(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係るスイッチ装置を、車両のステアリングハンドルに内装されたスイッチであって、車両の車載機器(例えば、空調装置やオーディオ装置)の操作に用いられるスイッチ装置1に適用した場合を例に挙げて説明する。
【0011】
図1は、実施の形態にかかるスイッチ装置1を説明する分解斜視図である。
図2は、上カバー10およびフイルム電極20を説明する図であり、(A)は上カバー10の平面図であって、スイッチ装置1をステアリングハンドルに取り付けた状態での上カバー10の向きを説明する図であり、(B)は(A)におけるA−A断面を拡大した図であり、(C)はフイルム電極20の平面図である。
なお、以下の説明では、説明の便宜上、
図1における「上カバー10側」を「上側」、「下カバー50側」を「下側」として説明する。
さらに、
図2の(A)における「操作ボタン134側」を「上側」、「操作ハンドル135側」を「下側」、「操作ハンドル131側」を「左側」、「操作ハンドル133側」を「右側」として説明する。
【0012】
図1に示すように、スイッチ装置1は、操作部12を有する上カバー10と、複数の電極22、23、24を有するフイルム電極20と、フイルム電極20が載置されるベース30と、スイッチ装置1の全体制御を行う制御部42(中央演算処理装置)を有する基板40と、上カバー10と嵌合する下カバー50とを備えている。
上カバー10と下カバー50は、フイルム電極20と、ベース30と、基板40とを収容した状態で上下方向から相互に嵌合するようになっている。
【0013】
上カバー10は、上壁11と、この上壁11の周縁を囲む周壁16とを備えており、この上カバー10は、非導電性の合成樹脂材料で形成されている。
【0014】
上壁11には、ユーザ(図示せず)による操作(タッチ操作、プッシュ操作、スライド操作)が行われる操作部12が設けられており、この操作部12のベース30側の下方には、ベース30に載置されたフイルム電極20が、操作部12との間に間隔を開けて設けられている。
【0015】
操作部12には、任意の機能が割り当てられた操作領域13、14、15が複数設けられており、上壁11におけるこれら操作領域13、14、15が設けられた領域(操作部12)の厚みは、これら操作領域13、14、15が設けられた領域(操作部12)の外縁部12a(
図2参照)の厚みよりも薄くなっている。
そのため、操作領域13、14、15が設けられた領域(操作部12)は、操作部12とフイルム電極20との対向方向に変位可能となっており、いずれかの操作領域13、14、15が、ユーザによりフイルム電極20側の下方に押圧(プッシュ操作)されると、押圧された操作領域と、その周辺領域が、フイルム電極20側に変位するようになっている。
【0016】
図2の(A)に示すように、平面視において操作領域13は、操作部12のほぼ中央に設定された円形形状の領域であり(図中、点線参照)、この操作領域13では、5つの操作ボタン131〜135が相互に隣接して設けられている。
操作ボタン131、132、133は、平面視における左右方向に一列に配置されており、操作ボタン134と135は、3つの操作ボタンの真ん中に位置する操作ボタン132を挟んだ上下方向に設けられている。よって、3つの操作ボタン134、132、135は、平面視における上下方向に一列に配置されている。
【0017】
操作ボタン131、133、134、135の表面には、それぞれ「左矢印」、「右矢印」、「上矢印」、「下矢印」を表す図柄が施されており、操作ボタン132の表面には「四角形」を表す図柄が施されている。この「左矢印」、「右矢印」、「上矢印」、「下矢印」、「四角形」は、操作ボタンに割り当てられた機能を標記する図柄であり、それぞれ、操作ボタン131〜135がタッチ操作された場合には、図示しないディスプレイ上に表示されたカーソルの「左移動」、「右移動」、「上移動」、「下移動」、「決定」の機能が実行され、操作ボタン131〜135がプッシュ操作された場合には、上記の機能に関係なく、「決定」の機能が実行されるようになっている。
【0018】
図2の(A)に示すように、操作領域14は、操作領域13の下側に配置されており、3つの操作ボタン141、142、143が、平面視における左右方向に一列に配置されている。
操作ボタン141、142、143の表面には、各操作ボタン141、142、143に割り当てられた機能を標記する図柄、具体的には、「U型の矢印(バック)」、「電話」、「ハンズフリー」が施されている。
【0019】
また、操作領域15は、操作領域13の右側に配置されており、4つの操作ボタン151、152、153、154が、平面視における上下方向に一列に配置されている。
操作ボタン151〜154の表面には、「−」の図柄がそれぞれ施されており、当該図柄の下端には音量を小さくするイメージの図柄が施され、上端には音量を大きくするイメージの図柄が施されている。このため、操作ボタン151〜154の下側から上側への操作により、音量が徐々に上がることを推測させるようになっている。
【0020】
各操作領域13、14、15のベース30側の下方には、ベース30に載置されたフイルム電極20が、操作部12との間に間隙を開けて設けられている。
フイルム電極20は、可撓性のあるFPC(Flexible Printed Circuits)で構成されており、ベースフィルム21と、このベースフィルム21の一端から、ベース30の下方に配置される基板40まで延びる端子部25と、を有している(
図1参照)。
【0021】
ベースフィルム21の上カバー10側の表面には、透明又は半透明の電極22、23、24が複数設けられている。
操作領域13の下方に位置する電極22は、操作領域13の各操作ボタン131〜135に対応する検出電極221〜225を有しており、操作領域14の下方に位置する電極23は、操作領域14の各操作ボタン141〜143に対応する検出電極231〜233を有しており、操作領域15の下方に位置する電極24は、操作領域15の各操作ボタン151〜154に対応する検出電極241〜244を有している。
これら検出電極221〜225、231〜233、241〜244の各々は、前記した操作ボタン131〜135、141〜143、151〜154に、それぞれ一対一の関係で対向して配置されており、対向配置された操作ボタンとの間に所定の間隔s1を有するように設けられている(
図2の(B)参照)。
【0022】
各々の検出電極と操作ボタンとの間の操作ボタンのプッシュ方向の間隔s1は、操作ボタンが押圧操作(プッシュ操作)された際に、フイルム電極20側に変位した操作ボタンが、対応する検出電極に接触することのない間隔に設定されている。
【0023】
端子部25は、各検出電極221〜225、231〜233、241〜244と接続されており(
図1参照)、端子部25が、後記する基板40のコネクタ43に接続されると、検出電極221〜225、231〜233、241〜244と基板40の制御部42とが接続されるようになっている。
【0024】
フイルム電極20が載置されるベース30は、フイルム電極20の上カバー10とは反対側の面を支持する支持部31と、支持部31の周縁を囲む周壁部32とを有している。
ベース30は、下カバー50側の下方に開口を向けた有底筒形状を成しており、下カバー50の上面に固定された基板40の外周に、周壁部32を外嵌して設けられている。
ベース30は、透明な合成樹脂(例えば、アクリル樹脂)材料により形成されている。
【0025】
図1に示すように、基板40は、ベース41と、スイッチ装置1の全体の制御を行う制御部42と、フイルム電極20の端子部25が挿抜されるコネクタ43と、複数のLED44とを備えて構成される。
制御部42と、コネクタ43と、LED44は、ベース41に表面実装されている。
フイルム電極20の端子部25をコネクタ43に挿し込むことで、フイルム電極20の電極22〜24と制御部42とが接続される。
【0026】
複数のLED44は、フイルム電極20とベース30と基板40とが、上カバー10と下カバー50とに組み付けられた状態で、上カバー10の操作ボタン131〜135、141〜143、151〜154およびフイルム電極20の検出電極221〜225、231〜233、241〜244と上下方向に重なる位置に配置されている。
よって、複数のLED44から出力された照射光(図示せず)は、透明なベース30と透明なフイルム電極20(電極22〜24)を透過して、上カバー10の操作ボタン131〜135、141〜143、151〜154を照らすようになっている。
【0027】
図3は、制御部42の機能ブロック図である。
制御部42は、CPU42aと、CPU42aやLED44に駆動電力を供給する電源回路42bと、CPU42aとECU(車両の車載機器)と間の信号の送受信を行う通信回路42cと、インタフェース(I/O)回路42d、42eとから構成される。
【0028】
CPU42aは、インタフェース回路42eと端子部25とを介して、フイルム電極20の電極22〜24と接続されており、電極22〜24の各検出電極221〜225、231〜233、241〜244での静電容量の変化の有無と、変化があった場合の静電容量の変化量に基づいて、操作された操作ボタンの特定と、操作された操作領域13〜15(操作ボタン131〜135、141〜143、151〜154)での操作態様を特定する。
【0029】
CPU42aは、比較部42a1と、判定部42a2と、制御部42a3とを備えている。
CPU42aの比較部42a1は、フイルム電極20の電極22〜24の各検出電極221〜225、231〜233、241〜244での静電容量の変化の有無を検出し、静電容量の変化のあった検出電極221〜225、231〜233、241〜244での静電容量の変化量と後記する閾値との比較を行う。
【0030】
判定部42a2は、静電容量の変化のあった検出電極のうち、静電容量の変化量が最も大きい検出電極に対向配置される操作ボタンを、操作された操作ボタンと判定する。そして、判定部42a2は、静電容量の変化の仕方(
図4の(C)、(D)、
図5参照)に基づいて、操作された操作ボタンが何れの操作態様(タッチ操作、プッシュ操作、スライド操作)により操作されたのかを特定する。
【0031】
制御部42a3は、通信回路42cとインタフェース回路42dとを介してECU(車載機器)に接続されており、判定部42a2による、操作された操作ボタンと操作態様の特定結果に基づいて、ECUの制御を行う。
例えば、制御部42a3は、操作ボタン133がタッチ操作の態様で操作されたと判定した場合、通信回路42cを介して、操作ボタン133がタッチ操作されたことを示すコマンドをECUに送信する。
【0032】
LED44の点灯/消灯は、車両側のECUから受信した制御信号に基づいて行われる。例えば、夜間などの場合、車両側のECUは、図示しない車両のヘッドライトが点灯されたことに基づいて、複数のLED44の全点灯を指示する制御信号をLED44に送信する。LED44は、全点灯を指示する制御信号をECUから受信したことに基づいて点灯するようになっている。
【0033】
次に、制御部42(CPU42a)により実行される各操作領域13、14、15における操作ボタン131〜135、141〜143、151〜154と操作の有無と、操作の態様の特定を説明する。
はじめに、操作ボタンのタッチ操作とプッシュ操作の特定を説明する。
【0034】
図4は、操作ボタンのタッチ操作およびプッシュ操作を説明する図であり、(A)は、操作ボタン131〜133のタッチ操作を説明する図であり、(B)は、操作ボタン131〜133のプッシュ操作を説明する図であり、(C)は(A)および(B)の場合における操作ボタン132に対向して配置される検出電極222の静電容量の変化量を説明する図であり、(D)は(A)および(B)の場合における操作ボタン132に対向して配置される検出電極222と、検出電極222に隣接して配置される検出電極221、223の静電容量の変化量を説明する図である。
【0035】
ここで、実施の形態では、制御部42が、各操作領域13、14、15の各操作ボタンに一対一で対応する各検出電極221〜225、231〜233、241〜244での静電容量の変化に基づいて、各操作領域13、14、15における操作ボタン131〜135、141〜143、151〜154の操作の有無と、操作の態様を特定するようになっている。
そして、各操作領域13、14、15での操作ボタン131〜135、141〜143、151〜154の操作の有無と、操作の態様の特定方法は、同じであるので、以下の説明においては、操作領域13での操作ボタン131〜135の操作の有無と、操作の態様の特定を代表して説明する。
【0036】
はじめに、操作された操作ボタンの特定と、操作された操作ボタンの操作態様の特定原理を説明する。
【0037】
例えば、操作ボタン132が操作されると、この操作ボタン132に対向配置された検出電極222での静電容量が変化する。
制御部42は、各検出電極221〜225での静電容量の変化の有無をモニタしているので、操作ボタン132が操作された場合には、この操作ボタン132に対向配置された検出電極222での静電容量の変化が、制御部42により検知されて、操作ボタン132が操作されたと特定されることになる。
【0038】
ここで、
図2の(B)に示すように、上壁11では、操作領域13が設けられた操作部12の厚みt1が、操作部12の外縁を囲む外縁部12a(上壁11)の厚みt2よりも薄くなっており、この操作部12の厚みt1は、操作領域13をフイルム電極20側の下方に押圧操作した際に、押圧された操作領域と、その周辺領域が、フイルム電極20側に変位するようになっている。
そのため、操作ボタン132がプッシュ操作(押圧操作)された場合の検出電極222での静電容量の変化量のほうが、タッチ操作された場合の検出電極222での静電容量の変化量よりも大きくなる。
【0039】
実施の形態では、静電容量に変化があった検出電極222での変化後の静電容量が、所定の第1の閾値TH1以上であって、第1の閾値TH1よりも大きい第2の閾値TH2未満であるときは(
図4の(C)における時間帯B)、制御部42が、操作ボタン132の操作態様はタッチ操作であると判定し、変化後の静電容量が、第2の閾値TH2以上であるとき(
図4の(C)における時間帯C)には、制御部42が、操作ボタン132の操作態様はプッシュ操作であると判定する。
【0040】
このように、操作ボタン132がプッシュ操作された場合とタッチ操作された場合での静電容量の大きさの違いに基づいて、操作ボタン132の操作態様が、プッシュ操作とタッチ操作の何れであるのかを特定している。
【0041】
ここで、実施の形態では、操作領域13の各操作ボタン131〜135が、近接して配置されているので、実際に操作された操作ボタンに対応する検出電極だけでなく、操作された操作ボタンに隣接する他の操作ボタンに対応する検出電極の静電容量も変化する。
そのため、実施の形態では、静電容量の変化があった検出電極が複数ある場合には、変化があった検出電極での静電容量の大きさに基づいて、実際に操作された操作ボタンを特定している。
【0042】
操作ボタン132が操作された場合を例に挙げて説明をすると、この操作ボタン132に対応する検出電極222での変化後の静電容量が、所定の第1の閾値TH1以上であって、第1の閾値TH1よりも大きい第2の閾値TH2未満である場合には、操作ボタン132の操作態様がタッチ操作であると特定される。
また、変化後の静電容量が第2の閾値TH2以上であり、かつこの検出電極222に隣接する他の検出電極221、223、224、225の静電容量もまた増加した場合には、操作ボタン132の操作態様がプッシュ操作であると特定される。
【0043】
ここで、操作ボタンの操作態様がプッシュ操作であると特定するにあたり、(a)検出電極での変化後の静電容量が第2の閾値TH2以上であり、かつ(b)検出電極222に隣接する他の検出電極221、223、224、225の静電容量も増加したこと、を要件としたのは、操作ボタンの操作態様がプッシュ操作であることをより確実且つ正確に検出できるようにするためである。
【0044】
ちなみに、プッシュ操作された操作ボタンが、操作ボタン133(
図2の(A)参照)である場合には、操作ボタン133に対応する検出電極223での変化後の静電容量が、第2の閾値TH2以上であり、かつこの検出電極223に隣接する他の検出電極222の静電容量もまた増加した場合に、操作ボタン133がプッシュ操作されたと特定されることになる。
【0045】
以下、操作ボタン132が操作された場合に、操作ボタン132に対応する検出電極222と、この操作ボタン132に隣接する他の操作ボタン131、133に対応する検出電極221、223において、静電容量の変化があった場合を例に挙げて説明をする。
【0046】
この場合には、制御部42が、静電容量の変化のあった検出電極221、222、223での静電容量の変化を同時に検出することになる(
図4の(D)における時間帯B)ので、各検出電極221、222、223での静電容量の変化量が比較される。
ここで、実際に操作された操作ボタンに対応する検出電極での静電容量の変化量が最も大きくなるので、静電容量の変化量が最も大きい検出電極222に対応する操作ボタン132が操作されたと判定されることになる。
【0047】
なお、操作ボタン132の操作態様(プッシュ操作、タッチ操作)は、前記した
図4の(C)の場合と同様に、変化後の静電容量の大きさに基づいて特定されることになる(
図4の(D)における時間帯C)。
【0048】
次に、操作ボタンのスライド操作の特定を説明する。
図5は、操作ボタンのスライド操作を説明する図であり、指Fを、操作ボタン131〜133の間でスライドさせる場合における、検出電極221、222、223の静電容量の変化を説明する図である。
【0049】
例えば、操作者(図示せず)の指Fが、操作領域13の操作ボタンを、操作ボタン131、操作ボタン132、操作ボタン133の順番(矢印A方向)でスライド操作した場合(スライド操作A)には、指Fが最初に触れた操作ボタン131に対応する検出電極221での静電容量が最初に増大する(
図5の斜面a)。
そして、スライド操作により、指Fが触れている位置が操作ボタン131から操作ボタン132に向けて移動すると、操作ボタン131に対応する検出電極221での静電容量が減少する(
図5の斜面b)と共に、操作ボタン132に対応する検出電極222での静電容量が増大する(
図5の斜面c)ことになる。
【0050】
同様に、スライド操作により、指Fが触れている位置が操作ボタン132から操作ボタン133に向けて移動すると、操作ボタン132に対応する検出電極222での静電容量が減少する(
図5の斜面d)と共に、操作ボタン133対応する検出電極223での静電容量が増大する(
図5の斜面e)ことになる。
【0051】
よって、実施の形態では、制御部42は、静電容量の変化のあった検出電極221、222、223が経時的に切り替わる場合には、操作ボタンの操作態様がスライド操作であると特定し、検出電極の静電容量が最大になった順番で、検出電極221、222、223に対応する操作ボタン131、132、133がスライド操作されたと特定するようになっている。
【0052】
よって、操作者(図示せず)の指Fが、操作領域13の操作ボタンを、操作ボタン131、操作ボタン132、操作ボタン133の順番(矢印A方向)でスライド操作した場合(スライド操作A)には、静電容量の変化量が最大となる検出電極が、検出電極221、検出電極222、検出電極223の順番で切り替わるので、操作ボタンが、操作ボタン131、操作ボタン132、操作ボタン133の順番(矢印A方向)でスライド操作されたと特定できることになる。
【0053】
また、操作者(図示せず)の指Fが、操作領域13の操作ボタンを、操作ボタン133、操作ボタン132、操作ボタン131の順番(矢印B方向)でスライド操作した場合(スライド操作B)には、静電容量の変化量が最大となる検出電極が、検出電極223、検出電極222、検出電極221の順番で切り替わるので、操作ボタンが、操作ボタン133、操作ボタン132、操作ボタン131の順番(矢印B方向)でスライド操作されたと特定できることになる。
【0054】
次に、スイッチ装置1により、車両の車載機器(空調装置やオーディオ装置など)を操作する場合を例示して説明する。
【0055】
図6は、スイッチ装置1の操作を説明する図であり、(A)は、操作ボタン133をタッチ操作する場合を示し、(B)は操作ボタン133をプッシュ操作する場合を示す。
図示しない車両には、液晶表示装置60が設けられており、液晶表示装置60には、車両の車載機器の状態が表示されている。スイッチ装置1の操作は、液晶表示装置60に映し出されるようになっている。
【0056】
実施の形態では、液晶表示装置60には、左上から右方向に順番に「空調装置61」、「オーディオ装置62」、「ナビゲーション装置63」、「カレンダー装置64」、「ミキシング(Fander)装置65」、「車載カメラ装置66」の状態が表示されている。
【0057】
図6の(A)に示すように、指Fで、操作領域13の操作ボタン133をタッチすると、操作ボタン133に対向して配置される検出電極223の静電容量が増加する。
この場合には、この操作ボタン133に隣接する他の操作ボタン132に対応する検出電極222の静電容量もまた増加するが、検出電極223での静電容量の変化量のほうが、検出電極222での静電容量の変化量よりも大きくなるので、操作された操作ボタンが、操作ボタン133であると特定されることになる。
そして、検出電極223の変化後の静電容量が、第1の閾値TH1以上であって、第1の閾値TH1よりも大きい第2の閾値TH2未満であるときは(
図4の(D)参照)、検出電極223に対向配置される操作ボタン133がタッチ操作の態様で操作されたと判定されることになる。
【0058】
これに伴い、液晶表示装置60では、選択表示(図の太枠)が右側に移動させられて、最初に選択されていた「空調装置61」から「オーディオ装置62」に選択が移り変わる。
【0059】
次に、
図6の(B)に示すように、オーディオ装置62が選択された状態で、指Fで、操作ボタン133をプッシュすると、検出電極223の静電容量は、タッチ操作での静電容量の増加よりもさらに増加する。
検出電極223の変化後の静電容量が、第2の閾値TH2以上であるときは(
図4の(D)の時間帯C)、検出電極223に対向配置された操作ボタン133がプッシュ操作の態様で操作されたと判定されることになる。
【0060】
これに伴い、液晶表示装置60では、「オーディオ装置62」の選択を確定させ、オーディオ装置62の詳細操作画面611に移行する(
図6の(B)の下矢印参照)。
そして、詳細操作画面611では、上記と同様のタッチ操作又はプッシュ操作により、各種パラメータの選択や確定を行うことができるようになっている。
【0061】
以上の通り、実施の形態では、
(1)外縁部12aの内側に複数の操作領域13〜15が設けられた非導電性の操作部12と、操作部12との間に間隔を開けて設けられると共に、操作領域13〜15の操作ボタン131〜135、141〜143、151〜154各々に一対一で対向配置された電極22〜24の検出電極221〜225、231〜233、241〜244を複数有するフイルム電極20(電極シート)と、操作領域13〜15の操作を検出するCPU42a(検出手段)と、を備えるスイッチ装置1であって、操作部12の外縁部12aよりも内側を、操作領域13〜15と電極22〜24との対向方向に変位可能に構成し、CPU42aが、静電容量の変化のあった電極の位置と、静電容量の変化のあった検出電極での静電容量の変化量に基づいて、操作された操作領域と、操作された操作領域が、タッチ操作とプッシュ操作の何れの操作態様にて操作されたのかを判定するように構成した。
【0062】
このように構成すると、操作部12の何れかの操作領域13〜15がタッチ操作されると、タッチ操作された操作領域13〜15の操作ボタン131〜135、141〜143、151〜154と、電極22〜24の検出電極221〜225、231〜233、241〜244との間の静電容量が変化すると共に、当該操作領域がプッシュ操作されたときには、プッシュ操作された操作領域13〜15の各々は、対向配置された電極22〜24に近づく方向へ変位して、操作領域と検出電極との間隔の幅が変わる(間隔s1から間隔s2に変わる)結果、プッシュ操作された操作領域と検出電極との間の静電容量は、タッチ操作の場合よりも大きく変化する。
よって、静電容量の変化のあった検出電極の位置と、静電容量の変化のあった検出電極での静電容量の変化量に基づいて、操作された操作領域と、当該操作領域がタッチ操作とプッシュ操作何れの態様にて操作されたのかを特定できる。
これにより、静電容量式タッチスイッチの操作のみで、タッチ操作とプッシュ操作の両方を検出できる。
【0063】
(2)また、制御部42(CPU42a)は、静電容量の大きくなる方向への変化があった複数の電極22〜24の検出電極221〜225、231〜233、241〜244のうち、静電容量の変化量が最も大きい検出電極221〜225、231〜233、241〜244に対向配置された操作領域13〜15の操作ボタン131〜135、141〜143、151〜154が、タッチ操作またはプッシュ操作の何れかの態様にて操作された操作領域と判定する構成とした。
【0064】
このように構成すると、複数の電極22〜24の検出電極221〜225、231〜233、241〜244の静電容量の変化のうち、静電容量が最も大きく変化した検出電極を検知することで、タッチ操作またはプッシュ操作された操作領域13〜15の操作ボタン131〜135、141〜143、151〜154を特定できる。
よって、操作された操作領域13〜15の操作ボタン131〜135、141〜143、151〜154を判定するための特別な装置(例えば、機械式の押しボタンスイッチ)を別途設けなくてよく、スイッチ装置の部品点数を減らしてコストを下げることができる。
【0065】
(3)また、制御部42(CPU42a)は、静電容量の大きくなる方向への変化量が最も大きい電極22〜24の検出電極221〜225、231〜233、241〜244での変化後の静電容量が、第1の閾値TH1以上であって、第1の閾値TH1よりも大きい第2の閾値TH2未満であるときは、操作された操作領域の操作態様がタッチ操作であると判定し、第2の閾値TH2以上であるときは、操作された操作領域の操作態様がプッシュ操作であると判定する構成とした。
【0066】
このように構成すると、操作領域のタッチ操作とプッシュ操作の判定を、変化後の静電容量が第1の閾値TH1と、第1の閾値TH1よりも大きい第2の閾値TH2とに基づいて行うことができるので、プッシュ操作を特別の判定装置を用い必要がなく、装置の簡易化と低コスト化を図ることができる。
【0067】
(4)特に、制御部42(CPU42a)は、静電容量の大きくなる方向への変化量が最も大きい電極22〜24の検出電極221〜225、231〜233、241〜244での変化後の静電容量が、第2の閾値TH2以上であり、かつ静電容量の変化量が最も大きい電極22〜24の検出電極221〜225、231〜233、241〜244に隣接する他の電極での静電容量もまた大きくなる方向(第2の閾値TH2に近づく方向)に変化していた場合に、操作された操作領域の操作態様がプッシュ操作であると判定する構成とした。
【0068】
操作部12において複数の操作ボタンが互いに隣接して配置されていると、ある操作ボタンが操作されると、操作されたボタンに対応する検出電極の静電容量だけでなく、隣接する他の操作ボタンに対応する検出電極の静電容量も変化する。
ここで、実際に操作された操作ボタンに対応する検出電極での静電容量の変化量が最も大きくなり、隣接する他の操作ボタンに対応する検出電極での静電容量の変化量が次に大きくなる。
よって、上記のように構成して、例えば操作ボタン132が操作されて、(a)検出電極222での変化後の静電容量が第2の閾値TH2以上となり、かつ(b)検出電極222に隣接する他の検出電極221、223、224、225の静電容量もまた増加したことを以って、操作ボタンの操作態様がプッシュ操作であると判定する構成とすることで、どの操作ボタンがプッシュ操作されたのかを、より確実且つ正確に検出できるようになる。
【0069】
(5)また、制御部42(CPU42a)は、静電容量の変化量が最も大きい検出電極が経時的に入れ替わる場合には、入れ替わりの順番で、静電容量の変化量が最も大きい検出電極が対向配置された操作領域がスライド操作されたと判定する構成とした。
【0070】
このように構成すると、静電容量の変化量のみに基づいて、操作領域のスライド操作を容易に特定できる。
【0071】
上記した実施の形態では、操作領域13は円形形状の場合を例示したが、操作領域13の形状は、操作領域13内に配置される操作ボタンが、垂直下側(押下方向)に均等に撓むことができる形状であればよく、例えば、楕円形状や多角形形状としてもよい。
【0072】
また、上記した実施の形態では、操作領域13を他の操作部12よりも薄肉に形成される場合を例示したが、押下された操作ボタンが撓むことができればよく、例えば、各々の操作ボタンの部分のみを薄肉に形成してもよい。
【0073】
また、上記した実施の形態では、操作ボタンが撓んだ際に、当該操作ボタンに対向配置される検出電極との間に間隔s2を有する場合を例示したが、操作ボタンが撓んだ際に、操作ボタンと検出電極との距離がゼロになるように設定してもよい。
【0074】
また、操作ボタン131〜135、141〜143、151〜154の配置は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、種々の配置が適用できる。
【0075】
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内でなしうるさまざまな変更、改良が含まれる。