(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記電源断通知手段が、上記電力が供給される上記通信ケーブル以外の通信ケーブルを通じて、電力供給元に上記電源断通知信号を通知するものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の受電装置。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(A)第1の実施形態
以下では、本発明に係る受電装置、給電システム及び給電方法の第1の実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0018】
第1の実施形態は、電力供給を通信線と共用しない通信ケーブルを用いた場合の給電システムに、本発明を適用する場合を例示する。
【0019】
(A−1)第1の実施形態の構成
図2は、第1の実施形態に係る給電システムの構成を示す構成図である。
図2において、第1の実施形態に係る給電システム100は、機器10、機器20、2本の通信ケーブル31及び32を有する。
【0020】
機器10及び機器20は通信ケーブル31及び32で接続されており、給電システム100は、通信ケーブル31及び32により2系統のPoE給電経路のいずれかの経路に切り替えて、機器10から機器20に対してPoE給電を行う。
【0021】
機器10は、PoE給電を行う給電装置1を備えており、又機器20は、給電装置1から電力の供給を受ける受電装置2を備えている。
【0022】
なお、第1の実施形態に係るPoE給電は、例えば、IEEE802.3afやIEEE802.3at(PoE Plus)で規定されている標準化技術を適用する場合を例示する。
【0023】
通信ケーブル31及び32は、ツイストペアケーブル等を適用することができ、例えば、標準規格を満たしたEthernet(登録商標)ケーブルを用いることができる。なお、第1の実施形態では、通信ケーブル31及び32が、電力供給を通信線と共用しないEthernetケーブルを適用する場合を例示する。
【0024】
機器10は、通信ケーブル31及び32を介して機器20と接続して、機器20に向けて電力を供給するものである。また、機器10は、対応する機器20との間で通信処理を行う通信装置51を有する。機器10は、特に限定されるものではなく給電側の機器を広く適用することができ、例えば、スイッチング装置やルータ等のネットワーク機器、サーバ、コンピュータ等を広く適用できる。
【0025】
機器20は、通信ケーブル31及び32を介して機器10と接続して、機器10から電力供給を受けるものである。また、機器10は、対応する機器10との間で通信処理を行う通信装置52を有する。機器20は、特に限定されるものではなく受電側の機器を広く適用することができ、例えば、スイッチング装置やルータ等のネットワーク機器、電話機(IP電話機等を含む。)、アクセスポイント、パーソナルコンピュータ、ネットワークカメラ等を広く適用できる。
【0026】
図1は、第1の実施形態に係る給電装置1及び受電装置2の接続構成と内部構成を示す構成図である。なお、
図1では、2系統のPoE給電の二重化を構成しており、第1の系統の給電経路を「0(0系)」、第2の系統の給電経路を「1(1系)」として表わしている。
【0027】
まず、給電装置1の内部構成を説明する。給電装置1は、給電部11−1及び11−2、給電経路切替制御部12を有する。
【0028】
給電部11−1は、通信ケーブル31を介して受電装置2に電力を供給するものである。また、給電部11−2は、通信ケーブル31を介して受電装置2に電力を供給するものである。
【0029】
給電部11−1及び給電部11−2は、給電経路切替制御部12と接続しており、給電経路切替制御部12の制御により、給電部11−1又は給電部11−2のいずれかが受電装置2に対して給電する。
【0030】
給電経路切替制御部12は、通信ケーブル31及び通信ケーブル32と接続しており、通信ケーブル31又は通信ケーブル32のいずれかから受信した電源断通知パケットに基づいて、給電部11−1又は給電部11−2に対して給電を指示するものである。つまり、給電経路切替制御部12は、電源断通知パケットを受信すると、現在運用状態の給電経路から待機状態の給電経路への経路切替を行うため、給電部11−1及び給電部11−2に切替信号を通知する。
【0031】
より具体的には、例えば、
図1において、運用状態の給電経路が通信ケーブル31を介した給電部11−1による給電経路であるとする。この場合、受電装置2において異常が検出されると、受電装置2は、現在待機状態の通信ケーブル32を通じて電源断通知パケットを送信する。給電経路切替制御部12は、待機状態にある通信ケーブル32を通じて電源断通知パケットを受信すると、現在給電している給電部11−1に対して給電停止の旨の切替信号を通知し、現在給電していない給電部11−2に対して給電開始の旨の切替信号を通知する。このように、給電経路切替制御部12は、電源断通知パケットの受信に基づいて、給電部11−1及び11−2に給電経路を切り替える切替信号を通知する。
【0032】
次に、受電装置2の内部構成を説明する。受電装置2は、電源断監視部21−1及び21−2、電源保持部22−1及び22−2、電源断通知部23、和回路24を有する。
【0033】
電源断監視部21−1は、通信ケーブル31と接続しており、通信ケーブル31から供給される受信電力値を監視するものである。また、電源断監視部21−1は、通信ケーブル31から通電された電力を、和回路24に供給する。さらに、電源断監視部21−1は、通信ケーブル31からの受信電力値が規定値以下になるなどの異常を検出すると、電源断通知部23に対して異常検出信号を通知する。電源断監視部21−1による監視方法は、種々の方法を適用することができ、例えば、通信ケーブル31の電圧値が規定値以下となるか否かを監視するようにしても良いし、また例えば、通信ケーブル31を流れる電流値が規定値以下となるか否かを監視する等の方法がある。
【0034】
電源保持部22−1は、通信ケーブル31と接続しており、通信ケーブル31から供給される電力を一時的に蓄えて、和回路24に電力を供給するものである。電源保持部22−1は、例えば、コンデンサ、蓄電池などを適用することができる。ここで、電源保持部22−1は、電源監視部21−1による異常検出時から、給電装置1における給電経路の切り替えまでに要する時間以上の時間(以下、切替所要時間とも呼ぶ。)に亘って、和回路24に電力を供給する。また、切替所要時間に亘って電源保持部22−1が和回路24に供給する電力値は、受電装置2の電源断を回避する電力値以上であることが望ましい。
【0035】
電源断監視部21−2は、通信ケーブル32と接続しており、通信ケーブル32から供給される受信電力値を監視するものである。電源断監視部21−2は、接続している通信ケーブルが異なるのみであり、基本的には、電源断監視部21−1と同一の構成である。
【0036】
電源保持部22−2は、通信ケーブル32と接続しており、通信ケーブル32から供給される電力を一時的に蓄えて、和回路24に電力を供給するものである。電源保持部22−2は、接続している通信ケーブルが異なるのみであり、基本的には、電源保持部22−1と同一の構成である。
【0037】
和回路24は、2系統の給電経路と接続しており、2系統のそれぞれの供給経路から供給される電力の電力和を、機器20に供給するものである。つまり、和回路24は、一方の系統の電源断監視部21−1及び電源保持部22−1と、他方の系統の電源断監視部21−2及び電源保持部22−2と、電源断通知部23と接続しており、電源断監視部21−1及び電源保持部22−1と、電源断監視部21−2及び電源保持部22−2と、電源断通知部23とからの電力和を出力する。これにより、給電経路が切り替わったときでも、和回路24が電力和を出力するため、機器20に安定して電源電力を出力できる。
【0038】
電源断通知部23は、電源断監視部21−1及び電源断監視部21−2と、通信ケーブル31及び通信ケーブル32と接続している。電源断通知部23は、電源断監視部21−1又は電源断監視部21−2から異常検知信号を取得すると、給電装置1に異常を通知するために、現在待機状態にある給電経路の通信ケーブルに、電源断通知パケットを送信するものである。
【0039】
(A−2)第1の実施形態の動作
次に、第1の実施形態に係る給電システム5におけるPoE給電の動作を、
図1を参照して詳細に説明する。
【0040】
(A−2−1)給電部(0)11−1が正常に給電している場合
まず、給電部11−1が通信ケーブル31を経由して、受電装置2に電力501を供給する。このとき、給電装置1では、給電経路切替制御部12は、給電部11−1に対して給電を指示しており、給電部11−2に対しては給電停止を指示している。つまり、給電部11−1のみが通信ケーブル31を介して通電しており、給電部11−2は待機状態にある。
【0041】
受電装置2では、通信ケーブル31を通じて供給される電力501が、電源断監視部21−1及び電源保持部22−1に供給され、電源断監視部21−1及び電源保持部22−1からの電力が和回路24に供給される。なお、電源断通知部23も通信ケーブル31に接続していることから、電源断通知部23にも電力が供給される。従って、電源断通知部23を介する電力も、和回路24に供給される。
【0042】
通信ケーブル31を介した給電が正常になされている間、電源保持部22−1は、通信ケーブル31を介して電力501が供給されている。このとき、電源保持部22−1は供給される電力を蓄える。
【0043】
また、和回路24では、2系統の両方の給電経路からの電力を受けており、それらの電力和を、機器20内部に出力している。
【0044】
ここで、電源断監視部21−1では、通信ケーブル31を通じて供給される受信電力値を監視している。例えば受信電力値が規定値以下となるか否かを監視している。なお、例えば受信電力値が規定値を超えている等のように、給電が正常に行なわれている場合、電源断監視部21−1は、電源断通知部23への信号通知は行なわない。
【0045】
(A−2−2)給電部(0)11−1の給電中に異常が発生した場合の給電経路切替処理
給電部11−1が通信ケーブル31を経由して受電装置2に電力を供給している。受電装置2において、電源断監視部21−1は、受信電力値が規定値以下となる等のように異常を検出すると、電源断監視部21−1は、電源断通知部23に対して異常検出信号502を通知する。
【0046】
電源断通知部23において、異常検出信号502が通知されると、電力501が供給されている系統とは別の系統の通信ケーブルに、電源断通知パケット503が送信される。
【0047】
つまり、この例の場合、電源断通知部23は、通信ケーブル31を通じて給電されているため、別の系統の通信ケーブル32に、電源断通知パケット503を送信する。これは、電力供給の異常の原因は種々考えられるが、例えば、通信ケーブルの異常等も考えられる。このような場合に、給電している系統の通信ケーブル(この例の場合、通信ケーブル31)に、電源断通知パケット503を送信しても、給電装置1側に電源断を通知することができず、給電経路の切り替えを行うことができない場合も生じ得る。従って、第1の実施形態では、電源断通知部23は、別の系統の通信ケーブル32に、電源断通知パケット503を送信する。
【0048】
給電装置1では、通信ケーブル32から電源断通知パケット503が給電経路切替制御部12に受信されると、給電経路切替制御部12は、給電部11−2に対して給電を開始する切替信号を通知し、給電部11−1に対して給電を停止する切替信号を通知する。これにより、給電部11−1からの給電が停止し、給電部11−2による通信ケーブル32を介した給電が開始する。
【0049】
また、受電装置2における異常検出時から給電部11−2による給電経路の切り替えまでの間、受電装置2では、通信ケーブル31からの電力501を蓄電している電源保持部22−1が、蓄電した電力を和回路24に出力する。つまり、例えばコンデンサ等の蓄電機能を有する電源保持部22−1が、異常検出時から給電経路の切り替えまでの間に、蓄電した電力を和回路24に出力することで、電源断を回避することができる。
【0050】
ここで、電源断通知部23が送信する電源断通知パケットは、データ不要のパケット長の短い短パケットとすることができる。例えばイーサネット(登録商標)での1Gbps通信だと1μs以下で、電源断通知部23は電源断通知パケットを送信することができる。
【0051】
そのため、電源断通知パケットの送受信や給電経路の切替制御に係る時間を考慮しても、コンデンサ等の蓄電機能を有する電源保持部22−1が電力を保持(蓄電)する時間は数ms〜数十ms程度とすることが望ましい。
【0052】
また、給電経路の切り替えがなされ、給電部11−2による通信ケーブル32を介した電力が電源断監視部21−2及び電源保持部22−2を通して和回路24に出力される。これにより、和回路24は、切り替え前の電源保持部22−1からの電力と、切り替え後の電源断監視部21−2及び電源保持部22−2からの電力と、電源断通知部23からの電力との電力和を出力する。これにより、異常検出時から給電経路の切り替えまでの間の受電装置2における電源断を回避できる。
【0053】
なお、給電経路が切り替えられるが、切り替え前の電源保持部22−1に保持される電力が蓄電されている間は、電源保持部22−1と、電源保持部22−2の両系統から和回路24に電力が出力される。
【0054】
(A−2−3)給電部(1)11−2で正常に給電している場合
給電部11−2が通信ケーブル32を経由して、受電装置2に電力511を供給する。このとき、給電装置1では、給電経路切替制御部12は、給電部11−1に対して給電停止を指示しており、給電部11−2に対しては給電開始を指示している。つまり、給電部11−2のみが通信ケーブル31を介して通電しており、給電部11−1は待機状態にある。
【0055】
受電装置2では、通信ケーブル32を通じて供給される電力511が、電源断監視部21−2及び電源保持部22−2に供給され、電源断監視部21−2及び電源保持部22−2からの電力が和回路24に供給される。なお、電源断通知部23も通信ケーブル32に接続していることから、電源断通知部23にも電力が供給される。従って、電源断通知部23を介する電力も、和回路24に供給される。
【0056】
通信ケーブル32を介した給電が正常になされている間、電源保持部22−2は、通信ケーブル32を介して電力511が供給されている。このとき、電源保持部22−2は供給される電力を蓄える。
【0057】
また、和回路24では、2系統の両方の給電経路からの電力を受けており、それらの電力和を、機器20内部に出力している。
【0058】
ここで、電源断監視部21−2では、通信ケーブル32を通じて供給される受信電力値を監視している。例えば受信電力値が規定値以下となるか否かを監視している。なお、例えば受信電力値が規定値を超えている等のように、給電が正常に行なわれている場合、電源断監視部21−2は、電源断通知部23への信号通知は行なわない。
【0059】
(A−2−4)給電部(1)11−2の給電中に異常が発生した場合の給電経路切替処理
給電部11−2が通信ケーブル32を経由して受電装置2に電力511を供給している。受電装置2において、電源断監視部21−2は、受信電力値が規定値以下となる等のように異常を検出すると、電源断監視部21−2は、電源断通知部23に対して異常検出信号512を通知する。
【0060】
電源断通知部5において、異常検出信号512が通知されると、電力511が供給されている系統とは別の系統の通信ケーブルに、電源断通知パケット513が送信される。
【0061】
つまり、この例の場合、電源断通知部5は、通信ケーブル32を通じて給電されているため、別の系統の通信ケーブル31に、電源断通知パケット513を送信する。この場合も、電源断通知部23は、別の系統の通信ケーブル31に、電源断通知パケット513を送信する。
【0062】
給電装置1では、通信ケーブル31から電源断通知パケット513が給電経路切替制御部12に受信されると、給電経路切替制御部12は、給電部11−1に対して給電を開始する切替信号を通知し、給電部11−2に対して給電を停止する切替信号を通知する。これにより、給電部11−2からの給電が停止し、給電部11−1による通信ケーブル31を介した給電が開始する。
【0063】
ここで、受電装置2における異常検出時から給電部11−1による給電経路の切り替えまでの間、受電装置2では、通信ケーブル32からの電力を蓄電している電源保持部22−2が、蓄電した電力を和回路24に出力する。つまり、例えばコンデンサ等の蓄電機能を有する電源保持部22−2が、異常検出時から給電経路の切り替えまでの間に、蓄電した電力を和回路24に出力することで、電源断を回避することができる。
【0064】
また、給電経路の切り替えがなされ、給電部11−1による通信ケーブル31を介した電力が電源断監視部21−1及び電源保持部22−1を通して和回路24に出力される。これにより、和回路24は、切り替え前の電源保持部22−2からの電力と、切り替え後の電源断監視部21−1及び電源保持部22−1からの電力と、電源断通知部23からの電力との電力和を出力する。これにより、異常検出時から給電経路の切り替えまでの間の受電装置2における電源断を回避できる。
【0065】
なお、給電経路が切り替えられるが、切り替え前の電源保持部22−2に保持される電力が蓄電されている間は、電源保持部22−2と、電源保持部22−1の両系統から和回路24に電力が出力される。
【0066】
(A−3)第1の実施形態の効果
以上のように、第1の実施形態によれば、電力供給は給電部による1系統が電力異常になった場合、別系統で接続されている通信ケーブルを経由して給電装置に通知することで、自動的に給電元を切り替えることができる。
【0067】
また、第1の実施形態によれば、給電元を切り替える際、受電装置側において一時的に蓄電機能素子で電力保持するため、給電切替を無瞬断で実施することができる。
【0068】
さらに、第1の実施形態によれば、電力供給と通信線は別であるため、通信に影響を及ぼさず、電力異常を給電装置に通知することが可能である。
【0069】
また、第1の実施形態によれば、供給中の通信ケーブルとは別系統の通信ケーブルで異常を通知し、給電元を切り替えるため、電力だけではなく通信ケーブル抜けや切断などの異常時も切替が可能である。
【0070】
(B)第2の実施形態
次に、本発明に係る受電装置、給電システム及び給電方法の第2の実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0071】
第2の実施形態は、電力供給を通信線と共用する通信ケーブルを用いた場合の給電システムに、本発明を適用する場合を例示する。
【0072】
(B−1)第2の実施形態の構成
図3は、第2の実施形態に係る給電装置1及び受電装置2の接続構成と内部構成を示す構成図である。なお、
図3では、2系統のPoE給電の二重化を構成しており、運用状態にある給電経路を「0(0系)」、待機状態にある給電経路を「1(1系)」として表わしている。
【0073】
図3において、給電装置1は、給電部11−1及び11−2、給電経路切替制御部12、通信部13−1及び通信部13−2を有する。また、受電装置2は、電源断監視部21−1及び21−2、電源保持部22−1及び22−2、電源断通知部23、和回路24、通信部25−1及び25−2、電源断通知パケット挿入部26−1及び26−2を有する。
【0074】
第2の実施形態が第1の実施形態と異なる点は、電源断通知パケット503又は513を、通常の通信と同じように通信ケーブル31又は32を使用して送受信する点にある。
【0075】
受電装置2は、第1の実施形態に係る
図1の構成要素に加えて、電源断通知パケット挿入部26−1及び26−2と、通信部25−1及び25−2とを有する。
【0076】
電源断通知パケット挿入部26−1は、電源断通知部23から電源断通知パケット513を取得し、通常の通信と送信タイミングを調整して、取得した電源断通知パケット513を通信部25−1に与える。
【0077】
通信部25−1は、電源断通知パケット挿入部26−1から取得した電源断通知パケット513を、通信装置52に与える。つまり、受電装置2の通信装置52は、給電装置1の通信装置51と通信することができるため、通信部25−1は、給電装置1の通信部13−1に電源断通知パケット513を送信することができる。
【0078】
電源断通知パケット挿入部26−2は、電源断通知部23から電源断通知パケット503を取得し、通常の通信と送信タイミングを調整して、取得した電源断通知パケット503を通信部25−2に与える。
【0079】
通信部25−2は、電源断通知パケット挿入部26−2から取得した電源断通知パケット503を、通信装置52に与える。この場合も、通信部25−2は、通信装置52を通じて、通常の通信により給電装置1の通信部13−2に電源断通知パケット503を送信することができる。
【0080】
給電装置1は、当該給電装置1の通信装置51との間でパケットの授受を行う通信部13−1及び通信部13−2を有する。
【0081】
ここで、給電装置1の通信部13−1と、受電装置2の通信部25−1とは、電力供給と同時に同じ通信ケーブル31と接続している。また、別系統である、給電装置1の通信部13−2と、受電装置2の通信部25−2とは、電力供給と同時に同じ通信ケーブル32と接続している。
【0082】
(B−2)第2の実施形態の動作
次に、第2の実施形態に係る給電システム5におけるPoE給電の動作を、
図3を参照して詳細に説明する。
【0083】
なお、給電部(0)11−1で正常に給電している場合の処理と、給電部(1)11−2で正常に給電している場合の処理とは、第1の実施形態と同様であるため、以下では詳細な説明を省略する。
【0084】
(B−2−1)給電部(0)11−1の給電中に異常が発生した場合の給電経路切替処理
給電部11−1は、通信ケーブル31を経由して受電装置2に電力を供給している。受電装置2において、電源断監視部21−1は、受信電力値が規定値以下となる等のように異常を検出すると、電源断監視部21−1は、電源断通知部23に対して異常検出信号502を通知する。
【0085】
異常検出信号502が通知されると、電源断通知部23は電源断通知パケット503を送信する。
【0086】
電源断通知パケット503が電源断通知パケット挿入部26−2に与えられると、電源断通知パケット挿入部26−2は、給電装置1との間の通常の通信と送信タイミングを調整して、電源断通知パケット503を通信部25−2に出力する。
【0087】
電源断通知パケット挿入部26−2は、電源断通知パケット503を取得した時点で、通常の通信に係るパケットがあるか否かを判断する。
【0088】
通常の通信に係るパケットがない場合には、電源断通知パケット挿入部26−2は、電源断通知パケット503を送信するようにする。また、通常の通信に係るパケットがある場合、電源断通知パケット送信部26−2は、通常の通信に係るパケットのパケット長を閾値を用いて判断し、その判断結果に応じて、電源断通知パケット503の送信タイミングを調整して送信する。
【0089】
より具体的に、電源断通知パケット挿入部26−2による送信タイミングの調整は、以下のいずれかを適用することができる。
【0090】
第1に、電源断通知パケット503の送信中に発生した通常の通信は、電源断通知パケット503の送信後に送信する。すなわち、電源断通知パケット挿入部26−2が電源断通知パケット503を取得した時点で、通常の通信を行っていない場合であって、且つ、その後に通常の送信パケットがあるときには、電源断通知パケット503を送信した後に、通常の通信パケットを送信する。
【0091】
第2に、通常の通信を細切れにし、通常の通信パケットの間に電源断通知パケット503を挿入する。つまり、通信装置52と通信装置51との間で通信する通常の通信パケット間に、電源断通知パケット503を送信するようにする。例えば、通常の通信パケットのパケット長が所定値を超えるなどのように、パケット長が長い場合に、そのパケット長を分割し、その分割したパケットの間に電源断通知パケット503を挿入するようにする。パケット長が所定値よりもパケット長の長いパケットを含む場合には、このように、通常のパケット間に電源断通知パケット503を挿入することで、電源断通知パケット503を迅速に給電装置1に通知することができる。
【0092】
第3に、通常の通信に係るパケット送信途中でも停止し、電源断通知パケット503を挿入後、通常の通信に係るパケットを再送する。通常の通信が行われていなければ、電源断通知パケット503の送信完了まで通常の通信送信を待機する。これにより、電源断通知パケット503の通常の通信に係るパケットの送信よりも優先して送信することができる。
【0093】
第4に、通常の通信に係る通信パケットのパケット長が所定値以下のパケット長の短いものであれば、当該通信パケットの送信完了後、電源断通知パケット503を送信する。パケット長が所定値を超える長いパケットでない場合、このようにして通常の通信パケット送信の送信完了後に、電源断通知パケット503を送信する。
【0094】
なお、通常の通信に係るパケットのパケット長を判断するための閾値は、電源保持部22−1により蓄電量に応じた時間に応じて決定することができる、つまり、異常検出時から給電経路の切り替えまでの間、電力を保持できる時間よりも短い時間で、電源断通知パケット503を給電装置1に送信できるようにする。
【0095】
電源断通知パケット503が給電装置1の給電経路切替制御部12に受信された後の給電経路の切り替え処理は、第1の実施形態と同様であるため、ここでの詳細な説明は省略する。
【0096】
(B−2−2)給電部(1)11−2の給電中に異常が発生した場合の給電経路切替処理
給電部11−2は、通信ケーブル32を経由して受電装置2に電力を供給している。受電装置2において、電源断監視部21−2は、受信電力値が規定値以下となる等のように異常を検出すると、電源断監視部21−2は、電源断通知部23に対して異常検出信号512を通知する。
【0097】
異常検出信号512が通知されると、電源断通知部23は電源断通知パケット513を送信する。
【0098】
電源断通知パケット513が電源断通知パケット挿入部26−1に与えられると、電源断通知パケット挿入部26−1は、給電装置1との間の通常の通信と送信タイミングを調整して、電源断通知パケット513を通信部25−1に出力する。
【0099】
電源断通知パケット挿入部26−1は、電源断通知パケット513を取得した時点で、通常の通信に係るパケットがあるか否かを判断する。
【0100】
通常の通信に係るパケットがない場合には、電源断通知パケット挿入部26−1は、電源断通知パケット513を送信するようにする。また、通常の通信に係るパケットがある場合、電源断通知パケット送信部26−1は、通常の通信に係るパケットのパケット長を閾値を用いて判断し、その判断結果に応じて、電源断通知パケット513の送信タイミングを調整して送信する。
【0101】
電源断通知パケット513が給電装置1の給電経路切替制御部12に受信された後の給電経路の切り替え処理は、第1の実施形態と同様であるため、ここでの詳細な説明は省略する。
【0102】
(B−3)第2の実施形態の効果
以上のように、第2の実施形態によれば、第1の実施形態で説明した効果に加えて、給電と通信を同じ通信ケーブルで実施することでケーブル数を減少させている。
【0103】
(C)他の実施形態
上述した第1及び第2の実施形態においても種々の変形実施形態を言及したが、本発明は、以下の変形実施形態にも適用できる。
【0104】
第1の実施形態、第2の実施形態において、PoE給電により電力給電を受ける装置で、かつ、PoEを2系統使用できる装置での給電の切替への適用を説明した。しかし、給電装置は、1台の装置である必要はなく、切替制御機能をもつことで複数台の給電装置とすることが可能である。例えば給電装置が2台以上の場合は、通信ケーブルの切替機構を受電装置の外部に設置することで、第1及び第2の実施形態と同様の効果を実現できる。