(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、スクリーンに表示される位置調整用パターンは、スクリーンの設置環境(環境光や照明)による影響、あるいは、スクリーンの反射量の影響等によって表示結果が大きく左右される。また、設置環境や反射量による影響は、スクリーン全体で一様ではないため、位置調整用パターンの撮影画像からプロジェクターの投射位置を高精度に調整するために必要な情報を得ることが困難となる場合がある。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、複数のプロジェクターにより投射する場合に、各プロジェクターの投射位置を位置合わせするための情報を撮影画像から確実に取得することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、プロジェクターにより投射面に投射されたガイドを撮影手段により撮影させる撮影制御手段と、前記撮影手段の撮影画像から前記ガイドを検出する画像解析手段と、を備え、前記撮影制御手段は、前記画像解析手段により前記撮影画像から前記ガイドを検出できない場合に、撮影条件に係る設定を変更して前記撮影手段により再度撮影を実行させること、を特徴とする。
本発明によれば、撮影画像からガイドを検出できない場合には、露出を変更して撮影部により複数回撮影する。これにより、投射面に対する環境光や照明などの設置環境の影響に対応して、撮影条件を変化させることで、良好な撮影画像を得ることができる。よってプロジェクターの投射位置を位置合わせするための情報を撮影画像から確実に取得することができる。
【0006】
また、本発明は、上記の補正制御装置であって、前記画像解析手段により検出された前記ガイドに基づいて、前記プロジェクターの投射位置を補正するための情報を取得する補正制御手段を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、画像解析手段により撮影画像からガイドを検出し、この検出したガイドに基づいて、プロジェクターの投射位置を位置合わせするための情報を取得することができる。これにより、プロジェクターの投射位置を位置合わせするための情報を高速に取得することができる。
【0007】
また、本発明は、上記の補正制御装置であって、前記画像解析手段に対し、前記撮影画像において前記ガイドが検出されるべき位置が予め指定され、前記画像解析手段は、この指定された位置において前記ガイドを検出することを特徴とする。
本発明によれば、画像解析手段は、指定された位置においてガイドが検出できるか否かを判定するため、撮影画像からのガイドの検出の可否をすみやかに判定することができる。従って、画像解析手段の解析処理を単純化することができ、プロジェクターの投射位置を位置合わせするための情報を高速に取得することができる。
【0008】
また、本発明は、上記の補正制御装置であって、前記画像解析手段は、前記撮影画像の複数の位置において前記ガイドを検出することを特徴とする。
本発明によれば、プロジェクターが画像を投射する投射面に対して設置環境の影響が一様ではない場合でも、撮影画像からガイドを検出することができる。よって、プロジェクターの投射位置を位置合わせするための情報を撮影画像から確実に取得することができる。
【0009】
また、本発明は、上記の補正制御装置であって、前記撮影制御手段は、前記画像解析手段により前記撮影画像のいずれかの位置において前記ガイドが検出された後、他の位置で前記ガイドが検出されない場合に、撮影条件に係る設定を変更して前記撮影手段により再度撮影を実行させることを特徴とする。
本発明によれば、ガイドを検出する位置毎に露出を変更して撮影することができ、投射面に対する設置環境の影響が一様ではない場合でも、露出の異なる複数の撮影画像から、複数の位置におけるガイドの各々を確実に検出することができる。よって、設置環境の影響を排除し、プロジェクターの投射位置を位置合わせするための情報を確実に取得することができる。
【0010】
また、上記目的を達成するために、本発明は、プロジェクターにより投射面に投射されたガイドを撮影手段により撮影させ、撮影画像から前記ガイドを検出し、前記撮影画像から前記ガイドを検出できない場合に、撮影条件に係る設定を変更して前記撮影手段により再度撮影を実行させること、を特徴とする。
本発明によれば、投射面に対する設置環境の影響により、撮影画像からガイドを検出できない場合には、露出を変えてガイドを再度撮影する。これにより、撮影画像から確実にガイドを検出することができ、プロジェクターの投射位置を位置合わせするための情報を撮影画像から確実に取得することができる。
【0011】
また、上記目的を達成するために、本発明は、投射面に画像を投射する投射手段と、前記投射面を撮影する撮影手段と、前記投射面に前記ガイドが投射された状態で前記撮影手段により撮影を実行させる撮影制御手段と、前記撮影手段の撮影画像から前記ガイドを検出する画像解析手段と、を備え、前記撮影制御手段は、前記画像解析手段により前記撮影画像から前記ガイドを検出できない場合に、撮影条件に係る設定を変更して前記撮影手段により再度撮影を実行させること、を特徴とする。
本発明によれば、投射面に対する設置環境の影響により撮影画像からガイドが検出できない場合には、露出を変えてガイドを再度撮影する。これにより、撮影画像から確実にガイドを検出することができ、プロジェクターの投射位置を位置合わせするための情報を撮影画像から確実に取得することができる。
【0012】
また、本発明は、上記のプロジェクターであって、前記撮影制御手段は、前記投射面に、前記投射手段により前記ガイドが投射され、かつ、他のプロジェクターによって別のガイドが投射された状態で前記撮影手段により撮影を実行させ、前記画像解析手段は、前記投射手段により投射された前記ガイドと、前記他のプロジェクターにより投射された前記ガイドとを検出し、前記撮影制御手段は、前記画像解析手段によって、前記投射手段が投射した前記ガイドと前記他のプロジェクターにより投射された前記ガイドとのいずれかを前記撮影画像から検出できない場合に、撮影条件に係る設定を変更して前記撮影手段により再度撮影を実行させること、を特徴とする。
本発明によれば、プロジェクターから投射されるガイドと、別のプロジェクターから投射されるガイドと、を撮影画像から確実に検出することができる。よって、撮影画像から検出した二つのガイドに基づいて、二つのプロジェクターから投射される投射画像の投射位置を位置合するための情報を確実に取得することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、プロジェクターの投射位置を位置合わせするための情報を撮影画像から確実に取得することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明を適用した実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る制御部(補正制御装置)131を用いて投射位置の調整を行うプロジェクションシステム1の概略構成を示す図である。
プロジェクションシステム1は、第1のプロジェクター2A及び第2のプロジェクター2Bを含む複数のプロジェクターにより投射を行うプロジェクションシステムである。本実施形態では、第1のプロジェクター2Aと、第2のプロジェクター2Bと、を横に並べて設置し、これら2台のプロジェクター2A、2Bによる投射画像101、102がスクリーン(投射面)SC上で重畳するようにスタック表示を行う。なお、
図1では、プロジェクター2A、2Bが横並びに設置した構成を例に挙げているが、プロジェクター2A、2Bは、上下に並べて設置しても良い。また、プロジェクター2A、2Bは、その設置状態をスクリーンSC前方に床置きした床置き設置としても良いし、あるいは、天井から吊り下げた天吊り設置としても良い。なお、床置き設置の場合には、床に設置した台の上にプロジェクター2A,2Bを置く、台置き設置としても良い。
【0016】
プロジェクター2A、2Bは、それぞれ、画像送信ケーブル41を介して画像出力装置7に接続され、画像出力装置7から入力される画像データに基づく画像をスクリーンSC上に投射する。プロジェクター2A、2Bには、画像出力装置7から同一の画像に関する画像データが供給される。
プロジェクションシステム1は、プロジェクター2A、2BのそれぞれからスクリーンSCに向けて同じ画像を投射し、これらの投射画像101、102は重畳されて1つの投射画像100としてスクリーンSC上に結像する。すなわち、投射画像100は、プロジェクター2A、2B各々の投射光が重ねて投射された画像である。プロジェクションシステム1は、このようにスタック表示を行うことで、投射画像100の光量を大幅に増すことができるという利点がある。また、プロジェクションシステム1は、プロジェクター2A、2Bのうち一方から左目用の画像を投射し、他方から右目用の画像を投射することで、偏光メガネを介して視聴した場合に3D映像となる投射画像100を投射することも可能である。
【0017】
ここで、第1のプロジェクター2Aが投射する画像と第2のプロジェクター2Bが投射する画像とがずれていると、投射画像100がぼやけてしまう。そのため、プロジェクター2A、2Bの投射位置、つまり投射画像101,102を投射する位置及び投射画像101、02のサイズ、を高精度に調整する必要がある。
本実施形態のプロジェクションシステム1においては、プロジェクター2A,2Bの各々が投射位置を調整するための調整用ガイド(ガイド)3を投射する機能を有する。調整用ガイド3は、第1のプロジェクター2Aが投射する第1のガイド3Aと、第2のプロジェクター2Bが投射する第2のガイド3BとがスクリーンSCに重ねて表示されて形成される。また、詳細については後述するが、プロジェクションシステム1は、プロジェクター2A,2Bから投射されたガイド3A,3Bを撮影する撮影部143を備える。撮影部143は、制御部131によって制御される。制御部131は、撮影部143を制御するとともに、撮影部143の撮影画像からプロジェクター2A,2Bの投射位置を補正し、高精度に位置合わせするための情報を取得する。
【0018】
図2は、プロジェクター2A、2Bの機能的構成、及び、ハードウェア構成を示す図である。
第1のプロジェクター2Aは、画像を投射する投射部110と、画像処理を行うとともにプロジェクター2Aの各部を制御する制御部131、画像受信部132、画像処理部133、画像補正部134、光変調装置駆動部135、光源駆動部136、通信制御部137、入力操作部138、リモコン受信部(操作検出手段)139、記憶部142、及び撮影部143の各部とを本体120に備えている。また、図示は省略したが、本体120には、ユーザーにプロジェクター2Aの動作状態を点滅や点灯により知らせるLEDが備えられている。
投射部110は、光源122、ミラー123、光変調装置124、投射光学系125を備える。光源122は、リフレクター122Aを備えている。ミラー123は、光源122が発した光をR成分、G成分及びB成分の各色光に分離する。光変調装置124は、ミラー123が分離したR成分、G成分及びB成分の色光を変調する。投射光学系125は、光変調装置124によって変調された光をスクリーンSCに向けて投射する。
【0019】
光源122は、例えば、キセノンランプ、超高圧水銀ランプ、LED、レーザー光源等を用いることができる。光源122は、リフレクター122Aの他に、投射光の光学特性を高めるためのレンズ群(図示略)、偏光板、補助リフレクター(図示略)等を備えたものとしてもよい。
ミラー123は、光源122が発した光に含まれるR成分の光を反射してG成分及びB成分を透過させるR用ダイクロイックミラー、及び、G成分の光を反射してB成分を透過させるG用ダイクロイックミラー等を備えて構成される。また、ミラー123に、R成分、G成分及びB成分の成分毎の光路長の差を吸収するリレーレンズ群を設けてもよい。
【0020】
光変調装置124は、スクリーンSCに画像を表示する変調手段に相当し、R成分の光を変調する光変調装置、G成分の光を変調する光変調装置、及びB成分の光を変調する光変調装置を含む。より具体的には、光変調装置124は、RGBの各色に対応した3枚の透過型または反射型の液晶ライトバルブを用いた方式、3枚のデジタルミラーデバイスを用いた方式等により構成され、ミラー123により分離されたR成分、G成分及びB成分の光をそれぞれ変調する。
【0021】
なお、ミラー123を、光源122が発した光を色光に分離せずに白色光のまま光変調装置124に導く構成とすることも可能である。この場合、光変調装置124は、光源が発した白色光に含まれる光のうちRGBの光を透過するカラーホイールと、1枚のデジタルミラーデバイス(DMD)とを組み合わせたDMD方式で構成される。カラーホイールと1枚のデジタルミラーデバイスとを組み合わせた方式においては、1つのデジタルミラーデバイスが変調手段に相当する。
本実施形態では、光変調装置124を、液晶ライトバルブを用いた構成とする。光変調装置124は、複数の画素をマトリクス状に配置した透過型液晶パネルを備え、これら複数の画素により画像を形成し、光源122が発した光を形成した画像によって変調する変調手段として機能する。
光変調装置124は、後述する光変調装置駆動部135によって駆動され、マトリクス状に配置された各画素における光の透過率を変化させることにより、画像を形成する。
【0022】
投射光学系125は、光変調装置124により変調されたRGB3色の変調光を合成するプリズム126と、プリズム126により合成された投射画像100をスクリーンSCで結像させる投射レンズ127を備えている。プリズム126は光変調装置124の構成に合わせて、1または複数の光学プリズムやミラーを組み合わせて構成される。
本実施形態の光変調装置124は3枚の透過型液晶パネルを備えて構成されるので、プリズム126は、これら3枚の液晶パネルにより変調された光をプリズム126で合成する構成となっている。投射レンズ127は、例えば複数のレンズ群で構成され、ズーム及びフォーカスを調整する駆動機構(図示略)により駆動される。そして、投射光学系125が投射する光は、投射窓120AからスクリーンSCに投射され、スクリーンSC上に投射画像100が表示される。ここで、光源122、光変調装置124、及び、投射光学系125は、第1のプロジェクター2Aの投射手段として機能する。
【0023】
制御部131は、図示しないCPU、CPUが実行するプログラムやデータ等を不揮発的に記憶するROM、及び、CPUが実行するプログラムや処理対象のデータを一時的に記憶するRAM等を備えて構成され、プロジェクター2Aの各部を中枢制御する。
また、制御部131は、撮影制御部151、画像解析部152、補正制御部153、投射位置補正部154を備え、プロジェクター2A,2Bの投射位置の補正を制御する補正制御装置として機能する。
画像受信部132には、画像送信ケーブル41が接続される。画像受信部132は、画像送信ケーブル41を介して外部の画像出力装置7から各種形式の画像データ、または画像信号を受信する。画像受信部132が受信する画像データは、アナログ画像信号及びデジタル画像データのいずれであってもよく、信号形式及びデータフォーマット等は任意である。また、画像受信部132において画像送信ケーブル41が接続される接続端子、画像送信ケーブル41、及び画像出力装置7の具体的な仕様についても任意である。画像受信部132は、画像出力装置7から受信した画像データを画像処理部133に出力する。
【0024】
画像処理部133は、制御部131の制御に従って、画像受信部132から入力される画像データを解析し、この画像データのデータフォーマットに対応して予め設定された、アナログ/デジタル変換処理、解像度変換処理、アスペクト比変更処理、フレームレート変換処理、減色処理、増色処理、画像補正処理等を行い、光変調装置124の表示画素数に対応する解像度の投射画像データを生成する。
画像補正部134は、スクリーンSCに対するプロジェクター2Aのあおり角に起因して発生する台形歪みを補正する台形歪み補正処理を実行する。画像補正部134は、制御部131の制御に従って、画像処理部133が出力する投射画像データを、台形歪みを補償する形状とする補正処理を実行し、補正後の投射画像データを光変調装置駆動部135に出力する。
光変調装置駆動部135は、画像補正部134から入力される画像データに従って光変調装置124を駆動する。これにより、ユーザーによって設定された形状の画像形成領域内に投射画像100が投射される。
光源駆動部136は、制御部131の指示に基づいて、光源122の点灯制御を行う。
【0025】
通信制御部137は、第2のプロジェクター2Bとの間で制御情報を送受信する。プロジェクションシステム1は、第1のプロジェクター2Aを、プロジェクションシステム1の各部を制御するコマンドを受け取るコマンダーとして構成されている。第1のプロジェクター2Aは、通信制御部137によりレシーバーとしての第2のプロジェクター2Bに対して必要なコマンドの送信を行うことで第2のプロジェクター2Bを制御可能に構成されている。
【0026】
入力操作部138は、ユーザーが第1のプロジェクター2Aに対して各種指示を行うための複数の操作キー(図示略)等を備えている。入力操作部138が備える操作キーとしては、例えば、電源のON・OFFを切り替えるための電源キーや、各種設定を行うためのメニュー画像を表示させるメニューキー、メニュー画像等で選択された項目を確定させる決定キー、位置調整パターンの投射を指示する位置調整キー、上下左右に対応する4つの方向キー、台形歪み補正に使用される台形歪補正キー等が挙げられる。制御部131は、入力操作部138におけるユーザーの操作内容を検出し、検出した操作に基づいて第1のプロジェクター2Aを制御する。
【0027】
リモコン受信部139は、遠隔操作が可能なリモコン(リモートコントローラー)50Aに対してユーザーが行った第1のプロジェクター2Aに対する各種指示を受信する。リモコン50Aは、入力操作部138と同様に、例えば、電源のON・OFFを切り替えるための電源キーや、各種設定を行うためのメニュー画像を表示させるメニューキー、メニュー画像等で選択された項目を確定させる決定キー、位置調整パターンの投射を指示する位置調整キー、上下左右に対応する4つの方向キー、台形歪み補正に使用される台形歪補正キー等の複数の操作キーを備えている。
リモコン受信部139、及び、リモコン50Aは、それぞれ受信/送信チャンネルを設定可能に構成されている。リモコン受信部139のチャンネルと、リモコン50Aのチャンネルとを同一のチャンネルに設定することで、リモコン受信部139は、リモコン50Aに対して行ったユーザーの操作を受信可能となる。また、第1のプロジェクター2Aの近傍に第2のプロジェクター2Bを設置し、第2のプロジェクター2Bを操作するリモコン(リモートコントローラー)50Bのチャンネルをリモコン受信部139のチャンネルとは異なるチャンネルに設定することで、リモコン50Bにより第1のプロジェクター2Aが動作されないようにすることができる。
【0028】
記憶部142は、マスクROMや、フラッシュメモリー、FeRAM(Ferroelectric RAM:強誘電体メモリー)等の不揮発性記憶装置を備えて構成される。記憶部142には、各プロジェクター2A、2Bから投射される投射位置を調整する際に用いられる複数のガイド3A,3Bが予め記憶されている。
図1に示したように、プロジェクションシステム1を構成する複数のプロジェクター2A、2Bは、投射領域及び/または投射位置の調整を行う際に、互いに異なるガイド3A,3Bを投射する。複数のガイド3A,3Bは、プロジェクター2A,2Bがそれぞれ記憶している構成であっても良いし、あるいは、一方のプロジェクター、例えば第1のプロジェクター2Aが記憶している構成であっても良い。
【0029】
プロジェクター2A,2Bがそれぞれ複数のガイド3A,3Bを記憶している場合には、例えば第1のプロジェクター2Aが、プロジェクター2A,2Bからそれぞれ異なるガイド3A,3Bが投射されるようにプロジェクター2A,2Bを制御する構成であっても良い。また、例えば、第2のプロジェクター2Bが、第1のプロジェクター2Aから投射された第1のガイド3Aを識別し、第1のプロジェクター2Aとは異なる第2のガイド3Bを投射する構成であっても良い。また、第1のプロジェクター2Aが複数のガイド3A,3Bを記憶し、第2のプロジェクター2Bに第1のプロジェクター2Aから投射する第1のガイド3Aとは異なる第2のガイド3Bを送信して投射させる構成であっても良い。
【0030】
撮影部143は、撮影制御部151の制御に従って、スクリーンSCにおいて第1のプロジェクター2Aが投射画像101を投射する範囲を撮影するデジタルカメラである。なお、撮影部143は、第1のプロジェクター2Aの本体120に内蔵されて備えられる構成に限らず、第1のプロジェクター2Aとは別体に備えられ、第1のプロジェクター2Aに有線又は無線の各種通信回線を用いて接続されたカメラである構成であっても良い。
【0031】
第2のプロジェクター2Bは、画像を投射する画像投射部210と、画像処理を行うとともに第2のプロジェクター2Bの各部を制御する制御部(判定手段、制御手段)231、画像受信部232、画像処理部233、画像補正部234、光変調装置駆動部235、光源駆動部236、通信制御部237、入力操作部238、リモコン受信部(操作検出手段)239、及び記憶部242の各部とを本体220に備えている。また、図示は省略するが、第2のプロジェクター2Bは、第2のプロジェクター2Bの投射範囲をカバーできる範囲を撮影する撮影部を備える構成であっても良い。なお、第2のプロジェクター2Bの各部の構成については、第1のプロジェクター2Aの各部の構成と同一であり、その説明を省略する。すなわち、画像投射部210は投射部110と同様に構成され、画像受信部232は画像受信部132と同様に構成され、画像処理部233は画像処理部133と同様に構成され、画像補正部234は画像補正部134と同様に構成され、光変調装置駆動部235は光変調装置駆動部135と同様に構成され、光源駆動部236は光源駆動部136と同様に構成され、通信制御部237は通信制御部137と同様に構成され、入力操作部238は入力操作部138と同様に構成され、リモコン受信部239はリモコン受信部139と同様に構成され、記憶部242は記憶部142と同様に構成される。
【0032】
第2のプロジェクター2Bは、通信制御部237により第1のプロジェクター2Aから制御コマンドを受け取るレシーバーとして動作する。第2のプロジェクター2Bは、単独で投射を行う場合には、入力操作部238により検出した操作、及びリモコン受信部239を介して受信したリモコン50Bによる操作に応じて、各種機能を実行する。また、第2のプロジェクター2Bは、コマンダーである第1のプロジェクター2Aのレシーバーとして動作する場合には、サブ動作モードで動作する。このサブ動作モードでは、入力操作部238により検出したユーザーの操作、及びリモコン受信部239により検出したユーザーの操作に対して応答しない。つまり、サブ動作モードの第2のプロジェクター2Bは、第1のプロジェクター2Aに対してユーザーの操作が行われ、この操作に対応して第1のプロジェクター2Aが出力するコマンドに従って動作する。
【0033】
2台のプロジェクター2A、2Bを近接配置した場合、リモコン50A、50Bが送信する赤外線信号を、2台のプロジェクター2A、2Bの両方が受信する混信が発生し得る。この混信を防止するため、例えば、2台のプロジェクター2A、2Bと2台のリモコン50A、50Bとにそれぞれ別のチャンネルを割り当てて、一方のプロジェクターが一方のリモコンが発した赤外線信号のみを検出する構成とすることができる。例えばリモコン50Aと第1のプロジェクター2Aにチャンネル1を割り当て、リモコン50Bと第2のプロジェクター2Bにチャンネル2を割り当てると、第1のプロジェクター2Aはリモコン50Aの操作にのみ反応し、第2のプロジェクター2Bはリモコン50Bの操作にのみ反応する。この構成において、第2のプロジェクター2Bがサブ動作モードで動作する場合、第2のプロジェクター2Bはリモコン50Bの操作に対しても応答しない。
【0034】
図3(A)は、第1のプロジェクター2AからスクリーンSCに投射された第1のガイド3Aを示す図である。第1のプロジェクター2Aは、制御部131の制御の下、光変調装置124の液晶パネルに第1のガイド3Aを形成し、スクリーンSCに投射する。本実施形態で例示する第1のガイド3Aは、投射領域全域に亘るバックグランド4Aが黒色に形成され、バックグランド4Aの4つの角部の各々には、白色の第1のドット5が4つずつ配置される。各角部に配置される4つのドットは、互いに所定の間隔を開けて、略長方形の各頂点位置に配置される。
【0035】
図3(B)は、第2のプロジェクター2BからスクリーンSCに投射された第2のガイド3Bを示す図である。本実施形態で例示する第2のプロジェクター2Bは、制御部231の制御の下、光変調装置224の液晶パネルに第2のガイド3Bを形成し、スクリーンSCに投射する。第2のガイド3Bは、投射領域全域に亘るバックグランド4Bが黒色に形成され、バックグランド4Bの4つの角部の各々には、白色の第2のドット8が1つずつ配置される。また、第2のガイド3Bには、投射領域の外縁に沿って4本の白色のライン9が配置される。ライン9は、第2のドット8を検出するために配置されている。
【0036】
プロジェクター2A,2Bのそれぞれから投射されるガイド3A,3Bは、その一例を
図3(A)、及び、
図3(B)に示したように、プロジェクター2A,2Bの投射領域内の複数の部分に、プロジェクター2A,2Bの投射位置を位置合わせするための情報を取得するための引照点であるドット5,8を有している。なお、これらの引照点が配置された複数の部分は、プロジェクター2A,2Bの投射位置を位置合わせするための情報を得るためにガイド3A,3Bを検出する部分である。
【0037】
第1のプロジェクター2AからスクリーンSCに投射された第1のガイド3Aと、第2のプロジェクター2BからスクリーンSCに投射された第2のガイド3BとはスクリーンSCに重ねて表示される。これにより、スクリーンSCには、
図3(C)に示すように、調整用ガイド(ガイド)3が形成される。調整用ガイド3には、黒色のバックグランド4上に、白色の第1のドット5、第2のドット8、及びライン9が表示される。なお、プロジェクター2A,2Bは、各第2のドット8が、4つの第1のドット5で囲まれた領域内に収まるように、ユーザー操作によって投射領域、投射位置、及び投射角度が調整される。
【0038】
上述したように、プロジェクター2Aの制御部131は、プロジェクター2A,2Bの投射位置を高精度に位置合わせするための情報を得て、プロジェクター2A,2Bの投射位置の補正を行う補正制御装置としての機能を果たす。
以下に、制御部131が補正制御装置として機能する際の、制御部131の動作を
図4、
図5のフローチャートを用いて説明する。
図4は、プロジェクター2A,2Bの投射位置を位置合わせする際の制御部131の動作を示すフローチャートである。まず、ユーザーにより、プロジェクター2A,2Bによりスタック投射を行う操作が入力操作部138あるいはリモコン50Aを介して行われると、制御部131は、コマンダープロジェクターである第1のプロジェクター2Aから第1のガイド3Aを、レシーバープロジェクターである第2のプロジェクター2Bから第2のガイド3Bを、スクリーンSCに投射させる(ステップS1)。詳述すると、制御部131は、記憶部142に記憶された第1のガイド3AをスクリーンSCに投射するとともに、通信制御部137を介して第2のプロジェクター2Bに第2のガイド3Bを投射させるコマンドを送信する。第2のプロジェクター2Bは、制御部231の制御の下、第2のガイド3BをスクリーンSCに投射する。第2のガイド3Bは、第1のプロジェクター2Aの記憶部142に記憶され、通信制御部137,237を介して第2のプロジェクター2Bに送信される構成であっても良いし、または、第2のプロジェクター2Bの記憶部242に記憶されている構成であっても良い。
【0039】
続いて、制御部131は、スクリーンSCに投射された調整用ガイド3に基づいて、第1の部分L1におけるプロジェクター2A,2Bの投射位置の補正量を算出する(ステップS2)。なお、補正量を算出する処理は、予め定義された所定の処理であり、補正量を算出する際の制御部131の動作については、後に詳述する。
上述したように、調整用ガイド3には、各角部に第1のドット5及び第2のドット8が配置されている。制御部131は、角部毎に、第1のドット5と第2のドット8の位置関係に基づいてプロジェクター2A,2Bの投射位置の補正量を算出する。なお、本実施形態では、第1の部分L1を調整用ガイド3の左上部、第2の部分L2を調整用ガイド3の右上部、第3の部分L3を調整用ガイド3の左下部、第4の部分L4を調整用ガイドの右下部としている。そして、第1の部分L1から第4の部分L4まで順番に、プロジェクター2A,2Bの投射位置の補正量を算出する構成としている。なお、投射位置の補正量を算出する順番は部分L1〜L4の中で、適宜に変更可能である。また、第1のドット5及び第2のドット8の配置位置、及び、配置する位置の数は、投射画面の大きさや形状等の投射条件に応じて適宜に変更可能である。
【0040】
このように、本実施形態で例示したガイド3A,3Bには、プロジェクター2A,2Bの投射位置の補正量を算出するための引照点であるドット5,8が、1つの第2のドット8が、4つの第1のドット5で囲まれた領域内に収まるように配置される。これにより、調整用ガイド3を検出する各部分L1〜L4について、第2のドット8と、第1のドット5の各々との位置関係に基づいて、補正量を算出することができ、投射位置を高精度に位置合わせするための情報をドット5,8の位置関係に基づいて取得することができる。また、ドット5,8が投射領域内の複数の部分に配置されているため、これらの複数の部分の各々についてプロジェクター2A,2Bの投射位置の補正量を算出することができ、プロジェクター2A,2Bの投射位置を高精度に位置合わせするための情報をガイド3A,3Bに基づいて取得することができる。
【0041】
次に、制御部131は、第1の部分L1についてプロジェクター2A,2Bの投射位置の補正量の算出処理が完了したか否かを判定する(ステップS3)。なお、制御部131は、ステップS2の結果、算出された補正量が出力されていれば補正量の算出処理が完了したと判定する(ステップS3:Yes)。一方、ステップS2の結果、補正量算出エラーが出力されていれば、制御部131は、補正量の算出処理は完了していないと判定する(ステップS3:No)。補正量の算出処理は完了していないと判定した場合(ステップS3:No)、制御部131は、画像調整失敗の旨を出力し(ステップS12)、プロジェクター2A,2Bの投射位置の位置調整を行う補正処理を終了する。なお、制御部131は、画像調整失敗の旨を本体120に備えられたLEDを点滅や点灯させることで、画像調整が失敗した旨をユーザーに知らせる構成であっても良い。
【0042】
第1の部分L1について補正量の算出処理が完了したと判定した場合には(ステップS3:Yes)、制御部131は、続いて第2の部分L2におけるプロジェクター2A,2Bの投射位置の補正量を算出する(ステップS4)。なお、詳細については後述するが、ステップS6、及びステップS8においても同様の処理が行われる。
次に、制御部131は、第2の部分L2についてプロジェクター2A,2Bの投射位置の補正量の算出処理が完了したか否かを判定する(ステップS5)。第2の部分L2について補正量の算出処理は完了していないと判定した場合(ステップS5:No)、制御部131は、画像調整失敗の旨を出力する(ステップS12)。
第2の部分L2について補正量の算出処理が完了したと判定した場合には(ステップS5:Yes)、制御部131は、続いて第3の部分L3におけるプロジェクター2A,2Bの投射位置の補正量を算出する(ステップS6)。次に、制御部131は、第3の部分L3についてプロジェクター2A,2Bの投射位置の補正量の算出処理が完了したか否かを判定する(ステップS7)。第3の部分L3について補正量の算出処理は完了していないと判定した場合(ステップS7:No)、制御部131は、画像調整失敗の旨を出力する(ステップS12)。
【0043】
第3の部分L3について補正量の算出処理が完了したと判定した場合には(ステップS7:Yes)、制御部131は、続いて第4の部分L4におけるプロジェクター2A,2Bの投射位置の補正量を算出する(ステップS8)。次に、制御部131は、第4の部分L4についてプロジェクター2A,2Bの投射位置の補正量の算出処理が完了したか否かを判定する(ステップS9)。第4の部分L4について補正量の算出処理は完了していないと判定した場合(ステップS9:No)、制御部131は、画像調整失敗の旨を出力する(ステップS12)。
第4の部分L4について補正量の算出処理が完了したと判定した場合には(ステップS9:Yes)、制御部131は、続いて算出した各部分L1〜L4における補正量に基づいて、第1のプロジェクター2Aの画像を補正する。制御部131は、第1のプロジェクター2Aの投射画像101を第2のプロジェクター2Bの投射画像102に合わせるように投射位置を補正することで、プロジェクター2A,2Bの投射位置を高精度に位置合わせする。なお、制御部131は、第1のプロジェクター2Aの投射画像を光学的、または電子的に補正して、プロジェクター2A,2Bの投射位置の位置合わせを行う(ステップS10)。
制御部131は、各部分L1〜L4について算出した補正量に基づくプロジェクター2A,2Bの投射位置の位置合わせを完了すると、画像調整完了の旨を出力し(ステップS11)、プロジェクター2A,2Bの投射位置の位置調整を行う補正処理を終了する。なお、制御部131は、本体120に備えられたLEDを点滅や点灯させることで、プロジェクター2A,2Bの投射位置の位置調整を行う補正処理が終了した旨をユーザーに知らせる構成であっても良い。
【0044】
次に、
図5のフローチャートを用いて、上述したステップS2、S4、S6、S8に相当する処理である、各部分L1〜L4の補正量を算出する際の制御部131の動作について説明する。
制御部131は、スクリーンSCに投射された調整用ガイド3に基づいてプロジェクター2A,2Bの投射位置の補正量を部分L1〜L4毎に算出する際に、まず撮影制御部151の機能により撮影部143を制御し、スクリーンSCに重なり合って表示されているガイド3A,3Bを撮影する(ステップS21)。撮影部143の撮影画像50には、
図3(C)に示されているように、調整用ガイド3全体が撮影される。続いて制御部131は、画像解析部152の機能により撮影画像50の特定の領域について調整用ガイド3が検出できるか否かを判定する(ステップS22)。特定の領域とは、第1の部分L1、第2の部分L2、第3の部分L3、第4の部分L4のいずれかの領域である。本実施形態では、第1の部分L1から順に撮影部143の撮影画像50に基づいて補正量を算出する。
【0045】
ところで、スクリーンSCに対する環境光や照明などの設置環境の影響、あるいは、設置環境の影響によるスクリーンSCの反射量がスクリーンSC上で一様ではない。そのため、撮影画像50の一部が白とびや黒つぶれする場合がある。撮影画像50の白とびや黒つぶれした部分が調整用ガイド3を検出する部分L1〜L4で発生した場合には、当該部分L1〜L4らは、調整用ガイド3が検出できなくなってしまう。撮影画像50中に調整用ガイド3が検出できない部分がある場合には、撮影部143の撮影画像50からプロジェクター2A,2Bの投射位置を高精度に位置合わせするための補正量を算出できなくなってしまう。本実施形態は、プロジェクションシステム1の設置環境やスクリーンSCの反射量に因って撮影画像50から調整用ガイド3が検出できなくなるのを防止する方法を提供するものであり、撮影条件を変えて複数回撮影することで、良好な撮影画像50を取得するものである。
【0046】
撮影部143の撮影画像50の第1の部分L1について調整用ガイド3が検出できないと判定した場合(ステップS22:No)、制御部131は、検出判定回数が規定回数以内か否かを判定する(ステップS25)。各部分L1〜L4について調整用ガイド3が検出できるか否かを判定する検出判定回数は、予め定められており、検出判定回数が規定回数をオーバーした場合には(ステップS25:Yes)、制御部131は、補正量算出エラーを出力して、補正量の算出処理を終了する。撮影画像50の特定部分について、調整用ガイド3の検出判定回数が規定回数以内の場合には(ステップS25:No)、制御部131は、撮影制御部151の機能により、撮影部143の撮影条件を変更し(ステップS27)、再びスクリーンSCに投射された調整用ガイド3を撮影部143により撮影する。本実施形態では、調整用ガイド3が検出できない場合には、撮影制御部151は、撮影条件として露出を変更して撮影画像50を撮影する。撮影制御部151は、撮影部143の露出を複数段に変化させることができ、露出を変えて調整用ガイド3を複数回撮影することで、スクリーンSCの設置環境に因る撮影画像50に対する影響を除去することができる。なお、撮影制御部151は、撮影部143のシャッタースピード、ISO感度、及び、レンズ絞りのいずれか、或いは、其々を調整して、露出を変更する。
【0047】
撮影部143の撮影画像50の第1の部分L1について調整用ガイド3を検出できた場合には(ステップS22:Yes)、制御部131は、補正制御部153の機能により、撮影画像50から検出した調整用ガイド3のドット5,8の位置関係に基づいて、プロジェクター2A,2Bの投射位置を補正するための補正量を算出する(ステップS23)。つまり、制御部131は、撮影部143の撮影画像50から、プロジェクター2A,2Bの投射位置を高精度に位置合わせするための情報を取得する。制御部131は、算出した補正量を出力し(ステップS24)、第1の部分L1における補正量を算出する処理を終了する。
制御部131は、第2の部分L2、第3の部分L3、第4の部分L4についても同様に、ステップS21〜ステップS27の処理を行い、各部分L2〜L4について補正量を算出する。なお、各部分L1〜L4の補正量を算出するための画像を撮影する際には、先の撮影で調整用ガイド3の検出に成功した露出を、後の撮影に最初に適用する構成であっても良い。つまり、第1の部分L1について補正量を算出した後に、第2の部分L2について補正量を算出する際には、第1の部分L1について調整用ガイド3の検出に成功した露出を、第2の部分L2についての補正量を算出するための画像を最初に撮影する際に適用する構成であっても良い。
これらの構成によれば、スクリーンSCに投射されたガイドを撮影する際には、環境光や照明の影響またはこれらの影響によるスクリーンSCの各部の反射量等の状況の変化に応じて、露出を変更して複数回撮影する。これにより、環境光の経時的な変化や、照明に対するスクリーンの各部における反射量の違いに対応して、撮影画像50から調整用ガイド3を確実に検出することができる。また、スクリーンSCに投射された調整用ガイド3を撮影するシーケンスと、撮影画像中の調整用ガイド3に基づいて補正量を算出し、プロジェクター2A,2Bの投射位置を補正するシーケンスとを一連の流れに統合することができ、投射位置の補正処理の高速化が可能になる。
【0048】
また、本実施形態の構成によれば、撮影部143は、上述したように、第1のプロジェクター2Aの本体120内に収容されている。この構成によれば、第1のプロジェクター2Aと撮影部143が一体であるため、スクリーンSCに投射されている調整用ガイド3を露出を変更して複数回撮影しても、撮影部143の撮影画像50間に位置ずれが生じることがない。これにより、各部分L1〜L4の補正量を、別々の画像を用いて算出することができ、露出を変更して複数回撮影した複数の撮影画像50から、部分L1〜L4の調整用ガイド3をそれぞれ検出できるようにすることができる。
【0049】
以上説明したように、本発明を適用した実施形態に係る制御部(補正制御装置)131によれば、プロジェクター2A,2BによりスクリーンSCに投射された調整用ガイド3を撮影部143により撮影させる撮影制御部151と、撮影部143の撮影画像50から調整用ガイド3を検出する画像解析部152と、を備え、撮影制御部151は、画像解析部152により撮影画像50から調整用ガイド3を検出できない場合に、露出に係る設定を変更して撮影部143により再度撮影を実行させる。つまり、制御部131は、撮影画像50から調整用ガイド3を検出できない場合には、露出を変更して撮影部143により複数回撮影する。これにより、スクリーンSCに対する環境光や照明などの設置環境に対応して撮影条件を変化させることで、良好な撮影画像を得ることができるため、撮影画像50の調整用ガイド3を検出する部分で白とびや黒つぶれが発生して調整用ガイド3が検出できなくなることがない。よって、制御部131は、プロジェクター2A,2Bの投射位置を高精度に位置合わせするための情報を撮影画像50から確実に取得することができる。
【0050】
また、画像解析部152により検出された調整用ガイド3に基づいて、プロジェクター2A,2Bの投射位置を補正するための情報を取得する補正制御部153を備えた。これにより、撮影部143の撮影画像50から画像解析部152により調整用ガイド3を検出し、この検出した調整用ガイド3に基づいて、プロジェクター2A,2Bの投射位置を位置合わせするための情報を確実に取得することができる。
【0051】
また、画像解析部152に対し、撮影画像50において調整用ガイド3が検出されるべき位置が予め指定され、画像解析部152は、この指定された位置において調整用ガイド3を検出する。これにより、画像解析部152は、指定された位置において調整用ガイド3が検出できるか否かを判定すれば良く、撮影部143の撮影画像50からの調整用ガイド3の検出の可否をすみやかにに判定することができる。従って、画像解析部152の解析処理を高速化することができ、制御部131の画像解析処理を瞬時に行うことができるため、プロジェクター2A,2Bの投射位置を位置合わせするための情報を高速に取得することができる。
【0052】
また、画像解析部152は、撮影画像50の複数の位置において調整用ガイド3を検出するので、調整用ガイド3の表示結果がスクリーンSCの設置環境や反射量に因って大きく左右されても撮影画像50から調整用ガイド3を確実に検出することができる。従って、プロジェクター2A,2Bが画像を投射するスクリーンSCの投射面に対してプロジェクションシステム1の設置環境の影響が一様ではなく、調整用ガイド3の撮影部143による撮影結果が一様ではない場合でも、撮影画像50から調整用ガイド3を検出することができる。よって、プロジェクター2A,2Bの投射位置を位置合わせするための情報を撮影画像50から確実に取得することができる。
【0053】
また、撮影制御部151は、画像解析部152により撮影画像50のいずれかの位置において調整用ガイド3が検出された後、他の位置で調整用ガイド3が検出されない場合に、露出に係る設定を変更して撮影部143により再度撮影を実行させる。これにより、ガイドを検出する位置毎に露出を変更して撮影するため、スクリーンSCに対する環境光や照明などの設置環境の影響、あるいは、設置環境の影響によるスクリーンSCの反射量がスクリーンSC上で一様ではない場合でも、露出の異なる複数の撮影画像50から、複数の位置における調整用ガイド3の各々を確実に検出することができる。従って、プロジェクションシステム1の設置環境の影響を排除し、プロジェクター2A,2Bの投射位置を位置合わせするための情報を確実に取得することができる。
【0054】
また、本発明を適用した実施形態に係る補正方法によれば、プロジェクター2A,2BによりスクリーンSCに投射された調整用ガイド3を撮影部により撮影させ、撮影画像50から調整用ガイド3を検出し、撮影画像50から調整用ガイド3を検出できない場合に、露出に係る設定を変更して撮影部143により再度撮影を実行させる。これにより、スクリーンSCに対する環境光や照明などの設置環境に起因する影響により、撮影画像50が白とびや黒つぶれした場合には、露出を変えて調整用ガイド3を再度撮影するため、撮影画像から調整用ガイド3が検出できなくなることがない。よって、プロジェクター2A,2Bの投射位置を位置合わせするための情報を撮影画像50から確実に取得することができる。
【0055】
また、本発明を適用した実施形態に係る第1のプロジェクター2Aによれば、スクリーンSCに画像を投射する投射部110と、スクリーンSCを撮影する撮影部143と、スクリーンSCに調整用ガイド3が投射された状態で撮影部143により撮影を実行させる撮影制御部151と、撮影部143の撮影画像50から調整用ガイド3を検出する画像解析部152と、を備え、撮影制御部151は、画像解析部152により撮影画像50から調整用ガイド3を検出できない場合に、露出に係る設定を変更して撮影部143により再度撮影を実行させる。これにより、スクリーンSCに対する環境光や照明などの設置環境に起因する影響により、撮影画像50が白とびや黒つぶれした場合には、露出を変えて調整用ガイド3を再度撮影するため、撮影画像から調整用ガイド3が検出できなくなることがない。よって、プロジェクター2A,2Bの投射位置を位置合わせするための情報を撮影画像50から確実に取得することができる。
【0056】
また、撮影制御部151は、スクリーンSCに、投射部110により第1のガイド3Aが投射され、かつ、他の第2のプロジェクター2Bによって別の第2のガイド3Bが投射された状態で撮影部143により撮影を実行させ、画像解析部152は、投射部110により投射された第1のガイド3Aと、他の第2のプロジェクター2Bにより投射された第2のガイド3Bとを検出し、撮影制御部151は、画像解析部152によって、投射部110が投射した第1のガイド3Aと他の第2のプロジェクター2Bにより投射された第2のガイドと3Bのいずれかを撮影画像50から検出できない場合に、露出に係る設定を変更して撮影部143により再度撮影を実行させる。これにより、撮影画像50から、第1のガイド3Aと、第2のガイド3Bとを確実に検出することができる。よって、撮影画像50から検出した第1のガイド3Aと第2のガイド3Bとに基づいて、プロジェクター2A,2Bの投射位置を位置合するための情報を確実に取得することができる。
【0057】
なお、上記の実施形態は本発明を適用した具体的態様の例に過ぎず、本発明を限定するものではなく、上記実施形態とは異なる態様として本発明を適用することも可能である。例えば、上記の実施形態では、各々のプロジェクター2A、2Bと画像出力装置7とが画像送信ケーブル41を介して有線接続される構成を例に挙げて説明したが、各プロジェクター2A、2Bと、外部の画像出力装置7との接続形態は任意であって、例えば、無線LAN、Bluetooth(登録商標)等を用いた無線通信により、あるいはUSB等の汎用データ通信ケーブルや有線LAN等を用いた有線通信により相互に接続され、画像データを送受信する構成としてもよい。また、プロジェクター2A、2Bは、無線LAN、Bluetooth(登録商標)等を用いた無線通信により、またはUSB等の汎用データ通信ケーブルや有線LAN等を用いた有線通信により相互に接続されるが、制御情報を送受信可能であれば、具体的な接続形態は任意である。
また、
図2に示したプロジェクター2A、2Bの各機能部は、ハードウェアとソフトウェアとの協働により実現される機能的構成を含み、その具体的な実装形態は特に制限されない。その他、プロジェクター2A、2B、画像出力装置7を含むプロジェクションシステム1の各部の具体的な細部構成についても、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で任意に変更可能である。
【0058】
また、上記の実施形態では、第1のプロジェクター2Aの制御部131が補正制御装置として機能する構成としたが、これに限らず、補正制御装置は、プロジェクター2A,2Bとは別体に備えられている構成であっても良い。
また、上記の実施形態では、撮影部143の撮影条件のうち露出を変更して、異なる露出で複数回撮影することで、設置環境の影響に対応して良好な撮影画像50を得る構成としたが、これに限らず、撮影部143のホワイトバランスやフォーカス等の撮影条件を変更する構成であっても良い。そして、スクリーンSCの反射量の影響により調整用ガイド3を検出できない場合には露出を変更し、環境光や照明の影響により調整用ガイド3を検出できない場合にはホワイトバランスを変更し、撮影画像50のピントが外れているために調整用ガイド3を検出できない場合にはフォーカスを変更するといったように、調整用ガイド3が不検出となった理由に応じて撮影条件を変更する構成であってもよい。
また、上記の実施形態では、2台のプロジェクター2A、2Bによる投射画像101、102をスクリーンSC上で重畳して表示する際に画像の投射位置を高精度に位置合せるための情報を取得する構成を例に挙げて説明した。しかし、本発明は、複数のプロジェクターを並べて配置し、これら複数のプロジェクターによる投射画像を組み合わせて、タイリング表示により一つの大画面画像を投射する際に、画像の重ね合せ部分の各々について露出を変えて撮影することで、タイリングの境界を高精度に位置合わせするための情報を撮影画像から確実に取得する構成としてもよい。