特許第6417852号(P6417852)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6417852
(24)【登録日】2018年10月19日
(45)【発行日】2018年11月7日
(54)【発明の名称】余剰電力統合システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/00 20060101AFI20181029BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20181029BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20181029BHJP
   H01M 8/04 20160101ALI20181029BHJP
【FI】
   H02J3/00 180
   H02J3/38 170
   H02J13/00 311R
   H01M8/04
【請求項の数】7
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2014-220903(P2014-220903)
(22)【出願日】2014年10月30日
(65)【公開番号】特開2016-92865(P2016-92865A)
(43)【公開日】2016年5月23日
【審査請求日】2017年9月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】アイシン精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089082
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 脩
(74)【代理人】
【識別番号】100190333
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 群司
(74)【代理人】
【識別番号】100130188
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 喜一
(72)【発明者】
【氏名】柴田 祐次
【審査官】 原 嘉彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−200539(JP,A)
【文献】 特開2006−280154(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 19/00
G06Q 10/00−10/10
30/00−30/08
50/00−50/20
50/26−99/00
H01M 8/04−8/0668
H02J 3/00−5/00
13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
化石燃料を用いて発電する発電装置と、
前記発電装置と系統電源の分電盤との間に設けられ、前記発電装置から出力された出力電力を前記系統電源の交流電力と同等の交流電力に変換して前記分電盤から給電される負荷に出力する電力変換器と、
前記発電装置および前記電力変換器の駆動制御をする制御装置と、
を備える分散型電源の系統連系装置が前記系統電源の配電線網を介して複数接続された系統連系装置群と、
前記系統連系装置群の各前記系統連系装置と通信可能に接続され、各前記系統連系装置の余剰電力を統合する統合装置と、
を備え、
各前記系統連系装置は、前記電力変換器の出力電力から前記負荷で消費される消費電力を減じて前記余剰電力を算出する余剰電力算出部と、
有線または無線の通信回線を介して前記統合装置と通信し、前記余剰電力算出部によって算出された前記余剰電力を含む余剰電力情報を生成して前記統合装置に対して送信する通信部と、
前記余剰電力を前記配電線網へ逆潮流させることを禁止する逆潮流禁止制御から前記余剰電力を前記配電線網へ逆潮流させることを許可する逆潮流許可制御へ前記発電装置および前記電力変換器の前記駆動制御を切り替える駆動制御切り替え部と、
を備え、
前記統合装置は、各前記系統連系装置の前記通信部から送信された前記余剰電力情報に基づいて、各前記系統連系装置の前記余剰電力の加算電力であって前記複数の系統連系装置から供給可能な電力である売電電力を算出する売電電力算出部と、
前記売電電力算出部によって算出された前記売電電力を電力市場で売り入札する入札部と、
各前記系統連系装置の前記余剰電力を前記配電線網へ逆潮流させることを許可するときに、前記逆潮流禁止制御を解除して前記逆潮流許可制御に移行させる逆潮流禁止解除指令を生成する逆潮流許可部と、
を備え、
各前記系統連系装置の前記駆動制御切り替え部は、前記逆潮流許可部によって生成された前記逆潮流禁止解除指令を前記通信部が受信したときに、前記逆潮流禁止制御から前記逆潮流許可制御へ前記駆動制御を切り替える余剰電力統合システム。
【請求項2】
前記複数の系統連系装置のうちの少なくとも一つは、前記通信部および前記駆動制御切り替え部が前記制御装置と別体に設けられ、且つ、前記制御装置と通信可能に接続されている請求項1に記載の余剰電力統合システム。
【請求項3】
各前記系統連系装置の前記駆動制御切り替え部は、前記逆潮流許可部によって生成された前記逆潮流禁止解除指令を前記通信部が受信したときに、前記発電装置および前記電力変換器の駆動制御プログラムを、前記逆潮流禁止制御を行う駆動制御プログラムから前記逆潮流許可制御を行う駆動制御プログラムへ書き換える請求項1または2に記載の余剰電力統合システム。
【請求項4】
前記統合装置は、前記売電電力が前記電力市場で落札されたときに、前記売電電力の各供給者に対して、前記落札によって得られた売電利益を、供給した前記余剰電力に比例して分配する分配部を備える請求項1〜3のいずれか一項に記載の余剰電力統合システム。
【請求項5】
各前記系統連系装置は、貯湯水を貯湯する貯湯槽と、
前記発電装置から排気された燃焼排ガスが供給されるとともに前記貯湯槽から前記貯湯水が供給され、前記燃焼排ガスと前記貯湯水との間で熱交換する熱交換器と、
を備え、
各前記系統連系装置は、前記熱交換器を介して回収され前記貯湯水に蓄えられた熱量である貯湯熱量または前記貯湯熱量を電力に換算した貯湯電力を示す排熱回収量を検出する排熱回収量検出部を備え、
各前記系統連系装置の前記通信部は、前記排熱回収量検出部によって検出された前記排熱回収量を含む排熱回収情報を生成して、前記余剰電力情報に加えて前記排熱回収情報を前記統合装置に対して送信し、
前記統合装置は、各前記系統連系装置の前記通信部から送信された前記余剰電力情報および前記排熱回収情報に基づいて、各前記系統連系装置の運転効率が最も高くなる各前記系統連系装置の運転状態を決定し、各前記系統連系装置に対して当該運転状態を指示する駆動制御最適化部を備える請求項1〜4のいずれか一項に記載の余剰電力統合システム。
【請求項6】
前記駆動制御最適化部は、前記発電装置に投入する前記化石燃料の費用であって前記余剰電力を生成するために必要な変動費用である余剰電力生成費用と、前記余剰電力を生成し売電したときの売電利益とを各前記系統連系装置について算出し、
前記駆動制御最適化部は、前記売電利益と比べて前記余剰電力生成費用が低廉になる各前記系統連系装置の前記余剰電力の生成量を決定し、各前記系統連系装置に対して当該生成量を指示する請求項5に記載の余剰電力統合システム。
【請求項7】
各前記系統連系装置の前記制御装置は、前記逆潮流禁止制御から前記逆潮流許可制御に移行したときに、前記排熱回収量検出部によって検出された前記排熱回収量が目標排熱回収量に到達するまでは、前記系統連系装置を最大定格運転で運転させ、前記排熱回収量が前記目標排熱回収量に到達した以降は、前記駆動制御最適化部によって指示された前記運転状態で運転させる請求項5または6に記載の余剰電力統合システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の系統連系装置の各余剰電力を配電線網へ逆潮流させることが可能な余剰電力統合システムに関する。
【背景技術】
【0002】
発電装置の発電電力を有効活用しようとする発明の一例として、特許文献1〜特許文献5に記載の発明が挙げられる。特許文献1に記載のコジェネレーション装置を利用した電力と温水の需給システムは、コジェネレーション装置と負荷機器とを通信ネットワークで接続し、電力と温水の需給に関する情報交換を行う。そして、特許文献1に記載の発明は、コジェネレーション装置の発電電力および温水生成量と、負荷機器の電力消費量および温水使用量とのアンバランスを調整して、エネルギーの有効利用、エネルギーコストの低減を図ろうとしている。
【0003】
特許文献2に記載の分散型発電管理システム用のサーバーは、情報管理部と記憶部とを備えている。情報管理部は、分散型発電設備の保有者、分散型発電設備の電力管理者および分散型発電設備保有者の電力に関わる支払い業務を代行する業者のうちの少なくとも1人以上の者の所有する情報端末から、ネットワークを介して送信される分散型発電設備の電力情報を受信する。記憶部は、受信した電力情報と、電力価値を決定するために使用する価値情報とを蓄積する。また、情報管理部は、少なくとも分散型発電設備の総発電電力量と自己消費電力の情報を含む電力情報と価値情報とを用いて、分散型発電設備により発電した電力のうちの自己消費した自己消費電力の電力価値を算出する。これにより、特許文献2に記載の発明は、分散型発電設備によって発電した発電電力の価値を適切に評価しようとしている。
【0004】
特許文献3に記載の制御装置は、使用可能機能検索部と報知部とを備えている。使用可能機能検索部は、発電電力値から複数の機器で使用される電力値である機器群使用電力値を減算して余剰電力値を算出し、余剰電力値で運転可能な機器の使用可能機能の情報を出力する。また、報知部は、使用可能機能検索部が出力した使用可能機能の情報を報知する。これにより、特許文献3に記載の発明は、余剰電力の範囲内で使用可能な機能を使用者に報知しようとしている。
【0005】
特許文献4に記載のエネルギー管理装置は、通信部と制御部とを備えている。通信部は、売電可能な電力を供給する分散電源の発電電力値及び系統への売電電力値を取得する。制御部は、発電電力値又は売電電力値の一方に基づき、他方の電力値を補正する。これにより、特許文献4に記載の発明は、信頼性の高い電力情報を提示しようとしている。
【0006】
特許文献5に記載の分散型電源システムは、制御切替判定手段および制御切替実行手段を備えている。制御切替判定手段は、電力供給元から通信装置を介して受信した逆潮流を許容する旨の情報に基づき、逆潮流禁止制御から逆潮流許可制御に切り替えるか否かを判定する。制御切替実行手段は、制御切替判定手段が切り替える旨の判定をした場合に、逆潮流禁止制御から逆潮流許可制御に切り替えて逆潮流許可制御を実行する。これにより、特許文献5に記載の発明は、災害等が発生して、逆潮流させる要望が生じた際に、逆潮流させるか否かを電力供給元が管理しつつ、分散型電源システムからの余剰電力を電力系統に逆潮流させようとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−78977号公報
【特許文献2】特許5379948号公報
【特許文献3】特開2012−235570号公報
【特許文献4】特開2014−39362号公報
【特許文献5】特開2013−188087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
太陽光発電装置や風力発電装置では、余剰電力を配電線網へ逆潮流させることが許可されている。一方、燃料電池発電装置やガスエンジン発電装置などの化石燃料を用いた発電装置では、余剰電力を配電線網へ逆潮流させることが禁止されている。
【0009】
しかしながら、化石燃料を用いた発電装置においても、余剰電力を配電線網へ逆潮流させることが許可される可能性がある。このとき、複数の発電装置から余剰電力を直ちに配電線網へ逆潮流させることができれば、各発電装置の余剰電力を有効活用することができる。なお、特許文献5に記載の発明では、電力供給元と需要者との間で個別に、逆潮流の禁止を解除する。つまり、特許文献5に記載の発明は、複数の発電装置の余剰電力を統合する統合装置が、各需要者の系統連系装置に対して、逆潮流の禁止を解除するものではない。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑みて為されたものであり、化石燃料を用いて発電する発電装置を備える系統連系装置が系統電源の配電線網を介して複数接続された系統連系装置群において、余剰電力を配電線網へ逆潮流させることを禁止する逆潮流禁止制御から余剰電力を配電線網へ逆潮流させることを許可する逆潮流許可制御へ駆動制御を切り替え可能な余剰電力統合システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る余剰電力統合システムは、化石燃料を用いて発電する発電装置と、前記発電装置と系統電源の分電盤との間に設けられ、前記発電装置から出力された出力電力を前記系統電源の交流電力と同等の交流電力に変換して前記分電盤から給電される負荷に出力する電力変換器と、前記発電装置および前記電力変換器の駆動制御をする制御装置と、を備える分散型電源の系統連系装置が前記系統電源の配電線網を介して複数接続された系統連系装置群と、前記系統連系装置群の各前記系統連系装置と通信可能に接続され、各前記系統連系装置の余剰電力を統合する統合装置と、を備え、各前記系統連系装置は、前記電力変換器の出力電力から前記負荷で消費される消費電力を減じて前記余剰電力を算出する余剰電力算出部と、有線または無線の通信回線を介して前記統合装置と通信し、前記余剰電力算出部によって算出された前記余剰電力を含む余剰電力情報を生成して前記統合装置に対して送信する通信部と、前記余剰電力を前記配電線網へ逆潮流させることを禁止する逆潮流禁止制御から前記余剰電力を前記配電線網へ逆潮流させることを許可する逆潮流許可制御へ前記発電装置および前記電力変換器の前記駆動制御を切り替える駆動制御切り替え部と、を備え、前記統合装置は、各前記系統連系装置の前記通信部から送信された前記余剰電力情報に基づいて、各前記系統連系装置の前記余剰電力の加算電力であって前記複数の系統連系装置から供給可能な電力である売電電力を算出する売電電力算出部と、前記売電電力算出部によって算出された前記売電電力を電力市場で売り入札する入札部と、各前記系統連系装置の前記余剰電力を前記配電線網へ逆潮流させることを許可するときに、前記逆潮流禁止制御を解除して前記逆潮流許可制御に移行させる逆潮流禁止解除指令を生成する逆潮流許可部と、を備え、各前記系統連系装置の前記駆動制御切り替え部は、前記逆潮流許可部によって生成された前記逆潮流禁止解除指令を前記通信部が受信したときに、前記逆潮流禁止制御から前記逆潮流許可制御へ前記駆動制御を切り替える。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る余剰電力統合システムによれば、各系統連系装置の駆動制御切り替え部は、統合装置の逆潮流許可部によって生成された逆潮流禁止解除指令を通信部が受信したときに、逆潮流禁止制御から逆潮流許可制御へ駆動制御を切り替える。そのため、本発明に係る余剰電力統合システムは、統合装置からの逆潮流禁止解除指令の受信に従って、逆潮流禁止制御から逆潮流許可制御へ系統連系装置群の各系統連系装置の駆動制御を切り替えることができ、駆動制御の切り替えが容易である。また、本発明に係る余剰電力統合システムによれば、各系統連系装置は、余剰電力算出部を備えている。また、統合装置は、売電電力算出部と入札部とを備えている。これにより、本発明に係る余剰電力統合システムは、系統連系装置群を構成する複数の系統連系装置の余剰電力を取りまとめることができ、一の系統連系装置の余剰電力に基づいて売り入札する場合と比べて、入札量(売電量)を増加させることができる。よって、入札部は、電力市場で売り入札するときに、電力市場で入札する競合者に対して競争力を確保することができ、より有利な条件で売り入札することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】余剰電力統合システム1の一例を示す構成図である。
図2】系統連系装置7の一例を示す構成図である。
図3】発電装置2としてガスエンジン発電装置を用いたときの一例を示す構成図である。
図4】DC/DCコンバータ41の一例を示す構成図である。
図5】インバータ42の一例を示す構成図である。
図6】制御装置5、付加装置6および統合装置8の一例を示す構成図である。
図7】余剰電力統合システム1の制御ブロックの一例を示すブロック図である。
図8】系統連系装置7の制御手順の一例を示すフローチャートである。
図9】統合装置8の制御手順の一例を示すフローチャートである。
図10】排熱回収システム26の一例を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本実施形態の余剰電力統合システム1について説明する。
<余剰電力統合システム1の構成>
図1に示すように、本実施形態の余剰電力統合システム1は、系統連系装置群7Gおよび統合装置8を備えている。系統連系装置群7Gは、分散型電源の系統連系装置7が系統電源3の配電線網3Nを介して複数接続されている。統合装置8は、系統連系装置群7Gの各系統連系装置7と通信可能に接続されており、各系統連系装置7の余剰電力を統合する。また、図2に示すように、系統連系装置7は、発電装置2、電力変換器4、制御装置5、付加装置6および解列リレーSW1を備えている。なお、図1および図2では、破線の矢印によって、入出力信号(駆動信号を含む)および通信信号の授受が示されている。
【0015】
(発電装置2)
発電装置2は、化石燃料を用いて発電する。発電装置2は、例えば、燃料電池発電装置やガスエンジン発電装置を用いることができる。図2は、発電装置2として燃料電池発電装置を用いる場合の発電装置2の構成例を示している。図2に示すように、発電装置2は、燃料電池スタック21cを備える燃料電池モジュール21と、改質用原料ポンプ21fと、改質水用ポンプ21gと、カソードエアブロワ21hと、熱交換器22と、水タンク23とを備えている。燃料電池スタック21cは、燃料と酸化剤ガスとによって発電し、直流電力を出力する。なお、本実施形態では、燃料電池スタック21cの発電によって生じた排熱を利用するコジェネレーションシステムが構成されている。コジェネレーションシステムは、発電ユニットである系統連系装置7と、貯湯槽24とを備えている。
【0016】
燃料電池モジュール21は、蒸発部21a、改質部21bおよび燃料電池スタック21cを備えており、これらは、密閉されたケーシング21d内に収容されている。また、ケーシング21d内において、蒸発部21aおよび改質部21bと、燃料電池スタック21cとの間には、燃焼部21eが形成されている。燃料電池モジュール21には、改質用原料、改質水およびカソードエア(酸化剤ガスともいい、本実施形態では空気を用いる。)が供給可能になっている。具体的には、改質用原料は、改質用原料ポンプ21fによって燃料電池モジュール21の蒸発部21aに供給される。改質水は、改質水用ポンプ21gによって水タンク23から燃料電池モジュール21の蒸発部21aに供給される。空気(カソードエア)は、カソードエアブロワ21hによって燃料電池モジュール21の燃料電池スタック21cに供給される。
【0017】
熱交換器22は、発電装置2の燃料電池モジュール21から排気された燃焼排ガスが供給されるとともに貯湯槽24から貯湯水が供給され、燃焼排ガスと貯湯水との間で熱交換する熱交換器である。貯湯槽24は、貯湯水を貯湯するものであり、貯湯水は熱交換器22および貯湯槽24を循環する。熱交換器22には、燃料電池モジュール21からの排気管21iが接続(貫設)されている。また、熱交換器22には、水タンク23に接続されている凝縮水供給管23aが接続されている。
【0018】
燃料電池モジュール21から排気された燃焼排ガスは、排気管21iを通って熱交換器22内に導入され、貯湯水との間で熱交換が行われ凝縮されるとともに冷却される。凝縮後の燃焼排ガスは、排気管21iを通って外部に排出される。また、凝縮された凝縮水は、凝縮水供給管23aを通って水タンク23に供給される。なお、水タンク23は、例えば、凝縮水をイオン交換樹脂によって純水化することができる。このようにして、熱交換器22および貯湯槽24によって、排熱回収システム26が構成されている。排熱回収システム26は、燃料電池モジュール21の排熱を貯湯水に回収して蓄える。
【0019】
蒸発部21aは、燃料電池スタック21cの燃焼ガスにより加熱される。そして、蒸発部21aは、供給された改質水を蒸発させて水蒸気を生成するとともに、供給された改質用原料を予熱する。蒸発部21aは、生成された水蒸気と予熱された改質用原料とを混合して改質部21bに供給する。改質用原料は、化石燃料であり、例えば、天然ガス、LPガスなどの改質用気体燃料を用いることができ、灯油、ガソリン、メタノールなどの改質用液体燃料を用いることもできる。
【0020】
改質部21bは、上述した燃焼ガスにより加熱されて水蒸気改質反応に必要な熱が供給される。これにより、改質部21bは、蒸発部21aから供給された水蒸気と改質用原料の混合ガスとから燃料である改質ガスを生成する。改質部21b内には、触媒(例えば、ルテニウム(Ru)またはニッケル(Ni)系の触媒)が充填されており、混合ガスが触媒によって反応し改質されて、水素と一酸化炭素などを含んだガスが生成される(いわゆる水蒸気改質反応)。
【0021】
これら生成されたガス(いわゆる改質ガス)は、燃料電池スタック21cに供給される。改質ガスは、水素、一酸化炭素、二酸化炭素、水蒸気、未改質の天然ガス(メタンガス)、改質に使用されなかった改質水(水蒸気)を含んでいる。このように、改質部21bは、改質用原料(原燃料)と改質水とから改質ガス(燃料)を生成して燃料電池スタック21cに供給する。なお、水蒸気改質反応は吸熱反応である。
【0022】
燃料電池スタック21cは、種々の燃料電池(例えば、固体酸化物形燃料電池(SOFC:Solid Oxide Fuel Cell)など)を用いることができる。燃料電池スタック21cは、図示略の複数の燃料電池セルを備えている。複数の燃料電池セルの各々は、燃料極、空気極(酸化剤極)および電解質を備えており、電解質は、燃料極と空気極との間に設けられている。つまり、複数の燃料電池セルの各々は、燃料極、電解質および空気極の順に積層されている。燃料極には、燃料である既述の改質ガスが供給される。燃料電池セルの燃料極側には、燃料である改質ガスが流通する燃料流路が形成されている。燃料電池セルの空気極側には、空気(カソードエア)が流通する空気流路が形成されている。空気流路には、空気(カソードエア)がカソードエアブロワ21hによって供給される。
【0023】
複数の燃料電池セルの各々では、燃料極に供給された燃料と、空気極に供給された酸化剤ガス(空気)とによって発電が行われる。具体的には、燃料極では、下記化1および下記化2に示す反応が生じ、空気極では、下記化3に示す反応が生じている。すなわち、空気極で生成した酸化物イオン(O2−)が電解質を透過し、燃料極で水素と反応することにより、電気エネルギーが発生する。
(化1)
+O2−→HO+2e
(化2)
CO+O2−→CO+2e
(化3)
1/2O+2e→O2−
【0024】
なお、発電に使用されなかった改質ガスが燃料流路から導出され、発電に使用されなかった酸化剤ガス(空気)が空気流路から導出される。発電に使用されなかった改質ガスおよび酸化剤ガス(空気)は、燃焼部21eにおいて燃焼される。蒸発部21aおよび改質部21bは、燃焼ガスによって加熱される。また、燃焼ガスは、ケーシング21d内を動作温度に加熱する。
【0025】
一方、発電装置2としてガスエンジン発電装置を用いる場合、図3に示すように、発電装置2は、ガスエンジン発電機25と、燃料ポンプ25cと、熱交換器22と、水タンク23とを備えている。ガスエンジン発電機25は、化石燃料と空気との燃焼によって発生した熱エネルギーを回転エネルギー(運動エネルギー)に変換し、変換された回転エネルギー(運動エネルギー)を電気エネルギーに変換して出力する。発電装置2としてガスエンジン発電装置を用いる場合においても、コジェネレーションシステムを構成することができる。つまり、コジェネレーションシステムは、燃料電池発電装置の場合と同様の貯湯槽24を備えることができる。なお、熱交換器22および水タンク23は、燃料電池発電装置の場合と同様であり、重複する説明を省略する。また、図3では、ガスエンジン発電装置の排気管は、排気管25dとして図示されている。
【0026】
ガスエンジン発電機25は、燃焼部25aと変換部25bとを備えている。燃焼部25aは、例えば、公知のガスタービンエンジン、レシプロエンジンなどの内燃機関や蒸気タービンエンジンなどの外燃機関を用いることができる。燃焼部25aには、燃料および空気が供給可能になっている。燃料は、例えば、燃料電池発電装置で既述の化石燃料などを用いることができ、燃料ポンプ25cによって燃焼部25aに供給される。燃焼部25aでは、燃料と空気とが燃焼され、発生した熱エネルギーが回転エネルギー(運動エネルギー)に変換される。
【0027】
変換部25bは、例えば、公知の直流発電機や交流発電機などを用いることができる。変換部25bでは、燃焼部25aから出力された回転エネルギー(運動エネルギー)が電気エネルギーに変換される。変換部25bとして直流発電機を用いる場合、変換部25bは、直流電力を出力し、変換部25bとして交流発電機を用いる場合、変換部25bは、交流電力を出力する。なお、変換部25bとして交流発電機を用いる場合、ダイオードブリッジなどの整流器を設けると良い。これにより、発電装置2の変換部25bは、燃料電池発電装置の場合と同様に、直流電力を出力することができる。
【0028】
(系統電源3)
系統電源3は、交流の系統電源であり、電気事業者(例えば、電力会社など)が保有する商用の配電線網3Nから供給される電源をいう。系統電源3は、単相であっても、多相(例えば、三相)であっても良い。また、図1および図2に示すように、系統電源3の配電線網3Nには、分電盤31が設けられている。図2に示すように、インバータ42、分電盤31、負荷32を通る電路L13が形成されており、系統電源3、配電線網3N、分電盤31、負荷32を通る電路L14が形成されている。電路L13および電路L14が切り替えられることにより、インバータ42または系統電源3の交流電力が負荷32に給電可能になっている。
【0029】
負荷32は、電気を駆動源とする負荷であり、例えば、家庭用電気機器(電化製品など)や産業用電気機器(ロボットなど)が挙げられる。負荷32は、一つであっても複数であっても良い。なお、図1および図2では、電路L13および電路L14は、それぞれ一本の直線によって模式的に示されている。実際は、複数の電路が設けられており、各電路は、例えば、公知の電力用電線などを用いて形成されている。以上のことは、後述する電路についても同様である。
【0030】
インバータ42と分電盤31との間の電路L13には、第一電力検出器3P1が設けられている。第一電力検出器3P1は、電力変換器4の出力電力(交流電力)を検出する。また、分電盤31と負荷32との間の電路L13または電路L14には、第二電力検出器3P2が設けられている。第二電力検出器3P2は、負荷32で消費される消費電力を検出する。
【0031】
なお、分電盤31より配電線網3N側の電路L14には、第三電力検出器3P3を設けることができる。第三電力検出器3P3は、配電線網3Nから負荷32に向かって流れる電流方向、および、各系統連系装置7から配電線網3Nに向かって流れる電流方向を検出することもできる。よって、第三電力検出器3P3は、系統電源3から負荷32に供給される電力(順潮流時電力)を検出することができ、各系統連系装置7から配電線網3Nへ逆潮流される余剰電力(逆潮流時電力)を検出することもできる。
【0032】
第一電力検出器3P1、第二電力検出器3P2および第三電力検出器3P3は、公知の電力検出器を用いることができる。また、各系統連系装置7は、公知の各種保護継電器を設けることもできる。さらに、第三電力検出器3P3は、電路L14の電力量を検出することもできる。この場合、第三電力検出器3P3は、系統電源3から負荷32に供給される電力量(順潮流時電力量)および各系統連系装置7から配電線網3Nへ逆潮流される余剰電力量(逆潮流時電力量)を検出することができる。順潮流時電力量は、系統電源3の電力供給元から購入した購入電力量を算出する際に用いることができる。逆潮流時電力量は、売電した売電電力量を算出する際に用いることができる。なお、本明細書では、系統連系装置7および統合装置8の制御は、余剰電力など「電力」について説明されているが、余剰電力量など「電力量」についても同様である。
【0033】
(電力変換器4)
電力変換器4は、発電装置2から出力された出力電力を系統電源3の交流電力と同等の交流電力に変換して、分電盤31から給電される負荷32に出力する。図2に示すように、電力変換器4は、発電装置2と系統電源3の分電盤31との間に設けられており、DC/DCコンバータ41およびインバータ42を備えている。発電装置2(図2に示す燃料電池スタック21cまたは図3に示す変換部25b)とDC/DCコンバータ41との間は、電路L11によって電気的に接続されており、DC/DCコンバータ41とインバータ42との間は、電路L12によって電気的に接続されている。
【0034】
(DC/DCコンバータ41)
DC/DCコンバータ41は、発電装置2から出力された出力電力(直流電力)を昇圧して、インバータ42に出力する。図4に示すように、DC/DCコンバータ41は、入力側端子41a,41bおよび出力側端子41c,41dを備えている。入力側端子41aと出力側端子41cとの間には、電路L411が形成されており、入力側端子41bと出力側端子41dとの間には、電路L412が形成されている。発電装置2から出力された直流電力は、電路L11を介して、入力側端子41a,41bに印加される。DC/DCコンバータ41によって昇圧された直流電力は、出力側端子41c,41dから出力される。なお、入力側端子41aおよび出力側端子41cは、正極であり、入力側端子41bおよび出力側端子41dは、負極である。
【0035】
DC/DCコンバータ41は、リアクトル41e、ダイオード41f、スイッチング素子41gおよびコンデンサ41hを備えている。これらの素子は、公知の電力用デバイスを用いることができる。例えば、スイッチング素子41gは、公知の電界効果トランジスタ(FET:Field Effect Transistor)、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT:Insulated Gate Bipolar Transistor)などを用いることができ、コンデンサ41hは、公知の電解コンデンサを用いることができる。
【0036】
電路L411には、入力側端子41a側から順に、リアクトル41e、ダイオード41fが設けられている。また、リアクトル41eとダイオード41fとの間の電路L411には、接続点41iが設けられており、接続点41iには、スイッチング素子41gのドレイン41g1が接続されている。スイッチング素子41gのソース41g2は、電路L412に設けられる接続点41jに接続されており、接続点41iと接続点41jとの間には、電路L413が形成されている。なお、スイッチング素子41gのゲート41g3は、図示略の駆動回路(ドライバ回路など)を介して、後述する制御装置5に接続されている。
【0037】
また、ダイオード41fと出力側端子41cとの間の電路L411には、接続点41kが設けられており、接続点41kには、コンデンサ41hの一端側(正極側端子)が接続されている。コンデンサ41hの他端側(負極側端子)は、電路L412に設けられる接続点41lに接続されている。なお、DC/DCコンバータ41は、発電装置2から出力される直流電力を昇圧することができれば良く、上述の構成に限定されるものではない。
【0038】
DC/DCコンバータ41には、公知の電圧検出器、電流検出器などの各種検出器を設けることができる。例えば、DC/DCコンバータ41の出力電圧(出力側端子41c,41dの間の直流電圧)を測定する電圧検出器を設けることができる。電圧検出器は、例えば、DC/DCコンバータ41の出力電圧を、抵抗値が既知の抵抗器によって分圧して、分圧された電圧値に基づいてDC/DCコンバータ41の出力電圧(直流電圧)を算出することができる。
【0039】
制御装置5は、DC/DCコンバータ41の出力電圧(直流電圧)に基づいて、パルス信号のデューティ比を決定することができる。制御装置5は、駆動回路(ドライバ回路など)を介して、当該デューティ比に基づくパルス信号をスイッチング素子41gのゲート41g3に付与する。スイッチング素子41gのゲート41g3に付与される電圧がハイレベルのときには、スイッチング素子41gのドレイン41g1とソース41g2との間が導通状態になり、リアクトル41eに電磁エネルギーが蓄えられる。
【0040】
スイッチング素子41gのゲート41g3に付与される電圧がローレベルのときには、スイッチング素子41gのドレイン41g1とソース41g2との間が遮断された開放状態になり、リアクトル41eに蓄えられた電磁エネルギーがコンデンサ41hに充電されて、DC/DCコンバータ41の出力電圧(直流電圧)は上昇する。このようにして、制御装置5は、DC/DCコンバータ41の出力電圧(直流電圧)を所望の電圧値に制御することができる。つまり、制御装置5は、例えば、パルス振幅変調(PAM:Pulse Amplitude Modulation)方式によって、DC/DCコンバータ41の出力電圧(直流電圧)を可変制御することができる。
【0041】
(インバータ42)
インバータ42は、DC/DCコンバータ41によって昇圧された直流電力を系統電源3の交流電力と同等の交流電力に変換して、負荷32に出力する。図5に示すように、インバータ42は、入力側端子42a,42bおよび出力側端子42c,42dを備えている。DC/DCコンバータ41から出力された直流電圧は、電路L12を介して、入力側端子42a,42bに印加され、インバータ42によって交流電力に変換されて、出力側端子42c,42dから交流電力が出力される。
【0042】
インバータ42は、第一スイッチング素子42e〜第四スイッチング素子42hを備えており、第一スイッチング素子42e〜第四スイッチング素子42hは、ブリッジ接続されている。第一スイッチング素子42e〜第四スイッチング素子42hは、DC/DCコンバータ41のスイッチング素子41gと同様に、公知の電界効果トランジスタ(FET)、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)などを用いることができる。図4および図5に示すように、これらのスイッチング素子には、還流ダイオードがそれぞれ設けられている。還流ダイオードは、スイッチング素子のボディダイオード(寄生ダイオード)を用いることができる。また、還流ダイオードは、別途設けることもでき、スイッチング素子にそれぞれ並列接続することもできる。
【0043】
第一スイッチング素子42e〜第四スイッチング素子42hの各ゲート42e3〜42h3は、図示略の駆動回路(ドライバ回路など)を介して、制御装置5に接続されており、第一スイッチング素子42e〜第四スイッチング素子42hは、制御装置5から出力される駆動信号に基づいて開閉制御される。例えば、第一スイッチング素子42eのゲート42e3にハイレベルが付与されると、第一スイッチング素子42eのドレイン42e1とソース42e2との間が導通状態になる。また、第四スイッチング素子42hのゲート42h3にハイレベルが付与されると、第四スイッチング素子42hのドレイン42h1とソース42h2との間が導通状態になる。
【0044】
このとき、第二スイッチング素子42fのゲート42f3には、ローレベルが付与され、第二スイッチング素子42fのドレイン42f1とソース42f2との間が遮断された開放状態になる。また、第三スイッチング素子42gのゲート42g3には、ローレベルが付与され、第三スイッチング素子42gのドレイン42g1とソース42g2との間が遮断された開放状態になる。この場合、DC/DCコンバータ41から出力された直流電流は、インバータ42の入力側端子42a、第一スイッチング素子42e、インバータ42の出力側端子42c、電路L13、負荷32、電路L13、インバータ42の出力側端子42d、第四スイッチング素子42h、インバータ42の入力側端子42bの順に流れる。上述の第一スイッチング素子42e〜第四スイッチング素子42hの状態を第一状態とする。
【0045】
次に、第一スイッチング素子42eのゲート42e3にローレベルが付与され、第一スイッチング素子42eのドレイン42e1とソース42e2との間が遮断された開放状態になる。また、第四スイッチング素子42hのゲート42h3にローレベルが付与され、第四スイッチング素子42hのドレイン42h1とソース42h2との間が遮断された開放状態になる。
【0046】
このとき、第二スイッチング素子42fのゲート42f3には、ハイレベルが付与され、第二スイッチング素子42fのドレイン42f1とソース42f2との間が導通状態になる。また、第三スイッチング素子42gのゲート42g3には、ハイレベルが付与され、第三スイッチング素子42gのドレイン42g1とソース42g2との間が導通状態になる。この場合、DC/DCコンバータ41から出力された直流電流は、インバータ42の入力側端子42a、第三スイッチング素子42g、インバータ42の出力側端子42d、電路L13、負荷32、電路L13、インバータ42の出力側端子42c、第二スイッチング素子42f、インバータ42の入力側端子42bの順に流れる。上述の第一スイッチング素子42e〜第四スイッチング素子42hの状態を第二状態とする。
【0047】
第二状態におけるインバータ42と負荷32との間の電流方向は、第一状態の場合と比べて、反対方向になっている。このように、インバータ42は、第一状態および第二状態を順に繰り返すことによって、インバータ42の入力側端子42a,42bから入力された直流電力を交流電力に変換して、インバータ42の出力側端子42c,42dから交流電力を出力することができる。なお、制御装置5は、種々の開閉制御を行うことができる。制御装置5は、例えば、パルス幅変調(PWM:Pulse Width Modulation)方式によりデューティ比を可変して、可変されたデューティ比に基づいて第一スイッチング素子42e〜第四スイッチング素子42hの導通時間および遮断時間を制御することができる。
【0048】
(制御装置5)
制御装置5は、発電装置2および電力変換器4の駆動制御をする。図6に示すように、制御装置5は、公知の中央演算装置50a、記憶装置50b、入出力インターフェース50cおよび通信インターフェース50dを備えており、これらは、バス50eを介して接続されている。制御装置5は、これらを用いて、種々の演算処理を行うことができ、外部機器との間で、入出力信号(駆動信号を含む)および通信信号の授受を行うことができる。なお、後述する付加装置6および統合装置8は、制御装置5と同様の機器を備えているので、図6では、制御装置5、付加装置6および統合装置8の各機器が併記されている。
【0049】
中央演算装置50aは、中央演算装置(CPU:Central Processing Unit)であり、種々の演算処理を行うことができる。記憶装置50bは、第一記憶装置50b1および第二記憶装置50b2を備えている。第一記憶装置50b1は、読み出しおよび書き込み可能な揮発性の記憶装置(RAM:Random Access Memory)であり、第二記憶装置50b2は、読み出し専用の不揮発性の記憶装置(ROM:Read Only Memory)である。入出力インターフェース50cは、外部機器との間で、入出力信号(駆動信号を含む)の授受を行う。通信インターフェース50dは、外部機器との間で、通信信号の授受を行う。
【0050】
例えば、中央演算装置50aは、第二記憶装置50b2に記憶されているDC/DCコンバータ41の駆動制御プログラムを第一記憶装置50b1に読み出して、当該駆動制御プログラムを実行する。中央演算装置50aは、当該駆動制御プログラムに基づいて、DC/DCコンバータ41の駆動信号を生成する。生成された駆動信号は、入出力インターフェース50cおよび駆動回路(ドライバ回路など)を介して、DC/DCコンバータ41のスイッチング素子41gのゲート41g3に付与される。このようにして、DC/DCコンバータ41は、制御装置5によって駆動制御される。以上のことは、インバータ42についても同様である。
【0051】
なお、本実施形態では、制御装置5は、電力変換器4の他に、発電装置2(改質用原料ポンプ21f、改質水用ポンプ21gおよびカソードエアブロワ21h、または、燃料ポンプ25c)の駆動制御をすることができる。また、制御装置5には、第一電力検出器3P1および第二電力検出器3P2の各検出値が入力され、貯湯槽24に設けられる後述する複数の温度検出器24aの各検出値が入力される。さらに、制御装置5は、後述する解列リレーSW1に対して、制御信号(開閉信号)を出力する。また、制御装置5は、付加装置6との間で通信を行うことができる。なお、制御装置5には、第三電力検出器3P3の検出値を入力することもできる。
【0052】
(付加装置6)
付加装置6は、余剰電力を配電線網3Nへ逆潮流させることが統合装置8によって許可されたときに、発電装置2および電力変換器4の駆動制御を、逆潮流禁止制御から逆潮流許可制御へ切り替える。図2に示すように、本実施形態では、付加装置6は、制御装置5と別体に設けられているが、付加装置6は、制御装置5内に設けることもできる。また、図6に示すように、付加装置6は、制御装置5と同様に、公知の中央演算装置60a、記憶装置60b(第一記憶装置60b1および第二記憶装置60b2)および通信インターフェース60dを備えており、これらは、バス60eを介して接続されている。付加装置6は、これらを用いて、種々の演算処理を行うことができ、制御装置5および統合装置8を含む外部機器との間で、通信信号の授受を行うことができる。付加装置6の詳細は、後述する。
【0053】
(系統連系装置7および系統連系装置群7G)
系統連系装置7は、発電装置2と系統電源3とを連系または解列する。図2に示すように、系統連系装置7は、電路L13に解列リレーSW1を備えている。解列リレーSW1は、発電装置2と系統電源3とを連系または解列する常開型の開閉器であり、解列リレーSW1が制御装置5によって開閉制御されることにより、負荷32への電力供給が制御される。
【0054】
具体的には、発電装置2が発電を開始するまでは、解列リレーSW1は開状態であり、系統電源3の交流電力が負荷32に供給される。発電装置2が発電を開始し、系統電源3の交流電力と同等の交流電力を電力変換器4から出力可能になると、制御装置5は、解列リレーSW1を閉状態に切り替える。これにより、発電装置2と系統電源3とが連系され、電力変換器4の出力電力が負荷32に供給可能になる。
【0055】
なお、負荷32で消費される消費電力が発電装置2の発電量より多い場合、電力の不足分が、系統電源3から負荷32に供給される。また、発電装置2の発電量が負荷32で消費される消費電力より多く、かつ、余剰電力を配電線網3Nへ逆潮流させることが許可されている場合、系統連系装置7の余剰電力は、系統電源3の配電線網3Nに供給される。また、制御装置5は、例えば、電力変換器4から出力される電圧または周波数に異常を検知すると、解列リレーSW1を開状態に切り替える。これにより、発電装置2と系統電源3とが解列される。
【0056】
図1に示すように、本実施形態では、分散型電源の系統連系装置7が系統電源3の配電線網3Nを介して複数接続されており、系統連系装置群7Gが構成されている。系統連系装置群7Gの規模は、限定されない。系統連系装置群7Gは、例えば、一の配電線網3N内の複数の系統連系装置7で構成することができる。また、系統連系装置群7Gは、例えば、市町村規模で構成することもできる。
【0057】
(統合装置8)
統合装置8は、系統連系装置群7Gの各系統連系装置7と通信可能に接続されており、各系統連系装置7の余剰電力を統合する。図6に示すように、統合装置8は、制御装置5と同様に、公知の中央演算装置80a、記憶装置80b(第一記憶装置80b1および第二記憶装置80b2)および通信インターフェース80dを備えており、これらは、バス80eを介して接続されている。統合装置8は、これらを用いて、種々の演算処理を行うことができ、各系統連系装置7や後述する電力市場9との間で、通信信号の授受を行うことができる。
【0058】
各系統連系装置7と統合装置8との間の通信は、公知の有線または無線の通信回線を介して行うことができる。通信回線は、例えば、専用回線や公衆回線を用いることができ、統合装置8と各系統連系装置7との間で、有線または無線のローカル・エリア・ネットワーク(LAN:Local Area Network)を構成することができる。また、統合装置8と各系統連系装置7との間の通信は、系統電源3の配電線網3Nを利用した電力線搬送通信(PLC:Power Line Communication)を用いることもできる。以上のことは、統合装置8と電力市場9との間の通信についても同様である。
【0059】
<余剰電力統合システム1の制御>
本実施形態の余剰電力統合システム1では、各系統連系装置7は、統合装置8から逆潮流禁止解除指令を受信したときに、逆潮流禁止制御から逆潮流許可制御へ駆動制御を切り替える。以下、余剰電力統合システム1の制御について、詳細に説明する。
【0060】
(制御装置5の制御)
図7に示すように、制御装置5は、制御ブロックとして捉えると、制御装置通信部51および駆動制御部52を備えている。制御装置通信部51は、付加装置6の通信部71との間で、各種制御情報および各種運転情報などを送受信する。制御装置通信部51は、図6に示す通信インターフェース50d,60dを介して、付加装置6の通信部71と通信することができる。制御装置5の制御装置通信部51と付加装置6の通信部71との間の通信は、限定されない。本実施形態では、制御装置5の制御装置通信部51と付加装置6の通信部71との間で、有線または無線のローカル・エリア・ネットワーク(LAN)が構成されており、制御装置5の制御装置通信部51と付加装置6の通信部71との間で通信可能になっている。
【0061】
駆動制御部52は、発電装置2および電力変換器4の駆動制御をする。駆動制御部52は、種々の駆動制御を行うことができる。本実施形態では、駆動制御部52は、逆潮流禁止制御または逆潮流許可制御を行う。逆潮流禁止制御は、系統連系装置7の余剰電力を配電線網3Nへ逆潮流させることを禁止する制御であり、例えば、負荷追従制御などが挙げられる。負荷追従制御は、発電装置2の発電量(電力変換器4の出力電力)を、負荷32で消費される消費電力に追従させる制御をいう。負荷追従制御では、駆動制御部52は、第一電力検出器3P1および第二電力検出器3P2の検出値に基づいて、発電装置2の発電量(電力変換器4の出力電力)を制御する。
【0062】
具体的には、駆動制御部52は、第一電力検出器3P1の検出値に基づいて、発電装置2の発電量(電力変換器4の出力電力)を算出し、第二電力検出器3P2の検出値に基づいて、負荷32で消費される消費電力を算出する。駆動制御部52は、発電装置2の発電量(電力変換器4の出力電力)と、負荷32で消費される消費電力とが一致するように、発電装置2の発電量(電力変換器4の出力電力)を制御する。また、駆動制御部52は、第三電力検出器3P3の検出値に基づいて、系統連系装置7の余剰電力が配電線網3Nへ逆潮流したことが検出されたとき、または、系統連系装置7の余剰電力が配電線網3Nへ逆潮流することが予測されるときに、発電装置2の発電量(電力変換器4の出力電力)を低下させても良い。
【0063】
発電装置2として燃料電池発電装置を用いる場合、駆動制御部52は、改質用原料ポンプ21fの吐出量を制御して、蒸発部21aに供給される改質用原料の供給量を制御する。また、駆動制御部52は、改質水用ポンプ21gの吐出量を制御して、蒸発部21aに供給される改質水の供給量を制御する。さらに、駆動制御部52は、カソードエアブロワ21hの送風量を制御して、燃料電池スタック21cに供給される空気(カソードエア)の供給量を制御する。一方、発電装置2としてガスエンジン発電装置を用いる場合、駆動制御部52は、燃料ポンプ25cの吐出量を制御して、燃焼部25aに供給される燃料の供給量を制御する。このようにして、駆動制御部52は、発電装置2の発電量を制御することができる。
【0064】
逆潮流許可制御は、系統連系装置7の余剰電力を配電線網3Nへ逆潮流させることを許可する制御であり、例えば、最大定格運転制御などが挙げられる。最大定格運転制御は、系統連系装置7を最大定格運転で駆動制御する。最大定格運転制御では、駆動制御部52は、発電装置2が発電可能な最大発電量を発電装置2に発電させる。駆動制御部52は、逆潮流禁止制御の場合と同様にして、発電装置2を制御することができる。この場合、駆動制御部52は、負荷32で消費される消費電力以上の発電量を発電装置2に発電させることができ、余剰電力を配電線網3Nへ逆潮流させることができる。なお、逆潮流許可制御は、負荷32で消費される消費電力以上の発電量を発電装置2に発電させることができれば良く、最大定格運転制御に限定されるものではない。
【0065】
なお、駆動制御部52は、逆潮流禁止制御および逆潮流許可制御のいずれの場合においても、DC/DCコンバータ41のスイッチング素子41gのゲート41g3に付与するパルス信号のデューティ比を制御することができる。これにより、駆動制御部52は、DC/DCコンバータ41の出力電圧(直流電圧)を制御することができる。また、駆動制御部52は、インバータ42の第一スイッチング素子42e〜第四スイッチング素子42hの各ゲート42e3〜42h3に付与するパルス信号のデューティ比を制御することができる。これにより、駆動制御部52は、インバータ42から出力される交流電力の電圧および周波数を制御することができる。このようにして、駆動制御部52は、発電装置2から出力された出力電力を系統電源3の交流電力と同等の交流電力に変換して負荷32に出力することができる。
【0066】
(系統連系装置7および統合装置8の制御)
系統連系装置7は、制御ブロックとして捉えると、通信部71、駆動制御切り替え部72、余剰電力算出部73および排熱回収量検出部74を備えている。本実施形態では、通信部71、駆動制御切り替え部72、余剰電力算出部73および排熱回収量検出部74は、付加装置6に設けられている。なお、通信部71、駆動制御切り替え部72、余剰電力算出部73および排熱回収量検出部74は、制御装置5に設けることもできる。また、通信部71および駆動制御切り替え部72は、付加装置6に設け、余剰電力算出部73および排熱回収量検出部74は、制御装置5に設けることもできる。
【0067】
系統連系装置群7Gを構成する全ての系統連系装置7において、通信部71、駆動制御切り替え部72、余剰電力算出部73および排熱回収量検出部74の配置が同一であっても良い。また、系統連系装置群7Gを構成する複数の系統連系装置7のうちの一部の系統連系装置7の上記配置が、他の系統連系装置7と異なっていても良い。さらに、系統連系装置群7Gを構成する複数の系統連系装置7のうちの少なくとも一つは、通信部71および駆動制御切り替え部72が制御装置5と別体に設けられ、且つ、制御装置5と通信可能に接続されていると好適である。この場合、余剰電力統合システム1は、逆潮流許可制御を行うことができない既設の系統連系装置7に対しても、付加装置6を介して逆潮流許可制御を行わせることができる。
【0068】
各系統連系装置7は、図8に示すフローチャートに従って制御プログラムを実行することにより、逆潮流許可制御を実行することができる。本実施形態では、制御プログラムは、付加装置6の第二記憶装置60b2に記憶されており、付加装置6の起動時に、第一記憶装置60b1に読み出される。なお、制御プログラムは、所定時間毎に繰り返し実行される。
【0069】
図7に示すように、統合装置8は、制御ブロックとして捉えると、統合装置通信部81、逆潮流許可部82、売電電力算出部83、入札部84、分配部85、駆動制御最適化部86および逆潮流禁止部87を備えている。統合装置8は、図9に示すフローチャートに従って制御プログラムを実行することにより、各系統連系装置7の余剰電力を統合制御することができる。制御プログラムは、統合装置8の第二記憶装置80b2に記憶されており、統合装置8の起動時に、第一記憶装置80b1に読み出される。なお、制御プログラムは、所定時間毎に繰り返し実行される。以下、図7に示す制御ブロック、並びに、図8および図9に示すフローチャートを参照しつつ、系統連系装置7および統合装置8の制御について説明する。
【0070】
各系統連系装置7の通信部71は、有線または無線の通信回線を介して統合装置8と通信する。通信部71は、統合装置8の統合装置通信部81との間で、各種制御情報および各種運転情報などを送受信する。具体的には、通信部71は、図6に示す通信インターフェース60d,80dを介して、統合装置8の統合装置通信部81と通信する。なお、通信回線は、統合装置8の構成で既述した通信回線を用いることができる。
【0071】
統合装置8の逆潮流許可部82は、各系統連系装置7の余剰電力を配電線網3Nへ逆潮流させることを許可するときに、逆潮流禁止制御を解除して逆潮流許可制御に移行させる逆潮流禁止解除指令を生成する(図9のステップS201)。生成された逆潮流禁止解除指令は、統合装置通信部81を介して、各系統連系装置7の通信部71に送信される(ステップS202)。
【0072】
各系統連系装置7の駆動制御切り替え部72は、逆潮流許可部82によって生成された逆潮流禁止解除指令を通信部71が受信したときに、逆潮流禁止制御から逆潮流許可制御へ発電装置2および電力変換器4の駆動制御を切り替える。具体的には、各系統連系装置7の駆動制御切り替え部72は、逆潮流許可部82によって生成された逆潮流禁止解除指令を通信部71が受信したか否かを判断する(図8のステップS101)。逆潮流禁止解除指令を受信した場合(ステップS101でYesの場合)、系統連系装置7の制御は、ステップS102に進む。逆潮流禁止解除指令を受信しない場合(ステップS101でNoの場合)、制御は、一旦、終了する。
【0073】
各系統連系装置7の駆動制御切り替え部72は、逆潮流許可部82によって生成された逆潮流禁止解除指令を通信部71が受信したときに、発電装置2および電力変換器4の駆動制御プログラムを、逆潮流禁止制御を行う駆動制御プログラムから逆潮流許可制御を行う駆動制御プログラムへ書き換えると好適である(ステップS102)。例えば、制御装置5の制御装置通信部51は、通信部71を介して、駆動制御切り替え部72から駆動制御プログラムの書き換え指示を受けると、付加装置6から逆潮流許可制御を行う駆動制御プログラムを受信する。そして、制御装置5は、第二記憶装置50b2に記憶している逆潮流禁止制御を行う駆動制御プログラムを、逆潮流許可制御を行う駆動制御プログラムに書き換える。これにより、駆動制御部52は、逆潮流許可制御による駆動制御を実行可能になる。なお、ステップS101でNoの場合、駆動制御部52は、逆潮流禁止制御を継続する。
【0074】
本実施形態の余剰電力統合システム1によれば、各系統連系装置7の駆動制御切り替え部72は、逆潮流許可部82によって生成された逆潮流禁止解除指令を通信部71が受信したときに、発電装置2および電力変換器4の駆動制御プログラムを、逆潮流禁止制御を行う駆動制御プログラムから逆潮流許可制御を行う駆動制御プログラムへ書き換える。これにより、駆動制御切り替え部72は、逆潮流許可制御を行う駆動制御プログラムが記憶されていない制御装置5を備える系統連系装置7に対しても、逆潮流禁止制御から逆潮流許可制御へ、容易かつ確実に駆動制御を切り替えることができる。
【0075】
なお、各系統連系装置7の制御装置5の第二記憶装置50b2は、逆潮流禁止制御を行う駆動制御プログラムおよび逆潮流許可制御を行う駆動制御プログラムのうちの一方を選択可能に、二つの駆動制御プログラムを記憶することもできる。そして、通信部71が逆潮流禁止解除指令を受信したときには、駆動制御切り替え部72は、逆潮流許可制御を行う駆動制御プログラムを第一記憶装置50b1に読み出すように、制御装置5の制御装置通信部51に対して指示する。一方、通信部71が逆潮流禁止解除指令を受信していないときには、駆動制御切り替え部72は、逆潮流禁止制御を行う駆動制御プログラムを第一記憶装置50b1に読み出すように、制御装置5の制御装置通信部51に対して指示する。このようにして、各系統連系装置7の駆動制御切り替え部72は、逆潮流禁止解除指令の受信の有無によって、二つの駆動制御プログラムを切り替えることもできる。
【0076】
本実施形態の余剰電力統合システム1によれば、各系統連系装置7の駆動制御切り替え部72は、統合装置8の逆潮流許可部82によって生成された逆潮流禁止解除指令を通信部71が受信したときに、逆潮流禁止制御から逆潮流許可制御へ駆動制御を切り替える。そのため、本実施形態の余剰電力統合システム1は、統合装置8からの逆潮流禁止解除指令の受信に従って、逆潮流禁止制御から逆潮流許可制御へ系統連系装置群7Gの各系統連系装置7の駆動制御を切り替えることができ、駆動制御の切り替えが容易である。
【0077】
次に、各系統連系装置7の排熱回収量検出部74は、貯湯熱量または貯湯電力を示す排熱回収量を検出する(ステップS103)。図10に示すように、熱交換器22と貯湯槽24との間には、貯湯水が循環する貯湯水循環ライン27が設けられている。貯湯水循環ライン27には、下流側から上流側に向かって、ラジエータ27a、貯湯水循環ポンプ27b、熱交換器22、取水口27cが、この順に配設されている。排熱回収システム26では、貯湯水循環ポンプ27bによって、貯湯水が貯湯水循環ライン27を循環し、発電装置2の排熱が貯湯水に回収され蓄えられる。
【0078】
貯湯槽24には、貯湯槽24の深さ方向に、複数の温度検出器24aが設けられている。複数の温度検出器24aは、貯湯槽24に貯湯されている貯湯水の水位に応じた温度を検出することができる。排熱回収量検出部74は、複数の温度検出器24aの検出値に基づいて、貯湯槽24の貯湯熱量または貯湯電力を示す排熱回収量を検出することができる。貯湯熱量は、熱交換器22を介して発電装置2の排熱から回収され、貯湯水に蓄えられた熱量をいう。貯湯電力は、貯湯熱量を電力に換算したものをいう。
【0079】
具体的には、貯湯熱量は、貯湯槽24に貯湯されている貯湯水の貯湯量と、貯湯水の温度変化量とを乗じて算出することができる。貯湯水の貯湯量は、貯湯槽24に応じて予め設定することができ、貯湯水の温度変化量は、複数の温度検出器24aの各検出値から算出することができる。また、1kWhは、860kcalに相当するので、排熱回収量検出部74は、貯湯熱量を電力に換算することもできる。なお、貯湯槽24の貯湯量を検出する貯湯量検出器を設けて、貯湯量検出器の検出値から貯湯水の貯湯量を検出することもできる。
【0080】
排熱回収量検出部74は、排熱回収量が目標排熱回収量に到達したか否かを判断する(ステップS104)。排熱回収量検出部74は、複数の温度検出器24aの各検出値が目標貯湯温度に到達しているときに、排熱回収量が目標排熱回収量に到達したと判断することができる。目標貯湯温度は、貯湯槽24に貯湯されている貯湯水の設定温度であり、貯湯水の温度変化を考慮した温度範囲(目標貯湯温度範囲)に設定することもできる。
【0081】
排熱回収量が目標排熱回収量に到達した場合(ステップS104でYesの場合)、系統連系装置7の制御は、ステップS105に進む。排熱回収量が目標排熱回収量に到達していない場合(ステップS104でNoの場合)、系統連系装置7の制御は、ステップS106に進む。ステップS105では、系統連系装置7の運転状態は、後述する駆動制御最適化部86によって指示された運転状態に設定される。一方、ステップS106では、系統連系装置7の運転状態は、既述の最大定格運転に設定される。ステップS105またはステップS106が実行された後、系統連系装置7の制御は、ステップS107に進む。
【0082】
余剰電力算出部73は、電力変換器4の出力電力を検出し、負荷32で消費される消費電力を検出する(ステップS107)。そして、余剰電力算出部73は、電力変換器4の出力電力から負荷32で消費される消費電力を減じて余剰電力を算出すると好適である(ステップS108)。既述のとおり、電力変換器4の出力電力は、第一電力検出器3P1によって検出される。また、負荷32で消費される消費電力は、第二電力検出器3P2によって検出される。つまり、余剰電力算出部73は、第一電力検出器3P1の検出値から第二電力検出器3P2の検出値を減じて、各系統連系装置7の余剰電力を算出することができる。
【0083】
各系統連系装置7の通信部71は、余剰電力算出部73によって算出された余剰電力を含む余剰電力情報を生成する(ステップS109)。余剰電力情報は、余剰電力算出部73によって算出された余剰電力を統合装置8に対して送信可能にしたものであり、余剰電力などの運転情報の他に、送信先アドレス(統合装置8のアドレス)、送信元アドレス(各系統連系装置7のアドレス)、エラー訂正情報などを含めることができる。
【0084】
また、各系統連系装置7の通信部71は、排熱回収量検出部74によって検出された排熱回収量を含む排熱回収情報を生成する(ステップS109)。排熱回収情報は、排熱回収量検出部74によって検出された排熱回収量を統合装置8に対して送信可能にしたものであり、排熱回収量などの運転情報の他に、余剰電力情報と同様の情報を含めることができる。各系統連系装置7の通信部71は、余剰電力情報および排熱回収情報を統合装置8に対して送信する(ステップS110)。そして、系統連系装置7の制御は、一旦、終了する。
【0085】
統合装置8の売電電力算出部83は、各系統連系装置7の通信部71から送信された余剰電力情報に基づいて、売電電力を算出すると好適である。売電電力は、各系統連系装置7の余剰電力の加算電力であって、複数の系統連系装置7から供給可能な電力をいう。具体的には、売電電力算出部83は、全ての系統連系装置7から余剰電力情報および排熱回収情報を受信したか否かを判断する(ステップS203)。
【0086】
全ての系統連系装置7から余剰電力情報および排熱回収情報を受信した場合(ステップS203でYesの場合)、統合装置8の制御は、ステップS204に進む。そして、売電電力算出部83は、各系統連系装置7の余剰電力情報に基づいて、各系統連系装置7の余剰電力を加算し、売電電力を算出する(ステップS204)。全ての系統連系装置7から余剰電力情報および排熱回収情報を受信していない場合(ステップS203でNoの場合)、統合装置8の制御は、ステップS203に戻る。この場合、売電電力算出部83は、全ての系統連系装置7から余剰電力情報および排熱回収情報を受信するまで待機する。
【0087】
次に、入札部84は、売電電力算出部83によって算出された売電電力を電力市場9で売り入札すると好適である(ステップS205)。電力市場9は、限定されないが、例えば、公知の卸電力取引所などが挙げられる。卸電力取引所は、スポット市場、時間前市場、先渡し市場、分散型・グリーン売電市場などの取引市場である。なお、電力市場9における取引の種類は、これらに限定されるものではない。
【0088】
入札部84は、入札に際して、電力市場9の市場動向を考慮することができる。電力市場9の市場動向は、例えば、電力需要、入札量および入札価格、統合装置8が統合する系統連系装置群7G以外から供給される売電量などの動向が挙げられる。入札部84は、例えば、電力市場9で売り入札する地域、時期、時間帯に応じた市場動向を考慮することもできる。例えば、夏季の午後の時間帯は、他の時期および時間帯と比べて電力需要が多く、売電価格が高騰する傾向がある。一方、深夜の時間帯は、他の時間帯と比べて電力需要が少なく、売電価格が低廉になる傾向がある。
【0089】
入札部84は、電力市場9の市場動向に基づいて、入札量および入札価格を決定することができる。入札部84は、系統連系装置群7Gを構成する一の系統連系装置7の余剰電力を電力市場9で売り入札することもでき、系統連系装置群7Gを構成する複数の系統連系装置7の余剰電力分を一括して電力市場9で売り入札することもできる。また、入札部84は、系統連系装置群7Gを構成する全ての系統連系装置7の余剰電力分を一括して電力市場9で売り入札することもできる。
【0090】
本実施形態の余剰電力統合システム1によれば、各系統連系装置7は、電力変換器4の出力電力から負荷32で消費される消費電力を減じて余剰電力を算出する余剰電力算出部73を備えている。また、統合装置8は、各系統連系装置7の通信部71から送信された余剰電力情報に基づいて売電電力を算出する売電電力算出部83と、売電電力算出部83によって算出された売電電力を電力市場9で売り入札する入札部84とを備えている。これにより、本実施形態の余剰電力統合システム1は、系統連系装置群7Gを構成する複数の系統連系装置7の余剰電力を取りまとめることができ、一の系統連系装置7の余剰電力に基づいて売り入札する場合と比べて、入札量(売電量)を増加させることができる。よって、入札部84は、電力市場9で売り入札するときに、電力市場9で入札する競合者に対して競争力を確保することができ、より有利な条件で売り入札することができる。
【0091】
分配部85は、売電電力が電力市場9で落札されたときに、売電電力の各供給者に対して、落札によって得られた売電利益を、供給した余剰電力に比例して分配すると好適である。具体的には、分配部85は、入札部84が売り入札した売電電力が落札されたか否かを判断する(ステップS206)。落札された場合(ステップS206でYesの場合)、統合装置8の制御は、ステップS207に進む。そして、分配部85は、売電電力の供給者毎に、個別売電利益を算出する(ステップS207)。個別売電利益は、売電電力の各供給者に分配される余剰電力の供給量に応じた売電利益をいう。
【0092】
落札されなかった場合(ステップS206でNoの場合)、統合装置8の制御は、ステップS208に進む。そして、入札部84は、入札を継続するか否かを判断する(ステップS208)。入札を継続する場合(ステップS208でYesの場合)、統合装置8の制御は、ステップS205に戻る。この場合、入札部84は、入札量や入札価格などの入札条件を変更し、再度、売り入札する(ステップS205)。一方、入札を継続しない場合(ステップS208でNoの場合)、統合装置8の制御は、ステップS209に進む。この場合、落札されていないので、個別売電利益は、生じない。
【0093】
本実施形態の余剰電力統合システム1によれば、統合装置8は、売電電力が電力市場9で落札されたときに、売電電力の各供給者に対して、落札によって得られた売電利益を、供給した余剰電力に比例して分配する分配部85を備える。そのため、本実施形態の余剰電力統合システム1は、各系統連系装置7から供給された余剰電力の供給量に応じて、落札によって得られた売電利益を分配することができる。
【0094】
なお、分配部85は、供給した余剰電力以外の要素に基づいて、または、供給した余剰電力以外の要素を加味して、落札によって得られた売電利益を分配することもできる。分配部85は、例えば、余剰電力統合システム1の構築に際して出資した出資金に基づいて、または、出資金を加味して、落札によって得られた売電利益を分配することもできる。
【0095】
次に、駆動制御最適化部86は、各系統連系装置7の通信部71から送信された余剰電力情報および排熱回収情報に基づいて、各系統連系装置7の運転効率が最も高くなる各系統連系装置7の運転状態を決定し、各系統連系装置7に対して当該運転状態を指示すると好適である(ステップS209)。駆動制御最適化部86は、統合装置通信部81および制御装置通信部51を介して、各系統連系装置7の制御装置5の駆動制御部52に対して運転状態を指示する。
【0096】
例えば、駆動制御最適化部86は、余剰電力生成費用と、余剰電力を生成し売電したときの売電利益とを各系統連系装置7について算出すると好適である。余剰電力生成費用は、発電装置2に投入する化石燃料の費用であって、余剰電力を生成するために必要な変動費用をいう。また、この場合の売電利益は、個別売電利益である。そして、駆動制御最適化部86は、売電利益と比べて余剰電力生成費用が低廉になる各系統連系装置7の余剰電力の生成量を決定し、各系統連系装置7に対して当該生成量を指示すると良い。
【0097】
本実施形態の余剰電力統合システム1によれば、駆動制御最適化部86は、余剰電力生成費用と、余剰電力を生成し売電したときの売電利益とを各系統連系装置7について算出する。そして、駆動制御最適化部86は、売電利益と比べて余剰電力生成費用が低廉になる各系統連系装置7の余剰電力の生成量を決定し、各系統連系装置7に対して当該生成量を指示する。これにより、駆動制御最適化部86は、投入する余剰電力生成費用と、得られる売電利益との費用対効果を考慮して、各系統連系装置7の運転状態を決定することができる。そのため、各系統連系装置7の発電装置2は、売電利益が得られる余剰電力を生成することができ、各系統連系装置7は、運転効率を向上させることができる。
【0098】
また、既述のとおり、各系統連系装置7の制御装置5は、逆潮流禁止制御から逆潮流許可制御に移行したときに、排熱回収量検出部74によって検出された排熱回収量が目標排熱回収量に到達するまでは、系統連系装置7を最大定格運転で運転させ、排熱回収量が目標排熱回収量に到達した以降は、駆動制御最適化部86によって指示された運転状態で運転させると好適である。
【0099】
本実施形態の余剰電力統合システム1によれば、各系統連系装置7の制御装置5は、逆潮流禁止制御から逆潮流許可制御に移行したときに、排熱回収量検出部74によって検出された排熱回収量が目標排熱回収量に到達するまでは、系統連系装置7を最大定格運転で運転させる。そのため、各系統連系装置7の排熱回収システム26は、逆潮流許可制御に移行したときに、優先的に、貯湯槽24の貯湯水に回収された排熱回収量を目標排熱回収量に到達させることができる。そのため、本実施形態の余剰電力統合システム1は、排熱回収システム26の効率を向上させることができ、コジェネレーションシステムの効率を向上させることができる。よって、各系統連系装置7は、運転効率を向上させることができる。
【0100】
また、本実施形態の余剰電力統合システム1によれば、各系統連系装置7の制御装置5は、排熱回収量が目標排熱回収量に到達した以降は、駆動制御最適化部86によって指示された運転状態で運転させる。これにより、統合装置8は、各系統連系装置7の運転状態を最適な状態にすることができ、各系統連系装置7の運転効率を向上させることができる。なお、駆動制御最適化部86が各系統連系装置7に対して指示する運転状態は、限定されない。例えば、上述の各系統連系装置7の費用対効果を考慮して、各系統連系装置7の運転状態を決定することができる。
【0101】
また、駆動制御最適化部86は、排熱回収システム26の排熱回収時間を考慮して、各系統連系装置7の運転状態を決定することもできる。発電装置2の発電量が増加すると、発電装置2の排熱量も増加し、排熱回収システム26によって回収される排熱回収量も増加する。また、貯湯水循環ライン27を循環する貯湯水の流速が増加すると、排熱回収システム26が目標排熱回収量を回収するまでの時間を短縮することができる。よって、駆動制御最適化部86は、排熱回収システム26が目標排熱回収量を回収するまでの時間を最短化可能な発電装置2の発電量および貯湯水循環ライン27を循環する貯湯水の流速を指示すると好適である。発電装置2の発電量を最大にする制御は、既述の最大定格運転制御であり、駆動制御部52によって制御される。また、駆動制御部52は、貯湯水循環ポンプ27bの吐出量を制御することができ、貯湯水循環ライン27を循環する貯湯水の流速を制御することができる。よって、駆動制御最適化部86は、統合装置通信部81および制御装置通信部51を介して、各系統連系装置7の駆動制御部52に対して、発電装置2の発電量および貯湯水の流速を指示すると良い。
【0102】
本実施形態の余剰電力統合システム1によれば、駆動制御最適化部86は、排熱回収システム26が目標排熱回収量を回収するまでの時間を最短化可能な発電装置2の発電量および貯湯水循環ライン27を循環する貯湯水の流速を指示する。これにより、各系統連系装置7の排熱回収システム26は、目標排熱回収量を回収するまでの時間を最短化することができる。そのため、本実施形態の余剰電力統合システム1は、排熱回収システム26の効率を向上させることができ、コジェネレーションシステムの効率を向上させることができる。よって、各系統連系装置7は、運転効率を向上させることができる。
【0103】
また、駆動制御最適化部86は、各系統連系装置7の排熱回収量が目標排熱回収量に到達した後は、排熱回収システム26が回収した排熱の一部を放出させることもできる。例えば、駆動制御最適化部86は、排熱回収システム26が放出する貯湯水の貯湯水量と、放出する貯湯水の温度とから、放出する貯湯水の放出熱量を算出する。駆動制御最適化部86は、給湯器などを用いて当該放出熱量に相当する熱量を生成する場合に必要となる費用である排熱放出費用を算出する。そして、駆動制御最適化部86は、余剰電力生成費用と、余剰電力を生成し売電したときの売電利益と、排熱回収システム26が放出する排熱放出費用とを各系統連系装置7について算出する。
【0104】
駆動制御最適化部86は、余剰電力生成費用と排熱放出費用とを加算した排熱放出時電力生成費用と、売電利益とを比較する。駆動制御最適化部86は、排熱放出時電力生成費用が売電利益と比べて小さいときには、排熱回収システム26が回収した排熱の一部を放出させることができる。また、駆動制御最適化部86は、排熱放出時電力生成費用が売電利益と比べて大きいときには、余剰電力の生成量を減少させることもできる。図10に示すように、各系統連系装置7の駆動制御部52は、例えば、取水口27cから貯湯水を放出することができる。また、各系統連系装置7の駆動制御部52は、貯湯槽24に貯湯されている貯湯水を放出することもできる。さらに、各系統連系装置7の駆動制御部52は、例えば、貯湯水循環ライン27のラジエータ27aを用いて、貯湯水循環ライン27を循環する貯湯水を冷却することもできる。駆動制御最適化部86は、統合装置通信部81および制御装置通信部51を介して、各系統連系装置7の駆動制御部52に対して、排熱回収システム26が放出可能な熱量を指示する。
【0105】
本実施形態の余剰電力統合システム1によれば、駆動制御最適化部86は、余剰電力生成費用と排熱放出費用とを加算した排熱放出時電力生成費用と、売電利益とを比較し、排熱放出時電力生成費用が売電利益と比べて小さいときには、排熱回収システム26が回収した排熱の一部を放出させることができる。また、駆動制御最適化部86は、排熱放出時電力生成費用が売電利益と比べて大きいときには、余剰電力の生成量を減少させることができる。このように、駆動制御最適化部86は、排熱放出時電力生成費用と売電利益とを比較考慮して、各系統連系装置7の運転状態を決定することができ、各系統連系装置7は、運転効率を向上させることができる。
【0106】
各系統連系装置7の運転状態が決定されると、統合装置通信部81は、駆動制御最適化部86によって指示された運転状態を含む運転状態指示情報を生成する。運転状態指示情報は、駆動制御最適化部86によって指示された運転状態を各系統連系装置7に対して送信可能にしたものであり、指示された運転状態の他に、送信先アドレス(各系統連系装置7のアドレス)、送信元アドレス(統合装置8のアドレス)、エラー訂正情報などを含めることができる。また、統合装置通信部81は、個別売電利益を含む個別売電利益情報を生成する。個別売電利益情報は、分配部85によって算出された個別売電利益を各系統連系装置7に対して送信可能にしたものであり、個別売電利益の他に、運転状態指示情報と同様の情報を含めることができる。
【0107】
統合装置通信部81は、運転状態指示情報および個別売電利益情報を各系統連系装置7の通信部71に対して送信する(ステップS210)。各系統連系装置7の駆動制御部52は、通信部71が受信した運転状態指示情報に基づいて、発電装置2および電力変換器4の駆動制御をし、系統連系装置7の運転状態を制御する。また、各系統連系装置7は、通信部71が受信した個別売電利益情報に基づいて、個別売電利益を知得することができる。なお、系統連系装置7および統合装置8の制御の実行順序は、フローチャートで示す順序に限定されるものではない。例えば、ステップS209の各系統連系装置7の運転状態の決定は、ステップS204の前に実行することもできる。
【0108】
本実施形態の余剰電力統合システム1によれば、統合装置8は、各系統連系装置7の通信部71から送信された余剰電力情報および排熱回収情報に基づいて、各系統連系装置7の運転効率が最も高くなる各系統連系装置7の運転状態を決定し、各系統連系装置7に対して当該運転状態を指示する駆動制御最適化部86を備える。これにより、駆動制御最適化部86は、各系統連系装置7の余剰電力および排熱回収量に基づいて、各系統連系装置7の最適な運転状態を決定することができ、各系統連系装置7は、運転効率を向上させることができる。
【0109】
なお、駆動制御切り替え部72は、逆潮流許可制御から逆潮流禁止制御へ発電装置2および電力変換器4の駆動制御を切り替えることもできる。具体的には、統合装置8は、各系統連系装置7の余剰電力を配電線網3Nへ逆潮流させることを禁止するときに、逆潮流許可制御を解除して逆潮流禁止制御に移行させる逆潮流許可解除指令を生成する逆潮流禁止部87を備える。各系統連系装置7の駆動制御切り替え部72は、逆潮流禁止部87によって生成された逆潮流許可解除指令を通信部71が受信したときに、逆潮流許可制御から逆潮流禁止制御へ駆動制御を切り替える。これにより、統合装置8は、例えば、配電線網3Nに供給された余剰電力が過大になり、電力系統が不安定になることを抑制することができる。
【0110】
また、各系統連系装置7の駆動制御切り替え部72は、逆潮流禁止部87によって生成された逆潮流許可解除指令を通信部71が受信したときに、発電装置2および電力変換器4の駆動制御プログラムを、逆潮流許可制御を行う駆動制御プログラムから逆潮流禁止制御を行う駆動制御プログラムへ書き換えることができる。逆潮流許可制御から逆潮流禁止制御への移行は、逆潮流禁止制御から逆潮流許可制御への移行の場合と同様に行うことができる。
【0111】
<その他>
本発明は、上記し且つ図面に示した実施形態のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施することができる。
【符号の説明】
【0112】
1:余剰電力統合システム、
2:発電装置、22:熱交換器、24:貯湯槽、
3:系統電源、3N:配電線網、31:分電盤、32:負荷、
4:電力変換器、5:制御装置、6:付加装置、
7:系統連系装置、7G:系統連系装置群、
71:通信部、72:駆動制御切り替え部、73:余剰電力算出部、
74:排熱回収量検出部、
8:統合装置、82:逆潮流許可部、83:売電電力算出部、84:入札部、
85:分配部、86:駆動制御最適化部、
9:電力市場。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10