特許第6418908号(P6418908)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6418908
(24)【登録日】2018年10月19日
(45)【発行日】2018年11月7日
(54)【発明の名称】LED発光装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/54 20100101AFI20181029BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20181029BHJP
   F21V 19/00 20060101ALI20181029BHJP
   F21V 23/00 20150101ALI20181029BHJP
   F21V 23/02 20060101ALI20181029BHJP
【FI】
   H01L33/54
   F21S2/00 100
   F21V19/00 150
   F21V19/00 170
   F21V23/00 120
   F21V23/00 150
   F21V23/00 200
   F21V23/02
   F21V23/00 140
【請求項の数】5
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-229101(P2014-229101)
(22)【出願日】2014年11月11日
(65)【公開番号】特開2016-92362(P2016-92362A)
(43)【公開日】2016年5月23日
【審査請求日】2017年9月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000131430
【氏名又は名称】シチズン電子株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100165191
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 章
(74)【代理人】
【識別番号】100151459
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 健一
(72)【発明者】
【氏名】秋山 貴
(72)【発明者】
【氏名】山田 達郎
(72)【発明者】
【氏名】後藤 聡
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 茂久
【審査官】 小濱 健太
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−108744(JP,A)
【文献】 特開2012−094865(JP,A)
【文献】 特開2005−159311(JP,A)
【文献】 特開2002−314142(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/094700(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00−33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に設けられた第1ダム材と、
前記第1ダム材を囲うように前記基板上に配置された第2ダム材と、
前記第1ダム材の内側に配置された第1LEDと、
前記第1ダム材と接触せず、前記第1LEDを覆うように形成された第1蛍光体含有樹脂領域と、
前記第1ダム材と前記第2ダム材との間に配置された第2LEDと、
前記第2LEDを覆うように前記第1ダム材と前記第2ダム材との間に形成された第2蛍光体含有樹脂領域と、を有し、
第1蛍光体含有樹脂領域は、前記第1ダム材との間に、前記基板の表面が露出した内側領域を形成するように配置されている、
ことを特徴とするLED発光装置。
【請求項2】
前記第1蛍光体含有樹脂領域は前記第1LEDから出射した光を波長変換して第1の色温度の光を出射し、前記第2蛍光体含有樹脂領域は前記第2LEDから出射した光を波長変換して第1の色温度より高い第2の色温度の光を出射する、請求項1に記載のLED発光装置。
【請求項3】
前記第2ダム材の外側に、前記第2ダム材と接続するように配置された第3ダム材と、
前記第2ダム材と前記第3ダム材との間に配置された前記第1LED又は第2LEDの点灯に寄与する電子部品と、
前記電子部品を覆うように前記第2ダム材と前記第3ダム材との間に形成された第3蛍光体含有樹脂領域と、を更に有する請求項1又は2に記載のLED発光装置。
【請求項4】
前記第3蛍光体含有樹脂領域には、前記第2蛍光体含有樹脂領域に利用される樹脂が用いられる、請求項3に記載のLED発光装置。
【請求項5】
前記第1ダム材と前記第2ダム材は、前記基板上に同心円状に配置されている、請求項1〜4の何れか一項に記載のLED発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED発光装置に関し、特に、複数の領域にそれぞれLEDが配置された発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基板上に第1樹脂リングと第2樹脂リングを設け、第1樹脂リングと第2樹脂リングとの間の領域に複数のLEDチップを配置し、第2樹脂リングの内側にも複数のLEDチップを配置した発光装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。上記の発光装置では、第1樹脂リングと第2樹脂リングとの間の領域にはLEDチップを覆う様に第1蛍光体含有樹脂層を設け、第2樹脂リングの内側では、LEDチップを覆う様に第2蛍光体含有樹脂層を設けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−108744号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、第2樹脂リング内は全て第2蛍光体含有樹脂層によって埋め尽くされているため、第2樹脂リング内に配置されたLEDから出射した光が、第2樹脂リングに反射されて第2蛍光体含有樹脂層に戻ることがある。このため、光を有効利用することができない場合があった。
【0005】
そこで、本発明は、光の利用効率を高めることを可能とするLED発光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るLED発光装置は、基板と、基板上に設けられた第1ダム材と、第1ダム材を囲うように前記基板上に配置された第2ダム材と、第1ダム材の内側に配置された第1LEDと、第1ダム材と接触せず且つ第1LEDを覆うように形成された第1蛍光体含有樹脂領域と、第1ダム材と第2ダム材との間に配置された第2LEDと、第2LEDを覆うように第1ダム材と第2ダム材との間に形成された第2蛍光体含有樹脂領域を有し、第1蛍光体含有樹脂領域は、第1ダム材との間に、基板の表面が露出した内側領域を形成するように配置されていることを特徴とする。
【0007】
本発明に係るLED発光装置では、第1蛍光体含有樹脂領域は第1LEDから出射した光を波長変換して第1の色温度の光を出射し、第2蛍光体含有樹脂領域は前記第2LEDから出射した光を波長変換して第1の色温度より高い第2の色温度の光を出射することが好ましい。
【0008】
本発明に係るLED発光装置では、第2ダム材の外側に、第2ダム材と接続するように配置された第3ダム材と、第2ダム材と第3ダム材との間に配置された第1LED又は第2LEDの点灯に寄与する電子部品と、電子部品を覆うように第2ダム材と第3ダム材との間に形成された第3蛍光体含有樹脂領域を更に有することが好ましい。
【0009】
本発明に係るLED発光装置では、第3蛍光体含有樹脂領域には、第2蛍光体含有樹脂領域に利用される樹脂が用いられることが好ましい。
【0010】
本発明に係るLED発光装置では、第1ダム材と第2ダム材は、基板上に同心円状に配置されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るLED発光装置では、複数の領域に区切られた内側の領域を蛍光体含有樹脂で埋め尽くさず、蛍光体含有樹脂が存在しない下面が露出するため、内側の領域に配置された蛍光体含有樹脂から出射する光の利用効率を高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】LED駆動システム10の回路図である。
図2】位相制御式調光部15を説明するための図である。
図3】(a)はLED発光装置200の平面図を示し、(b)は(a)のAA´断面図であり、(c)はLED発光装置200の正面図であり、(d)はLED発光装置200の右側面図である。
図4】LED駆動回路20の各部の電流波形及び全波整流用ダイオードブリッジ回路22の出力電圧波形31を示す図である。
図5】比較用のLED駆動システム100の回路図である。
図6】LED駆動回路120の各部の電流波形及び全波整流用ダイオードブリッジ回路122の出力電圧波形131を示す図である。
図7】他のLED発光装置を示す図である。
図8】他のLED駆動システム10´を示す図である。
図9】LED駆動回路20´の一部の電流波形を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下図面を参照して、本発明に係るLED発光装置について説明する。但し、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0014】
図1は、LED駆動システム10の回路図である。
【0015】
LED駆動システム10は、商用交流電源(交流120V)11と接続する接続端子12及び12´、位相制御式調光部15、及び、LED駆動回路20等から構成される。
【0016】
LED駆動回路20は、アノード端子21、カソード端子21´、全波整流用ダイオードブリッジ回路22、10個の第1LEDが直列に接続された第1LED群L1、35個の第2LEDが直列に接続された第2LED群L2、10個の第2LEDが直列に接続された第3LED群L3、バイパス経路23、及び、制御部40を有している。第1LED群L1及び第2LED群L2は、全波整流用ダイオードブリッジ回路22の出力に対して並列に接続され、第2LED群L2及び第3LED群L3は、全波整流用ダイオードブリッジ回路22の出力に対して直列に接続されている。
【0017】
制御部40は、第1LED群L1、第2LED群L2及び第3LED群L3の点灯を制御するためのディプレッション型のN型MONFET(以下単に「FET」と言う)Q1〜Q3、各種抵抗等を含んで構成されている。
【0018】
FETQ1は、第1LED群L1を流れる電流Iaを制限する電流制限部として機能する。具体的には、抵抗R1−2を流れる電流に応じて、抵抗R1−1を介してFETQ1のゲート電圧が変化することによって、FETQ1のドレイン−ソース間がON−OFF制御される。
【0019】
FETQ2は、第2LED群L2及び第3LED群との間のバイパス経路23を流れる電流Ibを制限する電流制限部として機能する。具体的には、抵抗R2−2を流れる電流に応じて、抵抗R2−1を介してFETQ2のゲート電圧が変化することによって、FETQ2のドレイン−ソース間がON−OFF制御される。
【0020】
FETQ3は、第3LED群を流れる電流Icを制限する電流制限部として機能する。具体的には、抵抗R3−2を流れる電流に応じて、抵抗R3−1を介してFETQ3のゲート電圧が変化することによって、FETQ3のドレイン−ソース間の電流Icの上限値が制限される。
【0021】
図2は、位相制御式調光部15を説明するための図である。
【0022】
図2(a)は商用交流電源(交流120V)の電圧波形30の一例を示す図であり、図2(b)は全波整流用ダイオードブリッジ回路22の出力電圧波形31の一例を示す図であり、図2(c)は調光出力電圧32に基づいた全波整流用ダイオードブリッジ回路22の出力電圧波形33である。
【0023】
位相制御式調光部15は、電圧波形30の山を入力制御信号16に応じてカットして、調光出力電圧32を出力する回路であって、例えばトライアック(登録商標)を利用したトレーリングエッジ型のトライアック(登録商標)ディマーを利用することができる。調光出力電圧32は、入力制御信号16によって、出力電圧波形の70%をカット(30%のみ通過)させた状態を示している(図2(a)参照)。カットする割合は、入力制御信号16によって、0〜100%の間で変更可能である。したがって、入力制御信号16に応じて、LED駆動回路20からの発光量を調整することができる。
【0024】
図3(a)はLED発光装置200の平面図を示し、図3(b)は図3(a)のAA´断面図を示し、図3(c)はLED発光装置200の正面図であり、図3(d)はLED発光装置200の右側面図である。LED発光装置200の背面図は図3(c)と同じであり、LED発光装置200の左側面図は図3(d)と同じであるので、それぞれ省略している。
【0025】
LED発光装置200は、図1に示したLED駆動回路20を発光装置として構成したものである。LED発光装置200では、基板1上に、円形の第1ダム材2、第1ダム材2の外側に、第1ダム材2と同心円状に形成された第2ダム材3、第3ダム材4、アノード端子31、及び、カソード端子31´が配置されている。第3ダム材4は、第2ダム材3と接続する様に、第2ダム材3の図中の左右に矩形状の一部を構成するように設けられている。
【0026】
第1ダム材2、第2ダム材3及び第3ダム材4は、白色粒子が混入されたシリコーン樹脂から形成されている。基板1はセラミック基板で構成され、その表面は、高反射率を有する。なお、図3の例では、第1ダム材2及び第2ダム材3は、円形に形成したが、多角形の円環状に形成しても良い。
【0027】
第1ダム材2の内部には、第1LED群L1を構成する10個の第1LEDが、ダイボンド材で直接基板1上に接着されている。第1ダム材2と第2ダム材3との間の領域には、第2LED群L2及び第3LED群L3を構成する45個の第2LEDが、ダイボンド材で直接基板1上に接着されている。また、第2ダム材3と第3ダム材4との間の領域には、図1に示した全波整流用ダイオードブリッジ回路22、FET、及び抵抗等の電子部品が配置されている。なお、図示していないが、各LED群等と、アノード端子31及びカソード端子31´とを接続するための電極が、基板1上に配置されている。
【0028】
第1ダム材2の内側には、第1LED群L1を構成する10個の第1LEDを覆う様に、第1の蛍光体含有樹脂6が形成されている。第1の蛍光体含有樹脂6は、第1ダム材2とは接触せず、第2ダム材3と第1の蛍光体含有樹脂6との間には、図3(a)に記載されるように、基板1の表面が露出する内部領域9を有している。
【0029】
第1ダム材2と第2ダム材3との間の領域では、第2LED群L2及び第3LED群L3を構成する45個の第2LEDを覆う様に、第2の蛍光体含有樹脂7が形成されている。第2の蛍光体含有樹脂7は、第1ダム材2と第2ダム材3との間の全ての領域を覆うように形成されている。また、第2ダム材3及び第3ダム材4との間の領域では、電子部品を覆う様に、第2の蛍光体含有樹脂7が第2ダム材3と第3ダム材4との間の全ての領域に形成されている。
【0030】
第1LED群L1を構成する第1LED及び第1の蛍光体含有樹脂6は、第1LEDからの青色光の一部を第1の蛍光体含有樹脂6が吸収して橙色から赤色の光を発光し、全体として色温度1600Kの光を出射するように設定されている。また、第2LED群L2及び第3LED群を構成する第2LED及び第2の蛍光体含有樹脂7は、第2LEDからの青色光の一部を第2の蛍光体含有樹脂7が吸収して黄色光を発光し、全体として色温度2780Kの光を出射するように設定されている。
【0031】
第1の蛍光体含有樹脂6は、第2の蛍光体含有樹脂7に比べて粘度を高く設定しているため、第1ダム材2の内部全体に広がらず、図1で図示したような棒状の状態を保持して固化している。これに対して、第2の蛍光体含有樹脂7は、粘度が比較的低いので、第1ダム材2と第2ダム材3との間の領域、及び、第2ダム材3と第3ダム材4との間の領域に万遍なく広がって、その間全体を覆うようにして固化している。
【0032】
第1の蛍光体含有樹脂6は、第1LED群L1を構成する10個の第1LEDをちょうど、覆い隠すように配置されているので、その周囲には、基板1の表面が内部領域9として露出している。このため、一旦、第1の蛍光体含有樹脂6から出射した光が、第1の蛍光体含有樹脂6から斜め下方(基板1側)に出射した場合や、他の箇所で反射して戻ってきた場合に、基板1の表面で反射するため、光の利用効率が高くなる。
【0033】
図4は、LED駆動回路20の各部の電流波形及び全波整流用ダイオードブリッジ回路22の出力電圧波形31を示す図である。
【0034】
以下、図4を参照しながら、LED駆動システム10の動作について説明する。図4において、曲線40は、第1LED群L1を流れる電流Iaの波形を示し、曲線41は、第2LED群L2及び第3LED群L3を流れる合算電流(Ib+Ic)の波形を示している。
【0035】
第1LED群L1は、10個のLEDが直列に接続されているので、順方向電圧V1(10×Vf=10×3.2=32(V))程度の電圧が、第1LED群L1に印加されると、第1LED群L1に含まれるLEDが点灯する。第1LED群L1と並列に接続されている第2LED群L2は、35個のLEDが直列に接続されているので、順方向電圧V2(35×Vf=35×3.2=112(V))程度の電圧が、第2LED群L2に印加されると、第1LED群L2に含まれるLEDが点灯する。第2LED群L2と直列に接続されている第3LED群L3は、10個のLEDが直列に接続されているので、順方向電圧V3((35+10)×Vf=45×3.2=144(V))程度の電圧が、第2LED群L2及び第3LED群L3に印加されると、第2LED群L2及び第3LED群L3に含まれるLEDが点灯する。
【0036】
時刻t0(時刻t7)において、全波整流用ダイオードブリッジ回路22の出力電圧が0(V)の場合、第1LED群L1、第2LED群L2及び第3LED群L3の何れのLEDを点灯させるだけの電圧に達していないので、全てのLEDは点灯していない。
【0037】
時刻t1において、全波整流用ダイオードブリッジ回路22の出力電圧が順方向電圧V1となると、第1LED群L1を点灯させるのに充分な電圧となり、電流Iaが流れ始め、第1LED群L1に含まれるLEDが点灯する。この時、FETQ1はON状態となっている。なお、この時点で、第1LED群L1と並列に接続されている第2LED群L2を点灯させるのに充分な電圧となっていないので、第2LED群L2に含まれるLEDは点灯していない。
【0038】
時刻t2において、全波整流用ダイオードブリッジ回路22の出力電圧が順方向電圧V2となると、第2LED群L2を点灯させるのに充分な電圧となり、電流Ibがバイパス経路23を流れ始め、第2LED群L2に含まれるLEDが点灯する。この時、FETQ2はON状態となっている。なお、電流Ibが流れ始めることによって、抵抗R1−2を流れる電流が増加すると、抵抗R1−2による電圧降下に伴って、FETQ1のゲート電圧が低下し、FETQ1がON状態からOFF状態に移行して、第1LED群L1を流れる電流Iaが制限される。したがって、第1LED群L1に含まれるLEDが消灯し、代わって第2LED群L2に含まれるLEDが点灯する。
【0039】
時刻t3において、全波整流用ダイオードブリッジ回路22の出力電圧が順方向電圧V3となると、第2LED群L2及び第3LED群L3を点灯させるのに充分な電圧となり、電流Icが流れ始め、第2LED群L2及び第3LED群L3に含まれるLEDが点灯する。この時、FETQ3は抵抗R3−2の電圧降下がフィードバックし定電流動作する。なお、電流Icが流れ始めることによって、抵抗R2−2を流れる電流が増加すると、抵抗R2−2による電圧降下に伴って、FETQ2のゲート電圧が低下し、FETQ2がON状態からOFF状態に移行して、バイパス経路23を流れる電流Ibが制限される。なお、抵抗R1−2を流れる電流は増加しているので、FETQ1はOFF状態を維持し、第1LED群L1に含まれるLEDは消灯し続けている。
【0040】
時刻t4において、全波整流用ダイオードブリッジ回路22の出力電圧が順方向電圧V3より低くなると、第2LED群L2及び第3LED群L3を点灯させるのに充分な電圧ではなくなり、電流Icが流れなくなる。抵抗R2−2を流れる電流が低下して、FETQ2のゲート電圧が上昇し、FETQ2がOFF状態からON状態に移行して、電流Ibがバイパス経路23を流れ始める。この結果、第3LED群L3に含まれるLEDが消灯し、第2LED群L2に含まれるLEDのみが点灯する。
【0041】
時刻t5において、全波整流用ダイオードブリッジ回路22の出力電圧が順方向電圧V2より低くなると、第2LED群L2を点灯させるのに充分な電圧ではなくなり、電流Ibが流れなくなる。抵抗R1−2を流れる電流が低下して、FETQ1のゲート電圧が上昇し、FETQ1がOFF状態からON状態に移行して、第1LED群L1に電流Iaが流れ始める。この結果、第2LED群L2に含まれるLEDが消灯し、第1LED群L1に含まれるLEDのみが点灯する。
【0042】
時刻t6において、全波整流用ダイオードブリッジ回路22の出力電圧が順方向電圧V1より低くなると、第1LED群L1を点灯させるのに充分な電圧ではなくなり、電流Iaが流れなくなり、全てのLEDが消灯する。以後、上記の状態を繰り返す。
【0043】
上述した様に、LED駆動回路では、時刻t1〜t2及び時刻t5〜t6の期間では、第1LED群L1に含まれる第1LEDのみが点灯する。また、時刻t2〜t5の期間では、第2LED群L2に含まれる第2LEDが点灯し、時刻t3〜t4の期間では、第3LED群L3に含まれる第2LEDが点灯する。
【0044】
第1LED群L1に含まれる第1LEDの直列段数は10であり、第2LED群L2に含まれる第2LEDの直列段数は35であるので、それらの比は、1:3.5となっている。各LED群による明るさは、発光しているLEDの個数と電流との積によって概ね定まる。したがって、低電圧位相において低電流で発光し、個数が少ない第1LED群は、第2LED群より、暗い発光をすることとなる。なお、第1LED群L1に含まれる第1LEDの直列段数と第2LED群L2に含まれる第2LEDの直列段数の比を、1:3より小さくすると、フィラメント電球に似た調光−発光色特性が得られることが確認できた。
【0045】
上記の様に、LED駆動回路20では、整流出力電圧の上昇に伴って、発光量が少ない低い色温度の光の発光に寄与する第1LED群L1から、発光量が多い高い色温度の光の発光に寄与する第2LED群L2の発光に切換えているので、調光により帯びる赤味を容易に制御できる。
【0046】
図5は、比較用のLED駆動システム100の回路図である。
【0047】
図1に示したLED駆動システム10と同じ構成には同じ番号を付してその説明を省略する。LED駆動システム100において、LED駆動システム10と異なる点は、LED駆動回路120の構成のみである。
【0048】
LED駆動回路120は、アノード端子121、カソード端子121´、全波整流用ダイオードブリッジ回路122、10個のLEDが直列に接続された第1LED群L11、25個のLEDが直列に接続された第2LED群L12、10個のLEDが直列に接続された第3LED群L13、第1バイパス経路123、第2バイパス経路124等を有している。第1LED群L11、第2LED群L12及び第3LED群L13は、全波整流用ダイオードブリッジ回路22の出力に対して直列に接続されている。
【0049】
FETQ11は、第1LED群L11及び第2LED群L12の間に設けられた第1バイパス経路123を流れる電流Idを制限する電流制限部として機能する。具体的には、抵抗R11−2を流れる電流に応じて、抵抗R11−1を介してFETQ11のゲート電圧が変化することによって、FETQ11のドレイン−ソース間がON−OFF制御される。
【0050】
FETQ12は、第2LED群L12及び第3LED群L13の間に設けられた第2バイパス経路124を流れる電流Ieを制限する電流制限部として機能する。具体的には、抵抗R12−2を流れる電流に応じて、抵抗R21−1を介してFETQ12のゲート電圧が変化することによって、FETQ12のドレイン−ソース間がON−OFF制御される。
【0051】
FETQ13は、第3LED群L13を流れる電流Ifを制限する電流制限部として機能する。具体的には、抵抗R13−2を流れる電流に応じて、抵抗R13−1を介してFETQ13のゲート電圧が変化することによって、FETQ13のドレイン−ソース間の電流Ifの上限値が制限される。
【0052】
図6は、LED駆動回路120の各部の電流波形及び全波整流用ダイオードブリッジ回路122の出力電圧波形131を示す図である。
【0053】
以下、図6を参照しながら、LED駆動システム100の動作について説明する。図6において、曲線60は、第1LED群L11、第2LED群L12及び第3LED群L13を流れる合算電流(Id+Ie+If)の波形を示している。
【0054】
第1LED群L11は、10個のLEDが直列に接続されているので、順方向電圧V1(10×Vf=10×3.2=32(V))程度の電圧が、第1LED群L11に印加されると、第1LED群L11に含まれるLEDが点灯する。第1LED群L11と直列に接続されている第2LED群L12は、25個のLEDが直列に接続されているので、順方向電圧V2((10+25)×Vf=35×3.2=112(V))程度の電圧が、第1LED群L11及び第2LED群L12に印加されると、第1LED群L11及び第2LED群L12に含まれるLEDが点灯する。第1LED群L11及び第2LED群L12と直列に接続されている第3LED群L13は、10個のLEDが直列に接続されているので、順方向電圧V3((10+25+10)×Vf=45×3.2=144(V))程度の電圧が、第1LED群L11、第2LED群L12及び第3LED群L13に印加されると、第1LED群L11、第2LED群L12及び第3LED群L13に含まれるLEDが点灯する。
【0055】
時刻t0(時刻t7)において、全波整流用ダイオードブリッジ回路122の出力電圧が0(V)の場合、第1LED群L11、第2LED群L12及び第3LED群L13の何れのLEDを点灯させるだけの電圧に達していないので、全てのLEDは点灯していない。
【0056】
時刻t1において、全波整流用ダイオードブリッジ回路122の出力電圧が順方向電圧V1となると、第1LED群L11を点灯させるのに充分な電圧となり、電流Idが第1バイパス経路122を流れ始め、第1LED群L11に含まれるLEDが点灯する。この時、FETQ11はON状態となっている。なお、この時点で、第1LED群L11と直列に接続されている第2LED群L12又は第3LED群L13を点灯させるのに充分な電圧となっていないので、第1LED群L11に含まれるLEDのみが点灯する。
【0057】
時刻t2において、全波整流用ダイオードブリッジ回路122の出力電圧が順方向電圧V2となると、第1LED群L11及び第2LED群L12を点灯させるのに充分な電圧となり、電流Ieが流れ始め、第1LED群L11及び第2LED群L12に含まれるLEDが点灯する。この時、FETQ12はON状態となっている。なお、電流Ieが流れ始めることによって、抵抗R11−2を流れる電流が増加すると、抵抗R11−2による電圧降下に伴って、FETQ11のゲート電圧が低下し、FETQ11がON状態からOFF状態に移行して、第1バイパス経路123を流れる電流Idが制限される。
【0058】
時刻t3において、全波整流用ダイオードブリッジ回路122の出力電圧が順方向電圧V3となると、第1LED群L11、第2LED群L12及び第3LED群L13を点灯させるのに充分な電圧となり、電流Ifが流れ始め、第1LED群L11、第2LED群L12及び第3LED群L13に含まれるLEDが点灯する。この時、FETQ13はON状態となっている。なお、電流Ifが流れ始めることによって、抵抗R12−2を流れる電流が増加すると、抵抗R12−2による電圧降下に伴って、FETQ12のゲート電圧が低下し、FETQ12がON状態からOFF状態に移行して、第2バイパス経路124を流れる電流Ieが制限される。なお、抵抗R11−2を流れる電流は増加しているので、FETQ11はOFF状態のままである。
【0059】
時刻t4において、全波整流用ダイオードブリッジ回路122の出力電圧が順方向電圧V3より低くなると、第1LED群L11、第2LED群L12及び第3LED群L13を点灯させるのに充分な電圧ではなくなり、電流Ifが流れなくなる。抵抗R12−2を流れる電流が低下して、FETQ12のゲート電圧が上昇し、FETQ12がOFF状態からON状態に移行して、電流Ieが第2バイパス経路124を流れ始める。この結果、第3LED群L13に含まれるLEDが消灯し、第1LED群L11及び第2LED群L12に含まれるLEDのみが点灯する。
【0060】
時刻t5において、全波整流用ダイオードブリッジ回路122の出力電圧が順方向電圧V2より低くなると、第1LED群L11及び第2LED群L12を点灯させるのに充分な電圧ではなくなり、電流Ieが流れなくなる。抵抗R11−2を流れる電流が低下して、FETQ11のゲート電圧が上昇し、FETQ11がOFF状態からON状態に移行して、第1バイパス経路123に電流Idが流れ始める。この結果、第2LED群L12に含まれるLEDが消灯し、第1LED群L11に含まれるLEDのみが点灯する。
【0061】
時刻t6において、全波整流用ダイオードブリッジ回路122の出力電圧が順方向電圧V1より低くなると、第1LED群L1を点灯させるのに充分な電圧ではなくなり、電流Idが流れなくなり、全てのLEDが消灯する。以後、上記の状態を繰り返す。
【0062】
図1に示すLED駆動回路20(又はLED駆動回路20によって構成されたLED発光装置200)の動作について、図5に示す比較LED駆動システム100におけるLED駆動回路120との差異を考慮しながら、以下に説明する。
【0063】
LEDでは、順方向降下電圧(Vf)以上の電圧がLEDに印加された場合に、順方向電流(If)にほぼ比例した光度の発光がなされる。したがって、複数のLEDを直列にn個接続した場合には、n×Vf以上の電圧が複数のLEDに印加された場合に、複数のLEDが発光する。また、商用電源から供給される交流電流を全波整流するダイオードブリッジ回路から出力される整流出力電圧は、商用電源周波数の2倍の周期で、0vから最大出力電圧までの変化を繰り返す。したがって、整流出力電圧が、n×Vf以上となった場合のみ、複数のLEDが発光するが、n×Vf未満では、複数のLEDは発光せず、LEDの発光期間が短くなってしまう。
【0064】
そこで、LED駆動回路120では、LEDを3つのグループに分け、交流電流を全波整流するダイオードブリッジ回路122から出力される整流出力電圧からの電圧に応じて、順次、各グループを点灯させるように制御を行い、LEDの発光期間を長くしている。
【0065】
また、低率調光時(暗くなるような調光時)では第1の色温度となるように設定され、且つ、100%調光時では第1の色温度より高い第2の色温度になるように設定される照明器具が求められている。
【0066】
例えば、LED駆動回路120において、上記の照明器具を構成するために、100%調光時に色温度が2700Kとなり、低率調光時に赤味を帯びるように設定することが考えられる。そこで、LED駆動回路120において、第1LED群L11に含まれるLEDと対応する蛍光体含有樹脂から出力される光の色温度を1600Kとし、第2LED群L12及び第3LED群L13に含まれるLEDと対応する蛍光体含有樹脂から出力される光の色温度を4000Kとする。この場合、100%調光時に、複数の発光光が混色し、比較LED駆動システム100全体の色温度は大よそ2700Kとすることができる。また、低率調光時には、第1LED群L11と対応する蛍光体含有樹脂から出力される光の色温度である1600Kが支配的になり、LED駆動回路120全体の色温度は赤味を帯びるようになる。
【0067】
ところで、一般的に色温度が低くなると、蛍光体の変換効率が極端に悪くなる。例えば、1600Kの場合、2700Kと比較して、変換効率が約50%低下する。LED駆動回路120の場合、低率調光時に1600Kの光を支配的にするために、低率調光時に1600Kの光が出射するように、第1LED群を1600Kに対応させている。しかしながら、第1LED群L11に含まれるLEDは、順方向電圧V1以上で点灯し、3つのLED群の中で最も長い期間(図6の時刻t1から時刻t6まで)点灯していることになる。すなわち、LED駆動回路120では、最も変換効率の低いグループを最も長い期間利用しなければならず、駆動回路全体の効率を悪化させていた。
【0068】
また、LED駆動回路120では、第1LED群に含まれるLEDが最も長く点灯しているので、100%調光時にも、1600Kの色温度の光を考慮しなければならなかった。
【0069】
同様に、LED駆動回路20において、上記の照明器具を構成するために、100%調光時に色温度が2700Kとなり、低率調光時に赤味を帯びるように設定することが考えられる。そこで、LED駆動回路20において、第1LED群L1に含まれる第1LEDと対応する蛍光体含有樹脂6から出力される光の色温度を1600Kとし、第2LED群L2及び第3LED群L3に含まれる第2LEDと対応する蛍光体含有樹脂7から出力される光の色温度を2780Kとする。この場合、100%調光時に、第1LEDと第2LEDとの光が混色し、LED駆動システム10全体の色温度は大よそ2700Kとすることができる。また、低率調光時には、第1LEDと対応する蛍光体含有樹脂6から出力される光の色温度である1600Kが支配的になり、LED駆動回路20(LED駆動回路20によって構成されたLED発光装置200)全体の色温度は赤味を帯びるようになる。
【0070】
一方、LED駆動回路20では、第1LED群L1に含まれる第1LEDは、順方向電圧V1以上で点灯するが、順方向電圧V2以上では消灯し、第2LED群L2及び第3LED群L3に含まれる第2LEDが点灯している間は消灯していることになる。すなわち、変換効率の悪いグループを、必要な場合(低率調光時)のみで利用しているので、LED発光装置全体の発光効率を向上させることができる。
【0071】
また、LED駆動回路20では、整流出力電圧が低い時期には第1LED群L1のみが点灯しているので、低率調光時には、全発光期間に対し第1LED群の発光時間が長くなるため、第1の色温度である1600Kが支配的となる。また、低い色温度における発光量は高い色温度における発光量より少ないことから、100%調光時には第2の色温度である2780Kが支配的となる。したがって、100%調光時において、所望の色温度を設定し易いので、発光色の管理が容易となる。
【0072】
図1に示したLED駆動回路20及びLED発光装置200は、一例であって、適宜、同様の制御を行うための変更及び要素の追加等を行うことが可能である。また、LED駆動システム10に関して記載した、第1LED群L1、第2LED群L2及び第3LED群L3に含まれるLEDの個数は、一例であって、適宜、所望の個数に変更することが可能である。第1LED群L1に含まれる第1LED、第2LED群L2及び第3LED群L3に含まれる第2LEDの種類と、それぞれに対応した第1の蛍光体含有樹脂及び第2の蛍光体含有樹脂の種類は、所望の色温度となるように適宜選択すれば良い。また、第3蛍光体含有樹脂領域に用いられる樹脂は、蛍光体の代わりに黒色の顔料を含有するものであっても良い。
【0073】
図7は、他のLED発光装置を示す図である。
【0074】
図7(a)は、他のLED発光装置210の平面図とそのBB´断面図である。LED発光装置210と図3に示すLED発光装置200との差異は、第1の蛍光体含有樹脂201と第1の蛍光体含有樹脂6の形状の差異のみであって、他は全て同一である。すなわち、図7(a)では、第1の蛍光体含有樹脂211がドーナツ状に基板1上に形成されており、その内部に第1LEDが10個配置されている。正面図及び側面図は、図3(c)及び(d)と同様であるので、省略している。LED発光装置210も、LED発光装置200と同様に、図1に示したLED駆動回路20を発光装置として構成したものである。
【0075】
図7(b)は、他のLED発光装置220の平面図とそのCC´断面図である。LED発光装置220と図3に示すLED発光装置200との差異は、第1の蛍光体含有樹脂221と第1の蛍光体含有樹脂6の形状の差異のみであって、他は全て同一である。すなわち、図7(b)では、第1の蛍光体含有樹脂221がドーナツ形状から一部の円弧が欠落した状態で基板1上に形成されており、その内部に第1LEDが10個配置されている。正面図及び側面図は、図3(c)及び(d)と同様であるので、省略している。LED発光装置220も、LED発光装置200と同様に、図1に示したLED駆動回路20を発光装置として構成したものである。
【0076】
図7(c)は、他のLED発光装置230の平面図とそのDD´断面図である。LED発光装置230と図3に示すLED発光装置200との差異は、第1の蛍光体含有樹脂231と第1の蛍光体含有樹脂6の形状の差異のみであって、他は全て同一である。すなわち、図7(c)では、第1の蛍光体含有樹脂231が円形に基板1上に形成されており、その内部に第1LEDが10個配置されている。正面図及び側面図は、図3(c)及び(d)と同様であるので、省略している。LED発光装置230も、LED発光装置200と同様に、図1に示したLED駆動回路20を発光装置として構成したものである。
【0077】
図8は、他のLED駆動システム10´を示す図である。
【0078】
図8に示すLED駆動システム10´と図1に示したLED駆動システム10との差異は、抵抗R1−2が、抵抗R1−2a及び抵抗R1−2bに分割され、抵抗R1−2bがFETQ3と抵抗R1−2aとの間に配置されている点のみである。なお、LED駆動システム10´は、LED駆動回路20´を有し、LED駆動回路20´は制御部40´を有し、第1LED群L1を流れる電流をIgとする。図8に示すLED駆動システム10´における他の構成は図1に示したLED駆動システム10と同様であるので、説明を省略する。また、図8に示すLED駆動回路20´も、図3及び図7に示すようなLED発光装置として構成することが可能である。
【0079】
図9は、LED駆動回路20´の一部の電流波形を示す図である。なお、図9に示す電圧波形は、LED駆動回路20´に関して、図4に示す電圧波形の破線Eで示した箇所に対応する波形である。
【0080】
以下、図9を参照しながら、LED駆動システム10´の動作について説明する。図9において、曲線90は、第1LED群L1を流れる電流Igの波形を示している。また、図9において、曲線31、点線による曲線40、及び曲線41は、図4の場合と同様である。
【0081】
図1に示すLED駆動回路20では、時刻t2の直前から第1LED群L1を流れる電流Iaが急激に減少し、その一方で第2LED群L2を流れる電流Ibが急激に増加する(曲線40及び曲線41参照)。これに対して、図8に示すLED駆動回路20´では、電流Ibによる抵抗R1−2bの電圧降下が少ないため、電流Igは電流Ibが流れ始めると減少し、電流Ibが一定電流となる期間で電流Igも一定電流を維持する。また、電流Icが流れ始めると、電流Igは0(A)になる。全波整流用ダイオードブリッジ回路22の出力電圧が下降する位相では、逆の過程を辿る。なお、図1に示すLED駆動回路20と図8に示すLED駆動回路20´では、実際には電流Ibの値が僅かに異なるが、図9での要部は、電流Iaと電流Igとの減衰のしかたにあるので、図9では、電流Ibの違いは無視している。
【0082】
図8に示すLED駆動回路20´では、第1LED群L1の点灯時間が延びるため、図1に示すLED駆動回路20における第1LED群L1と同様の発光量を得るのに、第1LEDの個数を減らすことが可能となる。また、LED駆動回路20´では、電流Igがなだらかに減衰するので、制御部40´は、第1LED群L1のみ点灯する期間と、第1LED群L1及び第2LED群L2が共に点灯する期間を設ける様に制御することとなる。なお、上記によって、LED駆動回路20´では、図1に示すLED駆動回路20よりも、自然な調光−発光色特性が得られることを確認した。
【符号の説明】
【0083】
1 基板
2 第1ダム材
3 第2ダム材
4 第3ダム材
6 第1の蛍光体含有樹脂
7 第2の蛍光体含有樹脂
10、10´ LED駆動システム
15 位相制御式調光部
20、20´ LED駆動回路
22 全波整流用ダイオードブリッジ回路
40 制御部
200、210、220、230 LED発光装置
L1 第1LED群
L2 第2LED群
L3 第3LED群
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9