(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記非晶性フッ素樹脂は、示差走査熱量測定(DSC)において検出されるいずれの吸熱から計算される融解熱も3J/g未満であり、ASTM D1238に準拠して、荷重5kg、測定温度250℃±0.1で測定したメルトフローレート(MFR)が0.1〜100g/10分である請求項1に記載の多層積層体。
前記非晶性フッ素樹脂が、テトラフルオロエチレン/パーフルオロ(エチルビニルエーテル)の共重合体、テトラフルオロエチレン/パーフルオロジメチルジオキソール共重合体、テトラフルオロエチレン/パーフルオロ(ブテニルビニルエーテル)共重合体から選択される少なくとも1種である請求項1または2に記載の多層積層体。
前記非晶性フッ素樹脂が、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)の含有量が共重合体重量を基準として30〜80重量%である請求項1〜3のいずれかに記載の多層積層体。
前記含フッ素樹脂被覆に用いられる樹脂が、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)およびエチレン/テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)から選ばれた少なくとも一種である請求項1に記載の多層積層体。
前記非晶性フッ素樹脂が、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)の含有量が共重合体重量を基準として30〜80重量%テトラフルオロエチレン/パーフルオロ(エチルビニルエーテル)の共重合体であるに請求項10に記載の多層積層体の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明らは、非晶性フッ素樹脂の薄膜被覆形成の提案をしている(特許文献5)が、含フッ素樹脂が被覆された基材の表面のような、接触角が90度以上にもなる撥水性の表面を有する基材の、表面の全面もしくは一部に塗布して、該表面にラベル、マーキング、または装飾パターン形成させることができるフッ素樹脂溶液の開発を進めた結果本発明に到達したものである。
本発明は、含フッ素樹脂が被覆された基材の表面のような撥水性の表面を有する基材の全面もしくは一部がフッ素樹脂で被覆された構造を含む多層積層体を提供する。
本発明はさらに、含フッ素樹脂被覆された基材の表面のような撥水性の表面を有する基材の全面もしくは一部に、フッ素樹脂溶液のフッ素樹脂塗膜が形成された多層積層体を製造する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、
示差走査熱量測定(DSC)において検出されるいずれの吸熱から計算される融解熱も3J/g以上である含フッ素樹脂から形成された接触角が90度以上である含フッ素樹脂被膜により形成された表面を有する基材と、該表面上
の一部に形成された
文字または図形を形成する着色料を含有した非晶性フッ素樹脂の塗膜層を含む
、文字または図形が描かれた多層積層体を提供する。
【0009】
前記非晶性フッ素樹脂が、示差走査熱量測定(DSC)において検出されるいずれの吸熱から計算される融解熱も3J/g未満であり、ASTM D1238に準拠して、荷重5kg、測定温度250℃±0.1で測定したメルトフローレート(MFR)が0.1〜100g/10分である前記多層積層体は本発明の好ましい態様である。
【0010】
前記非晶性フッ素樹脂が、テトラフルオロエチレン/パーフルオロ(エチルビニルエーテル)の共重合体、テトラフルオロエチレン/パーフルオロジメチルジオキソール共重合体、テトラフルオロエチレン/パーフルオロ(ブテニルビニルエーテル)共重合体から選択される少なくとも1種である前記多層積層体は本発明の好ましい態様である。
【0011】
前記非晶性フッ素樹脂が、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)の含有量が共重合体重量を基準として30〜80重量%である前記多層積層体は本発明の好ましい態様である。
【0012】
前記非晶性フッ素樹脂塗膜が充填材を含有する前記多層積層体は本発明の好ましい態様である。
【0013】
前記接触角が90度以上である表面が、含含フッ素樹脂被覆により形成された表面である前記多層積層体は本発明の好ましい態様である。
【0014】
前記含フッ素樹脂被覆に用いられる樹脂が、前記含フッ素樹脂被覆に用いられる樹脂が、示差走査熱量測定(DSC)において検出されるいずれかの吸熱から計算される融解熱
も3J/g以上である前記多層積層体は本発明の好ましい態様である。
前記含フッ素樹脂が、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)
およびエチレン/テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE
)から選ばれた少なくとも一種である前記多層積層体は本発明の好ましい態様である。
【0015】
本発明はまた、接触角が90度以上である表面を有する基材における該表面
の一部に、示差走査熱量測定(DSC)において検出されるいずれの吸熱から計算される融解熱も3J/g未満であり、ASTM D1238に準拠して、荷重5kg、測定温度250℃±0.1で測定したメルトフローレート(MFR)が、0.1〜100g/10分である非晶性フッ素樹脂を有機溶媒に溶解させた溶液を塗布した後に、該有機溶媒の沸点以上に加熱する
文字または図形が描かれた多層積層体の製造方法を提供する。
【0016】
本発明はさらに、接触角が90度以上である表面を有する基材における該表面
の一部に、示差走査熱量測定(DSC)において検出されるいずれの吸熱から計算される融解熱も3J/g未満であり、ASTM D1238に準拠して、荷重5kg、測定温度250℃±0.1で測定したメルトフローレート(MFR)が、0.1〜100g/10分である非晶性フッ素樹脂を有機溶媒に溶解させた溶液を塗布し、該有機溶媒の沸点以上に加熱した後、さらにその表面上に含フッ素樹脂被覆を形成させ、含フッ素樹脂の融点以上の温度で焼成して得られる
文字または図形が描かれた多層積層体の製造方法を提供する。
【0017】
前記非晶性フッ素樹脂が、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)の含有量が共重合体重量を基準として30〜80重量%である前記した多層積層体の製造方法は本発明の好ましい態様である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によって、含フッ素樹脂被覆された基材の表面のような、接触角が90度以上にもなる撥水性の表面を有する基材
の一部に塗布して、該表面にラベル、マーキング、または装飾パターン形成させることができる非晶性フッ素樹脂溶液と、それを機材表面上に塗布した多層積層体が提供される。
また本発明によって、含フッ素樹脂被覆された基材の表面のような、接触角が90度以上にもなる撥水性の表面を有する基材
の一部に塗布して、該表面にラベル、マーキング、または装飾パターン形成させることができる非晶性フッ素樹脂溶液を機材表面上に塗布した多層積層体を製造する方法が提供される。
本発明のフッ素樹脂溶液によって、接触角が90度以上の撥水性の表面を有する基材表面に、ラベル、マーキングまたは装飾パターンがクリアかつシャープなイメージとして形成された多層積層体を提供することができる。
従来公知の水性フッ素樹脂塗料では接触角が90度以上ともなる撥水性のフッ素樹脂が被覆された基材表面には、塗料のはじき、にじみ、盛り上がりが生じるために、所望のフッ素樹脂塗膜形成が困難であったところ、本発明のフッ素樹脂溶液によって所望どおりの
文字または図形が描かれたフッ素樹脂塗膜形成が可能となった。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、
示差走査熱量測定(DSC)において検出されるいずれの吸熱から計算される融解熱も3J/g以上である含フッ素樹脂から形成された接触角が90度以上である含フッ素樹脂被膜により形成された表面を有する基材と、該表面上
の一部に形成された非晶性フッ素樹脂塗膜層を含む
文字または図形が描かれた多層積層体を提供するものである。
本発明はまた、
示差走査熱量測定(DSC)において検出されるいずれの吸熱から計算される融解熱も3J/g以上である含フッ素樹脂から形成された接触角が90度以上である含フッ素樹脂被膜により形成された表面を有する基材と、該表面上
の一部に形成された非晶性フッ素樹脂塗膜層を含む
文字または図形が描かれた多層積層体を製造する方法をも提供するものである。
【0021】
非晶性フッ素樹脂
本発明のフッ素樹脂は非晶性のフッ素樹脂である。非晶性フッ素樹脂としては、重合体の示差走査熱量測定(DSC)において検出されるいずれの吸熱から計算される融解熱も3J/g未満、好ましくは1J/g未満であることが好ましい。この様な非晶性フッ素重合体は、一般的には、たとえ最初の加熱において弱い吸熱が検出されるとしても、2回目のDSC加熱において吸熱が見られない。
【0022】
非晶性フッ素樹脂の例としては、テトラフルオロエチレン(TFE)とパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)とを含む共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン/パーフルオロジメチルジオキソール共重合体、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体
、テトラフルオロエチレン/パーフルオロ(ブテニルビニルエーテル)共重合体などを挙げることができる。
【0023】
中でも、非晶性フッ素樹脂の好ましい例としては、テトラフルオロエチレン(TFE)とパーフルオロ(エチルビニルエーテル)(PEVE)とを含む共重合体(TFE/PEVE共重合体)を挙げることができる。
TFE/PEVE共重合体中のPEVEの含有量は、共重合体重量を基準として20〜80重量%、好ましくは30〜70重量%、より好ましくは40〜60重量%であることが好ましい。
またTFE/PEVE共重合体のASTM D1238に準拠して、荷重5kg、測定温度250℃±0.1で測定したメルトフローレート(MFR)が0.1〜100g/10分、好ましくは30〜100g/10分、より好ましくは50〜100g/10分重量%であることが好ましい。
【0024】
TFE/PEVE共重合体とは、TFEとPEVEを主たる重合体単位として含むフッ素重合体を意味し、TFE/PEVE二元共重合体であることが好ましいが、さらに他の追加の非官能性あるいは官能性のフッ素化されたコモノマーを含有していてもよい。含有していてもよい他の追加の非官能性のフッ素化されたコモノマーとしては、例えば、2〜8個の炭素原子を有する(TFE以外の)フルオロオレフィンおよびアルキル基が1または3〜5個の炭素原子を含有するフッ素化されたアルキルビニルエーテルなどを挙げることができる。このような他の追加の非官能性のフッ素化されたコモノマーの好ましい例として、フルオロオレフィンとしては、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)およびクロロトリフルオロエチレン(CTFE)が挙げられる。
【0025】
他の追加の官能性のフッ素化されたコモノマーとしては、例えば、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、または、CF
2=CF−OCF
2CF
2−SO
2F;CF
2=CF[OCF
2CF(CF
3)]O(CF
2)
2−Y(式中、Yは−SO
2Fまたは−CNである);およびCF
2=CF[OCF
2CF(CF
3)]O(CF
2)
2−CH
2−Z(式中、Zは−OH、−OCN、−O(CO)NH
2または−OP(O)(OH)
2である)からなる群から選択される官能性のフッ素化されたモノマーが挙げられる。他の追加のフッ素化されたコモノマーは1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0026】
本発明の非晶性フッ素樹脂から目的に合うものを市場から適宜選択して使用することができるが、PFA以外で市場から入手できる非晶性フッ素樹脂として下記のようなものを挙げることができる。
(a)テフロン(登録商標)AF1600〔商品名、デュポン社製、テトラフルオロエチレン/パーフルオロジメチルジオキソール〕共重合体、Tg=160℃〕、
(b)テフロン(登録商標)AF2400〔商品名、デュポン社製、テトラフルオロエチレン/パーフルオロジメチルジオキソール共重合体、Tg=240℃〕、
(c)テフロン(登録商標)SF−60〔商品名、デュポン社製、テトラフルオロエチレン/パーフルオロメチルビニルエーテル/パーフルオロエチルビニルエーテル共重合体〕、
(d)テフロン(登録商標)SF−50〔商品名、デュポン社製、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン〕共重合体〕、
(e)サイトップ〔商品名、旭硝子社製、テトラフルオロエチレン/パーフルオロ(ブテニルビニルエーテル)共重合体〕
【0027】
有機溶媒
本発明の有機溶媒は、非晶性フッ素樹脂を溶解し得る有機溶媒であればよく、脂肪族炭化水素類、脂環族炭化水素類、方向族炭化水素類、エーテル類、アミン類等から適宜選択して使用することができる。
【0028】
本発明の有機溶媒の好ましい例として、フッ素含有溶媒をあげることができる。とくに好ましいフッ素含有溶媒は、有機溶媒の炭素に結合する原子が完全にフッ素で置換された溶媒(以下完全フッ素置換溶媒という)または炭素に結合する原子の一部がフッ素で置換された溶媒(以下部分フッ素置換溶媒という)である。中でも、このような完全フッ素置換溶媒または部分フッ素置換溶媒で、炭素に結合する全原子の少なくとも50%がフッ素原子である溶媒が好ましい。
【0029】
完全フッ素置換溶媒とは、前記したとおり炭素に結合する全原子がフッ素原子であるいわゆるパーフルオロ化された化合物である。完全フッ素置換溶媒としては、パーフルオロカーボン、ハロゲン置換エーテル、硫黄含有パーフルオロ化合物、窒素含有パーフルオロ化合物から選択される少なくとも1種であることが好ましい。この様な完全フッ素置換溶媒の具体例としては、例えば、パーフルオロシクロブタン、パーフルオロデカリン、パーフルオロ(1−メチルデカリン)、パーフルオロ(ジメチルデカリン)、パーフルオロ(テトラデカヒドロフェナントレン)、パーフルオロメチルシクロヘキサン、パーフルオロ(シクロヘキシルメチル)デカリン等のフッ素化されたシクロアルカン;パーフルオロベンゼン、パーフルオロナフタレン、パーフルオロビフェニル等のフッ素化された芳香族化合物;パーフルオロ(2−n−ブチルテトラヒドロフラン)等のハロゲン置換エーテル;パーフルオロ−1,4−ジチアン、パーフルオロチエパン、パーフルオロジエチルスルホン、フッ化パーフルオロオクタンスルホニル等の硫黄含有パーフルオロ化合物;パーフルオロ(ジメチルブチルアミン)等のフッ素化されたアルキルアミン類;パーフルオロ(トリアミルアミン)、パーフルオロ(トリブチルアミン)、パーフルオロ(トリペンチルアミン)等のフッ素化されたトリアルキルアミン類などを挙げることができる。
【0030】
完全フッ素置換溶媒の沸点は50℃以上であることが好ましく、より好ましくは100℃以上であることが望ましい。完全フッ素置換溶媒がフッ素化されたシクロアルカン及びフッ素化された芳香族化合物である場合には、その沸点は70℃以上であることが好ましく、より好ましくは140℃以上であることが望ましい。
【0031】
部分フッ素置換溶媒は、ハイドロフルオロカーボン、部分ハロゲン置換エーテルから選択される少なくとも1種であることが好ましい。部分フッ素置換溶媒としては、炭素原子に結合している全原子を基準として約12.5原子%までの水素および/または37.5原子%までの塩素を有する部分フッ素置換溶媒から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。部分フッ素置換溶媒の具体的な例としては、例えば、C
5H
2F
10で表されるデカフルオロペンタン(代表例:1,1,1,2,3,4,4,5,5,5−デカフルオロペンタン)などの下記式(1)で表されるHFCアルカン; 下記式(2)で表されるHFCアルケン; パーフルオロ(プロピル)メチルエーテル、パーフルオロ(ブチル)メチルエーテル、パーフルオロ(ヘキシル)メチルエーテル、パーフルオロ(ブチル)エチルエーテルなどのパーフルオロ(アルキル)アルキルエーテルなどが挙げられる。
C
nF
2n+2−xH
x (n=6〜15、x=1〜3) (1)
C
nF
2n−xH
x (n=7〜15、x=1〜3) (2)
【0032】
本発明のフッ素置換溶媒としては、米国特許第5,328,946号、米国特許第5,397,829号中に開示されている溶媒を用いることもできる。
【0033】
フッ素樹脂溶液
非晶性フッ素樹脂をフッ素置換溶媒に溶解して本発明に用いられる非晶性フッ素樹脂溶液が得られる。非晶性フッ素樹脂溶液における非晶性フッ素樹脂の濃度は0.01〜10重量%が好ましく、0.5〜5重量%がより好ましい。
非晶性フッ素樹脂を有機溶媒に溶解させる方法には特に制限はなく従来公知の方法を採用することができる。非晶性フッ素樹脂を有機溶媒に溶解させる際に超音波処理を行うと溶解を促進することができる。
【0034】
本発明のフッ素樹脂溶液には、所望によって添加剤を所望の割合で添加することができる。添加剤を使用する場合、非晶性フッ素樹脂、有機溶媒溶液及び添加剤の添加順序は特に限定されるものではない。
フッ素樹脂溶液に使用することができる添加物は、添加の目的に応じて適宜選択することができる。たとえば、フッ素樹脂溶液に所望の色を発現させるときには、着色料を公知のものから選択して添加すればよい。着色料としては、有機顔料、無機顔料またはその他の着色剤を挙げることができる。無機顔料の例を挙げるならば、二酸化チタン(チタン白)、チタン黄、チタン酸アルミニウム鉄、酸化鉄、カーボンブラック、群青、ボロンナイトライド(BN)などがあり、ほかに二酸化チタン、酸化鉄等の顔料で被覆されたマイカなどもある。これらを二種以上混合して使用することもできる。
着色料を使用する場合には、非晶性フッ素樹脂100重量部に対して0.001〜500重量部、好ましくは0.01〜300重量部、より好ましくは0.1〜300重量部で使用することが好ましい。
【0035】
またフッ素樹脂溶液の表面硬度、表面形状等の物性に影響を与えるために充填材を添加することもできる。充填材も目的に応じて公知のものから適宜選択することができる。充填材としては、金属酸化物、ガラス粒子、セラミック粒子、金属粒子などの無機充填材があるし、結晶性フッ素樹脂、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリベンズイミダゾール、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトンなどの有機充填材もある。有機充填材としては、結晶性フッ素樹脂を好ましく使用することができる。充填材を添加することによってフッ素樹脂塗膜に意図的に凹凸表面を形成させて意匠性、撥水性、離形性等を向上させることもできる。
【0036】
本発明のフッ素樹脂溶液はさらに、本発明の目的を損なわない範囲において、他の添加剤を含んでいてもよい。他の添加剤として、各種安定剤、湿潤剤、均染剤、分散剤などを挙げることができる。
【0037】
溶液には、使用の状況に応じて粘度の調整が重要なので、通常の溶液では粘度を調整するための添粘剤が使用されているが、本発明のフッ素樹脂溶液においては、移用するフッ素樹脂の種類及びフッ素樹脂溶液における濃度を適宜選択することによって、容易に目的とするフッ素樹脂溶液の粘度を得ることができる。
【0038】
撥水性表面を有する基材
本発明の撥水性表面を有する基材における撥水性表面は、接触角が90度以上の表面である。このような撥水性表面として、たとえば含フッ素樹脂が被覆されていて接触角が90度以上である撥水性を有する表面を挙げることができる。従来公知の水性フッ素樹脂塗料では接触角が90度以上の撥水性の含フッ素樹脂が被覆された基材表面には、塗料のはじき、にじみ、盛り上がりが生じるために、所望のフッ素樹脂塗膜形成が困難であったが、本発明の前記したフッ素樹脂溶液を用いれば所望どおりのフッ素樹脂塗膜を形成させることができる。
撥水性表面を有する基材の代表的な例は、接触角が90度以上の含フッ素樹脂被覆表面を有する基材である。この含フッ素樹脂被覆は、例えばアルミニウム、陽極処理アルミニウム、冷間圧延鋼、ステンレス鋼、エナメル、ガラス、またはガラスセラミック等の基材表面に形成される。
【0039】
このような、90度以上の撥水性を示す表面を形成する含フッ素樹脂被覆に用いられる含フッ素樹脂は、示差走査熱量測定(DSC)において検出されるいずれかの吸熱から計算される融解熱
も3J/g以上の含フッ素樹脂であって、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)
およびエチレン/テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE
)などがある。
【0040】
接触角が90度以上の表面を有する基材とは、このような撥水性表面を有する器具、容器その他の物体が含まれ、代表的な例はフッ素樹脂で被覆された物体である。具体的代表例としてはフライパン、ソースパン、炊飯器などの調理器具を挙げることができるが、これに限られるものではない。
【0041】
フッ素樹脂塗膜多層積層体の製造方法
撥水性表面を有する基材の撥水性表面の全面もしくは一部に、前記本発明のフッ素樹脂溶液を塗布することによって、フッ素樹脂塗膜を形成させた撥水性表面を有する基材が、本発明の多層積層体として得られる。
撥水性表面を有する基材の撥水性表面の全面もしくは一部に、前記本発明のフッ素樹脂溶液を塗布した後に、フッ素樹脂溶液に含有される有機溶媒の沸点以上に加熱する多層積層体の製造方法は本発明の好ましい態様である。
撥水性表面に形成されるフッ素樹脂塗膜は通常0.1〜3000μm、好ましくは0.1〜2000μm、より好ましくは0.1〜1000μmであることが望ましい。
【0042】
本発明の多層積層体の形成にあたって、撥水性表面を有する基材の撥水性表面の全面もしくは一部に、前記本発明のフッ素樹脂溶液を塗布することによって、フッ素樹脂塗膜を形成させた後に、さらにその表面上に含フッ素樹脂の被膜を形成させてから、含フッ素樹脂の融点以上の温度で焼成して多層積層体を製造してもよい。このような含フッ素樹脂としては、前記撥水性表面を有する基材を形成する含フッ素樹脂として例示されたようなものを挙げることができる。
【0043】
また、接触角が90度以上である表面を有する基材における該表面の全面もしくは一部に、示差走査熱量測定(DSC)において検出されるいずれの吸熱から計算される融解熱も3J/g未満であり、ASTM D1238に準拠して、荷重5kg、測定温度250℃±0.1で測定したメルトフローレート(MFR)が、0.1〜100g/10分である非晶性フッ素樹脂を有機溶媒に溶解させた溶液を塗布した後に、該有機溶媒の沸点以上に加熱する多層積層体の製造方法は本発明の好ましい態様である。
本発明はさらに、このようにして多層積層体を形成させてから、さらにその表面上に含フッ素樹脂の被膜を形成させてから、含フッ素樹脂の融点以上の温度で焼成して多層積層体を製造することもできる。
【0044】
撥水性表面が含フッ素樹脂被覆を施した表面である場合には、フッ素樹脂溶液を構成するフッ素含有溶媒も非晶性フッ素樹脂もともに被覆されたフッ素樹脂と親和性を有するものであるから、得られるフッ素樹脂塗膜は含フッ素樹脂被覆との良好な付着性を示す上に、熱安定性および耐摩耗性に優れているという特性に加えて、フッ素樹脂塗膜によって描くラベル、マーキングおよび装飾パターンが、クリアでシャープなイメージを与えるのである。
【0045】
フッ素樹脂塗膜によって描くラベル、マーキング、装飾パターンなどとしては、特に限定されず、各種模様や文字、目盛りなどを挙げることができる。意匠性の点では、幾何学模様や人物、風景、静物等のイラスト、絵画、写真、書画、あるいはキャラクターデザイン、紋章等の記号、企業他のロゴマーク、メッセージ等を形成させることができる。
【0046】
本発明のフッ素樹脂溶液を用いてフッ素樹脂塗膜を形成させる塗布方法としては、特に制限はないが、スプレーコーティング、転写、フローコート、スクリーンコート他の印刷手法、スピンコート、ロールコート等などにより塗装することができる。これらの塗布法の中でもスプレーコーティングは、フッ素樹脂塗膜欠陥がなく、平滑化が容易なフッ素樹脂塗膜が得られやすいので好ましい。ラベルやマーキング用には、パッド印刷など印刷方法として知られている方法を採用することもできる。
【0047】
本発明は、接触角が90度以上にもなる撥水性の表面を有する基材の、表面の全面もしくは一部に文字・図形等の美的および/または機能的効果を付与するために使用することができる。本発明を応用する代表的な分野としては、含フッ素樹脂被覆を施した調理器具、耐熱皿等の上にラベル、マーキング、装飾パターンなどの付与を挙げることができる。
本発明はまた、電子・電気部品、光学部品、精密機械部品、自動車部品などの部品への印刷分野に応用することができる。例として、プリント配線基板、セラミック配線基板などの配線基板、光ファイバー、太陽電池、タッチパネル、フィルムコンデンサー、液晶、プラズマディスプレイなどへの印刷が挙げられる。
【実施例】
【0048】
以下、調製例、実施例および比較例を用いて、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0049】
A.材料
1.非晶性フッ素樹脂
(1)非晶性PFA
テトラフルオロエチレン/パーフルオロ(エチルビニルエーテル)の共重合体(テフロン(登録商標)PFA (三井・デュポンフロロケミカル社製、融解熱0J/g、エチルビニルエーテル含有量50重量%、MFR60g/10分)
(2)AF
テトラフルオロエチレン/パーフルオロジメチルジオキソール共重合体(テフロン(登録商標)AF1600、デュポン社製、融解熱0J/g、MFR10g/10分)
【0050】
2.結晶性PFA
テフロン(登録商標)PFA 334−JR水分散体(固形分60重量%、融解熱35J/g、MFR15g/10分、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)含有量 重量%、三井・デュポンフロロケミカル社製)
【0051】
3.フッ素含有溶媒
(1)パーフルオロトリブチルアミン(フロリナート(商品名)FC−43、3M社製)
(2)1、1、1、2、2、3、4、5、5、5−デカフルオロ−3−メトキシ−4−(トリフルオロメチル)−ペンタン(Novec(商品名)7300、3M社製)
【0052】
4.着色剤
(1)カーボンブラック(Printex(商品名)F80、Orion社製)
(2)酸化チタン(タイピュア(登録商標)R−900、デュポン社製)
(3)マイカ(Colorstream(商品名)T10−01、メルク社製)
(4)マイカ(Iriodin 504(商品名)酸化鉄コートマイカ、メルク社製)
5.増粘剤
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(メトローズ65SH−50(商品名)、信越化学工業社製)
【0053】
5.基材
(1)基材A
アルミニウム(JIS A1050)の表面に、#60番アルミナ(ショウワブラスター(商品名)、昭和電工社製)を用いてショットブラスト(ニューマブラスター(商品名)、不二製作所製、エア圧力3kgf/cm
2)を施した後、PFA水性分散液(テフロン(登録商標)PFA PJ−AL916、三井・デュポンフロロケミカル社製)をスプレー塗装(W−88−10E、口径1.00mm アネスト岩田製を用い、エア圧力3kgf/cm
2でスプレー塗装)し、120℃にて10分間乾燥させて膜厚7〜9μmのプライマー層を形成させた。そしてプライマー層の上に、テトラフルオロエチレン/パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)共重合体(TFE/PPVE共重合体)(MFR:15g/10分、平均粒径:18μm)を静電粉体塗装によって塗装し、390℃で20分間焼付けて膜厚50μmのトップコート層を形成した。得られた含フッ素樹脂被覆アルミニウム板を基材Aとした。トップコート層は無色透明であるが、プライマー層が黒なので、アルミニウム板上の被覆層は黒色に見える。
基材Aの含フッ素樹脂被覆表面の接触角は122度であった。
【0054】
(2)基材B
基材Aの調製において、プライマー層上の静電粉体塗装に用いたTFE/PPVE共重合体を、充填材含有テトラフルオロエチレン/パーフルオロ(エチルビニルエーテル)共重合体(TFE/PEVE共重合体)(MFR:2g/10分、平均粒径:20μm、粒径範囲が11〜22μmの酸化ガラスを全体重量に対し10重量%含有)に変えたほかは同様にして含フッ素樹脂被覆アルミニウム板を得て、これを基材Bとした。トップコート層は不透明で色はアイボリーであった。
基材Bの含フッ素樹脂被覆表面の接触角は120度であった。
【0055】
(3)基材C
基材Aの調製において、プライマー層上の静電粉体塗装に用いたTFE/PPVE共重合体を、充填材含有TFE/PEVE共重合体(MFR:2g/10分、平均粒径:20μm、平均粒径1−106μmのグラファイトを全体重量に対し0.9重量%含有)に変えたほかは同様にして含フッ素樹脂被覆アルミニウム板を得て、これを基材Cとした。トップコート層は不透明で色はグレーであった。
基材Cの含フッ素樹脂被覆表面の接触角は120度であった。
【0056】
(4)基材D
基材Aの調製において、プライマー層上の静電粉体塗装に用いたTFE/PPVE共重合体を、充填材含有TFE/PEVE共重合体(MFR:2g/10分、平均粒径:20μm、平均粒径40μmのカーボンブラックを全体重量に対し3.0重量%含有)に変えたほかは同様にして含フッ素樹脂被覆アルミニウム板を得て、これを基材Dとした。トップコート層は不透明で色は黒であった。
基材Dの含フッ素樹脂被覆表面の接触角は120度であった。
【0057】
(5)基材E
基材Aの調製において、プライマー層上の静電粉体塗装に用いたTFE/PPVE共重合体を、充填材含有TFE/PEVE共重合体(MFR:2g/10分、平均粒径:20μm、平均粒径20μmの炭化ケイ素を全体重量に対し5.0重量%含有)に変えたほかは同様にして含フッ素樹脂被覆アルミニウム板を得て、これを基材Eとした。トップコート層は半透明で色はグレーであった。
基材Eの含フッ素樹脂被覆表面の接触角は120度であった。
【0058】
(6)基材F
アルミニウムA1050の表面に、#60番アルミナ(ショウワブラスター(商品名)、昭和電工社製)を用いてショットブラスト(ニューマブラスター(商品名)、不二製作所製、エア圧力3kgf/cm2)を施した後、PFA水性分散液(テフロン(登録商標)PFA PJ−AL916、三井・デュポンフロロケミカル社製)をスプレー塗装(W−88−10E、口径1.0mmアネスト岩田製を用い、エア圧力3kgf/cm2でスプレー塗装)し、120℃にて10分間乾燥させて膜厚7〜9μmのプライマー層を形成させた。そしてプライマー層の上に、PFA水性分散液(テフロン(登録商標)PFA EJ−CL700、三井・デュポンフロロケミカル社製)をスプレー塗装した後、120℃にて10分乾燥を行い、続いて400℃にて20分焼付けて50μmのトップコート層を形成した。得られた含フッ素樹脂被覆アルミニウム板を基材Fとした。トップコート層は不透明で色は黒であった。
基材Fの含フッ素樹脂被覆表面の接触角は120度であった。
【0059】
(7)基材G
基材Fの調製において、EJ−CL700に平均粒径0.5μmの酸化チタン(水性分散体全体の重量に対し10重量%)を加えて、プライマー層上にスプレー塗装したほかは同様にして充填材入り含フッ素樹脂被覆アルミニウム板を得て、これを基材Gとした。トップコート層は不透明で色は白であった。
基材Gの含フッ素樹脂被覆表面の接触角は120度であった。
(8)基材H
基材Fの調製において、EJ−CL700に一次平均粒径16nmのカーボンブラック(塗料全体の重量に対し6重量%)を加えて、プライマー層上にスプレー塗装したほかは同様にして充填材入り含フッ素樹脂被覆アルミニウム板を得て、これを基材Hとした。トップコート層は不透明で色は黒であった。
基材Hの含フッ素樹脂被覆表面の接触角は120度であった。
(9)基材I
基材Fの調製において、EJ−CL700に粒径範囲5〜40μmのマイカを水性分散体全体の重量に対し1重量%を加えて、プライマー層上にスプレー塗装したほかは同様にして充填材入り含フッ素樹脂被覆アルミニウム板を得て、これを基材Iとした。トップコート層は不透明で色は黒であった。
基材Iの含フッ素樹脂被覆表面の接触角は120度であった。
【0060】
(10)基材J
ポリエチレンテレフタレートフィルム(CP−Leaf(商品名)ラミネートパウチフィルム、フジプラ株式会社製)
基材Jの含フッ素樹脂被覆表面の接触角は81度であった。
【0061】
B.物性の測定
(1)接触角
試験片表面について、DropMaster DM―701(協和界面社製)を用いて、JIS K6894に準じ、試験標準液を純水とし液適法にて接触角を測定した。
【0062】
(2)印刷性
(A)ハジキ
溶液を用いて印刷を行ったときの印刷面への溶液の塗布状態を目視にて観察して、下記の基準で判定した。
◎:所定のパターンどおりに塗布されていた。
○:完全ではないがほぼ所定のパターンどおりに塗布されていた。
×:塗布されたパターンに欠けた部分が認められ所定のパターン通りに塗布されていなかった。
【0063】
(B)欠け
溶液を用いて印刷を行ったときの印刷されたパターンが所定のパターンを描いているか否かを目視にて観察して、下記の基準で判定した。
◎:所定のパターンどおりに印刷されていた。
○:完全ではないがほぼ所定のパターンどおりに印刷されていた。
×:印刷されたパターンに欠けた部分が認められ所定のパターンに印刷されていなかった。
【0064】
(C)かすれ
溶液を用いて印刷を行ったとき、印刷されたパターンの全体に溶液が塗布されているか否かを目視にて観察して、下記の基準で判定した。
◎:印刷されたパターンの全体が明確に認識できた。
○:印刷されたパターンのほぼ全体が明確に認識できた。
△:印刷されたパターンに明確に認識できない部分が認められた。
×:印刷されたパターンの全体が明確に認識できなかった。
【0065】
(実施例1)
フッ素樹脂溶液の調整
非晶性フッ素樹脂重合体12重量部を、Novec7300の54重量部とフロリナート29重量部の混合フッ素含有溶媒に溶解後、着色剤としてカーボンブラック5重量部を添加して混合することによりフッ素樹脂溶液(以下「塗料実1」)を調整した。
基材への印刷
前記基板Gの含フッ素樹脂被覆面に、調製したフッ素樹脂溶液を用いて、シリコンゴムパットを用いたパット転写印刷機によって印刷をし、印刷性として塗料のハジキ、欠け、かすれを評価した。評価結果を表1に示した。
本実施例で得られた印刷パターンの写真を
図1に示したが、印刷パターンが欠けもかすれもなく鮮明に認識することができる。
【0066】
(実施例2)
実施例1におけるフッ素樹脂溶液の調製において、表1に記載の非晶性フッ素樹脂重合体フッ素含有溶媒及び着色剤を、同表記載の割合で用いるほかは同様にしてフッ素樹脂溶液を調製し、基板を前記Aに変えて、実施例1と同様にして、調整したフッ素樹脂溶液の印刷性を評価し、評価結果を表1に記載した。
実施例2得られた印刷パターンの写真を
図2に示した。
【0067】
(実施例3〜5)
実施例1におけるフッ素樹脂溶液の調製において、表1に記載の非晶性フッ素樹脂重合体フッ素含有溶媒及び着色剤を、同表記載の割合で用いるほかは同様にしてフッ素樹脂溶液を調製し、基板は実施例1と同様に前記Gとして、実施例1と同様にして、調整したフッ素樹脂溶液の印刷性を評価し、評価結果を表1に記載した。
実施例3〜5で得られた印刷パターンの写真を
図3〜5に示した。
【0068】
(比較例1)
フッ素樹脂として前記結晶性フッ素樹脂水分散体(固形分60重量%)12重量部、純水65重量部、前記増粘剤8重量部および着色剤としてカーボンブラックを5重量部、を混合して溶液(「塗料比1」)とした。得られた溶液を用いて実施例1と同様にして印刷性を評価し、評価結果を表1に記載した。
比較例1で得られた印刷パターンの写真を
図6に示したが、印刷パターンを鮮明に認識することができない。
【0069】
【表1】
【0070】
(実施例6〜10)
実施例1で調製したフッ素樹脂溶液を用いて、前記基材B〜Fそれぞれの含フッ素樹脂被覆面に、実施例1と同様にして印刷をし、印刷性を評価した。評価結果を表2に示した。
【0071】
【表2】
【0072】
(実施例11および12)
実施例1で調製したフッ素樹脂溶液を用いて、前記基材HおよびIそれぞれの含フッ素樹脂被覆面に、実施例1と同様にして印刷をし、印刷性を評価した。評価結果を表2に示した。
【0073】
(比較例2)
比較例1で調製したフッ素樹脂溶液(「塗料比1」)を用いて、前記基材Jの表面に、実施例1と同様にして印刷をし、印刷性を評価した。評価結果を表3に示した。
【0074】
【表3】