特許第6419022号(P6419022)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6419022-高周波回路モジュール 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6419022
(24)【登録日】2018年10月19日
(45)【発行日】2018年11月7日
(54)【発明の名称】高周波回路モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/12 20060101AFI20181029BHJP
   H05K 3/46 20060101ALI20181029BHJP
   H01L 25/065 20060101ALI20181029BHJP
   H01L 25/07 20060101ALI20181029BHJP
   H01L 25/18 20060101ALI20181029BHJP
【FI】
   H01L23/12 301Z
   H05K3/46 Q
   H05K3/46 Z
   H05K3/46 N
   H01L25/08 D
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-101223(P2015-101223)
(22)【出願日】2015年5月18日
(65)【公開番号】特開2016-219542(P2016-219542A)
(43)【公開日】2016年12月22日
【審査請求日】2017年10月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】世利 拓司
【審査官】 加藤 芳健
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−263871(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/119562(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/12
H01L 25/065
H01L 25/07
H01L 25/18
H05K 3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
両主面に回路部品が搭載される多層誘電体基板と、該多層誘電体基板の前記主面間を貫通しておりデジタル信号を伝送する複数のビアホールと、該多層誘電体基板の前記主面間を貫通しており前記複数のビアホールをまとめて囲むように配置された複数のグランド配線とを備えており、
前記複数のグランド配線を第1グランド配線としたときに、前記多層誘電体基板の層間および主面に設けられるとともに、前記複数の第1グランド配線同士を繋ぐ第2グランド配線をさらに備えており、
平面視したときに、前記複数のビアホールの少なくとも1つが前記回路部品の少なくとも一方と重なっている領域を有するとともに、前記重なっている領域を囲む前記第1グランド配線同士を前記第2グランド配線が繋いでいることを特徴とする高周波回路モジュール。
【請求項2】
両主面に回路部品が搭載される多層誘電体基板と、該多層誘電体基板の前記主面間を貫通しておりデジタル信号を伝送する複数のビアホールと、該多層誘電体基板の前記主面間を貫通しており前記複数のビアホールをまとめて囲むように配置された複数のグランド配線とを備えており、
前記複数のグランド配線を第1グランド配線としたときに、前記多層誘電体基板の層間および主面に設けられるとともに、前記複数の第1グランド配線同士を繋ぐ第2グランド配線をさらに備えており、
平面視したときに、前記第1グランド配線が、前記回路部品の少なくとも一方と重なる前記第1グランド配線と、前記回路部品の少なくとも一方と重なっていない前記第1グランド配線とを有し、前記回路部品と重なる前記第1グランド配線同士の間隔が、前記回路部品と重なっていない前記第1グランド配線同士の間隔よりも狭いことを特徴とする高周波回路モジュール。
【請求項3】
平面視したときに、前記第1グランド配線が、前記回路部品の少なくとも一方と重なる前記第1グランド配線と、前記回路部品の少なくとも一方と重なっていない前記第1グランド配線とを有し、前記回路部品と重なる前記第1グランド配線同士の間隔が、前記回路部品と重なっていない前記第1グランド配線同士の間隔よりも狭いことを特徴とする請求項に記載の高周波回路モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高周波回路モジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
高周波回路モジュールとして、例えば、特開2003−133801号公報(以下、特許文献1ともいう)記載の高周波回路モジュールが知られている。特許文献1に記載の高周波回路モジュールにおいては、多層誘電体基板とその両主面に搭載された回路部品とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−133801公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の高周波回路モジュールにおいては、誘電体材料から成る多層誘電体基板の両主面に搭載された回路部品が、ビアホールによって電気的に接続されている。具体的には、中心導体のビアホールと、この中心導体を囲むように設けられた接地導体のビアホールとが、略同軸構造になるように配置されている。このような略同軸構造の多層誘電体基板を用いて回路部品間で複数のデジタル信号を伝送する場合には、複数のデジタル信号伝送用の中心導体のビアホールのひとつひとつに対して、接地導体の複数のビアホールを周囲に同軸的に形成する必要がある。そのため、多層誘電体基板において、ビアホールの占める割合が増えてしまい、設計の自由度が低下するおそれがあった。
【0005】
本発明は、上記事項に鑑みてなされたもので、設計の自由度の低下が低減された高周波回路モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の高周波回路モジュールは、両主面に回路部品が搭載される多層誘電体基板と、この多層誘電体基板の主面間を貫通しておりデジタル信号を伝送する複数のビアホールと、この多層誘電体基板の主面間を貫通しているこれら複数のビアホールをまとめて囲むように配置された複数のグランド配線とを備えており、前記複数のグランド配線を第1グランド配線としたときに、前記多層誘電体基板の層間および主面に設けられるとともに、前記複数の第1グランド配線同士を繋ぐ第2グランド配線をさらに備えており、平面視したときに、前記複数のビアホールの少なくとも1つが前記回路部品の少なくとも一方と重なっている領域を有するとともに、前記重なっている領域を囲む前記第1グランド配線同士を前記第2グランド配線が繋いでいる。
また、本発明の一態様の高周波回路モジュールは、両主面に回路部品が搭載される多層誘電体基板と、該多層誘電体基板の前記主面間を貫通しておりデジタル信号を伝送する複数のビアホールと、該多層誘電体基板の前記主面間を貫通しており前記複数のビアホールをまとめて囲むように配置された複数のグランド配線とを備えており、前記複数のグランド配線を第1グランド配線としたときに、前記多層誘電体基板の層間および主面に設けられるとともに、前記複数の第1グランド配線同士を繋ぐ第2グランド配線をさらに備えており、平面視したときに、前記第1グランド配線が、前記回路部品の少なくとも一方と重なる前記第1グランド配線と、前記回路部品の少なくとも一方と重なっていない前記第1グランド配線とを有し、前記回路部品と重なる前記第1グランド配線同士の間隔が、前記回路部品と重なっていない前記第1グランド配線同士の間隔よりも狭い。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様の高周波回路モジュールによれば、設計自由度の低下を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態にかかる高周波回路モジュールを示す断面図である。
図2図1に示す高周波回路モジュールのうち多層誘電体基板の表面の様子を示す模式的な図である。
図3図1に示す高周波回路モジュールのうち多層誘電体基板の層間の様子を示す模式的な図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態に関わる高周波回路モジュールについて説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0010】
高周波回路モジュール100は、多層誘電体基板1と、多層誘電体基板1を貫通するビアホール2と、ビアホール2をまとめて囲むグランド配線9とを備えている。
【0011】
多層誘電体基板1は両主面に回路部品5、6を搭載するための部材である。多層誘電体基板1は、例えば、樹脂材料から成る。樹脂材料としては、例えば、エポキシ樹脂が用いられる。なお、ここでいう「樹脂材料から成る」とは、必ずしも多層誘電体基板1が樹脂材料のみから成るという意味ではなく、他の材料を含んでいてもよい。具体的には、ガラス繊維にエポキシ樹脂をしみ込ませたような、いわゆるガラスエポキシ等からなっていてもよい。多層誘電体基板1は、例えば、ガラスエポキシ基板を積層することによって作製することができる。図2に示すように、多層誘電体基板1は、例えば、主面の形状が四角形状の板状である。多層誘電体基板1の寸法は、多層誘電体基板1が四角形状の場合には、例えば、縦を15〜20mm、横を15〜20mm、厚みを0.5〜2mmに設定できる。より具体的には、多層誘電体基板1は、それぞれの層の厚みを、例えば、0.05〜0.2mmに設定できる。
【0012】
ビアホール2は、多層誘電体基板1の両主面に搭載された回路部品5、6を電気的に接続するための部材である。ビアホール2は、多層誘電体基板1の主面間を貫通して複数設けられている。ビアホール2は、デジタル信号を伝送するために設けられている。ビアホール2は、例えば、円柱状である。なお、図2においては、回路部品5および電極パッド8を透過して多層誘電体基板1の表面の様子を描いている。
【0013】
ビアホール2は、例えば、銅または金等の金属材料から成る。ビアホール2の寸法は、ビアホール2が円柱状の場合には、例えば、直径を0.01〜1mm、厚みを0.5〜2mmに設定できる。回路部品5、6を実装するための方法としては、例えば、ボールグリッドアレイ等を用いることができる。図1に示すように、本実施形態の回路部品5、6においては、ボールグリッドアレイを用いて回路部品5、6が実装されており、複数の半田ボール7が回路部品5、6の下面と電極パッド8の上面との間に設けられ、ビアホール2は電極パッド8の下面と接続されている。
【0014】
グランド配線9、10は接地されており、デジタル信号の伝送を行なう複数のビアホール2を囲むための部材である。グランド配線9、10は、第1グランド配線9および第2グランド配線10から成る。第1グランド配線9は、多層誘電体基板1の主面間を貫通しており複数のビアホール2をまとめて囲むように配置されている。第1グランド配線9は、第1グランド配線9は、接地されているという点を除けばビアホール2とほぼ同様の構造である。第1グランド配線9は、例えば、円柱状であって、銅または金等の金属材料から成る。
【0015】
図2、3に示すように、第2グランド配線10は、多層誘電体基板1の層間および主面に設けられている。なお、図2、3において、第2グランド配線10が設けられている領域をハッチングで示している。第1グランド配線9が多層誘電体基板1の積層方向に延びているのに対して、第2グランド配線10は多層誘電体基板1の層間に広がっている。第2グランド配線10は、例えば、銅または金等の金属材料から成る。第2グランド配線10は、多層誘電体基板1の内層のガラスエポキシ基板を形成する際に、例えば、その表面にプリントすることで形成することができる。
【0016】
ここで、本実施形態の多層誘電体基板10においては、図1に示すように、両主面に搭載された回路部品5、6を、ビアホール2を介して電気的に接続するとともに、多層誘電体基板1を貫通し、デジタル信号を伝送する複数のビアホール2の周辺には、図2に示すように、これら複数のビアホール2をまとめて囲むように、多層誘電体基板1の主面間を貫通する第1グランド配線9が設けられている。図2においては、デジタル信号を伝送す
る複数のビアホール2は、図中の左上に16個形成されている。
【0017】
デジタル信号は矩形波(パルス)のため高周波成分を多く含み、周波数の高い成分ほど外部に放射しやすい性質があり、周辺回路に対してノイズの原因になる。しかしながら、デジタル信号を伝送するビアホール2を複数の第1グランド配線9で囲むことによって、ノイズを遮蔽することにより、ビアホール2から周辺回路への影響を抑制できる。一方、デジタル信号はON/OFFの2値により情報を伝達するために、アナログ信号と異なり、デ
ジタル信号自体はノイズの影響を受けにくい。
【0018】
そのため、デジタル信号を伝送する複数のビアホール2同士は相互に近接していても、ノイズの影響で信号が変化し誤動作するおそれはない。これらの結果、ビアホールのひとつひとつに対して接地導体(第1グランド配線9)を同軸上に配置する場合と比較して、ノイズによる影響の増加を抑制しつつ、接地導体(第1グランド配線9)の数(割合)を減らすことができる。その結果、多層誘電体基板10の設計の自由度を向上することができる。
【0019】
さらに、図2、3に示すように多層誘電体基板10の層間および主面に第2グランド配線10を設けることによって、第1グランド配線9同士を繋ぐことができる。これにより、層間においてビアホール2を第1グランド配線9だけではなく、第1グランド配線9およびこれを繋ぐ第2グランド配線10によって囲むことができる。これにより、周辺回路へのノイズによる影響をさらに低減できる。さらに、複数の第1グランド配線9同士を第2グランド配線10で接続しておくことによって、第1グランド配線9の接地電位を安定させることができる。なお、層間に形成される第2グランド配線10は、複数の層間に形成されることが好ましい。より好適には、第2グランド配線10は、全ての層間に形成される。
【0020】
さらに、図2に示すように、多層誘電体基板10を平面視したときに、複数のビアホール2の少なくとも1つが回路部品5、6の少なくとも一方と重なっている領域を有するとともに、この重なっている領域を囲む第1グランド配線9を第2グランド配線10が繋いでいる。これにより、複数のビアホール2のうち、特に回路部品5、6の近くに位置する部分から発せられるノイズを第1グランド配線9および第2グランド配線10により低減することができる。その結果、ノイズによる回路部品5、6への影響を低減できる。
【0021】
さらに、図3に示すように、平面視したときに、第1グランド配線9が、回路部品5、6の少なくとも一方と重なる第1グランド配線9と、回路部品5、6の少なくとも一方と重なっていない第1グランド配線9とを有し、回路部品5、6と重なる第1グランド配線9同士の間隔が、回路部品5、6と重なっていない第1グランド配線9同士の間隔よりも狭くしてもよい。回路部品5、6と重なっている第1グランド配線9同士の間隔を狭くすることによってノイズによる回路部品5、6への影響を低減しつつ、回路部品5、6と重なっていない第1グランド配線9同士の間隔を広くすることによって、設計の自由度を向上できる。回路部品5、6と重なっていない第1グランド配線9において、第1グランド配線9の間から漏れるノイズによる影響は、回路部品5、6から離れているところでノイズが漏れるために、回路部品5、6への影響は小さい。回路部品5、6と重なる第1グランド配線9同士の間隔は、例えば、0.02〜0.1mmであり、一方、回路部品5、6と重なっていない第1グランド配線9の間隔は、例えば、0.1〜1mmに設定できる。
【符号の説明】
【0022】
1 多層誘電体基板
2 ビアホール
5 回路部品
6 回路部品
7 半田ボール
8 電極パッド
9 第1グランド配線
10 第2グランド配線
100 高周波回路モジュール
図1
図2
図3