(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
今回の着信呼の発呼者が一般者の場合に、自動着信呼振分機能により、今回の着信呼に対応する対応者を決定する第2の対応者決定手段を有することを特徴とする請求項1に記載の呼振分装置。
複数の対応者のそれぞれに対応付けられている対応者端末と、発呼者が発呼者端末を用いて発信した呼をいずれかの対応者端末に振り分ける呼振分装置とを有する呼処理システムにおいて、
上記呼振分装置として、請求項1〜5のいずれかに記載の呼振分装置を適用したことを特徴とする呼処理システム。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(A)主たる実施形態
以下、本発明による呼振分装置、方法及びプログラム、並びに、呼処理システムの一実施形態を、図面を参照しながら説明する。この実施形態の呼処理システムはコールセンタシステムである。
【0017】
(A−1)実施形態の構成
図1は、実施形態のコールセンタシステムの構成をネットワーク上での位置を明確にして示すブロック図である。
【0018】
顧客端末2は、コールセンタシステム1を利用する顧客が所持する電話機などの端末である。顧客端末2の種類を制限しても良く、また、制限しないようにしても良い。例えば、顧客端末2は、固定電話機であっても携帯電話機であっても良い。また別な観点から分類して、例えば、顧客端末2は、レガシーな電話機であってもIP電話機(ソフトフォンを含む)であっても良い。なお、オペレータの指示等に基づいて、FAX信号やデータ信号を顧客に提供し得るシステムであれば、電話端末に加え、ファクシミリ端末やパソコンなども顧客に係る端末となる。
【0019】
顧客端末2は、通信ネットワーク3を介して、コールセンタシステム1に接続可能である。通信ネットワーク3は、顧客端末2をコールセンタシステム1に接続可能な通信ネットワークであれば良く、その種類は限定されるものではない。また、顧客端末2及びコールセンタシステム1間に介在するネットワークが複数種類あり、通信ネットワーク3が複数種類のネットワークで構成されていても良い。通信ネットワーク3としては、電話網、IP(Internet Protocol)網、IMS(IP Multimedia Subsystem)網等を挙げることができる。
【0020】
コールセンタシステム1は、顧客端末2に対して、コールセンタサービスを提供するものである。
【0021】
実施形態のコールセンタシステム1は、ゲートウェイ11、コールセンタネットワーク12、コールセンタサーバ13、コールセンタデータベース14及び複数(
図1では1個だけを取り上げて示している)のオペレータ端末15を有する。
【0022】
ここで、ゲートウェイ11、コールセンタサーバ13、コールセンタデータベース14及びオペレータ端末15は、コールセンタネットワーク12を介して相互に接続可能となされている。ゲートウェイ11、コールセンタサーバ13、コールセンタデータベース14及びオペレータ端末15は、同一の拠点に設けられていても良く、また、複数の拠点に分散配置されていても良く、コールセンタネットワーク12を介して相互に接続可能となされている。例えば、全ての構成要素が同一拠点に設けられている場合には、コールセンタネットワーク12としてLAN(Local Area Network)が該当する。
【0023】
ゲートウェイ11は、通信ネットワーク3とコールセンタネットワーク12とを接続させるための処理を行うものである。ゲートウェイ11は、例えば、通信ネットワーク3におけるプロトコルと、コールセンタネットワーク12におけるプロトコルとの間の変換を行い、通信ネットワーク3からコールセンタネットワーク12への信号やコールセンタネットワーク12から通信ネットワーク3への信号が、送出先のネットワークに適合するようにする。通信ネットワーク3が、電話網やIP網など、複数の種類に分かれている場合には、ゲートウェイ11を、通信ネットワーク3の種類毎に設けることを要する。
【0024】
オペレータ端末15は、コールセンタ作業を行う対応するオペレータが使用する端末である。以下では、オペレータ端末15とそれに対応するオペレータは1対1の関係にあるとして説明する。例えば、その日その日で、オペレータが使用するオペレータ端末が変化しても良いが、この場合でも、呼を割り当てる際には、オペレータとオペレータ端末15とは1対1の関係になっていることを要する。オペレータ端末15として、例えば、コールセンタネットワーク12に接続されているオペレータ電話機が適用される。なお、オペレータ電話機に加え、パソコン等の情報処理端末を備えるものであっても良く、この場合において、オペレータ電話機がコールセンタネットワーク12に接続されている情報処理端末に収容されていても良く、オペレータ電話機が情報処理端末とは独立にコールセンタネットワーク12に接続されていても良い。
【0025】
なお、オペレータ端末15に対応するオペレータは、コールセンタ作業を行う一般的なオペレータに限定されず、それらオペレータを管理する管理者(スーパバイザ)であっても良い。
【0026】
以下では、オペレータ端末15としてオペレータ電話機だけを備える場合を例に説明を行う。なお、このような形態で適用されるオペレータ電話機は、例えば、操作キーや表示部等を有するIP電話機(ソフトフォンを含む)と同様な電話機である。
【0027】
また、以下では、オペレータ端末15がコールセンタネットワーク12に収容されているとして説明するが、オペレータ端末15が、コールセンタサーバ13(の全体やその要素)に対して、回線やケーブルを介して個別に接続されているものであっても良い。
【0028】
コールセンタデータベース14は、コールセンタサーバ13やオペレータ端末15が適宜アクセスするデータベースであり、各種情報を格納しているものである。コールセンタデータベース14は、例えば、
図2に示す待ち呼情報141、
図3に示す顧客情報142、
図4に示すオペレータ予約情報143などを格納している。
【0029】
待ち呼情報141は、オペレータ端末15との接続を待っている呼の情報であり、各レコードは、コールセンタシステム1にその呼についての着信があったときから、オペレータ端末15と接続されるまでの期間だけ記述されている。待ち呼情報141の1レコードは、
図2に示すように、少なくとも呼発生時刻141a、顧客電話番号141b、顧客ID141c及び接続予定時刻141d(のフィールド)を有している。
【0030】
呼発生時刻141aは、顧客端末2からコールセンタシステム1への呼を着信した時刻である。顧客電話番号141bは、顧客端末2の電話番号である。顧客ID141cは、顧客に対して一意に割り振られた識別情報(ID)である。なお、顧客電話番号と顧客IDとを1対1で対応付けている場合には、顧客電話番号141bと顧客ID141cの一方(例えば、顧客ID)のフィールドを設けないようにしても良い。接続予定時刻141dは、今回の呼を、いずれかのオペレータ(オペレータ端末15)に接続させる予定時刻である。
【0031】
顧客情報142は、当該コールセンタシステム1を利用可能な顧客(若しくは顧客端末2)に関するであり、当該コールセンタシステム1を利用可能な顧客の数と同じレコードを有する。顧客情報142の1レコードは、
図3に示すように、少なくとも顧客ID142a、顧客電話番号142b、顧客種別142c、接続先特定オペレータ142d及び前回接続先オペレータ142e(のフィールド)を有している。
【0032】
顧客ID142a及び顧客電話番号142bは、待ち呼情報141における顧客ID141cや顧客電話番号141bと同様に、顧客に対して一意に割り振られた識別情報、顧客端末2の電話番号である。但し、一人の顧客が利用する電話端末が、例えば、固定電話端末と携帯電話端末とのように複数ある場合には、同一の顧客IDには複数の電話番号が対応付けられている。この場合であっても、上述した待ち呼情報141の同一レコードに挿入される顧客ID141c及び顧客電話番号141bは1つずつとなる。
【0033】
顧客種別142cには、その顧客が特定顧客か一般顧客かを区別する情報が記述される。この実施形態の場合、「特定顧客」には2種類の特定顧客があり、第1は、契約その他の関係から呼振分処理で優先待遇を受ける顧客であり、第2は、前回(若しくは過去数回)の接続時点からさほど時間が経っていないために新たな呼(着信)があったときに同一のオペレータに接続することが好ましい顧客である。例えば、当該コールセンタシステム1がクレジットカードのコールセンタシステムのような場合、ゴールドカード利用の顧客を第1の特定顧客にする。また例えば、当該コールセンタシステム1を適用している法人から見てのVIP(Very Important Person)待遇の顧客を第1の特定顧客にする。第2の特定顧客に関し、前回の接続終了時点から所定時間経過した場合、若しくは、新たな着信がないままシステム全体の第2の特定顧客の見直し時刻(例えば、毎土曜日の午前2時)に達した場合には、第2の特定顧客は一般顧客に変更される。第1の特定顧客及び第2の特定顧客を区別する観点は無関係であるため、一人の顧客が第1の特定顧客かつ第2の特定顧客に該当することもあり得る。以下では、顧客種別142cに、第1の特定顧客と第2の特定顧客とを区別しない情報が記述されているとして説明するが、顧客種別142cに、第1の特定顧客と第2の特定顧客とを区別した情報を記述するようにしても良い。
【0034】
接続先特定オペレータ142dには、第1の特定顧客に対応するオペレータ(以下、特定オペレータと呼ぶこともある)が記述される。同一の第1の特定顧客に対応付けられる特定オペレータは一人に限定されず(なお、限定されていても良い)、複数の特定オペレータが記述されていても良い。同一の第1の特定顧客に対応付けられるオペレータとして複数の特定オペレータを記述する場合には、特定オペレータ間の優先順位も併せて記述するようにしても良い。前回接続先オペレータ142eには、第2の特定顧客に前回の接続時に対応したオペレータが記述され、必要に応じて、接続終了時刻などの補助的な情報も併せて記述される。現時刻から所定時間(第2の特定顧客を判別するための時間)前の過去までにその顧客に対応したことがあるオペレータが複数いた場合には、前回接続先オペレータ142eに複数のオペレータを記述するようにしても良い。
【0035】
オペレータ予約情報143は、ある顧客に対して対応中(ワークタイム中)のオペレータのうち、次に対応する顧客が決定(予約)されたオペレータの情報であり、そのような条件を満たす全てのオペレータの数と同じレコードを有する。なお、オペレータがオペレータ予約情報143に記述されている顧客に対する対応を開始すると、そのオペレータに係るレコードは消去される。また、オペレータとオペレータ端末15との関係や、オペレータの現在状況や、オペレータの勤務時間などは、オペレータ管理情報として別途記述されるが、オペレータ管理情報とオペレータ予約情報143とを融合させて記述するようにしても良い。オペレータ予約情報143の1レコードは、
図4に示すように、少なくともオペレータID143a、次回接続予定顧客143b及び空き予定時刻143c(のフィールド)を有している。
【0036】
オペレータID143aは、オペレータに対して一意に割り振られた識別情報(ID)である。次回接続予定顧客143bには、現在対応中の顧客の対応が終了したときに対応する次の顧客のIDが記述される。空き予定時刻143cには、現在対応中の顧客の対応からオペレータが解放され(オペレータがワークタイム中である場合、ワークタイムで行われる処理(一例は、後述の対応報告書の記載等に代表される後処理)が終了して)、オペレータが次回接続予定顧客と通話可能となる予定時刻が記述される。オペレータは、顧客との接続が切断された後、対応報告書(紙ファイルに限定されず電子ファイルのこともあり得る)を記載するが、この記載終了予定時刻を現在対応中の顧客の対応から解放される時刻とする。各オペレータについて、顧客対応時間の平均値(若しくは中央値)などの代表対応時間を予め算出して記憶しておき、今回の対応開始時刻にその代表対応時間を加算して空き予定時刻を定める。現在時刻から空き予定時刻までの時間が、次回接続予定顧客から見た予約待ち時間となる。
【0037】
図1に戻り、コールセンタサーバ13は、実施形態の特徴に関係する処理部として、通信処理部131、呼制御処理部132、ACD(Automatic Call Distribuion;自動着信呼振分)処理部133及び通話予約処理部134を有する。
【0038】
コールセンタサーバ13は、ハードウェア構成(例えば、専用の集積回路)によって担当する機能を実現するものであっても良く、また、CPU(DSPに搭載されたものであっても良い)が予め用意されているプログラム(特許請求の範囲では、このようなプログラムを呼振分プログラムと呼んでいる)を実行することによって担当する機能を実現するものであっても良いが、
図1に表すように機能分けすることができる。ここで、コールセンタサーバ13は、1つの物理的なサーバによって実現されていても良く、また、複数の物理的なサーバによって実現されていても良い。コールセンタサーバ13を構成する物理的なサーバが、他の機能(例えば、ゲートウェイ)をも担うものであっても良い。
【0039】
通信処理部131は、顧客端末2やオペレータ端末15等との通信処理(例えば、信号の符号化、復号、パケットの組立、分解など)を行うものである。
【0040】
呼制御処理部132は、呼の確立、切断などの一般的な呼制御を行うものである。
【0041】
ACD処理部133は、未処理の着信呼を管理すると共に、通話予約処理部134の制御下で、着信呼を分配するオペレータを自動的に決定するものである。この実施形態の場合、ACD処理部133は、主に、一般顧客からの着信呼に対して処理を行うものであり、特定顧客からの着信呼に対しては、主として、通話予約処理部133が対応するオペレータの決定を行う。
【0042】
通話予約処理部134は、着信呼に係る顧客に対応するオペレータを決定し、オペレータに通話予約を行う処理を行うものである。通話予約処理部134の機能の詳細については、後述する動作説明で明らかにする。
【0043】
(A−2)実施形態の動作
実施形態のコールセンタシステム1は、呼を着信した際のコールセンタサーバ13の動作に特徴を有しており、以下、呼を着信した際のコールセンタサーバ13の動作を、図面を参照しながら説明する。
【0044】
図5は、コールセンタサーバ13の呼を着信した際の動作を示すフローチャートである。以下動作主体を「コールセンタサーバ13」と記載するが、概ね、通話予約処理部134が動作主体となっている。
【0045】
コールセンタサーバ13は、新たな着信呼があると、
図5に示す処理を開始する。
【0046】
そしてまず、コールセンタサーバ13は、着信された呼の顧客が特定顧客か否かを判別する(ステップS101)。着信呼の信号から電話番号を抽出し、抽出した電話番号をキーとして顧客情報142bをアクセスすることにより、特定顧客か否かを判別する。なお、呼を着信した際、未処理の呼をキューイングするキューが空であれば、コールセンタサーバ13は、直ちに、今回の着信呼に対してステップS101の処理を行い、上述したキューに過去の着信呼がキューイングされている場合には、コールセンタサーバ13は、それらの過去の着信呼がキューからなくなった後に、今回の着信呼に対してステップS101の処理を行う。
【0047】
ステップS101の処理において、処理に供している着信呼の顧客が一般顧客の場合には、コールセンタサーバ13は、ACD機能により、処理対象の着信呼に対応するオペレータを決定する(ステップS102)。コールセンタサーバ13は、対応すると決定したオペレータが通話可能か否かを判別し、対応すると決定したオペレータが今回の着信呼に係る顧客と接続できる状態になるのを待ち受ける(ステップS103)。対応すると決定したオペレータが接続できる状態になると、コールセンタサーバ13は、対応すると決定したオペレータ(オペレータ端末15)と顧客(顧客端末2)とを接続させる(ステップS104)。この接続により、オペレータは、顧客と通話などに基づいて、顧客対応を行う。
【0048】
これに対して、ステップS101の処理において、処理に供している着信呼の顧客が特定顧客の場合には、コールセンタサーバ13は、顧客情報142bに基づいて、処理対象の着信呼に対応するオペレータを決定する(ステップS105)。ここで、コールセンタサーバ13は、着信呼に関わる顧客情報142bに対応して記憶される接続先特定オペレータ142dと前回接続先オペレータ142eを参照して、複数のオペレータが記述されている場合には、一人に絞って対応するオペレータを決定しても良い。なお、複数のオペレータが記述されている場合とは、接続先特定オペレータ142dに少なくとも2以上のオペレータが記述、前回接続先オペレータ142eに少なくとも2以上のオペレータが記述、又は、接続先特定オペレータ142d及び前回接続先オペレータ142eに少なくとも1以上のオペレータが記述されている場合である。この絞り込みでは、特定オペレータより前回接続先オペレータを優先させ、同一のフィールドに複数のオペレータが記載されている場合には先に記載のオペレータを優先させるようにしても良い。後述する
図6の例では、各オペレータについて空き予定時刻を計算し、空き予定時刻が最も早いオペレータに絞り込むようにしている。なお、対応するオペレータの候補として複数のオペレータをそのまま決定し、一人への絞り込みを、これ以降の処理で行うようにしても良い。
【0049】
その後、コールセンタサーバ13は
、対応すると決定したオペレータが通話可能か否かを判別する(ステップS106)。対応すると決定したオペレータが複数いてこのステップの前で一人に絞り込んでいない場合であれば、いずれかのオペレータが通話可能であると、オペレータが通話可能であると判定する。通話可能なオペレータが複数いる場合には、特定オペレータより前回接続先オペレータを優先させたり、同一のフィールドについての複数のオペレータの中から先に記載のオペレータを優先させたりし、この判別の際に、コールセンタサーバ13は一人のオペレータに絞り込む。
【0050】
ステップS105の処理において、対応すると決定したオペレータが通話可能であると、コールセンタサーバ13は、対応すると決定したオペレータ(オペレータ端末15)と顧客(顧客端末2)とを接続させる(ステップS104)。この接続により、オペレータは、顧客との通話などに基づいて、顧客対応を行う。
【0051】
これに対して、ステップS105の処理において、対応すると決定したオペレータが通話できない場合には、コールセンタサーバ13は、対応すると決定したオペレータ(オペレータ端末15)に対し、今対応中の顧客の次に接続予定の顧客情報として、今回の着信に係る顧客の情報を通知する(ステップS107)。言い換えると、今回の着信に係る顧客の対応をオペレータに予約する。ここで、対応すると決定したオペレータが複数いる場合には、このタイミングで一人に絞り込むようにしても良い。ここで、コールセンタサーバ13は、後述するステップS108−S109−S110−S111、又は、S108−S109−S110−S112を実行して、予約待ち時間を全てのオペレータ候補について算出し、算出した予約待ち時間が最も短いオペレータに絞り込むようにしても良い。また、オペレータ(オペレータ端末15)に対する顧客情報の通知は、視覚的な通知方法及び聴覚的な通知方法の少なくとも一方の通知方法によれば良く、通知に供するオペレータ端末15の構成要素は表示部などの既存の構成要素を適用すれば良い。例えば、通知起動のLEDの点滅及びブザーの鳴動の少なくとも一方を行い、これに同期して、顧客情報をオペレータ端末15の液晶表示部にテロップ的に流すようにしても良い。顧客情報は、例えば、顧客電話番号、顧客ID、顧客種別、顧客氏名(
図3の顧客情報に氏名のフィールドを設けていても良く、他の顧客管理情報から氏名を取り出すようにしても良い)のいずれか1以上である。前回接続時の用件情報を管理しておくようにした場合には、通知する顧客情報に用件情報を含めるようにしても良い。ここで、前回接続時の用件情報は、
図3の顧客情報に設けられた前回接続時の用件情報のフィールドで管理するようにしても良い。
【0052】
オペレータ(オペレータ端末15)に対して、今回の着信に係る顧客の情報を通知すると、コールセンタサーバ13は、顧客(顧客端末2)に対して待ち時間を通知するための前処理を行った後、顧客に対して待ち時間を通知する。具体的には、以下のような処理を行う。
【0053】
コールセンタサーバ13は、対応するオペレータが特定されていないと仮定した場合の顧客端末2の待ち時間(以下、オペレータ非特定待ち時間と呼ぶ)を算出すると共に、対応すると決定したオペレータの現況を反映させた待ち時間(以下、予約待ち時間と呼ぶ)を算出する(ステップS108、S109)。各オペレータについての過去の顧客対応時間の平均値を、全てのオペレータについて平均した時間(以下、基準顧客対応時間と呼ぶ)を予め算出して管理しておく。今回の着信呼の着信時刻(若しくはステップS101の処理を開始した時刻)に基準顧客対応時間を加算した時刻に、現在時刻から達するに要する時間をオペレータ非特定待ち時間とする。また、現在時刻から、対応すると決定したオペレータの空き予定時刻143c(
図4参照)までの時間を予約待ち時間となる。
【0054】
次に、コールセンタサーバ13は、算出された予約待ち時間に所定時間α(αは0であっても良い)を加算した時間より、オペレータ非特定待ち時間が長いか否かを判別する(ステップS110)。そして、コールセンタサーバ13は、肯定結果が得られたときには、予約待ち時間を、顧客(顧客端末2)に対して待ち時間として通知し、一方、否定結果が得られたときには、オペレータ非特定待ち時間を、顧客(顧客端末2)に対して待ち時間として通知する(ステップS111、S112)。顧客(顧客端末2)に対する待ち時間の通知は、視覚的な通知方法及び聴覚的な通知方法の少なくとも一方の通知方法によれば良く、通知に供する顧客端末2の構成要素は表示部などの既存の構成要素を適用すれば良い。例えば、通知起動のLEDを点滅させる、ブザーを鳴動させるのうち少なくとも一方を行い、これに同期して、待ち時間を顧客端末2の液晶表示部にテロップ的に流すようにしても良い。通知方法によっては、
図1で記載を省略しているメッセージ処理部が機能することとなる。
【0055】
以上の処理により、予約待ち時間が長いオペレータについては、顧客にオペレータ非特定待ち時間を通知し、待ち時間が長い印象を顧客に持たせることを回避することができる。
【0056】
待ち時間が長いと判断した顧客の中には、呼を切断し、間を置いて掛け直す者も生じる。
【0057】
以上では、今回の着信呼に対応するオペレータが、特定オペレータか前回接続先のオペレータかを確認することなく、オペレータ非特定待ち時間が予約待ち時間+α以下の場合には、オペレータ非特定待ち時間を顧客(顧客端末2)に通知する場合を示したが、オペレータ非特定待ち時間が予約待ち時間+α以下の場合に対応オペレータの種別を確認し、対応オペレータの種別によっては、予約待ち時間を顧客(顧客端末2)に通知するようにしても良い。例えば、第1の特定顧客に対応するオペレータとして予め定められているオペレータが対応するオペレータと決定された際には、顧客は、待ち時間が多少長くてもいつものオペレータが対応してくれることに良い印象を持つので、第1の特定顧客に対応するオペレータとして予め定められているオペレータが対応するオペレータと決定された際には、オペレータ非特定待ち時間が予約待ち時間+α以下の場合であっても、予約待ち時間を顧客(顧客端末2)に通知するようにしても良い。
【0058】
以上の待ち時間の決定処理を通じて顧客に対する接続予定時刻が定まるので、ステップS111又はS112の処理には、今回の着信呼に係る待ち呼情報141のレコードの接続予定時刻のフィールド141dに接続予定時刻を書き込む処理が含まれている。
【0059】
待ち時間を顧客に通知した後は、コールセンタサーバ13は、予約先オペレータが今回の着信呼に係る顧客と接続できる状態になるのを待ち受ける(ステップS113)。予約先オペレータが接続できる状態になると、コールセンタサーバ13は、そのオペレータ(オペレータ端末15)と顧客(顧客端末2)とを接続させる(ステップS104)。この接続により、オペレータは、顧客との通話などに基づいて、顧客対応を行う。
【0060】
ステップS105の処理及びステップS113の処理に係る詳細例は、
図6と
図7を参照しながら後述する。
【0061】
図6は、
図5のステップS105の処理の詳細を示すフローチャートである。
図6は、ステップS105の処理内で、接続予定のオペレータを一人に絞り込む処理を行う場合を示している。
【0062】
コールセンタサーバ13は、ステップS105の処理を開始すると、今回の着信呼に係る特定顧客の顧客情報142におけるレコードの前回接続先オペレータ142e(のフィールド)にオペレータが記述されているか否かを判別し(ステップS201)、記述されていれば、そのオペレータ(オペレータID)を予約先オペレータ候補のリストに追加する(ステップS202)。
【0063】
前回接続先オペレータ142e(のフィールド)にオペレータが記述されていない場合、又は、前回接続先オペレータ142e(のフィールド)にオペレータが記述されていて予約先オペレータ候補のリストにオペレータを追加した場合には、コールセンタサーバ13は、今回の着信呼に係る特定顧客の顧客情報142におけるレコードの接続先特定オペレータ142d(のフィールド)にオペレータが記述されているか否かを判別し(ステップS203)、記述されていれば、そのオペレータ(オペレータID)を予約先オペレータ候補のリストに追加する(ステップS204)。
【0064】
上述したステップS201及びS203の判別で共に否定結果が得られることはあり得ず、以上までの処理で、予約先オペレータ候補のリストには、1以上のオペレータがリストアップされている。
【0065】
コールセンタサーバ13は、リストアップされているオペレータのそれぞれについて空き予定時刻を計算する(ステップS205)。上述したように、今回の対応開始時刻に、そのオペレータの顧客対応時間の平均値(若しくは中央値)などの代表対応時間を加算して空き予定時刻を計算する。オペレータが既に空いている場合には、空き予定時刻は現在時刻となる。
【0066】
コールセンタサーバ13は、空き予定時刻が最も早いオペレータを予約先オペレータに決定し、オペレータ予約情報143に新たなレコードを追加して決定した予約先オペレータをオペレータIDのフィールド143aに記述し、着信呼に係る顧客のIDを次回接続予定顧客のフィールド143bに記述し、最も早い空き予定時刻を空き予定時刻のフィールド143cに記述して(ステップS206)、メインルーチンに戻る。
【0067】
なお、
図6では記述していないが、特定顧客に対応することが予め定められているオペレータが全て欠勤しているような場合には、ACD機能により、対応するオペレータが定められることになる。
【0068】
図7は、
図5のステップS113の処理において、コールセンタサーバ13がオペレータ(オペレータ端末15)と顧客(顧客端末2)とを接続させる処理に係るフローチャートである。
図7は、オペレータ(オペレータ端末15)から今までの顧客対応が終了した旨の通知を受信した際のコールセンタサーバ13の処理を示すフローチャートである。なお、この通知受信に代え、コールセンタサーバ13がオペレータ端末15の状況を短い周期で繰り返し見に行き、顧客対応の終了を認識して
図7に示すような処理を実行するようにしても良い。
【0069】
コールセンタサーバ13は、オペレータ(オペレータ端末15)から今までの顧客対応が終了した旨の通知を受信すると、
図7に示す処理を開始する。
【0070】
そしてまず、今まで対応していた顧客の顧客情報142におけるレコードの前回接続先オペレータのフィールド143eに情報(接続終了時刻を含んでいても良い)を書込む(ステップS301)。
【0071】
また、通知元のオペレータのIDが記述されているレコードがオペレータ予約情報143にあるか否かを判別する(ステップS302)。そのようなレコードがなければ、コールセンタサーバ13は、オペレータが空き状態になった際の一般的な処理を行う(ステップS303)。
【0072】
これに対して、通知元のオペレータのIDが記述されているレコードがオペレータ予約情報143にあると、コールセンタサーバ13は、そのレコードの次回接続予定顧客143bに記述されている顧客IDを取り出し、この顧客IDをキーとして、待ち呼情報141をアクセスすることにより、通知元のオペレータが次に対応する顧客の電話番号を得る(ステップS304)。そして、通知元のオペレータのオペレータ端末15とその電話番号を有する顧客端末2とを接続させると共に(ステップS305)、オペレータ予約情報143及び待ち呼情報141の該当するレコードを削除する(ステップS306)。
【0073】
(A−3)実施形態の効果
上記実施形態によれば、以下のような効果を奏することができる。
【0074】
顧客を特定顧客と一般顧客とに弁別しておき、特定顧客からの着信に対し、一般顧客からの着信と同一のキューにキューイングしながら、その特定顧客に対応することに予め定められているオペレータに速やかに接続することができる。
【0075】
ここで、特定顧客に対応することに予め定められているオペレータが着信時に通話可能以外の状況にあっても接続予約を行って、そのオペレータへの予約接続を行うことができ、しかも、そのオペレータに接続予定の顧客端末を通知するので、オペレータは次の顧客への対応を意識して現在の顧客への対応を行うことができる。特に、通知する顧客情報に顧客種別を含めた場合には、次に対応する顧客が特定顧客(例えば、VIP待遇)であることを認識でき、その特定顧客に対して当初から適切に対応することができる。
【0076】
特定顧客に対応可能なオペレータが複数いる場合には、各オペレータの空き予定時刻を計算し、空き予定時刻が最も早いオペレータを予約先とするように自動的に定めたので、スーパバイザ等が特定顧客に対応するオペレータを定めるようなことなく、適切なオペレータを自動的に指定することができる。
【0077】
(B)他の実施形態
上記実施形態の説明においても、種々変形実施形態に言及したが、さらに、以下に例示するような変形実施形態を挙げることができる。
【0078】
上記実施形態において、コールセンタサーバ13は、次のように変更された処理を実行してもよい。ここで、変更された処理は、
図5のフローチャートに係る処理である。
【0079】
図8は、変更された処理のフローチャートであり、実施形態のコールセンタシステム内のコールセンタサーバが呼を着信した際に行う動作の変形例を示すフローチャートである。
【0080】
図8のフローチャートが
図5のフローチャートと異なる処理は、ステップS107で、対応すると決定したオペレータが複数いる場合において、コールセンタサーバ13が実行する待ち受ける処理(ステップS113)に係る処理を、次に示される第1変更処理と第2変更処理に変更する。
【0081】
第1変更処理において、待ち受ける処理(ステップS113)で、待ち受ける処理時間が所定時間以下「Y」であれば、コールセンタサーバ13は、ステップ104の処理を実行する。
【0082】
第2変更処理において、待ち受ける処理(ステップS113)で、待ち受ける処理時間が所定時間以上「N」であれば、コールセンタサーバ13は、再度、ステップS107〜S111及びS113、若しくは、ステップS107〜S110、S112及びS113の処理を実行する。
【0083】
なお、再度、コールセンタサーバ13により実行されるステップS107の処理は、さらに次に示される第3変更処理と第4変更処理と第5変更処理に変更する。
【0084】
第3変更処理において、コールセンタサーバ13が再度ステップS107を実行する場合、コールセンタサーバ13は、前回のステップS106で対応すると決定した、複数のオペレータから一人に絞り込んだオペレータを除いて、再び対応すると決定した複数のオペレータから一人に絞り込む。
【0085】
第4変更処理において、コールセンタサーバ13が再度ステップS107を実行する場合、前回のステップS106で対応すると決定した、複数のオペレータから一人に絞り込んだオペレータは、今回のステップS106で対応すると決定した複数のオペレータから一人に絞り込んだオペレータと同じ場合と異なる場合がある。同じ場合、コールセンタサーバ13は、前回と同様に、ステップS107〜S111及びS113、若しくは、ステップS107〜S110、S112及びS113の処理を実行する。
【0086】
異なる場合には、コールセンタサーバ13は、前回と異なり、第5変更処理と第6変更処理を実行した上で、ステップS107〜S111及びS113、若しくは、ステップS107〜S110、S112及びS113の処理を実行する。
【0087】
第5変更処理において、コールセンタサーバ13は、前回のステップS107で対応すると決定した、複数のオペレータから一人に絞り込んだオペレータに、今回の着信に係る通知について、取り消し通知を送信する。
【0088】
第6変更処理において、コールセンタサーバ13は、今回のステップS107で対応すると決定した、複数のオペレータから一人に絞り込んだオペレータに、今回の着信に係る顧客の情報を通知する。
【0089】
上記実施形態では、予約先オペレータの空き予定時刻を、現在の対応の開始時刻に、そのオペレータについての顧客対応時間の平均値などの代表対応時間を加算して求める場合を示したが、顧客の情報をも反映させるようにしても良い。例えば、各顧客についても、対応に要した所要時間の平均値などの代表所要時間を予め計算しておく。そして、現在の対応の開始時刻に、代表対応時間と代表所要時間との重み付け平均時間を加算して予約先オペレータの空き予定時刻を算出するようにする。
【0090】
上記実施形態では、予約先オペレータの空き予定時刻の算出に、そのオペレータについての顧客対応時間の平均値などの代表対応時間を利用するものを示したが、代表対応時間を用件別に算出しておき、着信呼の用件についての代表対応時間を適用して予約先オペレータの空き予定時刻を算出するようにしても良い。例えば、着信当初に、IVR(Interactive Voice Response)機能により、「故障問合せ」、「操作方法」などの問い合わせの用件を得て、適用する代表対応時間を定めるようにする。
【0091】
上記実施形態では、オペレータの分配に関し、顧客を特定顧客と一般顧客とに分類するものを示したが、特定顧客をさらに区分するようにしても良い。例えば、上述した第1の特定顧客と第2の特定顧客との相違を顧客情報の種別でも明確に区別するようにした上で、一部の処理を、第1の特定顧客と第2の特定顧客とで変更するようにしても良い。例えば、第1の特定顧客に対しては、常に予約待ち時間を通知し、第2の特定顧客に対しては、オペレータ非特定待ち時間と予約待ち時間との比較結果に応じた待ち時間を通知する。
【0092】
上記実施形態では、顧客に、待ち時間を通知するものを示したが、待ち時間に代えて、待ちの長さを表す他の指標を顧客に通知するようにしても良い。例えば、対応予定のオペレータの空き予定時刻を通知するようにしても良い。また、絶対的な時間ではなく、「30秒程度」、「1分程度」など待ち時間の目安を通知するようにしても良い。
【0093】
上記実施形態では、顧客に、待ち時間を通知するものを示したが、待ち時間に加えて他の情報をも通知するようにしても良い。例えば、対応することが予約されているオペレータの情報を通知するようにしても良い。このような場合には、待ち時間に代えて、空き予定時刻を通知しても良い。また、待ち時間の上限を定めておき、オペレータ非特定待ち時間と予約待ち時間の短い方でも待ち時間の上限を超えている場合には、「対応すべきオペレータが込んでいます。後ほど、お掛け直しください。」などのメッセージを顧客に提示するようにしても良い。
【0094】
上記実施形態では、特定顧客に対応するオペレータを顧客情報142に記述するものを示したが、特定顧客に対応するオペレータとしてオペレータのグループ名を記述するようにしても良い。この場合には、グループに属する全てのオペレータが記述されていると捉えて処理するようにすれば良い。
【0095】
上記実施形態では、特定顧客に対応するオペレータを予め定めているものを示したが、特定顧客と用件との組み合わせに対して、対応するオペレータを定めておくようにしても良い。
【0096】
上記実施形態では、特定顧客に対して、接続先特定オペレータ142dと前回接続先オペレータ142eの双方にオペレータが記述されている場合には、区別することなく接続候補として取り扱う場合を示したが(
図6参照)、所定条件下で、一方を優先させるようにしても良い。例えば、前回の接続が切断された時点から所定時間(例えば30分)を経過していない着信に対しては、前回接続先オペレータ142eに記述されているオペレータを優先させ、所定時間以上経過した着信に対しては、接続先特定オペレータ142d及び前回接続先オペレータ142eの双方に記述されているオペレータを区別することなく取扱うようにしても良い。
【0097】
上記実施形態は、本発明を、コールセンタシステムに適用したものであったが、本発明の用途はコールセンタシステムに限定されるものではない。例えば、会社の代表電話番号への着信をどの部門若しくはオペレータの電話番号に振り分けるかを決定するシステムに対しても、本発明を適用することができる。