(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記一の組み合わせを選択するステップにおいて、前記複数の無線端末のうち、通信レートが所定の閾値以下の種別の無線端末における前記通信品質を除外して、前記複数の通信品質の和を算出する、
請求項1に記載のビーム制御方法。
前記複数のビームウェイトの夫々に対して与えた重み付けの比率と同一の比率で、前記時分割多重化又は周波数多重化において夫々のビームウェイトに割り当てるリソースの比率を決定する、
請求項5に記載のビーム制御方法。
前記一以上の第2ビームウェイトを決定するステップにおいて、前記一以上の第2無線端末の夫々に関連付けられた一以上の前記暫定的なビームウェイトの一方に位相回転を与えた後に他方と平均することにより、前記一以上の第2ビームウェイトを決定する、
請求項7に記載のビーム制御方法。
前記一以上の第2ビームウェイトを決定するステップにおいて、前記一以上の第2無線端末の各々と前記基地局との間のチャネル情報を用いて、前記第2無線端末の通信品質が所定のレベル以上になるように、前記基地局で用いる第2ビームウェイトを探索することにより、前記一以上の第2ビームウェイトを決定する、
請求項7に記載のビーム制御方法。
複数の無線端末と、前記複数の無線端末に複数のアンテナを用いて送信するビームの指向性を定めるビームウェイトを制御可能な基地局と、を備える通信システムであって、
前記基地局は、
前記複数の無線端末の夫々と前記基地局との間の伝送路の通信品質を推定する推定部と、
前記推定部が推定した前記通信品質が所定のレベル以下の一以上の第1無線端末が前記ビームを受信するために必要な一以上の第1ビームウェイトを、前記一以上の第1無線端末の夫々に関連付けて決定する第1決定部と、
前記通信品質が前記所定のレベルより高い無線端末が、前記一以上の第1ビームウェイトのいずれかのビームウェイトを用いた第1ビームを受信できるか否かを判定する判定部と、
前記第1ビームを受信できない一以上の第2無線端末がビームを受信するために必要な一以上の第2ビームウェイトを、前記一以上の第2無線端末に関連付けて決定する第2決定部と、
前記一以上の第1ビームウェイト及び前記一以上の第2ビームウェイトから複数のビームウェイトを選択する選択部と、
を有し、
前記複数の無線端末は、
前記基地局から前記ビームを受信する無線端末受信部と、
前記無線端末受信部が前記ビームを受信したことに応じて、前記無線端末受信部が受信した前記ビームに含まれる信号の振幅及び位相に関する情報を含む応答信号を送信する無線端末送信部と、
を有し、
前記選択部は、
前記一以上の第1ビームウェイト及び前記一以上の第2ビームウェイトの夫々に対応する前記ビームを前記複数の無線端末が受信した際の通信品質を特定し、
前記複数の無線端末の全てが、前記一以上の第1ビームウェイト及び前記一以上の第2ビームウェイトの少なくともいずれかの前記ビームを前記所定のレベル以上の通信品質で受信できるように、前記一以上の第1ビームウェイト及び前記一以上の第2ビームウェイトから複数のビームウェイトを選択し、
前記複数のビームウェイトの一部を含む複数の組み合わせを生成し、
前記複数のビームウェイトの夫々を用いて生成された前記ビームを受信した前記複数の無線端末の複数の通信品質を特定し、
前記複数の通信品質の和を算出した結果に基づいて、前記複数の組み合わせから一の組み合わせを選択する、通信システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の方法においては、予め定められた特性の複数のビームを無線端末に送信した結果に基づいて、信号対干渉雑音比が大きくなるビームを優先的に選択した上で、システム容量が最大になるビームの数を決定していた。この技術で用いられる目的関数はシステム容量であり、弱電界の無線端末に対して通信できる環境を確保することは意図されていない。
【0005】
弱電界の無線端末に対して通信できる環境を確保する方法として、端末に向けて、またはランダムに指向性を向ける従来技術がある。指向性及び電波強度が強いビームを用いることにより、個々の無線端末と通信する間の通信品質は向上する。ところが、指向性及び電波強度が強い複数のビームを順次切り替えながら個々の無線端末と通信する場合、指向性及び電波強度が弱いビームを用いて多くの無線端末と同時に通信する場合に比べて、無線端末の通信機会が減ってしまう。その結果、システム全体のスループットが低下してしまうという問題があった。
【0006】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、無線端末との通信に使用するビーム数を低減可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様においては、複数のアンテナを用いて基地局から複数の無線端末に送信するビームの指向性を定めるビームウェイトを制御するビーム制御方法であって、前記複数の無線端末の夫々と前記基地局との間の伝送路の通信品質を推定するステップと、前記通信品質が所定のレベル以下の一以上の第1無線端末が前記ビームを受信するために必要な一以上の第1ビームウェイトを、前記一以上の第1無線端末の夫々に関連付けて決定する第1決定ステップと、前記通信品質が前記所定のレベルより高い無線端末が、前記一以上の第1ビームウェイトのいずれかのビームウェイトを用いて生成される第1ビームを受信できるか否かを判定する判定ステップと、前記第1ビームを受信できない一以上の第2無線端末がビームを受信するために必要な一以上の第2ビームウェイトを、前記一以上の第2無線端末に関連付けて決定する第2決定ステップと、前記一以上の第1ビームウェイト及び前記一以上の第2ビームウェイトから複数のビームウェイトを選択する選択ステップと、を有するビーム制御方法を提供する。
【0008】
前記選択ステップは、例えば、前記一以上の第1ビームウェイト及び前記一以上の第2ビームウェイトの夫々に対応する前記ビームを前記複数の無線端末が受信した際の通信品質を特定するステップと、前記複数の無線端末の全てが、前記一以上の第1ビームウェイト及び前記一以上の第2ビームウェイトの少なくともいずれかの前記ビームを前記所定のレベル以上の通信品質で受信できるように、前記一以上の第1ビームウェイト及び前記一以上の第2ビームウェイトから複数のビームウェイトを選択するステップと、を有する。
【0009】
前記選択ステップは、前記複数のビームウェイトの一部を含む複数の組み合わせを生成するステップと、前記複数のビームウェイトの夫々を用いて生成された前記ビームを受信した前記複数の無線端末の複数の通信品質を特定するステップと、前記複数の通信品質の和を算出した結果に基づいて、前記複数の組み合わせから一の組み合わせを選択するステップと、を有してもよい。
【0010】
前記一の組み合わせを選択するステップにおいて、前記複数の無線端末のうち、通信レートが所定の閾値以下の種別の無線端末における前記通信品質を除外して、前記複数の通信品質の和を算出してもよい。
【0011】
上記のビーム制御方法は、前記複数のビームウェイトを用いて生成される複数の前記ビームを、時分割多重化又は周波数多重化することにより送信するステップをさらに有してもよい。
【0012】
前記一の組み合わせを選択するステップにおいて、前記複数の無線端末が通信可能な機会の多さを前記通信品質として用いてもよい。また、前記複数の組み合わせを生成するステップにおいて、前記複数のビームウェイトの夫々に異なる重み付けをすることにより、前記複数の組み合わせを生成してもよい。このとき、前記複数のビームウェイトの夫々に対して与えた重み付けの比率と同一の比率で、前記時分割多重化又は周波数多重化において夫々のビームウェイトに割り当てるリソースの比率を決定してもよい。
【0013】
前記第2決定ステップは、前記一以上の第2無線端末の夫々が、所定の強度の前記ビームを受信するために必要な暫定的なビームウェイトを、前記一以上の第2無線端末の夫々に関連付けて決定するステップと、前記一以上の第2無線端末の夫々に関連付けられた一以上の前記暫定的なビームウェイトを平均することにより前記一以上の第2ビームウェイトを決定するステップと、を有してもよい。
【0014】
前記一以上の第2ビームウェイトを決定するステップにおいて、前記一以上の第2無線端末の夫々に関連付けられた一以上の前記暫定的なビームウェイトの一方に位相回転を与えた後に他方と平均することにより、前記一以上の第2ビームウェイトを決定してもよい。
【0015】
前記一以上の第2ビームウェイトを決定するステップにおいて、前記一以上の第2無線端末の各々と前記基地局との間のチャネル情報を用いて、前記第2無線端末の通信品質が所定のレベル以上になるように、前記基地局で用いる第2ビームウェイトを探索することにより、前記一以上の第2ビームウェイトを決定してもよい。探索においては、第2無線端末の一つに対して最適なビームウェイトを求めた後で、他の第2無線端末の通信品質が規定値以上になるように、ビームウェイトの一部を位相回転させて探索を行ってもよい。また、一般的に用いられる探索方法を用いてもよい。
【0016】
前記第2決定ステップは、前記一以上の第2無線端末が送信する電波の到来方向を推定するステップと、前記到来方向に基づいて、前記一以上の第2ビームウェイトを決定と、を有してもよい。
【0017】
本発明の第2の態様においては、複数のアンテナを用いて複数の無線端末に送信するビームの指向性を定めるビームウェイトを制御可能な基地局であって、前記複数の無線端末の夫々と前記基地局との間の伝送路の通信品質を推定する推定部と、前記推定部が推定した前記通信品質が所定のレベル以下の一以上の第1無線端末が前記ビームを受信するために必要な一以上の第1ビームウェイトを、前記一以上の第1無線端末の夫々に関連付けて決定する第1決定部と、前記通信品質が前記所定のレベルより高い無線端末が、前記一以上の第1ビームウェイトのいずれかのビームウェイトを用いた第1ビームを受信できるか否かを判定する判定部と、前記第1ビームを受信できない一以上の第2無線端末がビームを受信するために必要な一以上の第2ビームウェイトを、前記一以上の第2無線端末に関連付けて決定する第2決定部と、前記一以上の第1ビームウェイト及び前記一以上の第2ビームウェイトから複数のビームウェイトを選択する選択部と、を有する基地局を提供する。
【0018】
本発明の第3の態様においては、複数の無線端末と、前記複数の無線端末に複数のアンテナを用いて送信するビームの指向性を定めるビームウェイトを制御可能な基地局と、を備える通信システムであって、前記基地局は、前記複数の無線端末の夫々と前記基地局との間の伝送路の通信品質を推定する推定部と、前記推定部が推定した前記通信品質が所定のレベル以下の一以上の第1無線端末が前記ビームを受信するために必要な一以上の第1ビームウェイトを、前記一以上の第1無線端末の夫々に関連付けて決定する第1決定部と、前記通信品質が前記所定のレベルより高い無線端末が、前記一以上の第1ビームウェイトのいずれかのビームウェイトを用いた第1ビームを受信できるか否かを判定する判定部と、前記第1ビームを受信できない一以上の第2無線端末がビームを受信するために必要な一以上の第2ビームウェイトを、前記一以上の第2無線端末に関連付けて決定する第2決定部と、前記一以上の第1ビームウェイト及び前記一以上の第2ビームウェイトから複数のビームウェイトを選択する選択部と、を有し、前記複数の無線端末は、前記基地局から前記ビームを受信する無線端末受信部と、前記無線端末受信部が前記ビームを受信したことに応じて、前記無線端末受信部が受信した前記ビームに含まれる信号の振幅及び位相に関する情報を含む応答信号を送信する無線端末送信部と、を有する通信システムを提供する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、無線端末との通信に使用するビーム数を低減できるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[基地局1の概要]
初めに、
図1を参照して本発明の通信システムSの概要を説明する。通信システムSは、基地局1と、複数の無線端末2(
図1においては、UE1〜UE4)を含んで構成されている。基地局1は、指向性がある電波であるビームを送信する。基地局1は、複数のアンテナを備え、複数のアンテナから送信する信号の振幅及び位相を定めるビームウェイトを制御することにより、送信するビームの指向性を制御する。
【0022】
図1(a)は、基地局1が、4つの無線端末2の夫々に適した4つのビームを用いる場合を示している。この場合、基地局1は、例えば、4つのビームを時分割多重チャネル又は周波数分割多重チャネルを用いて送信することにより、4つの無線端末2と通信する。したがって、夫々の無線端末2の通信機会は、1台の無線端末2のみが基地局1と通信する場合の1/4となる。なお、
図1(a)における破線で囲まれた領域は、ビームが届く領域であり、無線端末2のアンテナの先端が破線で囲まれた領域に含まれている場合に、無線端末2にビームが届くものとする。
【0023】
図1(b)は、基地局1が、指向性が比較的弱く、
図1(b)における斜線で示す領域に含まれる3つの無線端末2(UE1、UE2、UE3)の全てが受信可能なビームを用いる場合を示している。この場合、基地局1は、基地局1に比較的近い3つの無線端末2との通信に用いるビームB1と、基地局1から比較的遠い無線端末2(UE4)との通信に用いるビームB2とを順次切り替えることにより、4つの無線端末2と通信する。したがって、夫々の無線端末2の通信機会は、1台の無線端末2のみが基地局1と通信する場合の1/2となり、
図1(a)に示す場合の通信機会の2倍になる。
【0024】
このように、基地局1は、基地局1と無線端末2との間の距離及び障害物の有無等によって定まる伝送路の伝搬損失又はSN比等の通信品質に基づいて、1つのビームを共用できる複数の無線端末2に対しては、専用のビームを用いないようにすることで、通信可能な全ての無線端末2と通信するために必要なビームの数を減らすように制御することができる。
以下、基地局1の構成と動作の詳細について説明する。
【0025】
[基地局1の構成及び動作]
図2は、本発明の基地局1の構成を示すブロック図である。
図2に示すように、基地局1は、送受信部11と、記憶部12と、制御部13と、を含んで構成され、送受信部11から送信される信号の振幅及び位相を調整することで、送信する電波の送信パターンを制御する。なお、基地局1の通信方式はどのような通信方式でもよく、無線端末2との間の多重方式は、時分割多重(TDD:Time-Division-Duplex)であってもよく、周波数分割多重(FDD:Frequency-Division-Duplex)であってもよい。
【0026】
送受信部11は、送信又は受信する電波の指向性を制御可能なアンテナを含んでおり、特定の方向に対して、電波の放射を集中させたり、受信感度を高めたりすることができる。
図3は、送受信部11の構成を示す図である。
図3に示す例は一例に過ぎず、その他の構成により指向性を制御可能にすることとしてもよい。
【0027】
図3に示すように、送受信部11は、例えば、変調部111と、信号発生部112と、複数のアンテナ素子113とを含んで構成される。変調部111は、予め定められた変調方式を用いて、入力された送信用のデータを変調して高周波信号を生成し、信号発生部112に供給する。
【0028】
信号発生部112は、送信するビームの指向性に応じて選択される、夫々のアンテナ素子113に対応するウェイト値を、変調部111から入力された高周波信号に乗算することで、夫々のアンテナ素子113に対応する振幅及び位相に調整された信号を発生する。信号発生部112は、発生した高周波信号をアンテナ素子113に出力し、アンテナ素子113から高周波信号を放射させる。
【0029】
このように、信号発生部112が、各アンテナ素子113から放射される高周波信号のウェイト値を調整することで、送受信部11では、送信アンテナの指向性を制御することができる。なお、送信アンテナと受信アンテナとでは、少なくとも、送信アンテナの利得が大きい方向(即ち、無線端末2に対して電波を放射している方向)において受信アンテナの利得が大きければよく、両アンテナの指向性パターンは異なることとしてもよい。
【0030】
図2に戻り、記憶部12は、ROM及びRAM等のメモリ又はハードディスク等の記憶媒体である。記憶部12は、制御部13を動作させるためのプログラム及び制御部13が動作する際に生成されるデータを記憶する。また、記憶部12は、送受信部11が使用するビームウェイトを記憶する。ビームウェイトは、送受信部11が有する複数のアンテナ素子113の夫々に対応するウェイト値から構成される。
【0031】
制御部13は、例えばCPUであり、記憶部12に記憶されたプログラムを実行することにより、ウェイト制御部131、探索部132、推定部133、第1決定部134、判定部135、第2決定部136及び選択部137として機能する。
【0032】
ウェイト制御部131は、記憶部12から読み出したビームウェイトを送受信部11に設定することにより、ビームの指向性を制御する。具体的には、ウェイト制御部131は、記憶部12に記憶されているビームウェイトを読み出して、読み出したビームウェイトに含まれているウェイト値を複数のアンテナ素子の夫々に設定することにより、夫々のアンテナ素子から送信される高周波信号の振幅及び位相を調整して、ビームの指向性を制御する。
【0033】
探索部132は、無線端末2を探索する。具体的には、探索部132は、所定の振幅及び位相に設定されたパイロット信号を含む探索用ビームを複数の方向に送信し、探索用ビームを受信した複数の無線端末2から応答信号を受信することにより、複数の無線端末2を探索する。探索部132は、例えば、記憶部12に記憶された探索用のビームウェイトを取得し、ウェイト制御部131を介して、所定の時間ごとにビームウェイトを切り替えることにより、360°の方向に、パイロット信号を含む探索用ビームを送信する。探索部132は、パイロット信号に対する応答信号を受信した無線端末2の識別情報を、応答信号に含まれるチャネル情報に関連付けて記憶部12に記憶させる。ここで、チャネル情報は、無線端末2が受信したパイロット信号の振幅及び位相に関する情報である。
【0034】
なお、探索部132は、無線端末2の位置に基づいて、夫々の無線端末2が受信可能な方向に探索用ビームを送信する時間の長さを決定してもよい。例えば、探索部132は、基地局1から遠い位置にある無線端末2に対して、基地局1から近い位置にある無線端末2に対するよりも長い時間にわたって探索用ビームを送信することで、推定部133が伝送路の通信品質を正しく推定できるようにする。
【0035】
推定部133は、応答信号に基づいて、複数の無線端末の夫々と基地局1との間の伝送路の通信品質を推定する。推定部133は、例えば、無線端末2が送信する応答信号に含まれているチャネル情報に基づいて、基地局1と無線端末2との間の伝送路の伝達関数を示すチャネル行列を算出する。推定部133は、応答信号を用いる代わりに、振幅及び位相が既知の所定の信号を無線端末2から受信することにより、チャネル行列を算出してもよい。
【0036】
続いて、推定部133は、算出したチャネル行列に基づいて、基地局1と無線端末2との間の伝送路の伝搬損失を推定する。推定部133は、推定した伝搬損失に基づいて、複数の無線端末2を複数のグループに分類する。具体的には、推定部133は、推定した伝搬損失が所定の閾値よりも大きい無線端末2を、通信品質が所定のレベル以下の無線端末2(以下、第1無線端末2aという)として特定する。また、推定部133は、推定した伝搬損失が所定の閾値よりも小さい一以上の無線端末2を、通信品質が所定のレベルより高い無線端末2(以下、第2無線端末2bという)として特定する。
【0037】
第1決定部134は、推定した伝搬損失が大きい順に、第1無線端末2aがビームを受信するために必要な第1ビームウェイトを、夫々の第1無線端末2aに関連付けて決定し、決定した第1ビームウェイトを第1無線端末2aに関連付けて記憶部12に記憶させる。また、第1決定部134は、第1無線端末2aが第1ビームウェイトを用いて送信されたビームを受信した場合のSN比の推定値を算出して、算出した推定値を記憶部12に記憶させる。第1決定部134は、例えば、推定部133が推定した伝搬損失に基づいて、第1無線端末2aが受信するビームの受信電力を推定することにより、SN比の推定値を算出する。
【0038】
第1決定部134は、複数のアンテナ素子から送信される高周波信号の夫々の位相を同一の位相にすることにより、第1無線端末2aが基地局1から受信するビームの通信品質が所定のレベルより大きくなるような第1ビームウェイトを決定する。ここで、第1決定部134は、例えば、チャネル行列における夫々のアンテナ素子に対応するチャネル係数に比例するように、夫々のアンテナ素子から送信される高周波信号の振幅を設定してもよい。このようにすることで、SN比を増大させることができる。なお、第1決定部134は、全てのアンテナ素子から送信される高周波信号の振幅を1に設定してもよい。
【0039】
判定部135は、通信品質が所定のレベルより高い第2無線端末2b(例えば、第1無線端末2aよりも基地局1に近い無線端末2)が、第1決定部134が決定した一以上の第1ビームウェイトのいずれかのビームウェイトを用いて送信されたビームを受信できるか否かを判定する。具体的には、判定部135は、第2無線端末2bが、第1ビームを受信した場合の通信品質(例えば、受信電力の推定値又はSN比)が所定のレベルより大きいか否かを判定する。判定部135は、通信品質が所定のレベルより大きくなると判定した第2無線端末2bに関連付けて、第1ビームウェイトを用いて送信されたビームを受信できる旨を記憶部12に記憶させる。また、判定部135は、第2無線端末2bが第1ビームウェイトを用いて送信されたビームを受信した場合のSN比の推定値を算出して、算出した推定値を記憶部12に記憶させる。
【0040】
第2決定部136は、第1ビームウェイトを用いて送信されたビームを受信できない一以上の第2無線端末2bがビームを受信するために必要な一以上の第2ビームウェイトを、一以上の第2無線端末2bの夫々に関連付けて決定する。第2決定部136は、決定した第2ビームウェイトを第2無線端末2bに関連付けて記憶部12に記憶させる。
【0041】
ここで、第2無線端末2bは、例えば、第1無線端末2aよりも基地局1に近いと考えられ、第2無線端末2bに専用の指向性を有するビームを用いず、複数の第2無線端末2bが受信可能な指向性を有するビームであっても受信できる可能性がある。そこで、第2決定部136は、複数の第2無線端末2bが受信できるビームを生成可能な第2ビームウェイトを算出する。
【0042】
第2決定部136は、一以上の第2無線端末2bの各々と基地局1との間のチャネル情報を用いて、第2無線端末2bの通信品質が所定のレベル以上になるように、基地局1の信号発生部112における乗算に用いる第2ビームウェイトの探索をすることにより、一以上の第2ビームウェイトを決定してもよい。第2決定部136は、探索においては、第2無線端末2bの一つに対して最適なビームウェイトを求めた後で、他の第2無線端末2bの通信品質が規定値以上になるように、ビームウェイトの一部を位相回転させて探索を行ってもよい。また、第2決定部136は、その他の一般的に用いられる探索方法を用いてもよい。
【0043】
第2決定部136は、第2無線端末2bが第2ビームウェイトを用いて送信されたビームを受信した場合のSN比の推定値を算出して、算出した推定値を記憶部12に記憶させる。第2ビームウェイトの算出方法の詳細については、後述する。
【0044】
選択部137は、記憶部12に記憶された一以上の第1ビームウェイト及び一以上の第2ビームウェイトから複数のビームウェイトを選択する。具体的には、選択部137は、複数の無線端末2の全てが、少なくともいずれかのビームを所定のレベル以上の通信品質で受信できるように、記憶部12に記憶された第1ビームウェイト及び第2ビームウェイトから、複数のビームウェイトを選択する。また、選択部137は、第1ビームウェイト及び第2ビームウェイトの夫々に対応するビームを複数の無線端末2が受信した際の通信品質を特定する。
【0045】
例えば、選択部137は、記憶部12に記憶された、夫々の無線端末2が夫々のビームウェイトを用いて送信されたビームを受信した際のSN比の推定値により、通信品質を特定する。選択部137は、特定した通信品質に基づいて、複数の第1ビームウェイト及び第2ビームウェイトの中から、使用可能なビームウェイトの組み合わせを特定する。選択部137は、特定した組み合わせに含まれる複数のビームウェイトを用いて生成された複数のビームを送信することにより、全ての無線端末2が、複数のビームのいずれかを受信した際のSN比の推定値が0dB以上となるように、複数のビームウェイトの組み合わせを特定する。送受信部11は、選択部137が選択した複数のビームウェイトを用いて生成されたビームを時分割多重又は周波数分割多重のいずれかにより、全ての無線端末2が受信できるように送信する。
【0046】
図4は、記憶部12に記憶された複数のビームウェイトと各無線端末2のSN比との関係を示す表である。
図5は、
図4に示す表に対応する無線端末2の配置例を示す図である。
図4及び
図5におけるUE1は、第1無線端末2aである。UE2〜UE7は、第2無線端末2bである。
【0047】
図4における「第1チェック」欄における○印は、第1無線端末2aであることを示している。「第2チェック」欄における○印は、夫々の無線端末2が、いずれかのビームウェイトにより通信可能になっていることを示している。
【0048】
図4におけるWa〜Weは、ビームウェイトを示している。
図5におけるWa〜Weが付された破線は、夫々のビームウェイトに対応するビームが届く範囲を示している。Waは、第1決定部134により決定された、UE1がビームを受信するために必要な第1ビームウェイトであり、ビームウェイトWaを用いて送信されたビームをUE1が受信した場合のSN比は3dBである。ビームウェイトWaを用いて送信されたビームをUE2〜UE7が受信した場合のSN比は0dB未満であるので、×印が付されている。
【0049】
Wb〜Weは、第2決定部136により決定された、複数の第2無線端末2bがビームを受信するために必要な第2ビームウェイトである。Wbを用いて送信されたビームは、UE2、UE5及びUE7が受信することができる。Wcを用いて送信されたビームは、UE3、UE4及びUE6が受信することができる。Wdを用いて送信されたビームは、UE2、UE4、UE6及びUE7が受信することができる。Weを用いて送信されたビームは、UE5及びUE7が受信することができる。
【0050】
Wa〜Weのうち、以下のビームウェイトを組み合わせた場合に、UE1〜UE7の全ての無線端末2が、いずれかのビームを受信することが可能になる。
(1)Wa、Wb、Wc
(2)Wa、Wc、Wd、We
【0051】
選択部137は、このように、全端末がビームを受信するための組み合わせが複数ある場合、複数のビームウェイトの一部を含む複数の組み合わせを生成する。具体的には、選択部137は、複数のビームウェイトの夫々を用いて生成されたビームを受信した複数の無線端末2の夫々の通信品質(例えばSN比又はスループット)を特定し、夫々の通信品質の和を算出した結果に基づいて、複数の組み合わせから一の組み合わせを選択する。
【0052】
図6は、記憶部12に記憶されたビームウェイトWa、Wb、Wcと各無線端末2のSN比との関係を示す表である。
図7は、無線端末2とビームウェイトWa、Wb、Wcに基づくビームが届く範囲との関係を模式的に示す図である。
図7に示すように、UE1は基地局1から最も離れており、UE1に専用のビームウェイトWaに対応するビームを受信する。UE2、UE5、UE7は、ビームウェイトWbに対応するビームを受信し、UE3、UE4、UE6は、ビームウェイトWcに対応するビームを受信する。この場合、
図6に示すように、Wa、Wb、Wcの組み合わせにおいて、UE1のSN比は3dB、UE2のSN比は5dB、UE3のSN比は5dB、UE4のSN比は7dB、UE5のSN比は3dB、UE6のSN比は2dB、UE7のSN比は3dBであり、SN比の和は28dBである。
【0053】
図8は、記憶部12に記憶されたビームウェイトWa、Wc、Wd、Weと各無線端末2のSN比との関係を示す表である。
図9は、無線端末2とビームウェイトWa、Wc、Wd、Weに基づくビームが届く範囲との関係を模式的に示す図である。
図9において、UE3、UE4、UE6は、ビームウェイトWcに対応するビームを受信し、UE2、UE4、UE6、UE7は、ビームウェイトWdに対応するビームを受信し、UE5及びUE7は、ビームウェイトWeに対応するビームを受信する。この場合、
図8に示すように、Wa、Wc、Wd、Weの組み合わせにおいて、UE1のSN比は3dB、UE2のSN比は3dB、UE3のSN比は5dB、UE4のSN比は7dB、UE5のSN比は2dB、UE6のSN比は7dB、UE7のSN比は4dBであり、SN比の和は31dBである。
【0054】
以上のように、
図4〜
図9に示す例の場合、Wa、Wb、Wcの組み合わせを使用する場合のSN比の和は28dBであり、Wa、Wc、Wd、Weの組み合わせを使用する場合のSN比の和は31dBである。したがって、選択部137は、SN比の和が大きいWa、Wc、Wd、Weの組み合わせを選択する。
【0055】
なお、以上のSN比の和の算出においては、単一の無線端末2がビームを受信可能な複数のビームウェイトがある場合、最大のSN比を得られるビームウェイトにおけるSN比を和の算出に用いたが、ビームを受信可能な複数のビームウェイトにおけるSN比を和の算出に用いてもよい。
【0056】
また、選択部137は、夫々のビームウェイトの組み合わせにおけるSN比の和を算出する際に、夫々の無線端末2に対応するSN比の最大値に上限を設けてもよい。例えば、UE1のSN比の推定値が40dB等の高い値になった場合であっても、実際の通信速度は変調符号化の値によって定まり、SN比が40dBの場合の通信速度が、SN比が30dBの場合の通信速度と同一であることが考えられる。このような場合、選択部137は、SN比の和の算出に用いるSN比が30dBを超えている場合に、SN比が30dBであるものとしてSN比の和を算出する。
また、選択部137は、SN比ではなくスループットの推定値を判定基準として用いてもよい。スループットの推定値は、SN比と1対1で対応するものとして、関数又は参照テーブルとして記憶部12が保持することができる。
【0057】
選択部137は、複数の組み合わせから一つの組み合わせを選択する場合に、複数の無線端末2のうち、通信レートが所定の閾値以下の種別の無線端末2における通信品質を除外して、複数の通信品質の和を算出してもよい。例えば、無線端末2の中に、センサモジュールのように、必要とされる通信レートが低く、大きなSN比が不要な端末が含まれている場合、複数のSN比の和を算出する際に、そのような種別の無線端末2に対応するSN比を和に含めなくてもよい。
【0058】
選択部137は、複数の組み合わせから一つの組み合わせを選択する場合に、複数の無線端末2が通信可能な機会の多さを通信品質として用いてもよい。ビームウェイトの組み合わせに含まれるビームウェイトの数が増えると、ビームウェイトが1つの場合に比べて、各無線端末2が通信できる機会(時間又は周波数幅)が減少する。そこで、組み合わせに含まれるビームウェイトの数でSN比の和を割った値に基づいて、ビームウェイトの組み合わせを選択してもよい。
【0059】
図4に示した上記の例の場合、Wa、Wb、Wcの3つのビームウェイトの組み合わせを使用する場合のSN比の和は28dBであり、1つのビームウェイトあたりのSN比は、28÷3=9.33である。他方、Wa、Wc、Wd、Weの4つの組み合わせを使用する場合のSN比の和は31dBであり、1つのビームウェイトあたりのSN比は、31÷4=7.75である。したがって、選択部137は、無線端末2の通信機会を増やすことを優先する場合、Wa、Wb、Wcの組み合わせを選択する。
【0060】
選択部137は、複数のビームウェイトの夫々に異なる重み付けをすることにより、複数の組み合わせを生成してもよい。この場合、選択部137は、複数のビームウェイトの夫々に対して与えた重み付けの比率と同一の比率で、時分割多重化又は周波数多重化において夫々のビームウェイトに割り当てるリソースの比率を決定する。例えば、選択部137は、夫々の組み合わせにおける各ビームウェイトの使用頻度に基づいて重み付けすることによりSN比の和を算出し、算出した和が最大になる組み合わせを選択してもよい。例えば、Wa、Wb、Wcの3つのビームウェイトの組み合わせにおいて、Wa、Wb、Wcの使用比率(例えば、時間又は周波数の割り当て比率)を、夫々αa、αb、αcとする。各ビームウェイトでのSN比の和をSa、Sb、Scとした場合、選択部137は、αa・Sa+αb・Sb+αc・Scが最大になるビームウェイトの組み合わせを選択する。
【0061】
[第2ビームウェイトの算出方法]
第2決定部136は、複数の第2無線端末2bが受信可能なビームウェイトを、例えば、以下の方法1又は方法2により算出することができる。
【0062】
(方法1)
第2無線端末2bのSN比が、ビームを受信できる最低レベルから3dB以内である場合、第2決定部136は、そのような第2無線端末2bに専用のビームウェイトを算出し、当該ビームウェイトを第2ビームウェイトに決定する。
【0063】
第2無線端末2bのSN比が、ビームを受信できる最低レベルから3dB〜4.7dBの範囲内である場合、第2決定部136は、そのような第2無線端末2bから第2無線端末2bを2台ずつ選択し、夫々に対して最適なビームウェイトを暫定的に算出する。第2決定部136は、算出した2つの暫定的なビームウェイトの平均値を算出することにより、2台の第2無線端末2bが受信可能なビームの生成が可能なビームウェイトを、第2ビームウェイトに決定する。決定された第2ビームウェイトは、2つのビームウェイトの平均値であるので、2台の第2無線端末2bにおける受信電力は約3dB低下する。しかし、2台の第2無線端末2bのSN比は、ビームを受信できる最低レベルから3dB〜4.7dBの範囲内なので、2台の第2無線端末2bは、この第2ビームウェイトを用いて生成されたビームを受信することができる。
【0064】
SN比が、ビームを受信できる最低レベルから3dB〜4.7dBの範囲内に入っている第2無線端末2bがn台ある場合、n(n−1)/2の組み合わせがある。第2決定部136は、夫々の組み合わせに対して、第2ビームウェイトを算出する。
【0065】
第2無線端末2bのSN比が、ビームを受信できる最低レベルから4.7dB〜6.0dBの範囲内である場合、第2決定部136は、そのような第2無線端末2bから3台の第2無線端末2bを選択し、夫々に対する最適なビームウェイトを暫定的に算出する。第2決定部136は、算出した3つの暫定的なビームウェイトの平均値を算出することにより、3台の第2無線端末2bが受信可能なビームの生成が可能なビームウェイトを、第2ビームウェイトに決定する。
【0066】
暫定的なビームウェイトの平均値を算出するにあたっては、一以上の第2無線端末2bの夫々に関連付けられた一以上の暫定的なビームウェイトの一方に位相回転を与えた後に他方と平均することにより、一以上の第2ビームウェイトを決定してもよい。具体的には、ウェイトの行列W
1=[w
1a,w
1b,w
1c,w
1d]とW
2=[w
2a,w
2b,w
2c,w
2d]とを平均する場合に、ウェイトは、W
1+2=[(w
1a*e
jθ+w
2a)/2,(w
1b*e
jθ+w
2b)/2,(w
1c*e
jθ+w
2c)/2,(w
1d*e
jθ+w
2d)/2]となり、θが位相回転量である。単純平均する際はθ=0となる。
【0067】
W
1とW
2との間の位相関係によっては、単純平均した際に、無線端末2の場所で逆位相になり信号を弱めあう可能性がある。それを防止するために、位相差を変えることが好適である。位相差の与え方については、例えば10°ステップで0°から360°までのパターンを候補として作成してもよい。第2決定部136は、複数の無線端末2の通信品質が良好になる位相回転量を選択する。なお、第2決定部136は、無線端末2との間の通信路のチャネル情報に基づいて、無線端末2の受信電力が最大となるθを直接計算してもよい。
【0068】
(方法2)
第2決定部136は、第2無線端末2bが送信する電波の到来方向を推定し、推定した到来方向に基づいて、第2ビームウェイトを決定する。具体的には、第2決定部136は、公知の方向拘束付電力最小化(DCMP:Directionally Constrained Minimization of Power)アダプティブアレーの手法を用いることができる。
【0069】
[基地局1が実行するビーム制御方法]
図10は、基地局1におけるビーム制御処理のフローチャートである。以下、
図10を参照して、基地局1におけるビーム制御処理の手順について説明する。
【0070】
まず、探索部132は、複数の方向に所定の指向性を有するビームを順次送信することにより無線端末2を探索し、無線端末2からの応答信号を受信する(S11)。推定部133は、受信した応答信号に基づいて、基地局1と無線端末2との間の伝送路の通信品質を推定する(S12)。
【0071】
続いて、第1決定部134は、S12において推定した通信品質が所定のレベル以下の第1無線端末2aを特定し、記憶部12に記憶されている第1無線端末2aの識別情報に関連付けて第1チェックフラグを付与する(S13)。第1決定部134は、第1チェックフラグを付与した第1無線端末2aの夫々に対して、第1無線端末2aがビームを受信するために必要な第1ビームウェイトを決定する(S14)。第1決定部134は、第1ビームウェイトを決定すると、第1ビームウェイトを用いて生成されたビームを受信できる第1無線端末2aの識別情報に関連付けて第2チェックフラグを付与する(S15)。
【0072】
続いて、判定部135は、第1チェックフラグが付与されていない第2無線端末2bの夫々が、第1ビームウェイトを用いて生成されたビームを受信した場合の通信品質を推定する(S16)。判定部135は、推定した通信品質が、所定のレベル以上であるか否かを判定する(S17)。判定部135は、推定した通信品質が所定のレベル以上であり(S17においてYes)、第2無線端末2bが、第1ビームウェイトを用いて生成されたビームを受信できる場合、記憶部12に記憶されている第2無線端末2bの識別情報に関連付けて第2チェックフラグを付与する(S18)。判定部135は、推定した通信品質が所定のレベルより低い場合(S17においてNo)、S18に進むことなくS19に進む。
【0073】
続いて、第2決定部136は、第2チェックフラグが付与されていない第2無線端末2bを抽出し、抽出した第2無線端末2bがビームを受信するための第2ビームウェイトを決定する(S19)。以上の手順により決定された第1ビームウェイト及び第2ビームウェイトのうちのいずれかを用いることにより、全ての無線端末2は、ビームを受信できる。
【0074】
続いて、選択部137は、決定された複数のビームウェイトのうち、どのビームウェイトを用いることが好ましいかを決定するために、夫々のビームウェイトを用いて生成されたビームを夫々の無線端末2が受信した場合の通信品質を推定する(S20)。具体的には、選択部137は、夫々のビームウェイトを用いて生成されたビームを夫々の無線端末2が受信した場合のSN比又はスループットを算出することにより、通信品質を推定する。選択部137は、推定した通信品質に基づいて、全ての無線端末2がビームを受信できるようにするためのビームウェイトを選択する(S21)。
【0075】
ここで、全ての無線端末2がビームを受信できるようにするためのビームウェイトの組み合わせが複数存在する場合(S22においてYes)、上述した各種の方法のいずれかを用いて、最適な組み合わせを選択する(S23)。
【0076】
なお、上記の説明では、S19において、第2決定部136が、第2チェックフラグが付与されていない第2無線端末2bがビームを受信するための第2ビームウェイトを決定するものとしたが、第2決定部136は、第2チェックフラグが付与された第2無線端末2bに最適なビームウェイトをさらに決定してもよい。
【0077】
[本実施形態における効果]
以上説明したように、本実施形態における基地局1は、まず、通信品質が低い第1無線端末2aがビームを受信するために必要な第1ビームウェイトを決定し、その後、通信品質が第1無線端末2aよりも高い第2無線端末2bが受信可能な第2ビームウェイトを決定する。その際、基地局1は、複数の第2無線端末2bがビームを受信できるためのビームウェイトを第2ビームウェイトとする。このようにすることで、例えば、基地局1に比較的近い第2無線端末2bに対しては、夫々の第2無線端末2bにおける受信電力が小さく抑えられた指向性の弱いビームウェイトを用いることで、複数の第2無線端末2bが1つの第2ビームウェイトを共用できる。したがって、使用するビームウェイトの数を少なくすることができるので、無線端末2の通信機会を増やすことができる。
【0078】
また、基地局1は、全ての無線端末2がビームを受信可能になるビームウェイトの組み合わせが複数ある場合、通信品質に基づいて、最適な組み合わせを選択することができる。このようにすることで、基地局1は、ビームウェイトの数を少なくするとともに、良好な通信品質を確保することができる。
【0079】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。特に、装置の分散・統合の具体的な実施形態は以上に図示するものに限られず、その全部又は一部について、種々の付加等に応じて、又は、機能負荷に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。