特許第6418968号(P6418968)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6418968電子部品実装用パッケージ、電子装置および電子モジュール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6418968
(24)【登録日】2018年10月19日
(45)【発行日】2018年11月7日
(54)【発明の名称】電子部品実装用パッケージ、電子装置および電子モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/12 20060101AFI20181029BHJP
   H01L 27/146 20060101ALI20181029BHJP
   H01L 33/62 20100101ALI20181029BHJP
   H01L 23/04 20060101ALN20181029BHJP
   H05K 3/34 20060101ALN20181029BHJP
【FI】
   H01L23/12 K
   H01L23/12 L
   H01L27/146 D
   H01L33/62
   !H01L23/04 E
   !H05K3/34 501E
【請求項の数】7
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2015-15635(P2015-15635)
(22)【出願日】2015年1月29日
(65)【公開番号】特開2016-139771(P2016-139771A)
(43)【公開日】2016年8月4日
【審査請求日】2017年8月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】岡村 拓治
(72)【発明者】
【氏名】吉田 智仁
【審査官】 木下 直哉
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−109802(JP,A)
【文献】 特開2006−128300(JP,A)
【文献】 特開平09−036174(JP,A)
【文献】 特開2004−281470(JP,A)
【文献】 特開2001−196496(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/12 −23/15
H01L 23/02 −23/10
H01L 27/146
H01L 33/62
H05K 3/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品が実装される基体と、
該基体の下面に設けられた外部回路接続用電極と
前記基体の下面かつ平面視において前記外部接続用電極と重なる位置に、前記外部接続用電極よりも小さい貫通孔を有する絶縁層とを有し、
該外部回路接続用電極は、前記基体との間に間隙を有するように、前記基体に取り囲まれていることを特徴とする電子部品実装用パッケージ。
【請求項2】
前記外部回路接続用電極は、前記間隙に取り囲まれていることを特徴とする請求項1に記載の電子部品実装用パッケージ。
【請求項3】
前記基体は内部に主成分が金属材料から成る導体層を有しており、
前記外部回路接続用電極は前記導体層と金属結合をしていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電子部品実装用パッケージ。
【請求項4】
前記外部回路接続用電極は、平面視で前記基体の外縁部に設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の電子部品実装用パッケージ。
【請求項5】
前記基体は、平面視で矩形状であり、
前記外部回路接続用電極は、平面視で前記基体の角部に設けられていることを特徴とする請求項4に記載の電子部品実装用パッケージ。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5に記載の電子部品実装用パッケージと、
該電子部品実装用パッケージに実装された前記電子部品とを有することを特徴とする電子装置。
【請求項7】
請求項6に記載された電子装置が外部回路基板の接続電極に外部回路接続部材を介して接続されていることを特徴とする電子モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品、例えばCCD(Charge Coupled Device)型またはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)型等の撮像素子、LED(Light Emitting Diode)等の発光素子等の電子部品が実装される電子部品実装用パッケージ、電子装
置および電子モジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から電子部品が実装される基体と、基体の下面に設けられた外部回路接続用電極とを有する電子部品実装用パッケージが知られている。また、電子部品実装用パッケージは、下面に設けられた外部回路接続用電極と、外部回路基板とをハンダ等の外部回路接合部材を介して接合する構造が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−189550号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に、電子部品実装用パッケージを含む電子装置を外部回路基板に実装する工程において、熱を加える工程がある。さらに、近年、電子部品は高機能化に伴い、電子部品が作動する際に発生する熱が大きくなっており、これら2点のことから電子装置および外部回路基板に熱が加わる機会は少なくない。また、一般的に電子部品実装用パッケージと外部回路基板とでは、熱膨張率が異なる。よって、この電子部品が作動する際に発生する熱による熱膨張の大きさが、電子部品実装用パッケージと外部回路基板との間で異なる。このことで、電子部品実装用パッケージと外部回路基板との間の外部回路接合部材、電子部品実装用パッケージの下面に設けられた外部回路接続用電極、または外部回路基板の接続電極にクラックまたは剥離が発生し、電子装置と外部回路基板を実装する工程における熱、または電子装置を使用する際の熱による信頼性の低下が懸念されていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の1つの態様に係る電子部品実装用パッケージは、電子部品が実装される基体と、該基体の下面に設けられた外部回路接続用電極と、前記基体の下面かつ平面視において前記外部接続用電極と重なる位置に、前記外部接続用電極よりも小さい貫通孔を有する絶縁層とを有し、該外部回路接続用電極は、前記基体との間に間隙を有するように、前記基体に取り囲まれている。
【0006】
本発明の1つの態様に係る電子装置は、上記の電子部品実装用パッケージと、該電子部品実装用パッケージに実装された前記電子部品とを有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の電子部品実装用パッケージは、電子部品が実装される基体と、基体の下面に設けられた外部回路接続用電極とを有し、外部回路接続用電極は、基体との間に間隙を有するように、基体に取り囲まれている。これにより、電子部品が作動し、発熱した場合において、基体と外部回路接続用電極との間に間隙を有することで電子部品の発熱による基体と外部回路基板との熱膨張差による応力を外部回路接続用電極が傾くことにより吸収することができ、電子部品実装用パッケージと外部回路基板との間の外部回路接合部材、電子部品実装用パッケージの下面に設けられた外部回路接続用電極、または外部回路基板の接続電極にかかる応力を低減させることが可能となる。よって、外部回路接合部材、外部回路接続用電極、または接続電極にクラックまたは剥離が発生することを低減させることが
できる。
【0008】
本発明の1つの態様に係る電子装置は、上述の電子部品実装用パッケージを有することにより、電子部品が作動時の発熱に外部回路接続部材等のストレスを緩和することが可能となり、電子装置の連続使用による信頼性の向上を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】(a)は、本発明の第1の実施形態に係る電子部品実装用パッケージ、および電子装置の外観を示す上面図であり、(b)は、(a)のA−A線に対応する縦断面図である。
図2】(a)は、本発明の第1の実施形態に係る電子部品実装用パッケージ、および電子装置と外部回路基板とが接合された一例を示す上面図であり、(b)は、(a)のA−A線に対応する縦断面図である。
図3】本発明の第2の実施形態に係る電子部品実装用パッケージ、および電子装置の外観を示す縦断面図である。
図4】(a)及び(b)は、それぞれ本発明の第2の実施形態のその他の形態に係る電子装置の外観を示す縦断面図である。
図5】本発明の第3の実施形態に係る電子部品実装用パッケージ、および電子装置の外観を示す縦断面図である。
図6】(a)は、本発明の第4の実施形態に係る電子部品実装用パッケージ、および電子装置の外観を示す上面図であり、(b)は、(a)のA−A線に対応する縦断面図である。
図7】(a)は、本発明の第5の実施形態に係る電子部品実装用パッケージ、および電子装置の外観を示す上面図であり、(b)は、(a)のA−A線に対応する縦断面図である。
図8】本発明の第6の実施形態に係る電子部品実装用パッケージ、および電子装置の外観を示す縦断面図である。
図9】本発明の第7の実施形態に係る電子部品実装用パッケージ、および電子装置の縦断面図である。
図10】(a)及び(b)はそれぞれ本発明の実施形態に係る電子部品実装用パッケージ、および電子装置の一例を示す下面図である。
図11】本発明の実施形態に係る電子部品実装用パッケージ、および電子装置の一例を示す下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明のいくつかの例示的な実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明では、電子部品実装用パッケージに電子部品が実装された構成を電子装置とする。電子部品実装用パッケージおよび電子装置は、いずれの方向が上方若しくは下方とされてもよいものであるが、便宜的に、直交座標系xyzを定義するとともに、z方向の正側を上方として、上面若しくは下面の語を用いるものとする。
【0011】
(第1の実施形態)
図1および図2を参照して本発明の第1の実施形態における電子装置21、及び電子部品実装用パッケージ1について説明する。本実施形態における電子装置21は、電子部品実装用パッケージ1と電子部品10とを有している。
【0012】
図1および図2に示す例において、電子部品実装用パッケージ1は、電子部品10が実装される基体2と、基体2の下面に設けられた外部回路接続用電極9とを有し、外部回路接続用電極9は、基体2との間に間隙6を有するように、基体2に取り囲まれている。
【0013】
図1および図2に示す例では、電子部品10が実装される基体2を有している。
【0014】
基体2は、絶縁基体に後述する配線導体が形成されて成る。この絶縁基体の材料は例えば、電気絶縁性セラミックス、または樹脂等が使用される。
【0015】
基体2の絶縁基体の材料として使用される電気絶縁性セラミックスとしては例えば、酸化アルミニウム質焼結体,ムライト質焼結体,炭化珪素質焼結体,窒化アルミニウム質焼結体,窒化珪素質焼結体,またはガラスセラミックス焼結体等が挙げられる。
【0016】
基体2の絶縁基体の材料として使用される樹脂としては例えば、エポキシ樹脂,ポリイミド樹脂,アクリル樹脂,フェノール樹脂,またはフッ素系樹脂等が挙げられる。フッ素系樹脂としては例えば、ポリエステル樹脂、または四フッ化エチレン樹脂が挙げられる。
【0017】
図1および図2に示す例では、基体2は、前述した材料から成る絶縁層を複数上下に積層して形成されている。
【0018】
基体2は、図1および図2に示す例のように4層の絶縁層から形成されていてもよいし、単層〜3層または5層以上の絶縁層から形成されていてもよい。また、基体2は貫通孔を有する枠体と貫通孔を有さない基部とから形成される凹部を有していてもよく、さらに枠体から成る基体は大きさの異なる枠体を2つ有し、段差部を形成していてもよい。図1および図2に示す例では、この段差部が段差部に電子部品接続用パッド3が設けられている。
【0019】
基体2の内部には、各絶縁層間を導通させる貫通導体と内部配線とから成る配線導体が設けられていてもよいし、基体2は、表面に露出した配線導体を有していてもよい。また、基体2を形成する各絶縁層のそれぞれの内部に設けられた配線導体が、各絶縁層の表面に露出した配線導体等によって電気的に接続されていてもよい。
【0020】
電子部品接続用パッド3及び配線導体は、基体2が電気絶縁性セラミックスから成る場合には、タングステン(W),モリブデン(Mo),マンガン(Mn),銀(Ag)若しくは銅(Cu)、または、これらから選ばれる少なくとも1種以上の金属材料を含有する合金等から成る。また、電子部品接続用パッド3及び配線導体は、基体2が樹脂から成る場合には、銅(Cu),金(Au),アルミニウム(Al),ニッケル(Ni),クロム(Cr),モリブデン(Mo)若しくはチタン(Ti)、または、これらから選ばれる少なくとも1種以上の金属材料を含有する合金等から成る。
【0021】
電子部品接続用パッド3および配線導体の露出した表面に、めっき層が設けられることが好ましい。この構成によれば、電子部品接続用パッド3および配線導体の露出表面を保護して酸化を防止できる。また、この構成によれば、電子部品接続用パッド3と電子部品10との接続部材13(ワイヤボンディング等)を介した電気的接続を良好にできる。めっき層は、例えば、厚さ0.5〜10μmのNiめっき層を被着させる。または、このNiめっき層の上に、厚さ0.5〜3μmの金(Au)めっき層を被着させてもよい。
【0022】
図1及び図2に示す例のように、電子部品実装用パッケージ1は凹部に、電子部品10が実装されている。また、図1及び図2に示す例では基体2に設けられた凹部に電子部品10が実装されているが、基体2に凹部を設けず直接基体2の表面に電子部品10を実装しても良い。
【0023】
図1及び図2に示す例では、電子部品実装用パッケージ1の基体2は下面に設けられた外部回路接続用電極9を有している。
【0024】
外部回路接続用電極9は、基体2が電気絶縁性セラミックスから成る場合には、タングステン(W),モリブデン(Mo),マンガン(Mn),銀(Ag)若しくは銅(Cu)、または、これらから選ばれる少なくとも1種以上の金属材料を含有する合金等から成る。また、外部回路接続用電極9は、基体2が樹脂から成る場合には、銅(Cu),金(Au),アルミニウム(Al),ニッケル(Ni),クロム(Cr),モリブデン(Mo)若しくはチタン(Ti)、または、これらから選ばれる少なくとも1種以上の金属材料を含有する合金等から成る。
【0025】
また、外部回路接続用電極9は電子部品接続用パッド3と前述した内部配線を介して電気的に接続されていてもよい。
【0026】
外部回路接続用電極9の露出した表面に、めっき層が設けられることが好ましい。この構成によれば、外部回路接続用電極9の露出表面を保護して酸化を防止できる。また、この構成によれば、外部回路接続用電極9と外部回路基板20との外部回路接続部材(はんだ等)を介した電気的接続を良好にできる。めっき層は、例えば、厚さ0.5〜10μmのNiめっき層を被着させる。または、このNiめっき層の上に、厚さ0.5〜3μmの金(Au)めっき層を被着させてもよい。
【0027】
図1及び図2では、電子部品実装用パッケージ1の外部回路接続用電極9は、基体2との間に間隙6を有するように、基体2に取り囲まれている。
【0028】
図1及び図2に示す例のように、外部回路接続用電極9は、基体2との間に間隙6を有するように、前記基体に取り囲まれていることで、電子装置21を外部回路基板20に実装する工程での加熱、または電子部品実装用パッケージ1に実装される電子部品10が作動し、発熱した場合において、電子部品10の発熱による基体2と外部回路基板20との熱膨張差による応力を外部回路接続用電極9が基体2または外部回路基板20に追従し傾くことにより吸収することができる。このことから電子部品実装用パッケージ1と外部回路基板20との間の外部回路接続部材23、電子部品実装用パッケージ1の下面に設けられた外部回路接続用電極9、または外部回路基板20の接続電極にかかる応力を低減させることが可能となる。よって、外部回路接続部材23、外部回路接続用電極9、または接続電極にクラックまたは剥離が発生することを低減させることができる。
【0029】
また、間隙6は、電子部品実装用パッケージ1の基体2の熱膨張率と外部回路基板20の熱膨張率との関係によってより好ましい位置が異なる。例えば、基体2の熱膨張率が外部回路基板20の熱膨張率よりも小さい場合、外部回路基板20は基体2よりも熱膨張時の変形が大きい。よって、間隙6は断面視において外部回路接続用電極9の基体2の外縁部側に設けられていることによって、外部回路接続用電極9が熱膨張する方向に追従し傾き、外部回路接続用電極9、または外部回路基板20の接続電極にかかる応力を低減させることが可能となる。また例えば、例えば、基体2の熱膨張率が外部回路基板20の熱膨張率よりも大きい場合、外部回路基板20は基体2よりも熱膨張時の変形が小さい。よって、間隙6は断面視において外部回路接続用電極9の基体2の内側部側に設けられていることによって、外部回路接続用電極9が熱膨張する方向に追従し傾き、外部回路接続用電極9、または外部回路基板20の接続電極にかかる応力を低減させることが可能となる。
【0030】
また、間隙6の大きさは電子部品実装用パッケージ1及び外部回路基板20の熱膨張率から変形の大きさを算出し、その差以上の大きさであることがより好ましい。例えば、基体2と外部回路基板20の熱膨張率の差が15ppmであり、外部回路接続用電極9間の大きさが64mmであり、温度差が200℃であった場合、間隙6は80μm以上設けることが好ましいこととなる。このことによって、電子装置21と外部回路基板20とを接
合する工程での加熱、または電子部品10の作動時の発熱において、外部回路基板20と電子部品実装用パッケージ1の熱膨張差による応力を確実に吸収することができる。
【0031】
また、外部回路接続用電極9と基体2とは例えば熱硬化性樹脂、または銀エポキシ等のろう材等で接合していても良い。
【0032】
また、図1および図2に示す例では、外部回路接続用電極9の側面と基体2とが接する部分とは接着剤等で固定せず、外部回路接続用電極9の上面と基体2とが接する部分のみで固定していることが好ましい。これは、外部回路接続用電極9が基体2または外部回路基板20に追従して傾くことで電子部品実装用パッケージ1と外部回路基板20との熱膨張差を吸収しやすくなるためである。
【0033】
また、外部回路接続用電極9は平面視において円形、矩形状のいずれであっても良いが、外部回路基板20との接合信頼性の為に、長辺が250μm以上であることが好ましい。またさらに、外部回路接続用電極9は縦断面視において20μm以上であることで、外部回路接続用電極9が基体2または外部回路基板20に追従して傾くことで電子部品実装用パッケージ1と外部回路基板20との熱膨張差を吸収する際、外部回路接続用電極9が吸収する方向に追従しやすく、外部回路接続用電極9にクラック等が発生しにくいため好ましい。
【0034】
また、外部回路接続用電極9を形成する材料は複数の元素(材料)から成っても良い。また、例えば基体2が電気絶縁性セラミックスから成る場合、その複数の元素(材料)にはガラス成分を含まないことで、後述する製造方法の焼成を行う工程において、外部回路接続用電極9と基体2とが結合し、間隙6が設けられなくなることを低減させることが可能となる。
【0035】
次に、図1および図2を用いて、電子装置21について説明する。図1および図2に示す例において、電子装置21は電子部品実装用パッケージ1と、電子部品実装用パッケージ1に実装された電子部品10とを有している。
【0036】
電子部品10は例えば、CCD型またはCMOS型等の撮像素子、LED等の発光素子、または半導体回路素子等が用いられる。図1および図2に示す例においては、電子部品10の各電極は、接続部材13(ボンディングワイヤ)によって電子部品接続用パッド3に電気的に接続されている。また、例えば電子部品10と電子部品実装用パッケージ1とは例えば金、はんだ、銀等からなるボール等で接合されていても良い。(はんだボール実装等)。
【0037】
なお、図示していないが、電子部品10の下面と基体2の電子部品実装用パッケージ1とは、例えば熱硬化性の樹脂等で接合することで、電子部品10を強固に実装し、取り扱い時等において電子部品10の位置ズレを低減させることができる。また、電子部品10を実装する工程において、電子部品10の下面と基体2の電子部品実装用パッケージ1との間に上述の熱硬化性の樹脂等を介することで、実装箇所、傾きを調整する際に基体と電子部品10とが擦れて、ダスト等が発生することを低減させることができる。
【0038】
本発明の電子装置21は、上記構成の電子部品実装用パッケージ1と、電子部品実装用パッケージ1に実装された電子部品10と有していることにより、電子装置21を外部回路基板20に実装する工程の加熱、または電子部品10が作動時の発熱等による外部回路接続部材23等のストレスを緩和することが可能となる。よって、電子装置21と外部回路基板20との接合時の加熱、または電子装置21の使用時の発熱による信頼性の向上を図ることが可能となる。
【0039】
次に、本実施形態の電子部品実装用パッケージ1の製造方法の一例について説明する。
【0040】
なお、下記で示す製造方法の一例は、多数個取り配線基板を用いた製造方法である。
【0041】
(1)まず、基体2を構成するセラミックグリーンシートを形成する。例えば、酸化アルミニウム(Al)質焼結体である基体2を得る場合には、Alの粉末に焼結助材としてシリカ(SiO),マグネシア(MgO)またはカルシア(CaO)等の粉末を添加し、さらに適当なバインダー、溶剤および可塑剤を添加し、次にこれらの混合物を混錬してスラリー状となす。その後、従来周知のドクターブレード法またはカレンダーロール法等の成形方法によって多数個取り用のセラミックグリーンシートを得る。
【0042】
なお、基体2が、例えば樹脂から成る場合は、所定の形状に成形できるような金型を用いて、トランスファーモールド法またはインジェクションモールド法等で成形することによって基体2を形成することができる。
【0043】
また、基体2は、例えばガラスエポキシ樹脂のように、ガラス繊維から成る基材に樹脂を含浸させたものであってもよい。この場合には、ガラス繊維から成る基材にエポキシ樹脂の前駆体を含浸させ、このエポキシ樹脂前駆体を所定の温度で熱硬化させることによって基体2を形成できる。
【0044】
(2)次に、スクリーン印刷法等によって、上記(1)の工程で得られたセラミックグリーンシートに電子部品接続用パッド3、及び貫通導体や内部配線を含んだ配線導体となる部分に金属ペーストを塗布または充填する。
【0045】
この金属ペーストは、前述した金属材料から成る金属粉末に適当な溶剤およびバインダーを加えて混練することによって、適度な粘度に調整して作製される。なお、金属ペーストは、基体2との接合強度を高めるために、ガラス、セラミックスを含んでいても構わない。
【0046】
(3)次に基体2となるセラミックグリーンシートを作成する。また、基体2が凹部を有する場合、凹部を有する基体2を作成するためには、例えば枠体及び基部となるセラミックグリーンシートを作成して後述する積層して加圧する工程により一体化させる方法がある。枠体となるセラミックグリーンシートは例えば金型、またはレーザー加工を用いて開口部となる部分を打ち抜くことで作製することができる。また、複数のセラミックグリーンシートを積層して加圧し、セラミックグリーンシート積層体を作製してから開口部となる部分を打ち抜いてもよい。
【0047】
またこの工程において、銅、タングステン、またはモリブデン等から成る金属シートを用意し、前述したセラミックグリーンシートに重ねて所定の位置を金型等で打ち抜き押圧し、金属シートを埋め込むことにより外部回路接続用電極9を作製することができる。
【0048】
また、例えば金型などでセラミックグリーンシートを打ち抜いておき金属シートを上面から押圧することでも外部回路接続用電極9を作製することができる。
【0049】
また、外部回路接続用電極9を設ける開口部を金型などで作成しておき、後述する工程において外部回路接続用電極9を接合しても良い。
【0050】
(4)次に、各絶縁層となるセラミックグリーンシートを積層して加圧することにより基体2となるセラミックグリーンシート積層体を作製する。このとき、上述した枠体とな
るセラミックグリーンシートと基部となるセラミックグリーンシートを積層して加圧することで一体化した基体2となるセラミックグリーンシート積層体を作製することができる。
【0051】
(5)次に、このセラミックグリーンシート積層体を約1500〜1800℃の温度で焼成して、基体2が複数配列された多数個取り配線基板を得る。なお、この工程によって、前述した金属ペーストは、基体2となるセラミックグリーンシートと同時に焼成され、電子部品接続用パッド3、外部回路接続用電極9、または配線導体となる。
【0052】
また、この時、外部回路接続用電極9となる金属体を用意し、(3)の工程で設けておいた開口部に間隙6を有するように配置し熱硬化性樹脂や銀エポキシ等のろう材等を用いて外部回路接続用電極9を基体2に接合しても良い。
【0053】
(6)次に、焼成して得られた多数個取り配線基板を複数の基体2に分断する。この分断においては、基体2の外縁となる箇所に沿って多数個取り配線基板に分割溝を形成しておき、この分割溝に沿って破断させて分割する方法、またはスライシング法等により基体2の外縁となる箇所に沿って切断する方法等を用いることができる。なお、分割溝は、焼成後にスライシング装置により多数個取り配線基板の厚みより小さく切り込むことによって形成することができるが、多数個取り配線基板用のセラミックグリーンシート積層体にカッター刃を押し当てたり、スライシング装置によりセラミックグリーンシート積層体の厚みより小さく切り込んだりすることによって形成してもよい。
【0054】
上記(1)〜(6)の工程によって、電子部品実装用パッケージ1が得られる。なお、上記(1)〜(6)の工程順番は指定されない。
【0055】
このようにして形成された電子部品実装用パッケージ1に電子部品10を実装することで、電子装置21を作製することができる。
【0056】
また、電子装置21を外部回路基板20の接続電極に外部回路接続部材23を介して接続されるように実装することで、電子モジュールを作製することができる。
【0057】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態による電子部品実装用パッケージ1および電子装置21について、図3および図4を参照しつつ説明する。
【0058】
本実施形態における電子装置21において、第1の実施形態の電子装置21と異なる点は、図3については、外部回路接続用電極9が間隙6に囲まれている点、外部回路接続用電極9と基体2との間に導体層5が設けられている点であり、また、図4については電子部品10の実装方法が異なる点である。
【0059】
図3及び図4に示す例では、外部回路接続用電極9は、間隙6に取り囲まれている。このことによって、電子装置21と外部回路基板20との接合時の加熱、または電子装置21の使用時の発熱による応力の吸収が可能となり、また電子装置21と外部回路基板20とが冷却されたときに生じる熱収縮の大きさの差による応力も外部回路接続用電極9が基体2または外部回路基板20に追従し傾くことで吸収することができる。よって、熱膨張及び熱収縮の両面において信頼性の向上を図ることが可能となる。
【0060】
また、外部回路接続用電極9が間隙6に囲まれていることで、基体2に外部回路接続用電極9を接合する工程において、外部回路接続用電極9と基体2とがこすれあい、欠け等のダストが発生する可能性を低減させることが可能となる。
【0061】
なお、この構成において間隙6の大きさは、第1実施形態と同様に電子部品実装用パッケージ1及び外部回路基板20の熱膨張率から変形の大きさを算出し、その差以上の大きさであることがより好ましい。またこのとき、熱膨張時の変形の大きさの差と、熱収縮時の変形の大きさの差が異なる場合、間隙6の大きさはそれぞれ異なる設定をしていても良いし、最も大きい差に合わせて設定しても良い。
【0062】
また、図3及び図4に示す例では、基体2は内部に主成分が金属材料から成る導体層5を有しており、外部回路接続用電極9は導体層5と金属結合をしている。外部回路接続用電極9と基体2の内部に設けられた導体層5とが金属結合をしていることで、外部回路接続用電極9と基体2との接合をより強固なものとすることが可能となる。よって、外部回路接続用電極9が基体2または外部回路基板20に追従し傾くことで応力を吸収する際に、急激な熱膨張の変化が起きた場合においても基体2と外部回路接続用電極9とが剥離することを低減させることができ、より信頼性を高めることができる。
【0063】
また、外部回路接続用電極9と導体層5とが金属結合していることで、外部回路接続用電極9と導体層5との接合部に延性を有することができる。よって、熱膨張または熱収縮の応力を外部回路接続用電極9がより吸収することができるとともに、外部回路接続用電極9と基体2(導体層5)との間にクラックが発生する、または剥離することを低減させることができる。
【0064】
導体層5は図3で示す例のように、平面視で間隙6を覆っていても良いし平面視で外部回路接続用電極9と重なる位置のみに設けられていても良い。また、基体2が電気絶縁性セラミックスから成る場合、基体2に埋め込まれるように設けられていても良い。
【0065】
導体層5は基体2が電気絶縁性セラミックスから成る場合には、タングステン(W),モリブデン(Mo),マンガン(Mn),銀(Ag)若しくは銅(Cu)、または、これらから選ばれる少なくとも1種以上の金属材料を含有する合金等から成る。また、外部回路接続用電極9は、基体2が樹脂から成る場合には、銅(Cu),金(Au),アルミニウム(Al),ニッケル(Ni),クロム(Cr),モリブデン(Mo)若しくはチタン(Ti)、または、これらから選ばれる少なくとも1種以上の金属材料を含有する合金等から成る。
【0066】
また、好ましくは導体層5と外部回路接続用電極9とは同じ材質であることが好ましい。
【0067】
また、導体層5は電子部品接続用パッド3と前述した内部配線を介して電気的に接続されていてもよい。
【0068】
基体2の内部に導体層5を設ける方法としては、例えば基体2が電気絶縁性セラミックスから成る場合、スクリーン印刷法等によって、セラミックグリーンシートに所定の部分に金属ペーストを塗布することで形成することが可能となる。
【0069】
図4に示す例では電子部品10の実装方法が異なる。
【0070】
図4(a)に示す例では基体2は外部回路接続用電極9と同じ方向に凹部を有し、凹部と基体2の上面の2箇所に電子部品10がワイヤーボンディング実装されている。このような実装方法をすることで、電子装置21をより小型化にすることが可能となる。また、図4(a)に示す例のように電子部品10を2つ実装し発熱量が大きくなっても、その作動時の熱による熱膨張を外部回路接続用電極9で吸収することができる。
【0071】
図4(b)に示す例では、基体2は外部回路接続用電極9と同じ方向に凹部を有し、凹部の底面に貫通孔が設けられ、平面視で貫通孔と重なる位置に電子部品10がフリップチップ実装されている。このような場合においても、外部回路接続用電極9が基体2または外部回路基板20に追従し傾くことで吸収することができる。よって、熱膨張及び熱収縮の両面において信頼性の向上を図ることが可能となる。
【0072】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態による電子部品実装用パッケージ1および電子装置21について、図5を参照しつつ説明する。
【0073】
本実施形態における電子装置21において、第2の実施形態の電子装置21と異なる点は、外部回路接続用電極9の下面が断面視において、基体2の底面よりも下方に位置している点である。
【0074】
図5に示す例では、外部回路接続用電極9は断面視において、基体2の底面よりも下方に位置している。このように、外部回路接続用電極9が長くなることで、外部回路接続用電極9が撓みやすくなる。よって、外部回路接続用電極9が基体2または外部回路基板20に追従し傾く際に、撓みやすくなることで熱膨張または熱収縮による応力を吸収することが可能となる。
【0075】
また、この時、外部回路接続用電極9の基体2の下面より下方側に突出している部分の高さは外部回路接続用電極9の縦断面視における全体の高さの30%以下であることが好ましい。このことで、外部回路接続用電極9が撓みすぎて隣接する外部回路接続用電極9と接触する可能性や、撓みによるクラックの発生などを低減させることができる。
【0076】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態による電子部品実装用パッケージ1および電子装置21について、図6を参照しつつ説明する。
【0077】
本実施形態における電子装置21において、第2の実施形態の電子装置21と異なる点は、基体2が枠体2aと基部2bとに分かれており、それぞれが異なる材料で形成されている点である。
【0078】
図6に示す例では、基体2は枠体2aと基部2bとに分かれており、枠体2aと基部2bとは異なる材料で形成されており、外部回路接続用電極9は、枠体2aに設けられた導体層5と接合している。このような構成の場合、間隙6の大きさは枠体2aと外部回路基板20との熱膨張率の差を用いて設定することで、より確実に外部回路接続用電極9が基体2または外部回路基板20に追従し傾くことで吸収することができる。また、基部2bの熱膨張率は外部回路基板20の熱膨張率と枠体2aの熱膨張率との間となるように選択することで、外部回路接続用電極9が応力を吸収するため、外部回路接続用電極9が傾いた場合に基部2bと接触することを低減させることが可能となる。
【0079】
また、基部2bが外部回路接続用電極9よりも柔らかい素材である場合、外部回路接続用電極9が基部2bに触れた場合においても、外部回路接続用電極9にクラックや欠けが発生することを知恵減させることができる。
【0080】
また、基部2bが金属材料等の熱伝導が高い材料から成ることで、電子部品10が作動した時の発熱等を基部2bが吸収することが可能となる。このことで、枠体2aの温度を下げることが可能となり、熱膨張による変形を小さくすることができる。よって、外部回
路基板20と枠体2aとの熱膨張により変形の差が小さくなり外部回路接続部材23、外部回路接続用電極9、または外部回基板の接続電極にクラックまたは剥離が発生することを低減させることができる。
【0081】
ここで、基部2bが金属材料から成るとき、基部2bは、例えばステンレス(SUS)、Fe−Ni−Co合金、42アロイ,銅(Cu),または銅合金等から成る。また、枠体2aに用いられる材料としては、例えば電気絶縁性セラミックスまたは、樹脂等である。また例えば、枠体2aの主成分が約5×10−6/℃〜10×10−6/℃の熱膨張率を有する酸化アルミニウム質焼結体である場合、基部2bは約10×10−6/℃の熱膨張率を有するステンレス(SUS410)であることが好ましい。この場合には、電子装置21の作動時に枠体2aと基部2bとの熱収縮差または熱膨張差が小さくなるので、枠体2aと基部2bとの間を接合する接合材にかかる熱応力を緩和することができ、枠体2aがと基部2bとが剥がれるのを低減させることができる。
【0082】
枠体2aと基部2bを接合する方法として例えば、ペースト状の熱硬化性樹脂(接着部材)をスクリーン印刷法やディスペンス法等で枠体2aまたは基部2bのいずれか一方の接合面に塗布しトンネル式の雰囲気炉またはオーブン等で乾燥させた後、枠体2aと基部2bとを重ねた状態でトンネル式の雰囲気炉またはオーブン等に通炉させ約150℃で約90分間、加熱することで接合材を完全に熱硬化させ、枠体2aと基部2bとを強固に接着させる。
【0083】
基部2bは、ろう材、熱硬化性樹脂または低融点ガラス等からなる接合材により枠体2aに接合されている。また、接合材は異方性導電フィルム(ACF)等の導電性を有する物であってもよい。熱硬化性樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂等が用いられる。接合材として、電子部品10の実装時または作動時の熱によって変性しないものを用いることによって、電子部品10の実装時または作動時に枠体2aと基部2bとが剥離することを良好に抑制することができるので好ましい。
【0084】
接合材は、例えばビスフェノールA型液状エポキシ樹脂,ビスフェノールF型液状エポキシ樹脂,フェノールノボラック型液状樹脂等からなる主剤に、球状の酸化珪素等から成る充填材,テトラヒドロメチル無水フタル酸等の酸無水物などを主とする硬化剤および着色剤としてカーボン紛末等を添加し遠心攪拌機等を用いて混合,混練してペースト状とすることによって得られる。
【0085】
また、接合材としては、この他にも例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂やビスフェノールA変性エポキシ樹脂,ビスフェノールF型エポキシ樹脂,フェノールノボラック型エポキシ樹脂,クレゾールノボラック型エポキシ樹脂,特殊ノボラック型エポキシ樹脂,フェノール誘導体エポキシ樹脂,ビスフェノール骨格型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂にイミダゾール系やアミン系,リン系,ヒドラジン系,イミダゾールアダクト系,アミンアダクト系,カチオン重合系,ジシアンジアミド系等の硬化剤を添加したもの等を使用することができる。
【0086】
また、例えば電子部品10が撮像素子である場合は基部2bの主面に黒ニッケル等を用いて被膜することでより乱反射した光が受光面へ到達することを低減させることができる。
【0087】
また、基部2bが金属材料から成る場合、基部2bの開口の側面は絶縁膜9cで覆っていることが好ましい。このことで、外部回路接続用電極9が応力を吸収するため、外部回路接続用電極9が撓み傾いた場合に基部2bと接触してショートを起こし、電子装置21が誤作動する可能性を低減させることが可能となる。
【0088】
(第5の実施形態)
次に、本発明の第5の実施形態による電子部品実装用パッケージ1および電子装置21について、図7を参照しつつ説明する。
【0089】
本実施形態における電子装置21において、第4の実施形態の電子装置21と異なる点は、外部回路接続用電極9が1箇所に複数設けている点である。
【0090】
図7に示す例では、外部回路接続用電極9は複数有しており、それぞれ基体2を挟まない状態で隣り合って設けられている。このように、複数の外部回路接続用電極9の間に基体2を挟まないことで外部回路接続用電極9の狭小化を図ることが可能となる。
【0091】
また、外部回路接続用電極9を細くすることによって、より外部回路接続用電極9が基体2または外部回路基板20に追従し傾く際に、より撓みやすくなることで熱膨張または熱収縮による応力をより吸収することが可能となる。
【0092】
また、このような構成において隣り合う複数の外部回路接続用電極9は電位を有さないか、それぞれが同じ電位を有していることが好ましい。このことによって、外部回路接続用電極9同士が接触したとしても電子装置21の誤作動を低減させることが可能となる。
【0093】
(第6の実施形態)
次に、本発明の第6の実施形態による電子部品実装用パッケージ1および電子装置21について、図8を参照しつつ説明する。
【0094】
本実施形態における電子装置21において、第2の実施形態の電子装置21と異なる点は、基体2は下面に絶縁層2dを有している点である。
【0095】
図8に示す例において、電子部品実装用パッケージ1の基体2は下面に絶縁層2dを有しており、絶縁層2dは平面視で外部回路接続用電極9と重なる位置に貫通孔を有しており、平面視において貫通孔は外部回路接続用電極9よりも小さくなっている。このことによって絶縁層2dが外部回路接続用電極9を支えることが可能となる。よって、外部回路接続用電極9が基体2から乖離したとしても、落下することを低減させることができ、近接する端子とショートする可能性を低減させることができる。
【0096】
また、絶縁層2dは平面視において絶縁層2dと外部回路接続用電極9とが重なっている部分を有することによって、間隙6を絶縁層2dで塞ぐことができる。よって、電子装置21と外部回路基板20とを接合する工程において、はんだ等の外部回路接続部材23が間隙6に入りこむことを低減させることができる。このことにより、外部回路接続部材23によって、外部回路接続用電極9が撓み傾くことを阻害されることを低減させることができ、より良好に応力を吸収し、外部回路接続部材23、外部回路接続用電極9、または外部回路基板の接続電極にクラックまたは剥離が発生することを低減させることができる。
【0097】
絶縁層2dは基体2が電気絶縁性セラミックスから成る場合には、例えば基体2と同じ成分を主成分としており、空隙率や構成する成分の比率が異なっているものを使用しても良い。
【0098】
また、基体2の下面に絶縁層2dを設ける方法としては、例えば基体2が電気絶縁性セラミックスから成る場合、スクリーン印刷法等によって、セラミックグリーンシートに所定の部分に絶縁ペーストを塗布することで形成することが可能となる。また、例えば外部
回路接続用電極9を作成後、基体2の下面に絶縁層を積層または接着することでも形成することが可能となる。
【0099】
(第7の実施形態)
次に、本発明の第7の実施形態による電子部品実装用パッケージ1および電子装置21について、図9を参照しつつ説明する。
【0100】
本実施形態における電子装置21において、第6の実施形態の電子装置21と異なる点は、外部回路接続用電極9と絶縁層2dの間に間隙6を有している点である。
【0101】
図9に示す例では、電子部品実装用パッケージ1の外部回路接続用電極9と絶縁層2dとの間は間隙6を有している。このことによって、電子部品10の発熱による基体2と外部回路基板20との熱膨張差による応力を外部回路接続用電極9が吸収するため、基体2または外部回路基板20に追従し傾くことを阻害することを低減させることができ、より良好に熱膨張差による応力を吸収することができる。
【0102】
(第8の実施形態)
次に、本発明の第8の実施形態による電子部品実装用パッケージ1および電子装置21について、図10を参照しつつ説明する。
【0103】
なお、本実施形態では本発明の平面視における外部回路接続用電極9の位置と、応力緩和についての関係を説明する。
【0104】
図10(a)に示す例において、電子部品実装用パッケージ1の外部回路接続用電極9は、平面視で基体2の外縁部に設けられている。一般的に、電子部品10が電子部品実装用パッケージ1の中心に実装される。このとき、電子装置21を外部回路基板20に実装する工程での加熱、または電子部品実装用パッケージ1に実装される電子部品10が作動し、発熱したときに発生する電子部品実装用パッケージ1と外部回路基板20との熱膨張率の差による応力は中心部からの距離が大きい個所が中心部付近と比較して大きくなる。図10(a)に示す例のように、外部回路接続用電極9が平面視において、基体2の外縁部に設けられていることによって、より効率的に電子部品実装用パッケージ1と外部回路基板20との熱膨張差による応力を外部回路接続用電極9が基体2または外部回路基板20に追従し傾くことで吸収することができる。このことから電子部品実装用パッケージ1と外部回路基板20との間の外部回路接続部材23、電子部品実装用パッケージ1の下面に設けられた外部回路接続用電極9、または外部回路基板20の接続電極にかかる応力を低減させることが可能となる。
【0105】
図10(b)に示す例において、電子部品実装用パッケージ1の基体2は、平面視で矩形状であり、外部回路接続用電極9は、平面視で基体2の角部に設けられている。この構造は、電子部品実装用パッケージ1の中心部から最も距離が大きい位置である角部に外部回路接続用電極9を設けることを意味する。よって、より効率的に電子部品実装用パッケージ1と外部回路基板20との熱膨張差による応力を外部回路接続用電極9が基体2または外部回路基板20に追従し傾くことで吸収することができる。
【0106】
(第9の実施形態)
次に、本発明の第9の実施形態による電子部品実装用パッケージ1および電子装置21について、図11を参照しつつ説明する。
【0107】
本実施形態における電子装置21において、第8の実施形態の電子装置21と異なる点は、電子部品実装用パッケージ1は基体2との間に間隙6を有する第1の外部回路接続用
電極9aと基体2との間に間隙6を有さない第2の外部回路接続用電極9bの2種類の外部回路接続用電極9を有する点である。
【0108】
図11に示す例において、電子部品実装用パッケージ1は基体2との間に間隙6を有する第1の外部回路接続用電極9aと基体2との間に間隙6を有さない第2の外部回路接続用電極9bの2種類の外部回路接続用電極9を有する。このように、第1の外部回路接続用電極9aと第2の外部回路接続用電極9bとを有することによって、第2の外部回路接続用電極9bにより電子装置21と外部回路基板20との信号の接続をより確かなもとしつつ、電子部品実装用パッケージ1と外部回路基板20との熱膨張差による応力を第1の外部回路接続用電極9aで吸収することが可能となる。また、第8の実施形態と同様に、電子部品実装用パッケージ1の中心部から最も遠い位置に第1の外部回路接続用電極9aを設けることでより効率的に熱膨張差による応力を低減させることが可能となる。
【0109】
また、図11に示す例のように、第1の外部回路接続用電極9aを電子部品10の直下つまりもっとも熱が大きい個所に設けることで、外部回路接続用電極9が膨張したとしても、間隙6により外部回路接続用電極9の膨張による応力が伝わりにくいため、基体2にかかる応力を低減させることができる。よって基体2にクラック等の発生を低減させることができる。
【0110】
なお、本発明は上述の実施形態の例に限定されるものではなく、数値などの種々の変形は可能である。
【0111】
また、例えば、図1図11に示す例では、電子部品接続用パッド3の形状は矩形状であるが、円形状やその他の多角形状であってもかまわない。
【0112】
また、本実施形態における電子部品接続用パッド3の配置、数、形状などは指定されない。
【0113】
また、本実施形態における特徴部の種々の組み合わせは上述の実施形態の例に限定されるものではい。
【符号の説明】
【0114】
1・・・・電子部品実装用パッケージ
2・・・・基体
2a・・・枠体
2b・・・基部
2c・・・開口部
2d・・・絶縁層
3・・・・電子部品接続用パッド
5・・・・導体層
6・・・・間隙
9・・・・外部回路接続用電極
9a・・・第1の外部回路接続用電極
9b・・・第2の外部回路接続用電極
9c・・・絶縁膜
10・・・電子部品
11・・・電子部品実装部
13・・・接続部材
20・・・外部回路基板
21・・・電子装置
23・・・外部回路接続部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11