(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
所定のライセンスバンド及び非ライセンスバンドの周波数で無線通信可能な無線通信装置と、前記所定のライセンスバンド及び前記非ライセンスバンドの周波数で前記無線通信装置と無線通信可能な基地局と、を含む無線通信システムであって、
前記基地局は、
前記非ライセンスバンド内の周波数の使用状況を管理する制御部と、
前記所定のライセンスバンド内の周波数で、前記非ライセンスバンド内の周波数の使用状況を前記無線通信装置に通知する通知部と、
を備え、
前記無線通信装置は、
前記基地局から、前記所定のライセンスバンド内の周波数で、前記非ライセンスバンド内の周波数の使用状況を受信する受信部と、
前記非ライセンスバンド内の周波数の使用状況に基づいて、前記非ライセンスバンド内の使用されていない周波数を使用候補周波数として選択する制御部と、
前記非ライセンスバンドの前記使用候補周波数で、前記基地局に発信要求を送信する接続処理部と、
を備え、
前記無線通信装置の前記接続処理部は、
前記非ライセンスバンドの前記使用候補周波数を用いて、前記基地局に対して前記発信要求を送信するとともに、前記非ライセンスバンドの周波数で無線通信可能な他の基地局に対して前記使用候補周波数での無線信号の発信を禁止する発信不可要求を送信し、
前記使用候補周波数での無線信号の発信が停止された場合に、前記非ライセンスバンドの前記使用候補周波数を用いて前記他の基地局に対して前記使用候補周波数での発信禁止を解除する発信不可解除通知を送信する、
無線通信システム。
前記無線通信装置の前記接続処理部は、前記発信要求により無線信号の発信が開始された前記非ライセンスバンドの前記使用候補周波数について、該発信の停止を要求する発信停止要求を送信し、
前記基地局は、
前記発信停止要求を受信した場合に、前記無線通信装置以外に前記使用候補周波数での通信を行う無線通信装置が存在しない場合に、前記使用候補周波数での無線信号の発信の停止処理を行う発信制御部をさらに備える、
請求項1から5のいずれか一項に記載の無線通信システム。
所定のライセンスバンド及び非ライセンスバンドの周波数で無線通信可能な無線通信装置と、前記所定のライセンスバンド及び前記非ライセンスバンドの周波数で前記無線通信装置と無線通信可能な基地局と、を含む無線通信システムにおいて、
前記基地局が、
前記非ライセンスバンド内の周波数の使用状況を管理し、
前記所定のライセンスバンド内の周波数で、前記非ライセンスバンド内の周波数の使用状況を前記無線通信装置に通知し、
前記無線通信装置が、
前記基地局から、前記所定のライセンスバンド内の周波数で、前記非ライセンスバンド内の周波数の使用状況を受信し、
前記非ライセンスバンド内の周波数の使用状況に基づいて、前記非ライセンスバンド内の使用されていない周波数を使用候補周波数として選択し、
前記非ライセンスバンドの前記使用候補周波数で、前記基地局に発信要求を送信する、
無線通信方法であって、
前記無線通信装置が、
前記非ライセンスバンドの前記使用候補周波数を用いて、前記基地局に対して前記発信要求を送信するとともに、前記非ライセンスバンドの周波数で無線通信可能な他の基地局に対して前記使用候補周波数での無線信号の発信を禁止する発信不可要求を送信し、
前記使用候補周波数での無線信号の発信が停止された場合に、前記非ライセンスバンドの前記使用候補周波数を用いて前記他の基地局に対して前記使用候補周波数での発信禁
止を解除する発信不可解除通知を送信する、
無線通信方法。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態を説明する。以下の実施形態の構成は例示であり、本発明は実施形態の構成に限定されない。
【0017】
<第1実施形態>
図3は、第1実施形態に係る無線通信システム100のシステム構成の一例を示す図である。無線通信システム100は、UE 1と、UE 1が契約するキャリアの基地局であってUE 1が通信に用いているServing基地局2、UE 1が契約していないキャリアの基地局であってServing基地局2の近傍に位置する周辺基地局3とを含む。また、UE 1は、Serving基地局2と周辺基地局3との双方からの電波が届く場所に位置することとする。
【0018】
UE 1、Servin基地局2、周辺基地局3のいずれも非ライセンスバンドの周波数で通信可能であるとする。UE 1とServing基地局2とは、該当の通信キャリアに割り当てられた所定のライセンスバンド内の周波数で通信可能である。周辺基地局3は、例えば、Serving基地局2とは属する通信キャリアが異なるので、Serving基地局2とUE 1との通信で用いられる所定のライセンスバンド内の周波数を用いることができない。
【0019】
第1実施形態では、例えば、UE 1は、Serving基地局から非ライセンスバンドの使用状況を含むCapability情報を受信する。非ライセンスバンドを用いてCAを行う際に、UE 1は、Capability情報に基づいて、使用されていない非ライセンスバンド内の周波数から使用候補周波数を選択し、現在位置において電波をサーチしたり、各基地局に対して使用候補周波数の使用可否を問い合わせたりして、非ライセンスバンドの使用候補周波数における電波の干渉の有無を判断する。該使用候補周波数において電波の干渉がないことを判定した場合に、UE 1は、Serving基地局2に対して使用候補周波数で発信要求を送信する。
【0020】
例えば、Serving基地局2と周辺基地局3とは、互いに電波が届く範囲内に位置するとは限らず、互いの発する電波を感知できないことがある。Serving基地局2と周辺基地局3とが互いに電波の届く範囲内に位置していなくても、UE 1に双方から電波が届いている場合には、UE 1は、Serving基地局2と周辺基地局3とがそれぞれ発信する電波を感知するができる。そのため、UE 1が電波をサーチしたり、各基地局に対して使用候補周波数の使用可否を問い合わせたりすることによって、電波干渉をより精度良く検出することができ、非ライセンスバンドの周波数が使用される際の電波干渉を回避することができる。
【0021】
図4は、第1実施形態に係る無線通信システム100における処理のシーケンスの一例を示す図である。前提として、UE 1とServing基地局2との間では、ライセンスバンドの所定の周波数での通信が行われていることとする。
図4では、ライセンスバンドの周波数での通信は直線の矢印で示される。非ライセンスバンドの周波数での通信は破線の矢印で示される。
【0022】
S11では、Serving基地局2は、ライセンスバンドの所定の周波数で、ブロードキャストで、定期的にCapability情報をUE 1に通知する。Capability情報は、Serving基地局2の非ライセンスバンド内の使用可能な周波数帯域の情報と、非ライセンスバンドの周波数の使用状況の情報とを含む。Capability情報は、例えば、1秒間隔で通知される。
【0023】
S12では、UE 1は、Capability情報の受信を契機に、CA実施の可否を判定するCA実施判定処理(判定1)を行う。CA実施判定処理は、通信バッファに格納されているデータ量やUE 1の通信に用いられるアプリケーション属性に基づいて行われる。
【0024】
S13では、CA実施判定処理において、CAの実施が判定された場合には、UE 1は、非ライセンスバンド内の周波数から使用候補周波数を選択する非ライセンスバンド干渉判定処理(処理1)を行う。非ライセンスバンド干渉判定処理では、UE 1は、Capability情報に基づいて、非ライセンスバンド内の周波数から使用候補周波数を選択し、使用候補周波数についてセンシングを行い、他の基地局との干渉の有無を判定する。
【0025】
S14では、UE 1は、使用候補周波数での電波の干渉がない場合には、該使用候補周波数で使用要求を送信する。第1実施形態では、使用要求として、RACH(Random Access CHannel)トリガが用いられる。RACHトリガは、非ライセンスバンドの使用候補周波数で、ブロードバンドで送信される。ブロードバンドで送信されるため、RACHトリガは、Serving基地局2と周辺基地局3とに届く。
【0026】
S15では、RACHトリガを受信したServing基地局2が、RACHトリガによって要求された使用候補周波数での接続の可否を判定する非ライセンスバンド接続判定処理(判定2)を行う。
【0027】
S16では、RACHトリガを受信した周辺基地局3が、RACHトリガによって要求された非ライセンスバンドの使用候補周波での接続の可否を判定する非ライセンスバンド接続判定処理(判定3)を行う。
【0028】
S17では、Serving基地局2、周辺基地局3は、それぞれRACHトリガに対するOK応答又はNG応答を、非ライセンスバンドの使用候補周波数で送信し、UE 1は、それぞれのRACHトリガの応答を受信する。S18では、UE 1は、Serving基地局2、周辺基地局3からのRACHトリガの応答に基づいて、使用候補周波数での発信要求の送信の可否を判定する発信判定処理(判定4)を行う。発信判定処理では、受信したRACHトリガの応答の中にNG応答が含まれていなければ、非ライセンスバンドの使用候補周波数での発信要求の送信が判定される。
【0029】
S19では、UE 1は、非ライセンスバンドの使用候補周波数で、Serving基地局2に非ライセンス発信要求を送信する。
【0030】
S20では、非ライセンス発信要求を受信したServing基地局2は、非ライセンスバンドの使用候補周波数でリファレンス信号(RS)を発信し始め、非ライセンスバンドを用いたCAのサービスを開始する。
【0031】
S21では、UE 1が非ライセンスバンドを用いたCAを終了することを判定し、非ライセンスバンドの使用周波数で、非ライセンス停止要求を送信する。
【0032】
S22では、Serving基地局2は、非ライセンス停止要求を受信し、非ライセンスバンドの使用周波数での発信の停止を判定する非ライセンス停止判定処理(判定5)を行う。非ライセンス停止判定処理では、Serving基地局2は、UE 1の他に非ライセンスバンドの使用周波数を使用しているUE 1が存在しないことを確認する。
【0033】
S23では、UE 1の他に非ライセンスバンドの使用周波数を使用しているUE 1がいない場合には、Serving基地局2は、非ライセンスバンドの該使用周波数でのリファレンス信号(RS)の発信を停止する。S24では、Serving基地局2は、UE 1に対してOK応答を返す。
【0034】
<装置構成>
(UE)
図5は、UE 1のハードウェア構成の一例を示す図である。UE 1は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、携帯電話端末、ノート型PC(Personal Computer)等の携帯端末である。ただし、UE 1は、携帯端末に限られず、例えば、デスクトップ型PC等の据置型の端末であってもよい。
【0035】
UE 1は、ハードウェア構成要素として、CPU(Central Processing Unit)101、DSP(Digital Signal Processor)102、メモリ103、HDD(Hard Disk Drive)104、無線RF(Radio Frequency)部105A、105B、アンテナ106A、106Bを備える。
【0036】
無線RF部105A、105Bは、それぞれ、アンテナ106A、106Bと接続している。無線RF部105A、105Bは、アンテナ106A、106Bを通じて受信した無線信号を電気信号に変換してCPU 101に出力したり、CPU 101から入力される電気信号を無線信号に変換してアンテナ106A、106Bを通じて送信したりする。例えば、無線RF部105Aは、ライセンスバンドを用いるLTE(Long Term Evolution)等の無線通信方式に則った通信の処理を行う。例えば、無線RF部105Bは、非ライセンスバンドを用いるWi Fi等の無線通信方式に則った通信の処理を行う。
【0037】
DSP 102は、無線RF部105A、無線RF部105Bに対して入出力される電気信号のベースバンド処理を行う。より具体的には、DSP 102は、デジタルアナログ変換、デジタル信号の変調及び復調、符号化及び復号化等を行う。
【0038】
メモリ103は、例えば、RAM(Random Access Memory)である。メモリ103は、主記憶装置として、HDD 104に格納されているプログラムをロードする記憶領域および作業領域を提供したり、バッファとして用いられたりする記憶装置である。メモリ103は、揮発性の記憶装置である。
【0039】
HDD 104は、補助記憶装置として、OS(Operating System)、様々なプログラムや、各プログラムの実行に際してCPU 101が使用するデータを格納する。UE 1がスマートフォン等の携帯端末である場合には、HDD 104の代わりにフラッシュメモリが備えられてもよい。HDD 104は、例えば、CA実行プログラムを記憶する。CA実行プログラムは、非ライセンスバンドの周波数を用いるキャリアアグリゲーションを行うためのプログラムである。
【0040】
CPU 101は、HDD 105に保持されたOSや様々なアプリケーションプログラムをメモリ103にロードして実行することによって、様々な処理を実行する。CPU 101は、1つに限られず、複数備えられてもよい。
【0041】
なお、UE 1のハードウェア構成は、
図5に示されるものに限定されず、適宜、追加、置換、削除等の変更が可能である。例えば、UE 1は、
図5に示される構成に加えて、ディスプレイ、タッチパネル、スピーカ、マイクロフォン、カメラ等を備えていてもよい。UE 1は、「無線通信装置」の一例である。
【0042】
また、
図5に示される例では、ライセンスバンドと非ライセンスバンドとで、異なる無線RF部を備えるが、これに限られない。例えば、Voltage Controlled Oscillator(VCO)を用いて、周波数帯域を調整しながら1つの無線RF部でライセンスバンドと非ライセンスバンドとの信号を処理するようにしてもよい。
【0043】
図6は、UE 1の機能構成の一例を示す図である。UE 1は、機能構成として、アプリケーションソフトウェア処理部11、無線制御部12、非ライセンス無線制御部13、非ライセンス無線管理部14、RF部15A、15B、データ処理部16A、16B、RACH処理部17A、非ライセンスRACH処理部17Bを含む。
【0044】
RF部15A、データ処理部16A、RACH処理部17Aは、ライセンスバンドの周波数の信号を処理する機能構成である。RF部15B、データ処理部16B、RACH処理部17Bは、非ライセンスバンドの周波数の信号を処理する機能構成である。
【0045】
RF部15A、15Bは、それぞれ、無線信号と電気信号との変換を行う。RF部15A、15Bは、それぞれ、無線RF部107A、107Bに相当する。
【0046】
データ処理部16A、16B、RACH処理部17A、17Bは、DSP 102による処理によって達成される機能構成である。データ処理部16A、16Bは、それぞれ、ライセンスバンド、非ライセンスバンドの周波数で受信した電波から得られる電気信号からデータを取り出したり、データを電気信号に変換したりする。データ処理部16A、16Bは、それぞれ、アプリケーションの通信データについては、アプリケーションソフトウェア処理部11と入出力を行う。
【0047】
データ処理部16Aは、RF部15Aから入力される電気信号から、Capability情報を抽出し、抽出したCapability情報を非ライセンス無線制御部13に出力する。
【0048】
データ処理部16Bは、非ライセンス無線制御部13からの非ライセンス発信要求の入力を受け、該発信要求を電気信号に変換して、RF部15Bを通じて送信する。また、データ処理部16Bは、RF部15Bから入力される電気信号から非ライセンス発信要求の応答を抽出し、非ライセンス無線制御部13に出力する。データ処理部16Bは、「無線通信装置」の「接続処理部」の一例である。
【0049】
RACH処理部17A、非ライセンスRACH処理部17Bは、それぞれ、ライセンスバンド、非ライセンスバンドの周波数の受信電波から得られる電気信号から、無線フレーム内の所定位置に格納されるデータを取り出したり、無線フレームの所定位置にデータを格納して電気信号に変換したりする。
【0050】
非ライセンスRACH処理部17Bは、非ライセンス無線制御部13からの指示に従って、非ライセンス無線制御部13によって選択された使用候補周波数の情報を含むRACHトリガを作成し、RF部15Bを通じて送信する。また、非ライセンスRACH処理部17Bは、RF部15Bを通じて、RACHトリガの応答を受信し、RACHトリガの応答に含まれる情報を無線制御部13に出力する。非ライセンスRACH処理部17Bは、「無線通信装置」の「送信部」の一例である。
【0051】
無線制御部12は、CPU 101の、無線通信処理に係るOSのモジュールやミドルウェアの実行によって達成される機能構成である。無線制御部12は、ライセンスバンドの周波数での通信において、データ処理部16A、RACH処理部17A、データ処理部16Bを制御する。
【0052】
アプリケーションソフトウェア処理部11は、CPU 101の所定のアプリケーションの実行によって達成される機能構成である。アプリケーションが通信を行う場合には、アプリケーションソフトウェア処理部11は、データ処理部16A、データ処理部16Bとデータの入出力を行う。
【0053】
非ライセンス無線制御部13、非ライセンス無線管理部14は、CPU 101のCA実行プログラムの実行によって達成される機能構成である。非ライセンス無線管理部14は、データ処理部16Aの通信バッファ量、すなわち、ライセンスバンドの周波数での通信の処理負荷を監視する。非ライセンス無線制御部13から読み出し指示を受けると、非ライセンス無線管理部14は、データ処理部16Aの通信バッファ量を非ライセンス無線制御部13に出力する。
【0054】
非ライセンス無線制御部13は、CA実施判定処理、非ライセンスバンド干渉判定処理、発信判定処理を行う。非ライセンス無線制御部13は、データ処理部16AからCapability情報の入力を受けると、CA実施判定処理を開始する。CA実施判定処理では、非ライセンス無線制御部13は、非ライセンス無線管理部14からデータ処理部16Aの通信バッファ量を取得し、該通信バッファ量が所定の閾値より大きいか否かによって非ライセンスバンドの周波数を用いるCAの実施を判定する。
【0055】
なお、CA実施判定処理では、データ処理部16Aの通信バッファ量の代わりに、アプリケーション種別に基づいてCAの実施が判定されてもよい。アプリケーション種別に基づいて非ライセンスバンドの周波数を用いるCAの実施が判定される場合には、非ライセンス管理部14は、アプリケーションソフトウェア処理部11の実行アプリケーション種別を監視する。非ライセンス無線制御部13は、Capability情報の入力を受けると、非ライセンス無線管理部14からアプリケーション種別を取得し、予めCA実施を決められたアプリケーション種別であるか否かによって、非ライセンスバンドの周波数を用いるCAの実施を判定する。予めCA実施を決められたアプリケーション種別には、例えば、リアルタイム性が望まれるサービスのアプリケーションである。リアルタイム性が望まれるサービスには、例えば、音声通話サービス等がある。
【0056】
非ライセンス無線制御部13は、CA実施判定処理によって非ライセンスバンドの周波数を用いるCAの実施を判定すると、非ライセンスバンド干渉判定処理を行う。非ライセンスバンド干渉判定処理では、非ライセンス無線制御部13は、Capability情報に基づいて、非ライセンスバンドの周波数の中から使用候補周波数を決定する。非ライセンス無線制御部13は、非ライセンスバンドの使用候補周波数を決定すると、該使用候補周波数でのRACHトリガの発信を非ライセンスRACH処理部17Bに指示する。
【0057】
非ライセンス無線制御部13は、非ライセンス処理部17BからRACHトリガの応答の入力を受け付けると、発信判定処理を行う。発信判定処理では、非ライセンス無線制御部13は、例えば、次のランダムアクセスが発生するまでの間、受信するRACHトリガの応答を監視し、NG応答の有無によって、使用候補周波数での発信要求の送信を判定する。使用候補周波数での発信要求の送信を判定した場合には、非ライセンス無線制御部13は、Serving基地局2に対する非ライセンス発信要求をデータ処理部16に出力する。データ処理部16は、RF部15Bを通じて、使用候補周波数で、Serving基地局2に対する非ライセンス発信要求を送信する。
【0058】
また、非ライセンス無線制御部13は、例えば、アプリケーションからCAの停止指示が入力されると、非ライセンス停止要求をデータ処理部16Bに出力する。非ライセンス停止要求は、データ処理部16B、無線RF部15Bを通じて、非ライセンスバンドの使用周波数で、Serving基地局2に送信される。非ライセンス停止要求の送信の契機は、例えば、データ処理部16Aの通信バッファ量が所定の閾値以下になること、ユーザからの停止指示の入力、等である。非ライセンス無線制御部13は、「無線通信装置」の「制御部」の一例である。
【0059】
(基地局)
図7は、基地局のハードウェア構成の一例を示す図である。Serving基地局2と周辺基地局3とは、ほぼ同様の構成を有するので、特に区別しない場合には、基地局2として説明する。基地局2は、大型の基地局であっても、フェムトセルのような小型の基地局であってもよい。
【0060】
基地局2は、ハードウェア構成要素として、CPU 201、DSP 202、メモリ203、イーサネット(登録商標)インタフェース 204、無線RF部205A、205B、アンテナ206A、206Bを備える。CPU 201、DSP 202、メモリ203、無線RF部205A、205B、アンテナ206A、206Bの説明は、それぞれ、
図5のCPU 101、DSP 102、メモリ103、無線RF部105A、105B、アンテナ106A、106Bと同様であるため説明を省略する。
【0061】
無線RF部205A及びアンテナ206Aは、ライセンスバンドの周波数の電波に係る処理を行う。無線RF部205A及びアンテナ206Aは、非ライセンスバンドの周波数の電波に係る処理を行う。
【0062】
イーサネットインタフェース204は、例えば、上位装置へ接続するネットワークとのデータ入出力のためのインタフェースである。
【0063】
メモリ203は、OSや基地局用CA実行プログラムを格納している。基地局用CA実行プログラムは、非ライセンスバンドを用いるCAを実施するためのプログラムである。
【0064】
なお、基地局2のハードウェア構成は、
図7に示されるものに限定されず、適宜、追加、置換、削除等の変更が可能である。例えば、基地局2は、
図7に示される構成に加えて、HDD等の補助記憶装置を備えていてもよい。Serving基地局2は、「基地局」の一例である。周辺基地局3は、「他の基地局」の一例である。
【0065】
図8は、基地局2の機能構成の一例を示す図である。基地局2は、機能構成として、データ転送部21、無線制御部22、非ライセンス無線制御部23、非ライセンス無線管理部24、RF部25A、25B、データ処理部26A、26B、RACH処理部27A、非ライセンスRACH処理部27Bを含む。無線制御部22、RF部25A、25B、データ処理部26A、26B、RACH処理部27A、非ライセンスRACH処理部27Bについては、
図6の無線制御部12、RF部15A、15B、データ処理部16A、16B、RACH処理部17A、非ライセンスRACH処理部17Bと重複するため説明は省略する。なお、非ライセンス無線管理部24は、第1実施形態では動作しないため、第1実施形態での説明は省略する。
【0066】
データ処理部26Aは、非ライセンス無線制御部23からCapability情報の入力を受け付け、電気信号に変換してRF部25Aを通じて送信する。非ライセンスRACH処理部27Bは、RF部25Bから入力される電気信号からRACHトリガを抽出し、非ライセンス無線制御部23に出力する。また、非ライセンスRACH処理部27Bは、非ライセンス無線制御部23からRACHトリガに対する応答の指示を受けて、該応答を作成し、RF部25Bを通じて送信する。非ライセンスRACH処理部27Bは、「基地局」の「受信部」の一例である。データ処理部26Aは、「基地局」の「通知部」の一例である。
【0067】
データ処理部26Bは、RF部25Bから入力される電気信号から非ライセンス発信要求又は非ライセンス停止要求を抽出し、非ライセンス無線制御部23に出力する。また、データ処理部26Bは、非ライセンス無線制御部23から非ライセンス発信要求又は非ライセンス停止要求に対する応答の送信指示を受け付け、該応答を生成し、RF部25Bを通じて送信する。データ処理部26Bは、「基地局」の「応答送信部」の一例である。
【0068】
非ライセンス無線制御部23は、所定の周期で定期的にCapability情報を生成し、データ処理部26Aに出力する。Capability情報の生成間隔は、例えば、1秒である。また、非ライセンス無線制御部23は、Capability情報に含まれる情報をメモリ203の記憶領域に保持している。
【0069】
UE 1からの非ライセンス発信要求の受信によって、該非ライセンス発信要求を受信した非ライセンスバンドの周波数で発信が開始される場合に、非ライセンス無線制御部23は、該周波数の使用状況をメモリ203内のCapability情報に含まれる情報に反映させる。また、UE 1からの非ライセンス停止要求の受信によって、該非ライセンス発信停止を受信した非ライセンスバンドの周波数で発信が停止された場合に、非ライセンス無線制御部23は、該周波数の使用状況をメモリ203内のCapability情報に含まれる情報に反映させる。
【0070】
非ライセンス無線制御部23は、Capability情報を定期的に送信することに加えて、Capability情報に含まれる情報が更新されたことを契機にCapability情報を送信してもよい。
【0071】
非ライセンス無線制御部32は、非ライセンスバンド接続判定処理、非ライセンスバンド接続停止処理を行う。
【0072】
非ライセンス無線制御部23は、非ライセンスRACH処理部27BからRACHトリガの入力を受け付け、非ライセンスバンド接続判定処理を行う。例えば、RACHトリガには、RACHトリガの送信元であるUE 1が接続する基地局、すなわち、Serving基地局2の基地局IDが含まれている。非ライセンス無線制御部23は、RACHトリガに含まれる、UE 1が接続する基地局の基地局IDによって、自局が該UE 1に対してServing基地局であるか、周辺基地局であるかを判定する。RACHトリガのデータ形式については後述される。
【0073】
自局がRACHトリガの送信元であるUE 1に対してServing基地局であると判定した場合には、非ライセンス無線制御部23は、RACHトリガの使用要求対象の周波数以外の非ライセンスバンドの周波数が使用手続き中であるか否かによって、使用可否を判定する。非ライセンス無線制御部23は、判定結果を含むRACHトリガの応答の送信指示を非ライセンスRACH処理部27Bに出力する。
【0074】
自局がRACHトリガの送信元であるUE 1に対して周辺基地局3であると判定した場合には、非ライセンス無線制御部23は、RACHトリガの使用要求対象の非ライセンスバンドの周波数が使用手続き中であるか否かによって、使用可否を判定する。非ライセンス無線制御部23は、判定結果を含むRACHトリガの応答の送信指示を非ライセンスRACH処理部27Bに出力する。
【0075】
非ライセンス無線制御部23は、データ処理部26Bから非ライセンス発信要求の入力を受け付けると、該非ライセンス発信要求の受信周波数でRS信号の発信を開始し、CAサービスを開始する。また、非ライセンス無線制御部23は、発信を開始した非ライセンスバンドの周波数の使用状況をCapability情報に反映する。
【0076】
非ライセンス無線制御部23は、データ処理部26Bから非ライセンス停止要求を受け付けると、非ライセンスバンド接続停止処理を行う。非ライセンスバンド接続停止処理では、非ライセンス無線制御部23は、非ライセンス停止要求の送信元のUE 1以外に停止要求対象の非ライセンスバンドの周波数を用いるUE 1の有無に応じて、該周波数での発信停止を判定する。発信停止を判定した場合には、非ライセンス無線制御部23は、該周波数での発信を停止する。非ライセンス無線制御部23は、判定結果又は停止処理結果を含む非ライセンス停止要求の応答の送信指示をデータ処理部26Bに出力する。また、非ライセンス無線制御部23は、発信を停止した非ライセンスバンドの周波数の使用状況をCapability情報に反映する。非ライセンス無線制御部23は、「基地局」の「制御部」、「判定部」、「発信制御部」の一例である。
【0077】
<やり取りされる情報>
図9は、Capability情報に含まれる情報の一例を示す図である。Capablity情報には、例えば、送信元の情報としてServing基地局2の基地局ID、非ライセンスバンド内の発信可能な周波数の情報、自局での非ライセンスバンド内の周波数の使用状況の情報が含まれる。
【0078】
非ライセンスバンド内の発信可能な周波数は、国ごと、地域ごとに決められている。例えば、日本では、省令により非ライセンスバンドの屋外での使用が禁止されているが、非ライセンスバンドの所定の周波数については屋外での使用が認められている。UE 1は、非ライセンスバンド内の周波数の情報を有しているが、そのうちいずれの周波数が使用可能であるのかについての情報を有していない。そのため、Capability情報によって非ライセンスバンド内の発信可能な周波数をUE 1に通知する。
【0079】
例えば、非ライセンスバンド内の発信可能な周波数の情報、非ライセンスバンド内の周波数の使用状況の情報は、
図9に示されるような表形式でCapablity情報に格納される。非ライセンスバンド内の周波数の使用状況(表中「発信」)が、いずれの周波数についても×である場合に、Serving基地局2で非ライセンスバンドが使用されていないことが示される。
【0080】
Capability情報は、Serving基地局2から、ライセンスバンド内の現在通信に用いられている周波数でブロードキャストで送信される。なお、
図9に示されるCapability情報は一例であって、Capability情報に含まれる情報は、
図9に示される例のものに限定されない。
【0081】
図10は、RACHトリガに含まれる情報の一例を示す図である。RACHトリガには、送信元の情報としてUE 1のID、接続する基地局ID、接続要求に関する制御情報が含まれる。RACHトリガは、「使用要求」の一例である。
【0082】
UE 1のIDには、例えば、端末に固有に割り当てられる識別番号である、IMSI(International Mobile Subscriber Identity)、P−TMSI(Packet-Temporary MSI)等のいずれかが用いられる。接続する基地局IDは、UE 1のServing基地局の基地局IDである。接続要求に関する制御情報には、例えば、UE 1の能力情報が含まれる。UE 1の能力情報は、例えば、NAS(Non-Access-Stratum) UE identifierとしてコアネットワーク側に接続するために必要な端末情報が含まれる。
【0083】
RACHトリガは、UE 1によって選択された非ライセンスバンドの使用候補周波数で、すなわち、RACHトリガの使用要求対象の周波数で、ブロードキャストで、送信される。RACHトリガは、ライセンスバンドで従来から用いられるRACH信号と同様に、無線フレーム内の端末と基地局との間で予め決められたRACH領域のタイムスロット、周波数スロット、符号スロットを用いて行われる。
【0084】
ランダムアクセスチャネル(RACH)は、個別無線リンクが存在しない場合にデータ、制御情報の伝送用に使用されるアップリンク(UL)のトランスポートチャネルである。例えば、
図10に示される例のRACHトリガに含まれるUE 1のID、接続する基地局ID、接続要求に関する制御情報は、RACH領域内のRACHメッセージ部のデータ部分に格納される。
【0085】
なお、RACHトリガを送信するための無線フレーム内の領域(タイムスロット、周波数スロット、符号スロット)は、予め端末と基地局間で決められていなくてもよい。予め端末と基地局間で決められている領域を用いてRACHトリガを送信する場合には、周波数スロット等が予め決められているので、受信側の基地局は、受信したRACHトリガから使用要求対象の周波数(無線フレームの中心周波数)を推定することが可能である。
【0086】
しかしながら、無線フレーム内のRACHトリガの送信に用いる領域が、端末と基地局間で予め決められていない場合には、受信側の基地局は、受信したRACHトリガから使用要求対象の周波数(無線フレームの中心周波数)を推定することができなくなる。そのため、無線フレーム内のRACHトリガの送信に用いる領域が、端末と基地局間で予め決められていない場合には、UE 1は、RACHトリガに使用要求対象の周波数(使用候補周波数)の情報を含める。なお、
図10に示されるRACHトリガに含まれる情報は一例であって、
図10に示される例のものに限定されない。
【0087】
図11は、RACHトリガ応答に含まれる情報の一例を示す図である。RACHトリガ応答には、宛先の情報としてUE ID、送信元の情報として基地局ID、判定結果が含まれる。
【0088】
判定結果は、送信元である基地局における非ライセンスバンド接続判定処理の判定結果である。判定結果には、OK又はNGのいずれかが含まれる。判定結果にOKが含まれるRACHトリガ応答を、以降、OK応答と称する。判定結果にNGが含まれるRACHトリガ応答を、以降、NG応答と称する。
【0089】
RACHトリガ応答は、基地局2からRACHトリガの送信元であるUE 1へ、RACHトリガの使用要求対象の非ライセンスバンドの周波数(使用候補周波数)でユニキャストで送信される。なお、
図11に示されるRACHトリガ応答に含まれる情報は一例であって、
図11に示される例のものに限定されない。
【0090】
<処理の流れ>
図12は、UE 1によって実行されるCA実施判定処理のフローチャートの一例である。CA実施判定処理は、
図4中のS12の「判定1」に相当する処理である。
図12に示される処理は、UE 1がCapability情報を受信すると開始される。以降、UE 1において実行される処理のフローチャートの説明では、非ライセンス無線制御部13を主体として説明するが、その実体はCPU 101である。
【0091】
OP1では、非ライセンス無線制御部13は、データ処理部16Aの通信バッファ量が所定の閾値Aより大きいか否かを判定する。データ処理部16Aの通信バッファ量が所定の閾値Aより多い場合には(OP1:YES)、処理がOP2に進む。データ処理部16Aの通信バッファ量が所定の閾値A以下の場合には(OP1:NO)、処理がOP3に進む。
【0092】
OP2では、データ処理部16Aの通信バッファ量が所定の閾値Aより大きいので、非ライセンス無線制御部13は、非ライセンスバンドを用いるCAの実行を判定する。その後、
図12に示される処理が終了する。
【0093】
OP3では、データ処理部16Aの通信バッファ量が所定の閾値A以下であるので、非ライセンス無線制御部13は、非ライセンスバンドを用いるCAを実行しないことを判定する。
【0094】
なお、CA実施判定処理が、データ処理部16Aの通信バッファ量ではなく、通信アプリケーションの種別に基づいて行われる場合には、OP1において、非ライセンス無線制御部13は、通信アプリケーション種別が所定のアプリケーション種別であるか否かを判定する。通信アプリケーション種別が所定のアプリケーション種別である場合には、処理がOP2に進む。通信アプリケーション種別が所定のアプリケーション種別でない場合には、処理がOP3に進む。
【0095】
図13は、UE 1によって実行される非ライセンスバンド干渉判定処理のフローチャートの一例である。非ライセンスバンド干渉判定処理は、
図4中のS13の「処理1」に相当する処理である。
図13に示される処理は、CA実施判定処理によって、非ライセンスバンドを用いるCAの実施が判定された場合に開始される。
【0096】
OP11では、非ライセンス無線制御部13は、Serving基地局2のCapability情報を確認する。次に処理がOP12に進む。
【0097】
OP12では、非ライセンス無線制御部13は、Serving基地局2は非ライセンスバンドのいずれかの周波数でRS信号を発信中であるか否かを判定する。この判定は、例えば、
図9に示されるCapability情報の場合には、非ライセンスバンドの周波数の「発信」の項がいずれも×であるか否かを判定することによって行われる。Serving基地局2が非ライセンスバンドのいずれかの周波数でRS信号を発信中である場合には(OP12:YES)、処理がOP13に進む。Serving基地局2がいずれの非ライセンスバンドの周波数でもRS信号を発信していない場合には(OP12:NO)、処理がOP14に進む。
【0098】
OP13では、Serving基地局2が非ライセンスバンドのいずれかの周波数でRS信号を発信中であるので、非ライセンス無線制御部13は、該発信中の非ライセンスバンドの周波数を使用することを決定する。その後、
図13に示される処理が終了する。発信中の非ライセンスバンドの周波数を使用する場合には、干渉の有無等を判定しなくともよいので、ライセンス無線制御部13は、CAを開始する。
【0099】
OP14以降は、Serving基地局2がいずれの非ライセンスバンドの周波数でもRS信号を発信していない場合の、CAに用いる非ライセンスバンド内の使用候補周波数を選択する処理である。
【0100】
OP14では、非ライセンス無線制御部13は、Capability情報で発信可能とされる非ライセンスバンド内の周波数の中から、最も低い周波数を使用候補周波数として選択する。次に処理がOP15に進む。
【0101】
OP15では、非ライセンス無線制御部13は、使用候補周波数についてセンシングを行う。非ライセンスバンドのチャネルのセンシングは、データ処理部16Bによって行われ、非ライセンス無線制御部13は、センシング結果を受信する。使用候補周波数で電波を発信する基地局がUE 1の周辺に存在する場合には、センシングにより、該使用候補周波数で受信電波が検知される。使用候補周波数で電波を発信する基地局がUE 1の周辺に存在しない場合には、センシングが行われる所定期間中、該使用候補周波数で受信電波は検知されない。次に処理がOP16に進む。
【0102】
OP16では、非ライセンス無線制御部13は、周辺基地局3が使用候補周波数で発信中であるか否かを判定する。この判定は、OP15のセンシング結果に基づいて行われる。使用候補周波数で発信中の周辺基地局3が存在する場合には(OP16:YES)、処理がOP18に進む。使用候補周波数で発信中の周辺基地局3が存在しない場合には(OP16:NO)、処理がOP17に進む。
【0103】
OP17では、使用候補周波数で発信中の周辺基地局3が存在していないので、非ライセンス無線制御部13は、使用候補周波数でRACHトリガを送信することを非ライセンスRACH処理部17Bに指示する。その後、非ライセンスRACH処理部17BからRACHトリガが送出される。その後、
図13に示される処理が終了する。
【0104】
OP18では、使用候補周波数で発信中の周辺基地局3が存在しており、使用候補周波数で発信した場合には干渉が発生するので、非ライセンス無線制御部13は、非ライセンスバンド内の発信可能な周波数の中から、現在の使用候補周波数の次に低い周波数を新たに使用候補周波数として選択する。その後、新たな使用候補周波数ルについて、OP15から処理が繰り返し行われる。
【0105】
なお、
図13に示される例では、使用候補周波数として、非ライセンスバンド内の使用可能な周波数の中から、低い周波数から選択されるが、これに限られず、例えば、高い周波数から選択されてもよいし、ランダムに選択されてもよい。
【0106】
図14は、Serving基地局2によって実行される非ライセンスバンド接続判定処理のフローチャートの一例である。非ライセンスバンド接続判定処理は、
図4におけるS15の「判定2」の処理に相当する。
図14に示される処理は、Serving基地局2がUE 1からのRACHトリガを受信すると開始される。以降、基地局2において実行される処理のフローチャートの説明では、非ライセンス無線制御部23を主体として説明するが、その実体はCPU 201である。なお、RACHトリガの送信元であるUE 1に対して自局がServing基地局であるか周辺基地局であるかは、RACHトリガに含まれる接続する基地局IDを参照することによって判定される(
図10参照)。
【0107】
OP21では、非ライセンス無線制御部23は、RACHトリガの使用要求対象の周波数、すなわち、使用候補周波数以外の周波数について使用手続き中であるか否かを判定する。RACHトリガは、UE 1の非ライセンスバンド干渉判定処理(
図13参照)によって選択された使用候補周波数で送信される。したがって、使用候補周波数は、RACHトリガの受信周波数から取得される。又は、RACHトリガに使用候補周波数の情報が含まれている場合には、RACHトリガに含まれる情報から使用候補周波数が取得される。
【0108】
使用候補周波数以外の非ライセンスバンドの周波数について使用手続き中である場合には(OP21:YES)、処理がOP22に進む。使用候補周波数以外の非ライセンスバンドの周波数について使用手続きが行われていない場合には(OP21:NO)、処理がOP23に進む。
【0109】
OP22では、使用候補周波数以外の非ライセンスバンドの周波数について使用手続き中であるので、非ライセンス無線制御部23は、使用候補周波数の使用要求に対して使用拒否を判定する。例えば、非ライセンス無線処理部23は、1つのRACHトリガの処理中に別のRACHトリガを受信した場合には、先に受信したRACHトリガの処理を優先し、後から受信したRACHトリガについては処理しないためである。
【0110】
非ライセンス無線制御部23は、NG応答のRACHトリガ応答の送信を非ライセンスRACH処理部27Bに指示する。その後、非ライセンスRACH処理部27Bによって、RACHトリガ応答が送信され、
図14に示される処理が終了する。
【0111】
OP23では、使用候補周波数以外の非ライセンスバンドの周波数について使用手続き中ではないので、非ライセンス無線制御部23は、使用候補周波数の使用要求に対して使用許可を判定する。非ライセンス無線制御部23は、OK応答のRACHトリガ応答の送信を、非ライセンスRACH処理部27Bに指示するする。その後、非ライセンスRACH処理部27Bによって、RACHトリガ応答が送信され、
図14に示される処理が終了する。
【0112】
図15は、周辺基地局3によって実行される非ライセンスバンド接続判定処理のフローチャートの一例である。
図15に示される非ライセンスバンド接続判定処理は、
図4におけるS16の「判定3」の処理に相当する。
図15に示される処理は、基地局がRACHトリガを受信し、該RACHトリガに含まれる接続する基地局IDが自局のものでなく、RACHトリガの送信元のUE 1に対して自局が周辺基地局であることを判定すると開始される。
【0113】
OP31では、非ライセンス無線制御部23は、RACHトリガの使用要求対象の非ライセンスバンドの周波数、すなわち、使用候補周波数について使用手続き中であるか否かを判定する。使用候補周波数について使用手続き中である場合には(OP31:YES)、処理がOP32に進む。使用候補周波数について使用手続き中でない場合には(OP31:NO)、処理がOP33に進む。
【0114】
OP32では、使用候補周波数について使用手続き中であるので、非ライセンス無線制御部23は、使用候補周波数の使用要求に対して使用不可を判定し、NG応答のRACHトリガ応答の送信を、非ライセンスRACH処理部27Bに指示するする。その後、非ライセンスRACH処理部27Bによって、RACHトリガ応答が送信され、
図15に示される処理が終了する。
【0115】
OP33では、使用候補周波数について利用手続き中でないので、非ライセンス無線制御部23は、使用候補周波数の使用要求に対して使用許可を判定し、OK応答のRACHトリガ応答の送信を、非ライセンスRACH処理部27Bに指示するする。その後、非ライセンスRACH処理部27Bによって、RACHトリガ応答が送信され、
図15に示される処理が終了する。
【0116】
図16は、UE 1によって実行される発信判定処理のフローチャートの一例である。発信判定処理は、
図4におけるS18の「判定4」に相当する処理である。
図16に示される処理は、UE 1がRACHトリガ応答を受信すると開始される。
【0117】
OP41では、非ライセンス無線制御部13は、処理が開始されてから所定時間経過するまで、RACHトリガ応答を受信する。所定時間は、例えば、次のランダムアクセスが発生するまでである。Serving基地局2の他に周辺基地局3が存在する場合には、UE 1は、RACHトリガ応答を少なくとも2つは受信することになる。次に処理がOP42に進む。
【0118】
OP42では、非ライセンス無線制御部13は、受信したRACHトリガ応答の中にNG応答であるものが含まれるか否かを判定する。受信したRACHトリガ応答の中にNG応答であるものが含まれる場合には(OP42:YES)、処理がOP43に進む。受信したRACHトリガ応答がすべてOK応答である場合には(OP42:NO)、処理がOP45に進む。
【0119】
OP43では、受信したRACHトリガ応答の中にNG応答であるものが含まれるので、非ライセンス無線制御部13は、使用候補周波数の使用不可を判定する。次に処理がOP44に進む。
【0120】
OP44では、非ライセンス無線制御部13は、非ライセンスバンド内の発信可能な周波数の中から、現在の使用候補周波数の次に低い周波数を新たな使用候補周波数として選択する。次に処理が
図13のOP15に進み、新たな使用候補周波数について、非ライセンスバンド干渉判定処理から処理が行われる。
【0121】
OP45では、受信したRACHトリガ応答がすべてOK応答であるので、使用候補周波数について干渉がないことが示されるので、非ライセンス無線制御部23は、使用候補周波数でのServing基地局2に対する非ライセンス発信要求の送信をデータ処理部16Bに指示する。その後、データ処理部16Bは、非ライセンス発信要求を送信し、
図16に示される処理が終了する。
【0122】
図17は、Serving基地局2によって実行される非ライセンスバンド接続停止処理のフローチャートの一例である。非ライセンスバンド接続停止処理は、
図4のS22における「判定5」に相当する処理である。
図17に示される処理は、Serving基地局2がUE 1から非ライセンス停止要求を受信すると開始される。
【0123】
OP51では、非ライセンス無線制御部23は、停止要求対象の非ライセンスバンドの周波数を使用する他のUE 1の有無を判定する。停止要求対象の非ライセンスバンドの周波数は、非ライセンス停止要求の受信周波数から取得される。
【0124】
停止要求対象の非ライセンスバンドの周波数を使用する他のUE 1が存在する場合には(OP51:YES)、処理がOP52に進む。停止要求対象の非ライセンスバンドの周波数を使用するUE 1が存在しない場合には(OP51:NO)、処理がOP53に進む。
【0125】
OP52では、停止要求対象の非ライセンスバンドの周波数を使用する他のUE 1が存在するので、非ライセンス無線制御部23は、該非ライセンスバンドの周波数での発信を継続する。その後、
図17に示される処理が終了する。
【0126】
OP53では、停止要求対象の非ライセンスバンドの周波数を使用する他のUE 1が存在しないので、非ライセンス無線制御部23は、該非ライセンスバンドの周波数の発信の停止を判定し、データ処理部26Bに発信停止と停止要求に対する応答の送信とを指示する。その後、
図17に示される処理が終了する。
【0127】
<第1実施形態の作用効果>
第1実施形態では、Serving基地局2は、Capability情報を用いて、自局の非ライセンスバンド内の発信可能な周波数の情報と、非ライセンスバンド内の周波数の使用状況の情報とをUE 1に通知する。UE 1は、Capability情報に基づいて、現在使用されていない非ライセンスバンド内の周波数から使用候補周波数を選択する。これによって、Serving基地局2と周辺基地局3とが互いに電波の届かない範囲に位置し、Serving基地局2と周辺基地局3とのセルが重複する場合でも、非ライセンスバンドでの電波干渉を回避することができる。
【0128】
例えば、UE 1がセンシングを行った際には使用候補周波数について周辺基地局3の使用が検出されないものの、UE 1がServing基地局2に該使用候補周波数で発信要求を送信するまでの間に、周辺基地局3が他のUE 1から該周波数で発信要求を受信し、該周波数の使用手続きを行うことがある。この場合には、非ライセンスバンドの該使用候補周波数での電波干渉が発生する。第1実施形態では、UE 1は、RACHトリガを用いて、各基地局に対して非ライセンスバンドの使用候補周波数で使用要求を行う。該使用候補周波数について周辺基地局3が使用手続き中である場合には、該使用要求に対する判定結果がNGとなり、該使用候補周波数は使用されない。これによって、非ライセンスバンドの干渉を回避することができる。
【0129】
第1実施形態では、通信サービスが終了した場合には、UE 1は、非ライセンス停止要求を送信し、Serving基地局2は該停止要求を受信した後に、他のUE 1による停止要求対象の非ライセンスバンドの周波数の使用の有無を確認してから該周波数の発信を停止する。これによって、UE 1による非ライセンスバンドの周波数での通信の終了に伴う他のUE 1の非ライセンスバンドの該周波数での通信への影響を回避することができる。
【0130】
<第2実施形態>
第2実施形態では、UE 1ではなく、Serving基地局2がCAの実施の判定を行う。第2実施形態では、第1実施形態と重複する説明は省略される。
【0131】
図18は、第2実施形態に係る無線通信システム100における処理のシーケンスの一例を示す図である。第2実施形態においても、無線通信システム100の構成は、第1実施形態と同様である。また、UE 1、基地局2のハードウェア構成及びソフトウェア構成も第1実施形態と同様である。前提として、UE 1とServing基地局2との間では、ライセンスバンドの所定周波数での通信が行われていることとする。
【0132】
S31では、Serving基地局2は、UE 1との通信に用いられているライセンスバンドの周波数で、定期的にCapability情報をブロードキャスト送信によってUE 1に通知する。
【0133】
S32では、Serving基地局2は、Capability情報の送信を契機に、非ライセンスバンドの周波数を用いるCA実施の可否を判定するCA実施判定処理(判定1)を行う。Serving基地局2によるCA実施判定処理も、第1実施形態のUE 1によるCA実施判定処理と同様に、通信バッファに格納されているデータ量や通信に用いられるアプリケーション属性に基づいて行われる。
【0134】
S33では、CA実施判定処理において、非ライセンスバンドの周波数を用いるCA実施が判定された場合には、Serving基地局2は、UE 1にCA開始の指示を送信する。S34以降の処理は、第1実施形態の
図4のS13以降の処理と同様である。
【0135】
第2実施形態では、基地局2の非ライセンス無線管理部24は、データ処理部26Aの通信バッファ量、すなわち、ライセンスバンドの周波数での通信の処理負荷を監視する。また、非ライセンス無線管理部24は、非ライセンス無線制御部23から読み出し指示を受けると、データ処理部26Aの通信バッファ量を非ライセンス無線制御部23に出力する。
【0136】
非ライセンス無線制御部23は、データ処理部26AからCapability情報の送信の通知を受けると、CA実施判定処理を開始する。CA実施判定処理では、非ライセンス無線制御部23は、非ライセンス無線管理部24からデータ処理部26Aの通信バッファ量を取得し、該通信バッファ量が所定の閾値より大きいか否かによって、非ライセンスバンドの周波数を用いるCAの実施を判定する。
【0137】
図19は、Serving基地局2によって実行されるCA実施判定処理のフローチャートの一例である。CA実施判定処理は、
図18中のS22の「判定1」の処理に該当する。
図19に示される処理は、Serving基地局2がCapability情報を送信すると開始される。
【0138】
OP61では、非ライセンス無線制御部23は、データ処理部26Aの通信バッファ量が所定の閾値Bより大きいか否かを判定する。データ処理部26Aの通信バッファ量が所定の閾値Bより多い場合には(OP61:YES)、処理がOP62に進む。データ処理部26Aの通信バッファ量が所定の閾値B以下の場合には(OP61:NO)、処理がOP64に進む。
【0139】
OP62では、データ処理部26Aの通信バッファ量が所定の閾値Bより大きいので、非ライセンス無線制御部23は、非ライセンスバンドの周波数を用いるCAの実施を判定する。次に処理がOP63に進む。
【0140】
OP63では、非ライセンス無線制御部23は、UE 1に対する非ライセンスバンドの周波数を用いるCA実施の通知をデータ処理部26Aに指示する。その後、データ処理部26Aは、UE 1に対して非ライセンスバンドの周波数を用いるCA実施の通知を送信し、
図19に示される処理が終了する。UE 1がCA実施の通知を受信すると、非ライセンスバンド干渉判定処理を開始する。
【0141】
OP64では、データ処理部26Aの通信バッファ量が所定の閾値B以下であるので、非ライセンス無線制御部23は、非ライセンスバンドの周波数を用いるCAを実行しないことを判定する。その後、
図19に示される処理が終了する。
【0142】
第2実施形態によれば、Serving基地局2のライセンスバンドの周波数での通信に係る処理負荷に応じて、Serving基地局2が発端となって、非ライセンスバンドを用いたCAを実施することができる。なお、第1実施形態と第2実施形態とを組み合わせてもよい。すなわち、UE 1とServing基地局2とが、それぞれで、非ライセンスバンドの周波数を用いるCAの実施を判定し、非ライセンスバンドの周波数を用いるCA開始の発端となってもよい。
【0143】
<第3実施形態>
第3実施形態では、UE 1は、非ライセンスバンドの周波数を用いるCAを実施する際に、周辺基地局3に対して、CAで使用する非ライセンスバンドの周波数での発信不可又は発信不可解除の通知を行う。第3実施形態では、第1実施形態と重複する説明は省略される。
【0144】
図20は、第3実施形態に係る無線通信システム100における処理のシーケンスの一例を示す図である。第3実施形態においても、無線通信システム100の構成は、第1実施形態と同様である。また、UE 1、基地局2のハードウェア構成及びソフトウェア構成も第1実施形態と同様である。前提として、UE 1とServing基地局2との間では、ライセンスバンドの所定周波数での通信が行われていることとする。
【0145】
S51からS58までの処理は、第1実施形態の
図4のS11からS18までの処理と同様である。
【0146】
S59では、UE 1は発信判定処理(判定4)において選択した非ライセンスバンドの使用候補周波数での発信要求の送信を判定した場合に、該発信要求をServing基地局2に送信する。
【0147】
S60では、UE 1は、発信判定処理(判定4)において選択した非ライセンスバンドの使用候補周波数で、非ライセンス発信不可要求を周辺基地局3に送信する。非ライセンス発信不可要求を受信すると、周辺基地局3は、以降、UE 1から非ライセンスバンドの該使用候補周波数での非ライセンス発信不可解除の通知を受信するまで、非ライセンスバンドの該使用候補周波数での発信を行わない。
【0148】
以降、S61からS65の処理は、第1実施形態の
図4のS20からS24の、Serving基地局2の非ライセンスバンドの発信処理、UE 1とServing基地局2の非ライセンスバンドの接続停止処理、と同様である。
【0149】
S66では、UE 1は、Serving基地局2から非ライセンス停止要求に対するOK応答を受信すると、停止要求対象の周波数で、非ライセンス発信不可解除を周辺基地局3に送信する。
【0150】
非ライセンス発信不可要求及び解除の通知は、UE 1の非ライセンス無線制御部13の指示によって、UE 1の非ライセンスRACH処理部17Bによって生成され、非ライセンスバンド内の発信不可要求対象の周波数で送信される。
【0151】
図21は、第3実施形態に係る非ライセンス発信不可要求のフォーマットの一例を示す図である。第3実施形態では、RACHトリガ、RACHトリガ応答、非ライセンス発信不可要求、非ライセンス発信不可解除について、共通のフォーマットが用いられる。共通フォーマットには、接続する基地局ID、送信元の情報としてUE ID、接続要求に関する制御情報が含まれる。
【0152】
RACHトリガ、RACHトリガ応答、非ライセンス発信不可要求、非ライセンス発信不可解除について、共通のフォーマットが用いられるため、接続要求に関する制御情報には、メッセージ種別を示すコードが含まれる。
【0153】
例えば、メッセージ種別コードは、接続要求に関する制御情報の先頭3ビットであり、以下の通りに設定される。メッセージ種別コード「000」は、非ライセンス使用要求(RACHトリガ)であることを示す。メッセージ種別コード「001」は、非ライセンス発信不可要求であることを示す。メッセージ種別コード「010」は、非ライセンス発信不可解除であることを示す。メッセージ種別コード「111」は、非ライセンス使用要求応答(OK)であることを示す。メッセージ種別コード「110」は、非ライセンス使用要求応答(NG)であることを示す。ただし、メッセージ種別コードの設定はこれに限定されない。
【0154】
RACHトリガ、非ライセンス発信不可要求、非ライセンス発信不可解除は、UE 1が選択した非ライセンスバンドの使用候補周波数でブロードキャストで送信される。RACHトリガ、非ライセンス発信不可要求、非ライセンス発信不可解除は、無線フレーム内の、端末と基地局間で予め決められたRACH領域のタイムスロット、周波数スロット、符号スロットで送信される。なお、RACHトリガ、非ライセンス発信不可要求、非ライセンス発信不可解除の送信に用いられる無線フレーム内の領域は、予め決められていなくてもよい。この場合には、接続要求に関する制御情報に、対象となる周波数の情報が含まれる。
【0155】
非ライセンス発信不可要求、非ライセンス発信不可解除を受信した基地局2は、接続する基地局IDが自局のものでない場合に、すなわち、自局が周辺基地局である場合に、非ライセンスバンドの発信不可対象のチャネルを、以降、発信不可又は発信許可に設定する。また、接続する基地局IDが自局のものである場合には、すなわち、自局がServing基地局である場合には、Serving基地局2は、非ライセンス発信不可要求、非ライセンス発信不可解除を廃棄する。
【0156】
第3実施形態では、UE 1がCAで使用する非ライセンスバンド発信不可要求又は発信不可解除の通知を行うことによって、UE 1がCAを行っている間に、周辺基地局3によって、CAで使用している非ライセンスバンドの周波数での発信が行われることを抑制することができる。
【0157】
<第4実施形態>
第4実施形態では、非ライセンス発信不可要求、非ライセンス発信不可解除を受信した場合に、各基地局2は非ライセンス発信不可要求、非ライセンス発信不可解除の対象となる周波数をCapability情報に反映させる。第4実施形態では、第3実施形態と重複する説明は省略される。
【0158】
図22は、第4実施形態に係る無線通信システム100における処理のシーケンスの一例を示す図である。第4実施形態においても、無線通信システム100の構成は、第1実施形態と同様である。また、UE 1、基地局2のハードウェア構成及びソフトウェア構成も第1実施形態と同様である。前提として、UE 1とServing基地局2との間では、ライセンスバンドの所定周波数での通信が行われていることとする。
【0159】
S71では、Serving基地局2は、定期的にCapability情報を送信する。第4実施形態では、Capability情報には、非ライセンスバンド内の発信可能な周波数の情報、自局の非ライセンスバンド内の周波数の使用状況の情報に加えて、他の基地局の非ライセンスバンド内の周波数の使用状況の情報が含まれる。
【0160】
S72では、第3実施形態の
図20のS52と同様に、UE1は、Capability情報を受信して、CA実施判定処理(判定1)を行い、非ライセンスバンドの周波数を用いるCAの実施を判定する。
【0161】
S73では、UE 1は、非ライセンスバンド干渉判定処理(処理1B)を行い、非ライセンスバンドの使用候補周波数を選択する。第4実施形態の非ライセンスバンド干渉判定処理は、他の基地局の非ライセンスバンド内の周波数の使用状況の情報を含むCapability情報に基づいて行われる。非ライセンスバンド干渉判定処理の詳細は、後述される。
【0162】
S74〜S79では、第3実施形態の
図20のS54〜S59と同様に、UE 1はRACHトリガを送信し、Serving基地局2、周辺基地局3は、非ライセンスバンド接続判定処理(判定2、判定3)を行い、RACHトリガ応答を返信する。UE 1は、RACHトリガ応答に基づいて、発信判定処理(判定4)を行い、非ライセンスバンドの使用候補周波数で、Serving基地局2に発信要求を送信する。
【0163】
S80では、第3実施形態の
図20のS60と同様に、UE 1は、非ライセンス発信要求対象の非ライセンスバンドの周波数について、非ライセンス発信不可要求を送信する。S81では、Serving基地局2は、発信不可要求を受信し、非ライセンスバンドの該周波数について発信を開始する。
【0164】
S82では、周辺基地局3は、非ライセンス発信不可要求を受信し、Capability情報に、非ライセンス発信不可要求の対象のチャネルが他の基地局によって発信中であることを反映させる(処理2)。これによって、周辺基地局3が他のUE 1に対してServing基地局2として動作する場合に、該他のUE 1には、非ライセンス発信不可要求の対象のチャネルが他の基地局によって発信中であることが含まれるCapability情報が通知される。該他のUE 1が非ライセンスバンドを用いた通信を行う際には、Capability情報に基づいて、使用候補から非ライセンス発信不可要求の対象の周波数を外すこととなり、非ライセンスバンドの使用候補周波数の選択を容易にすることができる。
【0165】
S83からS86では、第3実施形態の
図20のS62からS65と同様に、UE 1が非ライセンス停止要求を送信し、Serving基地局2が停止要求対象の非ライセンスバンドの周波数について発信を停止して応答を返す。
【0166】
S87では、UE 1は、Serving基地局2から非ライセンス停止要求のOK応答を受信し、非ライセンス発信不可解除を送信する。
【0167】
S88では、周辺基地局3は、非ライセンス発信不可解除を受信し、Capability情報に、S82において他の基地局によって発信中であることが記録された非ライセンス発信不可要求の対象の周波数について、いずれの基地局によっても発信中でないことを反映させる(処理3)。
【0168】
第4実施形態では、周辺基地局3の非ライセンスRACH処理部27Bは、非ライセンス発信不可要求及び解除を電気信号から抽出し、非ライセンス無線制御部23に出力する。周辺基地局3の非ライセンス無線制御部23は、非ライセンス発信不可要求又は解除の入力を受け付けると、非ライセンス発信不可要求又は解除内の接続する基地局IDが自局のものでない場合に、
図22のS82、S88のように、Capability情報の更新を行う。
【0169】
図23は、第4実施形態に係るCapability情報に含まれる情報の一例を示す図である。第4実施形態では、Capablity情報には、送信元の情報としてServing基地局2の基地局ID、自局の非ライセンスバンド内の周波数の使用状況の情報、非ライセンスバンド内の発信可能な周波数の情報に加えて、他の基地局の非ライセンスバンド内の周波数の使用状況の情報が含まれる。
【0170】
例えば、自局の非ライセンスバンド内の周波数の使用状況の情報、非ライセンスバンド内の発信可能な周波数の情報、他の基地局の非ライセンスバンド内の周波数の使用状況の情報は、
図23に示されるような表形式でCapablity情報に格納される。非ライセンス無線制御部23は、自局の非ライセンスバンド内の周波数の使用状況の情報、非ライセンスバンド内の発信可能な周波数の情報、他の基地局の非ライセンスバンド内の周波数の使用状況の情報について、いずれも「○」となっている周波数の中から、使用候補周波数を選択する。
【0171】
図24は、第4実施形態に係る、UE 1によって実行される非ライセンスバンド干渉判定処理のフローチャートの一例である。
図24に示される非ライセンスバンド干渉判定処理は、
図22のS73の「処理1B」の処理に相当する。
図24に示される処理は、CA実施判定処理によって、非ライセンスバンドの周波数を用いるCAの実施が判定された場合に開始される。
【0172】
OP71では、非ライセンス無線制御部13は、Serving基地局2のCapability情報を確認する。次に処理がOP72に進む。
【0173】
OP72では、非ライセンス無線制御部13は、Serving基地局2は非ライセンスバンド内のいずれかの周波数でRS信号を発信中であるか否かを判定する。Serving基地局2が非ライセンスバンド内のいずれかの周波数でRS信号を発信中である場合には(OP72:YES)、処理がOP73に進む。Serving基地局2が非ライセンスバンド内のいずれの周波数でもRS信号を発信していない場合には(OP72:NO)、処理がOP74に進む。
【0174】
OP73では、Serving基地局2が非ライセンスバンド内のいずれかの周波数でRS信号を発信中であるので、非ライセンス無線制御部13は、該発信中の非ライセンスバンドの周波数を使用することを決定する。その後、
図24に示される処理が終了する。発信中の非ライセンスバンドの周波数を使用する場合には、干渉の有無等を判定しなくともよいので、ライセンス無線制御部13は、CAを開始する。
【0175】
OP74以降は、Serving基地局2が非ライセンスバンド内のいずれの周波数でもRS信号を発信していないので、非ライセンスバンドの周波数を用いるCAを実施するために、非ライセンスバンド内の使用候補周波数を選択する処理である。
【0176】
OP74では、非ライセンス無線制御部13は、発信可能で、且つ、他の基地局が発信中でない非ライセンスバンドの周波数の中から、最も低い周波数を使用候補周波数として選択する。より具体的には、非ライセンス無線制御部13は、Capability情報において、自局の非ライセンスバンド内の周波数の使用状況の情報、非ライセンスバンド内の発信可能な周波数の情報、他の基地局の非ライセンスバンド内の周波数の使用状況の情報について、いずれも「○」となっている周波数の中から、最も低い周波数を使用候補周波数として選択する。次に処理がOP75に進む。
【0177】
OP75〜OP78の処理は、第1実施形態に係る非ライセンスバンド干渉判定処理である
図13のOP15〜OP18と同様である。非ライセンス無線制御部13は、使用候補周波数についてセンシングを行い、周辺基地局3の使用の有無を判定して、周辺基地局3の使用がない場合に、使用候補周波数でRACHトリガの送信を行う。
【0178】
第4実施形態では、周辺基地局3が非ライセンス発信不可要求及び解除を受信した場合に、発信不可要求対象の非ライセンスバンドの周波数についての情報をCapability情報に反映する。また、Capability情報は、他の基地局の非ライセンスバンド内の周波数の使用状況の情報を含む。これによって、UE 1は、Capability情報から、他の基地局である周辺基地局3の非ライセンスバンド内の周波数の使用状況の情報を取得することができ、使用候補周波数の選択対象から予め周辺基地局3の発信中の周波数を除外することができる。したがって、第4実施形態によれば、CAに用いる非ライセンスバンドの周波数の選択を容易にすることができる。
【0179】
<第5実施形態>
第1実施形態から第4実施形態では、UE 1が、非ライセンスバンドをCAで用いる際の非ライセンスバンドの干渉を回避する方法について説明されている。第5実施形態では、UE 1がライセンスバンドの通信から非ライセンスバンドの通信へと周波数をシフトする際の非ライセンスバンドの干渉を回避する方法について説明される。第5実施形態では、第1実施形態と重複する説明は省略される。
【0180】
第5実施形態では、UE 1は、RACHトリガのOK応答を受信すると、ライセンスバンドから非ライセンスバンドへと周波数をシフトする。
【0181】
図25は、第5実施形態に係る、UE 1によって実行される発信判定処理のフローチャートの一例である。
図25に示される発信判定処理は、例えば、第1実施形態の
図4におけるS18の「判定4」に相当する処理である。
図25に示される処理は、UE 1がRACHトリガ応答を受信すると開始される。
【0182】
OP81では、非ライセンス無線制御部13は、処理が開始されてから所定時間経過するまで、RACHトリガ応答を受信する。所定時間は、例えば、次のランダムアクセスが発生するまでである。Serving基地局2の他に周辺基地局3が存在する場合には、UE 1は、RACHトリガ応答を少なくとも2つは受信することになる。次に処理がOP82に進む。
【0183】
OP82では、非ライセンス無線制御部13は、受信したRACHトリガ応答のNG応答であるものが含まれるか否かを判定する。受信したRACHトリガ応答の中にNG応答のものが含まれる場合には(OP82:YES)、処理がOP83に進む。受信したRACHトリガ応答がすべてOK応答である場合には(OP82:NO)、処理がOP85に進む。
【0184】
OP83では、受信したRACHトリガ応答の中にNG応答であるものが含まれるので、非ライセンス無線制御部13は、使用候補周波数の使用不可を判定する。次に処理がOP84に進む。
【0185】
OP84では、非ライセンス無線制御部13は、現在の使用候補周波数の次に低い周波数を、新たな使用候補周波数として選択する。次に処理が
図13のOP15に進み、新たな使用候補周波数について、非ライセンスバンド干渉判定処理から処理が行われる。
【0186】
OP85では、受信したRACHトリガ応答がすべてOK応答であり、使用候補周波数での電波干渉がないことが示されるので、非ライセンス無線制御部13は、現在通信で用いているライセンスバンドの周波数から、非ライセンスバンドの使用候補周波数へシフトすることを判定する。次に処理がOP86に進む。
【0187】
OP86では、非ライセンス無線制御部13は、非ライセンスバンドの使用候補周波数について、Serving基地局2へ非ライセンス発信要求の送信をデータ処理部16Bに指示する。その後、データ処理部16Bは、非ライセンスバンドの使用候補周波数について非ライセンス発信要求を送信し、
図25に示される処理が終了する。
【0188】
UE 1が
図25に示されるような発信判定処理を行うことによって、ライセンスバンドから非ライセンスバンドへの周波数のシフトが行われる際でも、非ライセンスバンドでの電波干渉を回避することができる。
【0189】
なお、UE 1が、VCOを備え、VCOによって周波数帯域を調整しながら1つの無線RF部でライセンスバンドと非ライセンスバンドとの信号を処理する場合には、ライセンスバンドから非ライセンスバンドへの周波数のシフトの処理は、非ライセンス無線制御部13が、VCOを制御し、RF部15AからRF部15Bへと処理主体を切り替えることによって行われる。
【0190】
<記録媒体>
コンピュータその他の機械、装置(以下、コンピュータ等)に上記いずれかの機能を実現させるプログラムをコンピュータ等が読み取り可能な記録媒体に記録することができる。コンピュータ等に、この記録媒体のプログラムを読み込ませて実行させることにより、その機能を提供させることができる。
【0191】
ここで、コンピュータ等が読み取り可能な記録媒体とは、データやプログラム等の情報を電気的、磁気的、光学的、機械的、または化学的作用によって蓄積し、コンピュータ等から読み取ることができる記録媒体をいう。このような記録媒体のうちコンピュータ等から取り外し可能なものとしては、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R/W、DVD、ブルーレイディスク、DAT、8mmテープ、フラッシュメモリなどのメモリカード等がある。また、コンピュータ等に固定された記録媒体としてハードディスク、ROM(リードオンリーメモリ)等がある。さらに、SSD(Solid State Drive)は、コンピュータ等から取り外し可能な記録媒体としても、コンピュータ等に固定された記録媒体としても利用可能である。