(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記可動部材のアームは、前記可動部材の前記固定部材に対する移動方向と平行に延びる摺動部を備えており、前記ロックピンのロックピン側係合部は、前記可動部材が前記閉位置以外の位置にあるときに前記摺動部に接触している、請求項1記載の車両用内装装置。
【背景技術】
【0002】
特開2009−298408号公報は、グラブドア(可動部材)を閉位置に保持するために、閂ロッドをグラブドア内部に取付ける技術を開示している。また、特開2004−68361号公報は、グラブドア(可動部材)を閉位置に保持するために、ストライカ機構をグラブドア内部に取付ける技術を開示している。
【0003】
しかし、従来の装置には、つぎの問題点がある。
閂ロッド、ストライカ機構がグラブドアの内部に取付けられているため、
図6、
図7に示すように、グラブドア3に凸形状部5が設定されてしまう。その結果、凸形状部5が内容物の出し入れ時に引っ掛かったり、内容量の低下、見栄えの低下につながる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、可動部材の凸形状部を無くすことができる車両用内装装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成する本発明はつぎの通りである。
(1) (a)凹部を備える固定部材と、
(b)可動部材本体と、該可動部材本体から前記凹部の外側で前記固定部材側に延びるアームと、を備え、前記固定部材に開位置と閉位置とに可動に支持される可動部材と、
(c)前記固定部材に可動に支持されるロックピンと、
(d)前記ロックピンを前記固定部材に対して前記可動部材のアームに押し付ける方向に付勢する付勢スプリングと、
を有し、
前記可動部材のアームは、アーム側係合部を備えており、
前記ロックピンは、前記可動部材が前記閉位置にあるときに前記アーム側係合部に係合して前記可動部材を前記閉位置に保持するロックピン側係合部を備え
ており、
前記可動部材のアームは、さらに、前記可動部材が前記開位置にあるときに前記固定部材に設けられるストッパ受け部に当接して前記可動部材を前記開位置に保持するストッパ部と、該ストッパ部と前記アーム側係合部とを連結する連結部と、を備えており、
前記ストッパ部と前記連結部には、単一の打音防止部材が設けられている、車両用内装装置。
(2) 前記可動部材のアームは、前記可動部材の前記固定部材に対する移動方向と平行に延びる摺動部を備えており、前記ロックピンのロックピン側係合部は、前記可動部材が前記閉位置以外の位置にあるときに前記摺動部に接触している、(1)記載の車両用内装装置。
【発明の効果】
【0007】
上記(1)の車両用内装装置によれば、固定部材に可動に支持されるロックピンが設けられており、ロックピンが、可動部材が閉位置にあるときに可動部材のアームに設けられるアーム側係合部に係合して可動部材を閉位置に保持するロックピン側係合部を備える。この構造では、アームとロックピンとの係合により可動部材を閉位置に保持するため、従来と異なり、閂ロッドやストライカ機構は不要である。よって、従来の可動部材に設けられていた凸形状部を無くすことができる。
【0008】
上記(2)の車両用内装装置によれば、可動部材のアームが、可動部材の固定部材に対する移動方向と平行に延びる摺動部を備えており、ロックピンのロックピン側係合部が、可動部材が閉位置以外の位置にあるときに摺動部に接触している。そのため、開位置にある可動部材を、ロックピン側係合部とアーム側係合部とが係合するまで閉位置側に移動させるときの操作荷重を一定(略一定を含む)にでき、良好な閉操作性を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明実施例の車両用内装装置の分解斜視図である。
【
図2】本発明実施例の車両用内装装置の、可動部材が閉位置にあるときにおける斜視図である。
【
図3】本発明実施例の車両用内装装置の、可動部材が開位置にあるときにおける斜視図である。
【
図4】本発明実施例の車両用内装装置の、可動部材が閉位置にあるときにおける側面図である。なお、図面の明確化のために、アームの摺動部に斜線を付してある。
【
図5】本発明実施例の車両用内装装置の、可動部材が開位置に移動したときの側面図である。なお、図面の明確化のために、アームの摺動部に斜線を付してある。
【
図6】従来の車両用内装装置の、閂ロッドが可動部材の内部に取付けられていることにより可動部材に凸形状部が設定されてしまう場合の斜視図である。
【
図7】従来の車両用内装装置の、ストライカ機構が可動部材の内部に取付けられていることにより可動部材に凸形状部が設定されてしまう場合の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明実施例の車両用内装装置を、図面を参照して、説明する。なお、図中UPは上方を示し、FRは車両前方を示す。
【0011】
本発明実施例の車両用内装装置10は、車両の内装部材であるインストルメントパネルの助手席側に配置される、いわゆるドアタイプ(ドアのみが開閉動するタイプ)の車両用グローブボックス装置である。ただし、装置10は、いわゆるビンタイプ(ボックス部自体が開閉動するタイプ)の車両用グローブボックス装置であってもよい。また、装置10は、車両用グローブボックス装置の上方に設けられる車両用アッパボックス装置であってもよく、インストルメントパネルの車幅方向中央部かつ下部に配置される車両用センターロアボックス装置であってもよく、車両用コンソールボックス装置であってもよく、その他の装置であってもよい。
以下、本発明実施例および図示例では、装置10がドアタイプの車両用グローブボックス装置である場合を例にとって説明する。
【0012】
装置10は、
図1に示すように、固定部材20と、可動部材30と、ロックピン40と、付勢スプリング50と、を有する。
【0013】
固定部材20は、インストルメントパネルに対して固定される部材である。固定部材20は、車室側(車両後方)に開放する凹部21を形成する凹部形成壁22を備える。凹部形成壁22は、上下左右の四側の壁からなる。凹部形成壁22は、インストルメントパネルに一体に形成されていてもよく、インストルメントパネルと別体に形成されてインストルメントパネルに固定して取付けられていてもよい。固定部材20は、一部品構成であってもよく、複数部品構成であってもよい。固定部材20が複数部品構成である場合、固定部材20は、固定部材20の車室側上部に装置10の意匠性を向上させるオーナメント23を備えていてもよい。
【0014】
可動部材30は、
図2、
図3に示すように、固定部材20に、凹部21の開口を閉塞する閉位置30aと該閉位置30aから車室側に移動して凹部21の開口を開放する開位置30bとに、可動に支持されている。可動部材30の固定部材20に対する移動は回動である。ただし、可動部材30の固定部材20に対する移動は、回動に限定されるものではなく、スライド動(直線動)であってもよい。以下、本発明実施例および図示例では、可動部材30の固定部材20に対する移動が回動である場合を示す。
【0015】
可動部材30は、ロックピン40によるロックを外すことで閉位置30aから自重(または自重と図示略の付勢部材の付勢力)で開位置30bに移動する。開位置30bにある可動部材30を閉位置30aに移動させるときは、可動部材30を閉位置30aに達するまで手で持ち上げる。
【0016】
可動部材30は、可動部材本体31と、可動部材本体31の左右方向両端部(幅方向両端部)から凹部21の左右外側(装置幅方向外側)で固定部材20側(車両前側)に延びるアーム32と、を備える。
【0017】
可動部材30は、可動部材本体31にて凹部21の開口を開閉する。可動部材本体31は、
図1に示すように、本体インナー31aと、本体インナー31aと別体であり本体インナー31aに取付けられる本体アウター31bと、を備える。本体インナー31aと別体の本体アウター31bが設けられるため、可動部材30(装置10)の意匠性向上を容易に図ることができる。ただし、本体インナー31aと本体アウター31bとは一体構造であってもよい。
【0018】
アーム32は、本体インナー31aに一体的に設けられている。アーム32は、本体インナー31aから固定部材20側に延びている。アーム32は、回動軸部32aと、アーム側係合部32bと、摺動部32cと、クッション当接部32dと、ストッパ部32eと、を備える。
【0019】
回動軸部32aは、アーム32の可動部材本体31側端部かつ下端部に設けられる。回動軸部32aと一体または別体の軸ピン32gを固定部材20に設けられる軸受24に嵌め込むことで、可動部材30は固定部材20に回動可能に支持される。
アーム側係合部32bは、
図4に示すように、アーム32の上面の中間部に設けられる段差部からなる。アーム側係合部32bには、可動部材30が閉位置30aにあるとき、ロックピン40のロックピン側係合部41が係合可能である。
【0020】
摺動部32cは、アーム32の上面に設けられる。摺動部32cは、アーム側係合部32bからアーム32の延び方向先端側に延びて設けられる。
図5に示すように、摺動部32cには、可動部材30が閉位置30a以外の位置にあるときに、ロックピン40のロックピン側係合部41が当接する。摺動部32cは、可動部材30の固定部材20に対する移動方向と平行に延びて設けられている。本実施例では、可動部材30の固定部材20に対する移動が回動であるため、摺動部32cは、可動部材30の固定部材20に対する回動軸芯を中心とする円上に設けられる。摺動部32cは、傾斜面32fを介して、アーム側係合部32bに連なっている。傾斜面32fにより、摺動部32cとアーム側係合部32bとは緩やかに連なる。
【0021】
クッション当接部32dは、アーム部32の延び方向先端部に設けられる。
図4に示すように、クッション当接部32dは、可動部材30が閉位置30aにあるときに、固定部材20に取付けられるクッション25に当接しており該クッション25を弾性変形させる。このため、可動部材30が閉位置30aにあるとき、車両走行振動等により可動部材30が固定部材20に対してがたつき異音が発生することが抑制される。
ストッパ部32eは、
図5に示すように、可動部材30が開位置30bにあるときに、固定部材20に設けられるストッパ受け部26に当接し、可動部材30を開位置30bに保持する。
【0022】
アーム32には、ロックピン40のロックピン側係合部41および固定部材20のストッパ受け部26との当接打音低減のために、アーム側係合部32bとストッパ部32eとの連結部32gおよびストッパ部32eに、フェルト等の打音防止部材33が設けられていることが望ましい。
【0023】
ロックピン40は、複数部品構成であってもよいが、部品点数削減のために一部品構成であることが望ましい。ロックピン40は、固定部材20の左右一側のみに設けられていてもよく、図示例のように固定部材20の左右両側に設けられていてもよい。ロックピン40が固定部材20の左右両側に設けられる場合、左右のロックピン40同士は同期させるために結合されていてもよい。ロックピン40は、固定部材20に可動に支持される。ロックピン40の固定部材20に対する移動は、特に限定されるものではなく、回動であってもよく直線動であってもよい。なお、図示例では、回動である場合を示している。
【0024】
ロックピン40は、ロックピン側係合部41を備える。ロックピン側係合部41は、
図4に示すように、可動部材30が閉位置30aにあるとき、アーム側係合部32bに係合して可動部材30を閉位置30aに保持する。ロックピン側係合部41は、
図5に示すように、可動部材30が閉位置30a以外の位置にあるとき、摺動部32cに当接(接触)している。
【0025】
ロックピン40は、付勢スプリング50により、固定部材20に対してロックピン側係合部41がアーム32に押し付けられる方向に付勢されている。付勢スプリング50は、トーションスプリングであってもよく、圧縮コイルスプリングであってもよく、引張コイルスプリングであってもよい。
【0026】
ここで、本発明実施例の作動を説明する。
〔可動部材30が閉位置30aにあるとき〕
図4に示すように、ロックピン側係合部41がアーム側係合部32bに係合している(引っ掛かっている、ロックピン40によるロックがかかっている)。そのため、可動部材30は固定部材20に対して閉位置30aに保持される。
【0027】
〔閉位置30aにある可動部材30を開動させるとき〕
ロックピン40を、ロックピン側係合部41がアーム側係合部32bから外れるまで、図示略の外力機構(モータ、ワイヤ等)にて付勢スプリング50の付勢力に抗して移動させる。ロックピン側係合部41がアーム側係合部32bから外れると(ロックピン40によるロックが解除されると)、
図5に示すように、ロックピン側係合部41が摺動部32c上を摺動しながら、可動部材30が閉位置30aから自重(または自重と図示略の付勢部材の付勢力)で開位置30bに移動する。
可動部材30が開位置30bに達したとき、ロックピン側係合部41が摺動部32cに当接したまま、アーム32のストッパ部32eが固定部材20のストッパ受け部26に当接する。
【0028】
〔開位置30bにある可動部材30を閉動させるとき〕
開位置30bにある可動部材30を手で持ち上げて閉動させる。このとき、ロックピン側係合部41が、付勢スプリング50の付勢力により摺動部32cに押し付けられているため、摺動部32cに沿って作動する。なお、閉フィーリングの荷重調整は、付勢スプリング50の付勢力(ロックピン側係合部41が摺動部32cに押し付けられる力)によって調整可能である。
可動部材30が閉位置30a直前に達したとき、ロックピン側係合部41が摺動部32cから傾斜面32fに移行する。このため、付勢スプリング50の付勢力により引き込まれるようにして、可動部材30が閉位置30a側に移動する。
可動部材30が閉位置30aに達したとき、ロックピン側係合部41がアーム側係合部32bに係合する。
【0029】
つぎに、本発明実施例の効果を説明する。
(A)本発明実施例では、固定部材20に可動に支持されるロックピン40が設けられており、ロックピン40が、可動部材30が閉位置30aにあるときに可動部材30のアーム32に設けられるアーム側係合部32bに係合して可動部材30を閉位置30aに保持するロックピン側係合部41を備える。この構造では、アーム32とロックピン41との係合により可動部材30を閉位置30aに保持するため、従来と異なり、閂ロッドやストライカ機構は不要である。よって、従来の可動部材に設けられていた凸形状部を無くすことができる。
【0030】
(B)従来可動部材に取付けられていたロック機構部を、固定部材20の横の従来ストッパやダンパが取り付けられる部位へ移動させることにより、装置10の収容スペースを減らすことなく、可動部材に設けられていた凸形状部を無くすことで内容量の向上を図ることができる。
【0031】
(C)従来の可動部材に設けられていた凸形状部を無くすことができるため、可動部材30のフラット化を図ることができ、開口スペースが広くなり、視認性、使用性の向上につながる。
【0032】
(D)可動部材30のアーム32が、アーム側係合部32bに連なり可動部材30の固定部材20に対する移動方向と平行に延びる摺動部32cを備えており、ロックピン40のロックピン側係合部41が、可動部材30が閉位置20a以外の位置にあるときに摺動部32cに接触している。そのため、開位置30bにある可動部材30を、ロックピン側係合部41とアーム側係合部32bとが係合するまで閉位置30a側に移動させるときの操作荷重を一定(略一定を含む)にでき、良好な閉操作性を確保できる。