(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記設定内容を識別する第1の識別情報と、前記設定内容の対象となる通信機器の識別情報である第2の識別情報とが対応付けられた条件リストを記憶する記憶部をさらに有し、
前記選択部は、
前記条件リストを参照して、前記設定内容として前記第1の識別情報を順次選択し、
前記設定部は、
前記条件リストを参照して、前記選択部によって選択された第1の識別情報が示す設定内容に従って、前記選択部によって選択された第1の識別情報に対応付けられた前記第2の識別情報が示す通信機器に設定を行うことを特徴とする請求項1に記載の通信機器設定装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本願の開示する通信機器設定装置の実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態は開示の技術を限定するものではない。また、各実施形態は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【0013】
[通信機器設定システム10]
図1は、通信機器設定システム10の一例を示す図である。通信機器設定システム10は、通信機器設定装置20、電力供給装置11、通信インターフェイス装置12、および複数のスイッチ装置13−1〜13−nを有する。なお、以下では、スイッチ装置13−1〜13−nのそれぞれを区別することなく総称する場合にスイッチ装置13と記載する。
【0014】
スイッチ装置13は、例えばレイヤ3スイッチ等の通信機器である。それぞれのスイッチ装置13は、通信ケーブル14を介して、1以上の他のスイッチ装置13と接続される。それぞれのスイッチ装置13は、通信ケーブル14を介して他のスイッチ装置13との間で通信データの送信および受信を行う。また、それぞれのスイッチ装置13は、電源ケーブル15を介して電力供給装置11に接続され、電力供給装置11から電力が供給された場合に、供給された電力を用いて動作する。本実施形態において、スイッチ装置13は、電力が供給されることによりリセットスタートし、スイッチ装置13内の不揮発性のメモリに保持された設定に従って動作を開始する。
【0015】
また、それぞれのスイッチ装置13は、保守ポートを有する。それぞれのスイッチ装置13の保守ポートは、通信ケーブル16を介して通信インターフェイス装置12に接続される。それぞれのスイッチ装置13は、通信インターフェイス装置12を介して通信機器設定装置20から受信した情報に従って、初期設定や機能設定を行う。
【0016】
ここで、本実形態において、それぞれのスイッチ装置13に対して行われる初期設定には、例えば、ブロッキングポートの設定、STPに関する設定、およびVLAN(Virtual Local Area Network)に関する設定等が含まれる。また、複数のスイッチ装置13が連係して仮想的な一つのネットワークスイッチのように振舞うクラスタを構成する場合、それぞれのスイッチ装置13に対して行われる初期設定には、クラスタ内の位置情報等の設定が含まれる。
【0017】
また、本実形態において、複数のスイッチ装置13を対象として行われる機能設定には、例えば、複数のスイッチ装置13が連係して仮想的な一つのネットワークスイッチのように振舞うクラスタを構成する場合のクラスタ単位の設定が含まれる。クラスタ単位の設定としては、クラスタの構造や構成の設定、あるいは、クラスタ単位のアドレス割り当て等が含まれる。複数のスイッチ装置13を含むグループを対象として行われる機能設定は、設定対象のグループに含まれるいずれかのスイッチ装置13を介して行われる。機能設定が行われたスイッチ装置13は、グループ内の他のスイッチ装置13に対して、自律的に設定を行う。そのため、複数のスイッチ装置13を含むグループを対象として行われる機能設定では、設定対象となるグループに含まれる複数のスイッチ装置13同士が結線されていることが前提となる。
【0018】
電力供給装置11は、通信ポートと複数の電源コネクタを有する。電力供給装置11の通信ポートは、通信ケーブル17を介して通信機器設定装置20に接続されている。それぞれの電源コネクタには、それぞれの電源コネクタを識別するコネクタ番号が割り当てられている。それぞれの電源コネクタには、電源ケーブル15を介していずれかのスイッチ装置13が接続される。
【0019】
電力供給装置11は、通信ケーブル17を介して通信機器設定装置20から電力の供給を開始する電源コネクタのコネクタ番号を指示する制御信号を受信した場合に、該コネクタ番号に対応する電源コネクタへの電力供給を開始する。これにより、電源ケーブル15を介して電源コネクタに接続されたスイッチ装置13に電力が供給され、スイッチ装置13が動作を開始する。
【0020】
また、電力供給装置11は、通信ケーブル17を介して通信機器設定装置20から電力の供給を停止する電源コネクタのコネクタ番号を指示する制御信号を受信した場合に、該コネクタ番号に対応する電源コネクタへの電力供給を停止する。これにより、電源ケーブル15を介して電源コネクタに接続されたスイッチ装置13に供給されていた電力が遮断され、スイッチ装置13が動作を停止する。
【0021】
通信インターフェイス装置12は、複数の通信ポートを有する。それぞれの通信ポートには、それぞれの通信ポートを識別するポート番号が割り当てられている。複数の通信ポートの中の1つは、通信ケーブル18を介して通信機器設定装置20に接続されている。残りの通信ポートのそれぞれには、通信ケーブル16を介していずれかのスイッチ装置13が接続される。
【0022】
通信インターフェイス装置12は、通信機器設定装置20からポート番号と共に通信データを受信した場合、受信した通信データを、該通信データと共に受信したポート番号に対応する通信ポートに接続されたスイッチ装置13へ送信する。また、通信インターフェイス装置12は、スイッチ装置13から通信データを受信した場合に、受信した通信データを、該通信データを受信した通信ポートのポート番号と共に、通信ケーブル18を介して通信機器設定装置20へ送信する。
【0023】
本実施形態において、電力供給装置11は、初期状態では、いずれの電源コネクタにも電力を供給しない。そのため、それぞれのスイッチ装置13は、電源ケーブル15を介して電力供給装置11に接続されても、初期状態ではいずれも起動しない。そのため、それぞれのスイッチ装置13が、通信ケーブル14によって他のスイッチ装置13に接続された結果、複数のスイッチ装置13がループ状あるいはメッシュ状に結線された場合であっても、初期状態では通信データの無限転送は発生しない。
【0024】
また、本実施形態では、複数のスイッチ装置13の設置作業および結線作業が行われ、結線作業が完了した後に、それぞれのスイッチ装置13の設定作業が行われる。複数のスイッチ装置13の結線作業には、それぞれのスイッチ装置13を電源ケーブル15を介して電力供給装置11の電源コネクタに接続する作業と、それぞれのスイッチ装置13を通信ケーブル14を介して他のスイッチ装置13に接続する作業とが含まれる。また、複数のスイッチ装置13の結線作業には、それぞれのスイッチ装置13を通信ケーブル16を介して通信インターフェイス装置12の通信ポートに接続する作業も含まれる。
【0025】
[通信機器設定装置20]
通信機器設定装置20は、例えば
図1に示すように、記憶部21、電力供給制御部22、設定制御部23、および設定部24を有する。記憶部21は、機器リスト210、条件リスト211、順番リスト212、および複数の設定スクリプト213−1〜213−nを記憶する。なお、以下では、設定スクリプト213−1〜213−nのそれぞれを区別することなく総称する場合に設定スクリプト213と記載する。記憶部21内の情報は、通信機器設定装置20のユーザ等によって予め作成されて記憶部21内に格納される。
【0026】
図2は、機器リスト210の一例を示す図である。機器リスト210には、例えば
図2に示すように、それぞれのスイッチ装置13を識別する機器ID2100に対応付けて、ポート番号2101、およびコネクタ番号2102が格納されている。ポート番号2101は、機器ID2100で識別されるスイッチ装置13が接続されている通信インターフェイス装置12の通信ポートを識別する情報である。コネクタ番号2102は、機器ID2100で識別されるスイッチ装置13が接続されている電力供給装置11の電源コネクタを識別する情報である。
【0027】
図2に例示した機器リスト210を参照すると、例えば、機器ID2100が「E001」のスイッチ装置13に、ポート番号2101が「P001」である通信インターフェイス装置12の通信ポートが接続されていることが分かる。また、例えば、機器ID2100が「E001」のスイッチ装置13に、コネクタ番号2102が「C001」である電力供給装置11の電源コネクタが接続されていることが分かる。
【0028】
図3は、条件リスト211の一例を示す図である。条件リスト211には、それぞれの設定スクリプト213を識別するスクリプトID2110に対応付けて、スクリプト名2111、対象機器ID2112、および起動機器ID2113が格納されている。ここで、設定スクリプト213には、例えば
図4に示すように、設定に用いられる一連のコマンドおよびデータが含まれる。設定スクリプト213に含まれる一連のコマンドおよびデータは、設定内容の一例である。
【0029】
スクリプト名2111は、スクリプトID2110で識別される設定スクリプト213の名称である。対象機器ID2112は、スクリプトID2110で識別される設定スクリプト213に基づいて通信機器設定装置20との間で設定に関する通信を行うスイッチ装置13の機器IDである。
【0030】
例えば、個々のスイッチ装置13の初期設定に関する設定スクリプト213のスクリプトIDについては、初期設定の対象となる1台のスイッチ装置13の機器IDが対象機器ID2112として条件リスト211に格納される。また、クラスタ等のように複数のスイッチ装置13を含むグループに対する機能設定に関する設定スクリプト213のスクリプトIDについては、グループ内のいずれか1台のスイッチ装置13の機器IDが対象機器ID2112として条件リスト211に格納される。複数のスイッチ装置13を含むグループに対する機能設定では、グループに含まれる1台のスイッチ装置13に対して機能設定が行われ、該スイッチ装置13が、グループ内の他のスイッチ装置13に対して自律的に設定を行う。これにより、グループ全体の機能設定が行われる。
【0031】
起動機器ID2113は、スクリプトID2110で識別される設定スクリプト213によって設定される1台以上のスイッチ装置13の機器IDである。個々のスイッチ装置13の初期設定に関する設定スクリプト213のスクリプトIDについては、初期設定の対象となる1台のスイッチ装置13の機器IDが起動機器ID2113として条件リスト211に格納される。また、クラスタ等のように複数のスイッチ装置13を含むグループに対する機能設定に関する設定スクリプト213のスクリプトIDについては、グループ内の全てのスイッチ装置13の機器IDが起動機器ID2113として条件リスト211に格納される。
【0032】
図3に例示した条件リスト211を参照すると、例えば、スクリプトID2110が「S002」の設定スクリプト213が実行される場合、スクリプト名2111が「Switches.txt」の設定スクリプト213が用いられることが分かる。また、スクリプトID2110が「S002」の設定スクリプト213が実行される場合、対象機器ID2112が「E001」のスイッチ装置13に対して設定スクリプト213に従ったコマンドおよびデータが送信されることが分かる。また、スクリプトID2110が「S002」の設定スクリプト213が実行される場合、起動機器ID2113に含まれる「E001」のスイッチ装置13と「E002」のスイッチ装置13とを起動させればよいことが分かる。
【0033】
図5は、順番リスト212の一例を示す図である。順番リスト212には、実行の順序を示す実行順番2120に対応付けて、スクリプトID2121が格納されている。
図5に例示した順番リスト212を参照すると、設定スクリプト213の実行順序が、例えば、「S001」、「S003」、「S002」であることが分かる。なお、本実施形態の順番リスト212では、各スイッチ装置13の初期設定に関する設定スクリプトが、複数のスイッチ装置13を対象とする機能設定に関する設定スクリプトよりも先に実行されるように、各設定スクリプトに実行順番が割り当てられている。
【0034】
図1に戻って説明を続ける。設定制御部23は、ユーザから設定開始指示を受け付けた場合に、記憶部21内の順番リスト212に格納された実行順番に従ってスクリプトIDを順次選択する。設定制御部23は、選択したスクリプトIDを電力供給制御部22へ送信する。そして、電力供給制御部22から電力制御完了を通知された場合に、設定制御部23は、選択したスクリプトIDを設定部24へ送信する。そして、設定制御部23は、設定部24から設定完了を通知された場合に、順番リスト212を参照して、次の実行順番に対応するスクリプトIDを選択する。
【0035】
電力供給制御部22は、設定制御部23からスクリプトIDを受信した場合に、記憶部21内の条件リスト211を参照し、設定制御部23から受信したスクリプトIDに対応付けられている起動機器IDを特定する。そして、電力供給制御部22は、機器リスト210を参照して、特定した起動機器IDに含まれている機器ID毎に、該機器IDに対応するスイッチ装置13が接続されている電力供給装置11の電源コネクタのコネクタ番号を特定する。
【0036】
そして、電力供給制御部22は、特定したコネクタ番号に対応する電源コネクタにのみ電力を供給するように、通信ケーブル17を介して電力供給装置11に制御信号を送信する。これにより、電力供給装置11は、電力供給制御部22が特定したコネクタ番号の電源コネクタにのみ電力を供給する。そして、電力供給制御部22は、電力制御完了を設定制御部23に通知する。
【0037】
設定部24は、設定制御部23からスクリプトIDを受信した場合に、記憶部21内の条件リスト211を参照し、設定制御部23から受信したスクリプトIDに対応付けられているスクリプト名を特定する。そして、設定部24は、特定したスクリプト名に対応する設定スクリプト213を記憶部21から取得する。
【0038】
次に、設定部24は、記憶部21内の条件リスト211を参照し、設定制御部23から受信したスクリプトIDに対応付けられている対象機器IDを特定する。そして、設定部24は、記憶部21内の機器リスト210を参照し、特定した対象機器IDと同一の機器IDに対応付けられているポート番号を特定する。
【0039】
そして、設定部24は、記憶部21から取得した設定スクリプト213に従ってコマンドおよびデータを逐次生成し、生成したコマンドおよびデータを、機器リスト210を参照して特定したポート番号と共に、通信インターフェイス装置12へ送信する。通信インターフェイス装置12は、設定部24から逐次受信したコマンドおよびデータを、通信機器設定装置20から受信したポート番号に対応する通信ポートに接続されたスイッチ装置13へ送信する。これにより、電力供給制御部22によって電力が供給されたスイッチ装置13に対して、設定スクリプト213に従った設定が行われる。設定スクリプト213に従った設定が終了した場合、設定部24は、設定完了を設定制御部23に通知する。
【0040】
ここで、本実施形態の順番リスト212では、個々のスイッチ装置13の初期設定に関する設定スクリプトが、複数のスイッチ装置13の機能設定に関する設定スクリプトよりも先に実行されるように、それぞれの設定スクリプトに実行順番が割り当てられる。また、条件リスト211には、設定スクリプトのスクリプトIDに対応付けて、該設定スクリプトによって設定が行われる全てのスイッチ装置13の機器IDが起動機器IDとして登録されている。
【0041】
そして、電力供給制御部22は、設定制御部23からスクリプトIDを受信した場合に、該スクリプトIDに対応付けられている起動機器IDを条件リスト211内で特定する。そして、電力供給制御部22は、特定した起動機器IDに含まれる機器IDに対応するスイッチ装置13にのみ電力を供給させる。そのため、設定スクリプトによって設定が行われるスイッチ装置13以外のスイッチ装置13については、電力が供給されず、起動しない。そのため、個々のスイッチ装置13の初期設定が行われる場合には、設定対象となるスイッチ装置13にのみ電力が供給され、他のスイッチ装置13には電力が供給されない。
【0042】
これにより、複数のスイッチ装置13について結線作業が既に行われ、ループを形成するように接続が行われた場合であっても、個々のスイッチ装置13の初期設定が完了するまでは、ループを構成するスイッチ装置13が全て起動することはない。そのため、個々のスイッチ装置13に初期設定を行う段階では、通信データの無限転送は発生せず、ブロッキングポートやアグリゲーションポートの設定を行うことができる。
【0043】
個々のスイッチ装置13に、ブロッキングポートやアグリゲーションポートの設定が行われた後であれば、ループ状に結線された複数のスイッチ装置13が起動した場合であっても、通信データの無限転送は発生しない。そのため、個々のスイッチ装置13に対する初期設定が完了した後に、複数のスイッチ装置13を対象としたクラスタ設定等の設定を引き続き実行することができる。
【0044】
このように、設定の対象となる最小限の数のスイッチ装置13にのみ順次電力が供給され、個々のスイッチ装置13の初期設定がます先に行われる。これにより、複数のスイッチ装置13がループ状に結線された場合であっても、通信データの無限転送を発生させることなく、個々のスイッチ装置13の初期設定を完了させることができる。そのため、複数のスイッチ装置13の結線作業であるハードウェアに関する作業を先にまとめて完了させた後に、個々のスイッチ装置13の初期設定および複数のスイッチ装置13を対象とする機能設定を含むソフトウェアに関する作業をまとめて行うことができる。
【0045】
これにより、ハードウェアに関する作業を行った作業者と、ソフトウェアに関する作業を行う作業者との作業の引き継ぎの回数を少なくすることができる。これにより、引継ぎにおける連絡ミスを抑制することができる。また、引継ぎにおける連絡ミスを防止するための確認や報告の作業を省くことができるため、全体の作業時間を短縮することができる。
【0046】
[通信機器設定装置20の動作]
図6は、通信機器設定装置20の動作の一例を示すフローチャートである。本フローチャートに先立って、設定対象のスイッチ装置13の設置および結線の作業が行われる。そして、設置および結線の作業が終了した後に、通信機器設定装置20のユーザから設定開始の指示を受け付けた場合、通信機器設定装置20は、本フローチャートに示す動作を開始する。
【0047】
まず、設定制御部23は、変数iに1をセットする(S100)。そして、設定制御部23は、記憶部21内の順番リスト212を参照して、i番目のスクリプトIDを特定する(S101)。そして、設定制御部23は、特定したスクリプトIDを電力供給制御部22へ送信する。
【0048】
次に、電力供給制御部22は、後述する電力供給制御処理を実行する(S200)。そして、電力供給制御部22は、電力制御完了を設定制御部23に通知する。そして、設定制御部23は、ステップS101において特定したスクリプトIDを設定部24へ送信する。設定部24は、後述する設定処理を実行する(S300)。そして、設定部24は、設定完了を設定制御部23に通知する。
【0049】
次に、設定制御部23は、変数iに1を加算する(S102)。そして、設定制御部23は、変数iの値が定数M以下か否かを判定する(S103)。定数Mは、記憶部21内の設定スクリプト213の数である。変数iの値がM以下である場合(S103:Yes)、設定制御部23は、再びステップS101に示した処理を実行する。一方、変数iの値がMより大きい場合(S103:No)、即ち、全ての設定スクリプトの実行が終了した場合、通信機器設定装置20は、本フローチャートに示した処理を終了する。
【0050】
なお、全ての設定スクリプトの実行が終了した場合、電力供給制御部22は、全てのスイッチ装置13への電力供給を開始するように電力供給装置11を制御することで、複数のスイッチ装置13により構成されるシステムの運用を開始させてもよい。
【0051】
[電力供給制御処理]
図7は、電力供給制御処理の一例を示すフローチャートである。
【0052】
まず、電力供給制御部22は、条件リスト211を参照して、設定制御部23から受信したスクリプトIDに対応付けられた起動機器IDを特定する(S201)。そして、記憶部21から機器リスト210を取得する(S202)。
【0053】
次に、電力供給制御部22は、機器リスト210内で、未選択の機器IDを1つ選択する(S203)。そして、電力供給制御部22は、機器リスト210を参照して、選択した機器IDに対応付けられているコネクタ番号を特定する。そして、電力供給制御部22は、特定したコネクタ番号に対応する電源コネクタに電力が供給されているか否かを判定する(S204)。なお、電力供給制御部22は、電力供給装置11の各電源コネクタの電力供給状態を管理している。
【0054】
特定したコネクタ番号に対応する電源コネクタに電力が供給されている場合(S204:Yes)、電力供給制御部22は、ステップS203で選択した機器IDが、ステップS201で特定した起動機器IDに含まれているか否かを判定する(S205)。ステップS203で選択した機器IDが、ステップS201で特定した起動機器IDに含まれている場合(S205:Yes)、電力供給制御部22は、ステップS207に示す処理を実行する。
【0055】
一方、ステップS203で選択した機器IDが、ステップS201で特定した起動機器IDに含まれていない場合(S205:No)、電力供給制御部22は、機器リスト210を参照する。そして、電力供給制御部22は、ステップS203で選択した機器IDに対応付けられているコネクタ番号を特定する。そして、電力供給制御部22は、特定したコネクタ番号に対応する電源コネクタへの電力の供給停止を指示する制御信号を電力供給装置11へ送信することで、ステップS203で選択した機器IDに対応するスイッチ装置13への電力供給を停止する(S206)。そして、電力供給制御部22は、ステップS207に示す処理を実行する。
【0056】
特定したコネクタ番号に対応する電源コネクタに電力が供給されていない場合(S204:No)、電力供給制御部22は、ステップS203で選択した機器IDが、ステップS201で特定した起動機器IDに含まれているか否かを判定する(S208)。ステップS203で選択した機器IDが、ステップS201で特定した起動機器IDに含まれていない場合(S208:No)、電力供給制御部22は、ステップS207に示す処理を実行する。
【0057】
一方、ステップS203で選択した機器IDが、ステップS201で特定した起動機器IDに含まれている場合(S208:Yes)、電力供給制御部22は、機器リスト210を参照し、ステップS203で選択した機器IDに対応するコネクタ番号を特定する。そして、電力供給制御部22は、特定したコネクタ番号に対応する電源コネクタへの電力の供給開始を指示する制御信号を電力供給装置11へ送信することで、ステップS203で選択した機器IDに対応するスイッチ装置13への電力供給を開始する(S209)。
【0058】
次に、電力供給制御部22は、機器リスト210内の全ての機器IDを選択したか否かを判定する(S207)。機器リスト210内に未選択の機器IDが存在する場合(S207:No)、電力供給制御部22は、再びステップS203に示した処理を実行する。一方、機器リスト210内の全ての機器IDを選択した場合(S207:Yes)、電力供給制御部22は、本フローチャートに示した電力供給制御処理を終了する。
【0059】
[設定処理]
図8は、設定処理の一例を示すフローチャートである。
【0060】
まず、設定部24は、記憶部21内の条件リスト211を参照し、設定制御部23から受信したスクリプトIDに対応付けられているスクリプト名を特定する。そして、設定部24は、特定したスクリプト名に対応する設定スクリプトを記憶部21から取得する(S301)。
【0061】
次に、設定部24は、記憶部21内の条件リスト211を参照し、設定制御部23から受信したスクリプトIDに対応付けられている対象機器IDを特定する(S302)。そして、設定部24は、記憶部21内の機器リスト210を参照し、特定した対象機器IDと同一の機器IDに対応付けられているポート番号を特定する(S303)。
【0062】
次に、設定部24は、ステップS301において取得した設定スクリプトを実行する(S304)。ステップS304では、設定部24は、設定スクリプトに従ってコマンドおよびデータを逐次生成し、生成したコマンドおよびデータを、ステップS303において特定したポート番号と共に通信インターフェイス装置12へ送信する。通信インターフェイス装置12は、設定部24から受信したコマンドおよびデータを、設定部24から受信したポート番号に対応する通信ポートに接続されたスイッチ装置13へ送信する。設定スクリプトの実行が終了した場合、設定部24は、本フローチャートに示した設定処理を終了する。
【0063】
[実施形態の効果]
本実施形態の通信機器設定システム10では、設定制御部23が、結線が完了した通信機器13に対する設定内容が記載された設定スクリプトのスクリプトIDを順次選択する。そして、電力供給制御部22が、複数のスイッチ装置13の中で、設定制御部23によって選択されたスクリプトIDに対応する設定スクリプトの対象となるスイッチ装置13にのみ電力を供給する制御を行う。そして、設定部24が、電力供給制御部22によって電力が供給されたスイッチ装置13に対して、設定制御部23によって選択されたスクリプトIDに対応する設定スクリプトに従って設定を行う。
【0064】
これにより、設定スクリプトに従ったそれぞれのスイッチ装置13の設定の前に、複数のスイッチ装置13の設置および結線の作業をまとめて完了させることができる。これにより、ハードウェアに関する作業とソフトウェアに関する作業との間での引継ぎ作業の回数を少なくすることができ、ハードウェアに関する作業とソフトウェアに関する作業との連係ミスを抑制することができる。
【0065】
また、記憶部21は、条件リスト211を記憶する。条件リスト211には、設定内容が記載された設定スクリプトを識別するスクリプトIDと、設定スクリプトに基づく設定の対象となるスイッチ装置13の識別情報である対象機器IDとが対応付けられて格納されている。これにより、設定部24は、設定制御部23が選択したスクリプトIDに対応する設定スクリプトの対象となるスイッチ装置13の機器IDを容易に特定することができる。
【0066】
また、記憶部21は、設定スクリプトの実行順番を示す順番リスト212を記憶する。これにより、設定制御部23は、順番リスト212に予め登録された実行順番に従って、それぞれの設定スクリプトのスクリプトIDを順次選択することができる。また、順番リスト212内の実行順番を変更することにより、任意の順番で設定スクリプトを実行させることができる。
【0067】
また、順番リスト212では、スイッチ装置13毎の初期設定に関する設定スクリプトが、複数のスイッチ装置13を含むグループの設定に関する設定スクリプトよりも先に実行されるように、それぞれの設定スクリプトの実行順番が設定されている。これにより、複数のスイッチ装置13による通信データの無限転送を防止することができる。
【0068】
また、記憶部21は、スイッチ装置13と、スイッチ装置13が接続されている通信ポートのポート番号と、スイッチ装置13が接続されている電源コネクタのコネクタ番号とが対応付けられた機器リスト210を記憶する。これにより、電力供給制御部22は、設定制御部23によって選択されたスクリプトIDに対応する設定スクリプトの対象となるスイッチ装置13に接続された電源コネクタのコネクタ番号を容易に特定することができる。また、設定部24は、設定制御部23によって選択されたスクリプトIDに対応する設定スクリプトの対象となるスイッチ装置13に接続された通信ポートのポート番号を容易に特定することができる。
【0069】
[ハードウェア]
なお、図示した各部の各構成要素は、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各部の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【0070】
更に、各装置で行われる各種処理機能は、CPU(Central Processing Unit)(又はMPU(Micro Processing Unit)、MCU(Micro Controller Unit)等のマイクロ・コンピュータ)上で、その全部又は任意の一部を実行するようにしてもよい。また、各種処理機能は、CPU(又はMPU、MCU等のマイクロ・コンピュータ)で解析実行するプログラム上、又はワイヤードロジックによるハードウェア上で、その全部又は任意の一部を実行するようにしてもよいことは言うまでもない。
【0071】
ところで、本実施形態において説明した各種の処理は、予め用意されたプログラムをコンピュータで実行することで実現できる。そこで、以下では、上記実施形態で説明した通信機器設定装置20と同様の機能を有するプログラムを実行するコンピュータの一例を説明する。
図9は、通信機器設定装置の機能を実現するコンピュータ40の一例を示す図である。
【0072】
コンピュータ40は、例えば
図9に示すように、通信インターフェイス41、操作インターフェイス42、表示インターフェイス43、ROM44、CPU45、RAM46、およびHDD47を有する。
【0073】
HDD47には、例えば
図9に示すように、通信機器設定プログラム470が予め記憶される。CPU45は、通信機器設定プログラム470をHDD47から読み出してRAM46に展開する。この通信機器設定プログラム470は、
図1に示した各々の構成要素と同様、適宜統合又は分離してもよい。また、HDD47に格納される各データは、常に全てのデータがHDD47内に格納されていなくてもよく、処理に用いられるデータのみがHDD47に格納されればよい。
【0074】
CPU45は、通信機器設定プログラム470を、通信機器設定プロセス460として機能させる。この通信機器設定プロセス460は、HDD47から読み出した各種データを適宜RAM46上の通信機器設定プロセス460に割り当てられた領域に展開し、この展開した各種データに基づいて各種処理を実行する。上記実施形態では、CPU45が、通信機器設定プログラム470を読み込んで実行することにより、電力供給制御部22、設定制御部23、および設定部24と同様の機能を発揮する。
【0075】
なお、上記実施形態における通信機器設定プロセス460は、
図1に示した電力供給制御部22、設定制御部23、および設定部24において実行される処理、例えば
図6〜
図8に示した処理を実行する。CPU45によって仮想的に実現される各処理部は、全ての処理部がCPU45によって常に実現されなくてもよく、処理に用いられる処理部のみが仮想的に実現されればよい。
【0076】
なお、上記の通信機器設定プログラム470については、必ずしも最初からHDD47やROM44内に記憶させておかなくてもよい。例えば、コンピュータ40に挿入されるフレキシブルディスク、いわゆるFD、CD−ROM、DVDディスク、光磁気ディスク、ICカードなどの可搬型記録媒体に各プログラムが記憶される。そして、コンピュータ40がこれらの可搬型記録媒体から各プログラムを取得して実行するようにしてもよい。また、各プログラムを記憶させた他のコンピュータまたはサーバ装置などから、公衆回線、インターネット、LAN、WANなどを介して、コンピュータ40が各プログラムを取得して実行するようにしてもよい。
【0077】
CPU45は、結線が完了した後の複数のスイッチ装置13の中で、設定対象となるスイッチ装置13を順次選択する。また、CPU45は、選択されたスイッチ装置13にのみ電力を供給する制御を行う。また、CPU45は、選択されたスイッチ装置13に設定を行う。これにより、それぞれのスイッチ装置13の設定を行う場合に、設定に用いられるスイッチ装置13にのみ電源が供給されるため、複数のスイッチ装置13に対してループ状の結線が行われたとしても、通信データの無限転送は発生しない。そのため、ネットワークのダウンを発生させることなく、各スイッチ装置13の設定を行うことができる。これにより、結線作業等のハードウェアに関する作業が完了した後に、初期設定や機能設定等のソフトウェアに関する作業をまとめて行うことができる。これにより、ハードウェアに関する作業を行う作業者と、ソフトウェアに関する作業を行う作業者との作業の引き継ぎを少なくすることができる。これにより、引継ぎミスによる設定ミス等の発生を抑制することができる。
【0078】
[その他]
上記した実施形態において、電力供給制御部22は、機器リスト210内の機器IDを1つずつ選択し、選択した機器IDが、設定制御部23から受信したスクリプトIDに基づいて特定した起動機器IDに含まれているか否かを判定する。そして、選択した機器IDが起動機器IDに含まれていれば、電力供給制御部22は、選択した機器IDに対応するスイッチ装置13への電力供給を開始する。一方、選択した機器IDが起動機器IDに含まれていなければ、電力供給制御部22は、選択した機器IDに対応するスイッチ装置13への電力供給を停止する。
【0079】
しかし、開示の技術はこれに限られない。例えば、電力供給制御部22は、設定制御部23からスクリプトIDを受信した場合に、まず全てのスイッチ装置13への電力供給を停止させる。その後、電力供給制御部22は、設定制御部23から受信したスクリプトIDに基づいて特定した起動機器IDに対応するスイッチ装置13への電力供給を開始するようにしてもよい。これにより、ループ状に接続された複数のスイッチ装置13が起動することを確実に防止することができる。
【0080】
また、上記した実施形態において、電力供給装置11、通信インターフェイス装置12、および通信機器設定装置20は、それぞれ別個の装置として説明したが、開示の技術はこれに限られない。例えば、電力供給装置11、通信インターフェイス装置12、および通信機器設定装置20の機能を有する装置が、通信機器設定装置として構成されてもよい。