(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6419077
(24)【登録日】2018年10月19日
(45)【発行日】2018年11月7日
(54)【発明の名称】波長変換発光デバイス
(51)【国際特許分類】
H01L 33/50 20100101AFI20181029BHJP
H01L 33/60 20100101ALI20181029BHJP
H01L 33/52 20100101ALI20181029BHJP
【FI】
H01L33/50
H01L33/60
H01L33/52
【請求項の数】12
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-540243(P2015-540243)
(86)(22)【出願日】2013年10月25日
(65)【公表番号】特表2015-533456(P2015-533456A)
(43)【公表日】2015年11月24日
(86)【国際出願番号】IB2013059647
(87)【国際公開番号】WO2014072865
(87)【国際公開日】20140515
【審査請求日】2016年10月21日
(31)【優先権主張番号】61/723,341
(32)【優先日】2012年11月7日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】シュリッカー,エイプリル ドーン
(72)【発明者】
【氏名】マイ,キム ケビン
(72)【発明者】
【氏名】ベイズン,グリゴリー
【審査官】
小濱 健太
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−228703(JP,A)
【文献】
国際公開第2011/134777(WO,A1)
【文献】
国際公開第2010/106478(WO,A1)
【文献】
特開2013−016588(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00−33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マウントに取り付けられた複数の発光ダイオードを提供するステップ、
前記発光ダイオード及び前記マウントの上に波長変換層を形成するステップ、
前記波長変換層の上に保護層を形成するステップ、
前記波長変換層及び前記保護層の、一部分を取り除くステップ、及び
前記波長変換層及び前記保護層を取り除く前記ステップの後に、前記波長変換層及び前記保護層の一部分が取り除かれた領域に反射層を形成するステップ、
を含み、
前記反射層は、発光ダイオードの側面と直接的に接触している、
方法。
【請求項2】
前記波長変換層及び前記保護層の一部分を取り除くステップは、前記発光ダイオードの間の領域から前記波長変換層及び前記保護層の一部分を取り除くサブステップを含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記マウントは、前記発光ダイオードに隣接する前記マウント上に配置された金属パッドを有し、
前記波長変換層及び前記保護層の一部分を取り除くステップは、前記金属パッドの上の領域から前記波長変換層及び前記保護層の一部分を取り除くサブステップを含む、
請求項1記載の方法。
【請求項4】
波長変換層を形成するステップは、前記複数の発光ダイオード及び前記マウントの上に、透過性材料内に配置される波長変換材料のフィルムをラミネートするサブステップを含む、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記波長変換層の上に保護層を形成するステップは、前記波長変換層の上にシリコン層をラミネートするサブステップを含む、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記波長変換層及び前記保護層を取り除くステップは、前記波長変換層及び前記保護層を切断するサブステップを含む、請求項1記載の方法。
【請求項7】
切断は前記マウント上で終了する、請求項6記載の方法。
【請求項8】
切断は前記マウント上に配置された金属パッド上で終了する、請求項6記載の方法。
【請求項9】
切断は前記波長変換層内部で終了する、請求項6記載の方法。
【請求項10】
反射層を形成するステップは、前記発光ダイオードの上に形成された前記保護層の上に反射層を形成するサブステップを含み、
当該方法は、前記保護層の上面を露出させるように、前記反射層を薄化するステップを更に含む、
請求項1記載の方法。
【請求項11】
上面を平坦化するステップであり、前記上面は、前記発光ダイオードが位置する領域内の前記保護層の上面及び前記発光ダイオードの間の領域内の前記反射層の上面を含む、ステップ、を更に含む、請求項1記載の方法。
【請求項12】
マウントに取り付けられた複数の半導体発光デバイスを提供するステップ、
前記半導体発光デバイス及び前記マウントの上に波長変換層を形成するステップであり、前記波長変換層は、透過性材料内に配置された波長変換材料を含む、ステップ、
前記波長変換層の上に透過層を形成するステップ、
前記波長変換層及び前記透過層の、一部分を切り出すステップ、
前記透過層の上、及び、前記波長変換層及び前記透過層の前記一部分が切り出された領域内に、反射層を形成するステップ、及び
平坦な面を形成するように、前記反射層の一部分を取り除くステップ、
を含み、
前記反射層は、発光ダイオードの側面と直接的に接触している、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保護フィルムを備えた波長変換発光デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(LEDs)、共振空洞発光ダイオード(RCLEDs)、垂直空洞レーザーダイオード(VCSELs)及び端面発光レーザーを含む半導体発光デバイスは、現在入手可能な最も効率的な光源の一つである。可視スペクトル領域の全域で作動可能な高輝度発光デバイスの製造において現在興味の対象となる材料系は、III−V族半導体を含み、特にガリウム、アルミニウム、インジウムと窒素の二元、三元及び四元の合金を含む。これらはIII−窒化物材料とも呼ばれる。通常、III−窒化物発光デバイスは、異なる組成及びドーパント濃度の複数の半導体層のスタックを、サファイア、炭化ケイ素、III−窒化物又はその他の適切な基板上に、有機金属化学気相成長法(MOCVD)、分子線エピタキシー(MBE)又はその他のエピタキシャル技術によって、エピタキシャルに成長させることによって作られる。そのスタックは、しばしば、基板の上に形成された、例えばケイ素(Si)を使ってドープされた一つ以上のn型層(n-type layers)、そのn型層の上に形成された活性領域内の一つ以上の発光層、及びその発光層の上に形成された、例えばマグネシウム(Mg)を使ってドープされた一つ以上のp型層(p-type layers)を含む。n型領域及びp型領域上に電気接点が形成される。
【0003】
図1は、フリップチップ発光ダイオードを示す。フリップチップ発光ダイオードは、特許文献1においてより詳細に記述される。その発光ダイオードは、サファイア成長基板(図示せず)上に成長したn型層16、活性層18及びp型層20を含む。p層20の一部分及び活性層18の一部分は発光ダイオード形成過程中にエッチングにより取り除かれ、金属50(メタライズ層に加えて接合金属(bonding metal))が、p接触金属24と同じ側でn層16と接触する。アンダーフィル材料52は、発光ダイオードにわたる温度勾配を低減するため、発光ダイオードとパッケージ基板との間の取り付け部に機械的強度を加えるため及び汚染物質が発光ダイオード材料に接触することを防止するために、発光ダイオードの下の空洞内にデポジションさせられ(deposited)てもよい。n金属(n-metal)50及びp金属(p-metal)24は、パッケージ基板12上のパッド22A及びパッド22Bに対してそれぞれ接合される。パッケージ基板12上の接触パッド22A及び接触パッド22Bは、ビア28A及びビア28B及び/又は金属線(トレース)を使用して、はんだ付け可能な電極26A及び26Bに接続される。成長基板は取り除かれ、n型層16の表面を露出させる。この表面は、光抽出を向上させるために、例えば水酸化カリウム(KOH)溶液を使用した光電気化学エッチングによって、粗面加工される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許7,256,483号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の一つの目的は、波長変換層が保護された、波長変換デバイス(wavelength converted device)を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態による一つの構造体(structure)は、マウント(mount)に取り付けられた複数の発光ダイオード(LEDs)を含む。発光ダイオードの上に又は発光ダイオードを覆って(over)、波長変換層(wavelength converting layer)が配置される。波長変換層の上に、透過層(transparent layer)が配置される。複数の隣接する発光ダイオード(neighboring LEDs)の間に、反射性材料(Reflective material)が配置される。
【0007】
本発明の実施形態による一つの方法は、マウントに取り付けられた複数の発光ダイオードを提供するステップ、発光ダイオード及びマウントの上に波長変換層を形成するステップ、及び波長変換層の上に保護層を形成するステップ、を含む。波長変換層及び前記保護層の一部分は、取り除かれる。波長変換層及び保護層を取り除くステップの後に、波長変換層及び保護層の一部分が取り除かれた領域に、反射層が形成される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】粗面加工された上面を有するフリップチップ発光ダイオードを示す。
【
図2】マウント上に配置された一群の発光ダイオードの平面図である。
【
図3】マウント上に配置された発光ダイオードの断面図である。
【
図4】発光ダイオードの上に波長変換層を形成した後の、
図3の構造体を示す。
【
図5】波長変換層の上に透過層を形成した後の、
図4の構造体を示す。
【
図6】複数の発光ダイオードの間の波長変換層及び透過層を取り除いた後の、
図5の構造体を示す。
【
図7】構造体の上に反射層を形成した後の、
図6の構造体を示す。
【
図8】透過層の上面を露出させるように反射層を薄化(thinning)した後の、
図7の構造体を示す。
【
図9】鋳型(モールド)を使用して発光ダイオードの上に波長変換層を形成した後の、マウント及び一群の発光ダイオードを示す。
【
図10】鋳型を使用して波長変換層の上に透過層を形成した後の、
図9の構造体を示す。
【
図11】マウントの端に近い接合パッドの上の波長変換層を取り除いた後の、
図10の構造体を示す。
【
図12】構造体の上に反射層を形成し、反射層を薄化した後の、
図11の構造体を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の複数の実施形態は、波長変換層と組み合わされた発光ダイオードのような、発光デバイスを含む。波長変換層の上に、透過性の保護フィルムが形成される。以下の複数の実施例において半導体発光デバイスは青色光又は紫外線光を発するIII−窒化物発光ダイオードであるが、例えばレーザーダイオードや他のIII−V材料、III−リン化物、III−ヒ素化物、II−VI材料、酸化亜鉛(ZnO)又はケイ素ベースの材料等の他の材料系から作られた半導体発光デバイスのような、発光ダイオード以外の半導体発光デバイスが使用されてもよい。
【0010】
図2は、マウントに取り付けられた一群の発光ダイオード60の平面図である。
図2において、発光ダイオード60は、2×2の配列でマウント62に取り付けられて示されている。如何なる数の発光ダイオード60であっても、如何なる適切な配置でも、本出願で説明するように、マウント62に取り付けられ得る。いくつかの実施形態において、マウント62上の接合パッド72は、発光ダイオード60に電力を供給するために使用される。
【0011】
これから説明する複数の図面における発光ダイオード60は、例えば、光の大部分を発光ダイオードの上面から発するように構成されたフリップチップデバイスであってもよい。適切な発光ダイオード60の一つの例は
図1に示されているが、如何なる適切な発光ダイオードであっても使用され得る。当技術分野で知られるように、III−窒化物発光ダイオードを形成するために、III−窒化物半導体構造が最初に成長基板上に成長させられる。成長基板は、如何なる適切な基板であってもよく、例えば、サファイア、炭化ケイ素(SiC)、ケイ素(Si)、窒化ガリウム(GaN)又は複合基板である。半導体構造は、n型領域とp型領域との間に挟まれた発光領域又は活性領域を含む。n型領域は、最初に成長させられてもよく、例えば、バッファー層又は核生成層のような準備層、及び/又は、成長基板の除去を助けるように設計された層を含む異なる組成及びドーパント濃度の複数の層を含んでもよい。複数の層は、n型であっても、又は意図的にドープされていなくてもよく、効率的に光を放出する発光領域について望ましい特定の光学的、物質的、電気的特性に設計されたn型又は更にはp型の素子層であってもよい。発光領域又は活性領域は、n型領域の上に成長させられる。適切な発光領域の例は、単一の厚い又は薄い発光層又はバリア層により分離された複数の薄い若しくは厚い発光層を含む多重量子井戸発光領域を含む。次いで、p型領域が発光領域の上に成長させられてもよい。n型領域と同様に、p型領域は、組成、厚さ及びドーパント濃度が異なる複数の層を含んでもく、意図的にはドープされていない層、すなわちn型層を含んでいてもよい。デバイス中の全ての半導体材料の総厚さは、いくつかの実施形態では10μmより小さく、またいくつかの実施形態では6μmよりも小さい。いくつかの実施形態において、p型領域が最初に成長させられ、続いて活性領域及びn型領域が成長させられる。
【0012】
金属p接点(p-contact)は、p型領域上に形成される。フリップチップデバイスにおけるように、光の大部分がp接点の反対側の表面を通って半導体構造体の外へ方向付けられる場合は、p接点は反射性であってもよい。フリップチップデバイスは、標準的なフォトリソグラフ作業によって半導体構造体にパターン形成すること、及びp型領域の全体の厚みの一部分及び発光領域の全体の厚みの一部分を取り除くように半導体構造体をエッチング処理して、金属n接点(n-contact)が形成されるn型領域の表面を露出するメサ(mesa)を形成することによって形成されてもよい。メサとp接点及びn接点とは、如何なる適切な方法で形成されてもよい。メサとp接点及びn接点との形成は、当業者によく知られている。
【0013】
図3は、マウント62に取り付けられた発光ダイオード60の単純化された断面図である。発光ダイオード60は、p接点及びn接点を通して、金スタッドバンプ又は任意の他の適切な接続機構を経由してマウント62に接続されてもよい。アンダーフィル材料、例えばエポキシ樹脂、シリコ
ーン又は任意の他の適切な材料は、発光ダイオード60の下、発光ダイオード60とマウント62の間の如何なる空間内に注入されてもよい。マウント62及びアンダーフィルは、例えば成長基板を取り除くステップのような後の複数の処理ステップの間、半導体構造を機械的に支持してもよい。如何なる適切なマウントが使用されてもよい。適切なマウントの例は、半導体構造への電気的接続を形成するための導電性のビアを備えた、絶縁体ウエハ又は半絶縁体ウエハ、例えばシリコンウエハ又はセラミックウエハ、金属構造体又は任意の他の適切なマウントを含む。いくつかの実施形態において、厚い金属接合パッドは、成長基板の除去のような処理の間に半導体構造を支持するように、半導体構造上に形成される。成長基板は、マウント62に発光ダイオード60を取り付ける前又は後に部分的又は完全に取り除かれてもよく、又は成長基板は、デバイスの部品として残存してもよい。成長基板の除去によって露出させられた半導体構造は、光抽出を向上させるために、粗面加工(roughened)、パターン形成(patterned)又はテクスチャ加工(patterned)されてもよい。
【0014】
図4において、発光ダイオード60及びマウント62の上に波長変換層64が配置される。波長変換層64は、透過性材料66内に配置された一つ以上の波長変換材料65を含む。(複数の)波長変換材料65は、発光ダイオード60によって発せられた光を吸収し、異なる波長の光を発する。しばしば、発光ダイオード60によって発せられて変換されない光が、構造体から抽出される光の最終的なスペクトルの一部分となるが、そうである必要はない。一般的な組み合わせの例は、黄色を発する波長変換材料と組み合わされた青色を発する発光ダイオード、緑色を発する波長変換材料及び赤色を発する波長変換材料と組み合わされた青色を発する発光ダイオード、青色を発する波長変換材料及び黄色を発する波長変換材料と組み合わされた紫外線を発する発光ダイオード、及び青色を発する波長変換材料、緑色を発する波長変換材料及び赤色を発する波長変換材料と組み合わされた紫外線を発する発光ダイオード、を含む。構造体から発せられる光のスペクトルを調整するために、他の色の光を発する波長変換材料が加えられてもよい。
【0015】
(複数の)波長変換材料65は、従来型の蛍光体、有機蛍光体、量子ドット、有機半導体、II−VI半導体若しくはIII−V半導体、II−VI半導体量子ドット若しくはIII−V半導体量子ドット又は冷光を発するナノ結晶、染料、ポリマー若しくは材料であってもよい。如何なる適切な粉末蛍光体が使用されてもよい。その蛍光体は、Y
3Al
5O
12:Ce(YAG)、Lu
3Al
5O
12:Ce(LuAG)、Y
3Al
5−xGa
xO
12:Ce(YAlGaG)、(Ba
1−xSr
x)SiO
3:Eu(BOSE)のようなガーネット系蛍光体及び(Ca,Sr)AlSiN
3:Eu及び(Ca,Sr,Ba)
2Si
5N
8:Euのような窒化物系蛍光体を含むが、これらに限定されない。
【0016】
透過性材料66は、例えば、シリコ
ーン、エポキシ樹脂、ガラス又は如何なる他の適切な材料であってもよい。波長変換層64は、スクリーン印刷、スプレー被膜、ステンシル、鋳造(モールド)、ラミネート又は如何なる他の適切な技術によって形成されてもよい。波長変換層64は、単一の波長変換材料、複数の波長変換材料の混合物、又は一緒に混合されるのではなく別々の複数の層として形成された複合的な波長変換材料を含んでもよい。異なる色の光を発する波長変換材料は、別々の領域に配置されてもよく又は一緒に混合されてもよい。
【0017】
波長変換層64の厚さは、波長変換材料及びデポジション(deposition)技術に依存する。波長変換領域の厚さは、いくつかの実施形態において少なくとも0.5μm、いくつかの実施形態において少なくとも2μm、いくつかの実施形態において少なくとも40μm、いくつかの実施形態において60μm以下、いくつかの実施形態において100μm以下であってもよい。
【0018】
一つの実施例において、赤色を発する粉末蛍光体及び緑色を発する粉末蛍光体は、シリコ
ーンと混合される。その混合物はフィルムに成形される。シリコ
ーンに混合される蛍光材料及び蛍光体の量は、混合された青色、緑色及び赤色の光が所与の用途のための仕様を満たすように、発光ダイオード60によって発せられる青色光を補うように選択される。蛍光体が混ぜられたシリコ
ーンフィルムは、発光ダイオード60及びマウント62を覆うように上に貼り合わせられる(ラミネートされる)。
【0019】
波長変換層64の厚さにおける如何なる変動でも、構造体から発せられる混合された光のスペクトルを不必要に変え得る。それに応じて、いくつかの実施形態において、波長変換層64は、厚さの如何なる変動も最小になるように形成され、例えばいくつかの実施形態において20%以下、いくつかの実施形態において10%以下になるように形成される。また、波長変換層64への如何なる損傷でも、混合された光のスペクトルを不必要に変え得る。それに応じて、
図5において、波長変換層64の上に保護層68が形成される。保護層68は典型的に透過性である。例えばシリコ
ーン及びエポキシ樹脂を含む、下層の波長変換層64を保護する如何なる適切な材料であっても使用され得る。保護層68は如何なる適切な技術によって形成されてもよく、その適切な技術はスプレー被膜、ステンシル、鋳造、ラミネート及び回転成形を含むが、これらに限定されない。一つの実施例において、予備成形(プリフォーム)されたシリコ
ーン保護フィルム68が、波長変換層64の上にラミネートされる。保護フィルム68の厚さは、いくつかの実施形態において少なくとも0.5μm、いくつかの実施形態において少なくとも2μm、いくつかの実施形態において50μm以下、いくつかの実施形態において180μm以下であってもよい。
【0020】
保護フィルム68を形成した後に、波長変換層64及び保護フィルム68は、発光ダイオード60の側面を覆い、隣接する複数の発光ダイオード60の間の領域70内に配置される。いくつかの実施形態において、構造体は、発光ダイオード60の側面から光が漏れることを防止するように形成される。それに応じて、
図6において、波長変換層64及び保護フィルム68は、隣接する複数の発光ダイオード60の間の領域70から取り除かれる。領域70内の材料は、いくつかの実施形態において、波長変換層64及び保護フィルム68を通り、マウント62上で止まるように切断すること(sawing)によって取り除かれてもよい。
図6は、複数の発光ダイオード60の間の領域において切断により波長変換層64の全体の厚さが取り除かれたように示しているが、いくつかの実施形態においては、切断の後に波長変換層64の一部が残存するように、保護フィルム68及び波長変換層64の一部が切断によって取り除かれる。切断の後に複数の発光ダイオード60の間に残存する波長変換層64の一部分は、後の処理ステップにおいて取り除かれてもよく、又は最終的な構造体の一部のままであってもよい。領域70の幅は、いくつかの実施形態において少なくとも100μm、いくつかの実施形態において500μm以下であってもよい。いくつかの実施形態において、125μm乃至225μm幅の切り口を作り出す切断器具(ソー)が使用される。領域70内の材料は、切断器具による単一の切り込みによって、又は複数回の切り込みによって取り除かれてもよく。いくつかの実施形態において、ワイヤボンドなどの外部の構造への電気的接続が接合パッド72上に形成されることができるように、波長変換層64及び保護フィルム68は、
図2に示される接合パッド72から取り除かれる。切断(及びいくつかの実施形態においては切断後に残存する波長変換材料を取り除くための更なる処理)の後に、波長変換層64及び保護フィルム68は、発光ダイオード60の上端の上にのみ残る。波長変換層64及び保護フィルム68は、発光ダイオード60の側面及び複数の発光ダイオード60の間の領域70から取り除かれる。
【0021】
図7において、発光ダイオード60及びマウント62の上に反射性材料74が形成される。反射性材料74は、隣接する複数の発光ダイオード60の間の領域70を満たす。反射性材料74は、例えば、シリコ
ーン等の透過性又は反射性の支持マトリックス内に配置された酸化チタン(TiO
2)又は酸化アルミニウム(アルミナ)の粒子のような反射性粒子であってもよい。反射性材料74は、反射性粒子及び支持マトリックスの混合物を領域70内に圧入することによって形成されてもよい。
図7に示されるように、反射性材料74は、発光ダイオード60の上端の上の領域76に配置されてもよい。
【0022】
図8において、反射性材料74は、発光ダイオード60の上の保護フィルム68の上端78を露出するように薄化される。保護フィルム68は、反射性材料74が取り除かれている間、波長変換層64を損傷から保護する。過剰な反射性材料74は、例えば、エッチング又はマイクロビーズブラスティング及びグラインディング等の機械的な技術を含む、如何なる適切な技術によって取り除かれてもよい。いくつかの実施形態において、過剰な反射性材料74はマイクロビーズブラスティングによって取り除かれ、保護フィルム68は、波長変換層64を損傷させることなくマイクロビーズブラスティングの除去のばらつきに適応するために十分に厚い。
【0023】
いくつかの実施形態において、過剰な反射性材料74が取り除かれた後に、
図8に示される構造体の上面は、実質的に平坦である。平坦な上面は、発光ダイオード60が配置される領域内の保護フィルムの上面78及び複数の発光ダイオード60の間の領域における反射性材料74の上面を含む。複数の発光ダイオード60の間の領域における反射性材料74は、発光ダイオード60の側面、波長変換層64の側面及び保護フィルム68の側面から光が漏れることを防止し、そのため光の大部分は発光ダイオード60の上端、波長変換層64及び保護フィルム68を通って抽出される。いくつかの実施形態において、
図8に示されるように、反射性材料74は、発光ダイオード60の側面、波長変換層64の側面及び保護フィルム68の側面と直接的に接触している。
【0024】
いくつかの実施形態において、保護フィルム68の上面78は、光抽出を改善するために粗面加工、テクスチャ加工又はパターン形成される。表面上への粗面加工、テクスチャ加工又はパターン形成は、過剰な反射性材料74を取り除く同一の処理又は一つ以上の別個の処理ステップによって形成されてもよい。
【0025】
図9,10,11及び12は、
図4,5,6,7及び8に示された工程への可能な変更示す。
【0026】
図9において、型(モールド)90は構造体の上に配置され、次いで、
図4を参照して上述したように発光ダイオード60の上に波長変換層64が形成される。型90は、波長変換層64が接合パッド72の上に形成されることを妨げることができ、又は接合パッド72の上に形成される波長変換材料の厚さを低減することができる。型90の複数の部分94は、波長変換層64が隣接する複数の発光ダイオード60の間に形成されることを妨げることができ、又はこれらの領域内に形成される波長変換材料の厚さを低減することができる。型90の複数の開口部92は、発光ダイオード60の上に配置される。
【0027】
図10において、構造体の上に型96が配置され、次いで、
図5を参照して上述したように構造体の上に保護フィルム68が形成される。型96は、保護フィルム68が接合パッド72の上に形成されることを防止することができ、又は接合パッド72の上に形成される保護材料の厚さを低減することができる。型96の開口部98は、発光ダイオード60の上にある。
【0028】
様々な実施形態において、
図9及び
図10に示される複数の方のいずれかが、材料が接合パッド72の上、複数の発光ダイオード60の間の領域の上又はそれらの両方に形成されることを妨げてもよい。
図9及び
図10に示されるように、異なる複数の処理ステップ中に異なる複数の型が使用されてもよく、又は同じ型が使用されてもよい。
【0029】
図11において、
図6を参照して上述したように、保護フィルム68の一部分及び波長変換層64の一部分が例えば切断によって取り除かれる。
図6とは対照的に、
図11においては構造体の端部の保護フィルム及び波長変換層(すなわち、接合パッド72を覆う保護フィルム及び波長変換層)のみが、取り除かれる。複数の発光ダイオード60の間の保護フィルム及び波長変換層は、取り除かれない。切断は、
図11で示されるように接合パッド72上で終了して、接合パッド72と発光ダイオード60との間にいくらかの波長変換材料が残されてもよい。いくつかの実施形態において、切断は波長変換層64を途中まで通って終了し、接合パッド72の上にいくらかの波長変換材料が残存する。切断の後に接合パッド72の上に残存する如何なる波長変換材料でも、後の処理ステップにおいて、例えば
図8を参照して上述した、過剰な反射性材料74を取り除くためのマイクロビーズブラスティング中に取り除かれることができる。
【0030】
図12において、
図11に示された切断の後に、
図7を参照して上述したように、構造体の上に反射性材料74が形成される。反射性材料74は型を使用してデポジションさせられてもよく、その型は反射性材料が接合パッド72の上に形成されることを妨げることができ、又は接合パッド72の上に形成される反射性材料の厚さを低減することができる。次いで、
図8を参照して上述したように、保護フィルム68の上端を覆う発光ダイオード60の上の過剰な反射性材料は取り除かれ、いくつかの実施形態において平坦な表面を形成する。接合パッド72への電気接点を形成するために、接合パッド72の上の如何なる反射性材料でも、しばしば、接合パッド72から取り除かれる。接合パッド72を覆う如何なる反射性材料でも、発光ダイオード60の上の保護フィルム68の上端を覆う反射性材料が取り除かれると同時に取り除かれてもよい。
【0031】
本発明を詳細に説明したが、当業者は、本開示を所与として、本明細書において記述された本発明概念の精神から逸脱することなく、本発明に対して変更がなされ得ることを明確に理解するであろう。したがって、本発明の範囲は図示及び記述された特定の実施形態に限定されるように意図されていない。