(54)【発明の名称】送信元の電子メールアドレスを匿名化して受信することができ、受信した電子メールに、秘匿したプライベートな電子メールアドレスから返信することを可能としたメール中継システム
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
電子メールサービスにおいて、電子メールの送信者から公開された電子メールアドレスへ送信された電子メールを秘匿する電子メールアドレスへ転送し、転送された電子メールを情報端末で受信し、受信した電子メールへ返信操作をしてもともとの電子メールの送信者へ電子メールを返信するシステムであって、
公開された電子メールアドレス(B1)から転送された電子メールを受信し、もともとの電子メール送信者の電子メールアドレス(A)とは全く異なる一意の電子メールアドレスを動的に生成して秘匿返信電子メールアドレス(N3)とし、
前記公開された電子メールアドレス(B1)、秘匿する電子メールアドレス(B2)、前記秘匿返信電子メールアドレス(N3)、前記もともとの電子メール送信者の電子メールアドレス(A)ならびに、利用者メールサーバの認証情報すなわち前記公開された電子メールアドレス(B1)から電子メールを送信するために必要な認証情報を管理データベースに保存し、
前記受信電子メールのFromに前記秘匿返信電子メールアドレス(N3)を設定し、前記秘匿する電子メールアドレス(B2)へ前記受信電子メールを転送するメール中継システムの秘匿受信部と、
情報端末による返信操作で送信された電子メールを受信し、前記受信した電子メールの送信元電子メールアドレスである秘匿する電子メールアドレス(B2)を管理データベース索引キーの秘匿電子メールアドレスF22に対応させ、前記受信した電子メールの送信先電子メールアドレスである秘匿返信電子メールアドレス(N3)を管理データベース索引キーの秘匿返信電子メールアドレスF23に対応させ、管理データベースを検索して、
前記公開された電子メールアドレス(B1)、前記もともとの電子メール送信者の電子メールアドレス(A)ならびに、利用者メールサーバの認証情報すなわち前記公開された電子メールアドレス(B1)から電子メールを送信するために必要な認証情報をとりだし、
前記受信した電子メールの送信元電子メールアドレスに前記公開された電子メールアドレス(B1)を設定し、前記受信した電子メールの送信先電子メールアドレスに前記もともとの電子メール送信者の電子メールアドレス(A)を設定し、利用者メールサーバの認証情報すなわち前記公開された電子メールアドレス(B1)から電子メールを送信するために必要な認証情報を使って、公開された電子メールを送信処理する利用者メールサーバから電子メールを送信する秘匿送信部と、
を備えることを特徴とするメール中継システム。
前記メール中継システムの秘匿送信部が前記秘匿する電子メールアドレス(B2)から受信する電子メールは、前記秘匿する電子メールアドレス(B2)と前記秘匿返信電子メールアドレス(N3)がセットで前記管理データベースに登録されている内容と一致することが前提である
ことを特徴とする請求項1に記載のメール中継システム。
【背景技術】
【0002】
従来の電子メール送受信システムは、実際に送信処理をする送信者の電子メールアドレスが電子メールの受信者へ通知される仕組みとなっている。
【0003】
また、携帯電話の電子メール送信は、携帯電話会社の提供する電子メールサーバを使って携帯電話の電子メールアドレスから送信されるため、送信者の電子メールアドレスを秘匿することができない。
【0004】
特開2009−086916(特許文献1)では、電子メールアドレスを秘匿するために一時的な電子メールアドレスを新たに取得して電子メールの送信者へ通知することで本来の電子メールアドレスを秘匿する技術について紹介しているが、本発明では公開された電子メールアドレスは既知であり秘匿する電子メールアドレスへメールを転送する設定を施すことにより、公開したくない個人の電子メールアドレスを秘匿する方法をとっている点で処理の実現方法が違う。
また、特許文献1の方法では秘匿する電子メールアドレスに対して公開する一時電子メールアドレスの生成を要求する方法をとっていることで公開する電子メールアドレスは一つに限定されるが、本発明では公開された電子メールアドレスから秘匿する電子メールアドレスをひも付(メール転送設定)する方法をとっているため、複数の公開された電子メールアドレスを一つの秘匿する電子メールアドレスで処理することができる点で優位である。
【0005】
特開2007−158383(特許文献2)では、暗号化技術を用いて電子メールアドレスを秘匿する方法を紹介しているが本発明では暗号化技術を用いていない。また、電子メールの送信、受信双方のメールサーバが特許文献2のシステムに対応している必要があり、電子メールアドレスを秘匿して運用できる利用者が大幅に限定される。
【0006】
特開2002−319977(特許文献3)では、秘匿する電子メールアドレスと公開する電子メールアドレスの両方で送受信する電子メールを該当のシステムを使って処理する方法が紹介されているが、本発明では公開された電子メールアドレスの電子メールを処理するメールサーバは本システムが用意するサーバではない外部のメールサーバを前提とし、秘匿する電子メールアドレスへ届く電子メールを処理するメールサーバも外部のメールサーバである点で、処理の実現方法が違う。また、電子メールの送信元である電子メールアドレスを秘匿しようとした場合に、特許文献3の方法では事前にパブリックな電子メールアドレスを登録しておく必要があるが、本発明では電子メールの送信者の電子メールアドレスは動的に生成して電子メールを転送する方法をとっているため、事前の電子メールアドレスの登録は必要ない点で優れている。
【0007】
KDDIが提供する「ケータイ de 会社メール」サービスは、利用者の所有する会社のドメイン宛の電子メールをau携帯電話で利用できるようにするサービスであり、電子メールアドレスを秘匿する仕組みを提供する物ではなく、本発明の目的とする情報端末(携帯電話やPCを含む)の電子メールアドレスを秘匿する効果は無い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
一般的な電子メールシステムにおいて、周知である電子メールアドレスで受信した電子メールを秘匿したい電子メールアドレスへ転送して電子メールを読むことは可能である。
【0010】
また、電子メール送信のための電子メールサーバの認証情報が既知であれば、受信した電子メールの返信を別の電子メールアドレスから送信することが可能であり、この方法をとることにより、送信する電子メールの電子メールアドレスを秘匿することが可能となる。
【0011】
しかし、携帯電話の電子メールシステムの様な送信に利用する電子メールサーバを変更することができない電子メールアドレスから送信しようとした場合、送信者の電子メールアドレスを秘匿して電子メールを送信することはできない。すなわち、一般的に携帯電話の電子メールシステムは、各携帯電話会社が運用している電子メールサーバを介しての電子メール送受信しかできず、携帯電話から直接任意の電子メールサーバを経由して電子メールを送信することはできない。
【0012】
電子メールのビジネス利用では、会社の電子メールアドレスに届く電子メールを個人が外出時に受信する目的で、個人所有の情報端末(携帯電話やPCを含む)の電子メールアドレスへ転送して受信する方法がとられる。そして、急な対応が必要となり受信した電子メールに直接返信をした場合には、個人の電子メールアドレスが送信相手に開示されてしまい、以後ビジネス相手からの電子メールが直接個人の情報端末の電子メールアドレスに送り付けられ、プライベートであるはずの個人の情報端末の電子メールアドレスが周知となり使われることとなる。
【0013】
そこで本発明は、個人所有の情報端末の電子メールアドレスの様な秘匿したい電子メールアドレス(携帯電話やPCを含めた全ての情報端末で扱える電子メールアドレスで秘匿したい電子メールアドレス)を使い、受信した電子メールの送信者に対して、実際に送信処理をする電子メールアドレスを秘匿して返信送信すること
と、受信した電子メールの送信者の電子メールアドレスを匿名化して受信することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
以上の課題を解決するために、公開された電子メールアドレスへ届いた電子メールを秘匿したい電子メールアドレスへ転送して利用者は電子メールを読み、電子メールに返信する。返信された電子メールは公開された電子メールアドレスの電子メールを送信処理するメールサーバを経由してもともとの電子メール送信者の電子メールアドレスへ送信する。
【0015】
すなわち、電子メールの送信者から公開された電子メールアドレスへ送信された電子メールを秘匿する電子メールアドレスへ転送し、転送された電子メールを情報端末で受信し、受信した電子メールへ返信操作をしてもともとの電子メールの送信者へ電子メールを返信するシステムであって、
公開された電子メールアドレスから転送された電子メールを受信し、送信元電子メールアドレスに対応する一意の電子メールアドレスを動的に生成して秘匿返信電子メールアドレスとし、前記秘匿返信電子メールアドレスと秘匿する電子メールアドレスならびに、公開された電子メールアドレスから電子メールを送信するのに必要な情報を管理データベースに保存し、前記受信電子メールのReply−toへ前記秘匿返信電子メールアドレスを設定し、前記秘匿する電子メールアドレスへ前記受信電子メールを転送するメール中継システムの秘匿受信部と、
情報端末による返信操作で送信された電子メールを受信し、前記受信した電子メールの送信元電子メールアドレスを秘匿する電子メールアドレスとし、送信先電子メールアドレスを秘匿返信電子メールアドレスとして管理データベースを検索してもともとの電子メール送信者の電子メールアドレスならびに公開された電子メールアドレスから電子メールを送信するのに必要な情報をとりだし、前記受信した電子メールの送信元電子メールアドレスに前記公開された電子メールアドレスを設定し、前記受信した電子メールの送信先電子メールアドレスに前記もともとの電子メール送信者の電子メールアドレスを設定し、前記公開された電子メールアドレスから電子メールを送信するのに必要な情報を使って公開された電子メールを送信処理する利用者メールサーバから電子メールを送信する秘匿送信部と、
を備えることを特徴とする。
【0016】
返信処理においては、秘匿したい電子メールアドレスから直接電子メールを送信せずに、公開された電子メールアドレスを処理するメールサーバへ接続して公開された電子メールアドレスの利用者として認証し、もともとの電子メール送信者の電子メールアドレス宛に電子メールを送信する。その結果、送信者へ返信される電子メールの送信元電子メールアドレスは、公開された電子メールアドレスとなる。
【0017】
秘匿したい電子メールアドレスを使用している情報端末(携帯電話やPCを含む)の電子メールシステムにおいては、特別なプログラム等を導入せずに、情報端末の電子メールシステムが標準的に提供している操作で電子メールを返信する。すなわち、情報端末に標準で備わっているメール閲覧機能を使って受信した電子メール開き、メール閲覧機能に備わっている返信操作を実施して電子メールを返信送信する。この時、返信先の電子メールアドレスを変更する操作は行わない。
【0018】
電子メールアドレスが既知であるが、公開した電子メールアドレスに一度も電子メールが届いたことが無い送信者へ電子メールを送信したい場合は、既知である送信者の電子メールアドレスを電子メールの新たな送信者として、あたかも電子メールが届いたかの如く秘匿受信部で受信処理をして送信者の電子メールアドレスを登録して秘匿する電子メールアドレスへ空の電子メールを送信することで、初めての送信者に対しても秘匿したい電子メールアドレスから送信することを可能とする。
【0019】
公開する電子メールアドレスへ送信してくる送信者の電子メールアドレス(送信元電子メールアドレス)は送信者の電子メールアドレスごとに管理データベースに蓄積されるが、システムの運用を続けて行く上で膨大なデータ量になる懸念がある。そこで本発明では、送信元電子メールアドレスの登録・利用日時(送信元電子メールアドレスが管理データベースに既に登録されている場合は新たに登録せずに既存の情報を利用する)を管理し、最後に受信した日から利用者の指定する期間を過ぎた送信元電子メールアドレスを自動的に削除する手続きを備える。
【0020】
また、送信元電子メールアドレスが永続的ではなく一時利用の使い捨て電子メールアドレスであると判断した場合は、公開する電子メールアドレスから転送された電子メールを破棄する。一時利用の電子メールアドレスの判断基準は電子メールアドレス文字列の@より前の部分の長さをもって判断し、利用者の指定した長さを超えた文字列が指定されている電子メールアドレスを対象とする。
【0021】
さらに、公開する電子メールアドレスから転送された電子メールはコンピュータウイルスのチェックを実施し、コンピュータウイルスに感染していると判断された電子メールは破棄する。
【0022】
また、公開する電子メールアドレスから転送された電子メールは迷惑メールのチェックを実施し、迷惑メールであると判断された電子メールは破棄する。
【発明の効果】
【0023】
ビジネス利用等を含めて一般に電子メールを受信する場合に、受信した電子メールを転送し、その転送された電子メールへ返信応答するケースにおいて、送信電子メールアドレスを秘匿することのできない携帯電話等の電子メールシステムを使用して返信しても、携帯電話等の電子メールアドレスが秘匿される。
【0024】
また、秘匿したい電子メールアドレスは携帯電話のみに関わらず、PCを含めて全ての情報端末の電子メールアドレスで利用が可能であり、これにより、プライベートな電子メールアドレスを活用してビジネス上の電子メールのやり取りを行うことが可能となる。
【0025】
そして、本発明では一つのプライベートな電子メールアドレスを使って、多数の異なった公開された電子メールアドレスでのやり取り(電子メールの受信ならびに返信)を容易に実現することができる特徴がある。通常、一つの電子メールアドレスへビジネスメールの受信を集約して読むこと(複数のビジネスなどで利用している異なった電子メールアドレスへ届いた電子メールを一つのプライベートな電子メールアドレスへ転送して電子メール
を読むこと)は容易であるが、個々のビジネスメールの電子メールアドレスを送信元アドレスとして送信者へ返信を行う場合の手順は、各ビジネスメールを送信者として設定をしてある電子メールの送信環境が各々必要であった。本発明により、一つのプライベートな電子メールアドレスだけを所有して、複数のビジネスに関わる異なった電子メールの受信返信処理を容易にこなすことが可能となる。
さらに、公開された電子メールアドレスで受信する電子メールの送信元アドレスを匿名化して受信できることにより、電子メールを受け取る側では送信してくる相手の本当の電子メールアドレスを全く知らされずに連絡を取り合うことが可能となる。これらの特性を生かして、組織内からの顧客電子メールアドレスの情報漏えい対策などへの活用も期待できる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
公開された電子メールアドレスから電子メールを送受信することができる転送機能を有するメールサービスを利用しており、さらに秘匿する電子メールアドレスで電子メールを送受信できるメールサービスを利用している環境で実現した。
また、実施例2では返信者の利用する電子メールシステムにおいてReply−toが有効でない場合、実施例3では送信者の電子メールアドレスを匿名化することで送信者の電子メールアドレスも秘匿する場合の処理を示す。
また、実施例4では電子メールアドレスが既知ではあるが一度も電子メールが届いたことの無い送信者へ電子メールを送信する場合、実施例5では不要となった送信元電子メールアドレスの整理について、実施例6では一時的な使い捨て電子メールアドレスを使って送信してくる送信者の切り捨てについて、実施例7ではウイルスに感染した電子メールの切り捨てについて、実施例8では迷惑メールと判定された電子メールの切り捨てについての処理を示す。
【0028】
Reply−toとは、電子メールシステムにおいて、受信した電子メールへ返信操作により電子メールを送信する場合の電子メールの送信先となる電子メールアドレスを指定する電子メールヘッダー内へ保存される情報のタグ名である。Reply−toが有効でないとは、Reply−toが設定されていても設定内容が無視され、代わりにFromで指定された電子メールアドレスが返信時の送り先となる電子メールシステムの環境である。
【0029】
本発明は、PC、携帯電話を含めた電子メールの受信返信機能を有する情報端末全てで利用可能であるが、以下は実施の一例として携帯電話を利用したシステムについて説明する。
【0030】
本システムを利用するにあたり、あらかじめ利用者メールサーバ200のメールボックス210には、秘匿受信電子メールアドレスA30である秘匿受信部110(および110−2および110−3)のアドレス:Xに対する電子メール転送の設定がなされている。
また、メール中継システム100の管理データベースD10の利用者情報テーブルT10には、公開する電子メールアドレスA20であるアドレス:B1(公開)と秘匿する電子メールアドレスA40であるアドレス:B2(秘匿)と秘匿受信電子メールアドレスA30である秘匿受信部110(および110−2および110−3)のアドレス:Xと利用者メールサーバ200のアドレス:B1から電子メールを送信するのに必要な情報であるID、パスワード、利用者メールサーバ名(又はIPアドレス)、接続先ポート番号などが、公開電子メールアドレスF11、秘匿電子メールアドレスF12、秘匿受信電子メールアドレスF13、利用者メールサーバの認証情報F14として登録されている。
【実施例1】
【0031】
この発明における処理の流れを
図1に示す。
P10は電子メールの送信者を示し、P20は秘匿する電子メールアドレスへ届く電子メールを受信して返信する返信者を示し、200は公開する電子メールアドレスで電子メールを送受信処理する利用者メールサーバシステムを示し、100は本システムの本体となる電子メールを秘匿して返信送信する仕組みを実現するメール中継システムを示す。
【0032】
電子メールの送信者P10は公開する電子メールアドレスA20宛に電子メールM10を送信する。
【0033】
利用者メールサーバ200では送信者P10から受信した電子メールがメールボックス210へ届くと同時に、電子メールの転送機能をはたらかせて秘匿受信電子メールアドレスA30であるアドレス:X宛に電子メールを転送する。電子メールM10には、送信先(To)に公開する電子メールアドレスA20であるアドレス:B1が送信元(From)にもともとの電子メール送信者の電子メールアドレスA10であるアドレス:Aが設定されている。
【0034】
メール中継システム100の秘匿受信部110では、秘匿受信電子メールアドレスA30で受信した電子メールM10を解析し、電子メールの受信アドレスである秘匿受信電子メールアドレスA30を索引キー(秘匿受信電子メールアドレスF13)として管理データベースD10の利用者情報テーブルT10を検索し、公開電子メールアドレスF11を公開する電子メールアドレスA20として秘匿電子メールアドレスF12を秘匿する電子メールアドレスA40として利用者メールサーバの認証情報F14を利用者メールサーバ200から電子メールを送信するのに必要な情報として取得する。
【0035】
秘匿受信部110は、秘匿返信電子メールアドレスA50である秘匿送信部120のアドレス:N1(動的)を動的に生成する。
【0036】
秘匿受信部110は、管理データベースD10のメール中継情報テーブルT20へ公開電子メールアドレスF11を公開電子メールアドレスF21として、秘匿電子メールアドレスF12を秘匿電子メールアドレスF22として、前記で動的に生成した秘匿返信電子メールアドレスA50を秘匿返信電子メールアドレスF23として、電子メール送信者の電子メールアドレスA10を送信元電子メールアドレスF24として、利用者メールサーバの認証情報F14を利用者メールサーバの認証情報F25として登録する。
【0037】
但し、前記メール中継情報テーブルT20への登録処理で、受信した電子メールM10の電子メールヘッダーにReply−toの設定があった場合は、電子メール送信者の電子メールアドレスA10のかわりにReply−toで設定されている電子メールアドレスの値を送信元電子メールアドレスF24として登録する。その結果、以降の処理ではメール中継情報テーブルT20から取得する送信元電子メールアドレスF24である電子メール送信者の電子メールアドレスA10の情報は電子メールM10のReply−toの内容で置き換わる。
【0038】
秘匿受信部110は電子メールのヘッダーを編集し、「Reply−to」に秘匿返信電子メールアドレスA50であるアドレス:N1を設定し、「To」および「From」の設定値は変更せずに、秘匿する電子メールアドレスA40宛に電子メールM20を転送する。電子メールM20には、送信先(To)に公開する電子メールアドレスA20であるアドレス:B1が送信元(From)にもともとの電子メール送信者の電子メールアドレスA10であるアドレス:Aが返信先(Reply−to)に秘匿返信電子メールアドレスA50であるアドレス:N1が設定されている。
【0039】
返信者P20は、受信した電子メールM20を開きメーラーの標準操作で電子メールに返信し電子メールM30を送信する。すなわち標準操作とは、携帯電話に標準で用意されている電子メール閲覧機能やその他の情報端末で稼働する電子メール送受信のための標準メーラーソフトウエア等で受信した電子メールを閲覧して、閲覧の後メッセージの内容を編集し電子メールを返信送信する操作である。電子メールM30には、送信先(To)に秘匿受信電子メールアドレスA50であるアドレス:N1が送信元(From)に秘匿電子メールアドレスA40であるアドレス:B2が設定されている。
【0040】
返信送信される電子メールM30は、秘匿返信電子メールアドレスA50へ送信される。
【0041】
メール中継システム100の秘匿送信部120は、返信者P20より返信された電子メールM30を受信する。
【0042】
メール中継システム100の秘匿送信部120では、秘匿返信電子メールアドレスA50で受信した電子メールM30を解析し、送信元(From)を秘匿する電子メールアドレスA40とし送信先(To)を秘匿返信電子メールアドレスA50とし索引キー(秘匿電子メールアドレスF22及び秘匿返信電子メールアドレスF23)として管理データベースD10のメール中継情報テーブルT20を検索して公開電子メールアドレスF21を公開する電子メールアドレスA20として送信元電子メールアドレスF24をもともとの電子メール送信者の電子メールアドレスA10として利用者メールサーバの認証情報F25を利用者メールサーバ200から電子メールを送信するのに必要な情報として取得する。
【0043】
秘匿送信部120は、利用者メールサーバ200へアクセスして送信元電子メールアドレス(From)に公開する電子メールアドレスA20を送信先電子メールアドレス(To)にもともとの電子メール送信者の電子メールアドレスA10を設定して、利用者メールサーバ200から電子メールを送信するのに必要な情報を使用して、利用者メールサーバ200のメール送信部220からもともとの電子メール送信者の電子メールアドレスA10宛に電子メールM40を送信する。電子メールM40には、送信先(To)にもともとの電子メール送信者の電子メールアドレスA10であるアドレス:Aが送信元(From)に公開する電子メールアドレスA20であるアドレス:B1が設定されている。
【0044】
以上一連の処理により、電子メール送信者P10へ届く電子メールは、公開した電子メールアドレスより返信された電子メールのイメージM40の内容となる。
【0045】
なお上記において、秘匿する電子メールアドレスは携帯電話の電子メールアドレスをはじめ、その他のいかなる運用形態の電子メールアドレスでも利用が可能であることは勿論である。
【実施例2】
【0046】
返信者P20の利用する電子メールシステムにおいて、Reply−toが有効でない場合の処理の流れを
図2に示す。
【0047】
前記実施例1との相違点としては、メール中継システム100の秘匿受信部110−2が動的に生成する秘匿返信電子メールアドレスA50−2はもともとの電子メール送信者の電子メールアドレスA10を連想できる値を生成し、「Reply−to」ではなく「From」へ設定し、秘匿する電子メールアドレスA40宛に電子メールを転送する点である。
【0048】
もともとの電子メール送信者の電子メールアドレスを連想できる電子メールアドレスとは、電子メールアドレスの先頭から何桁かの値と一意に動的に生成した値とを併せ持った電子メールアドレスで、例えば16桁を採用した例では、もともとの電子メール送信者の電子メールアドレスがABCD_1234@XES−NET.COMであれば先頭の16桁を使ってABCD_1234_XES−NE00000001@〜ドメイン名の様な一意でありもともとの電子メール送信者の電子メールアドレスを容易に連想できる値である。
【0049】
以下、メール中継システム100の秘匿受信部110−2が電子メールM10を受信したところから説明する。
【0050】
メール中継システム100の秘匿受信部110−2では、秘匿受信電子メールアドレスA30で受信した電子メールM10を解析し、電子メールの受信アドレスである秘匿受信電子メールアドレスA30を索引キー(秘匿受信電子メールアドレスF13)として管理データベースD10の利用者情報テーブルT10を検索し、公開電子メールアドレスF11を公開する電子メールアドレスA20として秘匿電子メールアドレスF12を秘匿する電子メールアドレスA40として利用者メールサーバの認証情報F14を利用者メールサーバ200から電子メールを送信するのに必要な情報として取得する。
【0051】
秘匿受信部110−2は、秘匿返信電子メールアドレスA50−2である秘匿送信部120−2のアドレス:N2(動的)を動的に生成する。前述の通り秘匿返信電子メールアドレスA50−2はもともとの電子メール送信者の電子メールアドレスA10を連想できる内容の電子メールアドレスを生成する。
【0052】
秘匿受信部110−2は、管理データベースD10のメール中継情報テーブルT20へ公開電子メールアドレスF11を公開電子メールアドレスF21として、秘匿電子メールアドレスF12を秘匿電子メールアドレスF22として、前記で動的に生成した秘匿返信電子メールアドレスA50−2を秘匿返信電子メールアドレスF23として、電子メール送信者の電子メールアドレスA10を送信元電子メールアドレスF24として、利用者メールサーバの認証情報F14を利用者メールサーバの認証情報F25として登録する。
【0053】
但し、前記メール中継情報テーブルT20への登録処理で、受信した電子メールM10の電子メールヘッダーにReply−toの設定があった場合は、電子メール送信者の電子メールアドレスA10のかわりにReply−toで設定されている電子メールアドレスの値を送信元電子メールアドレスF24として登録する。その結果、以降の処理ではメール中継情報テーブルT20から取得する送信元電子メールアドレスF24である電子メール送信者の電子メールアドレスA10の情報は電子メールM10のReply−toの内容で置き換わる。
【0054】
秘匿受信部110−2は電子メールのヘッダーを編集し、「From」に秘匿返信電子メールアドレスA50−2であるアドレス:N2を設定し、「To」の設定値は変更せずに、秘匿する電子メールアドレスA40宛に電子メールM20−2を転送する。電子メールM20−2には、送信先(To)に公開する電子メールアドレスA20であるアドレス:B1が送信元(From)に秘匿返信電子メールアドレスA50−2であるアドレス:N2が設定されている。
【0055】
返信者P20は、受信した電子メールM20−2を開きメーラーの標準操作で電子メールに返信し電子メールM30−2を送信する。すなわち標準操作とは、携帯電話に標準で用意されている電子メール閲覧機能やその他の情報端末で稼働する電子メール送受信のための標準メーラーソフトウエア等で受信した電子メールを閲覧して、閲覧の後メッセージの内容を編集し電子メールを返信送信する操作である。電子メールM30−2には、送信先(To)に秘匿受信電子メールアドレスA50-2であるアドレス:N2が送信元(From)に秘匿電子メールアドレスA40であるアドレス:B2が設定されている。
【0056】
返信送信される電子メールM30−2は、秘匿返信電子メールアドレスA50−2へ送信される。
【0057】
メール中継システム100の秘匿送信部120−2は、返信者P20より返信された電子メールM30−2を受信する。
【0058】
メール中継システム100の秘匿送信部120−2では、秘匿返信電子メールアドレスA50−2で受信した電子メールM30−2を解析し、送信元(From)を秘匿する電子メールアドレスA40とし送信先(To)を秘匿返信電子メールアドレスA50−2とし索引キー(秘匿電子メールアドレスF22及び秘匿返信電子メールアドレスF23)として管理データベースD10のメール中継情報テーブルT20を検索して公開電子メールアドレスF21を公開する電子メールアドレスA20として送信元電子メールアドレスF24をもともとの電子メール送信者の電子メールアドレスA10として利用者メールサーバの認証情報F25を利用者メールサーバ200から電子メールを送信するのに必要な情報として取得する。
【0059】
秘匿送信部120−2は、利用者メールサーバ200へアクセスして送信元電子メールアドレス(From)に公開する電子メールアドレスA20を送信先電子メールアドレス(To)にもともとの電子メール送信者の電子メールアドレスA10を設定して、利用者メールサーバ200から電子メールを送信するのに必要な情報を使用して、利用者メールサーバ200のメール送信部220からもともとの電子メール送信者の電子メールアドレスA10宛に電子メールM40を送信する。電子メールM40には、送信先(To)にもともとの電子メール送信者の電子メールアドレスA10であるアドレス:Aが送信元(From)に公開する電子メールアドレスA20であるアドレス:B1が設定されている。
【0060】
以上一連の処理により、電子メール送信者P10へ届く電子メールは、公開した電子メールアドレスより返信された電子メールのイメージM40の内容となる。
【0061】
なお上記において、秘匿する電子メールアドレスは携帯電話の電子メールアドレスをはじめ、その他のいかなる運用形態の電子メールアドレスでも利用が可能であることは勿論である。
【実施例3】
【0062】
送信者の電子メールアドレスを匿名化することで送信者の電子メールアドレスも秘匿する場合の処理の流れを
図3に示す。
【0063】
前記実施例2との相違点としては、メール中継システム100の秘匿受信部110−3が動的に生成する秘匿返信電子メールアドレスA50−3はもともとの電子メール送信者の電子メールアドレスA10とは全く異なる一意の電子メールアドレスを生成して「From」へ設定し、秘匿する電子メールアドレスA40宛に電子メールを転送する点である。
【0064】
以下、メール中継システム100の秘匿受信部110−3が電子メールM10を受信したところから説明する。
【0065】
メール中継システム100の秘匿受信部110−3では、秘匿受信電子メールアドレスA30で受信した電子メールM10を解析し、電子メールの受信アドレスである秘匿受信電子メールアドレスA30を索引キー(秘匿受信電子メールアドレスF13)として管理データベースD10の利用者情報テーブルT10を検索し、公開電子メールアドレスF11を公開する電子メールアドレスA20として秘匿電子メールアドレスF12を秘匿する電子メールアドレスA40として利用者メールサーバの認証情報F14を利用者メールサーバ200から電子メールを送信するのに必要な情報として取得する。
【0066】
秘匿受信部110−3は、秘匿返信電子メールアドレスA50−3である秘匿送信部120−3のアドレス:N3(動的)を動的に生成する。前述の通り秘匿返信電子メールアドレスA50−3はもともとの電子メール送信者の電子メールアドレスA10とは全
く異なった一意の電子メールアドレスを生成する。
【0067】
秘匿受信部110−3は、管理データベースD10のメール中継情報テーブルT20へ公開電子メールアドレスF11を公開電子メールアドレスF21として、秘匿電子メールアドレスF12を秘匿電子メールアドレスF22として、前記で動的に生成した秘匿返信電子メールアドレスA50−3を秘匿返信電子メールアドレスF23として、電子メール送信者の電子メールアドレスA10を送信元電子メールアドレスF24として、利用者メールサーバの認証情報F14を利用者メールサーバの認証情報F25として登録する。
【0068】
但し、前記メール中継情報テーブルT20への登録処理で、受信した電子メールM10の電子メールヘッダーにReply−toの設定があった場合は、電子メール送信者の電子メールアドレスA10のかわりにReply−toで設定されている電子メールアドレスの値を送信元電子メールアドレスF24として登録する。その結果、以降の処理ではメール中継情報テーブルT20から取得する送信元電子メールアドレスF24である電子メール送信者の電子メールアドレスA10の情報は電子メールM10のReply−toの内容で置き換わる。
【0069】
秘匿受信部110−3は電子メールのヘッダーを編集し、「From」に秘匿返信電子メールアドレスA50−3であるアドレス:N3を設定し、「To」の設定値は変更せずに、秘匿する電子メールアドレスA40宛に電子メールM20−3を転送する。電子メールM20−3には、送信先(To)に公開する電子メールアドレスA20であるアドレス:B1が送信元(From)に秘匿返信電子メールアドレスA50−3であるアドレス:N3が設定されている。
【0070】
返信者P20は、受信した電子メールM20−3を開きメーラーの標準操作で電子メールに返信し電子メールM30−3を送信する。すなわち標準操作とは、携帯電話に標準で用意されている電子メール閲覧機能やその他の情報端末で稼働する電子メール送受信のための標準メーラーソフトウエア等で受信した電子メールを閲覧して、閲覧の後メッセージの内容を編集し電子メールを返信送信する操作である。電子メールM30−3には、送信先(To)に秘匿受信電子メールアドレスA50-3であるアドレス:N3が送信元(From)に秘匿電子メールアドレスA40であるアドレス:B2が設定されている。
【0071】
返信送信される電子メールM30−3は、秘匿返信電子メールアドレスA50−3へ送信される。
【0072】
メール中継システム100の秘匿送信部120−3は、返信者P20より返信された電子メールM30−3を受信する。
【0073】
メール中継システム100の秘匿送信部120−3では、秘匿返信電子メールアドレスA50−3で受信した電子メールM30−3を解析し、送信元(From)を秘匿する電子メールアドレスA40とし送信先(To)を秘匿返信電子メールアドレスA50−3とし索引キー(秘匿電子メールアドレスF22及び秘匿返信電子メールアドレスF23)として管理データベースD10のメール中継情報テーブルT20を検索して公開電子メールアドレスF21を公開する電子メールアドレスA20として送信元電子メールアドレスF24をもともとの電子メール送信者の電子メールアドレスA10として利用者メールサーバの認証情報F25を利用者メールサーバ200から電子メールを送信するのに必要な情報として取得する。
【0074】
秘匿送信部120−3は、利用者メールサーバ200へアクセスして送信元電子メールアドレス(From)に公開する電子メールアドレスA20を送信先電子メールアドレス(To)にもともとの電子メール送信者の電子メールアドレスA10を設定して、利用者メールサーバ200から電子メールを送信するのに必要な情報を使用して、利用者メールサーバ200のメール送信部220からもともとの電子メール送信者の電子メールアドレスA10宛に電子メールM40を送信する。電子メールM40には、送信先(To)にもともとの電子メール送信者の電子メールアドレスA10であるアドレス:Aが送信元(From)に公開する電子メールアドレスA20であるアドレス:B1が設定されている。
【0075】
以上一連の処理により、電子メール送信者P10へ届く電子メールは、公開した電子メールアドレスより返信された電子メールのイメージM40の内容となる。
【0076】
なお上記において、秘匿する電子メールアドレスは携帯電話の電子メールアドレスをはじめ、その他のいかなる運用形態の電子メールアドレスでも利用が可能であることは勿論である。
【0077】
なお上記において、種々の具体例を示して説明してきたが、本発明はこれらの具体例にのみ限定されるものではなく、本発明の技術的範囲を逸脱することなしに様々な変形が可能であることは勿論である。
【実施例4】
【0078】
電子メールアドレスが既知ではあるが一度も電子メールが届いたことの無い送信者へ電子メールを送信する場合の手続きを示す。
【0079】
もともとの電子メール送信者からの電子メールであると偽った電子メールを用意し公開する電子メールアドレスA20であるアドレス:B1へ電子メールを送信する。この偽った電子メールは電子メールM10に相当し送信元(From)は一度も電子メールが届いたことの無い送信者の電子メールアドレスであり、送信先(To)は公開する電子メールアドレスA20であり、電子メールの本文はダミーである。
【0080】
メール中継システム100の秘匿受信部110で前記偽った電子メールを受信した後の処理は実施例1と同様である。
【実施例5】
【0081】
不要となった送信元電子メールアドレスの整理について示す。
【0082】
管理データベースへ蓄積されるもともとの電子メール送信者の電子メールアドレスは、最後に電子メールを受信した日からの経過日数をカウントしている。本システムの利用者が指定する保存限界日数を超えて存在している前記電子メールアドレスは、日々のデータ整理作業時に自動的に削除する。
【実施例6】
【0083】
一時的な使い捨て電子メールアドレスを使って送信してくる送信者の切り捨てについて示す。
【0084】
もともとの電子メール送信者の電子メールアドレスが、一時利用の電子メールアドレスであるとの判断基準は電子メールアドレス文字列の@より前の部分の長さをもって判断し、本システムの利用者が指定した長さを超えた文字列が指定されている電子メールアドレスを対象とする。
【0085】
前記判断は、メール中継システム100の秘匿受信部110の秘匿受信電子メールアドレスA30であるアドレス:Xへ電子メールが転送された時点で実施する。送信元電子メールアドレスが永続的ではなく一時利用の使い捨て電子メールアドレスであると判断した場合は、公開する電子メールアドレスから転送された電子メールを破棄する。
【0086】
本機能の実施はオプションである。
【実施例7】
【0087】
ウイルスに感染した電子メールの切り捨てについて示す。
【0088】
メール中継システム100の秘匿受信部110の秘匿受信電子メールアドレスA30であるアドレス:Xへ届いた電子メールは、本システム外で運用されているウイルスチェックを受ける。ウイルスチェックの結果ウイルスに感染していると判断した場合は、公開する電子メールアドレスから転送された電子メールを破棄する。
【0089】
本機能の実施はオプションである。
【実施例8】
【0090】
迷惑メールと判定された電子メールの切り捨てについて示す。
【0091】
メール中継システム100の秘匿受信部110の秘匿受信電子メールアドレスA30であるアドレス:Xへ届いた電子メールは、本システム外で運用されている迷惑メールチェックを受ける。迷惑メールチェックの結果迷惑メールであると判断した場合は、公開する電子メールアドレスから転送された電子メールを破棄する。
【0092】
本機能の実施はオプションである。