字オーバー判定処理に戻る。具体的に、制御部11は、重なりを保持しているパーツ情報を、記憶部12のパーツ重なり印刷エリア情報12iの重なり情報にある重なりパーツの個数から得る。そして、パーツ印刷情報内部の印刷開始位置の最上端データ位置を用紙方向の最下端で印刷最大ドット数を加算することで実印刷矩形として求め、用紙範囲内であるか比較を行なう。ここで、用紙内部に収まる場合には最下端データの印字開始位置を用紙下端にして保存する。
【0047】
重なりを保持してパーツ最下端データ位置を用紙下端に合わせる処理を実行後(ステップS511)、または、最下端評価済み後(ステップS510“YES”)、制御部11は、重なり保持を解除し、左上起点座標である初期印刷位置に印字設定を行う(ステップS512)。なお、上記の四隅の評価処理を行ない、四隅のうちいずれか一つでも用紙からはみ出していれば、重ね合わせを解消し、その印刷データを初期の印刷位置に配置するように、記憶部12の印刷パーツ管理情報12fに対し印刷重ね合わせデータの無しの設定を行う。
【0048】
図12、
図13に、パーツの移動、編集終了後のパーツの重なり状態が例示されている。編集終了後も重なりパーツ状態は保持される。
図12において、例えば、
図10に示した「謹賀新年」の印刷データ(a:イラスト範囲A)を「恭賀新年」の印刷データ(b:イラスト範囲B)に変更を行なったとする。この場合、制御部11は、印刷の矩形重なりデータと、印刷凸形データを加算した印刷最大ドット数を更新し、その印刷幅が用紙内に収まるように、左のイラスト範囲A(a)を左に移動させ、重なり状態を維持したままでイラスト範囲B(b)のエリアを変更している。
【0049】
編集終了後の重なりパーツ状態の解消事例が
図13(a)(b)(c)に示されている。ここでは、
図11の「謹賀新年」の印刷データ(a:イラスト範囲A)を
図13のよう「初春」の印刷データ(b:イラスト範囲B)に変更した事例を示している。
図13(a)の状態は、重なり範囲eを保持した状態で、イラスト範囲B(b)が印刷範囲からはみ出していることを示している。
図13(b)の状態は、イラスト範囲Aのエリアaは用紙左端にあるが、未だイラスト凸形Aのエリアcの開始位置は左端に無いために左端に移動し、それに伴い、重なり範囲eとイラスト範囲Bのエリアbも左に移動した様子を示している。
図13(c)では、各イラスト範囲を左に移動してもまだイラスト凸形Bのエリア(d)が用紙範囲からはみ出しているために、イラスト範囲Aとの重なりを解消している。すなわち、イラスト範囲A,Bのエリアa,bともに初期の印刷座標位置になるような印刷変更を行っている。
【0050】
(実施形態の効果)
以上説明のように本実施形態に係る編集装置1によれば、制御部11が、第1のオブジェクトと第2のオブジェクトとが第1の矩形領域で重ね合わせされている状態において、第1のオブジェクトまたは第2のオブジェクトを第3のオブジェクトに変更する操作がなされると、第1の矩形領域と同じ形状になるように第3のオブジェクトを第1のオブジェクトまたは第2のオブジェクトに重ね合わせる制御を行うことで、オブジェクトの重なり形状を維持したままで重ね合わせを実現し、対象のオブジェクトが編集画面からはみ出ることなく、かつユーザが意図する重ね合わせ画像を得ることができる。
【0051】
また、本実施形態に係る印刷装置10によれば、制御部11により重ね合わせされた第3のオブジェクトと、第1のオブジェクトまたは第2のオブジェクトとを画像展開して印刷媒体(例えば、印刷用紙)に印刷することで、オブジェクトの重なり形状を維持したままで重ね合わせを実現し、対象のオブジェクトが印刷媒体からはみ出ることなく、かつユーザが意図する重ね合わせ画像を得ることができる。このとき制御部11は、印刷設定されたパーツ情報から、重ね合わせ状態のパーツ内部に規定している印刷凸形と重ね合わせ範囲とを繋いで印刷矩形と認識する。そして、重なるパーツを変更した場合には、その印刷凸形の大きさが変更になってもその矩形を維持したまま印刷位置を印刷凸形の変更差分サイズだけ移動し、印字可能状態であれば印字位置をシフトし、印字が用紙からはみ出る状態になる場合には、印刷凸形の重なりを解消して初期印刷位置に戻す制御を実行する。このことにより、ユーザが意図する重ね合わせ画像を印刷することができる。
【0052】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。またそのような変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0053】
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
【0054】
〔付記〕
[請求項1]
少なくとも操作部と制御部とを備え、
第1のオブジェクトと第2のオブジェクトとが重ね合わせされている状態において、前記操作部により、前記第2のオブジェクトを第3のオブジェクトに変更する操作がなされると、前記制御部は、前記第1のオブジェクトと前記第3のオブジェクトとの重なり領域が、前記第1のオブジェクトと前記第2のオブジェクトと重なり領域である第1の矩形領域と同じ形状になるように、前記第3のオブジェクトを前記第1のオブジェクトに重ね合わせる制御を行うことを特徴とする編集装置。
[請求項2]
前記第2のオブジェクト及び前記第3のオブジェクトは2つのオブジェクトに共通の第2の矩形領域内に当該第2の矩形領域に対して相対的に配置され、
前記制御部は、
前記第2の矩形領域の位置を変更しないように、前記第2のオブジェクトを前記第3のオブジェクトに変更する制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の編集装置。
[請求項3]
請求項1または2記載の編集装置と、前記制御部により重ね合わせされた前記第3のオブジェクトと前記第1のオブジェクトとを画像展開して印刷媒体に印刷する印刷処理を実行する印刷部と、を備えたことを特徴とする印刷装置。
[請求項4]
第1のオブジェクトと第2のオブジェクトとが重ね合わせされている状態において、前記第2のオブジェクトを第3のオブジェクトに変更する操作がなされたことを検出する機能と、
前記第1のオブジェクトと前記第3のオブジェクトとの重なり領域が、前記第1のオブジェクトと前記第2のオブジェクトと重なり領域である前記第1の矩形領域と同じ形状になるように前記第3のオブジェクトを前記第1のオブジェクトに重ね合わせる制御を行う機能と、
を実行する編集装置のプログラム。
[請求項5]
第1のオブジェクトと第2のオブジェクトとが重ね合わせされている状態において、前記第2のオブジェクトを第3のオブジェクトに変更する操作がなされたことを検出する機能と、
前記第1のオブジェクトと前記第3のオブジェクトとの重なり領域が、前記第1のオブジェクトと前記第2のオブジェクトと重なり領域である前記第1の矩形領域と同じ形状になるように前記第3のオブジェクトを前記第1のオブジェクトに重ね合わせる制御を行う機能と、
前記重ね合わせされたオブジェクトを画像展開して印刷媒体に印刷する印刷処理を実行する機能と、
を実行する印刷装置のプログラム。