(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ステップ(40)の外縁の前記ミッションケース(8)の中央前部に臨む部分には、上方に折り返され、かつ前記ミッションケース(8)の前部上方に設けられるカバー(30)に覆われる上方折り返し部(44)が設けられ、
前記ステップ(40)の外縁の前記ミッションケース(8)の中央前部に臨む部分を除く部分には、下方に折り返された下方折り返し部(45)が設けられる
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の作業車両(1)。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の実施形態により本発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの或いは実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。また、下記の実施形態における構成要素は、適宜組み合わせることができる。
【0017】
[実施形態]
本発明の実施形態に係る作業車両としてのトラクタ1を図面を参照して説明する。
図1は、実施形態に係るトラクタを表す側面図である。
図2は、実施形態に係るトラクタを表す平面図である。
図3は、実施形態に係るトラクタを表す正面図である。
図4は、実施形態に係るトラクタのステップなどを模式的に示す側面図である。
図5は、実施形態に係るトラクタのステップなどを上方からみた斜視図である。
図6は、実施形態に係るトラクタの要部を示す平面図である。
図7は、
図5の要部を拡大して示す斜視図である。
図8は、
図7に示された補助ステップを示す斜視図である。
図9は、実施形態に係るトラクタの要部の側面図である。
図10は、実施形態に係るトラクタの要部の正面図である。
図11は、
図6中のXI−XI線に沿う断面図である。
図12は、
図6中のXII−XII線に沿う断面図である。
図13は、実施形態に係るトラクタのパネルダッシュの斜視図である。
図14は、実施形態に係るトラクタのミッションケースの斜視図である。
図15は、実施形態に係るトラクタのステップの下方からみた斜視図である。
図16は、実施形態に係るトラクタのステップの上方からみた斜視図である。
図17は、実施形態に係るトラクタの防振体を示す斜視図である。
図18は、実施形態に係るトラクタのステップの下方からみた平面図である。
【0018】
実施形態に係るトラクタ1は、圃場等で作業を行う作業車両である。なお、以下では、トラクタ1の前進方向を前方側(
図1および
図2の左側)とし、前進方向の逆向きの方向を後方側(
図1および
図2の右側)とし、トラクタ1の前後方向に直交する直交方向を左右方向とし、トラクタ1の前後方向に直交する鉛直方向を上下方向としている。
【0019】
トラクタ1は、
図1、
図2及び
図3に示すように、操舵用の車輪として設けられる前輪4と、駆動用の車輪として設けられる後輪5とを有した機体2などを備えている。後輪5には、機体2前部のボンネット6内に搭載されるエンジン7(
図1に示す)で発生した動力が、図示しない主変速装置及び副変速装置で適宜減速して伝達され、後輪5は、この動力によって駆動される。
【0020】
また、トラクタ1は、エンジン7で発生しかつ主変速装置及び副変速装置で減速した動力を、前輪増速切換機構(図示せず)を介して、前輪4にも伝達可能になっている。トラクタ1は、前輪増速切換機構が動力を伝達すると、エンジン7から伝達されてくる動力によって前輪4と後輪5との四輪が駆動され、前輪増速切換機構が動力の伝達を遮断すると、エンジン7から伝達されてくる動力によって後輪5のみの二輪が駆動される。即ち、トラクタ1は、二輪駆動と四輪駆動との切り換えが可能になっている。また、トラクタ1の機体2後部には、ロータリ(図示省略)等の作業機を装着可能なPTO(Power take−off)出力軸3が配設されている。
【0021】
機体2は、
図1、
図4及び
図5等に示すように、主変速装置、副変速装置、前輪増速切換機構、PTO出力軸3に駆動力を伝達するPTO伝導部などを収容したミッションケース8と、ミッションケース8の前部に取り付けられるパネルダッシュ9などで構成されている。機体2は、パネルダッシュ9の前側にエンジン7を搭載して、エンジン7をボンネット6にて被覆し、ミッションケース8をパネルダッシュ9から機体2の後部に亘って設け、ミッションケース8の後部上方に運転席10を設け、運転席10の左右両側方に泥除け用のフェンダ11を設けて構成されている。
【0022】
泥除け用のフェンダ11は、後輪5の上方から前方にかけた位置に設けられ、後輪5を覆うことにより後輪5で巻き上げた泥土の飛散を抑制するものである。即ち、トラクタ1は、機体2を構成するミッションケース8と、ミッションケース8の後部上方に設けられた運転席10と、運転席10の左右両側方に設けられた泥除け用のフェンダ11と、を備えている。
【0023】
運転席10は、運転者がトラクタ1を操縦する際に座るものであって、左右の泥除け用のフェンダ11間に設けられている。また、運転席10の前方には、
図1及び
図2に示すように、前輪4の操舵に用いるステアリングハンドル13が設けられている。ステアリングハンドル13は、当該ステアリングハンドル13を回転可能に支持するハンドルポスト14の上端側に配設されている。また、ハンドルポスト14の下方側、即ち、運転席10に運転者が座った場合における運転者の足元付近には、
図2に示すように、クラッチペダル20、後輪5をペダル操作に応じて制動するためのブレーキペダル21、アクセルペダル(図示せず)が設置されている。
【0024】
また、運転席10の右側には、トラクタ1の後部に装着したロータリ(図示省略)等の作業機を上下に昇降操作する作業機昇降レバー27が配設され、運転席10の左側には、トラクタ1の走行時における主変速装置の変速に関する操作を行う主変速レバー25、副変速装置の副変速レバー26が配設されている。主変速レバー25は、主変速装置の変速である主変速の操作を行うことができ、主変速を自動的に行う自動変速と、運転者の任意で行う手動変速と、を切り換え可能になっている。主変速レバー25は、手動変速では、主変速装置の減速比を8段のいずれかに切り換える。副変速レバー26は、副変速装置を操作し、走行速度を、超低速、低速、中速、高速及び中立に切り換え可能である。
【0025】
機体2を構成するミッションケース8及びパネルダッシュ9は、金属で構成されている。パネルダッシュ9は、
図4に示すように、ミッションケース8の前部から上方に立設し、エンジン7からの運転席10側への熱風を遮断するものである。パネルダッシュ9は、ミッションケース8の前部から上方に立設した板状に形成されている。パネルダッシュ9は、
図13に示すように、下端が末広がりに形成されている。
【0026】
パネルダッシュ9は、下端中央部にハンドルポスト14などを通す孔9aを設けている。孔9aは、ハンドルポスト14の他にステアリングハンドル13と前輪4とを接続するステアリング機構やパワーステアリングユニット、パワーステアリング用のホースを通す。パネルダッシュ9は、下端左右両端部にクラッチペダル20、ブレーキペダル21、アクセルペダルに連結したロッド(図示せず)を通す孔9bを設けている。
【0027】
パネルダッシュ9の運転席10側には、ステアリング機構やパワーステアリングユニット、パワーステアリング用のホースなどを収容して外観を整えるカバー30(
図1、
図9などに示す)や、運転者に各種の情報を提供する表示装置31(
図2に示す)が取り付けられる。カバー30は、パネルダッシュ9の左右方向の中央に設けられている。パネルダッシュ9は、下端中央にステアリング機構やパワーステアリングユニット、パワーステアリング用のホースを通す孔9aを設けることで、外観向上を図ることができ、構成の強靭化を図ることができ、組み立て、配索を容易にすることができる。
【0028】
また、運転席10に運転者が座った場合における運転者の足元付近には、
図4、
図5、
図6に示すように、水平方向に平坦なステップ40が取り付けられている。ステップ40は、ミッションケース8及びミッションケース8に取り付けられかつステップ40を支持するステップブラケット50上に配置される。ステップ40は、機体2の左右方向に一対配置される。これら一対のステップ40は、機体2の左右方向の中央を通りかつ前後方向と平行な中心線P(
図2及び
図6等に一点鎖線で示す)に関して、平面形状が線対称な形状に形成され、ミッションケース8上で内側の端部が隣接するとともに、同一平面上に配置される。
【0029】
ステップ40は、金属で構成され、かつ、機体2の左右方向の中央から外側に向かうにしたがって前側に向かうように傾斜した傾斜部41と、傾斜部41から機体2の左右方向の外側に向かう外側向かい部42とを備えて、平板状に形成されている。ステップ40を支持するステップブラケット50は、ステップ40と1対1で対応している。
【0030】
ステップブラケット50は、ミッションケース8の前部の左右両側方にボルトなどにより固定される。ステップブラケット50は、ミッションケース8に固定されると、ミッションケース8から左右方向の外側に突出する。ステップブラケット50は、枠状のブラケット本体51と、ブラケット本体51に取り付けられる補助ステップ52とを備えている。
【0031】
ブラケット本体51は、前側固定部材53と、後側固定部材54と、固定部材53,54同士を連結した連結部材55とを備えている。後側固定部材54は、図示しないボルトによりミッションケース8の左右両側方に取り付けられている。前側固定部材53は、平面視において、左右方向と平行な直線状に延在している。前側固定部材53は、断面形状が上下方向と平行な平板状に形成されている。後側固定部材54は、前側固定部材53の後方に配置され、ミッションケース8に固定されかつ左右方向に平行な第1平行部54a(
図5に示す)と、第1平行部54aから左右方向の外側の傾斜部54b(
図5に示す)とを備えている。第1平行部54aは、扁平な角パイプで構成され、傾斜部54bは、第1平行部54aを構成する角パイプの先端が左右方向の外側に向かうにしたがって前方に向かうように前後方向と左右方向との双方に対して傾斜する方向に切断されるなどして形成されている。
【0032】
連結部材55は、実施形態では、二つ設けられている。連結部材55は、直線状な扁平な角パイプで構成され、長手方向が前後方向と平行に配置されている。二つの連結部材55は、左右方向に間隔をあけて、互いに平行に配置されている。連結部材55の両端が固定部材53,54に溶接されるなどして、ブラケット本体51が組み立てられる。
【0033】
補助ステップ52は、運転者がステップ40に乗る際に足をかけることができるものであり、
図8に示すように、一対の固定用部材52a,52bと、固定用部材52a,52bの先端同士を連結したステップ状部材52cとを備えている。一方の固定用部材52aは、前側固定部材53に重ねられて、前側固定部材53に固定される。他方の固定用部材52bは、後側固定部材54に重ねられて、後側固定部材54に固定される。他方の固定用部材52bは、左右方向の外側に向かうにしたがって徐々に前側に向かうように、前後方向と水平方向とに対して傾斜している。
【0034】
このために、他方の固定用部材52bは、補助ステップ52が後輪5と干渉することを抑制している。固定用部材52a,52bは、固定部材53,54に固定されると、
図10に示すように、ブラケット本体51から左右方向の外側に向かうにしたがって徐々に下方に向かうように、正面からみて湾曲している。ステップ状部材52cは、固定用部材52a,52bの先端同士を連結して、運転者が乗り降りする際に足をかけることができるものである。なお、本実施形態では、補助ステップ52は、
図2に示すように、機体2の左側の一方のステップブラケット50のみに設けられて、右側のステップブラケット50には設けられていない。
【0035】
前述したステップ40は、防振固定構造60(
図11及び
図12に示す)によりステップブラケット50に固定される。即ち、トラクタ1は、防振固定構造60を備えている。防振固定構造60は、ステップ40とステップブラケット50との間に設けられ、かつステップ40をステップブラケット50に固定するとともに、ミッションケース8の振動がステップ40に伝わることを抑制するものである。
【0036】
防振固定構造60は、
図11及び
図12に示すように、補強材61と、防振体62(
図11に示す)と、固定部材としてのボルト63(
図11に示す)と、載置面64(
図12に示す)と、第2防振体65(
図12に示す)とを備えている。
【0037】
補強材61は、
図15及び
図18に示すように、ステップ40の下面に溶接などにより取り付けられている。補強材61は、金属などで構成され、扁平な断面U字状に形成されて、断面の両端がステップ40の下面に溶接されている。補強材61は、ステップ40のステップブラケット50の後側固定部材54、連結部材55に重なる位置、即ち、ステップ40の乗り降り側(左右方向の外側)の外側向かい部42に設けられている。また、補強材61は、傾斜部41のミッションケース8の載置面64に重なる位置に設けられている。こうして、補強材61は、ステップ40の下面との間に空間Kを形成して、ステップ40に固定される。また、補強材61は、当該補強材61のステップブラケット50及びミッションケース8に対向する面を貫通した孔部61aを有している。孔部61aは、平面形状が丸型に形成され、防振体62及び第2防振体65が配置される箇所に設けられている。
【0038】
防振体62と第2防振体65は、ゴムなどの弾性材料で構成されて、本実施形態では、同形状に形成されている。防振体62及び第2防振体65は、
図11、
図12及び
図17に示すように、円筒状の本体部66と、本体部66の上端部に連なり孔部61aに圧入される先細な圧入部67と、を一体に備え、本体部66と圧入部67との間にこれらよりも小径なくびれ部68が形成されている。
【0039】
本体部66の外径と圧入部67の本体部66寄りの部分の外径とは、孔部61aの内径よりも大きく形成されている。くびれ部68の外径は、孔部61aの内径と略等しく形成されている。圧入部67の本体部66から離間した側の外径は、孔部61aの内径よりも小さく形成されている。防振体62は、ステップブラケット50の二つの連結部材55のうちの左右方向外側の連結部材55の前後両端部上と、内側の連結部材55の前端部上と、後側固定部材54の第1平行部54aの中央部上に配置される。
【0040】
防振体62は、ステップブラケット50に下端部が当接しかつ上端部の圧入部67が補強材61内の空間K内に突出するように孔部61aに圧入される。第2防振体65は、ミッションケース8に形成された載置面64上に配置されて、載置面64とステップ40との間に配置される。第2防振体65は、載置面64に下端部が当接しかつ上端部の圧入部67が補強材61内の空間K内に突出するように孔部61aに圧入される。防振体62,65は、圧入部67が空間K内に位置し、くびれ部68が孔部61aの内側に位置する。本発明では、第2防振体65にボルト63を通す孔を形成しないことなどにより、防振体62と第2防振体65とを異なる形状に形成してもよい。
【0041】
ボルト63は、防振体62の上端部とステップブラケット50とを固定するものである。ボルト63は、左右方向外側の連結部材55の前端部上と後側固定部材54の第1平行部54aの中央部上に配置される防振体62の内側を通って、ステップブラケット50のブラケット本体51の連結部材55に予め取り付けられたウェルドナット69に螺合する。ボルト63は、ウェルドナット69に螺合すると、頭63aと連結部材55との間に防振体62を挟み込んで、防振体62即ち防振体62が孔部61aに圧入されたステップ40の補強材61と、ステップブラケット50のブラケット本体51とを固定する。なお、ボルト63の頭63aは、防振体62の圧入部67に接触して、補強材61即ちステップ40に接触しない。また、ステップ40には、防振体62及び第2防振体65に重なる箇所にボルト63を通すための貫通孔43が形成されている。しかしながら、本発明では、貫通孔43は、ボルト63により固定される防振体62に重なる箇所のみに設けられればよい。
【0042】
載置面64は、
図14に示すように、ミッションケース8の上面に平坦に形成されている。載置面64は、ミッションケース8の上面が水平方向と平行に平坦に削られることで形成される。なお、載置面64は、各ステップ40毎に二つ設けられている。
【0043】
防振固定構造60は、エンジン7などの振動によりミッションケース8が振動すると、このミッションケース8の振動により防振体62,65が弾性変形するとともに、防振体62,65の弾性復元力により振動を減衰させる。防振固定構造60は、振動を減衰させることで、振動がステップ40に伝わることを抑制する。
【0044】
また、ステップ40の外縁のミッションケース8の中央でかつ前部のカバー30に臨む部分には、
図16及び
図18に示すように、上方に折り返された上方折り返し部44が設けられている。上方折り返し部44は、ミッションケース8の前部の上方に設けられかつパネルダッシュ9の運転席10側に取り付けられるカバー30により外側が覆われる。また、ステップ40の外縁のミッションケース8の中央でかつ前部のカバー30に臨む部分を除く部分には、
図16及び
図18に示すように、下方に折り返された下方折り返し部45が設けられている。
【0045】
また、前述したトラクタ1は、
図1及び
図4に示すように、ステップ40及びステップブラケット50の下方に、ステップブラケット50の左右方向の両端部に亘ってエンジン7に供給される燃料を収容する燃料タンク12を設けている。燃料タンク12は、
図4及び
図7に示すように、前端部が左右一対の燃料タンクステー70により機体2に固定され、後端部が左右一対の泥除けカバー80により機体2に固定される。また、燃料タンク12の底部はタンクカバー15によって保護されている。即ち、トラクタ1は、ステップブラケット50の下方に設けられかつ燃料タンク12を保護するタンクカバー15と、一対の燃料タンクステー70と、一対の泥除けカバー80とを備える。燃料タンクステー70と泥除けカバー80とは、機体2の左右方向に一対設けられている。
【0046】
燃料タンクステー70は、金属で構成され、一端部がパネルダッシュ9の下部に図示しないボルトにより固定される。燃料タンクステー70は、パネルダッシュ9の下部から下方でかつ左右方向の外側に延在している。即ち、燃料タンクステー70は、
図10に示すように、パネルダッシュ9の下部から左右方向の外側に向かうにしたがって徐々に下方に向かうように、左右方向と上下方向とに傾斜している。燃料タンクステー70は、他端部が燃料タンク12及びタンクカバー15の前端部に図示しないボルトにより固定される(取り付けられる)。また、燃料タンクステー70は、ステップブラケット50のブラケット本体51の前側固定部材53に図示しないボルトにより固定される(取り付けられる)。また、左右一対の燃料タンクステー70は、前記中心線Pに関して、
図7に示すように、線対称な形状に形成されている。
【0047】
泥除けカバー80は、後輪5で巻き上げられた泥土の飛散を防止するものである。泥除けカバー80は、金属で構成され、ステップブラケット50のブラケット本体51の後側固定部材54に溶接される。泥除けカバー80は、ブラケット本体51の後側固定部材54への固定箇所から下方に延在して下端部が燃料タンク12及びタンクカバー15の後端部に図示しないボルトにより固定される(取り付けられる)。泥除けカバー80は、ブラケット本体51の後側固定部材54への固定箇所及び燃料タンク12への固定箇所から左右方向の内側に向かって延在し、左右方向の内側に向かうにしたがって徐々に上下方向の幅が狭く形成されている。このように、泥除けカバー80は、ブラケット本体51の後側固定部材54への固定箇所から燃料タンク12への固定箇所に亘って上下方向に幅広に形成されることで、後輪5で巻き上げられた泥土の飛散を防止する。泥除けカバー80は、左右方向の内側に位置する内側端部が図示しないボルトによりフェンダ11に固定される(取り付けられる)。また、左右一対の泥除けカバー80は、前記中心線Pに関して、
図7に示すように、線対称な形状に形成されている。
【0048】
本実施形態に係るトラクタ1は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。トラクタ1の走行時には、主変速レバー25及び副変速レバー26などによって、主変速装置と副変速装置との変速指示を行い、アクセルペダル(図示せず)でエンジン7の回転数を調節する。これらの操作は、センサ類で検出して図示しないECUなどに入力され、入力された情報に基づいてECUがソレノイド等を作動させることにより、エンジン7の運転制御や主変速装置、副変速装置の変速制御を行い、任意の走行状態で走行する。
【0049】
また、進路の調節はステアリングハンドル13を操作することにより行い、減速はブレーキペダル21を操作することにより行うが、ブレーキペダル21は減速時のみでなく、急旋回時にも使用する。
【0050】
また、トラクタ1は、圃場で作業を行ったり、路上を走行したりすることが可能になっているが、圃場と路上とでは、走行時における適切な速度領域が異なっている。このため、トラクタ1の走行時には、走行する場所等の走行状態に応じて主変速レバー25や副変速レバー26を操作することにより、速度領域を切り換える。即ち、主変速レバー25や副変速レバー26を操作することによって、走行時における速度領域を切り換える。
【0051】
例えば、圃場で作業を行う場合には、トラクタ1は、作業時の速度に応じて、運転者が主変速レバー25を1速〜8速のうちいずれかに切り換えるとともに副変速レバー26を低速、中速のうちいずれかに切り換える。
【0052】
また、路上を走行する場合には、トラクタ1は、主変速レバー25を1速〜8速のうちいずれかに切り換えるとともに副変速レバー26を高速に切り換えることが望ましい。
【0053】
以上のように、本実施形態のトラクタ1の構成によれば、防振体62の上端部の圧入部67が補強材61が有する孔部61aに圧入され、ボルト63が防振体62の上端部とステップブラケット50とを固定する。このために、ボルト63が、補強材61やステップ40に接触することなく、ステップ40をステップブラケット50及びミッションケース8上に固定することとなる。このように、ステップ40を固定するボルト63がステップブラケット50との間に防振体62を挟んでステップ40をステップブラケット50に固定するために、ミッションケース8、ステップブラケット50などを介して伝わる振動が、防振体62により防振(減衰)され、ステップ40に伝わることを抑制できる。また、ボルト63が、補強材61やステップ40に接触することなく、ステップ40をステップブラケット50に固定するので、ステップブラケット50などを介して伝わる振動がステップ40に伝わることを確実に抑制でき、ボルト63を取り付ける際に、ボルト63がステップ40に擦れることを抑制でき、外観を損ねることを抑制できる。よって、トラクタ1は、ステップ40に伝わる振動を十分に軽減でき、外観が損なうことを抑制することができる。
【0054】
また、トラクタ1は、ステップ40同士が同一平面上に配置されるので、運転者が足をステップ40上に置きやすくなるとともに、運転者が乗り降りしやすくなる。さらに、トラクタ1は、ミッションケース8の上面に第2防振体65を置く載置面64を設けて、ミッションケース8上にステップ40を支持するので、ステップ40を機体2に支持するために、部品点数の増加を抑制でき、コストの高騰を抑制することができる。
【0055】
トラクタ1は、ステップ40の外縁に上方折り返し部44及び下方折り返し部45を設けているので、ステップ40の剛性を向上することができる。また、ステップ40の外縁の中央でかつ前部のカバー30に臨む部分には、上方折り返し部44を設けているので、ステップ40のミッションケース8との干渉を抑制することができ、上方折り返し部44によりステップ40とカバー30との位置決めがしやすくなる。さらに、ステップ40の外縁の他の部分には、下方折り返し部45を設けているので、運転者がステップ40に乗り降りしやすくなる。