特許第6419096号(P6419096)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6419096Ru/二座配位子錯体を用いたアルデヒドの選択水素化
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6419096
(24)【登録日】2018年10月19日
(45)【発行日】2018年11月7日
(54)【発明の名称】Ru/二座配位子錯体を用いたアルデヒドの選択水素化
(51)【国際特許分類】
   C07C 29/141 20060101AFI20181029BHJP
   C07C 33/02 20060101ALI20181029BHJP
   C07C 33/025 20060101ALI20181029BHJP
   C07C 33/03 20060101ALI20181029BHJP
   C07C 33/14 20060101ALI20181029BHJP
   C07C 33/12 20060101ALI20181029BHJP
   C07F 9/50 20060101ALI20181029BHJP
   C07F 15/00 20060101ALI20181029BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20181029BHJP
【FI】
   C07C29/141CSP
   C07C33/02
   C07C33/025
   C07C33/03
   C07C33/14
   C07C33/12
   C07F9/50
   C07F15/00 A
   !C07B61/00 300
【請求項の数】8
【全頁数】41
(21)【出願番号】特願2015-562027(P2015-562027)
(86)(22)【出願日】2014年3月6日
(65)【公表番号】特表2016-513628(P2016-513628A)
(43)【公表日】2016年5月16日
(86)【国際出願番号】EP2014054337
(87)【国際公開番号】WO2014139854
(87)【国際公開日】20140918
【審査請求日】2017年1月26日
(31)【優先権主張番号】13159479.8
(32)【優先日】2013年3月15日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】390009287
【氏名又は名称】フイルメニツヒ ソシエテ アノニム
【氏名又は名称原語表記】FIRMENICH SA
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ デュポー
(72)【発明者】
【氏名】ルチア ボノーモ
(72)【発明者】
【氏名】ローラン ケルモルヴァン
【審査官】 前田 憲彦
(56)【参考文献】
【文献】 特表2004−509087(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/055912(WO,A1)
【文献】 中国特許第100475338(CN,C)
【文献】 国際公開第2001/074829(WO,A1)
【文献】 特表2012−504596(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 29/00
C07C 33/00
C07F 9/00
C07F 15/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式
【化1】
(式(I)中、
は、直鎖状、分枝鎖状又は環状のC〜C19アルキル基、アルケニル基又はアルカジエニル基を表し、該基は任意に芳香環を含み且つ任意にケトン、エーテル、炭素−炭素二重結合若しくは三重結合及びカルボン酸基の中から選択される1つ、2つ又は3つの官能基を含む)のC〜C20基質の、分子状Hを用いる、水素化による対応するアルコール又はジオールへの還元方法であって、前記方法を、
− 以下の式
[Ru(PP)(PN)(RCOO)] (1)
(式(1)中、
PPは、以下の式:
【化2】
(式(C)中、R11及びR12は、別々に、同時に又は独立して、C〜C10芳香族基を表し;且つ
Q’は
− 以下の式
【化3】
(式(i’)中、m’は1、2、3又は4であり、且つ
5’及びR6’は、同時に又は独立して、水素原子、直鎖状又は分枝鎖状のC〜Cアルキル基を表す)の基;又は
− C10〜C16メタロセンジイル基、2,2’−ジフェニル基、1,1’−ビナフタレン−2,2’−ジイル基、4,6−フェノキサジンジイル基、4,5−(9,9−ジメチル)−キサンテンジイル基、又はビス(フェン−2−イル)エーテル基;
を表す)のC〜C50二座配位子を表し、
PNは、以下の式:
【化4】
(式(B)中、aは0又は1を表し;
11及びR12は、別々に、同時に又は独立して、分枝鎖状のC〜Cアルキル基又はC〜C10芳香族基を表し;
は、同時に又は独立して、水素原子、又は、直鎖状、分枝鎖状又は環状のC〜Cアルキル基を表し;
は、水素原子、直鎖状、分枝鎖状のC〜Cアルキル基を表し;且つ
Qは、
− 以下の式
【化5】
(式(i)中、mは1、2又は3であり、且つ
及びRは、同時に又は独立して、水素原子、直鎖状、分枝鎖状又は環状のC〜Cアルキル基を表す)の基;又は
− ベンゼンジイル基、又はナフタレンジイル基を表す)のC〜C20二座配位子を表し;且つ
各Rは、同時に又は独立して、α位で分枝鎖状のC〜C12炭化水素基、β位で分枝鎖状のC〜C12炭化水素基、又はα位で環状のC〜C12炭化水素基を表す)
の少なくとも1つの錯体の存在下で実施することを特徴とする、前記還元方法。
【請求項2】
さらに、酸性添加剤の存在下で実施することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
二座のPN配位子は、以下の式
【化6】
(式(B’)中、aは0又は1を表し;
11及びR12は、請求項1に定義されている通りであり;且つ
Qは、
− 以下の式
【化7】
(式(i)中、mは1又は2であり、且つ
は、同時に又は独立して、水素原子、直鎖状又は分枝鎖状のC〜Cアルキル基を表す)の基
を表す)の化合物であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
式(C)中、各R11及びR12は、それぞれ、同時に又は独立して、フェニル基を表し;且つ
式(B)中、各R11及びR12は、それぞれ、同時に又は独立して、分枝鎖状のC〜Cアルキル基又はフェニル基を表すことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記PP配位子が、式(C)で示さる化合物であり、
式(C)中、R11及びR12は、同時に又は独立して、フェニル基を表し;且つ
Q’は、C〜Cアルカンジイル基、C10〜C12フェロセンジイル基又は2,2’−ジフェニル基を表すことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記酸性添加剤が、2〜11の間のpKを有する弱プロトン酸の中から選択され得ることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
酸性添加剤が、
− 式RCOOH(式中、Rは式(1)において上記に定義された通りである)のカルボン酸;及び
− フェノール(COH)並びに1つ若しくは2つ、又は5つまでのハロゲン原子及び/又はC〜Cアルキル基又はアルコキシ基及び/又はニトロ基及び/又はカルボアルコキシ基によって置換されたフェノール
の中から選択されることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
請求項1に定義された以下の式
[Ru(PP)(PN)(RCOO)](1)
のルテニウム錯体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、接触水素化の分野に関し、且つ対応するアルコールへのアルデヒドの還元のための水素化プロセスにおいて、配位原子Oが2つカルボキシレート配位子によって提供される、Nの配位圏を有するルテニウム錯体の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術
対応するアルコールへのアルデヒドの還元は、有機化学における基本的な反応の一つであり、且つ多くの化学プロセスにおいて用いられている。係る還元を達成するための最も便利な方法は、水素化を用いる(Hを用いる)ことである。
【0003】
カルボニル基の水素化を実施するいくつかのタイプの触媒が、ここ数年で記載されており、最も関連性の高い触媒はP配位圏を有するRu錯体、更に正確にはPCl配位圏であり、これはアルデヒド又はケトンをあまり減少させず且つ媒体中で塩基の存在を必要とする(例えば、EP0901997号、EP1813621号、WO09/055912号、WO02/022526号又はWO02/40155号を参照のこと)。しかしながら、記載されるように、当該系は全て強塩基の存在を必要とし、この制限が、係る触媒系が殆どのアルデヒドのように塩基と感受性のある基質に工業的に使用されることを妨げる。
【0004】
目的とする還元のために、塩基の不在下で活性である(及び一般的に低い反応性を示す)触媒系は殆ど報告されておらず、且つ弱酸の存在下で活性であることが報告されているものはない。例えば、EP1741693号又はUS6720439号は、PHY配位圏(YはClなどのアニオンである)を有するRu錯体の使用を記載しているが、係る系はケトンの還元のためのみに活性であると記載されている。また、WO02/022526号は、[Ru(PN)(CH(CH0−1COO)]が、塩基不感受性芳香族ケトンの塩基不含での還元に有効であり得ることを記載している。
【0005】
特許出願WO2001/74829号は、式[(シクロファン−ジホスフィン)(ジアミン)RuX](式中、Xはハロゲン化物又はカルボキシレートである)のシクロファン−ジホスフィンルテニウム錯体の使用を報告している。しかしながら、係る文献は、カルボキシレートアニオン配位子としてCFCOOのみ、即ち、本発明の配位子とは異なる種類のカルボキシレートを記載し、且つそれらの錯体をケトンの還元のみに使用することを報告しており、一方、本発明における触媒はアルデヒドの還元にのみ有効な反応性を示している。
【0006】
特許出願WO2010/038209号は、式[(ホスフィ−ホスフィンオキシド)(ジアミン)RuX]の二座ホスフィ−ホスフィンオキシドルテニウム錯体の使用を報告しているが、この錯体は一般に塩基を必要とし且つケトンに対して選択的ではない。
【0007】
特許出願EP1366004号は、PNY配位圏(YはCl又はAcOなどのアニオンである)を有するRu錯体の使用を報告しているが、これらの錯体は一般に塩基を必要とし且つケトンに対して選択的ではない。
【0008】
したがって、アルデヒドは一般に塩基条件に対して感受性であるため、オレフィンの存在下でアルデヒドの塩基不含な選択的還元を可能にし、且つケトンに対しても選択性を示す、有効な水素化プロセスがなお必要とされる。
【0009】
本発明者らの知る限り、先行技術では、本発明において特許請求された触媒(配位アニオンとして分枝鎖状のカルボキシレートを有する)がアルデヒドの塩基不含な還元において実際に活性であり、且つケトン及び例えば、オレフィンなどの他の官能基に対して選択的であることを報告又は示唆していない。
【0010】
発明の詳細な説明
前述の課題を克服するために、本発明は、対応するアルコール又はジオール中に1つ又は2つのアルデヒド官能基を有するC〜C20基質の、分子状Hを用いる、水素化による還元方法であって、前記方法が、
− N配位圏を有するルテニウム錯体の形態の少なくとも1つの触媒又は触媒前駆体、その際、配位原子N及び1つの配位原子Pは第1の二座配位子によって提供され、2つの他の配位原子Pは第2の二座配位子によって提供され且つ配位原子Oは2つの非直鎖状カルボキシレート配位子によって提供される;及び
− 任意に酸性の添加剤
の存在下で実施されることを特徴とする、前記還元方法に関する。
【0011】
当業者によく理解されるように、「二座の」とは、前記配位子が2つの原子(例えば、2つのP若しくは1つのP及び1つのN)によってRu金属に配位することであると理解されている。
【0012】
「触媒又は触媒前駆体」の用語は、一般的な用語で「錯体」とも呼ばれる。
【0013】
本発明の特別な実施態様によれば、基質は式(I)
【化1】
(式(I)中、
は、直鎖状、分枝鎖状又は環状のC〜C19アルキル基、アルケニル基又はアルカジエニル基を表し、該基は任意に芳香族環を含み且つ任意にケトン、エーテル、炭素−炭素二重結合又は三重結合及びカルボン酸基の中から選択される1つ、2つ又は3つの官能基を含む)の化合物であってよい。
【0014】
重要なことは、基質はさらにケトンなどの官能基も含んでよく、前記方法の実際の利点の1つは、水素化が特に選択的であり且つ出発物質中に存在し得るケトン基を還元せずにアルデヒド基を選択的に水素化することができることに注目することである。
【0015】
前記基質(I)の対応するアルコール(I−a)は、式
【化2】
(式(I−a)中、
は式(I)のように規定される)である。
【0016】
「直鎖状、分枝鎖状又は環状のアルキル基、アルケニル基又はアルカジエニル基」とは、前記Rが、例えば、直鎖状アルキル基の形態であるか又は前記種類の基の混合物の形態であってもよいことを意味し、例えば、特定のRは、1つの型のみへの特別な限定が記載されない限り、分枝鎖状アルケニル、(ポリ)環状アルキル及び直鎖状アルキル部分を含み得ることが理解されている。同様に、本発明の以下の全ての実施態様では、基がアルケニル又はアルカジエニルであると記載されている場合、前記基は、アルデヒド基と共役し得る若しくは共役しない又はアルカジエニルの場合その間で1つ又は2つの炭素−炭素二重結合を含むことを意味している。同様に、本発明の以下の全ての実施態様では、基がトポロジー(例えば、直鎖状、環状又は分枝鎖状)及び/又は不飽和(例えば、アルキル又はアルケニル)のうち1より多いタイプの形態であると記載されている場合、上記のように、これは前記トポロジー又は不飽和のうちいずれかを有する部分を含み得る基も意味する。同様に、本発明の以下の全ての実施態様では、基が不飽和の1タイプ(例えば、アルキル)の形態であると記載されている場合、前記基はあらゆるタイプのトポロジー(例えば、直鎖状、環状又は分枝鎖状)であるか又は多様なトポロジーを有する複数の部分を有することを意味する。
【0017】
本発明の実施態様のいずれか1つによれば、基質は、最終製品又は中間体として、医薬、農薬又は香料産業において有用なアルコールを提供するアルデヒドである。特に好ましい基質は、最終製品又は中間体として香料産業において有用なアルコールを提供するアルデヒドである。
【0018】
本発明の実施態様のいずれか1つによれば、基質は式(I)のC〜C20化合物であり、特に、Rが、次の基を表す化合物が挙げられる:
− 以下の式
【化3】
(式(a)中、
は水素原子又はC〜Cアルキル基を表し、
各Rは、それぞれ互いに独立して、水素原子、直鎖状、分枝鎖状又は環状のアルキル基又はアルケニル基を表し、該基は任意に芳香族環を含み且つ任意にケトン、エーテル、炭素−炭素三重結合及びカルボン酸基の中から選択される1つ又は2つの官能基を含み;前記R及びR基のうちの2つは一緒に結合してC〜C環を形成し、該環は任意にケトン及びエーテル基の中から選択される1つ又は2つの官能基を含むが、但し、少なくとも1つのR基は水素原子ではないことを条件とする)のC〜C19基;
− 任意に芳香族環を含み且つ任意にケトン、エーテル、炭素−炭素三重結合及びカルボン酸基の中から選択される1つ又は2つの官能基を含む直鎖状、分枝鎖状又は環状の脱共役C〜C19アルケニル又はアルカジエニル基;
− 任意に芳香族環を含み且つ任意にケトン、エーテル、炭素−炭素三重結合及びカルボン酸基の中から選択される1つ又は2つの官能基を含む直鎖状、分枝鎖状又は環状のC〜C19アルキル基。
【0019】
本発明の実施態様のいずれか1つによれば、基質は式(I)のC〜C16化合物であり、その際、Rは以下の基を表す:
− 以下の式
【化4】
(式(a)中、
は水素原子又はC〜Cアルキル基を表し、
各Rは、それぞれ互いに独立して、任意にケトン、エーテル及びカルボン酸基の中から選択される1つの官能基を含む直鎖状、分枝鎖状又は環状のアルキル又はアルケニル基を表す)のC〜C15基;
− 任意に芳香族環を含み且つ任意にケトン、エーテル及びカルボン酸基の中から選択される1つの官能基を含む直鎖状、分枝鎖状又は環状の脱共役C〜C15アルケニル又はアルカジエニル基;
− 任意に芳香族環を含み且つ任意にケトン、エーテル及びカルボン酸基の中から選択される1つの官能基を含む直鎖状、分枝鎖状又は環状のC〜C15アルキル基。
【0020】
「脱共役アルケニル又はアルカジエニル基」とは、炭素−炭素二重結合がアルデヒド官能基で共役されていないことを意味すると理解される。
【0021】
式(I)の基質の非限定的な例は、以下のものである:
− C〜C16アルデヒド、例えば:
2,3−ジメチルブト−2−エナール、シクロヘキサ−3−エンカルバルデヒド、3−メチルヘキサ−2−エナール、6−オキソヘプタナール、(Z)−オクト−5−エナール、3,7−トリメチル−オクタ−2,6−ジエナール、3,7−ジメチルオクト−6−エナール、(2,2−ジメチル−3−(2−オキソプロピル)シクロプロピル)アセトアルデヒド、(3−アセチル−2,2−ジメチルシクロブチル)アセトアルデヒド、3,6,7−トリメチル−オクタ−2,6−ジエナール、3,6,7−トリメチルオクト−6−エナール、ウンデカ−10−エナール、エンド2−(3−(2−オキソプロピル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イル)アセトアルデヒド、(E)−4−メチル−5−(p−トリル)ペンタ−4−エナール、2,2−ジメチル−6−メチレン−7−(3−オキソブチル)シクロヘプタンカルバルデヒド、4−(3,3−ジメチル−2−(3−オキソブチル)シクロブチル)ペンタ−4−エナール;
これらの化合物は、全て室温においても塩基感受性基質であることが高いことが知られている。
【0022】
本発明では、先行技術の殆ど全てのものとは対照的に、塩基の存在は回避されている。このことは、塩基感受性のアルデヒドからアルコールを生成する場合に、収率の顕著な増加を可能にするので利点である。したがって、本発明の実施態様のいずれか1つによれば、基質は塩基感受性の化合物である。
【0023】
本発明の実施態様のいずれか1つによれば、ルテニウム錯体は一般式
[Ru(PP)(PN)(RCOO)] (1)
(式(1)中、
PPは、配位基が2つのホスフィノ基であるC〜C50二座配位子を表し;
PNは、C〜C20二座配位子を表し、その際、配位基は1つのアミノ基と1つのホスフィノ基であり;且つ
各Rは、同時に又は独立して、α位及び/又はβ位で分枝鎖状又は環状のC〜C12炭化水素基を表し、且つ前記炭化水素基は任意にハロゲン、酸素及び窒素原子の中から選択される1〜5個のヘテロ原子を含む)であってよい。
【0024】
本発明の実施態様のいずれか1つによれば、式(1)中、各Rは、同時に又は独立して:
− 任意にフェニル基で置換され、任意に1〜5個のハロゲン原子及び/又はC〜Cアルキル基又はアルコキシ基で置換され、且つ任意に1つのOH、アミノ官能基又はエーテル官能基を含む、α位及び/又はβ位で分枝鎖状又は環状のC〜C12アルキル基;又は、
− 任意に1〜3個、又は5個のハロゲン原子によって置換された及び/又はC〜Cアルキル基又はアルコキシ基によって及び/又はニトロ基によって置換されたフェニル基
を表す。
【0025】
式(1)の特別な実施態様によれば、前記R基は、
− α位に第3級又は第4級の炭素原子及び/又はβ位に第4級の炭素原子を含み、更に、任意に1つのOH、1つのエーテル官能基又はフェニル基を含み、該フェニル基は任意に1つ又は2つのハロゲン原子によって及び/又はC〜Cアルキル基又はアルコキシ基によって置換されている分枝鎖状のC〜C10アルキル基;
− α位に1つのOH基又は1つのエーテル官能基を含むCアルキル基;又は
− 任意に1つ、2つ又は3つのハロゲン原子によって及び/又はC〜Cアルキル基又はアルコキシ基及び/又はニトロ基によって置換されたフェニル基
を表す。
【0026】
式(1)の特別な実施態様によれば、前記R基は、
− α位に第3級又は第4級炭素原子及び/又はβ位に第4級炭素原子を含む分枝鎖状C〜C10アルキル基;又は
− 任意に1つ、2つ又は3つのハロゲン原子によって及び/又はC〜Cアルキル基又はアルコキシ基及び/又はニトロ基によって置換されたフェニル基
を表す。
【0027】
明確にするために、「α位」の表現は、当該技術分野における通常の意味、即ち、炭素原子が基RCOOのCOO部分に直接結合していることを意味する。同様に、「β位」との表現は、α位に直接結合された炭素原子を意味する。明確にするために、「分枝鎖状又は環状の基」の表現は、直鎖状ではない基、即ち、シクロヘキシル、イソプロピル、又はCHCH若しくはCClではなくClCHを意味しており、また、1つ又は複数の炭素原子又は任意の官能基のために分岐していることは明らかであり、これは環の1部であってもなくてもよい。
【0028】
(I)の適したRCOO基の非限定的な例として、イソブチレート、ピバレート、Bu−アセテート、2−Et−ヘキサノエート、シクロヘキサンカルボキシレート、ピコリネート、シンナマート、ベンゾエート、4−Me−ベンゾエート、4−OMe−ベンゾエート、3,5−ジクロロ−ベンゾエート、2,4−ジクロロ−ベンゾエート、イソバレレート、アダマンテート又はsec−ブチレートが挙げられる。
【0029】
本発明の実施態様のいずれか1つによれば、二座配位子(PP)は以下の式
【化5】
(式(C)中、
11及びR12は、別々に、同時に又は独立して、任意に置換されている、分枝鎖状又は環状のC〜Cアルキル基又はC〜C10芳香族基を表し;且つ
Q’は
− 以下の式
【化6】
(式(i’)中、
m’は1、2、3又は4であり、且つ
5’及びR6’は、同時に又は独立して、水素原子、任意に置換されている、直鎖状又は分枝鎖状のC〜Cアルキル基又はC〜C10芳香族基を表し;2つの別個のR6’及び/又はR5’基は、一緒になって、置換又は非置換の飽和又は不飽和のC〜C環を形成してもよく、前記環は前記R6’及び/又はR5’基が結合される原子を含み、且つ任意に1つ又は2つの更なる窒素原子又は酸素原子を有する)の基;又は
− 任意に置換されている、C10〜C16メタロセンジイル基、2,2’−ジフェニル基、1,1’−ビナフタレン−2,2’−ジイル基、ベンゼンジイル基、ナフタレンジイル基、2,3−ビシクロ[2:2:1]ヘプタ−5−エンジイル基、4,6−フェノキサジンジイル基、4,5−(9,9−ジメチル)−キサンテンジイル基又はビス(フェン−2−イル)エーテル基
を表す)の化合物であってよい。
【0030】
上記の通り、本発明の特別な実施態様によれば、(PP)についての「芳香族基又は環」とは、フェニル又はナフチル誘導体をも意味する。
【0031】
上記の通り、前記配位子(C)において、Ru原子に配位結合し得る原子はPR1112基のP原子である。したがって、前記R5’、R6’、R11、R12、Q’又は任意の他の基がN又はOなどのヘテロ原子を含むときは、前記ヘテロ原子は配位していないことも理解されている。
【0032】
5’、R6’、R11及びR12の可能な置換基は、1つ〜5つのハロゲン原子(特に、前記置換基が芳香族部分である場合)、又は1つ、2つ又は3つのi)直鎖状又は分枝鎖状のC〜Cアルキル基、アルコキシ基又はハロ炭化水素基又はパーハロ炭化水素基、アミン基、ii)COOR(式中、Rは直鎖状、分枝鎖状又は環状のC〜Cアルキル基である)、iii)NO基、或いはiv)ベンジル基又は縮合又は非縮合フェニル基であり、前記基は、任意に1つ、2つ又は3つのハロゲン原子、C〜Cアルキル基、アルコキシ基、アミノ基、ニトロ基、エステル基、スルホネート基又はハロ炭化水素基又はパーハロ炭化水素基によって置換されている。「ハロ炭化水素基又はパーハロ炭化水素」とは、例えば、CF又はCClHなどの基を意味する。
【0033】
明確にするために、上記の通り、本発明の実施態様のいずれか1つにおいて、式(C)のうち2つの基が一緒になって環(cyclic or ring)を形成するときは、前記環は単環式又は二環式基であってよい。
【0034】
本発明の実施態様の前記二座PP配位子のうちのいずれか1つによれば、R11及びR12は、別々の場合、同時に又は独立して、任意に置換されている、環状のC〜Cアルキル基又はC〜C10芳香族基、又は好ましくはフェニル基を表す。
【0035】
本発明の実施態様の前記二座PP配位子のうちいずれか1つによれば、R11及びR12はそれぞれ、同時に又は独立して、任意に置換されている、分枝鎖状又は環状のC〜Cアルキル基又はフェニル基を表す。
【0036】
本発明の実施態様の前記二座PP配位子のうちいずれか1つによれば、
Q’は
− 以下の式
【化7】
(式(i’)中、
m’は1、2、3又は4であり且つ
5’及びR6’は、同時に又は独立して、水素原子、任意に置換されている、直鎖状又は分枝鎖状のC〜Cアルキル基又はC6〜10芳香族基、又は好ましくはフェニル基を表し;2つの別個のR6’及び/又はR5’基は、一緒になって置換又は非置換の飽和又は不飽和のC〜C環を形成してもよく、前記環は前記R6’及び/又はR5’基が結合される原子を含む)の基;又は
− 任意に置換されている、C10〜C16メタロセンジイル基、2,2’−ジフェニル基、ベンゼンジイル基、ナフタレンジイル基、1,1’−ビナフタレン−2,2’−ジイル基、2,3−ビシクロ[2:2:1]ヘプタ−5−エンジイル基、4,6−フェノキサジンジイル基、4,5−(9,9−ジメチル)−キサンテンジイル基又はビス(フェン−2−イル)エーテル基を表す。
【0037】
本発明の実施態様の前記二座PP配位子のうちいずれか1つによれば、Q’は、任意に置換されている、直鎖状C〜Cアルカンジイル基、1,2−C10〜C12メタロセンジイル基又は1,1’−C10〜C12メタロセンジイル基、2,2’−ジフェニル基、1,2−ベンゼンジイル基、1,1’−ビナフタレン−2,2’−ジイル基、又は1,8−ナフタレンジイル基若しくは1,2−ナフタレンジイル基又は4,5−(9,9−ジメチル)−キサンテンジイル基を表していてもよい。
【0038】
本発明の特別な実施態様によれば、前記PP配位子は式(C)の化合物で示され、式(C)中、R11及びR12は、同時に又は独立して、任意に置換されている、分枝鎖状又は環状のC〜Cアルキル基又はフェニル基を表し;且つ
Q’は、任意に置換されているC〜Cアルカンジイル基、C10〜C12フェロセンジイル基、2,2’−ジフェニル基、1,1’−ビナフタレン−2,2’−ジイル基、1,2−ベンゼンジイル基又は1,2−ナフタレンジイル基を表す。
【0039】
本発明の実施態様の前記二座PP配位子のうちいずれか1つによれば、前記配位子は、Q’、R11及びR12基のうち1つ、2つ又は3つが飽和基(即ち、アルキル基又はアルカンジイル基)である化合物である。特に、Q’は任意に置換されているC〜Cアルカンジイル基を表し及び/又はR11及びR12は分枝鎖状又は環状のアルキル基を表す。
【0040】
前記R11又はR12の可能な置換基は、R〜Rについて上記されたものであり、前記Q’の可能な置換基は、Qについて上記されたものである。
【0041】
PP配位子の非限定的な例としては、以下の式(B)におけるものが挙げられる:
【化8】
【0042】
前記化合物は、適用可能な場合、任意に光学活性形態又はラセミ形態であり、その際、Phはフェニル基を表し且つcyはC〜Cシクロアルキル基を表す。上記のジホスフィンにおいて、cy基はPh基によって置き換えられていても又はその逆も同様であってもよいことも理解される。
【0043】
本発明の実施態様のいずれか1つによれば、二座のPN配位子は、以下の式
【化9】
(式(B)中、
aは0又は1を表し;
11及びR12は、上記のPPについて定義した通りであり;
は、同時に又は独立して、水素原子又は直鎖状、任意に置換されている、分枝鎖状又は環状のC〜Cアルキル基又はベンジル基を表し;
は、水素原子、任意に置換されている、直鎖状、分枝鎖状のC〜Cアルキル基又はC〜C10芳香族基を表し;R及びRは、一緒になって、5〜8個の原子を有する飽和の複素環を形成してもよく、且つ該環は、R及びRが結合される原子を含み、任意に1つの更なる窒素原子又は酸素原子を有し;且つ
Qは、
− 以下の式
【化10】
(式(i)中、mは1、2又は3であり、且つ
及びRは、同時に又は独立して、水素原子、任意に置換されている、直鎖状、分枝鎖状又は環状のC〜Cアルキル基又はC〜C10芳香族基を表し;2つの別個のR及び/又はR基は、一緒になって、任意に置換されているC〜C飽和環を形成してもよく、該環は前記R及び/又はR基が結合される原子を有し、任意に1つ又は2つの更なる窒素原子又は酸素原子を有する)の基;又は
− C10〜C16メタロセンジイル基、ベンゼンジイル基、又はナフタレンジイル基であり、前記基は任意に置換されている
を表す)の化合物である。
【0044】
実施態様によれば、「芳香族基又は環」とは、フェニル又はナフチル基を意味する。
【0045】
上記のように、前記配位子(B)において、Ru原子を配位し得る原子は、R基を有する1つのN原子と、R11/R12基を有する1つのP原子である。したがって、前記R、R、R、R又は任意の他の基が、ヘテロ原子、例えば、N又はOを含む場合、前記ヘテロ原子が配位していないことも理解される。
【0046】
、R、R、R又はQの可能な任意の置換基は、i)ハロゲン原子(特に、前記置換基が芳香族部分にある場合)、ii)C〜Cアルコキシ基、アルキル基、アルケニル基、又はiii)ベンジル基又は縮合した又は縮合していないフェニル基の中から選択される1つ、2つ、3つ又は4つの基であり、前記基は任意に1つ、2つ又は3つのハロゲン原子、C〜Cアルキル基、アルコキシ基、アミノ基、ニトロ基、エステル基、スルホネート基又はハロ炭化水素基又はパーハロ炭化水素基によって置換されている。
【0047】
明確にするために、上記のように、本発明の実施態様のいずれか1つにおいて、式(B)の2つの基が一緒になって環を形成する場合、前記環は単環式基又は二環式基であってよい。
【0048】
本発明の実施態様の前記二座PN配位子のいずれか1つによれば、Rは、水素原子又は直鎖状又は分枝鎖状のC〜Cアルキル基を表す。特に、Rは、水素原子である。
【0049】
本発明の実施態様の前記二座PN配位子のうちいずれか1つによれば、Rは、水素原子、任意に置換されている、直鎖状又は分枝鎖状のC〜Cアルキル基又はフェニル基を表し;R及びRは、一緒になって、5個又は6個の原子を有する飽和の複素環を形成してもよく、且つ該環は前記R及びRが結合される原子を含み、任意に1つの更なる炭素原子を有する。
【0050】
本発明の実施態様の前記二座PN配位子のうちいずれか1つによれば、Rは、水素原子、直鎖状又は分枝鎖状のC〜Cアルキル基である。
【0051】
本発明の実施態様の前記二座PN配位子のうちいずれか1つによれば、前記Qは、
− 以下の式
【化11】
(式(i)中、
mは1又は2であり、且つ
及びRは、同時に又は独立して、水素原子、任意に置換されている、直鎖状、分枝鎖状又は環状のC〜Cアルキル基又はフェニル基を表す)の基;又は
− ベンゼンジイル基、又はナフタレンジイル基であり、前記基は任意に置換されている
を表す。
【0052】
本発明の実施態様の前記二座PN配位子のうちいずれか1つによれば、前記Qは式(i)の基であってよく、その際、mは1又は2であり、Rは水素原子であり且つRは上で定義された通りである。特に、各R及びRは、水素原子を表していてもよい。
【0053】
本発明の特別な実施態様によれば、他方の前記Qは、ベンゼンジイル基であり得る。
【0054】
本発明の実施態様の前記二座PN配位子のうちいずれか1つによれば、前記配位子PNは以下の式
【化12】
(式(B’)中、
aは0又は1を表し;
11及びR12は、上記のPPについて定義した通りであり;
Qは、
− 以下の式
【化13】
(式(i)中、
mは1又は2であり、且つ
は、同時に又は独立して、水素原子、直鎖状又は分枝鎖状のC〜Cアルキル基又を表す)の基;又は
− 任意に置換されているベンゼンジイル基
を表す)によって表される。
【0055】
本発明の実施態様の前記二座PN配位子のうちいずれか1つによれば、式(B)或いは(B’)のR、R、R若しくはR又はQの可能な置換基は、1つ又は2つのi)ハロゲン原子、又はii)C〜Cアルキル基又はアルコキシ基である。
【0056】
上記の実施態様のいずれか1つによれば、PN配位子は式(B’)で示される。
【0057】
PN配位子の非限定的な例としては、以下の式(A):
【化14】
におけるものを挙げることができ、前記化合物は、適用可能な場合、任意に光学活性形態又はラセミ形態であり、その際、Phはフェニル基を表し且つcyはC〜Cシクロアルキル基を表す。上記のアミノホスフィンにおいて、cy基はPh基によって置き換えられていても又はその逆も同様であってもよいことも理解される。
【0058】
上記の配位子は、技術水準において及び当該技術分野において当業者によく知られた標準的な一般法を適用することによって得ることができる。多くの前記配位子PN又はPPは市販もされている。
【0059】
式(1)の錯体は、ここでは、以下の実施例で例示するような方法において、それらを使用する前に一般的には調製され且つ単離されるが、ルテニウムに対して1当量のPN配位子を用いて前駆体[(PP)Ru(RCOO)]からインサイチュで直接生成させることもできる。更に、前記錯体(1)は、過剰の酸RCOOH(Rは式(1)で与えられている意味を有する)を添加することによって、公知のアミノホスフィンジホスフィンルテニウム錯体誘導体(PP)(PN)Ru(X)(Y)、例えば、ジ−アセテート、ジ−プロピオネート、ジ−アルコキシド(例えば、ジ−イソプロポキシド)、ヒドリドボロヒドリド、カチオン性モノアセテート又はジカチオン性(又はそれらの混合物)錯体からインサイチュで生成させることもできる。前記錯体(1)は、任意に、クロリド原子に対して化学量論的な量の銀塩(例えば、AgOCOCH、AgBF、AgPF、AgOSOCF)の存在下で、過剰の酸RCOOH(式中、Rは式(1)で与えられている意味を有する)を添加することによって、公知の塩素化されたルテニウム錯体誘導体(PP)(PN)Ru(Cl)(Y)、例えば、ジクロリド又はカチオン性モノクロリド錯体からインサイチュで生成させることもできる。
【0060】
式(1)の本発明の錯体は、本発明者らの知る限りでは新規である。したがって、係る錯体(1)も本発明の対象である。
【0061】
前述の通り、本方法は、酸性添加剤の添加を含んでよい。前記添加剤は、速度の驚異的な上昇効果を有し、時として反応の収率の上昇も生じさせる。
【0062】
前記酸性添加剤は、弱プロトン酸、即ち、プロトンを放出し且つ2〜11の間のpKを有することが可能な化合物の中から選択され得る。特に、前記酸性添加剤は、
− 式RCOOH(式中、Rは式(1)において上記で定義される通りである)のカルボン酸;及び
− フェノール(COH)並びに1つ若しくは2つ、又は5つまでのハロゲン原子及び/又はC〜Cアルキル又はアルコキシ基及び/又はニトロ基及び/又はカルボアルコキシ基によって置換されているフェノール
の中から選択され得る。
【0063】
本発明の任意の実施態様によれば、前記酸性添加剤は、
− 式RCOOH(式中、Rは式(1)において上記で定義される通りである)のカルボン酸;又は
− フェノール(COH)並びに1〜5個のハロゲン原子によって及び/又は1つ又は2つのC〜Cアルキル基又はアルコキシ基及び/又はニトロ基及び/又はカルボアルコキシ基によって置換されたフェノール
の中から選択され得る。
【0064】
本発明の任意の実施態様によれば、前記カルボン酸は3〜5.5の間のpKを有する。同様に、本発明の任意の実施態様によれば、前記置換又は非置換フェノールは5〜10.5の間のpKを有する。
【0065】
前記酸性添加剤の非限定滴な例としては、以下のものを挙げることができる:ジフェニルホスホン酸、ヘキシルボロン酸、4−NO−フェノール、4−カルボメトキシフェノール、4−OMe−フェノール、ペンタフルオロフェノール、イソ酪酸、sec−酪酸、ピバル酸、Bu−酢酸、2−Et−ヘキサン酸、シクロヘキサンカルボン酸、ピコリン酸、ケイ皮酸、安息香酸、2,4,6−トリメチル−安息香酸、4−Me−安息香酸、4−NO−安息香酸、4−OMe−安息香酸、3,5−ジCl−安息香酸、2,4−ジCl−安息香酸、1−アダマンタンカルボン酸又はイソ吉草酸。
【0066】
前記酸性添加剤は、反応媒体中にそのまま添加されるか、又はカルボン酸の場合、例えば、カルボン酸無水物及び任意にアルコールを添加することによって、インサイチュで生成させることができる。
【0067】
上記の通り、本発明の方法は、塩基の不在下でルテニウム錯体を用いる基質の水素化からなる。典型的な方法は、ルテニウム錯体、任意に溶媒及び酸性添加剤と基質との混合物を意味しており、その後、係る混合物を、選択された圧力と温度で分子状水素を用いて処理する。
【0068】
本発明の錯体、本方法の本質的なパラメータは、広範囲の濃度で反応媒体に添加され得る。非限定的な例としては、錯体濃度の値として、基質の量に対して1ppm〜10000ppmの範囲の値を挙げることができる。好ましくは、錯体濃度は10ppm〜2000ppmの間である。言うまでもなく、錯体の最適な濃度は、当業者が知るように、錯体の種類、基質の種類及び品質、使用する場合には使用される溶媒の種類、プロセスの間に用いられる反応温度及びHの圧力、並びに所望の反応時間に依存する。
【0069】
反応混合物に添加される酸性添加剤の有益な量は、比較的広範囲に含まれ得る。非限定的な例として、式(1)の錯体に対して、1〜10000モル当量の間、好ましくは10〜2000モル当量の間の範囲が挙げられる。
【0070】
水素化反応は、溶媒の存在下又は不在下で実施され得る。溶媒が要求されるか又は実用上の理由で使用される場合、水素化反応において慣用されている任意の溶媒が、本発明の目的のために使用され得る。非限定的な例としては、C〜C10芳香族溶媒、例えば、トルエン又はキシレン;C〜C12炭化水素溶媒、例えば、ヘキサン又はシクロヘキサン;C〜Cエーテル、例えば、テトラヒドロフラン又はMTBE;C〜C10エステル、例えば、酢酸エチル;塩素化されたC〜C炭化水素、例えば、ジクロロメタン;C〜C第1級又は第2級アルコール、例えば、イソプロパノール又はエタノール;C〜CC極性溶媒、例えば、DMF、アセトニトリル、DMSO、アセトン;又はそれらの混合物が挙げられる。特に前記溶媒は、無極性の非プロトン性溶媒、例えば、芳香族溶媒又は炭化水素溶媒であってよい。溶媒の選択は、錯体及び基質の種類に応じて変わり、当業者であれば、水素化反応をそれぞれの場合において最適化するために、最も適切な溶媒を選択することも可能である。
【0071】
本発明の水素化プロセスにおいて、反応は、10Pa〜80×10Pa(1〜100バール)の間のH圧力又は所望であれば更に高い圧力で実施され得る。また、当業者は、充填された触媒に応じて及び溶媒中の基質の希釈に応じて圧力を調整することも可能である。例として、1〜50×10Pa(5〜50バール)の典型的な圧力を挙げることができる。
【0072】
水素化が実施され得る温度は、0℃〜200℃の間、更に好ましくは50℃〜150℃の間の範囲である。当然ながら、当業者は、出発物質及び最終生成物の融点及び沸点並びに望ましい反応時間又は転換時間に応じて好ましい温度を選択することもできる。
【実施例】
【0073】
実施例
本発明は、以下の実施例によって更に詳細に記載され、その際、温度は摂氏度で示され、略号は当該技術分野における通常の意味を有する。
【0074】
以下に記載された全ての手順は、特段記載されない限り、不活性雰囲気下で実施した。水素化は、ステンレス鋼製のオートクレーブ内で実施された。Hガス(99.99990%)は未処理のまま使用した。全ての基質及び溶媒は、Ar下で適切な乾燥剤から蒸留された。NMRスペクトルは、Bruker AM−400(400.1MHzでH、100.6MHzで13C及び161.9MHzで31P)スペクトロメータで記録し、通常、特に指摘がない限りCDCl中で、300Kで測定した。化学シフトはppmで記載される。
【0075】
例1
式(1)の錯体の製造
本発明の錯体を、対応する[Ru(PP)(RCOO)]ルテニウム(ジホスフィン)(ビスカルボキシレート)誘導体を介して2工程で一様に合成し、これを必要に応じて単離した。
【0076】
2工程手順:
A)[Ru(ジエン)(RCOO)](一般に[Ru(COD)(RCOO)]、出願PCT/IB2011/052108号を参照のこと)前駆体を、シュレンク管内に充填した。その後、これを3回の真空−窒素サイクルでパージした。次に脱気したキシレン(工業用グレードを使用できる)を添加すると、通常、懸濁液が得られる。次いでジホスフィン(1当量/Ru)を撹拌した懸濁液に添加し、その後、該懸濁液を窒素下で数時間(期間はジホスフィン配位子の種類に依存する)還流(140〜144℃)下で加熱した。冷却後、キシレンを除去し、脱気したMeOHを生成した沈殿物に一様に添加した(使用する溶媒の種類は、ジホスフィン及びカルボキシレート配位子の両方に明らかに依存され得る)。その後、それを窒素下で濾別し、脱気したMeOHで数回洗浄し(再度、使用する溶媒の種類は、ジホスフィン及びカルボキシレート配位子の両方に明らかに依存され得る)、その後、真空下で乾燥すると、所望の対応する[Ru(ジホスフィン)(RCOO)]錯体が、一般的に90モル%を上回る収率で得られる。
【0077】
B)得られた[Ru(ジホスフィン)(RCOO)]前駆体を、シュレンク管内に充填した。その後、これを3回の真空−窒素サイクルでパージした。次に、脱気したTHFを添加し、続いてアミノホスフィン配位子(1当量/Ru)を添加した。その後、反応混合物を窒素下で数時間(期間はアミノホスフィン配位子の種類に依存する)還流(66℃)下で加熱した。冷却後、真空下でTHFを除去し、脱気した30/50石油エーテルを生成した沈殿物に一様に添加した(使用する溶媒の種類は、アミノホスフィン、ジホスフィン及びカルボキシレート配位子に明らかに依存され得る)。その後、それを窒素下で濾別し、脱気した30/50石油エーテルで数回洗浄した(再度、使用する溶媒の種類は、アミノホスフィン、ジホスフィン及びカルボキシレート配位子の両方に明らかに依存され得る)。その後、真空下で乾燥すると、所望の[Ru(PP)(PN)(RCOO)]錯体が、60モル%を上回る収率で、シス又はトランス異性体(シス位又はトランス位のカルボキシレート)として、又はシス/トランス異性体混合物として得られ、立体化学及び収率の両方は、使用される配位子の種類に主に依存する。
【0078】
[(2−(ジフェニルホスフィノ)エタンアミン)[1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン]Ru(ピバレート)
31P NMR: 26.19 (dd, J= 300.0 及び 30.9, 1P トランス異性体), 35.75 (t, 30.9, 1P トランス異性体), 46.92 (dd, J= 300 及び 30.9, 1P トランス異性体);
13C NMR (トランス異性体): 21.15 (d, J= 4.4, CH2), 24.63 (ブロード s, CH2), 24.72 (d, J= 18.4, CH2), 27.07 (d, J= 24.0, CH2), 28.84 (s, CH3), 33.28 (dd, J= 22.8 及び 3.5, CH2), 40.11 (s, C), 40.66 (t, J= 6.2, CH2), 127.26 (d, J= 8.8, CH), 127.41 (d, J= 8.2, CH), 128.13 (d, J= 8.4, CH), 129.01 (ブロード s, CH), 129.18 (s, CH), 133.74 (ブロード s, CH), 134.96 (ブロード s, CH), 138.0 (ブロード s, C), 140.90 (ブロード s, C), 188.30 (ブロード s, C).
【0079】
[(2−(ジフェニルホスフィノ)エタンアミン)[1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]Ru(ピバレート)
31P NMR: 25.30 (dd, J= 29.0 及び 43.5, 1P トランス異性体), 27.98 (dd, J= 300.0 及び 43.5, 1P トランス異性体), 42.33 (dd, = 300.0 及び 29.0, 1P トランス異性体);
13C NMR (トランス異性体): 19.37 (d, J= 2.9, CH2), 26.89 (dd, J= 26.4 及び 3.6, CH2), 27.96 (d, J= 23.7, CH2), 28.93 (s, CH3), 32.57 (dd, J= 21.2 及び 4.0, CH2), 40.11 (s, C), 40.67 (t, J= 7.0, CH2), 127.40 (d, J= 9.0, CH), 127.91 (d, J= 7.8, CH), 128.33 (d, J= 8.6, CH), 129.02 (ブロード s, CH), 129.13 (d, J= 1.6, CH), 129.27 (ブロード s, CH), 133.40 (d, J= 9.8, CH), 134.44 (d, J= 8.8, CH), 136.27 (d, J= 3.2, C), 136.63 (d, J= 3.4, C), 188.4 (ブロード s, C).
【0080】
[(2−(ジフェニルホスフィノ)エタンアミン)[1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]Ru(ピバレート)
31P NMR: 44.46 (dd, J= 318.0 及び 27.8.1P トランス異性体), 58.75 (dd, J= 318.0 及び 20.6, 1P トランス異性体), 59.39 (dd, = 27.8 及び 20.6, 1P トランス異性体);
13C NMR (トランス異性体): 28.15 (dd, J= 28.3 及び 13.1, CH2), 28.74 (s, CH3), 30.26 (ddd, J= 27.2, 15.9 及び 4.0, CH2), 33.26 (dd, J= 21.2 及び 3.3, CH2), 39.77 (s, C), 41.71 (dd, J= 7.5 及び 4.5, CH2), 127.80 (d, J= 8.8, CH), 128.13 (d, J= 8.7, CH), 128.31 (d, J= 8.6, CH), 129.03 (d, J= 1.5, CH), 129.15 (d, J= 1.8, CH), 129.42 (d, J= 1.8, CH), 133.08 (d, J= 9.5, CH), 133.56 (d, J= 9.9, CH), 133.91 (d, J= 10.0, CH), 135.84 (dd, J= 33.6 及び 4.2, C), 136.49 (d, J= 33.8 及び 3.0, C), 141.40 (d, J= 36.8, C), 187.44 (s, C).
【0081】
[(2−(ジフェニルホスフィノ)エタンアミン)[1,1−ビス(ジフェニルホスフィノ)メタン]Ru(ピバレート)
31P NMR: -3.91 (dd, J= 334.8 及び 43.4, 1P トランス異性体), 9.18 (dd, J= 43.4 及び 30.0, 1P トランス異性体), 53.54 (dd, J= 334.8 及び 30.0, 1P トランス異性体);
13C NMR: 28.12 (CH3), 31.69 (dd, J= 21.4 及び 3.0, CH2), 39.7 (s, C), 41.99 (t, J= 6.6, CH2), 46.69 (t, J= 17.5, CH2), 128.13 (d, J= 9.5, CH), 128.27 (d, J= 9.0, CH), 129.35 (t, J= 2.5, CH), 129.64 (d, J= 2.5, CH), 133.15 (d, J= 12.0, CH), 133.50 (d, J= 10.6, CH), 133.86 (d, J= 11.6, CH), 135.43 (dd, J= 21.7 及び 2.5, C), 135.95 (dt, J= 25.8 及び 5.0, C), 137.37 (dd, J= 33.5 及び 5.8, C), 187.94 (s, C).
【0082】
[(2−(ジフェニルホスフィノ)エタンアミン)[9,9−ジメチル−4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)キサンテン]Ru(ピバレート)
31P NMR: 23.84 (dd, J= 28.0 及び 24.0, 1P 異性体 1), 37.59 (dd, J= 37.0 及び 28.0, 1P 異性体 1), 47.31 (ブロード t, J= 25.0, 1P 異性体 2), 49.82 (dd, J= 37.0 及び 23.0, 1P 異性体 1), 51.26 (dd, J= 32.8 及び 24.5, 1P 異性体 2), 58.12 (d, J= 30.0, 2P 異性体 3), 66.68 (dd, J= 32.8 及び 26.0, 1P 異性体 2), 74.77 (t, 30.0, 1P 異性体 3).
【0083】
[(2−(ジフェニルホスフィノ)エタンアミン)[2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフタレン]Ru(ピバレート)
31P NMR: 27.61 (d, J= 31.8, 1P 異性体 1), 29.56 (d, J= 31.6, 1P 異性体2 ), 31.62 (d, J= 27.9, 1P 異性体 2), 33.57 (d, J= 27.9, 1P 異性体 1), 38.00 (dd, J= 31.6 及び 27.9, 1P 異性体 2), 40.50 (dd, J= 31.8 及び 27.9, 1P 異性体 1).
【0084】
[(2−(ジフェニルホスフィノ)エタンアミン)[(オキソビス(2,1−フェニレン))ビス(ジフェニルホスフィン)]Ru(ピバレート)
31P NMR: 34.97 (dd, J= 29.2 及び 24.2, 1P 異性体 1), 40.54 (dd, J= 36.3 及び 29.2, 1P 異性体 1), 45.01 (braod s, 1P 異性体 2), 47.65 (dd, J= 36.3 及び 24.2, 1P 異性体 1), 50.64 (d, J= 32.0, 1P 異性体 2), 73.28 (d, J= 32.0, 1P 異性体 2).
【0085】
[(2−(ジフェニルホスフィノ)エタンアミン)[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]Ru(ピバレート)
31P NMR: 45.62 (dd, J= 34.6 及び 28.6, 1P 異性体 1), 48.25 (dd, J= 28.6 及び 24.5, 1P 異性体 1), 50.56 (d, J= 31.7, 1P 異性体 2), 55.39 (dd, J= 34.6 及び 24.5, 1P 異性体 1), 64.23 (ブロード s, 1P 異性体 2), 73.30 (d, J= 32.4, 1P 異性体 2).
【0086】
[(2−(ジ−tert−ブチルホスフィノ)エタンアミン)[1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン]Ru(ピバレート)
31P NMR: 17.14 (ブロード s, 1P 異性体 1), 22.21 (ブロード s, 1P 異性体 2), 49.96 (d, J= 41.2, 1P 異性体 2,), 59.41 (非常にブロード s, 2P 異性体 1), 66.34 (d, J= 41.2, 1P 異性体 2).
【0087】
[(2−(ジフェニルホスフィノ)フェニル)メタンアミン)[9,9−ジメチル−4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)キサンテン]Ru(ピバレート)
31P NMR: 27.00 (dd; J= 11.8 及び 7.2, 1P 異性体 1), 40,54 (t, J= 16.0, 1P 異性体 2), 44.89 (dd, J= 37.6 及び 7.2, 1P 異性体 1), 53.72 (d, J= 31.0, 2P 異性体 3), 55.54 (dd, J= 38.8 及び 16.0, 1P 異性体 2), 66.28 (dd, J= 37.6 及び 11.8, 1P 異性体 1), 74.84 (t, J= 31.0, 1P 異性体 3), 75.99 (dd, J= 38.8 及び 16.0, 1P 異性体 2).
【0088】
[(3−(ジフェニルホスフィノ)プロパン−1−アミン)[9,9−ジメチル−4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)キサンテン]Ru(ピバレート)
31P NMR: 55.22 (d, J= 30.4, 2P 異性体 1), 56.41 (d, J= 29.8, 2P 異性体 2), 57.20 (t, J= 30.4, 1P 異性体 1), 61.98 (t, J= 29.8, 1P 異性体 2).
【0089】
[(2−(ジフェニルホスフィノ)エタンアミン)[1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]Ru(ベンゾエート)
31P NMR: 43.75 (dd, J= 309.8 及び 25.6, 1P トランス異性体), 59.50 (dd, J= 25.6 及び 20.9, 1P トランス異性体), 61.36 (dd, J= 310.7 及び 20.9, 1P トランス異性体);
13C NMR (トランス異性体): 28.36 (dd, J= 28.8 及び 12.6, CH2), 29.36 (ddd, J= 28.0, 15.7 及び 4.1, CH2), 33.85 (dd, J= 21.6 及び 3.2, CH2), 42.08 (dd, J= 8.2 及び 4.7, CH2), 127.35 (s, CH), 128.00 (d, J= 8.9, CH), 128.23 (d, J= 8.5, CH), 128.29 (d, J= 8.5, CH), 129.02 (s, CH),129.29 (d, J= 1.8, CH), 129.34 (d, J= 1.7, CH), 129.57 (d, J= 1.5, CH), 129.65 (s, CH),133.07 (d, J= 9.5, CH), 133.52 (d, J= 9.9, CH), 133.72 (d, J= 10.1, CH), 135.17 (dd, J= 34.3 及び 3.6, C), 135.95 (dd, J= 33.8 及び 2.8, C), 137.72 (s, C), 140.60 (d, J= 37.1, C), 176.67 (s, C).
【0090】
[(2−(ジフェニルホスフィノ)エタンアミン)[1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]Ru(1−アダマンタンカルボキシレート)
31P NMR: 44.08 (dd, J= 318.1 及び 27.9, 1P トランス異性体), 58.69 (dd, J= 318.1 及び 20.6, 1P トランス異性体), 59.22 (dd, J= 27.9 及び 20.6, 1P トランス異性体);
13C NMR (トランス異性体): 28.17 (dd, J= 28.5 及び 12.6, CH2), 29.19 (s, CH), 30.41 (ddd, J= 27.2, 15.5 及び 4.2, CH2), 33.06 (dd, J= 20.8 及び 3.5, CH2), 42.08 (dd, J= 4.8 及び 4.1, CH2), 37.36 (s, CH2), 40.38 (s, CH2), 41.47 (t, J= 6.7, CH2), 41.93 (s, C), 127.74 (d, J= 8.9, CH), 128.24 (t, J= 8.6, CH), 129.08 (d, J= 1.4, CH), 129.18 (d, J= 3.0, CH), 129.43 (d, J= 1.6, CH), 133.23 (d, J= 9.5, CH), 133.67 (d, J= 10.0, CH), 134.08 (d, J= 9.8, CH), 135.96 (dd, J= 33.4 及び 3.6, C), 136.23 (dd, J= 33.6 及び 3.2, C), 141.49 (d, J= 37.0, C), 187.03 (s, C).
【0091】
[(2−(ジフェニルホスフィノ)エタンアミン)[9,9−ジメチル−4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)キサンテン]Ru(1−アダマンタンカルボキシレート)
31P NMR: 23.97 (dd, 27.6 及び 24.0, 1P 異性体 1), 37.57 (dd, J= 38.1 及び 27.6, 1P 異性体 1), 47.12 (ブロード t, J= 25.5, 1P 異性体 2), 49.55 (dd, J= 38.1 及び 24.0, 1P 異性体 1), 51.24 (dd, J= 32.4 及び 24.5, 1P 異性体 2), 58.11 (d, J= 30.2, 2P 異性体 3), 66.68 (dd, J= 32.4 及び 26.5, 1P 異性体 2), 74.76 (t, 30.2, 1P 異性体 3).
【0092】
[(2−(ジフェニルホスフィノ)エタンアミン)[1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]Ru(イソブチレート)
31P NMR: 43.41 (dd, J= 313.5 及び 24.1, 1P トランス異性体), 60.18 (dd, J= 24.1 及び 21.6, 1P トランス異性体), 61.42 (dd, J= 313.5 及び 21.6, 1P トランス異性体);
13C NMR (トランス異性体): 20.00 (s, CH3), 20.41 (s, CH3), 28.31 (dd, J= 28.5 及び 12.6, CH2), 30.74 (ddd, J= 26.39, 15.8 及び 4.0, CH2), 33.33 (dd, J= 20.8 及び 3.1, CH2), 37.82 (s, CH), 41.72 (dd, J= 8.2 及び 4.4, CH2), 127.71 (d, J= 8.7, CH), 128.00 (d, J= 8.6, CH), 128.33 (d, J= 8.5, CH), 129.10 (d, J= 1.5, CH), 129.17 (d, J= 1.4, CH), 129.54 (d, J= 1.4, CH), 133.03 (d, J= 9.6, CH), 133.43 (d, J= 10.2, CH), 133.74 (d, J= 9.6, CH), 135.58 (dd, J= 31.0 及び 2.8, C), 135.61 (d, J= 33.7, C), 136.10 (dd, J= 33.8 及び 3.0, C), 141.35 (d, J= 37.9, C), 186.25 (s, C).
【0093】
[(2−(ジフェニルホスフィノ)エタンアミン)[1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]Ru(3,3−ジメチルブチレート)
31P NMR: 43.06 (dd, J= 317.2 及び 26.1, 1P トランス異性体), 60.38 (dd, J= 26.1 及び 20.8, 1P トランス異性体), 62.28 (dd, J= 317.2 及び 20.8, 1P トランス異性体);
13C NMR (トランス異性体): 28.49 (dd, J= 29.3 及び 12.2, CH2), 29.97 (s, CH3), 30.21 (s, C), 30.76 (ddd, J= 27.6, 15.8 及び 3.6, CH2), 32.96 (dd, J= 21.0 及び 3.3, CH2), , 41.49 (dd, J= 9.2 及び 4.8, CH2), 52.73 (s, CH2), 127.54 (d, J= 8.9, CH), 127.99 (d, J= 8.6, CH), 128.34 (d, J= 8.5, CH), 129.15 (ブロード s, CH), 129.45 (d, J= 1.6, CH), 133.13 (d, J= 9.8, CH), 133.57 (d, J= 10.1, CH), 133.81 (d, J= 9.7, CH), 135.38 (dd, J= 33.0 及び 3.0, C), 135.76 (dd, J= 33.2 及び 3.7, C), 141.34 (d, J= 37.6, C), 181.61 (s, C).
【0094】
[(2−(ジフェニルホスフィノ)エタンアミン)[1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]Ru(2,2−ジメチルブチレート)
31P NMR: 44.11 (dd, J= 317.6 及び 26.1, 1P トランス異性体), 57.59 (dd, J= 317.6 及び 20.6, 1P トランス異性体), 59.23 (dd, J= 26.1 及び 20.6, 1P トランス異性体);
13C NMR (トランス異性体): 8.97 (s, CH3), 24.73 (s, CH3), 25.18 (s, CH3), 28.27 (dd, J= 28.4 及び 13.1, CH2), 30.40 (ddd, J= 27.1, 14.9 及び 4.0, CH2), 32.97 (dd, J= 21.2 及び 3.4, CH2), 33.35 (s, CH2), 41.57 (dd, J= 7.8 及び 4.7, CH2), 43.00 (s, C), 127.78 (d, J= 8.8, CH), 128.10 (d, J= 8.5, CH), 128.29 (d, J= 8.6, CH), 129.02 (d, J= 1.4, CH), 129.15 (d, J= 1.8, CH), 129.34 (d, J= 1.5, CH), 133.14 (d, J= 9.5, CH), 133.59 (d, J= 10.2, CH), 134.00 (d, J= 9.8, CH), 136.09 (dd, J= 33.7 及び 3.5, C), 136.24 (dd, J= 33.6 及び 3.2, C), 141.65 (d, J= 37.1, C), 187.29 (s, C).
【0095】
[(2−(ジフェニルホスフィノ)エタンアミン)[1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]Ru(シクロヘキサンカルボキシレート)
31P NMR: 43.37 (dd, J= 315.4 及び 25.2, 1P トランス異性体), 60.12 (dd, J= 25.2 及び 21.5, 1P トランス異性体), 61.78 (dd, J= 315.4 及び 21.5, 1P トランス異性体);
13C NMR (トランス異性体): 26.54 (s, CH2), 26.66 (s, CH2), 26.87 (s, CH2), 28.37 (dd, J= 29.1 及び 12.4, CH2), 30.19 (s, CH2), 30.70 (s, CH2), 30.81 (ddd, J= 32.0, 15.9 及び 4.2, CH2), 33.32 (dd, J= 20.8 及び 3.2, CH2), 41.66 (dd, J= 7.7 及び 4.6, CH2), 48.18 (s, CH), 127.63 (d, J= 8.8, CH), 128.00 (d, J= 8.7, CH), 128.27 (d, J= 8.7, CH), 129.08 (d, J= 1.4, CH), 129.17 (d, J= 1.3, CH), 129.53 (d, J= 1.4, CH), 133.08 (d, J= 9.5, CH), 133.48 (d, J= 10.2, CH), 133.84 (d, J= 9.8, CH), 135.65 (dd, J= 34.0 及び 3.2, C), 135.98 (dd, J= 33.8 及び 3.0, C), 141.29 (d, J= 37.5, C), 185.48 (s, C).
【0096】
[(2−(ジフェニルホスフィノ)エタンアミン)[1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]Ru(シクロプロパンカルボキシレート)
31P NMR: 43.16 (dd, J= 313.6 及び 25.2, 1P トランス異性体), 60.67 (dd, J= 25.2 及び 22.0, 1P トランス異性体), 62.64 (dd, J= 313.6 及び 22.0, 1P トランス異性体);
13C NMR (トランス異性体): 5.99 (s, CH2), 16.38 (s, CH), 28.22 (dd, J= 29.3 及び 12.3, CH2), 30.57 (ddd, J= 32.3, 16.1 及び 4.3, CH2), 33.64 (dd, J= 21.0 及び 3.3, CH2), 41.86 (dd, J= 8.8 及び 5.0, CH2), 127.61 (d, J= 8.9, CH), 127.91 (d, J= 8.8, CH), 128.29 (d, J= 8.6, CH), 129.15 (d, J= 1.2, CH), 129.48 (d, J= 1.8, CH), 133.07 (d, J= 9.6, CH), 133.59 (d, J= 8.4, CH), 133.68 (d, J= 8.4, CH), 135.25 (dd, J= 33.2 及び 3.8, C), 136.16 (dd, J= 33.6 及び 3.1, C), 141.11 (d, J= 37.6, C), 183.09 (s, C).
【0097】
例2
本発明の方法を用いたアルデヒドの接触水素化:種々の先行技術の触媒を用いた比較例 ・ ルテニウム前駆体の種類が3,7−ジメチルオクト−6−エナール(シトロネラール)の選択的水素化における触媒活性に及ぼす影響
一般的手順:3,7−ジメチルオクト−6−エナール(15.4g、0.1モル)、イソプロパノール(15.4g、100質量%)、ルテニウム錯体(0.01ミリモル、0.01モル%)及び、必要な場合、添加剤としてtBuOK(112mg、1ミリモル、1モル%、100当量/Ru)を、機械式撹拌装置を備えた60mlのオートクレーブに全て一緒に装填した。次に、密閉されたオートクレーブを、30バールの水素に加圧する前に、窒素(3回5バール)と水素(3回5バール)で攪拌しながらパージした。次いで、これを90℃に加熱し、水素圧を数時間30バールに維持した。その後、反応の完了時に又は24時間後に、オートクレーブを25℃に冷却した。その後、これを減圧し、窒素(3回5バール)でパージし、次いで反応混合物を丸底フラスコに移し、溶媒を真空下で除去した。次に、反応の間に形成された残留物の量を決定するために、粗生成物をフラッシュ蒸留し、かつ収率を蒸留生成物のGC純度を元に算出した。
【0098】
【表1】
【0099】
・ ルテニウム前駆体の種類が2−メチル−4−((R)−2,2,3−トリメチルシクロペンタ−3−エン−1−イル)ペンタ−4−エナールの選択的水素化における触媒活性に及ぼす影響
一般的手順:2−メチル−4−((R)−2,2,3−トリメチルシクロペンタ−3−エン−1−イル)ペンタ−4−エナール(40/60(2S,4R)/(2R,4R)ジアステレオ異性体混合物として)(10.3グラム、0.05モル)、イソプロパノール(10.3g、100質量%)、ルテニウム錯体(0.01ミリモル、0.02モル%)及び、必要な場合、添加剤としてtBuOK(56mg、0.5ミリモル、1モル%、50当量/Ru)を、機械式撹拌装置を備えた60mlのオートクレーブ中に全て一緒に装填した。その後、密閉されたオートクレーブを、50バールの水素に加圧する前に、窒素(3回5バール)と水素(3回5バール)で攪拌しながらパージした。次いで、これを100℃に加熱し、水素圧を数時間50バールに維持した。反応の完了時(GCによるチェック)又は24時間後に、オートクレーブを25℃に冷却した。その後、減圧して、窒素(3回5バール)でパージし、次いで反応混合物を丸底フラスコに移し、溶媒を真空下で除去した。次に、粗生成物を、反応の間に形成された残留物の量を決定するためにフラッシュ蒸留し、収率を蒸留された生成物のGC純度を元に算出した。
【0100】
【表2】
【0101】
例3
本発明の方法を用いたアルデヒドの接触水素化:R基が触媒の反応性に及ぼす影響
・ カルボキシレート配位子の種類が、2−メチル−4−((R)−2,2,3−トリメチルシクロペンタ−3−エン−1−イル)ペンタ−4−エナールの選択的水素化における触媒活性に及ぼす影響
一般的手順:2−メチル−4−((R)−2,2,3−トリメチルシクロペンタ−3−エン−1−イル)ペンタ−4−エナール(40/60(2S,4R)/(2R,4R)ジアステレオ異性体混合物として)(20.6グラム、0.1モル)及び([2−(ジフェニルホスフィノ)エタンアミン][1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]ルテニウム(ビスカルボキシレート)錯体(0.01ミリモル、0.01モル%)を、機械式撹拌装置を備えた60mlのオートクレーブ中に全て一緒に装填した。その後、密閉されたオートクレーブを、50バールの水素に加圧する前に、窒素(3回5バール)と水素(3回5バール)で攪拌しながらパージした。次に、これを100℃に加熱し、水素圧を数時間50バールに維持した。反応の完了時又は48時間後に、オートクレーブを次いで25℃に冷却し、生成物の純度をGC分析により確認した。その後、これを減圧し、窒素(3回5バール)でパージした。次に、正味の粗生成物を、反応の間に形成された残留物の量を決定するためにフラッシュ蒸留し、単離収率を蒸留された生成物のGC純度を元に算出した。
【0102】
【表3】
【0103】
例4
本発明の方法を用いたアルデヒドの接触水素化:PP又はPN配位子が触媒の反応性に及ぼす影響
・ ジホスフィン配位子の種類の影響
一般的手順:3,6,7−トリメチルオクタ−2,6−ジエナール(40/60 Z/E異性体混合物)(12.62グラム、0.075モル)、オクタン(12.62g、100質量%)及び(2−(ジフェニルホスフィノ)エタンアミン)(ジホスフィン)ルテニウム(ビスピバレート)錯体(0.00375ミリモル、0.005モル%)を、機械式撹拌装置を備えた60mlのオートクレーブ中に全て一緒に装填した。その後、密閉されたオートクレーブを、20バールの水素に加圧する前に、窒素(3回5バール)と水素(3回5バール)で攪拌しながらパージした。次いで、これを100℃に加熱し、水素圧を上昇させ、数時間50バールに維持した。反応の完了時又は48時間後に、オートクレーブを次いで25℃に冷却し、生成物の純度をGC分析により確認した。その後、これを減圧し、窒素(3回5バール)でパージし、次いで反応混合物を丸底フラスコに移し、溶媒を真空下で除去した。次に、粗生成物を、反応の間に形成された残留物の量を決定するためにフラッシュ蒸留し、単離収率を蒸留された生成物のGC純度を元にして算出した。
【0104】
【表4】
【0105】
・ アミノホスフィン配位子の種類の影響
一般的手順:3,6,7−トリメチルオクタ−2,6−ジエナール(40/60 Z/E異性体混合物)(12.62グラム、0.075モル)、オクタン(12.62g、100質量%)及び(アミノホスフィン)(9,9−ジメチル−4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)キサンテン)ルテニウム(ビスピバレート)錯体(0.00375ミリモル、0.005モル%)を、機械式撹拌装置を備えた60mlのオートクレーブ中に全て一緒に装填した。その後、密閉されたオートクレーブを、20バールの水素に加圧する前に、窒素(3回5バール)と水素(3回5バール)で攪拌しながらパージした。次いで、これを100℃に加熱し、水素圧を上昇させ、数時間50バールに維持した。反応の完了時又は48時間後に、オートクレーブを次いで25℃に冷却し、生成物の純度をGC分析により確認した。その後、これを減圧し、窒素(3回5バール)でパージし、次いで反応混合物を丸底フラスコに移し、溶媒を真空下で除去した。次に、粗生成物を、反応の間に形成された残留物の量を決定するためにフラッシュ蒸留し、単離収率を蒸留された生成物のGC純度を元にして算出した。
【0106】
【表5】
【0107】
例5
本発明の方法を用いたアルデヒドの接触水素化:添加剤及び錯体(1)のインサイチュでの生成が及ぼす影響
・ 酸性添加剤及び錯体(1)のインサイチュでの生成が及ぼす影響
一般的手順:2−メチル−4−((R)−2,2,3−トリメチルシクロペンタ−3−エン−1−イル)ペンタ−4−エナール(40/60(2S,4R)/(2R,4R)ジアステレオ異性体混合物として)(20.66グラム、0.1モル)、ルテニウム錯体(0.01ミリモル、0.01モル%)及び、必要な場合、添加剤としてのピバル酸(102mg、1ミリモル、1モル%)を、機械式撹拌装置を備えた60mlのオートクレーブ中に全て一緒に装填した。その後、密閉されたオートクレーブを、20バールの水素に加圧する前に、窒素(3回5バール)と水素(3回5バール)で攪拌しながらパージした。次いで、これを100℃に加熱し、水素圧を上昇させ、数時間50バールに維持した。反応の完了時又は48時間後に、オートクレーブを次いで25℃まで冷却し、生成物の純度をGC分析により確認した。その後、これを減圧し、窒素(3回5バール)でパージした。次に、正味の粗生成物を、反応の間に形成された残留物の量を決定するためにフラッシュ蒸留し、単離収率を蒸留された生成物のGC純度を元にして算出した。
【0108】
【表6】
【0109】
・ 酸性添加剤が触媒活性に及ぼす影響
一般的手順:3,7−ジメチルオクト−6−エナール(30.85g、0.2モル)、[2−(ジフェニルホスフィノ)エタンアミン][1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]ルテニウム(ビスピバレート)錯体(4.6mg、0.005ミリモル、0.0025モル%)及び酸性添加剤(2ミリモル、1モル%)を、機械式撹拌装置を備えた60mlのオートクレーブ中に全て一緒に装填した。その後、密閉されたオートクレーブを、20バールの水素に加圧する前に、窒素(3回5バール)と水素(3回5バール)で攪拌しながらパージした。次いで、これを90℃に加熱し、水素圧を上昇させ、数時間50バールに維持した。反応の完了時又は72時間後に、オートクレーブを25℃まで冷却した。その後、これを減圧し、窒素(3回5バール)でパージした。次に、正味の粗生成物を、反応の間に形成された残留物の量を決定するためにフラッシュ蒸留し、収率を蒸留された生成物のGC純度を元にして算出した。
【0110】
【表7】
【0111】
この例では、触媒の量が上記の例の半分であるにもかかわらず、添加剤によって、同様の転換及び反応時間に到達できることを示す。
【0112】
例6
本発明の方法を用いた種々のアルデヒドの接触水素化
・ 3,6,7−トリメチル−オクタ−2,6−ジエン−1−オールの合成
3,6,7−トリメチル−オクタ−2,6−ジエナール(40/60 Z/E異性体混合物)(166g、1モル)、ヘプタン(332g、200質量%、工業グレート)、ピバル酸(0.510g、5ミリモル、0.5モル%)及び[2−(ジフェニルホスフィノ)エタンアミン][9,9−ジメチル−4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)キサンテン]ルテニウム(ビスピバレート)錯体(56mg、0.05ミリモル、0.005モル%)を、機械式撹拌装置を備えた1Lのオートクレーブ中に全て一緒に装填した。その後、密閉されたオートクレーブを、20バールの水素に加圧する前に、窒素(3回5バール)と水素(3回5バール)で攪拌しながらパージした。次いで、これを80℃に加熱し、水素圧を上昇させ、反応全体にわたり50バールに維持すると、40/60 Z/E異性体混合物として96%の選択性で所望の生成物が得られた。反応の完了時(水素消費及びGCの両方により確認)に、オートクレーブを25℃まで冷却した。その後、これを減圧し、窒素(3回5バール)でパージし、次いで反応混合物を丸底フラスコに移し、溶媒を真空下で除去した。最初のフラッシュ蒸留の後に更なる分別蒸留を行うと、純粋な3,6,7−トリメチルオクト−2,6−ジエン−1−オールが91%の収率で得られた。
【0113】
・ 3,6,7−トリメチルオクト−6−エン−1−オールの合成
3,6,7−トリメチルオクト−6−エナール(168g、1モル)、2,2−ジメチルブタン酸(0.581g、5ミリモル、0.5モル%)及び[2−(ジフェニルホスフィノ)エタンアミン][1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]ルテニウム(ビスピバレート)錯体(23mg、0.0025ミリモル、0.0025モル%)を、機械式撹拌装置を備えた300mlのオートクレーブ中に全て一緒に装填した。その後、密閉されたオートクレーブを、20バールの水素に加圧する前に、窒素(3回5バール)と水素(3回5バール)で攪拌しながらパージした。次いで、これを100℃に加熱し、水素圧を上昇させ、水素圧を反応全体にわたり50バールに維持すると、完全な選択性で所望の生成物が得られた。反応の完了時(水素の消費及びGCの両方により確認)に、オートクレーブを25℃まで冷却した。その後、これを減圧し、窒素(3回5バール)でパージした。フラッシュ蒸留後に、純粋な3,6,7−トリメチルオクト−6−エン−1−オールが99%の収率で得られた。
【0114】
・ 3,7−ジメチルオクタ−2,6−ジエン−1−オール合成
3,7−トリメチル−オクタ−2,6−ジエナール(40/60 Z/E異性体混合物として)(152g、1モル)、ヘプタン(304g、200質量%、工業グレート)、安息香酸(0.610g、5ミリモル、0.5モル%)及び[2−(ジフェニルホスフィノ)エタンアミン][9,9−ジメチル−4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)キサンテン]ルテニウム(ビスベンゾエート)錯体(58mg、0.05ミリモル、0.005モル%)を、機械式撹拌装置を備えた1リットルのオートクレーブ中に全て一緒に装填した。その後、密閉されたオートクレーブを、20バールの水素に加圧する前に、窒素(3回5バール)と水素(3回5バール)で攪拌しながらパージした。次いで、これを80℃に加熱し、水素圧を上昇させ、水素圧を反応全体にわたり50バールに維持すると、95%の選択性で所望の生成物が得られた。反応の完了時(水素の消費及びGCの両方により確認)に、オートクレーブを25℃まで冷却した。その後、これを減圧し、窒素(3回5バール)でパージし、次いで反応混合物を丸底フラスコに移し、溶媒を真空下で除去した。最初のフラッシュ蒸留の後に、更なる分別蒸留を行うと、純粋な3,7−ジメチルオクト−2,6−ジエン−1−オールが90%の収率で得られた。
【0115】
・ 3,7−ジメチルオクト−6−エン−1−オールの合成
3,7−ジメチルオクト−6−エナール(154g、1モル)、3,3−ジメチルブタン酸(0.581g、5ミリモル、0.5モル%)及び[2−(ジフェニルホスフィノ)エタンアミン][1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]ルテニウム(ビスシクロプロパンカルボキシレート)錯体(22mg、0.025ミリモル、0.0025モル%)を、機械式撹拌装置を備えた300mlのオートクレーブ中に全て一緒に装填した。その後、密閉されたオートクレーブを、20バールの水素に加圧する前に、窒素(3回5バール)と水素(3回5バール)で攪拌しながらパージした。次いで、これを100℃に加熱し、水素圧を上昇させ、水素圧を反応全体にわたり50バールに維持すると、完全な選択性で所望の生成物が得られた。反応の完了時(水素消費及びGCの両方により確認)に、オートクレーブを25℃まで冷却した。その後、これを減圧し、窒素(3回5バール)でパージした。フラッシュ蒸留後に、純粋な3,7−トリメチルオクト−6−エン−1−オールが99%の収率で得られた。
【0116】
・ 3−メチルヘキサ−2−エン−1−オールの合成
3−メチルヘキサ−2−エナール(40/60 Z/E異性体混合物として)(112g、1モル)、ヘプタン(224g、200質量%、工業グレート)、安息香酸(0.610g、5ミリモル、0.5モル%)及び[2−(ジフェニルホスフィノ)エタンアミン][9,9−ジメチル−4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)キサンテン]ルテニウム(ビスピバレート)錯体(56mg、0.05ミリモル、0.005モル%)を、機械式撹拌装置を備えた1Lのオートクレーブ中に全て一緒に装填した。その後、密閉されたオートクレーブを、20バールの水素に加圧する前に、窒素(3回5バール)と水素(3回5バール)で攪拌しながらパージした。次いで、これを80℃に加熱し、水素圧を上昇させ、水素圧を反応全体にわたり50バールに維持すると、40/60 Z/E異性体混合物として96%の選択性で所望の生成物が得られた。反応の完了時(水素消費及びGCの両方により確認)に、オートクレーブを25℃まで冷却した。その後、これを減圧し、窒素(3回5バール)でパージし、次いで反応混合物を丸底フラスコに移し、溶媒を真空下で除去した。最初のフラッシュ蒸留の後に更なる分別蒸留を行うと、純粋な3−メチルヘキサ−2−エン−1−オールが91%の収率で得られた。
【0117】
・ 3−メチルヘキサ−2−エン−1−イルアセテートの合成
アルデヒドの塩基不含な化学選択的水素化反応も、(無水物と反応してエステルを与えるアルコールへのアルデヒドの還元を介して)直接的にアセテートを得るために1モル当量の無水酢酸の存在下で効率的に実施することができる。
【0118】
3−メチルヘキサ−2−エナール(40/60 Z/E異性体混合物として)(112g、1モル)、無水酢酸(107g、1.05モル)及び[2−(ジフェニルホスフィノ)エタンアミン][1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]ルテニウム(ビスピバレート)錯体(93mg、0.1ミリモル、0.01モル%)を、機械式撹拌装置を備えた1Lのオートクレーブ中に全て一緒に装填した。その後、密閉されたオートクレーブを、20バールの水素に加圧する前に、窒素(3回5バール)と水素(3回5バール)で攪拌しながらパージした。次いで、これを100℃に加熱し、水素圧を上昇させ、水素圧を反応全体にわたり50バールに維持すると、40/60 Z/E異性体混合物として98%の選択性で所望の生成物が得られた。反応の完了時(水素消費及びGCの両方により確認)に、オートクレーブを25℃まで冷却した。その後、これを減圧し、窒素(3回5バール)でパージし、次いで反応混合物を丸底フラスコに移し、真空下で濃縮した。最初のフラッシュ蒸留の後に更なる分別蒸留を行うと、純粋な3−メチルヘキサ−2−エン−1−イルアセテートが94%の収率で得られた。
【0119】
・ (E)−2−メチルペント−2−エン−1−オールの合成
(E)−2−メチルペント−2エナール(98g、1モル)、ヘプタン(196g、200質量%、工業グレート)、安息香酸(0.610g、5ミリモル、0.5モル%)及び[2−(ジフェニルホスフィノ)エタンアミン][9,9−ジメチル−4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)キサンテン]ルテニウム(ビスピバレート)錯体(56mg、0.05ミリモル、0.005モル%)を、機械式撹拌装置を備えた1Lのオートクレーブ中に全て一緒に装填した。その後、密閉されたオートクレーブを、20バールの水素に加圧する前に、窒素(3回5バール)と水素(3回5バール)で攪拌しながらパージした。次いで、これを80℃に加熱し、水素圧を上昇させ、水素圧を反応全体にわたり50バールに維持すると、98%の選択性で所望の生成物が得られた。反応の完了時(水素の消費及びGCの両方により確認)に、オートクレーブを25℃まで冷却した。その後、これを減圧し、窒素(3回5バール)でパージし、次いで反応混合物を丸底フラスコに移し、溶媒を真空下で除去した。最初のフラッシュ蒸留の後に更なる分別蒸留を行うと、純粋な(E)−2−メチルペント−2−エン−1−オールが93%の収率で得られた。
【0120】
・ (E)−4−メチル−5−(p−トリル)ペント−4−エナールの合成
(E)−4−メチル−5−(p−トリル)ペント−4−エナール(47g、0.25モル)、ピバル酸(0.13g、1.25ミリモル、0.5モル%)及び[2−(ジフェニルホスフィノ)エタンアミン][1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]ルテニウム(ビス−イソブチレート)錯体(5.7mg、0.00625ミリモル、0.0025モル%)を、機械式撹拌装置を備えた120mlのオートクレーブ中に全て一緒に装填した。その後、密閉されたオートクレーブを、20バールの水素に加圧する前に、窒素(3回5バール)と水素(3回5バール)で攪拌しながらパージした。次いで、これを100℃に加熱し、水素圧を上昇させ、水素圧を反応全体にわたり50バールに維持すると、完全な選択性で所望の生成物が得られた。完全な反応の転換後(水素の消費及びGCの両方により確認)に、オートクレーブを25℃まで冷却した。その後、これを減圧し、窒素(3回5バール)でパージした。フラッシュ蒸留の後、純粋な(E)−4−メチル−5−(p−トリル)ペント−4−エン−1−オールが99%の収率で得られた。
【0121】
・ 2,3−ジメチルブト−2−エン−1−オールの合成
2,3−ジメチルブト−2−エナール(490g、5モル)、2,2−ジメチルブタン酸(2.9g、0.025モル、0.5モル%)及び[2−(ジフェニルホスフィノ)エタンアミン][9,9−ジメチル−4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)キサンテン]ルテニウム(ビスピバレート)錯体(185mg、0.166ミリモル、0.0033モル%)を、機械式撹拌装置を備えた1Lのオートクレーブ中に全て一緒に装填した。その後、密閉されたオートクレーブを、20バールの水素に加圧する前に、窒素(3回5バール)と水素(3回5バール)で攪拌しながらパージした。次いで、これを100℃に加熱し、水素圧を上昇させ、水素圧を反応全体にわたり50バールに維持すると、完全な選択性で所望の生成物が得られた。完全な反応の転換後(水素の消費及びGCの両方により確認)に、オートクレーブを25℃まで冷却した。その後、これを減圧し、窒素(3回5バール)でパージした。フラッシュ蒸留後に、純粋な2,3−ジメチルブト−2−エン−1−オールが99%の収率で得られた。
【0122】
・ (Z)−オクト−5−エン−1−オールの合成
(Z)−オクト−5−エナール(63g、0.5モル)、ヘプタン(126g、200質量%、工業グレード)、ピバル酸(0.13g、1.25ミリモル、0.25モル%)及び[2−(ジフェニルホスフィノ)エタンアミン][9,9−ジメチル−4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)キサンテン]ルテニウム(ビスピバレート)錯体(83mg、0.075ミリモル、0.015モル%)を、機械式撹拌装置を備えた1Lのオートクレーブ中に全て一緒に装填した。その後、密閉されたオートクレーブを、20バールの水素に加圧する前に、窒素(3回5バール)と水素(3回5バール)で攪拌しながらパージした。次いで、これを70℃に加熱し、水素圧を上昇させ、水素圧を反応全体にわたり50バールに維持すると、97%の選択性で所望の生成物が得られた。完全な反応の転換後(水素の消費とGCの両方により確認)に、オートクレーブを25℃まで冷却した。その後、これを減圧し、窒素(3回5バール)でパージし、次いで反応混合物を丸底フラスコに移し、溶媒を真空下で除去した。最初のフラッシュ蒸留後に更なる分別蒸留を行うと、高純度の(Z)−オクト−5−エン−1−オールが92%の収率で得られた。
【0123】
・ ウンデカ−10−エン−1−オールの合成
ウンデカ−10−エナール(84g、0.5モル)、ヘプタン(168g、100質量%、工業グレード)、ピバル酸(0.13g、1.25ミリモル、0.25モル%)及び[2−(ジフェニルホスフィノ)エタンアミン][9,9−ジメチル−4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)キサンテン]ルテニウム(ビスピバレート)錯体(83mg、0.075ミリモル、0.015モル%)を、機械式撹拌装置を備えた1Lのオートクレーブ中に全て一緒に装填した。その後、密閉されたオートクレーブを、20バールの水素に加圧する前に、窒素(3回5バール)と水素(3回5バール)で攪拌しながらパージした。次いで、これを70℃に加熱し、水素圧を上昇させ、水素圧を反応全体にわたり50バールに維持すると、94%の選択性で所望の生成物が得られた。完全な反応の転換後(水素の消費及びGCの両方により確認)に、オートクレーブを25℃まで冷却した。その後、これを減圧し、窒素(3回5バール)でパージし、次いで反応混合物を丸底フラスコに移し、溶媒を真空下で除去した。最初のフラッシュ蒸留の後に更なる分別蒸留を行うと、高純度のウンデカ−10−エン−1−オールが90%の収率で得られた。
【0124】
・ (2,6,6−トリメチルシクロヘキサ−2−エン−1−イル)メタノールの合成
(2,6,6−トリメチルシクロヘキサ−2−エン)カルバルデヒド(76g、0.5モル)、安息香酸(0.31g、2.5ミリモル、0.5モル%)及び[2−(ジフェニルホスフィノ)エタンアミン][1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン]ルテニウム(ビスピバレート)錯体(12.0mg、0.0125ミリモル、0.0025モル%)を、機械式撹拌装置を備えた120mlのオートクレーブ中に全て一緒に装填した。その後、密閉されたオートクレーブを、20バールの水素に加圧する前に、窒素(3回5バール)と水素(3回5バール)で攪拌しながらパージした。次いで、これを100℃に加熱し、水素圧を上昇させ、水素圧を反応全体にわたり50バールに維持すると、完全な選択性で所望の生成物が得られた。完全な反応の転換後(水素の消費及びGCの両方により確認)に、オートクレーブを25℃まで冷却した。その後、これを減圧し、窒素(3回5バール)でパージした。フラッシュ蒸留後に、純粋な(2,6,6−トリメチルシクロヘキサ−2−エン−1−イル)メタノールが99%の収率で得られた。
【0125】
・ (2,6,6−トリメチルシクロヘキサ−1−エン−1−イル)メタノールの合成
(2,6,6−トリメチルシクロヘキサ−1−エン)カルバルデヒド(76g、0.5モル)、安息香酸(0.31g、2.5ミリモル、0.5モル%)及び[2−(ジフェニルホスフィノ)エタンアミン][1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]ルテニウム(ビスピバレート)錯体(24.0mg、0.025ミリモル、0.005モル%)を、機械式撹拌装置を備えた120mlのオートクレーブ中に全て一緒に装填した。その後、密閉されたオートクレーブを、20バールの水素に加圧する前に、窒素(3回5バール)と水素(3回5バール)で攪拌しながらパージした。次いで、これを100℃に加熱し、水素圧を上昇させ、水素圧を反応全体にわたり50バールに維持すると、完全な選択性で所望の生成物が得られた。完全な反応の転換後(水素の消費及びGCの両方により確認)に、オートクレーブを25℃まで冷却した。その後、これを減圧し、窒素(3回5バール)でパージした。フラッシュ蒸留後に、純粋な(2,6,6−トリメチルシクロヘキサ−1−エン−1−イル)メタノールが99%の収率で得られた。
【0126】
・ トランス−(2,5,6,6−テトラメチルシクロヘキサ−2−エン−1−イル)メタノールの合成
ラセミ体のトランス−(2,5,6,6−テトラメチルシクロヘキサ−2−エン)カルバルデヒド(83g、0.5モル)、安息香酸(0.31g、2.5ミリモル、0.5モル%)及び[2−(ジフェニルホスフィノ)エタンアミン][1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]ルテニウム(ビスピバレート)錯体(11.7mg、0.0125ミリモル、0.0025モル%)を、機械式撹拌装置を備えた120mlのオートクレーブ中に全て一緒に装填した。その後、密閉されたオートクレーブを、20バールの水素に加圧する前に、窒素(3回5バール)と水素(3回5バール)で攪拌しながらパージした。次いで、これを100℃に加熱し、水素圧を上昇させ、水素圧を反応全体にわたり50バールに維持すると、完全な選択性で所望の生成物が得られた。完全な反応の転換後(水素の消費及びGCの両方により確認)に、オートクレーブを25℃まで冷却した。その後、これを減圧し、窒素(3回5バール)でパージした。フラッシュ蒸留後に、純粋なラセミ体のトランス−(2,5,6,6−テトラメチルシクロヘキサ−2−エン−1−イル)メタノールが99%の収率で得られた。
【0127】
・ (2,5,6,6−テトラメチルシクロヘキサ−1−エン−1−イル)メタノールの合成
(2,5,6,6−テトラメチルシクロヘキサ−1−エン)カルバルデヒド(41.5g、0.25モル)、ピバル酸(0.13g、1.25ミリモル、0.5モル%)及び[2−(ジフェニルホスフィノ)エタンアミン][1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]ルテニウム(ビス−シクロヘキサンカルボキシレート)錯体(12.3mg、0.0125ミリモル、0.005モル%)を、機械式撹拌装置を備えた120mlのオートクレーブ中に全て一緒に装填した。その後、密閉されたオートクレーブを、20バールの水素に加圧する前に、窒素(3回5バール)と水素(3回5バール)で攪拌しながらパージした。次いで、これを100℃に加熱し、水素圧を上昇させ、水素圧を反応全体にわたり50バールに維持すると、完全な選択性で所望の生成物が得られた。完全な反応の転換後(水素の消費及びGCの両方により確認)に、オートクレーブを25℃まで冷却した。その後、これを減圧し、窒素(3回5バール)でパージした。フラッシュ蒸留後に、純粋な(2,5,6,6−テトラメチルシクロヘキサ−1−エン−1−イル)メタノールが99%の収率で得られた。
【0128】
・ (R)−2−エチル−4−(2,2,3−トリメチルシクロペンタ−3−エン−1−イル)ブタ−2−エン−1−オールの合成
(R)−2−エチル−4−(2,2,3−トリメチルシクロペンタ−3−エン−1−イル)ブタ−2−エナール(95/5 E/Z異性体混合物として)(206g、1モル)、安息香酸(0.61g、5ミリモル、0.5モル%)及び[2−(ジフェニルホスフィノ)エタンアミン][9,9−ジメチル−4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)キサンテン]ルテニウム(ビスピバレート)錯体(55.1mg、0.05ミリモル、0.005モル%)を、機械式撹拌装置を備えた1Lのオートクレーブ中に全て一緒に装填した。その後、密閉されたオートクレーブを、10バールの水素に加圧する前に、窒素(3回5バール)と水素(3回5バール)で攪拌しながらパージした。次いで、これを100℃に加熱し、水素圧を上昇させ、水素圧を反応全体にわたり15バールに維持すると、95/5 E/Z異性体混合物として99.5%の選択性を有し且つ光学純度の損失なしで所望の生成物が得られた。完全な反応の転換時(水素の消費及びGCの両方により確認)に、オートクレーブを25℃まで冷却した。その後、これを減圧し、窒素(3回5バール)でパージした。フラッシュ蒸留後に、高純度の(R)−2−エチル−4−(2,2,3−トリメチルシクロペンタ−3−エン−1−イル)ブタ−2−エン−1−オールが98.5%の収率で得られた。
【0129】
・ (R)−2−メチル−4−(2,2,3−トリメチルシクロペンタ−3−エン−1−イル)ブタ−2−エン−1−オールの合成
(R)−2−メチル−4−(2,2,3−トリメチルシクロペンタ−3−エン−1−イル)ブタ−2−エナール(98/2 E/Z異性体混合物として)(48.1g、0.25モル)、1−ナフトエ酸(0.215g、1.25ミリモル、0.5モル%)及び[2−(ジフェニルホスフィノ)エタンアミン][9,9−ジメチル−4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)キサンテン]ルテニウム(ビスピバレート)錯体(13.9mg、0.0125ミリモル、0.005モル%)を、機械式撹拌装置を備えた120mlのオートクレーブ中に全て一緒に装填した。その後、密閉されたオートクレーブを、5バールの水素に加圧する前に、窒素(3回5バール)と水素(3回5バール)で攪拌しながらパージした。次いで、これを100℃に加熱し、水素圧を上昇させ、水素圧を反応全体にわたり10バールに維持すると、98/2 E/Z異性体混合物として98.5%の選択性を有し且つ光学純度の損失なしで所望の生成物が得られた。完全な反応の転換時(水素の消費及びGCの両方により確認)に、オートクレーブを25℃まで冷却した。その後、これを減圧し、窒素(3回5バール)でパージした。フラッシュ蒸留後に、高純度の(R)−2−メチル−4−(2,2,3−トリメチルシクロペンタ−3−エン−1−イル)ブタ−2−エン−1−オールが97.5%の収率で得られた。
【0130】
・ 2−メチル−4−((S)−2,2,3−トリメチルシクロペンタ−3−エン−1−イル)ブタン−1−オールの合成
2−メチル−4−((S)−2,2,3−トリメチルシクロペンタ−3−エン−1−イル)ブタナール(50/50 ジアステレオ異性体混合物)(48.5g、0.25モル)、安息香酸(0.152g、1.25ミリモル、0.5モル%)及び[2−(ジフェニルホスフィノ)エタンアミン][1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]ルテニウム(ビスピバレート)錯体(5.8mg、0.00625ミリモル、0.0025モル%)を、機械式撹拌装置を備えた120mlのオートクレーブ中に全て一緒に装填した。その後、密閉されたオートクレーブを、5バールの水素に加圧する前に、窒素(3回5バール)と水素(3回5バール)で攪拌しながらパージした。次いで、これを100℃に加熱し、水素圧を上昇させ、水素圧を反応全体にわたり10バールに維持すると、50/50 ジアステレオ異性体混合物として完全な選択性且つ光学純度の損失なしで所望の生成物が得られた。完全な反応の転換時(水素の消費及びGCの両方により確認)に、オートクレーブを25℃まで冷却した。その後、これを減圧し、窒素(3回5バール)でパージした。フラッシュ蒸留の後に、高純度の2−メチル−4−((S)−2,2,3−トリメチルシクロペンタ−3−エン−1−イル)ブタン−1−オールが99%を上回る収率で得られた。
【0131】
・ ヘキサ−2,4−ジエン−1−イルピバレートの合成
ヘキサ−2,4−ジエナールの場合、アルデヒドの塩基不含な化学選択的水素化反応により、塩基性条件に対して非常に高い出発物質感受性のために、概して従来の系よりも遙かに良好な収率で所望の生成物が得られた。この場合、触媒活性が顕著に増加して1モル当量の種々のカルボン酸無水物の存在下で反応が実施され、その結果、使用される無水物と反応して対応するエステルをもたらす、アルデヒドのアルコールへの還元を介してヘキサ−2,4−ジエン−1−オールエステルが得られた。
【0132】
ヘキサ−2,4−ジエナール(85/15(E,E)/(Z,E)異性体混合物として)(24g、0.25モル)、無水ピバル酸(48.8g、0.26モル)及び[2−(ジフェニルホスフィノ)エタンアミン][9,9−ジメチル−4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)キサンテン]ルテニウム(ビスピバレート)錯体(27.8mg、0.025ミリモル、0.01モル%)を、機械式撹拌装置を備えた120mlのオートクレーブ中に全て一緒に装填した。その後、密閉されたオートクレーブを、20バールの水素に加圧する前に、窒素(3回5バール)と水素(3回5バール)で攪拌しながらパージした。次いで、これを100℃に加熱し、水素圧を上昇させ、水素圧を反応全体にわたり50バールに維持すると、85/15(E,E)/(Z,E)異性体混合物として98%の選択性で所望の生成物が得られた。完全な反応の転換時(水素の消費及びGCの両方により確認)に、オートクレーブを25℃まで冷却した。その後、これを減圧し、窒素(3回5バール)でパージした。フラッシュ蒸留後に、高純度のヘキサ−2,4−ジエン−1−イルピバレートが96%の収率で得られた。
【0133】
・ 3−((R)−4メチルシクロヘキサ−3−エン−1−イル)ブタン−1−オールの合成
3−((R)−4メチルシクロヘキサ−3−エン−1−イル)ブタナール(50/50 ジアステレオ異性体混合物として)(41.6g、0.25モル)、安息香酸(0.152g、1.25ミリモル、0.5モル%)及び[3−(ジフェニルホスフィノ)プロパン−1−アミン][1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]ルテニウム(ビスピバレート)錯体(5.9mg、0.00625ミリモル、0.0025モル%)を、機械式撹拌装置を備えた120mlのオートクレーブ中に全て一緒に装填した。その後、密閉されたオートクレーブを、5バールの水素に加圧する前に、窒素(3回5バール)と水素(3回5バール)で攪拌しながらパージした。次いで、これを100℃に加熱し、水素圧を上昇させ、水素圧を反応全体にわたり10バールに維持すると、50/50 ジアステレオ異性体混合物として完全な選択性且つ光学純度の損失なしで所望の生成物が得られた。完全な反応の転換時(水素の消費及びGCの両方により確認)に、オートクレーブを25℃まで冷却した。その後、これを減圧し、窒素(3回5バール)でパージした。フラッシュ蒸留後に、高純度の3−((R)−4−メチルシクロヘキサ−3−エン−1−イル)ブタン−1−オールが99.0%を上回る収率で得られた。
【0134】
例7
本発明の方法を用いた種々のアルデヒドの接触水素化:化学選択性
・ 1−((1S,3R)−3−(2−ヒドロキシエチル)−2,2−ジメチルシクロプロピル)プロパン−2−オンの合成
2−((1R,3S)−2,2−ジメチル−3−(2−オキソプロピル)シクロプロピル)アセトアルデヒド(16.8g、0.1モル)、トルエン(50.4g、300質量%)及び[2−(ジフェニルホスフィノ)エタンアミン][9,9−ジメチル−4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)キサンテン]ルテニウム(ビスピバレート)錯体(16.7mg、0.015ミリモル、0.015モル%)を、機械式撹拌装置を備えた120mlのオートクレーブ中に全て一緒に装填した。その後、密閉されたオートクレーブを、20バールの水素に加圧する前に、窒素(3回5バール)と水素(3回5バール)で攪拌しながらパージした。次いで、これを90℃に加熱し、水素圧を上昇させ、水素圧を反応全体にわたり50バールに維持すると、97%の選択性で所望の生成物が得られた。反応の完了時(水素消費及びGCの両方により確認)に、オートクレーブを25℃まで冷却した。その後、これを減圧し、窒素(3回5バール)でパージし、次いで反応混合物を丸底フラスコに移し、溶媒を真空下で除去した。フラッシュクロマトグラフィー後に、高純度の1−((1S,3R)−3−(2−ヒドロキシエチル)−2,2−ジメチルシクロプロピル)プロパン−2−オンが94%の収率で得られた。
【0135】
・ 1−((1S,3S)−3−(2−ヒドロキシエチル)−2,2−ジメチルシクロブチル)エタノンの合成
2−((1S,3S)−3−アセチル−2,2−ジメチルシクロブチル)アセトアルデヒド(16.8g、0.1モル)、トルエン(50.4g、300質量%)及び[2−(ジフェニルホスフィノ)エタンアミン][1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ルテニウム(ビスピバレート)錯体(16.3mg、0.015ミリモル、0.015モル%)を、機械式撹拌装置を備えた125mlのオートクレーブ中に全て一緒に装填した。その後、密閉されたオートクレーブを、20バールの水素に加圧する前に、窒素(3回5バール)と水素(3回5バール)で攪拌しながらパージした。次いで、これを90℃に加熱し、水素圧を上昇させ、水素圧を反応全体にわたり50バールに維持すると、完全な選択性で所望の生成物が得られた。反応の完了時(水素消費及びGCの両方により確認)に、オートクレーブを25℃まで冷却した。その後、これを減圧し、窒素(3回5バール)でパージし、次いで反応混合物を丸底フラスコに移し、溶媒を真空下で除去した。フラッシュク蒸留後に、高純度の1−((1S,3S)−3−(2−ヒドロキシエチル)−2,2−ジメチルシクロブチル)エタノンが99%を上回る収率で得られた。
【0136】
・ 4−((1R,2S)−2−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−7−メチレンシクロヘプチル)ブタン−2−オンの合成
(1S,7R)−2,2−ジメチル−6−メチレン−7−(3−オキソブチル)シクロヘプタンカルバルデヒド(11.8g、0.05モル)、ヘプタン(70.8g、600質量%、工業グレード)及び[2−(ジフェニルホスフィノ)エタンアミン][9,9−ジメチル−4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)キサンテン]ルテニウム(ビスピバレート)錯体(11.1mg、0.01ミリモル、0.02モル%)を、機械式撹拌装置を備えた200mlのオートクレーブ中に全て一緒に装填した。その後、密閉されたオートクレーブを、10バールの水素に加圧する前に、窒素(3回5バール)と水素(3回5バール)で攪拌しながらパージした。次いで、これを80℃に加熱し、水素圧を上昇させ、水素圧を反応全体にわたり30バールに維持すると、96%の選択性で所望の生成物が得られた。反応の完了時(水素消費及びGCの両方により確認)に、オートクレーブを25℃まで冷却した。その後、これを減圧し、窒素(3回5バール)でパージし、次いで反応混合物を丸底フラスコに移し、溶媒を真空下で除去した。フラッシュクロマトグラフィー後に、高純度の4−((1R,2S)−2−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−7−メチレンシクロヘプチル)ブタン−2−オンが92%の収率で得られた。
【0137】
・ 4−((1R,4S)−4−(5−ヒドロキシペンタ−1−エン−2−イル)−2,2−ジメチルシクロブチル)ブタン−2−オンの合成
4−((1S,2R)−3,3−ジメチル−2−(3−オキソブチル)シクロブチル)ペンタ−4−エナール(11.8g、0.05モル)、メチル(tert−ブチル)エーテル(70.8g、600質量%)及び[2−(ジフェニルホスフィノ)エタンアミン][9,9−ジメチル−4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)キサンテン]ルテニウム(ビスピバレート)錯体(11.1mg、0.01ミリモル、0.02モル%)を、機械式撹拌装置を備えた200mlのオートクレーブ中に全て一緒に装填した。その後、密閉されたオートクレーブを、10バールの水素に加圧する前に、窒素(3回5バール)と水素(3回5バール)で攪拌しながらパージした。次いで、これを80℃に加熱し、水素圧を上昇させ、水素圧を反応全体にわたり30バールに維持すると、98%の選択性で所望の生成物が得られた。反応の完了時(水素消費及びGCの両方により確認)に、オートクレーブを25℃まで冷却した。その後、これを減圧し、窒素(3回5バール)でパージし、次いで反応混合物を丸底フラスコに移し、溶媒を真空下で除去した。フラッシュクロマトグラフィー後に、高純度の4−((1R,4S)−4−(5−ヒドロキシペンタ−1−エン−2−イル)−2,2−ジメチルシクロブチル)ブタン−2−オンが95%の収率で得られた。
【0138】
・ ラセミ体のエンド1−(3−(2−ヒドロキシエチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イル)プロパン−2−オンの合成
ラセミ体のエンド2−(3−(2−オキソプロピル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イル)アセトアルデヒド(19.4g、0.1モル)、トルエン(58.2g、300質量%)及び[2−(ジフェニルホスフィノ)エタンアミン][(オキシビス(2,1−フェニレン))ビス(ジフェニルホスフィン)]ルテニウム(ビスピバレート)錯体(10.7mg、0.01ミリモル、0.01モル%)を、機械式撹拌装置を備えた120mlのオートクレーブ中に全て一緒に装填した。その後、密閉されたオートクレーブを、20バールの水素に加圧する前に、窒素(3回5バール)と水素(3回5バール)で攪拌しながらパージした。次いで、これを90℃に加熱し、水素圧を上昇させ、水素圧を反応全体にわたり50バールに維持すると、完全な選択性で所望の生成物が得られた。反応の完了時(水素消費及びGCの両方により確認)に、オートクレーブを25℃まで冷却した。その後、これを減圧し、窒素(3回5バール)でパージし、次いで反応混合物を丸底フラスコに移し、溶媒を真空下で除去した。フラッシュ蒸留後に、高純度のラセミ体のエンド1−(3−(2−ヒドロキシエチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イル)プロパン−2−オンが99%の収率で得られた。
【0139】
・ 7−ヒドロキシヘプタン−2−オンの合成
6−オキソヘプタナール(12.8g、0.1モル)、トルエン(76.8g、600質量%)及び[2−(ジフェニルホスフィノ)エタンアミン][9,9−ジメチル−4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)キサンテン]ルテニウム(ビスピバレート)錯体(22.2mg、0.02ミリモル、0.02モル%)を、機械式撹拌装置を備えた200mlのオートクレーブ中に全て一緒に装填した。その後、密閉されたオートクレーブを、20バールの水素に加圧する前に、窒素(3回5バール)と水素(3回5バール)で攪拌しながらパージした。次いで、これを80℃に加熱し、水素圧を反応全体にわたり50バールに維持すると、94%の選択性で所望の生成物が得られた。反応の完了時(水素消費及びGCの両方により確認)に、オートクレーブを25℃まで冷却した。その後、これを減圧し、窒素(3回5バール)でパージし、次いで反応混合物を丸底フラスコに移し、溶媒を真空下で除去した。フラッシュクロマトグラフィー後に、高純度の7−ヒドロキシヘプタン−2−オンが90%の収率で得られた。
【0140】
・ 1−(5,5−ジメチルシクロヘキサ−1−エン−1−イル)−6−ヒドロキシヘキサン−1−オンの合成
6−(5,5−ジメチルシクロヘキサ−1−エン−1−イル)−6−オキソヘキサナール(11.1g、0.05モル)、トルエン(33.3g、300質量%)及び[2−(ジフェニルホスフィノ)エタンアミン][2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)1,1’−ビナフタレン]ルテニウム(ビスピバレート)錯体(5.8mg、0.005ミリモル、0.01モル%)を、機械式撹拌装置を備えた120mlのオートクレーブ中に全て一緒に装填した。その後、密閉されたオートクレーブを、20バールの水素に加圧する前に、窒素(3回5バール)と水素(3回5バール)で攪拌しながらパージした。次いで、これを90℃に加熱し、水素圧を上昇させ、水素圧を反応全体にわたり50バールに維持すると、99%を上回る選択性で所望の生成物が得られた。反応の完了時(水素消費及びGCの両方により確認)に、オートクレーブを25℃まで冷却した。その後、これを減圧し、窒素(3回5バール)でパージし、次いで反応混合物を丸底フラスコに移し、溶媒を真空下で除去した。フラッシュクロマトグラフィー後に、高純度の1−(5,5−ジメチルシクロヘキサ−1−エン−1−イル)−6−ヒドロキシヘキサン−1−オンが98%の収率で得られた。
【0141】
・ 1−(5,5−ジメチルシクロヘキサ−1−エン−1−イル)−5−ヒドロキシ−4−メチルペンタン−1−オンの合成
5−(5,5−ジメチルシクロヘキサ−1−エン−1−イル)−2−メチル−5−オキソペンタナール(11.1g、0.05モル)、トルエン(33.3g、300質量%)及び[2−(ジ−tert−ブチルホスフィノ)エタンアミン][9,9−ジメチル−4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)キサンテン]ルテニウム(ビスピバレート)錯体(5.4mg、0.005ミリモル、0.01モル%)を、機械式撹拌装置を備えた120mlのオートクレーブ中に全て一緒に装填した。その後、密閉されたオートクレーブを、20バールの水素に加圧する前に、窒素(3回5バール)と水素(3回5バール)で攪拌しながらパージした。次いで、これを90℃に加熱し、水素圧を上昇させ、水素圧を反応全体にわたり50バールに維持すると、98%の選択性で所望の生成物が得られた。反応の完了時(水素消費及びGCの両方により確認)に、オートクレーブを25℃まで冷却した。その後、これを減圧し、窒素(3回5バール)でパージし、次いで反応混合物を丸底フラスコに移し、溶媒を真空下で除去した。フラッシュクロマトグラフィー後に、高純度の1−(5,5−ジメチルシクロヘキサ−1−エン−1−イル)−5−ヒドロキシ−4−メチルペンタン−1−オンが94%の収率で得られた。
【0142】
・ 9−ヒドロキシ−2,6−ジメチルノナン−4−オンの合成
4,8−ジメチル−6−オキソノナナール(18.4g、0.1モル)、トルエン(36.8g、200質量%)及び[2−(ジフェニルホスフィノ)エタンアミン][9,9−ジメチル−4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)キサンテン]ルテニウム(ビスピバレート)錯体(11.1mg、0.01ミリモル、0.01モル%)を、機械式撹拌装置を備えた120mlのオートクレーブ中に全て一緒に装填した。その後、密閉されたオートクレーブを、20バールの水素に加圧する前に、窒素(3回5バール)と水素(3回5バール)で攪拌しながらパージした。次いで、これを90℃に加熱し、水素圧を上昇させ、水素圧を反応全体にわたり50バールに維持すると、完全な選択性で所望の生成物が得られた。反応の完了時(水素消費及びGCの両方により確認)に、オートクレーブを25℃まで冷却した。その後、これを減圧し、窒素(3回5バール)でパージし、次いで反応混合物を丸底フラスコに移し、溶媒を真空下で除去した。フラッシュ蒸留後に、高純度の9−ヒドロキシ−2,6−ジメチルノナン−4−オンが99%の収率で得られた。
【0143】
・ 7−ヒドロキシ−3−イソプロピル−4−メチルヘプタン−2−オンの合成
5−アセチル−4,6−ジメチルヘプタナール(18.4g、0.1モル、1つのジアステレオ異性体として)、トルエン(55.2g、300質量%)及び[2−(ジフェニルホスフィノ)エタンアミン][9,9−ジメチル−4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)キサンテン]ルテニウム(ビスピバレート)錯体(22.2mg、0.02ミリモル、0.02モル%)を、機械式撹拌装置を備えた120mlのオートクレーブ中に全て一緒に装填した。その後、密閉されたオートクレーブを、20バールの水素に加圧する前に、窒素(3回5バール)と水素(3回5バール)で攪拌しながらパージした。次いで、これを80℃に加熱し、水素圧を上昇させ、水素圧を反応全体にわたり50バールに維持すると、99%を上回る選択性で所望の生成物が得られた。反応の完了時(水素消費及びGCの両方により確認)に、オートクレーブを25℃まで冷却した。その後、これを減圧し、窒素(3回5バール)でパージし、次いで反応混合物を丸底フラスコに移し、溶媒を真空下で除去した。フラッシュ蒸留後に、高純度の7−ヒドロキシ−3−イソプロピル−4−メチルヘプタン−2−オンが99%の収率で得られた。
【0144】
本発明の方法を用いた種々のアルデヒドの接触水素化:アルデヒド対ケトンの競争実験における化学選択性
・ 2−メチル−4−((R)−2,2,3−トリメチルシクロペンタ−3−エン−1−イル)ペンタ−4−エナール 対 (R,E)−3,3−ジメチル−5−(2,2,3−トリメチルシクロペンタ−3−エン−1−イル)ペンタ−4−エン−2−オン
2−メチル−4−((R)−2,2,3−トリメチルシクロペンタ−3−エン−1−イル)ペンタ−4−エナール(40/60(2S,4R)/(2R,4R)ジアステレオ異性体混合物として)(10.3g、0.05モル)、(R,E)−3,3−ジメチル−5−(2,2,3−トリメチルシクロペンタ−3−エン−1−イル)ペンタ−4−エン−2−オン(11.0g、0.05モル)、オクタン(21.3g、100質量%)及び[2−(ジフェニルホスフィノ)エタンアミン][1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]ルテニウム(ビスピバレート)錯体(4.7mg、0.005ミリモル、0.01モル%/アルデヒド)を、機械式撹拌装置を備えた120mlのオートクレーブ中に全て一緒に装填した。その後、密閉されたオートクレーブを、20バールの水素に加圧する前に、窒素(3回5バール)と水素(3回5バール)で攪拌しながらパージした。次いで、これを100℃に加熱し、水素圧を上昇させ、水素圧を反応全体にわたり50バールに維持し、その後、GC分析を行った。
【0145】
【表8】
【0146】
・ 2−メチル−4−((R)−2,2,3−トリメチルシクロペンタ−3−エン−1−イル)ペンタ−4−エナール 対 トランス1−(2,2,6−トリメチルシクロヘキシル)ヘキサン−3−オン
2−メチル−4−((R)−2,2,3−トリメチルシクロペンタ−3−エン−1−イル)ペンタ−4−エナール(40/60(2S,4R)/(2R,4R)ジアステレオ異性体混合物として)(10.3g、0.05モル)、ラセミ体のトランス1−(2,2,6−トリメチルシクロヘキシル)ヘキサン−3−オン(11.2g、0.05モル)、ヘプタン(43.0g、200質量%)及び[2−(ジフェニルホスフィノ)エタンアミン][9,9−ジメチル−4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)キサンテン]ルテニウム(ビスピバレート)錯体(8.3mg、0.0075ミリモル、0.015モル%/アルデヒド)を、機械式撹拌装置を備えた120mlのオートクレーブ中に全て一緒に装填した。その後、密閉されたオートクレーブを、20バールの水素に加圧する前に、窒素(3回5バール)と水素(3回5バール)で攪拌しながらパージした。次いで、これを90℃に加熱し、水素圧を上昇させ、水素圧を反応全体にわたり50バールに維持し、その後、GC分析を行った。
【0147】
【表9】
【0148】
・ 2−メチル−4−((R)−2,2,3−トリメチルシクロペンタ−3−エン−1−イル)ペンタ−4−エナール 対 アセトフェノン
2−メチル−4−((R)−2,2,3−トリメチルシクロペンタ−3−エン−1−イル)ペンタ−4−エナール(40/60(2S,4R)/(2R,4R)ジアステレオ異性体混合物として)(10.3g、0.05モル)、アセトフェノン(6.0g、0.05モル)、オクタン(48.9g、300質量%)及び[2−(ジフェニルホスフィノ)エタンアミン][1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ルテニウム(ビスピバレート)錯体(8.1mg、0.0075ミリモル、0.015モル%/アルデヒド)を、機械式撹拌装置を備えた120mlのオートクレーブ中に全て一緒に装填した。その後、密閉されたオートクレーブを、20バールの水素に加圧する前に、窒素(3回5バール)と水素(3回5バール)で攪拌しながらパージした。次いで、これを90℃に加熱し、水素圧を上昇させ、水素圧を反応全体にわたり50バールに維持し、その後、GC分析を行った。
【0149】
【表10】
【0150】
・ 2−メチル−4−((R)−2,2,3−トリメチルシクロペンタ−3−エン−1−イル)ペンタ−4−エナール 対 3−メチルシクロペンタデセ−5−エン−1−オン
2−メチル−4−((R)−2,2,3−トリメチルシクロペンタ−3−エン−1−イル)ペンタ−4−エナール(40/60(2S,4R)/(2R,4R)ジアステレオ異性体混合物として)(10.3g、0.05モル)、3−メチルシクロペンタデセ−5−エン−1−オン(11.7g、0.05モル)、オクタン(66g、300質量%)及び[2−(ジフェニルホスフィノ)エタンアミン][1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]ルテニウム(ビスピバレート)錯体(9.3mg、0.01ミリモル、0.02モル%/アルデヒド)を、機械式撹拌装置を備えた120mlのオートクレーブ中に全て一緒に装填した。その後、密閉されたオートクレーブを、20バールの水素に加圧する前に、窒素(3回5バール)と水素(3回5バール)で攪拌しながらパージした。次いで、これを80℃に加熱し、水素圧を上昇させ、水素圧を反応全体にわたり50バールに維持し、その後、GC分析を行った。
【0151】
【表11】